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【添削】小説練習スレッド【キボンヌ】

652本71現637:2008/08/17(日) 14:04:43
前ぶれなく楽屋の扉が開いた。
「おっす、大変そうだね」
まもなく設楽が軽い調子で入ってきた。真剣な面持ちの小林がその後ろに続く。
土田と柴田は会話を止め、そちらを見やった。
そのままどっかりと隣に腰を下ろす設楽に、土田は表情も変えずに「早かったな」とだけ言った。

柴田は「いつの間に連絡したんだ」と聞こうとして、やめた。幹部3人がここに居るという事実は、どのみち変わらない。

「まあね、ちょうど近くまで来てたし。いやー、たまたま小林も一緒だったからさ、」
「設楽さん。そんなことより…」
小林が厳しい口調で諫める。彼としては早く本題に入りたいようで。(ちなみに彼はソファーの横にしゃんと立ったままだった。)
はいはい、と面倒くさそうに頭を掻くと、設楽は呆然と突っ立っている柴田をちらりと見上げた。
「やってくれるよなぁ。お前が派手に暴れてくれたおかげで、シナリオ狂っちゃったんだけど」
「…何だよ、俺のせいだってのかよ」
と柴田。突然の展開に戸惑いながらも、媚びる様子のない強気な口調だった。
「シナリオ上、矢作さんは『心労による入院』になるはずだった、」淡々と小林が言葉を紡ぐ。
「自殺を図るまでに追い詰めたせいで、シナリオが本来のものとズレ始めているんだ」
「知ったことかよ。俺はこいつの悪意を増幅させただけだぜ。俺のやり方にケチつけるってのかよ」
「っていうかさ、」
突然土田が口を開いた。皆の視線が集まる。
「もう限界なんじゃないの、あんた」
そう言って、柴田の胸――Tシャツの下にあるファイアオパール――を指差した。
「それってどういうこと?」動じる様子もなく、設楽が尋ねた。

「亀裂が入ってる。多分、『石』自身の悪意が強すぎて、持ち主の柴田が耐え切れてないんじゃないの」

653本71現637:2008/08/17(日) 14:10:14
土田の言葉を聞いて、柴田の顔色が変わる。
「馬鹿な…」
「ああ、やっぱり気づいてなかったんだ、」土田は尚も続ける。
「多分さ、柴田は根が良い奴すぎるんだよ。普段抱かない感情を無理やり、それも急激に増幅させられたせいで、予想以上に暴走してる。
真っ直ぐすぎる性格ってのも相まって、あんたの影響もろに受けすぎちゃってんだと思うけど」
柴田は悔しさに身を震わせながら下を向いた。その邪悪に満ちた眼は、本来の柴田には似つかわしくなく、無理やりはめ込まれた宝石のようだった。
「…このままじゃ、もたないんじゃない?あんたも、持ち主も」
追い討ちをかけるような一言に、柴田は弾かれたように顔を上げた。
「ふざけるな!6年前の復讐を果たすまで、消えてたまるか!」

土田、設楽、小林の三人に緊張が走った。楽屋には奇妙な沈黙が、流れる。

「――『ミサの日』のことか?」
ようやく口を開いたのは、土田だった。
「はっ、愚問だな、」怒りの色の混じった声で、柴田。
「『俺』はお前らなんかよりずっと鮮明に覚えてるんだぜ。まあ、なのに何でコイツが何にも覚えてないのか甚だ疑問だがな」
コイツ、とはファイアオパールの持ち主である柴田自身を指す言葉だった。


6年前に起こった事件。白と黒とが一旦“ミサ(解散)”を余儀なくされた、あの事件。
ほとんどの芸人はその日を境に石に関する記憶を全て失っているのだが、完全には忘れていない者たちも一部おり、はたして黒の幹部3人はその中に含まれる。
彼ら3人の記憶は他の者たちに比べると色濃いものだったが、しかしそれでも断片的で漠然としたものでしかなかった。

(やっぱり、無機物の方が記憶を刻むのには適しているんだろうか)
詩人じみた考えを浮かべ、しかし小林はすぐにそれを脳の片隅に追いやった。今思考すべきことではない、と。

654本71現637:2008/08/17(日) 14:13:50
―驚くね、お前がそこまで執着してたとは。
土田の石・ブラックオパールが、ここで初めて言葉を発した。
「…ともかく、コイツには死なれちゃ困るんだよ。俺まで消えちまう。なあ、なんとかならねえのか?」
柴田、いや正確には柴田の体を借りたファイアオパールは、いつの間にか弱気な口調になり始めていた。
「そう焦んなよ。要は、お前が暴れすぎなきゃいいだけじゃん、」
相変わらず軽い調子で設楽が宥める。
「俺たちは『白を潰す』って目的が一致してるんだからさ。もっと仲良くやろうぜ」

「…君の目的を中心に置いたシナリオを書くよ。それで問題ないんじゃないかな」
小林が穏やかな口調で提案した。言いながら横目でちらりと設楽、土田の顔を窺う。
「ああ、俺ならいーよ、」と設楽。「じゃさ、ついでに前のシナリオで達成できなかった辺りとかクリアできない?」
「分かりません。ただ、どちらも叶えるとなると、それなりに複雑なものになってしまうかと」
「要は失敗しやすくなるってことでしょ?」土田が口を挟む。
「その確率は多少上がることに…どうします、どちらかの確実な成功を取るか、一気に2つ片付ける賭けに出るか」

「後者だろ」
冷静な声は、意外にも柴田だった。
「上手くいくときはいくし、いかないときは何やっても上手くいかねえんだよ。確率なんざ問題じゃねえ。
ただ言えるのは、あんたのシナリオで上手くいかないなら、俺は何をやったってどっちみち消える運命にあるってことだ」

「…いいね、そーいうの」
少しの間を経て、設楽が楽しそうに笑った。
「オーケイ、決まりな。賭けに出ようぜ。失敗したら、そういう運命なんだよ」
「でも…」
小林は何か言いたげな様子だった。堅実に事を進めたい彼としては、危険な橋は渡りたくなかったので。
「俺もいいよ、後者で」
土田もそう言って手をひらひらやった。早くやってくれ、と言わんばかりに。
3人をそれぞれ見つめた後、小林は胸ポケットから手帳とボールペンを取り出した。
「…失敗しても俺のせいにしないでくださいよ?」
不満げに呟いた小林に、「そんなことするわけないじゃん、したことあった?今まで」と設楽。

しれっとしたその様子を見て、どの口が、と言い掛けるが、ともあれ彼はボールペンを1回、ノックした。

655カンナ:2013/03/15(金) 13:40:15
ekt663D/rEさんの邪悪石編の続き書かせていただきました。
及ばないところもありますが、ご容赦ください。
まだ途中ですが、添削よろしくお願いします。



【23:12 都内・居酒屋】
その気配に最初に気づいたのは誰だったのか。今となっては知る術もないが、島田が『それ』を察したときにはまだ居酒屋に変化はなかった。
手にしていたグラスを置き、代わりに白珊瑚を取り出す。肝試しと宴会で得た高揚感はもう、完全に吹き飛んでいる。
急に黙り込んで石まで取り出した後輩に、日村が心配げに声をかけた。

「ど、どうした島田?」
「・・・日村さん、気づきません?」
「は、」
何のこと。そう思ったのだろう、そして実際そう言いかけたのだろう日村の口は、言葉を発する前に動かなくなる。口だけではない。ぴたりと音が聞こえそうなほど、すべての行動が一度に停止した。唯一、島田の奇行に訝しげに細まっていた瞳が、大きく見開かれる。
開いたままだった口から、『それ』の正体が漏れる。
「・・・これ、石?」

656カンナ:2013/03/15(金) 13:40:45

そう、『それ』は知らない石の気配だった。が、気配を感じること自体は別に大したことじゃない。強い力を持った石が近くで発動すると、石の使い手はそれを察知する。姿も見えないような距離から気配がわかるほど強力な石は珍しいものの、全く存在しない訳ではない。過去の号泣の行動指針上、強力な石は幾つも見てきただろう。それは敵のものだった時もあれば味方のものだった時もあり。石を持ちたての若手ならばともかく、いくつもの修羅場を潜ってきた彼らはちょっとやそっとのことじゃ動揺しない度胸が身についていた。
しかし、『それ』は明らかに今までの石とは毛色が違う。悪意なんて言葉じゃ生温い。まるで全てを憎み、破壊するためだけが生きがいだとでも言うような、身も竦むような負の感情に溢れている。

「分かりましたか?」
「お、おう。でも、え、え、なにこれ?え!?」
「いや僕が聞きたいぐらいですよそんなの!日村さん心当たり無いですか!?」
「ないないないない!え、つーかこれやばくね?」
一転、焦り丸出しの表情で泣きつく島田と、それに感化されたか一緒ぐらい慌てる日村。周囲からの不思議そうな視線に気づく様子もなく、わたわたと話し始めた。

657名無しさん:2013/03/15(金) 20:45:09
おお、乙です!それでこちらからの注釈ですが、

職人さんはコテハン(トリップ推奨)
・長編になる場合は、このスレのみの固定ハンドル・トリップを使用する事を推奨
 <トリップの付け方→名前欄に#(半角)好きな文字(全角でも半角でもOK)>

をやっていただく事をお勧めします
あと小説のタイトルも(この話は『Phantom in August』ですね)名前欄などに入れていただけると
後の方が読みやすくなるかと このスレや廃棄小説スレの書き込みとか、参考にしてくださいませ
まあ他人の話の続き書かれてる方はすぐ上の「本71現637」さんもいる事だし、これによって
またここが盛り上がるといいなあ
あともう一つ、依頼スレの内容、また見ていただけますかね?あれからいろいろ見てて時間軸の
把握とか変化がありましたので、X−GUNについては章内での土田に近い感じで「過去の記憶を
取り戻したキャブラー大戦経験者」といった描写をそれとなく(名前を伏せるのも可)織り込むように
していただけるとありがたいです

658 ◆u.6gZGoSVk:2013/03/16(土) 21:50:53
書き込み途切れちゃってすみません。フリーズしてました。
>>653さん、まだ途中だったのにありがとうございます。トリップってこういうことでしょうか?
何かしらの反応もらえたのがすごく嬉しいです。

ちょと手違いで書いてた小説消してしまったので、しばらく書き直そうとしてましたが
まだちょっとかかりそうです。中途半端なところですみません。

659名無しさん:2013/03/17(日) 14:38:29
ああ、トリップはそれでいいですよー
なんかいろいろ大変なようだけど頑張ってくださいませ
んで、自分も今から短編投下しちゃいます
小沢さんが石を拾った時の、スピワ編のプロローグ的話で
タイトルは「仮面ライダーウィザード」の「指輪の魔法使い」を踏まえてたり

660青い石の魔法使い:2013/03/17(日) 14:40:37
時は2004年5月。
とあるテレビ局の楽屋で、一組の若手芸人コンビが次の番組出演に備えている所だった。
そのコンビの名はスピードワゴン。前々年のM−1グランプリ2002で、敗者復活枠で決勝に
進んだ事がきっかけで頭角を現し、今や全国区の人気と知名度を持つ売れっ子の一組にまで
出世を遂げた若手の出世頭の一組である。
そんな彼らの本番前の一時、黒髪の青年―小沢一敬は、テーブルに頬杖をつきもう一方の手で
何かをつまんでひっくり返したりしながら眺めている。彼は後の石を巡る激闘において
「白ユニットの作戦参謀」と称され数々の活躍をする事になるのだが、それはまた後々の話。
彼の手の中にあるそれは、わずかに緑がかった青い透き通った石。その石を、彼は先刻から
指で弄びつつ飽きもせずに眺めているのだった。
そんな様子に、傍らで雑誌か何かを読んでいた、少しくすんだ色の金髪をトサカのように立てた
青年―井戸田潤が声をかける。彼もまた、後の石を巡る激闘で常に白ユニットの先頭に
立って数々の活躍をする事になる者である。
「さっきから何眺めてんの?ずいぶんきれいな石じゃんそれ」
「うん、これね…昨日、鞄からポロッて出てきたの。なんかきれいだから気に入っちゃって」
「ふーん。そういう物気に入るなんてなんか小沢さんらしいな」
「そう思う?」
ここで井戸田が壁の時計を見て、本を閉じつつ小沢に声をかける。
「いい時間になったし、そろそろネタ合わせすっか?」
「そうだね」
小沢は弄んでいた石を胸ポケットに入れ、井戸田と同時に立ち上がるとネタ合わせに入った。

661青い石の魔法使い:2013/03/17(日) 14:41:15
いつものように小沢が何か甘い言葉を囁いてパチンと指を鳴らし、それに井戸田が
「甘―――――――――い!」と叫ぶというネタの形式。その時小沢が口にしたのは
「君は僕の可愛い子猫ちゃんだから!」という言葉。
それに続けてパチンと指を鳴らした時、彼の胸ポケットから一瞬淡い青緑の光がこぼれた。
とここでいつもなら井戸田の「甘―――――――――い!」の叫びが入るはずなのだが、
この時は違った。小沢が指を鳴らしその胸ポケットから青緑の光がこぼれるや否や、
井戸田はいきなりその場にしゃがんで四つ足で歩き出したり手で顔をゴシゴシこすったりゴロゴロ
喉を鳴らしたりと、まるで猫のような挙動を始めたのである。
「ちょちょっと、潤 !? どうしたの !? 」
小沢が慌ててその体に手をかけて揺さぶると、井戸田は我に返ったらしくすぐに立ち上がった。
「ビックリしちゃったよもう…いきなり猫の真似なんか始めるんだもん」
「え、俺そんな事してた?」
「自分でわかんないの?何してたか」
「うん、今小沢さんが指鳴らしたろ?そしたら小沢さんのポケットが青く光って…そっから先は覚えてない」
「え、これ?」
その言葉に、小沢は胸ポケットからかの青い石を取り出す。しばらくの間何か考え込むような
表情で石を眺めていたが、やがておもむろに鏡の前に置かれた生け花の花瓶に指を向け、一連の
動作をやってみる。
「ミツバチが、君を花と間違えて集まってきちゃうだろ?」
すると指を鳴らす音と同時に手の中の石が青緑の光を発し、さらにどこからかミツバチの群れが
飛んできて花に群がり始めた。その光景に、2人は目を丸くする。

662青い石の魔法使い:2013/03/17(日) 14:48:10
「おおお !? 」
「何これ !? 何これ !? 」
続けてまた少し考え込んだ後、小沢が目をつけたのはテーブルの隅に置かれた灰皿。それに向けて
「君を手に入れる事によって一生分の運を使ってしまったんだから!」と一言発しつつ指を鳴らすと、
灰皿は青緑色の輝きに包まれてその場から消え、次の瞬間には小沢の手元にあった。
「うわ !? 」
また驚きの声を上げる井戸田の隣で、小沢は手の中の石と井戸田の顔を何度も交互に見ながら言う。
「ねえねえ潤、すごいよこれ!俺魔法使いになっちゃったかも !? この石のおかげで!」
その時の小沢の表情は、目を輝かせ無邪気な子供がはしゃぐようだった。
どうやらこの青い石には、口にした言葉を何らかの形で具現化させる力があるようなのだ。
「ああ、小沢さんそういうの好きだからねー。魔法とかファンタジーとか」
苦笑いを浮かべる井戸田の横で、小沢はこの不思議な石を手にしたまま楽しげにはしゃいでいる。
「ああそうだ、はしゃぐのもいいけどネタ合わせ…」
「あ、そうだね忘れてた」
「それと、本番の時はその石、置いてかなきゃな」
「あーそうだ、確かに」
そんな楽しげな会話が繰り広げられる楽屋の光景。

この不思議な石が後に彼ら2人を過酷な戦いに誘う物である事を、彼らはまだ知らない―。

663名無しさん:2013/03/17(日) 14:54:52
以上です
興味のある方、感想お待ちしてます

664名無しさん:2013/03/17(日) 15:33:37
幸せそうでいいですね!小沢さんカワイイww
力に気づいた経緯がこんな平和的な感じの人って意外と少ないですよね
なんかほっこりとさせてもらいました

665名無しさん:2013/03/17(日) 15:51:54
>>664
おお、感想どうもです
潤さんの方は廃棄小説スレに途中までのとその後のプロットが出てるけど、
なんかすごく劇的な物になりそうな感じだなあ
相方が死にかけた時に目覚める力、てな感じで

666Phantom in August続き ◆u.6gZGoSVk:2013/03/22(金) 01:15:18
【22:22 渋谷・シアターD】

「っく・・・!」
背中にくらった衝撃で、平井の口から呻き声が出る。辛うじて両足を踏ん張るが
、続けざまにきた二発目、三発目にたまらず膝をついた。

「平田!後ろにも気ぃつけ!」

同じく不意打ちを受けたであろう松丘の苦しげな声に首だけ振り向くと、
彼の目に飛び込んできたのは到底認めたくないような光景だった。

「・・・嘘だろ!?」

ついさっきまで何もない殺風景な路地だった場所が、いつの間にか前方と同じく、白い球体で埋め尽くされていた。
前後左右上下どこへも動けないこの状況では、相手を止めるどころか防御すらままならない。
数メートル向こうにある大通りにもこれではいける訳もなく、退路すら完全に塞がれた形となった。

咄嗟に頭を回転させ、この状況を打開する方法を探ろうとする。
が、周囲を見渡せど、視界に入るのは目の前で無表情に立っている『白い悪意』と、彼をじっと睨みつけている松丘。
そして、相変わらずシューティングゲームのように隙間なく散らばった球体だけ。
一気にひっくり返った優位を取り戻せそうなものは何も見当たらない。
それでも彼は、僅かなものも見逃さないよう、目を皿のようにして、きっかけとなりうる何かを探してしていた。

その時、平井の思考を遮るように『白い悪意』が一歩踏み出す。
即座に構え直した二人には目もくれず、その視線は持ち主に呼応するように輝きを増した二つの石に注がれていた。

不意に口元がにぃっとつり上がる。

「おや?さっきまでの威勢はどうした?」
向けられた言葉に込もったあらかさまな侮蔑と挑発。それに気づかぬほど二人も馬鹿ではない。
が、二人がそれに反応する前に、涼しげだった表情が突然大きく歪んだ。


「・・・これだからお前らはっ!」



ここまで書いてちょっと先が思いつかなくなったので、とりあえず投稿します。
時間かかった上短くてグダグダ&特に進展もしてなくてすみません。
批評お願いします。

667眠り犬 ◆XU22gipAH.:2013/04/09(火) 17:47:22
どうも。かつて、眠り犬と名乗っていた書き手です。
当時、リア厨だった私はトリップの付け方が分からず、最終的には逃亡してしまいました。
私の作品を呼んで下さった方全てに、申し訳ないと思っています。
まだ石スレに住人がいることを知り、自分の作品を完結させたいと思ったので、投下させて頂きます。

668眠り犬 ◆XU22gipAH.:2013/04/09(火) 17:47:55
『ゆびきりげんまん 4』

 それは、南海キャンディーズが襲われる数日前のことだ。

 とある女性芸人が、ファンを名乗る男から一通の黒い封筒を手渡された。
 女性芸人は事務所の一室で封筒を開けたのだが。
「……何、これ……」
 女性芸人の唇からは、彼女らしくない、弱々しい声が漏れた。

 封筒に入れられていたのは、数枚の写真。撮影方法は分からないが、
『女性芸人が写っている人間を元相方だと認識出来る』写真だ。要するに、顔が映っていた。
腹部が破れた、血で濡れているTシャツ。憑依されたような、表情の無い顔。爛々と光る、翠色の瞳。
 女性芸人は、直感と石から伝わるエネルギーで、写真から事件を読み取った。
どこかの駐車場らしき場所で、元相方と、きっと、彼の今の相方も戦った。

 そのせいで、石が暴走したんだ……!

 『黒』の封筒には、日付の示された某テレビ局付近の地図が、同封されていた。

669眠り犬 ◆XU22gipAH.:2013/04/09(火) 17:48:35
 意を決した山里の表情に、高野は気付いていた。それでも悠然と構えていられるのは、彼の石の能力と、
何より元来持ち合わせている『自信』のおかげだ。対する山里も、考え無しに高野に向かって歩いている訳ではない。
山崎と松田の戦いを自分と同じように、ただ見ていた高野の石の能力も、攻撃向きではないと確信していた。

「うおりゃあー!!」

 雄叫びを上げて、山里は全速力で駆け出す。タックルをかまして吹き飛ぶ相手ではないことは百も承知。
しかし、日本人女性として規格外の体を持つ相方の隣にいるから目立たないものの、
自分だって、決して体が小さい男ではないのだ。高野から石を奪える可能性はゼロではない。多分。
 そんな山里の行動に一番驚いたのは、もちろん山崎である。
「あのアホ、何してんねん…!」
 ただでさえピンチなのに。珍しく焦っている彼女へ、松田は石を使わずに近付いた。
「もう疲れたっしょ。石渡すの、ヤだろ。俺らもヤだったし。で、提案なんだけど『黒』に入らない?」
「断ります。私らのことナメんといて下さい」
 言うや否や、振りかざされた山崎の拳を止めるのに、松田の一言は充分過ぎた。

「山里はもうすぐ石を手放すぞ」

 渾身の体当たりを喰らい、高野はアスファルトに転ぶはめになった。腰が痛むが、余裕は崩れない。それどころか。
「サンキューな。…手間が省けた」
 厚い手が覆い被さった山里の手首を掴み、空いている手はポケットから取り出したオレンジ色の石を握る。
「ハウライトトルコを俺に――」

670眠り犬 ◆XU22gipAH.:2013/04/09(火) 17:49:28
 スペサルタイトが橙の光を発しかけた、まさに、その瞬間だった。

「ちょっと待てーッ!!」

 女の怒号。それも、テレビでおなじみの。全ての視線は一点に注がれる。

「何やってんのかしら、松田君?」
「青木!?」

 元相方、青木さやかの登場に愕然としている隙をついて、山崎は羽ばたき、松田との距離を置く。
「どこ見てんのよ!」
 松田を睨んで言霊を放った青木は、四人の視界から姿を消した。
「……消えた…」
 山崎が呟いてから十数秒経った頃だろうか。見えない手により、山里はずるずると何メートルも
引きずられ、高野から引き剥がされた。山里を山崎の足下に置いた青木は、松田の目の前で石の力を解く。
「アンタほんっと馬鹿ね!ばーか!」
「るせぇな!一体何の話だ、バカ!」
 バカバカと怒鳴り合う元・温泉こんにゃくアクロバットショーを見て、山里がごちる。
「何なんだろう…痴話喧嘩ですか」
「男と女ってだけでそういう風に思われんのは嫌やろうな。私も嫌やねん」
「おう、悲しいけれどウチの場合そういう風に思う人はいないぜ?」
 芸人の性か。危機的状況でもジョークを忘れない南海キャンディーズである。

671眠り犬 ◆XU22gipAH.:2013/04/09(火) 17:50:09
「石が暴走して『黒』に加担するはめになるなんて、馬鹿の極みじゃない」
 一転して、落ち着いた青木の声が、高野と松田の顔色を変えた。
「誰から何を聞いたんだ、お前」
「あら、『黒』からご丁寧に証拠の品を渡されたんだけど?」
「…何だと?」
 皆が青木に気を取られている間に、のそりと高野が起き上がった。
背後から青木へ歩み寄る。南海キャンディーズが疲労で動けないことを分かった上での行動だ。
 青木はすうっ、と大きく息を吸い込み、『黒』への宣戦布告のように、叫ぶ。
「お望み通り、私がぶっ飛ばしてやるわよ!」
「それは嫌だな」
 太い手が細い手首を掴んだ。今度こそ、橙の輝きが高野の手の中に溢れる。

「『白』の加勢を呼んだのかどうかだけ、俺に教えて」

 その能力は――『洗脳』。抗えず、青木は問いに答えていた。
「波田君に、相談した」
 中立の立場にいる人気ピン芸人の姿が、高野の脳内で忠実に描かれる。
「…波田陽区か」
 スケジュールの都合でこの場には来られなかったのだろう。波田が『白』に協力を頼んだ可能性は否めない。
「――あれ? 私…今…?」
 我に返った青木は呆然としている。高野はすぐ傍の相方の肩をぽんと叩いた。
「逃げんぞ、松田さん。糞みてえな『シナリオ』に付き合う筋合いねーわ」
「だけど!」

672眠り犬 ◆XU22gipAH.:2013/04/09(火) 17:50:47
 作られた状況は『南海キャンディーズと加勢に来た芸人を仕留めろ』という、無茶な命令に他ならない。だが。
「指示に無いことする筋合いはねえし、ペナルティ科せられる筋合いもねえだろ」
「……それもそっか」
 幸いなことに、彼らは操り人形ではなかった。俺達が『黒』を選んでやった。少なくとも高野はそう思っている。
「ちょっと待ちなさいよ!」
 立ち去ろうとする東京ダイナマイトを呼び止める必死の声。
「青木」
 振り返った松田は、青木の心を見透かしたように言う。
「俺達がお前に手を出さないと思って一人で来たんなら、大間違いだぜ」
 大きく目を見開いて硬直する青木を見た松田と高野は、ふっと笑い、彼女とすれ違うように、歩みを進めた。

「た、助かったぁ……」
 実は青木に引きずられた辺りから腰を抜かしていた山里が、よろよろと立ち上がり、笑顔を見せる。
「青木さん、ありがとうございます!」
「私は何もしてないわよ」
 そう言った青木の表情は、苦悩に満ちていた。
「何も出来なかった」
「私らが助かったんは、間違いなく青木さんのおかげです。ありがとうございました」
 俯く先輩に、山崎も笑みを見せて、深々とお辞儀をする。
「…どういたしまして」
 山崎の言葉に救われた青木も、ようやく微笑んだ。

673眠り犬 ◆XU22gipAH.:2013/04/09(火) 17:51:20
 収録の時刻に遅れてしまったが、不思議と怒られることはなかった。
それどころか、収録前にスタッフが「大変ですね」と言って、ペットボトルの水とタオルを手渡してきたのだ。
石を巡る芸人の戦いは、裏方の人間をも巻き込んでいる。二人は実感した。

 そして、収録後の楽屋。

「決めた」

 会話の無い楽屋で発せられた、唐突な山崎の決意表明。山里は尋ねる。
「何を?」
「あんたがまた頭のおかしいことになったら、ぶっ飛ばしてでも正気に戻したるわ」
「……それはそれは恐ろしい……」
 相方のシャドーボクシングに本気で脅えながらも、山里は笑った。
「俺は意地でも正気を保つことに決めたよ」
「小指、出し」
 言葉の意図を理解した山里は、先程とは違う種類の笑いを滲ませる。
「あら。しずちゃんにも可愛いところあるじゃない」
 言われた通りに小指を出して、山崎のそれと絡めた。

「ゆびきりげんまん」

 山里は子どもの頃を思い出していた。懐かしい。
「嘘ついたら〜♪」
「自分、何歌ってんの。気持ち悪いな」
「今の状況さ、映画とかドラマだったら結構良いシーンだよ?そのツッコミ絶対必要ないってー」
「気にせんでも、今日の出来事はノンフィクションや」

 小指と小指が、この言葉のやり取りが出来る幸せを守っていこうと、誓い合った。

674眠り犬 ◆XU22gipAH.:2013/04/09(火) 17:51:58
登場芸人能力一覧

山ちゃん(山里亮太)
ハウライトトルコ(青く着色してトルコ石(ターコイズ)に模倣したハウライト。心を清らかにさせてくれる。
人間関係の良化、感情トラブルの回避、安全の約束。危険を察知、幸運を呼び込む)[ストラップ]
一定時間一流の追跡者(…ストーカー?)に変身し、相手に見つからず尾行/追跡できる。
解除後、使った時間分異常に悪目立ちする(周囲からやたらキモがられる)。  

しずちゃん(山崎静代)
ファイアアゲート(「情念/スムーズなアクセス」)[ペンダント]
背中から翼を生やし飛行できる。発動中は運動能力が通常の10倍となる。また、口笛で鳥を操ることもできる。
発動時には感覚が鳥に近づくため、暗闇では視力が極度に低下する。口笛使用では鳥に好かれるが、
翼が生えている時は鳥に怖がられるので、二つの能力は同時に使用できない。
パワーが少ない時に発動させると、野生動物のように暴走してしまう(数分経てば治まる)。
暴走している間の記憶は無い。

675眠り犬 ◆XU22gipAH.:2013/04/09(火) 17:52:29
松田大輔
デマントイド(「疾走」。ダイヤモンドの光沢を放つ稀少な石。明るいグリーン)[ブレスレット]
爆発的に動作が速くなる。
走る時に使えば目にも留まらないほどの速度で走れるし、相手を殴る時に使えば威力が増す。
連続/長時間の使用後は、使った箇所が痛むのでまともに動かせなくなる。
 
ハチミツ二郎(高野二郎)
スペサルタイト(「忠実/従う心」。別名:マンダリン・ガーネット。オレンジ)
自分が言った事を相手にその通り実行させる。いわゆる洗脳。第三者が洗脳されている事を当事者に教え、
強く説得しなければ洗脳は解けない。もちろん、高野の意思で解くことも出来る。
相手の体、もしくは石に触れる事。持ち物や服は駄目。使用回数は一日一回のみ。
対象者が(黒い欠片などに)操られていても発動できる。だが、極度な興奮状態の人間には発動できない。

青木さやか
マラカイト(「危険を察知し、不思議な力で身を守る」濃いめのエメラルドグリーン)
「どこ見てんのよ!!」と相手を睨みながら叫ぶことで、自分の姿を消すことが出来る。
自分の石によって姿を見えなくするだけだったり、物理的にも存在を消したりと調節可能。
ちょっとした物理攻撃ならば衝撃や裂傷から身を守ってくれる。
言葉を発しなければ能力は発動しない。
姿を消す度合いにより、パワーの消費量が変わり眩暈がしたりする。

676眠り犬 ◆XU22gipAH.:2013/04/09(火) 17:52:48
以上です。昔の文体に近づけようとして苦労しました。
後日、東京ダイナマイトが黒に入ることになった話を投下したいと思います。

677名無しさん:2013/04/09(火) 20:45:33
>>676
おお、眠り犬さんだ
もう続きが読めないと思ってたから素直に嬉しい

相変わらず本人たちの空気感が出ていて、東ダイ青木は男前で……

とにかく乙!

678名無しさん:2013/04/09(火) 20:59:48
おおお、これはお久しぶりで!
また素敵な文章ありがとうです!せっかくだから、ここの各スレに出されている
プロットとかについて意見や感想お寄せいただけるとうれしいです
これで他の書き手さんもどんどん出てきてくれたら…
あと、石の参考になりそうな資料をいくつか…
なんでもアパタイトには感染症に対する抵抗力を強めたり心中の負の感情を
取り除く働きが、
シトリンには毒や呪いを跳ね返す働きがあるのだとか
この辺から、スピワが共に黒い欠片に拒絶反応を起こした裏づけができそうな?
あと余談だが小沢=ブルースウィートハート、井戸田=ゴールドサンシャイン
なんて通り名が浮かんでしまったw
なんかの形で話に入れたらかっこいいかも知れないw

ttp://stones.karakaraso.com/
ttp://aora.jp/gemcards.html

679眠り犬 ◆XU22gipAH.:2013/04/10(水) 20:08:24
>>677
>>678
温かいコメントありがとうございます!

申し訳ありませんが、私が投下した話は「戦いの核心」に迫るものではないため
(要するに、他の書き手さんの議論を見るだけで、自分は何も考えていなかった)
大掛かりな展開に関してご協力出来ることは少ないと思います。すみません。

そんな奴がこんなこと書くのもなんですが、議論や設定ももちろん大切ですが、
古参新参問わず書き手に小説を書いてもらうことが何よりも大切なんじゃないかと…。
2ちゃんでスレが賑わっていた頃を思い出して、そう感じました。

とにかく、石スレが完結することを願っております。

680眠り犬 ◆XU22gipAH.:2013/04/10(水) 20:09:03
東京ダイナマイト編を投下します。流血表現がありますので、ご注意を。

『限りなく灰色に近いブラック』

 2004年、秋、東京。会場には、集まった大勢の人間の数に相応しい、尋常ではない
緊張感が張り詰めている。M-1グランプリ予選第二回戦が、ここで行われていた。

 出番を終えたプロのコンビに、とあるアマチュアのコンビが声を掛ける。
「お疲れ様です」
 プロの――東京ダイナマイトの松田は、キャップ帽を被った見知らぬ男の声に戸惑った。
「えっと…」
「アマチュアでお笑いやってるもんです」
 帽子の男の相方の、黒縁眼鏡を掛けた男が自己紹介をした。

 事件は、ここから始まる。

「石、持ってますよね」
 心の底から面倒臭そうな顔をした高野(ハチミツ二郎)は、ふぅと溜め息を吐いた。
「だったら何。おたくらも持ってるんだろ、勘で分かる」
「俺達は、ハチミツさんと松田さんの石が欲しいんですよ」
 まるで当然のことのような口ぶりで帽子の男が言い、眼鏡の男が続ける。
「ここじゃ戦えませんし、僕の車でドライブに行きませんか」
 高野は「お前ら頭おかしい」という本音を心に留めて、相手を追い返そうとする。
「『白』とか『黒』とか俺達キョーミねえから、悪ィけど」

681眠り犬 ◆XU22gipAH.:2013/04/10(水) 20:09:48
 今はM-1に集中したい。ユニットに所属する漫才師であっても、そう思う時期だ。
しかし、長身でやや威圧感のある高野と松田に睨まれても、中肉中背のコンビは引かなかった。
そして、帽子の男の駄目押しの一言。
「別の日に、いきなり襲われるよりはマシだと思いませんか」
「…二郎ちゃん、どーするよ」
「めんどくせえけど行くしかねェだろ、ドライブ」

 アマチュアコンビが戦いの場所に選んだのは、小さな廃ビルの地下駐車場だった。
 車から下りた四人は二対二で向かい合い、対峙する。
「ちょっと待ってて下さい」
 眼鏡の男が、石を握った拳を天高くかざした。淡い光が辺り一帯を包んで、消える。
「これで一般人はここに来ません。石持ってる人には効果無いですけど」
 帽子の男は、筆ペンとメモ帳サイズに破られた半紙を、ジャケットのポケットから取り出した。
半紙を地面に置き、筆ペンを使って『刀』と書く。かなりの達筆だ。書道が彼の特技なのだろう。
目映い光を発する半紙。次の瞬間には半紙が置いてあった所に、時代劇に出てくるような日本刀が存在していた。
今まで何度か『正当防衛の喧嘩』をしてきた東京ダイナマイトも、これには目を丸くする。
「じゃ、始めますか」
 刀を鞘から抜いた帽子の男の目は虚ろでありながらも、鋭い殺意が宿っていた。
からんと鞘が落ちる音。現実味が無さ過ぎるせいか、思わず笑ってしまう高野と松田だ。
「全然面白くないよ、そのボケ。人殺しになりたいのか?」

 問い掛ける松田に、アマチュアコンビは嬉しそうな笑みを返した。

「はい。なァ、この人達を殺したら、俺らプロの芸人になれるんだよな?」
「『手加減しなくていい』って言われたろ。殺しても、何とかしてくれるって意味だ」

682眠り犬 ◆XU22gipAH.:2013/04/10(水) 20:10:35
 高野と松田は顔を見合わせる。恐怖や呆れるという感情を通り越して、二人は冷静になっていた。
「二郎ちゃん。ひょっとしなくても、こいつらクスリやってるよ」
「つうかアレだろ。『黒い欠片』。まァ、お前なら刀相手でも勝てるって。後は俺が言うこと聞かせっから」
「俺は少年漫画みてェなバトルするために芸人になったわけじゃねえぞ、糞ったれ」
 そう言いつつも松田が腹をくくると、腕に付けているブレスレットの石、デマントイドが光輝いた。

「うおあああ!!」
 刀を振り上げて帽子の男が走り出す。石の能力で補助された松田の足も地面を蹴る。
「う!」
 帽子の男の鳩尾に、速度を上げた肘打ちがヒットした。呻いて刀を振り下ろすが、松田が退く方が速い。
「何やってんだよ! 斬れ! 斬っちまえよ!」
「がああ!」
 眼鏡の男の声に圧されるように、帽子の男は一歩踏み出し、刀を横一線に薙ぎ払う。
デマントイドで動体視力は強化されないため、反応が少し遅れたが、松田はしゃがんでそれを躱した。
斬られた黒髪が数本、宙を舞う。地面に手を付いた松田は、帽子の男の脛に蹴りを喰らわせる。
バランスを崩した帽子の男は、そのまま硬い地面に倒れ込んだ。
「はい。お前らの負け」
 立ち上がった松田が、持ち主の手から落ちた刀を拾う。その様子を見ていた高野は、ふと思いついた。
「松田さん。そのままソレ持ち上げて『刀持って来た』って言ってみて」
 咳払いをした後、松田は『イイ声』を使い、高野の言う通りにしてみた。
「刀持って来たぞーぃ!」
「…うん。ちょっと面白えわ」
「何だよそれ」

683眠り犬 ◆XU22gipAH.:2013/04/10(水) 20:11:23
 アマチュアコンビの心に、どろりと憎しみが満ち溢れた。本来ならば、それは憧れという感情のはずだ。
こんな時でもネタのことを考えている。石の戦いなど下らないと、一蹴するかのように、笑っている。
「「ぶっ殺してやる」」
 微かな呟きは同時だった。帽子の男が、再び取り出した筆ペンでアスファルトに文字を書き殴る。
 石の波動と人の立ち上がる気配を察した松田は、振り返ることさえ、出来なかった。

「……いっ、てぇ……」

 自分の腹から生えた銀色は、自分の赤色で濡れていて。薄れゆく意識の中で、マジかよ、と呻く。

「松田!!」

 刀を引き抜かれる激痛に耐えられるはずもなく、相方が自分の名を叫ぶ声を遠くに聞きながら、どさりと崩れ落ちた。
「松田!! オイ…返事しろ、松田!!」
「相方の命よりも、自分の命の心配をしたらどうですか?」
 『黒い欠片』で増幅された悪意に支配されている眼鏡の男は、高野に歩み寄り、小柄なナイフを突きつける。
「……死ね」

”死なせはしない”

684眠り犬 ◆XU22gipAH.:2013/04/10(水) 20:11:47
 突然、芝居掛かったような、厳かな女の声が、高野とアマチュアコンビの脳内に響いた。
”二郎と言ったな。案ずるな。私はお前も、宿主のこの男…大輔も死なせはしない”
 声が途絶える。すると、腹部に重傷を負っているはずの松田が、刀を握り締めて、ゆらりと立ち上がった。
「てめえ、どうして…!!」
 言い掛けて、帽子の男は息を呑んだ。自分が刺した男の光彩が、翠に染まっていたからだ。
”ああ、この肉体は若くて良い。前の宿主よりも活力に満ちている”
 松田の唇が動く度、先程の女の声が周囲の脳にダイレクトに伝わる。
松田の手が自身のシャツの裾を捲り、腹部を見せた。そこにあるはずの傷が、消えていた。
”細胞の『動きを速めて』、負傷箇所を癒した。残念だったな。芸人を名乗るには未熟すぎる者達よ”
「ざけんな…たかが石コロの分際でッ…誰が未熟だぁ!!」
 帽子の男が刀を振るう。松田の体を借りたデマントイドは、いとも容易く剣撃を受け止めた。
何度も刀と刀の交わる音が駐車場に響き渡る。だがそれも長くは続かず、帽子の男の刀は弾き飛ばされた。

 そして。

「ぐあああっ!!」
 肩を斬られた帽子の男が、血の噴き出す傷口を押さえ、のたうち回る。今度は、眼鏡の男が
帽子の男の名前を叫んでいた。持ち主の気力が弱まったことで、二本の刀は消失していく。

685眠り犬 ◆XU22gipAH.:2013/04/10(水) 20:12:21
「やめろ。やりすぎだ」
 これ以上、相方の体を使って凶行をされては堪らない。高野はデマントイドを制止する。
”何を焦っている。致命傷ではないだろう。さて、もう一人……”
「やめろっつってんだろ!!」

 主の感情に呼応して、ポケットのスペサルタイトが力強い光を放った。

 眼鏡の男がナイフを落とし、ふらふらと地面にへたりつく。高野はスペサルタイトを取り出した。
松田に視線をやると、瞳の色は日本人特有の茶色いソレに戻っていた。どうやら元に戻ったらしい。
普段は、体か石に直接触れなければ発動しないスペサルタイトが、高野の思いに応えたのだ。

”――私は、笑いに『忠実』な宿主を守る石……”

「うわっ、どうしたんだコイツ!?」
 のたうち回っているうちにトレードマークが取れてしまった帽子の男を見て、松田が驚いている。
「ていうか、俺…思いっきり刺されたよな」
 血まみれの破れたシャツと上着が、夢では無いことを物語っている。
「自力で回復したんだぞ、お前。石の力で。そんでソイツのこと斬ったんだから」
「マジ? ……全然記憶無いのが怖ぇよ…。そんなことより、救急車!」

686眠り犬 ◆XU22gipAH.:2013/04/10(水) 20:12:55
「記憶が無いなら、画像で説明してあげるよ」

 やけに淡々とした声音に二人が振り返ると、そこにはカメラを持った男、土田晃之がいた。
「コレ、最新型なんだけど、めっちゃ高性能なんだわ。『石の研究のために持って行け』って言われてさ」
 その土田の背後にいるのは、東京ダイナマイトと親交のある、吉本興業のコンビ――。
「よう」
「災難だったな」
 ダイノジの大地と大谷だ。
「……見ない、組み合わせですね」
 高野の眉間に皺が寄った。世間話やお笑い論を交わしに来たわけではないだろう。松田が尋ねる。
「いつからいたんすか」
 土田はあっけらかんとした口調で答えた。
「君が刺された辺りから。あの状況じゃ、俺達の気配に気付かなくても不思議じゃないかな」
 そして、アマチュアコンビを見遣る。
「酷いケガさせちゃったな。こんなつもりじゃなかったんだけど」
「一般人と大差ない学生アマチュアに、石を渡した幹部さんが悪いですよね」
 大谷はそう皮肉を言うと、東京ダイナマイトの二人に真っ直ぐな眼差しを向けた。
「お前らの石、浅草キッドさんから譲り受けたんだろ。だから今まで大切に守り抜いてきた。偉いよ」

687眠り犬 ◆XU22gipAH.:2013/04/10(水) 20:13:16
 大地の口から、高野と松田が予想もしない――いや、本当は予想していたのかもしれない――台詞が発せられる。

「なあ。二人とも、『黒のユニット』に入ってくれないか?」

 『黒』の芸人らしくない、頼りになりそうな、明るい微笑みを、大地は携えていた。
「強力な石をコントロールして、なおかつ、『白』にその石が封印されることを防ぐためにさ!」
 今日の戦いは、スペサルタイトとデマントイドの力を測るために仕掛けられたのだろうか。
想定されていたのか否かは分からないが、どちらの石も、通常時を超える能力を発現した。
「俺達も、東京ダイナマイトが仲間になってくれると心強いしな!」
 大地の言葉に大谷が付け加えると、そこに土田もわざとらしく一言付け加えた。
「あー、『黒』に入ってくれたら、あいつの大怪我はウチの奴に治させるから」
 暫しの沈黙の後、高野と松田は目と目を合わせて、お互いの意志を確認し合う。

「俺は二郎ちゃんについてくよ」
「ま、ヒール役も悪くねえかな」

 そう。どこに属していようが、彼らは何も変わらない。

688眠り犬 ◆XU22gipAH.:2013/04/10(水) 20:14:03
以上です。昔考えていたプロットとはだいぶ違うものになってしまいました。
「ダイノジの2人は黒が正しいと思い込んでいる」という設定をお借りしています。
稚拙な文章を読んで下さり、ありがとうございました。

689名無しさん:2013/04/10(水) 21:38:57
また投下乙です
これに触発されたんですが、進行会議スレ>343の書き込みを踏まえて…
時間設定は04年秋ごろくらい

・ダイノジの2人は黒が正しいと思い込んでいる。ある日、プライベートで親しい
 スピードワゴンが白のユニットのメンバーであり、「石の力を全て封じ、自分たちだけ
 で石の力を独り占めしてその力で他の芸人たちを支配しようとしている」
 と黒の誰かに吹き込まれる
・ダイノジはその話を信じ、石の力に呑まれた(と吹き込まれた)スピワの目を覚まさせ
 るために2人を呼び出し、スピワVSダイノジで甘いVSモテル対決のような感じに
・対戦中、先走ったか何かした黒の者が2組が共倒れになるよう仕向けて石をせしめようと
 横槍を入れ、それに気づいた小沢がダイノジを庇って負傷
・それがきっかけでダイノジは「全ての石たちとその持ち主を黒の力から守る」というスピワの
 意志を知り2組は和解。力を合わせて横槍を入れた者を撃退し、ダイノジは白に回る事を決意する

690名無しさん:2013/04/10(水) 22:08:09
>>679-688
乙乙!

黒でも白でも同じ、確かにそうかもと思わされてしまった
タイトルも凄く好きだ
それにしてもデマンドイド女なのかw



>古参新参〜
完結に関係ない話でいいなら書いてみようかと思うんだけど、
やっぱり設定が最近だと厳しいかなとか白黒勝手に決めて良いのかってので躊躇する
完結時期によっては完全に矛盾するし

691名無しさん:2013/04/17(水) 10:06:39
>>690
それならまずどういう話を書きたいか、誰を使いたいか大まかな案を
ここのスレのどれかに提示してみてはいかがでしょう?
廃棄小説スレに出してみるのも一つの手かと
それで、周りの意見次第で手直しして本投稿とかも可能だし

692名無しさん:2013/04/17(水) 21:25:55
>>691
ありがとう
よく考えたら廃棄スレなら注釈入れれば大丈夫そうだし、完全な番外編として書いてくる

今月中に投下…できるといいなあ

693名無しさん:2013/06/06(木) 15:40:16
スペサルタイトとデマントイドがかつて浅草キッドの石だったとあるけど、
その時はどんな能力立ったのかちょっと気になる今日この頃
あと比喩的に意識操作や脅迫などで芸人を黒ユニに属させるのを「黒き鎖」と
称し、それから石たちとその持ち主を解放する白ユニの人たちを「鎖を解く者」
と表現するくだりがあってもいいかなと思ってみたり

694眠り犬 ◆XU22gipAH.:2013/06/08(土) 15:52:08
>>693
個人の自己満足設定なのでいくらでも変更して貰って構いませんが…

スペサルタイトを博士が、デマントイドを玉ちゃんが持っていました。能力は変わっていません。
浅草キッドは、「白と黒の抗争を観察したい」という博士の好奇心を軸に行動していた無所属です。
東京ダイナマイトの能力は石言葉に合わせて決めてしまったため、後付けになりますが、
人間観察に長けた博士&人望の厚いハチミツが「洗脳」の能力を持つのはアリかと。
「忠実」「疾走」の石言葉も、たけしを慕うオフィス北野の芸人に相応しいのかもしれません。
石が女か!wというツッコミを頂きましたが、男臭い事務所の石が女でもいいじゃないか!w

「限りなく〜」の導入で、浅草キッドが東京ダイナマイトに石を渡すシーンを
入れようかと考えたのですが、玉ちゃんの口調・性格をよく知らないため省略してしまいました。
ちなみに、最後の一文はコンビの吉本移籍に掛けていたりします。

695名無しさん:2013/06/08(土) 18:55:24
>>694
おお、お返事どうもです
ちなみにあくまで当方の私案ですが、スピワの石は前はX−GUNの物だったとか
思案しとります、詳しくは進行会議スレ参照ですが
西尾がアパタイトでボキャ天のデブフレーズかオバサンダーで能力発動、
嵯峨根がシトリンで「最初はグー、シャンパンポーン!」で石の光を噴水のように
放って当たった物をしばらく(酔っ払わせて)無力化するとか
ただX−GUNは石との波長のシンクロ率が低めで、そのため石の力を完全には
引き出せていない、みたいな感じかなと
んで石とのシンクロ率が歴代の持ち主中最高なのが今の持ち主であるスピワでは、とか
またアパタイトの人格は穏やかで優しい女性、シトリンの人格はやんちゃでやや口数の
多い少年とかイメージしとります
さらに廃棄小説スレ>>388-390を踏まえてスピワvs東ダイみたいな話もできないかなとか思ってみたり
ハチミツが黒に入った事でなく腰に持病あるのに無茶する事を怒る小沢とかw
んでその中で、>>693に出てきた「黒き鎖」と「鎖を解く者」という表現使えたらなあ、とか
またその話に出てくる小沢の友達ってのは「東京花火」を踏まえて次長課長の井上では、とか
解釈しております

「俺には見えるよ、2人をどこかに繋ぎ止めている黒い鎖が。その鎖、必ず俺が解いてあげるから。
…いつになるかはわからないけど」

696名無しさん:2013/08/16(金) 16:01:31
ちょっとダンディな小沢さんが描きたくて書いた短編です

「お節介焼きのスピードワゴン」

2005年1月、とある冬の夜の路地の中。
一人の若手芸人が、数人の男たちに追いかけられて懸命に逃げていた。
石を巡る2つの芸人たちの組織─白ユニットと黒ユニットの抗争が本格化し、
双方とも勢力の拡大に火花を散らしていたその頃である。
この若手芸人もまた力ある石を手にしていて、それを追っているのは黒の側の者。
双方とも白い息を吐きながら、懸命に走っている。狙いは彼の石か彼を味方に
引き込む事かは定かではないが、とにかくこの若手を追っているのだった。
そんな様子がしばらく続いたその時、突然路地の片側の壁に青緑の光が迸ったかと思うと
そこから数十本はあろうかという材木が現れ、道をふさぐように倒れかかってきた。
「うわっ !? 」
「なんだこれは!」
追われていた若手は前へ、追っていた黒の者は後ろへ、それぞれ飛び退いて、広がった
両者の間に材木の束は崩れ落ちる。そして轟音と共にもうもうと土埃を舞い上げ、両者の間の
視界を完全に遮った。その様子に気づいた若手はすぐに前方へ駆け出し、少し先に見える
横道を見つけるとそこを目指す。
(なんかよくわからないけど、今のうちに奴らを撒くんだ!)
そして横道に駆け込んでやや奥まで行ったところで足を止め、両手を膝に置いて乱れた呼吸を
整えていると、前方から掠れた声がした。
「危ない所だったね」
その声のした方を見ると、腕組みをした人影が壁にもたれかかっている。
「あ、あなたは…小沢さん !? 」

697名無しさん:2013/08/16(金) 16:02:29
その人影、すなわち掠れた声の主は、スピードワゴンの小沢一敬だった。
「でも、俺が来たからにはもう大丈夫」
小沢はそう言って静かに壁から離れ、若手の方へ向き直る。
「じゃあ、さっき倒れてきた材木は…」
「そう、俺の能力で出したの」
若手の問いに、小沢は微笑みつつ返す。一方路地の方からは、かの追っ手たちが見失った
目標を懸命に捜している様子が伝わってくる。
「くそ、どこへ行った !? 」
「しらみつぶしに捜せ!横道も片っ端から当たるんだ!」
「追っ手はまだその辺にいるようだな、ちょっと待ってて」
その様子に気づいた小沢は若手に一言告げ、路地の方へ進んでいって様子を確認すると、
おもむろに言霊を紡ぎ指を鳴らす。
「そんな事より、踊らない?」
すると路地の両側の壁に青緑の光が迸り、次の瞬間にはいくつもの横道がズラリと
並ぶように現れた。
「な、なんだこりゃあ !? 道が増えたぞ !? 」
「ええい、こうなったら一つずつ徹底的に捜せ!なんとしても捕まえるんだ!」

698名無しさん:2013/08/16(金) 16:05:51
明らかに混乱し、動揺している追っ手たちの声に続き、壁にぶつかる音や短い悲鳴が
立て続けに聞こえてくる。今現れた横道の大半は壁の上に映し出されたただの映像
なのだから、入ろうとすれば壁にぶつかるのは当然な訳で。
小沢はその様子を見届けると若手の下に戻り、告げる。
「これで当分は追ってこれないだろうね。今のうちにここを離れるとしようか。それじゃ…
 そんな事よりパーティ抜け出さない?」
指を鳴らす音がしたかと思うと2人の姿は青緑の光と共にその場からかき消えた。

次の瞬間には、2人はその若手の自宅の前に立っていた。
「あ、ここは俺の家 !? わざわざ送り届けてくれたんですか !? 助けてくれたばかりか
 こんな事まで…本当にありがとうございます!」
「お礼ならいいよ」
「でも…小沢さんは石を悪い事に使う奴らと戦ってる、白いユニットの中核にいるほどの
 人なんでしょう?そんな人が、なんで俺みたいな無名のペーペーをわざわざ助けて
 くれるんですか?」
「俺はただ…黒の犠牲者を、石のせいで苦しむ人を、これ以上増やしたくない。それだけだよ」
「小沢さん…」
そう語る小沢の表情は、穏やかに微笑みつつもどこか切なげで辛そうに見えた。

699名無しさん:2013/08/16(金) 16:07:30
聞いた所では、その若手は最近石を手にしたばかりで、能力についてもハッキリとは把握
できていないらしい。2つのユニットの事や小沢の立場も、話として聞いていたという。
「なるほどね…でも、黒の奴らがお前を襲ったという事は、その石が強い力を持ってるか
 黒が『役に立つ』と見たって事だ。黒の奴らはあの手この手で勢力を広げようとしてる…
 今黒に属してる人の中には、脅されたり騙されたり、無理矢理黒い欠片を飲まされたりして
 引き込まれた人もいっぱいいるんだ。それでたくさんの人が辛い目に遭ってる…」
小沢は悲しげに語る。
「だから俺は白の先頭に立って黒の奴らと戦ってるんだ。黒の犠牲者を、石のせいで苦しむ
 人を、これ以上増やさないために。そして俺の石もそう願ってる」
「……」
「俺としてはできる限り助けてあげたいけど、手が回らない事だってあるし、だから自分自身
 でもこれから黒の奴らには気をつけてほしいんだ。わかった?」
「はい…」
「じゃ、俺はこれで。そんな事よりパーティ抜け出さない?」
その言葉と指を鳴らす音を残し、小沢の姿は青緑の光と共に消える。小沢が去った後の
玄関前の空間を、その若手はしばらくの間何か考え込むような顔で眺めるのだった。

700名無しさん:2013/08/16(金) 16:10:58
「ただいまー」
一仕事終えた小沢は、相方の井戸田が待つとあるテレビ局の楽屋へ戻っていた。
「いつ戻ってくるかヒヤヒヤしながら待ってたよもう。本番までそんなに時間ないのに
 いきなりどっか行っちまうんだもん。ま、どうせまた黒の奴らに襲われた奴を
 助けに行ってたんだろうけどさ」
そう言う井戸田の言葉からは、どこかある種の諦めみたいな物が感じられる。
「あ、わかる?」
「わかるよ、もう毎度の事なんだから。小沢さんって本っ当に、困ってる奴をほっとけないんだよな」
「だって俺はほら、『お節介焼きのスピードワゴン』だからさ」
「言うと思ったよ、それ」
そんな2人の他愛ない会話が流れる楽屋の一時。この一時が少しでも長く続いてくれる事を、
小沢は内心願うのだった。


以上です、感想お待ちしてます

701名無しさん:2013/08/27(火) 20:02:49
「ブルースウィートハート」

その夜、小沢は夢を見ていた。
彼は緑がかった青い光に満たされた空間にいて、そこで何かが語りかけてくる。
その声は、穏やかで優しい女性の声だった。
”お願い、私に力を貸して。今、石を濁らせそれを手にした人を狂わせる、『黒い力』が
 動き出している…それを食い止めなければならないの”
「黒い力?」
”そう、その力は石の力を暴走させ、その持ち主の心を歪ませ狂わせる恐ろしい力。
 ここで食い止めなければ、多くの石や人たちが傷つき苦しむ事になるわ。私はその黒い力
 から他の石たちや人々を守りたい。そのためにはあなたの協力が必要なの”
「俺の?」
”私の力を使って、黒い力に呑まれた石たちと人々を助けてあげて。あなたならきっとできるわ…
 優しく強い心を持ったあなたなら、必ず”
「え、ちょっと待って!あなたは一体…」
”これだけは忘れないで。私はいつもあなたのそばにいるから…”

ふと目が覚めると、そこは自室のベッドの中。いつも通りの静かな朝だった。
「なんか妙な夢だったな…黒い力とかなんとか」
起き上がって何気なく枕元に目を向けると、そこに置かれたアパタイトは朝日の光を受けて
キラキラと光り輝いている。それを見て、先ほどの夢の事に思い至る。

702名無しさん:2013/08/27(火) 20:07:47
そうだ、夢の中で見た光の色はこの石の色と同じ─という事は、あの声は今目の前にある
アパタイトの声なのだろうか。
「そうだ、そういえば…」
小沢は、昨日くりぃむしちゅーの二人から聞いた話を思い出す。
白と黒のユニットの話、石の力に呑まれたり石の力を悪用する者がいるという話。夢の中の
声が言った「黒い力」は、それらと関わっているのだろうか。そうだ、きっとそうに違いない─
小沢はおもむろに石を手に取り、語りかける。
「あの声はあなたの声だったんですね?あなたの想い、しっかりと受け止めました。
 これから一緒に戦いましょう…黒い力から全ての石とその持ち主を守るために」

青く優しき力を持つ石と、その想いに応えた優しく強い心を持つ芸人。
黒に染まった石を封印する白の側に立つ者が、また新たに生まれた瞬間だった─


小沢が白の側に立つ経緯の話、軽く書いてみた
もし「ここから話を膨らませたい」とか希望する方がいるなら加筆・改変して
いただいても構いませんよー

703名無しさん:2013/09/27(金) 17:24:10
★ある時の白ユニット集会
「…これで、俺からは以上です。あと皆さんも、引き続き黒のメンバーや能力に関する
 情報がありましたら俺やくりぃむまで報告してください。では上田さん、最後お願いします」
白ユニットの各メンバーがそれぞれの状況の報告や今後の方針などについて話し合う集会の
最後、一通り話し終えた「作戦参謀」こと小沢が席に着くと同時に、上田が締めの挨拶にかかる。
「取りあえず今回の集会はこれでお開きだな、後はみんな楽しく飲もうか」
その言葉が終わるや否や集会は親睦の場となり、あちこちから歓声が飛ぶ。
「よっ、待ってましたああ!」
「ヒューヒュー!」
この集会の舞台となっているのは、メンバーの知り合いが経営しているそこそこ大きな居酒屋。
今回は特別にこの店をまるまる一店貸し切りにして、白ユニットの集会を行っているのだった。
いつぞやの黒ユニット集会の舞台となった神楽坂の高級料亭に比べればだいぶん質素で庶民的
ではあるが、ある意味今や一つの目的の下に強い絆で結ばれた彼らにはふさわしいのかも知れない。
乾杯の合図から程なくして場内には楽しげな声が満ち溢れ、時折怒声や呂律の回らない様子の
声もする。テーブルは酒類・ソフトドリンクの瓶やら注文した料理やら、さらに厨房に飛び入りして
きた腕に覚えのあるメンバーの手料理で埋め尽くされ、皆それらに舌鼓を打った。その様子に
感慨深げなのはハイキングウォーキングの松田だった。
「白の皆さんは本当にいつも和気藹々としてて…これが人間らしい本来の姿ですよね」
「ああそうか、お前黒の集会も見てたんだっけな」
松田の語る所によれば、黒ユニットの集会に来ていた者たちは多くが目は虚ろで本人の意思が
働いているのかさえわからない、ただ命じられる事を淡々とこなす操り人形のような状態だったり、
自我を残していて時折怯えたりしながらも洗脳された相方や友人の行動に同調していたりとそれは
悲惨な様子だったという。一見楽しく盛り上がっているように見えてもどこか機械的で操られた
わざとらしさが垣間見え、松田は自我を持ってはいたが生きた心地がせず、普段口に入る事は
ないような高級な料理や酒を味わう余裕もなかったのだった。その話を聞いた白のメンバーたち
は、皆青くなって震え上がったり今この場にいられる事を安堵したりといった反応を見せた。

「まあ、ここがいっぱしの組織らしくなったのもお前らのおかげだろうな」
小沢と井戸田にそう語るのは劇団ひとりだった。
彼は前に有田の主導で行われた事実上最初の白ユニットの集会に参加していたのだが、
その時は実のある話もほとんどできないまま実質ただの飲み会と化してしまったという。
「まあ中核があんな人たちだし仕方ないかなと思ってたんだけどさ、でもやっぱ緩すぎだよな。
 『ここらへんは黒を見習ってほしい』と思ったもん」
「……」
二人の表情が若干引きつったように見えたのは気のせいだろうか。
とその時、けたたましい物音と怒声、それに石の能力によると思われる雷の音が聞こえた。
「あーっ、喧嘩はダメっ!」
血相を変えて仲裁にすっ飛んでいく小沢と井戸田の後ろ姿を見ながら、ひとりは思う。
(確かにだいぶ組織らしくなったけど、やっぱ根っこは変わってねーのな…いいんだか悪いんだか)
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―繋がれし者と鎖を解く者―
ハチミツ「小沢さん…?」
小沢「俺には見えるよ、二人をどこかに繋ぎ止めている黒い鎖が。その鎖、必ず俺が解いて
    あげるから。…いつになるかはわからないけど」
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渡部「いつもいつも悪いな、俺らの能力がもっと直接戦闘に向いた物だったらお前らにこんなに
    負担かけずにすむのに」
井戸田「それは言わねー約束だろ?メンバーそれぞれが持ってる物を存分に活かしてお互いの
     足りない所を補い合う、それが俺ら白ユニットじゃねーか」
児嶋「ほら、例のビッキーズの飴だ。オザが頑張ってるから早く行ってやれ」
井戸田「お、これはありがてえ!じゃあもう一頑張りしてくっか!」
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小木「もともとこの争いに関わる気はなかったが…矢作があんな目に遭わされたとなっては話は
    別だ。黒の連中を、俺は絶対許さない」
秋山「はなわを狂わせ、俺らはねトびメンバーの絆を傷つけた事もな」

704名無しさん:2013/09/30(月) 17:09:04
―作戦参謀―
小沢の話は続く。
「黒に対抗するには、ただメンバーの数を増やすだけでは不充分なんです。それぞれがもっと
 石の力を引き出せるよう努力する、それが不可欠だと俺は思います。黒の方は人の負の
 感情を増幅し、石の力を暴走させる黒い欠片を持ってます。それに対抗するには、ここに
 いる皆さんが仲間を信じる、自分と自分の石の力を信じる、石の可能性を引き出す、それが
 重要な要素だと思うんです」
話を聞きつつ、井戸田は呟く。
「そういや島田が言ってたっけな、『力は外から得る物じゃなくて自分の内側から自ら
 導き出す物だ』って。自分の持ってる物をどう活かすかを考える…石の事と芸人としての
 あり方って、根っこは一緒なんだな」
黒に属する者の中には、自分の石が戦うのや身を守るのに使えない弱い石だと嘆いたり、
早く自分の使える石が欲しいと焦るあまり「黒に入れば強い力が手に入る」との甘言に乗って
引き込まれた者もかなりの数に上るらしい―ビームがそうだったように。
そういう点に目を向けてみると、号泣が、自分も一度わずかながら興味を持った虫入り琥珀に
手を出した理由がわかろうという物だ。「自分の『存在』を削る」というリスクを冒してでも
相手を有無を言わさず捻じ伏せられる力が欲しい―それがその時の、彼らの心理だったのなら。
そこまで考えて、井戸田は一つ息を吐きつつ顔を上げた。
「潤の石はどっちかというと防御向きだし、俺の石だって様々な形で周りに干渉はできるけど
 基本的に直接攻撃する力はありません。それでも自分なりに工夫を重ねる事でいろんな形で
 石の力を引き出し、暴走した石に呑まれた人や石を悪用する人とも互角に戦う事ができたん
 です。皆さんの石にも、きっとそれだけの物はあると思うんです」
そう、スピードワゴンは最初に石を手にした時から自分の石の力をどう活かすかを考え、実践
し、少しずつその可能性を引き出してきた。「石の力を引き出せるかは使い手次第」そう意識
せずとも、彼らは「自分の持つ物をどう活かすかを考える」理念を石の扱いにおいても応用
し、実際に効果を上げてきたのだった。この辺は、小沢の旺盛な探求心の賜物でもあった。
そして小沢はさらに言う。
「有田さん、上田さん、お願いがあります。俺はこうした石の可能性を引き出す手助けがしたい
 んです、黒と戦うために。つまり…白の皆さんの能力を解析し、能力を最大限に引き出せる
 連携や使い道や役割を考案する、そういう役割をしたいんです。底知れない規模と力を持つ
 黒ユニットと戦うためには、そうした役割が絶対に必要だと思うんです」
その発言に、その場の全員が目を丸くした。これまでずっと他の者を巻き込みたくないがために
一人で、あるいは相方と二人だけで戦い続けてきた小沢が、今は他の者たちと積極的に関わ
ろうとしているのである。こうした行動も、今この場に来て設楽の事を他の白のメンバーに教えた
のも、「これ以上犠牲者を出さないように黒の侵攻を止める」という決断による物だった。
また草野球チームの監督もやっている自分ならこうした人選や起用のノウハウも持ち合わせて
いるから、この役割もきっとうまくできるはずという思いもあったのだった。
しばしの後、上田が口を開いた。
「そうか…お前自身がそう思うならその役割、お前に任せよう。児嶋が言ってたけど、お前は
 麻雀やってても自分だけでなくその時の対局者全員の大まかな配牌や流れを、見て覚えて
 られるらしいからな。黒の奴らは今聞いた設楽を含めて頭のいい奴が多いようなんだが、お前
 のそれだけの記憶力や観察力なら、奴らに対抗できるかも知れん…ま、とにかく頼むぞ」
「はい…ありがとうございます」
その言葉と共に小沢は席に着く。

これが後に知られる「白ユニットの作戦参謀」誕生の瞬間だった―。

705名無しさん:2013/09/30(月) 17:10:19
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緊急集会の後、渡部は小沢と井戸田を呼び、話し始めた。
「俺、自分の石の力に気づいた時から時々能力の訓練してたんだよ、いろんな人に同調して。
 少しでも石の可能性を引き出そうと思ってさ。その結果、わずかながら五感だけでなく心の中も
 見れるようになった」
「どうしてそんな事を?」
小沢が驚いて問う。
「その時から思ってたんだよ、『いつかこの力が必要になる時が来る』って。今思えばこれは
 決して思い過ごしなんかじゃなかったんだ。そしてその中で統に同調する機会があってさ、
 そこであいつはラーメンズの小林と話してた。で、話の中に『説得』とか『シナリオ』ってな
 単語が出てきたんだよ」
「え、まさか…それって…!」
次に驚きの声を上げたのは井戸田だ。
「そう、その時は何の事かよくわからなかった。でもさっきのお前の話で全てつながったよ。
 『説得』とか『シナリオ』ってのは、あいつらの能力の事だったんだ」
「『説得』は設楽さんの能力だから…じゃあ『シナリオ』はコバケンさんの?そういや彼って、
 コントの脚本とか書いたりしてるからね」
「うん、たぶんそうだろうな、あいつの能力は『シナリオ』とか『脚本』にまつわる物なんだろう。
 それでこれはここだけの話なんだが…あいつが能力とかの件で統と話してたって事は…」
「…!」
「たぶん、小林も黒の幹部じゃないかと思うんだ。まだ断言はできないけど」
ここまで話して、渡部はふと思う。目の前の二人は、前に自分の「石の声」を聞いた事があった
という。ひょっとして、これまでに何度か接した「もう一人の自分」の正体は、自分の石・クリアクォーツ
の声だったのではないか?と。
(あれが俺の石の声だとしたら、ずいぶん慎重というか心配性なんだな、あれは…)
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(黒の誰か)「お前がそんな目に遭うのもみんなそいつのせいだ、いつも損な役回りばっかりだろ?」
井戸田「どんな目に遭ったっていい!俺は小沢さんと一緒にいたいんだ!」
小沢「それが潤の優しさだ、相方の俺が一番わかってる!」
(黒の誰か)「わかってる?一人ぼっちのお前に何がわかる?仲間など見捨てて逃げればいいのに」
小沢「俺は決して逃げないし、諦めないし、誰も見捨てたりしない!」
井戸田「小沢さんは一人じゃない、俺もみんなもいる!一人ぼっちになんか、絶対にさせねえよ!」
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「あいつらの事、心配か?アパタイトよ」
”…ええ、確かに心配だったわ”
かつて自分と共に戦った石と、西尾は話していた。
”でも、あの人は一人じゃない”
「そう、俺らの時とは違う。あいつらは幸せや、絆ほど強い力はないからな」
”止めようとは思わない?”
「思わんな、あいつらが望んだ事やから。今度は俺らが見守る番や」
”それなら私は…『彼』の相手をする。あの時のあなたと相方さんのように”
そう語る石の声に、西尾はそっと微笑みかけた。
「そうか。そうやな、あいつらに託そう、絆の光と希望の光を」

706名無しさん:2013/09/30(月) 17:11:53
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―闇の鎖を焼く太陽―
シトリンの光の照り返しの中、井戸田は静かに語りかける。
「この輝きは太陽の光だ。太陽の光はこの世のあらゆる物に分け隔てなく光とぬくもりを与える
 もんだ。だから俺も、この輝きでお前らに勇気と希望を与えてやる。自分の意志で黒の鎖を
 断ち切る勇気と、黒の支配から逃れて自由の身になれるという希望をな」
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―処刑人―
「出番だ、パニッシャー。今度はこいつだ」
「…はい…」
設楽の言葉に応じて抑揚のない声で返事を返すのはどことなく地味な風体をした若い女芸人。
人形のような生気のない表情、鈍く光る虚ろな瞳。完全に自我を奪われ「黒の操り人形」と
なっているのは間違いないだろう。その手に握られた石―天然ガラスの一種であるリビアングラス
が黒く濁った輝きを放つと、そこから黒いローブを纏った小ぶりな死神が現れ、目的の相手に
憑くべく飛び去っていく。なんらかの失策や造反を働いたと思われる、その相手に裁きを下すべく。

707名無しさん:2013/10/13(日) 19:40:02
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西尾「俺の考えが正しいなら、石ってもんは波長の合う芸人に共鳴して導かれ、その芸人の物
    になる。失くしても捨てても自力で持ち主の下へ帰ってくる、『つながり』が切れない限り
    はな。前に俺らが石の記憶を失くした事で自分の石との『つながり』は切れ、後になって
    その石はお前らの物になった…よりふさわしい持ち主を、石自身が見つけたんやな」
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小沢「俺は誰も傷つけたくない。みんなを守れればそれでいい」
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―月の虜―
「川島はどこや!川島をどこへやった !? 」
田村の怒りに満ちた声が響く。
「眠ったらあかん、石に呑まれたらあかん!諦めるな、自分をしっかり持つんや!」
礼二が懸命に呼びかける。
「お前が石の力に溺れたら何もかも消されてまうんやで、お前の大切なもんも何もかもや!
 それでもええんか !? はよ目覚めぇや、そうすれば…!」
そうすれば、踏みとどまれる、手遅れになる前に。「自分の嫌いな物を全て消し去ってくれる」という
ムーンストーンの見せる甘い夢から目を覚まして、強い心で石の力を制御するんだ―陣内は
おぼろげな意識の中、大切な仲間たちの声を聞いた。
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―抜擢―
その石との戦いでキーマンとして小沢が選んだのは、アンガールズの二人だった。
石の力が持ち主の感情の高まりに応じて増大するならば、感情を鎮めれば力も弱まり、
封印しやすくなるはず―そう考えたのだ。そしてそれに適した能力を持つとして選ばれたのが、
他でもない彼らだったのである。
「でも俺の力って、相手の方が強いと自分に跳ね返ってきちゃうんですよー」
「それにあんなの、近づくのさえ難しそうだし…」
「だから自分と自分の石を信じるんだ。『必ずあれを抑える』という強い想いを以て当たれば
 負ける事はないはず。いざとなったら俺やみんなも援護するから」
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―決着の後で―
床に横たわる設楽は、若干荒い息の中で言う。
「オザ、俺の負けだ。お前が正しかったのかも知れん…。すまんな…俺は様々な人を苦しめ、
 傷つけ、迷惑をかけた」
「あなたはただ自分の信念を貫いただけなんでしょう?それは俺だって…同じなんですから…」
傍らに腰を下ろし答える小沢だったが、たちまち声は潤み、幾筋もの熱い流れが頬を伝い始める。
その隣の井戸田も涙をこらえている様子だ。
「お前ら…こんな俺のために涙を流してくれるのか?俺が憎くないのか?」
「そんな、憎いだなんて…あなただって…苦しかったんでしょう?今までずっと…」
「あんた、日村さんを守りたかったんだろ?『傷つくのは、泥かぶるのは自分だけでいい』って思って
 たんだろ?それなら小沢さんと一緒だよ」
小沢は静かに設楽の手を取り、両手でそっと包むように握った。その感触に、設楽は短く心中を語る。
「これが人の絆のぬくもりというヤツか…しばらく忘れていたよ…」
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708名無しさん:2013/10/13(日) 19:41:33
―秘密基地―
仕事などで顔を合わせる機会も多いとはいえ、周囲の目をはばからず石の事やユニットの事を
話せる場所がないのもまた事実であった。そこでくりぃむらの主導で白ユニットとしての活動拠点
を設ける事になり、都内の近代的なアパート一軒を丸々借り切って「秘密基地」としたのである。
表向きにはネタ作りや稽古の場としてあり、各部屋には質素ながら炊事・洗濯・休息・沐浴と
いった生活のできる場が設けられ、うち一室は各自の能力を磨くためのトレーニングルームと
された。また負傷者が出た時のために救急箱や医薬品の類も置かれ、そして全体は白の
メンバーの力を結集した結界で覆われ、黒い力を持つ者を寄せつけないようにされていた。
また関西にも、大阪市内にこれと同規模の秘密基地を設ける予定となっていた。
自分たちの秘密基地の完成に、誰もが大なり小なり持っているヒーロー願望や童心を
くすぐられた白のメンバーたちは口々に声を上げる。
「なんかますますヒーローっぽくなってきたんじゃね?」
「かっこいいよな、秘密基地って!」
そんな無邪気な声をよそに、くりぃむの二人は別な会話を交わす。
「これで思ったんだけどさ、黒の方にはこういう基地みたいなのってあるのかねえ」
「小沢たちの情報を始め断片的になんだが、いろんな話は出てきてるな。なんでも高級旅館の
 一フロアを貸し切りにして拠点にしてるんだとか。今をときめく売れっ子の芸人とか、一度は
 仕事を頼みたいと思わせるような構成作家とか、俺らが仕事で共演する事もままならないような
 大物芸人とか、そういう人たちを軽く洗脳してスポンサーにしてるらしいぞ。その財力で旅館を
 借り切ってそこの仲居や従業員なんかも一時的に洗脳して、グラビアモデルの女の子なんかも
 連れてきて身の回りの世話とかさせてるって。そのスポンサーになった人たちには『旅館を借り
 切り若手やスタッフを楽しく豪遊させてやった』ってな記憶しか残らないし、仲居や従業員たち
 にも『いつも利用してくれている常連客』程度の記憶しか残らないから、情報統制も完璧と」
「え、なんだよそれ!俺らよりずっと豪華じゃねーか!」
有田の脳裏に真っ先に浮かんだのは「酒池肉林」という単語だった。
上田は内心「突っ込む所そこかよ…」とぼやきつつも話を続ける。
「で、その旅館てーのがまだどこなのか特定できてないんだよな、情報量が少なすぎて。おそらく
 は黒い欠片を生み出す『本体』に当たる物もそこに潜伏してる可能性が高いと思うんだ。そして
 芸人以外の奴に持たせる熔錬水晶の指輪を作ってる所もどこかにあるはずなんだが」

709名無しさん:2013/10/15(火) 17:27:11
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不思議な力を持った「石」。
それを巡って、「白いユニット」と「黒いユニット」が対立している、という程度の事は
彼らも知っていた。ただ、自分たちはどちらに味方するつもりもない。
石を持つ者として、取りあえず降りかかる火の粉は払わねばならないと襲ってくる者には
立ち向かうが、それ以上の事はしない。この苛烈な争いになるべく関わらないようにして
己の本業に専念したい、それが彼らの思いだった。
白にも黒にも入らない―それが、二人して決めた雨上がり決死隊の立場だった。
そう、ずっとそのつもりだった、初めのうちは。

だが―この間の一連の出来事が、彼らの意識を変えた。
ペナルティのヒデに襲われて石を濁らされ、その相方のワッキーの力に救われた事。
そのヒデもまた、黒い欠片に思考を操作され自身の「黒い感情」を引き出された犠牲者だった事。
欠片の力から解放されたヒデが、自身の罪を償うべく率先して黒いユニットと戦うと誓った事。
そして、事情を知る小沢が、「ヒデさんを許してあげてほしい」と懇願してきた事―

「今、何考えとん?」
最初に口を開いたのは蛍原だった。
「オザの事や。あいつ、あんな一生懸命やっとんのなって」
「そやなあ。それ見ると、俺らこれでええんかなって気になった」
そう、石を持つ者の中には率先して黒いユニットと戦おうとしている者が確かにいた。
それは二人もよく知る、可愛がっている後輩。彼らは自ら渦中に身を投じてでも、例え周りを
敵に回そうとも、平穏で一生懸命バカができる日々を取り戻そうとしている―
そんな一生懸命な者たちがいるのに、自分たちはこのままでいいのか?
「なあ…オザの力になってやりたいと思わへんか?あんなに頑張っとるあいつの」
「それって白に入るっちゅう事?」
「ま、そういう事になるなあ。俺らの力がどこまで役に立つかはわからんけど、取りあえず何か
 できる事はあると思うんや、あいつのためにな」
「そやな。こっちでもたむけんとかチュートあたりが動いてるって話やし、そいつらに話してみるか?」

こうして、雨上がり決死隊もまたこの争いに終止符を打つべく動き出した。
一部を除き烏合の衆同然だった白いユニットの様相は、大きく変わり始めていたのである―
「蒼き絆の光」を手にした一人の芸人によって。

710名無しさん:2013/10/18(金) 19:45:18
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小沢「確かに俺は痛いのや怖いのは嫌だよ。でも…逃げるのはもっと嫌だ」
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小沢「俺の考えは甘いかも知れない。でも俺は、あの石の持ち主も、他の人もみんな助けたい
    んだ。誰一人見捨てはしない、見捨てたくない」
井戸田「それでこそ小沢さんだよな、その優しさが弱さだとしても俺は小沢さんについてくよ」
小沢「…ありがとう。潤が俺を必要としてくれているなら、俺はどんな痛みも苦労も乗り越えられ
    る…そんな気がするんだ」
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―誘惑―
黒く濁った手の中の石が、彼に向かって語りかけてくる。
”お前は力が欲しいか?『黒いユニット』に来ればお前の望む力が手に入るぞ”
「…力?黒いユニット?」
”そうだ、敵対する者を叩きのめし捻じ伏せる力だ。お前は弱い自分が嫌なんだろう?
 情けないんだろう?強くなりたいんだろう?”
「…そうだ。俺は強い力が欲しい…戦える力が欲しい…」
”ならば今から俺の言う通りにすればいい。『黒い力』に身を任せるなら、お前には素晴らしい
 力が与えられるだろう…”
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―闇を払う漆黒の影―
「ああっ !? 」
その芸人が影の中に吸い込まれるという思いがけない光景に、小沢と井戸田は思わず叫ぶ。
だが川島は冷静に返した。
「大丈夫や、こいつの黒い力を取り除いたってるだけやねん」
少し経つとその芸人はポンと影から吐き出されてきた。意識を失っているが命に別状はないよう
で、確かめてみるとつい今し方まで感じられた「黒の気配」も消え失せている。
「俺は今まで何度かこのモリオンの強大な力に呑まれ、自我を失くしてもうた事があった。それに
 目ぇつけた黒の奴らに引き込まれそうになったりもした。でもこの力を、今ようやく完全に物に
 できたんや…田村の助けもあってな」
「川島くん…」
そういえばモリオンという石は、魔除けや邪気祓いの効果がある石の中でも最強の力を持つと
いう。その強い力故にしばしば持ち主の心を呑み込み暴走する危険性があるというのは、石の
使い手ならば誰もが理解できる事だろう。そんな力を、川島は様々な苦難の末に完全に己の
制御下に置く事ができたというのだ。
「そう、それでこの石の真の力をも引き出す事ができた。人を影に呑み込む事でその黒い力を
 清めるという…浄化の力や」

711名無しさん:2014/01/27(月) 19:29:36
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―歴戦の勇士―
「それよりお前ら、手当てしなくて大丈夫か?」
心配する上田の言葉に、井戸田は渡されたウェットティッシュで額の擦り傷から流れる血を拭い
ながら若干荒い息遣いで応える。
「大丈夫っすよこれくらい、まずはあれを片づける方が先でしょ」
小沢の方も、やはり頬の切り傷と口元に滲む血をウェットティッシュで拭いつつ無言で頷く。
(痛いけどみんなのために頑張らなきゃ…今ここには他にまともに戦える人がいないんだから)
口中にほのかに広がる鉄っぽい味を、そんな思いと共に飲み込む。
これまでにない強大な石の暴走との対戦で、二人は満身創痍と言っていい状態だった。
傷はいずれも小さな擦り傷や切り傷や打ち身程度で深い物ではないが、体のそこかしこから
血を滲ませている姿はやはり見ていて痛々しい。しかしそれでも二人の闘志は全く衰えを
知らず、一息ついた所で再び相手に向かうべく駆けだしていった。そんな後ろ姿に、有田が呟く。
「すげーなああいつら…あれだけのもんにも一歩も引かずに向かってっぞ」
それに答えるのは上田だ。
「ああ、俺の知る限りあいつらは白の中でも一番多くの相手と戦ってきてる…あんな風に暴走
 した石とか、化け物みたいに強い相手とも何度も渡り合ってるんだろうな。そんな経験がある
 から、今でもいつも率先してあんな強い相手にも向かっていけるんだろう」
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(黒の誰か)「ふん、そんな子供のオモチャみたいな能力しか持たないお前に何ができる?」
劇団ひとり「こんな俺にだってできる事は必ずある…小沢たちがいつも言ってた!」
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―禁断の石―
力ある石の大半は自我や意志と呼ばれる物を持っているが、中にはあまりにも力が強大であったり
意志が邪悪・凶悪な物だったりという理由で黒ユニットの者でさえ恐れをなし、勝手に使用されない
よう厳重な管理下に置いている物もあるという。そうした物は強大な力を以て持ち主に選んだ者の
心身を支配し、自分の意のままに動く操り人形にしてしまう事が多く、それ故「禁断の石」と称され
ているのである。他の石も力が暴走した時などに持ち主の意識を呑み込んでしまう事があるが、
この「禁断の石」は(黒い欠片の影響如何を問わずに)特にそうした現象を引き起こす危険性の
高い石なのである。もちろん、持ち主の精神が黒い欠片の働きで妬み・憎しみなどの負の感情を
強められていれば、より強く石の力が引き出されるのは言うまでもない。
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「もしお前が石の力で他人を傷つけたりしたら、その時はどんな手使ってでもお前を倒しに行く」
石の力に目覚めた芸人たちに対していつも必ず言うその言葉を、上田はその時だけはなぜか
言わなかった。目の前の小沢は既に石の力に目覚めていはたが、その姿には石に呑まれている
ような危険さは感じられず、またアパタイトから伝わる波動にはどこか穏やかで、優しさや慈愛と
いった物が感じられたからだ。そして何より、小沢は「石の力を悪用する者がいる」といった話を
聞いたその直後に、「こんな魔法みたいな力を悪い奴に渡す事はできない」と力強く言い切った。
それを見て上田は確信したのだ―「こいつなら大丈夫だ、少なくとも石を悪用する心配はない」と。
             *             *             *
小沢の覚悟と決意を聞いた井戸田は、シトリンを収めた手を突き出して力強く言い切った。
「なら俺はこの石の力で小沢さんを助ける!一緒に戦う!あいつの事、絶対一人にはさせねえ!」
まだ自分の石の力がどんな物なのかもわからないうちに、である。石の力は千差万別だ―戦う
どころか身を守る事すらままならない弱い物かも知れないし、あるいは見境なく人を傷つけてしまう
ような危険極まりない物かも知れない。それでも井戸田は相方を助けたい、力になりたいと言った。
そこにあるのは「この石はきっと自分たちを助けてくれる」というある種の自信―根拠のない自信と
いえばそうだが、まさに太陽のような明るさやポジティブさを感じさせた。その姿に上田は言う―
「小沢は本当に幸せだよ。お前みたいな奴を相方に持ててな…」

712名無しさん:2014/06/02(月) 16:21:32
2丁拳銃とスピードワゴンは笑金の05年正月特番でコラボユニットやったりしてるので、
その辺踏まえて>>693>>703で出てる「黒の鎖に繋がれた者」と「鎖を解く者」との
話とかやったら面白そうだ
そこで>>706のシーン・小ネタ集にあった「闇の鎖を焼く太陽」のセリフを入れたいな

713名無しさん:2014/08/18(月) 19:33:47
>>689
大谷にとって小沢は芸人になって初めての友達だそうだから、 「大切な友達が石に呑まれて
悪い事をしてるなら、自分が目を覚まさせてやらなければ」との強い使命感に燃えてても
おかしくはなさそうだな
それで自分を庇って傷を負った小沢を見て「目を覚まさなきゃいけないのは俺たちの方
だったんだ」と泣きながら小沢に謝ったりして名

714取扱注意-ある本番前の光景-:2015/11/16(月) 16:08:14
ageついでに、コメディタッチの短編を投下させていただきます。
時期的には、以前の書き込みによると第5次お笑いブームの沈静化と共に白黒抗争が
一段落するとされる、2006〜07年ごろのホリプロライブかラママの楽屋を想定しております。
あと一昨年にはここや他スレにいろいろ短いのを投下しましたが、それらの感想もいただけると
ありがたいです。
-------------------------------------------------------------
「ああああぁぁぁぁ !!! やってもうたああぁぁぁ !!! 」
とあるお笑いライブ本番前の喧噪に満ちた大きな楽屋に、突如女の叫び声が響き渡った。
その声に驚き、一斉に声のした方に目を向ける他の出演者たち。
そこにはスピードワゴンの井戸田潤が放心したように座り込んでおり、そのすぐそばでは
先ほどの叫び声の主であるクワバタオハラのくわばたりえが慌てふためいていた。
「ちょっとどうしたの !? あー!潤!」
そこに駆けつけるなり叫び声を上げたのは、井戸田の相方の小沢一敬だった。
「潤!しっかりして!もうすぐ本番なんだから!」
そう言いつつ井戸田の体を揺すったりしてみるが、井戸田の方は全く反応を示さない。
くわばたはオロオロしながら小沢に事の次第を話す。
「あああの、今潤さんがちょっとした事で他の人と揉めて…それで仲裁せな思ったんやけど、
 うっかりこれしてたの忘れとっててそのまんま潤さんに触ったら…」
そう言ってくわばたは自分の左手中指にはまったチタナイトの指輪を見せる。
相方の小原が持つジンカイトのブローチ共々、ファンからのプレゼントとしてもらった物だという。
この石の能力は、「周りの者の怒りの感情を吸い取り、それを緑の光弾にして撃ち出す」と
いう物だった。そしてこの石に怒りの感情を吸い取られた者は、しばらく放心状態になり
何もできなくなってしまうのだ。この事態には、さすがの小沢も狼狽を隠せなかった。

「どうすんのこれ、本番までもう30分しかないのに!あっそうだ、あれが使えるかも!」
そう言うなり傍らのテーブルに置かれた自分の鞄から小さなポーチを取り出し、そこからさらに
自分の石であるブルーアパタイトを取り出す。そして石を片手に収めてもう片手を井戸田に
向けると、軽く意識を集中させて言霊を紡ぎつつ井戸田に向けた手の指をパチンと鳴らした。
「夜は寝る時間じゃない。愛が目覚める時間だぜ!」
手の中のブルーアパタイトが一瞬緑がかった青い光を放つと、放心状態だった井戸田は
即座に我に返り、何度も瞬きをしたりキョロキョロ周りを見たりし始める。
「あ、あれ…俺今何してた ?? 」
「あーよかったー!一時はどうなるかと思ったよ!気をつけてよ、ホントにもう」
「ごめんなあほんま、次からは気ぃつけるから」

715取扱注意-ある本番前の光景-:2015/11/16(月) 16:09:52
安堵の溜め息と共に石を元通りしまいつつ、小沢は思う。
数年前からだろうか、芸人たちの間に不思議な力を持つ石が出回ってからというものの、
ちょっとした不注意やら何やらで石の力を「暴発」させてしまい、後始末やら場を取り繕う
手間やらで騒動になるといったトラブルがチラホラ起こっていたのだ。
今の件もまた、そうした暴発事故の一つといえる訳で…これが芸人だけの場ならまだしも、
一般人の目にも触れるライブやテレビでの本番中に起こってしまったら目も当てられない。
(まあ、幸いにも俺たちの石は暴発の危険は少ないけどね…でも油断は禁物だな)
そう、スピードワゴンの2人の石は共にあるキーワードによって力を発動させる性質であるため
暴発の危険は少ないが、それでもうっかり石を持ったままネタをやってしまったらと
思うと気が気でない。小沢は改めて、石の取り扱いには気をつけねばと肝に銘じた。
このちょっとしたトラブルはあったものの、ライブの方は滞りなく開始を迎える事ができたのだった。

2時間後、ライブは大盛況のうちに幕を下ろし、出演者たちはこの後の打ち上げ会に向かうべく
楽屋で着替えやら何やらに入り、楽屋内は楽しげな話し声に満ちていた。その中心にいたのは
スピードワゴンの2人で、周りには若手や中堅など多数の芸人がいる。
「それでさぁ、その時の動きがおっもしろいの。まるでゴキブリみたいでさあ」
「アハハハ、そうなんだー」
その場にはライブのスペシャルゲストとして来ていたさまぁ〜ずもおり、その一人の三村マサカズ
は、自分の石のフローライトを片手で弄びつつ小沢たちの話に加わろうとする。
「おいおい、ゴキブリはねえだろゴキブリは〜」
「ん !? 」
その時、三村の手の中のフローライトが一瞬輝きを放ったのを、井戸田は見逃さなかった。
「ちょっと三村さん、石!」
「へっ !? 」
「うわああああぁぁぁぁぁ !!! 」
「きゃあああぁぁぁぁぁぁ !!! 」
小沢の顔面めがけて飛んできた一匹のゴキブリのせいで、その場がちょっとした惨事になったのは
言うまでもなかった。

END

716名無しさん:2015/11/17(火) 16:46:58
>>714-715
投下乙です。小説練習スレだからきついことも言うよー。
前の投下した短編等についてはトリップがついてなかったから多分この辺の作品群だろうという推測で書きます。
違う人の作品に関する感想が混じってたらごめん。
これからはトリップを付けてくれると助かる。

前に投下された短編はかなり読みづらくて感想を持つまでに至らなかった。目が滑るというか。
あと 人名「セリフ」 という形式はやっちゃだめ。それだけで読む気がなくなる人も多いよ。
それから自分は珊瑚編やファントム編のスピードワゴンが好きだったから
あなたの書くスピードワゴンはキャラが変わりすぎててそれであんまり受け付けなかった。
あと周りの人間がスピワを(特に小沢さんを)持ち上げすぎ称えすぎ。
書き手の嗜好が強く出過ぎて、読み手をシャットアウトする作品になっちゃってたと思う。

でも今回の楽屋編はそういうのがあまり出てなかったし話も面白かったよ。
文章も前のに比べたら上手になってると思う。読みやすくなってる。
まだちょっと説明的な文になってるところがあってテンポを悪くしているので
もっと時間をかけてプロットを練ったり推敲したりしていくといいんじゃないかな。

717名無しさん:2015/11/17(火) 17:17:19
>>716
どうもありがとうございます
当方の場合、「全体のストーリーとかは浮かばないけどこのシーンを書きたい」とか
「この人にこのセリフが似合うだろうな」的な物が多かったので、箇条書き的に
人の目に触れる形にしてみた次第でして
あと人名「セリフ」 という形式についてですが、上記の事情もあって短い内容の中で
誰がどのセリフを言ってるのかをわかりやすくするためにやった訳です
ビデオゲームの会話のあるデモシーンをイメージしていただけたらと思います
まあ当方の脳内のプロットとか大まかな流れみたいな物をお伝えできればと思いまして…

718名無しさん:2015/11/21(土) 01:41:14
>>704
小沢が参謀というのに激しく違和感。
「石の可能性を引き出すために能力を解析して連携や使い道や役割を考案する」というのはいいとしてもそれを小沢ができる気がしない。
小沢はその場での状況判断や対応の能力に優れていると思うけど
参謀に必要なのはどちらかというと「情に流されない冷静な判断力」とか「緻密な作戦立案能力」なわけで。
現時点ではくりぃむが指揮官と参謀を兼ねているからそもそも参謀を立てる必要を感じないけど
どうしてもというなら小沢より渡部でしょ、適性的に。

719名無しさん:2015/11/21(土) 11:17:25
>>718
その辺なんですけど、進行会議スレ>326及び感想スレ>461の内容から発想した物なんですけどね
ブルーアパタイトが古来から「信頼・信念」を示す石とされてた点を踏まえて、
「立場を明確にして戦ってる芸人は意外と少ないし、黒みたいに全体をまとめている
リーダーもいない」という白ユニの欠けたピースがスピワの合流によって埋まり、本格的に
組織としての形を成すようになるという流れをイメージしてたらああいう物ができました
あと小沢は、児嶋の麻雀サイト「こじまーじゃん」によると「記憶力や観察力がとても高く、
自身だけでなくその時の対局者全員の大まかな配牌や流れを記憶している、つまりその場の
全員の状態や心境を把握できている」んだそうで
その辺からある意味適任かなと思った訳なんですよ
この辺については、他の人(特に小蝿さん)の話も聞いてみたいんですけどね

ttp://ginoh-news.blog.so-net.ne.jp/2015-06-28-1

720名無しさん:2015/11/21(土) 12:05:42
まあ、「作戦参謀」という肩書きではありますが、実質的には前線指揮官に近い
位置づけかなと
黒の誰か(設楽?)がそう呼び始めた、みたいな感じでもいいかも知れませんね

あとついでにですが、ピースの過去編について…
ピースの結成は2003年10月だそうなので、設楽(というか黒の枢軸)だけは
一足先に石が覚醒していた、的な感じになるのかな?
原(又吉の前の相方)は設楽の前のソーダライト所持者が黒に引き込んでて(2001年ごろ?)、
それを設楽が何らかの形で知って…みたいな形が自然かなと


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