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【添削】小説練習スレッド【キボンヌ】

708名無しさん:2013/10/13(日) 19:41:33
―秘密基地―
仕事などで顔を合わせる機会も多いとはいえ、周囲の目をはばからず石の事やユニットの事を
話せる場所がないのもまた事実であった。そこでくりぃむらの主導で白ユニットとしての活動拠点
を設ける事になり、都内の近代的なアパート一軒を丸々借り切って「秘密基地」としたのである。
表向きにはネタ作りや稽古の場としてあり、各部屋には質素ながら炊事・洗濯・休息・沐浴と
いった生活のできる場が設けられ、うち一室は各自の能力を磨くためのトレーニングルームと
された。また負傷者が出た時のために救急箱や医薬品の類も置かれ、そして全体は白の
メンバーの力を結集した結界で覆われ、黒い力を持つ者を寄せつけないようにされていた。
また関西にも、大阪市内にこれと同規模の秘密基地を設ける予定となっていた。
自分たちの秘密基地の完成に、誰もが大なり小なり持っているヒーロー願望や童心を
くすぐられた白のメンバーたちは口々に声を上げる。
「なんかますますヒーローっぽくなってきたんじゃね?」
「かっこいいよな、秘密基地って!」
そんな無邪気な声をよそに、くりぃむの二人は別な会話を交わす。
「これで思ったんだけどさ、黒の方にはこういう基地みたいなのってあるのかねえ」
「小沢たちの情報を始め断片的になんだが、いろんな話は出てきてるな。なんでも高級旅館の
 一フロアを貸し切りにして拠点にしてるんだとか。今をときめく売れっ子の芸人とか、一度は
 仕事を頼みたいと思わせるような構成作家とか、俺らが仕事で共演する事もままならないような
 大物芸人とか、そういう人たちを軽く洗脳してスポンサーにしてるらしいぞ。その財力で旅館を
 借り切ってそこの仲居や従業員なんかも一時的に洗脳して、グラビアモデルの女の子なんかも
 連れてきて身の回りの世話とかさせてるって。そのスポンサーになった人たちには『旅館を借り
 切り若手やスタッフを楽しく豪遊させてやった』ってな記憶しか残らないし、仲居や従業員たち
 にも『いつも利用してくれている常連客』程度の記憶しか残らないから、情報統制も完璧と」
「え、なんだよそれ!俺らよりずっと豪華じゃねーか!」
有田の脳裏に真っ先に浮かんだのは「酒池肉林」という単語だった。
上田は内心「突っ込む所そこかよ…」とぼやきつつも話を続ける。
「で、その旅館てーのがまだどこなのか特定できてないんだよな、情報量が少なすぎて。おそらく
 は黒い欠片を生み出す『本体』に当たる物もそこに潜伏してる可能性が高いと思うんだ。そして
 芸人以外の奴に持たせる熔錬水晶の指輪を作ってる所もどこかにあるはずなんだが」


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