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【添削】小説練習スレッド【キボンヌ】
669
:
眠り犬
◆XU22gipAH.
:2013/04/09(火) 17:48:35
意を決した山里の表情に、高野は気付いていた。それでも悠然と構えていられるのは、彼の石の能力と、
何より元来持ち合わせている『自信』のおかげだ。対する山里も、考え無しに高野に向かって歩いている訳ではない。
山崎と松田の戦いを自分と同じように、ただ見ていた高野の石の能力も、攻撃向きではないと確信していた。
「うおりゃあー!!」
雄叫びを上げて、山里は全速力で駆け出す。タックルをかまして吹き飛ぶ相手ではないことは百も承知。
しかし、日本人女性として規格外の体を持つ相方の隣にいるから目立たないものの、
自分だって、決して体が小さい男ではないのだ。高野から石を奪える可能性はゼロではない。多分。
そんな山里の行動に一番驚いたのは、もちろん山崎である。
「あのアホ、何してんねん…!」
ただでさえピンチなのに。珍しく焦っている彼女へ、松田は石を使わずに近付いた。
「もう疲れたっしょ。石渡すの、ヤだろ。俺らもヤだったし。で、提案なんだけど『黒』に入らない?」
「断ります。私らのことナメんといて下さい」
言うや否や、振りかざされた山崎の拳を止めるのに、松田の一言は充分過ぎた。
「山里はもうすぐ石を手放すぞ」
渾身の体当たりを喰らい、高野はアスファルトに転ぶはめになった。腰が痛むが、余裕は崩れない。それどころか。
「サンキューな。…手間が省けた」
厚い手が覆い被さった山里の手首を掴み、空いている手はポケットから取り出したオレンジ色の石を握る。
「ハウライトトルコを俺に――」
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