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【添削】小説練習スレッド【キボンヌ】

673眠り犬 ◆XU22gipAH.:2013/04/09(火) 17:51:20
 収録の時刻に遅れてしまったが、不思議と怒られることはなかった。
それどころか、収録前にスタッフが「大変ですね」と言って、ペットボトルの水とタオルを手渡してきたのだ。
石を巡る芸人の戦いは、裏方の人間をも巻き込んでいる。二人は実感した。

 そして、収録後の楽屋。

「決めた」

 会話の無い楽屋で発せられた、唐突な山崎の決意表明。山里は尋ねる。
「何を?」
「あんたがまた頭のおかしいことになったら、ぶっ飛ばしてでも正気に戻したるわ」
「……それはそれは恐ろしい……」
 相方のシャドーボクシングに本気で脅えながらも、山里は笑った。
「俺は意地でも正気を保つことに決めたよ」
「小指、出し」
 言葉の意図を理解した山里は、先程とは違う種類の笑いを滲ませる。
「あら。しずちゃんにも可愛いところあるじゃない」
 言われた通りに小指を出して、山崎のそれと絡めた。

「ゆびきりげんまん」

 山里は子どもの頃を思い出していた。懐かしい。
「嘘ついたら〜♪」
「自分、何歌ってんの。気持ち悪いな」
「今の状況さ、映画とかドラマだったら結構良いシーンだよ?そのツッコミ絶対必要ないってー」
「気にせんでも、今日の出来事はノンフィクションや」

 小指と小指が、この言葉のやり取りが出来る幸せを守っていこうと、誓い合った。


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