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【添削】小説練習スレッド【キボンヌ】
684
:
眠り犬
◆XU22gipAH.
:2013/04/10(水) 20:11:47
突然、芝居掛かったような、厳かな女の声が、高野とアマチュアコンビの脳内に響いた。
”二郎と言ったな。案ずるな。私はお前も、宿主のこの男…大輔も死なせはしない”
声が途絶える。すると、腹部に重傷を負っているはずの松田が、刀を握り締めて、ゆらりと立ち上がった。
「てめえ、どうして…!!」
言い掛けて、帽子の男は息を呑んだ。自分が刺した男の光彩が、翠に染まっていたからだ。
”ああ、この肉体は若くて良い。前の宿主よりも活力に満ちている”
松田の唇が動く度、先程の女の声が周囲の脳にダイレクトに伝わる。
松田の手が自身のシャツの裾を捲り、腹部を見せた。そこにあるはずの傷が、消えていた。
”細胞の『動きを速めて』、負傷箇所を癒した。残念だったな。芸人を名乗るには未熟すぎる者達よ”
「ざけんな…たかが石コロの分際でッ…誰が未熟だぁ!!」
帽子の男が刀を振るう。松田の体を借りたデマントイドは、いとも容易く剣撃を受け止めた。
何度も刀と刀の交わる音が駐車場に響き渡る。だがそれも長くは続かず、帽子の男の刀は弾き飛ばされた。
そして。
「ぐあああっ!!」
肩を斬られた帽子の男が、血の噴き出す傷口を押さえ、のたうち回る。今度は、眼鏡の男が
帽子の男の名前を叫んでいた。持ち主の気力が弱まったことで、二本の刀は消失していく。
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