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【添削】小説練習スレッド【キボンヌ】

1名無しさん:2004/11/25(木) 19:54
「自分も小説を書いてみたいけど、文章力や世界観を壊したらどうしよう・・・。」
「自分では面白いつもりだけど、うpにイマイチ自信がないから、
読み手さんや他の書き手さんに指摘や添削してもらいたいな。」
「新設定を考えたけど矛盾があったらどうしよう・・・」

など、うpに自身のない方、文章や設定を批評して頂きたい方が
練習する為のスレッドです。

・コテンパンに批評されても泣かない
・なるべく作者さんの世界観を大事に批評しましょう。
 過度の批判(例えば文章を書くこと自体など)は避けましょう。
・設定等の相談は「能力を考えようスレ」「進行会議」で。

679眠り犬 ◆XU22gipAH.:2013/04/10(水) 20:08:24
>>677
>>678
温かいコメントありがとうございます!

申し訳ありませんが、私が投下した話は「戦いの核心」に迫るものではないため
(要するに、他の書き手さんの議論を見るだけで、自分は何も考えていなかった)
大掛かりな展開に関してご協力出来ることは少ないと思います。すみません。

そんな奴がこんなこと書くのもなんですが、議論や設定ももちろん大切ですが、
古参新参問わず書き手に小説を書いてもらうことが何よりも大切なんじゃないかと…。
2ちゃんでスレが賑わっていた頃を思い出して、そう感じました。

とにかく、石スレが完結することを願っております。

680眠り犬 ◆XU22gipAH.:2013/04/10(水) 20:09:03
東京ダイナマイト編を投下します。流血表現がありますので、ご注意を。

『限りなく灰色に近いブラック』

 2004年、秋、東京。会場には、集まった大勢の人間の数に相応しい、尋常ではない
緊張感が張り詰めている。M-1グランプリ予選第二回戦が、ここで行われていた。

 出番を終えたプロのコンビに、とあるアマチュアのコンビが声を掛ける。
「お疲れ様です」
 プロの――東京ダイナマイトの松田は、キャップ帽を被った見知らぬ男の声に戸惑った。
「えっと…」
「アマチュアでお笑いやってるもんです」
 帽子の男の相方の、黒縁眼鏡を掛けた男が自己紹介をした。

 事件は、ここから始まる。

「石、持ってますよね」
 心の底から面倒臭そうな顔をした高野(ハチミツ二郎)は、ふぅと溜め息を吐いた。
「だったら何。おたくらも持ってるんだろ、勘で分かる」
「俺達は、ハチミツさんと松田さんの石が欲しいんですよ」
 まるで当然のことのような口ぶりで帽子の男が言い、眼鏡の男が続ける。
「ここじゃ戦えませんし、僕の車でドライブに行きませんか」
 高野は「お前ら頭おかしい」という本音を心に留めて、相手を追い返そうとする。
「『白』とか『黒』とか俺達キョーミねえから、悪ィけど」

681眠り犬 ◆XU22gipAH.:2013/04/10(水) 20:09:48
 今はM-1に集中したい。ユニットに所属する漫才師であっても、そう思う時期だ。
しかし、長身でやや威圧感のある高野と松田に睨まれても、中肉中背のコンビは引かなかった。
そして、帽子の男の駄目押しの一言。
「別の日に、いきなり襲われるよりはマシだと思いませんか」
「…二郎ちゃん、どーするよ」
「めんどくせえけど行くしかねェだろ、ドライブ」

 アマチュアコンビが戦いの場所に選んだのは、小さな廃ビルの地下駐車場だった。
 車から下りた四人は二対二で向かい合い、対峙する。
「ちょっと待ってて下さい」
 眼鏡の男が、石を握った拳を天高くかざした。淡い光が辺り一帯を包んで、消える。
「これで一般人はここに来ません。石持ってる人には効果無いですけど」
 帽子の男は、筆ペンとメモ帳サイズに破られた半紙を、ジャケットのポケットから取り出した。
半紙を地面に置き、筆ペンを使って『刀』と書く。かなりの達筆だ。書道が彼の特技なのだろう。
目映い光を発する半紙。次の瞬間には半紙が置いてあった所に、時代劇に出てくるような日本刀が存在していた。
今まで何度か『正当防衛の喧嘩』をしてきた東京ダイナマイトも、これには目を丸くする。
「じゃ、始めますか」
 刀を鞘から抜いた帽子の男の目は虚ろでありながらも、鋭い殺意が宿っていた。
からんと鞘が落ちる音。現実味が無さ過ぎるせいか、思わず笑ってしまう高野と松田だ。
「全然面白くないよ、そのボケ。人殺しになりたいのか?」

 問い掛ける松田に、アマチュアコンビは嬉しそうな笑みを返した。

「はい。なァ、この人達を殺したら、俺らプロの芸人になれるんだよな?」
「『手加減しなくていい』って言われたろ。殺しても、何とかしてくれるって意味だ」

682眠り犬 ◆XU22gipAH.:2013/04/10(水) 20:10:35
 高野と松田は顔を見合わせる。恐怖や呆れるという感情を通り越して、二人は冷静になっていた。
「二郎ちゃん。ひょっとしなくても、こいつらクスリやってるよ」
「つうかアレだろ。『黒い欠片』。まァ、お前なら刀相手でも勝てるって。後は俺が言うこと聞かせっから」
「俺は少年漫画みてェなバトルするために芸人になったわけじゃねえぞ、糞ったれ」
 そう言いつつも松田が腹をくくると、腕に付けているブレスレットの石、デマントイドが光輝いた。

「うおあああ!!」
 刀を振り上げて帽子の男が走り出す。石の能力で補助された松田の足も地面を蹴る。
「う!」
 帽子の男の鳩尾に、速度を上げた肘打ちがヒットした。呻いて刀を振り下ろすが、松田が退く方が速い。
「何やってんだよ! 斬れ! 斬っちまえよ!」
「がああ!」
 眼鏡の男の声に圧されるように、帽子の男は一歩踏み出し、刀を横一線に薙ぎ払う。
デマントイドで動体視力は強化されないため、反応が少し遅れたが、松田はしゃがんでそれを躱した。
斬られた黒髪が数本、宙を舞う。地面に手を付いた松田は、帽子の男の脛に蹴りを喰らわせる。
バランスを崩した帽子の男は、そのまま硬い地面に倒れ込んだ。
「はい。お前らの負け」
 立ち上がった松田が、持ち主の手から落ちた刀を拾う。その様子を見ていた高野は、ふと思いついた。
「松田さん。そのままソレ持ち上げて『刀持って来た』って言ってみて」
 咳払いをした後、松田は『イイ声』を使い、高野の言う通りにしてみた。
「刀持って来たぞーぃ!」
「…うん。ちょっと面白えわ」
「何だよそれ」

683眠り犬 ◆XU22gipAH.:2013/04/10(水) 20:11:23
 アマチュアコンビの心に、どろりと憎しみが満ち溢れた。本来ならば、それは憧れという感情のはずだ。
こんな時でもネタのことを考えている。石の戦いなど下らないと、一蹴するかのように、笑っている。
「「ぶっ殺してやる」」
 微かな呟きは同時だった。帽子の男が、再び取り出した筆ペンでアスファルトに文字を書き殴る。
 石の波動と人の立ち上がる気配を察した松田は、振り返ることさえ、出来なかった。

「……いっ、てぇ……」

 自分の腹から生えた銀色は、自分の赤色で濡れていて。薄れゆく意識の中で、マジかよ、と呻く。

「松田!!」

 刀を引き抜かれる激痛に耐えられるはずもなく、相方が自分の名を叫ぶ声を遠くに聞きながら、どさりと崩れ落ちた。
「松田!! オイ…返事しろ、松田!!」
「相方の命よりも、自分の命の心配をしたらどうですか?」
 『黒い欠片』で増幅された悪意に支配されている眼鏡の男は、高野に歩み寄り、小柄なナイフを突きつける。
「……死ね」

”死なせはしない”

684眠り犬 ◆XU22gipAH.:2013/04/10(水) 20:11:47
 突然、芝居掛かったような、厳かな女の声が、高野とアマチュアコンビの脳内に響いた。
”二郎と言ったな。案ずるな。私はお前も、宿主のこの男…大輔も死なせはしない”
 声が途絶える。すると、腹部に重傷を負っているはずの松田が、刀を握り締めて、ゆらりと立ち上がった。
「てめえ、どうして…!!」
 言い掛けて、帽子の男は息を呑んだ。自分が刺した男の光彩が、翠に染まっていたからだ。
”ああ、この肉体は若くて良い。前の宿主よりも活力に満ちている”
 松田の唇が動く度、先程の女の声が周囲の脳にダイレクトに伝わる。
松田の手が自身のシャツの裾を捲り、腹部を見せた。そこにあるはずの傷が、消えていた。
”細胞の『動きを速めて』、負傷箇所を癒した。残念だったな。芸人を名乗るには未熟すぎる者達よ”
「ざけんな…たかが石コロの分際でッ…誰が未熟だぁ!!」
 帽子の男が刀を振るう。松田の体を借りたデマントイドは、いとも容易く剣撃を受け止めた。
何度も刀と刀の交わる音が駐車場に響き渡る。だがそれも長くは続かず、帽子の男の刀は弾き飛ばされた。

 そして。

「ぐあああっ!!」
 肩を斬られた帽子の男が、血の噴き出す傷口を押さえ、のたうち回る。今度は、眼鏡の男が
帽子の男の名前を叫んでいた。持ち主の気力が弱まったことで、二本の刀は消失していく。

685眠り犬 ◆XU22gipAH.:2013/04/10(水) 20:12:21
「やめろ。やりすぎだ」
 これ以上、相方の体を使って凶行をされては堪らない。高野はデマントイドを制止する。
”何を焦っている。致命傷ではないだろう。さて、もう一人……”
「やめろっつってんだろ!!」

 主の感情に呼応して、ポケットのスペサルタイトが力強い光を放った。

 眼鏡の男がナイフを落とし、ふらふらと地面にへたりつく。高野はスペサルタイトを取り出した。
松田に視線をやると、瞳の色は日本人特有の茶色いソレに戻っていた。どうやら元に戻ったらしい。
普段は、体か石に直接触れなければ発動しないスペサルタイトが、高野の思いに応えたのだ。

”――私は、笑いに『忠実』な宿主を守る石……”

「うわっ、どうしたんだコイツ!?」
 のたうち回っているうちにトレードマークが取れてしまった帽子の男を見て、松田が驚いている。
「ていうか、俺…思いっきり刺されたよな」
 血まみれの破れたシャツと上着が、夢では無いことを物語っている。
「自力で回復したんだぞ、お前。石の力で。そんでソイツのこと斬ったんだから」
「マジ? ……全然記憶無いのが怖ぇよ…。そんなことより、救急車!」

686眠り犬 ◆XU22gipAH.:2013/04/10(水) 20:12:55
「記憶が無いなら、画像で説明してあげるよ」

 やけに淡々とした声音に二人が振り返ると、そこにはカメラを持った男、土田晃之がいた。
「コレ、最新型なんだけど、めっちゃ高性能なんだわ。『石の研究のために持って行け』って言われてさ」
 その土田の背後にいるのは、東京ダイナマイトと親交のある、吉本興業のコンビ――。
「よう」
「災難だったな」
 ダイノジの大地と大谷だ。
「……見ない、組み合わせですね」
 高野の眉間に皺が寄った。世間話やお笑い論を交わしに来たわけではないだろう。松田が尋ねる。
「いつからいたんすか」
 土田はあっけらかんとした口調で答えた。
「君が刺された辺りから。あの状況じゃ、俺達の気配に気付かなくても不思議じゃないかな」
 そして、アマチュアコンビを見遣る。
「酷いケガさせちゃったな。こんなつもりじゃなかったんだけど」
「一般人と大差ない学生アマチュアに、石を渡した幹部さんが悪いですよね」
 大谷はそう皮肉を言うと、東京ダイナマイトの二人に真っ直ぐな眼差しを向けた。
「お前らの石、浅草キッドさんから譲り受けたんだろ。だから今まで大切に守り抜いてきた。偉いよ」

687眠り犬 ◆XU22gipAH.:2013/04/10(水) 20:13:16
 大地の口から、高野と松田が予想もしない――いや、本当は予想していたのかもしれない――台詞が発せられる。

「なあ。二人とも、『黒のユニット』に入ってくれないか?」

 『黒』の芸人らしくない、頼りになりそうな、明るい微笑みを、大地は携えていた。
「強力な石をコントロールして、なおかつ、『白』にその石が封印されることを防ぐためにさ!」
 今日の戦いは、スペサルタイトとデマントイドの力を測るために仕掛けられたのだろうか。
想定されていたのか否かは分からないが、どちらの石も、通常時を超える能力を発現した。
「俺達も、東京ダイナマイトが仲間になってくれると心強いしな!」
 大地の言葉に大谷が付け加えると、そこに土田もわざとらしく一言付け加えた。
「あー、『黒』に入ってくれたら、あいつの大怪我はウチの奴に治させるから」
 暫しの沈黙の後、高野と松田は目と目を合わせて、お互いの意志を確認し合う。

「俺は二郎ちゃんについてくよ」
「ま、ヒール役も悪くねえかな」

 そう。どこに属していようが、彼らは何も変わらない。

688眠り犬 ◆XU22gipAH.:2013/04/10(水) 20:14:03
以上です。昔考えていたプロットとはだいぶ違うものになってしまいました。
「ダイノジの2人は黒が正しいと思い込んでいる」という設定をお借りしています。
稚拙な文章を読んで下さり、ありがとうございました。


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