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オショーのSadhana Pathを読んで実践する

1避難民のマジレスさん:2020/11/18(水) 21:29:41 ID:Dp/qMVVc0
Sadhana path 修行の道
第1章 ようこそ
私は深い闇に包まれた人間を見ている。彼は暗い夜にランプが消された家のようになっている。彼の中の何かが消えてしまった。しかし消えてしまったランプは再び点火することができる。

私はまた、人間がすべての方向を失っていることが分かる。彼は公海で道を失った船のようになってしまった。彼はどこに行きたいのか、何になりたいのかを忘れてしまった。しかし、忘れられていたことの記憶は、彼の中で再び目覚めさせることができる。

闇はあっても、絶望する理由はない。闇が深ければ深いほど、夜明けは近い。沖合で私は全世界の霊的な再生を見ている。新しい人間が生まれようとしており、私たちはその誕生の苦しみの中にいる。しかし、この再生には私たち一人一人の協力が必要だ。それは、私たちを通して、私たちだけで起こる。私たちはただの見物人でいる余裕はない。私たちは皆、自分自身の中でこの再生の準備をしなければならない。

新しい日が近づいてきて、夜明けを迎えるのは、私たち自身が光で満たされたときだけだ。それは、その可能性を現実に変えるのは私たち次第だ。私たちは皆、明日の建築物のレンガであり、未来の太陽が誕生するための光線なのだ。私たちはただの見物人ではなく、創造者なのだ。しかし、必要なのは未来の創造だけではなく、現在そのものの創造であり、自分自身の創造なのだ。自分自身を創造することによって、人間は人間らしさを創造するのである。個人は社会の構成要素であり、進化も革命も彼を通して起こることができる。あなたはその構成要素だ。

だからこそ、あなたを呼びたい。眠りから目覚めさせたい。あなたの人生が無意味で役に立たない、退屈なものになっているのがわからないだろうか?人生はすべての意味と目的を失っている。
――
これは1964年6月、オショーの初の瞑想キャンプでの講話です。
私が修行の道に入ったのも、何をしても最後には死によって失われてしまうと実感し、せめてその前に真実を知りたいと切望したからでした。
オショーが「記憶は、…目覚めさせることができる」と言っているのは、自我が無いときの記憶という意味なのでしょうか? それとも、何かを象徴していますか?

919避難民のマジレスさん:2023/02/05(日) 06:46:18 ID:l/FecZA20
荘子36.
荘子:人間世第四(1)
顏回見仲尼請行。曰奚之。曰將之衛。曰奚為
焉。曰回聞衛君其年壯其行獨。輕用其國而不
見其過。輕用民死死者以國量。乎(平)澤若
蕉。民其無如矣。
回嘗聞之夫子曰。治國去之亂國就之。醫門多
疾。願以所聞思其則,庶幾其國有瘳。

顏回仲尼を見て行かんことを請ふ。曰はく奚
(いずく)に之(ゆ)くと。曰はく将に衛
(エイ)に之かんとすと。曰はく奚(なに)
爲(す)れん。曰はく回聞く衛君は其の年壮に
して其の行ないは独(ドク)なり。軽(かろ 
がろ)しく其の国を用ひて而も其の過(あや
ま)ちを見(かえりみ)ず。軽しく民を死に
用ふ死者国を以て量る。沢蕉(あさ)の如し。
民は其れ如(いかん)する無しと。
回嘗つて之を夫子に聞く曰はく。治国は之を
去り乱国は之に就く。医門(イモン)に疾
(や)めるもの多し。願はくは聞く所を以て
其の則(のり)を思はん。庶幾 (ちか)くは
其の国癒ゆる有らん。

注:
人間世(じんかんせい):人の世にありて處す
 べきことを云ふ
顏回見仲尼請行:別読み、顏回仲尼に見(ま 
 み)えて、行かんことを請(こ)う。顏回(ガ
 ンカイ):前521〜前490 春秋時代。字は子
 淵(シエン)。孔子の第一の弟子。
奚為焉:別読み、奚(なに)をか為(な)さん
 とするやと。
壮:若い
輕用其國:軽々しく其の国人を用ふ、故に戦争
 日々起こる
平澤:死人多くして田野荒蕪するを云ふ
量(。)乎(平)澤若蕉:別読み、沢に量りて蕉
 (あさ)の如し。:死者が多くて数えきれず、
 沢のくぼみ一ぱいを単位として量る。  
民其無如矣:民人依歸する(信じ頼る)所なし
 無如矣:別読み、如(のが)るるすべ無し
治國去之亂國就之:別読み、治まれる国は之
 を去り、乱れし国は之に 就け
醫門多疾:国乱れ救いを求める人が多いだろう
其則:我身の方針
庶幾其國有瘳:別読み、其の国、癒ゆること有
 るに庶幾 (ちか)からんかと。

荘子:人間世第四(2)
仲尼曰、譆若殆往而刑耳。夫道不欲雜。雜則
多。多則擾。擾則憂。憂而不救。古之至人存
諸己而後存諸人。所存於己者未定。何暇至於
暴人之所行。
且若亦知夫德之所蕩而知之所為出乎哉。知出
乎爭。名也者相軋也。知也者爭之器也。二者
凶器。非所以盡行也。

仲尼曰はく、譆(あゝ)若(なんぢ)殆(ほ
とんど)往きて刑せられん耳(のみ)。夫れ
道は雜なるを欲せず。雜なれば則ち多。多け
れば則ち擾(じょう、みだる)。擾なれば則ち
憂(ゆう、うれふ)。憂すれば而ち救はれず。
古の至人は先ず諸(これ)を己れに存して而
る後に諸を人に存す。己れに存する所の者未
だ定まらずんば。何の暇(いとま)ありて暴人
の行ふ所に至らん。
且つ若(なんぢ)亦夫(か)の徳の蕩(たう)す
る所にして知の出ずるを爲す所を知るや。知
は争ひに出ず。名なる者は,相軋(きし)る
なり。知なる者は争いの器なり。二者は凶器
也。尽くし行ふ所以(ゆえん)に非ざるなり。

注:
不欲雜:別読み、雑(まじ)はるを欲せず
擾:別読み、みだる  
何暇至於暴人之所行:別読み、何ぞ暴人の行な
う所に至るに暇(いとま)あらんや
夫德之所蕩而知之所為出乎哉:夫の道徳の互い
 に相磨する所と知の出づるをなすところ
所蕩: 蕩は磨なり、両者相磨するをいふ。別
 読み、蕩(うしな)はるる所
名也者相軋也:名誉ある者は互に相軋る者なり
知也者爭之器也:知も亦相争ふ所の器なり
二者凶器:知は以て王と争い、名は以て乱を治
 めたりと呼ばるるを欲する、この二凶器
非所以盡行也:そのような二者は尽行すべき者
 に非ず。
(´・(ェ)・`)つ

920鬼和尚 ◆Yj52hBkdLM:2023/02/06(月) 00:08:48 ID:JORE6Z3s0
孔子の弟子の顏回が孔子に衛の国に行くといったのじゃ。
孔子がなぜじゃと聞いたのじゃ。
顏回は、以前に孔子は乱れた国にいけと行ったからいくと答えたのじゃ。


孔子はそんな態度では処刑されると言ったのじゃ。
道は雑ではいかんというのじゃ。
雑ではいろいろと乱れが多く、騒ぎも起こるのじゃ。
騒ぎがあれば憂い、救われないのじゃ。

悟った者はまず自分が悟ってから人に教えたのじゃ。
まだ悟っていなければ他人に教えることはできないのじゃ。

知識は争いを起こし、名声は軋みを生じるのじゃ。
二つとも凶器な。のじゃ
それらに基づいて行うべきではないのじゃ。


乱れた国に名声があるからとか、知識があるからと行ってはいかんというのじゃな。
それで他人を教え諭すことはできないのじゃ。
自ら悟ってから人に教えるとよいのじゃ。

921避難民のマジレスさん:2023/02/06(月) 00:47:33 ID:wjAT1mhA0
荘子37.
荘子:人間世第四(3)
且德厚信矼未達人氣。名聞不爭未達人心。而
彊以仁義繩墨之言術暴人之前者。是以人惡有
其美也。命之曰菑人。菑人者人必反菑之。若
殆爲人菑夫。

且つ徳は厚く信は矼(かた)きも未だ人の気
に達せず。名聞は争わざるも未だ人心に達せ
ず。而も彊(し)いて仁義繩墨(ジョウボ
ク)の言を以て暴人の前に術(の)ぶる者。
是れ以て人其の美有るを惡(にく)む也。これ
を命じて菑人(サイジン)と曰う。菑人なる
者は人必ず反(かえ)って之に菑(わざは
ひ)す。若(なんぢ)は殆(おそ、ほとん
ど)らくは人の爲に菑(わざはひ)せられん。

注:
且:語を重ねて(曰く)
矼(堅し)と訓む。気まじめなさま。
気:気分
繩墨:大工が用いて木の曲直を正すすみなわ。
 転じて法則規範。
術:述ぶと訓ず
是以人惡有其美也:別読み、是れ人の悪を以て
 其の美を有(ほこ)るなり
菑(葘)サイ:わざわい。進行をとめてさしさわ
 りをおこす、じゃまなできごと。

荘子:人間世第四(4)
且苟為悅賢而惡不肖。惡用而求有以異。若唯
無詔王公將乘人而鬭其捷。而目將熒之。而色
將平之。口將營之。容將形之。心且成之。是
以火救火以水救水。名之曰益多。順始無窮。
若殆以不信厚言必死於暴人之前矣。

且(か)つ苟(いやし)くも賢を悦びて不肖
(フショウ)を悪(にく)むを為さば。悪
(いずく)んぞ而(なんぢ)を用ひて以て異
(ことに)する有るを求めんや。若(なんぢ)
は唯だ詔(つ)ぐる無きも王公將に人に乗じ
て其の捷(か)ちを闘はさんとす。而(なん
ぢ)の目將に之 に熒(まどは)んとし。而
(なんぢ)の色は將に之に平(たいらか)な
らんとし。口は將に之を營(いとな)まんと
し。容(かたち)は將に之に形(あらは)さん
とし。心は且(まさ)に之を成さんとす。是
(こ)れ火を以て火を救い、水を以て水を救 
うなり。之を名づけて益多(エキタ)と曰
(い) ふ。始めに順(したが)ふて窮まる無
くんば。若(なんじ)は殆(おそ)らく、不
信厚言を以て必ず暴人の前に死なん。

注:
詔:告]ショウ.みことのり, つげる。上位の 
 者が下位の者を召して告げ る言葉。特に、
 天子の命令。▽秦(シン)代以後は天子だけにつ
 いていう。
乘人:勢位を利用して
鬭其捷: 弁捷(べんしょう)を闘わせる。口達 
 者振を競わせる。
熒:惑ふなり。(君は賞罰の権を以て接するの
 で、それに惑いて諌めんとせしを忘れる
平:別読み、ヒトシカラン、タイラカニセム、
 カワラン、衛君と同じ様に考える様になる
營:営:とりつくろふなり、(衛君の行為を)弁解
 すること。別読み、(あげつら)ふ
容將形之。心且成之:身も心も衛君の如くなら
 んと(心変わりするやも知れず)
益多:乱を救はんと欲して却(か)へりて、乱を
 付け益(ま)すをいふ。
順始無窮:始めの志に順ひ、追詰められること
 なく、暴君を諌めたならば、
若殆以不信厚言必死於暴人之前矣。:別読み、
 若(なんぢ)殆(おそ、ほとんど)らく、信
 ぜられざるを以て厚言(コウゲン・おもい
 きりいさめ)せば。必ず暴人の前に死せん
(´・(ェ)・`)つ

922鬼和尚 ◆Yj52hBkdLM:2023/02/06(月) 23:17:21 ID:qTyw2SJE0

 さらにま徳が厚く、信用があるものもまた人の気持ちを知らんからいかんのじゃ。
 名声は人の心には響かんのじゃ。
 それなのに仁義とかで人を批判すれば憎まれるのじゃ。

 そのようなものを災いの人というのじゃ。
 災いがおぬしにおこるのじゃ。

 そもそも王が賢者を好んで愚者をにくむものならばおぬしをやとうはずもないのじゃ。
 それでもいって何か意見すれば、相手は王の権力を笠にきておぬしを言い負かし、逆効果なのじゃ。
 信じられていないに意見すれば最後には殺されてしまうのじゃ。



 徳も信用も名声も仁義も、権力の前には無意味というのじゃな。

923避難民のマジレスさん:2023/02/06(月) 23:59:05 ID:3wstc7Bc0
荘子38.
荘子:人間世第四(5)
且昔者桀殺關龍逢紂殺王子比干。是皆修其身
以下傴拊人之民。以下拂其上者也。故其君因
其修以擠之。是好名者也。
昔者堯攻叢枝胥敖禹攻有扈。國為虛厲身為刑
戮。其用兵不止。其求實無已。是皆求名實者
也。而獨不聞之乎。
名實者聖人之所不能勝也。而況若乎。

且つ昔者(むかし)桀(ケツ)は關龍逢(カ
ンリュウホウ)を殺し紂(チュウ)は王子比
干(ヒカン)を殺せり。是れ皆其の身を修め
て下(しも)を以て人の民を傴拊(ウフ)
し。下を以て其の上(かみ)に拂(も)どる
者 なり。故に其の君は其の修まれるに因りて
以て之を擠(おと)す。是れ名を好む者なれ
ばなり。
昔者(むかし)堯は叢枝(ソウシ)胥敖(シ
ョゴウ)を攻め禹は有扈(ユウコ)を攻め。
國は虛厲(キョレイ)と爲り身 は刑戮(ケイ
リク)せらる。其の兵用ひて止まず。其の實
を求めて已む無し。是れみな名實を求むる者
なり。
而(なんぢ)獨り之を聞かざるか。
名實は聖人すら勝つ能はざる所なり。而るを
況んや若をや。

注:
桀:夏王朝の暴君。殷の湯王に滅ぼされた。
關龍逢:桀王の忠臣。桀を諫めて殺された。
紂:殷王朝の暴君。周の武王に滅ぼされた。
比干:紂王のおじ。紂を諫めて胸をさかれた。
傴拊(ウフ、オウフ、いつくしみ):人民をか
 ばひ撫づるなり。 
擠:(おと)しいれる、害す、殺す
叢枝(ソウシ)・胥敖(ショゴウ)•有扈(ユ
 ウコ):国名
虛厲(キョレイ):虛:家に住むべき人無きを
 いふ。厲:子孫の死に絶えたるをいふ。
實:土地領分の如き実あるんいふ
攻め滅ぼされた叢枝(ソウシ)胥敖(ショゴ
 ウ)有扈(ユウコ)の三国は、実(領土、
 民)求め、攻め勝った堯と禹は名を求めて止
 まざるが故の結果である。
(´・(ェ)・`)つ

924鬼和尚 ◆Yj52hBkdLM:2023/02/08(水) 00:07:28 ID:twf.xw6I0
昔の暴君に忠告した臣下は殺されたりしたのじゃ。
戦争をして滅ぼされ国もあるのじゃ。
名声と実利を求めて滅びたのじゃ。
名声と実利には聖人も勝つことができないのであるから、おぬしでは無理なのじゃ。


暴君に道を説いても無理ということじゃな。
自分が殺されてしまうのじゃ。

925避難民のマジレスさん:2023/02/08(水) 06:48:21 ID:GOuWSgto0
本節以降の脚注は原則、
荘子:現代語訳 再版(支那哲学叢書;第7)に従った。

荘子39.
荘子:人間世第四(6)
雖然若必有以也。嘗以語我來。顏回曰端而
虛。勉而一則可乎。曰惡惡可。夫以陽爲充。
孔揚采色不定。常人之所不能違。因案人之所
感,以求容與其心。名之曰日漸之德不成。而
況大德乎。將執而不化。外合而內不訾其庸詎
可。

然りと雖も、若ぢ必ず以(ゆえ)あらん。嘗
(こころ)みに以て我れに語(つ)げ來や
と。顏回曰はく端にして虛。勉めて一(い
つ)ならば、則ち可ならんかと。曰はく惡
(あゝ)惡(いづ)くんぞ可ならん。夫れ陽
(やう)を以て充(み)つるを爲し。孔
(はなは)だ揚(あが)り采 色(サイショ
ク)定まらず。常人の違(たが)ふ能はざる
所なり。因(よ)りて人の感ずる所を案し。
以て其の心を容與(ヨウヨ)せんことを求
む。これ を名づけて日漸(ニチゼン)の德と
も成らずと曰ふ。而るを況(いわ)んや大德
をや。將(まさ)に執(と)りて化(カ)せ
ざらんとす。外は合して而して内は訾(は
か)られざるも其れ庸詎(なんすれ)ぞ可なら
んやと。

注:
端:端正   
虚:虚心 虚静
夫以陽為充。孔揚采色不定:端にして虚と云へ
 ば、陽、内に充実して外に顕はれ、神色(顔
 色)定まらない。
 別解釈:衛君の情性は陽気の剛健を以て充実 
 せり、
常人之所不能違: 勉にして一と云へば、衆人
 の聴従する所によりて、
陽:亢ぶりたるをいふ
采色:神色(=顔色)喜怒色に現るるをいふ、
因案人之所感。以求容與其心: 衆人の心を壓
 服して、自分の心に随順することを求める
 様になる。
案:、抑(おさ)へなり
容與:縦(ほしいままに)にするこ、
日漸之德:毎日少しずつ進むの小徳
執:固く己の意見に執して変わろうとしない。
不訾:別読み、そしらず、おもわざらん、
外合而內不訾:外面は汝と同意した様であって
 も、内心そうは思わず。
不訾其庸詎可:汝行くとも何の益があろうぞ。
 別解釈其の侈心を枉(ま)ぐることは決して
 能はざるなり
庸詎:いづくんぞ、なんぞ、
(´・(ェ)・`)つ

926鬼和尚 ◆Yj52hBkdLM:2023/02/08(水) 23:46:15 ID:KnPWEtWE0

 孔子はそんなに言うからには何か思うところがあるのじゃろう。
 と、聞いたのじゃ。

 顏回は心を虚にして、勉めて一つにすればどうでしょう、
 と、答えたのじゃ。

 孔子はそれはいかんと答えたのじゃ。
 それでは君主の顔色をうかがっているだで、常人とかわりないのじゃ。
 小さな徳にもならないのであるから、大徳になるはずもないのじゃ。
 王は表向きには調子を合わせても、何も考えを変えないのじゃ。

927避難民のマジレスさん:2023/02/09(木) 05:15:38 ID:QZqJRwFs0
前節まで段落分けの基準としてきた、
荘子内篇の素読(漢字家族) が中断したので、
当節以降の段落分け等は、原則
老子•荘子•列子(漢文叢書:第6)国立国会図書
館デジタルコレクション 
に従う。

荘子40.
人間世第四(7)
曰然則我内直而外曲。成而上比。内直者興天
爲徒。興天爲徒者知天子之興己皆天之所子。
而獨以己言蘄乎而人善之。蘄乎而人不善之
邪。若然者人謂之童子。是之謂興天爲徒。外
曲者 興人之爲徒也。擎跪曲拳人臣之禮也。人
皆爲之。吾敢不為邪爲。爲人之所爲者。人亦
無疵焉。是之謂興人爲徒。成而上比者 興古爲
徒。其言雖教讁之實也。古之有也非吾有也。
若然者雖直不爲病。是之謂興古爲徒。若是則
可乎。仲尼曰惡惡可。大多政法而不諜。雖固
亦無罪。雖然。是止耳矣。夫胡可以及化。猶
師心者也。

曰く然らば則ち我内直(なほ)くして外曲(まが
り)。成して上比せん。内直き者は天と徒爲
(た)り。天と徒爲る者は天子の己と皆天の子
とする所なるを知る。而るに獨り己の言を以
て而(か)の之を善くするを蘄(もと)めん、而
の人の之を善くせざるを蘄(もと)めんや。然
るが若(ごと)き者人之を童子と謂ふ。是れを
之れ天と徒為りと謂ふ。外曲がる者は人と之
れ徒為る也。擎跪曲拳(けいききょくけん)は
人臣の禮也。人皆之を為せり。吾敢て為さざ
らんや。人の為する所を為す者は。人も亦疵
(そし)る無し。是れを之れ人と徒為りと謂 
ふ。成して上比する者は古と徒為り。其の言
(ことば)は教ふと雖も讁(たく)の實也。古の
有也 吾が有に非ざる也。然るが若き者は直し
と雖も病(へい)(た)為らず。是れを之れ古と
徒為ると謂ふ。是の若くば則ち可ならんか
と。仲尼の曰く。惡(あゝ)惡(いづく)んぞ可
ならん。大(はなは)だ政法多くして諜(やす)
からず。固(いや)しと雖も亦罪(つみ)無し。
然りと雖も是に止まるのみ。夫れ胡(なんぞ)
以て化を及ぼすべき。猶ほ心を師とする者
也。

注:
直:真っ直ぐにして、純一不雑
曲;曲げて世間並みに從ひて、
成而上比;(衛君を)化して、古の賢士にあや
 かろうと思います。
徒:なかま
顔回の考え;内直者=天の徒→天子も己も皆
天の子→天子が己の言を悦ぼうと否とかまわ
ない→この様な者を童子とよぶのは、嬰児の
如く純潔にして私心なく、天理至当の議を説
くからであり、これが天の徒。
外を曲げる→世間一般人に従い、人臣として
君に対する礼儀を尽くす→世間から誹られる
こともない。これが人の徒。
君子を諌めて自分の言を説くのではなく、古
人の言を説く。これが古の徒。
この天の徒、人の徒、古の徒の三術をそなへ
て行けばよいと思います。
孔子の助言;其の三術だけで暴君に言を進め
るに尚事多くして安らかでない。行うに大き
過ぎることも、罪を得る事もないが、ただそ
れだけで教化しても功はない。何故なら、そ
は自然の大道に順はずして、己が心を師と
し、未だ我執を免れないからである。
(´・(ェ)・`)つ

928鬼和尚 ◆Yj52hBkdLM:2023/02/09(木) 23:34:28 ID:SiE5rS1I0
顔回は心の中は真っ直ぐにして、外面は世間に合わせるというのじゃ。
古人の言葉でいさめるというのじゃ。

孔子はそれでもいかんというのじゃ。
それは大道から外れて我執があるからというのじゃ。

929避難民のマジレスさん:2023/02/09(木) 23:45:06 ID:kKbNlfWo0
荘子41.
人間世第四(8)
顔回曰吾無以進矣。敢問其方。仲尼曰齋。吾
將語汝。有心而爲之其易邪。易之者皞天不
宣。顔回曰回之家貧。唯不飲酒不茹葷者數月
矣。若此則可以爲齋乎。曰是祭祀之齋非心齋
也。回曰敢問心齋。仲尼曰若一志無聴之以耳
而聴之以心。無聴之以心而聴以気。聽止於耳
心止於符。気也者虚而待物者也。唯道集虚虚
者心齋也。

顔回曰く吾以て進む無し。敢へて其の方を問
ふ。仲尼曰く齋(ものいみ)せよ。吾將に汝に
語らんとす。心有して而して之を爲すは其 
れ易きや。之を易しとする者皞天(かうてん)
と宣(よろし)からず。顔回曰く回の家は貧
し。唯酒を飲まず葷(くん)を茹(くら)はずは
數月なり。此の若きは則ち以て齋と為すべき
かと。曰く是れ祭祀の齋にして心齋に非る
也。回曰く敢て心齋を問ふ。仲尼曰く若(なん
ぢ)志を一にし之を聴くに耳を以てする無くし
て之を聴くに心を以てせよ。之を聴くに心を
以てする無くして之を聴くに気を以てせよ。
聴くは耳に止まり心は符に止まる。気なるも
のは虚にして物を待つ者也。唯道は虚に集ま
る虚は心齋也。

注:
無以進:もうこれ以上進んで申し上ぐ術もござ
 いません
齋: 別読み、物忌み。齋戒: 神聖な仕事に従う
 者が、飲食や行動を慎み、心身を清めるこ
 と。
有心而爲之其易邪:汝たとひ進むべきことあっ
 て之を為すとも容易の業ではない。
易之者皞天不宣:若し容易であると云ならば、
 自然の法(天)と合わぬことになる。
 ぬことになってしまふのである。
皞(コウ):明るい、白い様。広大な、心が広い
 様。皞天:天
不宣:別読み、みことのりとせず。神・天子が
 下す言葉。
茹:食不なり
葷:クン、なまぐさ。臭気ある野菜、肉など生
 臭いもの。
心斎:①志を一にして、耳ではなく心で聞け。
 ②心ではなく気で聞け。
聴止於耳心止於符:耳で聴くだけなら心は形骸
 に止まり自由を得ない。
気也者虚而待物者也。唯道集虚虚者心齋也:
 気は空虚でいてどんなものでも受入れる。
 真実の道は、ただこの空虚な状態にのみ定   
 着する
聴く①耳で聴く→感覚知=音を聴くだけ②心
 で聴く→分別知=外から来たものに対して
 認識するだけ③気で聴く→①②を否定して
 空虚な状態である気で聴く。➡︎空虚な状態
 になることが心齋
(´・(ェ)・`)つ

930鬼和尚 ◆Yj52hBkdLM:2023/02/10(金) 23:51:06 ID:HtPhOwDQ0
顔回はもはや自分には何をしてよいかわからんから教えてくれと、言ったのじゃ。
孔子はまず齋、ものいみをせよと言ったのじゃ。


 心身を清めることじゃな。
 普通はなまぐさとか酒などを断って水垢離をしたりするのじゃ。

 顔回は家は貧乏で酒もなまぐさも食わないからそれで齋になっているというのじゃ。

 孔子はそうではないというのじゃ。
 心齋をせよというのじゃ。
 志を一つにして耳ではなく心で聞くことじゃというのじゃ。
 心ではなく気で聞くことじゃというのじゃ。

 気は虚であり、道は虚に集まるというのじゃ。
 虚が心齋であるというのじゃ。


 心を空にしろというのじゃな。
 それが道になるのじゃ。

931避難民のマジレスさん:2023/02/11(土) 00:49:41 ID:t/0iO56I0
荘子42.
人間世第四(6)
顔回曰。回之未始得使。實自回也。得使之
也。未始有回也。可謂虚乎。夫子曰。盡矣。
吾語若。若能入遊其樊。而無感其名。入則
鳴。不入則止。無門無毒。一宅而寓於不得
已。則幾矣。絶迹易。無行地難。爲人使。易
以僞。爲天使難以僞。聞以有翼飛者矣。未聞
以無翼飛者也。聞以有知知者矣。未聞以無知
知者也。瞻彼闋者。虚室生白。吉祥止止。夫
且不止是之謂坐馳。夫徇耳目内通而外於心
知。鬼神將來舎。而況人乎。是萬物之化也。
禹舜之所紐也。伏羲几蘧之所行終。而況散焉
者乎。

顔回曰く、回の未だ始め使(せ)しむるを得ざ
るや 。實に自(おのづ)から回也。之を使(せ)
しむるを得るや未だ始めより回有らざる也。
虚と謂ふべきかと。夫子曰く尽くせり。吾若
(なんぢ)に語らん。若能く入りて其の樊(は
ん)に遊びて。其の名に感ずること無く。入れ
ば則ち鳴き、入らざれば則ち止む。門無く毒
無く。一宅して已(や)むを得ざるに寓(ぐう)
すれば。則ち幾(ちか)し。迹を絶つは易く地
を行く無きは難し。人に使(せ)しめらるゝは
以て僞(いつわり)易く、天に使(せ)しめら
るゝは以て僞(いつわり)難し。翼有るを以て
飛ぶ者を聞く。未だ翼無きを以て飛ぶ者を聞
かざるなり。知有るを以て知る者を聞く。未
だ知無きを以て知る者を聞かざる也。彼の關
(かん)を瞻(みる)に。虚室は白を生ず。吉祥
(きっしゃう)は止まるに止まる。夫れ且(しば
らく)止まざる是を之れ坐馳と謂ふ。夫れ耳目
の内通するに徇(したが)ひて心知を外にすれ
ば、鬼神も將に來たり舎(やど)らんとす。而
るを況んや人をや。是れ萬物の化也、禹(う)
舜の紐(ちう)する所也、伏羲几蘧(ふっききき
ょ)の行うて終はる所。而るを況んや散たる者
をやと。

注:
未始得使:まだ仲尼(孔子)より使(せ)しむるを
 得る =その教えを受ける前
實自回:回の身は実に自ら回にして、己といふ
 もの存して虚なること能わざりしが、
未始有回也:始めより心身ともに忘れて回(己)
 無し
樊籠(はんろう):鳥籠。
若能入遊其樊而無感其名:汝今樊籠のような窮
 屈な世の中に処するに当たっては、世の浮
 き名を心に感ぜず。(虚名に動かされること
 なかれ)。別解説:汝衛國に入りて其の君に
 説くにも、衛君の名威に感じて心を動かす
 ことなかれ
入則鳴不入則止: 人にして若し己が言を用ふ
 る時は説き、然らざる時は止めよ
無門無毒:門を設けて強ひて人を引き入れよう
 とせず、薬を投じて強ひて人の疾を癒そう
 ともせず。
一宅:天地万物を一として包摂する大宅にあっ
 て物我の隔てなく
寓於不得已、則幾矣:已(や)むを得ずに、私心
 なく対処すれば、道に近いと言えましょう
絶迹易無行地難:人が深山に隠れて跡を絶つこ
 とは容易いが、俗世に在って事を成しなが
 ら其の跡をあらはさぬことは難しいことで
 ある。別解説:衛國に行かざるは易し、行き
 て禍患に罹らざるは難し。
瞻彼關者。虚室生白。:かの室中の孔(あな)を
 見よ。虚室に太陽の光が孔から差込み純白
 の虚を生じる。(心も虚一であれば 明を生
 じる=虚明)
吉祥止止:全ての人の吉祥は心が此の虚明の処
 に止まり、外に馳せないことによって得ら
 れる。
夫且不止是之謂坐馳: (心が虚明の処に)止まら
 なければ、身は茲(ここ)にあっても、心は
 馳去る。=坐馳
夫徇耳目内通而外於心知。:声は耳から、形は
 目から入って心知に通じても、心知が此れ
 と相関しなければ、虚明にして一点の他物
 を雜(まじ)へないようになる。
鬼神將來舎:此の様な処にこそ鬼神もやどり止
 まるであろう。
而況人乎:況や人が集まって化せられるのは言
 うまでもない。
是萬物之化也。万物生化(成長と変化)が行わ
 れるところ
紐:(物に応じ、民を化する)綱紀
伏羲•几蘧: 神話.伝説上の帝王。
所行終:終身依って以て行った所
散焉者:並々の人
(´・(ェ)・`)つ

932避難民のマジレスさん:2023/02/11(土) 00:52:42 ID:t/0iO56I0

くま質問
瞻彼闋者: 關を闋(ケツ、虚空)と表記するテキストも
あり、その場合、
虚空を観る= 瞑想により、虚空の暗闇に光がさして
(サマディに達して)、吉祥(多幸感)に包まれると、足
るを知る人の多幸感はじきにやむが、足るを知らざ
る者は囚われる。それを坐馳という。囚われずに更
に感覚器官を内側に向けて、視聴する際は心気を以
てし、感情や思考を心から駆逐することができるよ
うになれば、鬼神でも、その教えを請いに来るだろ
う。そのためにまず自分が其の境地に至ることが必
須であり、これは万物を感化する古代からの方法な
のである。みたいな解釈してみても良いでありまし
ょうか?
(´・(ェ)・`)b

933鬼和尚 ◆Yj52hBkdLM:2023/02/12(日) 00:26:20 ID:PyeThMGg0
↑そのような解釈でよいのじゃ。
心を空にして何も思わないことじゃな。

934鬼和尚 ◆Yj52hBkdLM:2023/02/12(日) 00:39:04 ID:PyeThMGg0
顔回はもはや我は無いからそれが虚ではないか、と聞いたのじゃ。

孔子はそれでよいといったのじゃ。
その国に入っても名声に囚われてはいかんというのじゃ。
求められた時だけ説くようにというのじゃ。

天地を一つの家として己を無くして説けば道に近いのじゃ。
自分のすることを人目につかないようにして、心を統一して何も思わない境地に入るのじゃ。

そうすれば吉祥がやってくるのじゃ。
心がそのように統一されていなければ身は止まっていても心は走り去るのじゃ。
心が統一されていれば何が見えても囚われないのじゃ。

そのようであれば鬼神も教えを聞きにくるのじゃ。
人も集まるのは当然なのじゃ。
これが万物の造られる所なのじゃ。
昔の聖人も実践していたのじゃ。
おぬしも実践すべきなのじゃ。


心を統一して俗世に囚われなければよいというのじゃな。
そうすれば人も話を聞きにくるというのじゃ。

935避難民のマジレスさん:2023/02/12(日) 07:12:31 ID:PxKMbDTM0
荘子43.
人間世第四(7)-1
葉公子高將使於齊。問於仲尼曰。王使諸梁也
甚重。齊之待使者。蓋將甚敬而不急。匹夫猶
未可動也。而況諸侯乎。吾甚慄之。子嘗語諸
梁也曰。凡事若小若大。寡不道以懽成。事若
不成。則必有人道之患。事若成。則必有陰陽
之患。若成若不成。而後無患者。唯有德者能
之。吾食也執粗而不臧。爨無欲清之人。今吾
朝受命。而夕飲冰。我其内熱與。吾未至乎事
之情。而既有陰陽之患矣。事若不成。必有人
道之患。是兩也。爲人臣者。不足以任之。子
其有以語我來。

葉公(せふこう)子高(しかう)將に齊に使(つ
かひ)せんとす。仲尼(ちうぢ)に問うて曰く。
王の諸梁を使ふや甚だ重し。齊の使者を待
つ。蓋し將に甚だ敬して而して急ならざらん
とす。匹夫猶ほ未だ動かすべからず。而るを
況んや諸侯をや。吾れは甚だ之を慄(お)そ
る。子嘗て諸梁に語れるあり曰く。凡そ事の
若しくは小若しくは大。道あらずして以て懽
成(くわんせい)すること寡(すく)なし。事
若し成らずんば則ち必ず人道の患(うれ)ひ
有り。事若し成らば則ち必ず陰陽の患ひ有
り。若くは成り若くは成らずして。而る後患
ひ無き者は、唯有徳者のみ之を能くすと。吾
が食や粗にして臧(よ)からざるを執り。爨
(サン、かまど)に清を欲するの無し。今吾
朝(あした)に命を受け、而して夕べに氷を
飲み。我其れ内熱せるか。吾未だ事の情に至
らずして而るに既に陰陽の患ひ有り。事若し
成らずんば。必ず人道の患ひ有らん。是れ両
(ふた)つなり。人の臣たる者以て之を任
(た)ふるに足らず。子其れ以て我に語る有れ
やと来たれ。

注:
葉公子高(沈諸梁):古代春秋戦国時代の楚の大
 夫。葉(しょう)を領地としていた楚の王族
待:(待つ、たいする):待遇する、もてなす。
匹夫: 一人のつまらない人間
未可動也: 他国の君主を動かすほどではない。
子:先生。孔子
懽成(クワンせい):お互いの懽心のみで成功
 する。懽:(よろこび)
人道之患: 重責の仕事が不成就の場合に問責
 されて、刑罰を受けるような心配事。
陰陽之患: 仕事が成就した場合は、成功して
 喜ぶ気持ち(陽)、君主の恩寵により周囲の
 状況が一変することへの恐れ(陰)、の二つ
 により、心身の健康を壊すことの心配。
臧(ゾウ):良い
爨(サン、かまど):炊(かし)ぐ、料理をする
清(セイ):涼しさ。
吾=子高
今吾朝受•••朝王から使命を受けて、心配で、
 氷を飲むほどに体が熱くなってきた
情:実情
両:二つ。人道の患いと陰陽の患い 
爲人臣者不足以任之:自分は家臣として使者の
 任務を成就させるのに十分な能力(徳)を身
 に付けていない。
(´・(ェ)・`)つ

くま質問。
第二 斉物論  >>894 あたりかでは、
聖人の境地は、孔子などにはわからないとしていた
のに、
第四 人間世 >>919 以降は、儒教のテキストであ
るかの様に、孔子の言を無批判に取り上げてるよう
でありますが、これは、後世の荘子あるいは道教の
見地から儒教を解釈してると言うことでありましょ
うか?
それとも、後世の儒者による、荘子の名を借りた創
作なのでありましょうか?

936鬼和尚 ◆Yj52hBkdLM:2023/02/13(月) 00:08:49 ID:BDyOzc.w0
↑ 一つ目のほうに近いのじゃ。
 荘子も最初は儒教を学んでいたのではないかと言われるのじゃ。
 真の儒教は道にあるとして孔子に語らせているのじゃろう。

937鬼和尚 ◆Yj52hBkdLM:2023/02/13(月) 00:12:29 ID:BDyOzc.w0

 葉公である子高が齊という国に使者として行こうとしたのじゃ。
 その前に孔子に聞いたのじゃ。

 王は自分を使者として齊に行かそうとしているが、それがうまくいかなかったらどうしようと言うのじゃ。
 うまくいくようなんかアドバイスが欲しいというのじゃ。

938避難民のマジレスさん:2023/02/13(月) 00:54:14 ID:zSUQYf220
荘子44.
人間世第四(7)-2
仲尼曰。天下有大戒二。其一命也。其一義
也。子之愛親命也。不可解於心。臣之事君義
也。無適而非君也。無所逃於天地之間。是之
謂大戒。是以夫事其親者。不擇地而安之。孝
之至也。夫事其君者。不擇事而安之。忠之盛
也。自事其心者。哀樂不易施於前。知其不可
奈何。而安之若命德之至也。爲人臣子者。固
有所不得已。行事之情。而忘其身。何暇至於
悦生而惡死。夫子其行可矣。

仲尼曰(のたま)はく天下に大戒二つ有り。其
の一は命なり其の一は義なり。子の親を愛す
るは命なり、心に解くるべからず。臣の君に
事(つか)ふるは義なり 適(ゆ)くとして君に
非ざるは無く。天地の間に逃るゝ所無し。是
れを之れ大戒と謂ふ。是を以て夫(か)の其の
親に事ふる者は地を択(えら)ばずして之に
安んず 。孝の至れるなり。夫れ其の君に事ふ
る者は事を択ばずして之に安んず 。忠の盛
(さかり)なるなり。自ら其の心に事ふる者
は哀楽前に易(か)はり施さず。其の奈何と
もすべからざるを知りて而して之に安んじて
命に若(したが)ふは徳の至なり。人の臣子爲
る者固より已むを得ざる所有り。事の情を行
うて而して其の身を忘る。何ぞ生を悦びて而
して死を悪むに至るにの暇あらん。夫子其れ
行きて可なり。

注:
仲尼:孔子の(あざな)。本名で呼び合うのは家
 族、師匠や上司などの目上の人に限られる
 曰(のたまわ)く。曰(いは)くの尊敬の
 訓読。仰った
戒:法、決まり事
命: 天の人に賦与するもの。運命。 
 両親は子供にとり初めての他者。人を思い
 やる根本であり、断ち切ることは出来ない
義:人の制裁して宜しきを得るを謂ふ。
 人が二人いれば自然に発生する相手への思
 いやりの気持ちの「仁(じん)」をもとに
 した世の中の筋道のこと。
無適而非君也•••: 他国に使いに行っても、君
 臣の間は人道の義より生じるものであり、
 その義からは天下のどこにいても、逃れら
 れない。
不擇地:地の険夷をえらばず 何処にいても、
 如何なる境地にあっても
不擇事:事の難易をえらばず どんな仕事でも
其心:親子の命(運命)と君臣の義を大切に思う
 気持ち
哀樂不易施於前:哀楽が目前に来るるも、命と
 義を大切に思う気持ちは変わらない。
爲人臣子者固有所不得已:人の臣たる、子たる
 者は、已めんと欲す 
不得已:理の必然なる者。
情:=實(情)
(´・(ェ)・`)つ

939鬼和尚 ◆Yj52hBkdLM:2023/02/14(火) 00:09:33 ID:8wF65BoE0
孔子は言ったのじゃ。
天下の人が従うべき法が二つあるのじゃ。
命と義なのじゃ。

命とは子が親を愛するこころなのじゃ。
義とは臣下が王に仕える心なのじゃ。
事の成否は考えずただ忠誠を尽くせばよいのじゃ。
すぐいくとよいのじゃ。



つまり自分の仕事がうまくいくかどうかと考えるのは、まだ自分の欲があるというのじゃな。
うまくいって認められたいとか、出世して金を儲けたいとかなのじゃ。
そんなことを考えると仕事がうまくいくか気になるのじゃ。
ただ忠誠をつくすつもりでいけば何も気にならないというのじゃ。

940避難民のマジレスさん:2023/02/14(火) 01:11:02 ID:ol7QpU0U0
荘子45.
人間世第四(8-1)
丘請復以所聞。凡交近則必相靡以信。遠則必
忠之以言。言必或傳之。夫傳兩喜兩怒之言。
天下之難者也。凡兩喜必多溢美之言。兩怒必
多溢惡之言。凡溢之類也妄。妄則其信也莫。
莫則傳言者殃。故法言曰。傳其常情。無傳其
溢言。則幾乎全。且以巧闘力者。始乎陽。常
卒乎陰。泰至則多竒巧。以禮飲酒者。始乎
治。常卒乎亂。泰至則多竒樂。凡事亦然。始
乎諒。常卒乎鄙。其作始也簡。其將畢也必
巨。

丘請う復(また)聞く所を以てせん。凡そ交
り近ければ則ち必ず相靡(したが)ふに信を
以てし。遠ければ則ち必ず之を忠(まこと)に
するに言(ことば)を以てす。言は必ず之を伝
ふるあり。夫れ両喜両怒(りゃうき)の言を伝
ふるは。天下の難き者なり。凡そ両喜は必ず
溢美(いつび)の言多く。両怒は必ず溢悪
(いつあく)の言多し。凡そ溢(いつ)の類
(たぐい)は妄なり。妄なれば則ち其の之を
信ずるや莫し。莫ければ則ち言を伝ふる者殃
(わう)あり。故に法言に曰く。其の常情を
伝へて。其の溢言(いつげん)を伝ふる無け
れば。則ち全きに幾(ちか)しと。且つ巧を
以て力を闘はす者。陽に始まりて。常に陰に
卒(お)わり。泰(たい)至らば則ち奇巧
(きこう)多し。礼を以て酒を飲む者。治に
始まり。常に乱に卒わり。泰至らば則ち奇楽
多し。凡そ事亦然り。諒(まこと)に始まり
て。常に鄙(ひ)に卒わる。其の作(おこ)
る始めや簡。其の将に畢(おわ)らんとする
や必ず巨。

注:
丘:孔子が本名(丘) を名乗ったのは、へりくだ
 って王族である子高に敬意を表した
靡(ビ);従う 。
凡交近則必。相靡以信;本国内では信頼関係
 があるので、辞命(使者の口上)は用いなく
 ても、符辛(しょうこ)さえ見せれば、直ぐ
 に順う。別解説:お互いに従うのは信頼関係
 だ。お互いに信 義を守ろう
遠則必忠之以言;遠い他国では、忠(まこと)
 を伝えるには、必ず、辞命を以てしなけれ
 ばならない。別解説、自分の真心を伝える
 ために言葉を用いる。
夫傳兩喜兩怒之言;(他国との交渉で二人の君
 主が)両方喜び又は怒るような言葉を伝える
多溢美之言;褒め過ぎ、良い事を大げさに伝
 える。
多溢惡之言;誹り過ぎ、悪い事を大げさに伝
 える。
凡溢之類也妄;當を過ぎた言は妄誕(もうた
 ん、でたらめ)に流れる。
傳言者殃;その言葉を伝えた者は殃(わざわ
 ひ)に遇ふ
法言: =格言。世の中の法則となる言葉。
傳其常情。無傳其溢言。則幾乎全:真実を言ひ
 伝へて、美言も悪言も当を過ぎなければ、
 殃を免れて、その身はほぼ安全だろう。
以巧闘力者。始乎陽。常卒乎陰。泰至則多竒
 巧;戯れて相撲を取る時は陽気であるが、
 果てにはいつも怒って相撃つやうな陰気な
 ものとなり、甚だしくは互いに秘技を尽く
 して相殺傷するやうな大事に立ち至るので
 ある。
亂:乱痴気騒ぎ
多竒樂:飛んでもない醜態を晒す
始乎諒。常卒乎鄙:始めは誠実を尽くすが、終
 には薄情になり、疎遠になるのが常である
其作始也簡。其將畢也必巨:事を為すに当た
 り、始めを良いかげんのことをしておけ
 ば、終には放漫にして収拾すべからざるも
 のになってしまふ
(´・(ェ)・`)つ

941鬼和尚 ◆Yj52hBkdLM:2023/02/14(火) 23:04:16 ID:hLryzn.s0
孔子はさらに言ったのじゃ。
遠くの国に使いして書を送れば、善い事も悪いことも言い過ぎになるのじゃ。
真実を伝えて良いことも悪いこともいいすぎないようにするのじゃ。

相撲とか酒宴は初めはよいが後には乱れるのじや。
注意するとよいのじゃ。


真実だけを語れということじゃな。

942避難民のマジレスさん:2023/02/15(水) 04:29:34 ID:4ixyk9zg0
荘子46.
人間世第四(8-2)
言者風波也。行者實喪也。夫風波易以動。實
喪易以危。故忿設無由。巧言偏辭。獸死不擇
音。氣息茀然。於是並生心厲。剋核太至。則
必有不肖之心應之。而不知其然也。苟爲不知
其然也。孰知其所終。故法言曰。無遷令。無
勸成。過度益也。遷令勸成殆事。美成在久。
惡成不及改。可不慎與。且夫乘物以遊心。託
不得已。以養中至矣。何作爲報也。莫若爲致
命。此其難者。
 
言(げん)は 風波なり。行(かう)は実喪(さう)
なり。夫れ風波は以て動き易く。実喪は以て
危ふかり易し。故に忿(いか)りの設(おこ)る
は由(よし)無し。巧言偏辞(へんじ)なり。獣
死せんとするとき音(おん)を択ばず。気息茀
然(ふつぜん)たり。是に於て並びに心厲(し
んれい)を生ず。剋核(こっかく)太(はな
は)だ至れば。則ち必ず不肖の心ありて之に
応じて。而して其の然るを知らざるなり。苟
(いやし)くも其の然るを知らずと爲さば。孰
(た)れか其の終る所を知らん。故に法言に
曰く。令を遷(うつ)す無れ。成るを勧むる無
れ。度を過ぎれば益(ます)なりと。令を遷
(うつ)して成るを勧むるは殆事(たいじ)
なり。美の成るは久しきに在り。悪の成れる
は改むるに及ばず。慎まざるべけんや。且つ
夫れ物に乗じて以て心を遊ばしめ。已むを得
ざるに託して。以て中(ちう)を養はば至れ
り。何をか作爲して報ぜんや。命を致すを爲
すに若(し)くは莫し。此れ其の難き者なり

 
注:
言者風波也。行者實喪也。夫風波易以動。實
 喪易以危;言は風波のように動き易く、行
 は初心失い易く、従って身を危うくし易い
 ものであるから、言行には注意すべし。
忿設無由;憤怒の情が起こるのに別の理由は
 ない。
巧言偏辭:口先の巧みな言葉や、一面的な言葉
獸死〜心厲:獣は死ぬ時、鳴き叫び、呼吸荒げ
 て顔色を変え、心が激しく動揺して傷つく
剋核太至: 激しく自分を責める、激しく後悔
 する。心厲;別読み、心の厲(はげ)しき
 を生ず。
則必有不肖之心應之;不肖;親に似ないで修
 養が未熟である。良くない。(激しく自分を
 責めることで、かえって)良くない心が起こ
 ってきて
而不知其然也;どうしてそんな気持ちが起こ
 るかを自覚しなくなる。
遷令勸成殆事: 命令から外れたことをして、
 無理に成功させようと余計なことを述べ
 ると、(使者自身や主君に)災難が及ぶ
美成在久。惡成不及改。可不慎與;成功する
 のは、時間をかけた計画に原因がある。悪
 いことが起きてしまったら、それを改める
 ことは出来ない。慎まないではいられまい
且夫乘物以遊心;自分の任務を一つの道の修
 養の機会ととらえて、空っぽな心で専一に
 道に取り組んで、その中で自由な境地を得
 るとよい。
託不得已;そうすることが望ましい物事に託
 して
以養中至矣;極端な言動をせずに相手と調和
 していく心を養えば十分である。
何作爲報也;どうして余計なことを言う必要
 があるでしょうか
莫若爲致命;命令通りに行うに越したことは
 ない
(´・(ェ)・`)つ

943鬼和尚 ◆Yj52hBkdLM:2023/02/15(水) 22:47:41 ID:CCmJoy9.0

 言葉は風や波のように移ろいやすいものじゃ。
 行き違いで怒りも起こったりするのじゃ。
 それゆえに法言には「君主の命令をかえることなく、自分の考えで語ってはいかん」
 と、言うのじゃ。

 よい事は長く準備しなければできず、悪いことはすぐにできるのじゃ。
 物事が自然になっていくのに身を任せ、自然に託して自分は心の静養に勤めれば至上といえるのじゃ。
 なかなか難しいことであるがのうじゃ。



 他国に使いするには君主の言葉通りに伝えて自分の考えをいれてはいけないというのじゃな。
 仕事がうまくいくかどうかは自然に任せて自分は心を養うようにというのじゃ。
 難しいことじゃ。

944避難民のマジレスさん:2023/02/16(木) 01:42:17 ID:W.FJbwjY0
荘子47.
人間世第四(9)
顏闔將傅衛靈公太子。而問於蘧伯玉曰。有人
於此。其德天殺。與之爲無方。則危吾國。與
之爲有方。則危吾身。其知適足以知人之過。
而不知其所以過。若然者吾奈之何。蘧伯玉曰
善哉問乎。戒之慎之正汝身也哉。形莫若就。
心莫若和。雖然之二者有患。就不欲入。和不
欲出。形就而入且爲顛爲滅爲崩爲蹶。心和而
出且爲聲爲名爲妖爲孽。彼且爲嬰兒亦與之爲
嬰兒。彼且爲無町畦亦與之爲無町畦。彼且爲
無崖亦與之爲無崖。達之入於無疵。

顏闔(がんかう)將に衛の靈公の太子に傅(ふ)
たらんとして。蘧伯玉(きょはくぎょく)に問
ふて曰く。此に人有り。其の德天殺なり。之
と無方を爲せば。則ち吾國を危くし。之と有
方を爲せば。則ち吾身を危くす。其知は適(ま
さ)に以て人の過ちを知るに足れども。而も其
の過つ所以を知らず。然る若き者は吾れ之を
奈何(いかん)せんと。蘧伯玉曰く善い哉問
や。戒め慎み汝の身を正せよや。形(けい)は
就くに若くは莫く。心は和するに若くは莫
し。然りと雖も之の二者も患(うれひ)有り。
就くも入るを欲せず。和するも出づるを欲せ
ず。形就いて而して入らば且(まさ)に顛(て
ん)爲(た)り滅爲り崩爲り蹶(けつ)爲らんと
す。心和して而して出づれば且に聲爲り名爲
り妖(やう)爲り孽(けつ)爲らんとす。彼且に
嬰兒爲らんとせば亦之とともに嬰兒爲れ。彼
且に無町畦(むちやうけい)為らんとせば亦之
とともに無町畦を爲れ。彼且に無崖爲らんと
せば亦之とともに無崖爲れ。之を達して無疵
(し)に入れよ。

注:
顔闔(がんかう): 魯の賢人
太子:皇帝の後継。蒯聵(かいがい)
傅(ふ):守(もり)役、 
蘧伯玉:衛の賢大夫 大夫:領地持ち貴族
有人於此:ひと=太子
天殺:天賦の性は薄悪で、別解説、天の霜を隕
 (おと)して草を殺すが如きを謂ふ。惨酷(サ
 ンコク、むごい)、残忍
與之為無方:其の無法に任せたならば(国家を
 危うくし)。別解説、これ(太子)に逆らはな
 ければ、
與之爲有方: 之を直諫(ちょっかん)して、法
 度あるやうにしようとすれば、(我身を危う  
 くする)。別解説、逆らへば、
形莫若就。心莫若和;外形は彼の為すままに
 順ひ、内心は彼の過失を宥(なだ)め和らげ
 て、善化するのが一番です。
就不欲入。和不欲出;彼に就き従って而も悪
 に入らず、善導せんとして迹が外に現はれ
 ないようにしなければならない。
形就而入且爲顛爲滅爲崩爲蹶;彼に順って悪 
 に入れば、破滅して崩れ去るでありましょ
 う。 顛;逆さになる。ひっくり返る 
 蹶;つまずく、たおれる
心和而出且爲聲爲名爲妖爲孽;彼を導く迹が
 外に現れたならば、彼の悪声不祥を為し
 て、禍を招くでありましょう。 妖、孽;
 妖しい禍、不吉なこと
無町畦;町、畦共に区間。無町畦=区画、差
 別を設けざるをいふ。→放逸、勝手気まま
無崖;崖→ 涯、区画の無きこと。無町畦と同
彼が無町畦無 涯之妄動を為せば、これに従い
 て、其の意に逆らはず、彼の意に悖(もと)
 らず、而も瞑暝の間之を導きて躍然として
 醒悟せしめ、以て疵無きの地に入らしむべ
 し。
(´・(ェ)・`)つ

945鬼和尚 ◆Yj52hBkdLM:2023/02/17(金) 00:12:06 ID:DcuP69ss0
顏闔というものが霊公の太子のお守り.役になろうとしたとき、賢者のきょはくぎょくに聞いたというのじゃ。
他人の悪いところばかり見てるような悪人をどすればよいのかと。

答えたのじゃ。
まずは自分の身を諌め慎むべきだというのじゃ。
そして同じように行動するとよいというのじゃ。



いきなり教えるよりもまずは同じような行いで警戒心を和らげるというのじゃな。

946避難民のマジレスさん:2023/02/17(金) 09:44:11 ID:VTRr9W6g0
荘子48.
人間世第四(10)
汝不知螳螂乎。怒其臂以當車轍。不知其不勝
任也。是其才之美者也。戒之慎之。積伐而美
者。以犯之幾矣。汝不知夫養虎者乎。不敢以
生物與之。爲其殺之之怒也。不敢以全物與
之。爲其決之之怒也。時其饑飽。達其怒心。
虎之與人異類。而媚養己者順也。故其殺者逆
也。夫愛馬者。以筐盛矢以蜄盛溺。適有蚊
虻僕緣。而拊之不時。則缺銜毀首碎胸。意有
所至。而愛有所亡。可不慎邪。

汝は夫(か)の螳螂(たうらう)を知らざるか。
其の臂(ひぢ)を怒らして以て車轍に当る。其
の任に勝(た)へざるを知らざる也。其の才の
美を是とする者也。之を戒め之を慎めよ。而
(なんぢ)が美なる者を積伐(せきばつ)して。
以て犯せば幾(あやふ)し。汝は夫(か)の虎を
養ふ者を知らざるか。敢へて生物を以て之に
与へざるは。其の之を殺すに怒るが爲也。敢
へて全物を以て之に与へざるは。其の之を決
(さ)くに怒るが爲也。其の饑飽(きはう)を時
にし其の怒(ど)心を達す。虎の人と類を異に
するも、己を養ふ者に媚ぶるは順也。故に其
の殺す者は逆也。夫(か)の馬を愛する者筐(き
やう)を以て矢(し)を盛り蜄(しん)を以て溺
(ねう)を盛る。適(たまた)ま蚊虻(ぶんまう)
の僕緣(ぼくえん)する有りて、之を拊(う)つ
に時ならざれば,則ち銜(くつわ)を缺(か)き
首を毀(こぼ)ち胸を碎(くだ)く。意至る所有
りて而して愛亡ふ所有り。慎まざる可けんや
と。

注:
蟷螂/螳螂/螳蜋(とうろう):かまきり
是其才之美者也;自らの才を戈(ほこ)る者
積伐而美者;もし汝が己の美点を戈って
以犯之幾矣;彼(の自尊心)を犯し諌めるなら
 ば、それは危ういことです。
時其饑飽。達其怒心;饑飽(飢えと満腹)を適
 度ににし、(性に逆らわずに)順に導いて、
 その怒心を殺ぐようにします。
故其殺者逆也;虎が生物を殺すのは、之に逆
 らうからです。
筐;竹器なり、籠
矢;糞なり
蜄;灰泥の器なり。貝の殻を焼きて灰と
 なし、これにて塗りたる物をいふ。大蛤の
 殻にて作れり便器
溺;小便
僕緣;群がり付く
不時;ふいに
缺;くじく
毀;そこなう
意有所至。而愛有所亡;意一時に至って暴怒
 を発する為であって、平生の愛も役に立た
 なくなってしまう
(´・(ェ)・`)つ

947鬼和尚 ◆Yj52hBkdLM:2023/02/17(金) 23:58:14 ID:7q5PNFbU0
自分の才能を誇る者はかまきりが馬車の車輪に挑むようなものというのじゃ。
たちまち潰されてしまうのじゃ。
そのような驕りをいさめるのじゃ。

 虎は生き物を与えて怒りを起こさないようにするのじゃ。
 馬もいきなり叩いたりすると暴走するから気をつけるのじゃ。

 そのように慎重に善導するとよいじゃ。



 人を導くには自ら奢らず、注意深くすることが大事というのじゃな。

948避難民のマジレスさん:2023/02/18(土) 00:59:41 ID:UjxQ2RQk0
荘子49.
人間世第四(10-1)
匠石之齊至於曲轅見櫟社樹。其大蔽牛。絜之
百圍。其高臨山十仞。而後有枝。其可以爲舟
者旁十數。觀者如市。匠伯不顧。遂行不輟。
弟子厭觀之。走及匠石。曰自吾執斧斤以隨夫
子。未嘗見材如此其美也。先生不肯觀。行不
輟何邪。曰已矣。勿言之矣。散木也。以爲舟
則沈。以爲棺槨則速腐。以第四器則速毀。以
爲門戶則液樠。以爲柱則蠹。是不材之木
也。無所可用。故能若是之壽也。

匠石(しやうせき)齊に行き曲轅(きよくえん)
に至りて櫟社(れきしや)の樹を見る。其の大
さ牛を蔽(おほふ)。之を絜(はか)るに百圍
(ゐ)あり。其の高さ山に臨むこと十仞(じん、
ひろ)にして。而して後枝有り。其の以て舟と
爲す可き者旁(かたへに)十數。觀る者市の如
し。匠伯(しやうはく)顧みず。遂に行きて輟
(や)まず。弟子(ていし)厭(あく)まで之を觀
て。走りて匠石に及ぶ。曰く吾斧斤(ふきん)
を執りて以て夫子に随ひてより。未だ嘗て材
の此の如く其れ美なるを見ざる也。先生肯(あ
へ)て觀ず。行きて輟(や)まざるは何ぞや。曰
く已(や)めよ。之を言ふ勿(なか)れ。散木
也。以て舟と爲せば則ち沈み。以て棺槨(くわ
んくわく)と爲せば則ち速に腐(くさ)れ。以て
器と爲せば則ち速かに毀(やぶ)れ。以て門戶
と爲せば則ち液樠(えきまん)す。以て柱と爲
せば則ち蠹(むしば)む。是れ不材の木也。用
ふ可き所無し。故に能く是の若きの壽あり
と。

注;
匠石;大工の棟梁 石
曲轅;土地名
櫟社;櫟:樹の名、これを樹(う)ゑて社として
 祀れるを謂ふ
絜;圓(まる)き物を測る器
百圍;両手で百抱え分の太さ
臨山;臨:上より見下す。山上につき出ること
仞(ひろ);両腕を広げた長さ、七(八)尺
旁;旁枝(ぼうし、わき枝)
散木;何の役にも立たない木
棺槨;棺桶
液樠;脂(やに)が流れ出る。樹液が、樹皮か
 らにじみ出る様。
(´・(ェ)・`)つ

949鬼和尚 ◆Yj52hBkdLM:2023/02/18(土) 23:13:10 ID:yEE7Y27U0
大工の棟梁の石が斉の国にいって社の大樹をみたというのじゃ。
しかし素通りしたのじゃ。
弟子がなんでこのでかい樹をきって材木にしないのかと聞いたのじゃ。
石はこの木はいかんというのじや。
船にすれば沈み、棺おけにすれば腐り、門戸にすれば樹液が出て柱にすれば虫が出る。
このように材木にならないから誰もからずに大木になったというのじゃ。



無用の用ということじゃな。
世間において誰にも使われないから却って長生きになるというのじゃ。

950避難民のマジレスさん:2023/02/19(日) 06:20:26 ID:AIZjCESs0
荘子50.
人間世第四(10-2)
匠石歸。櫟社見夢曰。汝將惡乎比予哉。若將
比予於文木邪。夫柤梨橘柚果蓏之屬。實熟則
剝。剝則辱。大枝折小枝泄。此以其能苦其生
者也。故不終其天年而中道夭。自掊擊於世俗
者也。物莫不若是。且予求無所可用久矣。幾
死乃今得之。爲予大用。使予也而有用。且得
有此大也邪。且也若與予也皆物也。奈何哉其
相物也。而幾死之散人又惡知散木。匠石覺而
診其夢。弟子曰趣取無用則為社何邪。曰密。
若無言。彼亦直寄焉。以爲不知己者詬厲也。
不爲社者且幾有翦乎。且也彼其所保與衆異。
而以義喩之不亦ぬ遠乎。

匠石歸る。櫟社(れきしゃ)夢に見(まみ)へて
曰く。汝將に惡んか予(われ)を比せんとする
や。若將(は)た予を文木に比するや。夫柤梨
橘柚果蓏(さりきつゆくわら)の屬。實熟すれ
ば則ち剝がれ。剝がるれば則ち辱しめらる。
大枝(たいし)は折られ小枝は泄(も)らさる。
此れ其の能を以て其の生を苦しむる者也。故
に其の天年を終へずして中道に夭(えう)する
は。自ら世俗に掊擊(ほうげき)せらるゝ者
也。物として是の若くならざる莫し。且つ予
れ用ふ可き所無きを求むる久し。死に幾(ち
か)くして。乃ち今之を得て。予が大用爲せ
り。予にして用あらしめば。且此の大を有す
るを得んや。且也(また)若ぢと予と皆物也。
奈何ぞ其れ相物とせんや。而ぢ死に幾(ちか)
きの散人又惡くんぞ散木を知らんと。匠石覺
めて其の夢を診(しん)す。弟子曰く用無きを
取るに趣(いそ)げるに。則ち社爲(た)るは何
ぞや。曰く密(ひそか)にせよ。若ぢは言ふ無
かれ。彼れ亦直にこれに寄す。己を知らざる
者の爲に詬厲(こうれい)せらるゝを以て也。
社と爲らざる者も且つ幾(ほと)んど翦(き)ら
るる有らんや。且や彼れ其の保つ所衆と異
り。而して義を以て之を喩とす亦遠からずや
と。

注:
將(は)た;もしかして、(他と関連させて)、
 やはり、
文木;有用の材
柤(こぼけ)、花梨(かりん)、橘(たちばな)、
 柚(ゆず)、果(樹木になる実)、蓏(つる草に
 なる実。西瓜)
辱;人の為にもぎ取られるのは木の耻辱なり
大枝折小枝泄;大枝は折り取られ、小枝は折
 られて生気を泄(も)らされる。
中道夭;中途で枯れてしまう
自掊擊於世俗者也;自ら招いて、世俗に打た
 れている(もがれ、おられる)のである。
散人散木;役立たずの人、木
奈何哉其相物也;お互いに同じ物ではない
 か。人でも木でもその間に何等高下優劣の
 別を立つべきでない。
彼亦直寄焉;社神が来て樹に寄ったのである
以爲不知己者詬厲也;樹は己を知らぬ社神に
 辱められてるとは思ふだろう。
 詬厲;詬:辱め也、厲:病なり
不爲社者且幾有翦乎;社とならなくとも、切
 り倒されるはずがない。
且也彼其所保與衆異;彼が身を保つは、全く
 無用による。彼の考えは世人とは異なり、
 有用を求めずして無用を求める。
喩;誉むるなり
而以義喩之不亦遠乎;世俗の考えで評価して
 誉めるのは、大きな間違いでありましょう
(´・(ェ)・`)つ

951鬼和尚 ◆Yj52hBkdLM:2023/02/20(月) 01:06:56 ID:OjmvG6no0
その夜に大工の夢にその木の霊たのじゃ。
わしは世間において無用であるから大きな用に役立っている、と言ったのじゃ。

弟子はそれを聞いてその木もそんなことをいうのは名誉を欲しているからじゃないかと、言ったのじゃ。
大工はそんなことはないというのじゃ。
それは人が社にしただけというのじゃ。



世間において無用であるから大用゛あるというのじゃな。
仏教で言う出世間の法なのじゃ。

952避難民のマジレスさん:2023/02/20(月) 01:37:34 ID:jL0uZpEQ0
荘子51.
人間世第四(11)
南伯子綦游乎商之丘。見大木焉。有異。結駟
千乘。隱將芘其所藾。子綦曰。此何木也
哉。此必有異材夫。仰而視其細枝。則拳曲而
不可爲棟梁。俯而視其大根。則軸解而不可為
棺槨。咶其葉則口爛而爲傷。嗅之則使人狂
酲三日而不已。子綦曰。此果不材之木也。以
至於此其大也。嗟乎神人以此不材。

南伯子綦(なんはくしき)商の丘に遊びて大木
を見る。異なる有り。結駟(けっし)千乘隱(か
く)れて將に其の藾(かけ)する所に芘(おほ)
はれんとす。子綦(しき)曰く。此れ何の木な
りや。此れは必ず異材ならんと。仰いで而し
て其の細枝を視れば、則ち拳曲(けんきょく)
にして以て棟梁と爲す可からず。俯して其の
大根を視れば。則ち軸解にして棺槨(くわんく
わく)と爲す可からず。其の葉を咶(ねぶ)れ
ば則ち口爛(ただ)れて傷を爲す。之を嗅げば
人をして狂酲(きやうてい)三日にして已まざ
らしむ。子綦曰く此れ果たして不材の木也。
以て此の其の大なるに至れる也。嗟乎(あゝ)
神人は之の不材を以てすと。

注;
南伯子綦;南郭子綦(荘子11.斉物論第二(1)
結駟千乘。隱將芘其所藾;結駟;駟馬4頭立
 ての馬車。四頭だての馬車が千台集まって
 も、その大木の陰にすっぽり隠れてしまう
 ほどである。
 藾:(ライ、かわらよもぎ)
 芘(ヒ(する)、おおう)
異材;珍しい木材、他の樹木と異なりたる材
 能あり、
拳曲;こぶこぶしている、曲がりかがまりた
 るを謂ふ
軸解;中は空虚
棺槨;棺(ひつぎ)
狂酲;酒に病むなり、二日酔い
不已;治らない
神人は不材の術を用ふるものであって、この
 不材こそ大材たる所以に他ならぬ。

人間世第四(12)
宋有荊氏者。宜楸柏桑。其拱把而上者。求狙
猴之杙者斬之。三圍四圍求高名之麗者斬之。
七圍八圍貴人富商之家求椫傍者斬之。故未
終其天命。而中道之夭於斧斤。此材之患也。
故解之以。牛之白顙者。與豚之亢鼻者。與人
有痔病者。不可以適河。此皆巫祝以知之矣。
所以為不祥也。此乃神人之所以為大祥也。

宋に荊氏といふ者有り。楸柏桑(しうはくさ
う)に宣(よ)し。其の拱把(きょうは)より上
なる者は狙猴(そこう)の杙(よく、くい)を求
むる者之れを斬る。三圍(ゐ)四圍は高名の麗
(れい)を求むる者之れを斬る。七圍八圍なる
は貴人富商の家樿傍(ぜんばう)を求むる者之
れ斬る。故に未だ其の天命を終えずして。中
道にして斧斤に夭(えう)せらるゝは。此れ才
の患(うれひ)也。故解に以(おも)へらく。牛
の白顙(はくさう)の者と豚の亢鼻(かうび)の
者と人の痔病(ぢびゃう)有る者と以て、河に
適(ゆ)く可からず。此れ皆巫祝(ふしゅく)以
て之を知れり。不祥と爲す所以なり。此れ乃
ち神人の大祥と爲す所以也。

注:
荊氏;地名
楸(きさげ)
拱把而上者;片手で握るよりやや太いもの
狙猴;猿
杙;(よく、くい) 止まり木
三圍四圍;幾抱えもあるもの
高名之麗;高名なる大家の屋棟
 麗は欐と通ず。梁(はり)。棟木。支
 柱。柱の上に渡して屋根を支える横木
樿傍;棺の一辺の全きものなり。即ち四方の
 囲みを一枚板にて作るを云ふ。
夭於斧斤。此才之患也;夭死するのは、皆世
 用に立つからである。
解:祭祀の時罪を解く為に読む文。
牛之白顙;額な白い牛(純ならず)
豚之亢鼻;鼻の上向いている豚(正ならず)
痔病;不浄の病ある
不可以適河;河に入れて祭ってはならない。巫祝(ふしゅく);神事をつかさどる者
不祥;不吉
(´・(ェ)・`)つ

953鬼和尚 ◆Yj52hBkdLM:2023/02/21(火) 00:25:10 ID:XLTFu2ss0
なんはくしきが商という国の丘に遊びにいったらでかい木があったのじゃ。
よくみてみたら何の役にも立たない木だったのじゃ。
そうであるから長く伐られないできたのじゃ。

よい木はどんどん材木として伐られてしまうというのじゃ。
病を持つものは却って生贄にされずに長生きするというのじゃ。


これもまた無用の用を説くものじゃな。
世間において無用なものが却って長生きになるというのじゃ。

954避難民のマジレスさん:2023/02/21(火) 05:59:50 ID:6f929Lw20
荘子52.
人間世第四(13-1)
支離疏者。頤隱於臍。肩高於頂。會撮指天。
五管在上。兩髀為脅。挫鍼治綫。足以糊口。
鼓筴播精。足以食十人。上徵武士。則支離攘
臂而游於其間。上有大役。則支離以有常疾不
受功。上與病者粟。則受三鍾與十束薪。
夫支離其形者。猶足以養其身以終天年。又況
支離其德者乎。

支離疏(そ)なる者。頤(おとがひ) 齊(ほぞ) を
隱し。肩は頂(うなじ)より高く。會撮(くわい
さい)は天を指す。五管上に在り。兩髀(ひ)
脅(あばら)と爲る。挫鍼(ざしん)と治繲(か
い)と。以て口を糊するに足る。筴(けふ)を
鼓(こ)し精を播する。以て十人を食(やしな
ふ)に足る。上武士を徵すれば。則ち支離臂
(ひぢ)を其の間に攘(かか)ぐ。上大役有れ
ば。則ち支離は常疾(じょうしつ)有るを以て
功を受けず。上病者に粟(ぞく、あわ)を与ふ
れば。則ち三鍾(しょう)と十束の薪(たきぎ)
とを受く。夫れ其の形に支離なる者。猶ほ以
て其の身を養ふて其の天年を終ふるに足る。
又況んや其の德を支離にする者をや。

注:
支離疏:せむしを病める人の名。障害者
頤(おとがひ):下あご、口
齊: 臍(ほぞ、へそ)と通ず  
會撮:髻(もとどり)=髷(まげ)の束ねた部分。
五管在上;五臓の位置は頭より上にあり
兩髀為脅;両腿(もも)を肋(あばら)とするほ
 ど頭と足とが接近している。
挫鍼: 鍼を磨く
治綫:洗濯をする
足以糊口;(自分だけなら)十分に生活できる
鼓筴播精;小さい箕をはたいて、糠と精米と
 を振い分ける仕事をすれば、十人の口を養
 ふに足る程である。箕(み);穀物の選別
 の際に殻や塵を取り除くための容器
上徵武士。則支離攘臂而游於其間;政府で徴
 兵之必要が起るときでも、(支離疏は召集を
 免れるので、喜び、誇って)ひじを張る。
上有大役。則支離以有常疾不受功;政府から
 労役を命じられる時も、常疾あるを以て役
 夫を免れる。
上與病者粟。則受三鍾與十束薪;官が病者に
 穀物等を与えるとなると、彼は特に米三鍾
 と十束の薪を貰う
支離其德者;徳を現さず、迹を絶つて世用と
 ならない様な偉い人。支離;分かれ離れる
こと。ばらばらになること

うむ。当時の生活振りが活写されており、興
味深いのである。障害者に対する福祉政策も
あったのでありますね。
(´・(ェ)・`)b

955鬼和尚 ◆Yj52hBkdLM:2023/02/21(火) 23:35:12 ID:RAzWwReg0
↑そのようじゃ。
 意外に慈悲を施していたのじゃな。


 支離疏という障害を持つ者がいたというのじゃ。
 しかし小さな仕事をして、時々は幕府から施し物があったりして十分に暮らせたのじゃ。
 兵隊にも、労役にもいかないですんだから却って長生きできたのじゃ。

 
 これもまた無用の用を説くものじゃな。
 世間において無用であるものが却って生を養うことができるというのじゃ。

956避難民のマジレスさん:2023/02/22(水) 03:46:40 ID:bnNgvEUw0
荘子53.
人間世第四(13-2)
孔子適楚。楚狂接輿游其門曰。鳳兮鳳兮。何
如德之衰也。來世不可待。往世不可追也。天
下有道聖人成焉。天下無道聖人生焉。方今之
時僅免刑焉。福輕乎羽莫之知載。禍重乎地莫
之知避。已乎已乎。臨人以德。殆乎殆乎。畫
地而趨。迷陽迷陽。無傷吾行。吾行郤曲。無
傷吾足。
山木自寇也。膏火自煎也。桂可食故伐之。漆
可用故割之。人皆知有用之用。而莫知無用之
用也。

孔子楚に適(ゆ)く。楚の狂接輿。其の門に游
びて曰く。鳳兮(や)鳳兮。何如ぞ德の衰へた
る也。來世は待つ可からず。往世(わうせい)
は追ふ可からざる也。天下道有れば。聖人成
す。天下道無ければ。聖人生く。今の時に方
(あたり)ては僅に刑を免れんのみ。福は羽よ
りも輕し。之を載(あ)ぐるを知る莫し。禍(わ
ざはひ)は地よりも重し。之を避くるを知る莫
し。已(や)みなんか已みなんか。人に臨むに
徳を以てす。殆(あやふ)いかな殆いかな。地
を畫(くわく)して而して趨(わし)る。迷陽
(めいやう)迷陽。吾が行くを傷(そこな)ふ無
し。吾が行くは郤曲(きゃくきょく)す。吾足
を傷(そこな)ふ無し。
山木は自ら寇(あだ)する也。膏火(かうくわ)
は自ら煎(い)る也。桂は食ふ可し故に之れ伐
らる。漆は用ふ可し故に之割かる。人皆有用
の用知りて而して無用の用を知る無き也。

注:
楚狂接輿;楚の国の狂人。接輿(せふよ)孔子
 の乗った輿(こし)に近づいた人、の意。 
來世不可待;将来の世に仮令(たと)ひ明君が
 出ても、之を待つことはできず、
往世不可追也;過去のことは追うても及ばぬ
 (参照 論語・卷九微子第十八 ;往者不可
 諫;過去は諫め正すことができない。來者
 猶可追;将来のことは、まだ追いかて、変
 更できる。)
天下有道聖人成焉;(明君が現れて)天下道あ
 れば、聖人は出て大に働き、
天下無道聖人生焉;天下道無く暗黒の時代に
 は、聖人は唯生を全うするだけで良い。
方今之時僅免刑焉;今の世であれば、唯僅か
 に刑を免れて、身を保てば良い。
 (参照 論語・今之從政者殆而:今の時代の
 政治に携わっている者は、滅亡が近い。)
福輕乎羽莫之知載;福は羽よりを軽く、得易
 きものなのに、之を受け載せるを知らず。
 (だれも拾おうとしない。)
禍重乎地莫之知避;禍は大地より重く、恐る
 べきものなのに、避くることを知らず。
已乎已乎:やめよやめよ(今の道無き世に於て)
臨人以德;賢徳を以て人の上に立とうとする
 のは、(已乎已乎)
殆乎殆乎;危(あやふ)い危い
畫地而趨;地に線を書きてこれに外れぬ様に
 走ると同じく、踏み行うべき道をこゝと定
 めて、この道に由りて行かんとするは、(殆
 乎殆乎)
迷陽; 山野に自生するいばら。蕨(わらび)。
 別字、迷佯。世を佯(いつわ)り狂う意。
無傷吾行。吾行郤曲。;(吾は其の芒刺(ぼう
 し=いばらの棘)に触れざる様に歩むを以
 て、)吾が進み行く足を傷(やぶ)ることなし
 郤曲(きやくきよく、ゲキキョク);曲が
 りくねって進む故に、
山木自寇也;かの山は、木を生ずるが為に自
 ら冦(あだ)し、 冦;危害を及ぼす
膏火自煎也;膏(あぶら)は火を引くが為に自
 ら煎る。
桂;肉桂(にっき、にっけい)香辛料

うむ。『來世不可待。〜方今之時僅免刑
焉。』の辺りは、論語のパロディみたいであ
りますね。孔子は、是非あるを前提として、
世に対する積極的な働きかけを説き、荘子
は、是も非も無く、ありのままの現実を素直
に受けとめれば良いのだと言ってるようであ
りますね。
(´・(ェ)・`)b

第四 人間世
(´・(ェ)・`)
(終わり)
次回より第五 徳充符

957鬼和尚 ◆Yj52hBkdLM:2023/02/23(木) 00:28:21 ID:lnBV6M1s0
接輿というものが狂人のふりをして孔子を批判したというのじゃ。

 徳によって乱世の権力者に説教するなど自分の身を危険にさらすだけだというのじゃ。
 有能であると知れれば他人に害されるのじゃ。
 有用の用を知って、無用の用を知らないからだというのじゃ。

958避難民のマジレスさん:2023/02/23(木) 03:57:07 ID:0AmAJfaI0
荘子54.
德充符 第五(1)
魯有兀者王駘。從之游者。與仲尼相若。常季
問於仲尼曰。王駘兀者也。從之游者。與夫子
中分魯。立不教。坐不議。虛而往。實而歸。
固有不言之教。無形而心成者邪。是何人也。
仲尼曰。夫子聖人也。丘也直後。而未往爾。
丘將以為師。而況不若丘者乎。奚假魯國。丘
將引天下而與從之。常季曰。彼兀者也。而王
先生。其與庸亦遠矣。若然者其用心也獨若之
何。仲尼曰。死生亦大矣。而不得與之變。雖
天地覆墜。亦將不與之遺。審乎無假。而不與
物遷。命物之化而守其宗也。常季曰。何謂
也。仲尼曰。自其異者視之。肝膽楚越也。自
其同者視之。萬物皆一也。夫若然者。且不知
耳目之所宜。而游心乎德之和。物視其所一。
而不見其所喪。視喪其足。猶遺土也。

魯に兀者王駘(こつしゃわうたい)有り。之に
從ふて游ぶ者仲尼と相若(し)く。常季(じゃう
き)仲尼に問ふて曰く王駘は兀者也。之に從ひ
て游ぶ者。夫子と魯を中分(ちうぶん)す。立
ちて教へず。坐して議せず。虛にして往き。
實にして歸る。固より不言の教あり。形無く
して心成れる者か。是れ何人ぞやと。仲尼曰
く。夫子は聖人也。丘や直(ただ)に後れて未
だ往かざる爾(のみ)。丘將に以て師とせんと
す。而るを況んや丘に若かざる者をや。奚ぞ
假(た)だ魯國のみならん。丘將に天下を引き
て與(とも)に之に從はんとすと。常季の曰
く。彼は兀者也。而るに王(わう)先生たり。
其れ庸と亦遠し。然るが若き者は其の心を用
ふるや獨り之を若何(いかん)と。仲尼曰く。
死生も亦大なり。而して之と變するを得ず。
天地覆墜(ふくつヰ)すと雖も。亦將に之と遺
(お)ちざらんとす。無假を審(つまびらか)に
して。物と遷(うつ)らず。物の化(くわ)を命
として其の宗(そう)を守る者也。常季曰く。
何の謂(いひ)ぞ也。仲尼曰く。其の異なる者
よりして之を視れば。肝膽(かんたん)も楚越
也。其の同じき者よりして之を視れば。萬物
皆一也。夫(か)の然るが若き者は。且(は)た
耳目の宜(すべ)き所知らずして。而して心を
德の和に游ばしむ。物其の一とする所視て。
而して其の喪ふ所を見ず。其の足を喪(うし
な)ふを視ること。猶ほ土を遺(おと)すがごと
し也。

注:
徳充符;符;形骸のこと。徳体内に充実し
 て、しかも外面にあらわれず、自然と冥一
 し、自ずから天下に推されて、事物に応和
 する。
 符;別解説、験なり。徳内に充ときは、外
 物に応じ効験あるをいふ。
兀者王駘;兀→介の誤写か?刖(あしき)られ
 た王駘。刖刑(げっけい)に処せられた者
游;学ぶ、教を受くる
與仲尼相若;孔子に匹敵するほど
常季;孔子の弟子
王:別読み、旺盛 勝(まさ)る
虛而往。實而歸;門人が始めて彼の許に往く
 際には、誰でも胸中無一物であるが帰ると
 きには十分智徳を充実して忽ち立派な人間
 になります。
固有不言之教。無形而心成者邪;昔から不言
 の教と云ふことがありますが、彼は形は不
 具でも心の徳は既に成就した者でせふか。
其與庸亦遠矣;凡庸の人とははるかに隔たっ
 たものでせう。
若然者其用心也獨若之何;此れ程までになる
 彼の修養はどうしたものでせうか。
死生亦大矣。而不得與之變;死生の変は人生
 の一大事であるが、彼は死生によって動ず
 ることなく 
遺;別読み、遺(のこ)せざらんとす
審乎無假;生命の真実(当然)を審らかにして
而不與物遷;万物自然の変移に任じ
命物之化而守其宗也;変化するのが命の運命
 であると覚り、少しも逆らわずして其の宗 
 本の道を守るからである。
自其異者視之;異なる視点から見れば、
肝膽楚越也;気が合わないと、近親の間柄の
 者どうしでも、疎遠な他人のようである。
夫若然者;王駘が其の様な境地に至ったのは
且不知耳目之所宜;耳目外物に接するも、此
 れに依り心を奪はれず、物の宜不宜を忘れ
而游心乎德之和;心を徳の至美至楽の処に遊
 ばしめ、
物視其所一;万物に就て其の一なる点を観る
 のみで
而不見其所喪;其の得喪を念頭に置かない
視喪其足;足を切られて失うことなど
猶遺土也;土塊をすてるくらいに思って、気
 にかけない。
(´・(ェ)・`)つ

959鬼和尚 ◆Yj52hBkdLM:2023/02/23(木) 23:52:37 ID:ms27sdcs0
王駘というものが魯の国におったというのじゃ。
常季は孔子に匹敵するほどのものだったというのじゃ。
孔子にどのような者かときくと聖人で自分も弟子になりたいとおもっていたというのじゃ。
生死をも一つの如くとみているのじゃ。
天地も滅しても滅びないというのじゃ。
全てを一つとしてみているのじゃ。
感覚器官も囚われず、足をなくしても気にならないというのじゃ。


王駘とは悟りを得た聖人であったというのじゃな。

960避難民のマジレスさん:2023/02/24(金) 00:01:45 ID:EogVsn/U0
荘子55.
德充符 第五(2)
常季曰。彼爲己。以其知得其心。以其心得其
常心。物何爲最之哉。仲尼曰。人莫鑑於流
水。而鑑於止水。唯止能止衆止。受命於地。
惟松柏獨也。在冬夏青々。受命於天。惟舜獨
也正。在萬物之首。幸能正生以正衆生。夫保
始之徵。不懼之實。勇士一人。雄入於九軍。
將求名而能自要者。而猶若是。而況官天地府
萬物。直寓六骸象耳目。一知之所知。而心未
嘗死者乎。彼且擇日而登假。人則從是也。彼
且何肯以物爲事乎。

常季曰く。彼の己を爲(おさむる)。其の知を
以て其の心を得。其の心を以て其の常心を
得。物何爲(す)れぞ之を最とするやと。仲尼
曰く。人流水に鑑みる莫くして。而して止水
に鑑む。唯止のみ能く衆止を止むればなり。
命を地に受くるは,惟(ただ)松柏獨り正し。
冬夏に在りて青々(せいせい)たり。命を天に
受くるには惟(ただ)舜獨りや正し。萬物の首
(はじめ)に在り。能く生を正して以て衆生を
正さんことを幸(ねが)ふ。夫れ始めを保つの
徵(ちょう)は。懼(おそれ)ざるの實なり。勇
士一人。雄九軍に入る。將に名を求めんとし
て能く自ら要する者すら。猶ほ是くの若し。
而るを況んや天地を官とし。萬物を府とし。
直ちに六骸を寓とし。耳目を象とし。知の知
る所一にして。而して心未だ嘗て死せざる者
をや。彼且に日を擇(えら)んで登假(とうか)
せんとし。人則ち是に從ふ也。彼且(は)た何
ぞ肯(あ)へて物を以て事と爲さんやと。


以其知得其心;自らの知慧を以て研(きわ)め
常心;安心の地
物何爲最之哉;(外物に頼らず、専ら自得によ
 り悟入して、功徳ある者として)最上とされ
 るのは何故か
唯止能止衆止;静止せるものにして始めて能
 く静止せるものを止め得べく、動揺せるも
 のは物を止むること能はざればなり。
鑑:別字、鑒。鏡のように見て手本とするも
 の。模範
夫保始之徵;保始;宗(根本法理)を守る証と
 して外に顕れて、
不懼之實;事に畏懼(いく)せざる徳として、
 実となる
官天地府萬物:天覆地載するを職と為し、万物
 を胸中に蓄積し。
 天覆地載(てんぷうちさい):天覆は天が上 
 から広くこの世の全てのものを覆うこと。
 地載は地が下からこの世の全てのものを載
 せて支えること。天地が全てのものを包み
 込むという意味から、様々なことを受け入
 れる、人としての器量の大きさをいう。
直寓六骸象耳目:形骸(身体)を仮のやどりと心
 得、耳目を用いてるも機械的にして、
一知之所知而心未嘗死者乎。: 其の知の知る
 所を専らにして他の事物には惑わされず、
 超然として、未だ嘗て形骸と共に死せざる
 者をや
擇日:佳日を選ぶことにて、近日の意なり
登假: 登は升なり假は至なり、後世人の死す
 ることを登假といへどもここは真の道に入
 るを云へるなり
(´・(ェ)・`)つ

961鬼和尚 ◆Yj52hBkdLM:2023/02/24(金) 23:40:57 ID:Xxbg0e8o0
常季はいったのじゃ。
彼は自分を知ることで悟ったのじゃ。
心で心を得たのじゃ。
なぜそんなことができたのかと、聞いたのじゃ。

孔子は言ったのじゃ。
流水では人は自らをみれないのじゃ。
とまった水に自分を移してみることができるのじゃ。
彼も自らの心を止めて己を知ったのじゃ。

恐れがなかったからなのじゃ。
そのような者が悟りを得るというのじゃ。

962避難民のマジレスさん:2023/02/25(土) 03:21:33 ID:1bYltfcA0

荘子56.
德充符 第五(3)
申徒嘉兀者也。而與鄭子產同師於伯昏無人。
子產謂申徒嘉曰。我先出則子止。子先出則我
止。其明日又與合堂同席而坐。子產謂申徒
嘉。曰我先出則子止。子先出則我止。今我將
出。子可以止乎。其未邪。且子見執政而不
違。子齊執政乎。申徒嘉曰先生之門固有執政
焉如此哉。子而說子之執政而後人者也。聞之
曰鑑明則塵垢不止止則不明也。久與賢人處則
無過。今子之所取大者先生也。而猶出言若
是。不亦過乎。子產曰。子既若是矣猶與堯爭
善。計子之德不足以自反邪。申徒嘉曰自狀其
過以不當亡者衆。不狀其過以不當存者寡。知
不可柰何而安之若命唯有德者能之。游於羿之
彀中中央者中地也。然而不中者命也。人以其
全足笑吾不全足者衆矣。我怫然而怒而適先生
之所則廢然而反。不知先生之洗我以善邪。吾
與夫子游十九年矣。而未嘗知吾兀者也。今子
與我游於形骸之內。而子索我於形骸之外。不
亦過乎。子產蹴然改容更貌曰。子無乃稱。

申徒嘉(しんとか)は兀者(こつしゃ)也。而し
て鄭の子產と同じく伯昏無人を師とす。子產
申徒嘉に謂ひて曰く。我先づ出づれば則ち子
止まれ。子先づ出づれば則ち我止まらんと。
其の明日又與(とも)に合堂同席して坐す。子
產申徒嘉に謂ひて曰く。我先づ出づれば則ち
子止まれ。子先づ出づれば則ち我止まらん
と。今我れ將に出でんとす。子以て止まる可
きか。其れ未だしか。且つ子執政を見て違
(さ)らず。子は執政に齊(ひと)しきかと。申
徒嘉曰く先生の門に固より執政有り焉(いずく
んぞ)此の如からんや。子は子の執政を說(よ
ろこ)びて、而して人を後にする者也。之を聞
く曰く。鑑(かがみ)明らかなれば則ち塵垢(ぢ
んこう)止まらず。止まれば則ち明らかならざ
る也。久しく賢人と處(を)れば則ち過(あやま
ち)無しと。今子の取って大とする所の者は先
生也。而も猶ほ言を出すこと是(かく)の若
し。亦た過(あやま)たずやと。子產曰く。子
既に是の若し猶ほ堯と善を争はんとす。子の
德を計るに、以て自ら反(かへ)るに足らざる
かと。申徒嘉曰く。自ら其の過ちを狀(じゃ
う)して。亡(うしな)ふ當(べ)からずと以(お
も)へる者は衆(おお)し。其の過ちを狀せずし
て。存す當(べ)からずと以(おも)へる者は寡
(すくな)し。奈何ともすべからざるを知っ
て。而して之に安んじて命に若(したが)ふは
惟(ただ)有德者のみ之を能くす。羿(げい)の
彀中(こくちう)に游ぶ。中央は中(あたる)の
地也。然り而して中らざる者は命也。人其の
足を全(まっとう)するを以て。吾が足を全う
せざるを笑ふ者衆(おお)し。我怫然として而
して怒る。而かも先生の所に適(ゆ)けば。則
ち廢然(はいぜん)として而して反(かへ)る。
知らず。先生の我を洗ふに善を以てすれば
か。吾れ夫子と游ぶこと十九年にして。而し
て未だ嘗て吾が兀者なるを知らざる也。今子
と我と形骸の內に游ぶ。而して子我を形骸の
外に索(もと)む。亦た過(あやま)たずやと。
子產蹴然(しゅくぜん)として容(かたち)を改
め貌(かたち)を更(かへ)て曰く。子乃ち稱す
ること無かれと。
(´・(ェ)・`)
(つづく)

963避難民のマジレスさん:2023/02/25(土) 03:23:52 ID:1bYltfcA0
注:
申徒嘉、伯昏無人、共に仮設の人物ならん。
兀者:=刖者:介(カイ):足(足首)を切断する
 刑罰=刖(げつ)刑を受けた者。
子產: (しさん、? - 前522年)春秋時代の鄭
 に仕えた政治家。善政を行った。
違:避なり
執政:大夫なり。大夫: (たいふ) 周代から春秋
 戦国時代の身分。領地を持った貴族。
鑑:別字、鑒
不足以自反邪:別読み、以て自ら反(かへ)るに
 足らずや。以て自ら反(はん)するに足らざ
 るか。
狀:述なり
不當亡:足を亡(うしなふ) 當(べ)からず、なり
以:思の義なり
羿(げい):古代神話伝説中の弓の名人。
彀(こう):弓を引き絞りたる所
中央:其のねらひを定めし所
中地:必ず箭(や)の当たるべき地なり
游於羿之彀中中央者中地也。然而不中者命也:
 弓の名人の羿が狙いを定めたのは、必ず当
 るはずの地である。然れども当らざるとあ
 るのは天命である。技の拙なるに非ず。
廢然:自失の貌
反:帰なり
形骸之內:徳なり、心なり
蹴然:立って安からざる貌
今子與我游於形骸之內:今子、同門の先生の教
 えを受けている。先生の学は内徳を養成す
 るにある。
索我於形骸之外:姿形にもとめ、(片足なるこ
 とを卑しめる)
無乃稱:もう仰らないで下さい。
(´・(ェ)・`)つ

964鬼和尚 ◆Yj52hBkdLM:2023/02/25(土) 23:19:19 ID:yMiv87kc0
申徒嘉という者もけいをうけた者だったのじゃ。
鄭の執政である子産と同じく伯昏無人の弟子だったのじゃ。

子産は申徒嘉に、自分と同じく宿をでるなといったのじゃ。
申徒嘉が無視していると、刑を受けたおぬしが執政のわしと同じように出るのはいかんとか言ったのじゃ。

申徒嘉は伯昏無人はそんなことを教えなかったというのじゃ。
肉体を忘れて心が大事だというのじゃ。
子産は恥じ入って謝罪したのじゃ。


体より心が大事ということじゃな。

965避難民のマジレスさん:2023/02/26(日) 00:40:49 ID:tDYA.BS60
荘子57.
德充符 第五(4)
魯有兀者叔山無趾。踵見仲尼。仲尼曰。子不
謹。前既犯患若是矣。雖今來何及矣。無趾
曰。吾唯不知務而輕用吾身。吾是以亡足。今
吾來也。猶有尊足者存。吾是以務全之也。夫
天無不覆。地無不載。吾以夫子爲天地。安知
夫子之猶若是也。孔子曰。丘則陋矣。夫子胡
不入乎。請講以所聞。無趾出。孔子曰。弟子
勉之。夫無趾兀者也。猶務學以復補前行之
惡。而況全德之人乎。無趾語老聃曰。孔丘之
於至人。其未邪。彼何賓賓以學子為。彼且蘄
以諔詭幻怪之名聞。不知至人之以是為己
桎梏邪。老聃曰。胡不直使彼以死生為一條、
以可不可為一貫者、解其桎梏、其可乎。無趾
曰。天刑之。安可解。

魯(ろ)に兀者(こつしゃ)叔山無趾(しゅくざ
んむし) 有り。踵(くびす、しょう)して仲尼
に見(まみ)ゆ。仲尼曰く。子謹まず。前(さ
き)に既に患(うれ)ひを犯すこと是(かく)の
若し。今来ると雖も。何ぞ及ばん。無趾曰
く。吾れ唯だ務を知らずして而して輕(かろが
ろ)しく吾が身を用ひ。吾れ是を以て足を亡
(うしな)へり。今吾が來るは。猶ほ足より尊
(たふと)き者有りて存すればなり。吾れ是を
以て之を全(まつとふ)するを務めんとす。夫
れ天は覆(おほ)はざるなく。地載せざるな
し。吾れ夫子を以て天地と爲す。安(いづく)
んぞ夫子の猶ほ是の若くなるを知らんやと。
孔子曰く丘は則ち陋(いや)し。夫子胡(なん)
ぞ入らざるや。請ふ講ずるに聞く所を以てせ
んと。無趾出づ。孔子曰く。弟子之を勉め
よ。夫(か)の無趾は兀者也。猶ほ學を務めて
以て前行の惡を復補せんとす。而るを況んや
全德の人をやと。無趾老聃(らうたん)に語っ
て曰く。孔丘の至人に於ける。其れ未しか。
彼れ何ぞ賓賓(ひんひん)として學子を以て爲
(す)と。彼れ且に諔詭幻怪((しゅくきげんく
わい)の名を以て聞こえんことを蘄(もと)めん
とす。至人是を以て己が桎梏(しっこく)と爲
すを知らざるかと。老聃曰く。胡(なん)ぞ直
に彼の死生を以て一條と爲し、可不可を以て
一貫と爲す者をして、其の桎梏を解かしめず
して、其れ可ならんや。無趾曰く。天之を刑
す。安んぞ解くべけん。

注:
踵:かかとでいざり歩いて、
陋(ロウ・いやしい):せまい(場所、心、知識)
安知夫子之猶若是也;流石に私の兀者である
 が為に、斯くの如擯斥(ひんせき)なさると
 は、思いの外でありました。
 擯斥;のけものにすること。排斥
 陋(ロウ・いやしい):せまい、見識が浅陋
請講以所聞;私の聞き及んだ所を御話致し度
 う御座います。
無趾出;無趾が話を聞き終わり帰った後で、
老聃;聃は老子の諡(おくりな)

肝冷斎先生訳
孔丘くんは「至人」(最高の人間)というこ
 とについては、まだまだですなあ。
 彼はずいぶんしきりにあなたのことを学ん
 でいるようだが、どうやら(最高の人間の
 方から見たら)奇怪で異常で空虚で夢幻の
 ようなものでしかない「名声」を求めてい
 るようです。最高人間である「至人」から
 すれば、そのようなものは自分の手枷足枷
 にしかならない、ということがわからない
 ようですな」
 「ほうほう」老聃、頷きながら言う、
 「それならどうして、あいつに「死」と
 「生」とは一本の枝であり、「すべき」と
 「すべきでない」は一つながりのものであ
 ることを直接わからせてやらんのですか
 な。あいつの手枷足枷を外してやればよろ
 しかろうに」
 無趾曰く、
 「天があいつを罰しているのです。どうし
 て外してやることができましょうか」
彼何賓賓以學子為;別訳、彼は何故あんなに
 盛んに学徒に教えるのを事とするのか

うむ。荘子は孔子をこの様に見ているのであ
りますね。ちょぴっと意地悪っぽくもありま
すが、自ら気付けぬ者は放っておくしかない
というのが、荘子の考えでありましょうか
ね。
(´・(ェ)・`)b

966鬼和尚 ◆Yj52hBkdLM:2023/02/26(日) 23:50:50 ID:uz16vYR60
↑ そうじゃろう。
 実際に孔子は仕官を求めていろろいな国をまわっていたのであるからのう。
 名声欲を捨てられなかったのじゃ。

 悟りの境地にはまだ遠いものだったのじゃ。

967避難民のマジレスさん:2023/02/27(月) 04:00:21 ID:5e.cw8eU0
荘子58.
德充符 第五(5-1)
魯哀公問於仲尼曰。衛有惡人焉。曰哀駘它。
丈夫與之處者。思而不能去也。婦人見之。請
於父母曰。與爲人妻寧爲夫子之妾者。十數而
未止也。未嘗聞有其唱者也。常和人而已矣。
無君人之位、以濟乎人之死。無聚祿以望人之
腹。又以惡駭天下。和而不唱。知不出乎四
域。且而雌雄合乎前。是必有異乎人者也。寡
人召而觀之。果以惡駭天下。與寡人處。不至
以月數。而寡人有意乎其爲人也。不至乎期
年。而寡人信之。國無宰。寡人傳國焉。悶然
而後應。泛而若辭。寡人醜乎卒授之國。無幾
何也。去寡人而行。寡人恤焉。若有亡也。若
無與樂是國也。是何人者也。

魯の哀公仲尼に問うて曰く。衛に惡人有り。
哀駘它(あいたいだ)と曰(い)ふ。丈夫の之と
處(を)る者。思うて去ること能はざる也。婦
人之を見れば。父母に請うて、人に妻爲らん
よりは寧(むし)ろ夫子の妾(せん)爲(た)らん
と曰(い)ふ者。十數にして未だ止まらざる
也。未だ嘗て其の唱ふるを聞くこと有らず。
常に和するのみ。人に君(きみ)爲(た)るの
位。以て人の死を濟(すく)ふ無く。聚祿(しう
ろく)の以て人の腹を望(みた)しむる無く。又
惡を以て天下を駭(おどろ)かし。和して唱へ
ず。知は四域を出でずして。且つ而かも雌雄
(しいう)前に合ふは。是れ必ず人に異なる者
有らんと。寡人召して之を觀れば。果して惡
を以て天下を駭(おどろ)かす。寡人と處(を)
ること。月を以て數ふるに至らずして。而し
て寡人其の人と爲に意有り。期年に至らずし
て而して寡人之を信ぜり。國に宰無くして。
寡人國を傳へんとす。悶然として而して後に
應じ。氾(へん)として而して辭するが若し。
寡人醜乎(しうこ)たり。卒(つひ)に之に國を
授く。幾何(いくばく)も無くして。寡人を去
って而して行く。寡人恤焉(じゅつえん)とし
て。亡ふこと有るが若く。與(とも)に是の國
を樂しむ者無きが若し。是れ何(いか)なる人
なるぞやと。

注;
惡人;容貌の醜き人なり。哀駘(醜き)它(名
 前)
丈夫;男子なり
十數而未止也;斯くの如き者既に数十人にし
 て尚続々として止まざるなり。
未嘗聞有其唱者也。:自分から主義主張を唱導
 することなく、
無君人之位、以濟乎人之死。無聚祿以望人之
 腹;別読み、人に君たるの位無くして、人
 の死を濟(すく)ひ。聚祿無くして人の腹望
 (み)つ。•••富を蓄積すること無くして、人
 の腹を飽満せしむる力をもっている。
知不出乎四域;其の智識は遠方に及ぶことが
 できない
且而雌雄合乎前;にも拘らず、男女共に之を
 慕ふところを見ると
寡人;自分
寡人有意乎其爲人也;彼の性格が気にいる
 ようになり、
不至乎期年;一年も経過しないのに、
宰;国政を総理する者
寡人傳國焉;彼に国政を執らせようとした。
悶然而後應;しかし彼は任命を聞いても何の
 感じも無い風で、しまひに漸く応諾し、
 悶然;迷惑げなる貌
氾而若辭;一向気にも止めずに辞退するやう
 な様子であった。
 氾而;熱心ならざる貌
 氾;別字、泛
醜乎;恥ずかしく思ふ貌。(自分はこれはとて
 も及ばぬ人物だと)自ら恥じいって
恤焉;別字、䘏(しゅつ、じゅつ、あわれむ、
 うれえる、めぐむ);憂ふ。
若有亡也;茫然たる心地して、
若無與樂是國也;最早自分の国を與に楽しん
 で暮らす者がないと悲嘆した。
(´・(ェ)・`)つ

968鬼和尚 ◆Yj52hBkdLM:2023/02/27(月) 23:03:13 ID:kmZx5K/c0
魯の哀公が孔子に聞いたのじゃ。

衛に哀駘它という不細工な人がいるのじゃ。
特に意見はなくいつも人の言葉に賛成するのじゃ。
知識もないのじゃ。
それなのに男にも女にももてもてなのじゃ。
哀公もすきになって国政を任せたがとに喜ぶこともなく、後に去ってしまったのじゃ。
哀公は悲しくなっのじゃ。

それで奴は一体どんなひとかと聞いたのじゃ。




このように意見はなく、知識もなく欲もない者が道家の理想の者なのじゃ。
徳が充ちている者なのじゃ。
儒教のいう徳とは別の道徳なのじゃ。

969避難民のマジレスさん:2023/02/28(火) 02:57:59 ID:P9hqXkh60
荘子59.
德充符 第五(5-2)
仲尼曰。丘也嘗使於楚矣。適見豚子食於其死
母者。少焉眴若皆棄之而走。不見己焉爾。不
見類焉爾。所愛其母者。非愛其形也。愛使其
形者也。戰而死者。其人之葬也。不以翣資。
刖者之屨。無爲愛之。皆無其本矣。爲天子之
諸御。不爪翦。不穿耳。取妻者止於外不得復
使。形全猶足以為爾。而況全德之人乎。今哀
駘它未言而信。無功而親。使人授己國。唯恐
其不受也。是必才全而德不形者也。

仲尼曰く。丘や嘗て楚に使ひす。適々(てきて
き、たまたま)豚子(とんし)の其の死母に食
(の)む者を見る。少焉(しばらく)して眴若(し
ゅんじゃく)として皆之を棄てて走る。己を見
ざれば爾(しか)り。類するを見ざれば爾り。
其の母を愛する所の者は。其の形を愛するに
非ざる也。其の形を使ふ者を愛する也。戰っ
て而して死する者は。其の人の葬(はふむり)
や翣(せふ)を以て資(おく)らず。刖者(げつ
しゃ)の屨(くつ)は。之を愛することを爲すこ
と無し。皆其の本無ければなり。天子の諸御
と爲れば。爪翦(き)らず。耳穿(うが)たず。
妻を取(めと)る者は外に止めて。復た使ふこ
とを得ず。形の全きも猶ほ以て爾りと爲すに
足れり。而るを況んや全德の人をや。今哀駘
它未だ言はずして而して信ぜられ。功無くし
て親しまる。人をして己に國を授けて,唯其
の受けざらんことを恐れしむ。是れ必ず才全
うして德形(あらは)れざる者也と。

注;
豚子;別字、㹠子;豚の子
食;乳を飲む
眴若;驚貌
不見己焉爾。不見類焉爾;(母の死体に変われ
 る所無きも、常と違ひて己を見ず、己と類
 せざる故に、
愛使其形者也;形骸を使役する者即ち精神を
 愛する也
不以翣資;(武功無き故なり)
翣(そう);棺の両側に置く扇形の羽飾り。
資;葬りの飾りにするをいふ
諸御;妃嬪(ひひん);天子の妻とそばめ。そ
 ばに仕える女官。官女。
耳穿;耳を貫きて環(輪)を付るなり。(その形
 を傷つけない為の用心として)。別訳、耳垢
 をほじらない。
止於外不得復使;外辺の雑役には使はず、(そ
 の形を全うするように務めさせる)。別訳、
 (新たに妻を迎ふる者は、その夫を雑役に使
 わず)
形全猶足以為爾;単に形体の完全なものです
 ら、斯様に寵を蒙る。別訳、嫁が形全きだ
 に猶能く天子に侍し、自分は雑役を免れる)
(´・(ェ)・`)つ

970鬼和尚 ◆Yj52hBkdLM:2023/02/28(火) 23:58:34 ID:LDAPhrhc0
孔子は答えたのじゃ。

わしが楚にいった時、子豚が死んだ母豚の乳をのんでいたが、死んだと分かると逃げたのじゃ。
形を愛していたからなのじゃ。

その形が完全なものをも愛するのであるからね徳が完全な者が愛されるのは当然というのじゃ。



全徳の者が愛されるのは当然というのじゃ。
それも道徳なのじゃ。

971避難民のマジレスさん:2023/03/01(水) 06:13:40 ID:B3IEgO6E0
荘子60.
德充符 第五(6)
哀公曰。何謂才全。仲尼曰。死生存亡。窮達
貧富。賢與不肖毀譽。饑渴寒暑。是事之變。
命之行也。日夜相代乎前。而知不能規乎其始
者也。故不足以滑和。不可入於靈府。使之和
豫通。而不失於兌。使日夜無郤。而與物爲
春。是接而生時於心者也。是之謂才全。何謂
德不形。曰平者水停之盛也。其可以爲法也。
內保之而外不蕩也。德者成和之修也。德不形
者。物不能離也。哀公異日以告閔子曰。始也
吾以南面而君天下。執民之紀而憂其死。吾自
以為至通矣。今吾聞至人之言。恐吾無其實。
輕用吾身而亡吾國。吾與孔丘非君臣也。德友
而已矣。

哀公曰く。何をか才全しと謂ふやと。仲尼曰
く。死生存亡と窮達貧富と。賢と不肖と。毀
譽饑渴寒暑(きよ きかつ かんしょ)とは。是
れ事の變にして。命(めい)の行(かう)也。日
夜(じつや)前に相代はれども。而かも知も其
の始を規(はか)ること能はざる者也。故に以
て和を滑(みだ)るに足らず。靈府に入る可か
らず。之を和豫して通ぜしめて。而して兌を
失はず。日夜郤(ひま)無からしめて。而して
物と春を爲す。是れ接(まじは)りて而して時
を心に生ずる者也。是れを之れ才全しと謂ふ
と。何をか德形(あらは)れずと謂ふやと。曰
く。平(へい)なる者は。水停(すゐてい)の盛
(さかん)なる也。其の以て法と爲すべきは。
內之を保ちて而して外蕩(たう)せざれば也。
德は成和の修也。德の形(あらは)れざるは、
物離るゝこと能はざれば也と。哀公異日(いじ
つ)を以て閔子(びんし)に告げて曰く。始や吾
れ南面して而して天下に君たり。民の紀を執
りて。而して其の死を憂ふるを以て。吾れ自
ら以て至通と爲せり。今吾れ至人の言を聞い
て。吾が其の實無く、輕(軽々しく)吾が身を
用ひて、而して吾が國を亡(ほろぼ)さんこと
を恐ると。吾と孔丘とは君臣に非ざる也。德
友のみと。

注;
死生存亡;身に就いて云ひ
窮達;位に就いて
貧富;財に就いて
賢と不肖、毀譽;名に就いて
饑渴;食に就いて
寒暑;時に就いて
是事之變。命之行也;事相の転変、天命の必
 然であって、
天運と伴に生滅して、日夜眼前に交代変化し 
 て行く
故不足以滑和;(全才の人は)これが為に、其
 の徳の和を乱すことなく。;別読み、別
 訳、故に以て滑和するに足らざれば、滑和
 (かつわ);混同和合して一と為す。和して
 一となし、(如何なる変化に遭遇するも淡然
 自若たるにあらずんば)
靈府;最上の場所を指し言へるなり、妙所
使之和豫通;その心をして和らぎ楽しみて、
 豫;楽しむなり
而不失於兌;(至変に遭ふも)其の悦楽を失な
 はず、(心は常に平和悦楽の境に安住し)
 兌;悦なり
使日夜無郤;毎日暇なく楽しんでいるから、
 無郤;隙無く、間断無く
而與物爲春;万物皆之と共に和気を発して、
 融融たること春の如くであります。
是接而生時於心者也;人に接しても相戻るこ
 となく、春光和煦(く)の心を以てともに其
 性を完うせしめるのであります。
 時;春なり夏なり一定せる時を云ふに非
 ず、その時々に從ひて物に応ずるなり。
平者水停之盛也;物の平均にして高低無き
 は、水の満ち湛へて而かも外に流蕩(ると
 う)せざる極度の処なり。
其可以爲法也;其の(停りて何へも傾かざる極
 みなる)平が以て法則となすべき所以は、
內保之而外不蕩也;内に水を保ちて、外に蕩
 せざるが故なり
德者成和之修也;万物を視るに間(へだて)な
 く、あらゆる事物に対して咸(あまね)く和
 合するは即ち、和の成就なり、之を修るを
 徳と云ふ。
 蕩(タウ、うごく、はらう);落ち着かない
 で、ゆれうごく。ゆらぐ。うごかす。 
德不形者。物不能離也;此の徳外に露出せ
 ず、深淵なるときは外物これを離す能はず
閔 子騫(びん しけん)孔門十哲の一人、徳行
 で有名
(´・(ェ)・`)つ

972鬼和尚 ◆Yj52hBkdLM:2023/03/02(木) 00:09:32 ID:LvJ4MSeg0

 哀公は聞いたのじゃ。
 その才全の者とは何かと。

 孔子は答えたのじゃ。
 死生存亡や貧富毀誉褒貶寒暑にも心が動じない者なのじゃ。
 そうであるから心が常に平和なのじゃ。
 そういう者が才全なのじゃ。

 哀公はそれでは徳が現われないとはどいうことかと聞いたのじゃ。

 孔子は水が流れずに静止していれば平らなようなものというのじゃ。
 徳が完全ならば心の内にあって外に現われないというのじゃ。

 哀公は納得して他日閔子に語ったのじゃ。
 自分は王として完璧であればそれでよいと思っていたが、孔子の言葉を聴いて違うと知ったのじゃ。
 外物に身をゆだねていては国家も危うくなると知ったのじゃ。
 自分と孔子は道徳を修める友じゃ、と語ったのじゃ。


 知識で国家を治めるのも実は危うい道だと言うのじゃな。
 外の物に囚われぬ道徳が大事なのじゃ。

973避難民のマジレスさん:2023/03/02(木) 04:01:41 ID:VdOqiCbo0
荘子61.
德充符 第五(7)
闉跂支離無脤說衛靈公。靈公說之。而視全人
其脰肩肩。甕甖大癭說齊桓公。桓公說之。而
視全人其脰肩肩。故德有所長而形有所忘。人
不忘其所忘而忘其所不忘。此謂誠忘。故聖人
有所游。而知爲孽。約爲膠。德爲接。工爲
商。聖人不謀,惡用知。不斫。惡用膠。無
喪。惡用德。不貨。惡用商。四者天鬻也。天
鬻者天食也。既受食於天。又惡用人。有人之
形。無人之情。有人之形。故羣於人。無人之
情。故是非不得於身。眇乎小哉。所以屬於人
也。謷乎大哉獨成其天。

闉跂支離無脤(いんきしりむしん)衛の靈公に
説く。靈公之を說(よろこ)ぶ。而して全人を
視れば其の脰肩肩(とうけんけん)たり。甕甖
大癭(ようあうたいえい)齊の桓公に説く。桓
公之を説ぶ。而して全人を視れば其の脰肩肩
たり。故に德長ずる所有れば形忘るゝ所有
り。人其の忘るべき所を忘れずして而して其
の忘れざるべき所を忘る。此れ誠忘と謂ふ。
故に聖人は游ぶ所有り。而して知を孽(げつ)
と爲し。約を膠(かう)と爲し。德を接と爲
し。工を商と爲す。聖人は謀らず。惡んぞ知
を用ひん。斫(き)らず。惡んぞ膠を用ひん。
喪ふ無し。惡んぞ德を用ひん。貨(う)らず。
惡んぞ商を用ひん。四つの者は天鬻(てんい
く)也。天鬻なる者は天食也。既に天に食を受
く。又惡んぞ人を用ひん。人の形有って人の
情無し。人の形有り。故に人に羣(ぐん)す。
の情無し。故に是非身に得ず。眇乎(べうこ)
として小なる哉。人に屬する所以也。謷乎(が
うこ)として大なる哉獨り其の天を成せり。

注;
闉跂支離無脤(人名);闉跂はせむしなりとす
 る説あれど、闉は門、跂は一足なれば、門
 を守る跛者と見るが可ならん
 支離;不具者
 無脤;唇の缺(さ)けたる兎缺(いぐち)
全人;身体完全なる人
脰肩肩;脰;項(うなじ)、肩肩;細小の貌
 普通の人が却って不具者に見える
甕甖大癭(人名);甕も甖もかめなり、癭は首
 筋にできる瘤(こぶ)。大なる瘤ありて、か
 めの如き形をしたるより、其の人の名とす
人不忘其所忘而忘其所不忘。此謂誠忘;世人
 輙(と)もすれば、其の忘らるべき所のもの
 即ち形體を忘れず、而して其の忘らるべか
 らざる所のもの即ち徳を忘る。此れを名づ
 けて、誠に忘ると云ふ。
故聖人有所游;故に聖人は至理の境界に逍遙
 し、自然に任せて行ひ。
孽;災害、禍根、ひこばえ、わきばら、
約爲膠;約束を膠(にかわ)で無理にくっつけ
 合すやうに思ひ。自由を奪うもの
德爲接;所謂徳を人に接して感ぜしめ、且つ
 追随せしめるものと見做し。形式上のもの
工爲商。工;芸能なり。芸能は商人の売る品
 物と同じ。需要に応じる商人の行い
聖人不謀;聖人は私知を以て事を謀る事なし
不斫;別字、不斲(ふたく);人為を以て削り
 出す、加工しない?
無喪,惡用德;始めより喪ふ所なし、悪んぞ
 人修の徳を用ひん
不貨,惡用商;其の身や才智を以て貨幣の如
 く世の重宝とするの意なし、亞んぞ商人の
 物を売るが如きことを為さん
四者天鬻也;鬻は育、養い。不謀不斲、無喪
 不貨の四者は、天より享けたる養
豢養(かんよう)せられたるもの
惡用人;人力を以て増減すべからず。人の物
 たる知膠徳商を要せず。
聖人不謀,惡用知。不斫,惡用膠。無喪,惡
 用德。不貨,惡用商。;(何ひとつ意図しな
 い人間は、知を必要としない。一切を分別
 しない人間は、規範を必要としない。本性
 を損なわない人間は、補足を必要としな
 い。自己を売り物にしない人間は、取引を
 必要としない。)
故羣於人;衆人と群居す、
故是非不得於身;故に是非の心無く、従って
 才全し
眇乎小哉;眇乎は小なる貌。(聖人は)其の貌
 小なり、
所以屬於人也;以て人と連属す
謷乎大哉獨成其天;謷乎;大なる貌。(聖人
 は)其の徳は大なる。自ら天たることを為し
 て、人に属せず。即ち聖人自身が天たる也
(´・(ェ)・`)つ

974鬼和尚 ◆Yj52hBkdLM:2023/03/03(金) 00:13:20 ID:AcK7jeDs0
衛の靈公はいんきしりむしんという障害がある者に教えを受けて喜んだのじゃ。
それからは障害が無い者のほうがおかしいように見えたのじゃ。
それも徳があるものを愛したからなのじゃ。

聖人は欲が無いから技もいらず、名声も求めず人をだまさないから知識も用いないのじゃ。
それで心が天に和していて、天が養うのじゃ。



聖人は世間の技や知識を用いず、天が養うというのじゃ。
天と一つであるからというのじゃ。

975避難民のマジレスさん:2023/03/03(金) 00:24:25 ID:Eie3y8e.0
荘子62.
德充符 第五(8)
惠子謂莊子曰。人故無情乎。莊子曰然。惠子
曰。人而無情。何以謂之人。莊子曰。道與之
貌。天與之形。惡得不謂之人。惠子曰。既謂
之人。惡得無情。莊子曰。是非吾所謂情也。
吾所謂無情者。言人之不以好惡內傷其身、常
因自然、而不益生也。惠子曰。不益生。何以
有其身。莊子曰。道與之貌。天與之形。無以
好惡內傷其身。今子外乎子之神。勞乎子之
精。倚樹而吟。據槁梧而瞑。天選子之形。子
以堅白鳴。
 
惠子莊子に謂って曰く。人故(もと)より情無
きか。莊子曰く然りと。惠子曰く。人にして
情無ければ。何を以てか之を人と謂はんや。
莊子曰く。道之に貌(ばう)を與(あた)へ。天
與之に形(けい)を與ふ。惡んぞ之を人と謂は
ざることを得んやと。惠子曰く。既に之を人
と謂ふ。惡んぞ情無きことを得んやと。莊子
曰く。是れ吾が所謂情に非ざる也。吾が所謂
情無き者は。人の好惡(かうを)を以て內其の
身を傷(やぶ)らず、常に自然に因って、生を
益(ま)さざるを言ふ也。惠子曰く。生を益さ
ずんば。何を以て其の身有らんやと。莊子曰
く。道之に貌(かたち)を與へ。天之に形(かた
ち)を與ふ。好惡を以て內其の身を傷ること無
からんのみ。今子は子の神を外(そと)にし。
子の精を勞し。樹に倚(よ)って吟じ。槁梧(か
うご)に據(よ)って瞑す。天子の形を選べる
に。子は堅白を以て鳴ると。

注:
貌;視聴言動を云ひ、形:耳目鼻口身体を云ふ
 (深く区別する要なし)。道≒天
 道與之貌。と 天與之形。の二句は同じ意
 を語を換へて云へるもの
 道と天と人に形貌を附与して斯の世に生ぜ
 しむ。既に人の形あり。
惡得不謂之人;どうして之を人と謂はざるを
 得んや
是非吾所謂情也。吾所謂無情者。言人之不以
 好惡內傷其身、常因自然、而不益生也;汝
 が謂ふ所の情は吾が謂ふ所の情に非ず。吾
 が所謂情無しとは、人が好悪(即ち情)を以
 て其の身を傷(やぶ)らず、常に自然に因り
 て生を助長附益せざるを言ふなり。(恵子の
 謂ふ所の無は絶対にして、荘子の謂ふ所の
 無は比較なり、故に其の意見合せざるな
 り)
不益生。何以有其身;生を増益せざれば、何 
 を以てか其の身を有たんや
無以好惡內傷其身;人たる者好悪の情を以て
 其の身を傷るべからず。
今子外乎子之神。勞乎子之精;子は其の精神
 を外にして、性分の内に休せず、之を疲労
 せしめ、
據槁梧而瞑;几案に拠て思慮する
天選子之形;天、耳目鼻口等の形貌を子に与
 へたるに
子以堅白鳴;子は堅白異同の弁(詭弁)を以て
 世に鳴る

德充符 第五
(´・(ェ)・`)
(おわり)
次回より大宗師第六

976鬼和尚 ◆Yj52hBkdLM:2023/03/04(土) 00:02:56 ID:jwNx9t920
惠子が荘子に言ったのじゃ。
人には本来、情がないのかと。
荘子はそうじゃ、無いのじゃ、といったのじゃ。
惠子は情がなくてひとといえるのかというのじゃ。
荘子は天がそれを人としているのみというのじゃ。
惠子は人ならば情があるじゃないかというのじゃ。
荘子はわしのいう情とは世間の情とは違うのじゃ。
好悪とかの欲を情といい、それが無ければ自然によって生きられるといいうのじゃ。
惠子はもともと自然に生きているというのじゃ。
荘子は欲によって身体を破壊しないのが真の生だというのじゃ。


要するに欲が無ければ身を損なうことも無いというのじゃな。
それこそが真の人の生き方なのじゃ。

977避難民のマジレスさん:2023/03/04(土) 03:11:13 ID:f84G9.0.0
鬼和尚、いつもありがとうであります。
荘子 講読会、今後の予定。
大宗師第六
応帝王第七
↑ここまでで『荘子 内篇』読了でありますが、テキストのページ数によると、まだ全体の23%でありま
す。

外篇 第八 駢拇篇
第九 馬蹄篇
第十 胠篋篇
第十一在宥篇
第十二天地篇
第十三天道篇
第十四天運篇
第十五刻意篇
第十六繕性篇
第十七秋水篇
第十八至楽篇
第十九達生篇
第二十山木篇
第二十一田子方篇
第二十二知北遊篇
雑篇 第二十三庚桑楚篇
第二十四徐无鬼篇
第二十五則陽篇
第二十六外物篇
第二十七寓言篇
第二十八譲王篇
第二十九盗跖篇
第三十説剣篇
第三十一漁父篇
第三十二列禦寇篇
第三十三天下篇

少しづつ、読み下し文等の準備を進めて行きたいと
思います。
鬼和尚にご尽力いただき、いずれは、『鬼和尚解説
付き狂雲集』に匹敵する作として仕上げたいと思い
ます。

くま、雑事多くなってしまい、今までのペースで作
業を進めることができなくなりました。
今後は、準備できた都度、掲載の上、『鬼和尚に聞
いてみる』スレにご報告に参ります。

鬼和尚、今後とも宜しくご指導の程、お願い申し上げます。
(´・(ェ)・`)つ

978鬼和尚 ◆Yj52hBkdLM:2023/03/04(土) 23:50:23 ID:nV5TPkyc0
↑ ご苦労さんなのじゃ。
 自分のペースでやるとよいのじゃ。
 こちらこそよろしくなのじゃ。

979避難民のマジレスさん:2023/03/06(月) 22:20:48 ID:05NgnEmA0
荘子63.
大宗師第六(1)
知天之所為。知人之所為者至矣。知天之所為
者。天而生也。知人之所為者。以其知之所
知。以養其知之所不知。終其天年而不中道夭
者。是知之盛也。雖然有患。夫知有所待而後
當。其所待者特未定也。庸詎知吾所謂天之非
人乎。所謂人之非天乎。且有真人而後有真
知。何謂真人。古之真人。不逆寡。不雄成。
不謨士。若然者。過而弗悔。當而不自得也。
若然者。登高不栗。入水不濡。入火不熱。是
知之能登假於道者也若此。古之真人。其寢不
夢。其覺無憂。其食不甘。其息深深。真人之
息以踵。衆人之息以喉。屈服者。其嗌言若
哇。其耆欲深者。其天機淺。

天の爲す所を知り。人の爲す所を知る者は至
れり。天の爲す所を知る者は天にして生くる
也。人の爲す所を知る者は。其の知の知る所
を以て。以て其の知の知らざる所を養ふ。其の天年を終へて而して中道にして夭(えう)
せざる者は。是れ知の盛んなる也。然りと雖
も患(うれひ)あり。夫れ知は待つ所有りて後
當る。其の待つ所の者は特(たゞ)に未だ定らざる也。庸詎(なんぞ)吾が所謂天の人に非ざるか、所謂人の天に非ざるかを知らんや。且つ真人有って後真知有り。何をか真人と謂ふ。古の真人は寡に逆らはず。成を雄(ほこ)らず。士を謨(はか)らず。然るが若き者は。過(あやま)てども悔いず。當れども自ら得たりとせざる也。然るが若き者は。高きに登つて慄(おそ)れず。水に入って濡(うるほ)はず。火に入って熱せず。是れ知の能く道に登假(とうか)するや此(かく)の若し。古の真人は。其の寢(いね)るや夢みず。其の覺るや憂ひ無し。其の食ふや甘しとせず。其の息や深深。真人の息は踵(くびす)を以てし。衆人の息は喉を以てす。屈服する者は。其の嗌言(やくげん)哇(むせ)ぶが若し。其の耆欲深き者は。其の天機淺し。

注;
大宗師篇
宗師;根本たる師、即ち道。此に謂ふ所の道は主に死生を一にすることを説きたるなり。
生死を一にするは、知より悟りを得る者にて、情を以てしては到底知り得べからず。又、普通の知識ではなく、所謂真人にして始めて望み得べき也
本篇初めに、知を説き、次に真人を説き、真人は知ありて生死を一にす、是れ即ち道なり。

天之所為;生死禍福吉凶等(自然の道体を悟り)
人之所為;世間に処して人事の當に盡すべき
 もの(人間修為の極致)
天而生也;性の本然に随って更に増益せずし
 て、無為自然に達すること
以其知之所知。以養其知之所不知;知の及ぶ
 ところを以て其の極致に達し、知の及ばざ
 る所に止まって、従容として自得を待つ
夫知有所待而後當;吾々の知といふものは、
 何か対象とすべき事柄があって、その上で
 始めて斯ふだと断定するのである。
其所待者特未定也;さて、其の対象たるもの
 は、特に一定してゐるものではない(から、
 無暗に彼此れ計較して断定を下しても、そ
 れは必ずしも真実といふ訳には行かない。)
庸詎知吾所謂天之非人乎;自分が自然と考え
 てゐるものが実は人為であるかも知れず、
 所謂人之非天乎;又、人為と思ふものが却
 って自然のものかもわからぬ。
不逆寡;不足の時に当たりても之に逆らわず
 安んじて
不謨士;(自然に任せて)思慮を加へず
是知之能登假於道者也若此;智の道にいたる
 こと斯くの若し
息以踵;息を深く吸い、極めて落ち着きたる
 云ふ
屈服者。其嗌言若哇;人に屈服する者は、(心
 中落ち着かず)喉の底にてぐづぐづもの言ふ
 様は、猶噛み砕いた肉を吐き出さんとする
 が如く、
(´・(ェ)・`)つ

980鬼和尚 ◆Yj52hBkdLM:2023/03/06(月) 23:57:48 ID:gkh/jUJQ0

 大宗師とは道と同じものだというのじゃ。
 道と合一した真人なのじゃ。
 存在がそのまま道であり、生死も一つと見るものじゃ。
 悟った者であり、悟りの知恵があるのじゃ。
 それを説くのじゃ。


 天が行うことを知り、人が行うことを知る者は悟った者なのじゃ。
 天の行いを知る者は、天によって生きるのじゃ。
 人の行いを知る者は、知恵によって知識の限界も知ることができるのじゃ。

 そのような者は早死にしないのじゃ。
 しかしその知恵にも限界があるのじゃ。
 知恵には対象となる客体が必要なのじゃ。
 それがなければ知恵もないのじゃ。
 
 悟った者があって、始めて知恵もあるのじゃ。
 悟った真人とは貧富にも、権力にも、得失にも囚われない者なのじゃ。
 高いところや水中や火も恐れないのじゃ。

 知恵によって道に合一しているからなのじゃ。
 真人は寝ても夢を見ず、覚めても苦がなく、食べ物の好悪もないのじゃ。
 呼吸が深く、踵から息を吸うようなものじゃ。
 
 俗人はのどから息をするのじゃ。
 そうであるからむせてしまうのじゃ。
 欲も深いから知恵も浅いのじゃ。



 要するに悟った者が真の人であり、真の知恵を得るということじゃな。
 そして知恵があり、欲がないから身を全うすることができるのじゃ。

981避難民のマジレスさん:2023/03/10(金) 13:35:59 ID:8l5fs99Y0
荘子64.
大宗師第六(2)
古之真人。不知說生。不知惡死。其出不訢。 
其入不距。翛然而往。翛然而來而已矣。不忘
其所始。不求其所終。受而喜之。忘而復之。
是之謂不以心捐道、不以人助天。是之謂真
人。若然者。其心志。其容寂。其顙頯。凄然
似秋。暖然似春。喜怒通四時。與物有宜而莫
知其極。故聖人之用兵也。亡國而不失人心。
利澤施乎萬世。不爲愛人。故樂通物。非聖人
也。有親非仁也。時天非賢也。利害不通非君
子也。行名失己非士也。亡身不真非役人也。
若狐不偕、務光、伯夷、叔齊、箕子、胥餘、
紀他、申徒狄。是役人之役。適人之適。而不
自適其適者也。

古の真人は。生を說(よろこ)ぶことを知ら
ず。死を惡(にく)むことを知らず。其の出(し
ゅつ)も訢(よろこ)ばず。其の入(にふ)も距
(こば)まず。翛然(しゅくぜん)として往き翛
然として來るのみ。其の始まる所を忘れず。
其の終る所を求めず。受けて而して之を喜
び。忘れて而して之を復(かへ)す。是れを之
れ道を以て心を捐(す)てず、人を以て天を助
けずと謂ふ。是れを之れ真人と謂ふ。然るが
若き者は其の心は志たり。其の容(かたち)は
寂(せき)。其の顙(さう)は頯(き)なり。凄然
として秋に似たり。暖然として春に似たり。
喜怒四時に通じ。物と宜しき有って、而して
其の極(きょく)を知ること莫し。故に聖人の
兵を用ふるや。國を亡ぼすも人心を失はず。
利澤(りたく)萬世に施すも。人を愛すると爲
さず。故に物に通ずることを樂しむは聖人に
非ざる也。親有るは仁に非ざる也。天を時と
するは賢に非ざる也。利害通ぜざるは、君子
に非ざる也。名を行うて、己を失ふは士に非
ざる也。身を亡ぼして真ならざるは。人を役
するに非ざる也。狐不偕(こふかい)、務光(む
かう)、伯夷、叔齊、箕子(きし)、胥餘(しょ
よ)、紀他、申徒狄(しんとてき)の若きは。是
れ人の役(えき)に役し。人の適に適して。而
して自ら其の適を適とせざる者也。
(´・(ェ)・`)
(つづく)

982避難民のマジレスさん:2023/03/10(金) 13:36:49 ID:8l5fs99Y0
注;
説;悦なり
出;生なり
訢;欣なり。別字、忻
入;死なり
來;生なり
翛然;別読み、ゆうぜん、しょうぜん;無心
 にして
受而喜之。忘而復之;形を受けて、人として
 生まれ出でては喜び、やがて死に入るとき
 は、その生を忘れて、形を返納する
不以心捐道、不以人助天;虚心にして其の終
 る所を求め慕ふべきを忘れて、之を元に復
 帰せしむ。(人爲を以て自然に加へず)
捐;別字、揖(楫)あやつる。自分の分別を以
 て道を操る
其心志;別字、其心忘。;志:心に主とする者
 ありて定まり。 忘:死生栄辱、得喪苦楽全
 て之を忘れ。
其容寂;其の容貌は寂として清静
顙頯;別読み、顙(ひたひ)、頯(あつ)し:寛
 (ひろ)くて平らかな貌
凄然似秋;威儀は厳然として秋のようである
暖然似春;精神は温暖であって春に似ている
喜怒通四時。與物有宜。而莫知其極;其の喜
 び怒る度合いは春夏秋冬の四時あるが如く
 天時と合し、万物が栄枯盛衰あるが如く宜
 しきを得て、その藭極度する所を知ること
 なし、
聖人之用兵也。亡國而不失人心;聖人即ち真
 人の兵を用ふるや、猶秋風の落葉を払ふが
 如く、天地の自然に出るを以て、國を亡す
 も人心を失はず。
不爲愛人;殊更に人を愛しようとしてするの
 ではない。(自然のままに施すのである)
樂通物。非聖人也;事物の自然に任せず、自
 ら進んでこれに通ずることを楽しむ者は聖
 人ではない。
有親非仁也;仁の至極したものは、特に人を
 親愛することなくして自然に広く万人の上
 に及ぶものである。
時天非賢也;小知を以て、天象の盈缺(えいけ
 つ、満ち欠け)を占い、天時の変遷を候(う
 かが)ふやうなものは賢人ではない。
利害不通非君子也;是非利害を通じて一とす
 ることの出来ない者は、君子ではない。
行名失己非士也;虚名を求めて己が天性を失
 ふやうなものは、修道の士といふことはな
 らぬ。
亡身不真非役人也;己が身を亡し、天真を喪
 ふやうなものは、人に使われるものであっ
 て、人を使ふことはできない。
是役人之役;人の為に使役せられ、
適人之適;人の心に随って甘んじ、
而不自適其適者也;更に己が心を自得するこ
 とのない、所謂身を亡し、天真を喪ふもの
 である。
(´・(ェ)・`)つ

983鬼和尚 ◆Yj52hBkdLM:2023/03/10(金) 23:47:34 ID:uxvUUoqU0
古の真人とは生きることを特に喜んだりすることはなく、死を憎んだりすることもなかったというのじゃ。
生死の別れも出会いも悲しんだり喜んだりしなかったのじゃ。
無であったのじゃ。
道によって心を救い、人為で天を動かそうとか思わなかったのじゃ。
それが真人なのじゃ。
自然の四季の姿に似ているのじゃ。

聖人が兵を用いて国を滅ぼしても人に憎まれないのじゃ。
利益を衆生に施しても愛するからではなかったのじゃ。
ものに囚われないから真人なのじゃ。
古の名のある者たちは真人ではなかったというのじゃ。
名声に囚われて人に使われていたのであるから。


真人は生死も忘れているということじゃな。
ものにも衆生にも名声にも執着しないのじゃ。

984避難民のマジレスさん:2023/03/13(月) 16:33:52 ID:tDYA.BS60
荘子65.
大宗師第六(3)
古之真人。其狀義而不朋。若不足而不承。與
乎其觚而不堅也。張乎其虛而不華也。邴邴乎
其似喜乎。崔乎其不得已乎。滀乎進我色
也。與乎止我德也。厲乎其似世乎。謷乎其未
可制也。連乎其似好閉也。悗乎忘其言也。以
刑爲體。以禮爲翼。以知爲時。以德爲循。以刑爲體者。綽乎其殺也。以禮為翼者。所以行於世也。以知爲時者。不得已於事也。以德爲循者。言其與有足者至於丘也。而人真以爲勤行者也。

古の真人は。其の狀義にして而して朋せず。足らざるが若くにして而して承(う)けず。與乎(よこ)として其れ觚(こ)なれども堅(かた)からざる也。張乎(ちゃうこ)として其れ虛なれども華ならざる也。邴邴乎(へいへいこ)たり其れ喜ぶに似たるか。崔乎(さいこ)たり其れ已むを得ざるか。滀乎(ちくこ)として我が色を進め。與乎(よこ)として我が德を止む。厲乎(れいこ)として其れ世に似たるか。謷乎(がうこ)として其れ未だ制す可らず。連乎として其れ閉を好むに似。悗乎(べんこ)として其の言(ことば)を忘る。刑を以て體と爲し。禮を以て翼(つばさ)と爲し。知を以て時と爲し。徳を以て循(じゅん)と爲す。刑を以て體と爲す者は。綽乎(しゃくこ)として其れ殺す。禮を以て翼と爲す者は。世に行なはるゝ所以也。知を以て時と爲す者は。事に已むを得ざる也。徳を以て循と爲す者は。其の足有る者と丘に至るを言ふ也。

注;
其狀義而不朋;人と交るに当たっても、唯そ
 の宜しきに從ふのみで、朋黨せず、雷同せ
 ざるをいふ。(朋黨;政治的思想や利害を
 共通する官僚同士が結んだ党派集団のこと)
若不足而不承;足らざる所ありて盈(み)た
 ず、自得せざりはなり。承;供給
 常に謙遜して人に下るも、人の機嫌をとり
 何か得ようとするやうな吝(けち)なもので
 はない
與乎;=容與(ようよ)。ゆったりとして自得し
 た貌。 従容不迫(しゃうやうふはく)
觚;=稜。おごそかな威光。廉角;鋭い、 
 角々しい
不堅;剛情を張ることはない
張乎;舒暢の貌。舒暢:ジョチョウ(気分が) 
 伸び伸びとして心地よい,心地よく愉快で
 ある)
其虛而不華也;其の中虚しけれども充実して
 浮華ならず
邴邴乎其似喜乎;その心明白にして常に欣然
 としている。邴邴乎;喜ぶ貌
崔乎其不得已乎;(自ら先ず唱ふることなく物
 に迫られて後始めて動き、)已むを得ずして
 応ずるものである。崔乎;催の如し、催(う
 な)がされて已むを得ざるが如くす
滀乎進我色也;其の容色は日に進んで、
 粋美(混じり気が無く美しいこと)を集める
 滀;聚(あつ)まる貌
與乎止我德也;容与(ゆったり)として其の徳
 散せず。
厲乎其似世乎;厳粛犯すべからざる中に亦和
 気洋々として世俗とともに楽しむやうであ
 る。厲乎;嚴毅の貌 
謷乎其未可制也;其の徳は巍々(ぎぎ、雄大で
 おごそかなさま)として卓越して何物も之を
 制し難く。謷乎;傲然自ら高うする貌
連乎其似好閉也;其の口は閉ぢることを好む
 やうであるが、くちを緘して肯て言はない
 といふのではなく、連乎;連は、合なり密 
 なり、口を閉ぢていふを欲せざるの貌
悗乎忘其言也;無心にして言説を忘れてゐる
 のである。悗乎;ぼんやりとして。下に俯
 して
以刑為體;刑を治世の本法として、而も私怨
 なく。 刑;法にて天然の法則
以禮為翼;礼を人道の輔翼として敢えて私諂
 (てん)なく
以知為時;知を機に臨み變に應じて發するも
 のとして私接せず
以德為循;徳を人の依る所として私得しない
以刑為體者、綽乎其殺也;刑に私怨なきが故
 に、殺しても怨まれず
以禮為翼者、所以行於世也;礼に私諂なきが
 故に、よく柔和にして廣く世に行はれ。諂
 (テン、おもねる、へつらふ、こびる)
以知為時者、不得已於事也;知に私接なきが
 故に、自然の已むを得ざる勢いに順って泛
 (あまね)く凡ての事に應じ
以德為循者、言其與有足者至於丘也;徳に私
 得なきが故に群徳歸依してともに道の極致
 進んで行くは、宛も足有る者の行きて丘に
 至るが如く甚だ容易である 丘;丘陵。此
 は目的として達すべき所の道に譬ふ
而真人以為勤行者也;而して人は之を知ら
 ず、以爲(おもへ)らく、眞人は眞に勤め行
 く者と。
(´・(ェ)・`)つ

985鬼和尚 ◆Yj52hBkdLM:2023/03/13(月) 23:23:26 ID:QvR2yEc20
古の真人は人と付き合っても筋道を通して付和雷同することがなかったというのじゃ。
とはいえ強情なのではなく柔弱であったのじゃ。
謙遜しても人の機嫌をとるめではなく、悠々として無の心でうわついていなかったのじゃ。
自分から何かをしないが必要に応じて動くのじゃ。
容色が日ごとに改まり徳を内に止めるのじゃ。

無口であるが、必要な時に話すのじゃ。
刑を行っても私なく、礼も私なく、知恵を時に応じて発して、徳をも私しないのじゃ。


つまり真人は人とつきあっても付和雷同せず、柔和であったとか、
徳と知恵があったというのじゃな。
それもまた必要に応じて発揮するという者だったのじゃ。

986避難民のマジレスさん:2023/03/15(水) 13:17:07 ID:zSUQYf220
荘子66.
大宗師第六(4)
故其好之也一。其弗好之也一。其一也一。其不一也一。其一與天為徒。其不一與人爲徒。天與人不相勝也。是之謂眞人。

故に其の之を好むも也(また)一。其の之を好まざるも也(また)一なり。其の一も也(また)一。其の一ならざるも也(また)一。其の一なるは天と徒爲(た)り。其の一ならざるは人と徒爲(た)り。天と人と相勝たざる也。是れ之を眞人と謂ふ。

注;
故其好之也一。其弗好之也一;是に於いて眞
 人は愛憎好悪想を以て一とすることもあ
 り、又一としないこともある。
其一與天為徒;一とするものは、道即絶対に
 して天と一体たるものであり、
其不一與人爲徒;一としないものは、差別即
 相対にして人為に帰着する。
天與人不相勝也。是之謂真人;しかし、一と
 いひ、不一といふも眞人より見れば一にし
 て二ならず、ひとしく無心歸し、天人合一
 する。眞人とは此の如き人を謂ふのである

大宗師第六(5)
死生命也。其有夜旦之常天也。人之有所不得與。皆物之情也。彼特以天為父。而身猶愛之。而況其卓乎。人特以有君為愈乎己。而身猶死之。而況其真乎。

死生は命(めい)也。其の夜旦(やたん)の常有るは天也。人の與(あづか)ることを得ざる所有るは。皆物の情也。彼特に天を以て父と爲して。而して身猶ほ之を愛す。而るを況んや其の卓(すぐ)れたる者をや。人特に君有るを以て、己に愈(まさ)れりと爲して。身猶ほ之に死す。而るを況んや其の眞なるものをや。

注;
命;天命
夜旦;昼夜
人之有所不得與。皆物之情也;人の与り知る
 所ではなくして、すべて事物に備わってゐ
 る必然の實理である。 
眞;=眞君:道教に於いて神仙に対する尊称。

大宗師第六(6)
泉涸魚相與處於陸。相呴以濕。相濡以沫。不如相忘於江湖。與其譽堯而非桀也。不如兩忘而化其道。夫大塊。載我以形。勞我以生。佚我以老。息我以死。故善吾生者。乃所以善吾死也。

泉涸れて魚(うを)相與(あひとも)に陸に處(を)り。相呴(あひく)するに濕(しつ)を以てし。相濡(あひうるほ)する沫(あわ)を以てするは。江湖(かうこ)に相忘るゝに如かず。其の堯を譽(ほ)めて桀(けつ)を非(そし)らんよりは。兩(ふたつ)ながら忘れて其の道に化する如かず。夫れ大塊(たいくわい)我を載するに形を以てし。我を勞するに生を以てし。我を佚(いつ)するに老を以てし。我を息(いこは)するに死を以てす。故に吾が生を善しとするは。乃ち吾が死を善しとする所以也。

注;
泉涸魚相與處於陸。相呴以濕。相濡以沫;人
 として暫くも道を離れてはならぬことは、
 譬へば魚の水に於けると同様である。今水
 が涸れて陸となるに当り魚ども干潟に集ま
 って、互に相向かひ、濕気や水沫を吐いて 
 濡(うるほ)しあう(た所で、そは唯一時の窮
 策に過ぎず、やがて枯死するより外はない)
堯;神話に登場する君主。儒家より神聖視さ 
 れ、聖人と崇められた。本来は古代中国の
 太陽神だったと考えられている。
桀;古代、夏(か)王朝末代の王の名。残虐で
 酒色を好み、暴政を行い、悪王の代表とさ
 れる。悪徳の王の代表

不如兩忘而化其道;褒貶好悪の情に心を乱さ
 れるよりは、是非兩つながら忘れて、道に
 融化し、自然に任すに越したことはない。
夫大塊。載我以形;抑々(そもそも)自然は、
 我を載するに形体を以てし、
勞我以生;我を労苦せしむるに生命を以てし
佚我以老;我を閑佚ならしむるに、老年を以 
 てし
息我以死;我を休息せしむるに死亡を以てす
 る
(´・(ェ)・`)つ

987鬼和尚 ◆Yj52hBkdLM:2023/03/15(水) 23:33:49 ID:SpF17bDY0

 それ故にこの法を好むも一であり、好まないのも一であるというのじゃ。
 その一は一であり、一でないものも一であるというのじゃ。
 
 その中の一であるものとは天のなすところであるからなのじゃ。
 一ではないものとは人のなすところであるのじゃ。
 しかしそれらも究極的には一であるのじゃ。
 人もまた天のなすところのものであり、どち.らが勝るというものではないからなのじゃ。
 それが真人の観る所なのじゃ。


 すべては一つであると真人は観ているというのじゃな。
 人が分別するのも究極的には一つであるというのじゃ。
 人もまた一つの中のものであるからのう。



 人が死ぬのは運命であり、昼と夜があるような自然なことというのじゃ。
 人が左右できるものではない、本来の性質なのじゃ。
 忠孝よりも道を愛するべきだというのじゃ。


 死は恐るべきものではなく自然なものというのじゃ。
 道の自然な働きを愛するべきだというのじゃ。

988鬼和尚 ◆Yj52hBkdLM:2023/03/15(水) 23:40:57 ID:SpF17bDY0

 泉が枯れて魚たちがそこで苦しむより、大河を目指したほうがよいのじゃ。
 聖人がよくて悪人がわるいとかいう瑣末なことに関わるより道を求めるべきなのじゃ。
 
 自然がこの身を作り、老病死を与えたのじゃ。
 そうであるから生がよいと思うならば、死もまたよいものなのじゃ。


 俗世間の活動などはいずれ死に行く小魚のようなものというのじゃ。
 自然が与えた生老病死もまた一つとして観るがよいのじゃ。

989避難民のマジレスさん:2023/03/20(月) 05:47:51 ID:uLGq4cOQ0
荘子67.
大宗師第六(7)
夫藏舟於壑。藏山於澤。謂之固矣。然而夜半
有力者負之而走。昧者不知也。藏小大有宜。
猶有所遁。若夫藏天下於天下而不得所遁。是
恒物之大情也。特犯人之形而猶喜之。若人之
形者萬化而未始有極者也。其爲樂可勝計邪。
故聖人將游於物之所不得遁而皆存。善妖善
老。善始善終。人猶效之。又況萬物之所系。
而一化之所待。

夫れ舟を壑(がく)に藏し。山を澤(たく)に藏
して。之を固しと謂ふ。然かも夜半力有る者
之を負うて走るも。昧(まい)者は知らざる
也。小を大に藏すれば宜しき有るも。猶ほ遁
(のが)るゝ所あり。若し夫れ天下を天下に藏
すれば遁るゝ所を得ず。是れ恒物の大情也。
特に人の形を犯して猶ほ之を喜ぶ。人の形の
若き者は萬化して未だ始めより極まり有らざ
る也。其の樂みたる計るに勝(た)ふ可けん
や。故に聖人將に物の遁るゝを得ざる所に游
びて而して皆存せんとす。妖(えう)を善とし
老を善とし。始を善とし終を善とするも。人
猶ほ之に效(なら)ふ。又況んや萬物の係る所
にして。而して一化の待つ所をや。

注;
夫藏舟於壑。藏山於澤。謂之固矣;(消滅流転
 極りない造化(天地、宇宙)の中に在りなが
 ら、生を悦び死を厭ひ、自然の推移を避れ
 ようとするのは、)丁度舟を壑(たに)の中に
 蔵し、山を澤の中に蔵して、自ら固く蔵し
 得たと安心して居るやうなものでふある。
然而夜半有力者負之而走;(ところが豈図らん
 や、)夜半に至って造化といふ有力者が、之
 を擔(かつ)ぎ出して走げて了ふ。 夜半;
 知らず識らずの間なり。有力者=造化
昧者不知也;而も覚めざる者は之を知らずに
 居るであらう。昧者;愚昧な者わ
藏小大有宜;舟や山などの小物を壑(たに)や
 澤の如き大物に蔵するのは、大に其の宜し
 きを得て大丈夫の様に見えるが、
猶有所遁;(それでも造化の力に作用せられ
 て)此の如く遯(のが)れ去るのである。
若夫藏天下於天下而不得所遁;然るに唯々天
 下を以て天下に蔵すればこれこそ蔵する所
 なきに蔵することで、假令(たと)ひ遯(の
 が)れようと求めても其の場所がない。
 別訳、天下を天下に蔵するが如きは、之を
 蔵するにあらずして同化するを以て天下の
 外に遯るゝことを得ざるが如きは、
是恒物之大情也;是れ即ち不滅の常道、自然
 の眞理である。
特犯人之形而猶喜之;(然るに世人は多くこゝ
 に気が附かず、)人の形を犯して嗜欲(しよ
 く)に耽り口體の養に蓋し、長寿を希ふて喜
 んで居る。別訳、皆形骸を以て自ら喜ぶが 
 如し。
若人之形者萬化而未始有極者也;所が人の顔
 色形態皮膚爪髪は時々刻々極まりなく変化
 して行く。別訳、殊に知らず、人の形の千
 変万化して窮まる所なきを。
其爲樂可勝計邪;其の一面には樂みも限りな
 いやうに見えるけれども、實は朝露の如
 く、夢幻の如き誠に果敢ないものである
故聖人將游於物之所不得遁而皆存;されば聖
 人は天下を天下に蔵し、物之遯るゝことを
 得ざる所、即ち道の究極に游んで、造化と 
 ともに永劫に存するので、形は時を逐うて
 變じても、眞は更に變なずることがない。
善妖善老。善始善終。人猶效之;かの妖老始
 終を皆善とし、生を愛せず、死を憎まず、
 纔(わづか)に、死生を一と視る者も、世人
 は猶ほ之を師として傚うてゐる。
又況萬物之所系。而一化之所待;況や万物の
 命の係る所、一切の化の由って以て成る所
 の本源たる道を悟るに於いては尚更で、こ
 れこそ眞に尊んで師とすべきもの、即ち大
 宗師である。
(´・(ェ)・`)つ

990鬼和尚 ◆Yj52hBkdLM:2023/03/21(火) 00:27:33 ID:m3A5gjk60
 
 大きな船を小さな谷に隠し、山を谷に隠すような技で、生を堅固に守るという者たちがいるのじゃ。
 そのような小技で生を養おうとしても、年月という力で死んでしまうのじゃ。 
 もっと根本的な技でもまだいかんのじゃ。

 天下の自然な法則に従って、生を養えばもはや万全なのじゃ。
 それが恒久への真の道なのじゃ。
 
 人の形を失ってまでも生きようとすることを楽しむ者もいるのじゃ。
 いわゆる仙人のような聖人はそのような道で生きようとするのじゃ。
 妖怪のようになるのも善として、老人の姿も善として、始終も善とする者ものなのじゃ。
 世の中の人はそのような仙人も崇めて奉るのじゃ。
 そのような者も崇めるならば、道と合一した者を崇めたほうがよいのじゃ。




これは道教とかの修行者の聖人を対象に書いたものじゃな。
仙人とか呼ばれる者たちより道と合一した者を尊ぶべきだというのじゃ。

991避難民のマジレスさん:2023/03/21(火) 16:12:27 ID:AaNxErBk0
>>990
鬼和尚、いつも解説ありがとうであります。
くまは、荘子は道教の祖であり、道教≒仙道かと思っていたのでありますが、荘子は、不老不死への取組みよりも、生死を一と悟ることの方が重要だと説いてるのでありますね。
そもそも、道教と仙道は全く別ものでありましょうか?

992鬼和尚 ◆Yj52hBkdLM:2023/03/21(火) 23:12:19 ID:EfgFLRrU0

 荘子は道家と呼ばれる仏教の悟りに近い境地を求めるものじゃな。
 本来道教とは違う教えであるが、道教が自分たちの権威付けのために始祖といっているのじゃ。
 荘子はあくまでも悟りを求めるものであるから、長生きしたいという仙人の道とは異なるのじゃ。
 
 むしろ死んでもよいというのじゃ。
 生死が一つであるからのう。
 
 どこまでも長生きしたいという仙道とは逆なのじゃ。

993避難民のマジレスさん:2023/03/24(金) 07:16:13 ID:7ZuMp4i.0
荘子68.
大宗師第六(8)
夫道有情有信。無爲無形。可傳而不可受。可
得而不可見。自本自根。未有天地。自古以固
存。神鬼神帝。生天生地。在太極之先而不爲
高。在六極之下而不爲深。先天地生而不爲
久。長於上古而不爲老。狶韋氏得之。以挈
天地。伏羲氏得之。以襲氣母。維斗得之。終
古不忒。日月得之。終古不息。堪坏得之。以
襲昆侖。馮夷得之。以游大川。肩吾得之。以
處大山。黃帝得之。以登雲天。顓頊得之。以
處玄宮。禺強得之。立乎北極。西王母得之。
坐乎少廣。莫知其始。莫知其終。彭祖得之。
上及有虞。下及五伯。傅說得之。以相武丁。
奄有天下。乘東維。騎箕尾。而比於列星。

夫れ道は情有り信有り。為す無く形無し。傳
ふ可くして受く可らず。得可くして見る可ら
ず。自(おのづか)ら本づき自ら根ざし。未だ
天地有らざるの古よりして以て固(もと)より
存す。鬼(き)を神(しん)にし。帝(てい)を神
にし。天を生じ地を生ず。太極の先(さき)に
在って而して高しと爲さず。六極の下に在っ
て而して深しと爲さず。天地に先だちて生じ
て而して久しと爲さず。上古より長じて而し
て老いたりと爲さず。狶韋氏(きるし)之を得
て以て天地を挈(ひっさ)げ。伏羲氏(ふくき
し)之を得て以て氣母を襲(つかさ)どり。維
斗(ゐと)之を得て終古(しゅうこ)と忒(たが
は)ず。日月(じつげつ)之を得て終古息(や)
まず。堪坏(かんはい)之を得て以て昆侖(こん
ろん)を襲(つかさ)どり。馮夷(ひょうい)之
を得て以て大川(たいせん)に游び。肩吾(けん
ご)之を得て以て大山に處(を)り。黃帝之を得
て以て雲天に登り。顓頊(せんぎょく)之を得
以て玄宮(げんきゅう)に處り。禺強(ぐきゃ
う)之を得て北極に立ち。西王母之を得て少廣
に坐す。其の始めを知ること莫く。其の終り
を知ること莫し。彭祖(はうそ)之を得て上(か
み) 有虞(ゆうぐ)に及び。下五伯(は)に及
ぶ。傅說(ふしつ)之を得て以て武丁(ぶてい)
に相(しゃう)として。天下を奄有(えんゆう)
し。東維に乘り。箕尾(きび)に騎して。而し
て列星に比せり。

注;
夫道有情有信。無爲無形;道とは、(その活動
 的方面から言へば、)情有り信あるものであ 
 る。(又その本体的方面から言へば、)無為 
 無形で。別訳、道は仮設のものではあらざ れども、道を行はんとて別に手を下す所もなく、形もあることなし。
可傳而不可受。可得而不可見;心から心に伝
 へることはできるが、手に受けとることは
 できず、(思索して後心に自得することは出
 来るが、)眼に見ることは出来ず、
自本自根。未有天地。自古以固存;道それ自
 ら本となり、根となり、天地開闢の以前か
 ら存在して少しも絶えることなく、謂はば
 無始無終、常有恒在の実在である。
神鬼神帝;幽冥界に於ける鬼神も現実界に於
 ける帝王も、斯の道を得て始めて神聖とな
 り、雄偉となる。
生天生地;天地も之に依って始めて生化す
 る。
在太極之先而不為高。在六極之下而不爲深;
 太極の上に存在するも、高しとなさず、六
 極の下に存在するも深しさとなさず。太
 極;元気なり。元気は天地の極、故に元気
 と謂ふなり。六極;上下四方
先天地生而不爲久;天地に先だって生ずるも
 久しとなさず。
長於上古而不爲老;上古より長ずるも、老ゆ
 ることがない。
狶韋氏得之。以挈天地;狶韋氏は道を得
 て世界を統整し、
以襲氣母;陰陽元気の母となり、
終古不忒;(群星の網維となって、)千古基座
 を移すことなく、
終古不息;下土を照臨して終古休まず、
以襲昆侖;昆侖山の主となり、
以游大川;河神となって黄河に遊處し、
以處大山;太山の神となり、
以登雲天;雲に乗り龍に跨って天に登り、
以處玄宮;北方の天帝となり、
立乎北極;北極に立ち
坐乎少廣。莫知其始,莫知其終;少廣山に坐
 して、また生死することなく、従って其の
 始終を示さず、
上及有虞,下及五伯;(性を養ひ年を延ばし
 て) 上は有虞氏の時から、下は五伯(は)の
 時に及ぶまで凡そ八百年の壽を保ち、
以相武丁。奄有天下;高宗を相(たす)けて、
 天下を有(たも)ち、
乘東維,騎箕尾,而比於列星;死後は星とな
 って東維七宿に乗じ、箕尾星の上に在っ
 て、他の列星と比列したのである。東維七
 宿;8世紀唐代に編纂された『大唐開元占
 経』ある星座の一つ
(´・(ェ)・`)つ

994鬼和尚 ◆Yj52hBkdLM:2023/03/25(土) 00:10:09 ID:7AXJUvIA0

 道には情があり信もあるのじゃ。
 しかし無為であり、無形であるというのじゃ。
 たのものに依存せず、独存なのじゃ。
 
 天地が生じるより前にあるのじゃ。
 異世界の者もこの世の王も道によって偉大なものになったのじゃ。
 天地も道によって生じたのじゃ。

 大極より先にあったがそれで高貴ではなく、六極の下にあっても甚深ではないのじゃ。
 天地より前に生じているが長久ではなく、上古より長じているが老いていないのじゃ。
 古の仙人たちも道によって偉大なものとなったというのじゃ。



 道とは全てのものの根本であり、独存するものというのじゃ。
 アートマンと同じようなものじゃな。
 全ての存在は道によって尊いものというのじゃ。

995避難民のマジレスさん:2023/03/28(火) 06:05:51 ID:Z7vVvXoM0
荘子69.
大宗師第六(9)
南伯子葵問乎女偊曰。子之年長矣。而色若
孺子何也。曰吾聞道矣。南伯子葵曰。道可得
學邪。曰惡。惡可。子非其人也。夫卜梁倚。
有聖人之才。而無聖人之道。我有聖人之道。
而無聖人之才。吾欲以教之。庶幾其果爲聖人
乎。不然以聖人之道。告聖人之才。亦易矣。
吾猶守而告之。參日而後能外天下。已外天
矣。吾又守之。七日而後能外物。已外物矣。
吾又守之。九日而後能外生。已外生矣。而後
能朝徹。朝徹而後能見獨。見獨而後能無古
今。無古今而後能入於不死不生。殺生者不
死。生生者不生。其爲物無不將也。無不迎
也。無不毀也。無不成也。其名爲攖寧。攖寧
也者。攖而後成者也。南伯子葵曰。子獨惡乎
聞之。曰。聞諸副墨之子。副墨之子聞諸洛誦
之孫。洛誦之孫聞之瞻明。瞻明聞之聶許。聶
許聞之需役。需役聞之於謳。於謳聞之玄冥。
玄冥聞之參寥。參寥聞之疑始。

南伯子葵(なんぱくしき)女偊(じょう)に問ふ
て曰く。子の年長ぜり。而して色孺子(じゅ
し)の若きは何ぞやと。曰く吾道を聞けばなり
と。南伯子葵曰く。道は學ぶことを得べきか
と。曰く惡(あゝ)惡(いづく)んぞ可ならん。
子は其の人に非らざる也。夫(か)の卜梁倚(ぼ
くりゃうい)は聖人の才有れども聖人の道無
く。我は聖人の道有れども聖人の才無し。吾
れ以て之を教へんと欲するに。其の果して聖
人爲(た)るを庶幾せんや。然らずんば聖人の
道を以て聖人の才に告ぐるは亦易し。吾猶ほ
守って之を告ぐ。參日にして、而る後に能く
天下(もの)を外にす。已に天下を外にす。吾
又之を守る。七日にして而る後に能く物を外
にす。已に物を外にす。吾又之を守る。九日
にして而る後に能く生を外にす。已に生を外
にす。而る後に能く朝徹(てうてつ)す。朝徹
して而る後に能く獨(どく)を見る。而る後に
能く古今無し。古今無くして。而る後に能く
不死不生に入る。生を殺す者は不死。生を生
ずる者は不生。其の物爲るや。將(おく)らざ
ること無く。迎へざること無し。毀(やぶ)ら
ざること無く。成らざること無し。其の名を
攖寧(えいねい)と爲す。攖寧なる者は。攖
(ふ)れて而る後成る者也と。南伯子葵曰く。
子獨り惡(いづく)にか之を聞けると。曰く。
諸(こ)れ副墨(ふくぼく)の子に聞けり。副墨
の子は諸を洛誦(らくしょう)の孫に聞き。洛
誦の孫は之を瞻明(せんめい)に聞き。瞻明は
之を聶許(せふきょ)に聞き。聶許は之を需役
(じゅえき)に聞き。需役之を於謳(おおう)に
聞き。於謳は之を玄冥(げんめい)に聞き。玄
冥は之を參寥(さんりゃう)に聞き。參寥は之
を疑始(ぎし)に聞けりと。

(´・(ェ)・`)
(つづく`)

996避難民のマジレスさん:2023/03/28(火) 06:06:24 ID:Z7vVvXoM0
注;
南伯子葵、女偊;ともに仮設の人
孺子;幼児
庶幾其果爲聖人乎;彼をして聖人たらんこと
 を希はしめようとしても甚だ難事であら
 う。(才のある人に教えるのも難しい程に、
 道を教えることは難事である) 別読み①
 其れ果して聖人たるの道に庶幾(ちか)から
 んか。別読み② 庶幾(こひねがは)くは其
 れ果たして聖人爲らんか。
外天下;外=遺(わす)るる
朝徹;平坦澄徹の気なり。胸中朗然として天
 に在るが如きをいふなり
見獨;道を発見する
將;=送る=死なり
迎;=生なり
毀;死なり
成;生なり
攖寧(えいねい); 混乱を経て平安に至るこ
 と。破壊を経て創造に至ること。
攖而後成者也;道が万物に繋着(けいちゃく)
 し内在して、而も自ら恒寧不変の一体を成
 すことをいふ
聞諸副墨之子;文字に聞いた。
 書物について文を討(たづ)ね、句を探り、
 文字によって解を得た。
聞諸洛誦之孫;暗誦に聞いた。
 洛は絡と通じ、絡繹書(絶え間なく繋がって
 来ている書)を誦(そらん)ずることなり、文
 に依て読み、文に背きて誦(ず)す、猶子の
 孫を生ずるが如し。
瞻明;瞻明(見ること明にして透徹するを云
 ふ。洛誦(らくしょう)の一層切なるものを
 云ふ。)に聞いた。
 眼光に依って道の本源を明視し、更に之を
 心に認得するに至り  
聶許;耳で聞いたことにより納得した。
需役;ついで之を実践に試みた。既に実践の
 上に味ひ得て、悦楽の境に入ることが出来
 たので。  需は待。身に自得し置き、時
 節の来るを待ち、何時にても行い得べきを
 いふ。
於謳;之を詩歌にあらはした。 歌うて以て
 之を娯しむ
玄冥(げんめい);深く杳(はるか)なる貌、気
 あるの始めなり、以て道の深遠なるに譬ふ
參寥(さんりゃう);寥;何もなく広々とし
 た、さびしい、しずか。空廊下
疑始(ぎし);其の始めを疑ふ辞にて、未だ始
 めより始めあらず、即ち始めなきの始めな
 り。

くま質問
道は有れども聖人の才なし、と言うことは、
道あり=悟っていても、必ずしも聖人ではな
い人もいて、聖人になるには才が必要と言う
ことでありますか?
(´・(ェ)・`)b

997鬼和尚 ◆Yj52hBkdLM:2023/03/28(火) 23:20:47 ID:ZFLSAVEQ0
↑ 聖人の道とは聖人になる法じゃな。
 その法も聖人になる才能がなければならんということじゃな。
 聖人になる法だけ知って、聖人にはなれない者もいるということじゃな。

998鬼和尚 ◆Yj52hBkdLM:2023/03/28(火) 23:29:56 ID:ZFLSAVEQ0

 南伯子葵は女にあって話したというのじゃ。
 おぬしはもはや年なのになぜそんなに若いのじゃ?
女は答えのじゃ。
 わしは道を聞いたからわかいのじゃ。
 南はまたきいたのじゃ。
 道は学べるのかと、
 女は答えたのじゃ。
 才能がなければ無理なのじゃ・。
 おぬしは無理なのじゃ。
 卜梁倚は聖人の才能があるが道がないのじゃ。
 わしには聖人の道があるが才能がないのじゃ。
 わしが教えてやろうとしたが、無理なのじゃ。
 
 そこでただ道を告げるだけにしたのじゃ。
 そしたら三日で天下を忘れ、七日で万物を忘れ、九日で生物という観念を捨てたのじゃ。
 大悟徹底し、主客のない独存になり、過去も未来もない今ここにあり、不生不死に入ったのじゃ。

999鬼和尚 ◆Yj52hBkdLM:2023/03/28(火) 23:33:21 ID:ZFLSAVEQ0

 南伯子葵はまた聞いたのじゃ。
 おぬしはどごそんな道を聞いたのかと。
 女は答えたのじゃ。
 わしはこれを本で読んで学んで実践して会得したのじゃと。


 才能があるものか道を聞けば数日でも悟りを得られるということじゃな。
 それも本で読んだことだけでも実践して会得することができるのじゃ。

1000避難民のマジレスさん:2023/03/30(木) 00:13:07 ID:9BwycanA0
鬼和尚、いつもありがとうであります。
女は、我有聖人之道。而無聖人之才。自分は聖人になる法はしているが、聖人になる才はないと言ってるようでありますが、これは、法を知ることと、それを実践して、実際に聖人になることは別のことであることを説明するために、敢えて謙遜してみせただけで、実際は女は、聖人であったのでありましょうか?
(´・(ェ)・`)b

1001避難民のマジレスさん:2023/03/30(木) 00:19:37 ID:9BwycanA0
つづきは、↓に掲載するであります。
鬼和尚の仏教勉強会 講読ゼミ 6 - したらば
https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/study/8276/1592867699/

(´・(ェ)・`)b

1002鬼和尚 ◆Yj52hBkdLM:2023/03/31(金) 00:00:36 ID:p8IlWA5E0
>>1000 そうじゃろう。
 聖人の道があることを教えたかったのじゃな。
 それが本からでも学べると説いているのじゃ。

1003偽和尚★:2023/04/02(日) 14:04:24 ID:???0
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オショーのSadhana Pathを読んで実践する Part 2
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