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科学と疑似科学とを判別する

653Ken:2020/07/04(土) 00:46:30 ID:7/Gvc6ok
すみません。式の一部に誤りがありました。復元力は変位と逆方向に働きますから、

F = kx ではなく F = -kx

つまり
kx = ma ではなく kx = -ma
kx = md²x/dt² ではなく kx = -md²x/dt²

でなくてはなりません。
私の学生時代は四半世紀も昔なので、ご容赦ください。

654diamonds8888x:2020/07/25(土) 05:43:55 ID:Qix9q/lA
>>651
まず1点
>まず基本的な点として、18世紀の議論に量子力学を持ち込まないでいただけませんでしょうか? 

 持ち込んでいませんよ?
 「広義の粒子性」の中の「量子性」が気に食わないなら、それだけ外して考えてください。それで古典論だけの話になります。


もう1点
>>まず「光が粒子でかつ波動」の意味をはっきりさせてください。

>背反関係を想定する必要がない、という意味です。
>  〜〜中略〜〜
>これなら「光が粒子でかつ波動」と主張できることでしょう。

【再掲>>649
 まず「光が粒子でかつ波動」の意味をはっきりさせてください。[>>646]参照。
   1)「ある時は波の性質を示し、ある時は粒子の性質を示す」
   2)「同時に波と粒子の性質が観測される」

 1)と2)のどちらですか?


 他にも読み違いがないかどうか御検討ください。気づいたらコメントください。またしばらくコメントできないかも知れませんので。

655diamonds8888x:2020/07/25(土) 07:11:48 ID:Qix9q/lA
>>652
>当時の人が数式は知っていても具体事象をイメージできなかった、という考えをどうしても捨てられないなら、

 「具体事象をイメージできなかった」という可能性の否定は、私はしていません。あくまでも具体的事例に関してKenさんが独自に考えついた「質量の移動の有無を、波と粒子との重要な違いと考える」という「理論」ないし「解釈」ないし「認識」というものを、19世紀以前の科学者達(自然哲学者達)が思いついていた証拠がない、という主張をしています。

 Kenさんは「質量の移動の有無による違い/有無による区別/有無により定義できる)という認識」を19世紀以前の科学者達の一部は認識していたに違いない、と主張しています。「認識していたかも知れない」という可能性ならば、私も否定しません。しかし、「認識していたはずだ/認識していたに決まっている」と断定するならば、歴史史料に基づく証拠が必要です。

>その数式がどうやって導かれたかを考えてはどうでしょうか?

 20世紀の思考を完全に振り切れるかどうか不明な現代人が、いくら思考実験を重ねても証拠にはなりません。

656diamonds8888x:2020/07/25(土) 08:11:26 ID:Qix9q/lA
>>655  【補足】
> 20世紀の思考を完全に振り切れるかどうか不明な現代人が、いくら思考実験を重ねても証拠にはなりません。

 具体的には、次の考え方はあくまでも現代人のKenさんの頭に浮かんだ考え方であり、それが19世紀以前の人たちにとっても自明かどかうかについては全く不明です。

 ***********************************************************************
 「質量の移動の有無による違い/有無による区別/有無により定義できる)という認識」は数式を考えれば自明だ。
 ***********************************************************************

657Ken:2020/07/26(日) 13:42:48 ID:7/Gvc6ok
>1)「ある時は波の性質を示し、ある時は粒子の性質を示す」
>2)「同時に波と粒子の性質が観測される」
>1)と2)のどちらですか?

その二者択一なら2)です。ただし読み違えたとは思いません。問題は背反関係にあるのですから。背反とはどういうものかを遺伝子を例に説明してみましょう。

たとえば遺伝子について調べたところ、

A:遺伝子とは細胞核中の染色体

と分かったします。さらに調べたところ、

B:遺伝子とはDNAという化学化合物

と判明したとします。2つの認識は、例え同じ一連の実験中であっても、Aが認識される瞬間とBが認識される瞬間には時間差があるはずです。その意味では

〜ある時は染色体であり、ある時はDNAである

といえるわけで、冒頭の1)に該当するでしょう。ただし遺伝子なら、そこからただちに2)の結論にいたります。

〜遺伝子は染色体であり、かつDNAである

染色体であることとDNAであることが同時に成立するのは背反関係がないからです。

光はどうでしょうか? 光の粒子的特徴を探せば見つかるし、波動的特徴を探せばこれまた見つかります。遺伝子の例にならえば、

〜光は粒子であり、かつ波動である

と結論されてよいはずなのに、そうならないのは、粒子と波動には背反関係があると考えられたからではありませんか。

ですから「光が粒子でかつ波動」の意味とは、冒頭の1)が観測された場合に2)の結論にいたるということです。遺伝子を含む多くの対象はそうなるのです。

658Ken:2020/07/26(日) 13:50:41 ID:7/Gvc6ok
>断定するならば、歴史史料に基づく証拠が必要です。
>20世紀の思考を完全に振り切れるかどうか不明な現代人が、いくら思考実験を重ねても証拠にはなりません。

そのようなスタンスをとれば歴史考察などできなくなるではありませんか。

昔の人が何をしたかのみならず、何を知っていて何を考えたかも歴史考察の重要な一部で、それを現代人がやっています。特に今の議論で重要な点は、過去を考察するのに、現代に残る文献以外の資料にも拠ることでしょう。そもそも人類が文字の記録を残すのは、エジプトやメソポタミアでも5〜6千年前からで、日本では2千年に達しません。ですがそれより前の、歴史史料がありえない時代のことも考察されるし、確実視される結論もあります。

例えばメソポタミアでは1万年も前から農耕が行なわれました。

農耕は気の長い根気のいる仕事です。とくに農耕以前の狩猟採集生活にない大問題は、どれだけ空腹でも眼前の食料を全部は食べられないことです。コメやムギの実を食べ尽くしたら次の作物を育てることができません。種まきから収穫まで数ヶ月も我慢をするわけで、なぜ狩猟採集生活をやってた人々が、そんな不都合をおして農耕に転じたのでしょうか? 旧約聖書の創世記には、アダムとイブが神に背いた罰として耕作するようになったと書かれていますが、それを信じる人は圧倒的少数だと思います。

人類が農耕に転じた理由はただ1つ。収穫で得られる食料が狩猟採集とはけた違いに多いからです。18世紀にタスマニア島が発見された時、原住民はすべて狩猟採集生活でした。そして、面積はイギリス(ブリテン島)の3分の1で、気候風土もよく似ているタスマニアの人口が3千人程度だった記録があります。つまりイギリス全土で1万人に満たない人口密度でした。農耕をやらないと、その程度の食料しか得られません。

このことから、私たちは、先史時代の人が持っていた知見について、結論することができます。彼らは、特定の植物を育てることで、何ヶ月か後には大量の食糧が得られること、つまり植物が作る実は植物の元になる実よりもはるかに多いことを知っていたのです。文字に書かれた史料はなくても考察できることです。

さらにまた、メソポタミアなどでは灌漑が行なわれていました。弥生時代の日本でも、あぜを作って田に水を入れています。時間と労力を費やしてそんな土木作業をしたことから、植物に適度な水を与えることで、成長を促進できるという知見があったことが分かります。

話を18世紀の光の正体論争に戻しますが、私は、当時の人が粒子と波動の背反関係を認識していた根拠として3つの事実を挙げました。

(1)粒子理論と振動理論が大砲や時計等の製作に応用されており、質量移動の有無が認識されなければ、大砲も時計も作る意味がない
(2)振動方程式を導くには変位に比例した復元力が働き、実際に復元するという認識から出発する必要がある
(3)光の粒子的特徴と波動的特徴の両方が観測されても、「粒子かつ波動」という結論を回避するべく努力がなされた

私の論点を否定し、背反関係が知られてなかった可能性があると主張されるのなら、冒頭に挙げたような一般論ではなく、(1)(2)(3)のどれからも背反関係を導けないことを具体的に論証されるべきではないでしょうか?

659Ken:2020/07/28(火) 22:00:13 ID:7/Gvc6ok
>>658では文献史料がなくても歴史を考察できると述べましたが、これはdiamonds8888xさんの投稿に応じたもので、私が訴えたい本論ではありません。私の論点は(1)(2)(3)に挙げましたが、とりわけ(2)が本丸です。ここには、

〜18世紀に粒子と波動の背反関係が知られていたことには、数式という史料がある

という考えがあるからです。粒子の動きを表す数式は、

x = xᵢ + vᵢt + at²/2 (xは変位、tは時間、xᵢは初期位置、vᵢは初期速度、aは加速度)

のような形を取るのに対し、振動を表す式は、

x = A cos ωt (Aは振幅、ωは角振動数)

のように全く異なる形になり、一方をどう変形しても他方にはなりません。粒子と波動がまったくの別物であることは明らかです。

ただし、抽象的な数式では感覚的な把握が難しいので、内容を平易な言葉で表現することがあります。質量が移動するしないとはそういう表現の1つにすぎません。当時の専門家(例えば大学教授)が学生に説明するときに質量移動の話をしなかったとは、私には想像しにくいのですが、仮にしなかったとしても、専門家なら数式があれば十分です。

diamonds8888xさんからは、

〜数式を知っていても具体事象をイメージできるとは限らない

という指摘がありました。私は、一般論としてはそういう事態がありうると同意した上で、18世紀の粒子と波動の理論はそれには該当しないと述べました。その根拠は、粒子運動の式も振動の式も、最初に具体イメージがなければ導き出せないからです。>>652では振動方程式の例を挙げて、そのことを説明しました。


以上の説明で、粒子と波動の背反関係が確実に認識されていたと、納得いただけませんか?

660diamonds8888x:2020/08/08(土) 05:23:38 ID:Qix9q/lA
>>654,>>655,>>659
 経緯を整理しましょう。【具体的事例として】光の波動説と粒子説との対立の歴史に題材を取った話は、19世紀以前(量子論出現以前)において以下のような状況があったという想定から始まっています。

 [>>541,>>546,>>547,>>549]科学者達は以下の状況に直面した。
1.まごうことなき波動としての特徴
2.まごうことなき粒子としての特徴
3.波動と粒子は背反関係としか結論しようがない理論

 この状態で私ならどうするかという結論は[>>541]に尽きますし、それは他の科学者達(何世紀の科学者だろうと論理的思考の持ち主である限りは)も同じです。
 Kenさんのおっしゃる通り、1、2、3が全て正しいならば「P∧¬P」という結論に至ります。すなわち矛盾が生じるのであり、論理的思考の持ち主ならばここから「1、2、3の全が正しいことはない」、すなわち「1、2、3のどれかが間違っている」という判断を下します。そして、どれが間違いでどれが正しいかを明らかにすべく探求を続けるのです。

 【具体的に】【史実に基づけば】、光粒子説の論者は1が間違いである、つまり1と見なされた観測事実は実は粒子としても説明できるものであり、「粒子としての特徴」でもあるのだということを理論付けようとしました。逆に光波動説の論者は、2と見なされた観測事実が「粒子としての特徴」でもあるのだということを理論付けようとしました。確かに19世紀以前(量子論出現以前)においては3を否定する理論を提出した者はいません。代わりに1か2のどちらかを否定しようとしたのです。つまり、1も2も本当に「まごうことなき」などとみなした科学者は歴史上存在しなかったのです。

 例えば[>>619]では挙げられた観察事実は、「まごうことなき」が抜けているので当時の科学者達も認めるでしょう。
(1)光には粒子としての性質がある
 観察事実:光は直進する(音のように障害物の背後に廻り込まない)
 観察事実:光は真空中を伝わる
(2)光には波動としての性質がある
 観察事実:光は屈折する
 観察事実:光は交差する

 【具体的に】【史実に基づけば】、「直進する性質」は波の性質でもあることはホイヘンス理論の時点でわかっていました。「光は真空中を伝わる」とは波動説論者は考えていませんでした。波動説論者は「光は真空中に満ちている媒質を伝わる」という理論を立てていて、その媒質をエーテルと呼んでいました。
 また「屈折する」という事実はニュートンが粒子説による説明理論を立てて『プリンキピア』第1巻第14章にも書いています。私のブログ(2020/04/25)を御参照ください[ttps://blog.goo.ne.jp/diamonds8888x/e/db7eb6a1ea6ddddaf6e7319e92aed977]。この理論は波動説による理論と比べると、水中の光速度が空気中(真空中、エーテル中)の光速度より速いか遅いかという決定的な違いがあり、水中の光速度を測定すれば決着がつくことを明らかにした点が重要なものです。
 「交差する」という事実はホイヘンスが粒子説を否定する根拠のひとつとした事実らしいですが、こんなものは粒子が極めて小さくて粒子同士の相互作用(引力とか斥力とか)がなければ簡単に説明できます。とても「まごうことなき」波動としての性質などと呼べる事実ではありません。実際に【具体的に】【史実に基づけば】、粒子説と波動説との論争の歴史で重要な役割を果たしたような記載が見つけられません。もしホイヘンスやニュートン以降に、「光は交差する」という事実が何か重要な役割を果たしたような記載のある史料があれば御教示ください。

  続く・・・

 ですが、続ける前にまず、「粒子と波動の背反関係は現在では崩れているのか否か?」という問題がありますので、それを検討します。そもそもは、現在は正しいとされている「光は波の性質と粒子の性質を共に持つ」という命題が「19世紀以前には論理的な背反関係そのものだったのではないか?」というのがKenさんの問いかけだからです。

  <==== Kenさんの問いかけの解釈はこれでOKですよね? Y/N?

661diamonds8888x:2020/08/08(土) 05:32:43 ID:Qix9q/lA
[>>660]に関連して

 [>>657,>>658,>>659]にまとめて簡単にコメントしますが、詳しくは説明が必要でしょうから、本発言に早とちりでの反論は控えてください。

>>658
 ・「粒子と波動の背反関係を認識していた」という点は認めます。100%事実とさえ言えます。
 ・(1)の「質量移動の有無が認識されていた」点は可能性はあっても証拠はありません。
 ・(2)は、だから何を結論したいのか不明です。
   背反関係も量移動の有無も、(2)から結論付けられるようには思えません。
 ・(3)の「光の粒子的特徴と波動的特徴の両方が観測された」ということが18世紀(1600-1800年?)において史実であるという点は、「まごうことなき」付きのつもりであれば、否定します。「粒子説でも波動説でも説明理論は提出されていた特徴」や「粒子説でも波動説でも説明できなかった特徴」が観測されていたということが史実です。そしてヤングによる干渉性の発見が「まごうことなき波動の特徴」として、19世紀半ばから後半には認められたのです。


>>657
 「同時に波と粒子の性質が観測される」という意味で考えているのですね。ならば、19世紀以前に「光の粒子的特徴と波動的特徴の両方が観測された」という[>>658]の(3)の記載は、史実としては認められません。また、現在の量子論における「波の性質と粒子の性質を共に持つ」という「波と粒子の二重性」の正しい理解としても間違っています。

>ですから「光が粒子でかつ波動」の意味とは、冒頭の1)が観測された場合に2)の結論にいたるということです。

 完全な論理的間違いです。1)と2)の違いをよく考え直してください。時間ごとに2つ以上の相反する形態を取る存在などいくらでも例があるでしょう? 生物でなら性転換する魚がいますが、カタツムリのような雌雄同体となることはありません。

 「波の性質と粒子の性質を共に持つ」という言い方の正しい意味については、さらに詳しく説明します。これは[>>660]の「続く・・・」の後に述べた問題そのものです。


>>657【なお、別件】
>その二者択一なら2)です。ただし読み違えたとは思いません。

 [>>654]で具体的な読み間違えを指摘したのは、次の部分です。

> >まず基本的な点として、18世紀の議論に量子力学を持ち込まないでいただけませんでしょうか? 

>  持ち込んでいませんよ?

662diamonds8888x:2020/08/08(土) 05:36:31 ID:Qix9q/lA
>>660,>>661
 これは同意してもらえると思いますが、まず事実として、「波の性質と粒子の性質を共に持つ」という発想は量子論以降のものです。
 19世紀以前には波と粒子とは明確に背反するものと考えられていて、ゆえに光について粒子説と波動説との論争があったのです。これは私ははっきりと認めます。

 これは後に詳しく述べますが、19世紀後半には波動説が絶対優勢となり、弱点としてはエーテル問題と光電効果を残すくらいの状況でした。しかしどちらも「波としては(その時点では)説明できない性質」ではあっても「まごうことなき粒子としての特徴」とは認識されてはいませんでした。特に光電効果を古典的粒子説で説明しようとした人はいませんし、プランク以前に光電効果が「粒子としての性質」だと考えた人さえいません。

 Kenさんが設定している問題は、このように「波と粒子とは明確に背反するもの」という知見が常識である19世紀以前の世界で「光は波でありかつ粒子である」という理論を科学的に妥当な仮説として提出できるのか否かという問題です。ここで提出する「光は波でありかつ粒子である」という理論はもちろん、現在の量子論では正しいとされている「光は波でありかつ粒子である」とか「波の性質と粒子の性質を共に持つ」とか表現される理論のことです。

 そこで現代における、つまり量子論における「波の性質と粒子の性質を共に持つ」というのは、実際にはどんな意味なのかが明確でないと、正確な考察ができません。時々、「現代の知見である量子論を持ち込むな」とおっしゃいますが、現代の量子論でも間違っているとされる理論を提出するという思考実験では議論する意義がないでしょう?

 ということで量子論での考え方の話を続けます。

663diamonds8888x:2020/08/08(土) 05:42:55 ID:Qix9q/lA
>>662
 明言してこなかったのでわかりにくかっただろう点をお詫びしますが、「波と粒子の2重性」についての私の認識も[>>648]あたりでの節操のない者さんのサイトを見てから少し変化した(深まった)点がありますので、それ以前の発言とは違っているかも知れません。お手数でしょうが、そこを考慮の上でお読みください。

 量子論における「波と粒子の2重性」には観測事実という点からは2つの場合があります。

 第1は電子や短波長(高振動数)の光の場合です。検出は写真フィルムや乾板、半導体検出器等に衝突することで特定の位置と時刻で検出反応が起きます。つまり検出反応では粒子としての性質を示します。しかし強い流れ、つまり多数の粒子の流れは波の性質である干渉を示します。すなわち二重スリット実験を行えば検出スクリーンに干渉縞が観測されます。
 そしてこの現象は、伝播しているときは波として伝わり、検出時には波が収縮して位置と時刻が確定した粒子として検出されるのだと解釈されています。さらにこの粒子の1個は、伝播する波の振動数に比例するエネルギーという一定のエネルギーをも持ち、それは様々な検出反応のエネルギー収支等から観測できます。
 つまり、伝播しているときにはあくまでも波として伝播しており、ゆえに干渉も回折もしますが、検出されるときには一定のエネルギーを持つ粒子に、いわば変身すると解釈されています。この変身を「収縮」と呼ぶのです。

 第1の場合の別の形の観測事実には、原子核を巡る電子のエネルギー(位置エネルギー+運動エネルギー)が離散的な値しか取らず、それゆえ連続的にエネルギーを放出して原子核に落ち込んだりはしない、という事実があります。これはド・ブロイにより、「電子は定常波として存在するから」として説明されました。このとき電子の「位置」の確率はほとんどが原子核周囲の非常に狭い範囲に、マクロには「点」と思ってもいいくらい狭い範囲に集中してはいます。しかし、ある瞬間にはその非常に狭い範囲の中のどこかの1点に粒子として存在し、次の瞬間には別の点に移動している、つまり粒子として運動しているとは考えられていません。あくまでも原子核周囲の非常に狭い範囲の中の全範囲に、同一時刻にぼやーっと広がった定常波として存在しているのだと考えられています。

 第2の場合については別発言にて。

 ==>続く

664diamonds8888x:2020/08/08(土) 05:46:54 ID:Qix9q/lA
>>662 訂正です。より正確には、次のようになります。
 
 プランク以前に光電効果が「粒子としての性質」だと考えた人さえいません。

 ==>アインシュタイン以前には光電効果が「粒子としての性質」だと考えた人さえいません。

665Ken:2020/08/09(日) 11:11:17 ID:CGdfQfpg
>・「粒子と波動の背反関係を認識していた」という点は認めます。100%事実とさえ言えます。

この一言を聞きたかったのです。これでまた議論が前に進むでしょう。ただし問題の根幹である「背反関係」の定義で行き違いを生じないように、以下の文章を書きます。

「光は粒子であり、かつ波動である」という命題の意味ですが、、

>1)「ある時は波の性質を示し、ある時は粒子の性質を示す」
>2)「同時に波と粒子の性質が観測される」
>1)と2)のどちらですか?

私は、観測事実としては(1)だが、もし理論的な背反関係がなければ、(2)が観測されるのと同じ結論にいたることを、遺伝子の例を挙げて説明しました。しかし、今回のdiamonds8888xさんの投稿を受け、むしろ、

〜古典力学において、上記の命題は、(2)は言うに及ばす(1)の意味でも否定される

と述べるのが、今後の議論に最も資すると考えます。もし「ある時は波の性質を示し、ある時は粒子の性質を示す」ことを認めるなら、光の正体論争は起こらなかったはずです。たとえば、屈折や交差のような波動的特徴(波動説論者はこれらを波動的特徴と考えたわけです)を示す時には光は波であるが、真空を伝わるような粒子的特徴を示す時には光は粒子であると、そう言えばよいので、なにも、正体不明・観測不能の「エーテル」などを強引に想定する必要はありません。

エーテルが必要とされた理由は(1)と(2)のどちらも否定されるからでしょう。つまり、ある時点で波動であり粒子ではない存在は、いついかなる時にも波動であり粒子ではありえないという理論があるのです。たとえば、

〜屈折現象が観測されるときの光は波動であるが、真空を伝わるときの光は粒子である

こんな理論は認めないのが古典力学です。

>「粒子と波動の背反関係は現在では崩れているのか否か?」という問題がありますので、それを検討します。

diamonds8888xさんが言われるように、古典力学の知識体系の中で、粒子と波動の背反関係が、(1)も(2)も認めないという意味で確認されたら、次に量子力学をを論じることになります。

まずは、この投稿で私が述べたことに同意をいただけますでしょうか?

666diamonds8888x:2020/08/10(月) 19:41:50 ID:Qix9q/lA
>>665
>古典力学の知識体系の中で、粒子と波動の背反関係が、(1)も(2)も認めないという意味で確認されたら、

 OKですよ。正確を期して、
  ・古典力学では、(1)も(2)も認めない
  ・量子力学では、(1)は認めるが(2)は認めない
    別の言い方では、波の特徴、粒子の特徴の範囲が古典力学とは異なる

> と述べるのが、〜〜〜
>      (中略)
> こんな理論は認めないのが古典力学です。

 この部分は論理的に正しいとは認めませんが、本論には無関係なのでわざわざ答える必要はありません。そりゃあ、結論自体は事実ですけれど、屈折と真空の例はいただけませんね。


----
 私からも、先へすすめる前の要求があります。

>私は、観測事実としては(1)だが、もし理論的な背反関係がなければ、(2)が観測されるのと同じ結論にいたることを、遺伝子の例を挙げて説明しました。

 遺伝子の例ではたまたま正しくても、普遍的に正しいわけではないことは認めますか?
 それとも魚の性転換の例では納得できませんか?
 遺伝子の例示は、波と粒子の場合の証明にはならないという点は認めますか?

667diamonds8888x:2020/08/10(月) 19:42:44 ID:Qix9q/lA
>>663
 さて第2の場合は、プランクが理論的解明を行った黒体輻射のスペクトル分布という観測事実です。これは大きさの決まった箱の中に光を閉じ込めたときのスペクトル分布を理論的に説明しようとすると、「決まった波長λを持つ光はhλという決まった量のエネルギーの整数倍の値しか取れない」と仮定することにより、観測される分布が正確に計算できたという事実です。「ある量の整数倍の値しか取れない」という状態を「量子化されている」と呼びます。

 均一な粒子の集団、例えば同一速度の粒子の集団の全運動エネルギーは、ニュートン力学では1/2mv^2の整数倍になりますから、「全エネルギーが、ある量の整数倍の値しか取れない」という性質はまさしく粒子の性質のひとつです。もちろん逆は必ずしも真ならずであり、この性質は「まごうことなき粒子としての特徴」ではありませんし、プランクもそんなことは考えてはいませんでした。


 第1の場合と第2の場合との違いですが。第1の場合では、はっきりと粒子として観測されるものが、つまりある時刻にはある位置の1点として観測されるものが、観測されずに移動しているときには波の特徴である干渉性を示します。第2の場合では、波として観測されるものが粒子の特徴のひとつである、最小単位の有限なエネルギーを持つという性質を持つと考えられたのです。

 もっともよく考えると、光(短波長の電磁波)が「波として観測される」と言えるのかどうかは検討が必要です。が、そこはおいておきましょう。これが電波であれば確かに「波として観測される」と言えるのでしょうが。そもそも光がそう簡単に「波として観測される」のであれば粒子説が生まれるはずもありません。そして確かに「波として観測される」長波長の電磁波では、量子仮説によるプランクの式でも、波として求めたレイリー・ジーンズの式も一致するのです。例えばマイクロ波より長い波長の電磁波では、粒子の特徴を明確に捉えた観測事実はないと思います。核磁気共鳴分光(NMR)のマルチバルスによる実験のあるものは量子力学でないと説明できない、なんていうのが一応「量子としては捉えた」と言えるのでしょうけれど。


 このようにいくつかの違うタイプの観測事実があるのですが、波と粒子の二重性に関しては、ひとまず一番最初の、「観測されるときには粒子、移動していて観測されていないときには波」の場合を考えれば十分でしょうから、他の場合についてはこれ以上は触れません。

668Ken:2020/08/14(金) 00:35:18 ID:CGdfQfpg
実は今、サイト管理者のNATROM医師に、新型コロナウィルスに関する質問を集中的に行っており、こちらのスレッドでの回答が遅れています。こちらでは、ちょうど背反関係について合意が得られたようなのでタイミングはよかったと思うのですが。

>遺伝子の例ではたまたま正しくても、普遍的に正しいわけではないことは認めますか?
>それとも魚の性転換の例では納得できませんか?
>遺伝子の例示は、波と粒子の場合の証明にはならないという点は認めますか?

遺伝子の例が波と粒子の場合に適用できない、という意味ならもちろん認めます。そもそも両者が異なることを示すために遺伝子の例を持ち出したのですから。

A:遺伝子は細胞核中の染色体である
B:遺伝子はDNAである

遺伝子についてBを観測するには、染色体を細胞核から取り出し、染色体を破壊する形で分子構造を調べる必要があるでしょう。つまり、Bが観測されるときAの状態は消失しており、AとBを同時に観測することは不可能なのです。それでも、遺伝子がDNAの分子構造をもち、同時に染色体として細胞核中に存在することは、どの教科書にも書いてあります。

光もまた、粒子であることと波動であることは同時には観測できません。そして遺伝子とは異なり、観測できなくても2つの状態が同時に成立することもないという理論が古典力学で確立しています。量子力学の話は次の投稿をお待ちください。

669Ken:2020/08/26(水) 22:53:20 ID:CGdfQfpg
それでは話を続けます。ここからの話には量子力学が入りますが、その前に、18世紀の話題が長く続いたので、議論の全体像を明らかにするために、基本的な背景を述べておきます。diamonds8888xさんには先刻承知の話かもしれませんが、行き違いを生じないためですので、どうか我慢を願います。

まず、私がなぜ光の正体論争を持ち出したかですが。基準に違反する「疑似科学」は、単なる「間違った理論」とは異なるはずという認識があります。「間違った理論」とは、現実を反映しない理論という意味です。科学史には多くの論争があったし、今でもあります。

「光は粒子である」 vs 「光は波動である」
「鳥は樹上生物が進化した」 vs 「鳥は地上を走る恐竜が進化した」
「宇宙は永遠に膨張する」 vs 「宇宙はいずれ縮小に転じる」
「邪馬台国は九州にあった」 vs 「邪馬台国は畿内にあった」

一方の説を唱える人は他方の説を間違った説、現実を反映しない理論と主張しますが、だからといって疑似科学と見なしたわけではありません。ですから、例えば学術論文としては常に邪馬台国九州説を唱え、畿内説を論駁する人が、一般向けの教養書や教科書を執筆する時は、両論を併記するものです。疑似科学と見なす理論を教科書に載せる人はいないでしょう。そして、現実を反映するのはどの理論であるかという論争なら、新しい発見があり知識体系が変わるにつれ、正しいと思われた理論が間違いと分かったり、その逆のことが起こったりします。光の正体論争でも、時代によって粒子説が優勢になったり、波動説が正しいと確信されたことは、diamonds8888xさんがご承知のとおりです。

ところが私は、数理的背反関係にある2つの理論をどちらも認めるのは疑似科学である、という基準を見たときに、ある理論が疑似科学であるのかないのかもまた、知識体系によって変わるのではと思ったのです。ある時代の知識体系の中では疑似科学と見なされる理論が、新しい時代の知識体系の中では疑似科学でなくなるのみか定説にすらなりうるのではないかと。それなら「間違った理論」といわず、ことさら「疑似科学」と称することに何の意味があるのでしょうか。いずれは正しいと分かるかも知れず、よって正当な探求対象たりうる点では「間違った理論」も「疑似科学」も同じではありませんか。

そこでまず、18世紀の知識体系の中で「光は粒子でありかつ波動である」と唱えるのは、基準に照らして疑似科学になることを論証してきました。20世紀以降の知識体系の中でどうなるかは、これから論じてゆきます。

以上が、私が光の正体論争を持ち出した直接の理由ですが、もう1つのより根本的な問題提議を述べておきます。これはdiamonds8888xさんから何度かお尋ねがあったことですが、現在進行中の議論ではそこまで踏み込まないのがよいのではと、私から申し出たもので、ここでは背景説明として述べておきます。

すなわち「(¬P)∧P」を否定するような純粋な数理論だけで、現実の事象を否定できるのかということです。言い換えれば、現実観測からすべてが出発する自然科学と、純粋な抽象対象を扱う数学を、同列に扱えるのかということです。自然科学が数理的に整合性のある理論構築を目指すのはたしかですが、それ以前に自然科学は現実をあるがままに認識するものであり、現実認識と数理的整合性が一致しない場合は前者を優先し、理論的な矛盾を容認するのではないかということです。話が長くなるのでここでは省略しますが、現在、定説になっている理論にすら、究極的には矛盾を含むものがあるのではという疑念を私は抱いています。

以上のような背景と目的のもとに、これから量子力学を取り入れた形で光の正体論争について述べてゆきます。疑問または異論がありましたらご指摘ください。

670diamonds8888x:2020/08/30(日) 09:47:02 ID:Qix9q/lA
>>669
 このまとめはKenさんの基本的考え方がわかりやすく整理されていて、その理解にものすごく助かります。当然ながらというべきでしょうか、多くは同意ですが、微妙に食い違う点もあって、そこがこれまでの食い違いの原因となっているように思えます。

 その点を詳しく述べる前にまず[>>668]でも互いに誤解があるようなので別発言[>>671]にて。

 なお、「量子力学を取り入れた形で光の正体論争」については本発言(669)等へのレスとは関わりなく、まとめていただくことをお願いします。Kenさんが量子力学をどう見ているかが詳しくわかったほうが互いの考え方をよりよく理解できるはずだと思いますから。

671diamonds8888x:2020/08/30(日) 09:47:42 ID:Qix9q/lA
>>668 [>>657]
>遺伝子の例が波と粒子の場合に適用できない、という意味ならもちろん認めます。そもそも両者が異なることを示すために遺伝子の例を持ち出したのですから。

 そういうことですか! わかりにくかったあ。詳しめに、私に見えた互いの食い違いの経緯を示しますので御検討ください。

 まず[>>657]でのKenさんの認識は以下のようなものだったのですね?
 --------------------------
 「>>654 【再掲>>649】」の選択肢の1)と2)を一般化して
   1)「aは、ある時はAの性質を示し、ある時はBの性質を示す」
   2)「aは、同時にAの性質と粒子Bの性質が観測される」

  a=遺伝子、の場合  1)は成立 =>ただちに2)の結論にいたる
  b=光、の場合  1)は成立 =>2)の結論にいたらない
 --------------------------

 了解です。詳細は後として簡単にコメントしておくと、論理的には"b=光の場合"の方が厳密な論理に従った妥当なものです。では"b=遺伝子の場合"にはなぜ【ただちに】2)の結論にいたっても良いのかを検討すべきだと思います。

-------------
 そのまえに「ただし読み違えたとは思いません。」の一文がわからないのですが、どの文章を「読み違え・・」とおっしゃるのでしょうか?

 [>>654]の私の以下の文章ですが、

>他にも読み違いがないかどうか御検討ください。

 まず、ここで指摘した読み違いは、「([>>648]で私が)18世紀の議論に量子力学を持ち込んだ」という認識です。

> >まず基本的な点として、18世紀の議論に量子力学を持ち込まないでいただけませんでしょうか?

 そこで、「持ち込んでいませんよ?」と指摘しました。
 この指摘を踏まえて、[>>654]の最後で、「他にも読み違いがないかどうか御検討ください。」とお願いしました。

 ---------
 なので[>>654]に答えるわかりやすい書き方は、3つの論点のどれに答えたのかがわかりやすいと、ありがたいのです。

 1.「([>>648]で私が)18世紀の議論に量子力学を持ち込んだ」という認識が誤解だったと認めるのか?
    Noならば、その理由

 2. 「1)と2)のどちらですか?」に対する答え
   これは、2)ということで了解しました。

 3.「他にも読み違いがないかどうか御検討ください」に対する答え
   他にもとはむろん、1.の認識以外ということですので、これは思い当たらなければ
  むろん答える必要はありませんし、私も一般的お願いだけのつもりでした。
 ---------

 2.は既に答えていただきました。つまり、Kenさん以下の考えだと理解しましたが、それでよろしいですね?
  現代の量子力学では、「光は同時に波と粒子の性質が観測される」、
 「光は同時に波と粒子の性質を持つ」、「光は同時に波と粒子として存在できる」
 と考えられている。

 そして、そうではなくて、現代の量子力学では、1)「ある時は波の性質を示し、ある時は粒子の性質を示す」と考えられているのだ、というのが私の言いたかったことです。2人の考えの違いについてはご理解いただけましたか?

 1.は「読み違えたとは思いません。」というのが答えでしょうか? つまり今でも「([>>648]でdiamonds8888xが)18世紀の議論に量子力学を持ち込んだ」という認識だと理解してよろしいのでしょうか?

 もしもそうならば、再度否定します。「[>>648]でdiamonds8888xが量子力学を持ち込んでいる」と未だにお考えならば、[>>654]の私の答えを踏まえて理由をお聞かせください。

>「広義の粒子性」の中の「量子性」が気に食わないなら、それだけ外して考えてください。それで古典論だけの話になります。

672Ken:2020/08/30(日) 21:29:22 ID:Vt0Ycb5Y
とりあえず、ご指摘の件に答えておきます。

>"b=遺伝子の場合"にはなぜ【ただちに】2)の結論にいたっても良いのかを検討すべきだと思います。

理由を突き詰めれば複雑になるかもしれませんが、いま問題になっていることとの関連でいえば、単純でしょう。古典力学では、なにものであれ「粒子であり、かつ波動である」という状態を認めないのに対し、遺伝子が染色体であり同時にDNAであることを否定する理論がないからでしょう。厳密に言えば、取り出した染色体を分析したらDNAだったからといって、生体細胞の中にあったときにもDNAだった、つまり取り出して分析する過程で分子構造を変える反応がおこらなかった、という証明はないはずですが。


私が>>657

>読み違えたとは思いません

と言ったのは、その前の、

>まず「光が粒子でかつ波動」の意味をはっきりさせてください。
>1)「ある時は波の性質を示し、ある時は粒子の性質を示す」
>2)「同時に波と粒子の性質が観測される」
>1)と2)のどちらですか?

という質問の意図を私が読み違えた結果、diamonds8888xさんの質問に回答していないと、受け取られたのではないか、と考えたからです。私が「背反関係」というときは、1)と2)のどちらかは問題ではなく、どちらの意味でも「粒子かつ波動」という状態は否定されるという意図でした。

>現代の量子力学では、1)「ある時は波の性質を示し、ある時は粒子の性質を示す」と考えられているのだ、というのが私の言いたかったことです。2人の考えの違いについてはご理解いただけましたか?

理解しました。ただし、現代の量子力学については、私からも考えを述べさせていただきます。それはdiamonds8888xさんの上記の表現とは異なるかもしれません。投稿をお待ちください。

673diamonds8888x:2020/08/31(月) 06:02:48 ID:Qix9q/lA
>>669
 簡単にコメントしておきます。2人の考えの違いがわかるでしょう。

>基準に違反する「疑似科学」は、単なる「間違った理論」とは異なるはずという認識があります。

 同意

>ある理論が疑似科学であるのかないのかもまた、知識体系によって変わるのではと思ったのです。

 一般論では同意。変わるか否かは疑似科学の基準による。また知識体系の突飛さにもよる。
  例) 「自然現象は神々や妖精により起こされる」という知識体系とかなら変わるでしょう。

 本議論のテーマの基準1-6に限れば、「経験と論理を再重視する、近代科学の考え方に基づく知識体系」であれば、基準1-6は変わらない。ただし、そのことが歴史的にいつごろから、誰がどの程度認識していたのかは科学史の問題である。
 基準5-6(矛盾をはらむ理論を認めない)に限れば、アルキメデスの時代でも変わらない、というのが私の考え。

>18世紀の知識体系の中で「光は粒子でありかつ波動である」と唱えるのは、基準に照らして疑似科学になることを論証してきました。

 「波動は媒質を持たない」と唱えることに関しては、留保中でしたか?
 「波動は媒質を持たない」と唱えることは基準5-6には触れない、というのが私の考え。

 「ある時は波の性質を示し、ある時は粒子の性質を示す」と唱えることは基準5-6には触れない。
 「同時に波と粒子の性質を示す(性質が観測される)」と唱えることは基準5-6には触れ、現代の量子力学でも唱えられてはいない。

>もう1つのより根本的な問題提議を述べておきます

 これをまず正してほしい。はっきり言って、これは言葉だけの空理空論です。というより、矛盾とは何かをちゃんと突き詰めていない??

674Ken:2020/09/02(水) 22:44:09 ID:Vt0Ycb5Y
>これをまず正してほしい。はっきり言って、これは言葉だけの空理空論です。というより、矛盾とは何かをちゃんと突き詰めていない??

私自身もこの問題を整理できているわけではなく、いわば「疑惑」を感じている段階なのです。この場で議論をして結論にいたるのかも分かりませんが、とりあえず私の疑惑を語ってみましょう。矛盾のある理論ではないかと私が疑惑を向けているのは熱力学の第2法則です。この理論は19世紀に確立されて以降あらゆる観測事実によって確認されてきました。工学応用もされており、エンジンや電池等、エネルギー効率が問題になる製品の開発で貢献しています。

一方で、この理論は宇宙論と直結しており、私たちには観測できない長大な時間の中で何が起こるかも語ります。つまり熱力学の第2法則によれば、宇宙全体のエントロピーは常に増大し決して減ることはありません。よって未来に進むほどエントロピーは大きくなり、ついには利用可能なエネルギーがなくなる、いわゆる熱的な死を迎えるというのです。ということは、過去の世界に行くほどエントロピーは小さかったことになります。宇宙の始まりがあったのかはともかく、遠い過去にはエントロピー極小の状態があったということです。

でも、そのようなエントロピー極小状態は、どうやって生じたのでしょうか?

熱力学の第2法則が正しいなら、そんな状態を生じるはずがありません。第2法則とは、それが正しいなら存在しえない世界を支配する法則として、存在しているのではないのでしょうか。自己矛盾を内包した理論、疑似科学ではありませんか?

この疑惑は私の独創ではなく、ファインマンの物理講義の46章「Ratchet and pawl」の5節「Order and entropy」で論じられています。ファインマンは「矛盾」という言葉は使っていませんが。
www.feynmanlectures.caltech.edu/I_46.html

実をいうと、この部分の解説はファインマンらしくもなく多分に曖昧で、数式もありません。私なりに要約しますと、ファインマンは熱力学の第2法則はエントロピーが絶対に減らないと言っているのではなく、確率的に非常に起こりにくいだけだと指摘しています。どれだけ起こりにくいかは言葉で語るだけで数式がありませんが、それほど難しい考察ではないのでやってみましょう。

例えば1枚のコインを放り上げて表が出る確率は1/2です。100枚のコインがすべて表になる確率は1/2¹ººになります。これでも途方もなく低い確率ですが、宇宙のエントロピーが非常に低い状態、例えばエントロピーがゼロの状態を生じる確率は、宇宙全体の素粒子の総数をNとして1/2ᴺになると思われます。ゼロは極端でもっと「容易な」値が目標でも、「天文学的」などの表現では追いつかない途方もない数字であることはたしかです。私たちは奇跡が作った世界に住んでいるのでしょうか?

1つの可能性として、ファインマンは、観測できる宇宙の外からエネルギーが、つまりエントロピーの小さい状態が、入ったかもしれないと述べます。ただし、いくら新しい星を見つけても、既知の宇宙とエントロピー状態が異なる観測例はないから、その可能性は低いとも語っています。何より肝心な点は、外の世界のエントロピーが小さくても問題の解決にはなりません。それなら外の世界を含めた全体系のエントロピーはなぜ小さくなったのか?と、問題を先送りするだけですから。


同じ問題を扱ったもう1つの文章は、アジモフの小説「最後の質問」です。プロットを要約すると下のようになります。

自己進化をする人工知能が主人公です。人間がこのコンピュータに、どうすれば熱力学の第2法則を逆転してエントロピー減らせるか、と尋ねます。コンピュータは答えられず、「情報不足」と繰り返すだけでした。そして長大な時間が経過し、人類は死に絶え、地球も太陽系もすべての星も消滅し、宇宙の熱的な死がきますが、コンピュータは同じ問題を考え続けるのです。そしてついにエントロピーを減らす方法を発見します。ただし小説では「発見した」というだけで、具体的な方法は出てきません。

方法を見つけたコンピュータは、エントロピーを減らして宇宙を再生するコマンドを実行しますが、この部分が『創世記』の冒頭そのままなのです。

「光あれ」・・・・するとそこに光があった (創世記1章3節)

自他の認める無神論者アジモフにして、宇宙の創世には神を持ち出すしかなかったのか、と私には思えます。

675diamonds8888x:2020/09/03(木) 05:34:48 ID:Qix9q/lA
>>672

>理解しました。ただし、現代の量子力学については、私からも考えを述べさせていただきます。それはdiamonds8888xさんの上記の表現とは異なるかもしれません。投稿をお待ちください。

 大歓迎です。楽しみにしています。そもそも違いがなければ議論の必要などないのですから。まずは何がどう違うのかがお互いにわからなければ話になりません。


>私が「背反関係」というときは、1)と2)のどちらかは問題ではなく、どちらの意味でも「粒子かつ波動」という状態は否定されるという意図でした。

 「読み違え」の対象が何だったかは理解しました。読み違えるような文章には見えませんし、いまいち不明点がありますが。
 上に示した最後の一文が気になりますが、私は1)と2)のどちらなのかで大きな違いがあると言っていることは御理解いただけていますか?

 [>>673]も参照のこと。
>「ある時は波の性質を示し、ある時は粒子の性質を示す」と唱えることは基準5-6には触れない。
>「同時に波と粒子の性質を示す(性質が観測される)」と唱えることは基準5-6には触れ、現代の量子力学でも唱えられてはいない。

 まあ、私の考えは御理解いただけた上で、それとは異なるKenさんの量子力学の理解をこれから説明してくださるのだとは思っていますが?

676Ken:2020/09/05(土) 16:01:59 ID:Vt0Ycb5Y
これから量子力学の話をしますが、その前に確認させてください。

>>674で私が述べた論旨、

〜熱力学の第2法則は疑似科学

には、同意いただけますか? もしくは疑問・異論がありますか?

つまり熱力学の第2法則は、>>669で述べた

>現実認識と数理的整合性が一致しない場合は前者を優先し、理論的な矛盾を容認する

に該当するのではという「疑惑」を私はもっているのです。

2つの問題(量子力学と熱力学)を同時並行で議論するのは避けたいので、お尋ねします。

677diamonds8888x:2020/09/06(日) 07:17:50 ID:Qix9q/lA
>>676,>>674
>矛盾のある理論ではないかと私が疑惑を向けているのは熱力学の第2法則です。

 熱力学第2法則についてのKenさんの疑惑はよくわかります。「遠い過去には存在したはずのエントロピー極小の状態は如何にして生じたのか?」という疑問は、「ビックバン以前の宇宙は如何にして生じたのか?」という疑問と同じく、科学的に妥当な設問だし、それを考えていたり考えたことがあったりした物理学者もファインマン初め多数いることでしょう。

 そっと白状すると、私は実は熱力学第2法則自体が間違いではないかという考えを抱いていたりします。Kenさんの疑惑などかわいいものでしょ(^_^)

> 〜熱力学の第2法則は疑似科学

> には、同意いただけますか? もしくは疑問・異論がありますか?

 しかしむろん現在の熱力学第2法則には明確な論理的矛盾も見いだされてはいませんし、観測との食い違いも見いだされていません。もしもどちらかが明確に見いだされれば、そこでこの理論は否定され、替りの新しい理論が提出されることでしょう。熱力学第2法則が科学的に妥当であると認められているのは、基準05,06には反していないと認められていることも理由のひとつです。

 しかし[>>674]での疑惑は熱力学の第2法則が「矛盾のある理論ではないか?」というものです。どうして現在は矛盾がないと広く認められている理論にそのような疑惑の余地が生じるのでしょうか?

 [>>674]での疑惑の場合では、その理由は「該理論が証明された範囲を超えた領域での現象を問題にしているから」というのが一番大きい理由だと考えられます。[>>674]での疑惑を論理的にわかりやすくしてみると次のようになると思います。

 理論p0) 閉鎖系の全エントロピーは時間とともに増加する。(熱力学第2法則)
 仮定u0) 全宇宙は閉鎖系である。

 p0) 全宇宙のエントロピーは時間とともに増加する。(熱力学第2法則)
 p1) ゆえに、全宇宙のエントロピーは過去のある時点で可能な最小値だった。
 p2) そのようなエントロピー最小状態は、どこからどのように生じたのか?
  p2-1) 全宇宙の他の可能な状態から生じた。これは熱力学第2法則と矛盾する。
  p2-2) 全宇宙の外からの影響で生じた。これは仮定u0に反する。
  p2-3) どこからも生じたのではなく、単に存在していた。

 可能性としては、p2-2か、p2-3か、遠い過去では理論p0が成立しないのか、の3択でしょうねえ。

 p2-2はつまり仮定u0が成立しない。つまり閉鎖系である宇宙というものが存在しないことになります。これは宇宙が無限であれば、可能かも知れません。p2-3はつまり、過去が無限に続いているという我々のなんとなくの考えが、実は間違いということを意味するでしょう。どちらにしても観測ではちょっと証明するのが極めて難しそうですよね。「遠い過去では理論p0が成立しない」という理論は、p2-2やp2-3に比べれば観測による証明の可能性はありえるかも知れません。素粒子実験でビックバン以前の超高密度宇宙を再現してみたら熱力学第2法則が破れていたとか。


 熱力学の第2法則が「矛盾のある理論ではないか?」という疑惑の余地が可能な別の理由として、実はこの法則はなんらかの基本原理から誘導されたものではない、ということもあります。例えば分子運動にニュートン力学を適用してみても第2法則を導けはしません。第2法則そのものが第1原理であり、それは熱力学上の観測事実を法則化したものです。つまり、「閉鎖系の全エントロピーは時間とともに増加する」という観測事実はニュートン力学からも量子力学からも相対性理論からも導くことができていません。やむなくこの観測事実をそのまま法則化しているのです。

 ですから例えば遠い過去では、観測事実からは第2法則が成立していないということは十分に可能なのです。

 ちなみに宇宙が膨張と収縮を繰り返すという周期宇宙説があります。収縮したらついにはビックバン状態になり、そこからまた跳ね返って膨張するということなのですが、第2法則が厳密に成立していたとしたら、そして宇宙が閉鎖系であれば、膨張と収縮を永遠に繰り返すということは起きるはずがありません。周期宇宙説が成立するにはどこかで、例えば収縮期間の最終段階などで第2法則が破れていてエントロピーが減少しないと矛盾が生じます。

678diamonds8888x:2020/09/06(日) 07:19:03 ID:Qix9q/lA
>>677
 色々と書きましたが、将来的に熱力学の第2法則の真偽がどうであれ、矛盾のある理論が妥当な理論とされないことには変わりはありません。[>>674]での疑惑は基準05,06に反する理論が科学的に妥当だということにはなりません。

> 〜熱力学の第2法則は疑似科学

> には、同意いただけますか? もしくは疑問・異論がありますか?

 同意しません。ていうか、Kenさん自身も「疑似科学ではないか?」という疑惑を抱いているだけで、はっきりと「疑似科学に違いない」と断定できているのではないのでしょう? その状態で他の人にそんな同意を求めても賛同してもらうのは無理ですよ。

 熱力学の第2法則がある条件下では、1)論理的に矛盾する可能性がある、2)観測事実と一致しなくなる可能性がある、という点は認めます。それどころかそっと白状すると、遠い過去ではなくまさに現在において「観測事実とは異なっているのではないか?」という疑いを私は持っています。Kenさんの疑惑などかわいいものでしょ(^_^)

 しかし、現時点では一応、遠い過去ではなく現在の自然現象の観測においては、明確な論理的矛盾も見いだされてはいませんし、観測との食い違いも見いだされていません。基準05,06には反するという意味での疑似科学でないことはもちろんのこと、間違っているなどとは言えるものではありません。

679diamonds8888x:2020/09/06(日) 07:25:29 ID:Qix9q/lA
>>672, >>671 さらに

>古典力学では、なにものであれ「粒子であり、かつ波動である」という状態を認めないのに対し、遺伝子が染色体であり同時にDNAであることを否定する理論がないからでしょう。

 単純には確かに、そのとおりです。そこは認めときますから誤解なきように。
 ただ、以下の点は御理解いただきたい。

 3つの言葉、というより概念は階層というか、分類というか、種類が違うものです。各用語についてはwikiでも事典にでも載ってますから。

 遺伝子 遺伝を担う何らかの実体(本来の意味)
   現在ではこの実体の正体がわかっているのでDNAやRNAと同義に使われることも多い
   (RNAを遺伝子とするものはウイルスの一部にいる)
 染色体 遺伝を担う実体と判明したもので、核酸とタンパク質の複合体。
   (本来は、)細胞分裂期に現れる構造体。つまり核酸とタンパク質の複合体である「染色体」の細胞分裂期における状態のもの。
   ゆえに、原核細胞やウイルスなど上の2つの意味での「染色体」を持たない生物も多い。
 DNA デオキシリボ核酸の略称。化学用語としてはこの意味のみ。
   当然ながら、遺伝子ではないDNAも多数存在する。

 Kenさんが使った文だと、それぞれの最初に示した意味で使っていることになるはずですが、よろしいでしょうか?

 [>>668]の染色体破壊実験は、「染色体の正体は何か?」という設問に答えるための実験であり、その結果、「染色体の正体はDNAだった」と判明したものです。そこで染色体であることとDNAであることを対立仮説とする人はいませんよ、普通は。

  ・厳密には、染色体の部品の重要なものがDNAだったので、染色体=DNAではないが。
  ・染色体は遺伝を担う機能を持つ。DNAは遺伝を担う機能を持つ。
   (遺伝子とは「遺伝を担う機能をもつモノ」につけられた名前)
  ・遺伝子を「遺伝情報を伝えるモノ」と定義するなら、染色体は遺伝子とは呼びにくい。
   (情報を伝えないタンパク質などの部分も持つので)

680Ken:2020/09/08(火) 22:49:42 ID:Vt0Ycb5Y
まず、基本的な点から。私は>>669で「間違った理論」と「疑似科学」は異なると述べ、>>673で同意をいただきました。そして本スレッドの主題は疑似科学ですから、

>素粒子実験でビックバン以前の超高密度宇宙を再現してみたら熱力学第2法則が破れていた(>>677
>現在において「観測事実とは異なっているのではないか?」という疑いを私は持っています。(>>678

このように、熱力学の第2法則が「間違った理論」である可能性を論じても本論を外れます。むろん、あらゆる自然科学理論と同様、第2法則も新しい発見の結果否定されるかもしれません。ただし、

>ニュートン力学からも量子力学からも相対性理論からも導くことができていません。
>やむなくこの観測事実をそのまま法則化しているのです。
>遠い過去では、観測事実からは第2法則が成立していないということは十分に可能なのです

そうでしょうか? むしろ第2法則は確率論という純粋数学に直接立脚しており、最も否定の難しい自然科学理論に思えます。いずれにせよ、疑似科学とは別の問題でしょう。第2法則には、観測事実との矛盾ではなく、

(1)エントロピーは常に増大する
(2)ゆえに過去にエントロピーの極小状態が存在した
(3)ゆえにエントロピーの極小状態が生じた
(4)ゆえに(1)と矛盾する

という、論理的な自己矛盾(=疑似科学)があるのです。そうではない説明としてdiamonds8888xさんは、

>p2-2) 全宇宙の外からの影響で生じた。(宇宙が無限)
>p2-3) どこからも生じたのではなく、単に存在していた。(過去が無限に続いているという考えが間違い)

を挙げられました。これはしかし、ご自身が言われるように、

>観測ではちょっと証明するのが極めて難しそう

ですし、それ以前に、無限の宇宙とか、無限に続かない過去(因果関係がどこかで切れるという意味ですね)とは、どんなものなのか、イメージの具体化ができないのでは?

もしも、p2-2やp2-3のような可能性を挙げるだけで疑似科学ではないと主張できるのなら、基準05によって疑似科学と判定される理論などなくなると思われます。例えば基準違反として挙げられたこの例ですが。

〜この矛がこの盾を貫く、かつ貫かない

ご存知のように、量子の世界では、ある物体がある障壁を貫通した状態としなかった状態が並立します(トンネル効果)。量子で起こることが矛と盾で起こらないのは、量子に比べて矛と盾が大きすぎるからですが、「大きすぎる」と判定する基準は何かといえばプランク定数でしょう。つまり、量子なら位置の不確定量が障壁をまたぎうるが、矛と盾ではそれは起こりません。しかし、もしプランク定数が現在の観測値よりも十分に大きくなれば、矛と盾のトンネル効果は起こるはずです。

むろん、大きなプランク定数など1つの観測例もありません。でもそれは、無限大の宇宙も、因果律の断絶も、同じです。矛と盾を基準05違反の例に挙げながら、熱力学の第2法則はそうでないと主張するのは、一貫性がないと思えるのですが。

681diamonds8888x:2020/09/11(金) 05:37:26 ID:Qix9q/lA
>>680
 熱力学の第2法則はKenさんの基本的な考えがわかる良いテーマでした。ご想像の通り、それは私の考えとは違いますが、それをわかりやすく説明しようとすると熟慮を要します。おっしゃる通り「基本的な点」であり、基本的な理論ほど、その一歩奥は非常に難しくなるものです。数学基礎論がいい例ですが。

 というわけで私が説明を考えている間に、Kenさんが量子力学をどう考えているのかの話を楽しみにしていますのて、よろしく。

682diamonds8888x:2020/09/11(金) 05:48:14 ID:Qix9q/lA
>>680, >>681
 同意している点をひとつだけ述べておきますが、「間違った理論」と「疑似科学」は区別している、という点は同意です。ただし具体的に区別する際に2人の間に違いが出てきているのですよね。その大きな理由が[>>680]で説明していただいた「基本的な点」の認識にあると思われます。


>基準05によって疑似科学と判定される理論などなくなると思われます。

 もちろんです。基準05は「(科学的であると自負するならば)まさかこれに違反する理論を提出するような人はいるはずないよね」というものです。「けど、だからこそ、誰もが納得する疑似科学の基準として良い例になるよねえ」というつもりで提出しました。ところがKenさんから思わぬ批判が飛び出して、非常に驚いている次第なのです。

 そもそも(科学的であると自負する人)の提出する理論だったら、本来は疑似科学と判定される理論などゼロであってしかるべきなのですよ。

683Ken:2020/09/12(土) 12:58:05 ID:Vt0Ycb5Y
>>679
>染色体であることとDNAであることを対立仮説とする人はいませんよ、普通は。

その一方で、古典力学では粒子説と波動説は対立関係にあると考えられていました。その違いはどこから来たのか、そして量子力学では対立関係がどうなったのか。それをこれから論じてゆきます。ただし、その前に、熱力学の第2法則の問題を片付ける、ということでよいでしょうか?


>>682
>基準05は「(科学的であると自負するならば)まさかこれに違反する理論を提出するような人はいるはずないよね」というものです。

本当に、基準05に違反する理論が出てこないなら、基準05は適用されることがない、つまり存在理由のない基準になることでしょう。ただし、

>科学的であると自負するならば

という点が問題で、疑似科学理論を出してくる人の中には、主観的には科学的だと自負している人がいるし、だから客観的な基準が必要というのが、diamonds8888xさんの主旨ではないでしょうか。

684diamonds8888x:2020/09/13(日) 09:40:19 ID:Qix9q/lA
>>683
>ただし、その前に、熱力学の第2法則の問題を片付ける、ということでよいでしょうか?

 できれば同時並行で論じてください。熱力学の第2法則の問題も簡単には片付かないでしょうし、量子力学についてのKenさんの考えがわかれば、第2法則についての考えの共通点なりもわかり、相互理解が早くなるはずです。

 【訂正】できればではなくて、ぜひ努力してください。

>本当に、基準05に違反する理論が出てこないなら、基準05は適用されることがない、つまり存在理由のない基準になることでしょう。

 もちろん出てくる可能性はあります。間違いは人の常ですから。間違う可能性がある限り、どんなに当たり前に思えても、基準の存在理由はあります。「人は殺しちゃだめ」がいい例です。それとも科学の範囲ならばユークリッドの公理とか。

>疑似科学理論を出してくる人の中には、主観的には科学的だと自負している人がいるし、だから客観的な基準が必要というのが、diamonds8888xさんの主旨ではないでしょうか。

 そのとおりです。

685Ken:2020/09/13(日) 17:37:12 ID:Vt0Ycb5Y
このスレッドの議論は容易ではなく、誤解や行き違いを生じないように、私たちは慎重に進めてきました。慎重に進めるための1つの工夫として、疑似科学の判定基準を一括して論じるのではんく、基準01、基準02と分けて整理し、1つの基準の議論が終わってから次に進む形を取ることにしました。それどころか、基準01の議論が難しくなりすぎたと判断したら、これを保留して基準05を先にやることに決めたのは、ご承知のとおりです。それを思えば、2つの問題を並行で論じるのは、極力避けたいのです。ただし、

>量子力学についてのKenさんの考えがわかれば、第2法則についての考えの共通点なりもわかり、相互理解が早くなるはずです。

それなら、こうしてはどうでしょうか。

まず私が量子力学が「粒子説vs波動説」問題にどう影響するか、考えを述べます。その説明に不明な点があれば質問してください。ただし、私の考えが明らかになったら、そこにdiamonds8888xさんの考えを出して議論を始めるのは、熱力学第2法則が片付いてからにしては、どうでしょうか?

これなら2つの問題を同時並行に進めることはなく、かつ私の考えも理解していただけるのではないでしょうか。

686diamonds8888x:2020/09/16(水) 05:50:49 ID:Qix9q/lA
>>685
 それでいいです。よろしくお願いします。

687Ken:2020/09/17(木) 23:23:30 ID:2bVYpmOE
それでは、粒子と波動の背反関係が、量子力学でどのように認識されるかを語りますが、その前にまず、「粒子とは何か」「波動とは何か」を明らかにしておきます。

光の正体論争の中で粒子説論者は「真空を伝わる」「回折現象を示さない」という特徴を粒子説の根拠に挙げました。しかし、これらは粒子の定義ではなく、粒子ならそのような特徴があるはずと考察された属性であり、考察次第で粒子固有の属性ではなくなるでしょう。現に波動説論者は、波動でもそのよう特徴を示しうると主張しました。波動説論者が根拠に挙げた「屈折する」「交差する」も同じで、これらは波動の定義そのものではありません。だから、粒子でもそういう属性を持ちうると反論されたのです。

では、粒子と波動の根本的な定義はなんでしょうか。属性を考察するには、まず、あるものを「粒子」として、あるものを「波動」として、認識せねばなりませんが、何をもって認識するのでしょうか?

私はこう考えます。粒子の基本定義は「離散性」にある、と。

物理学においては、天体も粒子です。大砲の砲弾も、ニュートンのリンゴも、デモクリトスが認識したアトムも粒子です。粒子とは離散的な「かたまり」で、「かたまり」としての大きさを持ち、質量をもち、エネルギーを持ちます。粒子のエネルギーとは、運動エネルギー(mv²/2)や位置エネルギー(mgh)などです。

波動は離散的なものではありません。波束のような離散的存在もありますが、それは複数の波の合成がそのように見せかけるだけで、波動自体は離散的な存在としての属性をもちません。このことは数式から明らかで、例えば、音の伝播を表す方程式はこのようになります。

ρ∂²χ/∂t² = -dP/dρ ∙ ∂²χ/∂x² (ファインマン物理の47.4、47.9、47.12式から:www.feynmanlectures.caltech.edu/I_47.html)

この中のρは質量ではなく密度つまり体積あたりの質量なのです。粒子なら「かたまり」としての質量(m)が定義されますが、波動はそうなりません。エネルギーも同様で、波動に現れるエネルギーとは、媒質の部分単位に注目し、その部分がもつ運動エネルギーや弾性エネルギーになります。エネルギーの密度と考えてもよいでしょう。

ただし、粒子の定義は離散性ですが、波動の定義は連続性ではありません。波とは関係ない連続体もありますから。では波動の基本定義は何かといえば「周期性」だと思います。同じ間隔で同じ変化を繰り返すことです。周期には、特定の位置で動きを繰り返す時間的周期と、時間を止めて一定の座標間隔で繰り返す位置的周期があり、どちらも三角関数で表現されます。

ここで、粒子と波動の背反関係が問題になります。粒子と波動の定義が、

〜粒子は離散的なもの、波動は周期的なもの

であるなら、これだけでは背反関係は成立しません。古典力学で背反関係が成立したのは、粒子と波動の属性を考察した結果、例えば、

〜粒子では質量移動が起こるが、波動では起こらない

のような違いがあると分かったからです。


この離散性という粒子の定義こそ、20世紀に光が粒子と再認識された理由でした。

(続く)

688Ken:2020/09/18(金) 22:02:58 ID:2bVYpmOE
量子力学で光が粒子と認識されるのはなぜか。事象を挙げて説明します。

目の前で猛烈な火が燃えている状況を考えてください。耐え難い熱さで、輻射熱だけで火傷を負いそうな火です。一方、好天の日に日光浴をすることを考えてください。適度な日光なら快適に過ごせるでしょう。身に浴びるエネルギーは火の方がはるかに大きいのです。ところが、それほど火のエネルギーは大きく日光は小さいのに、日光では起こるが、火では起こらない現象があります。

それは日焼けすることです。皮膚組織に色素を作る化学反応が起こることです。

いくら輻射エネルギーが大きくても、火で日焼けは起こりません。生命が危険なほどの熱でも、日焼けは起こらないのです。

量子力学では、この現象を、光が離散的な「かたまり」であることで説明します。つまり、ここで問題になるのは、光の「かたまり」の1つ1つが持つエネルギー量なのです。それが周波数にプランク定数をかけた値(hν)なのはご承知のとおりです。

身体が受けるエネルギーの総量も、面積あたりの密度も、火の方が大きいのですが、火の赤い光は、1つずつの「かたまり」が持つエネルギーは小さく、ただ大量の「かたまり」を放出することで、全体量が大きくなります。でも、それで日焼けは起こりません。対して日光に含まれる紫外線は、1つの「かたまり」が持つエネルギーが大きいので、「かたまり」の数は少なくても日焼けを起こします。

日焼けを説明するには、光が離散的な「かたまり」つまり粒子であると考えねばなりません。

同様の例は日焼けだけではありません。

光が目に見える現象もそうです。波長が特定範囲の電磁波が可視光線ですが、量子力学では、これは光の1つの「かたまり」のエネルギーが特定の範囲にあることを意味します。赤外線は目に見えませんが、もし問題になるのがエネルギーの総量や密度なら、赤外線の強さを調整すれば見えるはずです。でも「かたまり」のエネルギーが可視光線より小さい赤外線ではだめなのです。

写真が写る現象もそうです。フィルム上で所定の化学反応を起こすには(CCDカメラなら所定の電荷を生じるには)、入射光の波長が、つまり「かたまり」のエネルギーが、特定の範囲になければなりません。昔の写真店が赤い照明の暗室で現像を行なったのは、余計な反応が起こらないように、できるだけ赤外線に近づけるためでした。

日焼けをするのも、ものが見えるのも、写真が写るのも、光が粒子であることの現われなのです。

(続く)

689Ken:2020/09/19(土) 01:18:48 ID:2bVYpmOE
粒子と波動の関係はどうなるでしょうか。例えば、光の粒子性と波動性を、同時に観測できるでしょうか?

光の「かたまり」を「かたまり」として観測はできません。しかし、ものが見えたり写真に写ることが光の粒子性を示すのだと解釈すれば、話は異なります。

例えば2重スリット実験では光が干渉縞を作り、それを目で見ることも写真に写すこともできます。これは、目に見える/写真に写るという粒子的特徴と、干渉縞を作るという波動的特徴を、同時に観測しているとは言えませんでしょうか?

あるいはまた、天文観測で遠方の銀河が赤方偏移を起こすことが観測され、写真にも取られています。赤方偏移は遠ざかる波源が起こすドップラー効果ですが、これも光の波動的特徴でドップラー効果が起こり、粒子的特徴で写真に写るのだと、つまり粒子と波動の特性が同時に観測されると言えませんか?

観測については以上のようであるとして、光が粒子であり同時に波動であることは、理論的にはどう整合されるのでしょうか? ファインマン物理の38章(www.feynmanlectures.caltech.edu/I_38.html)でそれが説明されていますが、私が理解した内容は以下のとおりです。

やはり光は粒子なのです。ただし量子サイズの粒子なので不確定性原理が働き、粒子の位置を特定できません。ただし特定できないといってもランダムではなく、どの位置にどれだけの確率で存在するかは、厳密な法則に従うのです。第1節(38–1 Probability wave amplitudes)の3つ目の段落に登場する式が、量子の存在確率を表現します。

e i(ωt - k⋅r) (i以下はすべてeにかかる乗数)

指数関数で表現されてますが、eの乗数が虚数なので、これは三角関数つまり波を表す関数と同じです。量子が粒子であり同時に波動であることを説明すればこうなるでしょう。


まとめると、光が粒子であり同時に波動であるという、古典力学では疑似科学と判定される理論が、量子力学では、観測と理論の両面で支持されることになります。


私からの説明は以上です。不明な点があれば指摘してください。

690diamonds8888x:2020/09/20(日) 10:01:57 ID:Qix9q/lA
>>687,>>688,>>689
 明らかなことなので質問には含めませんが、波と粒子の定義はKenさんオリジナルの考えであり、他の人による出典はないと理解しています。

 全体としては理解しました。不明点は以下の3つです。
  [>>687]に2つ。内容に関するもの。
  [>>688]に1つ。本論には関係ないもの。敢えて答えなくてもいい。
 質問ではなくコメントです。これは別発言にて。
  [>>688]に1つ。私の理解のまとめ。


【*第1[>>687]】
  「質量移動が起こるか起きないかの違いは、属性であって本質的なもの(定義)ではない」と理解していいのですか?
  定義はあくまでも、「離散性」と「周期性」ですね?

【*第2[>>687]】
  波動とは「周期性」を持つものである、と定義するとしたら、例えば以下のものはどう分類するのでしょうか? または、どう位置づけるのでしょうか?
   ・天体の日周運動や年周運動
   ・氷河期の繰り返し
   ・動かない縞模様(トラや豹の模様など)

【*第3[>>688]】
  内容は私の知識と一致してますので私自身はよく理解できます。量子力学や物理学をよく知らない人向けには一般的な事例を上げて説明するというよく使われる説明方法であることもわかります。
  ただ、ある程度物理や量子力学を知っている人に対してはもっと短い説明も可能だと思います。例えば次のように。

   ----------
 光が物質に及ぼす物理作用や化学作用は、光の波長により性質が異なるが、同じ波長であれば強さ(明るさ)が違っても起きる反応そのものが変わることはない。量子力学では、この現象を、光が離散的な「かたまり」であることで説明する。
 (以下略) 若干の例と、プランク理論であることの紹介とか・・。
   ----------

 ある程度物理や量子力学を知っている私に対する説明として、わざわざ3つもの事例を上げて説明したのはなぜなんでしょうか?

  ・単にそういう説明が得意なだけ
  ・Kenさん自身が上記のような簡単過ぎる説明では納得できない
  ・その他、私の想像できない理由

691diamonds8888x:2020/09/20(日) 10:03:16 ID:Qix9q/lA
>>687,>>688,>>689,>>690
[>>689]の私の理解をまとめました。

   ----------
 ものが見えたり写真に写ることが光の粒子性を示すのだと解釈すれば、光は本来は粒子である。(>>687の定義から)。
 ただし量子サイズの粒子なので不確定性原理が働き、粒子の位置を特定できない。
 その粒子の位置の存在確率は波動関数で表される波動である。
 まとめると、光の本質は離散した「かたまり」である「粒子」なのだが、「粒子の位置の存在確率」は波動である。
   ----------

以上です。

692Ken:2020/09/21(月) 20:21:38 ID:2bVYpmOE
>「質量移動が起こるか起きないかの違いは、属性であって本質的なもの(定義)ではない」と理解していいのですか?
>定義はあくまでも、「離散性」と「周期性」ですね?

はい、私の理解はそういうものです。

>・天体の日周運動や年周運動
>・氷河期の繰り返し
>・動かない縞模様(トラや豹の模様など)

周期性というからには、単に「増えたり減ったりする」とか「現れたり消えたりする」だけでなく、同じ周期で同じ変化を繰り返す必要があります。そうなると上の3つのうち2番目と3番目は該当しないでしょう。すくなくとも、氷河期や縞模様が同じ周期で現れるという理論を私は知りません。

ただし周期的でないという断言もできません。

氷河期については、何をもって氷河期と見なすかにもよるのでしょうけど、もし過去の「氷河期」が8万年、23万年、16万年・・・といったような一見不規則な間隔で起こったとしても、そこには、より大きな単位での周期があるかもしれません。縞模様も同じです。数式で表現すれば、

x = A cos ωt

のような単純な波形ではなく、

x = A1 cos ωt + B1 sin ωt + A2 cos 2ωt + B2 sin 2ωt + A3 cos 3ωt + B3 sin 3ωt + ・・・

のような級数になるものです。重要な点は、周期的な波動を起こすのは単振動で、単振動を起こすのは釣り合い位置からの変位に比例する復元力ということです。氷河期や縞模様の出現にそのようなメカニズムがあると明らかになれば、どちらも波動と見なせるでしょう。

天体の周回運動は間違いなく周期的で、時間に沿って座標を記録すれば、きれいな波形になるでしょう。

>わざわざ3つもの事例を上げて説明したのはなぜなんでしょうか?

今回に限らず、私の説明が冗長になっているのは承知してますが、ひとえに行き違いを起こさないためです。つい最近も、私が遺伝子の例を出した意味が当初は伝わらなかったようですし、これからも「くどい」と思われる説明になるかもしれません。

693diamonds8888x:2020/09/27(日) 05:52:02 ID:Qix9q/lA
>>692
> >わざわざ3つもの事例を上げて説明したのはなぜなんでしょうか?

> 今回に限らず、私の説明が冗長になっているのは承知してますが、ひとえに行き違いを起こさないためです。

 了解しました。本筋ハズレのつまらない質問でお手数おかけしました。

694diamonds8888x:2020/09/27(日) 05:57:13 ID:Qix9q/lA
>>692
 もしも追加説明をするつもりだったのでしたら早とちりで申し訳ないのですが、

>天体の周回運動は間違いなく周期的で、時間に沿って座標を記録すれば、きれいな波形になるでしょう。

 これは、天体の周回運動も「波動」の定義に当てはまるということでょうか?
 つまり天体の周回運動も「波動」に含むということでょうか?


>氷河期については、何をもって氷河期と見なすかにもよるのでしょうけど、

 そのとおりですね。地球の気温変化としておきましょう。
 すると四季の気温変化が含まれますが、これは天体の周回運動によるものですから、もしも天体の周回運動も「波動」に含めるならば、四季の気温変化も「波動」に含まれると考えてよろしいですか?
 でも数千年スケールの変化は「単振動的な周期のメカニズムが認められないうちは」波動には含めない、と理解すべきなのですか?

>そうなると上の3つのうち2番目と3番目は該当しないでしょう。

 3番目の「・動かない縞模様(トラや豹の模様など)」は「変化を繰り返す」に当てはまらない、つまり時間的に何も動いていなければ、それは「波動」に含まれないということですね?
 ならば、その点は了解しました。「波動」は時間的変化の要素を含んでいるものである、ということですね。
 私も静止している縞模様などは「粒子説vs波動説」の文脈での波動に含めない方がよいと思います。ただ、そうすると以下の文章の意味を確認したいのです。

>同じ間隔で同じ変化を繰り返すことです。周期には、特定の位置で動きを繰り返す時間的周期と、時間を止めて一定の座標間隔で繰り返す位置的周期があり、どちらも三角関数で表現されます。

 この「時間を止めて一定の座標間隔で繰り返す位置的周期」というのは縞模様などを指すのではないと思いますが、この文章で言いたいことは何だったのでしょうか? 解釈によっては縞模様なども波動に含めると読めてしまいそうなのですが、そうではないのですね?

695Ken:2020/09/27(日) 13:01:17 ID:2bVYpmOE
>>694

波動の定義を平易な言葉で表現すれば「周期性」となるのでしょうけど、より明確な数式で表現すれば、34章(www.feynmanlectures.caltech.edu/I_34.html)の7節(The ω,k four-vector)に登場する関数になるかと思います。その式には番号がふられていませんが、(34.19)と(34.20)にはさまれた段落の最初の行に、

cos (ωt - k⋅r),

とあり、この中のkとxは太字になってることで分かるようにベクトルです。そのベクトルを3次元の要素に分解したのが、直後の式です。2つの式から分かるように、rはx, y, z座標を統合したものです。

ωは角振動数、tは時間ですが、kは式の直後で説明されてるように、距離による位相変化の割合で、kとrはωとtと同じ関係にあります。

このことから波動には、少なくとも物理学でいう波動には、時間的変化と位置的変化があり、両者が線形結合してるということは、時間的変化だけの波も、位置的変化だけの波も、そして両者の結合も存在するということでしょう。たとえば時間的変化だけの波動は単振動で、同じ位置で周回する天体はその1例であるし、縞模様は、もしも周期性があるなら、つまり同じ周期で繰り返すのなら、位置的変化だけの波動だと思います。音や光は、その両方をもつ波でしょう。

「動かない縞模様」は波動とは思えないと私が言ったのは、時間的変化を含まないからではなくて、同じ周期で変化を繰り返すのか分からないからです。もしも同じ周期で位置的変化を繰り返すのなら、上に挙げた式のω=0の場合つまり

cos k⋅r

で、というより縞模様が1方向にだけ広がるならベクトルではなく、

cos kx

と表現されれる波動になるかと思います。

これで回答になってますでしょうか?

696Ken:2020/09/27(日) 16:53:06 ID:2bVYpmOE
すこし説明が足りなかったかもしれません。

>天体の周回運動も「波動」に含めるならば、四季の気温変化も「波動」に含まれると考えてよろしいですか?

四季の「基本的な」変化は波動だと思います。ただし、いうまでもなく四季の気温変化は地球の公転だけの反映ではなく、複雑な気象条件で変わりますから、まったく同じパターンをとるわけではありません。

例えば、振り子は単振動(=時間的変化のみの波動)ですが、風の中でゆれる振り子は複雑な動きをするでしょう。そういう振り子の動きは、釣り合い位置からの変位に比例する復元力で加速される基本成分と、風の力で加速される成分の合成になります。通信でいうところのシグナルとノイズとみなすこともできるでしょう。

四季の気温変化も同様で、地球の公転で変わる太陽光線の入射角に依存するシグナル成分と、気象条件の影響を受けるノイズ成分の合成と考えればよいのではないでしょうか。


>「時間を止めて一定の座標間隔で繰り返す位置的周期」というのは縞模様などを指すのではないと思いますが、この文章で言いたいことは何だったのでしょうか?

>>695で紹介した式の「ω = 0」の場合です。

697diamonds8888x:2020/10/03(土) 05:19:48 ID:Qix9q/lA
>>696, >>695
まとめると、以下の理解でよろしいですか?

 天体の周回運動、季節変化や氷河期の繰り返し、トラの縞模様、はすべて波動に含める。
 ただし、単一周波数や単一波数がその中に認められるならばという条件のもとで。
 あまりに複雑で単純な繰り返しが認められないものは波動には含めない。

698diamonds8888x:2020/10/03(土) 05:21:09 ID:Qix9q/lA
>>696, >>695
こちらはKenさんの知識背景に関する質問ですので別発言にします。

 以前の恐竜の力学関連の議論で、Kenさんは数式がわかり、数式で理解する努力を厭わない人だと思いました。とはいえ物理や他の自然科学における数式については、数学的理解も必要ですが、そこに出てくる変数の物理的意味というものも重要であることは同意していただけると思います。ちょっと以下の質問をします。

 「波数」という言葉はご存知でしたか?
  もしご存知でなかったら調べてみてください。

 フーリエ変換についは以下のどれが当てはまりますか?
 1) 仕事や深い趣味の中で扱ったことがあった。
  または、扱えるくらいには理解していた。
 2) 公式は知っていたが、あまり使ったことはない。
 3) 名前くらいは知っていたが、あまりよく知らなかった。

 何を常識的なことをとお感じでしたらごめんなさい。というか、それならば嬉しいのですが。

699Ken:2020/10/03(土) 09:52:49 ID:9Z8oYPi.
これまでに波動を表す関数を2度紹介しました。>>689の「e i(ωt - k⋅r)」と>>695の「cos (ωt - k⋅r)」です。指数関数と三角関数になってますが、ファインマンは同じものとして扱います。この中の「k」が波数(wave number)です。ファインマン物理での初登場は29章(www.feynmanlectures.caltech.edu/I_29.html)の3節「29–3 Sinusoidal waves」になります。

機械工学科の出身なのでフーリエ変換は教わったはずですが、30年もたつと教授の顔すら思い出せません。現在の知識はファインマンで読んだものです。フーリエ変換は25章(www.feynmanlectures.caltech.edu/I_25.html)の2節で初登場しますが、最も重要な級数展開は50章(www.feynmanlectures.caltech.edu/I_50.html)の2節「50–2 The Fourier series」で説明されています。このような教科書で書かれていることなら理解しているつもりですが、仕事で使う機会はありませんでした。(社会人になって数年で情報部門に転じました)

>天体の周回運動、季節変化や氷河期の繰り返し、トラの縞模様、はすべて波動に含める。
>ただし、単一周波数や単一波数がその中に認められるならばという条件のもとで。
>あまりに複雑で単純な繰り返しが認められないものは波動には含めない。

その説明でよいと思います。ただし

〜単一周波数や単一波数がその中に認められる
〜あまりに複雑で単純な繰り返しが認められない

という部分は誤解を生じないよう慎重を要するでしょう。>>692でフーリエ級数を出しましたが、単一の周波数や波数でなく、どれだけ複雑な波形でも、繰り返しがあれば波動です。さらに言えば、トラの縞模様などに繰り返しが観測されなくても、縞模様が顔で始まり尾で終わるなら、それを基本波長と見なす「強引な」定義がありうるし、実際にそうして縞模様の周波数分析をする人がいるかもしれません。


お尋ねがあったことにはお答えしますが、光の波動性は干渉縞やドップラー効果から明らかで、粒子と波動の背反関係の有無を考察するのに必要なのは、20世紀に明らかになった、光の粒子性であることは、同意いただけるでしょうか?

700Ken:2020/10/03(土) 11:43:40 ID:9Z8oYPi.
>数学的理解も必要ですが、そこに出てくる変数の物理的意味というものも重要

それで1つ思い出しました。数式の数学的理解と物理的理解の違いについてです。

ご承知かと思いますが、本来のオイラーの公式(ja.wikipedia.org/wiki/オイラーの公式)では、

e i(ωt - k⋅r) = cos (ωt - k⋅r) + i sin (ωt - k⋅r)

となります。これが数学的理解ですが、現実世界に複素数的な存在はないから、物理的理解としては、

e i(ωt - k⋅r) = cos (ωt - k⋅r)

と考えるのがファインマンの論旨と理解しています。そうまでして指数関数を用いるのは、三角関数よりも取り扱いが容易だからです。23章(www.feynmanlectures.caltech.edu/I_23.html)の1節「23–1 Complex numbers and harmonic motion」の2つめの段落が、それを説明した最初であると思います。

701diamonds8888x:2020/10/04(日) 14:45:25 ID:Qix9q/lA
>>699
 フーリエ変換の理解についてはわかりました。

 そのファインマンの趣旨は詳しく読んでいませんので勘違いでしたらごめんなさいですが。

>この中の「k」が波数(wave number)です。

 「k」の物理的意味は何らかの量子力学的な物理量を指しているのではないかと思います。もっと広い範囲の、波動一般における波数の意味を述べてください。例えば「周期」なら、「時間的な繰り返しの長さ」でいいですよね?


>トラの縞模様などに繰り返しが観測されなくても、縞模様が顔で始まり尾で終わるなら、それを基本波長と見なす「強引な」定義がありうるし

 どうも観察事実の解釈が私とKenさんとで異なるようなのですが、例えば以下のように様々なトラジマがあります。

ttps://www.google.com/search?q=%E3%83%88%E3%83%A9%E3%81%AE%E7%B8%9E&client=firefox-b-d&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=2ahUKEwjN8bbwm5rsAhWXdXAKHWiBDFcQ_AUoAXoECAwQAw&biw=1276&bih=801

 例えばこれなんかは、中央に横方向への4つ〜7,8つの繰り返しが見えるのですが、そうは見えないでしょうか? 人によっては写真全体で繰り返しがあるといいそうですが。
ttps://amanaimages.com/info/infoRM.aspx?SearchKey=25562004077


>>700 のような感想もあるかとは思いますが、本筋には関係ないでしょうから答えなくてもいいですね?

702Ken:2020/10/04(日) 20:57:44 ID:UBlDZ10g
波数(k)が何であるかは>>695で「距離による位相変化の割合」と述べましたが、これでは不足でしょうか?

cos (ωt - k⋅r)

という式が語っているのではありませんか? (ωt - k⋅r)はコサインの引数だから位相で、単位はラジアンです。ωtとk⋅rは線形結合してるから、どちらもラジアンです。そしてr(x,y,zの統合ベクトル)は距離ですから、kは一定の距離で起こる位相の変化量で、単位はラジアン/メーターになります。

音や光のような最も一般的な波は、変位(音なら気圧、光なら電磁場の強さ)が高低を繰り返しながら、空間を伝わってゆきますよね。つまり時間が経っても位置が動いても位相は変わるので、tとrの関数になります。同じ位置に留まって(k=0)時間的変化だけを見れば、cos ωtという単振動になるし、時間を止めて(ω=0)位置的変化だけを見ればcos k⋅rという静止した波模様になります。例えばオシロスコープはcos ωtのような時間的変化をcos k⋅rという静止した波模様(正確には1次元だからcos kx)として見せてくれます。

これでも

>もっと広い範囲の、波動一般における波数の意味

になっていないのなら、どういう説明をするべきなのか、提示していただけませんでしょうか?

>例えば「周期」なら、「時間的な繰り返しの長さ」でいいですよね?

上で述べたことから、周期には時間的なものと位置的なものがある、と考えるべきと思います。ωtとk⋅rが線形結合してるということは、時間的変化と位置的変化は、同じレベルで波動の造形に寄与します。

時間的周期:2π/ω
位置的周期:2π/k

>例えば以下のように様々なトラジマがあります。
>例えばこれなんかは、中央に横方向への4つ〜7,8つの繰り返しが見えるのですが、そうは見えないでしょうか? 人によっては写真全体で繰り返しがあるといいそうですが。

私が波動における「繰り返し」というのは、同じパターンの変化を、時間であれ位置であれ同じ間隔で、繰り返すことです。例えば第50章(www.feynmanlectures.caltech.edu/I_50.html)のFig.50–1の(b)を見てください。1周期の中では不規則に見えるが、それでも同じパターンの変化が繰り返されているでしょう。(a)にはそのような繰り返しがありません。図の説明に(a)は「NOISE」、(b)は「A MUSICAL TONE」とあります。ここでのMUSICAL TONEは>>696で私が「シグナル」と呼んだものと同じです。

ですから、この場合、トラの縞模様の細部に注目しても意味がありません。どれだけ不規則に見える変化でも、その不規則変化が繰り返されるなら波だと言いました。私が知る限りで、トラの模様にそういう繰り返しがあるという話を聞いたことがないので、>>692で波動には該当しないと思うと言いました。ただし、私はトラの縞模様が作られるメカニズムを知りませんので、もしかすると気温変化のように、シグナルにノイズが入っているだけかもしれない(つまり縞模様は波かもしれない)し、1つの解析手法として、縞模様がある顔から尾までを1波長と定義すれば、単純なフーリエ解析をすることで、ノイズを含まない、シグナルだけの波動として表すことはできるでしょう。

ところで>>699の末尾でも尋ねましたが、波動に関するこのような議論は、本題である「粒子と波動の背反性」を論じるのに必要なのでしょうか? 光の波動性は干渉縞や赤方偏移で明らかなのではありませんか?

703Ken:2020/10/05(月) 00:51:16 ID:UBlDZ10g
>>701

>「k」の物理的意味は何らかの量子力学的な物理量を指しているのではないかと思います。

量子力学的な物理量? それは量子力学では定義されるが、古典力学では定義されない、という意味でしょうか?
でも波数kは古典力学的な波だろうが、量子の存在確率を表す波だろうが、定義できますよね。

それとも量子のエネルギーhνと関連した話ですか?

k = 2π/λ (λは波長)
c = λν  (cは波の伝播速度)

ですから、

量子のエネルギーhν = hc/λ = kch/2π = kcħ

つまり波数に光速と換算プランク定数をかけた値が、量子のエネルギーということでしょうか?

704diamonds8888x:2020/10/05(月) 05:53:26 ID:Qix9q/lA
>>703,>>702
 長々と煩わしいかも知れませんか、同じ言葉を使っていて実はその意味は違うものを思い浮かべていたのでは議論がすれ違いますから、そこをすり合わせるのは大切ではないでしょうか? すり合わせるというよりは、相手の使う言葉はこんな意味なんだと正しく受け取るための、ここしばらくのやり取りですので、しばしお願いします。

>>703
>でも波数kは古典力学的な波だろうが、量子の存在確率を表す波だろうが、定義できますよね。

 もちろんです。そういう前提での「波数」ならば、それで結構です。私と同じ解釈ですから。

>>702
>どういう説明をするべきなのか、提示していただけませんでしょうか?

 ざっと検索すると、コトバンクが単純でいいですかね。私の説明は、さらに以下を参照してください。
 ttps://kotobank.jp/word/%E6%B3%A2%E6%95%B0-114365

>周期には時間的なものと位置的なものがある、と考えるべきと思います。

 それはその通りですが、ある文章の中で「周期」が両方の意味を含むのか、時間的意味だけを含むのかは文脈によりますから、「両方の意味を含む意味にしか使ってはいけない」ということではありませんよね?

 通常、物理科学の中では以下の使い分けをしているはずです。

周期 時間的繰り返しの間隔 単位は例えば[s]、次元は[時間]
波長 空間的繰り返しの長さ 単位は例えば[m]、次元は[長さ]
周波数 単位時間内の波の数(繰り返しの数) 単位は例えば[s-1]、次元は[1/時間]
波数  単位長さ内の波の数(繰り返しの数) 単位は例えば[cm-1]、次元は[1/長さ]

 上記の定義で明らかですが、周波数=1/周期、波数=1/波長、なので、相方の逆数を定義としていることもあります。


>>702
トラジマについてです。

 私には、「黒+黄色」の1対のパターンが多数繰り返しているように見えます。「トラの縞模様の細部に注目」すれば、各パターン同士には微妙な違いは確認できますが、この程度の差異なら荒れた海の波でもあると思えるのですが、そういう解釈は納得できませんか?

705diamonds8888x:2020/10/05(月) 05:56:00 ID:Qix9q/lA
>>702,>>704

 同じもの(例えばトラジマ)を見ているのに、方や波動だ、方や波動ではない、というのでは意思疎通が難しいでしょう?

706diamonds8888x:2020/10/05(月) 07:00:21 ID:Qix9q/lA
>>705
 私には、トラジマは干渉縞とよく似て見える、と言えば、私の感覚がわかっていただけるでしょうか?

707Ken:2020/10/08(木) 00:03:54 ID:2bVYpmOE
問題は言葉の定義ということでしょうか?

*波数

ウィキペディアの記事(ja.wikipedia.org/wiki/波数)によると、波数の定義は、

物理化学や分光学では、1/λまたはν/c
波動力学では、2π/λ

とあります。そうであるなら、この場では2π/λという定義に統一するしかありません。議論の土台が波動力学を含む力学なのですから。それに物理化学や分光学を専攻した人なら、その前に高校か大学教養課程で力学を学んだ時、2π/λの定義を見たはずです。もともとカリフォルニア工大の1、2年生を相手にしたファインマンの講義は、まさしくそれに該当しますが、波数の定義は2π/λしかでてきません。

* 周期

周期(period)は時間的変位を繰り返す間隔として用いられ、位置的変位の間隔には使用されないでしょう。ただし、その周期の逆数である周波数について、日本語の記事(ja.wikipedia.org/wiki/周波数)では「単位時間当たりに繰り返される回数」とありますが、より詳しい英語の記事(en.wikipedia.org/wiki/Frequency)では時間的な「temporal frequency」と位置的な「spatial frequency」が言及されていますし、>>702で紹介した「cos (ωt - k⋅r)」で、時間的変化(ωt)と位置的変化(k⋅r)がどちらも位相を決める成分になってるのだから、時間と位置の両方の周期を定義するのが合理的であり、かつ静止した波模様を波動と見なすのなら、そうするべきでしょう。

ただし、こちらは、さしてこだわる問題ではありません。もともとの論題は光の粒子性と波動性ですし、光は静止した波ではありませんから、周期とはtemporal frequencyのことで、私がいう「位置的周期」は「波長の逆数」と呼べばよいと思います。


ですから「周期」「波長」「周波数」「波数」のそれぞれについて、>>704で示された定義を受け入れます。そして「周期」の定義を時間的なものに限定するのなら、私が波動の基本定義とした「周期性」も時間的な繰り返しです。言い換えればトラの縞模様は波動ではないことになります。

708Ken:2020/10/08(木) 00:20:40 ID:2bVYpmOE
>>707

言い間違えました。

誤:周期とはtemporal frequencyのことで
正:周波数とはtemporal frequencyのことで

709diamonds8888x:2020/10/10(土) 05:51:43 ID:Qix9q/lA
>>707
> 物理化学や分光学では、1/λまたはν/c
> 波動力学では、2π/λ

 λ、ν、cという記号が何を(如何なる物理量を)表しているのかを示さないと、定義にはなりませんよ? もちろん慣用的に、λは波長、νは振動数(周波数)、cは波の速度(光速度)を表すことになっていますから、物理化学に慣れた人ならこれだけでも理解はできますけれど。特に今の文脈、波動一般の物理量を話題にしている文脈では、cは光速度ではなく、一般的な波の速度と解釈すべきですが。

 言葉の定義というよりは、波動が持っている物理量の定義です。再掲しますが、以下の4つは物理学で明確に定義された物理量です。だからこそ単位と次元もはっきりしています。

周期 時間的繰り返しの間隔 単位は例えば[s]、次元は[時間]
波長 空間的繰り返しの長さ 単位は例えば[m]、次元は[長さ]
周波数・振動数 単位時間内の波の数(繰り返しの数) 単位は例えば[s-1]、次元は[1/時間]
波数  単位長さ内の波の数(繰り返しの数) 単位は例えば[cm-1]、次元は[1/長さ]

 ここで波数は空間的量なので1次元、つまりは波の進行方向に沿った線上で測ればスカラー量ですが、2-3次元においてはベクトル量とすると便利なことがあり、Kenさん御紹介のファインマンの文章ではまさにベクトル量として使っています。これは波数ベクトルと呼ばれています。なぜか波長ベクトルというものは使われないのですけどね。

 さて今度は慣用的に使われている記号も示しておきます。波数には上線付きのν(ニュー)も使われるようですが、振動数と混同しそうですよね。なお、これも慣用的に、物理量そのものを示す記号はイタリックで表します。単位は普通の活字体。このあたりはさすがにKenさんにはくどすぎるとも思いますが、一応丁寧に書いておきます。
周期(period) T
波長(wave length) λ(ラムダ)
周波数・振動数(frequency) ν(ニュー)、f(エフ)
波数(wave number)   k (ケイ)、κ(カッパ)


【以外と大事なポイント】
 なお日本語の「周期」は(cycle;繰り返し)の意味もありますが、波の周期と言えばひとつの繰り返しの時間的長さという物理量を指す場合がほとんどです。なので英語では(period)です。
  [h ttps://en.wikipedia.org/wiki/Frequency#Period_versus_frequency]

 一方、Kenさんが波の本質であると考えた「周期性」というのは(cyclic)の意味でいいですよね?

710diamonds8888x:2020/10/10(土) 05:53:21 ID:Qix9q/lA
>>707  [>>708]の再掲からスタート
【以外と大事なポイント】
 なお日本語の「周期」は(cycle;繰り返し)の意味もありますが、波の周期と言えばひとつの繰り返しの時間的長さという物理量を指す場合がほとんどです。なので英語では(period)です。
  [h ttps://en.wikipedia.org/wiki/Frequency#Period_versus_frequency]

 一方、Kenさんが波の本質であると考えた「周期性」というのは(cyclic)の意味でいいですよね?

 ともかく4つの物理量の定義は受けいれるとのことですから、次に進めていただくことにしましょう。

>ですから「周期」「波長」「周波数」「波数」のそれぞれについて、>>704で示された定義を受け入れます。

 けれど以下の「周期」はcycleの意味でありperiodではありませんから、波の定義を時間的なものに限定しなくても構いませんよ。そこはKenさんの自由です。

>そして「周期」の定義を時間的なものに限定するのなら、私が波動の基本定義とした「周期性」も時間的な繰り返しです。言い換えればトラの縞模様は波動ではないことになります。

711diamonds8888x:2020/10/10(土) 05:55:20 ID:Qix9q/lA
>>710 先に進みましょう。

>>704,>>705,>>706 のトラジマについての問いにはまだ答えていただいてませんが、ひとまずKenさんの波動の定義についてのポイントをまとめると以下でよろしいですか?

 A)波動の基本定義は「周期性」であり、時間的周期性でも空間的周期性でも含む
 つまり、波動は次の3つのものに分けられる
  1)時間的周期性と空間的周期性とを併せ持つ ;水の波、地震波、電磁波、など
  2)時間的周期性のみで空間的周期性はない ;天体の周回運動、振り子の振動、など
  3)空間的周期性のみで時間的周期性はない ;サインカーブの図、干渉縞の写真、など

 B)繰り返しが認めがたい複雑な形の時間的変化や空間的変化は波動ではない。
  波動とは認めがたい例) 氷河期の繰り返し、トラジマ、など

 そういうことなら、この定義で進めていただいていいですが、ちょっとコメントします。

 本題のテーマでの波動は、水の波、音波、地震波、電磁波(光波)、物質波(電子波や中性子波など)、重力波、などですべて1)に属するものです。2)や3)の波動はテーマには登りませんから、2)や3)を波動に含めるか含めないかは本題のテーマには無関係でしょう。これは同意していたたけますね?

 B)の基準は具体的な判定が難しいケースが多いのではないかと危惧します。とはいえ、そんな定義をせざるを得ないこともありますし、定義したときは判定は簡単だったはずなのに、科学の進歩で境界領域が見つかってきて判定が難しくなってしまうことも科学の歴史ではあったことですから、判定が難しいこと自体は妥当でない理由にはならないでしょう。
 ただ、現時点でのKenさんの判定をいくつか確認したいので、以下のものは波動に含めるのか含めないのか、それとも難しいのかを教えてください。

  氷河期と間氷期との繰り返しの期間の温度変化
  四季の温度変化
  単発の音声(例えばひとつの子音だけの発声による音とか)
  電磁波のパルス

712diamonds8888x:2020/10/10(土) 06:01:49 ID:Qix9q/lA
**以下は私とのコミュニケーションの参考のために、私の考えた方のくせとでも言うべきものを紹介するものです。それは表現のくせにもなるし、文章を読み取るときのくせにもなります。これを読めば、私がどんな誤解をしやすいかということが、その一部はわかると思いますので、参考にしていただければ幸いです。

 [>>695]でKenさんが紹介した式は、私が示した4つの物理量の慣用的記号表現を知っていれば一般的な波動の式であることは一目瞭然です。太文字kが波数ベクトルであることも知ってる人は知ってます。

 しかしKenさんは「距離による位相変化の割合」というわかりにくい説明を出してきました。他の変数はまともに定義を示しているにもかかわらず。

[>>695]「ωは角振動数、tは時間ですが、kは式の直後で説明されてるように、距離による位相変化の割合で、kとrはωとtと同じ関係にあります。」

 こうなると失礼ながら「もしかして波数のことを知らないのではあるまいか? 波数さえ知らないのでは、そもそも波動について理解していない部分がありはしまいか? それでは今後の議論に差し支えて困る」と思って一連の確認質問をしたのです。


 ここで実は御紹介の英文を確認して見ましたので、その話を先に書きます。

 該当の式(34.19)の【直前に】"wave number" も "wave vector" も登場してるではありませんか。かいつまんで要約すれば、

 -----
 ベクトルk(太文字、ボールド体)を定義する。その絶対値は wave number k(普通文字)になる。
 ベクトルkのx成分kxは「x方向に沿った(with respect to x)位相変化の割合」になる。
 -----

 「距離による位相変化の割合」は定義ではなくて、x成分kx(私が訊いたkのことではなくて)が、結果的に何を意味することになるのかというものですよね。しかも「距離による」という誤訳。
 文章を考える気力が萎えましたので、これ以降はまた後ほどの機会に。

 【ひとまず、このコメントは無視して、先に進んでください。】
 (>>711 から続けてください。)


 補足しておきますが、「波数」は高校までの物理化学では使用頻度の少ない言葉で知らない人も多いかも知れないのです。私も使い始めたのは赤外分光でのcm-1(カイザー)単位の量としてでしたから。

713Ken:2020/10/10(土) 10:08:35 ID:2bVYpmOE
>「距離による位相変化の割合」は定義ではなくて、x成分kx(私が訊いたkのことではなくて)が、結果的に何を意味することになるのかというものですよね。しかも「距離による」という誤訳。

誤訳ですか?
ファインマン物理の該当部分は以下のとおりです。

Using this vector, our wave can be written as cos (ωt - k⋅r), or as cos(ωt - kxx - kyy - kzz). What is the significance of a component of k, say kx? Clearly, kx is the rate of change of phase with respect to x.

ωtのtが時間軸上の変化量であるように、kx xのxは(もっと一般的にはk⋅rのrは)空間座標における変化量ですから、「距離」と解して何の問題があるのでしょうか? 距離でないのなら、どういう物理量を表すのですか?
コサインの引数であるk⋅rは位相の変化量で、rが距離なら、kは「距離による位相変化の割合」になりませんか?


>トラジマについての問いにはまだ答えていただいてませんが

>>707の末尾で「トラの縞模様は波動ではない」と述べました。これはいわば「妥協」です。

これまでのdiamonds8888xさんの発言を見ると、トラの縞模様が波動ではないのでは?と疑いをもつ理由が2つ提示されたと思います。

(1)以下のものはどう分類するのでしょうか?(中略)氷河期の繰り返し(>>690) → 同じ変化を繰り返さないのは波ではない
(2)時間的に何も動いていなければ、それは「波動」に含まれないということですね?(>>694) → 時間的変化がなければ波ではない

(1)については、「同じ変化を繰り返さないのは波ではない」という定義は正しいけれでも、トラの縞模様がそれに該当するかは分かりません、と私は述べました。

(2)については、cos (ωt - k⋅r)の中で時間による位相変化ωtと距離(上で述べたようにrを「距離」と認識します)による位相変化k⋅rが線形結合して、つまり同じレベルで、波の造形を支配すること、また>>707で紹介したように、周波数には時間的周波数と位置的周波数があることを考えると、時間的変化のない「波模様」も波動と考えるのが正しいであろうと、私は思います。

ただ、いくら言葉の共通理解が大切でも、静止した波模様はこの場で深く探求する論点とは思えません。特定の速度で空間を伝わる光は静止した波模様ではありませんから。ですから、肝心の議論を先へ進めるために、現時点では、静止した波模様は波動の定義から除外しましょうと、>>707で提案しました。diamonds8888xさんがcos (ωt - k⋅r)について、私と同じ解釈に立たれるのなら、静止した波模様も波動になります。いずれにせよ、光の粒子性・波動性問題に影響するとは思えません。

以上のことから私が次の4つをどう考えるかは明らかと思いますが、念のために回答します。

氷河期と間氷期との繰り返しの期間の温度変化
→ 同じ間隔で同じ変化を繰り返すという観測例がないので波動ではない。ただし氷河期を発生させるメカニズムが明らかになり、何らかの形で、変位に比例する復元力が認められたら波動と見なされ、期間が不規則なのはノイズと考える

四季の温度変化
→ 波動。ただし気象条件に影響されるノイズ成分がある

単発の音声(例えばひとつの子音だけの発声による音とか)
電磁波のパルス
→ 音声や電磁波自体が波動だから、これらも波動。複数の波が合成することで、一見、波動でないように見えるが、フーリエ解析を行なえば、単純な波動の級数であることは明らかになる。Fig.50-3のように途中で反転するパルスもフーリエ級数で表現されます。(www.feynmanlectures.caltech.edu/I_50.html)

714Ken:2020/10/10(土) 10:16:32 ID:2bVYpmOE
繰り返しになりますが、いくら言葉の定義と共通理解が重要でも、「波動」の定義がここまで問題になりますか?

光(電磁波)が波の特性を持つことは、干渉縞やドップラー効果により、量子力学以前から明らかでした。20世紀の量子力学が光の粒子性を示したことで、

〜光は粒子であり、同時に波動である

という命題が問題になったのです。ゆえに、この命題の真偽を論ずるなら光の粒子性が問題で、diamonds8888xさんとの議論が生じるなら、そこになるだろうと考えていました。それなのに、波動の方が問題になる意味が分かりません。

干渉縞を作りドップラー効果を示す光の波動性は明らかで、静止した縞模様も、繰り返しのない変化も、関係がないのではありませんか?

715diamonds8888x:2020/10/10(土) 17:01:58 ID:Qix9q/lA
>>710, >>711
「周期」について少し間違えたところもありましたので整理しておきます。

 周期、繰り返し:繰り返し現象そのものを指す言葉 cycle
 周期(物理量としての周期):繰り返し現象の最小単位の時間的長さ period
 周期的 cyclic  (波とは周期的なものである)
 周期性 cyclicity (波は周期性を持つ)

716diamonds8888x:2020/10/10(土) 17:28:38 ID:Qix9q/lA
>>714

>静止した縞模様も、繰り返しのない変化も、関係がないのではありませんか?」

 そこは同意で、[>>711]に書いたとおりです。
> 本題のテーマでの波動は、水の波、音波、地震波、電磁波(光波)、物質波(電子波や中性子波など)、重力波、などですべて1)に属するものです。2)や3)の波動はテーマには登りませんから、2)や3)を波動に含めるか含めないかは本題のテーマには無関係でしょう。これは同意していたたけますね?

>「波動」の定義がここまで問題になりますか?

 私が知りたいのはKenさんの提案した「粒子と波動の根本的な定義」[>>687]、つまり「では波動の基本定義は何かといえば「周期性」だと思います。」[>>687]という文章で提案した定義が、具体的にどんなものを含むことになるのかです。

 [>>711]で示した3分類の中の2),3)まで含む結構広い定義を採用されたので、どこらあたりが境界線になるのかを確かめたかったのです。まあ上記の通り、本題での対象となる波動は分類1)のものだけですから、2)や3)にあまり関わるのは横道ではありますから、[>>711]に異論がなければ、特に回答せずに先に進んでいただけばいいです。

 ただ周期性が認められるか否かという基準は人によって異なりうる判断の難しい基準だと思いますので、Kenさんの現時点での具体的判断は確認しておきたいです。なので、以下には答えがほしいのです。現時点では不明、という回答でも構いません。そういうことも有りえますから。

  1.氷河期と間氷期との繰り返しの期間の温度変化
  2.四季の温度変化
  3.単発の音声(例えばひとつの子音だけの発声による音とか)
  4.電磁波の単発パルス


 以下の方は、ちと問題ありです。現時点で理解できなければ、粒子と波動の2重性に関するKenさんの見解をじっくり伺った後に議論すればよい話ではあるので、今、深く議論するつもりはありませんが、見解だけ述べておきます。なので特に回答しないで次に進んでください。もちろん、コメントしたいことがあれば歓迎します。

>干渉縞を作りドップラー効果を示す光の波動性は明らかで、

 粒子性を観測できるほどの短波長の光(電磁波)の場合、波動性を示す現象は干渉性と回折くらいでしょう。なんらかの観測現象の周期(cycle)を直接観測して確かめてはいませんから。干渉縞を作ることが波動であることの証拠だという点は同意です。ただそのことを、根本的な定義である周期性から、どのように導けばよいのかは私にはわかりません。

 ドップラー効果で、例えば赤方偏移を例にとると、光は粒子であり赤い光は青い光よりも運動量が小さいとしても説明されます。むろん光速度は光源と観測者の相対速度が違っても変化しないので、相対性理論のもとではということになります。仮に光が相対性理論における万物の上限速度cより遥かに小さい速度しか持たないとすれば、もっと単純に赤い光は青い光よりも遅い、として説明できることでしょう。

 遠ざかる光源からの光は赤くなる、という現象だけでは波動説の証拠にも粒子説の証拠にもなりません。

717Ken:2020/10/10(土) 19:38:36 ID:2bVYpmOE
>周期(物理量としての周期):繰り返し現象の最小単位の時間的長さ period
>周期的 cyclic  (波とは周期的なものである)
>周期性 cyclicity (波は周期性を持つ)

周期が「period」なので、私なら周期的は「periodic」、周期性は「periodicity」と、統一性をもたせた言葉をもちいるでしょうが、「cyclic」「cyclicity」でも間違いとは思いません。

>1.氷河期と間氷期との繰り返しの期間の温度変化
>2.四季の温度変化
>3.単発の音声(例えばひとつの子音だけの発声による音とか)
>4.電磁波の単発パルス

>>713の末尾で回答したつもりでしたが、これでは回答になっていないということでしょうか?

>干渉縞を作ることが波動であることの証拠だという点は同意です。ただそのことを、根本的な定義である周期性から、どのように導けばよいのかは私にはわかりません。

同じ間隔で強くなったり弱くなったりするものが、つまり周期性をもって変動するものが、2つ重なるからこそ、規則的な干渉縞ができるのではないでしょうか。2重スリット実験なら、2つの穴からの距離の差が、スクリーン上で連続的に変化するから、ある地点では強めあい、別の地点では弱めあいます。29章(www.feynmanlectures.caltech.edu/I_29.html)で解説されており、(29.9)式が2つの波の合成波の振幅を表します。

R = A[cos (ωt + ϕ1) + cos (ωt + ϕ2)].

この中のϕは、(29.4)の直前の段落で定義されています。

ϕ = ω(t - r/c)

rは光源(2重スリット実験の場合は穴)からの距離、cは光速なので、ω(t - r/c)は本来ならωtになるはずの位相が、ωr/cだけずれることを意味します。2重スリット実験では2つの穴からの距離がr1とr2と異なるので、それがϕ1、ϕ2という位相差になり、結局(29.9)式のcos (ωt + ϕ1)とcos (ωt + ϕ2)が、強め合ったり、弱め合ったりします。

>遠ざかる光源からの光は赤くなる、という現象だけでは波動説の証拠にも粒子説の証拠にもなりません。

「赤方偏移」は光が赤くなる事象が観測されるのではなく、発光体(天体観測なら星)に含まれる水素やヘリウム等が特定の波長を吸収して元素特有のスペクトル線のパターンを作り、そのパターンが本来あるべき位置からずれることが観測される現象です。だからドップラー効果と認識されます。

upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/6/6a/Redshift.svg/170px-Redshift.svg.png

718diamonds8888x:2020/10/17(土) 09:47:20 ID:Qix9q/lA
>>717
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>>713の末尾で回答したつもりでしたが、これでは回答になっていないということでしょうか?

 これは失礼しました。[>>713]を見落としていました。Kenさんの判断基準がおおむね理解できましたので、[>>713]の回答で結構です。

 判断基準のひとつは、如何に複雑で一見しては繰り返しが認め難くとも、それ自体が波動であると判明している音波や電磁波のようなものの合成であることが明らかならば、波動に含めるというということですね。


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【周期性からの干渉縞の導き】に関するKenさんの考えは理解しました。ありがとうございました。


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【トラジマ問題は】[>>716]で同意したとおりです。

 空間のみの繰り返しを波動に含めるかどうかは本題には無関係と考えますので無視しましょう。
 単に私の好奇心ゆえの質問にお付き合いくださりありがとうございました。
 この件については、空間のみの繰り返しを波動に含めていても構いませんので、Kenさんが妥協する必要は何もありません。本題で扱う波動は、空間的周期も時間的周期も含むものだけですから。


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>周期が「period」なので、私なら周期的は「periodic」、周期性は「periodicity」と、統一性をもたせた言葉をもちいるでしょうが、「cyclic」「cyclicity」でも間違いとは思いません。

 私は、日本語では「周期」という同じ言葉で表されるものには、2つの異なる概念である"period"と"cycle"があるのだ、と言ったのです。ここは、きっちりと理解してください。「人」と「人の身長」との違いくらいはありますので。

[>>715]より
 周期、繰り返し:繰り返し現象そのものを指す言葉 cycle
 周期(物理量としての周期):繰り返し現象の最小単位の時間的長さ period


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>「赤方偏移」は光が赤くなる事象が観測されるのではなく

 これは失礼しました。星の光は単色光ではありませんからね。亜光速の宇宙船から単色レーザー光を発射しているとでも想定してください。おっしゃる通り単色光でなくてもスペクトル吸収線があれば、そのシフトがドップラー効果の観測事実になります。

 あー、現在では単色光によるドップラー効果も観測されています。レーザドップラ振動計とかガンマ線のメスバウアー効果がありますね。

 で、そのドップラー効果は、粒子説でも波動説でも説明できることはご理解いただけたでしょうか? そもそも量子力学ではまさに2つの考え方による説明がどちらも可能なのです。
 つまり[>>689]での「光の波動的特徴でドップラー効果が起こり」という議論は間違いです。

 もし御理解できなければ、これ以上は説明困難ですからひとまず留保して次に進みましょう。

 なお光源の相対運動による光の変化が初めて観測されたのは「1842年,オーストリアの物理学者クリスティアン・ヨハン・ドップラーが二重星の観測をしていて光の色が変化するのを発見したのが最初」とのことです。ドップラーは同時期に、音のドップラー効果も含めて定量的な式を誘導して理論的な説明をしたとのことです。
  h ttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%A9%E3%83%BC%E5%8A%B9%E6%9E%9C
  h ttps://kotobank.jp/word/%E3%83%89%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%A9%E3%83%BC%E5%8A%B9%E6%9E%9C-105421
  h ttp://spaceinfo.jaxa.jp/ja/christian_doppler.html
  h ttp://www15.wind.ne.jp/~Glauben_leben/Buturi/History3.htm

 1842年は既に学界では波動説がほぼ確立していた時期で、二重星の光の色の変化をわざわざ粒子説で説明しようとした人はいなかったのではないでしょうか?

719Ken:2020/10/17(土) 14:01:28 ID:2bVYpmOE
赤方偏移/ドップラー効果の認識は留保できません。私はこれを、

〜光の粒子性と波動性が同時に観測される

ことの例に挙げているのですから。

まず私は>>689で「天文観測で遠方の銀河が赤方偏移を起こす」と述べたことを思い出してください。ここで言及したのは単色光ではなく、複数の波長からなるスペクトルの中の移動ですから、すでに「波長」という波動の属性が入っています。

diamonds8888xさんが>>718で述べられたのは、量子力学では光の粒子性と波動性が背反関係にはない、ということではありませんか? つまり、光がドップラー効果という波動的特徴を示すからといって、粒子的特徴を持つことを否定する必要がない、ということではないのでしょうか? 別の言い方をすれば、量子力学における「粒子性」は波動性と分離できないという、まさしく基準05を検証するのに持ち出した問題ではありませんか?

念のため、ファインマン物理と和英のウィキペディアで「ドップラー効果」をチェックしました。

www.feynmanlectures.caltech.edu/I_toc.html
ja.wikipedia.org/wiki/ドップラー効果
en.wikipedia.org/wiki/Doppler_effect

ファインマンでは相対論を扱う17章、メスバウアー効果を扱う23章、そして古典力学の波動理論を説明する34章で、ドップラー効果が出てきます。これらの章とウィキペディア記事に共通するのは、ドップラー効果の説明には必ず周波数(fまたはν)か波長(λ)が含まれることです。「周波数」も「波長」も、初めに波動の概念がなければ意味をなさない属性ですから、光のドップラー効果は波動的特徴と見なすべきではないのでしょうか?


>日本語では「周期」という同じ言葉で表されるものには、2つの異なる概念である"period"と"cycle"があるのだ、と言ったのです。

私が言いたかったのは、「periodic」と「cyclic」、「periodicity」と「cyclicity」は同義語ということでした。それなら、波動力学における周期は「period」で「cycle」ではありませんから、「periodic」「periodicity」の方がよいのではありませんか、と述べただけです。

720diamonds8888x:2020/10/18(日) 05:40:33 ID:Qix9q/lA
>>719
> 赤方偏移/ドップラー効果の認識は留保できません。

 わかりました。でも、この検討は長くなります。[>>718]までの説明で納得していただけないなら、さらなる説明を考え出すのは時間がかかります。その間に次へ進めてください。

 実際の物理学でも歴史上でも、波動説の証拠とされたのは干渉性だけなのですから、それで十分なはずです。

> 私が言いたかったのは、

 まず、[>>712]で私の言いたかったことは御理解いただけてますか?

721diamonds8888x:2020/10/18(日) 05:41:47 ID:Qix9q/lA
>>713
 さすがにもう「波数」の【定義】は「単位長さ内の波の数(繰り返しの数)」なのだということは御理解いただけたと思いますから、以下はもう本題には不要な話ですから、飛ばして次に進めていただけばいいです。
 もちろんコメントは自由ですが、そのコメントにさらに返答する気力が残っているかどうかは不明ですから、返答はまたずに次にKenさんが進めたい話に進んでください。

【誤訳の件】

 ひとまず「誤訳」とまで評価するのは微妙なので陳謝しておきます。ただし、Kenさんの紹介文は原文の意図から微妙にずれていて私に誤解をさせた文章である点に変わりはないのです。その結果、Kenさんの紹介文は私には何を言ってるのかわかりにくい文になった点は事実です。なのでわざさわ゛原文を見直してみました。先にも述べたように英文は苦手ですから、基本的にはKenさんの紹介や翻訳を信用することにしていましたからね。
 こういうことになるから、できれば日本語の引用を使ってほしいのです。そりゃあ大学の教科書として使えるような文章が無料で読めるのは英文が多いという事情は私も知ってますけどね。たぶん日本語NativeであろうKenさんがわざわざ英文で勉強しようとする理由は、私にはわかりませんし、それ自体は自由ですけれど。日本語Nativeの私に説明するときにはもう少し気を使ってほしいというのが本音です。訳文の良し悪しで議論するなんて時間の無駄です。

 該当箇所、[>>712]の「ここで実は御紹介の英文を確認して見ましたので」以下で、2点のべています。実は1の方が重要ですが、誤訳という刺激的言葉で2の方に注意を引いてしまったかも知れません、陳謝します。

 1) 波数の定義は式(34.19)の【直前に】に登場していること。直後ではない。
 「Now it turns out to be very convenient to define a vector k, which is called the wave vector, which has a magnitude equal to the wave number, 2π/λ, and is pointed in the direction of propagation of the waves: 」

 ((余談))「波数ベクトル」が"wave vector"だとは知らなかった。実際、日本語wikiと英語wikiの両項目はほぼ直訳同士ですね。

 「波数ベクトル(k:bold)」の【定義(define)】はここで登場していて、その絶対値である「波数(k:normal)」の【定義】は「この本(ファインマン物理)を読む読者なら当然知っているはず」として扱っていて、後に至るも特に【定義はしていません】。

 Kenさんが示した「該当部分」に書いてあるのは【定義(define)】ではなくて「波数ベクトル(k:bold)」の成分(kx,ky,kz)の"significance"(意味するもの、意義)であり、定義から誘導される結果として示される意味づけ、具体的には如何なる物理量に対応するものかという説明です。

 ここで[>>712]で述べた2点目が関連してきます。

 2) "with respect to x"の意味を「距離による」とするのは不正確で、「x方向に沿った」と約すべきである。

 「距離による」の訳文だけ読めばベクトルの成分に関することだという意味は普通は読み取れません。
 もっとも私が引っかかったのはさらに3点目、「位相の変化ってなにさ?」という点もあったのですが、よく考えるとここで「位相」という言葉でも別におかしくはありません。ただ私が「位相」の使い方に不慣れだっだけでしたから、これは私の責任です。

722Ken:2020/10/19(月) 20:36:38 ID:2bVYpmOE
>さらなる説明を考え出すのは時間がかかります。その間に次へ進めてください。

はい。今回、量子力学と光の正体論争の関係について述べたのは、>>685でお断りしたように、私の考えを明らかにするためですから、議論自体はあとにまわして、熱力学第2法則を先に片付けましょう。


>>721はコミュニケーションの問題を語っておられると思います。そして冒頭の1節が、まだ行き違いがあることを示すようです。

>さすがにもう「波数」の【定義】は「単位長さ内の波の数(繰り返しの数)」なのだということは御理解いただけたと思います

私は>>707でウィキペディアを参照して、波数の定義は、

>物理化学や分光学では、1/λまたはν/c
>波動力学では、2π/λ

と述べ、かつ、

1.今の議論が物理化学や分光学ではなく力学であること
2.物理化学や分光学を専攻した人でも、それに先立って力学を学んでいること

という理由を挙げ、波数の定義は「2π/λ」つまり「位相が1周する間の波の数」であるべきと主張したつもりです。その後、diamonds8888xさんから>>704>>709で、

>波数 単位長さ内の波の数(繰り返しの数) 単位は例えば[cm-1]、次元は[1/長さ]

という書き込みがありました。ですが、そこには私が上に挙げた、波動力学の定義に従うべきとする理由への反論がありません。これだけでは、分光学での定義に従うことを求められるのは、無理があるのではないでしょうか?

>その絶対値である「波数(k:normal)」の【定義】は「この本(ファインマン物理)を読む読者なら当然知っているはず」として扱っていて、後に至るも特に【定義はしていません】。

厳密な定義には、言葉よりも数式こそが意味を持ちますし、(34.19)式がその定義だと思います。

>わざわざ英文で勉強しようとする理由は、私にはわかりません

これまでの人生の行き掛かりから、直ちに引用できるのがアジモフやファインマン等の文章ばかりになったのが、自分の弱点なのは承知しています。ですから日本語での説明に心してるつもりですし、上で述べたように「波数」の説明でも誤ったとは考えていません。

1つ理解をいただきたいのは、全般に英語の記事の方が充実しているのです。例えば>>707で述べましたが、周波数の和英のウィキペディア記事を比べると、英語記事では、時間的な(temporal)周波数と空間的な(spatial)周波数が説明されていますが、日本語記事には時間的周波数しかなく、空間周波数は 「その他の周波数」で言及されるだけです。とくにこの時は静止した波模様を波動に含めるべきかという話をしていましたから、英語記事の内容が重要でした。

それと、数学や科学の歴史を語るには、明らかに英語の方が有利なのです。例えば「放物線」という日本語には、放り上げた物体の軌跡という意味が名称自体に含まれますが、実際の歴史では「parabola」が知られてから、その物理学上の意味が分かるまで2千年も経ています。「紀元前3世紀にアポロニウスが放物線を解説した」などといえば、まるでアポロニウスがニュートン力学を知ってたような印象を与えかねません。

723Ken:2020/10/25(日) 10:31:24 ID:2bVYpmOE
投稿を待つ間に、現在の論点を整理しておきます。

*熱力学の第2法則

矛盾を受容することの是非はこのスレッドで長く論じてきましたが、>>669でもまた、

>自然科学は現実をあるがままに認識するものであり、現実認識と数理的整合性が一致しない場合は前者を優先し、理論的な矛盾を容認するのではないか

という表現で問題を提議しました。熱力学第2法則が具体例です。ここでは、

〜エントロピーが不可逆的に大きくなるだけの世界はありえない

という理論的整合性と、

〜あらゆる観測が、エントロピーの不可逆的な増大を示す

という現実認識の対立があり、その場合、理論的矛盾を容認して、現実認識が優先されるからこそ、第2法則は定説となってるのではないか、ということです。

実を言いますと、この問題は、>>677で、

>この法則はなんらかの基本原理から誘導されたものではない
>例えば遠い過去では、観測事実からは第2法則が成立していないということは十分に可能

という指摘があったことから、すこし複雑になっているのです。ここでは第2法則が、矛盾を内包する「疑似科学」ではなく、観測事実と矛盾する「間違った理論」となりうる可能性を挙げておられると思いますが、私は、現在定説として確立している理論の中には、観測によって否定することができない「反証不能」なものがいくつもあり、確率論に立脚する第2法則もその1つではと考えているのです。これは基準01に論題が戻ったときに詳しく論じることになるでしょう。


*光の粒子性と波動性

古典力学では、同じものが粒子でありかつ波動であると主張するのは、

1.同時に粒子であり波動である
2.ある時は粒子であり、ある時は波動である

のどちらの場合でも「(¬P)∧P」に該当する「疑似科学」になるといいました。そして光は、干渉縞を作ることや、交流電流が作る電磁波と同じものと分かったことで、波動であり粒子ではないという考えが定着しました。ところが量子力学が登場すると、光は離散的な「かたまり」つまり粒子と考えねばならない観測事実があり、かつ光の波動性は、粒子の存在確率が波動関数にしたがうことで説明できるので、

〜ある時代の知識体系では疑似科学だった理論が、知識体系が変わると疑似科学ではなくなる

という、diamonds8888xさんの基準による疑似科学の重要な特徴が明らかになりました。そうなると私には、

〜間違った理論とは別に疑似科学を定義することに意味があるのか?

という問題が生じます。

以上が、現時点での私の認識になります。

724diamonds8888x:2020/10/28(水) 05:48:51 ID:Qix9q/lA
>>722 >>723
[>>720]のここには答えがありませんが?
>> 私が言いたかったのは、

> まず、[>>712]で私の言いたかったことは御理解いただけてますか?

 とはいえ「[>>712]で私の言いたかったこと」はちと書き損じでした。混乱させてすみません。
 [>>718,>>715 (>>710)]で私の言いたかったことです。改めて要点をはっきりと示しておきますね。

>ここは、きっちりと理解してください。「人」と「人の身長」との違いくらいはありますので。

> [>>715]より
>  周期、繰り返し:繰り返し現象そのものを指す言葉 cycle
>  周期(物理量としての周期):繰り返し現象の最小単位の時間的長さ period

 「人」と「人の身長」との違い、よりは、「足(feet)」と「単位のフィート(feet)」との違い、の方がピンと来やすいでしょうか?

725diamonds8888x:2020/10/28(水) 05:50:50 ID:Qix9q/lA
>>722
>という理由を挙げ、波数の定義は「2π/λ」つまり「位相が1周する間の波の数」であるべきと主張したつもりです。その後、diamonds8888xさんから>>704>>709で、

 ということはKenさんの考えでは、1/λと2π/λの違いは次のようなものであり、【両者は別の物理量である】との考えなのでしょうか?

  1/λ :「単位長さの間の波の数」 (物理化学や分光学での定義)
  2π/λ:「位相が1周する間の波の数」(波動力学での定義)

 お尋ねしますが、「位相が1周する間」とは如何なる物理量なのですか? その単位次元は時間ですか?長さですか?それとも他の単位次元ですか?


>厳密な定義には、言葉よりも数式こそが意味を持ちますし、(34.19)式がその定義だと思います。

 数式を使えば、普通の言葉を使うよりも厳密にしかも短く表現できます。しかし「意味を持つ」には数式の各変数記号の物理的意味が明確に示されているときだけです。変数記号の意味がわからなければ、数式は単なる記号の羅列でしかありません。
 だからファインマンも数式以外の言葉で数式中の変数の意味を書いているでしょう?

726diamonds8888x:2020/10/28(水) 05:52:39 ID:Qix9q/lA
>>723
 *熱力学の第2法則について、ありがとうごさいます。

>以上が、現時点での私の認識になります。

 以上がと言われても、何もまだ説明されていないように思えるのですが?
 もう少し詳しく、お願いします。特に、

>〜エントロピーが不可逆的に大きくなるだけの世界はありえない

 この推論を、前提となる事実および、そこからの推論過程を詳しくお願いします。

[>>680]
>むしろ第2法則は確率論という純粋数学に直接立脚しており、最も否定の難しい自然科学理論に思えます。

 この意味を具体的にわかるようにお願いします。

727diamonds8888x:2020/10/28(水) 05:56:26 ID:Qix9q/lA
>>723
 ひとつ気になりますが、「投稿を待つ間に、」の投稿とは、私が[>>720]で留保した「ドップラー効果は波動説の根拠にはならないことの説明」の投稿ですよね?
 こういう所はできれば具体的に何の投稿なのかとか書いて置いてくださると誤解のリスクが少ないと思います。

 まあ待つのも自由ですが、[>>718]までの説明も見直してみて、本当に納得できないのかどうか試してみてくださるとありがたいです。あるとき、はっと目からウロコが落ちるということもありますから。

> わかりました。でも、この検討は長くなります。[>>718]までの説明で納得していただけないなら、さらなる説明を考え出すのは時間がかかります。

 まあ、もしも(万が一なのかなあ?)[>>718]までの説明で新たな理解が生まれましたら、そのときに報告してくださればそれでいいです。

728Ken:2020/10/30(金) 22:37:57 ID:2bVYpmOE
お尋ねの順に回答します。

>>724
>周期、繰り返し:繰り返し現象そのものを指す言葉 cycle
>周期(物理量としての周期):繰り返し現象の最小単位の時間的長さ period

なにも、そのことを否定してはいません。「周期的な」という形容詞や「周期性」という名詞の英訳は>>715で挙げられた「cyclic」「cyclicity」よりも、「periodic」「periodicity」の方が、物理量としての「周期」(period)と統一がとれてよいのではありませんか、と用語の提案をしただけです。私が波動を定義した「周期性」は同じ周期(period)を持つことが条件なのを思い出してください。

>>725
>だからファインマンも数式以外の言葉で数式中の変数の意味を書いているでしょう?

私も数式以外の言葉で説明したではありませんか。波数(k)は>>695>>702>>713を含め何度も「距離による位相変化の割合」と延べ、より明確にするために、cos (ωt - k⋅r)という数式を繰り返して出しています。>>713では、

>コサインの引数であるk⋅rは位相の変化量で、rが距離なら、kは「距離による位相変化の割合」

と説明しました。単位については>>702で「ラジアン/メーター」と書いています。


何度もお尋ねしていますが、「周期」や「波数」の定義に、なぜここまで固執されるのでしょうか? いくら共通理解が重要でも、議論に必要なものという前提があるはずです。今の論点は、

〜基準05で疑似科学と判定される理論でも、知識体系が変われば、疑似科学でなくなるのでは?

を検証することですし、その具体例として、

〜古典力学では、「光は粒子でありかつ波動である」は基準05違反だが、量子力学では違反でないのみか定説になっている

を検証しようとしています。その検証のキーとなるのは、言い換えれば上の命題を覆す可能性があるとしたら(私はあるとは思いませんが)、量子力学が明らかにした光の粒子性ではないのですか? それなのに波動性にまつわる物理量の定義をここまで問題にされるのは、光の波動性が否定される可能性を見ておられるのでしょうか?

光の波動性を示す観測事実としては、干渉縞や赤方偏移を挙げましたし、より重要な根拠として、波動理論から定量的な予測ができることがあります。私は>>687で、音の伝播を表す方程式として、

ρ∂²χ/∂t² = -dP/dρ ∙ ∂²χ/∂x²

と書きましたが、波動全般に通用する一般形に直せば、

(変位を時間で2度微分したもの) = (定数) × (変位を距離で2度微分したもの)

となります。そしてマクスウェル理論から得られる電磁波の方程式は、教科書等では、

∂²f/∂t² = (εμ) ∙ ∇²f

と3次元で表記されるのはご承知のことと思います。これはそのまま上記の一般形になっており、電磁波が波動という前提から導かれたものです。一般形の中の「定数」は伝播速度の2乗の逆数で、電磁波では、

(電気定数)×(磁気定数)

となります。ここから電磁波の速度の理論値が算出され、それがフーコーやフィゾーたちが実測した光速と一致したことから、光が電磁波と判明したのは、19世紀の科学史の重要な一場面なのです。このことはつまり、

〜光が波動である前提から導いた予測が実測で確認された

ことになり、光の波動性の強力な根拠になります。

これでも光の波動性に疑いをもたれるのでしょうか? その根拠は何ですか? もしもそのような疑いをもっておられないのなら、「周期」や「波数」の定義をここまで問題にされることが、現在の論点とどう関連するのですか?

729Ken:2020/10/30(金) 22:38:59 ID:2bVYpmOE
>>726
>〜エントロピーが不可逆的に大きくなるだけの世界はありえない
>この推論を、前提となる事実および、そこからの推論過程を詳しくお願いします。

>>680で説明したものです。

(1)エントロピーは常に増大する
(2)ゆえに過去にエントロピーの極小状態が存在した
(3)ゆえにエントロピーの極小状態が生じた
(4)ゆえに(1)と矛盾する

たとえば降雨現象が観測されるとします。雨が降る前提として、まず、水が空の高みに運ばれる必要がありますが、もしも、水が上から下に不可逆的に落ちるだけなら、そもそも雨雲を生じるはずがありません。つまり、

1.雨が降る
2.水は上から下に移動するのみ

という2つの命題は、一見整合があると見えても、実は「(¬P)∧P」のような、理論的な背反関係にあるのでは、ということです。

我々の眼前でエントロピーが増大しているのは雨が降ることに、エントロピーの減少がありえないのは水の上昇がありえないことに、それぞれ対応します。

>>727
「投稿を待つ間に、」の投稿とは、私が[>>720]で留保した「ドップラー効果は波動説の根拠にはならないことの説明」の投稿ですよね?

ちがいます。>>720で、赤方偏移/ドップラー効果について、diamonds8888xさんから

>さらなる説明を考え出すのは時間がかかります。その間に次へ進めてください。

と言われたことをうけ、>>722で、

>熱力学第2法則を先に片付けましょう。

と、回答しています。量子力学が光の正体論争に与えた影響についての私の考えは述べましたし、私の考えが明らかになれば、その問題より先に、第2法則から論じることを>>685で提案し、>>686で同意をいただいています。よって今は、第2法則は基準違反ではないかという私の指摘に、diamonds8888xさんが回答されるのを待っています。

730diamonds8888x:2020/11/04(水) 05:35:01 ID:Qix9q/lA
>>728
 まず、ものすごく誤解されているらしき点を正したい。

>これでも光の波動性に疑いをもたれるのでしょうか? その根拠は何ですか? 

 どこからそんな話が? 私がいつ光の波動性を否定したんですか? 私は光の波動性に疑いなどありません。以上、この話はおしまいでいいですよね?


では[>>728]の冒頭に戻って
>なにも、そのことを否定してはいません。

 なら、それをきちんと明言してから、【その上で】とか【けれども】とかで次を続けてくださるのがありがたかった。まあ、自分が当たり前と考えていることは「自分がそれを知っていることは、相手は当然に知っている」と思い込み勝ちなのは、私も同様かも知れませんから、私も気をつけようと思いますが。

 私達2人は、互いに、とてもものわかりの悪い相手なんですよ。

 ともかく「繰り返し現象そのもの」と「繰り返し現象の最小単位の時間的長さ」との違いはわかっているものとしていいのですよね? ・・・まだ心配ですね。

>「周期的な」という形容詞や「周期性」という名詞の英訳は>>715で挙げられた「cyclic」「cyclicity」よりも、「periodic」「periodicity」の方が、物理量としての「周期」(period)と統一がとれてよいのではありませんか、と用語の提案をしただけです。

 異なる概念を表すのに「統一がとれている」必要はありません。むしろ、できれば違う言葉を使いたいくらいです。そうすれば混同が避けられますからね。私は混同を避けたいから、わざわざ英語を示したのですよ。「周期」が表す2つの異なる概念を"cycle"と"period"とで区別している英語を示したのです。

>何度もお尋ねしていますが、「周期」や「波数」の定義に、なぜここまで固執されるのでしょうか? いくら共通理解が重要でも、議論に必要なものという前提があるはずです。今の論点は、

 このテーマは「今の論点」以前の問題です。議論で取り扱っている概念をKenさんが正しく区別して使っているのかどうかという信頼性の問題です。「繰り返し現象そのもの」と「繰り返し現象の最小単位の時間的長さ」という【まったく異なる概念】を、あたかも混同しているかのように話す相手と、まともに正確な議論ができるはずがありませんから。
 本来なら、「あっ同じ言葉でも違うよね。気をつけよう、ごめんね。」でさらっと済む話のはずなんですが。

731diamonds8888x:2020/11/04(水) 05:36:21 ID:Qix9q/lA
>>728
 では本題である、私の質問[>>725,>>724]への答えに関してです。

 (波動力学での、ファインマンの書での)波数の単位は(ラジアン/メーター)とのこと了解しました。つまり単位次元は[角度/長さ]ですね。
 さて私が示した1/λの単位次元は[個数/長さ]です。分子は波の数、つまり繰り返しの数です。むろん分母は波長(繰り返しの空間的長さ)です。以下は釈迦に説法でしょうが、波長の長さでは繰り返しの数は1回なので、分子は1となっているのです。

 では再度お尋ねしますが、
 >ということはKenさんの考えでは、1/λと2π/λの違いは次のようなものであり、【両者は別の物理量である】との考えなのでしょうか?

  1/λ :「単位長さの間の波の数」 (物理化学や分光学での定義)
  2π/λ:「位相が1周する間の波の数」(波動力学での定義):単位(ラジアン/メーター)

 念を入れますが、尋ねたい要点は「【両者は別の物理量である】との考えなのか否か?」です。

 もしも同じ物理量であることを理解しているのなら、[>>722]で次のように私の定義を不適切だと判断している理由がわかりません。

>という書き込みがありました。ですが、そこには私が上に挙げた、波動力学の定義に従うべきとする理由への反論がありません。これだけでは、分光学での定義に従うことを求められるのは、無理があるのではないでしょうか?

 なお、「位相が1周する間の波の数」[>>722]という定義は「距離による位相変化の割合」[ファインマン原本の定義]とは違う概念を表すように見えるのですが? 同じ概念になるのですか?

 また2π/λの単位は(ラジアン/メーター)との答えをいただきましたが、[>>725]の問である「位相が1周する間」の単位次元は答えをいただいていません。教えてください。


 このように同義になるのかどうかを確認もしないで違う言葉を使用しているように見える点が、議論で取り扱っている概念をKenさんが正しく区別して使っているのかどうかという信頼性の問題になるのです。私の[>>725]では「位相が1周する間」と「位相が1周する間の波の数」とを混同していたように見えますし。

 なお「単位次元」を尋ねてはいても、「単位」を答えられれば「単位次元」もわかりますから咎めはしませんが、まさか「単位次元」と「単位」との違いを知らないなんてことはありませんよね? kenさんの文章を読むと、こういう失礼な疑問も湧いてしまうのですよ。本当に失礼な疑問で申し訳ないのですが。

732diamonds8888x:2020/11/04(水) 05:37:59 ID:Qix9q/lA
>>729
 私の第1の問への答えはわかりました。

 第2の問への答えは、推敲中であり、次のレスでいただけるのですよね?
> [>>680]
> >むしろ第2法則は確率論という純粋数学に直接立脚しており、最も否定の難しい自然科学理論に思えます。

 補足しますと、
  ・純粋数学に直接立脚というなら、そのことを第2法則の誘導過程で簡単に示してください
    そうすればKenさんの第2法則へのイメージもよりはっきりしそうですし。
    直接の意味もわかりにくい。間接的に立脚してる例とかとはどう違うのか?
  ・純粋数学に直接立脚していたら、なぜ最も否定の難しい自然科学理論になるのでしょうか?
    間接的立脚だけなら否定しやすいのですか?

  自然科学理論なんて、確実な反証ひとつで吹っ飛ぶものだと思うのですけれど。というのも言い過ぎかも知れませんが、少なくともどんな数学に立脚していようが否定の難易度に関連があるとは思えません。


 第1の問の答えに戻って
>という2つの命題は、一見整合があると見えても、実は「(¬P)∧P」のような、理論的な背反関係にあるのでは、ということです。

 雨の例えはわかりやすくかったですよ。比喩以上の適切な例だったと思います。
 そして、雨の例が必ずしも矛盾をはらんではいないことは、むろん御存知ですよね? さすれば、よくよく突き詰めて考えれば、エントロピーについても【必ずしも】矛盾をはらんではいないことはおわかりなのでは?

733diamonds8888x:2020/11/04(水) 05:44:47 ID:Qix9q/lA
>>729
 {[>>727]「投稿を待つ間に、」の投稿とは、}
の投稿が指すものは私の誤解でしたか。了解しました。[>>727]でお願いした配慮は、できるだけお願いしますね。

734Ken:2020/11/04(水) 23:22:33 ID:2bVYpmOE
*cycleとperiod

>異なる概念を表すのに「統一がとれている」必要はありません。むしろ、できれば違う言葉を使いたいくらいです。

diamonds8888xさんがおっしゃる2つの「周期」を統一するとは言ってません。
>周期、繰り返し:繰り返し現象そのものを指す言葉 cycle
>周期(物理量としての周期):繰り返し現象の最小単位の時間的長さ period

2つの「周期」は「cycle」と「period」でよいのです。そうではなく、私が>>687で波動を定義した「周期性」は「cyclicity」ではなく「periodicity」がよいと言ってます。この「周期性」にはperiodの方の「周期」が要素となるからです。>>687では、このように付け加えました。

>同じ間隔で同じ変化を繰り返すことです。(中略)三角関数で表現されます。

波動を定義する「周期性」は、単に繰り返せばよいのではなく、時間的であれ空間的であれ、同じ周期(period)が必要と言っています。ただ繰り返せばよいなら、それこそトラの縞模様も波動になるでしょう。そうではなく同じ周期(period)が条件だから、periodicがよいのではありませんか、と言いました。

*波数

>もしも同じ物理量であることを理解しているのなら、

本当に同じ物理量になるのですか?
diamonds8888xさんの定義は下記のものですが、

>波数 単位長さ内の波の数(繰り返しの数) 単位は例えば[cm-1]、次元は[1/長さ]

これではファインマンの数式に適合しないのです。単純化のためk⋅rの代わりに1次元で表すと、

cos (ωt - kx)

という数式の中で、kの次元は[位相/長さ]でなければ、kxがラジアンに、つまりコサインの引数になりません。ωtと単位も次元も合わないではありませんか。

diamonds8888xさんが提示された定義も、何らかの根拠をもって行なわれたのでしょう。事実、ウィキペディア記事にも記載があるのですから。(ja.wikipedia.org/wiki/波数)

でも考えてみてください。ファインマンが定義する「2π/λ」では、光の波動性を論じることはできませんか? もしできるのなら、「1/λ」にこだわらず、ファインマンの定義でよいのでは? 前述のようにファインマンの講義は、カリフォルニア工大の全学生が、将来の専攻に関係なく、1・2年次で履修するもので、やがて「1/λ」を学ぶ学生でも先に「2π/λ」を知るはずなのです。

*第2法則の否定

>第2の問への答えは、推敲中であり、次のレスでいただけるのですよね?
> >むしろ第2法則は確率論という純粋数学に直接立脚しており、最も否定の難しい自然科学理論に思えます。

>>723でも言及しましたが、否定の難しさ、つまり反証可能性の問題を議論するのは、論題が基準01に戻ってからにしてはどうでしょうか? 今でも「熱力学第2法則」と「光の粒子性と波動性」という2つのテーマがありますし、さらにテーマを加えるとますます錯綜するのではと懸念します。ただ、いざ基準01に戻ったとき、いきなり第2法則やその他の課題が提出されたら驚かれるかもしれないと思い、先行情報として上の発言をしました。「確率論」というだけで、すんなり話が通じるいう期待もありました。

どうしても今、私の考えを知りたいと言われるなら、ここで説明します。ただし、それは基準01に戻った時の予備知識とするためで、議論自体はそのときまで待つ、ということでよろしいですか?

*第2法則の矛盾

>エントロピーについても【必ずしも】矛盾をはらんではいないことはおわかりなのでは?

「エントロピー」自体が矛盾をはらむかどうかは問題にしていません。「エントロピーは不可逆的に増大する」という法則に矛盾があるといっています。どんな変化であれ、一方向にのみ不可逆的に進む変化は、初期状態がどうやって生じたのかという問題に行き着くからです。

エントロピーについては、もしかしたらそれが減少することが判明するかもしれませんが、それは今の第2法則が「間違った理論」と分かり修正されるということで、現在の、修正前の、第2法則が基準に違反する「疑似科学」であるのかとは、別の問題と考えます。

735diamonds8888x:2020/11/13(金) 20:30:00 ID:Qix9q/lA
>>734
不十分なレスで申し訳ありませんが、部分的にすぐ答えられるところだけ。

【*第2法則の否定】について

>どうしても今、私の考えを知りたいと言われるなら、ここで説明します。ただし、それは基準01に戻った時の予備知識とするためで、議論自体はそのときまで待つ、ということでよろしいですか?

 了解です。なお、

>「エントロピー」自体が矛盾をはらむかどうかは問題にしていません。

 言葉足らずで誤解を与えてしまいました。すみません。

>「エントロピーは不可逆的に増大する」という法則に矛盾があるといっています。

 もちろん、そのことを指していました。

【2種類の「波数」の件】

>本当に同じ物理量になるのですか?

 つまり異なる物理量だとお考えなのですね。答えはYesと解釈していいのですよね?
 Yesと解釈した上で、私の考えを後ほど投稿します。何時とは約束できませんが。

>という数式の中で、kの次元は[位相/長さ]でなければ

 「位相」という次元はあまり一般的ではありませんが、御説明願えるとありがたいです。わからなければ別にいいですけど。位相とは何かについては次の投稿で私の考えを述べますしね。

【2種類の「周期」の件】

>2つの「周期」は「cycle」と「period」でよいのです。

 それをキチンと私に伝えてください。Kenさんがその「cycle」と「period」を理解していないように見えたので、これほどしつこく確認していたのです。失礼ですが、これまでの書き込みからは、一般的な物理概念についてのKenさんの理解の程度が、私にはまったく不明なのです。お手数でしょうが、「ちゃんと理解している」ということがキチンと私に伝わるように書いてください。

 再度確認。「cycle」は繰り返し現象そのもの。「period」とは、そのような「cycle」が持つ物理量のひとつで単位次元を持つ。理解できましたか? Y or N ?

>そうではなく、私が>>687で波動を定義した「周期性」は「cyclicity」ではなく「periodicity」がよいと言ってます。この「周期性」にはperiodの方の「周期」が要素となるからです。>>687では、このように付け加えました。

 これは私の質問への答えとは別の話で、波動に関するKenさんの説明の中の話ですよね? このような2つの別の話をくっつけるから、わかりにくいのです。御注意ください。

 まあ、今回のレスで、「>>687で波動を定義した「周期性」は「cyclicity」ではなく「periodicity」がよい」という考えは理解しました。コメントしておきますが、とてもユニークな考えなので、強調されないと「明確に同じ周期の繰り返しが認められること」というKenさん流定義の肝をつい見逃してしまうことは御容赦ください。
 はい、この点は理解しました。その上でなら「periodicity」を使うのも良い考えかも知れません。そうすればKenさん流定義の肝が誰にでも理解してもらえるかも知れません。

736Ken:2020/11/14(土) 00:35:56 ID:l3c2r2bk
>>735
一点、よろしいでしょうか?

>私の考えを後ほど投稿します。何時とは約束できませんが。
>位相とは何かについては次の投稿で私の考えを述べますしね。

私は>>728で、

>これでも光の波動性に疑いをもたれるのでしょうか? その根拠は何ですか? もしもそのような疑いをもっておられないのなら、「周期」や「波数」の定義をここまで問題にされることが、現在の論点とどう関連するのですか?

と問いかけ、diamonds8888xさんから>>730で、

>私は光の波動性に疑いなどありません。

と回答がありました。ですが、この回答では私の質問の前半部分にしか答えておられません。もしも光の波動性に疑いをもっておられないのなら、波動理論にまつわる用語にここまで固執される必要があるのでしょうか? 同じく>>730で、

>議論で取り扱っている概念をKenさんが正しく区別して使っているのかどうかという信頼性の問題です。

と言われていますが、私は、そもそも波動理論は今の議論で取り扱うことなのか、と思っているのです。何度も繰り返していますが、私たちの論点は、

〜光は粒子であり、かつ波動である

という、古典力学では基準違反とされる理論が、量子力学では肯定されるのか、それとも量子力学においても否定されるのか、という点にあります。そしてもし否定されるのなら、

1.光の粒子性が否定される
2.光の波動性が否定される

のどちらか、もしくは両方が起こるはずです。そしてdiamonds8888xさんが光の波動性に疑いを持っておられないのなら、2の問題はそれで決着で、あとは1が残るだけではありませんか。ですから、粒子に関連する概念を私が正しく使っているかを検証しようというのなら、まだ分かりますが、波動にまつわる概念をここまで問題にする意味が分かりません。もしも波動理論への私の理解に問題があるのなら、基準05の検証をする上で問題が明らかになったときに、それを論じればよいのではありませんか?

それと、そもそも、>>685>>686で、

〜熱力学第2法則が論理矛盾を含む基準05違反ではないか

という問題から先に片付け、粒子と波動の問題は、その次にしようという合意がありました。ここは、たとえ私の波動理論理解に疑念があったとしても、まずは第2法則から論じることをお願いしたいと思います。

737Ken:2020/11/14(土) 00:57:48 ID:l3c2r2bk
1つ尋ねるのを忘れました。>>735の冒頭で、

>了解です

と言われたのは、議論をするのは基準01に戻ったときでよいが、私の考えは今説明してほしい、と言われたのでしょうか? それとも私からの説明も基準01に戻ったときでよい、と言われたのですか?

もしも今、説明を求められるのなら説明しますが、複数の論点を同時に議論するのは避けてくださるようにお願いします。

738diamonds8888x:2020/11/16(月) 05:34:35 ID:Qix9q/lA
>>737 前者です。今はKenさんの考えをきちんと理解したいのです。

>もしも今、説明を求められるのなら説明しますが、複数の論点を同時に議論するのは避けてくださるようにお願いします。

 御説明に対して理解できない点は質問しますよ。それを複数の論点と感じるかどうかは知りませんが、「複数の論点にするな」という一言で答えを拒まれても困ります。

739diamonds8888x:2020/11/16(月) 06:06:33 ID:Qix9q/lA
>>736
 私達2人は、互いに、とてもものわかりの悪い相手なんですよ。自分がいつも科学を考察している言葉をそのまま出しても通じないことが多々あることは既に互いに思い知っているでしょう? 自分がいつも使う言葉を一旦考え直してみて文章にする必要を私はひしひしと感じて実行しています。Kenさんはやってないでしょ? やっていたなら、わずか4-5時間でレスを投稿できるはずがありません。ご再考願いたい。

 以下、お気を悪くする表現もあるとは思いますが、以上の点を踏まえて御容赦願いたい。礼儀をかなぐり捨ててはっきり書かないと伝わらないこともあるようですから。ということで、次の投稿は推敲中ですので、よろしくお願いします。

 私の投稿を待つ間に、>>736を再考したり、付け加えたり、私に通じやすく改訂したり、ということは大いにやってください。Kenさんの柔軟性と自己変革能力と学習意欲に期待しています。

740Ken:2020/11/16(月) 23:51:15 ID:l3c2r2bk
>>738
>前者です。今はKenさんの考えをきちんと理解したいのです。

それでは、熱力学第2法則(及びいくつかの理論)が反証不能と考える理由と述べます。複数の投稿を数日かけて行なうと思います。

>御説明に対して理解できない点は質問しますよ。それを複数の論点と感じるかどうかは知りませんが

私は「質問」と「議論」の違いをこのように理解しています。

質問:相手の考えを明らかにするのが目的
議論:自分の考えを出し、必要なら相手の考えを変えさせるのが目的

量子力学が光の正体論争に与えた影響を説明する際にも、>>685で質問はよいが議論をするのは待ってくださいと頼み、>>686で了承をいただきました。そして私が>>687>>689で説明した後、diamonds8888xさんから、

「氷河期やトラの縞模様は波動なのか」
「波数の定義はなにか」

といったような発言がありました。このあたりまでは質問でしたし、私は、

「同じ周期が観測されないから波動ではない」
「波数はcos (ωt - k⋅r)のkでk=2π/λ」

と回答しました。ところが、その後、

「波数の定義は1/λではないのか」
「2π/λも1/λも同じ物理量ではないのか」

のような発言が出ると、これは私の考えをたずねる質問なのか、それともdiamonds8888xさんの考えを述べる議論なのか分からなくなってきたのです。それでも

「波数の定義は2π/λを用いるべき」
「2π/λと1/λは異なると思う」

と回答すると、>>735で、

「位相とは何かについては次の投稿で私の考えを述べます」

と言われるに及んで、これはもはや質問ではなく議論だと思いました。私の回答が明らかになれば、質問の目的は達せられたはずで、私が波動理論を正しく理解しているかはこの段階では問題になりません。私が誤っているなら、議論の中で問題にすればよいことで、その議論は第2法則の「矛盾」問題を片付けてからというのが、合意事項のはずです。

それでも、今されているのが「質問」であって「議論」ではない、と言われるのでしたら、私としては、「質問をするのも、第2法則を片付けた後にしてください」と答えるしかありません。diamonds8888xさんの「質問」に答えないと言ってるのでないことは、言うに及びません。

741Ken:2020/11/16(月) 23:55:15 ID:l3c2r2bk
>>739
> >>736を再考したり、付け加えたり、私に通じやすく改訂したり、ということは大いにやってください。

お言葉に甘え、少し付け加えます。

「周期性」とか「波数」とかいった、言葉の定義が問題になっていますが、このような問題を解決する最善の方法は、数式を用いることです。最初からそうしていれば、ここまで錯綜することはなかったでしょう。

>>725ではdiamonds8888xさんから、

>ファインマンも数式以外の言葉で数式中の変数の意味を書いているでしょう?

という指摘がありましたが、問題は数式と言葉のどちらが主でどちらが従なのかということでしょう。私は、特に物理学のような知識体系にあっては数式が「主」、言葉が「従」だと思います。ファインマン講義は、大学教養課程の学生に向けたものですから、通常の議論以上に言葉の説明に力を入れていますが、そのファインマンも、シンポジウムや投稿論文で同様の説明法を用いたとは想像できません。

特に私たちが問題にしている量子力学においては、数式の言葉への優越が顕著になります。例えば、量子が示す波動性とは存在確率のことだと言いました。でも「確率」は果たして物理量でしょうか? ただの抽象的な数学概念ではありませんか? 少なくとも日常的な言葉で表現できる物理量ではないでしょう。

それでも量子は抽象的な数式で表現するのだ、とファインマンが主張してるのが、例えば37章(www.feynmanlectures.caltech.edu/I_37.html)の5節です。「37–5 The interference of electron waves」の最後から4つ目の「Yet, surprisingly」で始まる段落で、量子の数式は水の波と同じであると。原文の「The mathematics is the same as that we had for the water waves!」に注目してください。mathematicsを斜字体にして文末に「!」を付けることで、力を込めてこの点を強調しています。なぜ量子は波なのか? それは波と同じ数式に従うからです。それ以外の、日常的な言語を用いての説明は、さすがのファインマンにもできるとは思えません。

こう考えると、最初に>>687で波動を定義したとき、「周期性」などというよりも、

波動とは、cos (ωt - k⋅r)または同じことを指数形にしたe i(ωt - k⋅r)で表されるもの

と定義して、「周期性」のような言語表現は補足説明として出せばよかったと、今となっては反省しています。>>687でも「三角関数で表現される」と付加しましたが、より強く、数式を前面に出していれば、その後のやり取りの多くは不要だったはずです。

ゆえに、これからも定義の問題を論じるなら、極力、数式で表現することを推奨します。それで大抵の問題は片付くでしょう。

742Ken:2020/11/18(水) 00:19:59 ID:l3c2r2bk
では、熱力学第2法則の反証可能性を語ります。まず一般論から始めます。

そもそも、ある理論への「反証」が現れたとき、科学はどう応じるのでしょうか? 私たちはよく、「定説でも1つの反証で崩れる」などと耳にしますが、本当にそうでしょうか? 科学史の1事例で考察してみます。その事例とは元素周期表の歴史です。以下の文章の情報源はアジモフの2書、「Asimov's Guide to Science」と「Noble Gases」で、周期表の考案者メンデレーフの事績を語ります。

メンデレーフは当時知られていた元素を原子量の順に並べることから始めました。このようにです。

水素、リチウム、ベリリウム、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、燐、硫黄、塩素、カリウム、カルシウム、(以下略)

見てのとおり、ヘリウム以下の貴ガスはまだ知られていません。こう並べると、元素の1原子が結合できる原子数を表す「原子価」が規則的に増減し、同じ原子価が何度も現れます。ここからメンデレーフは、現在の周期表の起源を考案したのです。1869年のことでした。

元素周期表は広範な支持を得ました。最大の利点は未知の元素を予言したことで、例えばカリウムと同じ周期にアルミニウムやシリコンの同族元素があると予言し、そのとおりに1875年にガリウムが、1886年にはゲルマニウムが発見されました。1879年のスカンディウムの発見も周期表が予測したものでした。

大成功した周期表ですが、問題が2つありました。

1つは「順序を守らない元素」の存在です。原子量127.6のテルルは126.9のヨウ素より後に来るはずですが、原子価ではテルルはセレンの同族で、臭素の同族のヨウ素の前に来ます。同じく、コバルトの原子量58.9はニッケルの58.7より大きいのに、原子価ではコバルトが先に来ます。元々メンデレーフが元素を並べる基準は原子量しかなかったのだから、これは矛盾で、当時は誰も説明できませんでした。

でも、説明できないなら、それはメンデレーフ理論への反証ではないのでしょうか?

メンデレーフ自身も、1894年に発見が報告されたアルゴンは新元素と認めませんでした。アルゴンは史上初めて確認された原子価=0の元素で、そのことも疑惑を生んだのでしょう。実在するなら原子価=0のアルゴンは塩素とカリウムの間に入るはずだが、アルゴンの原子量40.0はカリウムの39.1より大きかったのです。メンデレーフは観測されたのは新元素ではなく「N₃」だろうと主張しました。酸素原子が3つでオゾン(O₃)を作るように、窒素原子3つの化合物というのです。

第2の問題は、周期表のある地点から、元素の化学特性が変わらなくなることでした。ランタンはイットリウムの同族ですが、ランタンの後もイットリウムの同族元素が続くのです。後に「レアアース」と呼ばれるこれらの元素も説明がつかないから、メンデレーフ理論への反証だったはずです。

今の私たちは、その後の歴史を知ってます。20世紀に電子殻の構造が解明され、原子価は原子量で決まるものでないこと、電子殻は必ずしも順番に埋まるわけではないことから、「順序を守らない元素」もレアアースも説明されるようになりました。ですが、その解明がなされたのは1910年代から20年代で、メンデレーフ理論の半世紀も後のことです。その半世紀の間、この理論にはいくつもの反証があったわけですが、当時の人は理論を棄却しませんでした。反証を反証とは考えなかったのです。

では当時の人は、どう考えたのか?

一見矛盾に見える事例も、いつか説明されると信じて、反証と見なすことを拒絶したのでしょう。では、もし彼らが反証と見なすことがあるなら、何が必要だったのでしょうか?

矛盾を説明する理論は現れないと確信することです。これは「反証」の重要なポイントです。反証を反証とみなすには、矛盾を説明する理論は存在しないことが条件になるのです。

以上の説明を基盤に、熱力学第2法則の反証可能性を語ります。

(続く)

743Ken:2020/11/19(木) 00:34:49 ID:l3c2r2bk
熱力学第2法則は確率論に立脚するので、まずは確率論の反証可能性から語ります。

双六で用いる普通のサイコロがあると考えてください。このサイコロを振って「1」の目が出る確率は1/6ですから、600回振れば100回前後、6000回振れば1000回前後は「1」の目が出ることが、確率の法則から予測されます。

では、もしサイコロを6000回振って、すべて「1」が出たら? その事実を反証と見なして、私たちは確率の法則を否定するでしょうか?

絶対にそうはならないはずです。その場合は、なにかの原因があるはずと、私たちは考えるでしょう。サイコロ自体がいかさまであるのか。サイコロ師がよほど特殊な振り方をしたのか。サイコロでもサイコロ師でもない、何か環境的な原因があるのか。そういうことを考えて、原因を探すはずなのです。

問題はここからです。一定の努力を傾け時間をかけて探しても、原因が見つからないときは、どうするのでしょうか? もはや特別の原因はないと結論して、確率の法則を否定しますか?

できないはずです。数学理論を実事象の観測だけで否定することなどできません。数学理論を覆せるのは数学理論しかなく、サイコロの目のような物理現象では否定されません。よって「1」ばかりが出る原因を永久に探し続けるはずなのです。これは、言い換えれば、「このような事象が観測されたら、確率の法則は反証される」という事象を、具体的に想像できないということです。よって、確率の法則は反証不能になります。

(続く)

744Ken:2020/11/20(金) 00:19:53 ID:l3c2r2bk
さて、熱力学第2法則ですが、まずはこの法則を解説します。非常に初歩的で冗長なものになりますが、我慢してください。私(Ken)自身が第2法則を正しく理解してるかを検証するために読んでいただいても結構です。

ここに3つのボールがあるとします。区別のため「A」「B」「C」と名前を入れます。3つのボールをある高さから落下させ、そこに開いた箱を3つ置きます。箱には「1」「2」「3」と番号を付けましょう。ボールがどの箱に入る確率も同じ、つまり1/3です。

実験を繰り返せば、3つが同じ箱に入ることも、別の箱に分かれることもあるでしょう。その確率はどうなるでしょうか? その計算には、3つが同じ箱に入る場合と別の箱に分かれる場合が、それぞれ何通りあるかを数えます。

同じ箱に入る場合は3通りあります。
[1]ABC [2]空 [3]空
[1]空 [2]ABC [3]空
[1]空 [2]空 [3]ABC

別の箱に分かれる場合は6通りあります。
[1]A [2]B [3]C
[1]A [2]C [3]A
[1]B [2]A [3]C
[1]B [2]C [3]A
[1]C [2]A [3]B
[1]C [2]B [3]A

ゆえに、同じ箱にまとまる確率は、別の箱に分かれる確率の半分になります。この、同じ箱にまとまるのがエントロピーが小さい状態、別の箱に分かれるのが大きい状態です。つまりエントロピーが増大するとは、確率の大きな状態になることです。

わずか3つのボールと箱でもエントロピーが小さい状態は大きい状態の1/2の確率ですが、ボールと箱が4つならこれが1/6になります。ボールと箱が5つなら1/24、6つなら1/120とエントロピーが小さい状態は生じにくくなり、ボールと箱が100あると、156桁もある数値分の1という奇跡のような確率になります。しかし実際の熱力学現象での分子や原子の数は到底こんなものではありません。

例えば水の分子量は18ですから、わずか18ccの水の分子の数は6.02 × 10²³。こんな数だと上記の確率を電卓ではもう計算できません。ましてや浴槽を満たす水では? 海の水では? それどころか宇宙全体の素粒子なら? こう考えると、エントロピーが減少するとは、サイコロの目が6000回すべて1になることをはるかに極端にしたものと納得されるでしょう。熱力学第2法則は確率論そのものなのです。

では、もしエントロピーが減るように見える現象が観測されたら? 例えばコップの水に垂らしたインクが拡散せず逆に1点に集まるとか。あるいは高温の物体と低温の物体が接触し、高温側がさらに熱く、低温側が一層冷たくなるとか。私たちはそれを見て、第2法則が反証されたと考えますか?

考えないでしょう。例えば冷蔵庫は熱を低温側から高温側へ移動させますが、一見エントロピーが減ったようでも、冷蔵庫を動かす電力を作る発電所で燃料を燃やし、石油や石炭の内部エネルギーを散じており、結局エントロピーは増大しています。私たちはそのような理由を探すはずです。

そして、サイコロと同じで、問題はここからです。冷蔵庫の場合のような理由を探しても見つからない時は、第2法則が反証されたと考えますか?

考えません。確率論そのものである第2法則は、確率論自体を否定しない限り、否定できません。一見、反証に見える事象でも、必ずあるはずの理由の探求が永遠に続くだけで、「こういう事象が観測されたら第2法則は否定される」という事象を想像できません。よって反証不能です。

(続く)

745Ken:2020/11/21(土) 11:43:34 ID:l3c2r2bk
まだ終わりではありません。次はメンデルの法則を考えましょう。19世紀のメンデルがマメ科の植物を観察して得た結論です。優性遺伝子と劣性遺伝子が交配すると、「子」の世代ではすべて優性遺伝子の表現型が現れ、「孫」の世代では3対1で優性が現れるといいます。これも確率の法則に立脚したもので、「孫」の世代が受け継ぐ遺伝子の組み合わせには、

[1]父親から優性、母親から優性
[2]父親から優性、母親から劣性
[3]父親から劣性、母親から優性
[4]父親から劣性、母親から劣性

の4通りがあり、[4]の場合のみ劣性遺伝子の表現型を示すからです。高校(中学でしたか?)の授業で教える、基本中の基本です。

では、メンデルの法則の反証とはどんなものでしょうか? 「孫」の世代が3対1ではなく2対1になる事象が、十分なサンプル数で観測されたら、反証になりますか?

ならないはずです。やはりサイコロやエントロピーと同様に、そうなる原因が探索されるでしょう。その形質に影響する遺伝子が複数あるのか。遺伝子以外の環境的要因が働いているのか。そして、結局サイコロやエントロピーと同じ問題に行き着きます。法則どおりにならない原因を発見できなかったとき、どうするかです。

結局メンデルの法則も事情は同じです。確率の法則を数学の問題として否定しないことには、メンデルの法則を否定はできず、原因の探索が無限に続くだけです。

サイコロ、エントロピー、遺伝という3つの事例にまつわる法則を考察し、事象の観測だけでは反証できないことを述べてきました。3つとも確率論に立脚しているのが理由ですが、実のところ、確率論とは関係のない法則でも、結局は同じ問題に行き着くのです。

どんな法則であれ、一見、反証と思える事象が観測されても、実はそれを説明する理由があるかもしれません。(いかさまサイコロのように)。そんな理由はないことを明らかにしなければ、反証を反証として受け入れることができません。これこそ、最初に持ち出した元素周期表で起こったことで、新しいレアアースがどれだけ見つかっても、それを説明する理由が、つまり後世の電子殻理論のようなものが、存在しないといえなければ、反証はできないことになります。その法則が確率論に立脚していようが、いまいが。

ですが、「存在しない」ことを証明するのは「悪魔の証明」です。誰にもできません。そして、ここまでくると、反証不能な理論の数は著しく増大するのです。

(続く)

746Ken:2020/11/21(土) 21:36:47 ID:l3c2r2bk
ID論が「疑似科学」とされる理由の1つが反証不能といわれます。以前に紹介した記事で、ドーキンスもそれを言ってます。

www.theguardian.com/science/2005/sep/01/schools.research

「それに比べて」とドーキンスは続けます。「進化は反証可能である。もし先カンブリア時代のウサギの化石が見つかったら進化は反証される」という言葉を紹介しています。

しかし、以前に言ったことの繰り返しですが、このような言い方は論理の歪曲で、ドーキンスこそ疑似科学者ではないかと、私が疑う理由なのです。IDと進化を対比させても意味がありません。進化とは生物種が時間的経過の中で変わることですが、IDはそれを否定しないからです。

IDの対立仮説は進化ではなく自然選択です。過去の進化の一部に注目し、自然選択と人為的干渉のどちらが合理的に説明するかを問うのがID論です。ドーキンスがIDを反証不能と論難するなら、彼は進化ではなく自然選択が反証可能と言わねばなりません。

でも、自然選択は反証可能ですか?

反証可能と思う人は、反証になりそうな具体事象と、それが現実になった場面を想像してみるべきです。そのとき自分は自然選択を否定するかと。

工場の煤煙のせいで黒い蛾が増えたというおなじみの話があります。町並が黒くなり、蛾の黒い色が保護色となって、捕食されにくくなったと。では、もし、町並が黒くなる中で白い蛾が増えたら、自然選択は反証されるでしょうか?

されないはずです。そもそも保護色だけが繁殖に有利とは限らず、孔雀の羽のように目立つことも有利になりうるから、蛾でも同じ想像をする人が現れるでしょう。また、色自体は要因ではなく、蛾の体内に何らかの化学物質が生じ、それが代謝の効率を高めたり、特定の病気への耐性を強めたので、白い色はその物質の副産物という想像がなされるかもしれません。とくに、煤煙が起こす健康障害への耐性を強める物質なら、煤煙と時間的に符合した形で白い蛾が増えるはずです。

そのような事情は一切ないと結論されて、初めて自然選択は反証されるのです。でもそんなことが可能ですか? 「先カンブリア時代のウサギ」に該当する、自然選択を反証する事象とはどういうものでしょうか?

結局ここでも周期表や第2法則やメンデルの法則と同じことが起こります。一見、反証に見える事象があっても、別の理由があってそうなるだけかもしれず、そのような理由は「ない」ことを証明しなければ、つまり「悪魔の証明」をやらなければ、反証とは見なされません。

(続く)

747Ken:2020/11/22(日) 21:56:28 ID:l3c2r2bk
私は以前に、クォークやモノポールのような素粒子の存在を反証できるかと尋ね、結局は保留になったはずです。しかし第2法則や自然選択と比べれば、素粒子の反証はまだ望みがあるように思えます。なぜなら対象となる素粒子に具体的な特徴があるからです。

例えば、ゲルマンが提唱したクォークなら端数の電荷という特徴があり、クォークの実観測を試みた人は端数電荷を探したといいます。存在証明はそれでよいとして、反証はどうやるのか。私には思いつきませんが、もしかしたら背理的に証明できるかもしれません。つまり陽子や中性子の内部に端数電荷が実在するなら起こりえない現象を見つけるのです。それがどんな現象なのか想像もつきませんが、一般論としては、具体的な特徴があるほど背反現象を見つける望みが出ます。

でも、反証が反証でないことを示す理由、たとえば、

*本当はエントロピーが増えてるのに減ってるように見える
*本当は自然選択で白い蛾が増えてるのに、自然選択に逆らってるように見える

このような、具体的な特徴が何もないものに、どうやって背反現象を想定できるでしょうか?


それとも、「反証」とはそこまで厳密なものではなく、「矛盾があるかもしれない」程度でも、反証と考えるのですか? 例えば、熱が低温から高温に移動することが観測され、かつ冷蔵庫のような明らかな理由が見つからない場合は、それが見つかるまでは反証と考えるのですか?

でも、そこまで反証の定義をゆるめるなら、今度はあらゆる理論が反証可能になり、反証の意味がなくなりませんか? 早い話が、天地創造論も反証可能です。『創世記』を読むと、神は昼と夜を分ける光を2度創造したことになります。初日に昼夜を分け、その後、天と地を作り、植物を作った後、4日目にもう1度昼夜を分ける光を作り、それから動物を作ったとあります。いかに全能の神でも、既に分かれている昼と夜を、どうやって分けられますか。そこを突けば反証になります。

反証可能性に関して、私がいま語れるのは、以上です。あと、ブラックホール内部を考察する問題も、まだ決着してないはずです。最初に断ったように、基準01に戻った時の予備情報として一連の投稿をしました。

748diamonds8888x:2020/11/28(土) 09:51:47 ID:Qix9q/lA
>>741>>747
 詳しい説明をありがとうございます。Kenさんの基本的考え方がかなり理解できたように思います。そのいくつかは私の基本的考え方とは重要な点で食い違いがあるわけですが、簡単な説明では、そこを私の考え方で解釈してしまって誤解することがあるというわけです。これはKenさんが私の文章を解釈する時でも同じでしょうから、互いに気をつけましょう。

 上記の食い違いのいくつかは、Kenさんに改めてもらわないと、それ以上の議論はできないくらいのものです。それは、研究者などが普通に科学的考察をする際の方法とは、ずれています。

 さて私の理解したところ、以下の論点があるようです。
 1)【定義の問題(自然科学の中の数学)】
 2)【熱力学の基本】
 3)【反証の実際(硬い核の問題)】

 3は(硬い核の問題)と呼ばれていますが、誠実に考え、なおかつ人に説明しようとすると、なかなか難しい問題です。ひとまず留保。
 「基準01に戻った時の予備情報として一連の投稿をしました [>>747]」とのことですから、Kenさんも今は留保のつもりだと思いますが。

 ただし研究者などが普通に科学的考察をする際には、自動的に「これまでに積み上げられた科学的知見」は正しいものとして考えます。そういうことだと思っておくのが実用的だと思いますね。

 1と2はどちらも、自然科学の中の数学ないし数式の位置付けの問題が関連していますね。基本的な私の認識として、数式とは自然科学の内容を表現するための言葉のひとつです。ちょうどグラフや表と同じように。Kenさんはどうも、数式は言葉以上のものと考えている節が感じられますが、これは誤解ですか?

 というところで、少しずつですが別発言にて。

749diamonds8888x:2020/11/28(土) 15:33:28 ID:Qix9q/lA
>>741 【定義の問題(自然科学の中の数学)】
>ゆえに、これからも定義の問題を論じるなら、極力、数式で表現することを推奨します。それで大抵の問題は片付くでしょう。

 そうですか、了解です。では私の考える波数の定義を厳密に数式だけで表現します。あっと「波数」だけは自然言語に見えますが、こればっかりはねえ。

   波数=η/ζ

 これで【私の言いたかったことが、よーーーくご理解いただけたのでしたら】、とても嬉しいのですが。


 念の為に申し添えますが、特に【】内はいわゆる掛詞(二重表現)を含んでいます。表(おもて)の表現だけの理解でも構わないですけれど。

750diamonds8888x:2020/11/28(土) 15:44:17 ID:Qix9q/lA
>>743, >>744, >>745 【熱力学の基本】

 差し障りのある問題ではありませんが、ここで論じられている「熱力学」は「統計力学」と呼ばれるもので、それ以前の初期の「熱力学」、クラウジウスが創始した「熱力学」は別の土台に基づき、別の数学を使っています。もちろん、以上は御存知のことでしょう。とは思うけどねえ・・、そう思い込んで違ってたことも多々あるから、一応、初耳だったとしたら、見栄なんかはらないではっきりそう言っておいてくださいね。【ちゃんとY/Nで答えてください】

 もしお持ちならば、「統計力学」なしの「熱力学」についての知見や見解も御披露いただけるとありがたいです。

 以下はほんの触りを紹介しています。
[tps://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%86%B1%E5%8A%9B%E5%AD%A6#%E7%86%B1%E5%8A%9B%E5%AD%A6%E3%81%AE%E8%AB%96%E7%90%86%E5%B1%95%E9%96%8B]

 本格的にはネットにも色々ありますし、標準的教科書も色々あります。

751diamonds8888x:2020/11/28(土) 18:24:39 ID:Qix9q/lA
>>743, >>744, >>745 【熱力学の基本】
わたしの理解した点いくつか、のうちの一つ。

 [>>726]での私の問いへの答えはよくわかりました。

> [>>680]
> >むしろ2法則は確率論という純粋数学に直接立脚しており、最も否定の難しい自然科学理論に思えます。

>  この意味を具体的にわかるようにお願いします。

 Kenさんの考えはよくわかりました。そしてそれは、決定的な点で、研究者などが普通に科学的考察をする際の方法とは異なっています。はっきり言えば、間違った考えです。

752diamonds8888x:2020/11/28(土) 18:28:14 ID:Qix9q/lA
【To All】この投稿はKenさん向けではなく、ご覧になっている他の人達向けです。

 >>742>>747 で提起されている【反証の実際】は、なかなか手ごわいものでポパー理論を絶対と考えると解決できないだろうと思います。実際、だから現在、ポパー理論は科学哲学者の間では評判が悪いとかいう話です。
 いわゆる「線引き問題」「境界設定問題」についてのたぶん最新の解説を見つけましたので、メモしておきます。長文で見つけたばかりなので、私は全部は目を通してはいません。

tps://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/243232/1/sst.8.5.pdf
Title 境界設定問題はどのように概念化されるべきか
Author(s) 伊勢田, 哲治
Citation 科学・技術研究 = Studies in Science and Technology (2019),8(1): 5-12


 で、普通に科学的に経験論の基本で考えてどうなのかと。以下、つれづれなるままに断片的な思考です。もしや楽しい練習問題にできるのかも知れませんし。

 「原子量に基づくメンデレーフ理論」は実際に反証され否定されている。
 そう言えば「ニュートン力学」も実際に反証され否定されている。忘れがちだけど。
 しかし、「〜の条件ではニュートン力学は成立する」という理論は今でも正しい。
 その意味では「メンデルの法則」も実際に反証され否定されている。
 ああ、その意味では「ダーウィンの唱えた進化理論」もでした。
  私自身もそんなことブログに書いてたと思うし、更科功の本では、はっきりそう書いてあった。

 「もし先カンブリア時代のウサギの化石が見つかったら進化は反証される」とは言うものの、それらしきものが見つかったとしても、それが確かに「先カンブリア時代のウサギの化石」なのかどうかを事実として確認するのはなかなか難しいであろう。
 科学的観測というのは簡単ではありません。火星の運河とかポリウォーターとか、観測間違いによる混乱は有名なものだけでも数多く、無名なものなら世界中の実験室や観測施設で日常茶飯事でしょう。
 けれども困難と不可能とは超巨大数と無限くらい違う。その間には暗くて深い河がある。


 いや、これだけだと禅問答みたい。でも経験論的科学の何たるかがわかっている人ならば、この禅問答の言わんとするところはわかるはず。


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