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【妄想爆発】チラシの裏【大上等】

1名無しさん:2012/07/23(月) 20:55:39 ID:FfmC0Dnw
勝手にスレを立てさせて頂きました。

薄汚い妄想だろうが職人のSSにも満たない話など、何でも良いから書きたい事は此処に書け!

Q、何か書きたいけど投下する勇気が持てない…
A、恐れるな! 勇気と誇りを持って書きこもう! 我々はアブノーマル! どんな話(餌)にも食いつくのだからぁッ!

248適当:2012/12/21(金) 22:11:36 ID:MetLiZGE
試練4 零下

Day8
少女が去った後、俺の頭の中では、少女の言葉が繰り返されていた。“生きていたら、また会おうね。”と何度も俺の頭の中に響いて来た。少女が別れの際に言い放ったこの言葉を、頭の中で…いや、心の中で復唱して自分に言い聞かせる度に、俺の頭の中には“後悔”という二文字が浮かび上がって来ていた。“なぜ、少女を助けてしまったのだろう。なぜ、あの時すぐに元の部屋に帰さなかったのだろう。なぜ、少女のワガママを聞いて少女とつながってしまったんだろう。”これらの事を俺が少女に行ってしまった為に、少女は軍隊の裏切り者となってしまったのだ。“微かな息を聞いて、【若葉】のステージに気を失ったまま放置をして置けば、いずれ少女自身が目を覚まし、自分の技を使って、俺に頼らずとも自分自身で回復が出来たハズだ。”俺は少女が去って行った扉を見つめて独り言を呟いていた。

「すまない…フィア。俺のせいで…俺のせいで…。君を…殺させてしまった…。俺が…俺が、助けなければ…。俺が…甘えてくる君を良く思わなかったなら…。君が死ぬ事なんて…無かったのに…。」

その後俺は、謝罪の言葉を少女が去って行ってしまった扉へ何度も呟いていた。しばらく、少女に対する謝罪の言葉を述べていると、もう一匹の俺が何かを語りかけてきた。

249適当:2012/12/21(金) 22:15:04 ID:MetLiZGE
『いつまで悔やんでいる?いつまで謝っている?本当にお前が悪いのか?お前は助ける目的で連れて来たのだろう?少女と営んでしまったのは、お前が悪い訳じゃない。少女が勝手に望み、お前と営み自分で“裏切り”を選択したのだ。お前に罪なんて無い。だから安心しろ。それよりも、まずここから脱出することが先決だ。なぜ敵の事をここまで気に掛ける?それは果たして意味がある事なのか?』
“偽善者とでも言いたいのか?それとも、恩を売っておけば少女が俺を脱出させてくれるとでも思っていたのだろう?とでも言いたいのか。違う、俺は偽善者なんかじゃない。俺は、番人からバッチを獲得してここから出たいだけなんだ。番人の死なんて望んじゃいない。あのシャワーズやエーフィに対してもそう思っている。”
『ウソだな。素直になれ。殺してでも、ここから一刻も早く脱出したいと。バッチを奪えさえすればいいんだからな。勝てないのなら道具を使え!!勝てないのなら、隙をついて無抵抗にし脅せ!!何の為にその刀を持っている?これは、脅す為にでもあるんじゃないのか?』
“違う。刀は殺す為に使うんじゃない。脅す為に使うんじゃない。敵を怯ませる為に…敵を気絶させる為に使うんだ。”
『そうか、なら好きにしろ。俺からの助言はここまでだ。これで、どこまでいけるかやってみるがいい。まぁ、脱出は出来ないだろうがな。』
“うるさい。さっさと消えろ。お前のアドバイスなんかハナから求めていない。”

250適当:2012/12/21(金) 22:20:46 ID:MetLiZGE
俺はもう一匹の自分と心の中で対話していた。もう一匹の自分に言い放つと、もう一匹の自分は何も言い返しては来ずに消え去った。なぜ、もう一匹の自分が存在していたかはわからない。もしかしたら、俺は本音と対話していたのかもしれない。俺の“悪”の心と“善”の心の対話だったのかもしれない。“だが、アイツにあそこまで言われたんじゃ、いつまでも泣いて立ち止まってはいられない。必ず…必ず、俺は俺のやり方で脱出してみせる!!”俺は決心を固め、涙を拭い、スーツを着て刀を強く背中に縛りつけた。頭に巻いているハチマキも一旦外し、再び自分の首に巻き付けた。“必ず脱出してやる。”という意思を込めて巻きつけた。その後、腕時計に目を通そうとしたが、近くから漂って来たいい匂いを鼻で感じる事が出来たので、腕時計を見る事を止めて食事を摂った。

スッ…パシ
サクッ モグモグ
ゴックン
「うん。また、あの青い液体か…。」

251適当:2012/12/21(金) 22:23:13 ID:MetLiZGE
“体力が回復する飲み物を支給しているという事は、少女の裏切りも少しは…いや、そんなハズはないな。困難が何もない時は、必ず体力回復用の飲み物が支給されるのだろうな。裏切りを…受け入れてくれるハズがない。これは実験なのだから、フィアに裏切られた時点でこの実験は失敗するからな。”俺は食事のトレーの上に乗っている青い液体を一目見て、頭の中で様々な推測を出し結論付けて食事を終わらせた。食事を一通り終えると、スーツのポケットを探り、ポケットの中身を取り出し目を向けた。ポケットの中身は、2錠入った小さな小瓶と、少女に勝利して手に入れた“π”と描かれた琥珀色のバッチだった。俺は前者を床へ置き、後者を手に握りしめ【幻想】と示された扉の近くにあった9つの窪みがある装置へ歩を進めた。9つの窪みがある装置には、【氾濫】と【光】と示されたプレートの下にそれぞれ1つずつ、バッチがはめられていた。俺は、その2つのバッチにならい“π”と描かれた琥珀色のバッチを【若葉】と示されたプレートの下の“π”という文字をかたどったような窪みへはめた。すると、“β”、“θ”のバッチをはめた時と同様に、どこからかブザー音が鳴り【光】と示された扉は、【達成】と示された扉へと変わった。俺はその様子を見届けると、ステージ選択の為に中央へ…は行かず、すぐに【零下】と示された扉へと歩を進め、扉の前で足を止めた。

「フィアとの約束が優先だ。サンという名のサンダースを先に相手するのもいいが、まずはフィアの姉に会っておかなくてはな。フィアに…裏切らせるような真似をさせてすまないと…ちゃんと謝ろう。子供扱いを…フィアを自分の子供であるかのように、フィアの面倒を見てあげているのだから、少なくとも、妹の事を優先的に想っているハズだからな。」

俺は自分に言い聞かせるように、長々と独り言をつぶやき【零下】と示された扉のノブを捻り、【零下】のステージへと歩を進めた。

252適当:2012/12/21(金) 22:29:06 ID:MetLiZGE
周りは見渡す限りの雪景色、空からは少しの粉雪、そして両サイドには、雪をかぶった木々が群れをなしていた。俺は【零下】のステージ、雪原がどんな所であるかを確かめて正面を向いた。前方には、額に氷を象徴するような結晶を身につけ、体は雪原の銀世界へ溶け込むような灰色をしており、尻尾もまた氷を象徴するような結晶で作られた、水色の軍服を身につけた一匹の四足型の生き物が姿を現した。“これが、グレイシアか。雪原というステージにいるあたり、体を見る限り、当然氷タイプなんだろうな。”俺は前方にいる生き物へ向けて口を開こうとすると、前方の者が先に口を開き始めた。

「ようこそ、零下の間へ。私が、このステージの番人よ。」
「そうか。まず、君へ謝らなければならない事がある。」
「いえ、私の方こそアナタへお礼を言わなくちゃならないわ。」
「そうか。なら、君が先でいい。内容によっては、俺の言葉の必要性が無くなるかもしれないからな。」

俺が前方の者へ“先に伝えたい事を伝えろ”と促すと、前方の者は俺の返事を受け取り再び口を聞いた。

「フィアを助けてくれてありがとう。彼女から話は聞いたわ。“アナタに助けてもらった”ってね。姉として、まずはお礼を言わせて貰うわ。」

“う〜ん、コイツの名前確か『シーア』って言うんだったよな?フィアと同じ面もあるのだろうか?”俺は少女の姉へ何の意図もない笑みを向けて返事を返した。

「ふっ、どういたしまして。フィアには対した事はして…」
「だけど…」
キッ
「“手加減”はしないからね?フィアを助けた事と、私との勝負は“関係がない”。」

253適当:2012/12/21(金) 22:31:52 ID:MetLiZGE
“氷タイプらしく冷静沈着、相手に対して冷たいという事か。”少女の姉は俺の言葉をさえぎり、逆説を用いて俺へ言い放ち、俺を威嚇するように睨みつけた。俺は彼女の意見を受け入れ、少し口元を緩ませて彼女へ承諾を出した。

「ふっ、そのつもりだ。君の言う通り、フィアを助けた事と君との勝負は関係がない。君に恩を売るつもりで助けたんじゃない。俺が勝手に罪悪感を感じ、勝手に助けたんだからな。」
「ふふっ、まだ“ヘラヘラ”しているようね。じゃあ、言わせてもらうわ。“小僧”全力でかかって来い。フィアを倒したからって、私に勝てると思うなよ?」

“相変わらず冷たいな。”俺は愛想笑いにも見えない笑いを行って辛辣な言葉を放って来た少女の姉を見て、彼女の性格を再度認識し、彼女の言葉とほぼ同じ意味の言葉を言い放った。

「こちらこそよろしく。グレイシアの“お嬢さん”。」
「言い返しだわ。じゃあ、行くわよ?幸い肝はすわっているようね。寒いステージだから早めに終わらせるわよ?いい?」
「お気遣いどうも。じゃあ、始めてくれ。」

“確かにコイツの言うとおり、このステージは気温が低く寒い。早く体を動かして、体温を上げなければ、闘うどころの話じゃないからな。”俺は少女の姉の意見に賛同し、彼女へ返事と感謝の言葉を返すと、数秒後に開始の合図が聞こえ始めた。

254適当:2012/12/21(金) 22:36:41 ID:MetLiZGE
プンッ…
『READY…GO!!』

俺は開始の合図を聞くと、前方へ走り出した。“まずは、コイツがどんな技を使ってくるかを知っておかなくてはな。”俺はそう考えつつも、彼女の元へ辿りつくと彼女へ先制攻撃をしかけた。

タッタッタ…
スチャ…
ブン ブン
ヒュン ヒュン
「避けた所をこうだ。」
ドゴン
「うわぁ!!」

“よし、チャンスだ。これで決まるかもしれないな。”俺は、少女の姉を蹴り上げ宙へと浮いた所を狙って追加攻撃をしかけた。

「連続突きぃぃぃ!!」
シュシュシュシュシュシュシュシュ
「うわぁぁぁぁぁ!!」
ドサッ

“勝ったな。なんだあっけなかったな。いや、俺のスピードが速すぎて、アイツがついてくる事が出来なかったんだ。後は、もう一回上に上げてアレを当てれば勝ちだな。”少女の姉は、俺に自分の腹部を刀で突かれて叫び声を上げ、雪の上へ仰向け状態で落ちた。俺は、次の攻撃を仕掛ける為に彼女へ接近したが、彼女はそれを待っていたかのように、素速く起き上がり、反撃を仕掛けてきた。

タッタッタ…
ムクッ…スタ
「何!?」
「なかなかやるわね。でも…甘いわよ!!」
パカッ…フィィィン
「冷凍ビームか!?くっ…。」
ヒュン…
「遅い。」
フィィィン…
「し…しまったぁ!!」
パシュウ…ピキン
「ぐはぁ!!」
ガクッ…ドサッ

“な…何でコイツはこんなにケロッとしているんだ!?腹に…腹に当てたのに全く効いていないじゃないか!!しかも…くそっ、腹に氷を受けてしまった…。さ…寒い…。体温が…ここから徐々に奪われていく…。”俺は少女の姉の口から出す水色の光線を一度はかわすが、彼女の二度目の光線を腹部に受けてしまい、あまりの冷たさに叫び声を上げて、その場にうずくまり始めていた。少女の姉は、ひるんでいる俺に近づいてすかさず追撃を仕掛けてきた。

タッタッタ…
「これで終わりよ!!アイアンテール!!」
ビュン…バシン
「ぐはぁ!!」
ヒュ…ドサ

“くそっ…もう動けそうにない…。コイツ…冷凍ビームと尻尾だけで俺をダウンに追いやるとは…。”俺は少女の姉の硬質化した尻尾を額に受けて、とばされて仰向け状態にされてしまっていた。彼女は俺の苦痛の表情へ目を向けて、俺に勝利宣言を行い、俺へ敗北宣言を促してきた。

255適当:2012/12/21(金) 22:41:28 ID:MetLiZGE
「ふん。勝負あったな。おい小僧、降参しろ。お前はもう動くことは出来ないハズだ。そんな薄い防寒効果も何もない服を着て、私の氷を受けたんだ。」
「くっ…くそぉ…。なぜだ!!なぜお前は、こんなにスムーズに動けるんだ!!ひるませたハズだろう?効いてないとは…言わせんぞ!!」
「ふっ…あはははは!!バカかお前?」
「バカ?」
“一体どう言う事なんだ!?”俺は少女の姉の高笑いを耳にした後に、彼女へ聞き返すと、彼女は俺を見下すように見下ろし、俺へ理由を言い放った。

「どうせお前は対策のしようが無いからな、教えてやる。私は、雪原地帯では常に体力を回復し続ける事が出来る。」
「なんだと!?」
「あはははは!!わかったか。まぁ、お前の素速さは認めてやろう。もう一つの特性で私の動きは素速くなるのだが、お前の剣術は速すぎて見切るのが精一杯だったな。その後の蹴り上げは負けを認めてやろう。あれは、私も防御が出来なかったからな。」

“体力を回復し続け、さらに速さもあがるだと!?くそっ…ってことは、持久戦に持ち込まれれば、こちらが負けてしまうじゃないか!!”俺は少女の姉の豪語を耳に入れてしまった事で、いつの間にか悔しそうな表情を浮かべていた。彼女は俺の反応を強めるかのように更に言い放った。

「それと、明日からは防寒着を探せ。話にならない。電気を帯電させ、体温を維持させながら闘っているのか?今のお前では、100%の力を出し切る事は出来ない。何でかは聞くなよ?私はお前の“お母さん”じゃないからな。」
「くっ…、言いたい放題言いやがって…。そんな事はわかっている。そうだな、今日は降参させてもらう。これ以上闘って勝てるとは…思…えない…からな。」
ガチガチ…
「ふん。寒いクセに強がりやがって。さっさと帰れ。体調を崩してしまわない内にな。」

俺は少女の姉の言うことに従い、腕時計についているリタイアボタンを押して【零下】のステージから姿を消した。

256適当:2012/12/21(金) 22:45:49 ID:MetLiZGE
俺は、少女の姉との戦闘を終えて真っ白い空間へと戻ると、すぐさまシャワールームへ足を速めた。“体が寒い!!寒すぎる!!急いで…急いでなんとかしなければ…。”俺はおもむろにお湯を出し、温度調節もせずに、冷え切った体へとスーツの上から当て始めた。

キュッ…ジャアアア…
ピチャン ピチャン
「はぁ…はぁ…。ふぅ〜、危なかった…。もう少しで凍…あっ、熱い!!今度は火傷してしまう!!」
キュッ
ピチョン ピチョン

腹部に受けた氷が完全に溶けたので、俺は体に急激な熱さを感じ、急いでシャワーから出るお湯を止めた。“そういえば、服を着たまま風呂に入浴(はい)っていたな…。”お湯を止めた後に、体の大部分から濡れていない感覚に気づき、自分の体に目を向けてスーツを脱いだ。“昨日も入浴(はい)ってないし、今の内に入浴(はい)るか…。”考えた矢先、突如俺に悲劇が訪れた。

ススッ…ススッ…
ガシッ…ヒュッ
ビチャ
「あっはっは。濡れているから当ぜ…ぐっ!!何だ!!は…腹が!!」

俺を襲った悲劇とは、急激な体温低下による腹痛だった。“くっ!!ガマン出来ん!!”俺はシャワールームから出て、シャワールームの隣のトイレへ足を速め、便座に飛び乗るようにしてまたがった。

ブッ…ビチャビチャビチャ…
「くっ、やっぱり下痢か…。くそっ…。朝食べた物が全く無意味になってしまった…。」
クルッ…パシッ
シュルシュルシュル…パリッ
ススッ…ススッ

不快な音を聞きつつも用を足した俺は、後ろに振り返り、貯水タンクの上へ置かれていたトイレットペーパーを手に取って、用を足した為に汚してしまった部分を拭き始めた。数回同じ動作を行った後、ようやく用を足す場所が綺麗に拭われた感覚を感じられるようになったので、トイレットペーパーを元あった場所へ戻し、作業を止めて俺は独り言を呟き始めた。

「ふぅ〜、なんてこった…。あんな寒い場所で、氷タイプと防寒効果もない服を着て闘うなんて無茶過ぎた…。俺は、そんなに毛深い方でもないのにな。」
プ〜ン
「うっ…ヒドイ臭いだ。言っている場合じゃないな。」
クイッ…ジャアアア…
「これで絶対に風呂に入浴(はい)らないといけなくなったな。まぁ、どのみち入浴(はい)るんだがな。」

257適当:2012/12/21(金) 22:50:31 ID:MetLiZGE
充分に独り言を呟き終えた俺は、便座から離れ、再びシャワールームへと歩を進めた。シャワールームへたどり着き、シャワールームから出るお湯を用いて、二日分の汚れを洗い流し始めた。先程、用を足す際に用いた部分を念入り洗い終えた事で、体の全ての部分を洗い終えると、俺は真っ白い浴槽を眺めながら、あごに手を添えて自分自身に相談し始めた。

ゴシゴシ
キュッ…ピチョン ピチョン
チラッ
ジー
スッ…ピト
「さて、どうしようか。もう寒くはないが、体を温める為に入るかどうか。」
ジー
「よし、入ろう。いや、お湯に浸かった方が良いな。寒いステージで大分体をやられているからな。」

“また腹痛が起こるかもしれない、あるいは風邪か…。”俺は懸念を交えた独り言を呟き終え、シャワーを用いて浴槽にお湯を溜めていた。“どうして、防寒着も探さずにこんな寒い格好で闘ってしまったのだろうか。”過去の自分の行動に対して疑問を抱きつつも、空(から)だった浴槽に十分な量のお湯が溜まったので、お湯を止めシャワーを元の位置へと戻し、浴槽へ体を入れた。

クッ…チャプ チャプン
「ふぅ〜。やっぱり俺は日本出身なだけはあるな。湯船に浸かると…落ち着くな。」

俺は、【零下】のステージで感じた寒気が体から瞬時に消え、体が徐々に温まる感覚を覚えて、思わず独り言を呟いていた。独り言を呟いた後に、俺はある事を思い出し、更に独り言を続けていた。

「しかし…アイツ…。冷たいだけだと思ったが、案外気を遣ってくれていたな。」

258適当:2012/12/21(金) 22:55:06 ID:MetLiZGE
アイツというのは、もちろん【零下】のステージで闘った対戦相手のことである。【若葉】のステージで闘った“フィア”と名乗る年端もいかないリーフィアの少女。その姉である、少女とは全く異なる雰囲気を兼ね備えた灰色の体を持つグレイシア。俺は、初め少女の姉と会話を交わした内は、“雌らしさが見えない程の、相手の事をつき放すヤツ”だと思っていたが、彼女との対戦を終え、彼女が別れ際に言った言葉を思い出し、改めて彼女の事を思い直していた。“さっさと帰れ。体調を崩してしまわない内にな。”もし、本当に相手に対して冷たい性格ならば、ここで気を遣うような対戦相手を心配するようなセリフを口にするだろうか。いや、そんな事は絶対に有り得ない。”俺は少女の姉のさりげない優しさを思い返しながらも、もう一つの推測を口に出していた。

「ん?とすると…あれは…。俺をバカにするような言い方は、もしかして俺に手加減させずに本気で闘わせる為の…。」

“そうか、そういう事だったのか!!なんだ…案外優しいヤツじゃないか。だが、単に俺と本気で闘いたかっただけなのかもしれないな。あっ、いやそんな事はどうでもいいか。そろそろ…上がるとするか。昼食も用意されている事だしな。”俺は、しばらくの間ぼうっとして湯に浸かりながら結論を導き、新たな推測を立てつつも、一番左端の方から鼻をくすぐるようないい匂いを察知出来たので、浴槽から出て浴槽のお湯を流し、洗濯機の中に入っていた白いシャツを取り出し、脱いだスーツを洗濯機に入れて洗濯機を動かし、白いシャツを着て食事ルームへと歩を進めた。

スタ スタ スタ
スク…グッ…
「今日の昼飯も美味そうだな。ここでは、これが唯一の救いか。」

俺はトレーに乗せられていたビーフシチューの皿を見て独り言を呟いていた。“しかし、なぜこんなに美味い物が出てくるんだ?本当に連中は、俺を実験体として監禁したのだろうか。”俺はビーフシチューと主食であるパンを交互に口に運びながらも頭を回転させて、監禁された真意を追求し始めた。“そもそも、レベル30台の俺をレベル50台と闘わせる事に何か意味があるのだろうか。普通に考えても力の差が歴然で、まず勝てるハズがない。実験体として用いるなら、同じレベルの者同士競わせた方がいいのではないだろうか。”俺はメインとサブメニューのお皿を空っぽにし、手に持っていたフォークを置いてあごに手を当て、首を傾げ推測を口にし始めた。

259適当:2012/12/21(金) 23:00:45 ID:MetLiZGE
「う〜ん、一体何が目的なんだ?俺の…内に秘めた力でも見ようと言うのか?」
カチャ…
「んぐんぐ…。ぷはぁ〜。まぁ、戦闘を終えた後に体力を回復させてくれる事はありがたいが…。」

誰も答えてくれる者はいない。そんな事は理解していながらも、無意味な独り言を呟き終え、トレーの上にあった青色の液体の入ったグラスを手に取り、液体を体に流しこんだ。その後に、空になったグラスを置き腕時計を見やった。【14:00】という表示が出ていたので、もう一戦いけるのではないか?と感じて、洗濯機の方へと足を運んだ。だが、食事の時間<スーツの洗濯が終わる時間となっていたので、当然洗濯機の時間表示画面は、“0(ゼロ)”になってはおらず俺の意志を無視するかのように動作を続けていた。

ウィン ウィン…
「う〜ん、困ったな。やはりスーツごと入ったのはまずかったか…。そもそも、昨日も洗濯していないから脱水だけでは無理だがな。」

俺は、自分の意志を無視して動き続けている洗濯機の音と、時間表示画面を見て困惑の表情を浮かべていた。俺の場合、洗濯をした後に乾燥もいっぺんに行うので、どんなに食事をゆっくりと進めていても、自分の意志を通す事は出来ないのである。“待てよ…本当にスーツは一着だけしかないのか?一着だけなら、毎日洗濯しなきゃならないし、手間が掛かり過ぎやしないか?”俺は新たな疑問を思い浮かべ、洗濯機を離れ、スーツを手に入れたタンスへと足を運び始めた。足を運び終え、タンスを事細かく調べていると、同じスーツが一着だけたたまれた状態で、引き出しに入っている事に気がついた。

ガー
チラッ…ガシッ
「なんだ、もう一着あるじゃないか。こんな事にも気がつかなかったなんて、俺は一体何をやっているんだ?」

引き出しに入っていたもう一着のスーツを手に取り、安心したように言葉を漏らし、着ている白いシャツをハンガーに掛けて、もう一着のスーツを着始めた。“そうか、気がつかない程実は監禁されていた事に焦っていたのだな。”俺は、始めてこの部屋に連れて来させられた時の事を思い出しつつも、スーツを着終え、刀を取る為に中央へと歩を進めた。

260適当:2012/12/21(金) 23:03:31 ID:MetLiZGE
スタ スタ スタ
スクッ…ガシ
シュル シュル…クッ クッ
「よし、準備が出来たな。リベンジだ。アイツは雪原地帯ではスピードが上がる。体力を回復し続けると言っていたが、本当は思い込ませる為に言ったんじゃないか?ひるませられなかったのは、寒さにより俺のパフォーマンスが全力でなかったからだ。」

“そうだ考えても見ろ、雪の場所にいるだけでそんなスゴイ事が出来るハズがない。それが出来るなら、フィアだって草原地帯にいるだけで、二つの特性が発動する事になってしまうじゃないか!!氷タイプにとっては、雪原地帯がスタンダードな戦闘ステージなんだ。だったら、同じのハズ。きっと…何かもっと条件がそろわないとダメなはずだ。”俺は刀を背中に結び終え、【零下】と示された扉を見つめて、零下の番人が語り出した自分を絶望に追いやるような発言の矛盾点を見つけ、推測を立てた。“だが、もしそうであったとしても、あのステージにそのままの状態で行けばまた同じだ。体に電気を溜めて、一定時間保温状態にして行った方がいいな。”俺は懸念を抱いたので、その場に留まって目を閉じ意識を集中し始めた。

スッ…
パチ…パチパチパチ…
「よし、これでまぁ何とかなるだろう。と言っても、恐らく20分程度しか持たないだろうが。」

俺は、体に電気を蓄電し終え、零下の番人との再戦に挑む為、【零下】のステージへと歩を進めた。

261適当:2012/12/21(金) 23:07:42 ID:MetLiZGE
俺は【零下】のステージへとたどり着いた。初めて来た時とは違った感覚で、白銀の世界を眺めていると、前方から慌てて灰色の体を持ち、水色の軍服を着た少女の姉がやって来た。“モニターで俺の様子を告げられているはずなのに、なんでこんなに慌てているんだ?”俺は彼女が息を切らして俺の数十m先へたどり着いた様子を、首を傾げながら眺めていると、彼女が俺に“予想外だ!!”とばかりに言い放って来た。

タッタッタ…
「はぁ…はぁ…。こ…小僧…。どうなっている?」
「は?何がだ?」
「お前は一日に“二戦”もするようなヤツじゃなかっただろう!!私が何をしていたかも知らないで、のこのこと入室(で)て来やがって!!」

“別に多少遅れても構わないと思うのだが…。相手が雌で都合が悪い時?う〜ん、なんだろうな…。”俺は首を傾げて、少女の姉の質問に答えずに黙っていると、彼女が自ら俺へ告白して来た。

「ティータイム中に挑んで来るヤツがいるか!!馬鹿者が!!」
「は?ティータイム?いや、待て。君の都合なんて俺が知るワケないじゃないか。」
「黙れ!!私の妹の事を知っているのだろう?だとしたら、お前と出身国が違う事ぐらいわからないのか?“ジャパン”とは風習が違うんだ!!少しは考えろ!!」

“いや、俺に言われてもな…。だが、ティータイムとやらを邪魔されて随分とご立腹らしいな。ティータイムを大事にする国?う〜ん、どこだ?アメリカじゃないし、アジア圏でもない…。ヨーロッパのどこかと思うのだが、検討がつかないな…。”俺は少女の姉に従い、頭を少し働かせてみたが、何の答えも推測すらも立てる事は出来なかったので、興奮している彼女を落ち着かせる為に、説得を試み始めた。

262適当:2012/12/21(金) 23:11:12 ID:MetLiZGE
「なぜそんなに怒っている?いいじゃないか。多少遅れて来たって。雌が用事が長い事ぐらい十分に理解しているつもりだからな。」
「私は遅刻というモノが嫌いなんだ。一日に“二戦”だと?お前…私をナメているな。体力も“全回復”させずに、私に“再戦”を挑んでいるんだからな。」

“まぁ、ダメージがこれと言ってあったワケじゃないし、それに決着が早かったからな。…これは言わない方がいいな。そんな事より、コイツの特性をキチンと確かめる方法を考えなくては。”俺は彼女へ返答せずにしばらく黙って頭を働かせていると、彼女が更に苛立ち俺へ返答を求めて来た。

「………。」
「おい、何とか言ったらどうなんだ?私は壁と話しているのか?」
「あ…、すまない。いや、君が…。」
「君が?」
「その…、あまりにも可愛くってな。」

“あっ!!マズい!!これは、今のコイツに対する挑発じゃないか!!くそ…、余計に怒らせてしまった!!。”俺は雌が苛立った際に用いるいつもの返しで、つい彼女をなだめてしまったので、案の定彼女はまゆを吊り上げ、更に強い睨みを効かせて俺に言い放った。

「はぁ〜ん。やっぱりお前、私をナメているな?覚悟しろよ?二、三日は闘えないと思う事だな。」
「ち…違う!!決して君をバカにはしていない!!言い間違えたんだ!!」
「言い間違えた?あんなに黙りこんでいたのにか?ただ、ボーっとしていただけか?」
「あっ…。」
「もう許さん。おい、始めるぞ。体力“最低値”まで追い込んでやる…。」

“うわぁ…やってしまったな。これ、ますます悪化させてしまったじゃないか!!”俺は少女の姉へ必死の弁解をしたが、言葉の選択を誤ってしまい、彼女の神経を逆に撫でてしまう結果を招いてしまった。俺に刺激された彼女は、俺へ静かに言い放って来たが、目をますます鋭くし、俺の体に穴を開ける勢いで見つめていた。彼女が言い放った後に、恒例の戦闘開始の合図が鳴り響いた。

263適当:2012/12/21(金) 23:15:07 ID:MetLiZGE
プンッ…
『READY…GO!!』
「行くぞ小僧!!覚悟しろ!!」
タッタッタ…

“うわ…冷静さを失って、先制攻撃をしかけて来ている…。たいあたり…はまず無いよな?恐らく俺と同じブレードテイルを使って来るハズ…。ここは、一旦避けてカウンターだ!!”俺は刀を抜き、少女の姉の方を見やり、攻撃を見極め始めた。

「電光石火!!」
シュン シュン
「くっ…。」
バッ
「甘い!!氷の牙!!」
ピョン
ギラッ…
「くそっ…。」
バッ バッ
ガチン
「はぁ…はぁ…。この小僧!!体に穴を開けてやる!!」

“いっけんはかみつくに近いが、たぶん別物だ。だが…コイツは冷静さを失っている。もう二、三発避けて一旦あごを蹴り上げて飛ばそう。”俺は、少女の姉の接近攻撃をバック転を使って避けた。彼女はこめかみに血管を浮き出させて、息を切らしながらも俺へ強く宣言し、再度同じ技を繰り出して来た。

ピョン…ガチン
「ふっ!!」
ヒュン
「逃げられると思うな!!」
ピョン…

“今だ!!ここで蹴り上げて連続攻撃だ!!そろそろ防寒着を探さないと、蓄電での保温効果が切れてしまう!!”俺は少女の姉がとび上がって接近して来た所を見定めて、彼女のあごを蹴り上げ、ナナメ上に飛ばし必殺技を放った。

「たぁ!!」
「何!?しま…」
ドゴン
「ぐはぁ!!」
スッ…
「連続突きぃぃぃぃ!!」
シュシュシュシュシュシュシュシュ
「ぐわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
シュン…
「空中一閃…はぁ!!」
バシン
「ぐはぁぁぁ!!」
ヒュー…ドサッ

“よし今だ!!アイツはもう当分立てない!!追撃はするな。初戦のように、ワザと攻撃を受けて俺自ら接近させ、冷凍ビーム…もしくはそれ以上に恐ろしい技を使うかもしれない。”俺は少女の姉の体を刀で連続して突いて、素速くナナメ上に電光石火を用いて飛び上がり、彼女へ接近して彼女の腹部へ攻撃を当てた。最後の一撃が見事に決まったので、彼女は数十m弧を描くようにして飛ばされ、背中から雪で覆われた地面へ落下した。俺はそれを見計らって、刀を収め右の林へかけ出し彼女の前から、一時姿を消した。

264適当:2012/12/21(金) 23:19:46 ID:MetLiZGE
タタタ…
「はぁ…はぁ…。よし、まいたようだな。フィアよりも体力がありそうで、あれだけで倒れるハズがない。一時の休戦だ。この間に防寒着を見つけなければな。さいわい、俺のスーツは白。カモフラージュ効果も十分に期待出来る。」

俺は右の林へと移動し終え、呼吸を整えて“時間の猶予はあまり無い”と自分に言い聞かせ、林の奥へと進み探索を開始した。

シャリ シャリ シャリ…
「雪を踏んだ音も結構でかいな。」
シャリ シャリ シャ…
ブルッ ブルブル

“うっ…寒くなって来た。くそっ…蓄電の効果が短すぎる!!予想通りの二十分位なんだが、三十分位はもって欲しかった…。”俺は林の奥へ奥へと進み、自分が奏でる足音を気にしていたが、【零下】のステージに来る前に行(おこな)った蓄電による保温効果が切れるのを感じ、体が震え始めたので、音を気にする事なく足を速め、首を左右に速く動かし箱を探し始めた。

シャ シャ シャ…
キョロキョロキョロ…ピタッ
「あっ!!あった!!これだろう!!防寒着は!!」

俺がしばらく探索を続けていると、金色の箱が数十m先へ設置されている事を発見し、足を止めて金色の箱がある方向へ走り出した。金色の箱へ近づき、金色の箱を開けると、厚く暖かそうな同じ色のスーツと説明書が入っていた。“説明書なんていらないのだが…。まぁ、一応目を通しておこう。”俺は、スーツを手に抱え説明書へと目を通した。

【防寒戦闘用スーツ 防寒効果がある戦闘用スーツ。脇腹と太腿側面付近に更に保温効果を高めるスイッチがあるが、支給した直後は電力が“0”となっており、すぐには機能しないので注意すること。保温効果を高めるスイッチを押せば、凍結も防ぐ事が出来る。電力は、着たまま電気を体外に放出すればスーツへ充電する事が可能。】

“すごいじゃないか!!凍結も防げるだと?って事は、アイツに限りなく接近できるじゃないか!!アイツは遠→近と攻撃を変えなければ接近戦闘は出来ない。四足だから接近戦闘は苦手のハズ。”俺は説明書のある一文を読んで一匹でにはしゃいでいた。後半の文章もしっかりと目を通したが、目的の物が予想外にも優れていたので、興奮を抑える事が出来ずにスーツをじっくりと眺めていた。

265適当:2012/12/21(金) 23:23:02 ID:MetLiZGE
ジー
「ほ〜う、これが凍り状態を防ぐスイッチか。俺の電気で充電出来る所がまたいいな。コンセントを使うとなると、時間が掛かるか…」
シャリ… シャリ…
ピョン…ピタッ

“もう来たか。やっぱり早いな。ひょっとすると、本当に体力を回復し続けているのだろうか?”俺は背後の足音を察知し、箱からすぐに離れて木に背を預けて、音のした方向へと目を向けた。

チラッ…
キョロキョロ
「くそっ…どこへ行ったあの生意気な小僧め。」
シャリ シャリ
「私は鼻が利かないからな。目だけが頼りだ…。くそっ…。」

“やっぱりすぐに起き上がって追跡(つ)けてたかもしれないな。ただ、俺の足が速くて追いつけなかったと言うことか。ん?あれは…そうかわかったぞ!!やっぱりアレはウソだ。あの傷は俺の刀のあと、そして口を切っている。よし、このスーツを着てたたみかければ俺の勝ちだ。”少女の姉は怒りの表情を浮かべて独り言を呟きながら、首を左右へ動かし目的の者を探していた。俺は目を凝らして彼女をみやると、彼女の体の至る所に刀を受けた傷を発見出来たので、不敵な笑みを浮かべて、手に入れたスーツを着る為、彼女に気づかれないように距離を取ろうとしたその時、俺に災難が降りかかり始めた。

“ここでは距離が短い。スーツを着る為一旦距…。”
「クシュン」
ピクッ ピクッ
「ん?何か音がしたな…。」

俺は突然の鼻のむずがゆさに我慢出来ずに、自然に音を漏らしてしまっていた。少女の姉は、立ち止まり耳を動かして首を傾げていた。俺はあわてて口を塞ごうとしたが、再度音を漏らしてしまっていた。

“待て!!何でこんな時に!!ふざけ…”
「ハックシュン」
ピクピク
「こっちか。」
シャリシャリ…
タッ…
“マズい、感づかれた!!もう急いで距離を…”
ピタッ
「ハックシュン!!」
「そこか!!」
フィィィィン…
「しまっ…。」
ピキン
「ぐわぁ!!」

俺は自らたてた音でスーツのカモフラージュ効果を台無しにして、少女の姉を感づかせてしまい、彼女から距離を取ろうとしていた所を水色の光線で狙い打ちにされて、尻尾を凍結させられてしまっていた。俺は、何とか痛みをこらえて彼女へ方へ向き、刀を抜いて構えたが、彼女は更なる追い討ちをかけ始めた。

266適当:2012/12/21(金) 23:30:12 ID:MetLiZGE
「小僧喰らうがいい。」
パカッ…
シャン…スチャ
「くっ…イチかバチか刀で…。」
ピシュン
「何!?はやす…」
パシュウ ピキン
「がはぁ!!」

“な…何だ今の技は!?冷凍ビームよりも短く、速すぎる!!しかも…体力が一気に減り始めている!!何なんだこの技は!!”少女の姉は、口を小さく開けて真っ白い氷の弾丸を飛ばし俺の腹部へと命中させた。俺はあまりの速さに驚いてしまったので、攻撃が当たる場所をずらすことが出来ずに攻撃を受けてしまい、あまりの激痛に襲われてその場にうずくまっていた。彼女は、俺が苦痛の表情を浮かべている様子を見て、勝利の笑みを浮かべて俺へ言い放った。

「あはははは!!どうだ、私の“絶対零度・スナイパー型”の味は?」
「うぐぐ…、す…スナイパー…だと?」
「おっと、喋っているヒマなんてない。お前に受けた傷を消さなければな。」
スッ…
「空気よ。凍れ。」
フゥゥゥゥ…ピキン ピキン

“あ…あれは…。見たことがある。あれは、霰(あられ)じゃないのか!?”俺は激痛に耐えながらも、彼女が上を向いて口から冷気を放っていた様子を眺めていた。数秒後、彼女の頭上から氷の塊が出現し、彼女へと降り注ぎ始めた。

パラ パラ パラ
ピタ ピタ ピタ
シュウウウ…
「いいぞ。体が癒されていく…。」

“き…傷が消えている!?やっぱりそうだったのか!!コイツは雪原地帯にいるだけでは、体力は回復出来ない。自分の周囲に霰(あられ)がないと、体力を回復出来ないんだ。今の俺には勝ち目はない。コイツは怒っている。せっかく手に入れたこのスーツも取り上げられるかもしれない。逃げるんだ…何とか隙を突いて…。”少女の姉は、頭上に出現させた氷の塊を体に受けて、目を閉じてわずかに心地の良い表情を浮かべていた。俺は彼女が氷の塊を受ける度に、彼女の口元の傷やほほの傷が消えていく様を見やりつつも、彼女に気づかれないように片手に雪を握りしめて、激痛に耐えつつも彼女へ話しかけた。

267適当:2012/12/21(金) 23:33:20 ID:MetLiZGE
「やっぱり雪だけでは…回復出来なかったんだな。」
「あはは。その通りだ。あれは、お前をダマす為の口実だ。まぁもっとも、私は自分で霰(あられ)を作り出せるから、防ぎようがないがな。お前の勝ちなどとうに無い。」
「そうか。なら…抵抗させて…もらう。」
ギリ…ギリギリ…

俺が激痛で顔を歪めて歯を食いしばりながら宣言した事を、彼女は不敵な笑みを浮かべて笑い飛ばし、俺へ訊ねてきた。

「あはははは!!それでどうやって抵抗する気なんだ?30%〜40%の体力で私の攻撃を避けられると思っているのか?」
「ふっ、こうやってな!!」
バッ…
「何!?」
バシュウ
「うわぁ!!この…小僧待…」
シュン シュン
カチッ…
シュイイイイン…
「逃がすか!!絶対零…。」
シュン
「度…。ちっ、逃げられたか。あの小僧め顔を狙いやがって…。私は雌だぞ?少しは考えて攻撃しろ。」

俺は彼女へ言い放った直後に片手で握りしめていた雪を投げつけて、彼女の顔に命中させ、手に入れたスーツをしっかり腕に抱えて、電光石火を用いて彼女から逃げ、リタイアボタンを押し【零下】のステージを抜け出した。

268適当:2012/12/21(金) 23:37:13 ID:MetLiZGE
俺は【零下】のステージを抜け、再び真っ白い空間へと戻って来た。戻って来た途端、【零下】のステージで感じた寒気から解放されたので、安堵のため息を漏らそうとした。だが、その直後に腹と尻尾からくる激しい痛みに襲われ、真っ白な空間に叫び声を響かせてしまっていた。

シュン…
「ふぅ…。よし、無事に逃げ…。」
ピシッ…ジーン
「ぐわぁぁぁぁぁ!!は…腹と…尻尾がぁぁぁぁ!!」

“くっ…このままでは、本当に10%まで体力を持っていかれてしまう!!”俺は、激痛をこらえて歯を食いしばりながら、片手に電流を集めて叫ぶような声の調子で技名を大きく宣言し、自らの腹部へ当てた。

グッ…パチパチ
「電…撃…」
パチパチ
「拳!!」
ドゴォ
バキバキ…バキン
「がぁぁぁ!!」
ドサ

腹部へ強打を加えるとたちまち腹部を覆っていた氷は割れて、俺を激痛から解放した。だがその反面、俺は硬い物質(もの)に自分の拳を当てて砕いてしまったので、強い反動を拳に受けて叫び声を上げてしまっていた。“はぁ…はぁ…。よし、何とか…一番厄介な所の氷は割ったぞ…。あとは…、そうだな。急がないと体力3割以下に低下(お)とされてしまう…。”俺は、拳と尻尾から来る痛みをこらえて立ち上がり、体中の電流を尻尾に集め、尻尾の氷を溶かし始めた。

「はぁ…はぁ…。」
スクッ…
「うぉぉぉぉぉ!!」
パチ…パチパチ
ダラ ダラダラ…
「うおりぃやぁぁぁ!!100万ボルトォォォォォ!!」
バチン バチン バチン
ダラダラダラ…ピキン
パラ パラパラ…
「はぁ…はぁ…。や…やっはぁったぞ…。何とか…溶かす事は出来た…な。」

269適当:2012/12/21(金) 23:39:11 ID:MetLiZGE
実際には、そんな高電圧までいっていたかは定かではないが。俺は叫びつつ尻尾に大量の電流を集め尻尾を覆っていた氷を徐々に溶かし、見事に氷を電気による摩擦熱で割る事に成功した。その後激しく呼吸が乱れ、俺はその場に仰向けになって倒れてしまった。

クラッ…
「うっ…。」
バタン
「はぁ…はぁ…。だ…ダメだ。電気を…使い過ぎた。」
カクッ…カクッ…
「少し…寝よう…。その方が…い…い…な…。」
シュルシュル…パシ
スッ…カクン
「ZZZ…。」

俺は疲労の為か、強烈な睡魔に襲われて目を自然に閉ざし始めていた。やむを得ず、休憩を取る事を決断し、背中に結びつけていた刀を解いて、刀を手へ移し握りしめた。あまりに強烈過ぎた睡魔だった為か、刀を手の平寝かせたまま俺は目を閉じ、眠りの世界へ旅立ってしまっていた。

270適当:2012/12/21(金) 23:42:26 ID:MetLiZGE
3時間後…

俺は長いような短いような眠りから目を覚まし、あくびをして起き上がった。“今、何時なんだ?”俺がふと時計を見ると、【19:00】と表示されていた。俺は、もう一度大きくあくびをし、目覚めの儀式を行い始めた。

ブンブンブン
パン パン
「よし、まぁまぁ動けるまでは回復したな。残念ながら電気はまだ出せそうにないが。」

俺は首を左右へ激しく振り、ほほを両手で少し強く叩いて意識をはっきりとさせ、【零下】のステージで手に入れたスーツの事を思い出し、首を動かして手に入れたスーツを探し始めた。自分のすぐ近くにあったので、手に入れたスーツを見て安心し、手に入れたスーツをじっくりと観察し始めた。

キョロキョロ
「よし、ちゃんと持ち帰る事が出来たな。」
パシッ…ヒョイ
ジー
「ほ〜う、これが凍結防止スイッチか。このスイッチもよく見ると、雪のステージに溶け込みやすい灰色に近い色をしているな。」

“意外と親切設計なスーツだな。スイッチってもっとこう派手な色じゃないのか?”俺は、スーツに目を通し、スーツ全体が敵に発見されにくく施してある事に気づいて、自然に笑みをこぼしつつも、わずかに疑問を抱いていた。“まぁいいか。それよりもメシだ。”食事ルームから漂ってくる空きっ腹を刺激するような香りに誘われたので考える事をやめ、手に入れたスーツをその場へ置き、俺は食事ルームへと足を運んだ。

スタスタスタ…ピタ
スクッ…トン
「くんくん、今日も美味そうだな。そういえばいつも思うが、なぜこんなに美味いものを食わせてくれるんだ?監禁しているのに…。無理矢理闘わせているのに、おかしな連中だな。」
カチャ
スク…ズズッ…
ゴックン
「うん、うまい。あっ、ひょっとして“俺”を軍隊に入れたいのか?PIAエージェント候補である“俺”を。だったら、入隊(はい)ってやらないことも無いのだがな。」

271適当:2012/12/21(金) 23:46:18 ID:MetLiZGE
“本当はただ早くここから抜け出したいだけなんだが…。”俺は監禁した連中に自信気に、自慢気に自分の事を押し上げて言い放った。その時俺は、“早く抜け出したい。抜け出させてくれ。”と甘えるような態度は一切顔に出さず、“軍隊に入隊(はい)ってやってもいい。お望みならば。”と監禁されているにもかかわらず、“しょうがないなぁ。”という表情を浮かべていた。“これで本当に解放(で)られたらいいのだが、まずそんな事はないな。俺は監禁した連中に言い放った後に、すぐに思い直し黙々と食事を進めた。メインのクリームシチューを隣にあった米と合わせて平らげ、副菜のサラダを平らげ、ついにはドリンクにさしかかろうとしていた。

パクッ…カチャ
ゴックン
「はぁ〜。今日は最高だな。ここで青色のヤツが出てきたら最悪だったが、この…」
パシッ…ヒョイ
「まぁまぁ美味い、しかも青色よりも体力が回復する黄色のヤツだからな。わかっているじゃないか。」

俺は誰も返事を返してくれるわけでもないのに、独り言を淡々と呟きながら、トレーの上にあった黄色の液体が入ったグラスに目を向けて、自然に笑みをこぼし黄色の液体を体へと流し込んだ。結果はわかっていたが、黄色の液体を体に流し込む度に、体にたまっていた疲れが消え去っていくのを感じた。“そういえば、これに使われている実(み)って“オボン”とか言うんだったよな?オボン…聞いた事がないな。日本にそんな不思議な木の実なんてあったのか?いや、そもそも日本にあるのか?”俺は黄色の液体を飲み干し、グラスをトレーに置いてあごに手を添えて、少女が口にした言葉を思い出し、考えあぐねていた。“オボンなのか?それともOBONでOなんとか、Bなんとか、Oなんとか、Nなんとかの略なのか? ……。ああー!!わからん!!というか、俺はさっきからなんてどうでもいい事を気にしているんだ!!こんなの…味がラ・フランスに似ているから、ラ・フランスもどきかラ・フランス(黄)でいいじゃないか!!そうだな、大体なんなんだオボンって。お盆…こっちと思ってしまうじゃないか!!俺は、ラ・フランスもどきでいい。よし、そうしよう。オボンなんて意味がわからん。”俺は長考の末に結論を強引に出し、自分の脳内(なか)で名前を決定付け、考える事をやめた。その後中央へと足を運んで食事ルームから離れ、再び手に入れたスーツを手に取り鑑賞し始めていた。

272適当:2012/12/21(金) 23:51:18 ID:MetLiZGE
スタスタスタ
パシッ
チラッ…
「同じような仕組みのスーツで使いやすそうだな。体は温まったが、着けてみるか。」
ジィィィ…
ススッ…ススッ…
ジィィィィィ
ブン ブン
「よし、動きやすい。それに暖かいな。これなら、あのステージで闘っても寒くないから、100%の力を出し切れるハズだ。」

俺は手に入れたスーツを試着し、着心地の良さ・使いやすさを実感し、笑みをこぼして自信のある表情を浮かべ始めていた。“だが、これだけでは足りない。せっかく凍結防止機能を備えてあるんだ。これをいかさない手はない。”俺は【零下】のステージで手に入れたスーツの説明書に記されていた内容を思い出し、スーツの補助機能を発動させる為のスイッチへと目を向け、位置を再確認し、意識を集中し始めた。

「ふぅ〜。よし…。」
キッ…
パチ…パチパチ…
パチパチパチ…
キュウウン キュウウン…
「これは、電気を充電している音か?」

俺がスーツへ電流を流しこむと、高温の機械音が徐々に聞こえ始めた。俺は、電流を流しこむ事をやめて、スイッチへと手を伸ばした。

カチッ
ブーン
ジワ…ジワジワ…
「おお!!こんなに熱くなるのか!!これなら、凍結を防ぐ事が出来そうだな。ただ、熱いからもうやめるか。今は寒くないし、汗なんてかきたくないからな。」
カチッ…フッ…
「充電は出来ているみたいだな。ただ…残量がわからんところがこのスーツの欠点だな。」

“う〜ん、いつ充電完了かどうかがわかるんだ?何か、ランプでも付いているのだろうか。”俺は、スーツの補助機能を十分に堪能した後、腰の辺りにあるスイッチを押して補助機能を停止させ、難しい表情を浮かべて、スーツに対する批評を行っていた。“もしかしたら、わかるかもしれない。”俺はそう思い、スーツにまんべんなく目を通したが、充電完了を知らせるランプらしき物は見当たらなかった。“じゃあ、なんなんだ?ひょっとして、充電完了したら変な機械音が止むのか?”俺は新たな推測を立てて実証へと行動を移した。

273適当:2012/12/21(金) 23:54:58 ID:MetLiZGE
キッ…
パチ…パチパチ…
キュウウン キュウウン
パチパチパチ…
キュウウン キュウウン
「う〜ん、さすがに凍り状態を無効するとなると大量の電気が必要か。それとも、抵抗がすごいのか?電気タイプが充電しても、電圧のオーバーで壊れないよ…」
キュウ… フッ…
「う…。あっ、止まったな。」

“やはり、そうみたいだな。ところで…これって何時間まで持つんだ?凍結を防ぐって事は、かなりのエネルギーを消費するんじゃないか?う〜ん、一体どれ位なんだろうか?”俺は、しばらく鳴り響いていた高温の機械音がやんだ事で、自らの推測を確信しつつも、新たな疑問を思い浮かべて、スーツをじっと眺めながら、再度考えあぐねていた。“説明書には、何も書かれていなかった。電気タイプで充電してもそこそこの時間が必要…。30分位か?氷タイプの氷は、氷点下の温度のハズだからな。マイナス30度とか50度とかその辺りだろう。0度のハズはない。その氷を溶かすには相当の熱が必要なハズ。とすると…やっぱりその位か。”俺は疑問に対しての推測を再度立てて、確信できる内容を折り混ぜ、三度(みたび)スーツの仕組みを確認し始めた。

キョロキョロ
カチャ パカッ…
カチャ パカッ…
「バッテリーパックらしき物はないな。あのスーツと同じ様に、これは物を入れるポケットだからな。」

スーツを隅々まで確認し、“これなのでは!!”と思う所を開けて確認したが、何も入っておらず、補助道具が入る位の大きさの空間が広がっていただけだった。“まぁいいか。もし仮に連続10分とか20分とかしか持たないなら、凍らされた瞬間にスイッチを押して溶かせばいいか。”俺は、スーツの仕組みを確認する作業と考える事をやめた。その代わり、万が一の事態に備えた使用法を思い浮かべて、その場で仰向けになり、手に入れたスーツを着たまま、眠りの世界へと旅立った。

274適当:2012/12/21(金) 23:58:30 ID:MetLiZGE
Day9

俺は目を覚まし真っ白な天井と、真っ白に光ったままの複数ある電球を視界に入れ、刀を背中へ結び戦闘の準備をし終えて、腕時計へと目を向けた。【10:30】と示されている表示画面を見て、“あのジュースを飲んでも、やはり疲れていたんだな。”と考察し、既に用意されていた冷めきった食事を口へ運び、【零下】と示された扉へ歩を進めた。

ビュオオオ…
チラッ…
「来たか、生意気なピカチュウの小僧。」

俺は【零下】のステージへとたどり着き、周りの景色に目を向けようとした時、前方に灰色の体をもち、水色の軍服を着ていた者が、左の林の方へ体を向けたまま、雪で覆われた地面へ腰を下ろしていた。彼女は、俺が【零下】のステージへ到着した事に気づき、横目を流して俺へ辛辣な言葉を言い放って来た。“普通は、まずあいさつからだろう。相当根に持っているらしいな。”俺は、彼女の心を試すように自然と思わせる笑みを作り出し、彼女へ軽く会釈を行った。

「おはよう、グレイシアのお嬢さん。今日は、やたらと早いな。」
「なんだその顔は。余裕とでも言いたいのか?」
「余裕?何の事だ。」
「あはは。わかっているくせに言わせるのか?だが言ってやろう。私に“勝つ”のは余裕とでも言いたいのか?」

“やっぱり怒っているな。笑っているのを変な意味に捉えている。”俺は、少女の姉の突き刺すような視線と、静かな怒りを強調するような作り笑いを見届け、彼女の質問に対して否定の意を示した。

「そんなワケないじゃないか。君の技はどれも強力で、まともに受けていられない。それに発動もなかなか速い。ある程度方向を予測しながらかわす事で精一杯だ。」
「私の攻撃を見切っているとでも言いたいのか?」
「見切っているワケじゃない。避(よ)けられるのは偶然、決して必然なんかじゃない。それに、君は広範囲の攻撃の“吹雪”を使わずに、スピードタイプの俺を倒しているじゃないか。俺は速さに自信があるつもりなんだが…。」
クルッ…
「それはお前が100%の動きが出来ていないからだ。βのシャワーズ攻撃を避(よ)けられるのだから、私の攻撃も避(よ)けられるだろう?」

俺は、少女の姉をなだめようと彼女を好評価し、自分の事を謙遜したが、彼女は表情を一切変えず、体を正面に向けて再度質問を行って来た。俺は、彼女の表情をやわらげるために、彼女の質問へ否定の意を示し、彼女へ悩みを訊くように、質問を行った。

275適当:2012/12/22(土) 00:03:11 ID:ciHwxcCE
「いや、あのシャワーズには勝ってはいない。避(よ)けられたのは偶然でしかない。というかなぜそんなに怒っているんだ?何かあったのか?」
「ああ、あったな。」
「言ってみろ。」
「お前に顔を殴られた。それが怒っている原因だ。雌の顔を攻撃するって、どうゆう神経をしているんだ、お前という小僧は。」

“顔?連続で突いた時に当ててしまったんだな。失明させてないだけで安心したが、何かと条件が多いな。”俺は少女の姉へ謝罪せずに、“お前の意識は甘過ぎる。”とばかりに言い放った。

「君と俺はケンカをしているんじゃない。死闘をしているんだ。顔を殴られて文句を言うのはおかしくないか?」
「お前の持っている刀で攻撃されたからだ。お前が素手でなら文句はない。失明したらどうするつもりなんだ馬鹿者が。」
「それはすまなかった。だが、だからと言って刀を使わないワケにはいかない。刀無しでは、君に与えられるダメージは無い。状態異常をマヒにする事しか出来ない。」
「あはははは!!当然だ。今のお前は40レベルにしか達していない。私は55レベルだ。お前のパンチでは、私の防御力を上回る事は出来ない。」

“55…すごいな。そして、俺は今40まで上がったのか。よっぽど、苦戦を強いられて来たんだな。”俺は、少女の姉が高笑いしてこぼした情報をしっかりと受け止め、質問を行った。

「君の妹のフィアという名前のリーフィアは結構強かった。フィアのレベルはどれ位なんだ?」
「教えられんな。私よりも下だ。あとは、自分で勝手に想像している事だな。」
「あっはっは。もしかして、君よりも強いんじゃないのか?」
「うるさい、黙れ。教えようが教えなかろうが、お前は私に倒される。それだけだ。」

276適当:2012/12/22(土) 00:05:59 ID:ciHwxcCE
“相変わらず冷たいが、反応はしてくれるみたいだな。無視してさっさと始めるかと思ったが。”俺が少女の姉に意地悪気に訊ねると、少女の姉は表情を一切変えなかったが、目上をピクリと動かして、俺へ言い返して来た。俺は首を傾げて、彼女へ質問を訊ねた。

「どうして?別に減るモノでもないし、俺を追い込むには打ってつけじゃないか。」
「βのシャワーズとθのエーフィと闘ったヤツが、そんな事ぐらいでひるむわけない。二匹ともお前を甘く見すぎていたんだ。だから負けた。」
「いや、シャワーズには勝っていないと言ったじゃないか。」
「そんな言葉に流されるとでも思っているのか?もういい、さっさと始めるぞ。お前をさっさと倒してここで涼んでいたいからな。ハッキリ言って“お前は邪魔だ”。」

“ワガママな対戦相手だな。だが、今日は負けない。”俺は少女の姉の突き刺すような言葉を耳にしたが、心情を変化させずに彼女を見据えていた。彼女は俺からの返答が無い事を見計らい、自分の軍服の右ポケットに前足を忍ばせた。彼女の動作の数秒後、恒例の戦闘開始の合図が吹いている雪の音と混じって聞こえ始めた。

277適当:2012/12/22(土) 00:13:58 ID:ciHwxcCE
ビュオオオ…
『READY…GO!!』
タッタッタ…
「行くぞ小僧!!昨日のようにはいかんぞ!!」
パカッ フィィィン…

開始の合図の直後に、少女の姉は俺へ水色の光線を放って来た。俺は彼女の速攻よりも速い攻撃に驚きながらも、素速く横に移動してかわし、彼女との距離を縮め始めた。

「ふっ!!」
シュッ
パシュウ
「これで終わりだと思うな!!」
パカ…フィィィン フィィィン フィィィン
「ふっ!!はっ!!たぁ!!」
シュッ…パシュウ
シュッ…パシュウ
シュッ…パシュウ
「まだまだ続くぞ!!」
パカ フィィィィィ…
“くっ!!なぎはらいだと!!これじゃあ、かわしようがない!!”俺は少女の姉の連続攻撃を全てかわしたものの、彼女に広範囲にわたる必殺技を放たれて、なすすべを無くしていた。“どうする…。上手く行くかはわからんが…やるしかない!!”俺は刀を抜き、彼女が出す水色の光線を刀の先端に当てるように素振りを行った。
フィィィィ…
タタタ…キキッ
「最終手段…おりぃやぁ!!」
ブン ブン
ピキン
「!!」

俺は少女の姉が放つ水色の光線に刀の先端を当て、刀の先端を凍らし、見事に彼女が出した光線の根元から刀の先端部まで直線を作り、彼女を捉えた。彼女は、俺の予想外の反撃に大きく目を見開いて驚き、突然の事態に動揺して身動きが取れなくなっていた。“よし!!上手く行った!!”俺は飛び上がって刀を大きく上に向かって上げ、彼女を刀で持ち上げて、強く地面に叩きつけた。

バッ…
「くらえ!!ブレードフリーズ…」
ググッ フワッ…
「な…何ひぃ!?」
「カウンター!!」
ブン ドゴォ
「ぐはぁ!!」
ミシ…ミシシ…

278適当:2012/12/22(土) 00:17:11 ID:ciHwxcCE
俺は少女の姉を雪で覆われた地面に強く叩きつけたが、彼女が放った水色の光線は割れずに、凍ったままの状態を保っていた。“そうだ!!コイツの顔をなぐって氷を割って、コイツをつかんで遠くに投げてしまおう!!”俺は刀を地面に置き、彼女へ急接近して考案した攻撃を行った。

カチャ
タッタッタ…
「うふぅ…。ううう…。」
チラッ
「何ひぃぃぃ!?接ひぃんひてひただとぉ!?」
「うりぃやぁぁぁ!!」
ドコン ドコン
「ぐほぉ!!ぐはぁ!!」
ミシ…ミシシ…
パリン

“よし、氷が割れた!!”俺は少女の姉の両ほほを強くなぐり、彼女と刀をつなぐ氷の橋を破壊して、彼女の背後へ回り、次なる攻撃を仕掛けた。

シュ シュ
「くっ…、おのれ!!私の大事な顔を二度もなぐっ…。って、いない!!どこへ行…」
ガシッ…フワッ
「たはぁ!?」
グルン グルン グルン…
「う…わぁぁぁぁぁ!!」
「うぉぉぉぉ!!ふっとべぇぇぇぇ!!」
バッ
ヒュウウウウ
「うわぁぁぁぁぁ!!」
ヒュウウウウ
「ぁぁぁ…」

少女の姉は、俺にほほを殴られた事に対して怒号を上げたが、俺に背後を取られ、自分の後足をつかまれ、任意の無い逆立ちをさせられていた。俺は彼女の後足を持ち、その場で自分に強い回転を加えて彼女をワケもわからない方向へ思いっきり投げ飛ばした。その直後、彼女は叫び声を上げて宙をまいつつ、俺の視界から姿を消してしまっていた。彼女の叫び声が徐々に小さくなりやがて聞こえなくなったので、俺は彼女を捜(さが)さずに、刀を拾っておさめ、左の林へと駆け出した。

279適当:2012/12/22(土) 00:20:37 ID:ciHwxcCE
タッタッタ…キキッ
「はぁ…はぁ…。よし、なんとか成功した。この近くに飛ばされてなければいいが…。」

俺は左の林へとたどり着き、息を切らしながらも自分の考案した作戦が上手く行った事を喜びつつも、新たな懸念を抱き始めていた。“どこへ行ったかはわからないのが、ジャイアントスイングの欠点だな…。まぁ、いいか。それよりも、アイツを確実に倒せるアイテムを見つけないといけないな。”俺は少女の姉の行方を気にする事をやめ、林の奥へと進み探索を開始した。

シャリ シャリ シャリ
「アイツに勝つには、炎系の武器でなければならない…。火炎放射器が…あればいいのだが…。」
シャリ シャリ シャリ
「いや、それはまずないだろう…。とすると…何があるん…」
シャリ シャ…
ガン
「だはぁ!!いったぁ!!」
チラッ…
「いたた…。こんな所にアイテムがあったのか!!いや、俺の注意力が散漫過ぎただけだな。」

俺は独り言を呟きながら、ただ単に林の奥へ歩を進めていただけだったので、歩を進めていく途中で足が何かにぶつかり、片方の足に痛みが走った。俺は、痛みを作った原因が何なのかを調べる為に下方へ目を向けると、雪が被さっていながらも、白の隙間から赤色をのぞかせた物が存在していた。俺は赤色の箱を見て一匹でに驚き、一匹で先程の不注意の反省を行って、赤色の箱をおおう白い塊をどかし、赤色の箱を開けた。

ザザッ ザザッ
パカ
「あっ!!こ…これは!!やったぁ!!これって…アレじゃないか!?」

俺は赤色の箱の中身を見て驚き、喜びを隠せないでいた。赤色の箱の中身は、側面に【B.G】と示されていた引き金がついた長筒状の道具だった。俺は予想しつつも説明書へ目を通そうと、説明書を取り出すと、同じ文字・形・仕組みをともなった道具が2つ入っていた。“3つも!?これがもしそうなら…。”俺は興奮しつつも、耳を澄まして少女の姉の足音が聞こえてこないかを確認し始めた。

ピクッ ピクッ
ビュオオオ…
シーン
「よし、アイツはまだ来ていない…。というか、たぶん探すのに手間取っているんだろうな。」

耳を澄ますと、林の外で雪が吹雪いている音以外は何も耳に入らなかったので、独り言を呟き、説明書へと目を通し始めた。

280適当:2012/12/22(土) 00:24:11 ID:ciHwxcCE
【焼夷手榴弾 BARN GRANEDE。 使用方法は、引き金を引いて対象物に投げる。この手榴弾は引き金を引くと、衝撃が加わっただけで爆発してしまうので取り扱いには十分注意する事。】

“やっぱりそうだ!!やったぞ!!しかし…ただ投げるだけじゃ避(よ)けられるか、凍らされて無効化されてしまうな…。う〜ん、どうしようか…。”俺は説明書を読み終え、赤色の箱の中身が明らかになった事ではしゃいでいたが、すぐに懸念を抱き、その場に座り込み頭を悩ませていた。

スクッ…シャリン
「う〜ん、どうしようか…。何かいい方法は…。」
チラッ
「あっ!!そうか!!俺の着ているスーツは白。カモフラージュを使っての奇襲があるじゃないか!!しかも、この荒れた天気、さらには冷たい環境…。犬に近い生き物でも鼻は利かないハズ…。だが、俺はねずみだ。アイツの匂いは覚えている。アイツは、俺を探す事は出来ないが、俺はアイツを捜(さが)せる!!よし、これで行こう!!」

俺は自分なりの名案を思いつき、林の奥で一匹でに笑い声を上げ、赤色の箱の中身を取り出した。“同じグレーネードなんだから、引っ掛けられるフックがあるハズ。”俺は、赤色の箱の中身を細かく調べ、小さな鉤(かぎ)を見つけることが出来たので、小さな鉤(かぎ)を利用し、赤色の箱の中身を全て腰に引っさげ、その場を後にし、少女の姉の姿を探索し始めた。

カチャ
スクッ
スタ スタ スタ…
“しかし…アイツも雪にとけ込むような色をしているからな。匂いを察知出来ても、ハッキリといる場所が特定しずらいな…。”
スタ スタ スタ…
「くんくん…。これは…こっちの方か。」
スタスタスタ…ピタッ
「いた…。アイツだ。」

俺は少女の姉が放つ体臭を捜(さが)す為に、林の中を歩いていた。林の中を抜け外へと出た瞬間、嗅ぎ覚えのある匂いが俺の鼻を刺激し始めた。俺は、自分の鼻を刺激した匂いを頼りに歩を進めて行くと、数十m先に見覚えのある姿が目に入った。“まだ気づいてない…。よし、チャンスだな。”俺はホフク体制を取り、自分のいる場所とは全く異なる方向へ目を向けていた彼女へ、背後から襲いかかる準備を行い始めた。

281適当:2012/12/22(土) 00:28:18 ID:ciHwxcCE
スクッ…シャリ…
グッ…グッ…
“よしよし、まだ気づいていない。焼夷手榴弾なんか使わなくても勝…”
ピクッ ピクッ
“え!?耳を動かしている!?こんな荒れた天気の中で…まさか…。”
ピクッ ピクッ
「うん?今、後ろから何か音が…したような…。私の気のせいか?」

“なぜわかるんだ!!吹雪の音でわかるハズはない…。鼻も利かないから、俺の場所も把握出来ないハズだろう!?”俺が背後から徐々に少女の姉へと気づかれないように距離を縮めると、その度に彼女はこちらへは見向きはしていなかったが、耳を小さく小刻みに動かしては首を傾げ、自問自答を行っていた。俺は彼女が、なぜ自分がたてる極わずかな音で気づくことが出来るのかを、驚きつつも必死で考えていた。すると、俺の中に一つの答えのような物が浮かんできた。“そうだ!!そういえば…イーブイって犬と兎(うさぎ)のハーフみたいなモノ(生き物)じゃなかったか?だとすると、鼻が利くか、耳が利くかのどちらかになる。コイツは…耳を動かして、背後の様子をうかがっている…。という事は、コイツは兎(うさぎ)の遺伝子が強くでている!!兎(うさぎ)は耳が敏感だ。そうか、それで…。”俺は過去に得た情報から、彼女がなぜ自分が立てる極わずかな音に気づくことが出来たかを結論づけ、自分の疑問を解決へと導いた。“だが、どうすればいい?だと、するともうこれ以上は近づけない…。何か方法は…。”俺は彼女へ近づく事をやめて、その場でうつぶせの体勢を保ったまま頭を働かせていると、一つの名案が思い浮かんだ。“そうだ!!オトリだ!!3つある内の1つをオトリとして使おう!!いや、オトリじゃなくて気を引く為に…だな。ここを逃したらもうチャンスは無い!!コイツは…コイツはバカじゃない!!同じ手には二度と引っ掛かってくれない!!”俺は名案を実行する為にその場から後退し、腰へ手を伸ばして名案の実行へと行動を移した。

“気づかれないように…出来るだけ…物音を小さくするんだ。”
スッ…スッ…
「う〜ん、何も聞こえないな…。やっぱり私の勘違いか。」
“今だ!!”
スクッ…カチッ
ヒュッ
ドーン
「な…何だ!?空が…燃えているだと!?なぜ空が燃えて!?」

少女の姉は、俺が投げた赤い箱の中身が作り出した真っ赤な景色に驚き、その場で慌てふためき始めていた。“よし、今だ!!”俺は、彼女が上空へ気を取られている所を見計らって、一気に彼女へと襲いかかった。

282適当:2012/12/22(土) 00:32:17 ID:ciHwxcCE
タッタッタ…
「は!?何だ!!物音が急に大きく…。」
クルッ
タッタッタ…ピタッ
「し…しまったぁ!!」
「くらえ!!」
ドゴッ
「ぐわぁ!!」

俺は少女の姉へと奇襲を成功させ、彼女の腹部を大きく蹴り上げて、彼女を斜め上へと飛ばした。俺は彼女が宙へ浮いた様子を見計らって、刀を背中から抜き、彼女へ渾身の必殺技を放った。

ヒュッ…
カチャ
「連続突きぃぃぃぃぃぃ!!」
シュシュシュシュシュシュシュシュ…
ブシュブシュブシュブシュブシュブシュブシュブシュ…
「ぐわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ドサッ…
タッタッタ…
ジー バッ…
タッタッタ…

少女の姉は、俺に刀で腹部を何度も突かれて苦痛の声を上げて、俺の数m先へと仰向けになって地面へ落ちた。“さすがに服を燃やすのは可哀想だからな。”俺は敵と認識しつつも、彼女の身になって考え、彼女へ接近して彼女の軍服を脱がし、彼女と距離を取った。彼女は苦痛の表情を浮かべ、片目を激しくつむり、ゆっくりと起き上がろうとするが、突然の事態に見舞われ、先程と同じように再度慌てふためき始めた。

「いたた…。くそっ…、油断し…。何か胸がいつもより冷たいな。」
チラッ…
バッ…
「きゃっ!!服が…無い!!どこへ行ったんだ!!」
“これが本来の姿だな。やっと雌らしくなってきたが、お前にもう用はない。”
カチッ…
「終わりだ。」
ヒュッ
「小僧!!服をどこへ…」
コツン
「痛!!何だこ…」
ドーン
ぐわぁぁぁぁぁ!!あ…熱(あつ)ぃぃぃぃぃぃ!!」
ドサッ

283適当:2012/12/22(土) 00:36:14 ID:ciHwxcCE
少女の姉は、自ら感じる違和感を頼りに自分の胸元へ目線を下ろすと、急いで前足で胸部を覆い、俺と対峙していた時とは全く別の声を上げてしまっていた。俺は、彼女の本来の姿を見届け、心の中で彼女に非情な言葉を掛け彼女へ言い放ち、赤色の箱の中身を彼女目掛けて投げた。彼女は、怒りの表情を浮かべ俺へ怒号を飛ばし、“お前の仕業だろう?”とばかりに言い放って来たが、俺が投げた物が頭へ直撃し、小さな衝撃に疑問を抱いていた。彼女が疑問を抱きつつ、地面に落ちた物へ目線を落とした瞬間、地面に落ちた赤い箱の中身が爆発し、彼女の全身を炎で包み始めた。彼女は、赤色の箱の中身が作り出す炎に焼かれている間、激痛を訴えるように大きく叫び出していた。やがて、彼女自身を包む炎は消え、彼女はその場にうつぶせになって倒れた。俺は、彼女の軍服から“μ”と描かれた灰色のバッチを手に取り、スーツの右ポケットへとしまい、無造作に彼女へ軍服を投げ、勝利宣言を行った。

ピンッ
ヒュッ…
バサッ
「うぐぅ!!」
「勝負あったな。君の負けだ。悪いがバッチは頂戴(いただ)く。」
ブンッ
バサッ
「ふざけるな!!私は霰(あられ)で回復出来る!!それに意識もある!!バッチだけ取って、勝つなんて許さないぞ!!」

少女の姉は俺の勝利宣言を認めず、顔にかかった軍服を振り払い、俺に闘いの続行を申し出た。俺は彼女を脅すように、腰にあった最後の赤い箱の中身を取り出し、手元で遊ばせながら、彼女へ言い放った。

「そうか。負けを認めないというなら…」
カチャッ
ヒュン…パシ ヒュン…パシ
「コイツをもう一発くらうか?」
「うっ…。」
ヒュン…パシ ヒュン…パシ
「わ…わかった。私の…負けだ。そのバッチは…好きにしろ。」

284適当:2012/12/22(土) 00:40:26 ID:ciHwxcCE
“誰だって効果抜群の攻撃を二度も受けたくないから当然だな。”少女の姉は、俺が手元から宙に浮かせていた物へ目をやると、怒りの表情から瞬時に青ざめた表情へと変化させ、やむを得ずに俺の勝利宣言を認めた。“そういえば、コイツやたら俺の事を子供扱いしていたな。”俺は、彼女が目線を落として黙り込んでいる様子を気にかけずに、彼女へ仕返しと言わんばかりに辛辣な言葉を言い放った。

「君は、俺の事を子供だと思っているだろう?」
「ふんっ!!お前なんか…子供だろう?進化もしていないし、すぐにわか…」
「悪いが俺は22の成獣(ポケモンが20歳以上になること)した雄だ。進化は好き好んでしていない。見た目で決めつけるな。君は、雄を見る目が無いな。」
スクッ…
シャリ…
ススッ…ススッ
「ふぅ〜、服を脱がしやがって。何が言いたい?バッチ以外で私に何か用か?」「ああ、君が敗北を自ら認めろ。君がリタイアボタンを押すんだ。」
「何だと!?自分で…勝手に退出すればいいだろう!!それに…私は意識がまだあるし、回復も出来るんだ!!負けだと!?笑わせるな!!」

“まだ認めないか…。結構強情でプライドが高いな。”俺は少女の姉の怒号をかき消すように、彼女へ彼女が最も恐れている事を強調しながら言い放った。

285適当:2012/12/22(土) 00:42:32 ID:ciHwxcCE
「ほ〜う。ならば、“焼夷手榴弾”を…」
ピンッ
「“今すぐ”にでも投げていいんだぞ?」
「う…。いやだ!!それだけは…それだけはやめろ!!」
「だったら、認めろ。押せ。これは命令だ。霰(あられ)を使えると思うなよ?焼夷手榴弾が作り出す炎の温度は、ゆうに1000℃を越えるのだからな。君が作り出す氷なんかあっという間に溶けてしまうぞ?」
ギリッ…
「くそっ…。」
ソー
カチッ
「ちくしょおおおお!!」
ポイッ
ドーン
シュイーン…シュン
「はぁ…。ちくしょう…。シャーズやフィに続き…私までもが…。あんな…進化もしていないピカチュウの小僧に…。」

少女の姉は、俺に脅されて怒りの表情から再び青ざめた表情へ変化させ、更に俺へ行動をやめるように強く懇願して来た。俺は彼女の言い分を受け入れ、彼女へ再び要求し、更に彼女が完全に抵抗出来ないようにする為に、彼女を苦しめた物の特徴を言い放った。彼女は、俺の要求を呑んで軍服の右ポケットに前足を忍ばせ、悔しそうな表情を浮かべ叫び声を上げていた。彼女の叫び声を耳にした俺は、手に持っていた赤色の箱の中身を捨てて【零下】のステージから姿を消した。

286適当:2012/12/22(土) 00:45:01 ID:ciHwxcCE
シュン…
「ふぅ〜。何とか勝てたな。まぁ、武器を使って勝っただけだが…。」

俺は、【零下】のステージから真っ白い空間へと姿を戻すと、一息つき独り言を漏らしていた。“どんな手を使ってでも勝つ…。俺って結局そうなんじゃないか?”少女の姉との戦闘、少女との戦闘、あの淫乱なエーフィとの戦闘を思い浮かべ、俺はスーツから“μ”と描かれた灰色のバッチを見つめながら、いつの間にか、自問自答を行っていた。“矛盾しているな。結局もう一匹の自分の言っている事をやってしまっている。”俺は、昨日自分にもう一匹の自分が語りかけてきた言葉を思い出し、目線を落としてその場に立ち尽くしていた。“だが、俺は脅さないし、殺さない。相手も殺さないのなら、俺も殺さない。ここへ閉じ込められたうらみを対戦相手へはぶつけない。対戦相手も雇われている身だ。彼女達に…罪はない。命令で闘わされているだけだ。”しばらく自分自身を責めていたが、ようやく決意を改め、少女の姉との戦闘で勝利をもたらした道具へ感謝し、【零下】の扉へ向かって、“乱暴ですまなかった。卑怯な方法で勝ってすまなかった。”と謝罪し、その場に腰を下ろし体を休めていた。

試練4 【零下】完


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