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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】
1
:
名無しさん
:2004/11/27(土) 03:12
コソーリ書いてはみたものの、様々な理由により途中放棄された小説を投下するスレ。
ストーリーなどが矛盾してしまった・話が途切れ途切れで繋がらない・
気づけば文が危ない方向へ・もうとにかく続きが書けない…等。
捨ててしまうのはもったいない気がする。しかし本スレに投下するのはチョト気が引ける。
そんな人のためのスレッドです。
・もしかしたら続きを書くかも、修正してうpするかもという人はその旨を
・使いたい!または使えそう!なネタが捨ててあったら交渉してみよう。
・人によって嫌悪感を起こさせるようなものは前もって警告すること。
2
:
名無しさん
:2004/12/02(木) 15:36
2get&試しに投下
潤があまり笑わなくなった。
もちろん漫才中には笑うし、悲しそうな顔もするし、俺と喧嘩なんかしたら怒る。
でも前よりも、感情表現が乏しくなったのは分かる。
本当に小さな変化だからきっと周りの人には解っていないだろう。いつも隣にいる俺だって、解るか解らないかぐらいだ。
それくらい潤は表情を作るのが巧い。…そうやって、いつも自分の本心を隠している。
俺達二人の力は、「言葉」を基にする。
逆を言えば、条件さえ満たせば何だって出来る…たとえ人を殺すことであっても。
さらに石の力は感情にも左右される。
現に感情の揺れにつけ込む「黒ユニット」もいるわけだし、感情が暴走し過ぎて石が芸人の思考を奪うことだってあった。
潤はそれを恐れている。自分の力で他人を傷付けることを。
前に一度だけ潤の力が暴走したことがあった。
原因は何だったか覚えていない。
ただその時俺が見たのは、怒りの色に満ちた潤の顔と橙の閃光。
何とか人に当たることは無かったのだが、辺りの物は強い「存在否定」を喰らって消し飛んでいた。
今でも、もし人に当たっていたらと思うとゾッとする。
俺にとってはそれ以上に、力を使った後の潤の辛そうな顔を見るのが苦しかった。
…それきり潤は自分の感情を抑えるようになった。
自分が辛くても、俺や周りの人の心配ばかりしてくる。
それを見てると余計に泣けてくるんだ。
俺らは立場上、暴走した石を封印したり、黒ユニットと戦うのが使命となっている。
でも、俺はもうわからない。何をして良いのか、何をするべきなのか。わからない、わからないけど…。
手の中のアパタイトが強く光る。「欺き」の力。
俺は決めたんだ。これ以上潤が傷つかないように、俺は全てを護る。
笑顔を護るためなら自分が傷付いても構わない。
誰も悲しむことが無いように、俺はどんなことでも欺いてやる。
3
:
名無しさん
:2004/12/02(木) 15:36
小沢さんってさ、なんでいつも無茶ばかりするんだろ。
ドツキ漫才とか妙な罰ゲームとかは嫌がるのに、石のことになると別だ。
他人を守るってのは分かる。俺だって能力上攻撃を回避できるから、他人の為に前に出る事だって多いし。
でも小沢のは違う。庇うのだ。つまりは自己犠牲。
一般市民とかなら分かるけど、能力を持った俺とか他の芸人まで庇うんだからさ。
ちょっと前に小沢が俺を庇ったことがあった。
敵の発した能力が分からずに戸惑った俺の前にヒラリと現れて。
咄嗟に手を伸ばした次の瞬間には、小沢が血だらけで俺の腕の中にいた。
そっから先はうろ覚えなのだけれど。
俺の石を使った後、すぐに「認められなかった」小沢の怪我が無かったことになってて。
それで辺りの物が吹き飛んでた。
石の力が暴走したのだと分かるのにそれほど時間はかからなかった。
ただ単に俺は、俺を庇ったせいで(もう無かったことになってしまったが)怪我した小沢に腹が立っていた。
なぜ、自分を犠牲にするのだと。
ふとした感情の爆発で、俺の石は暴走して何もかも消してしまう。
俺はそれが怖い。他の芸人だって多分そうだ。
そしてそれ以上に、俺は小沢が怖い。自分を犠牲にしてまで他人を庇うから。
俺の力が発動しないこともある。小沢の命を助けられないかもしれない。
小沢を失う?そしたら俺は、俺はどうする?
失うなんて、到底「認められる」ものか。
手の中の石を強く握る。内部から、熱さにも近い波動を感じる。
―お前をこれ以上暴走させないようにするから。今はただ、俺の力になれ。
シトリンは応えるように僅かに光を放った。
4
:
名無しさん
:2004/12/02(木) 15:36
スピワの小説でしたが、とんでもなく二人が壊れました。
小沢に依存する井戸田と、井戸田に依存する小沢。
これ書いてる私の精神状態おかしいですよねorz
あとなんかホモ臭くなってます。
誰か私に文才を下さい。
5
:
名無しさん
:2004/12/02(木) 22:18
文自体は別におかしくないですよ。でもチョト苦手な人がいると思う
自分の脳内イメージに合って、メンタル的な文が好きな人は好きだと思うよ
自分は嫌いじゃなかった
気を悪くしたらスマソ
6
:
4
:2004/12/04(土) 00:12
>5
早いレス&温かいお言葉有難うございます
精進します
7
:
</b><font color=#FF0000>(F5eVqJ9w)</font><b>
:2004/12/18(土) 14:42
どうも、ロンブー編のものです。
ロンブー編のついでに書いてみた上田さんショートを投下しようと思います。
その日も、上田はラジオの生本番にぎりぎりで滑りこんだ。
「ったく、なんでこんなに忙しいんだかなぁ・・・」なんて、ぼやきながら。
仕方のないことなのかもな・・・と彼は思った。
そのせいか、この日のラジオはマネージャーに愚痴を言う、と言った感じで始まった。
「ホントな、あいつおかしいんだよ!
この間も『開けといてくれよ』って言った日に、あいつ仕事いれやがってさぁ・・・」
ブースには笑いが溢れていた。
仕事の間だけは裏で起こる石の争いなんか、忘れる事が出来た。はずだった。
「メール行くか」
その一言で、上田はラジオあてに届くメールをどんどん読んでいく。
・・・と言っても、ラジオネームに茶々を入れたりして、結局読めるのは番組内でせいぜい6通。
何事もなくメールを読み終わり、曲紹介をする。問題は一切ない。
そしてそのままCMに移る。
「・・・さて。」
上田は改めて、自分の目の前にある紙の束を眺めていた。
「・・・これどうした?多くねぇ?」
「いえ、なんかメールがたくさん届いてて、いっそのこと今読むやつ決めてくださいよ」
はぁ?なんて無茶を言うんだこのスタッフ!
そうはいっても、すぐにCMは終わってしまうし。仕方なしに、紙の束から幾つか選び出す。
CM明けの番組で、リスナーはきっと上田の異変に気付いただろう。
彼のいつもの調子良いだみ声(?)が聞こえてこないのだ。
どうしたんですか?とのスタッフの声も聞こえていないようで、手元の紙を凝視している。
ややかすれ気味の声がやっと耳に届くか届かないか。
「なんで・・・どうしてこんなメールが・・・・・・?」
その場にいた者達は、彼の持つ紙に書かれた文章を確かめようとしていた。
『お前の事は全て知っている
石を持っている事も、それで何をやっているかも
そして、その力さえもこちらは把握している
覚えておけ
我々はお前の力を知っているのだ』
内容が特に彼の動揺を誘ったとは到底思えない。
だが、上田の精神を揺さぶるためには、石という単語だけで十分過ぎた。
その上で『その力さえも把握しているのだ』と言う文章――――
それからは、彼の周りに冷たい雰囲気が渦巻いていた。
これが、間違いであって欲しいと願ってみたものの、あまりにも知りすぎた内容だ。
『黒』か――――
上田はそのメールを印刷した紙をジャージに突っ込み、そのまま家へと帰った。
誰かに話したほうがいいのか?このままやり過ごそうか?
その結論はその日中には出ず終いだった。
8
:
名無しさん
:2004/12/24(金) 20:27
GJ!本スレに投下してもいいくらい。リアルに想像できて面白かった。
9
:
</b><font color=#FF0000>(F5eVqJ9w)</font><b>
:2004/12/25(土) 23:36
>8
感想ありがとうございます。
・・・これ、クリスマスプレゼント替わりに投下しようかな。
・・・なんて、思っただけですよ。
10
:
ブレス </b><font color=#FF0000>(F5eVqJ9w)</font><b>
:2005/01/02(日) 16:18
さんざん言っていた、はねとび編の触り、冒頭を作ってみました。
ただし、メンバーが互いを何と呼ぶか良く分からなかった&
この後話が続くのを前提に作っているために、かなり中途半端です。
ここでの反応で今後を決めたいと思います。
<<Jamping?>>--opening
それは、とある日の楽屋。
西野が、鉛色の瞳で何処か遠くを見ている。
「・・・・・・逃がさへん・・・・・・」
同じく鉛色の身体を、その目線の向こうへ向けながら。
「どないすんねん」
彼のやや下の方から聞こえて来た相方の声に、
「追っかけるしかないやろ」
そう答えた。
「――――だからぁ、鈴木何度言ったらわかんねん?!」
「まーいいじゃねーかよ塚っちゃん」
「良いわけないやろ! 誰か襲ってきた時になんも出来へんかったらどないすんねん!?」
ドランクドラゴンが、いつも通りの喧嘩をはじめている所だった。
お題は鈴木が石の力をいろんなところで乱用しすぎる事。
「・・・・・・そんときゃあ、そんときだよ」
鈴木がポツリと呟く。
だって元々、俺達は戦う気なんてさらさらないのだから。
どんっと強い衝撃音。
一人の男が、壁に叩き付けられている。
その前ににやけながら仁王立ちする男。
「――――インパルスの名に相応しいだろ?」
そう言いながら現れたのは堤下。
いつもの彼とは違う、殺伐としたオーラを漂わせながらそこに立っていた。
「げほっ・・・」
と、軽く咳き込んだのは、ロバートの山本。
冷たい瞳でこちらを睨み続けている堤下。
「・・・・・・今日おかしいよ・・・・・・。」
山本は頭を強打し、くらくらしたその視覚で眼前を見据えた。
「博は?」
「・・・・・・わかんねぇ、便所とかじゃねー?」
そんな、暢気な会話を交わしていたのは別の楽屋にいた秋山と馬場。
「ならいいんだけどねー。」
そして二人は手元の携帯電話と本に目線を戻した。
――――どんっ。
「ねー、今さぁー」
「うん、なんかでっけぇ音したよねぇ?」
「・・・誰かさわいでんな」
二人はお互いを見てから、立ちあがった。
11
:
</b><font color=#FF0000>(4t9xw7Nw)</font><b>
:2005/01/03(月) 16:47
ブレスさんお疲れ様です(本日二回目(ニガワラ)
いいんじゃないでしょうか?続きが見たいです。
ちなみにメンバー同士の呼び方ですが、自分が覚えている限りは
・ドラドラ鈴木→年上、年下に関わらず、相方以外の男子メンバー全員を「名字に君付け」で呼ぶ(例・「山本君」「梶原君」)。
・キンコン西野→相方を「梶」と呼ぶ。
・ロバート山本→ドラドラ鈴木以外の全員から「博」と呼ばれている。
・北陽→ほぼ全員から「虻ちゃん」「伊藤ちゃん」と呼ばれているはず(時々呼び捨てにされる)。
他は普通に名字を呼び捨てで呼び合ってたと思います。今後のお話の参考になれば・・・・・・差し出がましかったらすいません。
12
:
PhamtomW
:2005/01/03(月) 23:37
どうも、本スレでバトロワ書いていた現在執筆中です。
最近新作が多くなってきましたね。皆様の作品いつも楽しみにしています。
自分が書いているバトロワなんですが、あれは番外中の番外なので
今度からこちらのスレに投下しようと考えているのですが、よろしいでしょうか?
13
:
名無しさん
:2005/01/04(火) 07:30
>12
本スレだけ見ている人で続きを楽しみにしている人も多いと思いますので、
本スレ投下で大丈夫なんじゃないでしょうか?
14
:
</b><font color=#FF0000>(4t9xw7Nw)</font><b>
:2005/01/06(木) 01:19
>>11
に追加で、
インパルス板倉→相方以外からは「板さん」と呼ばれる事が多い模様
です。人数が多いので大変だとは思いますが、はねる編頑張ってくださいね。
15
:
ブレス </b><font color=#FF0000>(F5eVqJ9w)</font><b>
:2005/01/06(木) 07:43
>>11
>>14
ありがとうございました。
ものすごい助かりました。
(本人、はねるをあまり見ないため)
ところで、堤下さんの呼ばれ方は
「敦君」でいいんでしょうか?
ここだけいまいち情報が少なくて(汗)
16
:
</b><font color=#FF0000>(4t9xw7Nw)</font><b>
:2005/01/06(木) 16:38
>>15
名字呼び捨て以外で自分が聞いた事があるのは、時々「つっつん」と呼ばれてるとこですね。
相方からの呼ばれ方は普通に「堤下」でよかったはずですけど・・・・・・
17
:
ブレス </b><font color=#FF0000>(F5eVqJ9w)</font><b>
:2005/01/06(木) 17:16
試しに前回(オープニング)とは話の繋がっていない1話目を投下します。
やっぱり本スレに落すのはこれから考えます。
<<Jamping?>>--01/a promise
「へぇー、綺麗な石だねぇ?何処で買ったの?」
その一言を聞いて、不意に板倉が顔をあげる。
「え?・・・あぁ、これ?拾ったんだ」
「ふうん・・・あんまり見ない石だもんね」
彼に近づいてきたのは伊藤。物珍しそうに彼の手元の石を見ている。
「これなんて名前の石なんだろうなぁ・・・・・・」
板倉はそう言いながらも、遠くからのスタッフの声に反応していた。
翌日、携帯に入電。
「・・・って今なんて言ったの?」
『だからさぁ、皆でちょっと、行きたいところがあるの!
はねトびのメンバー皆来てるから、早く板さんもおいでよ!』
相手は再び伊藤。元気良く話しているのが分かる。
「分かった分かった!で、何処に行けばいいの?」
――――しばらくして。
都内某所に、彼らは皆集まっていた。
よく都合良くあったなぁ、スケジュール。と誰かが呟く。
「じゃーんっ」
伊藤が皆に何かを見せつけている。それは、珍しいピンクの石。
「わぁ・・・っ、いいなぁ・・・」
そう言ったのは虻川。
「それに比べて・・・」
目線を自分の手元に落す。手の中には銀色の石が入っている。
「虻ちゃんのも綺麗だよ?」
数名にそうフォローされて、虻川の顔がちょっと嬉しそうに輝いた。
「でさぁ、今日の用件、ちゃちゃっと済まさねぇ??」
めんどくせぇ、と漏らしたのが堤下。
「せやな、何の用やったっけ?」
と続けたのは西野。
伊藤が、そうそうと言いながら今日の目的を話す。
「皆、こう言う感じの石を持ってるって聞いたから、お揃いでアクセサリー作らない?」
この提案に開口一番
「せやかて、俺もうチョーカーに加工してもうたし」
と、西野が一言、自分の首もとの黒紐を引っ張りながら言う。
「あぁ、俺もだ」
堤下も腕にはめている革の腕輪についている石を見ながら言った。
それに続いて「ごめん俺も」と馬場。
彼のケータイにはストラップの形で石が付けられていた。
「あぁ、俺もやったわ」さらに続くは塚地。
石の姿はキーホルダーに変わっている。
「えぇーっ?!いいなぁと思ったんだけどなー」
「まま、残りの皆で合わせればよくない?ね?伊藤ちゃん」
山本がすかさず伊藤に言った。
「・・・っ、そうだけどさー」
ぶつぶつ言い続ける伊藤を、山本がなんとか宥める。
「なぁ?」
不意に、梶原が声をあげる。
「・・・どうしたの?梶原君」
「・・・・・・あんな、もしアクセサリー作るんやったら、普通のじゃないのにせぇへん?」
「え?」
「いやな、皆で合わせるんやろ?したら、普通のアクセやったら他のと被るやろう?
せやたら変わったアクセにしようや」
変わったって・・・、と皆が声を合わせて悩み始めた。
「・・・アンクレットとかは?」
西野が横から突っ込んできた。
「アンクレット、か・・・。なにそれ?」数名から同じような言葉が聞こえてくる。
「アンクレット言うんは、足につける飾りの事やねん。
そんで、皆同じ足の足首につけたったらええやろ?」
同じ事をする事に、絆を感じる。それが、きっと仲間だと思う。
そこにあった「石の加工所みたいなところ」と伊藤が案内した場所で石を加工する。
それから数分。
「これいいなぁ、うん、新しい感じがする」
出来あがったチェーンで結んだアンクレットを、秋山が誉めた。
皆同じで右の足首に、石しか違わないアンクレットをつけている。
「これからは皆、これつけてよ?」
そう伊藤が言った。
「うん」
「分かってるよ」
「もちろん」
口をそろえて皆がそう返した。
虻川がそれを見て「やっぱ皆仲良いよねぇ」と漏らした。
その仲が、引き裂かれる事も知らずに。
18
:
名無しさん
:2005/01/10(月) 16:02
ネタバレスレ沈下のために一旦age
19
:
名無しさん
:2005/01/16(日) 02:58
職人さんたちに触発されて、スピードワゴンの井戸田さんてが能力に目覚める前の
小沢さんが一人で戦ってた頃の話を書いてみたのですが、
自分が小心者なのと設定があいまいなとこがあるのでここに投下させて頂きます。
20
:
19
:2005/01/16(日) 03:05
太陽が真横から照り付けていたので小沢は眩しさに目を閉じそうになるが、
かろうじてそれを思いとどまる。そんな余裕がないからだ。
小沢は住宅地の中の小さな公園で男と対峙していた。
名前は思い出せないがどこかで会ったことがある気がするからお笑い芸人だろう。
男は小沢よりも背が低くどこか頼りない相貌をしていたが、その顔にはふてぶてしいほどの余裕があった。
(こっちは全然余裕ないってのにね…!)顔には出さずに心の中で悪態を吐くと、小沢は男に話しかける。
「君の能力はもう見切ってるよ。光を宝石の中に集め収縮させて矢にする。
集めるのに時間が掛かるから連続して矢はだせない。
光は矢になった時点でどういう訳か、重さになる。つまり当たっても、くるのは衝撃だけだ。
殴られんのと同じようなもんだね、そう思えば恐怖心はない。」
「へぇ、さっきの攻撃だけでよく分かりましたね。さすが売れっ子」
小沢の説明を受けても男は動揺した様子もみせず、逆に感心した声を出した。
それが本心かどうかなんて小沢には分からなかったが、
「君にも観察眼があれば売れるかもね」
とりあえず挑発してみた。
小沢がその男に会ったのは、何ヶ月ぶりかのオフの日だった。
久々に一人で外出すると、首筋あたりにねっとりとした視線を感じた。
嫌な予感がした小沢はそのまま人通りの多い道を避け、
視線に気付かない振りをしながらも目ではどこか戦える場所を探しながら歩き続けた。
小沢が目の前を横切った車に注意を向けた一瞬の、不意打ちだった。
かろうじて反応したので、直撃にはならなかったがわき腹に当たった。
衝撃に息がつまりながらも小沢はなんとかこの公園へと男をおびき寄せたのだ。
痛む脇腹をさりげなく手で押さえながらも男と向き合い続ける。
21
:
19
:2005/01/16(日) 03:09
「余裕ですね、小沢さん」
男が自分の顔前に黄緑色の石をかざすと、石は男に応えるように光りだす。
「でもその余裕、どこまで持つかな?」
それに恐怖心だって、ないわけじゃないでしょ?
と男の嫌味たらしい(少なくとも小沢にはそう感じた)笑みに対抗するように、
小沢も唇の端を上げる。
「そうだね…」
否定はしない。
男の攻撃が時間の掛かるものだとしても、もうそろそろなんらかの対策を講じないとやばい。
小沢はひとつ息を吐くと叫ぶ。
「だから逃げるんだよ!」
同時に身を翻すと、全力で駆け出した。
22
:
19
:2005/01/16(日) 03:13
ちなみに…
男
石…ぺリドット←「太陽の石」と呼ばれてる
能力…光を集めて矢のように放出する。打撃系。
条件…集めた光により威力が決まる。
宝石を対象に翳さないと攻撃できないため、正確に相手に当てるのが大変。
なんか申し訳ないくらい設定が適当ですね…
23
:
19
:2005/01/16(日) 03:16
ただ逃げながら、小沢はふと今日は何曜日かが気になった。
どうでも良い事ではあったが、そんなことでも考えないと足がもつれて転んでしまいそうだったのだ。
後ろは振り返らなかったが、男が付いて来ているのだけは分かる。
(石をかざさないと攻撃はできない。だから追いかけてきているうちは安全)
考えながら小沢は目を付けた脇道に入る。
路地裏のため道が狭かったので置いてあったどこかの料理店のゴミ箱を蹴飛ばすが、
あいにくそれに構ってる暇はなかった。
闇雲に迷路のような路地裏を走るが、行き止まりに当たり否応なく立ち止まる。
ビルの壁を前にしながら、小沢は息を整える。
小沢の入った路地が行き止まりと知っているのかどうやら男は歩いているようだ。
大きな通りから離れているせいか辺りはやけに静かで、小沢の息継ぎと男のゆっくりとした不気味な甲高い靴音だけがやけに大きく響く。(落ち着け、落ち着け)小沢はひとつ深呼吸をすると靴音がする方へと振り向き、ポケットの中のアパタイトを握り締める。
男が小沢の視界に入り、再び二人は向かい合った。間髪入れず小沢は叫ぶ。
「いるんだよ、俺の心の中に君がさ!」
指を鳴らしながら、男に向かって走りだす。
「残念、行き止まりですね」
しかし男は向かってくる小沢に怯んだ様子も見せない。
「日陰に入ったから、光が集めにくいって思ってます?」
男はポーズだけは残念そうにつぶやいた。
「小沢さんは気付いてないようですが…」
男は先ほどの小さな公園でしたのと同じように自分の眼前に石をかざす。
「この石、光を貯めておくことができるんですよ」
男の台詞と同時に光の矢が放出される。
24
:
19
:2005/01/16(日) 03:17
男と小沢の距離は10メートルほどか。
目算すると小沢は眼前に迫った光に話しかけるように、
「そんなことより、パーティ抜け出さない?」
瞬間、小沢の体が消えた。目標を失った矢は小沢の居た場所を通り抜ける。
「なっ…!」
男は呆然と「そんなことまでできんのかよ」と呟き無意識に辺りを見渡す。
「まぁね」
小沢の応える声と、同時に男は顔面を殴られるような衝撃を受ける。
体勢を立て直そうとする間もなく、足が体を支えきれず後ろへ吹き飛ばされた。
25
:
19
:2005/01/16(日) 03:19
「君は気付いてなかったみたいだけど…」
男はかすんだ視界の先に、さっきまで自分が立っていた場所より
右寄りの位置に立つ小沢を見る。
「俺は始めの攻撃で君に暗示を懸けたんだ」
言いながらちょっとだけ体をずらす。
「ガラス・・・?」
「そう、鏡は光を跳ね返す。
窓ガラスだって明るいとこなら十分鏡の代わりになるし、
ここだって完全に日陰ってわけじゃない」
君はフェイントだとでも思ったみたいだけどさ、小沢は微笑んだ。
「君にも観察眼があれば売れるかもね」
男には小沢の声が聞こえただろうか?
思いながら小沢はもう一度ポケットの中のアパタイトを握り締める。
「もうこんな遊び、終わりにしない?」
パチリと小さな音が静かな路地裏に響き渡った。
26
:
19
:2005/01/16(日) 03:22
路地裏を抜け大通りにでると、小沢は眩しさに目を閉じた。
戦っている最中は気付かなかったが、男に攻撃された脇腹が軋むように痛んだ。
「明日仕事だってのに…」
潤に気付かれないようにしないとなぁ、舌打ちしながら人ごみに紛れる様に歩き出す。
いつまでこんな事を続けなければならないのか、見当がつかない。
いつまで傷つくのか、いつまで人を傷つけるのか。
いつまで一人で戦わなければならないのか。
(・・・まぁそんな事考えても詮無いか)
小沢は考えるのをやめた。
歩き続ける小沢の背をただ太陽だけが見ていた。
彼のそばには太陽に照らされて出来た自身の影だけが、
彼を慰めるように寄り添っていた。
27
:
19
:2005/01/16(日) 03:24
小沢さんの能力は2つ同時に発動できるのかが分からなかったので、
没になりました。
思ったより長くなってしまった…
読んでくださった方、ありがとうございました!
28
:
ブレス </b><font color=#FF0000>(F5eVqJ9w)</font><b>
:2005/01/16(日) 20:11
>>19-27
乙!
むちゃ読みやすかったです。
自分もこの位文才欲しいよ・・・・・・。orz
29
:
名無しさん
:2005/01/16(日) 21:41
すげー面白かったです!!
30
:
19
:2005/01/17(月) 20:19
>>28
,29
ありがとうごさいます!
読んでくださるだけでもありがたいのに感想まで頂けるとは…
名無しに戻りますが、次の機会がありましたらまた読んでやってください
31
:
名無しさん
:2005/01/26(水) 20:41:59
ここで連載って可?
32
:
ブレス </b><font color=#FF0000>(F5eVqJ9w)</font><b>
:2005/01/26(水) 21:22:58
>>31
可能ではないでしょうか?
本スレに投下できない小説の置き場なので。
是非やってみてください。
33
:
テスト期間なのに
:2005/01/28(金) 04:39:01
さまぁーずが黒側という記述を見てワンシーンだけ書きたく
なったのでこちらに投下します。
前後は何も考えてません。
さまぁーずとくりぃむ有田話です。
::::::::::::::::::::::::::
収録を終え楽屋に戻る。「よっこいせ」などと親父くさい動作で
座る上田を横目に紫煙をくゆらせ一息つく。
ここの所仕事も忙しかったが、それ以上に例の事で動き回り正直
体が重い。相方も同じなのだろう
「ああーっ、疲れたっ!」
誰に言うでもなく叫んだ後は机につっぷしたまま動かなくなって
しまった。
「あら。」
いつもの習慣で収録中着信がなかったか携帯をチェックすると
大竹からの着信がついている。テニスの話かななどと思いつつ
留守電が入っているようなので再生をした。
留守番メッセージは一件です
ピー
おう、有田。大竹だけど。
おめぇ何留守電にしてんだよ。出ろよ。
まあいいや。
…とりあえずメッセージ入れとく。聞けよ。
…あれだな、家族持ちってのはやっかいだよな。
…三村がよ…まあいいや、細かい事はいいよ。
とにかくコンビだからよ。俺がボケねぇとあいつもツッこめねぇし。
あいつがツッこまねぇと俺もボケっぱなしになっちまうからよ。
つまりはあれだ。
黒…にな。
だからしばらく遊んでやれねぇけど拗ねるなよ。
…まあ、なんだ。
いざとなったら手加減はいらねぇから。
…じゃあな。
ピー
「なんだって?まさか合コンの誘いじゃねぇだろうな。」
いつもの調子で笑いながら問いかける上田に答える事もできずに
携帯を切った。
こめかみの辺りががズキズキと痛む。
ただならぬ空気を察したのか上田の顔色も深刻なものに切り替わる。
「…どうした?」
「…さまぁーずが…」
その一言で察しがついたのだろう。上田が歯軋りするのがわかった。
「くそっ!!」
俺は言い切る事すらできずに携帯を床に叩きつけた。
34
:
名無しさん
:2005/01/29(土) 19:55:35
大竹がかっこいいなあ
35
:
名無しさん
:2005/01/30(日) 00:16:12
文章お上手ですね!続きが凄く読みたいです。
36
:
名無しさん
:2005/01/30(日) 20:47:20
31です。なんとなく思いついた話です。
本スレに投下する自身がないのと、出てくる芸人さんのネタの内容が出てくるのでこっちに投下します。
続き物なのですが、皆さんの顔色を窺いながら投下したいと思っていますorz
+++
Change!!!
+++
収録の帰り、局から出た二人を呼び止めたのは見ず知らずの男だった。
ファンかと思ったのは一瞬。そしてその男が一気に攻撃してきたのもほんの一瞬のこと
だった。
そして今に至る。
「潤、気をつけてよ。」
「オーケーイ。」
人波を避けて廃工場に駆け込んだのは正解だったようだ。
目の前で燃え上がったドラム缶を見て二人…井戸田と小沢は思った。
降ってくる火の玉を避け、物陰に隠れて先程の男の様子を探る。
「(敵は複数か…?)」
小沢は必死に考えを巡らせる。
「(ピンだったら、あんなにフルパワーで攻撃してくるはずはない。石の力とはいえ、無
限にあるわけじゃないし…)」
身を乗り出して様子を窺っていた井戸田が小沢の肩を軽く叩いた。
「小沢さん、どうする?」
「局近いし、時間さえ稼げば誰か『白』が助けに来てくれると思うんだけど…。潤、喉の調子はどう?」
小沢の突拍子もない質問に、井戸田は真意を読み取った。
「アレ、使うのか?」
「仮に力使っても俺の声じゃあそこまで通らないでしょ。」
井戸田は小さな声で発声練習をすると、頷いて石に力を込めた。
37
:
名無しさん
:2005/01/30(日) 20:48:22
>>36
続き
「『恋愛のABCDのDの意味を知ってる…?』」
響き渡る声に、男は攻撃の手を止めた。
小沢が煙の中から姿を現す。手にアパタイトを握り締めて。
男はにやりと笑みを浮かべると、巨大な火の玉を二人目掛けて飛ばしてきた。
「『Dってのはね、Cの後に耳元で囁く…大好きっ』!!」
パチンと小沢の指がなる。と同時に井戸田が横に現れた。
「『甘ーいっ』!!!!」
放たれた井戸田の声が衝撃波となって火の玉を弾き飛ばした。
男が戸惑った隙に、小沢は更に指を鳴らした。
「『誰にも渡さないっ』!!」
「『甘ーいっ』!!」
「『大福』!!」
「『あっまーいっ』!!?」
続けて放たれた衝撃波に、ついに男は倒れ込んだ。
井戸田はゼィゼィと息をしながら喉を擦っている。
「潤…平気?」
「小沢さんこそ死にそうじゃない。」
威力を上げる為に石の力を限界まで高めていた小沢にかかった負担は大きい。
そして井戸田もガラガラの声になっていた。
気を取り直して、ふらふらとした足取りで小沢は男に近付く。
「悪いけど…そんな危ない石は封印させてもらうよ。」
小沢が男の石に手を伸ばした時だった。
「小沢っ―」
咄嗟に井戸田が伸ばした手は空を切っていた。
何処かからの光が、小沢の身体を貫いていた。
38
:
ブレス </b><font color=#FF0000>(F5eVqJ9w)</font><b>
:2005/01/31(月) 18:25:53
>>36-37
続きマダー?と言いたくなりました。
むっちゃ面白いです。
39
:
“Black Coral & White Coral” </b><font color=#FF0000>(t663D/rE)</font><b>
:2005/02/02(水) 03:21:48
本スレに投下しようと思ったら、ホスト規制が掛かっていたのでこちらに投下します。
お手数ですが、どなたか本スレの方に誘導またはコピペしていただければ何よりです。
40
:
“Black Coral & White Coral” </b><font color=#FF0000>(t663D/rE)</font><b>
:2005/02/02(水) 03:23:11
本スレ2
>>524-529
の続き
「はぁあああっ!」
塩をごと投げた小沢の行為により周囲の闇は薄れ、赤岡の力も多少抑制された・・・己の両脚の束縛が解け、
自由な動きを取り戻した磯山はそう判断し、赤岡へと飛びかかる。
動きが直線的云々と馬鹿にされた、そのお返しとばかりに敢えて一直線に突っ込む磯山の動きは素早く力強い。
「・・・・・・馬鹿が。」
瓦礫で磯山を迎撃するには、瓦礫に石の力を通わせ、浮き上がらせるまでの時間がない。
しかし赤岡は体勢を整えながら吐き捨てるように呟き、磯山が突っ込んでくるだろう空間を凝視する。
黒珊瑚が輝き、その空間に青白い炎の球・・・鬼火が出現した。
「・・・ナ、メ、ン、なっ!」
「・・・・・・・・・っ!」
先ほど煙草に火をつけたように、可燃物に触れれば発火させる事も十分に可能なそれは、ただの進路妨害なんかではない。
けれど、磯山から発された裂帛に、紫の光を纏った拳で鬼火を粉砕するその行為に、
一瞬でも磯山が鬼火に怯んで動きを止めればそこを攻撃する腹づもりだったのだろう、赤岡の表情が変わる。
なおも距離を縮める磯山を止めようと輝いた石は、黒珊瑚ではなく虫入り琥珀だった。
「ちっ・・・・・・」
赤岡の舌打ちとほぼ同時に琥珀から放たれた漆黒の稲妻が、遠慮も容赦もなく磯山を貫く。
「・・・ぅわあ゙あああ゙あっ!」
全身に弾けるような激痛を覚え、次の一歩を踏み出す事ができずに磯山は床に転がった。
「磯山ぁ!」
「・・・磯っ!」
闇の向こうから響く悲鳴に、野村と小沢が口々に呼び掛けるが、返ってくるのは闇の力を帯びた瓦礫。
これは機動隊員の装備を纏った野村が透き通った盾で防ぐ。
41
:
“Black Coral & White Coral” </b><font color=#FF0000>(t663D/rE)</font><b>
:2005/02/02(水) 03:24:58
「ぐぅっ・・・・・・」
瓦礫が盾にぶつかる度に、盾を支える野村の手首に重い衝撃が伝わり、野村の口からうめき声が漏れた。
野村の持つバイオレット・サファイアでは衣装や装備、知識といった物を得る事はできても、
それを使いこなすための肉体までもを得る事はできない。
華奢な部類に入る体躯の野村に、果たしてどれだけ連続して瓦礫を受け止め続けるだけのスタミナがあるかどうか。
眉を寄せて盾を掲げる野村の腕が、少しずつ降りてきているのに気付き、小沢はアパタイトを輝かせた。
「君を手に入れる事によって一生分の運を使ってしまったんだから!」
パチリと指が鳴れば青緑の輝きが周囲に散り、横たわる磯山の体躯が小沢の傍らに出現する。
目立った外傷はないものの、全身を貫いた激痛が信じられねぇとでも言いたげに
磯山は目を見開いてゼェゼェと荒い呼吸を繰り返している。
その一撃を放った虫入り琥珀が赤岡の右手で煌めくのが見え、小沢はなおも指を鳴らした。
「そんな事より・・・これからパーティ抜けださない・・・っ!」
瓦礫の連打にジリジリとガードを下げられていた野村では、これを防ぐのは難しい・・・そんな小沢の判断から
言霊と共にアパタイトを行使すれば、3人の姿はその場からかき消え、漆黒の稲妻はあいた空間を通過する。
「・・・悪ぃ、助かった。」
アパタイトの短距離テレポートで3人が跳んだ先は、赤岡の放つ闇の外側。
ダメージはまだ残っているだろうが、呼吸を整え、ゆっくりと立ち上がりながら磯山が小沢に囁いた。
「ったく、無茶するから。」
その磯山の頭を軽く小突きつつも、野村が告げる言葉はどこか安堵の色に満ちている。
頭を押さえ、痛ぇと苦笑する磯山につられるように表情をしばし緩め、小沢はポケットをまさぐると
飴玉を一つ、取り出した。
「それにしても・・・彼は、本当に戦い慣れてる。」
ビッキーズの木部が石の力で作り出した飴ちゃん。精神力と体力を少し回復させる力を秘めたその飴玉を
磯山に手渡し、小沢は闇の向こうの赤岡を見やって呟いた。
「力を行使する事に・・・怖れがない。」
「・・・赤岡の奴、ネタに煮詰まると、よくここで模擬戦やってストレス発散してたらしいですから。」
「なるほど道理で・・・って、島田くん、いつの間に?」
ふと背後から聞こえた声に3人が振り向けば、そこには島田の顔。
真っ先に赤岡の攻撃で気絶し、戦線離脱していた男の真摯な表情がそこにあった。
42
:
“Black Coral & White Coral” </b><font color=#FF0000>(t663D/rE)</font><b>
:2005/02/02(水) 03:26:32
「つい、今さっき。・・・迷惑掛けて済みませんでした。」
「いや良いケドよ・・・で、どうすんだ? この状況。」
律儀にぺこりと頭を下げる島田に、野村は調子が狂ったのか少し戸惑いつつ、問う。
その言葉に島田は一度上へ目をやった。天井までは10m近くあるだろうか。
「小沢さん、確か・・・ジャンプ力を上げる言霊を持ってましたよね?」
野村と磯山は虫入り琥珀の影響で忘れているが、号泣の2人は以前小沢達の戦いを見物していた事があった。
それ故、小沢がアパタイトでどんな現象を起こす事ができるか、多少は知っている訳で。
「・・・・・・あぁ。」
「それで僕を天井まで跳ばせて下さい。」
頷いて返す小沢に、島田は真顔でそう告げた。
「・・・どういう事だよ。」
「あいつは石を使う対象をしっかり目視しないと・・・アバウトな位置認識だけじゃまだ能力を引き出せない。」
だから、僕が跳べばどうしても赤岡は天井と地上とのどちらかに意識を向けなきゃいけなくなる。
・・・そうすれば、必ずつけ込むだけの隙が生まれる。
島田の発言の真意がわからず、思わず問いかける磯山に彼は静かに応じる。
「・・・要は赤岡くんの意識を分散させるための囮になるって事? できるの?」
「やります。もしあいつが僕を無視するなら、僕があいつを・・・黒珊瑚を止めます。」
訊ねた小沢の言葉の中には、相手が相方でも、幼なじみでも躊躇しないかという響きが籠もっていたけれど。
キッパリと言い切る島田の目には、迷いの欠片はどこにもなかった。
「んじゃ、俺らはちょっとだけあいつの気を引くから・・・頼むぜ、島秀。」
一瞬だけ驚いたように息を呑み、それから島田の背中をバシッと手の平で叩いて。
野村が投げかけた言葉に島田は小さく微笑んで返す。
「・・・ありがとう。」
43
:
“Black Coral & White Coral” </b><font color=#FF0000>(t663D/rE)</font><b>
:2005/02/02(水) 03:27:34
「アレ、やるぞ。良司。」
「でも、そうしたら俺ら・・・・・・」
そのまま島田から磯山の方へ向き直り、野村が告げる言葉に磯山は一瞬戸惑った。
「・・・ぶっ倒れる前に仙豆舐めときゃお前だけは動けるだろ?」
俺ら2人とも動けなくなるぞ、と続けようとする前に野村が即座に言い放った一言
そして磯山の手にある飴玉に向けられた視線から、彼の考えはうっすらと伝わっては来るけれど。
「変身さえ解けなければ、俺の盾はまだ使える。」
それを掴んで突っ込んで、お前がワンパン決めればこっちの勝ちだ。
重ねて告げる野村に、磯山は今度は頷いて返す。
「・・・・・・わかった。」
小沢と島田を庇うように前に歩みでて、差し出された野村の手に磯山が己の手を重ねると、
2つのバイオレット・サファイアが触れ合い、光と高音を発して共鳴する。
もちろん、石の力を発動させて何かを成そうという2人を赤岡が放って置くはずもない。
闇の中でチカッと黒珊瑚が輝けば廃材が4つ5つと4人の方へ飛びだしてくる。
しかし。
「スーパーボールっ!」
今は防御の事など何も考えず、磯山と野村は声を重ねた。
2つの石から眩い光が放たれたかと思うと、赤岡の頭上数mの辺りに紫色の淡い幕が掛かる。
いや、それは幕ではない。
それは、紫色の光を纏った無数の小さな球状の物体。
それらが一斉に重力に引かれる以上のスピードで赤岡目掛けて降り注ぐ様は流星雨か、はたまた何かの
バラエティ番組での罰ゲームか。
「・・・・・・くっ!」
紫の光を纏ったスーパーボールが一つ二つ命中するだけなら、さほど痛くも痒くもない。
けれど、それが何十個、いや、何百個というレベルで降り注いでくるとなれば
さすがに赤岡も顔面に直撃しないよう腕で庇いながら、その右手に握りしめられている虫入り琥珀を煌めかせる。
途端に漆黒の稲光が赤岡を護るようにバリア状に展開し、石の力と石の力が激突して眩い火花が周囲に散った。
「・・・・・・・・・・・・。」
井戸田が到着しない以上、今、この現状を打破するには島田の考えに乗るしかないのだろうか。
他の選択肢がないかどうか、なおも小沢は考えるけれど。
黒珊瑚と虫入り琥珀を操る赤岡を相手に、消極的な策を取っている余裕もなければ
こうして赤岡の意識を引きつけている江戸むらさきの2人の努力を無駄にしたくなくて。
「君はもともと大空にいたんだろ・・・飛ぶ事を忘れた僕の天使!」
小沢はアパタイトを輝かせ、指を鳴らす。
44
:
“Black Coral & White Coral” </b><font color=#FF0000>(t663D/rE)</font><b>
:2005/02/02(水) 03:28:25
「・・・・・・・・・っ!」
小沢のアパタイトが放つ青緑の光が己の身に変化を及ぼした事を実感すると同時に、島田は表情を引き締め、跳躍した。
未体験の視界の動きと全身に伝わる感覚がしばし島田を戸惑わせるけれど、中学生の頃にやっていた
バスケのお陰か空中で大きくバランスを崩す事はない。
間もなく目前に迫る鉄骨に細い腕でしがみ付き、両足をしっかりと絡ませて。
蝙蝠のように逆さ吊りになると、島田は腕を解いて眼下を・・・降り注ぐ紫の光を防ぐ男を睨み付けた。
人差し指と中指の根元に白珊瑚を挟み込んだ状態で硬く握りしめた左手を、そのまま相手の方へ伸ばす。
『力は余所から貰う物じゃない。誰かから奪う物でもない。』
先ほど、白珊瑚の領域にて島田の姿を模した白珊瑚が告げた言葉が島田の脳裏にリフレインする。
力が欲しい、と素直に応じた島田に対し、白珊瑚は静かにそう言い放ったのだ。
「力は・・・自分の内側から自ら導き出す物。」
島田の唇が小さく動き、微かにこぼれた声は自らに言い聞かせる反復の言葉。
体勢が体勢なだけに、それ以上に状況が状況なだけに長い時間は掛けられない。
頭に血が逆流してか、ぼんやりする思考ながらも島田は左手の白珊瑚に意識を集中させる。
ずっと、この石はただ光るだけの石と・・・何かを清める事しかできない、戦いには不向きなクズ石だと思っていた。
でも。
『主殿がそう望むなら、願うなら・・・僕は幾らでも主殿の力になる。何故なら、僕は主殿自身でもあるのだから。』
・・・白珊瑚よ、その言葉が真の物であるのなら。僕は望む。だから、ここにその力を示せ。
祈るように命じた、刹那。
島田の左手を中心に漠然と湧き出していた白い光が眩さを増し、その姿を変える。
光は島田のイメージに添う形へと集束していき、その手応えに島田自身も驚きを隠せない。
光に手を加える事などできないという思い込みが、石の可能性を潰していくのなら。
これは役に立たない石だという決め付けが、石の力を弱らせていくのなら。
一体、今まで自分はどれだけの力を出し惜しみしてきた事になるのだろうか。
「島田くん・・・・・・。」
不安げに呟く小沢からは、島田の姿をはっきり見る事は出来ない。
島田の左手を中心に放たれる純白の光は、いつしか弓矢を象るようになっていて。
お年を召した女優さんの為に照明が運び込んでくる強力なライトもかくや、と言わんばかりの
天井から降り注ぐ輝きに、確か赤岡とかいった男の発する闇は徐々に押されていく。
「くっ・・・・・・!」
野村と磯山が放った無数のスーパーボールを耐えぬくも、周囲の闇を払われて。
歯を喰いしばり頭上の島田を見上げる男の姿は、左腕の消滅箇所が左胸にまで及び、それ以外の箇所も
何かのホログラフかといわんばかりに全身の色彩が薄れているようだった。
・・・俺達は、あんな奴を相手にしていたっていうのか?
頼んだと言い残して昏倒し、床に倒れ込んだ野村の隣でビッキーズの飴ちゃんを頬張り、
何とかあと1撃2撃分ぐらいの精神力は確保して、隙あらば殴りかかる心づもりだった磯山も。
男の異形の姿を見て一瞬心怯む。
その動揺を察してか、それとも磯山よりも島田から発される力に意識が向けられたのか。
男は右手を・・・虫入り琥珀を天に掲げた。
「邪魔を・・・するなっ!」
「・・・貴様こそ・・・これ以上みんなを傷付けるな! 目を覚ませ!」
気迫と共に、互いの石から光が解き放たれたのは、ほぼ同時。
剛弓から放たれた島田の光の矢は一直線に走り、男の発した漆黒の稲妻を飲み込み、かき消して床に突き刺さる。
45
:
“Black Coral & White Coral” </b><font color=#FF0000>(t663D/rE)</font><b>
:2005/02/02(水) 03:29:26
「凄ぇ・・・・・・。」
閃光弾よろしく破裂する圧縮された光とそれが巻き起こす風に思わず目を細め、手で影を作りながら磯山は呟く。
「島田くん・・・まさか・・・君も・・・・・・。」
同じく光に目を痛めないよう手を翳しながら小沢も呟くけれど、それは磯山の物とは異なり
心配の色合いを帯びているようで。どうしたのだろう、と磯山はチラッと小沢の方を見やった。
「外した・・・?」
その小沢の視線の先、天井の鉄骨に両足でしがみ付いている島田は狙いが外れた事が信じられないとでも
言いたげに眉をしかめ、再び左手を敵へと向ける。
「次こそは・・・仕留めてみせる。」
みんなのためにと口に出さずに続け、白珊瑚の力を開放していく島田の視界が。不意にぐらりとずれた。
「・・・島田くん、跳んで!」
その耳に、不意に小沢の滅多に聞く事のできないプレミア物の掠れた叫び声が届く。
「足場が、崩れる!」
「・・・・・・・・・っ!」
また島田の視界が意図しない方向へずれるのと同時に、今度はギシリと何かが軋む感覚が足から伝わってきた。
念入りに狙いを付けた一射目が外れたのも、島田の足場である鉄骨が微妙に動いたからだろうか。
いや、そんな事は今更どうでも良い。
元々放置されて長い上に、これまで石を使った模擬戦や特訓の舞台にされていたこの廃工場の骨組みが。
いつしかボロボロに脆くなっていたのは事実であって。
「くっ・・・・・・」
磯山や小沢を信じて島田は鉄骨から飛び降りようとした、けれど。
「やべぇ、間に合わねぇ!」
磯山が悲鳴に似た叫び声を上げる。
「・・・・・・・・・!」
しがみ付いていた島田もろとも鉄骨が外れ、回りの鉄骨を伴って天井からゆっくりと落下を始めていた。
真下の、漆黒の髪の男目掛けて。
46
:
“Black Coral & White Coral” </b><font color=#FF0000>(t663D/rE)</font><b>
:2005/02/02(水) 03:30:32
今、アパタイトの力で2人を同時に避難させる事は可能だろうか。
悩むよりも早く、小沢は祈るように言霊を紡ごうとする。
「・・・・・・君を手に入れる事によって一生分の・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・。」
噛まないように、しかし、間に合うように。
どんなネタよりも慎重に言葉を発する小沢に対し、男はその髪と同じ漆黒の穏やかな眼差しを向ける。
向こう側が透けて見える相手の、敵意のないその視線に小沢の口が一瞬止まった、その時。
男は視線を頭上に迫る島田へ向けたかと思うと、右手の虫入り琥珀が蜂蜜色の稲光を放ち、
渾身の輝きに貫かれた華奢な長身は小沢達の方へと弾き飛ばされた。
「あ・・・赤岡くんっ!!」
島田をキャッチするべく走り出した磯山の動きを視界の端で捉えながら、小沢は叫ぶ。
その目前で。
廃工場の天井を支えていた鉄骨が、床に激突した。
轟音。そして巻き起こる砂塵。
全てが収まった時、コトリと音を立てて黒珊瑚があしらわれたネックレスと虫入り珊瑚が
どこからともなく床に転げ落ちた。
47
:
“Black Coral & White Coral” </b><font color=#FF0000>(t663D/rE)</font><b>
:2005/02/02(水) 03:37:24
以上、今回はここまで。
赤岡さんが何だか凄い事になってますが、本スレのルールである
「死にネタ禁止」に引っかからないよう次以降の話でフォローを入れますので
その点はどうぞ御了承下さい。
48
:
名無しさん
:2005/02/02(水) 12:08:10
age
49
:
名無しさん
:2005/02/02(水) 20:14:42
乙です!
フォロー絶対お願いします!
読み終わった後それがあったので安心しました。
相変わらず素晴らしい文章力でドンドン引き込まれましたよ!!
すさまじい展開ですね・・・戦いの様子が目に浮かぶようです。
楽しませていただきました!ありがとうございます!
50
:
名無しさん
:2005/02/04(金) 15:37:28
乙です。一応コピペしてきました。
やはり上手いですね。ワクワクしながら読ませていただきました。
次回も楽しみにしてますね!
51
:
名無しさん
:2005/02/04(金) 16:42:35
グラウンド。
歓声。
チームメイト。
ゴール。
俺はただボールを追いかけて、走る。
「脇田!!右に切れ!!」
背後から声がする。
「…ヒデさん…」
急に涙があふれてきた。
涙が止まらない。
ボールさえ、見えない…
「ヒデさん・・・っ!!」
気が付くと、自宅のベッドの上だった。
「…夢か」
体の節々が痛む。
「ってぇ…庄司の奴、手加減しなかったな…」
俺の石は戦うには向いてねぇからなぁ、とつぶやきながら、脇田は起き上がった。
洗面所の鏡に自分の顔を映す。
ぼさぼさの髪にどこかの犯罪者のようなヒゲ。
普段ならなんとかちょっとは見られるようにして仕事に向かうのだが、今日はそんな必要もない。
「ヒデさん…」
ヒデが「石」と一体化してしまったのは1週間ほど前のことだった。
テレビ番組の収録を終えた脇田が控え室に戻ると、ヒデが一人ぽつんと座っていた。
「あれ?ヒデさん先に帰ったんじゃなかった?」
「あぁ…ちょっと…」
ふらりと立ち上がり、不敵にほほ笑むヒデ。
「ヒデさん…?」
おかしい、と脇田は思った。
ヒデはもともと白いユニットの側の人間のはず。
しかし、今のヒデが放つオーラは黒いユニットのそれそのものだ。
「ちょっと…どうしちゃったんだよヒデさん!!」
「どうもしないさ…ただ真実に目覚めただけでね!!」
「真実…?」
脇田がそう聞き返したとたん、急に視界が真っ暗になった。
52
:
名無しさん
:2005/02/04(金) 16:44:25
51です。
どうもはじめまして。
ペナルティ編を書いてみたいと思ったのですが、前に書かれてる方がいるので
こちらに投下してみました。
もし、皆さんのお許しがいただけるなら、いつか本スレにも投下してみたいと思います。
一応、続きも書いてあるのですが・・・
53
:
名無しさん
:2005/02/04(金) 17:24:07
51って、投下した直後に手直ししたい個所発見!!orz
54
:
51
:2005/02/04(金) 19:10:54
何度もすいません。
手直しして、とりあえずきりがついたものを投下します。
設定は
中川秀樹(ヒデ)
石:フローライト
能力:キック力が上がる。蹴った物が狙ったところに必ず当たる。(狙われた相手は避けることもできるが、難しい)
条件:何回も蹴ると、パワー・命中率ともに落ちてくる。(狙われた相手にとっては避けやすくなる)
ドロップキックにも力は発揮されるが、消耗は激しい。
時間は庄司くんとの戦いの次の日です。
って、回想シーンがメインだから、ちょっとわかりづらくなってるかもしれません…
55
:
51
:2005/02/04(金) 19:14:03
グラウンド。
歓声。
チームメイト。
ゴール。
俺はただボールを追いかけて、走る。
「脇田!!右に切れ!!」
背後から声がする。
「…ヒデさん…」
急に涙があふれてきた。
涙が止まらない。
ボールさえ、見えない…
「ヒデさん・・・っ!!」
気が付くと、自宅のベッドの上だった。
「…夢か」
体の節々が痛む。
「ってぇ…庄司の奴、手加減しなかったな…」
俺の石は戦うには向いてねぇからなぁ、とつぶやきながら、脇田は起き上がった。
洗面所の鏡に自分の顔を映す。
ぼさぼさの髪にどこかの犯罪者のようなヒゲ。
普段ならなんとかちょっとは見られるようにして仕事に向かうのだが、今日はそんな必要もない。
『相方・ヒデの体調不良による入院』で、仕事があまり入っていない…ということになっている。
「ヒデさん…」
ヒデが「石」と一体化してしまったのは1週間ほど前のことだった。
テレビ番組の収録を終えた脇田が控え室に戻ると、ヒデが一人ぽつんと座っていた。
「あれ?ヒデさん先に帰ったんじゃなかった?」
「あぁ…ちょっと…」
ふらりと立ち上がり、不敵にほほ笑むヒデ。
「ヒデさん…?」
おかしい、と脇田は思った。
ヒデの胸元に揺れるネックレス…フローライトが濁った光を発している。
いつもなら、透明に光っているはずなのに…
「白いユニット」と「黒いユニット」の話は脇田も知っていた。
そして、数日前、ヒデが拾った「石」もそのひとつだということも。
しかし、「石」を持たない自分にとってはまったく無関係の話だと思っていたのだ。
ヒデはもともと白いユニットの側の人間のはず。
しかし、今のヒデが放つオーラは黒いユニットのそれそのものだ。
「ちょっと…どうしちゃったんだよヒデさん!!」
「どうもしないさ…ただ真実に目覚めただけでね!!」
「真実…?」
脇田がそう聞き返したとたん、急に視界が真っ暗になった。
空間が歪んでるみたいだ…脇田はそう感じた。
自分の足が地面についているのか、宙に浮いているのかすらわからない。
ただわかるのは、目の前にヒデがいること、それだけだった。
脇田はしっかりとヒデの目を見つめ、言った。
「真実って何?」
「今お前にわからせてやるよ……!!」
ヒデはニヤリと笑うと、サッと手を一振りした。
すると、その場に現れたのは無数のサッカーボール。
(ヤバイ!!)
そう思う間もなく、一つのサッカーボールが脇田のほうへ飛んできた。
しかし、脇田もお笑い界No.1と豪語するほどの身体能力の持ち主。
横っ飛びに飛んで、ギリギリでボールをかわした。
(理由はわからないけど、とにかくヒデさんの石が暴走してる…)
次々に飛んでくるボールを避けながら、脇田は必死に考えた。
(ヒデさんは本数を打てば打つほど体力を消耗する。
ヒデさんの体力がなくなってきたところでなんとか…)
脇田は濁った光を放つヒデのフローライトから目を離さないようにしながら、
ただひたすら飛んでくるボールをかわしつづけた。
もう何十本かわしつづけただろうか。
脇田はヒデの異変に気づいた。
キックのパワー・命中率共に最初のころと比べてあまり落ちていないのだ。
その代わり、ヒデはあきらかに苦悶の表情を浮かべている。
(ヒデさん……?)
ヒデの表情をしっかりと確認しようと脇田が目を凝らしたその瞬間、腹部に鈍い衝撃が走った。
「くっ…」
ヒデの放ったボールが、寸分の狂いもなく脇田の腹部に命中したのだ。
あまりの衝撃に、立っていることもできず、その場に崩れ落ちる脇田。
「ちょ………ちょこまか…しやがって…」
息も絶え絶えになったヒデが、一歩ずつ脇田のほうに近寄ってくる。
「ヒ…デさ……」
「教え…てやる……よ、真………実…………うわぁぁぁぁぁっっ!!」
ヒデが突然その場に倒れ、もだえ苦しみだしたのだ。
「ヒデさん!!」
脇田は腹部の痛みも忘れ立ち上がった。
そのとき、脇田は気づいたのだ。
ヒデの濁ったフローライトが、ヒデの中に取り込まれようとしていることに…
いや、むしろフローライトがヒデの中に入っていくかのように
フローライトは急速なスピードでヒデの中へ消えていく。
「くっ…うわぁぁぁぁっ!!」
「ヒデさん!!」
脇田の視界がぐしゃぐしゃになる。
まるで地震が起きたかのように、足元がぐらぐらと揺れる。
「ワッキー!!ヒデ!!」
背後で誰かが呼んでいる声がする。
しかし、今はそんなことどうでもいい。
「ヒデさん!ヒデさん!ヒデさん!!」
薄れゆく意識の中で、脇田は必死にヒデの名前を呼んでいた。
56
:
51
:2005/02/04(金) 19:14:24
気づくと、脇田は控え室の長いすで横になっていた。
「ワッキー…?」
「…宮迫さん」
意識が朦朧としている。
頭は割れるように痛い。
「大丈夫か…?」
「はい、何とか…」
何があったんだ…?いったい、俺はどうしたんだ…?
脇田は必死に自分の記憶を手繰り寄せる。
「ヒデさん…そう、ヒデさんは?!」
脇田は頭痛も忘れて跳ね起きた。
「宮迫さん、ヒデさん知りませんか?!」
「……悪い…ギリギリ間にあわへんかった…」
「間に合わないって…何がですか!!ヒデさんはどうなったんですか?!」
「………俺にもよくわからん。ただ、ヒデは汚れた石と一体化した。
完全に<向こう>の人間になってもうた…」
「一体化って何ですか?!なんで白かったヒデさんの石がいきなり黒くなるんですか?!」
脇田の矢継ぎ早の質問に宮迫が大声を上げる。
「だから、俺にもわからんねん!!」
脇田はビクっとした。それに気づいた宮迫は、再び穏やかな声で語りだした。
「悪い…マジで、詳しいことはわからん…ただ、お前なら、ヒデを助けられるかもしれん。」
「俺なら…?」
戸惑う脇田の前に、宮迫は白く輝く石を差し出した。
「お前の石…カルセドニーや」
「カルセドニー…」
脇田はその石に強く惹きつけられた。
「攻撃や防御はできへんから、実戦では役に立たへん。
けど、重要な力を持っとる。」
「重要な…?」
「暴走した石を、封印したり、浄化したりできるんや。
うまいこと使えば、戦わなくても『黒いユニット』の連中をこっちに呼び戻せるやろ…ヒデも含めて。」
脇田は、宮迫の手の中にあるカルセドニーにじっと目を注いだ。
この石を手に取ったら、俺はいつ終わるとも知れない戦いの中に身をおくことになる。
狙われたりすることもあるだろう。
命の危険だって、あるかもしれない。
でも…
高校のサッカー部の先輩だったヒデさん。
俺をお笑いの世界に導いてくれたヒデさん。
なかなか売れなかったとき、俺を励ましてくれたヒデさん。
俺の大切な相方、ヒデさん…
「…やります。」
そう言って、脇田は宮迫の手の中のカルセドニーをしっかりと握った。
あれ以来、脇田は何度も戦いの場に自分の身を置いた。
同じ仲間だと思っていた芸人たちが、傷つけあい、争いあうのを嫌というほど見せ付けられてきたのだ。
そして、石の暴走から解放された芸人たちのうちの何人かが見せた、脇田に対する困惑の目。
脇田はその視線の意味を理解できずにいた。
しかし、その視線の意味を脇田はある戦いの後で知った。
「ヒデさんに…ヒデに引きずり込まれたんだ…」
名もない若手芸人がぽつりと言った言葉。
脇田は、それで理解した。
ヒデは、芸人たちを黒のユニットに引きずり込む化物と化したのだということを。
脇田は再び、自宅の洗面所の鏡に映る自分の姿を見た。
(ヒデさんは、俺が助けるんだ…)
脇田は強い決意の表情を顔に浮かべ、洗面所を後にした。
57
:
51
:2005/02/04(金) 19:16:43
う〜ん…コンビ愛…ですかね?(苦笑
なんか友情ものっぽくなってしまいました。
とりあえず、ペナルティだけにサッカー関係のシーンを取り入れてみたくて…
先ほど本スレの方を見てきましたら、ペナの話を書いてくださってる方がいらっしゃるみたいですね。
こっちはお蔵入りかなぁ…
まぁ、とにかく、ご意見ご感想ご指摘等あればお願いします。
58
:
名無しさん
:2005/02/05(土) 01:21:33
私がペナファンだからかもしれないけど、この話いいと思います。
ヒデさんがどうなったのか、これからどうなるのか、すっごい気になる・・・
サッカーってのも、なんかペナっぽいw
59
:
名無しさん
:2005/02/05(土) 15:22:22
「フローライト」はいつここの山田さんが持ってますよー。
60
:
51
:2005/02/05(土) 17:24:13
>>58
さん
どうもありがとうございます。
>>59
さん
えっそうなんですか?
一応、事前に「登場石」ってとこで確認してみたんですけど・・・
もう一度確認してみます。
61
:
51
:2005/02/05(土) 17:31:44
確認しました。
色違いのようですね〜。
混乱するといけないので、変えます。
どうも申し訳ありませんでした。
以前にペナ登場話を書いていた方はいらっしゃいませんか?
62
:
</b><font color=#FF0000>(t663D/rE)</font><b>
:2005/02/05(土) 23:10:34
>>50
感想&本スレへのコピペ、ありがとうございました。
色々登場人物を出して話を膨らませてしまったので
まとめるのが大変ですが、期待に添えるよう頑張ります。
63
:
名無しさん
:2005/02/06(日) 16:31:21
>>62
期待してます!
64
:
名無しさん
:2005/02/07(月) 02:17:31
以前このスレに小説投下した19という者なのですが、
自分の書いた小説の続編、しかも長め(になるかも)でスピワの井戸田さんが能力に目覚める編、
というのを思いついたのでまたこちらに投下してもいいでしょうか?
以前自分の書いた小説を読んでらっしゃらない方には不親切なものになるかもしれないし、
展開の方もスルーしてもらってかまわない話ですが、本編で出番の多いスピワの過去に関わってしまうので躊躇しています。
皆さんの意見を聞いてから投下の有無を判断したいので、
是非意見のほうお願いします。
65
:
名無しさん
:2005/02/07(月) 02:20:00
すみません、変な文章でした…
×展開の方もスルーしてもらってかまわない話ですが
○展開も職人さんたちにスルーしてもらってかまいませんが
66
:
ブレス </b><font color=#FF0000>(F5eVqJ9w)</font><b>
:2005/02/07(月) 07:47:33
>64-65
いいと思いますよ。
ここは試験的に小説を投下する場所(?)みたいなので。
好評なら本スレに、と言う流れみたいです。
それより、続きがあるなら読んでみたい!
めちゃくちゃ期待してます。
67
:
19 </b><font color=#FF0000>(Ps/NPPJo)</font><b>
:2005/02/14(月) 11:50:22
>ブレスさん
ありがとうございます!
お言葉に甘えさっそく投下させていただきます。
今回の話の時間列は前回の話の次の日になります。
ちょっと長くなるかもしれないのですが、しばしお付き合いください。
68
:
19 </b><font color=#FF0000>(Ps/NPPJo)</font><b>
:2005/02/14(月) 11:58:57
小沢の様子がおかしいと、彼を知る人間の内のいくらかが相方である井戸田に警告めいた助言をしてきたが、
それらを全て井戸田は笑って聞き流した。
それらの助言に対して小沢自身が井戸田になに一つ不審に思われるような言動をしなかったせいもある。井戸田から見た小沢はいつもの小沢でしかなった。
昨日と同じような今日。全てがバランス良く存在していた世界。
少なくとも井戸田にとっては。
ノスタルジア
その日は朝から立て続けに仕事が入ったせいか、
夕方に収録予定であるテレビ局の控え室に入ったスピードワゴンは2人共が程度の違いはあるが一様に疲れた表情をしていた。
2人の他には誰もいない控え室の椅子に向かい合いだらしなく腰掛けながらも、
それでも井戸田のほうは昨日久方ぶりのオフだったせいか心なし体が軽い。
しかしそれに対し井戸田と同じくオフだったにも関わらず
小沢のほうは机に突っ伏したままピタリとも動かない。
そういえば朝から顔色が優れないようだったし、今日は言葉数も少ない。
(風邪でも引いたのかな?)
ぼんやりと井戸田は考えたがなんとなく本人には訊けずにいた。
というよりも小沢のほうがその質問を発するのを躊躇わせるほどの痛々しい空気を出していたせいか。
とりあえず寝かしとくかという結論に達すると、井戸田は1つ伸びをして気を緩める。
机の上のペットボトルを持ち上げるが、そのかすかな音に反応した小沢がゆっくりと顔を上げた。
69
:
19 </b><font color=#FF0000>(Ps/NPPJo)</font><b>
:2005/02/14(月) 12:00:45
「ごめん、起こしたか」
と井戸田は謝るが、小沢は首を振りながら起き上がった。
言葉を発してはいないが、井戸田が知っているいつもの小沢の表情だ。
しかし沈黙が苦しくて、それを壊すように井戸田はなにげなく話を切り出す。
「小沢さんはさ、昨日の休みどうだったの?」
その質問に、一瞬小沢が眉をひそめたのを見た。
「…普通。買い物に行ったくらいかな」
井戸田、なにも見なかったかのように慎重に振舞う。
「へぇ〜、なんかいいのあった?」
「特になかったよ。それより潤さんは?昨日の休みどうだったの?」
今度は井戸田が眉をひそめた。明らかに小沢は話を反らせたがっている。
乗るか乗るまいか井戸田は躊躇したが、それよりも言葉を上手に発することが出来なくてうんとかあぁなどと生返事をする。
話題ならいくつかある。
①小沢の調子は大丈夫なのか
②今日のネタ合わせする?
③昨日石を拾った
…無難なのは③かな。
とっさに判断すると自然に頭の中に台詞が浮かぶ。
俺はさ、昨日すごい経験しちゃってさ。道歩いてたときに石拾っちゃて。なんかキレイな石だなって大した考えもなく家に持って帰って、それでも気になるから調べてみたらなんとそれ、宝石だったんだよ。シトリンっていうの、小沢さん知ってる?すごいよね〜道端で宝石拾うなんてさ、どれだけラッキーだっていうの。でもさ、逆に考えるとこれって絶対落し物だよね。ただの石かと思って持って帰ってきちゃったけどさ、落とした人探してるかもだよなぁ。交番に届けるとか、元の場所に返したほうがいいのかな?ねぇ、小沢さんどう思う?
そこまで考えるとパイプ机を挟んだ向かいの椅子に座っている小沢を見つめる。
しかし言うべき言葉が見つかったのに、出すべき声が出ない。
そんなあたりさわりのない話題じゃなくて、自分は小沢になにかを聞かなければならないのにもっと言わなくてはならないことがあるのに、そのなにかが分からなくて井戸田は黙り込んだ。
70
:
19 </b><font color=#FF0000>(Ps/NPPJo)</font><b>
:2005/02/14(月) 12:10:09
「潤さん?」
黙り込んだまま俯いてしまった井戸田をいぶかしげに思ったのか、小沢は井戸田の顔を覗き込もうとする。
が、前かがみになろうとするのと同時に、なにかに詰まったかのようにとっさにわき腹を押さえた。
「…小沢、わき腹どうしたの?」
「なんでもないよ、」
井戸田の心配する声に小沢は何事もなかったかのような顔でわき腹から手を離した。
その言葉と態度に、井戸田のなにかがキレた。
黙ったまま勢いよく椅子から立ち上がり机を回り込むと、
その行動に驚いて思わず椅子を引いた小沢の肩口を押さえ込み、片手でシャツをめくり揚げる。
そうして見たものに、井戸田は息を呑む。
紫を通り越しどす黒く変色した痣が小沢のわき腹の広範囲を覆っている。
思いもしなかった光景に、井戸田は知らず小沢から一歩身を引いた。
「…どうしたの、これ、」
「階段から、」
小沢の言葉を遮るように井戸田が歯軋りをする。
「小沢、今朝から調子悪かったのはこれが原因か?」
「……」
「…答えろよ」
「……」
「小沢!」
怒鳴りながら小沢の襟首を掴もうとしたそのとき、
「すみませ〜ん」
という間延びした声と共に軽めのノック。
唐突な音の乱入に面食らいながらも小沢が反射的に「どうぞ」と扉に呼びかける。
井戸田も我に返ったように小沢から離れた。
「失礼しま〜す」
緊迫した空気を壊すように開いた扉からひょっこりと顔を出したのは、
今日収録予定の番組AD。
71
:
19 </b><font color=#FF0000>(Ps/NPPJo)</font><b>
:2005/02/14(月) 12:17:11
井戸田より扉の近くに立っていた小沢はあからさまにほっとした顔で戸口に立つ。
所在のなくなった井戸田も仕方がないので小沢が座っていた椅子に腰を下ろした。
「どうしたの?もう出番?」
「いえいえ、それはもうちっと時間が掛かるみたいなんすけどね。」
小沢より10センチは低かろうADは、すみませんと口に出しながらもちっとも悪びれた様子を見せないで
自分の胸ポケットから半分に折られた紙切れを差し出す。
「なに、これ?」
紙切れを受け取りながらも小沢の困惑した声を井戸田は聞いたが
(今小沢の顔見たら、絶対殴る)という思いから、ただただ目の前の机をじっと見つめた。
相手に心当たりのない小沢の様子を感じ取ったADも、困ったように首をかしげた。
「いえさっきね、廊下ですれ違った人が、小沢さんに渡してくれ〜っていうから」
心当たりないんなら僕がなくしちゃったことにしときますけど、と付け足す。
小沢はうーんと唸ると、
「名前、名乗んなかったの?」
と言いながら紙切れを広げた。その瞬間、小沢の表情が凍る。
「一応訊いたんすけどね、僕も。でもこのメモ渡せば分かるって…小沢さん?」
紙切れを凝視したまま止まってしまった小沢をADが訝しげに呼びかけ無意識に小沢の手元を覗き込もうとするが、
その視線に気が付いた小沢は避けるように紙切れを折りたたむ。
「…ありがとう、知り合いだったよ」
ぎこちなくお礼を言う小沢は井戸田あたりが見たら眉根を寄せてしまうような酷い笑顔だったが、
付き合いの浅いADはその表情に安心した声をだした。
「あぁ〜よかったっス。人違いだったらどうしょうかと思いました」
「本当にありがとう。助かったよ」
再度お礼を言う小沢に、照れたように手をパタパタと振る。
「いいえ、じゃあ僕仕事に戻りますね。また出番の方になりましたら声かけに来ますんで。」
無事仕事を達成したADは、一礼すると音を立てないようにそっと扉を閉めた。
パタンという乾いた音を聞くと、井戸田は待ちかねたように椅子から立ち上がった。
まだまだ小沢に言いたいこと、聞きたいことは山ほどある。
「小沢さんさぁ、」
「潤」
小沢が通常よりも低い声で井戸田を呼ぶので、負けじと井戸田も身構える。
「分かってると思うけど、」
「ちょっと俺トイレ行って来るね」
「うん、トイレ。ってトイレ?」
素っ頓狂な声を上げながらもその言葉に肩透かしを食らった井戸田は、思わず頷いた。
72
:
19 </b><font color=#FF0000>(Ps/NPPJo)</font><b>
:2005/02/14(月) 12:26:27
控え室を出ると小沢は部屋の中と廊下との温度差に思わず身震いした。
上着を取りに戻ろうかと考えたが、しかし迷っている時間も
戻った際の井戸田への適当な言い訳も考え付かない。
(耐えられないほど寒いってわけでもないしね)
気を取り直し廊下を歩みだす。
出口へと向かい歩いているうちに気が流行り早足になり、早足が駆け足へと変わる。
足を動かすたびにわき腹が痛んだが、立ち止まる気にはならない。
人の流れに逆らい従いながらも何人か知っている顔を見つけるが、
焦りといらつきのため会釈すら出来なかった。
途中すれ違ったおぎやはぎ矢作がすれ違いざま小沢に声を掛けたが、
しかしあいにくそれに応えている余裕は小沢にはなかった。
ただただ走り続ける。
自動ドアをもどかしげにくぐると、小沢は自然に握り締めていた手をゆっくり開く。
汗ばんでいる手の平には、先ほど渡されたメモ用紙。
昨日の件、誰にも知られたくなければ指定の場所まで。
石のことで相談あり。
一読すると息を吸い込む。
額に浮かんだ汗を服の袖で拭いあせる気持ちを落ち着けると、
控え室に置いてきた井戸田のことが気に掛かったが、小沢はそれを振り切るように駆け出した。
73
:
19 </b><font color=#FF0000>(Ps/NPPJo)</font><b>
:2005/02/14(月) 12:28:19
今回はここまでです。
次回からもう少し話が動く予定です。
74
:
ブレス </b><font color=#FF0000>(F5eVqJ9w)</font><b>
:2005/02/14(月) 12:31:41
>68-72
リアタイ更新キタ!!
やばい、めっちゃ面白くて今何してたか忘れちゃいました(笑)
19さんGJです。
続き楽しみに待ってますね。
75
:
19 </b><font color=#FF0000>(Ps/NPPJo)</font><b>
:2005/02/14(月) 12:32:14
あとすみません、やはり連載になりそうです。
なので今回に限りトリップ付けます。
76
:
</b><font color=#FF0000>(arrowTBE)</font><b>
:2005/02/14(月) 20:56:54
めっちゃ面白いです!
続き楽しみにしてます!!
77
:
名無しさん
:2005/02/16(水) 19:39:40
◆IpnDfUNcJoさんの『灰色』(base編)の続きを、
自分が先を読みたいがためだけに書いてしまい、おまけに、
・まだ出ていない、笑い飯哲夫、ダイアン西澤・津田の能力が思いつかない
・base行った事がなく、イマイチ画を想像できない
等の理由で、完結はおろかバトルに行く前に行き詰ってしまいました(´・ω・`)
人様の作品の続きを勝手に書いている等、問題だらけの代物なので、
ここに投下するのも躊躇しています。
よろしければご意見いただければ幸いです。
78
:
名無しさん
:2005/02/17(木) 14:26:57
77>いや、ここなら良いと思いますよ?
79
:
77 </b><font color=#FF0000>(sB4AwhxU)</font><b>
:2005/02/18(金) 01:14:54
>78
何でもあり小説投下スレが出来たので、
そのうちそちらに投下させていただくことにしました。レスどうもです。
80
:
77 </b><font color=#FF0000>(sB4AwhxU)</font><b>
:2005/02/18(金) 01:38:04
トリップ変えます
81
:
77
:2005/02/18(金) 01:42:28
あれ…よくわからん事なんかするもんじゃないですねorz
82
:
名無しさん
:2005/02/18(金) 05:09:25
>>77
他の作者さんの話の続きは此処でいいと思います。
廃棄スレッドなので良し悪しもあまり気にする必要はありません。
只でさえ進みがゆっくりなのですから、そんなにスレッド立てても利用しきれませんし。
他の作者さんの作品の続きを勝手に書いてみたり、
パロディ小説を書いてみた場合は此方に投下する事にしては如何でしょうか。
83
:
</b><font color=#FF0000>(I3kW9CIA)</font><b>
:2005/02/18(金) 18:20:42
かなり前に品庄話を書いていた者なのですが、
話の続きをここに投下しても良いですか?
(本スレはシャロンさんが書いていらっしゃるようなので)
84
:
名無しさん
:2005/02/18(金) 22:15:34
>>83
此処か、または番外編や短編としてなら本スレにも投下できると思いますよ。
85
:
名無しさん
:2005/02/19(土) 13:34:18
先に書いていたのはI3kW9CIAさんですから、本編として本スレに落としてもいい気ガス。
シャロンさんは無許可で書いたのかな?
86
:
名無しさん
:2005/02/19(土) 21:45:20
そういえば、シャロンさんはいきなりでしたね。
87
:
シャロン </b><font color=#FF0000>(71qVmjiU)</font><b>
:2005/02/20(日) 00:42:00
一応、事前に「以前ペナの出てきた話を書いていた方は・・・」のようにお聞きしたのですが・・・。
I3kW9CIAさんがもう一度書きたいと仰るなら、こちらを番外編にしていただいて構いません。
88
:
シャロン </b><font color=#FF0000>(LwUQlNuI)</font><b>
:2005/02/20(日) 00:43:48
すいません、PC買い換えたんでトリップがわからなくなってしまいました・・・。
これ以降、こちらのトリップでお願いします、
89
:
</b><font color=#FF0000>(I3kW9CIA)</font><b>
:2005/02/20(日) 13:39:27
>シャロンさん
私が今あの話を完全に完結できるかどうか分かりませんし、
品庄以外の芸人さんの小説を書くかもしれないので、
こちらの作品の方を番外編とさせてください。
90
:
77 </b><font color=#FF0000>(IbsntW6M)</font><b>
:2005/02/21(月) 01:26:13
トリップ変えました。
なんでもありスレが削除となったりしたので、こちらに投下させていただきます。
82さんアドバイスありがとうございます。
次の作品は◆IpnDfUNcJoさんの『灰色』(base編)の続きですが、
あくまで「勝手に書いたもの」です。
了解をいただいたわけでもないのに投下することをお許し下さい。
91
:
77 </b><font color=#FF0000>(IbsntW6M)</font><b>
:2005/02/21(月) 01:27:25
脚力を高める石の力を使って先を急ごうとする大吾を、ノブは懸命に留めつつ、
そのうちに劇場の扉が見えてくる。
感情のままに突っ走ろうとする大吾を、ノブは久しぶりに見た。
先ほどの西田とのやり取りで、大吾はかなりショックを受けたようだった。
ノブは、性根が大らかなせいか、大吾ほどの拒否反応は起こらなかったが、
大吾の反応はこれまでの笑い飯との付き合いを思えば当然だろう。
しかしノブとてこれからの事を思うと、心中は鈍い色の雲が立ち込めているように重く苦しかった。
ふと少し斜め前の西澤を見れば、先ほどから何度も走らされているせいか、幾分疲れた顔。
しかし相変わらずの無表情であったので、(相方の事心配しとるんか)と思えるほどだった。
劇場に向かうことを促したのも大吾だし、特に必死に走るわけでもない。
西澤はただ大吾に追随しているといった感じだった。
劇場のドアは開いていた。まるでもう戻れない所への入口のように、3人には感じられた。
中に津田と笑い飯がいる事は分かっている。
3人ともはどこか意を決したように、中へ足を踏み入れた。
目に入ったのは普段と変わぬ様子の笑い飯と、傍らには、捕らわれいかにも不安顔な津田。
「おお、みんな。」哲夫はこちらを向くと親戚の叔父さんのように手招きをした。
「よぅ来たな。」同様に親しげに挨拶する西田。
先程の操られた芸人らとは明らかに違う笑い飯の様子に、違和感を覚えたのはノブだけではないはずだ。
92
:
77 </b><font color=#FF0000>(IbsntW6M)</font><b>
:2005/02/21(月) 01:28:11
「先に話、聞かしてもらってもいいですか?」すぐに本題に入ろうとする大吾。
「ええよ。」喧嘩腰の大吾に哲夫は意外なほど素直に応じた。
「なんでアンタらは人の石を奪おうとするんですか。」大吾の口調は刺々しい。
「それが一番聞きたいことやと思てたわ。俺らは石の争いに乗ったんよ。理由はそれだけやね。」
哲夫は普段のようにあっけらかんとしたものだ。
「今日はダイアンの石だけを貰うはずやったけど。せっかくやから千鳥の石も欲しいね。」
哲夫は付け足して言う。
「ホンマは千鳥も誘おうと思てたんやけど無理みたいやな。」
西田は千鳥を値踏みしているかのような目で見た。
ノブの横目には、段々険しくなっていく大吾の表情。
笑い飯の言葉は、大吾にはどのように捉らえられたのだろうか。
「大吾、これはなゲームみたいなもんや。割り切っていこうぜ。」
不機嫌な大吾に、西田はその場に似つかわしくない明るい声を放つ。
「なんで笑い飯がこんなことするん?笑い飯はそんなんやないやろ。」
大吾は耐え切れないといった風に声を大きくした。
「大吾の言う通りや。そんなまでして石が欲しいか?」ノブも続いた。
何で笑い飯が?2人をよく知る千鳥だからこそ、その思いは強い。
「笑い飯なら石なんか必要ないやろ。」ノブは更に続けた。
しかし、次の哲夫から投げかけられた問いにノブは黙った。
93
:
77 </b><font color=#FF0000>(IbsntW6M)</font><b>
:2005/02/21(月) 01:28:52
「ホンマにそう思う?ノブ?」哲夫の思わぬ問い。
「…。」その問いのトーンはいつもの哲夫より低く、ノブの思考は一瞬妙な感情に囚われる。
しかしノブの脳が働きだす前に、西田に追い討ちをかけられる。
「ノブ、お前のその石があったら、どんなこと出来るか分からんか?」
西田の口調はまるで、小学校の先生が聞き分けのない生徒を諭しているかのようだ。
しかし、言っている事は悪魔の誘惑のようにノブの脳裏をえぐった。
「…。」西田の言葉にノブは大きい事小さい事色々思い浮かべたが、
1つあってはならないことが浮かんだ。
それは芸人としてあるまじき行為だった。
思いついた事が憂鬱で、曖昧な顔でいることしか出来ない。
「例えば…」黙ったままのノブを尻目に、哲夫が口を開いた。
「人を笑わせたりとかね。」例えば…と言う割にいきなりノブの図星を付く哲夫。
「そんなん、絶対あかんやろ!」大きく心臓が鳴るのが分かった。
自分がそんな事を少しでも考えていたと認めたくもないし、大吾やダイアンにも思われたくない。
その思いがノブに大声を出させたのだろうか。
「その他にも、吉本の社員さんになんやかんやしたりね。その石なら色々出来るよ。」
哲夫の口調は相変わらず軽々しい。
「ノブの石は「お前ら笑え」言うたら笑うんやろ?ええ石やないか。」哲夫は言った。
「最悪や。」大吾は吐き捨てるように呟いた。
94
:
77 </b><font color=#FF0000>(IbsntW6M)</font><b>
:2005/02/21(月) 01:29:34
「でもな、俺らかて石なんか使いたくないよ。」と西田。
「けどもう良い石持ってないとアカンようになってんねん。」
西田は諦め半分といったような顔をしていた。
「アカンってどういうことやねん。」
ノブには西田の言っている事が曖昧すぎてよく分からなかった。
「だからってな!…」
一方で急に大声を出す大吾。そちらを向くと大吾は何かに気付いているようだった。
しかし、続く言葉は哲夫に遮られた。
「言いたい事は分かるよ。大吾。でもな、俺らがなんぼ他よりおもろくてもな、
石がない限りはアカンよ。」
返ってきたのは石の虜になったかのような哲夫の言葉とどこか冷たさのある目。
「ノブ」西田が口を開く。
「ノブの思てる程、周りで石を仕事に使てる奴は多いんやで。」
話に着いていけてない感のあるノブに西田は告げた。
その瞬間ノブは自分が少し天を仰いだような気がした。
仕事で石の力を使っている奴がいる。西田が告げたその事実は衝撃的だった。
しかし、どこかそれを既に知っていたような自分がいる。
(あって欲しくなかった)そう心の中で呟いた。
石を使って客を笑わせるような者に芸人である資格があるわけがない。
力の石が自分たちを巻き込み、急激に周りを変化させているのを感じた。
呆然とした様子のノブに言うともなしに西田は呟いた。
「石の力には誰も逆らえへん。」
「だから石が欲しい。」静かなbaseに西田の声だけが響く。
95
:
77 </b><font color=#FF0000>(IbsntW6M)</font><b>
:2005/02/21(月) 01:30:51
ほんの少し沈黙が流れ、しばらく黙っていた大吾が静かに口を開いた。
「ていうかな、笑い飯がそんなになってしまったら、終わりや。」
意外にも口調は冷静だった。しかしノブには大吾の怒りや悔しさが伝わってくる。
ノブの思いも同じだった。
笑い飯が地力ではい上がってきたのは千鳥が一番知っている。長い間近くにいたのだから。
今更、石に頼ろうとするなんて、頭がおかしくなったとしか考えられなかった。
「ワシらだけは石なんぞ使わんでもやってみせるわ!目ぇ覚ませ、笑い飯。」
大吾は強く言った。
単なる仕事の後輩でも、年下の友達でもない、それなりの関係がある。
だから大吾の言葉には力があった。
しかし
「お前らこそ目ぇ覚ませ。もう石ない芸人は舞台にも立てなくなるで。」
大吾の思いは届かない。
石が芸人にとって絶対必要な物であるかのように、大吾の言葉を軽く撥ね付ける西田がいた。
「俺らはただ身を守るために石を奪うだけやし、逆に奪われたら取り返すだけや。何がいけない?」
「お前らは今自分がしとることが分からんのか!」
大吾は怒鳴った。周囲を平気で傷つけようとする、その行為がいけないと何故気付かないのか。
「え。さっき言うたやん。」
全然分からない、とでも言いたげな西田に、明らかに失望の顔色を浮かべる大吾。
2人は変わってしまった。出会ってからの数年間がノブの頭を過ぎった。
石の力が2人を変えたのか、それとも…。
96
:
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:2005/02/21(月) 01:31:46
「さて、そろそろエエ時間やけど、西澤はどうするの?千鳥は石渡す気は全然無いみたいやけど。」
いけしゃあしゃあと言葉を紡ぐ哲夫を千鳥は睨んだ。
「封印してもらったらええんや。白のなんとかに!」
ノブは苦し紛れに藁にもすがりたい気持ちで、噂で聞いた程度の白のユニットのことを叫んだ。
「甘いわ。みんな芸人や。同じこと考えてるに決まってるわ。」軽く一蹴する哲夫。
しかしその時、哲夫の表情が少し歪んだことに気付いた者はいなかった。
「…1つだけ分からんことがあるんですが。」相変わらずの表情で西澤は疑問を投げかける。
「ん、何?」と哲夫。
「どうして俺らやったんですか?」
「石やて。」津田が西澤に言ったが、哲夫は無視する。
「baseの中なら誰でも良かった。」クソ真面目に言う哲夫。
「犯人みたいに言うな。」小声でツッコむ津田とノブ。
「でも反省はしていない。」西田の声が皆の脳に直接響いた。
アホな事に力使うな、津田とノブは怒りゆえにそう思うに留めたが、哲夫だけは笑った。
「まぁ誰でも良かったわけでもないけどね。結構インパクトあったやろ。」
哲夫は少し楽しそうに言った。
「これでこの辺の石を持ってる芸人は俺らに興味持つはずや。」
西田も少し声を弾ませている。
「さて、どうするの西澤?」哲夫は問いかけた。
97
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77 </b><font color=#FF0000>(IbsntW6M)</font><b>
:2005/02/21(月) 01:37:27
以上です
能力の設定を考えるのが苦手なので、この続きを書くことができず行き詰ってしまいました。
ややこしいものを投下してしまい申し訳ないです。
読んで下さった方がおりましたら、付き合っていただきありがとうございました。
98
:
名無しさん
:2005/02/21(月) 02:57:56
>77様
乙です。意思のすれ違いが切ないですね…よかったです。
所で、当方も作品を投下したいのですがいくつか問題があります。
まだ作品は投下されていないものの、構想中かもしれない方の
使用芸人、石が被るのです。
話自体は本筋に食い込まない、しかもかなりあっさりした話なのですが、
廃棄とはいえこのようなものは大丈夫でしょうか?被ったのは偶然なのですが…。
99
:
“Black Coral & White Coral” </b><font color=#FF0000>(t663D/rE)</font><b>
:2005/02/21(月) 02:59:08
ええと、以下の話は本スレにいきなり投下するには無茶が多いので
これらが大丈夫かどうか一度こちらに投下します。
無茶な点
・小沢さんがトリップしている
・さまぁ〜ず(この話の中ではバカルディ)が2人とも白寄りである
・10年近く前から白と黒の戦いは密かに続いていた
一つ目は話の展開上しょうがないのですが、二つ目と三つ目は他の方の
話にも影響するかなと思いまして。
念のためにこのような方法を使わせてもらいました。御了承下さい。
これで特に問題がないようでしたら、後で本スレの方に改めて投下します。
100
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“Black Coral & White Coral” </b><font color=#FF0000>(t663D/rE)</font><b>
:2005/02/21(月) 03:00:57
本スレ
>>20-26
の続き
どこか濃厚で、それでいて暖かい金色の光。
それはライブの終わりに舞台に現れた時、浴びせられるライトや客席からの満足げな視線に似ていて。
ネタを演って疲れた身体や心を癒やし、次への励みを与えてくれるそれらのような光は
芸人達をしばし包み込んだ後、ゆっくりと薄れていった。
「・・・赤岡っ!」
やがて視界が元通りになっても、まだ少し感じる余韻を破るかのように上がったのは、島田の声。
彼の目前の床の上には、キョトンとした様子で座り込んでいる、黒い髪の長身の男がいて。
「何だよ、この・・・馬鹿ぁっ!」
よろよろと力なく歩み寄り、床にひざをついて。
どこか叱責するような声と共に島田は男に・・・赤岡に腕を伸ばしてしがみ付いた。
その細い腕は空を切る事なく、しっかりと赤岡の身体を捉える。
「余計な手間・・・掛けさせやがって・・・・・・」
「・・・・・・悪い。」
しばし島田の行動の意図が掴めなかったのか、不思議そうな表情を浮かべていた赤岡だったが
フッと口元に笑みを浮かべ、そう島田に応じてみせた。
「でも、ああしなきゃ、お前の事・・・助けられないと思ったから。」
あの時、落下してくる鉄骨を避ける事自体は赤岡にとってそう難しい事ではなかった。
しかし、鉄骨と一緒に島田も降ってきていた以上、彼を受け止めて逃げようとすれば
どうしても間に合わなくなる。
黒珊瑚のポルターガイスト能力でも、さすがに空中の島田を動かす事まではできない。
ならば。
虫入り珊瑚で島田の落下の軌道を変え、己の残りの存在をかき消して鉄骨を回避すれば。
「俺が助かっても、お前が消えたら意味ないだろ・・・本当に・・・。」
赤岡にしがみ付いていた腕を放し、その頭に軽く拳骨を見舞って島田が憮然と赤岡に告げる。
「その点では・・・まぁ・・・信頼してましたから。」
島田と、そして小沢の事を。そんな言葉の最後の方は口にせず、赤岡は視線をもたげて小沢の方へ向けた。
虫入り琥珀の力が通じなかった小沢なら、何とかして自分を消滅から救うだろうと。
都合の良い信頼ではあるが、実際にこの人はそれに応じてみせた訳で。
「小沢さん・・・?」
淡い青緑の光をこぼすアパタイトを手に、じっと佇む小沢に赤岡は声を掛けた。
「・・・・・・・・・・・・。」
小沢は、答えない。
焦点のあっていない瞳を虫入り琥珀に向けたまま。
「・・・小沢さん?」
島田も小沢に呼び掛ける。それでも、小沢はピクリともしない。
「小沢さんってば!」
再度呼び掛けた島田の声の調子に、3人から少し離れた位置にいた井戸田と江戸むらさきの2人も
何か異常があった事を察して駆け寄ってきた。
「小沢さんっ!」
井戸田が呼び掛ける声にも、小沢は虫入り琥珀にアパタイトの力をぶつけた時と同じ姿勢のまま、
まるで彫像のように身動き一つ取りはしなかった。
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