[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
1-
101-
201-
301-
401-
501-
601-
701-
801-
901-
この機能を使うにはJavaScriptを有効にしてください
|
レス数が900を超えています。1000を超えると投稿できなくなるよ。
【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】
55
:
51
:2005/02/04(金) 19:14:03
グラウンド。
歓声。
チームメイト。
ゴール。
俺はただボールを追いかけて、走る。
「脇田!!右に切れ!!」
背後から声がする。
「…ヒデさん…」
急に涙があふれてきた。
涙が止まらない。
ボールさえ、見えない…
「ヒデさん・・・っ!!」
気が付くと、自宅のベッドの上だった。
「…夢か」
体の節々が痛む。
「ってぇ…庄司の奴、手加減しなかったな…」
俺の石は戦うには向いてねぇからなぁ、とつぶやきながら、脇田は起き上がった。
洗面所の鏡に自分の顔を映す。
ぼさぼさの髪にどこかの犯罪者のようなヒゲ。
普段ならなんとかちょっとは見られるようにして仕事に向かうのだが、今日はそんな必要もない。
『相方・ヒデの体調不良による入院』で、仕事があまり入っていない…ということになっている。
「ヒデさん…」
ヒデが「石」と一体化してしまったのは1週間ほど前のことだった。
テレビ番組の収録を終えた脇田が控え室に戻ると、ヒデが一人ぽつんと座っていた。
「あれ?ヒデさん先に帰ったんじゃなかった?」
「あぁ…ちょっと…」
ふらりと立ち上がり、不敵にほほ笑むヒデ。
「ヒデさん…?」
おかしい、と脇田は思った。
ヒデの胸元に揺れるネックレス…フローライトが濁った光を発している。
いつもなら、透明に光っているはずなのに…
「白いユニット」と「黒いユニット」の話は脇田も知っていた。
そして、数日前、ヒデが拾った「石」もそのひとつだということも。
しかし、「石」を持たない自分にとってはまったく無関係の話だと思っていたのだ。
ヒデはもともと白いユニットの側の人間のはず。
しかし、今のヒデが放つオーラは黒いユニットのそれそのものだ。
「ちょっと…どうしちゃったんだよヒデさん!!」
「どうもしないさ…ただ真実に目覚めただけでね!!」
「真実…?」
脇田がそう聞き返したとたん、急に視界が真っ暗になった。
空間が歪んでるみたいだ…脇田はそう感じた。
自分の足が地面についているのか、宙に浮いているのかすらわからない。
ただわかるのは、目の前にヒデがいること、それだけだった。
脇田はしっかりとヒデの目を見つめ、言った。
「真実って何?」
「今お前にわからせてやるよ……!!」
ヒデはニヤリと笑うと、サッと手を一振りした。
すると、その場に現れたのは無数のサッカーボール。
(ヤバイ!!)
そう思う間もなく、一つのサッカーボールが脇田のほうへ飛んできた。
しかし、脇田もお笑い界No.1と豪語するほどの身体能力の持ち主。
横っ飛びに飛んで、ギリギリでボールをかわした。
(理由はわからないけど、とにかくヒデさんの石が暴走してる…)
次々に飛んでくるボールを避けながら、脇田は必死に考えた。
(ヒデさんは本数を打てば打つほど体力を消耗する。
ヒデさんの体力がなくなってきたところでなんとか…)
脇田は濁った光を放つヒデのフローライトから目を離さないようにしながら、
ただひたすら飛んでくるボールをかわしつづけた。
もう何十本かわしつづけただろうか。
脇田はヒデの異変に気づいた。
キックのパワー・命中率共に最初のころと比べてあまり落ちていないのだ。
その代わり、ヒデはあきらかに苦悶の表情を浮かべている。
(ヒデさん……?)
ヒデの表情をしっかりと確認しようと脇田が目を凝らしたその瞬間、腹部に鈍い衝撃が走った。
「くっ…」
ヒデの放ったボールが、寸分の狂いもなく脇田の腹部に命中したのだ。
あまりの衝撃に、立っていることもできず、その場に崩れ落ちる脇田。
「ちょ………ちょこまか…しやがって…」
息も絶え絶えになったヒデが、一歩ずつ脇田のほうに近寄ってくる。
「ヒ…デさ……」
「教え…てやる……よ、真………実…………うわぁぁぁぁぁっっ!!」
ヒデが突然その場に倒れ、もだえ苦しみだしたのだ。
「ヒデさん!!」
脇田は腹部の痛みも忘れ立ち上がった。
そのとき、脇田は気づいたのだ。
ヒデの濁ったフローライトが、ヒデの中に取り込まれようとしていることに…
いや、むしろフローライトがヒデの中に入っていくかのように
フローライトは急速なスピードでヒデの中へ消えていく。
「くっ…うわぁぁぁぁっ!!」
「ヒデさん!!」
脇田の視界がぐしゃぐしゃになる。
まるで地震が起きたかのように、足元がぐらぐらと揺れる。
「ワッキー!!ヒデ!!」
背後で誰かが呼んでいる声がする。
しかし、今はそんなことどうでもいい。
「ヒデさん!ヒデさん!ヒデさん!!」
薄れゆく意識の中で、脇田は必死にヒデの名前を呼んでいた。
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板