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【失敗】廃棄小説投下スレッド【放棄】

44“Black Coral & White Coral” </b><font color=#FF0000>(t663D/rE)</font><b>:2005/02/02(水) 03:28:25
「・・・・・・・・・っ!」
小沢のアパタイトが放つ青緑の光が己の身に変化を及ぼした事を実感すると同時に、島田は表情を引き締め、跳躍した。
未体験の視界の動きと全身に伝わる感覚がしばし島田を戸惑わせるけれど、中学生の頃にやっていた
バスケのお陰か空中で大きくバランスを崩す事はない。
間もなく目前に迫る鉄骨に細い腕でしがみ付き、両足をしっかりと絡ませて。
蝙蝠のように逆さ吊りになると、島田は腕を解いて眼下を・・・降り注ぐ紫の光を防ぐ男を睨み付けた。
人差し指と中指の根元に白珊瑚を挟み込んだ状態で硬く握りしめた左手を、そのまま相手の方へ伸ばす。

『力は余所から貰う物じゃない。誰かから奪う物でもない。』
先ほど、白珊瑚の領域にて島田の姿を模した白珊瑚が告げた言葉が島田の脳裏にリフレインする。
力が欲しい、と素直に応じた島田に対し、白珊瑚は静かにそう言い放ったのだ。
「力は・・・自分の内側から自ら導き出す物。」
島田の唇が小さく動き、微かにこぼれた声は自らに言い聞かせる反復の言葉。
体勢が体勢なだけに、それ以上に状況が状況なだけに長い時間は掛けられない。
頭に血が逆流してか、ぼんやりする思考ながらも島田は左手の白珊瑚に意識を集中させる。

ずっと、この石はただ光るだけの石と・・・何かを清める事しかできない、戦いには不向きなクズ石だと思っていた。
でも。
『主殿がそう望むなら、願うなら・・・僕は幾らでも主殿の力になる。何故なら、僕は主殿自身でもあるのだから。』
・・・白珊瑚よ、その言葉が真の物であるのなら。僕は望む。だから、ここにその力を示せ。

祈るように命じた、刹那。
島田の左手を中心に漠然と湧き出していた白い光が眩さを増し、その姿を変える。
光は島田のイメージに添う形へと集束していき、その手応えに島田自身も驚きを隠せない。
光に手を加える事などできないという思い込みが、石の可能性を潰していくのなら。
これは役に立たない石だという決め付けが、石の力を弱らせていくのなら。

一体、今まで自分はどれだけの力を出し惜しみしてきた事になるのだろうか。

「島田くん・・・・・・。」
不安げに呟く小沢からは、島田の姿をはっきり見る事は出来ない。
島田の左手を中心に放たれる純白の光は、いつしか弓矢を象るようになっていて。
お年を召した女優さんの為に照明が運び込んでくる強力なライトもかくや、と言わんばかりの
天井から降り注ぐ輝きに、確か赤岡とかいった男の発する闇は徐々に押されていく。

「くっ・・・・・・!」
野村と磯山が放った無数のスーパーボールを耐えぬくも、周囲の闇を払われて。
歯を喰いしばり頭上の島田を見上げる男の姿は、左腕の消滅箇所が左胸にまで及び、それ以外の箇所も
何かのホログラフかといわんばかりに全身の色彩が薄れているようだった。

・・・俺達は、あんな奴を相手にしていたっていうのか?
頼んだと言い残して昏倒し、床に倒れ込んだ野村の隣でビッキーズの飴ちゃんを頬張り、
何とかあと1撃2撃分ぐらいの精神力は確保して、隙あらば殴りかかる心づもりだった磯山も。
男の異形の姿を見て一瞬心怯む。

その動揺を察してか、それとも磯山よりも島田から発される力に意識が向けられたのか。
男は右手を・・・虫入り琥珀を天に掲げた。
「邪魔を・・・するなっ!」
「・・・貴様こそ・・・これ以上みんなを傷付けるな! 目を覚ませ!」
気迫と共に、互いの石から光が解き放たれたのは、ほぼ同時。
剛弓から放たれた島田の光の矢は一直線に走り、男の発した漆黒の稲妻を飲み込み、かき消して床に突き刺さる。


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