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1とはずがたり:2008/03/24(月) 21:48:24
Lv:36
しょくぎょう:かんりにん

305名無しさん:2015/05/10(日) 20:32:45
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150411-00000032-mycomj-ent
定跡とは何か「将棋電王戦FINAL」第4局 - 村山七段の研究不発、ponanzaが示した可能性
マイナビニュース 4月11日(土)14時9分配信

●見慣れた不思議な初手
4月4日、プロ将棋棋士とコンピュータによる5対5の団体戦「将棋電王戦FINAL」の第4局が奈良県・薬師寺で行われ、将棋プログラム・ponanza(ポナンザ)が村山慈明七段に勝利した。コンピュータ側が開幕の連敗から巻き返し、これで両陣営譲らず2勝2敗。団体戦決着の行方は第5局に委ねられた。プロ棋士側にとっては第3局に続く勝ち越しのチャンスだったが、今回の敗戦で逆に後のない状況に追い込まれた。

村山七段は電王戦出場に意欲を示していた棋士のひとり。プロ間でも序盤研究に定評があり、事前研究ができる電王戦のルールとは特に相性のいい棋士と見られていたことは間違いない。ドキュメンタリーでも対コンピュータ戦に自信を持っていた様子がうかがえた。だが、その村山七段が「誤算」と言っていた存在がponanzaである。村山七段は「強さの次元が違う」など、ほとんど賞賛に近い評価をponanzaに向けていた。そして本局はponanzaの完勝といえる内容だった。村山七段の立てた対策は跳ね返されてしまったのだろうか。

○見慣れた不思議な初手

対局場は世界遺産や国宝といった貴重な文化財を擁する薬師寺。境内には桜が咲き、春らしいのどかな空気に満ちている。日差しは暖かく、東京を出るときに着ていたコートは厄介な荷物になった。行き交う観光客の表情も柔らかい。そんな中、真剣勝負が行われる対局室は別世界のように緊張に包まれていた。

ponanzaはトップレベルの実力を持つプログラム。第2回電王トーナメントでは優勝、「第2回将棋電王戦」で佐藤慎一四段(現五段)に勝利、「第2回将棋電王戦」で屋敷伸之九段に勝利といった実績がその強さを示している。開発者の山本一成氏は東京大学将棋部のOBで、自身の将棋の腕も相当なもの。プロ棋士の強さに畏敬の念を抱いているからこそ、ponanzaはある方向性のもとで改良が進められた。その方向性とは「既存の定跡に頼らない」という点だ。

コンピュータ将棋の序盤は、プロ棋士が指した前例を一定手数までなぞることが多い。しかし定跡は確立された手順そのものはもちろんだが、その礎となった失敗例にも価値があるもの。定跡手順のみを記憶しているコンピュータと、定跡を試行錯誤の総体として認識しているプロ棋士とでは、局面に対する理解度に差が出てくる。棋譜に現れない暗黙知を有するプロ棋士に比べ、序盤の精密さではまだ及ばないのが現状だ。

ponanzaはもともと早い段階で前例をなぞることをやめていたが、今回は独自の定跡を搭載して対局に臨んだ。ponanzaが指した初手(図1)もその影響だ。人間の目では作戦を限定して損だが、ponanzaはそう思っていない点が不思議なところ。作戦的に損というのは、たとえば飛車を横に移して戦う「振り飛車」を相手にする時に、守りの形が限定されてしまうことが挙げられる。それゆえ人間はこの手をあまり選ばないのだが、村山七段にとっては練習で見慣れた景色で、特に驚く様子もなく淡々と対局は進んでいった。ちなみに村山七段は局後、「振り飛車も試したが、それだけで勝てるほど甘くなかった」と話している。

今回、村山七段は主流戦型のひとつである横歩取りへ誘導した。練習では別の戦型である角換わりも指していたが、「同時並行して対策を進めるうちに一本に絞った」。その作戦が波乱を呼ぶことになる。

306名無しさん:2015/05/10(日) 20:33:00
>>305

●用意の決戦策、そして村山七段の不運
○用意の決戦策

村山七段といえばファンの間では「序盤は村山に聞け」という言葉が有名だ。これは故・村山聖九段が詰みに強かったことから、「終盤は村山に聞け」と言われていたことにかけている。その研究家が選んだ作戦は「相横歩取り」。横歩取りから、後手も負けじと歩を取るところから始まる戦法だ。早々に大駒が交換になり、いきなり終盤戦になることも多い。

図2はちょうど後手が歩を取ったところ。先手は金当たりになっているので、何かしらそれを防ぐ必要がある。実戦は図2から▲7七歩△7四飛と進んで図3。ponanzaは練習では、金の前に歩を打って飛車から守る傾向にあった。しかしこれは左側に壁を作る意味もあり、激しい戦いになったときに玉の逃げ道がないことが致命的な欠陥になる恐れがある。対して後手は飛車を引いてぶつければ、飛車交換で激しい展開に持ち込める。これが村山七段の描いていたシナリオだった。

この進行は相横歩取りでは古い定跡にあたり、先手が損をしているとされ廃れた順でもある。「飛車角総交換になるような激しい順では、勝率も悪くなかった」とは、記者会見での村山七段の言葉だ。先手が選びにくいはずの定跡に飛び込んでくれるのだから、これを利用しない手はない。村山七段が対策を相横歩取りに絞った理由もうなずける。ところが、この期待は最悪の形で裏切られる。

○村山七段の不運

ponanzaは図3で飛車を取らずに▲3六飛と引いた。これが「練習ではほぼ飛車を取ってきていた」という村山七段の予定を狂わせた一着。方針は飛車を取る手とは反対で、落ち着いた流れにしようとしている。「ほとんど指されたことがなく、研究していない形になってしまった」と村山七段。ponanzaの選択は結果的に相手の研究を外して「好判断」になったというわけだ。山本氏は局後、「ゆっくりした展開になってホッとした」と述べている。

村山七段にとってはこの時点で事前研究のアドバンテージが消え、うまみのない状況になってしまった。練習でほとんど指されない展開を本番で引いたことは不運と言えるし、そこが一発勝負の怖さなのだとも言える。

307名無しさん:2015/05/10(日) 20:33:12
>>306

●相横歩取り対策のサンプルとして提示しても申し分のない序盤
○ponanzaが示す可能性

序盤ではponanzaが興味深い指し回しを披露した。
図4は飛車の頭を押さえられ、先手がどこに飛車を逃げるかという場面。横歩取りでは飛車の横利きが重要な要素になるため、四段目をキープして戦うことが多い。人間の第一感は穴の開いている8筋に回る▲8六飛だ。しかしponanzaは▲5六飛△4二銀▲8六飛(図5)と不可解な手順を経て8筋に移動させた。5筋に途中下車しているので、手の損得で見れば純粋な1手損である。これを見て控室に詰めていた棋士は口々に「ありがたい」とつぶやいた。途中下車の間に後手は陣形整備が進んだ。見返りのない手損に思えたからだ。山本氏も「単なる手損のようで、不安になった」とこのときの心境を振り返っている。

ところがあとで検討すると、ponanzaは微妙な損得勘定のうえで手順を選んでいたことがわかった。△4二銀と銀を上がった形は後手玉の側面が開いており、たとえば飛車を持ったときに王手で打ち込む筋が生じる。図4と図5の後手陣を比較すると、図5がまさるのではなく、どちらも一長一短ある。これがponanzaの主張だった。

コンピュータは先入観にとらわれない自由な発想で、これまで人間が思いもよらなかった局面で定跡を動かしてきた。2013年、名人戦という大舞台で登場したponanza新手は、戦場となった矢倉だけでなく、相居飛車全体の勢力図を塗り替えるきっかけになるほどの影響力があった。このときは人間の盲点をコンピュータが指摘した格好で「組み合わせの妙味」が注目されたが、今回のponanzaの途中下車は、手の損得と形の良し悪しを天秤にかけ、既存の価値観に疑問を投げかけ新たな可能性を提示するものだ。これはプロ間でも最近になって深められるようになったテーマでもある。図4から図5に至る手順の意味を理解して、ponanzaに創造性の萌芽を感じた。

○参考になる駒組み

村山七段の研究は不発に終わったが、ponanzaが分の悪い定跡に挑んでいるという事実は残っていた。少なくとも対局中は、である。だがponanzaはその前提をひっくり返してしまう。

ponanzaは▲5六角成(図6)と強力な馬を作り、確かなポイントをあげた。ponanzaは中央に据えた馬でにらみを利かせながら、自然な駒組みでリードを保つ。先手がバランスよく陣形を発展させることができたのに対し、後手は駒組みが難しい。コンピュータ将棋は攻め重視の棋風であることが多く、ponanzaも途中で馬を切り飛ばして猛攻をかける順を読んでいたという。それを踏みとどまった結果のじっくりした試合運びは堂々たるもので、強者の風格を感じさせた。

分が悪いとされる選択から駒組みを進め、気づけば十分な態勢。相横歩取り対策のサンプルとして提示しても申し分のない序盤だったように思う。

●長い間「序盤に穴がある」と言われてきたコンピュータ将棋の進歩
○コンピュータの進歩

夕方になり、村山七段が顔をしかめる場面が増えてきた。うつむき首を振る姿は苦しげだ。控室や大盤解説会の見解はponanzaの態勢勝ち。後手は黙っていても押しつぶされてしまうので、村山七段も角を打って(図7)局面を動かしにかかった。自玉に近い場所から攻める諸刃の剣。旗色が悪いことは承知のうえでの勝負である。しかしponanzaの対応は冷静で、最後もコンピュータらしい紙一重の見切りで勝った。

今回何よりも悔やまれるのは、村山七段が用意した研究が見られなかったこと。勝ち負けは別にして、プロ棋士が時間をかけて準備した対策からどう展開するのか、見てみたかった思いは今でも消えない。

逆にponanzaが、偶然とはいえ過去に道が途絶えた定跡に可能性を示してくれたのは実りあることだった。プロ間でも過去の実戦から手を掘り返し、温故知新で前に進むというケースはこれまで何度も繰り返されている。こうした役目を担うのは、プロ棋士の中でも職人気質の人間であることが多い。

本局でponanzaが見せた構想も、そうした職人がもたらす気づきや再発見と同一線状にあることは間違いないのではないか。長い間「序盤に穴がある」と言われてきたコンピュータがそうした役を担いうるという事実に、コンピュータ将棋の進歩を改めて実感せずにはいられなかった。

(鈴岡圭)

308名無しさん:2015/05/10(日) 20:33:49
http://textview.jp/post/hobby/6331
室田伊緒女流初段が気づいた囲碁界と将棋界の違い
2013.07.18

『NHKテレビテキスト 将棋講座』誌上で連載中の、女流棋士がリレー形式でエッセイを綴る「さんぽみち」。今月の書き手は囲碁棋士の井山裕太棋聖と昨年結婚し、囲碁界に関わることが増えたという室田伊緒(むろた・いお)女流初段だ。対局や研究会のシステムなど、自分の生きる将棋界との様々な違いに日々気づかされているとか……。

* * *

昨年大学卒業と結婚を機に愛知から大阪へ引っ越しました。囲碁棋士の旦那さんと結婚して早一年。大きな喧嘩(けんか)も片手半分ほどしましたが、後腐れなく穏やかな生活を送っています。お互いに勝負師ですので、悪いことは寝たら忘れるようです。

将棋の世界に入って13年目になります。プロ入りしてからは8年が経たちました。初めは指すときのマナーも女流棋士という存在も何も知らず、将棋界での“当たり前”を徐々に覚えていき、今ではそれが基本となって久しいです。

お隣の囲碁界と関わることが増えてから自分の世界を改めて振り返ることが多くなりました。それまでは何の疑問もなく自然に受け入れていたものも、外から見ると珍しいのだなあ、と思ったりして。

例えば対局日などは、こちらの予定と相手の予定を手合い課に連絡し調整してもらうのが基本だと思っていました。それが囲碁界では原則木曜日と決まっています。同じことを将棋界でもしてみたらと想像すると、棋院はどれだけ広いのだろうかという結論になりました。

研究会も全く違います。こちらでは相手探しといつが空いていますか、から始まります。定期的に開催されるものは相手探しを省略。あちらでは手合い(こちらでいう対局)同様、何曜日と決まっています。そして基本誰が参加しても良い。なんて面白いシステムなのだろうと感心しましたが、これはお隣の世界の当たり前です。

極めつけは椅子対局。タイトル戦でも椅子で打っている光景は将棋ファンからは違和感しかありません。この制度に変わるときはやはり反対意見もたくさんあったようですが、今では楽な椅子対局が大人気となっているようです。

秒読み中のトイレに時間を止めてもらえる制度はこちらでも是非。

ほかにも、引退制度がないとか、女流棋士という概念はないけれど女流棋戦はあるだとか(女性なら10冠も夢ではない)、日本以外にもプロ団体があって今ではとても強いとか、将棋界に染まっている側からすると新しい発見が尽きません。それは囲碁界側からしても同じようで、時々思い出したようにお互いの違って良いところを話し合ったりしています。

当たり前すぎて気が付かなかったことも、今ではそれも魅力になり得るのかもと思うようになりました。小さなことでも人が見たら大きなことというのはよくある話で、将棋のほんの些細(ささい)な一面に惹(ひ)かれる人が増えるように、まずはその小さな魅力たちを見つけて発信していきたい、そう考えるようになりました。

そしてその一歩は毎月ここ、「さんぽみち」で。

※次回は室谷由紀女流初段です。

■ 『NHK将棋講座』2013年7月号より

309とはずがたり:2015/05/13(水) 13:51:55

ゲーム開発のイメージエポックが破産
http://www.excite.co.jp/News/it_g/20150513/Itmedia_nl_20150513039.html
ねとらぼ 2015年5月13日 13時08分 (2015年5月13日 13時25分 更新)

イメージエポック JRPG公式アカウント(@JRPG_PR)の更新は昨年10月で止まっている
 ゲーム開発のイメージエポックと関係会社スマイルオンラインゲームが5月7日に東京地裁から破産手続き開始決定を受けた。帝国データバンクが13日に伝えた。負債は2社合計で約11億300万円。

 「時と永遠〜トキトワ〜」「セブンスドラゴン」「ブラック★ロックシューター THE GAME」などのゲームを開発。2011年9月期の年収入高は約17億5100万円だったが、ゲーム開発の資金負担と、計画通りに売り上げを確保できなかったことから2013年9月期には年収入高が約4億1000万円に減少。2014年11月までには実質的な活動を停止していたという。

 先月には、アイディアファクトリーが公式Twitterアカウントで、イメージエポックの御影良衛社長と連絡が取れなくなっているとして連絡が取りたいと呼びかけていた。イメージエポックについてはそのころから、公式サイトがアクセスできない状態が続くなどして不安視する声が挙がっていた。

310名無しさん:2015/05/16(土) 21:51:04
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150409-00000001-hatenan-life
「プログラマーは将棋ソフトの思考を把握していない」 真鍋大度と山本一成がアップルストア銀座で語る
はてなニュース 4月9日(木)15時29分配信

日本将棋連盟が主催するトークイベント「トッププログラマーが語る人工知能:真鍋大度 & 山本一成」が、4月2日(木)に東京のアップルストア銀座で開催されました。アートと将棋それぞれの分野で活躍している2人のプログラマーが、人間と人工知能の未来について語りました。司会は、ニコニコ生放送の将棋番組などでおなじみのプロ棋士、遠山雄亮五段。この記事では、1時間のイベントの様子をレポートします。

▽ 4/2(木)アップルストア銀座でトークイベント開催! | イベント|お知らせ・イベント情報:日本将棋連盟

▽ 「トッププログラマーが語る人工知能:真鍋大度 & 山本一成」トークイベントの模様 | イベント|お知らせ・イベント情報:日本将棋連盟

「最強の将棋ソフト」開発者の素顔
イベントは、真鍋大度さんと山本一成さんの紹介から始まりました。真鍋大度さんは、1976年生まれのアーティスト・プログラマーです。サカナクションの楽曲からリスナーの好みを学習しつつ無数のリミックスを生成する「SYMPHONY」や、Perfumeの楽曲の再生数や聞かれている位置の情報を取得して視覚化するアプリ「Perfume Music Player」などのプロジェクトで知られます。真鍋さんは、「自分はアーティストかつプログラマーであり、データを集めて表現に使っているが、『人工知能』と呼べるところまで活用するのはこれからだと思う」と語りました。

山本一成さんは、1985年生まれのプログラマーで、将棋ソフト「Ponanza」を下山晃さんと2人で開発しています。「Ponanza」は2013年3月、将棋ソフトとして初めて現役のプロ棋士に公の場で勝利しました。2014年に行われた「第3回電王戦」では、屋敷伸之九段を熱戦の末に破りコンピューターの4勝1敗という結果に寄与しています。現在、チェスではコンピューターが完全に人間を上回っていますが、将棋では人間と人工知能が切磋琢磨(せっさたくま)しています。「最強の将棋ソフト」開発者の山本さんに注目が集まりますが、会場では自宅でくつろぐキュートな写真が披露されました。

Ponanza開発者の山本一成さん

どちらもビッグデータと機械学習を活用
真鍋さんと山本さんは、どちらもビッグデータと機械学習を活用している、という共通点があります。トークでは、同じアプローチでも真鍋さんの場合はアート表現なので「雰囲気が伝わればいい」のですが、山本さんは将棋なので「勝ち負けがハッキリする、そこに違いがある」というやり取りがありました。そこで司会の遠山さんから「将棋ソフトでもデータを視覚化できないか」という提案がありました。山本さんは「プログラマーは将棋ソフトの思考を把握していない。当たり前だが、開発者に理解できる手を指していたらプロ棋士には勝てない。しかし、どうしてコンピューターがそういう手を指したかという理由付けが欲しい。そのためには、思考ログの視覚化がキーになる」と語りました。

これから試してみたいプロジェクトとして、真鍋さんは「人工知能にDJをやらせてみたい」と述べました。世界中のDJがかけた音楽のプレイリストのデータから「この曲の次はこの曲がかかりやすい」などの情報を取得します。さらに、オーディエンスの好きな楽曲や心拍数、体の揺れ、視線、バーのお酒の売れ行きといった変数を組み合わせて、ダンスフロアを盛り上げたいとのことでした。山本さんは、人間がやっていたことをコンピューターが代替する状況で、逆に「人間とはどういうものか、ありありと見えてくる」と語りました。また、将棋においてもコンピューターが人間の上に立った後、人間が「どういう物語を作っていくのか」が重要であると述べました。

311名無しさん:2015/05/16(土) 21:51:36
>>310

コンピューターが打った点を、線にするのが人間
1時間のイベントはあっという間でしたが、最後に聴衆からの質問を受け付けました。「コンピューターに定跡は作れますか」という質問に対し、山本さんは「コンピューターは新手を指すことができるが、一連の流れとして体系づけるのが得意ではない。今、そういう取り組みもしている」としました。遠山さんは「コンピューターが打った点を、線にするのが人間」と付け加えました。また「コンピューターに『将棋の盤面の美しさ』は分かりますか」という質問に対し、山本さんは「美しさという観念は、人間にとっても時代によって変わる」と答えました。「プログラミングの初心者にどう教えればいいですか」というプログラマーからの質問も上がりました。山本さんは「作りたい物があるのが一番いい。現代のプログラミングは分野として巨大になっていて、全部を理解するのは難しい。プログラムを書いている時の意識はいくつかのレベルがあり、高速化に取り組んでいる時は、コンピューターの気持ちになっているかも」と語りました。真鍋さんは「プログラミングは、自分の予想していない物が出てきた時が面白い」と語りました。

遠山雄亮さん、山本一成さん、真鍋大度さん

人工知能をどこまで信用すればいいか
「人工知能をどこまで信用すればいいか」という質問で、今回のトークは締めくくられました。山本さんは「プロ棋士が角を成らなかったら、将棋ソフトがフリーズしたことがある。一応それっぽく動いているだけで、なんにでもバグはある。グーグルの自動運転車は、鹿が飛び出してきたら避けられるのか。また、人間なら安心なのか、という問題もある。どちらにせよ、ミスはあると思って、うまく社会と合意を取っていくのが大事」と答えました。真鍋さんは、「想像力が必要だと思う。ドローンを使っている作品は、ドローンが誤作動したら壊れたり、人間にけがをさせたりすることがある。プログラムを100%信用することはない」と語りました。

2日後に奈良の薬師寺で「電王戦FINAL」の対局を控えているにもかかわらず、終始リラックスして受け答えする山本さんが印象的でした(結果は97手で「Ponanza」が村山慈明七段に勝利)。このイベントの様子は、4月中にアップルがポッドキャストで配信します。配信後は、iTunes Storeの検索窓で「apple イベント」と入力すると、これまでの配信コンテンツ一覧に表示されます。ぜひチェックしてみてください。

新野漸

312名無しさん:2015/05/16(土) 21:53:40
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150401-00000093-it_nlab-sci
将棋電王戦FINAL 第4局――「次元の違う強さ」「もはや怪物」 Ponanza VS. 村山慈明七段の見どころは
ねとらぼ 4月1日(水)20時11分配信

 将棋のプロ棋士とコンピュータソフトが5対5の団体戦形式でしのぎを削る「将棋電王戦FINAL」。棋士側の連勝で幕を開けた戦いは、先週の第3局でコンピュータ側がついに1勝を返し、ここまで棋士側の2勝1敗という成績に。

 戦いも佳境に入る第4局に登場するのは、コンピュータソフト「Ponanza」(ポナンザ、開発者:山本一成)と、棋士の村山慈明(むらやま・やすあき)七段だ。今回も対局者のプロフィールと見どころをお届けしよう。

●次元が違う強さ。目指すは「人類最高の知性」への挑戦

 「私、相当負けず嫌いですよ。たぶんちょっと病気だと思います(笑)」

 そう語る山本一成(やまもと・いっせい)さんは、現在のコンピュータ将棋界におけるアイコン的存在だ。新聞やテレビ番組、各種イベントなどに登場することも多く、普段は陽の当たることの少ない将棋ソフト開発者の中でも、例外的に世間に名が知られている。

 その理由は、Ponanzaが「公の場で現役プロ棋士に初めて勝利したソフト」だから。そして、何よりも圧倒的に、強いから。

 「Ponanzaは全然ね、次元が違うんですよ。強さの次元も違う上に、感覚の次元が違い過ぎて着いていけないんですよ」(対戦相手である村山慈明七段)。電王戦には過去に2度出場しており、プロ棋士相手にいずれも勝利。今回のFINALの舞台をもって、唯一の3年連続出場ソフトとなる。

 そんな山本さんとPonanzaだが、ここまで順風満帆に進んできたわけではない。東大に入学してから目標を失っていた山本さんが、コンピュータ将棋開発を始めたのは7年前。以来、ひたすらに改良を続け、ここ数年は文字通り寝る間も惜しんで開発を進めてきた。駒をルール通り動かすことすらままならなかったソフトは成長を続け、プロ棋士をも凌駕する実力を備えるに至ったが、それでもまだ手にしていないものがある。

 優勝の最有力候補に挙げられながら、これまであと一歩のところで逃してきた世界コンピュータ将棋選手権。最強のライバルである「AWAKE」との頂上決戦に敗れた第2回電王トーナメント。Ponanzaの「敗者としての歴史」が、山本さんを一日10時間以上にも及ぶ開発へと駆り立てた。

 そして、ソフト間における“絶対王者”の地位を確立したその先に見据えるのは、山本さん自身が「人類最高の知性」と呼ぶ羽生善治名人との戦いだ。

 「私はポナンザが人類最高の知性と戦うところを見てみたい。ポナンザに戦う舞台を用意してあげたい。そのためにもっとポナンザを強くしよう。細かい改良も大事だが、やはりリスクを取った大きな改良を目指そう。そして何より楽しんで作ろう。今日も私はプログラムを書く。」(日本経済新聞「第62期王座戦第5局観戦記」より)

 山本さんは「人生で5つ、何か自分にとって誇れることをしたい。それも、できれば人類のためになることを」と言う。コンピュータ将棋開発(人工知能開発)がその1つ目になればいい、と考えている。

 「人生の残り時間を考えると、1つにつき10年しか掛けられないんです。でもまだ最初の1個も達成できていない。コンピュータ将棋開発は、あと3年でちょうど10年。時間はあまりない」

 諦めないこと、すべての可能性を探し続けることを、コンピュータ将棋ソフトの“無機質な”振る舞いの中に見出す。

コンピュータは諦めない、決して諦めない。あらゆる人間の精神よりも強く諦めない。どれほど悪くてもすべての可能性を調べ上げようとする。相手玉に王手をかけ、自身の負けを自身の探索の水平線へと追いやり、可能性を探し続ける。

(山本一成――Twitterにて。電王戦FINAL第1局、Aperyがコンピュータ将棋特有の「敗勢からの王手ラッシュ」を見せる中)

313名無しさん:2015/05/16(土) 21:53:57
>>312

●2勝1敗の第4局。巡ってきた理想の舞台で

 村山慈明七段は1984年生まれ、東京出身の30歳。本名は「やすあき」だが、棋士仲間やファンからは名前を音読みして「じめい」の愛称で呼ばれる。トップ棋士である渡辺明棋王とは同い年で親交が深く、昨年行われた自身の結婚式では2次会の司会を任せたほど(タイトルホルダーが司会を! と一部で話題になった)。渡辺棋王のブログにもたびたび登場しており、二人で絶妙な掛け合いをよく見せている。

 一方で、羽生名人とは同じ八王子将棋クラブ出身の先輩後輩関係に当たり、研究会の一員でもあるなど、若手ながら羽生・渡辺の両巨頭から深い信頼を受ける稀有な棋士と言えるかもしれない。

 電王戦では第2局に登場した永瀬六段と同じく、攻めよりも受けを重視する棋風で知られ、その緻密な序盤戦術から「序盤は村山に聞け」(※)の言葉も。2007年度、トップ棋士の登竜門である新人王戦で優勝し、現在は順位戦で上から2番目のクラスであるB級1組に所属する実力派だ。

※高い終盤力で知られた故・村山聖九段が「終盤は村山に聞け」と呼ばれたことにあやかったもの。

 今回の電王戦への出場は立候補によるもので、真っ先に手を挙げた。コンピュータ対策のために莫大な時間を取られ、敗れれば失うものもあるリスクの大きな戦いに、立候補によって出場する棋士は決して多くない。

 「(コンピュータ将棋との対決は)自分で言うのも変ですけど、向いているのかなと思いますね」(村山七段)。電王戦への出場が決まる以前から、自宅PCにソフトを入れて自身の将棋の検討などを行っており、コンピュータ将棋への造詣は深い。また、良いと思えば手段を選ばず勝ちにいく旨を宣言するなど、“FINAL”にふさわしい極めて実戦的な感覚を備えた棋士であるとも言える。

 「棋士って勉強して研究していくタイプと、ある程度感覚とかセンスとかで勝負するタイプとに分かれると思うんですけど、僕は明らかに事前研究していくタイプ。その代表みたいな感じなので」(村山七段)

 このように、自他ともに認める理論家、研究家であり、現実主義者とも評される村山七段だが、本番対局を前にしてその胸のうちは。先週行われた第3局のラストで、次局の展望を聞かれた深浦康市九段が明かしたエピソードが印象的だ。

 「プライベートな話だったんですが、村山さんにずばり『何勝何敗で第4局を迎えたいのか』と聞いたことがありまして。彼ははっきり、『2勝1敗で迎えたい』と言い切りました」(深浦九段)

 自分が勝てば、団体戦としての勝利を決められる。3勝0敗での消化試合でもなく、1勝2敗から次につなげるのでもなく、2勝1敗ならば。「勝ったら良いこと尽くめですよね。ヒーローになれるんじゃないかと思ってます」

 くしくも勝敗はその通り回ってきた。求める結果は一つしかない。

ほとんどのファンも、Ponanzaの方が有利だと見ている人が当然多いと思うんですけど。勝つのが難しいと思われている方が勝つのが勝負の醍醐味ですからね。

(村山慈明――「電王戦FINALへの道 #51」より)

314名無しさん:2015/05/16(土) 21:54:07
>>313

●第3局の見どころは

 戦いの行方を占う上でまず確認しておきたいことは、今回村山七段が後手番だということだ。第2局の見どころ記事でも触れたことだが、一般に将棋では後手番の勝率が悪い。人間のプロ同士の対局であれば、後手番での勝率は平均して47〜48%程度となる。

 ところが、その後手番をもって初めて電王戦で勝利した永瀬六段が、後日戦いを振り返って恐るべき発言をしている。人間同士では数パーセントに過ぎない先手後手の勝率の差が、対コンピュータ戦では「体感で3割違う」というのだ。いわく、「練習では後手番で勝率1割未満だったが、先手番なら4割は残せたのでは」。人間でも、対局者のレベルが上がれば上がるほど先手有利の傾向が顕著に勝率に表れるようになるが、対コンピュータ戦ではその比にならないほど勝率差が開いてしまう可能性がある。

 また、Ponanzaが人間の棋譜からの学習に頼らない独自の定跡生成を行っている点も、村山七段にとっての難しさとなる。昨年の2014年版Ponanzaには互角以上の戦いを見せていたという村山七段だが、バージョンアップした2015年版は「やってくる作戦が(2014年版とは)全然違う。プロの公式戦では出ないような形がさらに多くなっている」とのこと。

 他のソフトと同様、Ponanzaにも(棋士の事前研究にはまらないように)指し手のランダム性を高めるための工夫がされており、(1)評価関数に正規分布の乱数を入れる、(2)定跡があったとしても20%の確率で自分で考える、といった、対策する側からしたら厄介なことこの上ない仕様となっている。

 これまでに公開されている情報を総合すると、戦型として最も有力なのは横歩取りだろう。昨年の豊島七段-YSS戦のように序盤から一気に乱戦に持ち込み、Ponanzaの「一方的な、暴力的な攻め」を封じつつ、斬り合いに勝負を賭ける。攻め将棋のPonanza VS. 受け将棋の村山七段、というパブリックイメージ通りの展開がじりじりと続くようでは、おそらく人間側が勝機を見出すことは難しい。

 プロ棋士側がここで勝負を決めるか、あるいはコンピュータ側が2勝2敗の五分に戻して、最終局にすべてを委ねるか。将棋電王戦FINAL第4局は4月4日、奈良・薬師寺にて対局が行われる。

315名無しさん:2015/05/16(土) 22:01:28
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/33819
山崎元「ニュースの深層」
衰退か? 盛り返すか? 頭脳の格闘技「将棋」をビジネスとして考える
2012年10月17日(水) 山崎 元

羽生善治氏の前人未踏の偉業

 将棋棋士の羽生善治氏が今年7月、第83期「棋聖戦」で防衛を果たし、タイトル獲得回数が81回となって、歴代単独トップに躍り出た。かつてよりもタイトル戦の数が増えているとはいえ、69歳まで現役の第一線で戦い続けた大山康晴15世名人の記録を41歳で破ったのだから、文句なしの偉業だ(大山名人が最後の、つまり80回目のタイトルを獲得したのは59歳の時)。そして、羽生氏はその後もタイトル戦での勝利を積み重ねている。

アマチュアの一将棋ファンに過ぎない筆者が両者の記録を内容的に評価することはできないが、私見では、羽生氏の時代の方が大山名人の時代よりも、ライバルの数が多く、かつ強かったのではないかという印象を持っている。世界的に見ても、「頭脳の格闘技」のプレーヤーとして、突出した実績だ。なお、羽生氏は、趣味のチェスにおいても日本のトッププレーヤーである。

周知のように羽生氏は、1996年に7大タイトルを全て制覇する前人未踏の「七冠王」を達成し、広く世間に向けて将棋ブームを巻き起こした。この時期に、将棋界はファンの裾野を拡げ、ビジネスとしても潤ったように見えた。

しかし、近年、プロを巡る将棋ビジネス、主として日本将棋連盟のビジネスは、必ずしも順調に伸びていないように見える。

有利な要素はあるのに「成長の止まった中小企業」状態

 日本将棋連盟のホームページを見ると、平成23年度(3月末決算)の経常収入実績は約27億900万円だが、翌年度の収支予算書の同項目は約26億6700万円と減少している。本年度の初めの時点で、将棋連盟の正会員名簿には220名の棋士が名前を連ねている。端的に言って、成長の止まった中小企業に見える。

将棋という全国的にポピュラーなゲームをコンテンツとして擁し、その構成員の一人一人が天才、あるいは少なくとも元天才レベルの頭脳のアスリートであることを考えると、「現在の収入は、もう少し多くてもいいのではないか」という思いを禁じ得ない。

ちなみに、東日本を主なテリトリーとする囲碁の日本棋院の年間経常収入はざっと38億円だ(昨年度)。囲碁を趣味とする人には資産家や高額所得者が多い、というファン層の傾向の違いがあるとしても、「ルールを知っていて、自分でもゲームに参加できる」という人口は将棋の方が多いはずだ。なのに、将棋連盟は日本棋院に収入で差をつけられている。

どうやら、将棋連盟はビジネスが下手だ。

316名無しさん:2015/05/16(土) 22:02:07
>>315
 棋士の収入は、対局料と賞金、及び将棋連盟からの給与所得だけではなく、棋士が個人的に行う稽古、道場、スクール、著述業収入などを含むので、「プロ将棋経済圏」の総体は連盟の収入よりも大きなものになる。だが、それらを考えても、もっと成長の余地はないものか。

商品として「将棋」というゲームを評価すると、①知名度は抜群でルールも広く普及しており、②アマチュアのプレーヤーに加えて、テレビ棋戦やネット中継などの“観戦ファン”も多く、③今後の日本社会が高齢化するとしても、高齢者に対する親和性が高く、④PCやゲーム機、スマートフォンなどでプレーできるゲームでもある、といった有利な要素を持っている。

需要の掘り起こしが、もっと期待できるのではないか。

「新聞の衰退」「コンピューターの進化」「スターの高齢化」という問題

 他方、厳しい要素もある。

プロの将棋の主なスポンサーは、新聞社や放送局のようなメディアだ。NHKを除くと、彼らは、将棋による読者や視聴者の獲得と広告効果に期待して、タイトル戦の契約料という形で(大きなタイトル戦だと年間数億円の)お金を払ってくれる。

しかし、新聞の実質購読数は落ち込んでおり、同時に、広告獲得でも苦戦を強いられている。今後、タイトル戦が打ち切りになったり、契約額の引き下げ交渉をスポンサー側から持ちかけられたり、といった逆風が生じる公算は小さくない。

また、コンピューターのハード、ソフト両面の発達により、プロ棋士がコンピューターに勝てなくなる時代が目前に迫っている。

先般、現役の棋士ではないとはいえ、往年の一流棋士だった米長邦雄・日本将棋連盟会長が、コンピューター将棋ソフト「ボンクラーズ」と対局して敗北した。走るのが自動車よりも遅いからといって、陸上競技のスターの価値が落ちるわけではないが、コンテンツとしてのプロの将棋対局のブランド価値をどう守るかということは、考えなければならない課題の一つだ。

加えて、スター棋士たちの「年齢問題」がある。最大のスターである羽生善治氏、あるいは羽生氏の同世代のライバルたちを含む通称「羽生世代」のスター棋士たちが、加齢を背景に勝率を落とすような時期にさしかかった時に、コンテンツとしてのプロの将棋対局の価値が保たれるか否かについては、少なからぬリスクがある。紙メディアの雑誌の多くが、読者の平均年齢の高齢化と共に部数を減らしている現象を見ると、羽生氏の「七冠フィーバー」の頃のファンが、徐々に将棋から離れていく可能性が大いにある。

広く一般向けの人気面でも将棋界を牽引できるような若手スターは、まだ十分に育っているとは言い難い。

317名無しさん:2015/05/16(土) 22:02:44
>>316
また、ネットの発達がもたらす影響についても、不透明な要素がある。現在、コアな将棋ファンの多くは、タイトル戦などプロの将棋の大きな対局を、ネット中継で無料、ないし無料に近いコストで観戦している。

プロの将棋のリアルタイムでのネット観戦は、刺激的で魅力的なコンテンツだが、例えば将棋ファンの多くが既存の新聞の購読を止めて、プロ対局のネット観戦にシフトしたら、どんな状況が訪れるだろうか。将棋連盟は現在、その場合の対策となる有効なビジネスモデルを持っていないのではないか。

将棋はどこまで「フリー」がいいのか

 マーケティングの一般論として考えると、デジタルで表現されてネットに乗り「フリー(無料)」になったコンテンツの収入減少をカバーするには、ないしは「フリー」で顧客を集めて収入を増やすには、「フリーの顧客」の中でもとりわけ熱心な、「私はお金を払ってもいい」という顧客から収入を得る方法を考えなければならない(近年、こうした収入を「フリー」と「プレミアム」を混ぜて「フリーミアム」と呼ぶ)。

将棋界は、プロの対局という主力コンテンツから十分なフリーミアムを得る方法を、未だに開発していない。ネットビジネスにたとえると、少数の大手法人顧客(新聞社など)数社の棋戦契約料に頼った、「広告モデル」に近いビジネスである。広告主の行動や盛衰の影響を大きく受ける、脆弱なビジネス構造と言える。

 たとえば、音楽のデジタル配信が増えて、プロの音楽アーティストは、CDの売り上げの減少に直面している。一方、彼らは、お金と時間をかけてコンサートに来るような熱心なファンを対象に、コンサート・チケットの値段を上げる、コンサートの際にグッズの販売などで副収入を得る、ダイレクトにチケットを販売してチケット販売の利益率を上げる(顧客データベースの活用を含む)……といったビジネス上の工夫をして、収入を得ている。「近年、コンサートのチケットが高い」と感じている読者は多いのではないか。

一将棋ファンのサンプルとして、筆者自身について考えてみよう。筆者は学生時代に将棋部に在籍し、現在の棋力はアマ四段程度だ。プロの将棋は、主なタイトル戦や順位戦(名人戦の予選であると同時に、棋士の格付けに大きく影響する棋戦)の多くをネットで観戦している。敢えて自分で言うが、将棋連盟としては、「有望な見込み客」だ。

318名無しさん:2015/05/16(土) 22:03:11
>>317
しかし、筆者が将棋に定期的に支払っているお金は、直接的には、順位戦をネット中継で観戦するための月間500円(@niftyのサービスによる)と、雑誌「将棋世界」の毎月の購読料750円程度にすぎない。年間で、たった1万5000千円だ。これを、顧客である筆者の満足度の向上を伴いながら、できれば10倍、せめて5倍くらいまで高めることができないか。

ちなみに、別の趣味である競馬では、馬券収支の差し引きで1ヵ月に2万円くらい負けることを「普通だ」と許容している(この費用の、心の会計上の分類は「教養娯楽費」だ)。ほどよい時間で十分楽しめるなら、筆者は、将棋にもこれくらい払ってもいいと思っている(競馬もやめるつもりはないが)。

ちなみに、筆者の息子は1年前から、将棋連盟で開催されている子供将棋スクールに通うようになり、月間6000円の月謝(年間7万2000円)を払うようになったが、これは、たまたま息子が将棋に興味を持ち、彼の母親が連盟の子供将棋スクールを見つけたからで、将棋連盟が筆者から稼いでいるものではない。

健全だが、消極的とも言える経営

 ところで将棋教室は、将棋の家元(的)ビジネスを営む将棋連盟にとって重要な収入源だが、一つだけ改善を望む点を指摘すると、現在、千駄ヶ谷にある将棋連盟の本部の建物(将棋会館)は、キャパシティが不足している。教室を開く部屋の数も足りないと思うし、子供が教室にいる間に親が待つ場所が極めて不自由だ。

筆者は、娘が日本棋院の囲碁教室に通う際に同行したことがあるが、子供のための教室の数とスペース、親が待てる待合室などの設備は、東日本の囲碁の総本山である日本棋院の方が圧倒的に良い。

熱心な将棋ファンからの収入を「深掘り」していくことが重要だとする仮説に従うなら、将棋会館は、そのための場としても重要だ。

将棋連盟は、もっと大きな本部を作るか、移転する必要があるのではないだろうか。熱心な将棋ファンに対して、今後さまざまな「プレミアム感」のあるサービスを提供するにも、もう少し大きくて綺麗な「箱」が要る。

319名無しさん:2015/05/16(土) 22:03:40
>>318
一方で、年間売上高が二十数億円の一中小企業であるという将棋連盟の経済実態を考えると、不動産への投資には慎重でなければならないという事情はある。しかし、将棋連盟のバランスシートを見ると、総資産約21億円に対して、流動負債は3億2600万円で、その大半が未払い金と前受金であり、固定負債に至っては、退職給付引当金が1億3500万円あるだけで、要は大きな借り入れがない。これは、健全経営ともいえるが、企業としては、ずいぶん消極的な経営である。

コンピューターに勝てなくなった時の、人間の強みとは

 さて、将棋産業のメインコンテンツであるプロ棋士どうしの対局は、現在のままでいいのか。あるいは、ビジネス上、もっと工夫の余地はないのか。
将棋というゲームは、観戦している第三者にとって勝敗がわかりやすく、見ていて実にスリリングなゲームだ。負けると本当に悔しいゲームなので、勝敗がつくまでの過程には「頭脳の格闘技」の趣がある。

一方で、一局の将棋の観戦には、持ち時間の短い棋戦でも数時間を要し、観戦者にとっては時間のコスト負担が大きい。これが、商品としての将棋対局の大きな難点だ。

名人戦や順位戦の上級クラス(A級とB級1組くらいまで)では、伝統の継承という意味でも、持ち時間の長い将棋があってもいいと思うが、「見せる」ことを考えると、全般に持ち時間を短縮してスピードアップを図るべきだ。

また、対局の映像(格闘技において、戦う人間の動画映像は必須だ)を編集して一局をスピードアップして見せるような仕掛けを考え出せば、現在棋譜が世に出ていない対局も含めて、多くの観戦者を集められるのではないか。棋士はプロフェッショナルである以上、対局あるいは棋譜を観る顧客がいて、初めて報酬(対局料)に見合う仕事をしていると言えるのだと思う。

なお、B級2組以下の順位戦は、対局数が少ない一方で(各組とも1人10局)、戦う相手の組み合わせによる有利・不利の違いがあまりにも大きい(B級2組の棋士は24人、C級1組は34人、C級2組は46人もいる)。実力に近い結果を得るためにも、持ち時間を短縮して、もっと対局数を増やすべきではないか。

また、早指しで一日あるいは二日で優勝者が決まるような、進行の早い「興業」があってもいい。アマチュアや女流棋士にも参加枠を与えて賑やかにやれば、集客力のあるイベントになりそうだ。

 持ち時間の短縮された早指し戦を増やしすぎると、将棋の内容が荒れる可能性はあるが、棋士の事前研究が進んでいる今日であれば、内容が酷く荒れることはないと想像する。

後の話題とも関係するが、生身の棋士がコンピューターに勝てなくなった時、価値の源泉となる「プロの凄さ」は、「一定の時間の制約の中でいかに頭脳と精神の力を発揮するかに」移行せざるを得ない。もちろん、ビジネスとしても、観戦者の立場で見た「時間」と、その時間を前提とした「見せ方」を考える必要があろう。

他方、名人戦のような戦いをじっくり味わいたいファンに対しては、入場料が安い大盤解説会だけでなく、プロ棋士による検討・解説付きで、食事付きといった密度の高い「もてなし」を伴った、プレミアム料金(数万円?)の観戦を用意してもいいだろう。そのためにも、もっと大きくて整備された「箱」が必要だ。

320名無しさん:2015/05/16(土) 22:04:09
>>319
 将棋連盟の事業ではないが、現在A級に在籍している橋本崇載八段は、東京・池袋で、将棋とバーを組み合わせた店を出しているとのことだ(一度お邪魔してみたい!)。現在の経営状況は存じ上げないが、これはビジネスモデルの方向性として、案外オーソドックスな試みと言える。

コンピューターとプロ棋士を「混ぜた」時の面白さ

 コンピューターと人間(プロ棋士)との戦いは、当面、関心を呼ぶ話題になるだろうが、前述のように、いずれは人間が勝ちにくくなる状況が予想される。コンピューターの将棋は、ハード、ソフト両面から今後も強くなるだろう。

特に、持ち時間が短くなる戦いでは、遠からぬ将来、普通のノートパソコンにインストールされた商用将棋ソフトに、プロ棋士がどんどん負けるような状況になってもおかしくないと思う(少なくとも、そうなることのビジネス・リスクは想定しておくべきだ)。

将棋において人間が最強ではなくなった時、あらためて、限界を抱えた人間同士の頭脳の格闘技としての将棋の「魅力」やその「見せ方」を考えなければなるまい。

さらに、ここで視点を変えるなら、コンピューターを積極的に使った将棋の戦い方を考えたい。

 たとえば、「プロ棋士同士が、実力を一定レベルに揃えたコンピューターを使っても構わない」として戦うと、どうなるのだろうか。

また、棋士が、コンピューターに与える判断条件や戦い方の選好などの設定を変えて、自分の棋風にチューニングしたプログラムを作り、プログラム同志を戦わせるとどうなるだろうか。このやり方なら、アマチュアも相当程度、プロと互角に近い戦いを挑むことができるだろう。将棋ソフトをプラットフォームとしたアマ・プロ戦も楽しい。

仮に、将棋ソフトの手を読むエンジン部分を共通にして、局面の評価や作戦などを選ぶ部分をチューニングできるようにすると、似たレベルの強さの下で個性の豊かなプログラムを作ることができるだろう。プログラム同志の選手権争奪戦も興業として可能だし、棋士の個性が反映されたプログラムを商品化して、棋士と将棋連盟がライセンス料を取るようなこともできるだろう。

321名無しさん:2015/05/16(土) 22:05:35
>>320
 将棋ソフトに人間(棋士)の個性を加えたり、あるいは人間が将棋ソフトを使いながら将棋を指したりするスタイルは、将棋の教育にも使えるのではないか。たとえば、オンラインの道場を作り、先生側が生徒のレベルや個性にチューニングしたプログラムを使って、ときどき人間の指し手を交えながら生徒の相手をし、トレーニングと共に棋力認定を行う、といったサービスが考えられる。将棋ソフトを効果的に使うと、教える側の人数が少なくても、多くの生徒の相手ができるはずだ。

生徒側はスマートフォンを使ってもいいだろう。棋力認定の対局を毎月2局くらい無料にして集客し、多くの対局や指導を望む顧客に課金する、というビジネスモデルはどうだろうか。

将棋が強く、経営者としても優秀な「奇特な天才」

 また、プログラムを相手に将棋を指したとしても、後の講評を人間(レッスンプロ)が、スカイプのようなサービスを通して動画と肉声でやってくれるなら、かなりプレミアム感のある(つまり、お金を取ることができる)サービスになりそうだ。講評する際にも将棋ソフトが役に立つことは間違いないが、内容、声、言葉、映像などで生身の人間を「混ぜる」と、一段と良いサービスになるのではないか。

思うに、相手の映像(動画)あるいは肉声は、オンラインの対局でもあるといい。将棋の指し手だけをやりとりするのではない、相手の姿が見えるオンライン将棋道場を作ると楽しいのではないか。快適な環境を作ることができれば、課金も可能だろうし、ローコストでの提供が可能になれば、基本的サービスは無料化して、トレーニング、棋力認定、講評などを有料オプション化する形で行けるかもしれない。

あれこれ考えてみたが、コンピューター・プログラムやネットを積極的に使った将棋の競技、教育、オンラインも含めたゲームなどには、面白い可能性が十分にありそうに思う。ビジネス主体としての将棋連盟は、この分野の研究・開発に投資すべきではないだろうか。

 コンピューターとプロ棋士を小出しに戦わせても、話題が保つ時間はたかが知れている。むしろ、その間、コンピューターと共存する将棋ビジネスの展開が遅れることがもったいない。プロ将棋界は、コンピューターとネットワークの積極的な取り込みを図るべきではないか。

322名無しさん:2015/05/16(土) 22:10:28
>>321
将棋連盟の経営の現状は詳しく存じ上げないが、将棋をビジネスとして考えることのできる、競争力のある「経営陣」(一人の「経営者」では無理だろう)が必要に思える。ただし、一人一人が「天才」だという自意識を持ち、一家言も持った一国一城の主であるプロ棋士約200人の組織を経営するというのは、想像するだけで悪夢に近い仕事だ。

棋士に文句を言わせないくらい将棋が強く、同時にビジネスにも熱中する「奇特な天才」が将棋界にいてくれるといいが、これは難しいかもしれない。

さりとて、ゲーム会社、マネジメント会社、企画会社、コンサルタントのような外部の主体にビジネスとしての将棋の展開を大きく委ねる方式を成功させるのも大変だろう。将棋ファンとしても心配だ。

盤上のゲームとしての将棋も難しいが、ビジネスとしての将棋も大いに考えるに値する大きなゲームである。

323名無しさん:2015/05/22(金) 23:32:15
http://www.hozo.biz/shogi/
https://www.google.com/webhp?sourceid=chrome-instant&ion=1&espv=2&ie=UTF-8#q=%E5%B0%86%E6%A3%8B
http://matome.naver.jp/odai/2141571824016867801?page=2
http://www14.big.or.jp/~ken1/application/shogi.html

324名無しさん:2015/05/24(日) 18:09:44
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150516-00000077-spnannex-ent
将棋界の藤川球児に…今泉健司氏 41歳遅咲き男の夢への挑戦
スポニチアネックス 5月16日(土)9時15分配信

 将棋のプロ編入試験に合格して先月1日、戦後最年長の41歳でプロ棋士となった今泉健司四段。3月末に上梓した著書「介護士からプロ棋士へ 大器じゃないけど晩成しました」(講談社)でつづった夢を追い続ける姿勢が、将棋ファンはもちろんそれ以外の読者の共感を集めている。遅咲きのルーキー。根っからの阪神ファンだけに、かつての守護神・藤川球児投手(34=現レンジャーズ)の名を挙げ「苦労した末に抑えに転向してブレーク。そういう姿が思い浮かびます。ただ、私はまだ咲いてませんが…」と自身と重ねて快活に笑う。

 夢をかなえるまでの長い道のり。プロ棋士養成機関「奨励会」に入ったが、年齢制限の26歳までにプロになれず退会。その後2度目の入会がかなったものの、やはり結果を出せず2度目の退会を余儀なくされた。著書の中では「甘かった」と記し、「負けるのは自業自得。ただ、当時は“勝って当然、負けたら心外”とふて腐れ、自分が悪いということを真摯に認める力がなかった」と振り返る。

 2度目の退会時ですでに35歳。さすがに「プロになるのは無理」とあきらめかけたが、元奨励会員の立場から特例でプロ編入試験を受けて合格した瀬川晶司五段の存在が、再び自身のプロ入りへの夢に灯をともす。そして、自身の心境に最も変化を与えたのが、その後経験した介護士としての日々だった。

 認知症の人たちに感謝の言葉をもらううちに、自然と感謝の気持ちがわいてきたという。「ありがとうがありがとうを呼び、感謝が感謝を呼ぶんですね」。また人の死と接することで悔いのない生き方を強く意識するように。「将棋しか知らなかった人間が将棋以外のことで信頼や自信を得て、それが大きく将棋に生きた気がします」と力を込めた。

 プロになって約1カ月半。10年以内に昇級しなければ即引退と、依然過酷な戦いは続く。それでも夢は「タイトル戦に出て活躍すること」ときっぱり。「アマチュア時代にには描けなかった夢を今は描ける。道は険しいけどゼロじゃない。去年の今頃にはこんな思いさえ抱けなかったのですから、こんな幸せなことはないです」。

 生粋の虎党。「藤浪(晋太郎投手)よ、しっかりせい!持ってるものが違うから余計に今の成績では歯がゆい…」など、阪神の話になったら止まらない。そこで“阪神”と“遅咲き”の2つの言葉で水を向けると「思い浮かぶのは藤川選手でしょうか。先発で投げて苦労して“いつクビになるか分からない”と思いながら、それでも抑えに転向して日の目をみた。松坂世代で一番遅れてきた選手。25歳という選手としては剣ヶ峰のところで開花した…そういう姿が思い浮かびます」。また「これから咲こうという選手」として上本博紀内野手の名も。「選手会長にもなられたし、咲いてくれることを期待して」と自身に言い聞かせるかのようにエールを送った。

 13日のプロ初戦を白星で飾る絶好の滑り出し。「立派でもない、こんな自分でも夢をかなえることができる。それを伝えたい。将棋を通じてでも、そうでなくても“またこいつに会いたい”と思ってもらえる。そんな人間になっていきたいですね」。オールドルーキーの新たな人生が動き出した。

 ◆「介護士からプロ棋士へ 大器じゃないけど晩成しました」(講談社刊) プロ棋士になるべく中学2年生で奨励会に入会したものの、2度の退会を経験。それでも自身の努力と周囲の支えを受けて復活した今泉健司四段の生い立ちから、挫折、そして夢をかなえるまでをつづった。「可能性に蓋をしなければ、年齢なんて関係ない」。今泉氏の名言も満載。

325名無しさん:2015/05/24(日) 18:33:52
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150404-00000000-isd-game
【オールゲームニッポン】日本の新しいもの好き、進取の精神(第17回)
インサイド 4月4日(土)0時0分配信

毎週土曜日0時からお届けしている「安田善巳と平林久和のオールゲームニッポン」。第17回目は、前回から続いて「三つ良し」の話題からスタート。そして話は日本人のロボット好きへと展開していきます。



平林 前回、日本が切り開くかもしれない新しい資本主義のかたち。「公益資本主義」の話題になりました。そこで、昔からの日本の商人の教え「三つ良し」の例を紹介しました。
安田 「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」。売り手が欲望を満たすだけではなく、買い手、さらに世間のためになるようにしなさいという教えですね。
平林 はい。ところで、この話。「けっして日本オリジナルではないんじゃないか」と突っ込まれるんじゃないか。内心、ハラハラしていたんです。日本語で言えば「買い手よし」だけど英語で言えばカスタマーサティスファクション(CS=customer satisfaction)ではないか。世間良しだって、企業の社会的責任(CSR=corporate social responsibility)のような用語もあるわけでして。
安田 確かにありますよね。
平林 似たような用語を見つけることができるのですが、何かが違うと思います。この違いについていろいろ考えまして……日本は「道の精神」とでも言うのでしょうか。商道という言葉もあるくらいで、欲望に対して抑制的なのかなと思いました。
土本 「道の精神」ですか?
平林 制約の中で競う。カタチを重んじる。花をいっぱい生けて「ドヤ、きれいだろ」というのはナシ。流儀を重んじて美を競って、その工夫の成果を「華道」という、こうした精神ですね。
安田 抑制的というのは、日本人の商売を語るうえでのキーワードになるかもしれませんね。住友家の家訓にも「浮利を追わず」というのがあるじゃないですか。社会的な価値がない一時の利益を求めるな、という戒めです。
平林 それに比べて……と言っては語弊があるかもしれませんが、アメリカ型の経営学の基本は「利益の最大化」。最大化を常に念頭に置いたうえで顧客満足度を計算しているイメージがあります。
安田 あと、やはり日本人は進歩的なんじゃないでしょうか。俗っぽく言うと新しいもの好きということですが。
平林 新しいもの好き?
安田 はい。単純な話ですが、西洋で近代経営学が生まれる以前から「三方良し」とか「浮利を追わず」とか、当時の価値観から見たら斬新なことを唱えていたと思うんです。
平林 確かに。住友家の教えは400年続いていると聞いたことがあります。チラシの配布や顧客の好みに合わせたバイヤーの育成、返品可能な販売方法など。マーケティング活動の原型は、1683年に開業した越後屋(今の三越)が生んだとも言われてますよね。
安田 これは僕の主観が交じりますが、ヨーロッパの企業哲学というのは保守的だと思っています。歴史・伝統を大切にして新しいものには、飛びつかない。
平林 ゲームでいうと、アナログのボードゲームを好む感じでしょうか?
安田 近いかもしれませんね。ぶっ飛んだことを考えるところから着手するのではなくて、歴史や伝統を重んじた態度で企業経営をする。こうした考え方の根底には、ドイツ語でゲマインシャフトとも言いますが、地縁・血縁で結ばれた共同体を大切にしてきたこと。そして、おそらくこれはキリスト教的な倫理観とつながっているとも思うんですよ。
平林 キリスト教と保守的。そうなんですよね。天動説と地動説の対立からもわかるように、中世のキリスト教って、科学の進歩を戒めていたところが多々あります。このコーナーでは以前に、絵の話、色の話になって。キリスト教は混色を禁じていたという話も出ましたが、人が神様以上の知識や能力を持ってはいけないという考え方が、ヨーロッパでは浸透しているように思えます。
安田 対比すると、日本にも「神をも恐れぬ」という価値観は当然あるわけですけれども、技術の進歩を神への冒涜とはあまり考えません。むしろ神道的な考えでいえば、新しいものは清浄なものととらえることが多いくらいです。
平林 唐突ですが、日本人のロボット好きは異常じゃないですか?
安田 みんな好きですね、ロボット。

326名無しさん:2015/05/24(日) 18:34:04
>>325

平林 またまた将棋電王戦の話をしてしまいますが、チェスでも人間対コンピュータの戦いはあります。ですが、将棋電王戦はぶっ飛んでいて、駒を持って盤上で動かすロボットまでつくってしまって。しかも、このロボットが異常なまでに進化してるんです。
安田 どこかの大手メーカーさんがつくったんでしたっけ?
平林 デンソーです。高級・高価な将棋の駒を吸盤でつけるのは邪道なので、指でそっとつまみ上げる機能がついています。従来はこのロボットに「電王手くん」という名がついていましたが、くんづけするのは忍びないということで、今年のモデルから「電王手さん」とさんづけすることになりました(笑)。


デンソーが開発したロボットアーム「電王手さん」
安田 さすが、新しいもの好き、日本(笑)。
平林 ロボットというのは、とらえようによっては人間の身体や生命に近い存在です。キリスト教的に考えると、こういうものをつくってしまうのは抵抗感があるはずです。ところが日本人的な感性からすると、工作好きの高校生も一級のエンジニアも、つくるのがおもしろくて仕方ないのがロボットなんですよね。
安田 新宿でしたか。外国人観光客の方たちが集まるロボットのレストランがありますが、現代におけるロボットは新しいもの好き日本の象徴なのかもしれませんね。
平林 子供の頃、神棚と仏壇を毎日拝んでいる祖父母を見てきたせいでしょうか。日本的なもの=古いものと捉えてました。中学生の頃になると洋楽とかを聞いて、西洋的なもの=新しいもののイメージができるわけです。ところが、宗教や歴史を学んでいくと日本の新しいもの好き、進取の精神に気づくことになります。そのいっぽうで、キリスト教や西洋の保守的な面にも気づきます。このイメージの置き換え作業は、年月を重ねてできるようになったという感覚があります。

(つづく)

327名無しさん:2015/05/24(日) 18:35:00
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150330-00000062-it_nlab-sci
将棋電王戦FINAL第3局は「やねうら王」がソフト側初勝利 人間有利の前評判を覆したのはまさかの「電王手さん」
ねとらぼ 3月30日(月)16時50分配信

 3月28日、プロ棋士と将棋ソフトが戦う5対5の団体戦「将棋電王戦FINAL」の第3局、稲葉陽七段対やねうら王の対局が行われました。

 第1局、第2局を連勝したプロ棋士側は、ここで勝って電王戦史上初の勝ち越しを決めたい状況。また、稲葉七段は今回出場する5人の中で最も勝てる可能性が高いのではという前評判がありました。その根拠となるのが稲葉七段が事前の研究で発見した「門を開けて待つ作戦」。あえて自陣に隙を作り、相手の飛車をおびき寄せてから取ってしまうというもので、開発者の磯崎元洋さんも「回避できなければワンサイドで負ける可能性が高い」とその作戦が極めて有力であることを認めていました。

 人間側が連勝していることもあってか、ニコニコ生放送の解説陣の雰囲気も明るめ。以前も無茶振りでおやつ食レポをさせられた糸谷哲郎竜王は、結び目のない不思議なネクタイの結び方で登場するという妙手を披露して案の定視聴者にツッコまれたり、「好きな女流棋士は誰ですか?」と質問されてたじたじになるなど、すっかりいじられキャラとして定着してしまいました。また、電王戦の「天の声」を担当している声優の岡本信彦さんもゲストで登場。アマチュア三段の実力を持ち一時はプロ棋士を目指していたという岡本さんは、深浦康市九段と息の合った解説を行ってその「ガチ勢」っぷりを見せつけたり、本人が舞台にいるのに岡本さんのナレーション(録音)が会場で流れるユニークな光景に、コメントも「腹話術上手いな」などと盛り上がっていました。

 序盤は稲葉七段が事前の宣言通り、やねうら王を「横歩取り△3三桂戦法」の形に誘導。やねうら王の癖を知り尽くしているかのような頼もしい指し回しを見せます。ところが稲葉七段は途中、「門を開けて待つ作戦」を決行しない形に方針を転換。やねうら王を誘導しているかに見えた稲葉七段でしたが、終局後の会見によると、実は事前練習ではほとんど登場していない危険な変化がある局面に誘導されてしまっていたそうです。

 稲葉七段はなんとか優位に立とうと強く攻めに踏み込みますが、逆に自分の形勢を損ねてしまう展開に。1000点以上の差がついたら逆転は難しいと言われるソフトの評価値でも、5000点以上の差が開いてしまいます。コンピュータの弱点とされる「入玉(自分の玉が相手陣に進入した状態)」を狙いに懸命の粘りを見せましたが、やねうら王が稲葉七段の読みを上回る好手でそれを許さず、116手にて投了となりました。

 稲葉七段はやねうら王を「対策の立てやすいソフト」と分析しており、練習では5割弱の勝率を誇っていたそうです。ソフト側はプロの事前研究を避けるため指し手や考慮時間にランダム性を加えるなどの工夫が施されている場合がありますが、やねうら王は棋力が大きく下がってしまうという理由から研究対策をしていなかったため、稲葉七段の誘導にハマりやすかったことがこの理由。

 ところが、本番では指し手の入力や代指しロボット「電王手さん」が動作する間に数十秒のタイムラグが生まれます。磯崎さんによると、このわずかな考慮時間の間にやねうら王の読みが深まり、稲葉七段が練習対局をしていたときとは指し手が変化したとのではないかとのこと。やねうら王公式サイトでも勝因について詳しく分析しています。また、稲葉七段も「楽に勝ちたいという心の隙が出てしまった」と自分のミスを悔やんでいました。

 第1局では指し手をランダムに選ぶAperyのプロ棋士対策が本番で緩手につながり、第2局では「角成らず」をSeleneが認識できないなどコンピュータ将棋ならではの展開が続いている今回の電王戦。第3局ではまさかの「電王手さん」が勝負を分ける結果となりました。

328名無しさん:2015/05/24(日) 18:35:57
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150412-00000014-it_nlab-sci
電王戦最終局、異例の「21手投了」に至ったAWAKEの真意は 「一番悪い手を引き出して勝っても意味ない」
ねとらぼ 4月11日(土)20時4分配信

 既報の通り、阿久津主税八段が勝利を収め、プロ棋士側が3勝2敗で勝ち越した「将棋電王戦FINAL」。4月11日に行われた最終局では、AWAKE側がわずか21手で投了を宣言し物議をかもしましたが、対局後の記者会見でもやはり、AWAKEの「21手投了」という決断に質問が集中しました。

 AWAKEは以前、「電王『AWAKE』に勝てたら100万円!」という企画でアマチュアと対戦した際、「自陣にあえて隙を作ることで、AWAKE側に持ち駒の角を打たせて捕獲してしまうことができる」という、ある種の「ハメ手」が見つかっていました。今回、阿久津八段もこの指し方を採用し、AWAKEの角を自陣へ誘導することに成功。この直後、AWAKE開発者・巨瀬亮一さんが投了を宣言し、AWAKE側の負けが決まりました。このまま続行してもAWAKE側にとって相当に不利な状態だったことは確かですが、それでもかなり早い段階での投了宣言に、会場は一時ピリピリとした空気に包まれました。

 記者会見で投了の意図を問われた巨瀬さんは、「ハメられる形の中でもかなり損している局面。あのまま指し進めても勝ち目はなかった」と説明。また阿久津八段の指し手に対しては、「すでにアマチュアが指して知られているハメ手をプロが指してしまうのは、プロの存在意義を脅かすことになるのでは」「一番悪い手を引き出して勝つというのは、何の意味もないソフトの使い方」と厳しいコメントを寄せました。

 一方、試合前には「(ハメ手について)人間相手にはやらない作戦のため葛藤もあった」と述べていた阿久津八段でしたが、どういう心境でこの手に至ったか記者から問われると、「事前にソフトを貸し出していただくというルールの中で、自分にできる最善ということでこの作戦を選びました」と回答。ニコニコ生放送のコメントでも「勝つために最善を尽くすのがプロである」という意見と、「勝つだけでなく面白い勝負をするのがプロ」という意見どちらも見られ、あらためて「電王戦」という特殊なルールにおける対局の難しさをうかがわせました。

※当初「阿久津八段が角を取った」といった書き方をしていましたが、実際は取る直前の状態でAWAKE側がすでに投了を宣言していました。お詫びして訂正したします

329名無しさん:2015/05/24(日) 18:45:01
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150326-00000051-it_nlab-cul
将棋電王戦FINAL 第3局――人類初の“勝ち越し”をかけて 稲葉陽七段 VS. やねうら王の見どころは
ねとらぼ 3月26日(木)20時40分配信

 こんな結末、誰が予想できたというのか。そう言いたくなるような対局だった。先週行われた将棋電王戦FINAL 第2局は、過去の電王戦対局史上最も衝撃的とも言える幕切れとなった。数十万人がリアルタイムで戦況を見つめる中、この結果をわずかなりとも想像できていたのは、まぎれもなく永瀬六段ただ一人だけであったはずだ。

 人間のプロ棋士とコンピュータ将棋ソフトの5番勝負「電王戦FINAL」、これで戦績は棋士側の開幕2連勝。過去2回の団体戦ではそれぞれ1勝ずつしか挙げられなかった棋士側は、今週末の第3局で勝利を挙げれば、団体戦として初の勝ち越しを早々に決めることとなる。

 この重要な局面で舞台に登場するのは、稲葉陽(いなば・あきら)七段とやねうら王。今回も対局者のプロフィールと見どころを紹介していく。

●「10年くらい怒ってない」 超マイペースな“第3の刺客”

 稲葉陽七段は兵庫県西宮市出身の26歳。のちにアマチュア強豪として活躍することとなる兄とともに将棋を覚え、兄に遅れること1年、12歳でプロ棋士養成機関である奨励会に入会した。当初は思ったように成績が伸びず、「僕の見込み違いだったんかな、みたいなね」(師匠の井上慶太九段)。

 しかし、同じ井上門下生だった兄が奨励会を退会した頃から徐々に流れは変わり始める。「(兄の退会を見て)心境が変わったのか、取り組み方が変わったのか。本当にがらっと将棋の内容も変わった」(井上九段)。三級から三段までは一気に昇級昇段を重ね、気づけば他の兄弟子も追い抜いて19歳でプロ棋士デビューを果たした。

 プロ入り後すぐの棋聖戦では上位者を次々と破る快進撃を見せ、羽生善治棋聖への挑戦にあと一歩のところまで迫る。その後も竜王戦6組の優勝、順位戦での昇級など着実に結果を残し、2013年の銀河戦ではついに全棋士参加の棋戦で優勝。七段に昇段する。

 同じ井上門下には、第2回電王戦に出場した船江恒平五段と、第3回電王戦に出場した菅井竜也六段がいる。3人とも歳が近く、月に2度は一緒に食事(焼肉が多いとのこと)に行くなど、結束は固い。「少しずつ性格が違う3兄弟のようなものですね。焼肉のときは将棋の話が中心になるので、皆ウーロン茶です」(船江五段)

 船江、菅井とは違って「師匠から怒られた記憶はあまりない。忘れてるだけかもしれないけど」(稲葉)。また、自分が怒ったことも「ここ10年くらいはない」とのことで、トップ棋士に必要不可欠な安定したメンタル面(?)を持っているとも言えるだろう。

 今回の電王戦には「井上門下第三の刺客」として臨む。それぞれに熱戦を演じながらも、苦杯をなめた2人の“兄弟”の仇を討つべく、内なる青い炎を燃やす。

>身近な人(兄弟弟子)が相当な努力をして、ある程度の実力もあった上で努力をして、結果が出せなかったというのがあって。やっぱり(コンピュータソフトは)すごい相手なんだなと思いましたけど。

>普通にやってて勝てないなと思ったら、まあプライドを捨てることをしないといけないな、という覚悟は多少持ってましたけど。現状はそういう感じでもないのかな、と思います。

(稲葉陽――「電王戦FINALへの道」より)

330名無しさん:2015/05/24(日) 18:45:15
>>329

●ケレン味たっぷり 天才流の「おもてなし」なるか

 ソフト側の3番手として登場するのは、磯崎元洋(いそざき・もとひろ)さん、通称やねうらおさんが開発した「やねうら王」。コンピュータ将棋にそれほど詳しくない人でも、昨年の電王戦について少しでも知っている人なら、このソフト名に聞き覚えがあるかもしれない。

 あるいは、電王戦についてまったく知らなくても、「やねうらお」の名前だけは知っている――そんな人もいることだろう。1998年ころにWeb上で多くの人を夢中にさせた音楽ゲーム「BM98」の作者として、だ。

 やねうらおさんがプログラミングを始めたのは5歳のとき。NECのマイコン「TK-80」を使って、数字をモグラに見立てたモグラたたきを作るなどして遊んだ。高校まではゲームの解析を趣味とするなど「プログラミング三昧」の日々を送っていたが、大学卒業後はプログラミングとは関係のない梯子メーカーに就職する。

 ここでの退屈な日々の中で、BM98は生まれた(この時の経緯は、ドワンゴ川上会長との対談記事に詳しい)。その後、もともと興味を持っていたコンピュータ将棋開発に乗り出すが一旦は頓挫し、再挑戦の末に出場した第1回電王トーナメントではいきなりの入賞。第3回電王戦への出場権を獲得した。

 が、本番前に大きなトラブルが勃発する。やむをえない事情で行ったというバグ修正によってソフトの棋力が大きく上昇し、修正を行ったやねうらおさんとそれを認めたドワンゴに強い非難の声が寄せられたのだ。結局対局は修正前のソフトで行われ、勝利はしたものの後味の悪さは多くの人の胸のうちに残った。

 そんな中、今年も電王トーナメントを勝ち抜いたやねうら王が新たに搭載するのは「やねうらおもてなし定跡」。ネガティブな意図を込めて「ソフトのデバッグ作業」などとも呼ばれるプロ棋士の対ソフト向け研究を、対人戦にも実りあるものとするために搭載した機能だという。

 どうしても、その突飛すぎるエピソードや特徴的な言動ばかりが目立ちがちなやねうらおさんだが、プログラマーとしての実力を疑う声は聞いたことがない。自他ともに認めるその“天才性”が正しく理解されれば、これ以上電王戦を盛り上げてくれる役者もいないだろう。

>やねうら王は人間が考えだしたいかなる定跡も搭載しない。

>やねうら王は人間が生み出したいかなる棋譜も参考にしない。

>やねうら王は従来のいかなる将棋ソフトの流れも汲まない。

(やねうらお――「第2回電王トーナメント アピール文書」より)

331名無しさん:2015/05/24(日) 18:45:27
>>330

●第3局の見どころは――稲葉が飛車を切り飛ばすとき

 記事冒頭にも記した通り、本局は団体戦形式の電王戦が始まってから3年目にして、初めてプロ棋士側の勝ち越しがかかった一局となる。

 ニコニコ動画で毎日公開されていた「電王戦FINALへの道」を最初から最後まで見通した方ならきっと同意してもらえると思うが、稲葉七段は今回の5人の出場棋士中、最も“自信”があるような振る舞いを見せている。棋士側としては「ここで決めておきたい」と考えるのは当然のこと。

 この後に控えるソフト側の副将・Ponanzaと大将・AWAKEは強い。電王戦出場ソフトに弱いソフトなど一つもないが、これら2つはさらに異次元なまでに、強い。

 第3局の具体的な作戦としては、横歩取りからのとある進行が挙げられる。角を端に出てわざと自陣に隙を作ることで、相手の飛車を侵入させ(成らせ)、その上で角を戻して閉じ込めてしまう、という方法だ。稲葉七段自身が「門を開けて待つ」と表現した進行である。

 この進行についてはやねうらおさんも言及しており、「回避できなければワンサイドで負ける可能性が高い」「そういう意味では開始早々1時間以内に明暗分かれます」とのこと。さらに「回避できる確率はおそらく30%ぐらい」とも記している。一方の稲葉七段は、練習対局時には「(こう進む確率は)4割から5割くらいかもしれない」としており、感覚値に多少の差はあるようだが、いずれにせよ低くない確率でこうした局面が出現する可能性があると見ておいてよいだろう。

 また、それ以外にも「いくつかの戦型を想定しているんですけど、それぞれにこうなったら勝てるかなというのが想定できているのがほとんどなので。勝てるイメージというのがある程度具体的になってきているのかな」と頼もしい発言も出ている。

 一方で、「これだけやって、最初の20手以内とかで全然知らないことやられたら動揺するでしょうね」との声も。これまでの電王戦を観戦していても、対ソフト戦では必ずどこかで予想外の一着が出てくることを覚悟しておくべきだが、その一手(あるいは数手)がどのタイミングで出てくるか。

 「コンピュータが一番苦手なのは終盤の入り口あたり。そこでギアチェンジというか一気に激しくするような展開にするために、大駒を切り飛ばすというのが大事なポイントになると思うので、そのときに飛車を切り飛ばして勝てたらいいなと思います」

 稲葉が飛車を切り飛ばすとき、人類チーム初の勝利が見えてくるか――。電王戦FINAL 第3局は3月28日、北海道・五稜郭で対局が開始される。

※やねうらおさんの発表を受けて、稲葉七段の作戦について一部追記しました(3月27日午後8時)

332とはずがたり:2015/05/24(日) 18:55:10
任天堂の“重課金”転換に懸念の声 「いくらなんでもこれはひどい…」
http://www.sankeibiz.jp/business/news/150523/bsj1505231718001-n1.htm
2015.5.23 17:18

 任天堂がソーシャルゲーム大手のディー・エヌ・エー(DeNA)と資本業務提携し、スマートフォン向けゲームに参入する。発表後に株価は上昇し、投資家の評価は悪くない。一方、スマホ向けはゲーム本来のおもしろさよりも「いかに課金させるか」に重点が置かれがちで、熱中した人が1カ月に数十万円請求されるなど社会問題化したことがある。そんな中、任天堂はゲーム専用機で“課金的”な追加費用が必要なソフトを発売する予定で、任天堂が「重課金」に舵を切るのではと懸念が高まっている。(藤原直樹)

 全て遊ぶと9千円超

 「いくらなんでもこれはひどい…」

 任天堂が6月25日に発売予定の携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」向けゲームソフト「ファイアーエムブレムif」がファンの間で波紋を広げている。

 このゲームは途中でストーリーが分岐するが、それぞれ「白夜王国」「暗夜王国」として別のゲームとして発売する。両方のストーリーを楽しむためには、2本のソフトを購入するか、インターネットを通していずれかを追加でダウンロードしなければならない。

 さらに3本目のストーリーのネット配信も予定しているという。価格はソフトがそれぞれ1本5076円、ネット配信がそれぞれ2千円で、すべてのストーリーを遊ぶためには最低でも9076円が必要な計算になる。これは、5千円以下のソフトが多い3DS向けとしては高額だ。

 すべてのストーリーをセットにした上で特製アートブックなどの特典がついた限定版(9990円)も発売される。こちらは予約だけで予定の数量を上回り、発売前にもかかわらずネットオークションで高値で取引されている。

 こういった追加のストーリーなどをネットで有料配信する手法は「ダウンロードコンテンツ」と呼ばれ、現在では多くのゲームで普通に行われている。

 任天堂もこの流れに沿ったものといえるが、子供に人気の高い任天堂だけに反響は大きく、課金ビジネスへの転換と見る向きも多い。

おもしろさより課金?

 任天堂が参入するスマホ向けゲームの世界はさらに課金が徹底している。… 任天堂はスマホ参入発表後に株価が大幅に上昇した。ゲーム専用機でも特に据え置き型ゲーム機「WiiU(ウィー・ユー)」が不振を極める中、スマホ参入はもともと投資家からの要望が強かった。これまで否定的だった任天堂の方針転換は株式市場からひとまず信任された格好だ。

 ゲーム業界に詳しいアナリストは「任天堂のゲーム開発力はいまだに世界屈指のレベル。マリオなどキャラクターの人気も高く、スマホで旋風を起こす実力はある」と分析する。

任天堂のスマホでの展開に期待が高まっているが、ゲーム本来のおもしろさで子供から大人までに愛される任天堂が安易な課金に走ればファン離れにつながることは間違いない。岩田聡社長も「子供向けにふさわしくないことをやるつもりはない」と発言している。… 任天堂が課金を重視した戦略をとれば短期的には大きな収益をあげるとみられるが、「ゲーム専用機とソフトを販売して収益を上げる」というこれまでのビジネスモデルの否定にもつながる。

 任天堂は手軽なスマホ向けでゲームに親しんでもらった上で、より本格的な専用機への移行促進を目指すが、逆に専用機離れが進むのではとの懸念もある。任天堂の今後の戦略転換の成否に注目が高まっている。

333名無しさん:2015/05/24(日) 19:59:57
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150321-00000023-it_nlab-sci
将棋電王戦FINAL第2局で衝撃の結末 Seleneが永瀬六段の異例の指し手「角成らず」を認識できず反則負けに
ねとらぼ 3月21日(土)20時26分配信

 3月21日、プロ棋士と将棋ソフトによる5対5の団体戦「将棋電王戦FINAL」の第2局・永瀬拓矢六段対Seleneの対局が行われ、Seleneがプログラム上の問題で「角成らず」を認識できず反則負けになるという異例の結末を迎えました。

 将棋は一進一退の攻防が続きましたが、終盤、永瀬六段が王手で「2七角不成」という手を指したことで解説陣やニコニコ生放送の視聴者から大きなどよめきが。成ることで明らかに駒が強力になる「飛車・角・歩」は、「打ち歩詰め」という反則を避けたいというごく一部の例外を除き、実戦ではまず登場しない異例の手。そのためSeleneにはこの3駒の「成らず」がプログラムされておらず、別の指し手を入力してしまったため、「王手放置」で反則負けと判断したとのことです。

 コンピュータ将棋ソフトは無駄な手を読むことを省略することでより深く手を読めるため、一部の駒の「成らず」を認識する機能を搭載しないソフトもあるそうです。永瀬六段はこの問題を事前の研究段階で認識しており、この手を指した直後に「角不成りを認識できないと思います」「放っておくと投了するのでは」と指摘。ただし、「勝敗に直結するので本番では修正されているかもと思っていた」ためこの局面で選択したとのこと。普通に指した場合でも永瀬六段の勝ちは有力だという局面で、終局後には大盤解説会場で詰みへの読み筋なども披露していました。

334名無しさん:2015/05/24(日) 20:01:05
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150315-00000007-it_nlab-sci
将棋電王戦FINAL第1局は人間側が勝利 21歳のイケメン棋士・斎藤慎太郎五段がAperyを真っ向勝負で撃破
ねとらぼ 3月15日(日)0時4分配信

 3月14日、プロ棋士とコンピュータ将棋ソフトによる5対5の団体戦「将棋電王戦FINAL」の第1局が行われ、ニコニコ生放送で中継されました。

 団体戦形式での開催は今回が最後となる将棋電王戦。これまで負け越しているプロ側は若手を中心に、徹底的にコンピュータ将棋ソフトを研究して勝ちに行く布陣で挑みます。人間側の先鋒は真っ直ぐな将棋と人柄、そして甘いマスクで「西の新王子」とも呼ばれる人気の若手棋士・斎藤慎太郎五段。コンピュータ側は前回の世界コンピュータ将棋選手権で優勝も飾った実力ソフト「Apery」が登場しました。

 対局会場となったのは世界遺産・二条城で、実際にかつてお城の給仕が行われていた二の丸御殿の「台所」に対局場を設置。斎藤五段の登場シーンは入場ならぬ「入城」になるというユニークな光景になりました。将棋ソフトの指し手を盤上に再現する代指しロボット「電王手くん」も一新され、名前を「電王手さん」とあらためて初登場。さらに進化したスムーズな動きで駒を操り、恒例となった対局開始時の「おじぎ」も披露してくれました。

 戦型は斎藤五段の居飛車対Aperyの振り飛車という対抗型に。Aperyが飛車を四筋に構える「四間飛車」を選択すると、斎藤五段が「いやー」と頭を抱える場面がありました。その後も何度か動揺したような仕草が見られた斎藤五段ですが、対局後のコメントによると「考えていた形のひとつではあるが、本命の将棋ではなかった」とのこと。

 過去の棋譜や定跡と同じ場面でも自力での思考を行うソフトであるAperyは、序盤から1手ごとに長考。それに対して、斎藤五段はほとんど時間を使わず指し手を進め、残りの持ち時間に早くも1時間以上の差が開きます。このあたりは過去の電王戦でも見られた展開で、事前研究や定跡に長けた人間にとって有利な点のひとつ。解説の鈴木大介八段は「人間は中盤が難しいけど、コンピュータには手の広い序盤のほうが難しいのでは」と分析しました。

 将棋は当初、お互いが玉をがっちりと固めあう「相穴熊」模様に進行しますが、途中でAperyが玉を囲いきらないまま攻撃に転じます。相手の飛車を成らせて自陣の守りの金を捨てても攻撃の手を選択するなど、Aperyがいかにも「コンピュータ将棋らしい手」を見せました。斎藤五段がそれに冷静に対処していくと、多くのプロ棋士が「斎藤五段有利ではないか」と見る展開に。しかし、そこからの粘り強さがコンピュータ将棋の真骨頂であることは、過去の電王戦で多くの棋士やファンが痛いほど経験済みです。無数の変化の中から、たった一つ読みを外しただけで取り返しがつかなくなるのが対コンピュータ戦。ここからは斎藤五段が一転して長考に沈みます。

335名無しさん:2015/05/24(日) 20:01:22
>>334

 ニコニコ生放送ではニコファーレでの大盤解説のほか、現地控え室や対局場近くで開催された解説会からも中継が行われました。将棋ソフトの評価値や予想手を表示できるシステムを搭載したタブレット「Surface」を使った解説や、将棋用語に特化した音声認識システムを使って現地控え室にいる棋士の声をニコ生コメントに表示するなど、電王戦らしいテクノロジーと将棋の融合の数々も披露されました。

 夕食休憩後、いよいよ局面は終盤戦に突入。斎藤五段はミスなく指し手を進め、とうとう素人目にも「必勝」と呼べる展開に持ち込みます。一方、Aperyは持ち時間を使い切り、電王戦史上初めてコンピュータ側が1手1分の「1分将棋」に突入。次第に時間稼ぎのような無意味な手が目立つようになります。人間同士なら投了する局面ではありましたが、Apery開発者・平岡拓也さんの「せっかく棋譜が残るのだから、コンピュータの特徴的な手を残したい」「最後の1手まで指します」という事前の宣言どおり対局を続行。斎藤五段も最後まで気を抜かず、115手にて斉藤五段がAperyを詰ませての完勝となりました。

 斎藤五段は事前に数百局の練習を重ね、20〜30パターンほど有力と思われる局面を用意していたそうですが、本番では「まさかここまで一気の勝負になるとは思っていなかった」と驚いたとのこと。これまで電王戦で勝利した棋士は事前準備どおりの展開にソフトを誘導して勝つパターンが多かったですが、結果として真っ向勝負で見事に強豪ソフトを撃破した形になりました。平岡さんも「こちらの読みに無い手を指されるたびにAperyの評価値が下がっていった。今回の将棋は完全に力負けでした」と斎藤五段の実力を賞賛。斎藤五段が「普段対局していたときの強さはやや影を潜めていた」と語るように、プロの事前研究を避けるため評価値としての最善手以外の手をランダムで選択するAperyの思考が裏目に出た部分もあったようですが、完璧な指し手で相手の隙を逃さなかった斎藤五段が、プロ側にとって大きな1勝目をあげました。

336名無しさん:2015/05/24(日) 20:02:30
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150319-00000109-it_nlab-sci
将棋電王戦FINAL 第2局――人間側の連勝なるか Selene VS. 永瀬拓矢六段の見どころは
ねとらぼ 3月19日(木)20時7分配信

 プロの将棋棋士とコンピュータソフトが5対5の団体戦形式で対決する「将棋電王戦 FINAL」。3月14日に行われた第1局は、人間側の先勝という結果に終わった。

 内容は非常に見ごたえのあるものであり、終盤には電王戦ならではの、見ている者の価値観を揺さぶるような展開もあったのだが、各局の振り返りについては稿を改めて考えてみたい。本記事では、続いて今週末に行われる第2局、Selene(セレネ) VS. 永瀬拓矢(ながせ・たくや)六段戦の見どころについて紹介する。

 なお、第1局では人間側が先手番、コンピュータ側が後手番を持って戦ったが、第2局以降は毎回先後を逆にして(第2局・第4局はコンピュータ側が先手)、対局が行われる。

●Selene――“人間のように学ぶ”ことを目指し作られた月の女神

 昨年、六本木ニコファーレで行われた「電王戦FINALに関する記者発表会」でのこと。今回の電王戦に出場するプロ棋士とソフト開発者の全員が初めて顔を合わせ、静かな緊張感が張りつめていたこの場で、ほんの数秒間だけ会場中が笑いに包まれたシーンがあった。

 「あのー、これまでSeleneが人間と指したのって、今まで娘と私くらいしかいないので……初めて指していただける外の方が、永瀬先生ということで……」

 第2局に登場する将棋ソフト「Selene」の開発者である、西海枝昌彦(さいかいし・まさひこ)さんの発言だ。電王戦出場のモチベーションを問われ、「やはり棋士の方と対局させていただけることですかね」と答えたあとに、そう続けた。

 開発者本人、家族(それも娘さん)、と来て次がいきなりプロ。「いくらなんでもレベル上がり過ぎだろ!」ということと、西海枝さんの朴訥とした語り口に、他の開発者も、対戦相手の棋士たちも思わず笑みを漏らしてしまったのだった。

 西海枝さんは銀行や保険会社のシステム開発を手掛けるシステムエンジニアで、4年ほど前から将棋ソフトの開発を始めた。初めて世界コンピュータ将棋選手権に出場したのは2012年のこと。電王戦FINALで第1局に登場したAperyと、第5局に登場するAWAKEとは“同期”だ。

 Seleneの特徴は、常に「アプローチが異なる複数種類を並列的に、というか気が向いた順に」開発を進めている点。そのため、出場する大会ごとに毎回かなり毛色の違うソフトが出来上がる。同一のソフトを少しずつ改良し、その延長線上で高みを目指す――というアプローチは取らない。

 コンピュータ将棋に精通する書き手・松本博文氏の取材(電王戦ファンは必読)からも、西海枝さんのオリジナリティに対する強いこだわりが伺える。過去にはそのこだわりを「封印開放度」というユニークな指標で説明していたこともあり、西海枝さんの「できれば楽な道(=人間の棋譜や定跡に頼ること)は選びたくない……でも弱くなるのも悲しいし……しかしやっぱり……」という(半分楽しみながらの)葛藤が聞こえてくるようだ。

 ソフト名の由来はギリシャ神話に登場する月の女神から。人間にたとえると「イメージはエビちゃんですね。蛯原友里さん」とのこと。

>例えば穴熊の場合、いったいどこまで対局を続けたら発見できるのか? などと考えると人間の創意工夫や構想能力がどれだけすごいか思い知る展開に。
>目標は、人間のように学習して、人間のように探索したい! ということです。

(西海枝昌彦――第23回世界コンピュータ将棋選手権アピール文書)

337名無しさん:2015/05/24(日) 20:02:47
>>336

●永瀬拓矢――将棋しかない、ケタはずれの“努力できる才能”

 「あなたにとって将棋とは?」という、あまり新鮮味があるとも思えない質問に、この22歳は「……ありきたりかもしれませんが」とわざわざ前置きしてからこう答えた。「生きる目的をくれているもの」

 人間側の次鋒、永瀬拓矢六段は1992年生まれ。第1局でソフトに完勝した斎藤慎太郎五段(18歳でプロ入り)よりもさらに早い、17歳と0カ月でプロの世界に足を踏み入れた。20歳時には、トッププロを目指す棋士の登竜門とも言える棋戦「新人王戦」で優勝。早くから頭角を現す。

 当初は独特な棋風の振り飛車党として知られ、先手番でも千日手(※)をいとわないことで有名だったが、後に居飛車党に転向してからはそうした傾向も目立たなくなった。それ以上に永瀬の名を知らしめたのは、第39期棋王戦本選における、羽生善治現名人との戦績「2戦2勝」である。若手が棋界の頂点である羽生相手に連勝したという事実は、ファンのみならず同業の棋士間にも強いインパクトをもたらした。

(※)1回の対局中に同じ局面が4回現れると引き分けになり、先手番と後手番を入れ替えて指し直すルール。将棋はプロ間ではわずかながら先手番の勝率の方が高いため、通常は「先手番での千日手」を避ける棋士が多い

 将棋以外の趣味をたずねられると口ごもってしまう。「永瀬くんは放っておいてもずっと指し続けるんじゃないですかね」(西尾明六段)、「将棋95%というタイプじゃないですか」(戸辺誠六段)、「将棋以外がない」(阿部光瑠五段)。ひと月のうち20日以上を研究会(複数人の棋士で将棋の勉強をすること)に費やす。

 そんな棋士が、ソフト対策のために普段の研究会を「ほぼゼロ」にして臨む。「将棋というのは、努力ですべて決まると思っているので。将棋には才能なんか一切いらないんです。逆に負けるというのは努力が足りなかっただけなので」

>プロを目指したのは12歳。普通に暮らして普通に勉強して普通に遊びたかったなあとは思いましたけど、やはり人にとって普通というのはそもそも違うので、>それに気付けた自分は幸せかなあと思いました。今自分に頑張れることがあるというのが人生で幸せなことかなあと思います。
>今の人生に悔いはありません。

(永瀬拓矢――電王戦FINALへの道#26)

338名無しさん:2015/05/24(日) 20:03:00
>>337

●第2局の見どころは

 ニコニコ動画上で公開されている練習対局の結果では、1分将棋(永瀬六段勝利)と30分切れ負け(Selene勝利)とで1勝1敗の成績。ただし、30分切れ負けでのSeleneは「鬼殺し」と呼ばれる有名な奇襲戦法(相手に正しく対応されれば自分が不利となる)を用い、早々に駒損をしたにも関わらず、そのまま剛腕で攻めつぶすという衝撃的な勝ち方をしている。

 記事冒頭で述べた通り、今回は人間側が後手番だということも考慮する必要がある。先週の斎藤五段がお手本のように示して見せた、「序盤はできるだけ時間を使わずに事前の想定局面へと誘い込み、相手にミスが出たらすかさず踏み込んで終盤に突入する」という戦い方が、後手番では難しくなるからだ。

 それを踏まえ永瀬六段は、事前インタビューで「個人の戦いではなく団体戦で、絶対に負けられないので、負けないように戦いたいなと思っています。将棋というゲームには勝ち負けではない方法もありますので、それも視野に入れて研究はしています」と発言している。

 「負けない戦い」「勝ち負けではない方法」とは、入玉による持将棋(※)含みか、それこそ彼が過去に得意とした千日手も辞さず、という方針かとも想像できるが、いずれも最初から狙ってその局面に誘導するのは困難という見方もある。

(※)お互いの王様が敵陣に侵入し、決着がつかなくなった場合に、駒を点数として数えて勝敗を決める特別ルール。双方の点数次第では引き分けとなることもある

 見どころとしては、まずは序盤の駒組み、戦型選択がどのように進むか。Seleneが早い段階で定跡を外してきた場合、永瀬六段の想定局面に進まない可能性は十分にある。もう一つは、永瀬六段自身の言う「負けない戦い方」について――だろうか。

 西海枝さんは過去に、まだ叶えられていないSeleneの目標として「人間のように学習して、人間のように探索したい」と書き、第2局のPVの中でも「人間の方が全然すごいっていうのが、やればやるほど分かっていくんですけれども」と述べている。

 一方の永瀬六段は、前述の羽生現名人を倒して勝ち進んだ棋王戦挑戦者決定戦・三浦弘行九段戦で、局面を検討していた棋士から「こういう手はコンピュータなら指すけど、人間には指しにくいかもしれませんね。あ、でも永瀬さんならもしかして……」と指摘されたその手をまさにそのまま指して見せたことがある。

 人間から学ぶのではなく、「人間のように学ぶ」ことを目指し生み出されたソフトと、「ソフトのような手を指す」ことをいとわない人間。電王戦FINAL第2局は、3月21日午前10時、高知城・追手門で対局が開始される。

339名無しさん:2015/05/31(日) 19:39:03
http://www.asahi.com/articles/ASH5Y2QQ5H5YUCVL001.html
羽生、名人防衛 将棋名人戦第5局2日目
2015年5月30日00時05分

■羽生名人「苦しい展開が続いた」

 【午後11時】名人位を防衛した羽生名人の記者会見が行われた。やりとりは以下の通り。

――防衛の実感は

「感想戦もやり、終わったんだなという気がしている」

――今シリーズ、競った内容が多かった

「特に2局目以降はずっと苦しい展開というか、作戦的なところから押されている状況が続いた。かなり厳しいんじゃないかなという気持ちを持ちながら指していた」

――逆転する秘訣(ひけつ)みたいなものは

「持ち時間9時間あるので、できるだけのことは頑張ろうという気持ちはありましたが。それが秘訣につながるかはわからないですけど、気持ちの面では折れないように指せたらいいなというつもりだった」

――苦しい局面で、どういう心境だったのか。例えば第4局は大変そうに見えたが、そういう時の気の持ちようは

「時間が長いと不利な局面を見ている時間も長くて、だんだん嫌になってくる(笑)。1手指して急に良くなるわけではないが、その状況の中でできる限りのことをやろうとは考えていた。4局目は、もうちょっと違う手を指されていたらすぐに投了、という場面もあった」

――七番勝負の5局の中で印象に残る将棋は

「今日の将棋は一番印象に残っている。入玉模様になってからごちゃごちゃと。こっちが入玉して、相手が来るのを止めて。駒数がどうなるのかという意味で。意外と手数が短くてびっくりした。自分としては200手ぐらい指したのではないかと。非常に考えがいのある面白い将棋でした」

――今日は入玉将棋だった

「入玉を目指した時は捕まらないように、ということを考えていたが、(敵陣に)入った時は駒数勝負になるんじゃないかと思っていたので、それを気にしていた。3、4点ぐらい駒数が足りない状況だったので、攻める筋も見せながら、持将棋になれば御の字かなと思って指していた」

――最近はコンピューターが強くなっている。今回の七番勝負において、人間対人間の勝負をどう表現できたと思うか

「見ていただいている人たちがどう評価するかだと思う。ただ、多かれ少なかれ、コンピューターの影響みたいなものが続いていくかなと思う。技術的なところでも影響がかなりあるのではないかと思う」

――これでタイトル獲得91期。100期が視野に入ってきているのでは

「もう来週、次のタイトル戦がある。あまりのんびりはしていられない。1回のチャンス、機会を大事にしていきたい。強い若手もたくさん出てきているので、大変だとは思っている。そういうこと(=100期)も一つの目標にして前に進んでいけたら」

――今シリーズの5局とも、自分の手番で休憩に入っていた。わかりやすい局面でも封じ手にすることあった。時間の使い方は意識しているか

「封じ手は、もう1手指して相手に指された時にやる手が決まっていないと困ることがある。盤上とは別のことで考えることはある。2日目の夕食休みのところは時間が少なくなっているので、手番のことはほとんど考えていない。今回はたまたまそうなっている」

――行方挑戦者は踏み込んでくることが多い、と話していた。普段の番勝負とどう違うかということをもう少し教えていただきたい

「攻撃的に踏み込んで攻めてくることが多い。しかし、一転して受けてくる、粘ってくることがある。一本調子で終わることなく、その先があることが多い。どんな場面でも気を引き締めてという言い方は変かもしれないがが、そういう気持ちで指していた。(行方挑戦者が)今期A級で長い将棋を2局勝たれていたので、あまり良くない展開になったかなと思っていたが、避けられなくなってしまったので」

――羽生名人の将棋としては珍しい入玉将棋になった。入玉の時、心がけていることは

「玉を詰ますということとは全然違う。駒の数が大事なので、局面を直線的にとらえないという考え方をよくやっている。特殊な将棋なので、普段とは違う発想で指している」

――入玉将棋は得意か

「割合としてはそんなにやっていないと思う。得意ではないと思うが、そういう将棋になってしまったのでしょうがないと思っていた」

340名無しさん:2015/05/31(日) 19:52:13
>>339

■羽生、名人防衛

 【午後9時40分】行方八段が投了。170手までで羽生名人が勝ち、名人位を防衛した。

■名人が勝勢

 【午後8時30分】後手の羽生名人が入玉を果たした。もう後手玉は寄らない。先手の行方挑戦者の玉が入玉できるかどうかがポイントだが、後手の駒が待ち構えており、難しそうだ。羽生名人の勝利、そして防衛が近づいている。(村瀬信也)

■名人の玉、上部に脱出

 【午後7時20分】行方挑戦者の猛攻に対し、羽生名人は2三の玉を2四→3五→2六と3手連続でスルスルと上部に脱出させた。周囲に自分の守りの駒が少ないだけに怖い受け方で、控室ではあまり有力視されていなかった。ムードは「名人よし」だが、挑戦者の攻めを途切れさせるのも簡単ではない。副立会人の佐藤天彦八段は「難解です」。

 いよいよ大詰め。両対局者とも、前傾姿勢になって考えている。(村瀬信也)

■対局再開

 【午後6時30分】対局が再開した。羽生名人はすぐに△3九飛を着手。先手玉の薄さを突く一着だ。ずっと受けに回っていた名人、反撃開始か。(深松真司)

■最後の休憩に

 【午後6時】30分間の休憩に入った。両対局者には軽食が出される。再開後は、最後まで休みなく対局が続けられる。依然として、行方挑戦者の攻めが続くか、羽生名人がうまくしのぐかがポイントとなっている。(村瀬信也)

■挑戦者、猛攻を開始

 【午後4時25分】行方挑戦者が▲2三同銀成と猛攻を開始した。先手の銀損にはなったが、後手の羽生玉の守りは薄い。

 副立会人で解説を務める佐藤天彦八段は「受けている羽生名人は、自信があるというより『しょうがない』と考えて指しているのでは。ただ、先手にとっても攻めが途切れるかもしれないという不安があります。先手の攻めが続くかどうかが焦点です」と話す。(村瀬信也)

■プロの卵の見解は?

 【午後3時30分】別会場で開かれている大盤解説会に出演するため、検討室から棋士がいなくなった。モニターの前には2人の奨励会員が座って、戦いを見守っている。

 藤田彰一三段(23)は福岡県柳川市出身。27日に福岡県飯塚市であった女流王位戦の記録係を務め、勉強のため名人戦の見学にやって来た。現局面について「先手(行方挑戦者)は2筋の歩を突き捨てたからにはガンガン攻めていきたい、1歩得している後手(羽生名人)はまったりした展開にしたい。どちらかといえば、後手を持ってみたい。受ける方が好きなので」と語った。

 もう一人は、福岡市在住の中学2年、古賀悠聖(ゆうせい)初段(14)。大盤解説担当の中田功七段門下で、中田七段が「いま、一番伸びるとき。頑張ってほしい」と期待する有望株。古賀初段は「後手の7三銀が取り残された感じ。先手の1五銀との働きの違いが大きく、先手の攻めがつながりそう。ただ攻め間違うと一気に逆転してしまう恐れもあるので、慎重に攻めたい」との見解だ。(深松真司)

■内藤九段、大盤解説会に

 【午後3時】福岡市中央区の電気ビル共創館では大盤解説会が開かれている。

 この日は、3月末に現役を引退した内藤國雄九段が特別ゲストとして登場。会場は拍手に包まれ、カメラを向ける将棋ファンの姿もあった。内藤九段は壇上でマイクを握り、軽妙なトークで場をわかせた。

 「年を取ってから不思議に思うことが増えている」と言い、「将棋というのは敵味方20枚ずつ、全く同じ能力の駒を与えられて、必ず1手交代なんです。棋士の能力も才能もほとんど同じなのに、これで何で勝負がつくんか。そんなことを考えているんですね」と感慨深そうに話した。

 壇上で花束を渡されるサプライズもあり、会場は和やかなムードに包まれた。解説会は終局まで続く。(山崎聡)

341名無しさん:2015/05/31(日) 19:52:23
>>340

■挑戦者、5回目のジンジャーエール

 【午後3時】両対局者におやつが運ばれた。羽生名人は「旬のフルーツ盛り合わせ(メロン、アメリカンチェリー、オレンジ、ビワ、デラウェア、サクランボ、リンゴのシナモン煮)」とホットレモンティー。行方挑戦者は「和風抹茶白玉のバニラアイス添え」と、自家製ジンジャーエール。挑戦者のジンジャーエール注文は、なんと5回目。(深松真司)

■対局再開

 【午後1時30分】記録係の渡辺和史三段が「時間になりました」と告げ、対局が再開した。羽生名人はほどなくして△7五歩を着手。行方挑戦者は1時37分ごろ姿を見せた。「昼はゆっくり」がいつものペースだ。(村瀬信也)

■昼食休憩に

 【午後0時30分】昼食休憩に入った。羽生名人は「博多一番鶏のから揚げと刺し身定食」と100%グレープフルーツジュース、行方挑戦者は「地鶏スープ仕立てのうどん(天ぷらつき)」と自家製ジンジャーエールを注文した。自家製ジンジャーエールは高知産のショウガをすりおろして作っている。行方挑戦者は気に入ったようで、これで4回目の注文だ。

 対局は午後1時30分に再開する。(村瀬信也)

■福岡出身の師弟

 【午前9時50分】副立会人の佐藤天彦八段(27)と、大盤解説を務める中田功七段(47)が控室で局面を検討している。佐藤八段は中田七段の弟子。共に福岡出身で、前夜祭では地元の人たちから喝采を浴びていた。

 佐藤八段は福岡市内にある「六本松将棋道場」に通い、力をつけた。8歳の頃からこの道場で中田七段に指導を受け、その後に中田門下として奨励会に入った。佐藤八段は「道場に通っていた頃から知っている人たちが、(順位戦の)A級昇級の祝福の言葉をかけてくれた。師匠と一緒に地元で仕事ができるので、地元の人たちにも喜んでいただければ」と話す。

 封じ手の△7三銀は、受けに回る意思を示した手。「先手の攻める態勢ができてきた。先手を持ってみたい」と佐藤八段は話す。(村瀬信也)

■封じ手は△7三銀、2日目始まる

 【午前9時】羽生善治名人(44)に行方尚史八段(41)が挑戦している第73期将棋名人戦七番勝負(朝日新聞社、毎日新聞社主催、大和証券グループ協賛)の第5局が福岡市の「アゴーラ福岡山の上ホテル&スパ」で再開され、2日目に入った。

 1日目の指し手が並べ直され、立会人の深浦康市九段が封じ手を開封した。前日夕に羽生名人が封じていた46手目は△7三銀。8四の銀を引いて、45手目▲6三角の当たりになっていた7四の歩を守った。検討陣の予想にあった手の一つで、解説の佐藤天彦八段は「△7五歩ほど激しくはありませんが、局面は動きます。行方挑戦者が攻める展開になりそうです」と話す。

 持ち時間は各9時間で、1日目の消費時間は挑戦者が3時間49分(残り5時間11分)、名人が4時間17分(残り4時間43分)。

 ここまで3勝1敗の羽生名人が勝って防衛を決めるか、行方挑戦者が踏みとどまって次局以降へ望みをつなぐか。大一番は本日夜までに終局する見込み。(深松真司)

342名無しさん:2015/05/31(日) 21:30:19
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20140414-00010000-biz_plus-nb
“にわか将棋ファン”を拡大させる物語の力 コンピュータと人の共存は可能か?
ビジネス+IT 2014/4/14 12:18 フューチャー・デザイン・ラボ 後藤洋平

プロ棋士とコンピュータ将棋ソフトが対局を行う「将棋電王戦」をきっかけにして、将棋及びコンピュータ将棋は急速にメジャー化しつつある。「にわかファン」が、将棋の奥深さを充分に理解できるようになるまでには時間がかかるものだが、「棋譜」そのものが読めなくとも、棋士の人柄や物語に触れることで、面白さを感じることができるものである。ただしそこにはブランド世界の物語を語り継ぐ、語り部としての古参ファン、すなわち「ブランドナビゲーター」とも言うべき存在が不可欠であり、彼等の無償の行為がこれを支えている。

「理解しがたい技術」を楽しめる、物語の力
 2012年、故米長邦雄前日本将棋連盟会長が第1回電王戦を戦った当時は、コンピュータは本当に強くなったのか、プロを超える可能性はあるのか、という問題提起がメインテーマであった。思えば当時、「プロ棋士の尊厳がコンピュータ将棋ソフトによって傷つけられるか?」というトピックはマニアックなものだった。

 が、第2回は48万人の視聴者獲得、第3回は60万人超えという結果を受けて、「コンピュータ将棋が今後も進化を続ける中で、興行としてのプロ将棋は今後いかに理解されていくのか、プロ棋士の尊厳とはいかなるものになるのか」、という問題に、多くの人が関心を持ち始めている。

 思えばこの数年間で、「将棋ソフトの開発者」という言葉ほど、世間からの認知度が急上昇した言葉はあまりない。

 電王戦以前、「将棋ソフトを開発している人」に対する世間的な認知度は、極小であった。「部外者にはまったく理解できない専門用語を使って、閉鎖的なコミュニティで楽しそうに語らう人々」、悪く言えば「コンピュータおたく」「SFかぶれ」ということで、多くの人にとって理解の外にある存在だった。

 「プロ棋士」という職業に関しても、通にとっては大きな権威だったとはいえ、一般的な認知度はあまり高くなかった。例えば第1回電王戦が開催された当時は、筆者自身、「将棋といえば羽生さん」程度の認識しか持っておらず、まさかそれを職業として生活をするプロ選手が100人単位で存在するなど、考えたこともなかった。

 それが今となっては、開発者もプロ棋士も、「情報化社会の行く末を占う、最先端で超知的な先覚者」に近い扱いを受けている。

 状況を一変させたきっかけは電王戦であるが、その本質は、「物語の力」である。

 「プロ棋士も、自分と同じようにそれぞれの人生を歩んでおり、その歩みや言葉にヒントを見出すことができる」

 「将棋ソフトの開発者が、その情熱を燃やすのには理由があり、自分と専門性は違えど、高い目標に向かって研鑽を積み、挑戦をする姿には共感ができる」

 たったこれだけの補助線によって、「部外者にはまったく理解できない専門用語で語らう人々」が一変して、「自分の人生にヒントや勇気を与えてくれるヒーロー的存在」となったわけである。

 しかし、電王戦という番組単体のおかげで、人々の理解がここまで進んだのかといえば、そうではない。ビギナーをその世界の核心部へいざなう「ブランドナビゲーター」の存在こそが、この現象を支えているのである。

343名無しさん:2015/05/31(日) 21:30:40
>>342

ファンを拡大させた最大の立役者
 これまで全く将棋に触れてこなかった大人が、突如として新規のライトユーザーとして棋士のファンとなる、これは驚くべき現象である。現在、相当な数の人々がそのような変化を体験しているわけだが、将棋史上、おそらく未曾有の事であろう。

 とりわけ注目すべきは、これが一過性のブームというわけでもなく、ライトユーザーを脱皮してディープなファンになる人々が増加しているという点だ。

 これは驚くべき事態である。なにしろ、将棋の楽しみ方とは、そう簡単にはわからないものだ。そのゲームとしての難しさや面白さは、自分で指してみて初めて、体感できる。一局の重みは、様々な棋士の人生物語に触れて初めて、腑に落ちる。

 ピアノが自由に弾けたら素敵だな、と思っても、バイエルで多くの人が挫折するのと一緒で、そこへ至る道は、一種の修行である。ちょっと興味を持ったビギナーがいきなり「将棋世界」を読もうとしても、あまりにも将棋の世界は難解で、とっつきにくい。

 そこで存在感を増しつつあるのが、ネットのなかのナビゲーターである。

 例えば将棋をテーマとする個人ブログがその代表格だが、ブログだけではない。将棋ビギナーのために、対局情報や棋士のブログ、twitterアカウントがまとめてある「wiki」の制作者もいれば、某巨大掲示板のスレッドから、最新の対局に関するコアなファンの声を集める「まとめブログ」の管理人、様々なアプローチで様々なサイトが構築され、人々の理解の役に立っている。

 彼等の発信する情報は雑多だが、その裏腹に確かな情熱が感じられる。芋づる式に情報を手繰り寄せている間に、気づけば自分も棋士の名前を覚え、ちょっとしたエピソードや知識が頭の中にインプットされていくのである。

 これは、高度に専門化、(悪く言えばタコツボ化)してしまった専門誌には、なかなか果たしにくい役割だ。

 ニコニコ動画で棋士の存在を知り、ブログやSNSで情報を追いかけ、iPhoneアプリでプレイしてみて、ようやく最後にたどり着いたその場所が、「毎週日曜のNHK杯が楽しめる程度には将棋に詳しくなった」という、この「ネットからテレビへ」という流れは一体どういう錯誤的状況なのかとも思うが、あながちそれは荒唐無稽でもない。

 しかし、これは本当に将棋の世界が望む結末なのであろうか?

 考えてみれば、昔からのファンにとっては、コンピュータソフトも電王戦きっかけの「にわかファン」も、正直に言えば、忌々しい存在ではないだろうか。

 プロ棋士という、長年敬愛してきたその才能を冒涜せんとするコンピュータソフト、それに乗っかってああだこうだと勝手な意見をのたまう新米ファン。

 神聖なるものを土足で踏み荒らす行為、これは日本文化における最大級のタブーである。そこに感情的な摩擦がないほうがおかしいというものだ。「昔ながらの町家が立ち並ぶ美しい地域に、高層マンションが建設されて、核家族が続々と引っ越しをしてきた」という光景を連想するのであった。

344名無しさん:2015/05/31(日) 21:31:24
>>343

人間の「美的感覚」は正しい?
 ソフト開発者にしても、プロ棋士にしても、その中心部、最先端でしのぎを削る人々が取り組んでいることは、到底素人には理解の及ばない世界である。

 実は、ファッションや家電におけるブランドも、同じ話である。パリ・コレで発表される作品は極めて突飛であり、デザイナーの意図を正確に理解できる一般人は、そんなにいない。しかし、ファッションや家電とは、最終的には身につけたり、生活に役立てるものなので、そういった接点があるがゆえの「とっかかりやすさ」があるのだ。

 幸か不幸か、将棋はそういった意味での実用性とは全く無縁である。機能性を極めた家電は、「使いやすくて、すごく便利」という、実感に則した理解が得られるのに対して、美しさを極めた棋譜があったとしても、審美眼を持たない人にはその価値は全く感じられない。

 逆に言えば、だからこそ将棋とは、素養を持ち、鍛錬を積んだ人にのみ許された、特権的で、高尚な趣味だったのである。

 「観る将棋ファン」とは口当たりのいい言葉だが、これは実は大いなる矛盾をはらんだ概念だ。にもかかわらず、ニコニコ動画とナビゲーター達は、「ズブの素人であっても、その背後にある物語を知ることで、それを消費することができる」という荒業でこれを成立させてしまった。

 問題は、プロの将棋指しという世界が、今後いかなる物語を紡いでいくかということだ。

 コンピュータ将棋は、対局というものさしだけに着目すれば、確かにプロ棋士に優る結果を残した。しかし、本質はそこではない。プロ棋士が直面しているのは、「指し手の性質や思考のアルゴリズムがあまりにも人間と異質である」ということだ。

 将棋というゲームは、その指し手の広さから、広大な海や宇宙に例えられる。その広い空間を一手一手さし進めるという行為は極めて茫洋としており、ハイレベルなゲームであればあるほど、局面には「わからなさ」が宿る。一寸不思議なようだが、このわからなさはプロ棋士にとってネガティブなものではない。むしろ、局面が難解であればあるほど、検討室の温度が上がっていくものである。

 「たった40枚、81マスの狭い中なのに、海の真ん中のような視界の開けた所で、あー広いな、人間て存在はちっちゃいな、とそういうことを感じる。人間では全然わからないなと」とは、羽生善治三冠の言葉である。

 様々なトップ棋士のインタビューから類推すると、茫洋とした局面で、棋士は「合理性のある指し手のなかには、強さと美しさが同時に宿る」という、ある種の「美的感覚」を拠り所にしている。もしそれが棋士にとって最大の拠り所なのだとしたら、コンピュータ将棋の主張する「美しさと強さには関係がない」という思想は極めて厄介である。

 最終局の中継にゲスト出演した渡辺明二冠はぶっきらぼうで、不機嫌そうに見えたが、その理由はここにあるのではないだろうか。

 開幕時の記者会見で、菅井竜也五段は「十年後には、プロ棋士が勝っている可能性もある」と発言した。確かに将棋ソフトを活用し、より強力な研究が行われた結果、そのような事が起きても不思議はない。

 そこで紡ぎだされる棋譜に美しさは宿るのだろうか、宿るとしたら、それはどのような言葉で語られ得るのだろうか。

 これはアカデミックな世界においても極めて重要な問題を投げかけるテーマだ。個人的には、そのような領域へと挑戦をする将棋の物語を見たいと思う。

345名無しさん:2015/05/31(日) 21:32:00
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140210-00000004-wordleaf-game
小沢一郎氏も挑む囲碁電王戦、その見どころは?
THE PAGE 2014年2月10日(月)11時0分配信

 コンピューターと人間の頭脳が対決したら、いったいどちらか勝つのだろうか? ドワンゴは2月11日と16日の両日、囲碁のプロ棋士と世界最強の囲碁ソフト「ZEN」が対決する「第1回囲碁電王戦」を開催する。プロ棋士の張豊猷(ちょうりゆう)八段、平田智也三段、そして小沢一郎氏も参戦するが、その見どころは?

急激に力を伸ばすコンピューター囲碁
 囲碁ソフトの実力は現在、アマチュア6段〜7段程度と言われており、プロ棋士と対等に戦うにはかなりの差がある。囲碁では、プロとアマの段の基準が違うので、一概に比較はできないが、仮にプロの段をアマチュアの段に換算してみると、10段〜11段くらいと言われている。4段分。囲碁のルールで言えばハンデの置石4つ分の差にあたる。だがこの差がとても大きいのだ。

 2000年代後半にはアマチュアの3〜4段程度であったコンピューター囲碁の実力は、モンテカルロ法という新しい方式により、急激に力を伸ばした。ならばこのペースでいけばいつかはコンピューターが人間の頭脳を抜くのでは、と思ってしまうが、そう簡単ではないようだ。

  プロ棋士が正式な対局で使う「19路盤」(縦横19本の線が引かれている碁盤)には、361か所の交点がある。この着手の選択肢の多さが、コンピューターに最善手を判断させるのを阻むのだという。

小沢一郎氏の棋風は?
 そこで今回の電王戦では「ZEN」は、「9路盤」(縦横9本の線が引かれている碁盤)でプロ棋士と対戦し、「13路盤」(縦横13本の線が引かれている碁盤)で、アマチュア日本一と対戦。さらに「19路盤」では政治家でアマチュア高段者でもある小沢一郎氏と対戦することになった。それぞれの大きさの碁盤で、現在の「ZEN」の実力に最も近いと思われる相手を考慮した結果、このような対戦になった。

 さて対戦者の中で最も注目されるのは、政治家の小沢一郎氏だ。囲碁は盤上の棋風(打ち方)に性格が表れやすいと言われているゲームだが、小沢氏の棋風を最も良く知る、棋士の依田紀基(よだのりもと)九段によると「小沢さんはセオリーに捉われず、実戦的な碁を打ちます」という。

346名無しさん:2015/05/31(日) 21:32:37
>>345

 囲碁には定石や序盤の作戦など、ある程度のセオリーがあるのだが、小沢氏はそれに捉われることなく自分の世界を広げ、自分の土壌で戦うタイプなのだ。さらに勝負の行方について尋ねると、「ZENは読みの分野がとても優れているので、戦いになって石を取る、取られるような展開になると、正確に先を読まなくてはならず、小沢さんが大変かもしれません。ただZENは、石を効率よく働かせて打つのが苦手なようなので、その分野で小沢さんがリードできれば…。いずれにしても好勝負になると思います」(依田九段)。逆境になってからの勝負強さにも定評がある小沢氏。最強のコンピューターを相手に、どんな盤上の世界を広げていくのか。

張豊猷八段、平田智也三段とZENとの戦い
 またZENがプロに最も近い実力を持つと言われる9路盤では、プロ棋士の張豊猷八段(33)と平田智也三段(19)が対戦する。

 9路盤は選択肢が少ない分、石が接近しやすく、戦いが起こりやすい。まるで狭い檻の中に、肉食動物が放たれたような、激しい戦いが予想される。張八段は、攻められる石があったら全力で攻めるという、とにかく戦う棋風のファイターだ。

 一方の平田三段は「相手の強いところで戦って、苦しい中で活路を見出すのが好きです。変な棋風なんです」(平田三段)と本人も語る個性的な棋風の持ち主。年齢も棋風も対照的な2人が、9路盤という戦場でどんな戦いを見せてくれるだろうか。

(ライター 王真有子)

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第1回囲碁電王戦 概要

1日目:2月11日
午前10時〜「9路盤三番勝負 張豊猷八段・平田智也三段 vs Zen」

2日目:2月16日
午前9時〜「13路盤三番勝負 江村棋弘アマ日本代表 vs Zen」
午後5時〜「19路盤一番勝負 小沢一郎氏 vs Zen」

いずれも「ニコニコ生放送」で生中継。両日ともニコファーレで大盤解説会が開かれる(参加無料)。

347名無しさん:2015/05/31(日) 21:41:16
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150321-00000016-it_nlab-cul
将棋の羽生名人と元チェス世界王者カスパロフのチェス対局をEテレで放送
ねとらぼ 3月21日(土)16時5分配信

 昨年11月28日、将棋電王戦FINALの振り駒役としてサプライズ出演した元チェス世界チャンピオンのガルリ・カスパロフさんと将棋棋士・羽生善治名人とのチェス対局のようすが3月21日午後11時からNHK Eテレで放送されます。

 「激突!東西の天才 将棋名人 羽生善治 伝説のチェスチャンピオン ガルリ・カスパロフ」が番組名。電王戦特別企画としてニコニコ生放送で中継されたもので、15年間トップの座を守り続けた伝説のチェス元世界チャンピオンと、優勝回数・タイトル獲得歴代1位で将棋界で20年もの間トップを走り続ける天才棋士がチェスで相対します。

 カスパロフさんは最強の人類代表として1997年にチェス専用コンピュータ「ディープ・ブルー」と戦い敗北。コンピュータとプロ棋士が戦う「将棋電王戦」を語る上でも欠かせない人物です。対する羽生名人はチェスでも日本ランキング1位の実績を持つ実力者。対局は意外な展開に……。

 対局後の対談では、「天才をどう育てればいいのか」「天才は老いをどう受け止めるのか」「人工知能が人間の力を越えるほどまでに発達しようとする中、人間と人工知能はどうつきあっていけばいいのか」などが語られます。

 再放送は3月28日午前0時に予定しています。

348名無しさん:2015/05/31(日) 21:41:50
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150308-00000005-pseven-life
羽生善治「コンピュータ将棋により人間が培った美意識変わる」
NEWS ポストセブン 3月8日(日)7時6分配信

 2012年から始まったプロ棋士とコンピュータ将棋ソフトの棋戦、電王戦。2014年の第三回大会では、1勝4敗でプロ棋士がコンピュータ将棋に敗れ、2年連続で人間側が惨敗した。コンピュータ将棋の進化は将棋をどう変えるか。羽生善治4冠に、ルポライターの高川武将氏が聞いた。

──将棋に今、大きな転換点が訪れています。コンピュータ将棋の進化です。

「この2、3年で一番大きな変化ですね。コンピュータが強くなるのはわかっていたことですが、今、実際に様々な影響を起こし始めている。伝統的な世界でコンピュータとどう対峙していくかが問われているのは、非常に特殊な状況だと思います」

──昨年の電王戦で出た人間には違和感があって指せない斬新な手がその後、棋士に流行したり、計算力だけでなく創造性や独創性も発揮し始め、人間が学び始めている。
 
「なぜその手を指したのか、コンピュータの思考プロセスまではわからない。1秒間に百万手も読める莫大な計算力のあるコンピュータと同じ思考を、人間が持つことはできません。でも今後、一手一手を研究する中で、その過程が少しわかるようになるかも知れない。

 それは逆に、死角や盲点と言われる手をなぜ思いつかなかったのか、人間の思考プロセスが鮮明にされることにもなる。思考の幅やアイディアが広がり、将棋の可能性を指し示すことになるでしょう」
 
──より将棋を深められると。いいことばかりですか。
 
「いや、どうしても相容れられない部分もあると思います。人間の思考の一番の特長は、読みの省略です。無駄と思われる膨大な手を感覚的に捨てることで、短時間に最善手を見出していく。その中で死角や盲点が生まれるのは、人間が培ってきた美的センスに合わないからですが、コンピュータ的思考を取り入れていくと、その美意識が崩れていくことになる。それが本当にいいことなのかどうか。全く間違った方向に導かれてしまう危険性も孕んでいます」
 
──長い年月をかけて醸成されてきた日本人の美意識が問われている。
 
「変わっていくと思います。今まではこの形が綺麗だとか歪だと思われていた感覚が、変わっていく……」
 
 少しぞっとする話だが、羽生はどこか「ワクワク感」にも満ちていて、コンピュータという巨大な黒船の来航を楽しんでいるかのようだ。

●撮影/太田真三

※SAPIO2015年4月号

349名無しさん:2015/05/31(日) 21:42:26
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150305-00000066-it_nlab-sci
デンソーがまた才能の無駄遣いした! 将棋電王戦FINALの代指しロボ「電王手くん」が超進化しすぎて「電王手さん」に名称変更
ねとらぼ 3月5日(木)15時43分配信

 3月14日より開幕する、プロ棋士と将棋ソフトによる5対5の団体戦「将棋電王戦FINAL」。この対局会場が世界遺産2カ所を含む全国5カ所になることと、超進化した代指しロボット「電王手さん」が登場することが発表されました。で、電王手くんがさん付けになってる……!

 「電王手さん」は将棋ソフトの指し手を盤上に再現するために、デンソーウェーブが開発した将棋対局専用ロボットアーム。昨年の「第3回将棋電王戦」にも同様のロボットが登場しましたが、今回さらに進化を遂げて再登場。前回は駒を吸いつけて動かすタイプだったため、駒を裏返して「成る」動作は一度専用の台に置いて持ち直す必要がありましたが、今回は駒と駒の隙間を認識することでより繊細な「挟む」動作を実現し、直接「成駒」を作ることが可能になりました。

 ボディも滅菌環境の医療現場などで使用されるシルバーの表面処理を施したものに変更。将棋を指すためだけにわざわざ医療用ロボット「VS-050S2」をベースに開発したというまさに「才能の無駄遣い」な代物です。前回は対局時におじぎをするなど「かわいい」と評判になった「電王手くん」ですが、その超進化っぷりに敬意を表して名称も「電王手さん」とあらためられました。

 また、対局会場も将棋の歴史……というか日本の歴史に関係する全国の名所に決定。第1局は、将棋名人戦の父・徳川家康の将軍宣下によって江戸幕府が始まり、徳川慶喜の大政奉還によって675年の歴史に幕を閉じた世界遺産「二条城(京都府)」。第2局以降も「高知城(高知県)」、「五稜郭(北海道)」、「薬師寺(奈良県)」など、歴史的な戦いを象徴する名所で行われ、最後の第5局は人類将棋界の最後の砦である「東京将棋会館」で行われます。

 将棋電王戦FINALは3月14日より毎週土曜日朝10時対局開始で全5局。全対局の模様はニコニコ生放送で中継され、ニコファーレと対局会場付近のホールにて大盤解説会も開催されます。

350名無しさん:2015/05/31(日) 21:42:57
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150304-00000074-it_nlab-sci
まさにぷよぷよ界の「電王戦」? ぷよぷよ人類トッププレイヤーと最強AIの対決がアツい
ねとらぼ 3月4日(水)18時6分配信

 誰もが気軽に楽しめるシンプルなルールながら、奥の深すぎる頭脳ゲームとしての一面も持つ落ち物パズルゲーム「ぷよぷよ」。トッププレイヤーたちは大連鎖や小連鎖を高速で組み上げながら、相手の画面を見て瞬時に複数の対応パターンを切り替えるといった人智を超えた技術を持っているのですが、近年コンピュータプログラムによる「ぷよぷよ最強AI」と呼ばれる存在が登場。人類トップクラスのプレイヤーとコンピュータによる「将棋電王戦」のようなアツい戦いが繰り広げられています。

 ぷよぷよ界に激震が走ったのは2012年5月に行われた「第1回 人類VS最強AI ぷよぷよ通対戦」。ぷよぷよでは有志によるリーグ戦によって「A級」「S級」といった格付けが行われているのですが、全国レベルのA級プレイヤーたちがtestさんの開発したAI「niina」にダブルスコアで大敗するという事件が起こりました。トップレベルの対戦では、連鎖を組む技術はもちろん相手のフィールド状況やネクストぷよを見て小連鎖で牽制を入れるなどさまざまな戦術・駆け引きが重要になるのですが、niinaはそれぞれの対応に特化した3パターンのプログラムを用意して、その実力を広く知らしめます。

 その後、2013年8月についにS級プレイヤーの1人かめさんが「ぷよぷよ電脳戦」としてniina最新型などのプログラムと100本先取の対戦を実施。こちらも熱戦を繰り広げたものの71対100で敗れてしまいます。

 ただし、当時はまだ実機上でAIを動かす術が開発されておらず、これらの対決で使用されたのはぷよぷよ通クローンのクライアントソフトを使用したプログラム。ほとんど理論上最速レベルでぷよを操作する上位プレイヤーの間では、使用する実機やモニターの描画速度など極めてシビアな環境の違いも不利に働いてしまうため、まだ対等な条件での実力は人間側が上なのではないかという見方も強く残っていました。

 しかしその後、エンジニアでありぷよぷよプレイヤーでもあるmayahさんが、AIを実機上で動かす技術を開発。Wii版のVCAぷよ通で動作するAIに続き、2015年2月にはとうとう人間のトッププレイヤーが最も得意とするゲームセンターのアーケード筐体で対戦可能なAIが誕生します。

 アーケード版最強AI展示会の様子はニコ生で中継され、その脅威の強さに多くのぷよらーが震撼。mayahさんはさらに人間に近い連鎖と戦術を選択するという新たな最強AI「mayah」も開発しており、「2015年中に人類を終わらせる」とまで公言しています。一方、ぷよぷよS級リーグでは近年「人類最強」と称されていたプレイヤーmomokenさんが格付けリーグ戦からの引退を表明するといった騒動も起こっており、人類対最強AIによるぷよぷよ決戦の行方に多くの注目が集まってきています。

351名無しさん:2015/05/31(日) 21:43:47
http://bylines.news.yahoo.co.jp/hirabayashihisakazu/20130414-00024395/
コンピュータと人。頭脳の対決。名勝負が続く将棋・電王戦
平林久和 | 株式会社インターラクト代表取締役/ゲームアナリスト
2013年4月14日 10時57分

涙の引き分け
プロ棋士とコンピュータの対決。将棋・電王戦。
4月13日、第4局が東京・千駄ケ谷の将棋会館で行われた。
今シリーズの対戦成績はプロ棋士が1勝、コンピュータが2勝。
塚田泰明九段が負ければ、団体戦五番勝負トータルでもプロ棋士側の敗北が決まってしまう。歴史的大一番だった。塚田九段の対戦相手は、昨年、故・米長邦雄将棋連盟会長に勝った「ボンクラーズ」の強化版、「Puella α(プエラアルファ)」。富士通研究所に所属する伊藤英紀氏が開発した。第21回世界コンピュータ将棋選手権で優勝したソフトだ。
対局開始から塚田九段に勝機は訪れなかった。悪手は一手も指していない。にもかかわらず、コンピュータ有利の局面が続いた。終盤には塚田九段が必敗の大勢になったが、粘りに粘って引き分けに持ち込んだ。王が敵陣まで進みあって、お互いに勝ちがない状態、持将棋となった。
230手の激しい戦いが終わり、観戦記者から「途中で投了を考えましたか?」と聞かれた瞬間に塚田九段は言葉を失った。身体の動きも固まった。「いいえ、自分からは‥‥(投了したくなかった)」と言うのが精一杯で、目を赤くして落涙した。コンピュータに負けてはならない。並大抵ではないプレッシャーが塚田九段を襲っていたのだ。
現時点でプロ棋士に勝ち越している。天才と言われた現役九段が、引き分けに持ち込んで男泣きするほど強くなった。いったいコンピュータ将棋に何が起きているのか? この進歩は何によってもたらされているのか?

機械学習と評価関数
将棋というゲームは前半と後半で性格が異なる。前半は価値基準が抽象的だ。芸術のようだ。プロ棋士や将棋ファンたちは「形がいい」「筋がいい」「駒が働いている」「陣形が美しい」といった言葉によって前半戦を語る。たいして後半の価値基準は具体的だ。計算がすべてである。敵よりも早く王を詰ませるための最善手だけを追究していく。
当然ながらコンピュータは後半に強く、前半に弱かった。90年代の市販将棋ソフトでも終盤戦は思考がしっかりとしていたが、前半はすきだらけだったのである。ところが近年、コンピュータは苦手を克服した。思考のためのプログラムが格段と向上したのだ。
第一の要因は機械学習である。データベースから膨大な数のサンプルを解析。その解析をもとに有用な規則、判断基準などを抽出してアルゴリズム(算出方法)を発展させることができるようになった。コンピュータは局面だけを見て「形がいい」の判断ができない。だが、同じ局面を何度も見ていくうちに、どの手順で指せば、良い結果が出る確率が高いか。記録を蓄積して学習するのである。
第二の要因は評価関数である。将棋は勝負事の鉄則通りで、形勢有利のときと不利のときでは判断基準が違う。有利ならば安全策で逃げ切りを狙う。不利ならば逆転を狙った積極策に打って出なくてはいけない。形勢を正しく数値化することによって、有利不利の判断をする。その基準値となるのが評価関数だ。電王戦第2局で、佐藤慎一四段に勝った「Ponanza(ポナンザ)」の開発者、山本一成氏は自身のブログで評価値の一部を公開している。
また山本氏は 「チェスの指し手の選択肢は10の120乗、将棋の指し手の選択肢は10の220乗とすると、計算すべき数が多い将棋は開発するのが大変ではないのか?」の質問に対して、次のように語っている。
「選択肢の数ですべてが決まるわけではありません。チェスの駒は大きく動くので、置き場所によって評価に差がつきやすい。ですが、将棋の駒の動きは小さいので局面理解が難しい。たとえば1枚の歩がどこにあるのか。小さな位置情報を評価値に変えることがチェスと比べると難しいのです」。
ちなみに「Ponanza」は一秒間で3000万〜4500万手を読めるそうだ。まさに桁外れの計算能力だ。コンピュータは膨大な選択肢を計算することは苦にしない。それよりもどの手が最善手なのか。評価する基準づくりが最終的な強さにかかわってくる。

352名無しさん:2015/05/31(日) 21:43:59
>>351

最終局は頂上決戦
この数年で劇的に強くなったコンピュータ将棋。2010年には清水市代女流王将、2012年には故・米長邦雄・将棋連盟会長(永世棋聖)に勝った。そしてついに2013年4月、現役の男性棋士に連勝したのである。大きな節目を迎えた。人工知能の専門用語でいえば「シンギュラリティ──技術的特異点を迎えた」といえるだろう。
電王戦第5局(最終局)は現役プロ棋士の中でも最上位「A級」に属す三浦弘行八段が登場する。三浦八段は、かつて羽生善治七冠王から一冠(棋聖位)を奪ったこともある。
対戦するコンピュータは、東京大学大学院総合文化研究科の教員・学生が開発した「GPS将棋」である。昨年開催された第22回世界コンピュータ将棋選手権で優勝している。「GPS将棋」は、汎用PCを大量につなげた演算処理、クラスタリングと呼ばれる技術を使っている。今回の対局にむけて、東京大学は学内にある700台以上のPCを「GPS将棋」に提供することを特別に許可した。
1秒間に約2億8000万手を読むとも言われる「GPS将棋」と、A級棋士・三浦弘行八段の戦い。「GPS将棋」が勝てばコンピュータの3勝、1敗、1引き分け。三浦弘行八段が勝てば2勝、2敗、1引き分けとなる。第5局は4月20日に行われる。

平林久和
株式会社インターラクト代表取締役/ゲームアナリスト
1962年神奈川県出身。青山学院大学卒。ゲーム産業の黎明期に専門誌の創刊編集者として出版社勤務。1991年に起業。現在に至る。著書、『ゲームの大學(共著)』『ゲームの時事問題』など。デジタルコンテンツ白書編集委員。2012年にゲーム的発想(Gamification)を企業に提供する合同会社ヘルプボタンを小霜和也、戸練直木両名と設立、同社代表を兼任。俯瞰的であること、本質を探ることをポリシーとする。

353名無しさん:2015/05/31(日) 21:45:18
http://bylines.news.yahoo.co.jp/hirabayashihisakazu/20130421-00024503/
日本的美徳がファンを魅了した。将棋・電王戦
平林久和 | 株式会社インターラクト代表取締役/ゲームアナリスト
2013年4月21日 10時37分

将棋というゲームに審判はいない。
敗者が自ら負けを認めたときにゲームは終了する。

「負けました」とはっきりと声に出して言う。朝から夜まで目の前に座っていた対局者に聞こえるように言う。大きな棋戦ならば、立会人にも聞こえるように負けを宣言することが、古くから続く将棋の作法だ。声を出すと同時に、右手を駒台に置く。この所作もまた、敗北を宣言するときに欠かせない作法のひとつである。

勝者は平静を保たなくてはいけない。ガッツポーズなどはもってのほかで、笑うことさえも許されない。勝敗が決まった瞬間に勝者がするべきことは、ただひとつ。「ありがとうございました」と敗者に向かって礼を述べることである。

第2回・将棋電王戦が終わった。最終局、第5局はコンピュータ側の勝ちだった。第22回世界コンピュータ将棋選手権で優勝した「GPS将棋」は強かった。プロ棋士の最高クラスA級に属す三浦弘行八段に「(自分の指し手の)どこが悪かったのかが、わからない」「(GPS将棋には)つけいるすきがない」と言わせるほどの完勝だった。これで全5戦の通算成績はコンピュータの3勝1敗1引き分けとなった。

コンピュータと人間が対局する電王戦は大いに盛り上がった。「他のタイトル戦よりもはるかに多くの報道陣が将棋会館に来ている」と語ったのは、第4局で解説者をつとめた木村一基八段だ。電王戦の主催者、株式会社ドワンゴの川上量生(かわかみのぶお)代表取締役会長は、同社が運営する「ニコニコ動画での電王戦、総視聴者数は190万人」と語った。将棋人口は減っているにもかかわらず、電王戦がこれほどまで世間の注目を集めたのは、そこに上質な人間ドラマがあったからだろう。

電王戦の対局で、プロ棋士の前に正座するのは人である。奨励会と呼ばれるプロ棋士養成機関に所属する若手が、コンピュータが選んだ指し手にしたがって駒を動かす。勝負が終わると、奨励会員と席をかわってソフトウェアの開発者が将棋盤の前に座る。そして終局の挨拶を行うのだが、このとき、開発者たちは皆、居住まいを正して深々と頭を下げた。対局後には記者会見を行う。会見場でソフトウェアの開発者たちは口々に、プロ棋士との対戦が実現できたことへの感謝の言葉を述べた。

コンピュータというと、ともすれば冷たい印象を受けるが、電王戦に出場した開発者たちは他者への思いやりに満ちていた。対局中、記者会見、休憩中、終局後、どんな時でもプロ棋士への敬意を全身で示す。ゆえに将棋ファンたちは、コンピュータを憎い敵とは思わない。ただの機械とも思わない。血の通った好敵手とみなして、この棋戦に夢中になったのだ。

354名無しさん:2015/05/31(日) 21:45:28
>>353

じつは、電王戦開始まえからコンピュータが強いことはわかっていた。コンピュータ同士の戦いで、実力を十分に示す棋譜を残していた。一部のソフトウェアは棋士に貸し出され、練習の段階でプロ棋士を何度となく負かしていた。今のコンピュータは強い。だが、弱かった昔の記憶があるために、プロ棋士はコンピュータに勝って当たり前のムードが漂っている。電王戦に出場することは勇気のいることだ。それでもなお臆せずに、プロ棋士は果敢に挑戦した。通常の棋戦以上の意気込みで対局をした。その姿にファンは感動した。言ってみれば、コンピュータと対局することにより、プロ棋士をいっそうプロ棋士らしくさせた電王戦だった。

第5局、「GPS将棋」は東京大学内にある670台以上のPCをネットワーク接続して指し手を計算していた。1秒間で2億5千万通りを計算できる設定だった。対局終了後、観戦していた記者の何人かが「大量のコンピュータを接続していたから負けた」、言い訳を聞き出すような質問をしたが、三浦八段はこの誘導尋問にひっかからなかった。「GPS将棋はコンピュータの台数が1台でも強い」と潔く負けを認めた。勝負には負けたが、相手の強さをたたえる態度はプロ棋士らしかった。

同じ会場で「GPS将棋」の開発者、金子知適(かねこともゆき)氏は、記者からもはやコンピュータは人間に負けない、という趣旨の無敵宣言を引き出すかのような質問をされた。しかし、金子氏は「コンピュータの将棋は出来不出来が激しいものです。一局で強さを申し上げることはできません」と答えた。

コンピュータと人間が対戦することで注目された電王戦。終わってみれば、敵味方に関係なく、人間たちが将棋というゲームに挑む姿が見る者に感動を与えた。

コンピュータを強くさせたのは、おもしろいことに今回の敵だ。コンピュータの中のデータベースには、プロ棋士たちが20年以上かけて残した膨大な棋譜が格納されている。これからコンピュータの進化を支えるのも、プロ棋士となる。瀧澤武信・コンピュータ将棋協会会長は「開発者がわからないプログラムの弱点を、プロ棋士の先生が解明してくださっている」と語った。

同じことはプロ棋士にもいえて、コンピュータは人間の限界を超えてくれる存在である。第3局でツツカナに負けた船江恒平五段は「コンピュータは私の強いところと弱いところを自覚させてくれた」。谷川浩司・日本将棋連盟会長は「不利になってもあきらめない精神力の大切さをコンピュータから学べる」と語った。「GPS将棋」は三浦八段戦でプロ棋士同士では実戦例のない新手を発見して勝利している。

プロ棋士も。コンピュータの開発者も。
勝っておごらず、負けて悪びれず。戦う相手には最大限の敬意を払って、礼節を重んじる。日本人的美徳を浮き上がらせて、第2回・将棋電王戦は幕を閉じた。

◇ ◇ ◇
既出原稿

コンピュータと人。頭脳の対決。名勝負が続く将棋・電王戦

平林久和
株式会社インターラクト代表取締役/ゲームアナリスト
1962年神奈川県出身。青山学院大学卒。ゲーム産業の黎明期に専門誌の創刊編集者として出版社勤務。1991年に起業。現在に至る。著書、『ゲームの大學(共著)』『ゲームの時事問題』など。デジタルコンテンツ白書編集委員。2012年にゲーム的発想(Gamification)を企業に提供する合同会社ヘルプボタンを小霜和也、戸練直木両名と設立、同社代表を兼任。俯瞰的であること、本質を探ることをポリシーとする。

355名無しさん:2015/05/31(日) 21:46:07
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131022-00000008-wordleaf-soci
羽生防衛の王座戦も盛況 ニコ生の意外な人気コンテンツ「将棋中継」
THE PAGE 2013年10月22日(火)15時41分配信

 「アニメ」「政治」そして「将棋」。あまり関連性のなさそうなこの3つの言葉を聞いてどんな共通点を思いつきますか?

 実はこれインターネットの動画サービス「ニコニコ生放送」の三大コンテンツだそうなのです。アニメや選挙特番は何となくイメージができるけど将棋中継?と思うかもしれませんが、「ニコ生」での将棋のタイトル戦生中継は今や平均20〜30万人の来場者が見込める人気ぶり。配信を手がけるドワンゴによると、人気の秘密は視聴者が好きな時に来場し、気軽にコメントできる「縁台将棋感覚」だそうなのです。

羽生vs.中村の王座戦も中継
 10月21日は注目の対局が行われていました。第61期王座戦第五局。羽生善治王座(三冠)と挑戦者の中村太地六段の対戦は2勝2敗で最終局を迎えていたのです。

 人気トップの羽生に25歳の若手のホープ中村が挑む王座戦は、羽生有利の下馬評を覆し、第三局を終えて中村が2勝1敗とリード、注目度がアップしました。羽生はそれまで通算20期王座を獲得し、同タイトル戦では圧倒的な成績を誇りますが、早稲田大卒で、激しい将棋を指す若手人気棋士、中村が先に王手をかけただけに、ネット界でも奪取に期待感が高まったのです。第4局(羽生勝利)は中村有望とみられた局面もあり、来場者数は30万人超。コメントも約20万と盛り上がりました。第5局は羽生快勝で終わり結果は羽生王座の逆転防衛となりましたが、それでも22万人弱の来場者がありました。昨年末の衆院選生放送開票特番の来場者数約48万人と比較してもヒケをとらない実績です。

 ニコニコ生放送の将棋中継は7大タイトル戦のうち王位戦を除く6タイトル戦で行われており、対局開始から終了まで、ノーカット・完全生中継するのがウリで、公式戦中継は2011年から始まりました。ちなみに王座戦第4局は千日手という引き分けが一度あり、当日続けて指し直し局が行われたため、中継終了は午後11時45分にまで及びました。また、プロ棋士とコンピューターソフトが対戦する団体戦「電王戦」の生中継も人気で、今春に行われた第二回ではプロがコンピューターに負け越した衝撃の展開になったことから、全5局で200万人を超す人が見たといいます。

356名無しさん:2015/05/31(日) 21:46:25
>>355

「縁台将棋」のイメージ
 生中継は単に盤面や対局者の表情を映すだけではなく、ゲストのプロ棋士が「ニコ生」専任の解説者となり、大きな将棋盤で一手一手の説明や次の手の予想を解説します。さらに視聴者が書き込むコメントも見ながら解説するため、リアルタイムで見ている人と解説者が交流するのが特徴。最近の棋界の話題や各対局者の人柄紹介などくだけた話題も出ます。10月17日に開幕した第26期竜王戦第1局(渡辺明竜王対森内俊之名人)では対局者が食べていたおやつが生中継の解説者にも差し入れられ、おやつの解説までするユニークぶりでした。

 意外な人気ぶりについてドワンゴは「特にタイトル戦は進行がゆるやかで長時間にもおよび、棋士が一手指すまでに数分かかることが多いのですが、その間にコメント機能を使って次の手の予想を書き込むなどユーザー同士が交流できる点は ニコニコ生放送と相性が良いみたいです。 羽生三冠がかつての縁台将棋の現代版ですね、と評されましたが その通りだと思います」と話しています。縁台将棋は昭和30〜40年代に夏の夕涼みを兼ねて道端や空き地に縁台を出して将棋を指した風景のこと。ビールを手に野次馬がワイワイ指摘するのが当たり前でした。インターネットを通じて来場者がコメントでつっこみを入れている「ニコ生」の構図と重なります。

息づく米長永世棋聖の精神
 日本将棋連盟が生放送に踏み切ったのは、昨年12月に亡くなった米長邦雄・永世棋聖が連盟会長当時、「インターネットこそ切り拓くべき分野」と積極的に取り組んだことにあります。現在の谷川浩司会長(十七世名人資格者)体制でもこの精神を受け継いでいます。ちなみに中村六段は米長前会長の弟子であることも何かの因縁を感じさせます。

 将棋連盟は「生中継を通じて将棋をスポーツ中継のように見て楽しむファンが増えているようだ。こうしたニーズを大事にしたい」と話しています。前回プロが負け越した電王戦も、第三回を来年3月から4月にかけて実施することが決定。将棋連盟は「ランク上位のプロを送り込む」としていて、今後も将棋の生中継は「ニコ生」のキラーコンテンツになりそうです。

357名無しさん:2015/05/31(日) 21:47:30
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140523-00000029-wordleaf-sci
電王戦「連敗」 将棋界はコンピューターとどう向き合うべきか
THE PAGE 2014年5月23日(金)17時21分配信

 プロ棋士(人間)とコンピューターソフトが激突する将棋の団体戦「電王戦」は2年連続で人間側が敗北を喫したことで話題になりました。チェスやオセロに続き、「将棋もコンピューターが近々人間を追い越す」という声も強まっています。将棋界とコンピューターは今後どのような関係を作っていくべきなのか。コンピューター将棋に詳しい大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員の古作登氏(元週刊将棋編集長)に聞きました。

 ――過去2年の電王戦を見てコンピューターの現在の実力をどう見ますか

「ソフトから見て7勝2敗1持将棋ですから、客観的に見てもすでにトップクラスの棋士(平均的なプロ棋士に対し7割以上の勝率)に並んだと言ってもいいのではないか。ただ部分的にみるとコンピューターの実力もあれと思わせる面もまだある。対決といった面で今が一番面白い時期だと思う」

 ――印象に残った対局は

「一般的にコンピューターソフトは形勢判断を強気に設定し、思い切った踏みこみをするのが強みだ。だが第四戦のツツカナ対森下卓九段で見せたツツカナの戦いぶりは、人間が指しているような手厚い負けにくい指し回しで、どちらが森下さんかわからない感じで驚かされた。この指し方がやや優勢とみられた森下九段を戸惑わせ、逆転されてしまった印象がある」

 ――次回電王戦が行われる場合、連敗したプロ側はタイトル保持者の投入が求められそうですが

「今年の棋士メンバーはタイトル保持経験者の屋敷伸之九段もいたが、順位戦のランキングからいえば5人全員がトップ20に入っているわけではなく、ベストメンバーだったとはいえない。次回やるとすれば現役タイトル保持者1人、トップ10クラス1人、残り3人はコンピューターと対戦する感覚に慣れている若手強豪棋士といった構成が求められるのではないか。ただプロ棋士にとってコンピューターに敗れることは選手生命の危機ととらえられる可能性もあり、プロボクシングの興行のようなうまいマッチメークをしないといけない。先手、後手各三回ずつの六番勝負といった形式もあるのではないか」

 ――将来コンピューターソフトがプロ棋士の公式戦に参加すべきだと考えますか

「人間同士の対局は疲れや勘違いによって逆転する。不利な状況で勝負手を繰り出し相手を動揺させるといった勝負の楽しみがある。スポーツでもミスをしない選手はいない。間違いは恥ではなく逆に面白さを与え、棋譜に味ができるともいえる。だから既存の棋戦にコンピューターが出るのはなじまないのでは。やるなら別の棋戦を作った方がよい」

358名無しさん:2015/05/31(日) 21:47:52
>>357

――将棋界は今後、コンピューター将棋とどう向き合うべきと考えますか

「携帯電話やパソコンでネット対局ができ、タイトル戦も動画サイトで中継され人気になっているようにwebと将棋は相性がよく、将棋界の幅が広がるいい傾向にあると思う。電王戦も『黒船襲来』のようにとらえず、プラスに活用することが大切だ。私は以前から自分が指した将棋の棋譜をコンピューターに解析することをやっているが、それによって自分が陥りやすいくせ、ミスが出やすい状況がかなりわかった。現在51歳だが、近年もアマチュア大会で上位入賞できたのはコンピューターを使った取り組みの効果があったと思う。自分がまったく考えない手も提示してくれるし、コンピューターは人間を補助するものとして大変有用なのは間違いない」

――人工知能研究の世界ではコンピューターの進化はさらに加速し、2045年ごろには人工知能が人類の知能を超えてしまうと予測する「2045年問題」という議論も出ています

「以前はコンピューターの将棋を見ると、これはコンピューターが指しているとわかることが多かったが、最近はコンピューターに人格があるような錯覚を覚えることがある。例えば局面評価の設定を強気からネガティブに見るように変えた場合、負けるのを怖がるコンピューターが出てくるのかといった疑問も生まれる。映画・2001年宇宙の旅では、意思を持つコンピューターが出てくるが、コンピューター将棋もそのような事態が起きるのか。興味はあるが、怖い気持ちもあります」

359名無しさん:2015/05/31(日) 21:48:52
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140912-00000034-wordleaf-soci
将棋「電王戦」は来春終了へ 新しく始まる「タッグマッチ」とは?
THE PAGE 2014年9月12日(金)20時0分配信

 プロ棋士とコンピューターソフトが対戦することで大きな話題を集めた「将棋電王戦」。主催のドワンゴと日本将棋連盟は、団体戦形式の電王戦は2015年春でいったんファイナルとし、これに代わって2016年からは棋士とソフトがペアを組んで対戦する新棋戦「電王戦タッグマッチ」を行うと発表しました。新棋戦の賞金は名人戦、竜王戦に次ぐ規模になることも公表されており、これに先立ち9月20日からタッグマッチのエキシビション戦「タッグマッチ2014」も開幕します。いわば人間とコンピューターの共闘スタイルとなるタッグマッチですが、一方でこれまでの電王戦のような対決の構図とは大きく様相が異なる形になり、ファンがどのような反応を見せるか注目されます。

プロ棋士とソフトがペア組んで戦う
 タッグマッチはプロ棋士がソフトを傍らに置き、ソフトの示す手を参考にしながら自分の指し手を決めていく対局方式。間もなく始まる「タッグマッチ2014」には、プロ棋士12人が参加し、過去の電王戦に出場した「ponanza、ツツカナ、YSS、やねうら王、習甦」の5ソフトのひとつと組んでトーナメントを戦います。棋士とソフトの組み合わせは事前に決定しており、例えばシードの久保利明九段は習甦と、人気棋士の加藤一二三九段はやねうら王と組むことが決まっています。

 タッグマッチはすでに2013年に開催しており、ドワンゴの川上量生会長は「大変な好評をいただき、大きな可能性を感じている」と成功に自信を見せました。習甦と組む中村太地六段は「自分の力とソフトの力の両方を出し切り、最高の棋譜を残せたら」と抱負を語っています。2016年の新棋戦について将棋連盟は公式戦としては位置付けないとしていますが、かなり高額の賞金棋戦となる以上、優勝者は名人、竜王戦並みの格になるともいえます。

 チェスの世界では現在、ソフトの発達が進み、既にノートパソコンでも人間のチャンピオンクラスに勝つレベルになっています。また、人間側がコンピューターで指し手を調べる「アドバンスドチェス」というチェス版タッグマッチも定着しています。

 アドバンスドチェスという試みは、1996年にIBMのコンピューターであるDeep Blueとの対戦で敗れた世界チャンピオン、ガルリ・カスパロフ氏が提唱しました。人間とコンピューターの互いの弱点を補い合って、より高みの対戦を実現することを求めて始められています。電王戦のタッグマッチはこれに倣ったものと考えられます。

360名無しさん:2015/05/31(日) 21:49:45
>>359

「人類だけでは作りえない高み」へ
 昨年3月、この対戦の意義を見出して「アドバンスド将棋」として、「人間とソフトの連合軍」対「ソフト」という対局を主催した工学博士の伊藤毅志氏 (電気通信大学情報工学科助教)は、電王戦タッグマッチについて「自然な展開」としながらも、「人類だけでは作りえない高みへの挑戦となるイベントになることを期待します。単なる興味深い”お祭り”で終わってほしくない」と語ります。

 伊藤氏は「チェスではハードウエアの統一やソフトウエアの利用方法について厳密な規程があり、意義ある対戦になっています。将棋でもレギュレーションを整えて、きちんとした棋戦に成長して欲しい。チェスの分野では、最近はさらに進んでいて、ハードウエアや参加する人間の制限もなくしたフリースタイルチェスと呼ばれるチーム戦のイベントが行われるようになり、あまり強くないプレイヤーでもコンピューターを使いこなすことで、グランドマスター(名人)クラスのプレイヤーに勝つ事例も起こっています。コンピューターの性質を熟知したアマチュアプレイヤーも 参加できるイベントに発展して欲しい」と話しています。

 アドバンスド将棋に対局者として参加した元「週刊将棋」編集長の古作登氏(大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員)はコンピューターと組む効果について、「ポカの防止や、直観で選んだ手の善悪を確かめられること、詰みに近い局面でのソフトの絶対的な信頼度など、私レベルの棋力なら大いにプラスの効果がある」と指摘します。一方で、タイトル保持者などトップ棋士がソフトを使って棋力向上につながるかどうかは「わからない」としています。

 さらに「私は人間が不安や恐怖、ミスによって生じた逆境を乗り越え、棋譜を作っていくことに感動を覚えますので、ミスも含めて作品としての価値が生まれると思う。したがってアドバンスドを用いたミスがない対局が素晴らしい内容の将棋とは必ずしも思わない」と話します。

361名無しさん:2015/05/31(日) 21:50:55
>>360

「電王戦」はどうなる?
 プロ棋士対ソフトの団体戦だった「電王戦」はその独特の対決感やソフトが人間を追い越す日が来るのかという観点から大きな注目を集め、第三回の第五局、ponanzaが屋敷伸之九段を破った対局のニコニコ生放送の来場者数は70万人超と過去最高を記録する人気コンテンツです。団体戦最後とされる2015年の対局者はまだ発表されていませんが、コンピューター将棋の研究の行き届いた若手中心になる見通し。しかしプロ側は過去の団体戦で2勝7敗1分けと苦戦しており、タイトル保持者出場へのファンの期待は当然ともいえます。川上会長も2015年以後も続ける可能性を否定はしていません。タッグマッチだけでは「ファンの支持は得られない。今後、超トップ棋士とソフトとの番勝負といった隠し玉が発表されても不思議ではない」(古作氏)という見方も出ています。

 社会的な話題ともなった「電王戦」。タッグマッチも含め今後の方向性がどうなるか注目されます。

362とはずがたり:2015/06/04(木) 01:03:17

桃太郎電鉄シリーズ終了」KONAMIは否定 「長年かけて育ててきた大切なタイトル」
ねとらぼ 2015年6月3日 20時07分 (2015年6月3日 20時21分 更新)
http://www.excite.co.jp/News/it_g/20150603/Itmedia_nl_20150603118.html

 生みの親であるさくまあきらさんがTwitterで「正式に終了します」と発言し話題になっている「桃太郎電鉄」シリーズ。この件でKONAMIは6月2日、公式サイトで正式にコメントを発表し、「シリーズ終了」のうわさについて否定しました。

 KONAMIからのコメントによると、次回作については現在、さくまあきらさんと話し合いを続けているものの、残念ながらまだ結論が出ていない状態とのこと。KONAMI側としては「桃太郎電鉄」シリーズについて「長年かけて育ててきた大切なタイトル」ととらえており、「一日も早く、ファンの皆様に喜んでいただける作品をお出ししたいと思っております」と、シリーズを終了については否定しました。

 さくまさんは6月2日、Twitterで「コナミから何の連絡もない。こんな調子でずっとほったらかされた」「すべてコナミの石川が握り潰しました」とKONAMIと担当者への怒りをあらわに。2012年の「桃太郎電鉄TOKAI」以来音沙汰がなかった同シリーズですが、作者の口からはっきりと「終了宣言」が飛び出したことで、ファンからは落胆の声があがっていました。

363とはずがたり:2015/06/04(木) 01:07:10
任天堂の次世代機「NX」のAndroid搭載は事実ではない―報道
インサイド 2015年6月3日 10時39分 (2015年6月4日 00時34分 更新)
http://www.excite.co.jp/News/game/20150603/Inside_88119.html

任天堂は、次世代プラットフォームとして開発を進めている「NX」にAndroidが搭載される方向とした1日付の日本経済新聞の報道を否定しました。2日のWall Street Jornalが伝えました。

同社の広報担当者は取材に対して「NXにAndroidを搭載することを検討しているという報道は事実ではない」としています。

「NX」は3月に明らかにされた、新しいコンセプトのゲーム専用機プラットフォームの開発コードネーム。岩田聡社長は3月に行われたディー・エヌ・エーとの資本業務提携の発表の場で「NX」を引き合いに出し、引き続きゲーム専用機にも情熱を持って取り組んでいると述べました。

「NX」の詳細は明らかにされておらず、任天堂は2016年まで続報は無いとしています。

364とはずがたり:2015/06/04(木) 08:04:34
さくまあきら「東北復興編は完成していたのに」…『桃鉄』を他メーカーから発売する提案も立ち消え
インサイド 2015年6月3日 14時30分 (2015年6月4日 00時34分 更新)
http://www.excite.co.jp/News/game/20150603/Inside_88126.html

『桃太郎電鉄』シリーズの産みの親・さくまあきら氏が、シリーズの終了を発表した翌日となる今日、その経緯の一端を明かしました。

『桃太郎電鉄』は長年愛され続けており、それだけに新作が待望されてきましたが、ファンが望むような状況には進展せず、先日「ここに桃太郎電鉄は、正式に終了します」とのコメントをさくま氏が発表しました。

この報告に驚き、また残念に思う声がファンからあがる一夜が過ぎましたが、今もなおシリーズの終焉を惜しむ書き込みがTwitter上で続いています。そして先程さくま氏が、今回の終了発言に関連するコメントを、自身のアカウントにて発表しました。

桃鉄の権利をコナミから買い取って、ほかのメーカーから発売すればという意見もある。だから、コナミにパーセンテージ払って発売することを提案した。コナミの石川は上に聞きますと言いながら、その後もうちが要求した返答なし。だから桃鉄を終了した。 さくま あきら (@isetta_23) 2015, 6月 3

コナミ主導で作ることが難しいならば、パーセンテージを支払うことを前提に、他のメーカーからリリースするというプランを提示したこともあると述べるさくま氏。そしてこの提案に対して返答はなかったと語り、「だから桃鉄を終了した」との経緯を明らかとします。

コナミの内部でどのような動きがあったのかは不明ですが、可否いずれにしても返答がなかったとすれば、さくま氏がシリーズ断念を決めたのも無理のない話かもしれません。なお、以前から構想を示唆していた「東北復興編」が、すでに完成していたことも報告しています。

@kenken_2754 東北復興編はもう完成していただけに残念です。 さくま あきら (@isetta_23) 2015, 6月 3

シリーズファンにとっては、待望とも言える「東北復興編」。完成していると聞けば、なおさらプレイ意欲が高まるばかりでしょう。本当にこのまま埋もれてしまうのか、今後の動向にも注目です。

365名無しさん:2015/06/07(日) 00:17:23
http://logmi.jp/58809
プロ棋士VSコンピュータ、わずか21手で終局した将棋電王戦の裏側に迫る #ニコニコ超会議2015

2015年4月に開催されたニコニコ超会議において、将棋棋士・森内俊之、将棋ソフト「Apery」開発者・平岡拓也、SF作家・瀬名秀明氏、ドワンゴ人工知能研究所所長・山川宏氏、KADOKAWA・DWANGO代表取締役会長・川上量生氏が登壇し、「電王戦から考える、コンピュータと人類の未来」をテーマに意見を交わしました。本パートでは、3月から4月にかけて行われた「将棋電王戦FINAL」を振り返りました。(ニコニコ超会議2015より)

ログ名
ニコニコ超会議2015 / 電王戦から考える、コンピュータと人類の未来
2015年4月26日15時のログ

プロ棋士VSコンピュータソフト、3勝2敗で人間の勝ち越し

司会:将棋について、あるいは人工知能についてということで、それを語っていただくにふさわしい豪華な面々をパネラーにお迎えいたしました。早速本題にいく前に、まず森内先生。

森内俊之氏(以下、森内):こんにちは。

司会:よろしくお願いいたします。

森内:よろしくお願いします。

司会:ニコニコ超会議に来られたことはありますか?

森内:今日初めて来たんですけども、すごい熱気で圧倒されています。

司会:ものすごい熱気ですよね。普段の対局場のように、水が一滴落ちるだけでも聞こえるような静ひつとした空間とは全く正反対の会場ですけども、いかがですか? こちらの会場に来られて、まず率直なご感想は?

森内:いや、今日来るときに、うっかりして一般入場口から入ろうとして。

司会:そうなんですか。それはまた事件ですね。

森内:全然たどりつかないんで、どれだけ人がいらっしゃるのかなと思って、それだけですごいなと。

司会:ご家族でいらっしゃったと伺ったんですけれども、お父さんが気がついたら顔にペイントされているという姿を、お子さんにも見られてしまう。これはいかがですか?

森内:びっくりするかもしれませんね。

司会:そんな森内九段にもたっぷりと語っていただきたいと思いますけれども、よろしくお願いいたします。まずはお集まりの皆さん、ご存じかとは思いますけれども、先日まで将棋のプロ棋士とそれからコンピュータソフトの5対5の対抗戦、電王戦が行われておりました。

今年が5対5の形式になりまして3年目、そしてファイナルと銘打たれて3月から4月にかけて毎週土曜日に行われていたわけです。今回初めてプロ棋士派が3勝2敗と勝ち越しました。

まず今回は電王戦ファイナルを簡単に、皆さんと振り返ってまいりたいというふうに思うんですが、どこからいきましょうか? まずは3勝2敗、プロ棋士が勝ち越しました。

この電王戦ファイナルのプロモーションビデオでは、森内先生は「今回は強いメンバーである」と。「今回こそは人間が勝ち越すんではないか?」とおっしゃっていましたが、そのとおりになりました。今回の3勝2敗という結果についてはどういうふうにお感じになっていますか?

森内:今まで団体戦が2回あって、2回とも人間が1勝しかできずに負けていたんですけども、今回はプロ側も強いメンバーをそろえてきましたし、準備にすごく時間をかけて、そういう対策もしていたみたいなので、結果を出してくれるんじゃないかな? と思って見ていました。

司会:そうですね。今、モニターのほうにも出ております。第1局、第2局人間が勝ちまして、3局、4局とコンピュータが盛り返し、そして第5局、ちょっと物議を醸しました。いろんなニュースにも取り上げられる形になりました。何と21手でコンピュータサイド、AWAKEが投了にて人間側が3勝目という形になったわけですけれども。

366名無しさん:2015/06/07(日) 00:18:04
>>365

開発者にとって電王戦は晴れの舞台

司会:平岡さんがコンピュータソフト、強い将棋ソフトを開発しているというのはお仲間もいろいろご存じだと思うんですけれども、今回の電王戦についてはどんなことを言われましたか? 終わった後は。

平岡拓也氏(以下、平岡):終わった後は「残念だったね」と言われることはありますけど、でもああいう場で指せるコンピュータの開発者として携われたというのは一生に一度あるかないかのようなことですし、非常におもしろい体験ができてよかったというのが感想ですね。

司会:やっぱり3年目、団体戦になりますけれども、コンピュータソフトの開発者の皆さんにとっては、やっぱり電王戦というのは晴れの舞台と見てよろしいんでしょうか?

平岡:そうですね。それはそうだと思います。

司会:最後の総まとめの会見でも申し上げたんですけども、やっぱり対局発表のニコファーレでの会見の、平岡さんの仁王立ちはトータルで1番格好よかったです。ついに出られた平岡さんのあの仁王立ちというのは、僕いまだに忘れてないんですけれども。

対局の結果そのものは残念でしたけれども、貸し出しですとかそういったものにいろいろ思うところはあるというのは電王戦の最後の記者会見でもおっしゃっていました。結果的にはプロ棋士に今回初めて負け越す形になりました。これについてはいかがですか?

平岡:負け越した責任として、やっぱり1敗したのは私のソフトですし、責任はちょっと感じました。でも、負け越すこともあるだろうとはちょっと思っていたので、予想外ということはなかったです。展開としては予想外なことばかりでしたけども、結果としてこういうことは十分起こり得るだろうということでした。

コンピュータが「人知を超えた存在」から、より身近な存在になってきている

司会:瀬名さんは、今回のファイナルはどんなふうにごらんになりましたか?

瀬名秀明氏(以下、瀬名):僕自身は将棋は本当に素人でして、細かいところまではわからないんですけども、後で生ではないんですが、その後拝見しました。それで非常にいろんな人間とコンピュータとの戦いのあり方が、5局通じて何か出ている感じがすごくあって、今までの中では僕は1番おもしろく拝見しました。

司会:SF作家としては年々いろんな人間とコンピュータの立ち位置が変わってくる中でどのあたりが1番ぐっと来る部分だったり、あるいは電王手くんが電王手さんになったりとか、ああいった部分を含めてどうですか?

瀬名:僕は最初、ガルリ・カスパロフさん(注:元チェス世界チャンピオン)がディープ・ブルー(注:チェス専用スーパーコンピュータ)と対戦した頃から、人工知能とかロボットのノンフィクションを書かせていただくようになったんですけど。

あの頃はまだコンピュータが人間と違った知能を発揮して何か恐ろしい手、人知を超えたものを出してくるんじゃないか? みたいなことが言われていたんですけども、今はむしろロボコンとかああいうのとちょっと雰囲気が似てきて、開発者と棋士の人たちとのチームの対戦みたいな、そういうような感じになってきているような気がします。

一方では、だから例えば『2001年宇宙の旅』のHAL9000が人知を超えたチェスを人間とやりますけども、ああいう雰囲気は少し薄れてきて、もっと身近な対戦になったのかなというふうにも思いますね。

司会:距離感の縮まりというのは年々感じますよね?

瀬名:そうですね。

367名無しさん:2015/06/07(日) 00:18:20
>>366

コンピュータ将棋はトッププロにとっても無視できない存在に

司会:第2回の5対5になってからは初めての一昨年の電王戦だったんですけれども、あのときのプロモーションビデオでも「得体の知れないものと暗闇の中で切り合う」というセリフがあるんですけども。森内先生、プロ棋士にとって一昨年の段階というのは、コンピュータとガチンコ勝負でやる団体戦という感覚だったんですか?

森内:やはり初期のころは棋士側にもコンピュータに対する理解というのが余りできていなかったですし、そういう意味では回を重ねるごとに、少しずつ特徴をつかんでいって今があるのかな? という気はしていますね。

司会:森内九段にとっても年々やっぱりコンピュータとの自分との立ち位置ですとかは変わってきましたか?

森内:プロ棋士にとってコンピュータの存在というのは、もうなくてはならないものになりましたし、実際にプロ棋士においても大きな影響を与えていますので、無視できないというか、コンピュータを活用していかに活躍していくか、そういう時代になっているんだなということは思いますね。

司会:そこはもう年齢関係なく、やはり森内九段ほどのトッププロであってももうコンピュータの影響というのは無視できない部分も……。

森内:はい、それは間違いないと思います。

電王戦は「人間とコンピュータの付き合いかた」を考える契機に

司会:山川さんは今回のファイナルはどういうふうにご覧になりましたか?

山川宏氏(以下、山川):私は、立場的には人工知能の研究者なんですけれども、長年人工知能はなかなか追いつけなかったんですが、先ほど暗闇の中でという話がありましたけれども、やっぱり人工知能は手を読むということがすごい得意なわけです。ですから、あまり気の利いた読み方はできない。

プロ棋士の方はコンピュータに比べると読む範囲が全然狭いんですけれども、同じぐらい戦えるということで、直感的に選べるというところにすごい優れていて、やはりその辺の違いがありつつ戦っているというところが電王戦のおもしろいところではないかなというふうにずっと思っていました。

司会:やっぱり興味深い分野なわけですよね。

山川:そうですね。

司会:川上会長も電王戦ファイナルの最終局後の会見で、興業としては大成功であったというふうに振り返っていらっしゃいましたが、改めてファイナル、今少し時間をおいて振り返るといかがですか?

川上量生氏(以下、川上):本当やっぱりドラマでしたよね。よくネットとかを見ると、何か人間対コンピュータということで、ドワンゴがあおったために電王戦がこんなに大変なことになってしまったということで、よく非難とかされているんですけども。

でも、僕らは別に盛り上げようと思って人間対コンピュータでやっているわけじゃなくて、多分人間とコンピュータがどう付き合うのか? これから人間の1人1人が直面する問題なんですよ。

だから勝った負けたということじゃなくて、そのコンピュータとは一体何なのか? そういう問題提起が今回のファイナルは1番出たんじゃないかというふうに思っています。それは本当によかったと思いますね。

司会:大きなテーマの中でそういった違いというのが1番浮き彫りになったのが今回のファイナルであるということですね。

川上:そうです。

368名無しさん:2015/06/07(日) 00:18:39
>>367

永瀬六段の「2七角成らず」について

司会:このファイナルについて、またちょっとお話ししたいんですけども、いろいろ物議を醸す、大きく話題に取り上げられた対局がいくつかありました。例えば第2局の2七角成らず、これをコンピュータが判別できずに王手放棄で敗戦という形になりました。これについては森内九段に伺いましょうか? どうですか? 永瀬六段の選択については。

森内:最後反則ということで決着はついたんですけども、実は永瀬さんだけ取り上げられるんですけど、序盤でも永瀬さんのほうで角王になる、ならないという選択がありまして、そのときはちゃんと角王になって対局継続しているんですね。

そういうところから考えると、永瀬さんは勝敗だけではなくて、その内容というものを重視してやってきたということがよく伝わってくるんじゃないかなと思います。

最後は実際に反則勝ちになるかどうかというのは、本人もわからなかったと思うんですけども、局面自体勝ちでしたので、どちらをやっていても勝っていただろうなということは言えるかなと思います。

司会:私の将棋好きの知り合いに「逆に2七角成りで勝つんだったら、そこからやってきっちり勝ち切ってほしかった」ということも言われたんですけども、それについてはいかがですか?

森内:そういう意見もあると思いますけどね。どうして成らずにしたのかはわからないですけども、それも1つの問題提起になったんではないかなというふうに思いますね。

司会:第5局ともかかわるんですけれども、ルールの中で勝つ確率が1番高い方策をとった2七角成らず、あるいは2八角を打たせる戦法、このあたりについての選択という部分では、森内九段個人的にはどういうふうにご覧になっていますか?

森内:これはプロ棋士個人個人の考え方ですので、いろいろあるとは思うんですけども、やはり団体戦でやっていて2勝2敗で自分のところに回ってきたら、やはり負けたら大変なことになりますんで、そういうことを考えるとやはり勝ち目の高い選択をするというのが自然なことなんではないかなというふうに思いますけども。

司会:最終局の解説をご担当されていて、私が非常に印象深かったのが2八角1回打たないでスルーしてほっとされていて、その後実際に打ってちょっとがっかりされていたようなリアクションだったんですけれども、あのあたりちょっと偽らざる思いと申しましょうか、どうだったんでしょうか?

森内:対局の解説者としては続いていて熱戦になればいいなという思いはありますけども、それは対局するプロ棋士もプログラマーの方もそれぞれ思いを抱えてやっていますので、その中でああいうことになってしまったんで、それはそれで受け入れるしかないかなというふうに思いますね。

内容と勝負の両方に勝つのが、年々難しくなってきている

司会:なるほど。あと例えばプロスポーツの世界ですと、もう何年も何十年もたつと結果だけが残って、その試合がどんな内容だったかというのは結構忘れ去られてしまうんですけれども、将棋というのはファンの皆さんも本当によく内容まで含めて覚えていらっしゃって。

ですので、3勝2敗でプロ棋士が勝ったという結果とともに、第2局はああいうことがあった、第5局はああいうちょっといろんな物議を醸す勝ち方をしたというのも伴って、記憶に残っていくと思うんですけれども、そのあたりいかがですか?

森内:内容で勝って、勝負でも勝てれば1番いいんだと思うんですけど、コンピュータも本当に今レベルが上がっていて、力を出させた上で勝つということが年々難しくなってきていると思うので、その中でどうしていくかということだと思うんですけどね。

ただ阿久津さん(阿久津主税氏)の指した戦法は、ハメ手という表現もあったんですけど、ちょっと思考というかそういう感じは受けましたけども、別に歩いてやっているわけではないので、それで相手が間違えてしまったら仕方がないのかなというところはありますね。

司会:いろいろ伺っていくと2八角打ってこない可能性も十分にあったし、そうなった場合も含めていろいろ対策を考えていらっしゃったというふうに聞きましたけれども……。

森内:実際、その後の永瀬さんとのエキシビジョンマッチでも悪くないということは証明されていますんで、そういう意味では練られた作戦だったのかなと思います。

369名無しさん:2015/06/07(日) 00:18:50
>>368

最善を尽くしておもしろくなるルールを作りたい

司会:改めて平岡さんは第5局はどんなふうにお感じになったんですか?

平岡:やっぱり残念でしたね。1番素直な感想としては残念で、もっとおもしろい将棋の内容が見たかったんです。それはそうなんですけど、だからといって勝つための最善を尽くしたというのは、阿久津さんの批判も覚悟でやったというのはすごく伝わりましたし、それはそれで批判するのも阿久津さんに悪いような気もします。

難しいところなんですけど、やっぱり阿久津さん自身もやるかやらないかの葛藤がすごくあったとおっしゃっていまして、そういう葛藤を生むルールがつらいなと思いましたね。

やっぱり最善を尽くすのが当然で、最善を尽くした結果おもしろくなるようなルールを真剣につくっていけたら、より電王戦をおもしろく見られたのでは? とか、今後もあるなら見られるんじゃないかと思います。

そこのルールづくりというのは本当に対局者並みに真剣に考えてつくるべきところで、すごいいろんな立場の人から意見を聞いて決めていけたらなと思っていますね。

(制作協力:VoTX)

370名無しさん:2015/06/07(日) 00:19:53
http://logmi.jp/58993
プロ棋士のプライドがひとつの敗因 川上量生氏が将棋電王戦にみた、棋士たちの葛藤とは #ニコニコ超会議2015


2015年4月に開催されたニコニコ超会議において、将棋棋士・森内俊之、将棋ソフト「Apery」開発者・平岡拓也、SF作家・瀬名秀明氏、ドワンゴ人工知能研究所所長・山川宏氏、KADOKAWA・DWANGO代表取締役会長・川上量生氏が登壇し、「電王戦から考える、コンピュータと人類の未来」をテーマに意見を交わしました。本パートでは、コンピュータとプロ棋士が公正に戦うことの難しさが語られました。(ニコニコ超会議2015より)

ログ名
ニコニコ超会議2015 / 電王戦から考える、コンピュータと人類の未来
2015年4月26日15時のログ

コンピュータ将棋を開発する魅力は?

山川宏氏(以下、山川):僕は人工知能関係なんで、コンピュータ将棋の開発者の知り合いとかその周辺の人が多いんですけども、結構意見が分かれていて、やはりある程度まで追いついてしまうと、開発する動機として人と戦うということが余り動機づかなくなってしまうという人と。

今回ある程度人間に有利な条件になっていますので、そういう意見とやっぱりそうであっても強くしていくことに魅力を感じるということで、コンピュータ将棋をつくる人の立場から見て、現代のコンピュータ将棋というのがどのくらい魅力的であったり、そうでなかったりするか、平岡さんに聞いてみたいなと思っていたんですけれども。

平岡拓也氏(以下、平岡):もう1回最後の部分いいですか?

山川:コンピュータ将棋を今開発していく自分にとっての魅力というか、動機とかそういうことです。

平岡:単純にコンピュータ将棋はもっともっと強くなりますので、多分まだまだ底は見えていないと思いまして、だから強くなった結果、どんな将棋になるか? というのはすごく興味があって。

また、強いほかのソフトがあってそれをどうしても倒したいという気持ちがありますので、だから相手はいるし、まだまだ強くなる余地があるから、全然モチベーションとして下がることはないですね。

「パソコンの数が多くてもずるくない」必ず生じるトレードオフ

山川:その辺はコンピュータ同士ですと、コンピュータのスペックとかはそろえて戦ったりするということになるんですか?

平岡:そこも別にそろえる必要はないと私は思っています。5月のゴールデンウイークにコンピュータ将棋選手権が行われるんですけど、それはハードウエアの制限が全くないんですね。GPS将棋なんていうのは一時期700台近いパソコンを使用して戦っていましたし。

それってずるいって言うことは簡単ですけど、違いますよね。やってみたらわかるんですけど、絶対大変なんですよ。それなりの苦労があってつくっているし、そのたくさんのパソコンを使うのに苦労したために、1台の評価関数とかほかの部分はちょっと手を抜かざるを得なかったりとか、そういうトレードオフがあるはずなんですね。

だから、ハードウエアをうまく使うところに注力した人には、やっぱりその利点を使わせるというのはフェアなことかなと思っていますね。

371名無しさん:2015/06/07(日) 00:20:24
>>370

人間はコンピュータではなくルールと戦っている

瀬名秀明氏(以下、瀬名):こういう試合って将棋以外にもたくさんあるわけで、例えばロボカップといって、ロボット同士がサッカーをするというのが1997年からずっとやっているんですね。あれも見ていたんですけれども、ルールが毎年毎年変わるんですよね。

ロボットのスペックがどんどん上がっていくんで、例えば今までのルールだと、来年はもうどんどんゴール決めちゃうからおもしろくないと。だからルールをまた変えましょうといって、ロボカップ委員会がルールを変えるんですね。多分こういうのっていうのは、人間の棋士とコンピュータが実は戦っているようでいて、人間は何と戦っているかというとルールと戦っているんですね。

ルールをどういうふうに毎年毎年おもしろく設定できるか? っていうのが勝負どころで、そこが実は1番おもしろいところで、人工知能はまだそれができないんですね。だから、ルールをつくるっていう人工知能はなくて、そこを人間がやらなくちゃいけなくて、実はそれが1番この電王戦でもおもしろいところなんだと思います。

公平な知性VS知性の勝負のための、議論がなされるべき

司会:川上会長、ルールの話です。

川上量生氏(以下、川上):何が1番公平なルールなのかというと、僕が思っているのは、これってやっぱり最終的には知性対知性の勝負なんですよ。つまり、コンピュータのベスト対人間のベストで勝負すべきなんですよね。そうすると、何かそもそも同じ持ち時間で戦うこと自体が本当はおかしいんだと思うんですよね。

だから、例えば人間の棋士だったら正座して戦っていますよね。あれも本当は正座の必要はないんじゃないかと(笑)。いすに座ってネットを検索しながら、もしくはほかの人間と相談しながら、過去の棋譜とかも全部調べながら次の一手を好きなだけ考える。

ずっと考えたとしても、ある一定以上考えると人間が考えられるベストの時間って多分ある程度限界が来ると思うんですよね。そこで本当は戦って、それとコンピュータが考えたというのがどうなのか、というのを調べるというのが僕は本当は1番公平な知性対知性の勝負なんだと思うんですよ。

でも多分そういうことをするのって、人間のプロ棋士の世界ではやっぱり許されない話になっちゃうので、それは本当に公平なルールは何なのか? ということがネットを含めた世論が盛り上がって決まっていくのが僕は正しいんじゃないのかなと思うんですよね。

本当に公平にするんだったら、エネルギーの消費量を同じにする必要があると思うんですよね。だから、人間の脳と同じぐらいのワット数で動くコンピュータで戦うのが本当は筋じゃないかと。

だから、電王手さんも本当は標準装備を義務づけるべきだと思うんですけど、でもさすがにそれはできないからコンピュータはやらなくてもいいとなっているわけですが、そうすると、やっぱり今コンピュータのほうがハンデをもらっている状態なんですよ、実は。

だから、そういうような議論がされるような感じになっていけばいいんじゃないかなと思うんですけどね。いろんな考え方あるので。

372名無しさん:2015/06/07(日) 00:20:40
>>371

それぞれの消費電力をリアルタイムで表示したかった

司会:回を重ねて米長会長の1対1の対戦から4回電王戦やりましたけれども、最初から川上会長は、人間対コンピュータというのは、そもそも不公平であるとお考えだったんですか? それとも回を重ねるごとにそういうお考えに至ったのか。

川上:最初からですね。実は、第1回の電王戦で提案したことがあるんですよね。「戦うときにちゃんと、どういう条件で戦っているのかというのを表示したい」というのを最初から言っていて。

1つ言うのは、電力消費のことをやっぱり表示したかったんですよね。それは第1回、第2回で電力表示ができなかったのはGPSのせいなんですよ。あれの正確な数値が計算できなくて。それがなかったら、本当はどれだけのワット数をそれぞれリアルタイムでコンピュータが使っているのかをまず表示しよう。

別にそれを制限するというんじゃなくて、まずは表示してこういう状態で戦っているんだということをお客さんに見てもらって、そしてだんだんとみんなに考えてもらえるような環境をつくりたいなということを考えていましたね。

シナリオどおりにいかない電王戦の魅力

司会:それが第1回が1対1ワンマッチだったわけですけれども、その次の年から5対5になりました。あれもルールといえばルールなんですけども、我々ジャンプ世代なんていうのは非常に興味をそそられる形式に変わったなと思ったんですが、あれは川上会長のアイデアなんですか?

川上:いや、あれは米長会長のアイデアですね。ただ米長会長は5年かけてやろうとしたんですよ。それで僕の提案というのは1年でやりましょうと。それを毎週やりましょうと。そういうのが僕の提案ですね。

司会:そうしたら結果、あれだけのユーザー数を集めて、コメントも集まりましたし、あの一昨年の結果というのは川上会長は正直、予想どおり、予想以上、どうだったんですか?

川上:電王戦で予想どおりになったことはないんですよね。電王戦がおもしろいのって、みんな真剣勝負なんですよね。真剣勝負で、だからドラマが生まれるんですけど、その中で僕もこういうふうにしたいというシナリオは一応書くんですよ。こうなってほしいなという。一度もそのとおりになったことはないんですね。全くならないです。

当時はプロ棋士が負けるということに抵抗があった

司会:この回で人間が1勝しかできなかったわけですけれども、森内九段、一昨年の電王戦が終わったときに将棋界の空気的にはどうだったんですか?

森内俊之氏(以下森内):まさか1人しか勝てないとは思わなかったんで、コンピュータがそれだけ強くなっているということを改めて突きつけられたわけですね。特に、当時大将を務めた三浦九段が内容的にも完敗で負けたということで、いよいよここまで来たかということで非常に複雑な心境だったことを覚えていますね。

プロ棋士が負けることに抵抗があったのが多分そのときだと思うんで、そのとき出た棋士というのは今以上に切実な思いというのがあったんじゃないかと思いますね。

司会:初めての現役プロ棋士とのガチンコ勝負で、見る側としても本当に勝敗がどうなるんだろうというのは非常に興味をそそられる第2回の電王戦だったわけですけれども。

それが結果ああいった形になって、平岡さんもコンピュータ将棋開発サイドとしてはあのときどうだったんですか? 団体戦やったらいきなり勝ち越しちゃったみたいな。

平岡:それは本当に予想してなかったですね。だから、この先どうするんだろう? と、それからの2年というのは全然予想できなかったんですけど、こういった形になるかと。それでPCが1台になったりだとか、そういうことになるとはまさか思わなかったというのがありますね。

373名無しさん:2015/06/07(日) 00:20:57
>>372

カロリーをそろえて省エネ勝負していても仕方ない

平岡:ルールのところにまた戻すんですけども、制限カロリーをそろえるとかは何か余り本質的じゃないかなと私は思っていて、能力を制限することは何か合理的な理由がない限り必要ないと思うんですね。人間だってカロリーをもっと使って性能がよくなるなら使ったらいいと思うんですけど、使えないだけなんですよね。

コンピュータは別にたくさんつないで、たくさん強くなれるというのは、それは利点だから、そこは制限するというのはそもそもおかしいかなと思うし、車と人間で競争といっても、カロリーそろえたら多分人間のほうが強いですよね。どこを勝負しているのかわからない。省エネ性を勝負していてもしようがなくて。

司会:制限をかけるんじゃなくて。

平岡:将棋の場合は最高性能で競っていたと思っているので、私はそこです。最高性能同士でいかに戦うか。その上でどうしても折り合いつかない部分だけをルールで制限する。例えば、実際に盤に指せないから電王手さんに指してもらうとか、そういうところは必要だと思うんですけどね。

コンピュータVS人間の頂上決戦はやるべきか?

司会:瀬名さんは第2回から第3回にかけて人間が負け越したわけですけれども、カスパロフ(ガルリ・カスパロフ氏)の頃の記憶から将棋界でもこういうことが起きたかと。どんなご感想だったんでしょう?

瀬名:カスパロフの場合は世界最高レベルの人が戦って負けたというのでショックがでかかったわけですね。その後、コンピュータチェスもずっと進歩していると思いますけれども、それほど話題にはなっていないんじゃないかなと思います。

平岡:そうですね、あれがピークですね、やっぱり。

瀬名:将棋の場合は団体戦でこういうふうにつくって、むしろ若手の方にどんどん出ていただいて、しかも開発者の方も非常に若い方々が多いということだと思いますけれども、そういう意味で非常に活気が出た感じで、うまく場づくりができていたということです。

だから頂上決戦は見えていないんだけれども、何かそこは残しつつうまいぐあいにファイナルというのはやったなというのが僕の印象です。

司会:まだこの先がどうなるのかというのがね、まだちょっといろいろわかんない……。

瀬名:だからコンピュータと人間の頂上決戦はやるべきなのか、やらないほうがいいのかという問題もあるんだけど。

司会:いや、これは難しいテーマですね。

平岡:絶対やってほしいですけどね。

瀬名:やってほしいけど、やり方ですよね、だからね。

374名無しさん:2015/06/07(日) 00:21:09
>>373

「制限なし」勝負の実現は可能か?

平岡:1回やれば大胆なこともっとできると思うんですけどね、何かやっぱりそこで制限がかかってて……。

瀬名:やる場合にはコンピュータも制限無視で、がんがん全部つないでスーパーコンピュータの形でやったほうがいいと僕は思います。そのときはね。

司会:そこはいろんなレギュレーションをつけるんじゃなくてということですね。

瀬名:レギュレーションという意味では試合をおもしろくさせるというか、僕たち観客も含めてその対戦がおもしろくなるにはどうしたらいいかというルールづくりですね。

司会:森内九段、やはり望む声はどうしてもあるわけなんですけども、タイトルホルダーですとか、プロ棋士の頂上クラスの棋士とコンピュータの制限なしの勝負というのは望まれるわけですけども、これの実現はどうなんですかね?

森内:どうなんですかね。私も去年までタイトルを持っていましたので、そういうこと聞かれることはありましたけど、ただ将棋連盟の方針というのもありますので、なかなか自分の意見というのは言いにくい状況というのが続いていて。

私がタイトルを持っていたときは、会長からお話があればやりますというふうにお答えはしていましたけども、ちょっとそれ以上はお答えしにくいですね。

将棋棋士が電王戦で負けるのは、プライドのせい

司会:川上会長、ここは一筋縄ではいかないところなんでしょうか?

川上:一筋縄でいかないからおもしろいというふうに、僕はわりとそこは客観的に見ているんですけど、ここがどうなるのかというのもドラマですよね。どうなんでしょう?

コンピュータのベストと人間のベストということになると、例えば人間のベストというのは例えば森下ルールとか、例えば合議制、相談をして決めるとかすると強くなるような気がするんですけど、多分練習すればそのほうが強くなるというふうに思うんですけど、そのあたりはどういうふうに思われますでしょう?

森内:もちろんそういう継ぎ盤を使ったり相談したりすれば強くなるのは当然だと思うんですけど、それが本当に将棋と言えるのか? という気持ちがありますので、すごくやりにくいルールだと思うんですよね。森下九段はよくやったなというふうに思うんですけど、そういう意味で実現したのはすごいことだと思いますよね。

川上:あれは結果も出ましたよね。

森内:そうですね。

司会:あのやり方をやるのはやっぱりプロ棋士としては相当葛藤がある。

森内:そうですね、ちょっと余りやりたくないですし、森下さんも実現してびっくりしたとおっしゃっていました。

司会:言っちゃうと実現にこぎ着けるのは川上会長の得意技ですもんね。

川上:だから、将棋ファンの人にも理解してもらいたいんですけど、実は結構プライドのせいで将棋棋士は電王戦負けているんですよ。プロ棋士としての戦い方のプライドを守るためにコンピュータにはできないことというのがあって、それで負けているのがあるというのをやっぱり将棋ファンの人には認識してもらいたいなと思いますよね。

375名無しさん:2015/06/07(日) 00:23:23
http://logmi.jp/59137
棋士VS5万局の棋譜を覚えるコンピュータ、互角に戦えるのはなぜ? 人間という貧弱なハードウェアのおもしろさ #ニコニコ超会議2015


2015年4月に開催されたニコニコ超会議において、将棋棋士・森内俊之、将棋ソフト「Apery」開発者・平岡拓也、SF作家・瀬名秀明氏、ドワンゴ人工知能研究所所長・山川宏氏、KADOKAWA・DWANGO代表取締役会長・川上量生氏が登壇し、「電王戦から考える、コンピュータと人類の未来」をテーマに意見を交わしました。本パートでは、人工知能からプロ棋士が学ぶこと、人間がコンピュータから学ぶことについて語られました。(ニコニコ超会議2015より)

ログ名
ニコニコ超会議2015 / 電王戦から考える、コンピュータと人類の未来
2015年4月26日15時のログ


対策を練っての勝負より、もっと気軽に対局してほしい

司会:プライドですとか将棋の特殊な部分っていろいろあるじゃないですか? 投了であったり、形づくりであったりとか、コンピュータが恐らくまだまだ理解できない部分ですとかそういった特殊性というのはあると思うんですけれども、どうですか?

森内俊之氏(以下、森内):棋士が人間であるために負けるというのは仕方のないことだと思うんですけれども、ただこの前の電王戦の最後の記者会見で「私にプロ棋士の実力があれば5局全部勝てます」とおっしゃっていたんで、多分そういうようなスキルのある方が棋士のチームに入っていろいろと協力してくだされば、まだまだそういう結果が出せるのかなということは思いましたね。

司会:平岡さん、どうですか?

平岡拓也氏(以下、平岡):それはそうなんだと思うんですけど、ただすごい負担なんですよね、棋士にとって。もっと気軽に対局できないのかなとすごい思うんですよ。

何か1回の対局にすごい準備して対局するとなるから、だからタイトルホルダーとの対局とかも、タイトルホルダーって忙しいじゃないですか? だからそういう面でも実現が難しいとかそういうことになってしまうから、僕はできるだけふだんどおりの棋士が見たいかなという思いですね。

司会:徹底的に対策を練ってくるんじゃなくて、ある程度もう……。

平岡:余り意味を感じないんですね。1年、2年それで勝てたとしても、いずれそれでも無理になったときにどうしてそこまでして勝ちにしがみつくのか、棋士なら当然なのかもしれないですけど、やっぱり僕はもっと人間同士でおもしろい将棋を指しているし、もっとおもしろい将棋さえ指していればいいのかなと思って……。

司会:ただ、勝ちにしがみついているからこそ、プロ棋士になれたというのもあるんじゃないかな? と思うんですけどね。

平岡:そうなんですけど、難しいんですよね。

376名無しさん:2015/06/07(日) 00:23:42
>>375

人間という貧弱なハードウェアの解析が、今後のプログラムの課題に

司会:川上会長、どうぞ。

川上量生氏(以下、川上):僕も多少プログラムはやるので、プログラムとしての将棋プログラムを目的として今、大体電王戦のプログラムは1秒間に数百万局面ですから1分間でしたっけ。

平岡:1秒で500万ぐらいは読めますね。

川上:1秒500万局面ですよね。多分、森内さんって1秒間に何局面ぐらい読まれるんですかね?

森内:数えたことはないですし、わからないですけど、どれぐらいなんですかね。3手か、10手か、20手かわかりませんけど、そんな大して読めないと思いますけどね。

川上:そうすると、プログラマーというのはアルゴリズムを考えるのが職業じゃないですか。そうすると、プログラマーとしてのベストというのは人間並みの局面で判断できる、例えば優秀な評価関数をつくるというのが目標だと思うんですよね。

単純な計算量で攻めるのというのはむしろプログラマーとしては邪道じゃないかと思うんですけど、どうなんですかね?

平岡:内部のアルゴリズムがどうかというのは余り関係ないと私は思いますね。結局評価関数を、むちゃくちゃ性能よくするために重たく時間のかかる処理をすれば、もっと少ない局面で同じぐらいの性能が出せるかもしれないですけど、結果としてその時間をいっぱい探索して、実際に盤面を読むほうが強いかもしれなくて。

そのバランスで今どれが1番強いかというのでコンピュータ将棋をつくっていますから、そんなこと言うと囲碁のプログラムなんてモンテカルロ法でランダムに打って確率のいいところなんていうむちゃくちゃなことをやっていますけど、それはそれでいいじゃないかと私は思いますね。

川上:要するに、人間っていう貧弱なハードウェア、遅い神経速度で効率のいいアルゴリズムをつくっているというのは、これは何か1個のプログラムの課題にもなるような気がするんですよね。

平岡:それは本当すごいと思うんですね。どうやっているのか、本当に想像がつかないし、コンピュータで実現できれば何かすごいことができると思いますよ、それぐらいの。

棋譜5万局を取り込んでも、まだまだ足りない

山川宏氏(以下、山川):それに関してはちょっとここの本題とはずれるかもしれないですけど、最近人工知能分野では脳のように深い学習をするというもの、ディープラーニングと呼ばれるんですけれども、そういう技術がだんだんそれに近づいているんじゃないかというふうな期待は今されている状況なんです。

ただ、実際将棋にやってみるとそんなには強くなっていないらしいんですが、多分将棋の棋士が時間の流れとかもちゃんと取り込んだような技術にならないとだめなようなんですけども。

そういうほうの研究者の気持ちとしては、今川上さんが言われたように、余り手を深く読まないでも強くなるというのはちょっと研究テーマとしては結構おもしろいというふうに実は思っていたりするんです。

平岡:囲碁でそんなことやっていますよね。局面を全く読まずに評価だけして手を決めて、それでちょっと昔のソフトに勝ったとか、そういう研究って今出ていて、すごい盤面を評価するっていうところで深い学習による高性能なプログラムというのがつくられていますよね。

司会:平岡さん、そもそも将棋ソフトというのは膨大なプロ棋士の棋譜をまず取り込んで、それをもとに学習して強くなってきたという歴史があるわけじゃないですか。そこから離れようとしているというのはあるんですか?

平岡:最近はそういう研究よく聞きますね。どうしても棋譜が少ないんです。棋譜5万局とかあるんですけど、多いかというと、コンピュータからするとそれでも少ないんですよ。

司会:それでも少ないんですね。

平岡:もっと、100倍、1000倍欲しいんですよね。

司会:そうなんですか。

平岡:そうなんです。ないので、やっぱりそれは自分でつくらないといけなくて、私はまだそこまでやってないですけど、Ponanzaとかはそういうところに踏み込んでいっていますね。自分で棋譜をつくって、それをもとに学習するという。どんどん人間からは離れた手になっていくかもしれないですし、すごくおもしろいですよね。

司会:ただ満遍なく1秒間に何百万局面も読みながらベストの手をチョイスしていくコンピュータソフトと、森内九段、さすがに森内九段も5万局も棋譜は覚えていないですよね!?

森内:全然覚えていないです。若いころは記憶力に自信があったんですけど、最近どんどん忘れてきていますし、本当に何局覚えているのか、そういう容量では全く勝負になりませんのでね。

377名無しさん:2015/06/07(日) 00:23:58
>>376

しらみつぶしのコンピュータと、経験から割り出す人間

司会:さっきおっしゃったみたいに1秒間で500万局面も読めない中で、逆にいうと、なぜほぼ互角のいい勝負ができるのか? これどこに理由があるんですか。

森内:不思議ですよね。人間の直感の偉大さというか、プロになるような人はそれだけ修行を積んでいますので、考えなくても体が覚えているというか、そういうところがあって、時間をかけなくてもある程度の手が指せる、そういうところがあるんじゃないでしょうかね。

司会:山川さん、ご専門だと思うんですけれども、このプロ棋士のベストな手の選び方と、コンピュータソフトのベストな手の選び方、この2つの違いというのは山川さんどういうふうにお感じになっているんですか。

山川:冒頭にもちょっとだけ触れたんですが、先ほどから出ているように、コンピュータは手を大量に読んでいくので、かなり読んでから評価するということがコンピュータ処理で基本的に行われているんですけども。

人間はそれをするかわりに、さっきディープラーニングの話が出ましたけれども、パターンを見て、パターンの中で次がよさそうな手の候補がかなり効率よく絞り込めるんで、それは学習だけでなくて心理学的な実験とかでも結構言われていることでして。

それが何でできるかというと、今のコンピュータ将棋の場合には盤面の中から人間があらかじめ設計した、例えば「3つの駒の関係を注目してどっちがいいかを選びましょう」みたいなことをやるんですけれども、それはかなり人間がやっていることに比べると貧弱で。

多分人間はまだ解明されてないんですけども、もっと多くの駒の形とかを何か考えながら、こっちのほうがよさそうだとか悪そうだというのを選ぶ能力があるんですけども、それがまだ今できてないんです。

だからそこは明らかに人間が優れているところであって、実はコンピュータとしては学びたいところというふうに思っているわけです。そこら辺が大きな違いですね。

司会:経験として先々読める人間とコンピュータのある程度しらみつぶしにやっていく限界があって、何十手先にはベストが選べないという不思議な現象がありますもんね。

山川:何十手先までやってみると貧弱な関数でも役に立つんですけど、余り読まないでもどれがいいかわかるというのはコンピュータには難しい。

人間が無意識下でやっていることが研究対象になっている

川上:そこら辺で山川さんにお聞きしたいと思っていたんですけど、3駒関係とかって人間はやってないっていうじゃないですか。それが本当なのかどうか。純粋にはやってないと思うんですけど。

例えば人間の視覚とかというのは、1番最初レイヤーとかでは輪郭だとかコントラストだとか人間が意識していない部分の近くで情報をやっていますよね? そうすると、将棋棋士は実は無意識の中で3駒関係に近いものを見ているという可能性はあるんじゃないでしょうか?

司会:解明されてないだけで。

川上:解明されてないだけで。ありますよね!?

司会:そういったところも後々、研究対象にはなっていくんですか?

山川:まさに今研究対象になっていて、さっき言った機械学習の人工知能のような技術と人間の脳の中でやっている処理が、実は似ているんじゃないかというのが、ここ数年の神経科学というか、脳科学の分野では結構わかってきたというのが話題になっているんです。

だから、まだプロ棋士の上のほうに穴熊があるとかそういうのはわかんないですけれども、物体が見えているときに男の人が見えているとか、そういうものは結構似ているということが今わかってきているので、今後もしかするとそれこそ局面の評価も脳科学で見えるようになるかもしれないという。

378名無しさん:2015/06/07(日) 00:24:52
>>377

プロ棋士がコンピュータから学ぶのは「先入観のなさ」

司会:森内九段にお伺いしたいのが、例えば電王戦の去年のPonanzaの、例えば1六香から角を追い回していったりとか、あとは7九銀から俗にいう王手はだめだというふうに格言で言われている、ああいった寄せ方をしていった。結果的にトッププロに勝っている。

今年も7七歩を打ってから飛車交換しなかったりとか、そういうプロが第一感でちょっと切り捨てがちなところを選んでいって、結果的に勝っているというあれは、いろんな可能性があるように感じるんですけど、トッププロの見地としてはどうなんですか?

森内:ぱっと見、人間を見たときによくなさそうな手で実際結果を出しているところを見ると、自分たちがそれだけ先入観に縛られているんだなということを改めて認識しますし、そのコンピュータから学ぶことというか、そういうものがたくさんあるということを改めて思いますね。

棋士が局面見るときというのは全体を見ますので、3つの駒というよりも特徴的なところに目が行くんで、やっぱり全体的にバランスがとれた配置だと違和感はないですけど。

いくつか普通と違った配置があるとそれは何となく感じるところがあるんで、そういう意味ではコンピュータと同じような2つ3つのところを同時に見ているのかなということはさっき感じたりもしました。

司会:その位置関係がどこがいいかというのは、やはり小さいころからずっと鍛錬を積んできた中で直感的にこれが判断できるということなわけですね。

森内:そうですね、違和感のあるところには反応しますね。

司会:ただその違和感がひょっとしたら思い込みなのかもしれないということはありませんか?

森内:ありますね。それは今、コンピュータに管理させられている、そういう段階なんだと思います。

司会:そうなると、本当にここ2、3年の電王戦の団体戦を踏まえて、やっぱりちょっとこれまでは人間、プロ棋士同士が集まって研究会を行っていたのが、よりコンピュータに手順を探させてみたりとか、そういった動きというのは加速していくんですか?

森内:やっぱり価値観というのは揺さぶられている段階ですし……。

司会:今はそういう段階なんですね?

森内:ええ、やっぱり人間だけではなくて、コンピュータにかけて調べてみようとかそういうことも行われていますので、これからますますそういう動きが加速していくんじゃないかと思いますね。

司会:川上会長、まさにプロのプライドが、そして実力がコンピュータソフトをはね返すのか、それともこういった拮抗した状態で、なおかつそのコンピュータを身近に感じられるような空気感というか、環境になってきたというのは、川上会長、団体戦を始められた当初からの思惑としては、現状はどうなんですか?

川上:それが予定どおりに行ってないんですよ。そこら辺のストーリーづくりはぜひ瀬名さんとかに、今後は相談しながらシナリオをつくっていきたいなというふうに思っているんですけど、どうですか?

379名無しさん:2015/06/07(日) 00:25:11
>>378

将棋にまつわる世界観を人工知能でどれだけつくれるか

司会:瀬名さん、SF的にはどうですか? この後の展開、ストーリーを組み立てていくと。

瀬名秀明氏(以下、瀬名):先ほど投了の話が出ましたけども、コンピュータ自身に投了させるというのは多分評価値が一定値以下に下がれば、例えば自動的に投了するというのは簡単だと思うんですが。

例えばそういうところ、強いというのはもちろんなんだけど、将棋にまつわる独特の人間観とか空気感とか世界観とかをどのぐらい人工知能でつくれるか? というのが僕には興味があります。例えば電王手くんとか電王手さんがおじぎしますよね。かわいいとは思うんですけど、あれはコンピュータプログラムだなと思うんですよ、やっぱり。

あれが本当におじぎしているなと思えるおじぎができるようになるのかとか、例えばこれちょっと僕が将棋知らないから間違ったこと言っているかもしれないんですけど、将棋っていうのは多分、合戦とか戦争をモチーフにしているわけで、最終的に投了というのは王様が殺される前に命と引きかえに「参りました」って言うってことですよね? 

テニスとかサッカーとかブロック崩しとかっていうのはそうじゃないんですよね。自分は死ななくてもゲームやるので、だから自分が死ぬゲームと死なないゲームって多分そういうところで何か根本的に違うんじゃないかと僕は思うんですよ。

そうすると、コンピュータが例えば投了しないでずっと永遠と将棋やるっていうのはコンピュータからすれば倫理的にありだと僕は思うんですよね。だけど、人間が多分それやるとすごくみっともないというか、美しくないとかそういう話になると思うんです。

そういうのをどういうふうにすり合わせるのかっていうのは、僕はちょっと勝負以外で人工知能の研究としておもしろいところかなと思うんですけど。

感情が見えることで愛着がわく

山川:そうですね、人工知能としては、今の人工知能というかコンピュータ将棋は当然ながら将棋ということに特化してつくられているわけで、将棋に特化しているからゆえに逆に弱点もあるわけですね。

今回出てきたような弱点もあるわけですけれども、そのかわりに僕とかドワンゴさんのところで研究しているのは、全脳アーキテクチャーといいまして、脳全体のいろんな仕組みを入れる。

特に関係あるのは、この場合だと感情に関係ある専門用語で扁桃核とかいうところがあるんですけども、そういうところは恐怖とかいうものを脳の中でつかさどっているわけです。

多分相手が電王手くんとかであっていると、実はこいつビビっているんだとかという情動的なものがあったりするとまたおもしろみが出てくるんじゃないか。あと、よく認知科学とかでも相手が自分がやったことを目で見ててくれると安心できるとか、愛着がわくとかいろいろあるわけです。

だから、そういう統合的な知能というものがだんだんできてくると、またそれとの勝負というのもまたひとつ楽しいところが出てくるんじゃないかなと思っています。

380名無しさん:2015/06/07(日) 00:25:24
>>379

投了の美学を理解するコンピュータは生まれるのか?

司会:投了の美学という部分では、平岡さん、やっぱり第1局改めてちょっと振り返って、あれもいろんな価値観からさまざまな意見がありましたけれども、あれは最後まで指すのがコンピュータサイドの美学であると。

平岡:いや、コンピュータ将棋やっている人でもいろいろあるんですよね。本当に次局の積みが見えたときに投了する人もいます。投了するプログラムをつくっている人もいますし、私みたいに積みまでやる人もいて、それぞれですよね。それはふだんコンピュータ将棋同士でやっているからそうなのかもしれないですし、本当に人それぞれ。私はあれが一番美しいと思ったからやったまでですね。

司会:今後より強い将棋ソフトをつくっていく中で、先ほど瀬名さんからもお話があった情緒ですとか、投了図の美しさとか、そういったものまで理解できるようなコンピュータというのは組めるんですか? そんな可能性ってあるんですかね!?

平岡:今のコンピュータ将棋の延長からいうと、それに本当に特化しているから、美しさに特化して美しさとは何だというのを突き詰めて考えてつくっていけば形にはなるかもしれないですけど。

司会:全く目的が違いますもんね。

平岡:何かちょっと違いますよね。そういうのはやっぱり全脳的な人工知能にやってもらいたいですね。

山川:コメントに出てましたけど、美しさっていうのは非常に観点が多くて、多分投了の美学とかというのはいろんな社会的な関係の中である美しさなので、そこまでわかったAIじゃないとそこまで認識できないです。

もうちょっと簡単なレベルでフラクタルが美しいとか、数学的な美しさはわりとコンピュータに近いんですけど、投了とか1番かなりできるのが遅いタイプの美しさじゃないかなと思います。

司会:森内九段、そこは本当に返す返す将棋の独特なところであり、それがあるからプロ棋士の存在というのも特別であるという見方もありますもんね。

森内:そうですね、投了に関しては人間と機械というのは違った特徴がありますし、平岡さんのソフトの戦い方をみてコンピュータらしいなというふうに思ったんで、別に私は失礼とかそういうことは全く思わなかったですけどね。

司会:戦っているのはコンピュータであるから、積むまでやると。

平岡:森内さんにそう思っていただけていたらうれしい限りですけど。

森内:平岡さんの多分やりたいようにやって完全燃焼するのが1番いいと思うんで……。

平岡:ありがたい話で、あと付け足して言うと、対局ってやっぱり対局者が1番尊重されるべきで、人対人がやっていてもやっぱり投了するのはその人に任せて、周りがとやかく言うのは余り私は好きじゃないかなと思いますね。

司会:このあたりがどこで交わって、またいい形で溶け合うのかというのはまたこれから先大いに興味がありますね。

(制作協力:VoTX)

381名無しさん:2015/06/07(日) 00:26:01
http://www.sankei.com/life/news/150513/lif1505130019-n1.html
豊島、タイトル挑戦3度目「結果を」

 「タイトル戦は3度目なので、今度は結果を出したい」

 4月30日、第86期棋聖戦五番勝負(産経新聞社主催)で羽生善治棋聖(44)=名人・王位・王座=の挑戦者に初名乗りをあげた豊島将之七段。25歳の誕生日に自ら花を添えた豊島が、初タイトル獲得に意欲を見せた。

 4歳のころ、羽生世代を特集したテレビ番組を見て将棋に関心を持ち、母親から手ほどきを受けた。9歳で桐山清澄九段門下で奨励会に入会、トントン拍子に出世した。プロ入りは16歳。平成23年に初のタイトル戦となる王将戦七番勝負に出場したが、2勝4敗で敗退。昨年秋の王座戦五番勝負では、2勝3敗で羽生王座に惜敗した。

 王座戦出場が決まった頃、練習対局や研究会で通っていた大阪市の関西将棋会館から徐々に足が遠のいていった。「一人で研究した方がいい」と判断したからだ。背景には、昨年春に行われた第3回電王戦がある。豊島は出場した5人のプロ棋士のうちただ一人勝利。それ以来、「いろいろなソフトを使って勝てない局面を設定し、そこからいかに自分が勝ちに持ち込めるかを勉強している」という。

 また、昨年秋に糸谷哲郎竜王(26)が関西若手の中で先駆けてタイトルを手にしたことも刺激になっている。「全体的に非常にレベルが高く、どんな形になってもいい将棋を指す」というのが豊島の羽生評。「こちらも自分の良さを出したいと思います」(藤田昌俊)

382名無しさん:2015/06/07(日) 00:26:52
http://www.sankei.com/west/news/150605/wst1506050052-n1.html
2015.6.5 16:18
夢は地元でタイトル戦出場 洲本市出身の桝田悠介三段

 羽生善治棋聖(44)に豊島将之七段(25)が挑む産経新聞社主催の将棋タイトル戦「第86期棋聖戦五番勝負」。6月2日に兵庫県洲本市のホテルニューアワジで開催された第1局の記録係は、同市出身の桝田悠介三段(21)が担当した。地元出身の棋士の卵は、対局者として大舞台に登場することを夢見る。

自分ならこう指す

 午前9時に始まった対局が、羽生棋聖勝利で決着したのは午後7時5分。桝田三段は昼食休憩の1時間を除き、正座を崩すことはなかった。「迫力ある戦いを間近でみて、自分ならこう指す、と頭をフル回転させるので、これほど勉強になることはほかにない。長時間で苦痛なんてまったく思いませんでした」と振り返った。

 現在は奨励会員と呼ばれるプロ候補生で、記録係は9×9マスのどの地点に駒を動かしたかを記し、終盤には消費時間を伝える重要な役割。タイトル戦を担当するのは3度目で、それに通じる数多くの予選やリーグ戦、平成27年3月に引退した内藤國雄九段(75)の最終戦も記録してきた。

小学生名人

 将棋との出合いは3歳ごろ。「NHKの将棋番組をじっと見ていたそうです。記憶にないんですが…」。兵庫県龍野市(現たつの市)に住んでいた小学1年時、父親に連れられ加古川市内の将棋道場に。そこで1歳下の男児に負けたことが悔しくて以後、土曜日ごとに通う常連になった。

 洲本市立大野小5年時には「小学生名人戦」で全国3位。柳学園中1年で「自分の力がどこまで通用するか試したくて」プロ棋士養成機関の奨励会を受験、6級で入会した。勝ち星を重ね昇級してきたが「手堅く指そうとして失敗し、二段に4年もとどまった」と反省。力むことをやめ、得意の振り飛車戦法で自在に戦うことを心がける。

卒論はコンピューター将棋

 プロ棋士(四段)になるためには32人のライバルがひしめく三段リーグで、半年間に18戦して上位2人に入らなくてはならない。原則26歳という年齢制限もある厳しい世界だ。

 現在は西宮市に住み、関西学院大学経済学部に通う。持ち前の集中力で単位は順調に取得し、4回生の平成27年は統計学のゼミに所属。「コンピューター将棋に統計を関連づけて、卒業論文が書けないか考えている」と話す。

 「少しでも早くプロになるため、1局1局に集中して臨みたい。地元で開催されるタイトル戦に、記録係ではなく対局者として出場できたらいいですね」

383名無しさん:2015/06/07(日) 00:27:29
http://getnews.jp/archives/988206
将棋の王将を「王」と「玉」に変えたのは、あの武将だった!?

現在、将棋の王将は、たいていの場合「王」と「玉」に分かれているが、昔は分かれていなかったそう。みなさんは、将棋の王将を「王」と「玉」に分けた人物をご存知だろうか?
2006年7月12日の琉球新報によると、その人物とは豊臣秀吉だそうだ!

同じ「玉」と「玉」で戦うのは面白くないからと、将棋の駒の一方を「王」にしたのは豊臣秀吉らしい。天下統一を果たした秀吉ならではの逸話だが、以後将棋は「玉将」「王将」に分かれて指すようになったという。

参考:2006.07.12「琉球新報」

(written by けいぼう)

384名無しさん:2015/06/07(日) 00:27:59
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/desk/article/173536
将棋の女流王位戦5番勝負は
2015年06月05日 01時46分

 将棋の女流王位戦5番勝負は、挑戦者の里見香奈さん(23)がタイトル保持者の甲斐智美さん(32)に3連勝し、3期ぶりに復位を果たした。
 福岡県飯塚市の旧伊藤伝右衛門邸で行われた第3局の直後、コメントを求められた甲斐さんは言葉を詰まらせ、ピンクのタオルで目頭を押さえた。結果は一度も勝てなかったが、いずれも激戦。第3局も甲斐さんが終盤の入り口まで優勢とみられていた。恐らく頭の中を無念と後悔の思いが駆け巡っていたのだろう。
 里見さんは体調不良で1年近く休場していたとは思えない強さを見せた。だが、今回の第3局の対局中も頭痛や腹痛をこらえていたという。
 里見さんの好きな言葉は「好きな道なら楽しく歩け」だが、それは苦しさ、つらさを乗り越える呪文みたいなものかもしれない。
 厳しい勝負の世界。苦闘の勝者も、涙の敗者も、感動的な盤上のドラマを見せてくれた。 (浜口雅也)
=2015/06/05付 西日本新聞朝刊=

385名無しさん:2015/06/07(日) 00:28:59
http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2015/06/05-20463.html
2015年06月05日
生涯勝負師の加藤一二三9段がまぶしい

 将棋界の大御所、加藤一二三9段がテレビでブレーク中だ。名前をもじった「ひふみん」の愛称で、バラエティ番組でも活躍している。飛車の頭に銀を繰り出す棒銀が得意の戦法で、名人位まで上り詰めた。75歳、現役最年長。「1分将棋の神様」「神武以来の天才」などの異名を持ち、エピソードも多い▼対局の食事はいつも鰻の出前。時間が正確なこと、持ち時間が少ない時でもかき込めるのが理由のようだ。米長邦雄元名人とのタイトル戦が行われた箱根の旅館では、集中の妨げと人工の滝を停めさせた。相手の盤側から覗き込むのは「ひふみんアイ」とも呼ばれているそうだ▼どれも、勝負にかける一念の凄さのなせることだ。対局数2459は歴代1位。勝ち1320は現役1位。負け1139は歴代1位。現在は順位選C2組で10代、20代の若手棋士に交じって戦っている。「私から闘いをとったら何が残るといえよう。勝負師である限り、命が尽きるまで勝負に明け暮れるのが棋士のさだめだ」と語る。その潔さに共感を覚えるファンも多い▼将棋界は羽生善治名人を頂点とする40代と、糸谷哲郎竜王に代表される20代の若手のせめぎ合いの時代になっている。超実力社会の将棋界で加藤の世代が入り込む余地はない。だが、その存在は今でも光を放つ。生涯勝負師の生き様がまぶしい。

387名無しさん:2015/06/07(日) 16:08:56
>>386

 裕子さんは、同じ愛知県出身の豊島将之七段のファンだという。藤井二段は先日、研究会でその豊島七段に教えてもらう機会があった。「負けました。(その時の豊島七段は)本気じゃなかったと思います」。自身の将棋については「弱すぎる。序盤中盤終盤スキだらけ」と、豊島七段をたたえる「序盤中盤終盤スキがない」を裏返して評する。厳しい自己評価は、高い理想の裏返しだろう。

 詰め将棋には幼稚園の頃からのめり込んだ。東京や大阪と比べ相手が少なく、実戦の機会が限られていた。小学校低学年にして詰め将棋創作の楽しさも知り、作家としても高い評価を得たが、1年ほど前から創作の方は「師匠の助言もあって」中断している。解答はともかく、創作の方は指し将棋の上達と直結するわけではないといわれており、今は奨励会に注力する方針だ。

 詰め将棋作家としても名高い谷川浩司九段(日本将棋連盟会長)は、師匠の杉本七段に「藤井二段には、詰め将棋は創作よりも解く方をやらせた方がいい」旨、アドバイスしている。史上最年少名人の記録を持つ、時の将棋連盟会長が気に掛けるほどの逸材であることは間違いない。

 1月に亡くなった河口俊彦七段(追贈八段)の「新・対局日誌」にこんなくだりがある。

 ――1995年。10歳にして奨励会2級の渡辺明少年の話を聞いた中原誠名誉王座が「ほう」と目を輝かせ「その子に羽生君はやられるんだ」。

 それから20年、渡辺少年は超一流の棋士になった。新しいスターが表舞台に立つ日を、楽しみに待ちたい。

(文化部 柏崎海一郎)

388名無しさん:2015/06/07(日) 16:55:01
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150530-00000004-sasahi-cul
“まゆゆ”も? 強くて、駒っちゃう?美しき「女流棋士」〈週刊朝日〉
dot. 5月30日(土)11時34分配信

 女性だけの棋戦に臨む女流棋士が注目されている。若手で活躍する、強く美しい精鋭を紹介する。

 女流棋士は、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)所属やフリーも含め、計56人。切磋琢磨の中で今、若手がめきめきと力をつけ、牽引役となっている。

 男性が中心の将棋界で、歴史が浅い女性は、実力も男性に比べ、低いとされてきた。

「現在活躍する若手女流棋士は、男性との対戦で勝率が2割〜2割5分。以前に比べ、1割ほど上がっています」と将棋ライターの後藤元気さん(36)は指摘する。

「今の女流トップ棋士は、個性が強くて、負けず嫌い。今後、男性と互角に戦う、女性の“棋士”も出てくるでしょう」

・王将 香川愛生 22歳
アイドル顔負けのルックスは、AKB48のメンバーのひとりになぞらえ、「将棋界のまゆゆ」とも呼ばれる。友達の男の子の影響で、小学3年で将棋を始めた。プロで初めて壁にぶつかり、将棋から遠ざかった時期もある。だが大学進学を機に再始動。拠点を京都に移し、実力が開花した。2013年に女流王将のタイトルを獲得。昨年、防衛した。好きな言葉は「執念」。勝利へのこだわりこそ、自分を高める武器になるとの思いからだ。女流棋士、不動の“センター”の勢いは止まらない。

・名人 里見香奈 23歳
女流最強の棋士として、道を切り開いてきた。5歳から将棋を始め、12歳でプロに。2013年には、史上初の女流五冠。目指すのは、男性と同じ舞台で戦う女性初の「棋士」だ。プロ棋士を養成する「奨励会」で13年、三段に昇格。「棋士」に王手と迫ったが、一日10時間も将棋に向かうストイックな生活から体調を崩し、翌年3月から休場。15年1月に復帰したが、まだ体調は本調子ではない。「どんなことがあってもプロ棋士に」。その思いを胸に、早ければ10月にも三段リーグへの参加を目指す。

・初段 山口恵梨子 23歳
アマ四段の父親に教わり、6歳から将棋を始めた。小学生からプロ棋士を目指し、将棋の授業がある小学校に転校したり、道場に近い東京・千駄ケ谷に引っ越したり。将棋を軸に生活を送ってきた。好きな言葉は、「知行合一」。愛用の扇子には、羽生善治名人の文字でその言葉が刻まれている。昨年、大学を卒業し、将棋一筋の生活を送る。「今年から来年にかけてが勝負の年。タイトルを獲るために、トップ集団に食らいついていきたいです
ね」

・2級 塚田恵梨花 16歳
両親はともにプロ棋士。将棋界初の「二世プロ棋士」が誕生した。両親の影響で、小学4年の頃から本格的に将棋を始め、2014年に女流棋士に。「まさか娘がプロ棋士になるとは思っていなかったでしょうね」と笑う。師匠は、父で元王座の塚田泰明九段、母は高群佐知子女流三段。「昇天流」と呼ばれる豪快な攻めの棋風で知られる、父の将棋を受け継いだ。プロ1年目。目標は今年中の初段昇進だ。「話題性に負けないくらいの実力をつけたいです」

※週刊朝日 2015年6月5日号

389名無しさん:2015/06/07(日) 16:55:35
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150603-00000085-it_nlab-sci
プロ棋士と将棋ソフトの新たな対局「第1期電王戦」開催決定 ドワンゴ主催の「新棋戦」優勝者が人間側代表に
ねとらぼ 6月3日(水)16時47分配信

 プロ棋士とコンピュータ将棋ソフトが戦う「将棋電王戦」に、新展開が発表されました。2015年春に開催された「将棋電王戦FINAL」をもって団体戦形式での開催は最後になると発表されていましたが、今度は将棋ソフトとプロ棋士が1対1で戦う「第1期電王戦」が開催されます。

 「第1期電王戦」では、プロ棋士と将棋ソフトそれぞれの代表が持ち時間8時間の2日制で対局。先手と後手を1局ずつ入れ替えての二番勝負で行われます。開催は2016年春ごろの予定。コンピュータ側の代表ソフトはこれまでの電王戦と同様、11月に開催する「第3回将棋電王トーナメント」の優勝ソフトが登場します。

 一方、プロ棋士側の代表者はこれまでの選抜制ではなく、ドワンゴ主催の新棋戦によって決定されます。新棋戦は全棋士参加可能なエントリー制の公式戦になることが決定。エントリーした棋士は段位別に予選を行い、決勝は三番勝負で行われます。予選、本戦トーナメントは持ち時間1時間で、決勝三番勝負のみ5時間。予選トーナメントは6月より開始され、ニコニコ生放送でも50〜60局を中継予定。本戦以降は全局中継されます。

 既にエントリーを決定した棋士も一部発表されており、糸谷哲郎竜王や佐藤康光九段、森内俊之九段らこれまでに出場を待望されていたトップ棋士たちの参戦も決定。「将棋プログラムと戦おうとするプロ棋士全てが参加できる新棋戦」として注目されています。

 新棋戦の名称はユーザーからの公募と投票によって決定される予定。6月18日に新棋戦の名称とエントリー棋士が発表され、6月20日より予選トーナメントが開幕します。

390名無しさん:2015/06/07(日) 17:13:19
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150603-00000214-sph-soci
20日から新設の新棋戦に谷川会長ら参戦
スポーツ報知 6月4日(木)7時5分配信

 日本将棋連盟は3日、「ニコニコ生放送」を運営するドワンゴとの共催で公式戦の新棋戦を創設すると発表した。

 全棋士を対象に、エントリー制で行う新棋戦は今月20日に開幕。優勝棋士は来春の「第1期電王戦」でコンピューターソフトと2番勝負を戦う。棋戦名はユーザー投票で決め、18日に発表する。

 永世名人の資格を持つ連盟会長の谷川浩司九段や森内俊之九段のほか、タイトルホルダーの糸谷哲郎竜王もエントリー。5日が締め切りだが、他のタイトルを持つ羽生善治四冠、渡辺明棋王、郷田真隆王将はまだエントリーしていない。谷川会長は「ファンに楽しんでいただく機会が増える。私も現役棋士として、会長の立場とは違う気持ちです」と話していた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150603-00000084-mai-soci
<将棋>新「電王戦」来春から開催
毎日新聞 6月3日(水)20時0分配信

 日本将棋連盟(会長=谷川浩司九段)は3日、棋士とコンピューターソフトが争う新しい「電王戦」(角川グループ・ドワンゴ主催)を来春から開催すると発表した。棋士とコンピューターソフトが個別にトーナメントで争い、1位同士が二番勝負で対戦する。今春で終了した従来の「電王戦」は5対5の団体戦形式だった。

 将棋連盟所属のプロ約160人から出場の意思を申告してもらい、今月から段位別に予選を戦う。本戦は16人で競う。既に谷川九段、森内俊之九段、佐藤康光九段、糸谷哲郎(いとだに・てつろう)八段といった元名人、竜王らトップ棋士が出場の意向を示しているという。一方、出場ソフトは11月開催の「第3回将棋電王トーナメント」で決める。

 この日会見した谷川会長は「(将棋ファンが視聴するインターネット動画中継サイトの)『ニコニコ生放送』で中継されることで、将棋界が盛り上がればいい」と語った。【山村英樹、最上聡】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150603-00000140-jij-soci
対将棋ソフトの新「電王戦」=糸谷竜王ら予選から初参加
時事通信 6月3日(水)19時36分配信

 ドワンゴ(東京都中央区)と日本将棋連盟(同渋谷区)は3日、将棋のプロ棋士とコンピューターソフトが対決する「将棋電王戦」の新たな対局として、「第1期電王戦」を開催すると発表した。その予選に位置付けられる新棋戦には、現役タイトル保持者の糸谷哲郎竜王が初参加する。
 新たな電王戦は、今月20日からドワンゴが開催予定の新棋戦の優勝者と、今年11月に行われるソフト同士の大会「第3回将棋電王トーナメント」の優勝ソフトによる対局。2日にわたる勝負が計2回行われる。時期は来年3〜5月の間で検討中。
 プロ棋士は段位別にトーナメント方式の予選からスタートし、糸谷竜王はじめ森内俊之九段や将棋連盟会長の谷川浩司九段、佐藤康光九段らの出場が既に決定。予選を勝ち残った計16人による10月からの本戦を経て、12月にプロ棋士側の優勝決定戦を開催する。
 同日、東京都内で会見したドワンゴの川上量生会長は「人間とコンピューターの素晴らしさを世の中に見せていきたい」と意欲を語り、谷川九段は「プロ棋士とソフトの対決だけでなく、将棋の魅力を広く知ってもらえたら」と話した。
 電王戦は2012年に始まり、第1回は故米長邦雄永世棋聖がソフトに敗退。団体戦となった13年の第2回、14年の第3回も共にソフト側が圧勝したが、今年4月の第4回はプロ棋士側が3勝2敗で雪辱を果たし、団体戦形式の電王戦は終了していた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150603-00000554-san-cul
電王戦を来春開催 日本将棋連盟
産経新聞 6月3日(水)18時59分配信

 日本将棋連盟とドワンゴは3日、プロ棋士とコンピュータソフトが戦う「第1期電王戦」を来年3月から5月にかけて実施すると発表した。エントリー制によるプロ公式棋戦を新設し、その優勝者が今年11月の「電王トーナメント」で優勝したソフトと2日制二番勝負を行う。今月20日からスタートする新棋戦は段位別予選と本戦からなるトーナメント方式で、すでに糸谷哲郎竜王、谷川浩司九段、森内俊之九段らがエントリーしている。

391名無しさん:2015/06/07(日) 17:14:21
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150603-00000085-it_nlab-sci
プロ棋士と将棋ソフトの新たな対局「第1期電王戦」開催決定 ドワンゴ主催の「新棋戦」優勝者が人間側代表に
ねとらぼ 6月3日(水)16時47分配信

 プロ棋士とコンピュータ将棋ソフトが戦う「将棋電王戦」に、新展開が発表されました。2015年春に開催された「将棋電王戦FINAL」をもって団体戦形式での開催は最後になると発表されていましたが、今度は将棋ソフトとプロ棋士が1対1で戦う「第1期電王戦」が開催されます。

 「第1期電王戦」では、プロ棋士と将棋ソフトそれぞれの代表が持ち時間8時間の2日制で対局。先手と後手を1局ずつ入れ替えての二番勝負で行われます。開催は2016年春ごろの予定。コンピュータ側の代表ソフトはこれまでの電王戦と同様、11月に開催する「第3回将棋電王トーナメント」の優勝ソフトが登場します。

 一方、プロ棋士側の代表者はこれまでの選抜制ではなく、ドワンゴ主催の新棋戦によって決定されます。新棋戦は全棋士参加可能なエントリー制の公式戦になることが決定。エントリーした棋士は段位別に予選を行い、決勝は三番勝負で行われます。予選、本戦トーナメントは持ち時間1時間で、決勝三番勝負のみ5時間。予選トーナメントは6月より開始され、ニコニコ生放送でも50〜60局を中継予定。本戦以降は全局中継されます。

 既にエントリーを決定した棋士も一部発表されており、糸谷哲郎竜王や佐藤康光九段、森内俊之九段らこれまでに出場を待望されていたトップ棋士たちの参戦も決定。「将棋プログラムと戦おうとするプロ棋士全てが参加できる新棋戦」として注目されています。

 新棋戦の名称はユーザーからの公募と投票によって決定される予定。6月18日に新棋戦の名称とエントリー棋士が発表され、6月20日より予選トーナメントが開幕します。

392名無しさん:2015/06/07(日) 17:14:32
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150603-00000138-mycomj-ent
「第1期電王戦」2016年春開催へ、新棋戦の優勝者対最強ソフトの2日制2番勝負に
マイナビニュース 6月3日(水)16時38分配信

ドワンゴと日本将棋連盟は3日、東京・六本木のニコファーレにて「電王戦に関する記者発表会」を行い、2016年春に新棋戦優勝者 対 最強ソフトの対局「第1期電王戦」を開催することを発表した。

「第1期電王戦」は、ドワンゴ主催による新棋戦の優勝者と「将棋電王トーナメントIII」の優勝ソフトによる対局。2016年3月〜5月の間に2日制で行われ、先後を入れ替えた二番勝負となる。持ち時間は各8時間で、各日午前10時対局開始、初日は18時封じ手、秒読み60秒。ソフトの貸出やハードの条件、優勝賞金については、後日改めて発表されるという。

ドワンゴ主催の新棋戦については、現役プロ棋士のエントリー制で、出場棋士は段位別予選と本戦からなるトーナメント戦で構成。開催期間は、2015年6月20日〜9月下旬、エントリーした全棋士が出場となる。この中で段位別予選が行われ、本線出場枠として九段4枠、八段〜五段各2枠、四段1枠に、タイトル保持者の段位を加味した計16枠を用意。本戦はこの16人によって、2015年10月中旬〜11月下旬に行われ、持ち時間各1時間(チェスクロック方式)、秒読み60秒。そして、本戦決勝進出者2名による、決勝三番勝負が2015年12月に行われる。こちらの持ち時間各5時間(チェスクロック方式)、秒読み60秒。決勝をはじめとする約50〜60局はニコニコ生放送にて、完全生中継を予定。この対局の勝者が、「第1期電王戦」に出場する。

そして、すでに新棋戦にエントリーしているプロ棋士の一部も発表され、糸谷哲郎竜王、谷川浩司九段、佐藤康光九段、森内俊之九段、屋敷伸之九段、藤井猛九段、深浦康市九段、三浦弘行九段、青野照市九段、佐藤天彦八段、豊島将之七段、西尾明六段、佐藤慎一五段、阿部光瑠五段が名を連ねており、全出場棋士は6月18日に発表。また、この新棋戦の名称は公募によって選ばれ、応募期間は6月3日〜10日、投票期間は6月13日〜17日。応募の中から主催者が候補名称を選出した後にユーザー投票を行われ、新棋戦名が6月18日に決定する。詳細は公式サイトまで。

この日の記者発表会には、日本将棋連盟会長・谷川浩司九段、日本将棋連盟専務理事・青野照市九段、KADOKAWA会長・角川歴彦氏、ドワンゴ会長・川上量生氏が登壇。川上氏は、「第1期電王戦」について「今度は本当に一対一で雌雄を決する形になりました。また新しいドラマが生まれるのではないかと思っています」と展望を語り、谷川氏は「二日制で棋士の方も最大限に力を発揮できると思います。先手後手で勝率も変わってきます。何年も棋士とソフトの対局を重ねてきて、ドワンゴさんと話し合い、少しずついい形になってきていると思います」と、「将棋電王戦」の新たな展開に期待を寄せている。

「将棋電王戦」は、2012年より始まったプロの将棋棋士とコンピュータソフトによる対局。2013年の第2回から5対5の団体戦形式となり、これまで第2回、第3回とコンピュータ側が勝ち越していたが、最後の団体戦となった今年3月〜4月の「将棋電王戦FINAL」では、 3勝2敗でプロ棋士が初の勝ち越し。コンピュータ側の電撃投了なども含め、大きな話題となった。

393名無しさん:2015/06/07(日) 17:15:05
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150603-00000100-zdn_n-sci
プロ棋士VS.コンピュータ「第1期将棋電王戦」来春に 現役プロ棋士から“人類代表”を選ぶ新棋戦を新設
ITmedia ニュース 6月3日(水)18時28分配信

 ドワンゴと日本将棋連盟は6月3日、プロ棋士とコンピュータソフトの対局「将棋電王戦」を継続し、新生「第1期電王戦」を来春開催すると発表した。ドワンゴ主催の公式棋戦(名称未定)を新たに創設し、優勝者がコンピュータソフトと対局する。

 これまで「将棋電王戦」として、棋士5人とソフト5つの団体戦を3度行っており、今年3月の「将棋電王戦 FINAL」を最後と掲げていた。

 来年3〜6月に開催する新たな「第1期電王戦」は、ドワンゴ主催の新棋戦の優勝者と、11月に行うコンピュータソフト同士の棋戦「電王トーナメント」の優勝ソフトが対局する方式に変更する。持ち時間各8時間、2日制の2番勝負で、勝敗を決するというよりエキシビションマッチに近い形だ。

 新棋戦は現役プロ棋士全員を対象としたエントリー制で、タイトルホルダーも含めた段位別の予選、勝ち抜いた棋士による本戦を6〜12月にかけて行う。本戦出場者は16人で、うち九段4人、八〜五段各2人、四段1人程度を予定する。決勝を始めとする50〜60局をニコニコ生放送で中継予定だ。

 将棋連盟の谷川浩司会長も、現役九段棋士として新棋戦に参戦する。団体戦形式を終えるにあたり、新たなコンピュータとの対局の形を昨年秋ごろからドワンゴと協議してきたと明かし、「電王戦にタイトルホルダーを、という要請に直接的に応えるのは難しいが、棋戦を主催してもらう形であればうまくいく可能性もあると考え協議してきた」と話す。

 その言葉通り、現時点で糸谷哲郎竜王をはじめ、森内俊之九段、佐藤康光九段、屋敷伸之九段、藤井猛九段、深浦康市九段、三浦弘行九段、佐藤天彦八段、豊島将之七段、西尾明六段、佐藤慎一五段、阿部光瑠五段らが新棋戦へのエントリーを表明。全出場棋士は6月18日に発表する。

 新棋戦の名称は、ユーザーから公募して決定する。ドワンゴの川上量生会長は「社内でも募集したのですが『ニコ王』とかしょうもないものしか出なくて……。優勝者に堂々と名乗ってもらえるような名称に」と応募を呼びかける。

 「コンピュータが進化を続ける中で人間は人工知能とどう向き合うべきか――それを考えるための取り組みとして、電王戦は社会的に意義があると感じてスタートした。当初はコンピュータの会社として、若干上から目線のおごった気持ちで人間側を悲観的に見ていたのも事実。何度も繰り返す中で、勝ち負けと違う部分で人間とコンピュータの関係、それぞれの素晴らしさについて何度も考えさせられた。また違う形で、これからも電王戦と将棋を支え、盛り上げていければ」(川上会長)

394名無しさん:2015/06/07(日) 17:15:53
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150604-00000005-asciiplus-sci
ついにタイトル保持者との対局も!? 将棋新棋戦誕生と電王戦開催決定
週アスPLUS 6月4日(木)9時30分配信

 6月3日、将棋電王戦の新たな展開が発表された。なんと、ドワンゴが主催するプロ棋士の新棋戦を創設。その優勝者は将棋電王トーナメントで優勝した将棋ソフトと二番勝負を行なうというものだ。

 これまで3回続いた団体戦に終止符をうち、1対1のガチ勝負となり電王戦の魅力はさらに増すことだろう。
 
 さらに、コンピューターへの挑戦者というか新棋戦による優勝者を決める戦いは、エントリー制ながら160名以上いるプロ棋士全員が対象。つまりこれまで自薦他薦により日本将棋連盟が決めていた挑戦者が、実力で棋戦を勝ち抜いたものが人間代表(挑戦者)となることで、タイトル保持者がコンピューターへ挑戦するという道が開かれたことを意味する。もちろん、タイトル保持者がエントリーしなければ可能性は0だが、すでに糸谷哲郎竜王がエントリーしていることが発表された。また8期名人位を保持し、電王戦でも解説者として登場している森内俊之九段も参戦。谷川浩司日本将棋連盟会長をはじめ、かつて電王戦に挑戦したり解説に登場した棋士がエントリーしており、棋戦としてもかなり盛り上がることだろう。
 
 新棋戦誕生の経緯をドワンゴ・川上量生会長が語った(風邪のため声が出ず司会者が代読)
 
 将棋電王戦は2013年の第2回電王戦、2014年の第3回電王戦、2015年の第4回(FINAL)電王戦と人間代表棋士とコンピューター将棋プログラムが5対5の対局で優劣を競う形式で開催してきました。主催者として我々が目指してきたものは、人工知能が急激な発展をみせる21世紀の現在において、人間とコンピューターの違いはなにか、人間の知的能力を凌駕しつつあるコンピューターに、人間はどのように対峙すればいいのか。人間にしかできないこととはなにか。そこにどんな人間ドラマが生まれるのか、ということを明らかにすることでした。これまでの3回の5対5の団体戦において示せる、それらの目的は、ほぼ達成できたのではないかと思っています。来年からはさらに電王戦をスケールアップし、人間棋士の中からコンピューターと戦う代表棋士を選ぶ新棋戦をドワンゴ主催で開催することにしました。選抜された5名ということではなく、将棋プログラムと戦おうとするすべての棋士が参加する電王戦とすることで、さらに一層将棋界に貢献し、将棋ファンの皆さんに楽しんでいただければと願っています。
 
これに対して、日本将棋連盟・谷川浩司会長は
 
 5対5の団体戦を3度続けてきましたが、昨年の秋頃からこれからどのような形でということは、川上会長をはじめドワンゴのみなさんとお話をしてきました。その中でドワンゴ主催の公式戦を立ち上げて、ソフトと対局するのはいかがですか?と打診がありました。将棋連盟としては、タイトル保持者がソフトと対局することはなかなか難しいのですが、棋戦を主催してということであれば、うまくいく可能性があるのではないか、ということで協議を続けてまいりました。今回大きなことは、公式戦を主催していただくことで、プロ棋士とソフトの対局だけでなく、将棋連盟には160数名の現役棋士がおり、公式戦はニコニコ生放送で数多く中継されることで、将棋界が盛り上がって、将棋界には個性的な棋士がいるんだということを皆様に広く知っていただけたらという思いもあり、実現の運びとなりました。
 
日本将棋連盟・青野照市専務理事の話
 
 新しい時代の新しい棋戦だと思っております。やはりエントリーしてこの棋戦に挑戦するんだという思いからスタートするんだろうと思います。みんながこの棋戦に参加し、優勝して、電王戦に出て行くんだという気持ちを見せるということが素晴らしのではないかと思います。各棋戦のタイトル保持者ということではなく、独自のタイトル保持者、優勝者を対戦させるのはいままでにない発想であり、皆さんにも楽しんでもらえるものだと思っております。

395名無しさん:2015/06/07(日) 17:16:19
>>394

電王戦エグゼクティブ・プロデューサー KADOKAWA・角川歴彦会長の話
 
 前回のFINALが各新聞で大きく取り上げていただき、新聞社は各棋戦の主催者でもあるなか、記者の方々はなかなか適切なことをおっしゃっているなと思いました。その中で川上くんにはひとつの役目は終わったのではないかと正直言いました。なので私はそういう気持ちでおりました。ところが川上くんが意外にも真面目な顔をして、「自分にできることがあるなら、実は後援し続けていきたい」というんです。これが意外な感じがしまして川上くんにもそういうところがあったんだなと、見なおしました。内輪の話ではありますが。今回公式戦、全棋士参加の新規公式戦は久しぶりのことだそうで、そういうことを考えると電王戦の公式戦ということは、時代の申し子みたいなところもあって、その時代の申し子が伝統的な将棋のルールに則ってどういうふうに発揮されるのか、そう考えると意味のあることだと思いました。なので協議を続けていきたいと川上くんが言うので、バックから応援させていただきました。今日こうやってまとまってお話ができるこしは、とてもいいことだと思っていますので、ぜひ今日聞いていただだいているみなさんも前向きに受け止めていただければありがたいと思います。
 
 この新たな棋戦は、まだ名前が決まっていない。現在6月10日中まで棋戦の名前を募集している。応募された名前の中から主催者が候補を選出し、それに対してユーザー投票を行ない新棋戦名が決定される。
 
 棋戦の名前が現時点で決まっていないにもかかわらず、棋戦の開幕戦は6月20日、午前10時より東京・将棋会館にて予選が始まる。段位ごとにわかれてトーナメントを行ない、予選の模様は22番組を使って生中継する。残念ながら全ての対局は放送出来ないという。ルールは持ち時間各1時間(チェスクロック方式)で秒読みは60秒。
 
 予選は9月下旬まで行なわれ、本戦に出場するのは九段は4枠、八段〜五段は各2枠、四段は1枠となり、タイトル保持者の段位を加味した計16枠となる。本戦は10月中旬から11月下旬にかけて行なわれ、こちらは全5番組で全ての対局を生中継する。ルールは、予選と変わらず持ち時間各1時間(チェスクロック方式)で秒読みは60秒。
 
 決勝は3番勝負となり、12月に3週続けて行なわれる。持ち時間は各5時間(チェスクロック方式)で秒読みは60秒。2勝したほうが優勝となり、電王戦でコンピューターと対局することになる。

396名無しさん:2015/06/07(日) 17:16:38
>>395
 
 来年3月から5月に行なわれる新電王戦は『第1期電王戦』という名称になり、二番勝負・先手後手1局ずつの対局となる。持ち時間は各8時間の2日制。各日午前10時に対 局開始し、初日は18時封じ手。秒読みは60秒で行なわれる。その他の詳細なルール(コンピューター側のマシンやソフトの貸出など)はまだ未定だ。
 
 今回の決定で、タイトル保持者との対局を夢見て将棋ソフトの開発者も再び力入れてくるのではないだろうか。いや、そうなってほしい。過去に電王戦に参戦したソフトがだんだん参戦していない現状を変えるチャンスになるかもしれない。また、対局が2日制となり、将棋ソフトにはない封じ手を行なう可能性が生まれてくる。封じ手機能自体はUI側で吸収できるかもしれないが、ソフト側もたとえば18時に近づいたら封じ手になるまで考える(メリットがあるかどうかは別)とか、封じ手になった手まで探索したデータを保存して次の日に持ち越すようにするとか、電王戦へ向けた機能追加を行なうというのもありかも。あと、8時間もあるので、序盤は一手に長めの時間を使って中盤以降は短くするなど、さまざまな戦略も組めるだろう。
 
 第1期電王戦がどうなるのかも楽しみだが、新棋戦がどういう展開で人間代表が決まるのかという過程も楽しみ。将棋ファンならずともドキドキ・ワクワクする対局になることを望みたい。最後に川上会長の電王戦に対する思いを語った。
 
 「電王戦を始めた時、社会的意義があるとともに、コンピューターの時代が来るときに、我々ソフトウェアを扱っている会社が、それを主催することに意味があるだろうと思い、小さい会社ですがドワンゴが主催させていただいたわけです。そのなかでコンピューターがこれからどうなるのか、世の中に教えてあげようという若干上から目線のおごった気持ちというのが私の中にありました。また電王戦をやるなかで、私自身が人間とコンピューターの関係についていろいろ思うことがあり、たとえばコンピューターに負けた人間が、人間をこれほどまでに感動させるものかと。電王戦の中ではいくつもありました。そんななかで私は人間とコンピューターの関係は悲観的な感じで見ていたのですが、人間はまだまだ素晴らしいですし人間はまだまだやって行けるということを深く感じ、私自身も電王戦によって勉強させていただいたと思っております。それによってドワンゴ自身も人工知能研究所を立ち上げ、より一層テクノロジーを迷わずに進化させていきたいという決意も感じました。これからも電王戦と将棋を支えていきますし、その中でコンピューターも素晴らしい技術ですし、人間ももっと素晴らしいということを世の中に示していければと思っております」

397名無しさん:2015/06/07(日) 17:16:56
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150604-00000074-mai-soci
<将棋連盟>谷川会長らを再任
毎日新聞 6月4日(木)21時31分配信

 日本将棋連盟(東京・千駄ケ谷)は4日の通常総会で新役員を選任した。谷川浩司会長を再任したほか、専務理事の青野照市九段と常務理事の島朗九段、東和男八段、中川大輔八段、片上大輔六段を再任した。また新たに佐藤秀司七段が常務理事に加わった。任期は2年。

 谷川会長は「新棋戦や東京五輪に向け、どう将棋をアピールするかなど運営は多岐にわたる。全力を尽くしていく」と抱負を語った。【山村英樹】

398名無しさん:2015/06/07(日) 17:24:01
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150605-00043587-gendaibiz-soci
G2レポート・棋士道 羽生善治「将棋の神」に極意を質す(その1)〜本誌には載らなかったインタビュー記事を特別公開〜
現代ビジネス 6月5日(金)11時1分配信

 発売中のノンフィクション雑誌『G2(ジーツー)』第19号に掲載後、大きな反響を呼んだ記事「騎士道 羽生善治」。ルポライター・高川武将が6度のロング・インタビューを通じて「羽生善治の本心に迫ろう」とした、文字どおりの「言葉の対局」です。原稿が予定の80枚を大幅に超える130枚に達したこともあり、誌面に載せきれなかった「後半」をおよそ2週間にわたって随時掲載していきます。棋士とルポライターの真剣勝負をご堪能ください(G2編集部)

 * * *

 (文・高川武将)

羽生善治が闘い続ける理由をどうしても知りたい
 冬晴れの寒い朝だった。
将棋会館の入り口で待っていると、黒いダウンコートを身にまとった羽生が、白い息を吐きながら、小走りに歩いてくる。手提げカバンを持つ手には、娘にでも貰ったのだろうか、ちょっと子供っぽい水色のニットの手袋をはめている。

 「かわいい手袋ですね」

 一緒にエレベータに乗り込み、挨拶も早々にそう話しかけると、

 「ええ、ちょっと寒かったので」

 と、手袋を隠すような仕草をして、照れくさそうに笑った。

 羽生とのインタビュー「第4局」に挑んだのは、2012年2月下旬のことだ。スポーツ雑誌「ナンバー」で、この1年の闘いを通して羽生の闘い続ける理由に迫るノンフィクションを書くための取材だった。どうしても知りたいことがあった。

 羽生さん、あなたが本当に求めているものは何なのですか? 
 遡ること、8ヶ月前――。私は思いも寄らぬ光景を目の当たりにしていた。
4連覇の掛かっていた第69期名人戦七番勝負で、羽生は同世代の僚友、森内俊之にフルセットの激戦の末敗れ、名人位を失った。その第7局直後の打ち上げの宴席で、羽生は、こちらが言葉もかけられないほど暗く打ちひしがれていたのだ。前年の竜王戦で渡辺明竜王に敗れても、打ち上げでは悔しさのかけらも見せず、「解放感」に満ちた明るいオーラを発散していたのとは対照的な姿だった。

 これまでのインタビューからは、羽生に勝つことへの拘りは感じられなかった。
勝つことに意味はない、常に新しい発見を探している、面白いドラマを観たい・・・・・・と、究極のモチベーションを朗らかに語っていた。羽生は身心をすり減らす勝負を面白いドラマを観たいがために闘っている・・・・・・私はそう思っていた。だが、そんな羽生が、名人戦の敗北直後に見せた酷く落胆する姿に、私は混乱し、うろたえた。

 やはり羽生は、勝つことへの拘りが人一倍強いのではないのか。闘争心は要らない、相手を打ち負かそうとは考えない、無理をしない、諦めることも大事・・・・・・そうした他の棋士からすれば少し首を傾げるような独特の極意は、全てが勝つための逆説でもあった。

 それはまた、森内に名人を奪われた後の戦いぶりにも現れていた。4年振りに参戦したA級順位戦で、現または元タイトル保持者たちを、羽生は鬼神のごとくなで斬りにしていたのだ。3回戦では、あの渡辺に完勝。1月12日の7回戦では久保を、2月1日の8回戦で谷川を下して、順位戦では自身初となる8連勝。2位の渡辺が2敗したことで、最終局を待たずに名人再挑戦を決めてしまっていた。

399名無しさん:2015/06/07(日) 17:24:30
>>398

名人戦はテニスでいえば、ウィンブルドン
 ――1年で名人再挑戦です。率直にどう受け止めていますか。

 広い会議室で大きめのテーブルを挟んで向かい合わせに座った羽生に、私はそう切り出した。すると彼は、いつものごとく、飄々と話し始めた。

 「そうですね。順位戦は随分長いこと対局してますけど、さすがに8連勝という現象は起こしたことがなかったので、今期はちょっと、意外でしたね、ええ。あとやっぱり、順位戦は一局一局が非常に重いので。9局は長いようで、結構、短いんです。一局が重いなぁという感じはしますね」

 ――一局が重いというのは? 
 「何ていうんでしょうかね、特にA級順位戦は絶対に早く終わらない、夜中の12時くらいまでかかるのが大前提ということなんで。だから先のことを考えるより、目の前の一局について考える。それに備えていくことのほうが、重点は大きいですよね。作戦的なこととか、体力的なことも含めて」

 ――名人に対する特別な思いはあるんですか。

 「ああ、そうですね。まあ、名人戦ってテニスでいえば、ウィンブルドンみたいなものだと思ってるんですよ」

 ――ウィンブルドン(笑)

 「ええ。長い歴史と伝統を誇って、脈々と続いてきたところに大きな価値があるんだと思っています、はい」

 ――他のタイトル戦とは意味合いが違う? 
 「そこの位置づけをどうするか、ということだと思うんですよ。テニスでも、ウィンブルドンを4大大会の一つと思う人もいるし、まあ、フフ、特別なものと思う人もいるし。ただ、順位戦という制度(C級2組からA級まで5階級あり、名人挑戦まで最短でも5年かかる)があって決まるシステムは、他の棋戦とはかなり違うところですよね」

 ――一番厳しいですね。

 「段階を踏んでいかないといけないので。そういう意味での位置づけはあるのかな、という気はしますね」

 ――昔から名人は選ばれし者がなると言われてますけど、若い頃は、名人への特別な思いはありましたか。

 「ああ・・・・・・いや、でも、相手の人から『ここに賭けてる』と感じることは多かったですね。ベテランの先生も、いつも一生懸命やってるんだけど、順位戦のときは目の色が違うみたいな(笑)。私が4段、5段、6段で、C2、C1、B2くらいのときに対戦した人たちは、そういう人が多かったという記憶があるんです。他の棋戦のときは結構淡白だけど、順位戦になると尋常じゃなく粘るとか(笑)。随分違うなと思ったことはありました、ええ」

 ――羽生さんはどう感じてたんですか。

 「あ、やっぱり、そこに、厳しさがあるんですよね、うん・・・・・・」

 ――なるほど。

 「一つの負けが昇級を逃すということは、普通によくあることなんで。そういう意味では鍛えられた、という感じはしています」

 ――94年に名人初挑戦で米長さんに勝つ。当時の資料を見ていたら、勝った直後、自室に戻った羽生さんが『このためにやってきた』と珍しく喜びを露にしていたという記事があって、凄く意外でした。当時はそんな無邪気な感じもあったんですか。

 「ああ、そうですね。あんまりよくわからないで、名人になってしまったって感じだと思いますけど。何というか、本当の意味での過酷さみたいなものをわからないまま、最初は獲れたという・・・・・・。いや、知らなかったから獲れたということもあると思うんですよ。そういうことって、よくあると思ってます」

 ――A級1年目で。

 「そうですね。うん。一局一局が重いということも、その頃はまだ感じていなかったので」

400名無しさん:2015/06/07(日) 17:24:58
>>399

盤上は将棋の可能性を追求する
 羽生が求めているものの本質を探るには、改めて彼の歴史から紐解いていこうと思っていた。七冠を制覇する以前から、羽生はそれまでの「常識」をぶち壊し、新たな「常識」を構築し、時代を開拓してきた。それは斬新な指し手に代表される盤上だけではなく、慣習やしきたりといった盤外にも及んでいる。そこには、どんな意図があったのか。確かめてみることにした。

 ――米長さんとの第一局で、中飛車をやった。意表を突く戦型に、当時は驚きと共に批判もありましたよね。若手がそんな変わったことをやって失礼だとか、勝てるのか、という。

 「ああ、まあでも今は何の違和感もなく、普通に皆やってることで、それもよくあることなんですよね。最初はいろいろ賛否があるんですけど、年数が経つと、実はどうってことない、大したことじゃなかったという」

 ――その年度の順位戦では、プレーオフも含めて3回、席次では格上の棋士を相手に上座に座った。盤上だけではなく盤外も含めて、将棋界を変えたいという意識はありましたか。

 「いや、変えたいというよりも、普通にやってどうなるかっていう・・・・・・。例えば中飛車の話だったら、それで中飛車が指せないとか、指しにくいとなったら、選択の幅が狭くなるんで。だから、そこはまあ、やってみる。上手くいくかどうか、やってどうなるかはわからないけど、とにかく実験的に思い切ってやってみようというのはありますね」

 ――盤上は将棋の可能性を追求すると。

 「はい」

 ――上座に座ったのも理由があった。タイトル保持者としてスポンサーのことを考えて。

 「ああ、そうです、ね。確か、あのときタイトルを4つ持っていたと思うんですけど、自分のことよりも、保持者ということがあるので・・・・・・。いや、でも、相手の人が先に来て上座に座っていたら、ちょっとそこ、どいて下さい、とは言わないですよ(笑)」

 ――(笑)

 「だから、どっちでもいいと言えば、どっちでもいいことだったんですけど(笑)。昔、そういうことで迷った時期もあったんで。迷うくらいなら、自分なりの基準で選ぼうということですよね」

 ――そういう自分の考えで取った行動に一部の人から批判が出たとき、どう感じました?心が痛むようなことはなかったですか。

 「ああ、いや、う〜ん・・・・・・まあ、いろんな考えの人がいますからね(微笑)。それも一理あるから、そう思うこともあるんだろうなと。まあまあ、そこは・・・・・・。いや、絶対に上座に座らなきゃいけないという拘りがあったわけではないので」

 ――最初に矢面に立つのは、いろいろと風当たりが強いこともあったと思います。

 「ああ、そうですね。うん・・・・・・まあでも、過ぎてしまえば、忘れてますよね。大体の人は(にこやかに笑う)」

 ――辛いなとは? 
 「いや、特にそういうことは思わなかったですけどね、ええ」

401名無しさん:2015/06/07(日) 17:25:49
>>400

損な手も本当にやってみなければわからない
 ――若い頃から、自分が率先して将棋界を発展させる、切り開いていくという気概や覚悟のようなものはなかったですか。

 「いや、ないですよ。全く。まあ、自分が、普通に、自然にやってどうなっていくか、ということだし、うん。それがどういう影響を起こすかはわからないことだし、うん。ただまあ、あまり制約をかけないということは、もちろんありますけど」

 ――自由に。

 「ええ。どう言えばいいんでしょうかね、例えば将棋の指し手だったら、どういう指し方も常に可能性としてはあるわけで。うん。だから別に、これをやってはいけないということはないですし。例えば、昔、よく二手目に(普通は損だから指さない)6二銀とか、3二金に上がったりしていたときも、損な手だということはよくわかっていたんです。でも、どれくらい損かというのはやってみないとわからないんで。ある程度やってみて、どれくらい損かわかったからやめた、ということなんです。はい。結構、そんな感じで・・・・・・へへっへへ(照れ笑い)」

 ――普通は損だからやらない手も、羽生さんは実戦で試してみる、と。

 「そうですね。ただまあ、沢山あるセオリーや定跡みたいなものに、毎回沿ってやるのはシンドイな、という気持ちもあったので。それでちょっと変わったこととか、実験的なこともやってみようと思っていたと思います」

 ――それは今でも変わらない。

 「時期によって、こういうことをやってみようとか、これはやめておこう、というのはありますけど」

 ――昔の将棋界は、先輩への敬意が過剰になって若手が勝てない、人間の厚みで押さえ込まれてしまうことがあったと思います。

 「ええええええ、はいはいはい」

 ――そういう状況を変えたい、とは? 
 「う〜ん、いや、でも、例えば、大山先生と対局すると、やっぱり、凄い迫力があるんですよ。だから、その部分だけでは戦わないということはありましたね。うん。例えば、経験値とか、勝負どころの勘所とか、そういう部分では叶わなくても、作戦面や最新の戦術だったら五分に渡り合える、というところはある。どちらを前面に出してやるか、ということだと思っていたんですけどね」

 ――当時はよく、『将棋と人生は関係ない』『理論で割り切れる技術のゲーム』と強調していましたね。

 「あ、いえ、それは、ですね。その先があってですね。私がそう言っていたのは、甘えになるから、という続きがあるんです」

 ――なるほど。将棋が強くなるには人生経験が必要と言われていましたけど、それは逆に遊びを正当化する言い訳にもなる。

 「言い訳にするために、そういう話が出てるんで。だから、技術論であると言っていたんです。ずっとそう言っていたんですけど、毎回、そこはカットされちゃうんで(笑)」

 ――ああ・・・・・・。

 「そこは誤解を生んでる可能性はあるかも知れません・・・・・・」

402名無しさん:2015/06/07(日) 17:26:05
>>401

 ――そうですね・・・・・・。でも、若い人からすれば爽快に感じた人は一杯いたでしょうね。

 「ああ、それはそうでしょうね。うん。いや、基本的にそうでしょう(笑)」

 ――皆、薄々思ってるけど、言えないことを言ってくれた、と。

 「ええええ、ということだと思います」

 ――お酒やギャンブルをやる人が多くて。

 「ええ。別にやってもいいんですけど、それを理由にする必要はないのかな、と・・・・・・(ふいに吹き出し)お酒を呑みたければ呑めばいいし、ギャンブルしたければすればいいんで(笑)。それが将棋にプラスになるとか、マイナスになるとか、そういうことではなくて、呑みたいから呑む、やりたいからやるっていう、ただそれだけの話で。ハハッハハッ」

 ――そうですね(笑)。では、遊びが将棋の力には直結しないと? 
 「いや、なってるかも知れないですよ。うん。何か、そういう人のほうが、切り替えが出来るというか、煮詰まったときに上手く逃れやすい傾向はあると思いますよね。だからプラスになってる可能性はあるとは思います」

 ――じゃあ、若いときから、人生経験を否定していたわけではないんですか。人間的に厚みを増すことは、盤上にも影響してくると? 
 「いや、もちろん、影響することはあると思いますけど。ただ、何がプラスになって、何がマイナスになるかは、わからないので」

 ・・・以下、次回へつづく(次回の掲載は6月7日を予定しています)

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高川武将(Takagawa Takeyuki)
1966年東京都生まれ。新聞社、出版社を経て、フリーランスのルポライターに。スポーツを中心に『Number』等で骨太のノンフィクションを多数執筆。2010年の竜王戦から羽生善治の取材を続け各誌に寄稿している。
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 『G2(ジーツー) Vol.19』
(講談社MOOK/税別価格:900円)

 『G2(ジーツー)』は雑誌・単行本・ネットが三位一体となったノンフィクション新機軸メディアです。今回目指したのは、アメリカの雑誌界の最高峰『ザ・ニューヨーカー』。新しいノンフィクション、新しいジャーナリズムの形を示そうと、『G2』第19号は何から何まで大幅にリニューアルしました。

 執筆者/奥野修司 清田麻衣子 黒川祥子 佐々木実 佐藤慶一 柴田悠 高川武将 西村匡史 野地秩嘉 福田健 安田浩一 飯田鉄(順不同)

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高川武将,G2

403名無しさん:2015/06/07(日) 18:30:37
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150607-00043595-gendaibiz-soci
G2レポート・棋士道 羽生善治「将棋の神」に極意を質す(その2)〜彼を盤上に向かわせる原動力は何なのか? 本誌には載らなかったインタビュー記事を特別公開!
現代ビジネス 6月7日(日)11時1分配信

 発売中のノンフィクション雑誌『G2(ジーツー)』第19号に掲載後、大きな反響を呼んだ記事「騎士道 羽生善治」。ルポライター・高川武将が6度のロング・インタビューを通じて「羽生善治の本心に迫ろう」とした、文字どおりの「言葉の対局」です。原稿が予定の80枚を大幅に超える130枚に達したこともあり、誌面に載せきれなかった「後半」をおよそ2週間にわたって随時掲載していきます。棋士とルポライターの真剣勝負をご堪能ください(G2編集部)

 ▼羽生善治「将棋の神」に極意を質す(その1)はこちらからご覧ください
 => http://gendai.ismedia.jp/articles/-/43587

 * * *

 (文・高川武将)

歳をとっても棋士でいるためのズルさ
 『これからの棋士寿命は短くなる。自分も40歳でやっているかわからない。50歳で出来ていたら大満足です』

 ちょうど七冠制覇する前後、羽生は頻繁にそう言っている。

 やがて30代に入った頃、羽生はタイトル戦とは無縁のベテラン棋士たちが深夜まで対局する姿を見て、その原動力は何だろうと思う。「今が全て」と一喜一憂するよりも、「長い棋士人生をマラソンを走り抜けるようにいかに変わらずに走り続けるか」を模索するようになり、そして勝ち続ける。

 ――寿命が短くなるというのは、研究が盛んになって戦いが激しくなる、と? 
 「研究が盛んになるというのは、長距離走だったものが短距離走になっていく、ということなんで。よく、水泳のバサロスタートの話をしてたんですね。つまり、バサロスタートが出来るようになったら、水面に出た後の短い距離の勝負になるじゃないですか。そうしたら、若い人のほうが有利でしょう。まあ、スポーツではレギュレーションが変わってまた状況も変わることはあるけど、将棋はルールを変えるわけにはいかないんで、ええ。そういうことは思ってました」

 ――それが変わっていった。変わらずに続けていく、という方向に。

 「いや、まあ、そうですね。そのときはそう思っていても、歳は自然にとっていくんで。だからといって、そのまんま、ぼんやりしているわけにもいかないんで(笑)」

 ――でも、勝負というのは『今が全て』ですよね。その一瞬で、正解を考えつかなければそこで終わってしまう。

 「ええ、ええええ」

 ――そうした勝負を如何に続けていくか、ということですか。

 「ああ、そうですね。どう言えばいいんでしょうかね、うん・・・・・・例えばゴルフだったら、若いときはよくても、歳を重ねると、いいショットばかり打てるとは限らないじゃないですか。だからまあ、リカバリーショットを充実させよう、と(笑)。OBすれすれとか、林すれすれとか、ハハッ、とりあえず一打でフェアウェイに戻しておくか、みたいな、ハハッハハッ」

 ――ちょっとズルいような(笑)

 「まあ、そういうのも大事ですよね(笑)」

404名無しさん:2015/06/07(日) 18:30:55
>>403

思いも気概も目的も・・・すべて「ない」
 ――10代の頃は、読みを中心に無我夢中でやっていたのかなと。その後、序盤の研究を徹底して、プロでも難解なほど突き詰められて、七冠になった。そうした流れの後に、そういう考えになったわけですね。

 「いや、でも、本当に将棋の序盤が変わったのは、七冠を獲った後のことですから。藤井システムとかが出始めて、2000年くらいですかね。凄く大きく変わったのは。私が七冠を獲った96年頃は、序盤が変わったといっても、その後の変化から見たら、大したことじゃなかったんですよね」

 ――きっかけというか、始まりだった。

 「ええ。その前は、(タイトル戦で)中飛車突いただけで、ぎゃあぎゃあ言ってた時代ですから。そんなの別に、今と全然違いますよね」

 ――時代が変化していく中で、羽生さんは技術の囲い込みをしなかった。研究成果を公にしてきたのは、どうしてなんですか。

 「まあ、自分が思いついたことは、他の誰かも思いついているものなんです、ええ。これは経験則として、ほぼ間違いなくそうなんで。あんまり持っていてもしようがない、というのはあるんですよ」

 ――羽生さんの中に、自分だけ強くなるのではなく、周りの棋士も強くして全体をレベルアップさせようという意識はなかった? 
 「ああ・・・・・・いや、特にこういう目的でということは、ないですよね。ええ。まあ、結果として、そうなったのかも知れないですけど、実際はどうかわからないですし、うん・・・・・・。自分で強くなった可能性も当然のことながらあるわけで。だから、何というか、うん、わからないということですね(笑)」

 ――研究が盛んになったという時代の変化もある。でも、そうした変化事態を、自分が先駆けて起こしたという認識はないですか。

 「あ、それはないですね。というか・・・・・・それこそ、藤井システムや中座飛車といった常識を覆すような戦法が出てきてからは、もう、それについていくのが大変だったので・・・・・・。先導したという感覚は、全くないですね」


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