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化学・薬品産業総合スレッド

1荷主研究者:2003/12/07(日) 23:23
これまで「石油・LNGなど=エネルギー総合スレ=」で扱ってきた化学系のネタを独立させます。

社団法人日本化学工業協会
http://www.nikkakyo.org/

石油化学工業協会
http://www.jpca.or.jp/

化学工業日報
http://www.chemicaldaily.co.jp/

石油化学データベース
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/new.htm

1759荷主研究者:2016/11/19(土) 16:10:45

http://www.nikkan.co.jp/articles/view/00403768?isReadConfirmed=true
2016/10/20 05:00 日刊工業新聞
挑戦する企業/三菱ケミカルHD(1)化学系3社統合、グローバル成長へ

構造改革にめどをつけた(鹿島事業所のエチレンプラント)

■欧米のライバルに照準―顧客視点で総合力■

 三菱ケミカルホールディングス(HD)は2017年4月の化学系3社統合で、真のグローバル企業を目指す。社長の越智仁は“欧米の巨人たち”と比べて遅れる海外展開を、成長戦略の根幹に据えた。事業を通じて地球規模で社会的課題の解決に貢献する「THE KAITEKI COMPANY」を看板に掲げる同社。その冠詞を「THE」から「GLOBAL」へ書き換える挑戦が始まる。

【交流少なく】

 10月初め、越智はスペイン・マドリードにいた。欧州全域のグループ会社トップを集めた会合に出席するためだ。話題は三菱化学、三菱樹脂、三菱レイヨンの3社統合で発足する新会社「三菱ケミカル」に新設する地域統括会社に集中した。

 地域統括会社体制とは、ドイツと米国、中国、シンガポールに新会社の「リージョナル・ヘッドクオーター」を設立し、マーケティングを中心に各地域の情報を集約する構想。従来は3社が独自で海外へ進出し、交流は少なかった。 

 顧客の商品開発動向など核心情報もほとんど共有していない。越智は「海外の情報網が貧弱でマーケティングや販売チャンネル利用が不十分」と唇をかむ。

【土台づくり】

 三菱ケミカルHDの15年度の海外売上高比率は43%。低くはないが、自力成長というよりM&A(合併・買収)の押し上げ効果が大きい。

 独BASFや米ダウ・ケミカル、米デュポンなどの巨人とは収益力や時価総額で大きく水をあけられている。ただ、専務最高財務責任者(CFO)の小酒井健吉は「これから5年間は20年以降に欧米勢に匹敵するよう飛躍していく土台づくりだ」と焦らない。

 グローバル化への挑戦の一つが、顧客軸のソリューションビジネス、つまり会長の小林喜光が社長時代に訴えてきた「モノづくりからコトづくり」への転換だ。ただ、従来の3社体制では製品・事業軸が強く、シナジーを阻害してきた。越智も「新事業を生み出す力が半減している」と歯がゆさを感じていた。

 だからこそ、新会社は事業を「情電・ディスプレイ」など10事業部門に再編。顧客基点でシナジーを最大化し総合力を前面に出す。

【自動車で実績】

 先行事例は自動車だ。グループ内の自動車関連事業に横串を通す組織を08年に発足。自動車メーカーとの共同開発に注力し、先端材料の採用実績が増えた。自動車関連事業推進センター長の石渡直明は「商材が圧倒的に多いのが強み。顧客は相談しやすいはず」と自負する。短期視点で事業売却を繰り返してきた欧米のライバルにはない強みで、成長に向けたアクセルを踏む。(敬称略)

*21日から素材面に掲載します。

(2016/10/20 05:00)

1760荷主研究者:2016/11/19(土) 16:11:16

http://www.nikkan.co.jp/articles/view/00403889?isReadConfirmed=true
2016/10/21 05:00 日刊工業新聞
挑戦する企業/三菱ケミカルHD(2)成長戦略づくり大詰め

クオドラントの欧州工場で、クリンスイの浄水器の容器を製造

 2017年4月に発足する統合新社の10事業部門は今、10年後の成長戦略を策定中だ。11月末期限で、25年までの市場動向や製品開発、M&A(合併・買収)などの青写真に頭を悩ます。ただ当然、戦略の根幹は分散していたリソース融合によるシナジー最大化だ。

【先行モデル】

 三菱レイヨン・クリンスイ(東京都品川区)が欧州で展開するポット型浄水器は3社協業の先行モデルだ。三菱樹脂執行役員の木村武司は「容器は欧州現地で(スイスのグループ会社の)クオドラントが射出成形で製造している」と明かす。クリンスイ社長の池田宏樹も「販売は(三菱化学グループの)英バーベイタムに代理店をやってもらっている」と付け加える。

 研究開発分野では三菱化学の紫外線(UV)硬化樹脂部隊が四日市事業所(三重県四日市市)から三菱レイヨンの豊橋事業所(愛知県豊橋市)へ4月に出向し、すでに共同開発を行っている。同社取締役の吉川雅博は「あるレイヨンの技術が三菱化学に使われ、同社の顧客を攻めて採用された実績がすでに出ている」と胸を張る。

 統合新社の事業部門の一つである「環境・生活ソリューション」は、レイヨンのクリンスイや水処理・分離精製システムなど水関係が集まる。三菱レイヨンアクア・ソリューションズ(東京都品川区)社長の島田勝彦は「プロセス提案してこそ顧客へのソリューション。材料売りだとコスト勝負に陥る」と全社で目指す“コトづくり”の急先鋒(きゅうせんぽう)だ。

 さらに17年4月からは溶剤回収などの脱水工程に用いる三菱化学のゼオライト膜事業も仲間に入る方向。

【寄り合い所帯】

 3社統合と言うは易しだが、人事制度や基幹システムなどの隠れた統合は地味だが重要な作業となる。集合住宅向け受水槽などを手がける三菱樹脂インフラテック(同中央区)は、三菱樹脂と三菱化学にあった関連事業の寄り合い所帯だ。

 15年に就任したインフラテック社長の松本和広は「事業の生い立ちが違うので、営業の目標予算管理が統一されていなかった」と振り返る。「事業ごとで売り上げ見込みの精度がバラバラになるので、レベル合わせをした」と来年の3社統合を先取りするような業務改革を断行した。(敬称略)

(2016/10/21 05:00)

1761荷主研究者:2016/11/19(土) 16:11:41

http://www.nikkan.co.jp/articles/view/00404137?isReadConfirmed=true
2016/10/24 05:00 日刊工業新聞
挑戦する企業/三菱ケミカルHD(3)自動車でシナジー

三菱化学のエンプラが採用されたスズキ・ハスラー

 自動車メーカーとの商談窓口、三菱ケミカルホールディングス・自動車関連事業推進センター(AMS)はグループで関連する47事業・会社をまとめる司令塔だ。2008年に立ち上げたグループ全体の横串組織で、全世界で20人規模と所帯は小さいが、影響力はその何倍も大きい。

【一定の規則】

 統合新社の課題は情報共有化だが、自動車分野は例外で共有基盤を整備済みだ。センター長の石渡直明は「一定の規則を設けて共有している。自動車メーカーでどんなニーズがあるかを、すぐにアクセスできるようになっている」と明かす。

 また、AMSは自動車メーカーとの戦略的な会議体を開催している。「数年後に必ず搭載されるような共同開発を複数行っている。47事業などが幅広い商材を持ち寄り、『コックピットモジュールならこれ』と提案できる」と石渡は語る。

 その実績の一つが、塗装要らずで耐傷性も高い三菱化学のバイオエンジニアリングプラスチック「デュラビオ」だ。14年のスズキに始まり、マツダと仏ルノーにも採用された。

 執行役員の瀧本丈平は「値は張るが、新しいチャレンジで他社と差別化する決断をした顧客に選んでいただいた」と喜ぶ。そして「ほぼ全ての自動車メーカーと話をしている」と期待は膨らむ。

 ブラジル・サンパウロ郊外にある三菱化学の自動車向け機能性樹脂工場。15年春からインパネ部材などを供給しており、「何十年ぶりにブラジルへ帰ってきた。大昔に旧三菱化成が石化工場を持っていた」と瀧本は感慨深げだ。

【仲良く入居】

 三菱化学の工場と同じ建屋内には三菱樹脂傘下のスイス・クオドラントのエンプラ工場も仲良く入居。そしてなんと、同じ屋根の下で総務、人事、経理など間接部門を共有化しているのだ。

 もともとはクオドラントが先にサンパウロの街中に工場を構えていたが、将来の拡張や周辺環境の変化を考慮して移転を数年前に検討していた。瀧本は「我々もブラジルに工場新設を考えていて、『じゃあ、いっしょにやりましょう』と共同で土地を購入して建物をつくった」と経緯を思い出す。海外での拠点相互利用は3社統合の大きな狙いである「資本の効率化」そのものだ。(敬称略)

(2016/10/24 05:00)

1762荷主研究者:2016/11/19(土) 16:12:09

http://www.nikkan.co.jp/articles/view/00404243?isReadConfirmed=true
2016/10/25 05:00 日刊工業新聞
挑戦する企業/三菱ケミカルHD(4)自動車を狙え

三菱レイヨンは伊ランボルギーニと炭素繊維分野の開発検討で提携(9月16日)

 「韓国の電池メーカーが動くなら真剣に考えないといけない」。三菱化学執行役員の荒木良剛はそう語る。休止している英国のリチウムイオン二次電池(LIB)用電解液工場を、2017年にも再稼働させる方針だ。

【欧で需要急拡大】

 LIB世界大手のLG化学がポーランドに、サムスンSDIもハンガリーに電気自動車(EV)など車載向けの工場新設を計画する。17―18年に相次ぎ稼働するため、欧州での電池部材需要も急拡大が予想される。

 10年頃にEVブームに期待を膨らませて英国へ進出したものの、市場は立ち上がらず。ようやく訪れそうな“欧州の春”の予感に、荒木は「実績のあるプラントであり、他の電解液メーカーは同規模の工場を持っていない」と、先行者利益を享受したい考えだ。

 自動車メーカーは新しい技術・製品に対してあくまで慎重だ。大幅な軽量化に貢献できる三菱レイヨンの炭素繊維も我慢が続く。同社取締役の福居雄一は「今はドアの内側などに限られているが、我々は最終的に構造材料での採用を目指している」と言い切る。鉄など金属材料との競合になるが、コスト高を上回る一体成形の強みを訴える。20年の車向け炭素繊維市場は現状比3・4倍の2万5000トンに拡大すると予想。福居は「車でトップポジションを獲得したい」と意気込む。

 成長戦略のカギは現在、三菱樹脂傘下にいるスイス・クオドラントとの連携が握る。このエンジニアリングプラスチック世界最大手は全世界で41拠点を構え、21カ国に進出している。三菱樹脂執行役員の木村武司は「クオドラントは三菱ケミカルホールディングス全体で見ても、多様でグローバルなキーアカウント(主要取引先)、サイト、ノウハウを持つ」と自負する。

【大きなシナジー】

 福居も「特に欧州で車メーカーや航空機メーカー向けの販売チャンネル、拠点を多く保有し、大きなシナジーが期待できる」と胸を躍らせる。

 炭素繊維とエンプラは、統合新社の事業部門「高機能成形材料」で同じ釜の飯を食うことになる。

 三菱ケミカルHDは20年度に自動車関連部材の売上高で現状比約50%増の4500億円を目指す。グループ融合が加速すれば、目標の早期達成も可能だ。(敬称略)

(2016/10/25 05:00)

1763荷主研究者:2016/11/19(土) 16:12:27

http://www.nikkan.co.jp/articles/view/00404459?isReadConfirmed=true
2016/10/26 05:00 日刊工業新聞
挑戦する企業/三菱ケミカルHD(5)ディスプレーで協奏

三菱樹脂のディスプレー向け光学フィルム

 「我々は自動車で言うところのティア1だ」。三菱化学執行役員の勝呂芳雄は液晶パネルメーカーとの関係性を誇る。「私が訪問すると各社のCTO(最高技術責任者)級と会える。より核心情報が得られる」と1次下請けの強みは大きい。

【太いパイプ】

 液晶パネル向けのインク材料、特に独自の黒色で韓国大手2社と太いパイプを築いている。特殊なブラックはカラーフィルターなどに数多く使用され、最先端の液晶テレビのほぼ全てに搭載される。勝呂は「液晶の値下がりは激しく、顧客から製造工程にイノベーションを起こす材料を求められる。そのブラックはある工程を半減できる」と豪語する。

 一方で、三菱樹脂の光学系フィルムも偏光板やバックライト向けで強いが、パネルメーカーから見るとティア2、3の域を出ない。3社統合で情報共有化やパネル大手との商談が実現し、“昇格”の可能性も広がる。「短中長期の開発方針や有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)への考え方が直接入ってくる」と勝呂は情報量の差を強調する。

 韓国、中国そして日本の液晶パネル各社が現在、投資を集中しているのが有機ELだ。三菱樹脂取締役の伊藤能彦は「どの部材をやるかはなかなか言えないが、開発をかなり進めている」と次世代ディスプレーへの取り組みを明かす。

 光学フィルムでは有機ELが自発光なので、液晶に不可欠なバックライトが必要ない。搭載枚数が減り事業へ大打撃かと思いきや、「(発光層より)前の方で新たなフィルムが必要になるから、差し引き同じくらい」と伊藤は悲観していない。

【チャンス到来】

 むしろチャンス到来と前向きだ。有機EL向けのフィルムは構造上で画像に直接影響を及ぼす位置にあり、伊藤は「要求性能が厳しくなるので参入障壁が上がるはず」と予想。強みの樹脂配合や塗布技術はディスプレーだけでなく、主力の食品包装向けにも共通するフィルムのコア技術だ。

 統合新社は三菱化学のインクと三菱樹脂の塗布技術を組み合わせた機能性フィルムの開発が“夢物語”でなくなる。勝呂は「今まさに技術シナジーを議論している。組み合わせが実現しなければシナジーとは言えない」と自らを追い込む。(敬称略)

(2016/10/26 05:00)

1764荷主研究者:2016/11/19(土) 16:13:30

http://www.nikkan.co.jp/articles/view/00404668?isReadConfirmed=true
2016/10/27 05:00 日刊工業新聞
挑戦する企業/三菱ケミカルHD(6)アクア市場狙う ビッグデータで商機拡大

ウェルシィの遠隔監視システムの画面イメージ

 ケニア・ナイロビに設置した飲料水供給システムの運転状況を、地球の裏側から即時に把握できる。

【全世界で展開】

 三菱レイヨン子会社のウェルシィ(東京都品川区)は、地下水や河川の水を飲料用へ浄化する事業を全世界で展開。主に使う水量に応じた課金と保守サービスで稼ぐ、三菱ケミカルホールディングスでも珍しいビジネスモデルだ。

 ウェルシィ社長の宮田栄二は「遠隔監視システムで各地の水量や水質などのデータが集まる。地図上で分かるように加工しており、そのビッグデータをどう展開していくか」と考えを巡らす。

 国内シェアは50%以上で、納入実績は計1200件弱になる。海外はまだケニアにベトナム、ミャンマーと数えるほどだが、統合新社の事業部門「環境・生活ソリューション」の一員になれば、海外展開のさらなる加速も可能。2020年までに既存設備を含め、遠隔監視システム整備が完了する計画だ。

 三菱レイヨン常務執行役員の佐々木等は「ウェルシィのビジネスモデルは大成功している。応用が相当できるはずで、踏み込んだ形のシナジーを目指す」と横展開を急ぐ。水処理や家庭用浄水器、植物工場が一つ屋根の下の事業部門は異質な存在。「装置型の投資は要らないのでダメなら朝令暮改で撤退すればいい」と戦略も“らしくない”のが面白い。

【新参者】

 大陽日酸は14年にグループ入りした“新参者”だが、海外展開では先頭を走る。約20カ国に進出し、特に米国事業は他の5事業会社にとって垂ぜんの的となる。大陽日酸社長の市原裕史郎は「我々は全米で売り上げ2000億円規模のネットワークを持っている」と誇らしげだ。

 現在も三菱化学とバイオエタノール製造時の脱水に用いるゼオライト膜の米国展開で協奏中。「事前調査を始め、7社程度から良い反応を得ている。近々、商業ベースで成果が出てくるはずだ」と市原もグループ融合に好感触だ。また、三菱レイヨン・クリンスイ(同)も大陽日酸の魔法瓶ブランド「サーモス」とのコラボレーションを具体的に検討しているところ。

 大陽日酸は元をたどれば、3社が合併した“統合の先輩”でもある。その存在感はグループ内でますます大きくなっている。(敬称略)

(2016/10/27 05:00)

1765荷主研究者:2016/11/19(土) 16:14:04

http://www.nikkan.co.jp/articles/view/00404829?isReadConfirmed=true
2016/10/28 05:00 日刊工業新聞
挑戦する企業/三菱ケミカルHD(7)先陣切る医薬品 利益減でも社外と協業加速

他企業との連携で研究開発を加速する(米国子会社のタナベ リサーチ ラボラトリーズ アメリカ)

 「小林喜光さんは1年半くらい前まで医薬品事業にあまり関心がなかったが、『医薬こそがオープン・シェアード・ビジネスの先陣を切っている』と説明し続けたら納得してくれた」。田辺三菱製薬社長の三津家正之は笑顔でこう振り返る。

【製薬が手本】

 親会社の三菱ケミカルホールディングス(HD)は、グループ内のシナジー向上に腐心してきた。同社会長の小林からすると、薬の世界は畑違いに感じられた時期があったのだろう。だが医薬品開発の難易度は上がり続け、製薬企業は社外との連携が不可欠と考えられている。“融合”が課題の同社にとっては、田辺三菱が一つの手本になるとも言える。

 三津家はシェアード・ビジネスという言葉に、「利益が減ってもアウトバウンドを重視する」との思いを込める。従来は学術機関やベンチャーから創薬シーズや技術を獲得する、いわばインバウンドの姿勢だった。今後は他社への導出や異業種との協業を、自社から積極的に働きかける必要があるとしている。

 その一例が、英製薬大手アストラゼネカ(AZ)の傘下である米メディミューン(メリーランド州)との提携だ。同社は抗体と、抗がん剤などの薬剤を融合させた抗体薬物複合体(ADC)に強みをもち、田辺三菱からも抗体技術を持ち込んで共同研究を進める。

 これだけならば「今までのオープンイノベーションの世界」(三津家)だが、今回はAZ側へ、希望すれば臨床試験や販売に参加できる権利を付与した。「自前でやるよりもAZとやった方が品物は大きくなり、スピードも上がる」(同)。AZは欧米を、田辺三菱は日本やアジアを担当する展開が考えられそうだ。

【ガスも薬に】

 さらに三津家は、三菱ケミHD傘下の他事業会社との協業も進める構えだ。医療用ガスを手がける大陽日酸と連携し、新たなコンセプトの医薬品づくりを模索している。「今後の新薬開発を考えると、これまでのような単一の化合物や抗体だけではなかなか道が開けない。さまざまな材料との組み合わせが必要で、ガスもそれに含まれる」。総合化学メーカー系の製薬企業である強みが生きる分野と言えそうだ。

 もっとも、その具現化は決して容易ではないだろう。融合の旗手を自負する三津家のリーダーシップはこれから試されることになる。

(敬称略)

(2016/10/28 05:00)

1766荷主研究者:2016/11/19(土) 16:14:35

http://www.nikkan.co.jp/articles/view/00404994?isReadConfirmed=true
2016/10/31 05:00 日刊工業新聞
挑戦する企業/三菱ケミカルHD(8)医療ICTなど新事業育成

新事業開拓とともに既存事業の拡大も問われる(クオリカフスの錠剤用製剤機械)

 「使命はヘルスケアのインキュベーション(新事業創出)。ここが他の事業会社とは異なる」。生命科学インスティテュート(LSII、東京都千代田区)社長の木曽誠一は、三菱ケミカルホールディングス(HD)グループにおける自社の位置づけをこう説明する。

【多彩な事業】

 ヘルスケアの事業会社には田辺三菱製薬があり、革新的な新薬の創製を目指している。ただし主力は医療用医薬品であり、その枠を超えた活動は限定的だ。LSIIは医薬品用のカプセルや原薬・中間体の製造を手がけ、情報通信技術(ICT)を活用した健康情報サービスも展開。2015年6月には再生医療ベンチャーのクリオ(秋田市)を買収しており、事業ポートフォリオの多彩さは随一と言える。

 木曽はこのうち健康・医療ICT事業と、再生医療をはじめとする次世代医療事業を今後の重点投資対象と位置づける。

 例えば、ICTでは血液検査のデータなどを収集し、それをもとにして生活者の健康増進につながるサービスを提案するといった展開がありえる。

 木曽はこれを「自分たちだけでやるのは、得策でない」と断言する。サプリメントのメーカーやスポーツジム経営企業など、健康に関わる事業者は多い。社外との協業を加速する姿勢そのものは、田辺三菱社長の三津家正之と重なる。

【M&Aに懸念】

 だが、M&A(合併・買収)となると、ヘルスケア分野ではリスクが高まりつつあるようだ。三津家は「プレミアム100%などという案件が当たり前になっている」と指摘。木曽は「クリオを買収した当時よりも、相当(相場が)高くなっている。費用対効果をきちんと評価していきたい」と話す。

 LSIIは20年度売上高を15年度比83・8%増の2500億円にする計画で、M&Aによる成長も織り込んでいる。そこの不確定要素が濃くなるならば、従来の事業を地道に拡大する重要性が増す。木曽は既存事業の中では製剤機械やカプセルを手がけるクオリカプス(奈良県大和郡山市)を成長株とみなし、後発薬メーカーなどの需要を取り込んでいく考えだ。

 ヘルスケア事業は三菱ケミHDの中で成長分野とされているが、すでに一定の評価を得ている領域でもある。三津家や木曽には攻めと守りのバランスを取りつつ、長期的な成長に導く手腕が問われている。

(敬称略)

(2016/10/31 05:00)

1767荷主研究者:2016/11/19(土) 16:15:02

http://www.nikkan.co.jp/articles/view/00405127?isReadConfirmed=true
2016/11/1 05:00 日刊工業新聞
挑戦する企業/三菱ケミカルHD(9)素材は基盤であり続ける

英ルートサイトのシンガポール工場

【素材は基盤であり続ける?競争力ある原料で支える】

 「2018年の“黒船”に対する石油化学事業体制がほぼ出来上がった」。三菱化学取締役の岡本純一はそう断言する。北米からシェールガス由来の誘導品などがアジア市場へ流入する“2018年問題”は業界共通の巨大なリスク要因だ。

【黒船対策は盤石】

 最後の懸案だったテレフタル酸事業の構造改革が16年度内にけりがつく。エチレンのほか、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)など誘導品にも手を打ち、「利益の上がらない事業が当分出ない筋肉質をつくれた」と岡本は満足げ。あとは17年度までに蒸気や電気など各事業所のユーティリティー効率化を終えれば、黒船対策は盤石となる。

 そこで、岡本は「いよいよ目を転じて、次の段階に行こうじゃないか」と前を向く。統合新社でも売上高1兆円規模と最大事業部門になる「石化部門」の成長戦略は未利用留分の活用やPEやPPなど高付加価値品の開発、技術ライセンス、新市場への進出が大きな柱となる。

 「特徴のある原料、競争力のあるインフラ提供が最大のミッション」と、岡本は統合新社の基盤となる覚悟を決めている。

 一方、単一製品で最大となるのは三菱レイヨンのメタクリル酸メチル(MMA)だ。

 10月中旬、同社傘下の英ルーサイト・インターナショナルのシンガポール工場にサウジアラビアから8人の作業員が研修に来ていた。同国で17年央に予定するMMA合弁工場の稼働に向けた準備だ。今回は第1陣で計4チームが研修を受ける。

【独自製法】

 シンガポールのMMA工場は世界初で現状唯一の独自製法「新エチレン法(アルファ法)」を導入している。サウジが2例目となる。同法は簡潔な製造プロセスで有毒物質などの運転リスクも低い。加えて、サウジならエチレンなど原料コストが圧倒的に安くなる。

 三菱レイヨン取締役の宮木敬は「MMAの稼ぐ力は高が知れている。石化にはかなわない」と謙遜する。「三菱化学は大きなプラントの運営経験が豊富で、触媒・製品開発、工場管理、研究開発で3社統合効果が出るはずだ」と胸を膨らます。

 市況変動は基礎化学品の宿命。宮木は「コスト削減を徹底して波に飲まれにくい体質にならないといけない」とグループに“安定感”を与える役割を理解している。(敬称略)

(2016/11/1 05:00)

1768荷主研究者:2016/11/19(土) 16:15:36

http://www.nikkan.co.jp/articles/view/00405350?isReadConfirmed=true
2016/11/2 05:00 日刊工業新聞
挑戦する企業/三菱ケミカルHD(10)研究開発で欧米勢と差別化

GaNウエハー

 三菱ケミカルホールディングス(HD)の研究開発は我慢の時期が続く。約10年前から将来を見据えた育成事業として有機太陽電池や窒化ガリウム(GaN)など7大テーマを設定し、リソースを集中させた。だが、まいた種は思ったほど発芽していない。

【難しさ吐露】

 三菱ケミカルHD執行役員の村山英樹は「世の中が想定ほど動かず、機会がなかなか合わなかった。我々だけでできることと、できないことがある」と材料研究の難しさを吐露する。ただ、「足腰は鍛えられた。社会が『必要だ』となったら『待ってました』と機動的に出せるよう準備している」と無駄にはしない。

 GaNはようやく事業が軌道に乗りそうな段階までこぎ着けた。三菱化学執行役員の勝呂芳雄は「2015年から自動車のヘッドランプと特殊照明の二つの出口が立ち上がり始めた」と受注増加を喜ぶ。

 GaNウエハーの量産は世界的に住友電気工業と住友化学、三菱化学の3社だけで、2インチから4インチへの大口径化でしのぎを削っている。「大口径化は顧客のチップ製造コストを下げるので、さらに用途が広がっていく」と勝呂は“夜明け”を肌で感じる。三菱化学は17年までに4インチの量産化にめどを付ける。

 大陽日酸は世界で3社しかいない、GaNなど化合物半導体製造装置メーカーだ。社長の市原裕史郎は「グループ入りした2年前から『エレクトロニクス』と『ガスソリューション』の2テーマでシナジー発掘を進めている」と明かす。「GaNでお互いのために何ができるかをずっと検討している」と付け加える。

【統合で風穴】

 17年の化学系3社統合は研究開発に風穴を開ける契機となるかもしれない。三菱レイヨン取締役の吉川雅博は「3社間でもどこで困っているかをなかなか教えてくれない。ひどい時はデータすらもらえない。胸襟を開いて共同開発すれば良いモノができるはずだ」と期待する。

 研究開発戦略に正解などなく、絶えず改善を追求するしかない。ただ、息の長い研究を許容するのは日本企業の強みと言われる。「米国だとそれより効率の良い方へ集中しがちだ。頑張ってできるのが我々の強みではないか。最後に報われないといけないが…」と村山は笑う。(敬称略)

(2016/11/2 05:00)

1769荷主研究者:2016/11/19(土) 16:16:03

http://www.nikkan.co.jp/articles/view/00405571?isReadConfirmed=true
2016/11/3 05:00 日刊工業新聞
挑戦する企業/三菱ケミカルHD(11)財務が支える成長戦略

 成長戦略を実行する上で、先立つ物がなければ何も始まらない。2017年の化学系3社統合を契機に、滞留している資産の効率化へ本腰を入れる。三菱ケミカルホールディングス(HD)専務兼最高財務責任者(CFO)の小酒井健吉は「HD傘下でもなかなか横串を通すのは難しい。例えば、欧州地域でユーロの資金をプーリング(一元管理)しようとしても無理だった」と“縦割り”の弊害を語る。

【資金を一元管理】

 そこで、米国と欧州で地域ごとに資金を一元管理するキャッシュ・マネジメント・システムを年明けまでに導入する。3社の余剰資金の管理を効率化する仕組みを整備して、機動的な資源配分などを可能にする。「キャッシュを通じてガバナンス(統治)を利かせるのも大きな狙い」と小酒井はHDの統治機能強化を図る。

 統合効果は保険にも波及する。三菱化学と三菱樹脂では各事業規模に差がある。そのため、三菱樹脂は損害発生に備えて細かく保険をかけなければならない。同社は5億円の損害でも厳しいが、三菱化学の場合は50億円でも大丈夫といった具合だ。小酒井は「統合すればもっとリスクテイクできるはず。無駄な保険が減り、経費的なメリットは大きい」と明かす。

 この10年間は石油化学部門の構造改革に振り回された。「『構造改革は全て終わったのか』とよく聞かれるが、8割が終わっただけ。化学は新陳代謝の激しい産業だ。残り2割の事業は常に変遷していく」と小酒井は断言する。新陳代謝には企業規模と強固な財務基盤が不可欠だ。

【明確な目標】

 だからこそ、16―20年度の中期経営計画では明確な財務目標を掲げた。最終年度にネット有利子負債1兆1000億円(15年度1・0兆円)、自己資本比率30%(同22・9%)、ネットD/Eレシオ0・8倍(同1・1倍)を目指す。小酒井は「財務基盤が万全になってこそ、新陳代謝や新規事業のリスクを取れるようになる」と気を緩めない。

 三菱ケミカルHDの総資産は15年度で約4兆円ある。20年度までに政策保有株の売却などで最低でも3000億円の資産圧縮を計画。キャッシュフローを一段と改善し、「KAITEKI COMPANY」として持続的な成長を目指す。(敬称略)

(2016/11/3 05:00)

1770荷主研究者:2016/11/19(土) 16:16:29

http://www.nikkan.co.jp/articles/view/00405658?isReadConfirmed=true
2016/11/4 05:00 日刊工業新聞
挑戦する企業/三菱ケミカルHD(12)KAITEKI実現へ

飼料向け乳酸菌の顕微鏡写真

 三菱ケミカルホールディングスはあらゆる企業活動の判断基準として「サステナビリティ」「ヘルス」「コンフォート」を採用している。経済性・資本効率やイノベーションの追求と並ぶ独自の基軸は全ての羅針盤だ。

【社会貢献】

 同社執行役常務の吉村修七は「モノづくりでは人・社会へどう貢献するかの軸から入る。企業活動と社会貢献がイコールでないといけない」と、KAITEKI経営の大原則を説明する。サステナブルな材料で原料を枯渇資源から非枯渇資源へ置き換えられるか、自動車材料なら軽量化に役立つかなどが“ゴーサイン”の前提だ。

【健康経営】

 外向きの取り組みだけではない。「風通しの良い職場か、上司は適正に評価してくれるかなどは従業員のコンフォート(安楽)だ」と吉村は語る。2017年度からは社長の越智仁が自ら旗振り役となって「健康経営」に取り組む。越智は「健康経営はグループを活性化して企業を強くする」と意気込む。

 狭義のCSR(企業の社会的責任)との大きな違いは、事業を通じて地球規模で社会的課題解決への貢献を目指す点だ。つまり、チャリティー活動や教育支援、環境保全が主目標ではない。

 鶏は世界を救う―。新興国の経済発展に伴う世界人口爆発。食肉文化も広がるものの、宗教上の理由で牛肉や豚肉が食べられない国・地域は多いが、鶏肉は問題ない。三菱化学の飼料用乳酸菌は養鶏の生産効率アップに貢献する。機能化学企画室長の葛城俊哉は「鶏の腸内環境を整える。幼少期の下痢は死亡率の高さにつながる。さらに効率良く栄養を吸収し、飼料効率を向上できるはず」と食糧問題を強く意識する。

 三菱樹脂の食品包装フィルムも有望だ。同フィルムは酸素や水蒸気の流入を防ぐバリア性能が売りで、賞味期限を延ばす役割で販売は堅調。取締役の垣本昌久は「世界的にフードロス(食料廃棄)が大きな問題だ。バリアフィルムなら役に立てる」と自信を示す。

 バリアボトルを製造する同社平塚工場長の堀内哲雄も「今は飲料や調味料など食品向けに特化しているが、医療など他の用途も考えていく」と語る。ガラス瓶からの置き換えは貨物の軽量化、ひいては資源・エネルギーの効率利用につながる。

(敬称略)

(2016/11/4 05:00)

1771荷主研究者:2016/11/19(土) 16:16:53

http://www.nikkan.co.jp/articles/view/00405790?isReadConfirmed=true
2016/11/7 05:00 日刊工業新聞
挑戦する企業/三菱ケミカルHD(13)越智仁社長に聞く、3社統合の狙い

越智仁社長

―2017年4月の化学系3社統合の主な狙いは何ですか。

「成長するために必要な統合だ。グローバルで見ると、マーケティングや販売チャンネルの相互利用が不十分で、海外での事業拡大が十分にできない。事業ごとで顧客のモデルチェンジなどの情報量が極端に違う。情報量を共有しないと成長戦略がうまく回らない。もう一つは資本の効率化だ。研究開発費や固定費を含めて1社では重たい。あとは人材だ。情報を持つ人同士が付き合うので、人材が育成・強化され、有能な人材を互いに活用できるようになる」

―統合新社の各事業部門が25年度までの成長戦略を立案中です。

「20年度までの現中期経営計画は今の既存事業をベースに大きな変更のない戦略を立てている。ただ、10年後となれば、知恵を絞らないといけない。同じ製品・事業が全て続いているはずがなく、自動車やスマートフォン、液晶パネルの形態も変わるだろう。今からやるべきことを把握して、スピード感を持って取り組む。自力成長だけで20年近くに来て、何となく危ないと感じても遅い」

―成長をけん引する有望事業は何ですか。

「基盤事業の石油化学、MMA(メタクリル酸メチル)、産業用ガスは大きく変化せず、成長よりも安定的にキャッシュを生み出す役割だ。機能商品群やヘルスケアで成長していくことが大事だ」

―グループ再編のスピードが遅いとの厳しい指摘もあります。

「三菱化学の問題を解決しないといけなかった。ナフサクラッカー再編、塩化ビニルやスチレンモノマー撤退はやはりコストが発生するから簡単にはいかない。テレフタル酸も最後まで時間がかかった。あれだけの損失が発生するし、それを『手緩い』と言われても他にやりようがない。(三菱化学社長の)石塚さんはしっかりやられたと思う」

―今後のM&A(合併・買収)戦略は。

「単純に規模を大きくするM&Aはやらせない。『市場のここを攻めたい。だからこの技術を買いたい』ならOKだ。機能商品群で基点となる技術や販売チャンネルはM&Aで獲得する。一方、ヘルスケア、特に医薬は違う世界で、規模とシーズを両方手に入れる方向があり、ガスも同様だ」

(この項おわり。鈴木岳志、斎藤弘和が担当しました)

(2016/11/7 05:00)

1773荷主研究者:2016/11/19(土) 17:21:00

http://www.sankeibiz.jp/business/news/161115/bsc1611150500006-n1.htm
2016.11.15 05:00 Fuji Sankei Business i.
三井化学、リチウム電池向け新設備

 三井化学は14日、名古屋工場(名古屋市)で建設を進めていたリチウムイオン電池向け電解液の製造設備が完成したと発表した。国内の電池メーカーに供給する。リチウムイオン電池はハイブリッド車(HV)や電気自動車向けに市場の拡大が見込まれており生産態勢を強化する。年間生産能力は5000トン。2017年4月の営業運転開始を予定している。これまでは合弁会社の中国工場で製造したり、国内ではグループ企業に生産を委託したりしていた。国内の委託生産分は順次、名古屋工場での自社生産に切り替える。

1777とはずがたり:2016/12/02(金) 13:04:59
武田薬品とカナダ製薬大手、事業買収交渉が決裂
http://news.goo.ne.jp/topstories/business/597/109265b2f52a42b13c691e84173ed469.html
(読売新聞) 08:46

 【ニューヨーク=有光裕】武田薬品工業によるカナダの製薬大手バリアント・ファーマシューティカルズ・インターナショナルの胃腸薬事業の買収交渉が決裂したことが、11月30日分かった。

 米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)が報じた。

 同紙によると、買収価格は100億ドル(約1兆1400億円)規模とみられていたが、価格や細かい条件面などで、双方の折り合いがつかなかった。武田は今回の買収で重点分野を強化することを目指したが、戦略の練り直しを迫られることになりそうだ。

1778荷主研究者:2016/12/04(日) 20:04:20

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2016/11/10-27039.html
2016年11月10日 化学工業日報
ゴードー 国内南北拠点を相次ぎ拡充

 ゴードーは、事業拠点を相次ぎ拡充する。九州工場(佐賀県神埼郡)に新事務棟が完成し本格的な運営を開始、札幌工場(北海道北広島市)で今月初め、溶剤地下タンクの一部入れ替え・更新が完了。札幌工場では新たな事務棟を建設する方針を決め、2017年春の着工、同年秋の完成を目指すとともに、溶剤地下タンクのさらなる入れ替え・更新を段階的に行う計画。主力の溶剤をはじめとした事業基盤を一層強化し、今後も多様なニーズに応じる戦略的な体制整備を図っていく。

1779荷主研究者:2016/12/04(日) 20:21:59

http://www.nikkan.co.jp/articles/view/00407064
2016/11/17 05:00 日刊工業新聞
CNT発見から25年-量産法確立・応用製品続々、稼ぐ戦略シフトへ

CNT含有透明導電膜

ミズノが開発したCNT含有ゴルフシャフト

日本ゼオンとNEDOが開発した単層CNT含有の高性能熱輸送シート

 カーボンナノチューブ(CNT)の発見から7日で25周年を迎えた。CNTは日本で発見され、国が実用化に向け、継続的に技術開発を支えてきた。この四半世紀でCNTの物性が明らかになり、量産法が確立し、CNTの応用製品が開発された。だがまだ道半ば。これから産業化のステージに入る。炭素繊維のように日本を代表する材料に育つか注目される。(小寺貴之)

【強度、鉄の20倍】

 理想的なCNTは鉄鋼の20倍の強度で、重さはアルミの半分。銅の1000倍の電流を流せ、熱は銅の5倍以上伝わりやすい。名城大学の飯島澄男終身教授(当時NEC主席研究員)が発見し、1991年の11月7日号の英科学雑誌「ネイチャー」に掲載された。

 飯島教授は「まず半導体回路や薄型ディスプレーなどへの応用研究が盛り上がった」と振り返る。日本の半導体産業が強かった時代と重なる。医療応用も模索されたが、アスベスト問題で研究は停滞。現在は樹脂とCNTの複合材や電子部品材料が有望市場だ。時代の流れに応じてスポンサーを乗り換えながら研究をつないできた。

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は98年から18年間、開発を支援してきた。物性解明から製造技術、用途開発と研究者を支え、15年に日本ゼオンの単層CNT工場が稼働したことで、CNT自体の開発は一段落した。NEDOの古川一夫理事長は「CNTは技術開発戦略から産業戦略にシフトする」と説明する。

【宇宙関連に提案】

 産業技術総合研究所などは耐熱性450度Cの単層CNT含有スーパーエンジニアリングプラスチックを開発。軽さを生かしてアルミからの置き換えを狙う。宇宙関連製品などに提案していく。ミズノはゴルフシャフトのCFRPにCNTを加えることで耐衝撃性を13%向上させた。

 日本ゼオンは樹脂中にCNTを配向させた熱輸送シート(TIM)を開発。CNTに沿って大量の熱が伝わる。サーバーなどのCPU冷却向けに発売する。日本ゼオンの荒川公平特別経営技監は「高性能TIMは380億円市場になる。この過半をとりたい」という。三菱鉛筆はスマートフォンの保護フィルムにCNTを採用。フィルム中のCNTが電界変化の面積を広げるため、タッチを検出しやすくなった。入力用のペン先を細くでき、操作性が向上した。

【機能性生かす】

 宇宙から身近な文具までCNTが浸透しようとしている。だがどの市場が大きく育つかまだわからない。機能性材料はニッチ製品の集まりで、構造材料は生産規模が物を言う。古川理事長は「機能性材料は機能の追加や強化の柔軟性、構造材料はコストを追求しなくてはいけない。信頼性評価や認証とも組み合わせたい」という。

 これまで全方位で用途開発を展開し、芽は出てきた。この応用製品を各市場で勝てる商品に高め、日本が稼ぐ戦略が必要だ。「CNTは半導体のように生産設備を輸出されない。素材のアドバンテージがあるうちに勝てる商品を出していきたい」と力を込める。

(2016/11/17 05:00)

1780荷主研究者:2016/12/04(日) 20:49:31

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2016/11/22-27192.html
2016年11月22日 化学工業日報
純正化学 後発薬原薬製造に参入

 純正化学はジェネリック医薬品(後発薬)の原薬に参入した。主力の茨城工場(茨城県北茨城市)の新規設備で複数の後発薬向け原薬の製造を始めた。原薬登録の申請は終えており、当局の承認を経て来春にも流通する見込み。茨城工場には増設の余地があり、今後も医薬品関連の生産能力が増える可能性が高い。後発薬市場は政府による普及推進策を背景に拡大基調が続く。純正化学は国産原薬を武器に拡販を急ぐ。

1784とはずがたり:2016/12/08(木) 17:49:19

関西ペイント、欧州塗料メーカーを約700億円で買収
http://news.goo.ne.jp/article/reuters/business/reuters-20161206053.html
12月06日 16:15ロイター

[東京 6日 ロイター] - 関西ペイント<4613.T>は6日、欧州塗料メーカーのヘリオスグループの持ち株会社であるAnnagab(ルクセンブルク)の全株式を取得することを決議したと発表した。約700億円で取得し、株式譲渡は来年3月ごろを予定。Annagabの2015年12月期連結売上高は3億8688万ユーロ。

連結業績に与える影響は内容が確定次第、必要に応じて公表するとしている。

1785荷主研究者:2016/12/13(火) 21:36:36

http://www.sankeibiz.jp/business/news/161130/bsc1611300500003-n1.htm
2016.11.30 06:04 Fuji Sankei Business i.
住友化学 アジアで「メチオニン」拡販 伊藤忠と飼料分野で提携

事業説明会で伊藤忠商事との提携を明らかにした住友化学の十倉雅和社長=29日、東京都千代田区の経団連会館【拡大】

 住友化学は29日、伊藤忠商事と飼料分野で提携することを明らかにした。同日の事業説明会で十倉雅和社長が明らかにした。詳細は近く発表するが、住化の飼料添加物「メチオニン」を伊藤忠が大量購入するほか、原料調達などを手掛ける共同出資会社の設立を検討している。世界的な人口増加や新興国の経済成長で食糧問題が深刻化し、鶏肉の需要が増えている中、それぞれの強みを生かしながら事業拡大を図る。

 住化は2018年半ばをめどに、愛媛工場(愛媛県新居浜市)におけるメチオニンの生産能力を、現状の年15万トンから25万トンに増やす計画。提携により、伊藤忠は増強分である10万トンの一部を大量購入し、代金を前払いする。また、共同出資会社を設立し、原料調達などを共同で手掛ける。

 一方、伊藤忠はタイ最大級の財閥、チャロン・ポカパン(CP)グループ傘下で、飼料などを販売するCPフーズに出資している。住化から購入したメチオニンは、同社などに販売するとみられる。

 提携で、住化は増強した工場の稼働率を短期間で高められるほか、前払いにより早期の投資回収が可能になるという。

 十倉社長は事業説明会で、「伊藤忠は最強のパートナー。(メチオニンの)アジアにおけるリーダーの地位を確固たるものにしたい」と述べた。

 メチオニンは、動物の体内で合成できない必須アミノ酸の一種で、化学的に造る。主に鶏の餌に混ぜて成長を促し、鶏肉や鶏卵の生産性を高める目的で使う。

 住化によると、メチオニンは世界で年約110万トンの需要があり、年率6%程度増えているという。同社はこの分野で世界4位のシェアを持つ。

1787とはずがたり:2016/12/24(土) 11:47:06
別府化学?住友精化?
調べてみると土山に有るのはバンドー化学か。産業ベルトメーカーだそうな。
https://www.google.co.jp/maps/place/%E3%80%92675-0104+%E5%85%B5%E5%BA%AB%E7%9C%8C%E5%8A%A0%E5%8F%A4%E5%B7%9D%E5%B8%82%E5%B9%B3%E5%B2%A1%E7%94%BA%E5%9C%9F%E5%B1%B1/data=!4m2!3m1!1s0x3554d64c82eea355:0x4af5e1d6d2361303?sa=X&ved=0ahUKEwju3eTc54vRAhVDXLwKHS3OB9MQ8gEIGzAA

兵庫・加古川で化学工場火災 複数車に延焼、停電も 住民一時避難
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161224-00000001-kobenext-l28
神戸新聞NEXT 12/24(土) 9:17配信

黒煙と炎を上げて燃える工場の建物=24日午前、加古川市平岡町土山

 24日午前7時ごろ、兵庫県加古川市平岡町土山の化学工場から出火。加古川署などによると、工場兼倉庫とされる建物が燃え、隣接するマンション駐車場に止めてあった複数の車などにも延焼した。

 また、このマンションに住む約150人を含む近隣住民が一時避難。付近の民家など最大約230軒が停電した。同署によると、けが人は確認されていない。

1789荷主研究者:2016/12/24(土) 14:50:38

http://yamagata-np.jp/news/201612/09/kj_2016120900194.php
2016年12月09日07:56 山形新聞
三井化学(東京)飯豊進出へ 電池関連の研究開発部門を検討

 東証1部上場の総合化学メーカー「三井化学」(東京都)が飯豊町への進出を検討していることが8日、町など複数の関係者の話で分かった。正式決定すれば同社としては初の東北進出。研究開発部門を設置し、電池関連の研究開発を行う方向で検討している。

 町によると、町が施設を建設し、同社が賃料を支払う計画。2017年度内にも施設建設に着手する方針だ。町は同町萩生のリチウムイオン電池研究開発拠点施設「山形大学xEV飯豊研究センター」を軸に蓄電関連企業を集積した「電池バレー構想」の実現を目指しており、正式決定すれば初の民間企業の誘致となる。予定地は研究センター東の隣接地で、地元からの雇用も見込まれるという。

 山形大と町、山形銀行は三井化学を含め複数の関連企業に対し誘致活動を行っている。町担当者は「三井化学の進出が実現すれば大きな成果。取引増や付加価値額の押し上げといった町内既存企業への波及効果も期待できる」と話す。後藤幸平町長は「目指す電池バレー構想のうち、産業分野の道筋が見えてきた」と語った。

 山形新聞の取材に対し、同社広報は「予備検討をしている段階で、現時点ではコメントできない」としている。同社ホームページによると、関連会社を含め国内外に研究開発拠点を持つ。2016年3月期の連結決算によると、売上高は1兆3438億9800万円。

1791荷主研究者:2016/12/30(金) 12:05:23

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00411170?isReadConfirmed=true
2016/12/22 05:00 日刊工業新聞
新東北化学、ネコ用トイレ砂を2倍に増産 来秋稼働、月産2万トンに

新工場を建設しネコ砂原料のゼオライト成形品を増産

 【仙台】新東北化学工業(仙台市青葉区、松本浩社長、022・225・2724)は約7億円を投じ、鉱山から採掘した天然ゼオライトを粉砕・成形・加工する新工場(同市青葉区)を建設する。既存工場の3棟を集約する。ゼオライトを使ったネコのトイレ用砂の受注が増えているためで、原料となるゼオライト成形品の生産を現在の2倍に当たる月産2万トンに増やす。2017年10月に稼働する計画だ。

 新東北化学工業が新工場建屋を建設するのは、1963年の会社設立以来54年ぶりとなる。新工場の敷地面積は約1万平方メートルで、建物面積は約2300平方メートル。同社が所有する工場敷地内に新設する。

 現在は合計で3600平方メートルの工場3棟を展開し、ゼオライト成形ラインを1本持つ。新工場はこれを2ラインに増強し、生産を新工場に集約する。生産効率を上げるとともに、新生産設備の導入により、ゼオライトの乾燥工程で約20%の省電力化につなげる。

 ゼオライトは多孔質の天然鉱物。微細な空洞を生かした脱臭機能や、調湿、水質浄化、土壌改良などのさまざまな機能を持つ。

 同社は工場敷地に隣接して、約80万平方メートルのゼオライト鉱山を所有している。採掘から粉砕、乾燥、加工まで手がけ、工業用吸着材や水処理材、建築内装材、ペット用消臭剤、放射性物質吸着剤などの応用製品を販売している。

 16年3月期の売上高は約31億円で、売り上げの6割をネコ砂を中心とするペット用品が占める。

(2016/12/22 05:00)

1792荷主研究者:2017/01/03(火) 22:36:20

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2016/12/26-27601.html
2016年12月26日 化学工業日報
【激動の化学産業】 リーダーの証言/日産化学工業 藤本修一郎 前社長 《上》

 運命を分かつ岐路に立ち向かい、新たな指針を示して企業を蘇らせたリーダーがいる。日産化学の第21代社長・藤本修一郎(のぶいちろう)氏その人だ(2000年6月社長就任)。同社は1980年代に主力事業だった石油化学部門から撤退する。以後、農薬、電子材料、医薬といった高付加価値分野に経営資源を集中させ、高収益企業として蘇っていく。その戦略は、日本の化学企業の成功モデルとして語り草となっている。石化撤退後、日産化学の進む道を示したのは、当時まだ役員にもなっていなかった藤本修一郎氏だった。藤本氏は振り返る。「そのとき私は経営企画部門に在籍していた。当時の徳島秀一副社長(のち社長、会長)から、石化撤退後の日産化学を方向付けする中期経営計画の策定を命じられた」。経営陣は、次代のホープに会社の将来像を描かせた。そして、藤本氏が打ち立てたのは『価値創造型企業』という新たな御旗だった。それはやがて、高収益企業・日産化学の個性として深く定着していくことになる。

一宿一飯の恩義

 間もなく創業130年を迎える日産化学は、タカジアスターゼやアドレナリンで名高い世界的化学者の高峰譲吉や、日本の資本主義の父とされる渋沢栄一ら、錚々たる先覚者により設立された東京人造肥料を源流とする。肥料事業を起点に脈々と続く歴史のなかで培われたのは、大手化学企業も舌を巻く卓越した技術力・開発力だった。しかしそれは、苦難に満ちた歴史でもあった。肥料事業の衰退、石化産業への進出の遅れなどを背景に、幾度もの危機に直面した。1962年(昭和37年)、藤本氏が九州大学法学部を卒業し日産化学に入社した時期も、業績不振で無配を余儀なくされるという厳しい時代だった。

 入社の経緯について藤本氏は「一宿一飯の恩義」と笑う。「日産化学の説明会に顔を出したら人事担当者に博多の中州でご馳走になった。その後、東京で面接したときに、母親一人で育った割にはずいぶん明るいし、お母さんは立派な人ですねと言ってくれた。それで、コロッといっちゃった。当時からそんな雰囲気の良い会社でした」。

 入社すると王子工場に10カ月間勤めた後、本社に配属された。「その後50年間本社だった。転勤も無かった。人事労働が10年。次に経営計画が10年。それから常務時代も含め営業を25年程担当した」。

青年将校、組合と向き合う

 10年間を過ごすこととなった人事労働時代は、活発な活動を続けていた労働組合と対峙した。肥料事業の衰退を背景に、希望退職や工場閉鎖などを進めた会社と労組が対立していた。「あの頃、大手化学企業は労働争議からすでに卒業していた。しかし、当社はまだ本社や工場でストライキが繰り返された」。

 閉鎖を決めた長岡工場は1973年までに全製品の生産停止に追い込まれた。会社は400名の希望退職を実施した。「その時私は、これをやらないと日産化学はないんだと、正義感に燃えた青年将校のような気持ちで随分張り切っていた」。工場の閉鎖作業が終了すると長岡工場の総務部長から便箋10数枚にわたる手紙が届いた。「工場を閉めるときの現場の苦労が入念に書いてあった。あなたがこれから日産化学で偉くなっていくうえで、心に留めておいて欲しいと。私は自分を恥じ、二度と人に手を付けてはいけないと誓った」。

 その後、日産化学は労組との関係を一から構築し直していくことになる。「できないことは約束しない。約束したことは守る。そうした信頼関係の構築が必要と感じていた。そのあたりに一番尽力されたのが、私の前の社長の柏木(史朗)さんだった」。労組に対し、会社の経営状況を繰り返し丁寧に説明する機会を設けた。職場の小集団活動であるAi運動においても、毎年各工場から優秀な若手社員を本社に招き、全役員の前で改善運動の成果を発表する取り組みにも力を入れた。「歴代社長の新年挨拶には、必ず正月三が日に勤務してくれた方々へのねぎらいの言葉を忘れなかった」。従業員を大切にする文化を醸成していった。

1793荷主研究者:2017/01/03(火) 22:37:12
>>1792-1793 続き

石化参入と撤退

 1950年代になると、創業事業である肥料産業が凋落の色を濃くしていた。「一方で、新しい波として石化産業が出てきて、それに乗らないとダメという雰囲気があった」。実は、日産化学は早くから石化参入を模索していた。「長岡で開発された新たな天然ガス田の利用や、富山では原油分解法によるコンビナートを計画したが、いずれも失敗した」。

 「『モンテ参り』もそうだった」。モンテ参りとは、日本の石油化学工業の黎明期だった50年代に、イタリアの化学会社モンテカチーニ社に在籍していたナッタ博士のもとへ、日本の名だたる化学会社がこぞって訪れた現象のことを指す。お目当ては、ナッタ博士が持つポリプロピレンの製法特許だった。「特許使用権の獲得競争で当社はトップを走っていて、仮契約までいったが土壇場で他社にやられた」。財閥系の大手企業の育成を考えていた通産省(現経済産業省)の意向があったとみられている。

 「結局、1963年に最終列車に飛び乗るように、石化に参入することとなった」。日本興業銀行(現みずほ銀行)から、丸善石油化学の千葉(五井)コンビナートに誘導品企業として参画する打診があり、これを受けたのだ。紆余曲折を経ながら日産化学は、千葉で高級アルコール、合成洗剤原料、ポリエチレン、塩化ビニールモノマー・同ポリマーを次々と建設していった。「当時としては、産業の選択肢としては他になかった。石化なき化学会社が成り立つのか、という雰囲気だった。しかし、それらは体力勝負の世界であり、2度のオイルショックを経て88年に完全撤退した。この間の収支は、黒字だったのが3年、収支ゼロが3年。残りは赤字だった。惨憺たる結果であり、石化事業を続けるパワーはもうなかった」。世の中がバブル経済に湧くなかでの決断だった。

過去と決別する中計

 主力事業から撤退した後、日産化学はどうするべきなのか。88年、徳島副社長を通じ中期経営計画の策定を命じられた藤本氏は「各事業部の部長クラスを集めて全事業の洗い出しをした。このときに考えたのは、みんなの心を一つにすること、自信を取り戻すことだった。多少情緒的になっても物語風に分かり易く、ああ、日産化学はこっちに行くのだと分かる計画にしたかった」。

 1年後の89年(平成元年)、日産化学は『平成元年度中期計画(89―93年)』を発表した。「当時まだどの会社も使ったことのない"価値創造型企業"という御旗を立て、スペシャリティ部門の売上高を50%以上とする事業構造転換を進め、早期復配の実現と売上高1000億円回復を明確に打ち出した。振り返ればこの平成元年中計こそが、日産化学の分水嶺だった」。みなが力を合わせて変革に挑めば、高収益企業として蘇ることができる。過去と決別しやり遂げよう。そう呼びかけるこの中計が社員の心を一つにさせていった。

1794荷主研究者:2017/01/03(火) 22:38:17

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2016/12/27-27600.html
2016年12月27日 化学工業日報
【激動の化学産業】 リーダーの証言/日産化学工業 藤本修一郎 前社長 《下》

 石化事業撤退により、日産化学は高い評価を受けた。しかし、藤本氏はこう語る。「撤退、イコール評価みたいな感じがあって、ずいぶん褒められた。しかし、私から言わせれば撤退したこと自体が評価されるべきことではなく、撤退した後、価値創造型企業を目指して今日に至る、その軌跡の方が大事だった」。価値創造型企業というコンセプトを打ち出した日産化学だが、なぜ実現できたのか。どのようにして今日の『収益性の高い中堅化学企業』という姿を確立したのだろうか。

 2000年に社長に就任し、トップダウンのスピード経営で価値創造型企業・日産化学を実現した藤本氏は語る。「規模の小ささを生かした経営を実践したこと。当社が持つ真面目で風通しのよい企業風土があったこと。そして研究開発に対する経営の理解と投資の継続。この3つの側面がある」。さらに続ける。「中堅企業の強みは何かといえば、小さな組織ならではの早い経営判断だ。また、特化した事業内容も強みだが難しい面がある。特化すればするほど基盤が狭くなる。その事業が将来にわたって優良であるかどうかは分からない。また、新しい果実を生み続けるための技術動向、事業動向の見極めが本当に大切になる。結果的にそれが上手くいったと思っている」。

スピード経営

 「組織には、素早く動ける適正な規模というものがある。現場で今、何が起こっているのか実感できる組織が一番良い」。そう語る藤本氏は、経営判断のスピードの重要性を実戦で体感している。「1994年頃、電子材料を担当する常務だった。この頃は、電材は創生期で売上高もまだ少なかった。研究者と韓国や台湾に何度も出張したが、事務屋なので話の詳しい中身は分からない。しかし、この事業のキーワードはスピードだと感覚的に分かった」。帰国した藤本氏は事業部長と相談し、それまでの開発会議を拡大して、年に一度、関係者全員を一堂に集める機会を設置した。「業界動向、開発の方向性、設備投資のタイミングなど、2日間ぐらい合宿して話し合った」。社長になると、経営会議に上がってきた電子材料の案件は即決する体制とした。「これを繰り返しているうちに、顧客から日産化学はやることが早いと評価されるようになった」。

 農薬では2002年、モンサント社から除草剤のグローバルブランドであるラウンドアップを買収したが、その決め手もスピードだった。「買収で他社と競り合っていた。交渉窓口は現社長の木下(小次郎)さんだった。ある朝、ハワイで交渉していた木下さんから、メラミンの仕事でオランダにいた社長の私に電話があった。藤本さん、あと1000万ドルです。もうこれで決着させますと。その電話で即決した。競合会社は、1000万ドルを上乗せするのに内部の会議が必要だった」。社長と担当部長の2人で買収案件を即断できたのは、「日頃のコミュニケーション、目配りが十分できていたからだ。規模の小ささを生かした組織の強みがここにある。私はこの規模の小ささを楽しんで経営して来たように思う」。

研究開発への理解

 石化事業から撤退した日産化学は、各時代に全社の収益を支える事業が登場した。90年代は奇跡の3剤と呼ばれる「タルガ(除草剤)」「シリウス(除草剤」「サンマイト(殺ダニ剤)」を中心とする新規農薬が全社を牽引した。次に2000年代になると、ポリイミド樹脂を用いた液晶表示装置(LCD)用の配向膜「サンエバー」がTFT液晶向けに大きなシェアを獲得するなど、電子材料が収益を支えた。そして近年は高コレステロール血症治療薬「リバロ」などの医薬品が花開くことで、高収益企業にさらに厚みが加わった。

 「当社は、会社が苦しい時期でも研究開発に精いっぱいの資源を投じていた」。農薬は戦後間もない頃から新薬の探索を続け、1970年代、80年代には電子材料や医薬の探索を始めていた。「世の中が石化一色の時代に、新規事業を生み出そうと奮闘する人たちがいた。医薬の場合、利益が出るようになったのは最近だが、最初の探索チームが発足したのは?年。たった4人でのスタートだった」。

1795荷主研究者:2017/01/03(火) 22:39:24
>>1794-1795

人が主役の企業文化

 藤本氏は、成功の秘訣として企業文化の重要性を強調する。「企業文化は、企業の競争力や成果を決める大切な要素だ。場合によっては、企業の投資手段の一つといえる。企業文化が共有されていれば、従業員が判断に困ったときはその文化に従えば良い。社長が決断しても、末端の人が決断しても同じ結論が出る。目に見えないものだけれど非常に大事な要素の一つだ。それが日産化学の大きな強みと感じている」。

 日産化学が育んできた企業文化とは、真面目で、清潔で、そして常に人が主役の文化だという。学閥などの派閥も一切ない。また、組織の規模が大きくないため、横の連携も自然にできるという。「研究開発でも、隣の部隊に聞こうと思えばすぐ聞ける。縦割り感が薄く、横のつながりが強い。そういう見えない力が非常に大きく働いてきている」。

富山21プロジェクト

 人が主役の日産化学で、早くから主役を張った藤本氏だが、後進達の人心を動かす術に長けた経営者だった。数あるエピソードから富山工場の再生計画を紹介する。

 昭和3年創業の富山工場は、肥料やメラミンなどの化学品の主力工場として長らく日産化学の屋台骨を支えてきた。しかし、石油化学への参入を境に、大半の経営資源を石化事業に取られ「ほったらかしにされた結果、徐々に力を失っていった」。

 1996年、化学品の担当常務だった藤本氏は富山工場に100億円超を投じ、?億円の利益を創出する再生計画をブチ上げた。富山工場のモノづくりの力を信じていたからだ。「事業部が主体で工場を巻き込んだ一大プロジェクトだった」。「工場の技術者を中心に徹夜で議論するなど燃えていたが、現場は会社の本気度を探るように今一つ燃えていなかった。それで私が決断したのは、最後に作ろうと思っていた化学品統合倉庫を最初に建てることだった。約?億円を投じたピカピカの倉庫が工場の高台に聳え立つのを見て現場の目の色が変わった。会社は本気なんだなと。それで一気に加速した」。工場、事業部の必死の努力の甲斐あって、計画以上の成果を上げ工場の姿は一新した。

総合力の時代

 平成元年中計を境に、『価値創造型企業』を旗印に「無我夢中」で駆け抜けた日産化学と藤本氏。高収益企業、高株価企業として揺るぎない地位を獲得した日産化学について、「これまでは二重丸。木下社長の良きリーダーシップのもとに役員、従業員全員の努力の結晶」と頼もしい後輩たちにエールを贈る。今後のさらなる発展向け、必要なのは「やはり技術動向の先端、先行きを見分ける目だと感じている。そういう人を何人、揃えられるか。組織文化、企業文化について指摘したが、言ってみれば人間集団、従業員集団の総合力が問われる時代といえる」。その眼差しはまた一人、次代を切り拓くリーダーを日産化学が生み出していくことを信じている。

1796荷主研究者:2017/01/03(火) 22:43:48

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00411728?isReadConfirmed=true
2016/12/27 05:00 日刊工業新聞
住友化、JOLEDに有機EL材供給 コストに優れる高分子型

 住友化学は、JOLED(東京都千代田区)が2017年春にもサンプル出荷する中型有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)ディスプレー向けに発光材料を供給する。低コスト製法に適した高分子型材料を供給し、液晶から有機ELへのシフトを狙う。高分子型材料が商業ベースで採用されるのは世界初とみられる。テレビ向けも開拓し、20年度にディスプレー部材の売上高に占める有機ELの比率を、16年度見込みの約20%から45%に引き上げる計画。

 高分子型材料はインク状にして塗布できる。スマートフォンなどのディスプレーに使われる現行の低分子型材料に比べて、装置が単純でコストを抑えられる。

 このためテレビのような大型パネル生産に向く。すでにJOLEDとは別に韓国大手が試作するテレビ向けにも同材料を提供している。試作は16年度内にも完了し、採用の可否が決まる見通し。

 JOLEDはパナソニックとソニーの有機ELパネル事業を統合して設立された。住友化学とパナソニックが長年テレビ向けで共同開発してきた経緯から、JOLEDがサンプル出荷する20型前後の医療用モニターで採用が決まったもよう。

 供給する発光材料は、大阪工場(大阪市此花区)で生産する。すでに約50億円を投じて製造設備を導入した。

 住友化学のディスプレー部材事業全体の売上高は4000億円程度。事業拡大には材料の使用量がより多いテレビ向けでの採用がカギとなる。

 有機ELパネルはスマートフォンや一部のテレビで実用化されている。ただ、液晶パネルからの置き換えを狙うには、現行の低分子型にはコスト競争力などに課題があり、高分子型の実用化が期待されている。

(2016/12/27 05:00)

1797荷主研究者:2017/01/03(火) 22:46:22

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00411867?isReadConfirmed=true
2016/12/28 05:00 日刊工業新聞
三菱化学・石塚社長の“最後の戦略” 石化部門改革と成長路線

石油化学部門の構造改革がようやく一段落した三菱化学。2016年に“最後の大物”だった高純度テレフタル酸事業にけりをつけ、成長路線へかじを切る。石塚博昭社長に今後の成長戦略を聞いた。

―インドと中国のテレフタル酸事業の売却がまとまりました。
「急に決めたわけではなく、数年前から売却先を探していた。ただ、最初は価値がつかなくて困ったが、会社を清算して逃げて帰るのも能がない。合理化してコストを下げたら、ようやく買い手が現れて数年越しのラブコールが実った。しかも対価をいただける」

―今年は同じく苦労していた中国のリチウムイオン二次電池用電解液事業でも宇部興産との提携を決めました。
「電気自動車(EV)は伸びるが、電池メーカーの競争は激しく部材も激戦で特に中国が大激戦区だ。電解液では宇部さんと競っていた部分もあったが、提携することにした。2社は技術的にもマーケティング的にも重複が少なく、1+1が3になりうる。かなりの効果が期待できる」

―17年以降の石化部門の成長戦略は。
「ポリオレフィンの生産最適化が終わっていない。ポリプロピレンはスラリー法より、気相法への製法転換で変動費にかなりメリットが出る。気相法への転換をぜひともやりたい。もう一つは、今までナフサクラッカーの集約と事業撤退に躍起になっていたが、利用していない留分があった。有効な留分の中には誘導品の原料になるものもある。現在はプロジェクトを立ち上げて、未活用留分を活用して誘導品を含めたチェーン構築を進めている」

―電気や水蒸気などユーティリティーの地域連携も有望です。
「ユーティリティーコストは年間数百億円かかる。事業所によっては構造改革したが、自家発電設備のサイズが相対的に肥大化したまま残っている。それをどう有効活用するかが課題だ。この数年間ですでに約100億円のユーティリティーコストを削減している。テレフタル酸事業の赤字を補って利益を出し続けられたのは、こういう努力のおかげだ」

【記者の目/統合新社の行く末見守る】
最後の三菱化学社長として石化部門の止血をやり遂げた功績は大きい。おかげで“健康体”となって17年4月の化学系3社統合を迎えられる。「3社の文化は微妙に違うので大変だろう」と心配しながらも、「賢い人たちが多いから乗り越えていける」と信じる。これからは統合新社の行く末を温かく見守っていくに違いない。(鈴木岳志)

(2016/12/28 05:00)

1801荷主研究者:2017/01/22(日) 17:59:13

http://www.sankei.com/west/news/170115/wst1701150016-n1.html
2017.1.15 07:00 Fuji Sankei Business i.
田辺三菱、米に本格進出 M&Aに2000億円 年内にも米企業買収方針

 田辺三菱製薬が平成29年中にも、約2千億円を投じて米国企業を買収し、米市場へ本格進出する方針を固めたことが14日、分かった。自社製品の米国販売に取り組むとともに、大型M&A(企業の合併・買収)で一気に足場を築き、32年に米国での売上高8百億円を目指す。大手新薬メーカーでは武田薬品工業も約6200億円で米製薬会社を買収すると発表するなど、国際展開が加速している。

 田辺三菱の三津家正之社長は産経新聞の取材に対し、米国を「成長市場」と位置づけ、買収する企業について「田辺三菱の化合物や、希少疾病への取り組みに相乗効果が見込めるような企業を検討している」と話した。

 田辺三菱は現在、難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の進行を遅らせる薬「エダラボン」の米国販売に向け、米食品医薬品局(FDA)に承認申請中で、年内の発売を目指している。この製品を足がかりに、買収企業による事業との相乗効果で米市場への浸透を図る考えだ。

 一方、武田薬品工業は今月9日、がん治療薬を開発販売する米アリアド・ファーマシューティカルズを約54億ドル(約6200億円)で買収すると発表。今後も有望な製品を持つ企業の買収を検討する方針だ。

 大日本住友製薬も昨年、カナダと米の医薬品開発ベンチャー2社の買収を相次いで発表した。新技術や新薬候補を企業ごと買収する戦略をとっている。

 新薬メーカーが海外展開を競う背景には、国内で医療費削減の要請が高まり、ジェネリック医薬品(後発薬)の普及や薬価引き下げ議論が進んでいるため、事業拡大が見通せない事情がある。膨大なコストと時間のかかる新薬開発では、自社だけでは後れをとる恐れがあるため、国内外の企業・研究機関との協業やM&Aによる開発方法の多様化に取り組んでおり、今後もその動きは加速しそうだ。

1802とはずがたり:2017/01/25(水) 20:25:16
半年前の記事

【医薬品業界の4〜6月期決算】4月の薬価改定で国内は苦戦。海外は円高がデメリットにもメリットにもなる
http://economic.jp/?p=64743
2016年08月09日 20:19

 8月3日、医薬品大手7社の2016年4〜6月期(第1四半期)決算が出揃った。

 業績はまちまちで、武田は減収・3ケタ増益、アステラスは減収・2ケタ増益、第一三共は増収・2ケタ最終減益、田辺三菱は増収・2ケタ増益、大日本住友は増収・大幅増益、エーザイは減収・3ケタ増益、塩野義は2ケタ増収増益だった。

 共通しているのは、今年4月の薬価改定で特許切れ医薬品(長期収載品)の薬価が切り下げられた国内市場での苦戦で、武田がイスラエルのテバとの合弁会社に特許切れ医薬品事業を移管したり、塩野義が特許切れ医薬品21品目の共和薬品工業への売却を決めるなど、その対策が講じられている。

 為替の円高の影響については、他の輸出型業種と同様に海外であげた売上や利益が円ベースの業績数字で目減りする影響が出ているが、製薬大手は海外にも研究開発拠点があり海外でも治験を行っているので、海外でコストを支払う研究開発費や販売管理費が円高で安くなるというメリットも出ている。

 ■最終利益は2ケタ減益から3ケタ増益まで、まちまち

 4〜6月期の実績は、武田薬品<4502>は売上収益は2.8%減、営業利益は208.6%増(約3倍)、税引前利益は207.2%増(約3倍)、四半期利益は294.6%増(約3.9倍)、最終四半期利益は304.9%増(約4倍)の減収、3ケタの大幅増益。最終利益の2017年3月期の通期業績見通しに対する進捗率は113.0%で、1四半期終了時点で年間見通しを上回った。主力薬の潰瘍性大腸炎・クローン病治療薬「エンティビオ」が好調。後発薬の世界最大手、イスラエルのテバとの合弁会社の武田テバに特許切れ医薬品事業を移管したため、その事業譲渡益で利益項目が大幅増益になったものの、売上は減った。為替の円高で海外売上も円ベースで目減りしている。

 アステラス製薬<4503>は売上高1.7%減、営業利益50.0%増、税引前四半期利益37.7%増、四半期純利益49.3%増、最終四半期純利益49.3%増の減収、2ケタ増益。最終利益の2017年3月期の通期業績見通しに対する進捗率は33.8%。採算性が良い前立腺がん治療薬「イクスタンジ」が約9%増で、過活動ぼうこう治療薬「ベシケア」も販売好調。国内の薬価改定と円高の影響で減収になったが、為替の悪影響がなければ約6%の増収だったという。一方、利益ベースでは外貨建ての研究開発費、販売管理費が目減りしたため、円高によるメリットが出ている。

 第一三共<4568>は売上収益1.1%増、営業利益3.8%減、税引前利益0.0%の微増、四半期利益11.7%減、最終四半期利益12.4%減の増収、最終2ケタ減益。最終利益の2017年3月期の通期業績見通しに対する進捗率は47.0%。国内は薬価改定がありながらも主力薬の糖尿病治療薬「テネリア」、抗凝固剤「リクシアナ」が伸びて9%の増収。抗凝固剤「エドキサバン」、貧血治療薬「インジェクタファー」の販売が伸びた北米市場は、現地通貨ベースの売上が前年同期比で約1%増だったが、円高で目減りし円ベースの売上は約10%減。全体の営業利益も為替要因で約54億円押し下げられて減益だった。試験研究費控除の減少に伴い税負担が増加したことによるコスト増、前年同期に工場売却益を計上した反動も影響している。

 田辺三菱製薬<4508>は売上収益6.9%増、営業利益15.9%増、税引前四半期利益18.9%増、四半期利益18.3%増、最終四半期利益18.4%増の増収、2ケタ増益。最終利益の2017年3月期の通期業績見通しに対する進捗率は38.4%。国内の医療用医薬品は想定通りに薬価改定の影響が出たが、糖尿病治療薬「カナグル」「テネリア」、関節リウマチ治療薬「シンポニー」が好調で、水痘(水ぼうそう)ワクチンも伸びて6%の増収。利益面では、前期に実施した早期退職制度のリストラ効果が出て人件費が縮小し、研究開発費も減少。海外の製薬会社に権利を譲渡した多発性硬化症治療薬「ジレニア」、糖尿病治療薬「インヴォカナ」のロイヤルティー収入の増加も寄与して2ケタ増益になった。

 大日本住友製薬<4506>は売上高5.5%増、営業利益227.7%増(約3.2倍)、経常利益168.4%増(約2.6倍)、四半期純利益40.8%増で、増収、大幅増益。最終利益の2017年3月期の通期業績見通しに対する進捗率は33.4%。採算性が良い自社開発品の抗精神病薬「ラツーダ」が北米で、抗菌薬「メロペン」が中国で売上を伸ばした。4月の薬価改定で特許切れの医薬品を中心に国内売上は減収になったが、高血圧治療薬の「アイミクス」が健闘している。利益面では広告宣伝費が前期比で減少したこと、海外での販売管理費が円高の影響で減少したことなどが寄与し営業利益、経常利益は3ケタ増だった。

1803とはずがたり:2017/01/25(水) 20:25:54

 エーザイ<4523>は売上収益1.7%減、営業利益239.1%増(約3.3倍)、税引前利益246.8%増(約3.4倍)、四半期利益278.9%増(約3.7倍)、最終四半期利益262.5%増(約3.6倍)で、減収ながら3ケタ増益。最終利益の2017年3月期の通期業績見通しに対する進捗率は67.5%と高い。抗てんかん剤「フィコンパ」、抗がん剤「レンビマ」の販売は好調だったが、国内では4月の薬価改定が売上に影響した。円高で円建ての海外売上高も目減りして減収。大幅増益の要因は、味の素傘下の製薬子会社と統合して「負ののれん代」を利益として計上した一時的なもの。

 塩野義製薬<4507>は売上高14.6%増、営業利益43.9%増、経常利益14.3%増、四半期純利益29.8%増の2ケタ増収増益と好調な決算。最終利益の2017年3月期の通期業績見通しに対する進捗率は17.6%。主力の戦略3品目、抗うつ剤「サインバルタ」、高脂血症治療薬「クレストール」、高血圧治療薬「イルベタン」の販売は国内でも好調。出資先の英国のヴィーブヘルスケアに製造・販売ライセンスを供与している抗HIV(エイズウイルス)薬「テビケイ」「トリーメク」のロイヤルティー収入は前年同期比61%増で、19%増だった研究開発費のコスト増をカバーして2ケタ増益に寄与している。

 ■第1四半期の進捗率が良くても悪くても通期業績に修正なし

 2017年3月期の通期業績見通しは、武田薬品は売上収益は4.8%減、営業利益は3.2%増、税引前利益は9.9%増、最終当期利益は9.8%増。第1四半期の利益項目が全て通期見通しを上回っても上方修正しなかった。予想年間配当180円も修正なし。毎期、1〜3月期に開発中の新薬の減損損失を計上しており、それに加え研究開発拠点の統廃合に伴う費用として最大約250億円を計上するため、通期では利益が大きく減る見込み。

 がん、消化器系、神経系の3分野の競争力強化を目的に研究開発体制を見直し、研究拠点はがん、消化器系はアメリカのボストンに、中枢神経系は日本の湘南研究所に集約する。英国ケンブリッジ、中国、ブラジルの研究機能は大幅に縮小するが人員リストラは原則行わない方針。この統廃合で2017年3月期は約250億円、2018年3月期は約500億円の費用が発生するが、コスト削減効果も年間180億円程度出ると説明している。

 アステラス製薬は売上高1.7%減、営業利益7.2%増、税引前利益2.4%増、当期純利益1.7%増、最終当期純利益1.7%増の減収増益で修正なし。予想年間配当も前期から2円増配の34円で修正していない。「イクスタンジ」「ベタニス」などの海外販売は好調が続く見通し。8月に旧・山之内製薬が設立して泌尿器系疾患薬を製造していたアメリカ・オクラホマ州の生産子会社を、医薬品受託製造会社アバラ・ノーマン・ファーマシューティカル・サービシズに売却すると発表した。人員リストラは行わないが、7〜9月期に減損損失が約90億円発生する見通し。

 第一三共は売上収益6.7%減、営業利益23.3%減、税引前利益18.3%減、最終当期利益21.0%減の減収、2ケタ減益で修正なし。予想年間配当は前期と同じ70円でこれも修正なし。北米市場では主力薬だった高コレステロール血症治療薬「ウェルコール」の特許が切れた影響が出てくる。「エドキサバン」「インジェクタファー」がそれに代わる収益の柱になれるかどうかがカギ。

 田辺三菱製薬は第1四半期が増収、2ケタ増益だったが、売上収益4.5%減、営業利益7.7%減、税引前利益7.5%減、当期利益5.0%減、最終当期利益3.9%減の減収減益の通期業績見通しも、前期から2円増配して48円の予想年間配当も修正しなかった。薬価改定による特許切れ医薬品の売上減が約180億円あると見込んでいる。新薬の臨床試験などで研究開発費が通期で50億円程度増える見通し。海外に供与している多発性硬化症治療薬「ジレニア」、糖尿病治療薬「インヴォカナ」のロイヤルティー収入が想定外に伸びれば、業績見通しの上方修正もありうる。

1804とはずがたり:2017/01/25(水) 20:26:04
>>1802-1804
 大日本住友製薬は売上高1.7%増、営業利益8.3%増、経常利益13.6%増、当期純利益1.2%増の増収増益で修正なし。前期と同額の予想年間配当18円も修正していない。主力薬の「ラツーダ」「メロペン」「アイミクス」が業績を支える見通し。iPS細胞を使ったパーキンソン病治療薬に続いて、2018年からがん細胞を狙い撃ちする新型バイオ医薬品「核酸医薬品」の開発にも乗り出す。

 エーザイは売上収益5.9%増、営業利益3.4%増、税引前利益3.4%増、当期利益41.1%減の増収、最終減益の通期業績見通しも、前年と同じ150円の予想年間配当も修正していない。第1四半期の進捗率は最終利益ベースで67.5%と高水準だが、柳良平COOは業績の上方修正について「為替動向をもう少し見きわめたい」と述べている。

 塩野義製薬は売上高2.6%増、営業利益0.1%増、経常利益0.6%増、当期純利益6.5%増。前期比6円増配の予想年間配当68円ともども修正しなかった。8月、睡眠誘導剤、抗うつ剤など特許切れ医薬品21品目を、インドの後発薬大手ルピン傘下の共和薬品工業(大阪市)に154億円で売却すると正式に発表した。12月に移管する。特許切れ医薬品を切り離して新薬開発に経営資源を集中させる。その業績への効果も売却益も今期の連結業績には織り込み済みという。(編集担当:寺尾淳)

1807荷主研究者:2017/02/01(水) 23:50:51

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00413788?isReadConfirmed=true
2017/1/18 05:00 日刊工業新聞
三菱化学、石化ライセンス事業加速 新興国に売り込み、25年度収入倍増へ

三菱化学の鹿島事業所

 三菱ケミカルホールディングス傘下の三菱化学は石油化学品の製造技術ライセンス事業を加速する。自社では非中核だが利用価値のある独自開発技術の提案力を磨いて、新興国の化学メーカー中心に売り込む。2025年度にライセンス収入で現状比2倍の年間約60億円を目指す。

 三菱化学の技術ライセンス事業は化学プラントの基本設計から作業員向けの教本などを提供して、完成したプラントの生産開始まで面倒を見る。稼働後のサポート契約を結ぶ場合もある。1件当たり数十億円の収入になると見られる。世界の化学大手で同事業への参入は珍しい。

 供与技術はエチレンとプロピレン、ブタン・ブチレン留分、芳香族の誘導品のほか、触媒もそろえる。今はアクリル酸やポリプロピレンの製造技術の引き合いが強い。顧客はインドやロシア、イランなどだが、製品や国の傾向は数年で移り変わるという。ただ、海外では各誘導品で年間2プラント程度の新設がある。

 同社の強みは製造技術の幅広いラインアップに加えて、鹿島事業所などの自社プラントで技術改良を図れる点だ。顧客の要望に応じて原料使用量や消費電力量などを柔軟に変えた設計を実証しながら行える。

 同社は11年に専門組織「ナレッジビジネス推進室」を立ち上げて、技術ライセンス事業を積極的に進めてきた。11―15年度で合計約150億円の収入を得た。未利用の技術を基にキャッシュを生み出し、それを新たな研究開発費用に充てる好循環を構築したい考え。

 石化部門は10年以降で約4500億円分の事業撤退・縮小を実行してきた。構造改革は一段落して、今後は成長戦略へかじを切る。保有技術の有効活用により成長資金の捻出は重要施策の一つだ。

(2017/1/18 05:00)

1808荷主研究者:2017/02/01(水) 23:53:34
ふむふむ…
>2代目以来64年ぶりの生え抜き社長
>12年、13年と最終赤字
>中計目標の売上高500億円達成

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2017/01/19-27767.html
2017年01月19日 化学工業日報
【新社長登場】保土谷化学工業 松本 祐人 氏 「目標に向け軸ぶらさず」

 ▽久しぶりの生え抜きです。
 「発表の2週間前に打診があり、正直驚いた。当社は昨年11月に創立100周年を迎え、喜多野会長(前社長)はこれを契機に交代を考えていたそうだ。その場で決断を求められた。当社は長らく銀行出身社長が続き、私は2代目以来64年ぶりの生え抜き社長となる。その点でも社内外から注目されていると意識している。ただ、目の前のことを考えて、2020年度までの6カ年中期経営計画『HONKI2020』を着実に遂行し、達成させる」

 ▽中計に沿って、どう舵取りしていきますか。
 「売上高の推移は計画に比べて少し遅れている。基盤事業であるトナー向け電荷制御剤(CCA)など市場自体が成熟しているほか、有機EL(エレクトロルミネッセンス)材料は市場の立ち上がりが予想より遅れていることなどが要因だ。ただ、今年度上期は原油安に加えてコストダウンが奏功し損益面は改善した。通期も同じような状況でいく見通しだ。中計の目標数字に向かって軸をぶらさず取り組んでいきたい。ただ、ここが最終目標ではなく通過点の一つだと社内で言っている。12年、13年と最終赤字を計上した厳しい時期があったことを忘れてはいけない。上場企業として一定規模は必要であり、まずは中計目標の売上高500億円達成を目指していく」

 ▽有機EL材料に重点投資しています。
 「スマートフォン、モバイル向けの有機ELは確実に広がると思う。当社の輸送材料と韓国子会社SFCの発光材料を組み合わせたトータル提案を進めている。中国企業も有機EL関連の設備投資を活発化しているので攻めていきたい。また、育成事業に位置づけているカラーフィルター用染料は、色再現性に優れる点から顔料系の代替が見込まれる。スマホやモバイルは有機EL用、大画面は有機EL用とカラーフィルター用の材料で市場拡大に対応する」

 ▽その他の新たな取り組みについて。
 「新製品創出に関しては『新規テーマ探索プロジェクト』を通じて、?年度以降に成果が摘み取れる事業の探索を着々と進めている。また、過酸化水素誘導品で成長事業に位置づける過酢酸が食品添加物として認められたため、これから一気に伸ばしたい。基盤事業のアグロサイエンスは非農耕地向け除草剤に強みを持つ。ジェネリック農薬世界大手であるUPLと提携する強みを生かすことで、この分野で要求の強い低コスト化などに対応できるとみている。いずれは農耕地向けの展開も考えられる」

 ▽保土谷化学の将来像をどう考えますか。
 「当社は昨年、100年企業の仲間入りを果たした。カ性ソーダの製造から始まり約10年後には染料を生産するなど技術の変遷がある。保有技術の応用展開を進めてきた一方で、選択と集中によりスペシャリティ中心となった。今後も時代や顧客のニーズにマッチすることが重要だ。当社は間口が広く、一本足打法ではない。選択と集中も走りながら考えていく。現中計におけるM&A投資枠は残っているので、国内外を含めて考えていきたい」

 (聞き手=児玉和弘)

 【略歴】〔松本祐人氏=まつもと・ゆうと〕83年(昭和58年)東北大学工学部応用化学科卒、同年保土谷化学工業入社。04年Hodogaya Chemical(U.S.A.)社長、10年電子・色素材料事業部長、12年イメージング材料事業部長、13年事業推進部長、14年執行役員、15年取締役兼常務執行役員、16年11月社長。福島県出身、56歳。
 【横顔】喜多野会長は「粘り強い長距離ランナー」と評するが、自身は「周りをよく見ながらアクセルとブレーキを踏み分けていく」ことを念頭に置く。「なるべく目線を先に向ける」姿勢で保土谷化学の将来を見据えながら、まずは2020年の現中計のゴールへひた走る。落語が好きで、今はもっぱらインターネットで聞くことが多い。

1809とはずがたり:2017/02/08(水) 01:20:28
>>1526>>1622

<東洋ゴム>過去に3度の不正 染みついた体質から脱せず
http://www.excite.co.jp/News/society_g/20170207/Mainichi_20170208k0000m040166000c.html
毎日新聞社 2017年2月7日 21時42分 (2017年2月7日 23時30分 更新)

 東洋ゴム工業は7日、産業用ゴム製品の検査でデータ偽装があったと発表した。同社は免震ゴムや防振ゴムでもデータを偽装するなど過去に3度の不正を起こし、その度に信頼回復と再発防止を誓ってきた。しかし、染みついた不祥事体質から脱しきれず、企業風土改革の難しさが浮き彫りになった。

 「非常に忸怩(じくじ)たる思いだ。仕組み、ルール作りで足りないものがある。全社員に浸透するのが非常に難しいと痛感している」。東洋ゴムが大阪市内で開いた記者会見で、小野浩一取締役常務執行役員らは反省の弁を繰り返した。同社は2007年から15年にかけて断熱パネルの性能偽装、性能不足の免震ゴムの使用、防振ゴムのデータ改ざんと相次いで不正が判明。2人の社長が引責辞任している。15年12月には一連の不正を総括し、外部監査機関の指導を仰いで再発防止に向けてガバナンス(企業統治)の強化に取り組んでいる最中だった。

 しかも、過去3回とも子会社の明石工場(兵庫県稲美町)で起きた。東洋ゴムによると、免震ゴムの不正発覚を受け、同工場のシートリングの工程に対する不正について複数回検査していたが、気付かなかった。この工場は製造する商品が多いため、業務管理の新たなシステムを導入したばかりだったという。

 データを偽装した30代の男性社員は不正の理由について「忙しくてやってしまった。面倒くさかった」と話しているという。シートリングの検査は通常男性1人で担当しており、必要に応じて要員を補充していた。小野常務は「品質管理システムが完全に浸透していなかった」と釈明。今後は常時2人以上の体制にするという。

 会見では「なぜ不祥事が連続するのか」と厳しい質問が相次いだ。小野常務は「いろいろな取り組みでかなりレベルは上がっている実感はある。コンプライアンス(法令順守)の教育を続けて社員一人残らず高い意識を持った会社作りに取り組む」と述べるにとどまった。

 免震ゴムのデータ改ざんでは、大阪府警が不正競争防止法違反(虚偽表示)の疑いで捜査しているほか、株主代表訴訟も起こされている。今回のシートリングの年間売上高は数億円に過ぎず、同社の業績への直接的な影響は少ないが、今度こそ抜本的な再発防止に取り組まなければ、ブランドイメージの低下は進むばかりだ。【土屋渓、宇都宮裕一】

1813荷主研究者:2017/02/12(日) 11:53:02

http://www.sankei.com/premium/news/170128/prm1701280020-n1.html
2017.1.28 14:00 産経新聞
【スゴ技ニッポン】「日の丸冷媒」世界に売り込む!旭硝子「脱・代替フロン」競争に独自開発で参入

カーエアコン用の次世代冷媒「HFO-1234yf」を製造する旭硝子の千葉工場(千葉県市原市)

 冷蔵庫やエアコンに使われる冷媒ガスで、主流の代替フロンに代わる次世代品の開発競争が激しくなっている。現状では欧米メーカーが先行しているが、そこに独自の冷媒で参入しようとしているのが、国内最大手の旭硝子だ。世界的な規制強化で「脱・代替フロン」の動きが加速するとみられるなか、「日本代表」として巻き返しを図る構えだ。 

 「開発した冷媒が業界標準を獲得できれば反転攻勢できる」

 旭硝子化学品カンパニーの井上次郎ガス事業グループリーダーは、開発中の次世代冷媒に期待を託す。

 同社は、2014年に次世代冷媒ブランド「AMOLEA(アモレア)」を立ち上げた。昨年2月には、工場やデータセンターに置くターボ式冷凍機向けに「AMOLEAyd」を加えた。 

 「yd」は、同じ用途に使われている従来品「HFC-245fa」と同等の冷媒性能を確保している。一方で、温暖化への影響度合いを示す地球温暖化係数は、1000分の1以下に抑えた。従来設備にも大がかりな改修なしに使用できるため、投資も抑えられる。

 開発は終えており、今月に入り米国の冷凍学会に認証を申請。早ければ6月に正式な冷媒として認められ、年内にも生産に乗り出す方針だ。同社では、ターボ式冷凍機以外に、バイナリー発電機や排熱回収ヒートポンプでの使用も想定している。

 同社は、ほかにもカーエアコン用に「HFO-1234yf」の製造特許を保有。千葉工場(千葉県市原市)で製造し、米冷媒大手のハネウェルに供給している。こちらも従来品の「HFC-134a」に匹敵する冷媒性能を確保しながら、地球温暖化係数は1300分の1にすぎない。また、家庭用の空調に使う冷媒の開発も進めている。 

 井上リーダーは「(新冷媒に使われる)フッ素を製造してきたので、技術的な蓄積がある」と優位点を強調する。

 代替フロンは、オゾン層を破壊するとして使用が禁じられることになった特定フロンに代わり、1990年代から使われ始めた。しかし、代替フロンはオゾン層は破壊しないものの、温暖化の効果が二酸化炭素(CO2)の数百〜1万倍に達する。

 このため、フロンを国際的に規制するモントリオール議定書は、昨年10月にアフリカ・ルワンダで行った改正会議で、代表的な代替フロンであるハイドロフルオロカーボン(HFC)の生産量を19年から段階的に削減することを決定。日本を含む先進国は、2036年までに11〜13年比で85%減らすことになった。

 こうした動きに呼応して、冷蔵庫やエアコンを使用する企業は脱・代替フロンの取り組みを加速。コンビニ大手のローソンは、冷蔵庫で代替フロンを使っていない店舗を17年度までに2700店へ倍増させる計画だ。

 冷媒の開発は難しい。冷媒性能の確保や地球温暖化係数の引き下げ以外にも安全性などさまざまな性能が求められ、どれか1つ欠けても顧客ニーズは満たせない。

 一方、海外ではハネウェルや、米デュポンから事業分離した米ケマーズも開発に力を入れている。井上ガス事業グループリーダーは「日の丸冷媒として海外にも普及させ、ガラパゴスにならないようにしたい」と力を込める。(経済本部 井田通人)

1814とはずがたり:2017/02/15(水) 10:31:30
普通のガムと風船ガムの違いは何ですか?
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/study/2246/1058022702/1760

チューイングガムや木工用ボンドに使用されている酢酸ビニル樹脂とは
http://blog.livedoor.jp/cyclochem03/archives/913341.html

チューイングガムについてウェブ検索をしていると、『チューイングガムの主成分は石油から出来ている!』と、あたかも石油を口の中に入れていて、危険なものを食しているような表現をしているサイトが目につきます。チューイングガムの主成分は、酢酸ビニル樹脂ですが、石油ではありません。では、それは一体どのようなものなのかということについて、中央大学理工学部で15年間に渡って『工業有機化学』を講義し、現在は、神戸女子大学健康福祉学部で『女性と健康』の講義をしている私の立場から、この『まめ知識』を通じて出来るだけ分かり易く説明し、私の見解を述べ、皆様の持っている安全性に対する不安感を何とか払拭したいと思います。

先ず、酢酸ビニルはどのようにして作られているか、から説明します。(この下の数行は、難しいと思われる方は、それほど重要ではないので軽く読み飛ばして下さい。)

確かに、酢酸ビニルは石油が原料になっています。石油を精製すると、ガス、ナフサ、灯油、軽油、重質油などに分けられます。そのナフサを、さらに分解(熱分解や接触分解という)させて精製するとエチレンというものが得られます。このエチレンと酢酸を、酸化的に反応させて得られるのが酢酸ビニルというモノマー(単量体)です。その酢酸ビニルを幾つもつなぎ合わせると、酢酸ビニル樹脂(ポリマー)になるのです。よって、石油を出発原料としていますが、私たちが病気になった時に頼る多くの医薬品と同様に、幾つもの反応を経て作られた物質なのです。

酢酸ビニル樹脂の食品添加物としての安全性は、様々な試験でハッキリと確かめられています。一方で、その原料の酢酸ビニルモノマーは反応性に富んでいるため、皮膚や粘膜、目に刺激を与え、発癌性もあります。そこで、酢酸ビニルモノマーが含まれているかどうかについては、食品衛生法の大変厳しい規格があり、規格基準にあったもののみが食品添加物としてチューイングガムに使用されているのです。

酢酸ビニル樹脂は高分子であり、胃腸の消化管内の消化酵素によって分解されませんので生体内に吸収されることはありません。たとえ、分解されたとしても炭素と酸素と水素で構成された有機化合物であり、生体内では二酸化炭素と水に変換されることとなり、危険性はないと考えられます。実際、酢酸ビニル樹脂が主成分のガムは、過去100年噛まれてきましたが、その安全性に問題のあるようなトラブル事例は起こっておりません。

一方で、チューイングガムを噛むことによって、歯や歯ぐき、あごの骨を強くし、歯に付いた食べカスなどの汚れを除去し、唾液を分泌させて口腔内の抗菌力を高め、脳内血流をスムーズにして脳内改善するなど、健康へのさまざまな効能効果が知られているのです。

皆さんは、チューイングガムをチョコレートと一緒に食べて、チューイングガムが溶けてしまったという経験はありませんか?チューイングガムは、チョコレートだけでなくクッキーやスナック菓子など油の多い菓子類と一緒に食べても溶けてしまうのです。

その理由は、チューイングガムの主成分の酢酸ビニル樹脂が親油性(脂溶性)で油に溶ける性質を持っているからなのです。チューイングガムは、ガムベースに香料や甘味料を加えて作られていますが、そのガムベースの主成分は、酢酸ビニル樹脂です。その樹脂を噛みやすく、柔軟性を付与するためにエステルガムが、弾力性を付与するためにポリイソブチレンなどが配合されてガムベースは作られています。

余談ですが、最近では、エステルガムやポリイソブチレンを必要としない、柔軟性や弾力性のあるラウリン酸ビニルと酢酸ビニルの共重合樹脂が開発され、この樹脂のみでガムベースの機能を持つことから、世界的には今後こちらが主流になる可能性も出てきています。

よって、チューイングガムをチョコレートなどの油脂を含有する菓子類と一緒に食べると酢酸ビニル樹脂が油に溶けるために、ガムが溶けた状態になるというわけです。

1815とはずがたり:2017/02/15(水) 10:31:47
>>1814-1815
逆に、水に不溶な性質を利用した酢酸ビニル樹脂の用途があります。木工用ボンドです。木工用ボンドは、酢酸ビニル樹脂と水で作られています。酢酸ビニル樹脂は、水に溶けないので、水の中では、微細な粒子を形成しています。(乳化、エマルジョンの状態といいます)この粒子に光が当たると、光はさまざまな方向に反射(乱反射といいます)します。この乱反射によって、物質は白く見えます。それが、牛乳の白さと同様に木工用ボンドが白い理由だったのです。

ここで、この二つの酢酸ビニル樹脂の用途、チューイングガムと木工用ボンド、別々の目的で使われているようにみえますが、実は、何れも水や温度が関与して軟化と硬化する性質をうまく利用していることに気付かれたでしょうか?

チューイングガムの場合、硬い状態で噛み始めると、いつの間にか柔らかくなります。これは、酢酸ビニル樹脂が30℃以上の温度と口腔内の水分・唾液で軟化する性質をうまく利用しています。一方で、木工用ボンドの場合は逆で、最初は水と水に溶けていない酢酸ビニル樹脂の微粒子で乳化(エマルジョン)した柔らかい状態なのですが、接着させる時には水分が蒸発して硬化するのです。

酢酸ビニル樹脂は、水に不溶な物質ですが、酢酸を外す(加水分解といいます)と水に溶けるようになります。その加水分解させたものをポリビニルアルコール(ポバールとか、PVAともいいます)といいます。PVAは、水に溶ける性質を高めるヒドロキシ基(水酸基)をたくさんもっている物質(ポリオール)であり、フィルム形成も可能ですので、PVAから水に溶けるフィルムを作ることもできます。

天然のシクロデキストリンは、ポリオールですので水に溶けます。では、水に不溶な物質に変えるにはどうしたらいいでしょうか?

その通りです。酢酸ビニル樹脂からポリビニルアルコールを作った反応(加水分解)と逆の反応(酢酸エステル化、アセチル化といいます)を行なえばいいのです。実際に、天然のシクロデキストリンのヒドロキシ基(水酸基)をすべてアセチル化させた水に不溶なトリアセチル化シクロデキストリンという物質が開発されています。

水に不溶な性質の酢酸ビニル樹脂とトリアセチル化シクロデキストリンの相性は抜群に良く、また、水溶性のポリビニルアルコールと天然のシクロデキストリンの相性もすばらしく合っています。よって、チューイングガムと木工用ボンドの用途に限らず、様々な分野において、これらを上手く組み合わせた研究開発が期待されています。

1816荷主研究者:2017/02/18(土) 22:40:17

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00416480?isReadConfirmed=true
2017/2/8 05:00 日刊工業新聞
三菱ガス化学、脱酸素剤の国内生産を再編 福島の新工場に集約

三菱ガス化学の脱酸素剤「エージレス」

 三菱ガス化学は食品の酸化などを防ぐ脱酸素剤の国内生産体制を再編する。従来は委託生産していたが、福島県の新工場の営業運転が始まる3月以降に自社生産へ順次切り替える。菓子などの個包装化を背景に、数量が大幅に伸びている。増産体制を敷くほか、研究開発拠点を併設する立地を生かして製品・技術開発を加速する狙いがある。醸造酒など新規用途の開発も進める。

 三菱ガス化学は福島県白河市に脱酸素剤「エージレス」の新工場を建設して試運転に入った。研究開発棟やフィルム工場を併設し、力を注いでいる「医食」分野の一大拠点になる計画だ。

 従来の生産体制はタイの主力工場と、関東地方での委託生産だった。生産能力は明らかにしていないが、福島の新工場が立ち上がれば、国内とタイの生産量は同等になる見込み。国内はより高機能品の生産に軸足を置く方針。

 脱酸素剤の用途は菓子や畜産加工品、餅などの食品向けが大半だが、他にも医薬品や電子部品、自動車部品、絵画などの保存にも使われる。製品ラインアップも、酸素吸収機能を備えた包装フィルムやボトルまでそろえている。

 近年は急増する訪日外国人観光客が菓子などの土産物を大量購入することで、脱酸素剤需要も一時的に拡大したこともあった。

 今後は醸造酒や栄養補助食品(サプリメント)などの用途開発とともに、海外展開が大きな課題となる。欧米で長期保存の主流となる缶詰からの置き換えを狙い、軽量化などのメリットを訴求したい考えだ。

(2017/2/8 05:00)

1818とはずがたり:2017/02/19(日) 21:02:30
規制緩和すれば劇的に薬価下げる事は出来るであろう。但しリスクは増えるがそれを判ってて云ってるのか甚だ疑問だ。薬害事件が起きても偽ニュースで押し通す心算か?

トランプ、製薬首脳に薬価下げ・国内増産要請 通貨安で日中批判
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/02/post-6856.php
2017年2月1日(水)08時10分

 トランプ米大統領は31日、大手製薬会社の首脳と会談し、国内生産を拡大させると同時に薬価を引き下げるよう要請した。また、日本や中国を名指しして通貨安を誘導していると指摘した。

 トランプ大統領と会談したのはノバルティス、メルク、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)、セルジーン、イーライ・リリー、アムジェンの最高経営責任者(CEO)のほか、製薬業界のロビー団体、米国研究製薬工業協会(PhRMA)の会長。

 トランプ大統領は、薬価は桁外れに高いとの認識を表明。「メディケア(高齢者向け公的医療保険)やメディケイド(低所得者向け公的医療保険)など、価格を引き下げる多くの理由があり、他に選択肢はない」とした。米国では、メディケアとメディケイドが医薬品の最大の買い手となっている。

 またトランプ大統領は、他国の通貨切り下げを受けて、製薬会社による生産の外部委託が加速したと指摘。他の国が「マネー、マネーサプライ、通貨切り下げによってわれわれ(米国)より有利な立場に立っている」と述べ、中国がやっていること、日本がやってきたことについて、通貨安を誘導していると指摘した。

「われわれは世界的なただ乗りを止めさせる」とし、他国も医薬品開発で応分の費用を負担すべきとの考えを示した。

 大統領は、新薬承認にかかる時間の短縮化も確約、米食品医薬品局(FDA)の新トップを早期に任命する考えを示した。

 同会合の一部はテレビ放映。それによると、アムジェンは年内に米国で1600人を追加的に雇用すると確約した。同社はその後、電子メールで現在は全世界で約2万人を雇用しており、このうち1万2000人が米国内での雇用となっていると説明。表明した1600人の追加雇用は新規採用のほか、削減分の補充も含むとした。

 セルジーン、イーライ・リリー、メルク、アムジェンは会合後、電子メールでトランプ大統領のイノベーションや税制改革などに焦点を絞る姿勢に勇気付けられたと表明。

 イーライ・リリーによると、「コストを押し上げ、イノベーションを鈍化させる時代遅れの規制」の撤廃のほか、効力のある通商協定などにも議論が及んだ。

 PhRMAは会合後に発表した声明で、こうした政策が実施されれば、向こう10年で最大35万人の新たな雇用が創出されるとの見方を示した。

 ノバルティスとJ&Jは会合後、特にコメントは発表していない。

[ワシントン 31日 ロイター]

1819とはずがたり:2017/02/25(土) 11:40:54

おむつ戦線、漏らさぬ利益 日本触媒新社長、工程見直し
http://www.asahi.com/articles/ASK2P4PT5K2PPLFA006.html?ref=goonews
伊沢友之2017年2月25日06時50分

 化学メーカーの日本触媒(大阪市)が主力品事業の立て直しに乗り出した。紙おむつで使う吸水素材だが、競合品が増えて利益が出しづらくなっている。製造原価を下げるための工程見直しを進めるという。

 4月1日付で社長に就く五嶋祐治朗常務が21日に会見し、「規模だけではなく、収益性を考えて取り組む。当面は7%以上の営業利益率を目指すが、あるべき姿は10%と考えている」などと語った。もともとは利益率が高かったが、現在は一般的な化学品と変わらない5%前後まで落ち込んでいるという。

 五嶋氏は、2020年度に全体の経常利益を500億円にするなどの長期目標を、就任後に引き下げる考えも明らかにした。

 昨年10月、社内にプロジェクトチームをつくり、改革に着手したという。古くて効率が悪い生産設備を改修し、新たなつくり方を開発するほか、顧客先への輸送方法を工夫するなどして、数年かけて製造原価を下げる考えだ。(伊沢友之)

1822とはずがたり:2017/02/27(月) 20:17:40
>>1809

東洋ゴム子会社に賠償命令=3億円、免震性能偽装―東京地裁
http://news.goo.ne.jp/article/jiji/nation/jiji-170227X284.html
15:56時事通信

 東洋ゴム工業(大阪市)の免震ゴム性能偽装事件で、問題のゴムを使ってマンションを建設した東京の不動産会社が、購入者への違約金支払いを余儀なくされたとして東洋ゴム側に損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁(市川多美子裁判長)は27日、製造した子会社に請求通り約3億円を支払うよう命じた。東洋ゴムについては、製造物責任法(PL法)に基づき責任を負う「製造業者」に当たらないと述べ、請求を退けた。

 判決によると、東北地方のマンションで、建物がほぼ完成した後に偽装が発覚。購入予定者から契約解除が相次ぎ、不動産会社は手付金計約1億円を返金した上で、約3億5000万円の違約金を支払った。

 東洋ゴム側は「不動産会社が手付金の倍額を支払って自ら契約を解除していれば、違約金は支払わずに済んだ」として損害額を争ったが、市川裁判長は「会社の社会的評価を大きく落としかねない行為だ」と指摘して認めなかった。

1823とはずがたり:2017/02/27(月) 20:18:24
東洋ゴム、8期ぶり赤字=免震不正響く、純損失122億円-16年12月期
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017021500979&g=eco

 東洋ゴム工業が15日発表した2016年12月期連結決算は、免震ゴム不正問題の対策費用計上を主因に、純損益が122億円の赤字(前期は16億円の黒字)となった。赤字転落は8期ぶり。免震ゴム不正の対象となった154棟の装置交換対策費として約668億円を特別損失に計上した。(2017/02/15-17:26)

1824とはずがたり:2017/03/07(火) 18:19:20
住友化、韓国で有機ELパネル部材を増産=18年1月稼働
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017030700573&g=eco

 住友化学は7日、有機EL(エレクトロルミネッセンス)パネルに使われるタッチセンサーフィルムの生産能力を現行の3倍に増強すると発表した。投資額は非公表。スマートフォン向けの需要増加に対応するもので、2018年1月に韓国で量産を始める。(2017/03/07-11:17)

1825荷主研究者:2017/03/12(日) 19:17:30

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00418726?isReadConfirmed=true
2017/2/27 05:00 日刊工業新聞
大陽日酸、金属ナノ粒子を4億円事業へ 20年度めどに接合材用途を提案

金属ナノ粒子を生産する山梨事業所(山梨県北杜市)

銅ナノ粒子

 大陽日酸は2020年度をめどに、酸素燃焼による独自の連続合成技術で仕上げる金属ナノ粒子を4億円規模の事業に育てる。18年度までに、パワー半導体の接合材用途などで銅ナノ粒子を事業化。シート状の試作品や、銅・銀ナノ粒子を使った複合ペーストの量産にもめどを付けた。山梨事業所(山梨県北杜市)も月産2―5トンに増強する。ニッケルなど他の金属ナノ粒子も提案し、事業拡大に弾みを付ける。

 大陽日酸は産業ガスの生産・供給技術を基に、14年に独自の合成方式を確立した。バーナーで液化天然ガス(LNG)などを酸素不足の環境で燃焼させ、還元雰囲気に制御した火炎を発生。そこに粉体の金属酸化物を投入し加熱・還元・蒸発・再凝縮させて、銅やニッケル、銀などの金属ナノ粒子を合成する。粒径は30ナノ―150ナノメートル(ナノは10億分の1)で、接合材や積層セラミックコンデンサーの電極に使われる。

 金属ナノ粒子の製造は、プラズマ方式による物理的蒸発法や化学気相成長(CVD)方式を用いた塩化物の水素還元法が普及している。だが、プラズマ方式は電力を大量消費するため規模拡大が難しい。CVD方式も塩素系ガスが発生するため、洗浄・乾燥させて塩素を取り除く工程が欠かせない課題があった。大陽日酸の製法はすべて乾式で電力消費量も少なく、生産コストを3、4割抑えられる。

 大陽日酸は第1段階として、パワー半導体の接合材向けに銅ナノ粒子を提案する。100ナノメートル程度と小さい粒径や、表層を2ナノ―5ナノメートルの亜酸化銅で被膜し、大気中でも扱いやすい点を強調。従来のハンダからの置き換えを促すほか、実用化段階ながら高コストな銀の焼結材に対する優位性を訴求する。山梨事業所にある銅ナノ粒子の専用ラインも増強を検討する。

 さらにプリンテッドエレクトロニクス技術を用いた微細配線向けに展開する。今月、従来の同社開発品より50度C低い120度Cで焼結・導電性を備える銅ナノ粒子を完成した。ニッケルナノ粒子の拡販も加速。一般的な同粒子に比べ約44%小さい100ナノメートルの粒径を前面に押し出し、主に積層セラミックコンデンサーの内部電極向けに提案する。

(2017/2/27 05:00)

1828荷主研究者:2017/03/19(日) 11:29:22

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00419262?isReadConfirmed=true
2017/3/2 05:00 日刊工業新聞
深層断面/エチレン設備稼働率100%超 一層の生産再編急務

 国内エチレンプラントは歴史的な高稼働が続いている。1月の平均稼働率が100.1%と8年11カ月ぶりに100%台を記録した。包装材などの内需が堅調なほか、円安基調などで輸入品の流入も限定的。エチレン以外の石油化学事業も好調で総合化学各社の業績を大きく上振れさせている。一方、老朽設備のフル稼働はリスクをはらむ。IoT(モノのインターネット)など先端技術を活用して工場の基盤を強化する動きが広がりそうだ。(鈴木岳志)

高水準の稼働が続く三菱化学鹿島事業所のエチレンプラント

■供給サイドの改革が奏功
【フル稼働状態】
 石油化学工業協会がまとめた1月の国内エチレン製造設備の平均稼働率は2008年2月以来の100%台に乗った。損益分岐点の目安となる90%を38カ月連続で上回り、実質フル稼働状態が長く続いている。

 稼働率が100%を超えるのはなぜか。理由は簡単だ。各社が公表しているエチレンプラントの生産能力はあくまで標準値。ナフサ(粗製ガソリン)を分解・精製して生産するエチレンやプロピレンなどは市況品であり、需給などに応じて各社それぞれの生産量を微妙に調整している。その公表値との差異により100%超という数字が算出されるのだ。

 内需などの追い風はあるものの、高稼働の根本的な原因はここ3年で進んだプラント統廃合だ。三菱化学と住友化学、旭化成がそれぞれ1基ずつ停止して、年産能力が合計で約110万トン削減された。供給サイドの構造改革が奏功した形だ。

 「うちが止めたおかげなのに、何もしていない他社が今の好況を喜んでいる様子は腹立たしい」との恨み節も一部で聞こえてくるが、中長期的に見れば国内の汎用化学品市場は人口減少などで縮小が確実だ。

エチレンなど複数の石油化学生産設備を持つ東ソーの四日市事業所

【“幸福な時間”】
 加えて、18年からは米国・シェールガス由来の安価な汎用化学品が日本へ流入すると予想されている。17年は現在の好況が続きそうだが、この“幸福な時間”は1年程度しかない。今こそ、さらなる生産再編を議論する大局的な判断が各社に強く求められる。

 また、設備の老朽化も重要な課題だ。国内で最初の石化コンビナートが稼働したのが58年。その後の20年間で現存する大半のエチレンプラントが各地で立ち上がった。そのため今後“50年選手”が急増していく。

 「古いプラントをメンテナンスしながら崩れないようにしているのが実情だ。設備の安全をどう担保するかは業界全体の問題だ」(化学大手幹部)と警鐘を鳴らす。

 日本の石化産業は誰も経験したことのない未知の領域へ足を踏み入れることになる。

■私はこう見る/東京理科大学大学院教授・橘川武郎氏「抜本的な対策必要」
 国内石化産業の本質的な改善が進んだのか疑問だ。エチレンセンターは千葉南側と川崎に集中しており問題点は明らか。それぞれを集約するのが完成形だ。ただ、今は各社が利益を出しているから議論が止まっている。千葉南側では隣り合う出光興産と三井化学が統合運営しており、できないわけではない。千葉北側の京葉エチレン(丸善石油化学と住友化学の共同出資)と、同南側に大規模な第2京葉エチレン(仮称)を新設・集約するのがよい。

 利益が出ていると見過ごしがちだが、それで何度も痛い目に遭ってきた業界だ。73年にコンビナート爆発が相次いだ時もエチレン相場が上昇した後だった。どこかで無理をしていないか。熟練工も次第に減っており、今こそ抜本的な対策が必要だ。

1829荷主研究者:2017/03/19(日) 11:30:09
>>1828-1829 続き

■IoT・AIの導入加速 人手作業、大幅に効率化
【センサー活用】
総合化学大手がIoTやAI(人工知能)、ロボットなど先端技術の工場導入を加速する。三菱ケミカルホールディングスと三井化学が専門組織を4月に新設する。プラントの運営・保守においてセンサーなどを活用することで、従来の人手作業を大幅に効率化できると期待している。18年以降に米シェールガス由来の安価な化学品の国内流入が予想され、工場の競争力強化が重要な経営課題となっている。

三菱ケミカルHDは傘下の化学系3社が4月に統合・設立する三菱ケミカルに「生産技術部」を設置する。化学プラントを中心に、センサーやAIなどを応用した生産技術の開発や各事業所への導入支援を担う。

【ヒトとカネ】
「事業所ごとに5―6テーマを持っているので、そのソリューションとして生産技術部がヒトとカネを分配する」(唐津正典三菱ケミカルHD専務)のが主な役割だ。関連部隊は200人超に上り、全国各地へ飛ぶ。

3社のうち三菱樹脂と三菱レイヨンには生産技術部がすでに存在したが、三菱化学には従来なく、導入検討が遅れ気味だった。

大型プラントが多い同社こそ導入効果は大きいと見られる。「1件当たり10億―30億円のコストダウンになる話が各所で出てきている」(同)と期待は膨らむ。

三井化学も4月に生産・技術本部内に「生産技術高度化推進室」を新設する。製法や設備、保安などの生産技術力を強化して、拠点への適用を主導する。

同社はNTTコミュニケーションズと共同でプラントでのAI実証を行うなど、先端技術への準備は進めてきた。本格展開の時期が近づいている。

【記録を電子化】
住友化学は16年度から千葉と大分、シンガポールの工場で設備保全にタブレット端末を試験導入した。従来は報告などの記録は紙で行い、事務所に保存してあった。それを電子化して、現場で確認できるようにした。順次、他の生産拠点へ横展開していく。

「IoT、ビッグデータ、AIなどと素晴らしく未来のことだけを話しても難しい。現場で起きている目の前の問題を解決していくことを入り口にしていきたい」(土佐泰夫住友化学理事IT推進部長)と地に足をつける。

風雨の中で作業員が自転車に乗って、設備点検に向かう。確認作業のために事務所との間を往復する。たしかに現場のリアルな問題であり、それを解決した際の波及効果は何倍も大きそうだ。

(2017/3/2 05:00)

1830荷主研究者:2017/03/19(日) 20:25:07

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00420583
2017/3/13 05:00 日刊工業新聞
働き方改革/化学業界、残業上限規制に警戒感 定修時に超過の恐れ

工場の競争力に直結する(出光興産・千葉工場)

 化学業界は政労使で検討の進む残業時間の上限規制に対して警戒感を強めている。石油化学コンビナートの中核をなすエチレンプラントは法定の定期修理期間に作業が集中し、その2―3カ月は政府の示す月平均60時間を超過する可能性が高い。定修期間を延長すれば機会損失が広がる。人手不足の深刻な工事業者の手当も難しくなり、最終的には設備保安が脅かされかねない。「働き方改革」は総論賛成ながら、特殊事情への理解を訴える。(鈴木岳志)

 化学大手首脳は「定修期間を延ばしたりしたら競争力がそがれる。これは深刻な問題だ」と語気を強める。

 石化の最上流にあたるエチレンプラントは2年または4年に1回の定修を法律で義務づけられている。それに伴い、下流の誘導品プラントなども停止する。各所の従業員の残業時間は通常月20時間前後だが、準備を含めた定修の2―3カ月は月80時間を超えるケースが少なくないという。

 政労使は月平均60時間、年間720時間を原則とし、繁忙期に限って月100時間まで容認する方向で検討している。ただ、繁忙期の認定期間や特例を認める業種など詳細が不明で、化学業界は疑心暗鬼になっている。

 石油化学工業協会の志村勝也専務理事は「規制に幅があり、業界ごとに労使で話し合って決めるような柔軟性を持たせる形で落ち着いてほしい」と願う。

 定修は協力会社の作業員が延べ15万―16万人参加する。ピーク時で1日4000人が出入りする“大移動”となる。総合化学各社は2018年の定修まで工事の手当が済んでおり、工期が重ならないよう調整している。ただ、「真夏と真冬は皆やりたくないので春と秋に集中する」(志村専務理事)のが実情。定修期間の延長は言うほど簡単ではない。

 各社の業績への影響も大きく、1日で億円単位の損失が発生する。プラント再稼働を急ぎたくなるのも無理はない。この“定修文化”は産業界でも珍しく、他に石油精製など一部のみ。仲間の少なさも化学業界への理解が広がらない一因だ。「顧客は後になって気づく。定修が長くなって製品の供給量が減って初めて分かる」(同)と基幹産業の重要性は見過ごせない。

 政府は月内に残業時間の上限規制など働き方改革の計画をまとめる。年内にも労働基準法改正案を国会に提出して、19年度からの施行を目指す。

 別の化学首脳は「上限規制を設けないと、守らない悪い会社も出てくる」と規制自体には理解を示す。ただ、安全を含めた化学産業の競争力を減退させるような規制は産業界全体にとって大きな打撃となる。

(2017/3/13 05:00)

1831とはずがたり:2017/03/20(月) 06:09:09
徹底的に脱大阪を図る武田。潰しにかからにゃいけんが,社長を外国人がやるなどグローバル化する武田をもっと応援しなかんのかも・・。

武田薬品、100年支えた拠点を縮小 治験薬事業売却へ
http://www.msn.com/ja-jp/news/money/%E6%AD%A6%E7%94%B0%E8%96%AC%E5%93%81%E3%80%81%EF%BC%91%EF%BC%90%EF%BC%90%E5%B9%B4%E6%94%AF%E3%81%88%E3%81%9F%E6%8B%A0%E7%82%B9%E3%82%92%E7%B8%AE%E5%B0%8F-%E6%B2%BB%E9%A8%93%E8%96%AC%E4%BA%8B%E6%A5%AD%E5%A3%B2%E5%8D%B4%E3%81%B8/ar-BByj2a7
朝日新聞デジタル
1日前

 武田薬品工業が、大阪・十三地区で行ってきた、治験薬の製造事業を、医薬品受託生産大手の武州製薬(埼玉県川越市)に売ることを決めた。残る研究部門や薬の生産も移転させる方針だ。十三は約100年、武田を支えた拠点だが、数年後には大衆薬の研究などごく一部だけとなる。

 治験薬は、国の承認に向けた試験用の薬。2月末に、武州への売却が決まった。手続きが終わると、武田の従業員約200人が武州に移る。売却額は公表していない。

 原薬づくりや製剤技術など、今回の売却対象にならなかった研究部門は、今後数年かけて神奈川県藤沢市の湘南研究所に移していく。数百人規模が異動する見込みだ。

 武田は阪神甲子園球場の約4・2倍の約16万3600平方メートルある十三地区に、研究部門や工場を置いてきた。

 第1次世界大戦で輸入が難しくなった西欧の薬を国内でつくる目的で、1915年に建てられた工場が発祥だ。10年後の25年には大阪・中津にあった創薬研究所も十三に移転。2011年に創薬機能が湘南に移るまで、薬づくりを担った。昨年3月末時点でも約900人が働いていた。

1833荷主研究者:2017/04/09(日) 22:41:15

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00421533?isReadConfirmed=true
2017/3/21 05:00 日刊工業新聞
三菱ケミカル始動(1)構造改革総仕上げ-高収益へ「準備できた」

 三菱ケミカルホールディングス(HD)は1994年の三菱化成と三菱油化の合併以来、23年間にわたり成長を渇望してきた。4月1日の三菱化学と三菱樹脂、三菱レイヨンの統合まで2週間を切り、構造改革は最終章を迎える。世界的な低成長時代に高成長を実現する準備は整った。あとは実行あるのみだ。(4回連載)

 「我々は自ら成長を作り上げなければならない」。統合新社の三菱ケミカル社長を兼務する三菱ケミカルHD社長の越智仁はそう語気を強める。自動車や電機など日本の主力産業に追随していれば売り上げが自然と伸びた右肩上がりの時代はとっくに終わった。

 越智は「成長を迅速に行う体制へ移行する」と3社統合の意義を訴える。「情電・ディスプレイ」など用途や市場ごとの事業体制に再編して、各社に分散していた研究開発、販売、生産技術の力を結集させる仕掛けだ。

 ただ、社内リソースだけでは不十分だ。特にIoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)などデジタル分野は“化学屋”の専門外。「デジタル対応となると、すぐグループ会社の力を使用する発想に陥る」と越智は危惧した。

 4月に三菱ケミカルHD内にデジタル技術を活用した新規事業の創出などを専門とする「先端技術・事業開発室」を新設する。そのトップにシャープ出身者を招聘(しょうへい)するほか、同室の半数は外部から迎える。越智は「我々と違う考え方で是非やってほしい」と異質な“血”に新規ビジネス喚起を託す。

 統合新社で水処理や農業資材、植物工場などが集まる「環境・生活ソリューション」部門。新たな試みとして中国で現地企業・団体と組んで野菜のインターネット販売分野への進出を検討している。4月から同部門を率いる三菱レイヨン常務執行役員の佐々木等は「安全な野菜の需要は確実にある」と富裕層中心に商機を見いだす。

 「浄水器『クリンスイ』のブランドを利用してもいい」と佐々木の構想は広がる。野菜のネット販売を手がける協業先と植物工場を導入する。処理装置で精製した安心・安全な水や農業資材を活用するなど統合シナジーを早速発揮できそうだ。

 一方、市場側が既存事業の新たな可能性を照らし出すこともある。有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)ディスプレーや電気自動車(EV)などの台頭が好例だ。情電・ディスプレイ部門を率いる三菱化学取締役の和賀昌之は「現在必要とされている製品だけ持っている素材メーカーは底が浅い。用途展開できる品ぞろえが大事になる」と“総合化学”の自負を示す。

 高収益な成長への道筋は1本ではない。いくつもの挑戦の集合体だ。越智は言う。「準備はできた。さて、実行の時だ」と。(敬称略)

(2017/3/21 05:00)

1834荷主研究者:2017/04/09(日) 22:41:46

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00421699?isReadConfirmed=true
2017/3/22 05:00 日刊工業新聞
三菱ケミカル始動(2)シナジー最大化へ 日本以外へ、いかに売るか

トヨタ自動車の新型「プリウスPHV」のバックドアに、三菱レイヨンの炭素繊維が採用された

 「全ての欧州の自動車メーカーへガラス繊維複合材料を供給している」。三菱樹脂取締役のスティーブ・ユーリックは傘下のエンジニアリングプラスチック世界最大手のスイス・クオドラントの顧客網に絶対の自信を持つ。同社は全世界で44拠点を構え、21カ国に進出している。

 自動車分野は成長戦略の大きな柱だが、ことさら欧州車メーカーは重点攻略先の一つだ。歴史的に日系メーカーとの関係は深いが、地元の化学大手がすでに隙間なく入り込んでいる欧州勢との取引は多くない。その現状を打破するカギがクオドラントになる。

 ユーリックは「我々は自動車産業に対する炭素繊維のレースで非常に良い立場にいる」と意気込む。4月から統合新社で高機能成形材料部門長に就き、エンプラに加えて炭素繊維やアルミナ繊維などを新たに指揮。2020年度まで年平均6・5%の成長率を掲げており、全社の成長をも左右する期待の星だ。

 車の軽量化に貢献する炭素繊維事業は2月に大きな転換期を迎えた。トヨタ自動車が同月発売した新型プラグイン・ハイブリッド車(PHV)「プリウスPHV」のバックドアに三菱レイヨンの炭素繊維材料が採用されたからだ。

 三菱ケミカルホールディングス自動車関連事業推進センター長の相磯佳宏は、「マイナーな車種のオプションとは違い、バリバリのメーン車種に搭載された意味は大きい。今後どれだけ波及効果があるか期待している」と胸を躍らせる。

 ユーリックの問題意識は明確だ。「技術や生み出される先端材料の競争力は非常に高い。これからの挑戦は日本以外の顧客や市場へそれをどうやって届けるかになる」と日本の化学産業全体にも通ずる一大テーマだ。

 3社統合に先駆けて、三菱化学と三菱レイヨンは16年1月に紫外線(UV)硬化樹脂の研究開発機能を統合。三菱化学スペシャリティケミカルズ事業部長の江口幸治は「三菱レイヨンは自動車の外装用途に深い知見があり、三菱化学は電子材料のフィルム関係に強かった」と補完関係を明かす。

 そして、すでに「自動車関係の加飾フィルムなどで新しい成果が出てきた」と統合効果が出現しているという。

 新社の他事業も4月以降、間断なく後に続きたいところだ。(敬称略)

(2017/3/22 05:00)

1835荷主研究者:2017/04/09(日) 22:42:25

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00421896?isReadConfirmed=true
2017/3/23 05:00 日刊工業新聞
三菱ケミカル始動(3)人事システム共通化 成長へ人材最適配置

世界で活躍できる人材の戦力化を急ぐ(三菱樹脂の研修)

 新生「三菱ケミカル」はグローバル展開を加速させる人事制度を導入する。全世界のグループ会社で職務等級と評価基準を共通化して、人材を機動的に配置できるようにする。

 三菱ケミカルホールディングス(HD)執行役員人事室長の二又一幸は、「三菱ケミカル籍の日本人従業員だけで戦っているわけではない」と世界視点の重要性を説く。従来、各法人・各国で閉じていた人材管理を世界で統一することで、国内外のグループ従業員約4万1500人のデータベース(DB)を構築できる。

 成長市場や重点事業への人材最適配置だけが目的ではない。「世界各国のスタッフを把握して仕事を通して育成する。キャリア・ディベロップメント・プラン(キャリア開発計画)をつくって戦力化していく」と、二又は3社統合の機会を最大限利用する。

 また、新制度は人材の将来性にも着目する。人事室グループマネジャーの田中真彦は「その人がどれくらいの可能性を秘めているかを見て、人材の力を適正に評価して登用する仕組みを織り込む」と難題に挑む。

 統合新社は職務主義を基本とし、現在の仕事で成し遂げた成果を毎年評価する。ただ、今の課長が部長になっても同じく高い業績を上げられるかは別の話。深い能力評価を基にした人材配置ができれば、組織の活性化につながるのは間違いない。しかし、“言うは易く行うは難し”だ。

 「3年後、5年後は誰も分からないが、複数の意見を客観的に集めることで評価の精度が上がるはず」と、田中の試行錯誤は今後も続く。

 統合新社の従業員にとって、最大の関心事は給与体系だ。現在、全従業員へ通知しているところ。二又は「新しい給与の構成や金額、手当などの変更を知らせている。結果として増える人も減る人もいるので、大きく減る人には一定期間の補償措置を用意する」と細心の注意を払う。

 手当も3社で異なっていた。三菱ケミカルHD社長の越智仁は、「世の中の求めに沿って、配偶者手当より育児・介護手当を厚くする給与体系に変えた」と時代に合わせる。

 これほど大規模な会社統合にもかかわらず、新しい人事・給与制度を1年半で完成させて4月のスタートに間に合った。産業界でも前例のない速さだろう。(敬称略)

(2017/3/23 05:00)

1836荷主研究者:2017/04/09(日) 22:42:51

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00422149?isReadConfirmed=true
2017/3/24 05:00 日刊工業新聞
三菱ケミカル始動(4)越智社長「少し飛んだ世界を見ていく」

三菱ケミカルホールディングス社長・越智仁氏

―三菱化学と三菱樹脂、三菱レイヨンの統合まで約1週間となりました。
「4月1、2日が休みなので、徹夜しないでシステムを切り替えられるからタイミングが良い。バラバラだった人事制度やITシステムを統一でき、人材配置や役職なども決まったのでスタートする準備は整った」

―統合の狙いは。
「統合新社は成長を迅速にできるようにするのが重要なポイントだ。世の中の成長が遅くなっている。米国を除く世界は低成長時代に入っており、我々は自分たちで事業の成長を作り上げないといけない。もう一つは、社会の考え方が変わりつつある。米配車アプリ大手のウーバーテクノロジーズの登場などで価値観が変わりだした。我々の製品への価値観もすごい勢いで変わる。新たなニーズも生まれてくるはずだ」

―新社は用途や市場ごとに10事業部門(MBU)へ再編します。
「マーケット主体で事業を考えるグループへ分けた。研究開発のレベルの高さや深さが一段と強まって、販売チャンネルや生産技術なども一緒になる。また、各MBUが自分たちでいろいろな事業の意思決定を行えるようにする。10億円まで投資判断を任せる」

―4月から三菱ケミカルホールディングスにIoT(モノのインターネット)を活用した新規事業創出などを担う「先端技術・事業開発室」を新設します。
「従来路線を発展させるのではなく、データサイエンスを切り口に自由な発想で新たなビジネスモデルをつくる。ファンドの部隊も強化して、技術を探索・応用してビジネスに育てる発想が必要だ。AI(人工知能)やロボット、バイオ、メディカルなど将来を見据えて、外部からどんな技術を入れて自社技術と組み合わせるかを考える。隣接の市場ではなく、少し飛んだ世界を見ていく。我々ではできないので、外部から人材を採用する」

―2017年度から「健康経営」へ本格的に乗り出します。
「個人の健康だけに着目しているわけではない。同僚との付き合い方や仕事のストレス、職場環境などが健康に影響する。個人を活性化することは組織づくりとイコールだ。だから、健康経営は事業戦略と同じだ。具体的には生活習慣病などの予防に向けて運動や睡眠などの生活データ、検査データなどをネットワーク上で管理する。そして、課単位で各職場の活動と個人の健康状態を関連づけて見ていく。職場改革や個人の健康増進施策を打ち、食堂なども充実させる。軌道に乗るまでに3、4年かかる」

(おわり、鈴木岳志が担当しました)

【記者の目/来年度以降、真の実力試される】
足元の原油や為替は比較的安定しており、構造改革で市況変動の影響も最小化できる。だから、2017年度以降は高収益な成長を実現する真の実力が試される。20年度のコア営業利益3800億円(16年度見込み2970億円)は必達目標だ。統合新社を中心にグループの総合力を結集しなければ高き目標には到達できない。(鈴木岳志)

(2017/3/24 05:00)

1839荷主研究者:2017/04/09(日) 23:13:59

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00422822?isReadConfirmed=true
2017/3/30 05:00 日刊工業新聞
旭化成、セパレーター生産能力1.5倍 EV拡大で150億円投じ新棟

旭化成の湿式セパレーター「ハイポア」

 旭化成は滋賀県守山市でリチウムイオン二次電池用絶縁材(セパレーター)の新工場棟を建設する。約150億円を投じて、主力の湿式セパレーターの年産能力全体を現状(建設中含む)比約50%増の6億1000万平方メートルに拡大する。2019年度上期に稼働する。セパレーター世界最大手として、車用駆動電池部材の供給体制を整える。電気自動車(EV)など電動車需要の拡大で、東レや住友化学、宇部興産も工場を増強している。

 旭化成は守山製造所(滋賀県守山市)内に湿式セパレーター製造の新工場棟を新設する。能力増強分は年間2億平方メートル。敷地内では18年上期稼働に向けてすでに生産設備を増設しているが、新たに設備を追加して生産能力を引き上げる。30日に発表する。

 増強するのは湿式セパレーター「ハイポア」。守山と宮崎県日向市の2拠点で製造している。従来はスマートフォンなど電子機器向けのリチウムイオン二次電池に採用されてきたが、近年はEVやハイブリッド車(HV)など車載電池用途が急増している。

 旭化成は湿式と乾式のリチウムイオン二次電池用セパレーターを手がける。乾式は15年に買収した米ポリポアが車載用中心に手がけている。

 現在の年産能力は2億5000万平方メートル。20年までに湿式・乾式合計で年産能力を11億平方メートルまで拡大する計画だ。

 自動車業界は世界各地の環境規制の強化に対応するため、EVの販売に力を入れている。米テスラは18年に年間50万台の生産目標を掲げる。トヨタ自動車も20年までに量産体制を敷く。独フォルクスワーゲン(VW)は25年に同100万台の販売を目指し、独ダイムラーも25年までに電動車両を10車種以上発売する予定だ。

 特に、欧米や中国ではEV市場が拡大するのは確実だ。日本勢の市場シェアが高い電池部材産業への波及効果は大きい。

(2017/3/30 05:00)

1841とはずがたり:2017/04/24(月) 18:25:20
2016.2.23
旭化成・社長引責辞任で崩れた集団経営体制
http://diamond.jp/articles/-/86688
週刊ダイヤモンド編集部

「新生・旭化成」の旗振り役が、「杭問題」の幕引き役に転じた。

?旭化成は2月9日、ついに社長交代を発表した。子会社である旭化成建材の杭工事の施工データ改ざん問題を受けて、浅野敏雄社長が引責辞任し、4月1日付で小堀秀毅専務が新社長に就任する。

?旭化成にとって、4月1日はもともと、新しい中期経営計画をスタートさせる特別な日だった。同社は浅野氏が社長に就任した2014年、同氏や小堀専務を含む4人の代表取締役による集団経営体制に移行。この船出に向けて、着々と準備を進めてきた。

?重要なのは、この新体制には30年続いた会長による“院政経営”から卒業する意味が込められていたことだ。実権を握ってきた伊藤一郎会長は、新しい時代に対応するべく自分の代で院政に終止符を打つと宣言。新生・旭化成に向け浅野社長を抜てきした経緯がある。

?浅野社長は入社して以来、一貫してヘルスケア畑を歩んでおり、問題が起こった当時に建材事業の経営を執行していたわけではない。おまけに同社が次の成長の柱に据えるヘルスケア事業領域の担当役員としても社の要だ。

?小堀専務が「経営責任を取って退任する必要はない」と慰留したというのも無理からぬことだった。

?もっとも、問題発覚後、一部の首脳は代取4人総辞任の覚悟を漏らしていた。「でも、それをしちゃうと『やっぱり上が杭データの流用を指示したんじゃないか』って勘繰られかねない」と同社役員。結局、「旭化成の信頼回復に少しでも役立つなら」と、浅野社長が自らの首を差し出した。

集団経営体制が崩壊

?後任に就く小堀専務は、2600億円で買収した電池の主要部材大手、米ポリポア・インターナショナルといったエレクトロニクス事業領域を担当するとともに、経営戦略室や財務部を所管。全事業に精通している点が買われた。

?同じく代取で、中核の化学・繊維事業領域を担当する小林友二専務は強いリーダーシップで鳴らす。こちらの社長昇格もあり得たが、「会社を心配して社内やOBにいろいろ言ってくる人がいる今、話を聞いて事態を収拾できるバランス感覚の強い小堀さんが適任」(同社首脳)だとみられている。

?住宅・建材事業領域担当の平居正仁副社長の退任も決まり、新生・旭化成を担うはずだった4人衆は2人を残すのみ。集団経営体制はすっかり崩れてしまった。

?浅野社長がけじめをつけたとはいえ、杭問題は未解決。一方でポリポアの買収成果を挙げるなど、成長戦略を実行せねばならない。

?かつては大きな課題に直面すれば、カリスマ会長が解決に動いた。だからといって創業90余年の中で最大といえる危機を前に“脱院政”の看板を外すことになれば、「新生」の看板も同時に外れる。

(「週刊ダイヤモンド」編集部?新井美江子)

1842とはずがたり:2017/04/24(月) 18:25:32
>>1841

2017.4.24
旭化成で役員ら85人大異動、社長ワントップ体制鮮明に
http://diamond.jp/articles/-/125822
週刊ダイヤモンド編集部

 総合化学大手の旭化成で、小堀秀毅社長のワントップ体制がより鮮明になっている。

 2016年度は旭化成にとって、まさに変革の一年だった。グループの総合力を生かすため、素材領域に属す子会社群を持ち株会社に吸収合併。15年に子会社で発覚した杭工事施工データ改ざん問題に区切りをつけるべく、小堀氏を社長とする新経営体制に移行した他、25年度に売上高3兆円、営業利益2800億円に飛躍するための基盤固めを目指す新中期経営計画をスタートさせた。

 組織の在り方から経営陣まで、軒並み変わったことになる。

 社内は変化にようやく慣れてきたところだったはず。だが、小堀氏は平穏な日々に甘んじる気はなかったようだ。4月、変革2年目にして役員ら85人の異動と担当業務の変更を決行したのだ。

集団経営は一瞬だった

 経営のトップ層も例外ではなかった。そもそも旭化成は14〜15年度、浅野敏雄社長(当時)以下、小堀氏を含む同年代4人の代表取締役に担当する事業領域を割り振り、会社全体を運営するという集団経営体制を敷いていた。

 杭問題を機にそのうち2人が退任。集団経営の色が薄れていたのだが、今回、同社において最大規模の素材領域を担当していた小林友二氏がさらに退いた。代わりに代取に就いたのは、事業領域ではなく研究・開発を全社的に取り仕切る技術畑の中尾正文氏である。

「全社のガバナンスは小堀さんが一人で見るってことだろう。かつて目指した集団経営体制は、社内外に理解されにくかった。やっぱり日本企業はヒエラルキーの中でしか成り立たない」。旭化成関係者はこう分析する。

 小堀氏がガバナンスを行うに当たり、右腕になると目されるのが坂本修一取締役だ。旭化成の出世コースで、小堀氏も踏んだ経営戦略室長(現経営企画部長)を経験。現在は経営企画などを担当する。

 坂本氏は、エレクトロニクス畑出身の小堀氏とは異なり、化学畑の出身。性格も「馬車馬のように働く豪腕な人で、調整型の小堀さんとの相性はピッタリ」といった声も聞こえてくる。

 中尾氏を代取に据えたことにも意味がある。

 同社は03年に分社化し、持ち株会社制に移行した。それで各事業会社の自主自立が促され、収益力アップに成功したとの自負はある。ただ一方で、研究・開発を短期的に行う各事業会社の部隊と長期的に行う持ち株会社の部隊の連携がうまく取り切れないなど、新事業の創出力に欠ける部分があったのも事実だ。「分社化した後の停滞感はあった」と中尾氏も正直に心情を吐露する。

 大型買収を行ってきた旭化成だが、代表権を持った中尾氏の下、技術面でもグループ間の連携をさらに深め、自社開発品での成長加速も目指す。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 新井美江子)

1843荷主研究者:2017/04/29(土) 21:48:52

http://www.sankeibiz.jp/business/news/170403/bsc1704030500003-n1.htm
2017.4.3 06:15 Fuji Sankei Business i.
オカモト、壁紙工場を来年新設 リフォーム需要見込み増産

現在の物流倉庫を移転後に壁紙工場として改修し、リフォーム需要に対応する=茨城県牛久市【拡大】

 ゴム・プラスチックメーカーのオカモトは2018年3月、茨城県牛久市に壁紙工場を新設する。住宅着工戸数が好調に推移していることから、将来のリフォームやリノベーションの需要を見込んで製造を強化するとともに、新製品開発に力を入れる。敷地面積は約4万3055平方メートルで、投資総額40億円。

 16年の住宅着工戸数は前年比6.4%増の96万7237戸で好調に推移し、20年の東京五輪・パラリンピックに向けて建築物件の増加も見込まれている。

 このため、従来壁紙を生産していた静岡工場(静岡県吉田町)に加え、新工場を稼働させて需要増に対応する。

 同社の製品は、産業用資材では壁紙のほか、フィルム、自動車内装材、食品衛生用品、吸水シートなどがあり、消費者向けの生活用品はコンドームをはじめ、カイロ、除湿剤、メディカル製品、手袋、シューズと多岐にわたっている。

 壁紙はプラスチックフィルムの製造技術で、ポリ塩化ビニール樹脂系壁紙、プラスチック系壁紙を生産。壁紙工業会が定める厳格な安全基準規格を満たしている。また、顧客のデザインに対するニーズに応えるため、ロータリー・スクリーン印刷、グラビア印刷、同調エンボスといった技術を用いている。

 同社では多様化する商品ニーズに対応するため、今後3年間で国内外において120億円超の設備投資を計画している。

1848荷主研究者:2017/05/06(土) 22:02:03

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00424511?isReadConfirmed=true
2017/4/13 05:00 日刊工業新聞
昭和電工、大分で12年ぶりエチレン増産-年70万トン 高稼働続く

大分コンビナートのエチレンプラント

 昭和電工は2018年に大分コンビナート(大分市)のエチレンの年産能力を現状の69万5000トン(非定期修理年)から数千トン上積みし、70万トン前後に引き上げる。同社がエチレン設備の生産能力を増強するのは06年以来12年ぶり。三菱ケミカルと旭化成も17年5―6月に水島工場(岡山県倉敷市)で増強し、年産能力を現在比1万トン増の50万トン超に引き上げる計画。総合化学業界では供給過剰によるプラント再編が相次いだ縮小均衡から、需要に応じた健全な増産に転じつつある。

 昭和電工は18年春の定期修理時に、エチレンプラントの一部設備を改良して生産能力を高める。ここ数年は90―100%の高稼働率を維持しており、国内外の需要増への対応と設備余力の確保を目的に増強する。

 設備投資額は数億円と見られる。大分コンビナートは10年にプラントの分解炉を更新したが、生産能力は変えていなかった。

 製造したエチレンは全体の約75%を大分コンビナート内で他社を含めて消費し、残りの約25%をアジア地域へ輸出する。アジア市況は他社の設備トラブルなどで需給が逼迫(ひっぱく)しており、輸出も堅調だ。

 ただ、今後は輸出を抑えて、自家消費比率を高める方針。コンビナート内のグループ会社で汎用樹脂の高機能化を加速して、燃料タンクやバンパーなど自動車市場を中心に開拓し、外部環境に左右されにくい事業体制を目指す。

 エチレンは汎用樹脂の原料で、包装材や容器、家電製品などに広く使われる。11年頃から新興国で石油化学設備の新増設が相次いだため各社は生産再編に動いた。

 しかし食品包装材の伸びや、自動車部品の樹脂化の進展などで、当初想定ほど内需が落ち込んでいない。石油化学工業協会によると2月までの国内エチレンプラントの平均稼働率は、損益分岐点の目安となる90%を39カ月連続で上回っている。

(2017/4/13 05:00)

1854とはずがたり:2017/05/13(土) 15:00:22

<チッソ>82歳最高顧問が社長復帰へ
毎日新聞社 2017年5月12日 21時21分 (2017年5月12日 22時51分 更新)
http://www.excite.co.jp/News/economy_g/20170512/Mainichi_20170513k0000m020106000c.html

 水俣病の原因企業チッソ(東京)は12日、水俣病対応を中心的に担っていた後藤舜吉(しゅんきち)最高顧問(82)が社長に復帰する人事を発表した。森田美智男社長(70)は健康上の理由で退任する。6月下旬の株主総会を経て正式決定する。

 後藤氏は1993年から社長、2003年から会長を務めた。水俣病未認定患者に対し一定の症状があれば一時金などを支払う95年の「政治決着」などに関わり、11年から最高顧問。森田社長の退任に伴い「水俣病問題に長く関わり精通しており、チッソとしての責任をしっかり果たすため」(同社広報室)に社長へ復帰する。

 また同社は同日、17年3月期連結決算を発表し、最終(当期)損益は14億600万円の赤字を計上した。赤字転落は13年3月期以来。熊本地震で一部の発電所が損壊して特別損失が出たことなどが要因。【笠井光俊】

1855荷主研究者:2017/05/14(日) 11:16:06
>>1739
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00426243
2017/4/27 05:00 日刊工業新聞
宇部興産と三菱ケミ、中国・電解液統合に遅れ 当局承認に数カ月?

EV市場が拡大する中国で19日に開幕した上海モーターショー(時事)

 三菱ケミカルと宇部興産が4月めどに予定していた中国のリチウムイオン二次電池用電解液事業統合が遅れている。中国当局の独占禁止法審査が当初想定より長引いているためだ。承認までは少なくともあと数カ月かかる見込み。2社合計の市場シェアはわずかで、市場への影響は限定的と見られる。自国メーカーの優位を脅かしかねない日本連合の誕生に神経をとがらせている側面もありそうだ。(鈴木岳志)

【高い補完性】
 両社の電解液事業は三菱が自動車向け、宇部がスマートフォンなど民生向けが主力と補完性が高い。特許や工場の相互利用を進めて、赤字からの早期脱却を目指していた。

 特に技術力には絶対の自信を持っており、起死回生の一打と期待していた。加えて、中国を端緒に米国や欧州でも協業を検討する方針なだけに、もくろみが始動前に狂ってしまった。

 中国政府は近年、エコカー補助金で電気自動車(EV)中心に自国の車産業を後押しし、基幹部品のリチウムイオン二次電池、そして電池部材メーカーの育成に力を入れている。すでに巨大市場に牙城を築く中国の電解液メーカーを邪魔するライバル誕生を黙って見過ごすわけにはいかないだろう。

【低い参入障壁】
 一方で、日本勢にとって電解液事業が今後の重点領域かどうかは不透明だ。中国メーカーが世界シェアの75・3%(2015年、矢野経済研究所推計)を握る現状が表すように、参入障壁は低い。「原料を買ってきて混ぜればいい」(化学大手幹部)と技術的な難易度は高くない。

 添加剤が電池性能を左右する各社の秘中の秘だが、「分析機器の進化で中に何が入っているかすぐに分かってしまう」(同)と打つ手がない。そうなると、最後は補助金をバックに大型投資を仕掛ける中国勢にはコスト競争で勝ち目がないのが現状だ。

 三菱・宇部をはじめ日本勢が活路を見いだすのは高機能化・安全性ニーズだ。現状はEV生産と販売ともに中国が世界トップだが、20年前後からドイツや日本の自動車メーカーもEVの新車種を相次ぎ投入する計画。より厳しい性能要求に対して日本の技術力を生かせる余地が増えるはずだ。今は耐え忍ぶ時期であり、事業統合で体力温存を図る戦略は間違っていない。

(2017/4/27 05:00)

1856荷主研究者:2017/05/14(日) 14:44:09

http://www.sankeibiz.jp/business/news/170503/bsc1705030500002-n1.htm
2017.5.3 06:04 Fuji Sankei Business i.
車載電池素材へ積極投資 化学大手など需要増見込む

 化学や石油元売りの大手企業などが、自動車に搭載するリチウムイオン電池素材の増産や開発に相次いで乗り出している。電気自動車をはじめとする電動車両への需要増が見込まれるためで、積極的に投資し収益を拡大させたい考えだ。

 化学メーカーでは、旭化成が電池に使われる「セパレータ」と呼ばれる絶縁体の製造能力を現在の年間6億平方メートルから2020年までに約8割増の約11億平方メートルに拡大する。世界最大手として「さらなる成長に備えたい」(広報担当者)との考えで、250億円程度を投資する方針だ。

 スマートフォンやパソコン向けのセパレータを扱っている帝人も車載向けへの参入を検討している。17年度中にも約30億円を投じて韓国にある子会社の製造ラインの増設を予定する。

 石油元売りの出光興産も車載用電池の新規参入を目指しており、石油精製の過程で培った技術を応用し、電池の容量や耐久性を高める材料の開発に力を入れる。自動車メーカーと連携し、25年ごろには量産化にこぎ着けたい考えだ。

 世界的に環境規制が厳しくなる中、自動車各社は電気自動車やプラグインハイブリッド車といった環境対応車の開発を急いでいる。国内ではトヨタ自動車が20年までに電気自動車に本格参入することを検討しているほか、ホンダも30年をめどに四輪販売台数の3分の2を電動車両にする方針を示している。

 リチウムイオン電池市場について、出光興産事業化推進室の山本徳行室長は、「電動車両の技術の軸は電池だ。これから需要が本格化する」と話している。

1857荷主研究者:2017/05/14(日) 14:48:49

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00426850?isReadConfirmed=true
2017/5/4 05:00 日刊工業新聞
低燃費タイヤ合成ゴム、日本勢が世界3強 軒並み年20万トン体制

低燃費タイヤ用のS-SBRは年率6ー8%の成長が見込まれる

ZSエラストマーは、20年にも生産能力が埋まると予測する(ゼオンケミカルズシンガポール)

 低燃費タイヤ用合成ゴム(S―SBR)を手がける日本勢が、その確固たる地位を確立しつつある。業界3位の日本ゼオンと4位の住友化学が同事業を統合したZSエラストマー(ZSE、東京都千代田区)が4月に始動。業界トップの旭化成と2位のJSRを合わせ、世界3強体制が完成した。ZSEの伊藤敬社長は「1社でできなかった設備投資を決断しやすくなる。競合の背中も見えてくる」と明言。2020年度までに現状比1.5倍の450億―500億円の事業に育て、遠のくばかりだった先行2社を射程に捉える。(堀田創平)

【路面抵抗を軽減】
 S―SBRはタイヤの接地面(トレッド)に使われる。走行時に路面の抵抗を減らすことができ、燃費改善に寄与する。耐摩耗性や雨天時の安全走行を実現するグリップ性能も高い。韓国大手などの大型投資と価格競争に“支配”された汎用合成ゴムと異なり、今も日本勢が高いシェアを握る領域だ。伊藤社長も「技術は今も進化し続けている。そう簡単に追随はさせない」と言い切る。

 低燃費タイヤは環境規制の厳格化などを受け需要が拡大。特に足元は中国で始まったラベリング制度を追い風に、S―SBRも年率6―8%の成長が見込まれている。

 これを踏まえ、旭化成は18年度にシンガポール工場を3割増強して、全社の生産能力が年26万トンになる見通し。JSRもタイ工場の増強やハンガリー工場の新設により、18年度の生産能力を同22万トンにする戦略を打ち出している。

【アジア重視】
 これに対し、ZSEはゼオンと住化のシンガポール工場のほか、ゼオンの徳山工場(山口県周南市)と住化の千葉工場(千葉県市原市)で一気に計17万3000トンの年間生産能力を手に入れた。ただ、伊藤社長は「あと3年もすれば、キャパシティーの大半は埋まってしまう」とうれしい悲鳴を上げる。2年後をめどに描くのは、最低でも年3万トン分の増強で同20万トン規模の能力を持つシナリオだ。

 実際、ZSEはシンガポールをその最有力候補として検討に入っている。急ピッチで環境対策に取り組むアジアは、今や厳しい環境規制を敷く欧州を上回る最大の需要地。日本勢にドイツのトリンセオを加えた主要各社も、アジア重視の姿勢は同じだ。現時点で建設費はかさむものの、原料となるブタジエンの調達はもちろん、ユーティリティーやインフラが整備されている利点も大きい。

【こだわりの品質】
 ZSEがもう一段の増強を実現すれば、日本勢は軒並み20万トン台の生産能力を持つ。他業界からは日本勢同士でパイを奪い合いかねないと心配する声も聞こえるが、JSRの小柴満信社長は「各社には競合と補完関係の両面がある」と指摘する。S―SBRはそもそも、例えばエコ性能に強いA社製品と操縦安定性を付与するB社製品などと混ぜて効果を引き出す。それだけに、各社がこだわるのが品質の差別化だ。小柴社長は「S―SBRの販売はJSRだけで年率15%伸びており、タイヤ全体の成長率を上回っている。まさに差別化が効いている感触だ」と目を細める。

 日本ゼオンの田中公章社長も「タイヤの摩耗性や燃費性を向上するには、ポリマーとシリカの相性を良くする末端変性技術がカギを握る。低燃費タイヤ用の合成ゴムを初めて世に送り出したゼオンが磨いてきた技術だ」と自信をみせる。

 その技術力を引き継いだZSEには、住化が蓄積してきた独自技術も加わった。研究開発部門では生産拠点に先駆けて統合に着手し、すでに特許の共有やテーマの絞り込みといった成果は着実に表れている。「広くゴム文化という意味で共通点が多いし、同じ大学院の先輩後輩といったつながりも奏功している」(伊藤社長)。“第三極”の挑戦は、おのずと日本勢全体の存在感も高めそうだ。

(2017/5/4 05:00)


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