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化学・薬品産業総合スレッド
1828
:
荷主研究者
:2017/03/19(日) 11:29:22
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00419262?isReadConfirmed=true
2017/3/2 05:00 日刊工業新聞
深層断面/エチレン設備稼働率100%超 一層の生産再編急務
国内エチレンプラントは歴史的な高稼働が続いている。1月の平均稼働率が100.1%と8年11カ月ぶりに100%台を記録した。包装材などの内需が堅調なほか、円安基調などで輸入品の流入も限定的。エチレン以外の石油化学事業も好調で総合化学各社の業績を大きく上振れさせている。一方、老朽設備のフル稼働はリスクをはらむ。IoT(モノのインターネット)など先端技術を活用して工場の基盤を強化する動きが広がりそうだ。(鈴木岳志)
高水準の稼働が続く三菱化学鹿島事業所のエチレンプラント
■供給サイドの改革が奏功
【フル稼働状態】
石油化学工業協会がまとめた1月の国内エチレン製造設備の平均稼働率は2008年2月以来の100%台に乗った。損益分岐点の目安となる90%を38カ月連続で上回り、実質フル稼働状態が長く続いている。
稼働率が100%を超えるのはなぜか。理由は簡単だ。各社が公表しているエチレンプラントの生産能力はあくまで標準値。ナフサ(粗製ガソリン)を分解・精製して生産するエチレンやプロピレンなどは市況品であり、需給などに応じて各社それぞれの生産量を微妙に調整している。その公表値との差異により100%超という数字が算出されるのだ。
内需などの追い風はあるものの、高稼働の根本的な原因はここ3年で進んだプラント統廃合だ。三菱化学と住友化学、旭化成がそれぞれ1基ずつ停止して、年産能力が合計で約110万トン削減された。供給サイドの構造改革が奏功した形だ。
「うちが止めたおかげなのに、何もしていない他社が今の好況を喜んでいる様子は腹立たしい」との恨み節も一部で聞こえてくるが、中長期的に見れば国内の汎用化学品市場は人口減少などで縮小が確実だ。
エチレンなど複数の石油化学生産設備を持つ東ソーの四日市事業所
【“幸福な時間”】
加えて、18年からは米国・シェールガス由来の安価な汎用化学品が日本へ流入すると予想されている。17年は現在の好況が続きそうだが、この“幸福な時間”は1年程度しかない。今こそ、さらなる生産再編を議論する大局的な判断が各社に強く求められる。
また、設備の老朽化も重要な課題だ。国内で最初の石化コンビナートが稼働したのが58年。その後の20年間で現存する大半のエチレンプラントが各地で立ち上がった。そのため今後“50年選手”が急増していく。
「古いプラントをメンテナンスしながら崩れないようにしているのが実情だ。設備の安全をどう担保するかは業界全体の問題だ」(化学大手幹部)と警鐘を鳴らす。
日本の石化産業は誰も経験したことのない未知の領域へ足を踏み入れることになる。
■私はこう見る/東京理科大学大学院教授・橘川武郎氏「抜本的な対策必要」
国内石化産業の本質的な改善が進んだのか疑問だ。エチレンセンターは千葉南側と川崎に集中しており問題点は明らか。それぞれを集約するのが完成形だ。ただ、今は各社が利益を出しているから議論が止まっている。千葉南側では隣り合う出光興産と三井化学が統合運営しており、できないわけではない。千葉北側の京葉エチレン(丸善石油化学と住友化学の共同出資)と、同南側に大規模な第2京葉エチレン(仮称)を新設・集約するのがよい。
利益が出ていると見過ごしがちだが、それで何度も痛い目に遭ってきた業界だ。73年にコンビナート爆発が相次いだ時もエチレン相場が上昇した後だった。どこかで無理をしていないか。熟練工も次第に減っており、今こそ抜本的な対策が必要だ。
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