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化学・薬品産業総合スレッド

1815とはずがたり:2017/02/15(水) 10:31:47
>>1814-1815
逆に、水に不溶な性質を利用した酢酸ビニル樹脂の用途があります。木工用ボンドです。木工用ボンドは、酢酸ビニル樹脂と水で作られています。酢酸ビニル樹脂は、水に溶けないので、水の中では、微細な粒子を形成しています。(乳化、エマルジョンの状態といいます)この粒子に光が当たると、光はさまざまな方向に反射(乱反射といいます)します。この乱反射によって、物質は白く見えます。それが、牛乳の白さと同様に木工用ボンドが白い理由だったのです。

ここで、この二つの酢酸ビニル樹脂の用途、チューイングガムと木工用ボンド、別々の目的で使われているようにみえますが、実は、何れも水や温度が関与して軟化と硬化する性質をうまく利用していることに気付かれたでしょうか?

チューイングガムの場合、硬い状態で噛み始めると、いつの間にか柔らかくなります。これは、酢酸ビニル樹脂が30℃以上の温度と口腔内の水分・唾液で軟化する性質をうまく利用しています。一方で、木工用ボンドの場合は逆で、最初は水と水に溶けていない酢酸ビニル樹脂の微粒子で乳化(エマルジョン)した柔らかい状態なのですが、接着させる時には水分が蒸発して硬化するのです。

酢酸ビニル樹脂は、水に不溶な物質ですが、酢酸を外す(加水分解といいます)と水に溶けるようになります。その加水分解させたものをポリビニルアルコール(ポバールとか、PVAともいいます)といいます。PVAは、水に溶ける性質を高めるヒドロキシ基(水酸基)をたくさんもっている物質(ポリオール)であり、フィルム形成も可能ですので、PVAから水に溶けるフィルムを作ることもできます。

天然のシクロデキストリンは、ポリオールですので水に溶けます。では、水に不溶な物質に変えるにはどうしたらいいでしょうか?

その通りです。酢酸ビニル樹脂からポリビニルアルコールを作った反応(加水分解)と逆の反応(酢酸エステル化、アセチル化といいます)を行なえばいいのです。実際に、天然のシクロデキストリンのヒドロキシ基(水酸基)をすべてアセチル化させた水に不溶なトリアセチル化シクロデキストリンという物質が開発されています。

水に不溶な性質の酢酸ビニル樹脂とトリアセチル化シクロデキストリンの相性は抜群に良く、また、水溶性のポリビニルアルコールと天然のシクロデキストリンの相性もすばらしく合っています。よって、チューイングガムと木工用ボンドの用途に限らず、様々な分野において、これらを上手く組み合わせた研究開発が期待されています。


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