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化学・薬品産業総合スレッド

1荷主研究者:2003/12/07(日) 23:23
これまで「石油・LNGなど=エネルギー総合スレ=」で扱ってきた化学系のネタを独立させます。

社団法人日本化学工業協会
http://www.nikkakyo.org/

石油化学工業協会
http://www.jpca.or.jp/

化学工業日報
http://www.chemicaldaily.co.jp/

石油化学データベース
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/new.htm

1486とはずがたり:2015/05/25(月) 14:45:37

可燃性物質のアクリル酸メチル1・8トン漏れる
http://www.yomiuri.co.jp/national/20150525-OYT1T50065.html
2015年05月25日 11時53分
 25日午前8時頃、名古屋市港区昭和町の化学メーカー「東亜合成」名古屋工場で、配管から可燃性物質のアクリル酸メチルが漏れているのを従業員が発見し、119番した。


 市消防局によると約1・8トンが漏れ出したが、工場敷地外には漏れておらず、けが人はないという。消防が吸着マットで回収作業を行っている。

 消防や同社によると、アクリル酸メチルは塗料や接着剤などの原料。消防法上の「危険物」に指定され、着火すると爆発する恐れがある。当時はタンク間で移し替える作業中で、配管のつなぎ目から漏れたという。配管のパッキンの劣化が原因とみられる。

 現場は名古屋港に面した工場などが密集する地域。

2015年05月25日 11時53分

1487荷主研究者:2015/06/13(土) 18:57:29

http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0820150520cbal.html
2015年05月20日 日刊工業新聞
三井化学の金属代替素材、レクサスRCFが採用-軽量化で国内自動車メーカーが注目

 三井化学の金属代替素材が国内自動車メーカーに相次ぎ採用されている。トヨタ自動車は高級スポーツクーペ「レクサスRCF」のボンネット内側パネルに炭素繊維強化成形材料を採用。ダイハツ工業は軽オープンスポーツ「コペン」のルーフにガラス繊維強化成形材料を用いた。鋼板を使う部材を樹脂化すれば軽量化でガソリンの使用を抑え、燃費性能が向上。三井化学は樹脂開発から金型試作までの一体提案で軽量化の需要増を取り込む。

ボンネット内側パネルに三井化学の炭素繊維強化成形材料を採用したレクサスRCF

 レクサスRCFに採用されたのは、炭素繊維強化シート・モールディング・コンパウンド。熱硬化性の不飽和ポリエステル樹脂に添加材を混ぜた樹脂を炭素繊維にしみ込ませてシート状にした成形材料で、軽量化しながら高い成形性と強度を得られる。子会社のジャパンコンポジット(東京都中央区)が生産している。

 同様の樹脂にガラス繊維をしみ込ませたガラス繊維強化シート・モールディング・コンパウンドは、コペンのルーフ、バックパネル、トランクフードのインナーとアウターパネルに採用された。ダイハツ工業の軽自動車「タント カスタム」のボンネット内側パネルに続く採用事例となる。

 三井化学は「ポリメタック」という商標を用いた金属と樹脂の一体成形部材の販売も始める。アルミニウム管にナイロン樹脂製の支持具(ブラケット)を一体成形したステアリングメンバーと呼ぶ自動車部品を開発しており、重さは約2キログラムと鉄製の半分に抑えた。2020年度までの採用を見込む。

1488荷主研究者:2015/06/13(土) 19:31:24

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2015/05/14-20175.html
2015年05月14日 化学工業日報
住友化学 千葉工場エチレン設備 45年の歴史に幕

 住友化学は千葉工場(市原市)のエチレン製造設備(年産能力41万5000トン)が5月11日に恒久停止した。国内の石油化学製品の需要低迷や、コスト競争力の高い海外品の攻勢が強まっていることに対応する。今後は国内最新設備を持つ出資先の京葉エチレンからの引き取りを増やし、誘導品の高付加価値化を図る。

1489荷主研究者:2015/06/13(土) 19:32:09

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2015/05/20-20245.html
2015年05月20日 化学工業日報
日産化学 化学品事業構造改善 エポキシ化合物など増強

 日産化学工業は、化学品事業の構造改善を加速する。高機能エポキシ化合物「テピック」や高品位尿素水「アドブルー」の設備増強を実施する一方、富山工場(富山市)でのアンモニア系製品のコスト削減を推進する。化学品事業は基礎化学品およびファインケミカル製品で構成される同社主力事業の1つ。ここ数年、アンモニアや硝酸の設備能力を削減しているものの、テピックやアドブルー、高純度液安といった成長製品の増強に取り組んでおり、供給体制の最適化により収益の安定化を図る。

1490とはずがたり:2015/06/13(土) 19:39:34
>>631とは別か?

三菱化学:四日市事業所に石炭火力発電 /三重
http://mainichi.jp/area/mie/news/20150116ddlk24020060000c.html
毎日新聞 2015年01月16日 地方版

 三菱化学は15日、四日市事業所川尻地区(四日市市川尻町)に三菱商事のグループ会社が石炭火力発電(コージェネレーション)設備を新設する方針を明らかにした。

 新設備の発電出力は112メガワット。三菱化学四日市事業所川尻地区に電力・蒸気を供給するほか、余剰電力を販売する。2019年の運転開始を予定している。【岡正勝】

〔三重版〕

1491荷主研究者:2015/06/26(金) 22:58:34

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2015/05/25-20308.html
2015年05月25日 化学工業日報
「変革期の化学産業」 模索する日系企業1

築かれた群雄割拠の構図

 日本の化学産業は大きな変革期を迎えている。これまでも業界再編成は進められてきたが、欧米に比べて限定的で、いぜん群雄割拠の状況が続いている。先進国の化学産業としては特異な構造といえ、大資本を要する石油化学からスペシャリティケミカルまで幅広く存在する。急速かつ大規模な市場変化が進むなか、このような構造はいつまで続くのか。大手企業の事業構造転換はどのように進むのか。総合化学首脳への取材などをもとに連載する。

 米国の化学雑誌C&ENが毎年夏に発表する世界のトップ化学企業饅で、日本の化学企業はランクイン企業数は16%の占有率を持つ。だが、トップ50入りする日本の化学企業の営業利益合計は全体の6%にすぎない。パイを多くの企業が分け合う群雄割拠構造の一つの側面といえる。

*株主は株価重視*
 なぜ欧米に比べて規模の小さい企業群が多く存在しているのか。「株の持ち合いもあり、配当ではなく株価を重視する株主が多いという構造のなかで、企業数が多いのはある意味必然といえる。高収益企業同士を一緒にして、さらに高収益企業を作れという圧力はなかった」と指摘するのは旭化成の浅野敏雄社長。「関係のある欧米企業と付き合うと彼らの基準では不採算事業だが、日本では収益事業とみなされるということはあった」とも言う。

 「財閥系を中心にした石炭化学が石油化学に一斉に転換した。同時期に石油精製産業が石油化学に進出した。そのなかで同じような規模の設備が横並びで建設された」と歴史的背景を説明するのは三井化学の淡輪敏社長。住友化学の岡本敬彦専務執行役員も「石油化学に代表されるが、資金を借り技術を導入し、設備を建てるのが比較的容易だった。これは今の中国の姿とも似ている。一方で市場成長が鈍化しても淘汰に対する資本市場からの圧力がかかりにくい構造だった」と分析する。

 「雇用の安定、地域との関係も経営判断するうえで重要な要素。さらに中小規模でもお家芸的な企業が多く、そういうところは集約される必要がない」(昭和電工の市川秀夫社長)という背景もある。加えて「金融システムのバックアップ」(同)などさまざまな要因がある。

 「数の多さが問題なのではない」というのは三菱ケミカルホールディングスの田中良治常務執行役員。「GDPに占める化学産業の付加価値生産額の寄与度は日米でほぼ同程度。付加価値を生産していることにおいて重要度に大きな差はなく、産業競争力の基盤を供給するセクターとして大事な存在といえる。付加価値を生み出すという点において、会社の数は問題にはならない。戦後の経済発展のなかで、化学産業が模索してきた結果として今の産業構造には合理性がある。欧州には欧州の合理性があり、米国も同じ。日本の化学産業が集中していないのもそれなりの合理性の結果だ」とみる。

*規模追求は必然*
 ただ「グローバル化が進み、競争が一段と激しくなる。イノベーションによって新しい製品を創っていかねばならない。サプライチェーンも拡大する。必然的にコストの絶対額が大きくなり、リスクも増える。規模と範囲を追求しないとそうしたコスト、リスクを吸収できない」(田中常務執行役員)と今後の産業構造の変化を予測する。そのなかでさまざまな協業、再編成が起こる。「そこに日本的な特性が絡み、それとの複合で化学産業の将来の姿が決まってくる」(同)とみる。
(続く)

【写真説明】図表1点 欧米日の総合化学企業のROEとPBR比較(バークレイズ証券提供)。

1492荷主研究者:2015/06/26(金) 22:59:03

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2015/05/26-20323.html
2015年05月26日 化学工業日報
「変革期の化学産業」 模索する日系企業2

勝ち残りかけた企業哲学

 中国の化学品増強、米シェール革命に加え、日本の電機産業の世界的な地位低下が日本の化学産業の大きな環境変化といえる。多機能デバイスによる電子部品の絶対量の減少、クラウドコンピューティングなど共有化経済の発展により個人が高性能デバイスを保有する必要性が薄れてくる。「電子材料において日本の化学産業の強さは際立っている。その得意とする分野が伸びにくくなる」とバークレイズ証券の山田幹也マネージングディレクターは指摘する。

*石化再編が始動*
 競争条件の変化。その対応が日本の化学産業の大きな課題だ。石油化学はすでに再編成が始まっている。旭化成の浅野敏雄社長は「日本の石油化学産業は地政学的な優位性があった。高度成長でエチレンセンターを建設すれば儲かる時期があり、国内市場の伸びが停滞し再編するときに東南アジア、さらに中国と近隣諸国が経済発展したことでやってこれた。だが、中国の内製化が進み、日本の石化の汎用品は集約化される」。

 同社は水島地区で三菱化学と共同運営するエチレンセンターの1基化を2016年に実行する。三菱化学は14年夏、鹿島のエチレン1号機を停止。今年5月には住友化学が千葉工場のエチレン設備を停め、三井化学も出光興産との協業を強化し、京葉エチレンからの引き取りを止めるなど再構築が加速している。

 総合化学大手はエチレン能力縮小とともに脱汎用・スペシャリティ化を進め、高い成長が見込める分野にシフトしようとしている。現状は「転換の手を打ち統合効果を最大化しようとしている企業、M&A(合併・買収)を含めた拡大策をさらに進める企業、拡大ステージに立った企業とさまざま」(山田マネージングディレクター)。

 "この指とまれ"でグループ企業を統合してきた三菱ケミカルホールディングスは売上高が4兆円に迫る規模に達し、グローバルトップ50で9位の座にあったデュポンを上回っている。従業員は7万人と世界最大の化学企業であるBASFの9万人に次ぐ。「製品群の広がり、プラットホームとしての技術の厚みがあるので、それを基盤にポートフォリオを変えていく狙いがある」(三菱ケミカルの田中良治常務執行役員)。「統合の強みが鮮明になっている事業の一つが炭素繊維。三菱レイヨンのPAN系と三菱樹脂のピッチ系を一体運営することで商品の広がり、開発の一体化が可能になる。ハイブリッドの設計もできるようになる。これは世界でもわれわれしかない」(同)。

*統合効果フルに*
 こうした統合、連携をKAITEKIという企業ビジョンの下で拡大していくのが勝ち残りの基本方針。多様な文化、言語を背景にした企業、人材の連携でグローバル競争を勝ち抜くための「パワフルなコンセプト。それがKAITEKIという考え方であり、他企業に対する弊社グループのアドバンテージ」(同)と言い切る。

 グループ企業の統合とともに、M&Aを企業成長のエンジンと位置付けてきた三菱ケミカル。2013年には世界の医薬品用カプセル市場で20%を超えるシェアを持つクオリカプスを買収。またカナダのワクチン開発ベンチャーのメディカゴと組み、ワクチンの元となるたん白質をたばこの葉に作らせる植物工場の共同開発に乗り出している。機能商品分野では三菱樹脂がエンプラの世界的大手のクオドラントを買収した。

 「会社と会社の関係を設計する能力は勝ち残りのためのファクター」(同)であり、「会社が明確なビジョンと価値観を持っていること、それが普遍的であることがアドバンテージとなる」(同)として、グループ企業のマネジメント能力をリーディングエッジに位置付けている。
(続く)

1493荷主研究者:2015/06/26(金) 23:00:00

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2015/05/26-20315.html
2015年05月26日 化学工業日報
三菱ケミ 燃料電池車向け水素供給事業開始

 三菱ケミカルホールディングスは傘下のグループ会社を連携させ、水素燃料電池車向けのガスソリューション事業を始める。日本ポリエチレンが開発した高密度ポリエチレン(HDPE)や接着樹脂、三菱レイヨンの炭素繊維を組み合わせた水素燃料用タンクを、大陽日酸が展開する移動式水素ステーションに搭載する。燃料タンクは国内外の車メーカーが開発している燃料電池車への採用も働きかけており、2015年7月から欧州の認証品の出荷を始める。三菱ケミカルでは今後需要が高まる見込みの燃料電池車分野で、タンクから水素供給まで事業機会を幅広く取り込む。

1494荷主研究者:2015/06/26(金) 23:00:24

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2015/05/27-20346.html
2015年05月27日 化学工業日報
「変革期の化学産業」 模索する日系企業3

多角化経営、常に新陳代謝

 「欧州ではBASF、バイエル、米国ではデュポン、ダウ・ケミカル。彼らが達成している2ケタの営業利益率に乗せて、利益率、成長率で世界の大手と伍していきたい。とくに海外での事業比率が高い欧州型の展開を拡大していく。マテリアル、住宅、ヘルスケアの3事業柱で、世界市場におけるプレゼンスを高めたい」と言うのは旭化成の浅野敏雄社長。

 旭化成は2016年4月、事業会社のケミカルズ、せんい、イーマテリアルズの3社を持株会社の旭化成が吸収合併して事業持株会社に移行し、マテリアル領域として素材事業の強化に乗り出す。「現行の持株会社・事業会社体制はそれぞれの事業ごとに収益を伸ばし成果が出たことを踏まえて、今後のさらなる成長に向け事業会社間の壁をとり、事業間同士の連携を強化する。共同研究開発なども従来以上に深める」(浅野社長)のが狙いだ。環境・エネルギー分野、自動車などの戦略的市場に対しては「主要顧客が共通していることも踏まえ、事業間のシナジーの追求が重要になっている」としている。

*グローバル視点*
 同社は自社の強みを「多角化をやっていける経営能力」(同)と分析する。事業転換に関しては「事業にはサイクルがある。時代に合ったかたちで新陳代謝を進めるのは継続的な課題」(同)。そして向こう10年単位での重要な課題は「グローバルオペレーション」。これまでは日本で成功した製品を海外で生産するスタイルだったが、そうした時間差が許されない時代になったとの判断から、市場を捉えられる事業をグローバルで運営、展開していく方針だ。

 旭化成の売上高営業利益率は8%。D/Eレシオが0・25の強い財務体質を背景にさらにM&A(合併・買収)、設備投資を進める方針だ。期待する分野はセパレーター。同社は今年2月、22億ドルを投じてリチウムイオン2次電池用セパレーターを手掛ける米ポリポアの買収を決めている。「両社の技術を生かした新製品開発に注力したい」(同)と言うように、技術シナジーを創出し製品開発の速度を高めていく。

 また、深紫外発光ダイオード(UVCLED)では初期量産ラインを立ち上げ、分析・計測機器向けに販売開始するとともに、殺菌用途での展開が期待されている。ヘルスケア分野では12年に買収したゾールメディカルのクリティカルケア向け製品群も着実に伸びている。

*強みの事業全て*
 固定資産に投資する石油化学事業と知的財産に投資するライフサイエンス事業の両立は「バランスシート上の矛盾を生じる」(バークレイズ証券の山田幹也マネージングディレクター)との指摘もある。世界的にもエチレンと医薬品を事業として1つの会社で経営しているのは珍しい。だが、旭化成は「専業メーカーはあり得ない。多角化して勝ち残るのが基本。マテリアル、住宅、ヘルスケアの3事業全てを展開するのかという議論のなかで、当社の強みのある3事業全てをやろうと決めている。われわれはこれをやり抜く」(浅野社長)。

 旭化成は多角化経営能力をリーディグエッジにグローバルプレゼンスの拡大を目指す。「海外で稼ぐという欧州型で、3つのポートフォリオのバランスがとれ、それをグローバルに運営する企業」(同)像を中長期的な目標にしている。

(次回は6月1日付)

1495荷主研究者:2015/06/26(金) 23:00:46

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2015/05/28-20361.html
2015年05月28日 化学工業日報
「変革期の化学産業」 模索する日系企業4

経営目標、ROEを主体に

 ROE(自己資本利益率)経営。日本版スチュワードシップの重要な指標となったことで、化学大手も財務指標の一つに導入する動きが活発化している。三菱ケミカルホールディングスは「次期中期経営計画でROE10%を目標に掲げる」(田中良治常務執行役員)。三井化学も2020年の経営目標として営業利益1000億円を掲げ、その先に「ROE10%以上の達成」(淡輪敏社長)を見据える。

*事業本質と両立*
 住友化学は今期ROE10%達成を見込む。同社はROIC(投下資本利益率)も同時に重視している。財務目標の達成と同時に「何のための事業かという視点を持ち続けたい」というのが住友化学の岡本敬彦専務執行役員。「地域との共生、雇用の安定、事業パートナーに迷惑をかけないということも住友の伝統で重要」とし、「ステークホルダーを大事にしつつ、財務指標改善との両立」を目指す。

 課題はペトロ・ラービグへの投資で膨らんだ有利子負債の削減。9000億円以下が目標だ。第2期プロジェクトを早期に軌道に乗せ、基盤事業の中核的存在にする。第1期計画を苦しめた停電も「電力公社との契約を結び対策はとった。原油安だがエタンの強みは発揮できる。リファイナリーマージンが当初予想より拡大していることもプラスに働く可能性がある」(十倉雅和社長)として、投資回収が早まることを期待する。今期は史上最高の営業利益(1450億円)を予想するなか、対資本負債指数も0・73まで改善を見込む。

*成長3分野強く*
 同社は次世代事業として「環境・エネルギー」「ライフサイエンス」「ICT」を掲げる。「3本柱をしっかりと立ち上げていくには、少なくとも数年は要する。だが、目指すポートフォリオ構築のために欠かせない」(岡本専務執行役員)。さらに、この成長3分野で北米、南米での事業展開も目指していく。

 アグロ事業では、除草剤「フルミオキサジン」でモンサントとの提携市場を米国に加えブラジル、アルゼンチンに広げた。種子処理、ポストハーベスト、微生物農薬や植物成長調整剤などのバイオラショナル事業も拡大する。医薬品では抗精神病薬「ラツーダ」の米国での販売を拡大。がん領域では世界初のがんの幹細胞を標的にした薬の開発に取り組むBBI社を買収し、新薬の開発に注力している。

 ICT分野では、樹脂などの素材開発力とディスプレイ材料事業で培った技術を生かし、次世代ディスプレイ用の部材・材料の開発に取り組んでいる。エネルギー・機能材事業ではディーゼルエンジン車用スス除去フィルター(DPF)が「欧米自動車メーカーに採用」(岡本専務執行役員)された。採用車種、企業数の拡大、ポーランド以外の生産拠点構築も検討する。パナソニックへの採用を通じ米テスラモーターズの電気自動車(EV)に搭載されている耐熱セパレーターではEVに使う電池需要の成長を見越し、新たな工場建設の検討に入っている。有機エレクトロルミネッセンス(EL)事業では「付加価値の取れる市場として北米での展開」(同)を視野に入れる。

 同社もエチレンから医薬品まで手掛ける世界的には少数派の事業形態を堅持する。「ROICがバルクは高い。(それとの兼ね合いでみれば)バルクの売上高営業利益率は医農薬の半分でいい。化学技術は拡張性、連関性に富み、他の技術とハイブリッドしやすい。当社も石油化学の樹脂があったからこそ光学フィルムができたし、染料の知識があったゆえにカラーレジストができた。とはいえ、選択と集中は継続的に行っていかねばならない」(十倉社長)と成長分野へのシフトの重要性を強調する。

(次回は6月2日付)

【写真説明】図は営業利益の変遷に見る同社のポートフォリオ転換

1496荷主研究者:2015/06/26(金) 23:21:01

http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0820150529cbaq.html
2015年05月29日 日刊工業新聞
旭化成と三菱ケミカルHD、水島のエチレン生産で新会社-双方の設備集約し一体運営

 旭化成と三菱ケミカルホールディングス(HD)は28日、2016年4月に水島コンビナート(岡山県倉敷市)で1基に集約するエチレン生産設備を運営する共同出資会社「三菱化学旭化成エチレン」(東京都千代田区)を同年4月1日に設立すると発表した。新会社の売上高は約1600億円、資本金は20億円。両社の化学事業会社である旭化成ケミカルズと三菱化学が折半出資する。

 両社は11年4月、水島コンビナートにある双方のエチレン生産設備を一体運営する有限責任事業組合(LLP)「西日本エチレン」を折半出資で設立。エチレン生産設備を集約する検討を重ね、16年4月に旭化成ケミカルズのエチレン生産設備(年産能力50万トン)を廃棄し、三菱化学の同設備(同50万トン)に集約することを決めた。集約後のエチレン生産設備の年産能力は57万トンにする。西日本エチレンは新会社の運営開始後、集約に伴い不要となる設備撤去を担う。

1497荷主研究者:2015/07/04(土) 22:56:26

http://www.sankeibiz.jp/business/news/150610/bsc1506101835011-n1.htm
2015.6.10 18:35 Fuji Sankei Business i.
韓国に新工場、愛媛は増強 住友化学、EV電池部品

 住友化学は10日、主に電気自動車(EV)に使われるリチウムイオン電池用の部品の生産能力を倍増する、と発表した。韓国に工場を新設するほか、愛媛県の既存工場の生産能力を引き上げる。海外に生産拠点を設置するのは初めてで、EVの市場拡大に対応する。

 韓国の現地子会社の敷地内に工場を新設し、2017年に稼働を始める予定。大江工場(愛媛県新居浜市)の生産能力も16年春までに現在の約1・3倍に増強する。増産に向けた投資は計約100億円を見込んでいる。

 増産するのは、リチウム電池のセパレータと呼ばれる絶縁体で、特殊な樹脂で耐熱性を高めている。

1498荷主研究者:2015/07/04(土) 22:58:25

http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0820150611cbae.html
2015年06月11日 日刊工業新聞
三菱化学、水島事業所で有機薄膜太陽電池を実証-プラントと連動、20年度に利益創出

 三菱ケミカルホールディングス傘下の三菱化学は、水島事業所(岡山県倉敷市)で有機薄膜太陽電池(OPV)の実証試験を始めた。600平方メートルの敷地内にOPVモジュール260枚を設置して性能を検証する。同社は2015年度中にOPVを商品化する計画。同事業所内の試作プラントと連動しながら収集データを性能向上に役立て、20年度に着実な利益を生み出せる事業にする。

新設した有機薄膜太陽電池の実証試験場

 水島事業所で情報電子関連製品を生産する機能商品(松江)地区に実証試験場を新設した。主な試験モジュールの大きさは縦170センチ×横60センチメートル。光を電気に変えるエネルギー変換効率は約5%で、最大発電能力は2・5キロワット。発電した電力は隣接した厚生棟の照明や自動販売機の電力として消費する。

 モジュール260枚のうち180枚は電力会社の電線網につなげる系統連系実証試験用。系統連系時の動作確認や耐久性、日陰の影響を実証するほか、日照計や温度計のデータと連携しながら発電量と日照量の相関関係を確認する。

 残る80枚は個別検証用とする。太陽電池の各種材料や製造プロセス条件を変えた、さまざまなOPVの性能を検証し、変換効率10%超のモジュール開発を目指す。

 三菱ケミはOPVを次世代の収益源として期待する創造事業に位置づけ12年にはロール状に巻いたフィルムに有機化合物を塗布するロール・ツー・ロール方式を用いた試作プラントを水島事業所で稼働した。

1499荷主研究者:2015/07/04(土) 23:27:08

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2015/06/12-20558.html
2015年06月12日 化学工業日報
三菱ガス化学 MA設備更新

 三菱ガス化学は11日、新潟工場(新潟県新潟市)のメチルアミン(MA)プラントを新装置に更新すると発表した。設備の老朽化に対応するもの。生産能力は現状比約1割減の年4万トンへ内需見合いに最適化する。投資額は非公表。2016年7月から新設備での営業運転に移行する予定で、国内唯一のMAメーカーとして安定供給体制を強化する。

1501荷主研究者:2015/07/08(水) 23:15:41

http://www.sankeibiz.jp/business/news/150625/bsc1506250500003-n1.htm
2015.6.25 05:00 Fuji Sankei Business i.
【トップは語る】JNC 繊維・肥料強化、経常利益率の向上図る

後藤泰行社長

 □JNC社長・後藤泰行さん(61)

 --経営トップとして特に重点を置く事業は

 「液晶事業に次ぐ第2の柱として、繊維や肥料などの加工品事業を強化する必要がある。2014年度は価格面の問題に加えて、販売も伸びず、加工品事業の売上高経常利益率は当初の目標に達しなかった。加工品が次の事業基盤にならないと、当社の今後の成長はない」

 --具体的な取り組みは

 「繊維は営業体制を強化する。肥料は5月に台湾に子会社を設立し、工場の建設を決めた。台湾を起点にアジアに被覆肥料の販売を広げる。こうした取り組みで経常利益率を高めていきたい」

 --今年度は3カ年の中期経営計画の最終年度だ

 「10%以上の経常利益率の達成を目標に掲げているが、14年度は連結ベースで9.5%だった。最終年度の今年度は達成したい。16〜18年度の次の計画は今年度中にまとめる。現時点で、17年度までに経常利益を300億円に、経常利益率を12%にそれぞれ高めるという目標は決まっている」

 --素材メーカーの強みを生かせる新規事業は

 「環境問題に関心を持っている。自分たちの技術を生かしながら、社会の課題を解決したい。われわれは企業向けのビジネスに特化しているが、研究開発部門が市場に近い視点を持たないと、次世代のテーマが出てこない。韓国のサムスン電子は、周到な計画を立てて、近未来のプロジェクトがいくつも動いている。そうした体制を社長在任中に構築したい」

--社員に呼びかけていることは

 「基本的なことだが、自分たちが決めたルールを守れと言っている。丁寧な仕事が企業を強くする。計画があっても、実行する力がなければ、うまくいかない。そのために当社全体が骨太になる必要がある」

                  ◇

【プロフィル】後藤泰行

 ごとう・やすゆき 1978年チッソ入社。2005年執行役員、09年常務執行役員。11年JNC取締役兼常務執行役員、チッソ取締役。15年4月から現職。福岡県出身。

1502荷主研究者:2015/07/15(水) 21:38:18

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2015/06/26-20734.html
2015年06月26日 化学工業日報
大内新興化学工業 原薬受託拡大 新棟今秋にも稼働

 有機ゴム薬品で国内最大手の大内新興化学工業(東京都中央区、大内茂正社長)は医薬品原薬の受託生産を拡大する。須賀川工場(福島県須賀川市)の敷地で新棟が完成し、今秋にも商業生産を開始する。投資額は30億円強の見通し。原薬を高品質かつ効率的に量産することで競争力を高め、政府が医療費抑制策で使用を促すジェネリック(後発)医薬品の市場拡大を取り込む。今回の新棟完成により既存設備に生産余力が生まれるため、今後は治験薬向け原薬や中間体などの受託生産にも力を入れる。

1503荷主研究者:2015/07/15(水) 21:38:38

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2015/06/26-20745.html
2015年06月26日 化学工業日報
カー黒 輸入拡大続く

 カーボンブラックの輸入量が拡大基調を続けている。東日本大震災で国内メーカーの一部工場が被災し、生産量が急減した2011年以降、中国製を中心とした海外品の流入に拍車がかかり、10年に13万3453トンだった総輸入量が11年には18万1298トンに急伸。その後、生産能力増強を進めた中国メーカーが低価格で輸出攻勢を強め、14年の総輸入量は過去最高を更新した。さらに、今年4月までをみても基調は変わっていない。国内市場がシュリンクするなか、業界では輸入品拡大への対応が急務となっている。

1505荷主研究者:2015/07/15(水) 21:55:01

http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0820150630cbag.html
2015年06月30日 日刊工業新聞
三菱化学、高出力LED向け窒化ガリウム基板を増産-筑波事業所の生産能力倍増

 三菱ケミカルホールディングス(HD)傘下の三菱化学は、LED照明の発光部に使う窒化ガリウム基板を増産する。筑波事業所(茨城県牛久市)の生産ラインを増設し、生産能力を倍増した。自動車ヘッドライトなどに使う高出力LEDの需要が拡大しており、生産拡大で対応する。

高出力LEDに使う窒化ガリウム基板

 窒化ガリウム基板は従来のサファイア基板に比べて消費電力を抑えながら高出力のLED照明を生産することが可能。自動車メーカーが従来のハロゲンランプに比べて長寿命で省エネなLEDランプをヘッドランプに採用する動きが広がっている。店舗用照明などでも高出力LEDの需要が伸びていることから、筑波事業所での増産を決めた。

 三菱化学はガリウム・ヒ素基板での30年以上の経験を生かした独自の生産装置を開発し、高品質な窒化ガリウム基板を筑波事業所と水島事業所(岡山県倉敷市)で生産している。一般的な気体状の材料から窒化ガリウム結晶を成長させる気相法ではなく、材料を溶かした液から結晶を成長させることで生産効率を増した液相法と呼ぶ生産手法での量産を2015年度中に始める。

1506荷主研究者:2015/07/15(水) 21:56:41

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2015/06/30-20768.html
2015年06月30日 化学工業日報
丸善石化 千葉でシクロペンタン増強 8000トン体制に

 丸善石油化学は、千葉工場でシクロペンタンの生産能力を増強する。2016年夏に遊休設備を改造して専用設備化することにより、年産能力を現状比8倍の8000トンに引き上げる。電気冷蔵庫向けポリウレタン発泡剤として東南アジアを中心に需要が増加していることに対応。供給力を高めるとともに、スケールメリットを発揮してコスト競争力を確保する。

1507荷主研究者:2015/07/20(月) 22:53:46

http://diamond.jp/articles/-/72870
2015年6月10日 週刊ダイヤモンド編集部
中国人のおむつ“爆買い”で
三井化学に迫られる工場増設の決断

同じ不織布メーカー、おむつメーカーによる中国製の紙おむつがあっても、中国人は日本製にこだわり、爆買いする
Photo by Ryosuke Shimizu

 国内化学大手の三井化学が頭を悩ませている。悩みの種は、紙おむつ。同社は紙おむつの材料である不織布を生産しており、それが品不足に見舞われてきているのだ。

 原因は中国人による紙おむつの“爆買い”で、数字を見てもその影響は明らか。衛生材料の業界団体の統計によると、2014年の国内の乳幼児用紙おむつの生産枚数は、少子化にもかかわらず前年比で12%も増えた。

「本来、必要としている人に行き渡らないんですよ」。ドラッグストア幹部はこう吐き捨てる。来日した中国人観光客が自分の子どものために、あるいは親戚やご近所へのお土産に買っているだけならいいが、ブローカーの“買い子”が大量に買いあさっているのだ。

 この幹部によると、ブローカーは買い子から紙おむつを1.25倍の価格で買い取って船で輸送。「日本製」を重んじる中国の消費者に倍額で売る。ブローカービジネスがはびこっているというわけだ。

投資額でかい不織布工場

 買い子は店にあるだけ全部買っていくため、数量制限を設けている小売店も多い。だが、それを見越して車で買い回っているから効果は限定的だ。「中国人から神格化されている」(ドラッグストア関係者)という花王のメリーズに至っては、納品トラックの後を追い掛けて購入するつわものもいる。

 結果、品薄となり、小売店は仕入れもままならない。「クレームを入れているが、メリーズはもうずっと全然足りていない」(ドラッグストア幹部)。メリーズに続いて、国内最大手であるユニ・チャームのムーニーも「購買力の弱いチェーンに、オーダー数がきちんと入らなくなってきた」と嘆く。

 おむつメーカーが増産を検討せざるを得ない状況の中、同じく決断を迫られているのが三井化学だ。

 日本製の乳幼児用紙おむつには、最高品質の高機能な不織布が不可欠だ。例えば、おなかや脚にしっかりフィットし、なおかつゴムのようにキツく締め付けることがないという紙おむつの絶妙な伸縮性は不織布のなせる業である。

 こうした高機能不織布は、三井化学がアジアのシェアの6〜7割を握っている。おむつメーカーが増産すれば、その分、同社も不織布の供給を増やさねばならないわけだが、日本製の紙おむつに使われている最高品質の不織布を作る日本の工場はほぼフル稼働で、「在庫に余裕もない」(三井化学幹部)。

 すぐさま工場の増設をするかといえば、判断が実に難しい。不織布の製造設備は大規模で、増設には50億円程度掛かることもザラ。中国人の爆買いがいつまで続くか読み切れないのに、おむつメーカーの要請においそれと応じて投資するのは危険だ。

 当面は汎用品のラインを高機能品に転換してしのぐとみられるが、増設の可否について熟考する日々が続く。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 新井美江子)

1509とはずがたり:2015/07/21(火) 11:15:24
>>1503とか

カーボンブラック協会について
http://carbonblack.biz/member.html

製造会員

旭カーボン株式会社 新潟市東区鴎島町2番地 025-274-1211
http://www.asahicarbon.co.jp/

キャボットジャパン株式会社 東京都港区芝大門2-5-5 03-3431-1721
http://www.cabotcorp.jp/company/worldwide-locations/asia-pacific#日本_locations
キャボットジャパン株式会社 山口県下関市彦島迫町7-3-35
キャボット・ノリット・ジャパン株式会社 千葉県市原市姉崎海岸95(出光興産・住友化学付近)
キャボットジャパン株式会社 千葉県市原市八幡海岸通3(新三井製糖・宮地鉄工所付近)

新日化カーボン株式会社 東京都千代田区外神田4-14-1 秋葉原UDX 03-5207-7638
http://www.nscc.nssmc.com/nscc-carbon/corporate.html
【田原製造所】愛知県田原市緑が浜1-2

東海カーボン株式会社 東京都港区北青山1-2-3 青山ビル 03-3746-5114
http://www.tokaicarbon.co.jp/company/place.html
工場
石巻工場 宮城県石巻市重吉町1番10
湘南工場 神奈川県茅ヶ崎市円蔵370番地
知多工場 愛知県知多郡武豊町五号地1番
滋賀工場 滋賀県近江八幡市長光寺町705番地
防府工場 山口県防府市大字浜方569番地
九州若松工場 福岡県北九州市若松区藤ノ木三丁目2番26号
田ノ浦工場 熊本県葦北郡芦北町小田浦959番地の1

三菱化学株式会社 東京都千代田区丸の内1-1-1 パレスビル 03-6748-7151
http://www.carbonblack.jp/

1513とはずがたり:2015/07/29(水) 19:42:49

あんま医薬品保護をないがしろにすると新薬の開発が遅れるけど大丈夫かなぁ。。

最大の懸案「医薬品保護」で米が譲歩へ…TPP
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/study/2246/1060165061/733
03:00読売新聞

環太平洋経済連携協定(TPP)交渉で合意に向けた最大の懸案となっているバイオ医薬品を独占販売できる「データ保護期間」について、参加12か国は7-8年に統一する調整に入った。

 これまで大手製薬会社を多く抱える米国が12年、日本などは8年、後発医薬品を活用したいマレーシアやニュージーランドなどが5年以下を主張し、対立が続いてきた。米国が10年未満を容認する姿勢に転じた。

1514荷主研究者:2015/08/01(土) 22:03:44

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2015/07/09-20905.html
2015年07月09日 化学工業日報
地域連携 各地で加速

 大規模かつ最新鋭の石油精製―石油化学設備が統合運営されるアジアの石油コンビナートとの国際間競争が厳しさを増すなか、国内で生き残りをかけた地域連携の動きが本格化してきた。岡山県・水島地区では旭化成ケミカルズとJX日鉱日石エネルギー、三菱化学の3社が来春に予定されるエチレンセンター集約後を見据え、原燃料融通の議論を開始した。四日市でも石油元売り大手2社が、大分では昭和電工とJXが連携の動きを深めている。個社単位の競争力向上には限りがある。企業の垣根を越えた連携を模索する動きが相次いでいる。

【水島】*蒸気融通の検討も開始*
 来年3月、旭化成側のナフサクラッカーを停止し、三菱化学設備に集約する水島地区。クラッカー停止にともなう用益や留分バランスの大幅な変化を想定し、旭化成は近隣との連携に乗り出した。

 JXとの水素や燃料ガス融通の協議が緒に就いた。水素は旭化成側ではB地区のシクロヘキサノールの製造などで大量使用し、JXも脱硫工程で不可欠なため目的生産している。「互いに不足するときに融通しあえば大幅なコストメリットが期待できる」(JX幹部)。

 旭化成はJXの常圧蒸留装置(トッパー)などの装置から副生するガス(ライトハイドロカーボン)を譲り受け燃料に使用する考え。定期修理でナフサクラッカーが停止しても、「燃料を受給することで誘導品だけ動かすことも可能となる」(旭化成幹部)。

 一連の融通のため、水島B地区では数億円を投じて両社を結ぶ配管を新設する構想だ。今後詳細を詰め、2017年春の旭化成側の定修後に具体的工事に着手する。

 両社と三菱化学を加えた3社は、石油コンビナート高度統合運営技術研究組合(RING)を通じた原燃料の融通を進めてきた。13年初にはJXの流動接触分解装置(FCC)から出るC4留分をナフサクラッカーに供給し分解原料としての利用を始めている。

 3社は新たに既存設備を利用しての蒸気融通の検討も開始。原燃料の外部購入から、コンビナート内部で発生する余剰燃料でつくった蒸気や電力に切り替えることで、トータルキャッシュアウトを減らして各社で利益を享受する発想だ。

【四日市】*関連製品の物流でも*
 国内の燃料油内需減を受け事業提携に踏み切ったコスモ石油と昭和シェル石油。16年度末にコスモが四日市製油所のトッパー1基を止め、昭シェルが不足分を供給する。

 両社は新たに関連製品の物流でも協業に踏み出した。年内をめどに昭シェルが高松に持つアスファルト物流基地を年内を増強し、コスモと共同利用する計画。四日市の両製油所で製造したアスファルトの高松への共同輸送も実施する。コスモは輸送コストを削減でき、昭シェルは設備稼働率の上昇につながる。両社合わせて年間で1億円弱のコスト削減となる公算で、「石化製品も含めたさらなる製造、物流の合理化も検討している」(コスモ幹部)。

【大分】*残渣油を有効活用へ*
 原燃料や用益の融通の連携を深めているのが昭電とJX。川を挟んで隣接する両社は14本の海底配管で互いを結び、水素や窒素などを融通してきたが、現在は3本が遊休状態にあり、新たなネタ探しを進めてきた。

 連携テーマとして浮上してきたのが昭電のエチレンボトム(分解残渣油)の有効活用。従来は燃料など使い道が限られてきたが、JXの重油のブレンド基材として使えば製品のバリューアップにつながる。すでにJX側で品質確認を始めている。今後もJXが燃料に回していた留分を石化製品の原料に転換するなどの議論を進めるとしている。

   ◇ ◇ ◇

 燃料から原料、原料から製品へと、留分のバリューアップを図るのはどの工場にとっても共通課題。単一工場の取り組みを超えて地域やグループ単位での競争力強化が、アジアのコンビナートと伍していくために不可欠の命題となっている。
(但田洋平)

1515荷主研究者:2015/08/01(土) 22:07:01

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2015/07/16-21011.html
2015年07月16日 化学工業日報
新日鉄住金化学 大分でジビニルベンゼン増強

 新日鉄住金化学は、ジビニルベンゼン(DVB)を増強する。イオン交換樹脂の原料として引き続き需要の増加が見込まれることから、来年春に、ボトルネック解消によって年4000トンの生産能力を15%引き上げる。基礎化学品事業では、グループのNSスチレンモノマーが、スチレンモノマー(SM)原料のベンゼンの自生率を高める目的で芳香族製造装置の増強を計画する。

1516荷主研究者:2015/08/01(土) 22:08:01
>>1507
http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2015/07/16-21018.html
2015年07月16日 化学工業日報
三井化学 紙おむつ向け不織布 四日市で3割増強

 三井化学は、三重県四日市市で紙おむつに使われるポリプロピレンスパンボンド不織布の生産能力を増強する。生産ラインを新設し、2017年下期に稼働させる計画。投資額は50億―60億円。四日市における増強後の生産能力は年6.4万トンと現状に比べ3割増える。インバウンド需要の拡大や円安進行を受けておむつメーカーが日本拠点で相次ぎ増産し始めており、中長期にわたり需要が見込めると判断した。

1517荷主研究者:2015/08/01(土) 22:08:22

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2015/07/17-21023.html
2015年07月17日 化学工業日報
ファイン系企業の投資意欲高まる

 ファインケミカル系企業の設備投資意欲が高まっている。好調な業績を背景に今年度以降、投資を増額する企業が相次ぐなど、利益を成長分野へ振り向ける好循環が見え始めた。海外のみならず国内投資も活発化しており、積極姿勢への転換が顕著となっている。

 昨年度に過去最高の売上高、利益を計上したダイセル。今年度の設備投資は410億円と前年度比100億円超増額した。自動車エアバッグ用インフレータ(ガス発生器)や、たばこフィルター用アセテート・トゥといったグローバルに伸びている戦略商品がターゲット。営業・経常・純利益いずれも最高を更新した日産化学工業は今年度、ディスプレイ材料や半導体材料を中心に投資を増やす。

 日本触媒は、戦略商品である高吸水性樹脂(SAP)で大型投資を実行している。2016年6月の完工予定で姫路製造所(兵庫県姫路市)に年産5万トンプラントの建設を進める一方、ベルギー子会社で同10万トンの増強を決定。トップサプライヤーとしての地位を、より強固なものとする構えだ。

 経営環境が好転するなか、中長期的視点で設備投資を増やす企業も目立ってきた。ADEKAは、今年度からスタートした3カ年の新中期経営計画において、前中計を上回る400億円の投入を計画。さらに新規事業の育成や業容・領域の拡大を早期に実現させるため、300億円のM&A(合併・買収)枠を準備した。

 三洋化成工業は、18年度までの4カ年の新中計で総額560億円を投資。主力事業であるSAPや潤滑油添加剤など海外での生産体制を強化する。第一工業製薬は、19年度を最終とする5カ年計画において150億円超の設備投資を予定。コア事業の増強に加え、M&Aを視野に入れる。

 国内で安定した需要が見込める医薬関連分野でも設備投資が活発化している。有機合成薬品工業は、常磐工場(福島県いわき市)の体制整備を進める。同工場では、成長が期待できるジェネリック(後発薬)を含む医薬品の需要拡大に合わせ、医薬品用の保管倉庫新設や多目的プラント建設などへの大型投資を予定している。

 景気回復の力強さに対する不安が大きく、設備投資は長らく盛り上がりを欠いていたが、ここにきて各社の動きが鮮明になってきた。持続的成長を成し遂げるには、業績向上と併せ、生産能力増強や新工場の建設、M&Aなど将来を見据えた策を間断なく打つ必要がある。中長期にわたり安定的に投資が行えるだけの体力が改めて問われる。

1518とはずがたり:2015/08/04(火) 14:20:06

2015.04.16
没落する帝人 赤字と黒字繰り返し、終わりなきリストラ…見通し甘く、危機感ない経営陣
http://biz-journal.jp/2015/04/post_9622.html
文=田沢良彦/経済ジャーナリスト

 帝人の「ジェットコースター経営」に歯止めがかからない。
 同社が2月3日に発表した2015年3月期第3四半期(14年4〜12月)連結決算の最終損益は144億円の赤字だ。通期も180億円の赤字見通しとなり、2期ぶりの最終赤字転落がほぼ確実となった。
 帝人の赤字転落は今期だけではない。同社は直近の7年間、今期を含め4回も最終赤字を記録しており、業績は赤字と黒字の繰り返しだ。浮き沈みの激しいジェットコースター経営といえるだろう。

 今回の第3四半期の業績は、原油安で原料価格が想定以上に下がり、営業利益が前期比1.54倍増の246億円に達した。この勢いで、通期見通しも前期比77.6%増の320億円となった。
 だが、シンガポール工場、山口県の徳山事業所の閉鎖など、電子材料・化成品事業のリストラを主とする特別損失416億円を計上したために営業利益が吹き飛び、最終赤字に追い込まれる見通しになった。
 同社の山本員裕CFOは、2月の決算発表で「構造改革は全体としてほぼ計画通り進捗しており、着実に利益が回復してきている」と余裕を見せ、通期で赤字転落の危機に対する切迫感はなかった。
 会場でこの説明を聞いていた証券アナリストは、「同社は過去7年間、中途半端なリストラで黒字と赤字を繰り返してきた。その原因を究明することもなく、ただうわべの数字を並べただけで『構造改革は計画通り進捗』と、根拠のない説明に終始していた」と憤慨する。
 成長への道筋が一向に見えてこないこの名門企業は、いつになったらジェットコースター経営から抜け出せるのだろうか。

環境変化に対応できない川上重視意識

 同社が416億円もの特別損失計上を明らかにしたのは、昨年11月の15年3月期第2四半期(14年4〜9月)連結決算発表の席上だった。
 電子材料・化成品事業の採算が海外メーカーとの競争で悪化、シンガポール工場と徳山事業所が閉鎖に追い込まれ、それに伴う290億円の特別損失計上を余儀なくされた。
 ほかにも、テレフタル酸ジメチルの生産停止など原料・重合事業で51億円、成長戦略の要に位置づけているヘルスケア事業でも42億円の特別損失を計上している。前出の証券アナリストは「主要事業で軒並み特損を計上するというのは異常で、それに対する緊張感が経営陣になかったのもまた異常だ」と振り返る。
 電子材料・化成品事業のリストラは、CDや家電製品の外装材に用いられているPC(ポリカーボネート)樹脂を生産するシンガポール工場(従業員数約200人)と、ポリエステル繊維を生産する徳山事業所(同約100人)の閉鎖が中心だ。帝人の工場閉鎖は約20年ぶりとなるが、特にシンガポール工場の閉鎖が、同社の迷走ぶりを象徴している。
 同社は99年にシンガポールに進出、一気に4期までの増産計画を立て、エース級の人材を送り込んでPC樹脂事業を急拡大した。しかし、当時から業界内には「人件費や電気代が高いシンガポールの高コスト体質は、PC樹脂のような付加価値の低い原材料事業には向かない」と懸念する声が上がっていた。
 案の定、進出から10年までは好業績で推移していたが、その後は安価な中国製品に追い上げられ、高コストのシンガポール工場製品の競争力は急速に低下する。生産ライン4本のうち、13年10月に1本を停止し、昨年5月にも1本停止した。

 昨年11月の決算発表の席上で、鈴木純社長は「従来型事業からの脱却が遅れ、近年の競争に対応できなかった」と反省したが、会場内の株主から「そんなことは初めからわかっていた」と野次が飛んだ。
 化学業界の関係者は「帝人経営陣の認識が甘いのは、伝統的な川上重視意識が背景にあるからだ」と指摘する。

1519とはずがたり:2015/08/04(火) 14:20:28
>>15187-1519
 例えば、繊維事業であれば「糸売り」を重視し、装置産業特有の「工場稼働率優先の経営」に終始する。川上にいるので、川下にいる消費者のニーズが見えない。ファーストリテイリングとの提携で川中に進出し、「ヒートテック」の共同開発などで繊維事業を再拡大している東レとは対照的だ。

経営計画は希望的観測の数値目標ありき

 同社が12年2月に発表した中長期経営ビジョン「CHANGE for 2016」は、16年度目標に売上高1.3兆円、営業利益1000億円、最終利益600億円を掲げる意欲的な内容だった。
 だが15年3月期の売上高は7800億円、営業利益は320億円、最終損益は赤字の見通しだ。中長期経営ビジョンの目標には遠く及ばないわけだが、そもそも同ビジョンの発表時に、すでに業界内からは「風呂敷を広げすぎだ」と失笑が漏れていた。

 そこで、同社は同ビジョン策定後の経営環境の変化を踏まえ、昨年11月に16年度の経営目標を再設定した「修正中期計画」を発表した。同計画で同社は、16年度の目標を売上高8000億円、営業利益500億円、最終利益250億円へと下方修正した。そして「課題事業に対する抜本的改革の断行」と「『複合化』と『融合』による『ソリューション提供』の実現に向けた重点資源投入」という成長戦略を掲げている。
 しかし、目標を大幅に下方修正した「修正中計」ですら、大半の投資家や証券アナリストが「計画達成は、ほぼ不可能」と、冷ややかに見ている。

 前出の証券アナリストは「修正計画をかき集めて社内調整したような内容だ」と、あきれる。それはなぜかというと、抜本的改革の断行をうたいながら、実際に決めたのはシンガポール工場と徳山事業所の閉鎖だけであり、業績回復の見込みがないアメリカの在宅医療事業やフィルム事業は収益改善目標を示しただけで、それをどう達成するかという具体策は不明だからだ。

 つまり「ちょっと業績が改善したらリストラを中止し、業績が悪化したら慌ててリストラを再開する。これでは、従来のやり方と変わらず、リストラが永遠に終わらない」(前出の証券アナリスト)というわけだ。

 また「『複合化』と『融合』による『ソリューション提供』」の成長戦略も、「項目とコンセプトを書き並べただけで、成長の根拠を何も示していない泥縄のような政策だ」と、前出の証券アナリストはため息をつく。同社の関係者ですら「数字先行で立てた計画であることは否めない」と打ち明ける始末だ。

 リストラは中途半端で、成長戦略の道筋も不明確。さらに、成長エンジンとなる新事業創出は暗中模索で、経営計画の数値目標は単なる願望……。それが同社の低迷の原因であり、実情といえる。事実上、進退窮まった大八木成男前社長から名門復活を託された鈴木社長は、同社最年少となる55歳でトップに抜擢されたが、その責務はかなり重そうだ。
(文=田沢良彦/経済ジャーナリスト)

1520とはずがたり:2015/08/05(水) 13:13:23

山口で工場爆発、従業員1人負傷 「上空数十メートルまで火柱」
共同通信 2015年8月5日 12時28分 (2015年8月5日 12時39分 更新)
http://www.excite.co.jp/News/society_g/20150805/Kyodo_BR_MN2015080501001232.html

 5日午前9時ごろ、山口県山陽小野田市の「中国アセチレン」の小野田工場で「爆発音があり、黒煙が上がっている」と近くの住民から119番があった。消防によると、従業員の男性1人が顔にやけどを負ったが命に別条はないという。
 同社によると、小野田工場では爆発の危険性がある気体「アセチレン」を製造。気体は酸素と混合して燃やし、高温にして溶接や溶断に用いる。
 工場近くにあるビジネスホテルの女性支配人によると、「ボーン」という花火が暴発したような音の後、上空数十メートルまで赤い火柱が立ち上った。鉄筋2階建ての建物は爆風で何度も揺れ、熱風はホテル内まで届いた。

1521とはずがたり:2015/08/07(金) 00:30:56
化学大手6社 全社増益、石化製品が好調 4?6月期
http://news.goo.ne.jp/article/businessi/business/fbi20150805008.html
08月06日 08:21フジサンケイビジネスアイ

 化学大手6社の2015年4?6月期連結決算が5日出そろい、全社が大幅な営業増益となった。原油安を背景に原材料価格が下がり、主力の石油化学製品の採算が改善した。

 この日決算を発表した最大手の三菱ケミカルホールディングスは、売上高、各利益ともに過去最高となった。石化製品のほか、医薬品など他事業も好調だった。営業利益は旭化成と東ソーも過去最高を記録。宇部興産は最終黒字に転換した。

 好業績を受けて、三菱ケミカルと旭化成は4?9月期の営業利益見通しを引き上げた。三井化学は、通期の営業利益見通しを従来の520億円から650億円に上方修正。中期経営計画で掲げた17年3月期の目標(600億円)を1年前倒しで達成する。

 ただ、今後は原材料価格と製品価格の差が縮小し、収益低下が予想されるほか、「原油価格や中国経済の先行きも不透明」(三菱ケミカルの小酒井健吉執行役専務)。このため三井以外は通期見通しを据え置いた。

1522荷主研究者:2015/08/08(土) 22:47:11

http://www.sakigake.jp/p/akita/economics.jsp?kc=20150801a
2015/08/01 08:02 秋田魁新報
ニプロファーマ、大館に新製剤棟 投資は50億円超

 医療機器大手「ニプロ」の医薬品製造子会社「ニプロファーマ」(大阪市)は、秋田県大館市二井田の大館工場に前立腺がん治療用ジェネリック医薬品(後発薬)を生産する新たな製剤棟を建設する。投資額は50億円を超える規模になる見込み。高齢化や食生活の欧米化などにより国内では前立腺がん患者が増加傾向にあり、国が医療費削減のため後発薬の使用を促す中、生産体制を整えて需要拡大に対応する。

 関係者によると、県営大館第2工業団地にある大館工場の敷地内に鉄骨造り3階建ての新棟を建設する。延べ床面積は約6千平方メートルを想定。無菌設備などを備え、2018年中に注射剤の生産開始を目指す。大館工場としては、12年に稼働したバイオ医薬品などの工場整備(約72億円)に続く大型投資となる。

 今後、新棟での生産規模を見極めて従業員の新規採用を検討する。

 生産するのは武田薬品工業(大阪市)が開発した「リュープリン」の後発薬。リュープリンは効き目の長さが特長で、投与回数を減らすことができるため、患者の負担が軽くなるとして普及が進んでいる。前立腺がんのほか子宮内膜症、閉経前乳がんの治療にも使われ、年間売上高1千億円を超す「ブロックバスター」(大型医薬品)として知られる。

1523荷主研究者:2015/08/08(土) 22:51:22

http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0820150730cbau.html
2015年07月30日 日刊工業新聞
東ソー、ジルコニア粉末を3割増産-歯科材向け欧米需要に対応、四日市などの能力倍増

 東ソーは2017年3月をめどに歯科材料などの原料となるジルコニア粉末の生産能力を3割増やす。約30億円を投じて四日市事業所(三重県四日市市)にある設備の生産能力を倍増する。南陽事業所(山口県周南市)でも約9億円を投じて生産工程を改良する。欧米で需要が増えていることに対応する。

 東ソーは南陽事業所で1983年、四日市事業所で09年にセラミックスの一種であるジルコニア粉末の生産を始めた。歯科材料に使う高品質ジルコニアでシェア約8割を持つ。四日市事業所では既存生産設備1系列の増強工事を行い、17年3月までに終える計画。南陽事業所の生産工程改良は16年2月に完成する。

 東ソーは収益力強化に向けた高機能化学品の増産、基礎化学品の生産効率化を進めるため、公募増資などで約352億円を調達することを決めている。このうち39億円をジルコニア粉末生産増強に充てるほか、マレーシアで17年に稼働予定の自動車排ガス浄化部材原料ハイシリカゼオライト生産設備新設に60億円を投じる。

 南陽事業所にある難燃剤原料の臭素生産設備も約46億円を投じて効率化する。現設備を解体し、コスト高の要因だったカセイソーダを使わない独自の生産手法「SO2法」を用いた生産設備を19年12月にも完成させる。

1524荷主研究者:2015/08/08(土) 22:54:18
>>1401
http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2015/07/30-21181.html
2015年07月30日 化学工業日報
ハイモ エマルジョンポリマー 国内3工場で能力増強

 水処理用高分子凝集剤や製紙工程用薬剤などを製造販売するハイモ(東京都品川区、鴇田和啓社長)は、エマルジョンポリマーを増産する。青森工場(青森県上北郡)に新建屋を建設、来春をめどに稼働させる予定。神奈川工場(神奈川県茅ケ崎市)でも今年10月の稼働を目指し増強中で、今年度中に山口工場(山口県熊毛郡)を含めた国内3工場合計で年間8000トンの能力増強を実施する。拡大する需要に対応し先駆けて投資するとともに、事業継続計画(BCP)の観点から安定供給体制を確立するのが狙い。さらに山口工場では隣接地に用地を取得しており、将来の新製品の製造設備建設・拡大のための体制を整える。

1525荷主研究者:2015/08/08(土) 22:55:13

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2015/07/31-21207.html
2015年07月31日 化学工業日報
トクヤマ 窒化アルミの生産能力4割増 放熱向けに需要

 トクヤマは窒化アルミニウム事業を強化する。2018年までに徳山製造所(山口県周南市)の生産能力を現状比約4割増やす方針。今年3月の増強に続くもので、ハイブリッドカーや高速鉄道車両に搭載されるパワー半導体用の放熱基板材料として中長期に需要を見込めるほか、樹脂に充てんするフィラー分野への進出に向けて量産設備を設ける。同社は多結晶シリコン海外事業の不振によって損失を計上、財務基盤の立て直しを急いでいる。世界首位の窒化アルミ事業の成長を加速させ収益基盤を強化する。

1526とはずがたり:2015/08/10(月) 18:03:11

<東洋ゴム>新たに164億円の特別損失計上
http://news.goo.ne.jp/article/mainichi/business/mainichi-20150810k0000e020161000c.html
11:35毎日新聞

 ◇15年4〜6月期連結決算 2四半期連続の赤字

 東洋ゴム工業(大阪市)は10日、免震ゴム製品のデータ改ざん問題で、性能不足の免震ゴムの交換工事追加費用などとして、新たに164億円の特別損失を計上し、6月中間期で特別損失は計304億円にのぼったと発表した。これに伴い、最終(当期)損益は5月修正時の予想(30億円の黒字)から悪化し41億円の赤字に転落した。また、2015年12月期連結決算の業績予想を下方修正し、最終利益は5月修正時より70億円下回る120億円となる。

 同社は5月に発表した1〜3月期連結決算で、免震ゴム約3000基分の交換工事費用としてまず特別損失140億円を計上していた。今回は、新たに確定した改修工事の費用などを追加計上した。

 山本卓司社長は同日、大阪市内で記者会見し、交換工事費用の総額の見通しについて「合理的に見積もり困難で今後、追加で(特損を)計上する可能性がある。現時点ですべては見通せない」と述べた。

 また、7月中に全ての生産拠点・事業で実施した製品の緊急品質監査について、製品自体に問題は発見されなかったが、文書の管理で「軽微なミス」が判明し、年内をめどに再調査をする。

 年内に引責辞任することを表明している自身の後任社長人事については「時期や人物は選定中」とするにとどめた。外部から招へいする予定の会長人事も「未定」とした。当初の想定通り、秋ごろまでに臨時株主総会を開くという。

 一方、同社は偽装にかかわった社員22人を7月末に処分したと発表した。処分内容については「個人情報にあたる」として公表しなかった。【吉永康朗、古屋敷尚子】

1528荷主研究者:2015/08/16(日) 12:07:02

http://www.ehime-np.co.jp/news/local/20150807/news20150807738.html
2015年08月07日(金)愛媛新聞
ダイソー子会社 松山工場に新施設完成

【写真】サンヨーファインが松山工場に新設した原薬製造施設=6日午後、松山市北吉田町

 医薬品原体の製造販売などを手掛ける「サンヨーファイン」(大阪市)が愛媛県松山市北吉田町の松山工場に原薬製造施設を新設し、6日、竣工(しゅんこう)式があった。9月に稼働し、血流改善や骨粗しょう症への効果を見込む医薬品原薬などを製造する。

 サンヨーファインは、東証1部の老舗化学メーカー「ダイソー」(同)の100%子会社。松山工場は同社の中核を担う製造拠点の一つで、現在はインフルエンザの臨床用原薬などを製造している。近年は新薬メーカーとの共同開発に力を入れており、設備の増強を決めた。

 新施設は3階建て延べ床面積約600平方メートル。異物混入の可能性を最大限低減できるクリーンルームを充実させたのが特徴で、投資額は約8億円。

1529荷主研究者:2015/08/16(日) 12:08:12

http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0820150803cbae.html
2015年08月03日 日刊工業新聞
昭和電工、リチウム電池部材増産-川崎の休止設備を再稼働

 昭和電工はリチウムイオン二次電池(LIB)部材の生産増強に乗り出す。川崎事業所(川崎市川崎区)で休止していた正負極添加剤の生産設備を9月に再稼働させる。LIBを保護するアルミラミネート包材、負極材の生産増強も2015年中にも正式決定する。車載用LIB市場の本格的な立ち上がりによる車載用LIBメーカーからの受注増を生産能力増で取り込む。

 昭和電工の正負極添加剤「VGCF」はLIB主要部材の正極材・負極材に少量添加することで車載用LIBの高容量化や長寿命化、安全性の向上に寄与する導電補助剤。川崎事業所に生産設備3基があり年産能力200トンを持つが1基が休止していた。ただ、既存の国内顧客に加え、海外顧客向け出荷数量が増えたため、休止プラントを再稼働する。

1530とはずがたり:2015/08/25(火) 18:16:15
なんで山口組が有毒液なんかを!?

有毒液を山口組から回収か 工場液体漏れ事故 総本部を捜索 兵庫県警
http://news.goo.ne.jp/article/kobe/nation/kobe-20150825004.html
14:16神戸新聞

 神戸・六甲アイランドの廃棄物処理工場で今月3日、ポリタンクから液体が漏れて白煙が発生し、煙を吸った13人が軽傷を負った事故で、ポリタンクは神戸市内の運搬業者が指定暴力団山口組総本部(同市灘区)から回収して持ち込んだとみられることが25日、捜査関係者への取材で分かった。

 捜査関係者によると、液体は同処理工場での処分が認められていない毒物の「フッ化水素酸」だったとみられる。兵庫県警は運搬業者が違法に運び込んだ疑いがあるとみて、廃棄物処理法違反容疑で捜査しており、同日午後、関係先として総本部の捜索を始めた。

 フッ化水素酸は毒劇物法指定の毒物。強い腐食性があり、ガラスのつや消しなど工業用として利用されている。常温で気化し、その気体を吸うと呼吸困難などを引き起こす危険性がある。

 捜査関係者によると、ポリタンクにはフッ化水素酸が入っていたことを示すラベルが貼られており、密閉状態のポリタンクから漏れ出たことで気化が進んだとみられる。県警は、運搬業者が総本部から回収した経緯などを詳しく調べる。

 事故は3日午後3時ごろに発生。廃棄物の仕分け作業中にポリタンクが割れたとみられ、同処理工場の従業員13人が目やのどの痛みを訴えて病院で手当を受けた。
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1532とはずがたり:2015/09/02(水) 23:52:24
B型肝炎治療薬が品薄に…天津爆発で工場被災
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/business/20150902-567-OYT1T50088.html
19:26読売新聞

 B型慢性肝炎治療薬「テノゼット」(一般名・テノホビル)が、中国・天津市で起きた爆発事故の影響で、患者への提供に支障が出ていることが分かった。

 被災した工場の操業再開のめどが立たず、製造販売元のグラクソ・スミスクライン(GSK)が出荷調整を始めた。

 テノゼットは、B型肝炎ウイルスの増殖を抑える薬で、昨年5月に発売された。日本肝臓学会のB型肝炎治療ガイドライン(指針)で、最初に選択すべき薬の一つになっており、約7000人の患者が服用している。

 GSKによると、8月末時点の在庫は約2か月分。安定供給の再開に向けて、中国以外からの製品輸入などで対応することを検討中という。

 これを受け、同学会は会員に対し、当面の間、新規患者への処方を控えることや、テノゼット服用中の患者には長期処方を避けることなどを求めている。

1533荷主研究者:2015/09/06(日) 22:32:30

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2015/08/07-21310.html
2015年08月07日 化学工業日報
東海カーボン 国内の電極生産4割減 LiB負極材などに転用

 東海カーボンが炭素・セラミックスセグメントの合理化に乗り出す。このほど、国内の黒鉛電極の生産能力を現状比約4割削減し、余剰能力を機能材に転用すると発表した。供給過剰が続く黒鉛電極の生産を抑え、太陽電池や半導体向けのファインカーボン、車載用のリチウムイオン二次電池(LiB)負極材などを強化する。防府(山口県)、滋賀(滋賀県)、田ノ浦(熊本県)の3工場の生産品目を同時に再編。2018年までに段階的に実施する計画。事業環境の変化に応じ生産体制の最適化を図ることで、収益力向上を目指す。

【写真】滋賀工場では電極の製造ラインを押出材の生産に活用する

1534荷主研究者:2015/09/06(日) 22:32:52

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2015/08/10-21316.html
2015年08月10日 化学工業日報
ハイモ 製紙工程向け薬剤 BASFと代理店契約

 水溶性高分子などを製造販売するハイモ(東京都品川区、鴇田和啓社長)は、主力事業の基盤強化を急ぐ。このほど、BASF社と同社の製紙工程向け製品に関する販売代理店契約を締結した。ハイモは製紙工程で用いられる各種薬剤を主力製品の1つとしており、今回の締結により代理店販売のみならず、自社製品との組み合わせによるシナジー効果を狙う。また同社は、来年2月に千代田区丸の内へ本社を移転することを決定した。主要取引先との関係性を高めることで、会社の活性化につなげる方針。

1535荷主研究者:2015/09/06(日) 22:33:12

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2015/08/12-21373.html
2015年08月12日 化学工業日報
ダイセル 化粧品原料の1,3BG 大竹工場で来年末に2割増強

 ダイセルは11日、同社大竹工場(広島県大竹市)において、1,3―ブチレングリコール(BG)を増強すると発表した。1,3BGは主に化粧品原料として用いられ、アジアを中心に需要が増加している。今後も同分野での需要の拡大が見込まれることから、生産能力を現状比2割引き上げる。近く着工、来年11月をめどに完了し、同年12月から稼働を開始する予定。また、さらなる能力増強についてもすでに検討を行っており、化粧品原料事業拡充につなげる方針。

【写真説明】1,3BGを増強する大竹工場

1537荷主研究者:2015/09/06(日) 22:45:12

http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0320150818cbad.html
2015年08月18日 日刊工業新聞
三菱化学とパイオニア、ブルーライト成分レスの有機EL照明モジュール開発

 三菱化学とパイオニアは、目の疲れの原因になるとされるブルーライト成分をほとんど含まない有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)照明モジュールを開発、サンプル出荷を始めた。光の色を数値で示す色温度は1900ケルビンでろうそく色タイプのモジュールを寝室や医療現場用、文化財・絵画保管用の照明として売り込む。有機ELパネルに青色素子を使用しておらず、色温度3000ケルビンの従来品に比べて1%未満のブルーライト成分しか含んでいない。モジュールの外形は縦横92・4ミリメートルで厚さ4・3ミリメートル。重さは42グラム。

 三菱化学とパイオニアは2014年に、溶液を基板に塗布して発光層を成膜する独自手法を用いた有機EL照明モジュールの量産を開始。真空装置内で蒸発させた原料を基板上に堆積させる蒸着成膜法に比べて、生産コストを最大10分の1に抑えた。

1539荷主研究者:2015/09/13(日) 12:33:36

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2015/08/25-21529.html
2015年08月25日 化学工業日報
「東ソー 飛躍の軌跡」(上) 高収益企業への挑戦

 東ソーが化学業界屈指の高収益型企業へ脱皮しつつある。規模拡大や多角化経営の失敗のつけを払わされた1990年代の不遇を乗り越え、バランスシートは総合化学のでも極めて優良。ファインスペシャリティ事業が収穫時期を迎え、来期からは30年ぶりに中期経営計画を始動させる。東ソーはどう変わったのか。ここからどのような成長軌道を描くのか。
(但田洋平)
     ◇
※過去最高益を更新※
 東ソーの業績が好調だ。2016年3月期の業績は売上高8100億円、営業利益670億円、経常利益670億円と過去最高を更新する見込み。純利益も前期の623億円が日本ポリウレタン工業の吸収合併による特殊要因だとしても、430億円は実質過去最高値。売上高営業利益率は8・3%、自己資本利益率(ROE)は15%台に達する。

 「90年代のガタガタの業績と比べ、収益構造は飛躍的に改善した」。同社を10年以上ウォッチしてきたバークレイズ証券の山田幹也株式調査部マネージングディレクターは財務指標を眺めてそう評価する。「東ソーといえば電解のイメージが強いが、いまは南陽の巨大なインフラの上に成長性の高い機能商品が乗っかることでバランスのとれたポートフォリオが築かれている」。

※積極的失敗は責めず※
 東ソーは20年かけてバランスシートの健全化に成功した。バブル崩壊後の失われた20年は、同社にとってもまさに苦難の時期。「あと1、2年赤字が続いたら会社はつぶれると本気で考えていた」。3期続けての赤字と大規模リストラを経験した90年代前半を振り返って、宇田川憲一社長は表情を曇らせた。

 つまずきのきっかけは85年度に始動させた中計の失敗。当時は米国流のコーポレート・アイデンティティが花盛り。第2次石油危機を乗り越え、多くの化学企業が成長を目指す計画を競って打ち上げた。イラン石油化学プロジェクト(IJPC)の挫折で1000億円近い損失を被り、75年の鉄興社との合併で企業体質が水膨れしていた東ソーも、過去10年の低成長から脱して規模拡大と多角化を目指す好機と映っていた。

 中計では売上高を90年度までに4500億円へ倍増させ、ファイン・スペシャリティの売上比率を3割から6割に引き上げる目標が掲げられた。合併以来減らしてきた従業員数を2000人増やし、3000億円の投資枠も設定された。

 「エレクトロニクス」「セラミック」「バイオ」の"3種の神器"。成長分野と位置付けられたスペシャリティは社内でそう謳われ、ハードディスクや大規模集積回路(LSI)など知見のない事業にも手を出した。多角化を追求する動きは他社も同様だが、「人と金さえかければ上手くいく」雰囲気が社内に満ちていた。積極的な挑戦の結果の失敗は責めないが、消極的発想による機会損失には厳しく対処する。当時はそんな考えが強く支持された。

※積み上がった固定費※
 だが、中計はすぐに後退を余儀なくされる。初年度に1ドル245円だった為替、1キログラム当たり4・5万円だったナフサ価格は87年度上期にそれぞれ145円、2万円に下がり、石化製品の価格が暴落。不得手なエレクトロニクスの収益も急速に悪化していった。バブル経済に支えられて当初は持ちこたえたが、最終年度の89年に積み上がったのは400億円余りの固定費だけだった。

 他の総合化学メーカーも収益が落ち込んだ時期だが、東ソーの営業利益は総合化学7社平均の半分にも満たず、90年代前半は大幅な赤字に見舞われた。「もちろん全てが無駄だったわけではない。ただ、地に足のつかない事業はいくら人や金を投じても結果はともなわない。それを痛感させられた時期だった」(宇田川社長)。

1540荷主研究者:2015/09/13(日) 12:33:58

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2015/08/26-21556.html
2015年08月26日 化学工業日報
「東ソー 飛躍の軌跡」(中) 高収益企業への挑戦

 中期経営計画が挫折し、バブル経済崩壊とともに東ソーの収益も急速に悪化した。1991年から3期連続の最終赤字に陥り、93年度は経常損失が171億円、純損失は222億円に膨らんだ。

 「このままでは会社がもたない」。経営陣の危機感は強まっていた。当期に100億円を超える最終赤字が確実視されていた92年7月、東ソーは収益改善策の策定に着手。取りまとめを任されたのは、その年に人事部から社長室参事に移ったばかりの有馬雄造氏(現大洋塩ビ相談役)。同業他社との200億円近い収益格差を是正するため、500人の人員削減と不採算事業の見直しによる固定費削減に乗り出した。

※祖業からの撤退※
 不採算事業の見直しは前年に始まっていたが、「事業部中心ではなかなか結論が出ず、社長室が中心になって進めざるを得なかった」(有馬氏)。

 見直しを行った事業は50件に上った。採算性や将来性について社長室と各事業部が膝詰めで議論。ハードディスクやフォトレジスト、農薬、無水マレイン酸、金属クロムなど10事業に撤退や売却の決定が下った。

 収益改善は年100億円近い効果を生み始めていたが、円高や輸入品の攻勢が進み、変動費や固定費のさらなる削減を迫られた。93年度には新たに構造改善委員会を設置。人員を95年度末までに500人減の4000人に削減する計画を掲げ、94年春には希望退職の募集を実施して280人が会社を後にした。山形、日向工場の分離・分社化、ポリプロピレンの撤退、祖業のソーダ灰工場の停止も矢継ぎ早に決めた。「(前身の)東洋曹達の曹達はソーダ灰のソーダ」。祖業からの撤退にOBから反発も受けたが、生き残るために決断を下すしかなかった。

※成長投資へ原点回帰※
 構造改善が実り94年度は通期での黒字、96年度には5期ぶりに累積損失の解消に成功したが、アジア通貨危機を受けた98年度には単体ベースで再び最終赤字に陥る。社長室は2003年度までに固定費などのコストを年150億円削減し、最低200億円程度の経常利益を確保できる構造改革に取り掛かる。

 福利厚生サービス部門をはじめ、情報システム部門や分析部門など効率化が見込まれる機能・組織は分社化し、04年3月末までに要員を約1000人減らして2500人体制とした。有利子負債も700億円減の約2000億円が目指された。

 一方、原点に立ち返り自社の強みを生かした成長策を打ち始めていた。99年に南陽事業所の第2塩ビモノマープラントの増設を完工し、00年に大洋塩ビへの出資比率を37%から68%へ引き上げた。00年代前半には電解、塩ビモノマーやウレタン原料のMDIなどをさらに増強するビニル・イソシアネート・チェーンの第2期計画に1000億円を投じるなど、現在の東ソーを下支えするインフラが構築されていく。

※機能材料拡大の素地※
 スペシャリティも80年代のように手当たり次第に手を出すのではなく、知見のある分野に特化。日本シリカ工業、日本石英硝子、東ソー・ファインケムなどの関連会社への出資比率を引き上げるなど得意分野には経営資源を集中投下。現在の主力となっているスペシャリティ群の成長の素地が築れていった。

 振り返れば、90年代前半の事業見直しの際、リストラ候補には現在の稼ぎ頭であるゼオライトやバイオサイエンス事業が含まれていた。「中長期的にみて何が正解かは誰も分からない。会社の存続がかかっているなかでわれわれも真剣だったし、各事業部も自分たちの事業を守りたいと必死だった。セラミックのジルコニアやゼオライトなどは事業部の粘り勝ちだった。うちにしかない技術、必ず将来花開くとの訴えには説得力があった」。有馬氏は当時をそう振り返る。

1541荷主研究者:2015/09/13(日) 12:34:15

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2015/08/27-21577.html
2015年08月27日 化学工業日報
「東ソー 飛躍の軌跡」(下) 高収益企業への挑戦

 1980年代の多角化経営失敗を教訓に、2000年以降の東ソーは技術やノウハウに強みを持つ事業に経営資源を振り向けていく。収益は順調に回復し、06年度の営業利益は現在でも最高値の604億円を記録した。

 堅調な経営に冷や水を浴びせたのが08年9月のリーマン・ショック。世界規模で需要が減退し、08年度に253億円の最終赤字を計上。総有利子負債は4356億円に膨らんだ。09年6月に就任した宇田川憲一社長は社内に向けて「V字回復」を掲げ、得意分野により集中する厳選投資で収益の回復に努めていく。

※機能品シフト鮮明に※
 とくに00年代半ばに1000億円を投じたビニル・イソシアネート・チェーン第2期以降はバルクのコモディティからスペシャリティへのシフトが鮮明。中国でアセチレン・カーバイド法塩ビ樹脂設備の新増設が想定以上の速さで進み、日本で生産して極東に輸出する同社のビジネスモデルが大きく崩れていた。宇田川社長は高機能材により重きを置くことになる。

 幸い、時流とも合致してスペシャリティ製品群が立ち上がり始めたのもこの頃。自動車排ガス浄化触媒に使用されるハイシリカゼオライトは、排ガス規制が日欧米で強化され日本では09年にいわゆる「ポスト新長期規制」が制定されるなど、普及が進む環境が生まれていた。05年に歯科用として薬事法の認可を受けたセラミックのジルコニアも欧米で採用が広がり始めた。

 バイオサイエンス事業は、日本だけでなく欧米にも進出し10年には中国にも拠点を設置した。今年はインドの体外診断薬製造販売会社を買収するなどグローバル市場に対応できる体制を整備している。売上高営業利益率は13年度がコモディティの3・6%に対し、スペシャリティは12・5%。今期はそれぞれ5・4%、18・3%に高まる公算。

※利益率10%超へ※
 社内では今、来期から始動させる新中期経営計画の準備が緒に就いた。30年前は失敗した中計だが、宇田川社長は再び策定する要因として株主に対する説明責任を強調。「決定打になったのはやはりコーポレートガバナンス・コード。中期経営計画の策定は社会の要請になっている」と説明する。具体的な策定はこれからだが、売上高営業利益率は15年度見込みの8%台を維持しながら20年近傍に10%台に乗せることが目標。コモディティでは5%超、スペシャリティでは20%以上を目指す。

 経営資源は引き続きスペシャリティに重点投下する考えで「1兆円企業を目指すと言うつもりはないが、売り上げが伸びないと成長性が低いとみられる。利益を重視しながら成長性をどうバランスするか思案している」(宇田川社長)。中長期的視点で捉えた時、新中計は?成長への種まきの時期?との位置づけ。足元では過去の投資が実りゼオライトやジルコニアも既存プラントはほぼフル稼働。積み上がったキャッシュはM&A(合併・買収)を含め成長領域に振り向けていく。

※過去の教訓糧に※
 中計に先立ち7月には41年ぶりの公募増資を実施。実施後に株価が下がるなど市場の理解を得たとは言い難いが、宇田川社長は「従来は財務体質が弱いからマーケットの評価も低かった。早く自己資本を高めたいとの思いがあった」と明かす。増資により自己資本比率は6年ほど前からの目標だった40%に届き、自己資本比率(ROE)も15%台と業界でもトップクラス。宇田川社長は「ようやく一人前になった。過去の失敗を繰り返さず、環境変化に左右されない事業構造づくりに着手したい」と語る。

 東ソーは今年、創立80周年を迎えた。新中計にはどのような成長の青写真が書き込まれるのか。90年、100年に向けた成長戦略の策定が今まさに進められている。

1543荷主研究者:2015/10/10(土) 23:26:50

http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0820150916cbai.html
2015年09月16日 日刊工業新聞
宇部興産、セパレーターを4割増産-大容量LIBの需要増に対応

 宇部興産は15日、リチウムイオン二次電池(LIB)の主要4部材の一つであるセパレーター(絶縁材)の年産能力を2017年に現状比4割増の2億平方メートルに増やすと発表した。ハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)などに搭載する大容量LIBの需要増に対応する。

 16年7月に宇部ケミカル工場(山口県宇部市)の既存設備を再構築して生産能力を増やし、17年6月に堺工場(堺市西区)で新規設備を設置する。20年をめどに年産能力を現状比倍増の3億平方メートル規模に段階的に増やす。

 これを受け、日立マクセルも同日、セパレーターにコーティング膜を形成することで高温耐熱性を高めた塗布型セパレーターの加工能力を16年夏に倍増すると発表した。日立マクセルは11年に宇部興産と塗布型セパレーターを供給する会社を設立している。

 セパレーターはLIBの正極と負極の間を仕切るフィルム。正極と負極の接触を遮断しショート(発熱)を防ぐ。製法は乾式と湿式があるが、LIBの出力向上に適しコスト競争力もある乾式セパレーター(写真)が車載向けに適しているとされる。宇部興産は乾式製法を得意としており、すでに車載用途で採用実績を持つ。

1544荷主研究者:2015/10/10(土) 23:28:02

http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0820150918aaag.html
2015年09月18日 日刊工業新聞
日揮、北九州市にケミカル触媒の新工場-大口の受託生産契約で過去最大の投資

 日揮は、石油化学製品の精製に使うケミカル触媒の新工場を北九州市に建設する。子会社の日揮触媒化成(川崎市幸区)が、特定顧客と大口の受託生産契約を締結。一定の供給量が長期に確保できるため、大型投資に踏み切る。投資額は約31億円。日揮触媒化成の受託生産案件としては、過去最大の投資となる。新棟建設で、ケミカル触媒の生産量は年550トン上積みされる。

 新工場は日揮触媒化成の北九州事業所(北九州市若松区=写真)内に建設する。延べ床面積は約2000平方メートル。すでに建設を始めており、2015年度中にも部分稼働、16年8月に本格稼働する計画だ。受注先は明らかにしていないが、石油精製会社とみられる。

 日揮触媒化成は、ケミカル触媒などを顧客と共同開発し、生産を受託する事業に力を入れる。今回の案件もその一環。サンプル生産から量産、コスト・品質管理まで、生産に関わる工程すべてを一体で請け負う。

1545荷主研究者:2015/10/12(月) 11:22:38

http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0820150921cbad.html
2015年09月21日 日刊工業新聞
日本曹達など7社、ブラジル・イハラブラス社に120億円を追加出資-農薬の販売拡大

 日本曹達とクミアイ化学工業、住友商事など7社はブラジルの農薬販売会社イハラブラス(サンパウロ州)に約1億ドル(約120億円)を追加出資する。7社は現在の出資比率に応じて、イハラブラスが実施する株主割当増資を引き受ける。世界最大の農薬市場であるブラジルで事業基盤を強固にし、品ぞろえを充実させて販路拡大につなげる。

 追加出資するのはこのほか三井化学アグロ(東京都中央区)、住友化学、三菱商事、日産化学工業。イハラブラスは1965年、日系農薬メーカーの販売拠点として設立された。独自の販路を確立し、市場規模が大きい大豆やトウモロコシ向けの農薬販売に強い。財務基盤の増強を受け、高付加価値な農薬の開発・投入も加速する。

 ブラジルの農薬市場は、14年に世界市場の約21%に当たる119億ドルに拡大。広大な農地面積や豊富な水資源、安定した気候などを好材料に今後も安定成長が期待されている。

1546荷主研究者:2015/10/12(月) 11:22:59

http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0820150924cbal.html
2015年09月24日 日刊工業新聞
総合化学大手4社、経営資源を高機能品へ集中投資-中国メーカー台頭で生産再編鮮明に

工業用地186万平方メートルを誇る三菱化学黒崎事業所(中央)「デュラビオ」の生産設備が12年に稼働した

 中国メーカーの台頭を背景に、国内化学業界が汎用品から高機能品へ経営資源を移す動きが加速している。国内化学大手の創業地も例外ではなく、高機能化学品への生産再編が鮮明となっている。(水嶋真人)

 「80年の誇りを持って、高機能商品事業を拡大させていく」。染料工場として稼働してから80年という節目の年を迎えた三菱化学黒崎事業所(北九州市八幡西区)所長の小林英信執行役員は抱負をこう語る。

 黒崎事業所は1960年代、高度成長の波に乗り生産を始めたポリエステル繊維原料の高純度テレフタル酸(PTA)、ナイロン原料のカプロラクタム(CPL)など化学品生産設備を99年以降、相次ぎ停止した。一方で、40年の生産実績を持つポリカーボネート(PC)樹脂の技術を生かした植物由来のPC樹脂「デュラビオ」の生産設備(年産能力5000トン)が12年に稼働した。デュラビオは、スズキの軽乗用車「ハスラー」や「アルト ラパン」の内装部品などに採用された。

 旭化成発祥の地で創業92年の延岡支社(宮崎県延岡市)。84年の歴史を持つ再生セルロース繊維「ベンベルグ」で約40年ぶりに増産投資が行われた。約30億円を投じた増産設備が14年6月に稼働。年産能力1万6500トンと従来比1割増えた。ベンベルグを増産投資できたのは世界で旭化成しか生産していない製品だったからだ。

 三井化学も創業103年を迎えた大牟田工場(福岡県大牟田市)で独自製品への投資を決めた。薄くて軽いメガネレンズ材料として需要増が続くメタキシリレンジイソシアネート(XDI、年産能力5000トン)の生産設備を建設中で、年内の稼働を見込む。

1548荷主研究者:2015/10/12(月) 11:54:39
>>1547
http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0820150929cbag.html
2015年09月29日 日刊工業新聞
旭化成、LIB用セパレーター生産を倍増へ-来春から年5億5000万平方mに

 旭化成は28日、2016年春に、リチウムイオン二次電池(LIB)用セパレーター(絶縁材)の年産能力を5億5000万平方メートルと従来比で倍増すると発表した。8月に買収した米ポリポアが持つ年産能力2億平方メートルが加わり、日向工場(宮崎県日向市)の生産能力も増やす。

 旭化成は日向工場と守山工場(滋賀県守山市)でスマートフォンなどに使う小型LIB用の湿式セパレーター「ハイポア」を生産している。高級車向けの大容量LIBにも搭載されているため、日向工場に約50億円を投じて年産能力6000万平方メートルの生産ラインを新設。両工場の生産性向上などで、さらに年産能力3500万平方メートルを上乗せし、湿式セパレーターの合計年産能力を従来比約4割増の3億5000万平方メートルに増やす。

 これにポリポアの乾式セパレーター年産能力2億平方メートルが加わり計5億5000万平方メートルの年産能力を持つことになる。旭化成は乾式セパレーターに強いポリポアを約2600億円で買収した。今後はポリポアの技術と自社技術を融合し、湿式と乾式の長所を融合した新製品も開発する。

1550とはずがたり:2015/10/16(金) 07:52:54
2015年 10月 15日 18:59
エーザイの消化器疾患事業と味の素製薬、来年4月に統合
http://jp.reuters.com/article/2015/10/15/ajinomoto-idJPKCN0S90ZH20151015

[東京 15日 ロイター] - エーザイ(4523.T)と味の素(2802.T)は15日、エーザイの消化器疾患領域系製薬事業と味の素の100%子会社の味の素製薬を統合すると発表した。2016年4月1日に発足予定で、国内最大級の消化器スペシャリティファーマとなる。

統合新会社は「EAファーマ」とし、エーザイが60%、味の素が40%の株式を保有する。エーザイの連結子会社、味の素の持分保適用会社となる。

エーザイの15年3月期の連結売上収益5484億円のうち、新会社へ移管する事業は399億円。今後、パートナーの承認を得て移管する製品もある。一方、味の素製薬の15年3月期の売上高は432億円。

両社の販売製品を併せることで、上部・下部消化管、肝臓、膵臓を網羅的にカバーする品ぞろえが実現できるという。また、重複機能を見直すことで効率化を図り、収益性を高め、新薬開発に資源を振り向けていくことが可能となる。

エーザイの内藤晴夫社長は会見で「今回の統合のコンセプトは、領域の集中。効率化や生産性アップのためで、リストラという側面はない」と述べた。

エーザイのフィナンシャルアドバイザー(FA)は野村証券、味の素はJPモルガン証券。

味の素の西井孝明社長は、今後の同社の医薬事業について「ヘルスケア領域は、再生医療材料、バイオ医薬品の受託・開発製造、高機能バイオ新素材領域などで成長機会を積極的に追及する」とした。

(清水律子)

1551荷主研究者:2015/10/21(水) 23:02:43

http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0820151008cbab.html
2015年10月08日 日刊工業新聞
セントラル硝子、六フッ化タングステンの生産能力を40%引き上げ

 セントラル硝子は7日、半導体製造の成膜工程で使われる六フッ化タングステン(WF6)の生産能力を従来比30―40%引き上げると発表した。宇部工場(山口県宇部市)に年産150トンのプラントを新設し、2017年1月の稼働を目指す。国内外の半導体大手に供給する。投資額は非公表。

 半導体業界で加速する電子回路の微細化・集積化を背景に、WF6は足元で需給が逼迫(ひっぱく)する傾向にある。WF6の使用量はこの先も大きく伸びると見込まれることから、早期の生産増強が必要と判断した。

1552とはずがたり:2015/10/26(月) 16:13:58
2015年10月22日
資源不振を補えるか。大手商社が熱を上げるメタノール
ガス価格下落で生産コストを抑えられるメリットも
http://newswitch.jp/p/2418

 大手商社が海外でメタノール製造事業を拡大している。三井物産は中国に次ぐ世界2位の需要国の米国で商業生産を始めた。また、天然ガス産出国で新たな事業に乗り出す動きもある。メタノールは接着剤や農薬、塗料の原料など幅広い用途に使われ、特定の産業の景気に左右されにくい。需要増加も見込まれるため、各社は供給体制を強化している。

 シェール革命により競争力のある原料ガスを自前で調達できるようになった米国。2014年はメタノール需要680万トンの内510万トン程度を国外から輸入しているが、今後は”地産地消国“への移行が予想される。

 三井物産はこのほど、テキサス州で現地化学品大手セラニーズと組んでメタノールの生産を開始した。生産量は年間約130万トン。両社が半分ずつ引き取り、三井物産は主に米国向けに販売する。米国でのメタノール生産開始はシェール革命以降では初。他社に先駆けて始動し、顧客開拓につなげる。

 また同社は、ガス開発を起点とする事業基盤作りに注力している。”川下“にあたる化学品分野への展開により、現地で参画しているシェールガス開発と合わせ、ガスの価格変動に左右されにくい事業構造を目指す。

 米国以外のガス産出国でも、現地で原料調達から生産まで手がけるプロジェクトが相次いでいる。

 双日はパプアニューギニアで、国営石油会社とメタノール製造に向けた事業化調査を始める。合弁会社を通じて原料ガスの調達場所やプラント候補地の選定などを実施し、事業性を検証した上で、20年の製造開始を目指す。総事業費は約1000億円を見込む。

 三菱商事はカリブ海のトリニダード・トバゴでメタノール生産に乗り出す。三菱ガス化学や現地企業と共同でプラントを建設し、19年に生産を始める予定。総投資額は約1200億円で、メタノールを年間100万トンのほか、液化石油ガス(LPG)やディーゼルの代替燃料として注目されるジメチルエーテルも2万トン生産する。

 メタノールの世界需要は14年で約6400万トンあるとされ、今後も年間4―5%程度の割合で伸びる見通し。各社は生産量の拡大とともに従来のメタノール製造販売ノウハウを生かし、需要を取り込む。

 またガスを原料とするメタノールは、ガス価格下落により生産コストを抑えられる。エネルギー開発を手がける大手商社にとっては、資源価格下落の影響を補う収益源としても期待される。
(文=土井俊)

1553荷主研究者:2015/11/07(土) 22:26:26

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2015/10/13-22089.html
2015年10月13日 化学工業日報
【中間製品 動向を探る】 1,4ブタンジオール<上>

▲大連化学の中国・盤錦の1,4BD設備。同国の需要を取り込むため、この間、生産能力を引き上げてきた。

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 北米シェールガスや中東の天然ガス、中国の石炭化学などで化学産業の世界的な構図は大きく変わるとされ、その話題はエチレンをはじめ基礎化学製品に焦点があてられる。一方、中間製品はどのように市場が変化し、各社はいかに事業を展開するのか。各製品の方向性を探る。まず1,4ブタンジオール(1,4BD)を取り上げる。
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 1,4BDは、ポリウレタン弾性繊維(スパンデックス)やポリブチレンテレフタレート(PBT)をはじめ、テトラヒドロフランやガンマブチロラクトンなどの工業薬品の原料として使用される。天然ガス、ブタン、ブタジエン、プロピレン、アセチレンなどを原料に製造される。

 主用途のスパンデックス需要は、世界規模では10%程度の成長率で伸びている。とくに中国はスパンデックスの一大市場となっており、生産能力も拡大基調にある。それにともなう需要増に応じて1,4BDの生産設備も急増。生産能力が膨れ上がり需給バランスは大幅に軟化した。

 中国での生産設備の急増による供給過剰から市況も下落。昨年半ばからの原油価格急落によるプロピレンやアセチレンの価格低下も後押しし、過去12カ月の間で中国市場の1,4BD価格は約50%下がった。

 さらに、今後も新増設が予定されており、計画では中国国内だけで50万トン以上の新規プラント建設が控えている。市場関係者らは中国メーカーが淘汰される可能性は低く、生産能力は増え続ける。

 厳しい事業環境のなか、主要各社は誘導品を含めたチェーン展開を強める。

 世界ナンバーワンサプライヤーのBASFは、1,4BDチェーンを最重要事業の一つと位置付け、PolyTHFなどの誘導品を含めた展開を強化する。同社は独ルートヴィッヒスハーフェン、米ルイジアナ州ガイスマー、千葉、マレーシア・クアンタン、中国・上海で1,4BDと誘導品を生産している。生産能力は15年末までに年65万トンとなる。誘導品関連のアジア展開では韓国、中国のPolyTHF、マレーシアの東レとの合弁のPBTは高稼働で推移している。

 中国供給過剰の問題はあるが、市場でのプレゼンスを一層高めることを目的に新規の事業化の議論も進んでおり、原料、需要面を含め競争力ある立地を見極めている。

 三菱化学は四日市事業所にブタジエンを原料とする製造プロセスの1,4BD/THF併産プラント(年産6万トン)を保有している。従来9万トンの能力を有していたが、2011年に原料ブタジエンの高騰によるコスト上昇と中国の供給能力拡大で輸出も厳しくなったことから、一部設備の停止を決定。13年春に現在の体制に集約した。

 6万トン体制の下では国内市場への供給で展開している。内需はスパンデックスの海外生産シフトなどで伸びは期待できないが、一定水準で推移している。国内顧客への安定供給とPTMEGなど誘導品へ振り向ける自消分でフル稼働の状態が続いている。

 台湾・長春グループの大連化学は、中国では盤錦と儀征に1,4BD―PTMEGのプラントを持つ。中国需要を取り込む狙いで、この数年間で儀征で4万トン、盤錦で15万トン能力を引き上げた。

 中国需要が減退したため、足元の稼働率は70―80%。グループのアリルアルコールから1,4BD、THF、PTMEG、PBT/PBTコンパウンドまで一貫で生産できる点を強みに事業を展開する方針。

(不定期掲載。<下>は14日付を予定)

1554荷主研究者:2015/11/07(土) 22:26:51

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2015/10/14-22127.html
2015年10月14日 化学工業日報
【中間製品 動向を探る】 1,4ブタンジオール<下>

 1,4BDは、中国での生産設備急増による供給過剰から市況も下落している。さらなる新増設計画もあり、当面厳しい事業環境が続く見込み。主要各社はTHF(テトラヒドロフラン)やPTMEG(ポリテトラメチレンエーテルグリコール)などの誘導品を含めたチェーン展開で事業基盤を強固にする。さらに将来を見据え、原料多様化にも力を入れており、植物由来をはじめ新製法の技術確立が長期的な競争力強化のカギとなりそうだ。

 1,4BD最大手のBASFは、アジア、欧州、北米にアセチレンを原料とするレッペ法による生産拠点を構える。ただ事業環境の変化が生じても対応できるバランスのとれた事業ポートフォリオを構築するため、原料の多様化を図る方針。

 その一環として、再生可能原料をベースにした商業化に注力。製法は米ジェノマティカ社が特許を持つブドウ糖を原料にした発酵プロセスを採用しサンプル出荷を推進している。今年9月24日にライセンス契約を拡張し、新たに東南アジア地域も対象に加わった。世界規模の設備を建設する計画で年7万5000トンの生産能力を想定する。

 三菱化学は、1,4BDとTHFを併産できる独自のブタジエン法で生産している。石油化学事業全体で、既存の化石原料のうち一定量を植物原料に置き換える目標も掲げ、研究開発を推進してきた。原油、ナフサ、ブタジエン価格に影響を受けない収益体質に強化するためにも、再生可能原料へのシフトを今後の方向性としている。

 その一環で1,4BDも米ジェノマティカと提携。ジェノマティカの保有する高いバクテリア技術と、三菱化学の精製技術を組み合わせ、植物原料の事業化を目指している。

 すでにサンプル出荷を進めているが、競争力ある製造コストを達成することが課題。中国メーカーとのさらなる競争激化に備え、来年度から始まる新中期経営計画中に成果につなげる計画だ。

 非可食であるセルロースへの原料転換に向けた取り組みにも力を入れており、商業生産に向けた研究開発を進めていく。THFではトウモロコシの芯など植物のバイオマスから生産するラボスケールの生産設備を設置し、量産工場を立ち上げるための実証試験を開始した。

 原料多様化に向けた動きに対し、長春グループの陳顯彰副総裁は「再生可能原料ベースの1,4BDが脅威」と警戒感を示す。「実際に再生可能原料由来品の安定生産が可能となり、品質、コストがともなったものが市場に出てくると、石油由来では対抗するのが難しい。ゲームチェンジャーに成り得る」と語る。

 BASF、三菱化学は、長期的に資源や原料の市況変動に左右されない事業展開を図りたい考え。生産能力余剰の問題は続きそうだが、バリューチェーンと原料多様化による差別化戦略が、1,4BD事業の持続的発展に向けた重要なポイントとみられる。

(不定期掲載)

1555荷主研究者:2015/11/07(土) 22:36:10

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2015/10/21-22243.html
2015年10月21日 化学工業日報
エア・ウォーター 川崎化成を軸に化学品強化 フタル酸やナフトキノン

 エア・ウォーターは、今年6月に連結子会社化した川崎化成工業を軸に化学品事業を育成する。川崎化成が得意とする可塑剤原料の無水フタル酸と世界で唯一量産技術を持つ機能化学品「ナフトキノン」の中核事業において、川下進出や海外での製造、販売機会の拡充に向けてM&Aを積極活用する。エア・ウォーターと川崎化成を合わせたフタル酸を含む機能化学品関連の売り上げ規模は現状約400億円。2020年までに、さらに100億―200億円の積み増しを目指す。

1556荷主研究者:2015/11/07(土) 22:36:28

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2015/10/22-22259.html
2015年10月22日 化学工業日報
三菱ガス化学 新潟工場を再構築 抗体医薬受託やMMA製品増強

 三菱ガス化学は、アンモニアの生産を停止した新潟工場で、事業再構築に向けて投資を積極化する。抗体医薬を受託生産する量産工場の設置や、メチルメタクリレート(MMA)系製品群の増強などを2017年度までに実施する計画。収益性の低い汎用品事業を縮小する一方、特徴ある高付加価値品に経営資源を集中し、スペシャリティケミカル工場への転換を目指す。

1557荷主研究者:2015/11/08(日) 00:04:40

http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0420151020afad.html
2015年10月20日 日刊工業新聞
国内化学各社、セパレーターの生産能力を相次ぎ拡大-2020年見据え先行投資進む

トヨタ自動車の新型プリウス向けLIB

 国内化学各社が、リチウムイオン二次電池(LIB)の主要4部材の一つであるセパレーター(絶縁材)の生産能力を相次ぎ増やしている。世界各国の環境規制強化で電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)などLIB搭載車の市場拡大が2020年ごろに進んだ際の需要増を取り込む狙いだ。(水嶋真人)

 セパレーター世界シェア首位の旭化成は16年春に年産能力を5億5000万平方メートルと従来比で倍増する。8月に買収が完了した米国のセパレーター大手ポリポア・インターナショナル(ノースカロライナ州)が持つ年産能力2億平方メートルが加わるほか、日向工場(宮崎県日向市)に約50億円を投じて年産能力6000万平方メートルの生産ラインを新設。同工場と守山工場(滋賀県守山市)の生産性向上などで、さらに年産能力3500万平方メートルを上乗せする。

 旭化成の小堀秀毅専務執行役員は「当社の次の成長エンジンの一つがセパレーターだ」と意気込みを示す。事実、ポリポアの買収は同社にとって最大となる約2600億円を費やした。これにより量産車用LIB向けに採用が進むとされる乾式セパレーターという武器を手に入れた。ポリポアは14年11月、パナソニックと次世代の車載用LIB向けセパレーターの共同開発で合意した。長期的な提携も視野に入れている。旭化成が米国のEVメーカー向けに需要増を十分取り込む体制を整えたと言えそうだ。

リチウムイオン二次電池の構造

 宇部興産もセパレーターの年産能力を17年に現状比4割増の2億平方メートルに増やす。16年7月に宇部ケミカル工場(山口県宇部市)の既存設備を再構築して生産能力を増やし、17年6月に堺工場(堺市西区)で新規設備を設置する。20年にも現状比倍増の3億平方メートルへ増やす計画だ。

1560荷主研究者:2015/11/15(日) 15:50:47

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2015/10/30-22366.html
2015年10月30日 化学工業日報
三井化学 岩国大竹で増産体制 粘度調整剤に加え機能樹脂

 三井化学は岩国大竹工場(山口県玖珂郡)の生産体制を強化する。自動車ギヤ油の粘度調整剤「ルーカント」を4割増強するほか、電子部品などに採用が好調な変性ポリアミド6T樹脂「アーレン」など複数の製品でも設備の手直しを通じて付加価値の高い銘柄を増産する。新製品の量産も目指す。同工場は基礎化学品のテレフタル酸(PTA)の売り上げ規模が大きいが、中国企業の増産で市況が低迷し、採算性は高くない。収益性に優れる高機能樹脂を軸とする国内主力拠点として生産を拡充していく。

1561とはずがたり:2015/11/18(水) 19:05:42

仏エア・リキードが米エアガスの買収で合意-1.3兆円
http://jp.wsj.com/articles/SB10589961604557044643904581362210418072424
MARIA ARMENTAL and INTI LANDAURO
2015 年 11 月 18 日 07:53 JST

 産業用ガス大手の仏エア・リキードは米同業エアガスを103億ドル(約1兆2700億円)で買収することで合意した。この買収でエア・リキードの北米での地位は強化される見通しだ。

 ブルームバーグが17日、関係筋の話として両社の交渉を報じていた。債務を含めると、買収総額は約134億ドルと見積もられる。

 契約条件によると、エア・リキードはエアガス株1株につき143ドルを支払う。17日の米株式市場でエアガス株は買われ、前日比31.17ドル(29.36%)高の137.35ドルで引けた。

 両社取締役会はそれぞれ全会一致で合意を承認した。今後、当局とエアガス株主の承認を受ける必要がある。

 パリを本拠とするエア・リキードは80カ国に拠点を構え、鉄鋼、製薬、自動車の水素スタンドなど幅広い業界にガスを提供している。米州本社はテキサス州ヒューストンにあり、米国では140余りの産業ガスプラントを構えている。

 エア・リキードの2014年の売上高は154億ユーロ(約2兆円)だった。

 ペンシルベニア州ラドナーに本社を置くエアガスは米国の産業・医療・特殊ガス業界で最大級の供給業者。酸素、窒素、アルゴンなど大気ガスの生産でも大手だ。15年3月期の売上高は53億ドルだった。

1564とはずがたり:2015/11/23(月) 17:26:30

2015年 11月 23日 15:15 JST
米ファイザー、18兆円超で同業アラガン買収へ=関係者
http://jp.reuters.com/article/2015/11/23/allergan-m-a-pfizer-idJPKBN0TC0CG20151123

[22日 ロイター] - アイルランドの製薬大手アラガン(AGN.N)が米ファイザー(PFE.N)による買収の受け入れで合意した。状況に詳しい複数の関係者が明らかにした。23日にも正式発表される見通し。

買収額はヘルスケア業界では過去最大の1500億ドル(約18兆4800億円)超で、世界最大の製薬会社が誕生する。ファイザーは本拠地を法人税率の低いアイルランドとする見込みで、米大統領選を控え政治的な議論を呼ぶ可能性がある。

関係者によると、ファイザーはアラガン株1株につき自社の11.3株を割り当てる。買収総額の10%未満を現金で支払う可能性もある。

新会社の最高経営責任者(CEO)にはファイザーのリードCEOが就任し、売上高は600億ドル超に達するとみられている。

2015年 10月 30日 13:24 JST
コラム:ファイザーのアラガン合併交渉、拙速がもたらす危険
http://jp.reuters.com/article/2015/10/30/allergan-m-a-breakingviews-idJPKCN0SO0BU20151030?rpc=188&sp=true

[ニューヨーク 29日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米製薬大手ファイザー(PFE.N)は、性急で複雑なディールにのめり込み過ぎているのかもしれない。現在は同業のアラガン(AGN.N)と合併交渉を進めており、統合後の新会社を分割する可能性が大きいように見受けられる。

迅速に動いているのは、株安と税負担面での有利さがある今の時期を逃さないようするためで、税金に関するメリットは米議会が来年の選挙後に刷新されれば消えてしまう可能性がある。だが拙速は、ことを誤らせかねない。それはファイザーも重々承知しているだろう。

両社の合併交渉は、ヘルスケア業界における企業合併・買収(M&A)の活発さを象徴している。アラガンは今年既に後発医薬品(ジェネリック)のアクタビスに660億ドルで買収された。アクタビスは新社名をアラガンとしたほか、大半の事業をテバ(TEVA.TA)に405億ドルで売却した。そしてファイザーも、同じような込み入った構造の取引を検討している。

1565とはずがたり:2015/11/23(月) 17:26:59
>>1564-1565
ファイザーにとってこの案件の一番の魅力は、海外の税率の低さだ。アラガンはアイルランドを拠点とするだけに、ファイザーは法人税負担軽減のための本社海外移転、いわゆるインバージョンができる。それによって年間の納税額は20億ドル前後も少なくなる。

アラガンとの統合で、ファイザーとしては新会社を2つの企業に分割することの妥当性も強まる。一方はブランド医薬品、もう一方はジェネリックと投入から時間が立った医薬品を販売する。アラガンはブランド医薬品の分野では規模が大きく、成長スピードはファイザーよりも速い。またファイザーが今年150億ドルで買収したホスピーラは、ジェネリック注射剤を専門に手掛けている。

ファイザーは既に分割準備のために3億ドル強を費やし、5年前にそのための資産の売却や分離を開始して以降で、株価は2倍に上がった。そこでアラガンを統合すれば、2つの強力な製薬会社を生み出せるしっかりした素地ができるだろう。

ただしファイザーは急がなければならない。イアン・リード最高経営責任者(CEO)が今週指摘したように、来年の選挙によってインバージョンの禁止に向かうような新たな議会が誕生しかねない。

それだけでなく、ヘルスケア企業の株価は夏場以降に下落し、アラガンの企業価値は今回の統合話が浮上した後でさえ、3カ月前に比べて10%も低い。ファイザーは、企業価値が低い状態が定着しているとアラガン側を説得したいと考えているのは間違いない。

もっとも動くスピードが速くなるほど、間違いを犯す機会は増えていく。ファイザーはM&Aにおいて実績から見れば優等生ではない。同社の企業価値は2000年当時が1400億ドル。それから2350億ドル強をつぎ込んで同業者を相次いで買収した挙句、今の価値は2130億ドルだ。

ファイザーがアラガンとの合併を進めることは、相応の理由がいくつかあるかもしれない。だが同社の過去の例を踏まえれば、慎重を期すべき理由の方が多くなる。

●背景となるニュース

*アラガンは29日、ファイザーからの打診を受けて同社との合併協議を行っていることを認めた。

*ファイザーにとって欧州企業買収の試みは今回のアラガン(29日の時価総額は1130億ドル)が2回目。2014年には英アストラゼネカ(AZN.L)買収を模索したが不成功に終わった。

*アストラゼネカは半年にわたる交渉の後、14年5月にファイザーからの最終提案を拒絶した。ファイザーのリードCEOが推進したこの案件は、本社を米国から英国に移転して納税負担を減らせる可能性があることが主な動機になっていた。

*ファイザーは29日の時価総額が約2190億ドルで、米国最大の製薬会社。27日発表した四半期売上高は122億ドルと前年同期比で2.2%減少した。事業は拡大したものの、為替変動の悪影響が上回った。

1566荷主研究者:2015/11/28(土) 22:03:59

http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0820151102afad.html
2015年11月02日 日刊工業新聞
10gで表面積1ヘクタール、国産の単層CNT量産開始-日本ゼオンが11日に稼働

国産単層カーボンナノチューブ

 国産単層カーボンナノチューブ(CNT)の実用化が大きな節目を迎える。日本ゼオンの量産工場が11日に動きだす。産業技術総合研究所が製造技術を開発し、日本ゼオンと量産プロセスに仕上げた。CNTの発見から約25年、製造技術の開発から10年を経て工業化には成功した。これから車載用電池や構造材など各用途での本格的な実用化開発が始まる。(小寺貴之)

TASCが開発した透明導電フィルム(TASC提供)

 CNTは炭素でできた極細のチューブだ。1991年に名城大学の飯島澄男教授(当時NEC主管研究員)が発見した。理想的な単層CNTは比重がアルミニウムの半分で強度は鉄鋼の20倍、電子移動度はシリコンの約10倍で、流せる電流量は銅の1000倍、熱伝導性も銅の5倍以上と画期的な性質を持つ。

 夢の材料が普及しない理由は既存の炭素材料とのコスト競争だ。NEDO技術戦略研究センターの調査によるとカーボンブラックが1キログラム当たり3000円以下で、製造しやすい多層CNTは同2万―3万円、単層CNTは同1000万円程度とされる。樹脂や電池電極に炭素材料を混ぜて導電率を高める場合、CNTで導電性が5倍になっても、カーボンブラックを5倍加えた方が安くなる。そこで産総研は単層CNTの生産コストを1000分の1に抑えるスーパーグロース法(SG法)を04年に開発。連続生産プロセスを確立するなど10年かけて量産技術に仕上げた。産総研の試験プラントでデータを積み上げ、日本ゼオンが量産工場を設計した。

 日本ゼオンの単層CNTは長さと表面積で差別化する。長さは数ミリメートルで表面積は1グラム当たり1000平方メートルに達する。つまり一握り10グラムのCNTが1ヘクタールの表面積を持つ。まずは電極面積がデバイス性能を決めるスーパーキャパシターに応用する。

1569とはずがたり:2015/12/10(木) 00:50:08
WSJ報道
米化学ダウ・ケミカルとデュポンが統合協議
http://mainichi.jp/articles/20151209/k00/00e/020/210000c
毎日新聞2015年12月9日 11時31分(最終更新 12月9日 12時38分)

 【ワシントン清水憲司】米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は8日、米化学大手ダウ・ケミカルと米同業大手デュポンが統合協議を進めていると報じた。関係筋の話として伝えた。近く発表する可能性があるという。

 同紙によると、統合が決まれば、デュポンのブリーン最高経営責任者(CEO)が統合会社のCEOに、ダウのリバリスCEOが会長に就任する見通しという。ただ、統合協議は最終決着しておらず、決裂する可能性もある。

 両社はともに化学業界の世界的な企業で、2014年の売上高はダウが580億ドル(約7.1兆円)、デュポンが350億ドル(約4.3兆円)。統合すれば、世界最大手の独BASFの740億ユーロ(約9.9兆円)を上回る計算。

 ただ、ドル高に伴って海外事業が不振に陥っており、株主から経営の効率化を求められていた。

 米国企業をめぐっては、製薬大手ファイザーが11月、アイルランド同業大手と合併で合意するなど大型統合が相次いでいる。

1571荷主研究者:2015/12/12(土) 22:59:24

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2015/11/12-22500.html
2015年11月12日 化学工業日報
【戦後70年 激動の化学】 リーダーの証言 / 三井化学 田中稔一相談役 《上》

▼緊急事態で社長就任

 田中稔一相談役(前社長)が三井化学の社長に就任したのは2009年6月だった。それまで副社長を4年務め、64歳になっていた。前任の藤吉建二社長との年齢差はわずか1歳。第2の人生を模索していた時期でもあり、辞退を考えた。しかし同社は「リーマンショックの影響をモロに受け、業績が悪化していた」。09年3月期は営業損益で455億円、最終損益で952億円の大幅な赤字を計上した。化学企業としては過去最大の赤字額だ。続く10年3月期も赤字決算が見込まれた。緊急事態のなかで再建を託されたのだ。「(会長の)中西(宏幸)さんと(社長の)藤吉さんから、次をやれと。難色を示したら、藤吉さんが『日頃、部下に対し、悩んだときや壁にぶち当たったときは自分にとって厳しい方の道を選べ、と言っているじゃないか。あれはなんだったのか』と」。それで受けることとした。

 「一発で日本全体がぶん殴られた」というリーマン・ショック。化学企業としてその激震の影響を最も受けたのは、石油化学事業の比率が高い三井化学だった。さらにリーマン・ショックによる経済低迷を回避するため、中国が石油化学、基礎化学品分野で未曽有の新増設ラッシュに入ったことが追い打ちをかけた。自分を奮い立たせ、社長を受けた田中氏は、三井化学の再建のために「石化、基礎化の再構築、付加価値分野へと経営資源をシフトする」ことを決断、成長分野での投資を断行していく。

▼化学のルーツは三池炭鉱の石炭

 田中氏は、サラリーマン人生で2度の大型合併を経験した。最初の合併は、入社したその年の1968年(昭和43年)10月だった。「4月に東洋高圧工業に入社し、辞令を受けたと思ったら、その10月に(三井化学工業と合併してできた)三井東圧化学として辞令を受けた。滅多にない経験だ」と振り返る。

 田中氏の地元・福岡は、三井グループにおける化学事業の発祥の地だ。「三井の化学事業のルーツは、福岡県大牟田市を中心とする三池炭鉱(三井鉱山)にある」。三池炭鉱は、明治政府の官営事業だったが、石炭の輸送・販売は1876年設立の三井物産が一手に引き受けていた。そして三池炭鉱は1889年(明治22年)に三井財閥に払い下げられた。

 三井鉱山は、三井財閥の成長の原動力だった。「団琢磨などが活躍していた当時、主要エネルギー源であり鉄の原料でもある石炭は、国家の重要産業だった。鉱山開発に賭ける先人達のエネルギーには並々ならぬものがあった」。石炭の輸送の要として閘門式(こうもんしき)の巨大三池港などに惜しみなく「今では考えられないくらい」巨額を投じた。

 やがて鉱山運営の高度化を図るため、化学事業へ進出することになる。「石炭からコークスを製造する際にタールが複製する。ここから、硫安などの肥料原料や染料のアリザリンなどを生産する、いわゆる石炭化学に進出した」。肥料系の事業は東洋高圧へ、染料系の事業は旧三井化学工業に引き継がれていく。

 石炭化学が生み出す肥料、染料などの化学品事業はその後、大きく発展した。「1910年代には第一次大戦を背景に染料需要が拡大した。また戦後の食糧難のなか、いわゆる三白景気で肥料需要が急増した」。衣食住のすべてが不足していた戦後から復興期にかけて、化学事業は重要な産業となっていた。このうち、田中氏の出身母体の東洋高圧は「世界に冠たる尿素(肥料原料)の大量生産技術を保有しており、時代の要請に応えた」。

1572荷主研究者:2015/12/12(土) 23:00:00
>>1571 続き

▼石油化学の台頭

 一方、田中氏が三井東圧化学(東洋高圧)に入社した頃、化学産業は新たな潮流の中にあった。1950年代に日本で勃興した石油化学の急成長だ。三井グループは、新たな産業である石油化学の育成のため、55年に三井石油化学工業を設立。同社は58年に岩国工場(現岩国大竹工場)で日本初のエチレン設備(ナフサクラッカー)を中核とする石化コンビナートの操業を開始した。続いて、旧三井化学工業、東洋高圧も石化コンビナートの建設を決断し、65年に大阪石油化学を設立、70年に泉北コンビナートの操業を開始した。「高度経済成長の3C(カラーテレビ、クーラー、カー)時代に、軽くて成形が容易で、デザイン性に優れた新素材である合成樹脂の需要が大きく拡大したことが背景だった」。

 東洋高圧と旧三井化学工業の合併も、石油化学の台頭が背景にあった。「高度経済成長期においても、肥料や染料事業はまだ元気だった。しかし、両社とも次の時代の柱となる事業を模索していた。それが樹脂だった」。樹脂、つまり大規模な投資が必要な石油化学事業への参入を図ることが、合併決断の大きな要因でもあった。

 「入社後の5年間はポリスチレン(PS)の営業を担当した」。PSは、東洋高圧が主導権を握っていた事業だ。ところがある日、ポリプリピレン(PP)の営業部隊へ移動を命じられた。PPは旧三井化学工業主導の事業だった。「当時は、出身母体を超えた人事交流は行われていなかった時代。生意気な社員だけが異動させられたのかも知れない」。人事交流の第1号だった。その後、PPの営業を10年間続けることになる。

▼共販会社へ出向

 70年代以降、石油化学は構造不況に見舞われた。「雨後の竹の子のごとく合成樹脂の企業が乱立し、利益なき繁忙と呼ばれた」。高度経済成長が終焉して需要の伸びが停滞すると、過当競争体質と設備過剰が業界にのしかかった。円高、オイルショックが追い打ちをかけ、事業収益は惨憺たる状況へ追い込まれていく。

 ついに85年、石油化学は産業構造改善臨時措置法により構造不況業種に指定され、共同設備廃棄と合成樹脂の共同販売会社(共販)の設立が実施された。田中氏は、新設された共販の三井日石ポリマーへ出向することとなった。「共販会社は、生産の統合という本質が欠落していたため、銘柄統一など合理化効果はあったものの、共販としての十分な成果は得られなかった」。

 その一方で「共販会社で他社の人材と知り合ったことは大きな財産になった」という。「このままではいけない、という想いを皆が共有できたことは大きかった。三井石油化学(現三井化学)の土田(忠良)さん、日石化学の安川さんなど当時の仲間とは今でも交流がある。同業も三菱、宇部、昭電ほか、当時の樹脂担当には各社のエースが集まり、鎬を削っていた。こうした有能な人たちが逆境の中で頑張り、各社それぞれが触媒技術やコンパウンド技術などの研究開発にも大きな資源を投入したからこそ、今がある」と振り返る。

(つづく)

1573荷主研究者:2015/12/12(土) 23:00:34

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2015/11/13-22501.html
2015年11月13日 化学工業日報
【戦後70年 激動の化学】 リーダーの証言 / 三井化学 田中稔一相談役 《下》

▼2度目の合併

 田中氏は1992年、工業薬品事業部営業一部長に就いた。国内トップのフェノール事業を擁する花形部門だ。フェノール事業の将来について「需要の伸びが見込めない国内だけでは限界がある」と考えた田中氏は、シンガポールでのビスフェノールA(BPA)進出計画の策定に走り回った。そうしたなかで96年、三井東圧と三井石油化学が合併に向けて合意した。

 合併に向けてのカギは、両社が手掛けるフェノール事業だった。「合併すると、フェノールは国内シェアが50%を超える。公正取引委員会(公取)が認めないだろう」との見通しが強かった。「そこで、三井石化からは中西専務(当時)と企画担当者、三井東圧からは坪井専務と私の合計4人で公取に交渉に行った」。交渉相手は企業結合課の鵜瀞(うのとろ)惠子課長。「国内で戦う時代ではない、国際競争だと訴えた」。通産省(現経済産業省)のバックアップもあり、「日本の化学産業が世界で伍して戦う意義を読み取ってくれた」。この時、まだ「中西さんが自分の上司になるとは夢にも思っていなかった」。

▼幸田会長の指導力

 フェノール事業の温存を勝ち取り、97年10月に三井化学が誕生した。大牟田の石炭開発から発した三井グループの化学系主要企業が、ここに再び大統合したのである。合併のキーワードは幸田重教会長が掲げた『合併効果の早期実現』だった。

 「三井東圧では十分な合併効果が上げられなかった。組合の問題などの社会情勢もあり融合が遅れた。三井石化、三井東圧の首脳陣も同じ思いだった。だから、今度は出身がどこかは関係ない。新しい会社のために効果を早期に出そうと」。

 合併後、「真剣にエネルギーをかけて、皆で取り組んだ。お互いの文化や仕事の進め方のうち、ポーターやコトラーなどの経営理論を取り入れての中計策定などより効率的な方を選ぶ合理性があった。また、相手に対する忖度があり、この結果、合併効果は外に向かって誇れるような効果が上がったと思っている。大型合併の成功例の一つではないか」。

▼海外展開

 BPAでスタートとしたシンガポール計画は、その後フェノール進出を果たし、ここに三井化学としてのフェノールツリーが完成した。「シンガポールは、制度がクリーン(公平)で、国を挙げて石油化学産業をバックアップする体制だった。交渉もスピーディで石化産業に賭ける情熱があった」。イランでの石油化学進出計画で挫折した経験のある三井化学にとって、シンガポール・ジュロン島への大型投資は、同社の新たなグルーバル化の契機となった。

 中国の2つの大型投資計画もキーマンとして携わった。中国石油化工(SINOPEC)と組んだフェノール、BPA計画と、高純度テレフタル酸(PTA)計画だ。「三井化学は海外投資を決める条件として、需要家を持っていること、コア製品であること、投資リスクがコントロールの範囲内であること―の3点を基準としていた。そのなかでフェノール/BPAは中国に行こうと」。

 一方でPTAは「中国に土地も押さえていたが、なかなか認可が下りないなかで事業環境が大きく悪化した」。三井化学は中国PTA計画の中止に傾くもその対応策について悩んでいるところ、中国サイドから、「やらないなら土地を返還せよと言われ」計画中止となった。「今から考えると幸運だった」。

1574荷主研究者:2015/12/12(土) 23:01:20
>>1573 続き

▼事業構造転換

 社長となり再建を託された田中氏にとって、短期の課題は「事業の黒字化に加え、落ち込んだ社内の雰囲気を活性化させることだった」。このため、初年度の09年度に社長で40%の減額を始めとして、役員以下の報酬減額、製造合理化などで合計300億円の緊急コスト削減対策をまとめる一方で、社内では「マーケティング強化」、「野武士たれ」と発破をかけ、モチベーションの向上を図った。

 中期の課題は、「市況変動に左右されやすい汎用石化事業から脱し、高付加価値で成長が見込める事業に経営資源をシフトすること」だった。緊急対策により、2010年度に業績のV字回復を果たすと、11年度から「事業ポートフォリオの変革と経営のグローバル化」を推進する3カ年の中計計画をスタートさせ「本格的に、新領域に経営資源をかけ始めた」。

 石化系では国内エチレンセンターのLLP(有限事業責任組合)設立など出光興産との連携を強化する一方、「海外ではPPコンパウンドで次々に投資した」。基礎化学では、3大赤字事業と呼ばれたフェノール系、ウレタン系、PTAの事業再構築を進め、PTAのインドネシアからの撤退、フェノールの内外でのダウンサイジング、ウレタンは鹿島工場の閉鎖などを決断した。

 高付加価値の領域として、ヘルスケア分野ではメガネレンズモノマーでアコモンの買収など世界トップの座を強化し、不織布事業ではタイ・中国等内外の新増設を実施した。そして13年には独ヘレウス社から歯科材料事業を600億で買収した。「事業構造転換は途上だが、全体の流れを変えていくんだという姿勢を、皆が理解したと思う」。

▼忘れられぬ経験

 14年3月、後任社長に淡輪敏専務を指名すると、会長に就かず相談役となった田中氏。社長時代を振り返り「辛かったのは、事故で社員を亡くしたこと」。12年4月22日に岩国大竹工場でレゾルシン設備が爆発火災事故を起こした。「亡くなった社員の両親に、人生で初めて土下座したが、それでも22歳の前途ある若者の命は戻らない」と唇を噛む。

 この頃、化学業界では大規模な爆発事故が連続して発生した。このため、石油化学工業協会を中心に、学識経験者も交えて徹底的に安全対策に取り組んだ。「大変な迷惑をかけたが、この対策は今後の教訓として活かしてもらえると思う」。

 「それと、もう一つ辛かったのは、鹿島工場の閉鎖だ」。ウレタン事業などの再構築のため実施したが、さまざまなステークホールダーから苦言を受けた。しかし「決断して良かったと思う」と振り返る。「その後扶桑化学さんが事業の一部を買いたいと名乗り出てくれた。コンビナート内で社員を採用したいと申し入れされる企業もでてきた。経営者として一番ダメなのは決断しないこと。自分のいる間は決めないというのが一番罪が重いと思う」。

 一方、「心残り」と語るのは、いわゆる石化の千葉連合が道半ばであることだ。「出光さんとLLPを設立した意図は、千葉地区の4社5プラントのエチレン設備を一緒にしようという思いから。そのため先ず2社でスタートした」。各社で世代交代が進むなか、大連合の実現を後進に託す。

(毎週、御一方ずつ掲載予定)

1575荷主研究者:2015/12/12(土) 23:16:50

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2015/11/18-22582.html
2015年11月18日 化学工業日報
【戦後70年 激動の化学】 リーダーの証言 / 昭和電工 大橋光夫最高顧問 《上》

 「とにかく苦難の歴史だった。本当に」。昭和電工の大橋光夫最高顧問(元会長・社長)は「危機感以外に何も財産が残っていなかった」という同社の歴史上で最も厳しい時代に社長に就任し、会社再建にまい進した。累積欠損金を一掃し、有利子負債を削減するため、人員削減、給与カット、事業売却といった苦渋の決断を積み重ねた。

 一方で大橋氏の昭和電工再建は「個性派化学」の名の下、競争優位事業に経営資源を集中させる事業スタイルを確立させ、総花的で横並び体質だった日本の化学業界に新たな企業形態を示した。汎用樹脂事業の再構築では、ポリスチレン事業からの撤退や主力製品であるポリエチレン事業の主導権を合弁相手に渡すなど、対等合併にこだわる業界の常識を打ち破る施策を断行。バブル崩壊以後に進む日本の化学業界再編の演出役ともなった。

 「苦難の歴史は、いまだに続いているともいえる」。そう語る大橋氏の視線の先には何があるのか。自らが実践した、あるいは実践せざるを得なかった「戦略的縮小」に終止符を打ち、大きく成長していく昭和電工の未来の姿であるに違いない。

▼本社の外で育った

 大橋氏が「ものづくりの方が性分に合う」と三井銀行から昭和電工に入社したのは1961年末だった。当時、アルミニウム業界では、昭和電工グループなど既存企業の新増設計画と、新規参入組による新設計画が入り乱れていた。こうしたなか大橋氏は、64年に設立されるスカイアルミニウム(昭和電工グループ、八幡製鉄<現新日鉄住金>グループ、米カイザー・アルミナムの合弁。現UACJ)の準備などのため、62年に米カイザー社に駐在することになった。「この駐在により、アメリカ企業の合理的な経営を学んだ」ことがその後の仕事で大いに役立ったという。

 帰国すると、今度はスカイアルミニウムへ転籍となった。「転籍は出向とは異なり、原則戻れないということだ。しかし覚悟を決めたことで、昭和電工の何が問題かを冷静に観察することができたのも事実だ」。外からみた昭和電工は「残念ながら、一人ひとりが自分の責任と判断で仕事をしていなかった。『上がこう言っているからやっているだけ』『潰れはしないだろう』という空気が広がっていた。事業戦略以前の問題があると感じた」。

▼昭和電工発展の歴史

 昭和電工の源流である森コンツェルンは、森矗昶(もりのぶてる)が創業した新興財閥で、千葉県におけるヨード事業を振り出しに水力発電、肥料、アルミニウムへと事業を拡大した。その間、1931年には昭和肥料が硫安を、34年には日本電気工業がアルミニウムを、いずれも初めて国産化したことが特筆される。基礎素材の国産化により国家へ貢献したいという森の情熱が成し遂げた偉業といえる。

 昭和電工は、その社名が示すようにこの昭和肥料と日本電気工業が合併し、39年に設立された森コンツェルンの中核企業だった。戦後の財閥解体後は、富士銀行(現みずほ銀行)を中心とする芙蓉グループに属し、同グループの中核化学企業として発展していく。その成長の歴史について大橋氏は「経営トップのバイタリティは凄かった。事業拡大のためには多額の資金が必要であり、大手財閥に対抗するためには、いかにして銀行から融資を引き出せるかが勝負だった」と振り返る。

 「森矗昶が『担保はこれだ』と言って(水力発電用の)川の水を指差したという逸話が、その当時の当社の体質を象徴している。アルミは戦前から行っていた事業だが、戦後になると千葉の第5次計画まで含めて猪突猛進して拡大した。石油化学は最後発で大分にエチレンセンターを建設した。しかしエチレンの1号機設備が動き出したのは1969年。先発企業に対しグラウンドを1周も2周も遅れていた」。バイタリティに任せた事業拡大の結果、財務体質は悪化し、後年には大きな課題となった。「D/Eレシオ(負債の資本倍率)は最大7まで拡大した」。

1576荷主研究者:2015/12/12(土) 23:17:27
>>1575 続き

▼危機のなかで社長就任

 1980年代の終わりから90年代にかけて、大橋氏の前任だった村田一社長時代に昭和電工を最大の危機が襲った。同社が製造した必須アミノ酸のLトリプトファンを含む健康食品による健康被害が米国で発覚したのだ。健康被害と昭和電工の製造したLトリプトファンとの因果関係は、現在も証明されていない。しかし製造物責任(PL)法への対応や訴訟費用などにより、結果的に昭和電工は90年代に2000億円を超える資金を費やさざるを得なかった。

 村田社長は、PL問題の処理に一応のめどを付けた97年、後任社長として大橋氏を指名した。最有力候補の順当な社長就任に見えたが「私自身、自分が社長になるかどうかを考える余裕すらなかった」という。その一方で「私がもし何時か昭和電工の社長になるとしたら、一番ふさわしい時期に村田さんが任せてくれた。業績が好調な時であったなら、私のやりたいことが社内で理解されなかったと思う」と述懐する。つまりピンチは最大のチャンスなのだ。

 PL問題の処理により、昭和電工の資産は大きく毀損していた。「危機感以外に財産が無くなったと言ったが、それは何も大げさに言ったのではない。先輩たちが築いた財産を、キャッシュだけでなく資産も含めて全て売却してしまった。本当のスッテンテンだった」。昭和電工は破たんするかも知れない、との噂が飛び交った。

▼チータ・プロジェクト

 社長に就任した当初、大橋氏は結果を出せずに苦しんだ。「最初の2年間くらいは成果が全く出なかった」。しかし会長の村田氏は静かに見守った。「(村田社長とは)随分違うこともやったし、結果が出なかった最初の2年は、雑音が社内外にあったはず。それでも一言も何も言わず、全てを任せてくれたことに今でも感謝している」。

 1998年から、大橋氏は昭和電工の再生計画となる中期経営計画の策定作業に入った。そして「総合化学から個性派化学へ」をスローガンとする中期経営計画「チータ・プロジェクト」を2000年にスタートさせた。関係会社の統合、事業売却、人員削減、エチレン設備の一部廃棄、有利子負債削減...。これらの改善策を動物のチータのような素早さを持って3年間で仕上げるという計画だった。

(つづく)

1577荷主研究者:2015/12/12(土) 23:18:23

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2015/11/19-22583.html
2015年11月19日 化学工業日報
【戦後70年 激動の化学】 リーダーの証言 / 昭和電工 大橋光夫最高顧問 《下》

▼スピード違反

 2000年にスタートしたチータ・プロジェクトは「飛躍のための戦略的縮小」と銘打った実質的なリストラ計画だ。危機から脱出するにはスピードが重要で、そのためには全社員が危機感を共有する必要があった。「危機の事実を私は隠さなかった。社長が本当の意味での危機感を出さずに、隠ぺいしているように見えたら『もたない』と思った。だから全部話した」。危機感だけが財産だと訴えた。「それで会社を去った人もいたが、社長がそこまで話すなら付いていこうという人達がいて、今がある」。

 当初、3年間で2500人としていた人員削減は、最終年の02年には5000人規模に達した。役員はもちろん、管理職から組合員に至るまでの給与カットも実施した。事業構造改革では、昭和アルミニウムの合併やエチレンの1号機設備の廃棄と2号機設備への統合のほか、事業ポートフォリオ管理により、コア事業から外れた関連会社や事業を次々と売却した。「アナリストには『ここまでやって大丈夫? これ以上やったらスピード違反で捕まっちゃうよ』と言われた。そのくらいのスピードで実行した」。

▼チータを予定通り完遂

 チータ・プロジェクトの3年計画の2年が終了した時点で、財務体質や収益改善の成果が見え始め、無機・アルミと有機化学の技術を併せ持つ「個性派化学」の事業構造も明確化してきた。最終年がスタートした02年1月、大橋社長は年頭の訓示で「私の改革への思いは、昭和電工グループの末端まで伝わっていると強く感じている。しかし改革に終わりはない。社員一人ひとりが変化を求めて自己改革していくことを強く求める」と述べた。

 周囲も驚くスピードで改革を実現させた大橋社長。歯を食いしばりながらの3年を経て、02年末に昭和電工はチータ・プロジェクトを完遂させた。「少なくとも、昭和電工が存亡の危機から脱出したと市場は理解してくれた」。改革が成功したのは、改革の先頭に立つリーダーの下、全社で危機感を共有したからだ。「苦難をともにし最後まで勤めてくれた人達に対する思いは強い。今でも皆の顔が浮かぶ」。

▼HD事業の転機

 チータ・プロジェクトを推進中の02年10月、昭和電工は「三菱化学グループからハードディスク(HD)事業を買収する」と発表した。HD事業は現在、昭和電工のコア中のコア事業だが、この事業買収が飛躍への転機となった。

 「三菱化学は、当時の当社との信頼関係のなかで、シンガポールのHD事業を昭和電工に任せようと決断してくれた。これが非常に大きな財産になった。人材も一緒に来てくれた。自分たちは会社の名前の下ではなく、HD事業で生きるんだと。そういうスピリットを持った人達だった」。

 HD事業は、アルミなどの基盤技術や、表面処理・成膜技術など、技術のバック・グラウンドこそあれ「従来の当社の企業文化とは全く異質な事業」だった。「昼夜を問わず、真夜中でも顧客の要求に対応するような事業だ。技術開発も、他社に1日でも遅れたらそれで終わり。HDは、そういう厳しい環境で働く覚悟があって初めて生き残れる事業だ」。かつて大橋氏が嘆いた昭和電工の文化。HDの事業文化がその改革に大きな役割を担った。

1578荷主研究者:2015/12/12(土) 23:18:53
>>1577 続き

▼汎用樹脂事業の再編

 大橋氏は、汎用樹脂事業においても、業界の常識を覆す大胆な構造改善を実施した。スカイアルミニウムから昭和電工へ異例の再採用をされた大橋氏は、アルミニウム製錬事業末期、本体から切り離された昭和軽金属の営業を経て、1981年に本社の石油化学部門に異動した。高度経済成長の終焉とオイルショックを背景に、石油化学は政府から構造不況業種に指定され、縮小均衡の嵐が起きた。しかし「私がアルミから石油化学に移ったときの人達は皆、過去の栄光から脱しきれないでいた。飲めや歌えを続けている感じだった」。最盛期に石油化学を担当していない大橋氏には、そうした業界の体質に大きな違和感があった。

 その石油化学は、90年のバブル崩壊を経て、再び再編期に突入した。中心事業であるポリオレフィンは、各社が事業を本体から切り離し、専業の合弁会社を設立するかたちで再編が進展した。先行したのは昭和電工だった。94年に旭化成とポリプロピレン(PP)の合弁会社日本ポリプロを設立する一方、ポリスチレン(PS)事業の営業権を旭化成に譲渡したのだ。この動きは事実上、昭和電工と旭化成によるPPとPSの事業交換であった。

 続く95年には昭和電工65%、日本石油化学(現JXエネルギー)35%出資のポリオレフィン合弁会社「日本ポリオレフィン」を設立した。「業界再編の先鞭をつけることができた」と語る大橋氏は93年まで取締役総合企画部長として、93年以降は石化事業担当の常務、その後は専務として一連の再編劇を指揮した。大橋氏の思い切った選択と集中の決断は業界に伝播。各社が汎用樹脂事業で合弁設立に動いた。社長に就任した大橋氏はさらに、2000年代に入りポリエチレンはHD事業を譲り受けた三菱化学に、PPは外資のモンテル(現ライオンデル・バセル)に主導権を渡す再編を決断する。

 「若い頃から折半出資の合弁会社を見てきた。そのなかでマジョリティを握る者のいない合弁事業ではダメだという信念を持った。事業を売るなら任せる。買うなら主導権を取る。合弁なら、どちらが最終的に経営責任を持つか決めることが重要だ」。

▼遠くを見て今を決める

 危機を脱した昭和電工は03年から、チータ・プロジェクトの後編として個性派化学の確立を進めつつ、成長路線への転換を目指す新たな中期経営計画「プロジェクト・スプラウト」をスタートさせた。そして次期社長に新たな経営計画の策定を任せるため、進行中の計画を1年残した04年11月に高橋恭平氏への社長交代を発表した。その後、大橋氏は05年1月に会長、10年に相談役、14年に最高顧問となった。経営の一線からは退いたが、日本の化学産業への思いは現役時代と変わらない。

 「経営者は、遠く未来をみつめること。遠くを見ながら、そのために今、すべきことを考え実行する。それが大事だ」と語る。しかし「最近は長くても四半期、極端にいえば毎月、パフォーマンスを市場から監視されている。このため経営者が萎縮して、短期思考でしかモノを考えられない傾向がある」と危惧する。

 そのうえで今の日本の化学企業には、さらなる大胆な合併や事業交換といった経営のダイナミズムが必要だと語る。「欧米勢に規模で劣る日本の化学メーカーは、研究開発に投入する経営資源に限界がある。これを乗り越えるのは大変な苦労だ。10年後を考えれば、さらなる統合再編が絶対に必要だ」。現役ではないから言えるけれど、と付け加えるが、その眼光は今も鋭い。

(毎週、御一方ずつ掲載予定)

1580とはずがたり:2015/12/13(日) 20:32:27
騙して売上伸ばしたノバルティスとVWは許せんがファイザーはまあいいじゃないか。

>以前は、日本市場に参入するために日本企業を買収するという意義があったが、今やほとんどの外資系は日本法人を持っている。解雇による合理化ができないことも、買収を阻む要因だ
解雇法制が必要かなぁ。。

>国内製薬業界の大型再編は、2005年のアステラス製薬(山之内製薬と藤沢薬品工業)、第一三共(三共と第一製薬)の発足以来、10年間途絶えたまま
そろそろ欲しいね。。

ファイザー、19兆円の巨額買収に透ける苦境 製薬首位の座を奪還も、冷めた見方広がる
http://www.msn.com/ja-jp/news/money/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%82%B6%E3%83%BC%EF%BD%A419%E5%85%86%E5%86%86%E3%81%AE%E5%B7%A8%E9%A1%8D%E8%B2%B7%E5%8F%8E%E3%81%AB%E9%80%8F%E3%81%91%E3%82%8B%E8%8B%A6%E5%A2%83-%E8%A3%BD%E8%96%AC%E9%A6%96%E4%BD%8D%E3%81%AE%E5%BA%A7%E3%82%92%E5%A5%AA%E9%82%84%E3%82%82%EF%BD%A4%E5%86%B7%E3%82%81%E3%81%9F%E8%A6%8B%E6%96%B9%E5%BA%83%E3%81%8C%E3%82%8B/ar-BBnumeX#page=2
東洋経済オンライン
長谷川 愛
7 時間前

 超巨額買収による世界最大の製薬企業誕生という一報に、冷めた見方が広がっている。自力成長が限界に達したメガファーマ(大手製薬企業)の厳しい状況が透けて見えるためだ。

 米製薬大手のファイザーは11月23日、アイルランドの同業アラガンとの合併に合意した。買収総額は何と1600億ドル(約19兆7000億円)に上り、製薬業界のM&A案件では最大規模である。

 ファイザーはピーク時に世界で年間100億ドル超を売り上げた、高脂血症薬「リピトール」が2011年に特許切れを迎えて以降、減収が続いていた。今回の買収により、シワ取り薬「ボトックス」などの製品群を獲得。2014年にスイスのノバルティスに奪われた業界首位の座を奪還する見通しだ。

 同社が現在のポジションを築いたのは、M&Aによるところが大きい。2000年には米ワーナー・ランバート、2003年には米ファルマシア、2009年には米ワイスを次々と買収。今年9月には後発医薬品大手の米ホスピーラを買ったばかり。破談に終わったものの、2014年は英アストラゼネカに統合提案を持ちかけた。

 製薬業界では1990年代後半から、国境を超えたM&Aが活発化。売上高数兆円規模のメガファーマは、大型再編の結果生まれている。

 当初は、規模拡大による研究開発費の確保という、前向きな狙いが重視されていた。創薬の成功確率は約3万分の1ともいわれ、一つの薬の完成までには、一般的に10年以上の歳月と1000億円前後の費用がかかる。研究開発費が多いほど、このわずかなチャンスをつかみやすくなる。ファイザーやノバルティスなどは年間1兆円を超える研究開発費を投じている。

 各社は巨額の研究開発費を回収するため、生活習慣病薬の開発に力を入れた。生活習慣病の患者は長年薬を飲み続けるため、開発に成功すれば大きなリターンを得ることができたからだ。しかし、生活習慣病薬はほぼ開発し尽くされ、2010年前後に相次いで特許切れを迎えた。

 現在、薬のニーズがあるのは、がんや認知症など開発の難易度が高い疾患や、患者数の少ない希少疾病ばかり。売上高ランキングで上位を占めるのは、化学合成の低分子薬に比べ、研究開発費も生産設備投資も一段とかさむバイオ医薬品が多い。

1581とはずがたり:2015/12/13(日) 20:33:01
>>1580-1581
 後発医薬品の台頭も逆風だ。世界的な医療費抑制の動きで、各国は後発薬の利用を推進。日本政府も、2020年までに後発薬の数量シェアを現時点の約50%から80%にする、という目標を掲げた。米国ではすでに、後発薬のシェアが90%程度に達しており、特許が切れた薬は売り上げがほぼ期待できなくなる。

 こうした環境の中、買収は有望な新薬候補を手に入れることに加え、別の大きな目的=“節税”が意識されるようになった。

 ファイザーがアラガンに目をつけたのも、その本社が法人税率の低いアイルランドにあることと、深くかかわっている。ファイザーは今回の買収を機に、本社を、米国からアイルランドに移転することを計画。実効税率を2014年度の25.5%から、合併初年度に17〜18%程度へと低下させることをもくろむ。

 これに米政府は、M&Aによる租税回避に対する規制強化を打ち出している。2016年の米大統領選挙に出馬するヒラリー・クリントン氏が、「この合併で米国の納税者が貧乏くじを引かされる」とファイザーを非難するなど、政界からの反発は強い。

 2016年後半に予定している買収手続きを完了させるには、欧米の規制当局の承認を得る必要がある。アラガンの株価は12月2日時点で317ドルと、買収価格の363.63ドルよりも低水準で停滞。株式市場は買収完了を完全に織り込んではおらず、今後は紆余曲折を経る可能性もある。

 ひるがえって、日本の製薬企業はM&A市場で蚊帳の外に置かれ、存在感に乏しい。国内最大手の武田薬品工業も、世界では17位(2014年)にとどまっている。

 バークレイズ証券の関篤史アナリストは、国内企業がメガファーマによる買収の標的になる可能性は低いと見る。「以前は、日本市場に参入するために日本企業を買収するという意義があったが、今やほとんどの外資系は日本法人を持っている。解雇による合理化ができないことも、買収を阻む要因だ」(関氏)。

 国も危機感を抱く。厚生労働省は9月4日に発表した「医薬品産業強化総合戦略」の中で、「医薬品の研究開発コストの増加やグローバルでの事業展開を考慮すると、日本の製薬メーカーもM&A等による事業規模の拡大も視野に入れるべきではないか」と、踏み込んだ記載をした。

 英調査会社のエバリュエートファーマによると、世界の医療用医薬品売上高は、新興国市場の拡大などで、2020年に2014年の約1.3倍となる1兆ドル程度に拡大する見通しだ。ただ、制度が未整備な新興国の開拓は一筋縄ではいかず、欧米のメガファーマとの厳しい競争も待ち構える。

 国内製薬業界の大型再編は、2005年のアステラス製薬(山之内製薬と藤沢薬品工業)、第一三共(三共と第一製薬)の発足以来、10年間途絶えたまま。生き残りを懸けた次の一手はありうるか。


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