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化学・薬品産業総合スレッド
1565
:
とはずがたり
:2015/11/23(月) 17:26:59
>>1564-1565
ファイザーにとってこの案件の一番の魅力は、海外の税率の低さだ。アラガンはアイルランドを拠点とするだけに、ファイザーは法人税負担軽減のための本社海外移転、いわゆるインバージョンができる。それによって年間の納税額は20億ドル前後も少なくなる。
アラガンとの統合で、ファイザーとしては新会社を2つの企業に分割することの妥当性も強まる。一方はブランド医薬品、もう一方はジェネリックと投入から時間が立った医薬品を販売する。アラガンはブランド医薬品の分野では規模が大きく、成長スピードはファイザーよりも速い。またファイザーが今年150億ドルで買収したホスピーラは、ジェネリック注射剤を専門に手掛けている。
ファイザーは既に分割準備のために3億ドル強を費やし、5年前にそのための資産の売却や分離を開始して以降で、株価は2倍に上がった。そこでアラガンを統合すれば、2つの強力な製薬会社を生み出せるしっかりした素地ができるだろう。
ただしファイザーは急がなければならない。イアン・リード最高経営責任者(CEO)が今週指摘したように、来年の選挙によってインバージョンの禁止に向かうような新たな議会が誕生しかねない。
それだけでなく、ヘルスケア企業の株価は夏場以降に下落し、アラガンの企業価値は今回の統合話が浮上した後でさえ、3カ月前に比べて10%も低い。ファイザーは、企業価値が低い状態が定着しているとアラガン側を説得したいと考えているのは間違いない。
もっとも動くスピードが速くなるほど、間違いを犯す機会は増えていく。ファイザーはM&Aにおいて実績から見れば優等生ではない。同社の企業価値は2000年当時が1400億ドル。それから2350億ドル強をつぎ込んで同業者を相次いで買収した挙句、今の価値は2130億ドルだ。
ファイザーがアラガンとの合併を進めることは、相応の理由がいくつかあるかもしれない。だが同社の過去の例を踏まえれば、慎重を期すべき理由の方が多くなる。
●背景となるニュース
*アラガンは29日、ファイザーからの打診を受けて同社との合併協議を行っていることを認めた。
*ファイザーにとって欧州企業買収の試みは今回のアラガン(29日の時価総額は1130億ドル)が2回目。2014年には英アストラゼネカ(AZN.L)買収を模索したが不成功に終わった。
*アストラゼネカは半年にわたる交渉の後、14年5月にファイザーからの最終提案を拒絶した。ファイザーのリードCEOが推進したこの案件は、本社を米国から英国に移転して納税負担を減らせる可能性があることが主な動機になっていた。
*ファイザーは29日の時価総額が約2190億ドルで、米国最大の製薬会社。27日発表した四半期売上高は122億ドルと前年同期比で2.2%減少した。事業は拡大したものの、為替変動の悪影響が上回った。
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