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SSスレッ!!!!!!!!!!
1
:
しつじ
:2013/11/24(日) 08:46:00
我々の知恵と文章力の凝縮させ、今世紀最大の作品を作りあげてみせようではないか!
243
:
闇の名無しさん
:2015/10/03(土) 02:51:51 ID:UUKA7IGQ
「昨日の嵐の時、道に迷ってしまったの」
「おや、それは大変でしたね。お怪我はございませんか?」
“傷一つない群青の瞳”を少女へ向けて、メイドは心配そうに姿を見渡す。幸い目立った傷はなく、多少疲労が見える程度だ。
乱雑に跳ねた髪の少女はメイドを見上げ、申し訳無さそうな表情を見せた。言い出すか言い出すまいか、迷っているようで。
その様子で察したメイドは暫し思案し、また嫋やかな笑みを浮かべれば、白魚のように綺麗な手を差し伸べて言う。
「それではこちらへ。夜が明けるまで時間があります」
メイドの優しさに喜びと感謝の念を抱きながら、少女は差し伸べられた手を握り薄暗い廊下を渡る。
照明は壁にかけられたロウソクが幾つか。反対の窓の向こうには夜空が広がる。一面の闇、暗い空。
向こうからやってくるのは長身の執事。仄かな明かりに照らされて、“規則正しく整えられた燕尾服”が目に映る。
胸元の懐中時計は午前1時。彼は少女を眺めると、メイドと同じく笑みを浮かべて立ち止まった。
「久しぶりのお客様だ、丁重に持て成そう」
メイドと執事に案内され、やってきたのは大きな広間。赤い絨毯、漆塗りのテーブルにかかるシルクのクロス。
暖炉を囲う二人の夫婦。“純白のバスローブを纏う主人”が、少女に気が付き歩み寄る。
厳かな雰囲気を漂わせつつ少女を見つめる館の主人。傍らに立つのは“白を貴重としたドレスの奥方”。
244
:
闇の名無しさん
:2015/10/03(土) 02:52:54 ID:UUKA7IGQ
「これはこれは、よくこの館を見つけられたね」
「こうして会えたのも何かの縁、今宵は盛大な宴を開きましょう」
二人は少女を見つめて笑う。燃え盛る暖炉はぱちぱちと、火の粉を立ち上らせては小刻みに揺れる。
メイドは奥方に料理の用意を、執事は主人に衣装の準備を頼まれて、彼ら夫婦も忙しそうに広間を後に。
少女は一人広間に佇む。次にやってきたのは眠たげな娘。“綺麗な白髪のストレートを靡かせるお嬢様”。
傍らに抱くのは“赤い炎めいた意匠の少年人形”と“大きな剣を握る少女人形”。一人と二人は私を見つめる。
「今夜はパーティ?それじゃあ一緒に踊りましょう!」
「「ボク ワタシ モ踊リタイ!不思議ノ館でパーティー・ナイト!」」
お嬢様は少女の手を取り嬉しそうに笑う。人形も一緒に楽しげに笑う。笑みが溢れる不思議な館。
揺れる炎に惑わされ、彼らの笑顔に踊らされ、少女は一夜の宴に酔い痴れる。真紅のワイン片手に、暖かな光りに照らされながら。
主人は寛容な笑みを。奥方は純潔の笑みを。お嬢様は節制のある笑みを。メイドは誠実な笑みを。執事は慈しむ笑みを。
少年の人形もまた笑う。少女の人形もまた笑う。楽しげな言葉に包まれて、迷える少女は宴に狂い舞う。
ああ、今夜はまさに“狂瀾の夜”。明けない夜に溺れていく。
245
:
闇の名無しさん
:2015/10/03(土) 02:53:25 ID:UUKA7IGQ
―――――――――――
――――――
―――
―
246
:
闇の名無しさん
:2015/10/03(土) 02:53:57 ID:UUKA7IGQ
一夜を明かした少女は戸惑う。冷たいベッドの上、差し込むのはロウソクの仄かな明かり。
外は暗い。まだ暗い?どうして、どうして、もう夜は開けたはずなのに。目覚めた少女は異変を悟る。
“抜け落ちた床”、“ヒビ割れたガラス”、“砕け散ったシャンデリア”。そう、紛うこと無く、ここはまさしく廃墟の館。
蜘蛛の巣を払って部屋を飛び出せば、扉の前に佇む従者。“継ぎ接ぎだらけのメイド長”。
彼女は少女を眺めては、歪で傲慢な笑みを浮かべた。手には錆びたナイフ、鎖で繋がれた鋼の手錠
247
:
闇の名無しさん
:2015/10/03(土) 02:54:29 ID:UUKA7IGQ
.
.
「おや、お帰りですか?まだ夜明けには早いデスヨ?」
.
.
248
:
闇の名無しさん
:2015/10/03(土) 02:55:00 ID:UUKA7IGQ
メイドを振り切り少女は駆ける。立ち昇るホコリも厭わずに、“明かり一つない闇の廊下”を駆け抜ける。
一寸先も闇、一心不乱に駆け寄った先、出会うは長身の執事。“着崩した燕尾服の狼執事”。
覗く毛並みを隠す事無く、研ぎ澄まされた牙を向き、彼は少女を見つめて笑う。獣めいた怠慢の笑み。
249
:
闇の名無しさん
:2015/10/03(土) 02:55:32 ID:UUKA7IGQ
.
.
「久しぶりのお客様、もっともっと持て成さなイト」
.
.
250
:
闇の名無しさん
:2015/10/03(土) 02:57:35 ID:UUKA7IGQ
二人の従者から逃れた先で少女はとある部屋へと忍びこむ。広々とした部屋、天井は抜け落ち広がるは一面の闇。
“朽ちたテーブル”が、“破れ汚れたテーブルクロス”が少女を出迎える。ふと目を凝らすと“冷えきった暖炉”を囲う影。
「これはこれは、ついにこの館を見つけてしまったネ」
「こうして出会えたのもきっと縁。今宵の主役は貴女なのヨ?」
“白黒道化の主人”は憤るように笑う。“漆黒ドレスの麗し奥方”は艶めかしく笑う。
冷えた暖炉に側で椅子に揺られ、貪るのは腐りきったミートパイ。ヒビ入るグラスに注がれるのは真っ赤なワイン。
月もない夜、微かな明かりに照らされる二人。少女は怯え、震えた様子で部屋を引き返す。
251
:
闇の名無しさん
:2015/10/03(土) 02:59:17 ID:UUKA7IGQ
逃げる逃げる、逃げろ逃げろ。窓の外には“暗い森”。月明かりすら届かぬ雲が空を覆う。
森を駆け抜けるように走り続ける。ただひたすら、闇雲に走った先に待つのは地下の一室。真っ暗闇の虚の果て。
壁を伝って少女は進む。闇に目が慣れた頃、側に置かれた物に気が付く。小さな2つ木箱、その正体は黒の棺。
そして先に待つ人影を、唐突に付いたロウソクが照らす。小柄な娘、“乱れ伸びた黒髪のお嬢様”。
252
:
闇の名無しさん
:2015/10/03(土) 02:59:47 ID:UUKA7IGQ
.
.
「今夜はパーティー。約束したでしょ?一緒に踊る、ッテ」
.
.
253
:
闇の名無しさん
:2015/10/03(土) 03:00:19 ID:UUKA7IGQ
出入り口は硬く閉ざされた。少女は不安を浮かばせ扉を叩く。二度、三度、重く鈍い金属音が部屋に反響。
扉の向こうにはダレも居ない。ホコリの積もった棺が開かれ、現れた二人の人形を携えたお嬢様。
“冷たい氷の少年人形”は少女が欲しいと笑う。“質素な弓を握る少女人形”も少女が欲しいと同じく笑う。
開くことのない石扉を背に泣き叫ぶ。しゃがみ込み、膝を抱え、頭をうずめても、この“現実”からは逃げられない。
「今夜ハ君ト楽シミタイナ!ボクト一緒ニパーティー・ナイト!」
「今夜ハ君ヲ食ベタイワ!ワタシト一緒にパーティー・ナイト!」
孔のような瞳で見つめるお嬢様。無機質な顔を向けたまま少女の傍らに立ち尽くして人形を撫でる。
泣き疲れ、震える少女に手を伸ばす。彼女の手を取りお嬢様はようやく笑う。妬むような、嫉むような狂気の笑みを。
254
:
闇の名無しさん
:2015/10/03(土) 03:01:41 ID:UUKA7IGQ
広がる闇に惑わされ、彼らの笑顔に騙されて、少女は一夜の夢から抜けだした。真紅のワインを零し、照らすロウソクさえ尽きた部屋で。
迷える少女は囚われの王女。救う勇者など居ぬままに、深い深い森の洋館、その冷たい地の地の底で、笑みに囲まれ闇へと堕ちる。
擦り切れた肌着、虚ろな瞳。“乱雑に伸びた髪から跳ねる一本毛”。彼らは少女を眺めて何を思うか。
森の館にご用心。嵐の夜、台風一過。静まり返る森が誘うは、朽ち果てた人食い洋館。
もう戻ってこない娘を嘆き、両親は森を眺めて悲観に暮れる。月も無い夜、一寸先も見えぬ景色を眺めたまま。
さあ、今夜もまたパーティーが始まった。主役は勿論王女様。囚われた少女は“開けぬ一夜”を繰り返す。
“狂気の夜”は終わらない。
255
:
闇の名無しさん
:2015/10/03(土) 03:02:15 ID:UUKA7IGQ
―――――to be continued?
256
:
闇の名無しさん
:2015/10/03(土) 03:06:41 ID:UUKA7IGQ
キャスト
主人役 …m2
奥方役 …レイ
お嬢様役 …ルキ
メイド役 …サクヤ
執事役 …ユイ
少年人形役 …リン
少女人形役 …むぅ
迷子の少女役 …■■
258
:
けいちゃん
:2015/11/09(月) 20:05:22 ID:yWveHhJE
k「新しいゲームを作っ」サクヤ「アーイソガシーナー」
k「新しいゲームを作ったぞ」
サクヤ「アーイソガシーナーハヤクスマセナイトナー」(離れる)
k「あっサクヤ、ちょうどいいところに」
サクヤ「アーイソガシーナーイソガシーナー」(逃げる体制を整える)
k「新しいゲームを作ったんだけど」
サクヤ「イソガシーナー」(逃げる)
k「逃げんなぁあああぁぁぁあぁぁぁああああ!!!」(ダッシュ)
259
:
けいちゃん
:2015/11/09(月) 20:06:03 ID:yWveHhJE
サクヤ「やめてください!私だっで仕事が」
k「今日はスケジュール上休みのはずだぞオオオオオオオオ!!!!」
サクヤ「うるさい!なんで私のスケジュール知ってんですか!!!」
k「カマかけだが」
サクヤ「チクショオオオオオオオオ!!!」
k「さぁこの次は行き止まりだ!ゲームをやってもらうぞ!!」
サクヤ(チッ、やるしかない…か)
サクヤ「ザ・ワールド!!」
260
:
けいちゃん
:2015/11/09(月) 20:06:34 ID:yWveHhJE
k「クッソー…面白いゲームだと思うからやってもらいたいんだけどなぁ…」
かんな「やっほ^^kどうしたん」
k「サクヤに新しく作ったゲームをやらせたいんだけどなぜか逃げるんだよねぇ」
かんな「へぇ…じゃあちょっと私にやらせてよ」
k「いいよー」
261
:
けいちゃん
:2015/11/09(月) 20:07:27 ID:yWveHhJE
〜数時間後〜
サクヤ「はぁ…kのせいでやることもできず暇ですね…なんか面白いものでも…」
サクヤ「ん?あの辺りが騒がしい…」
かんな「やばい面白い」
りん「これすごい」
m2「なかなかいいね」
ルキ「こんなゲーム作れたんだ」
k「あ、サクヤ どしたの」
サクヤ「どうしたもこうしたもこの騒ぎは」
k「俺の作ったゲームで盛り上がってる」
サクヤ「はぁ!?私にもやらせてくださいよ」
k「ごめんなサクヤ、このゲーム…
「4人用」
なんだ…」
サクヤ「ちっくしょおおおおおおおおおおお!!!」
完
262
:
闇の名無しさん
:2015/11/15(日) 00:26:56 ID:kkUg1e6c
一歩、及ばなかった。
私の刃は白衣の女性によって阻まれる。
立ち込める煙、床を焦がす薬品。煮詰めた薬草めいた香りが鼻に付く。
飛び散った液を受けたナイフは赤錆色。ほんの数秒で腐食が進んだようだ。
「………さて、これでお前の刃は全て折った」
片目の瞳が私を射抜く。迷いの無い視線、全てを見透かす勝者の目。
彼女の背後に聳える階段を登れば、きっとこの館の主に辿り着けるのだろう。
けど、今の私には彼女を押し退ける為の刃が無い。計37本、錆びた刃が辺り一面に転がっている。
強い。彼女は――白衣の女性、ルキと名乗った彼女は、途方も無く強い。
冷や汗が頬を伝う。鼓動が辺りの音を掻き消す程に高鳴る。手が、腕が、身体が、小刻みに震え出す。
窓から差し込む月光が、彼女の手に握られた試験管を照らし、サイケデリックでケミカルな色彩を放つ。
赤色は空気に触れるだけで発火する薬品。青色は思考を鈍化させる煙を上らせる薬品。緑色は未だ不明。
今立ち込めている煙は桃色の薬品だった。マズい、と思い口を塞いだ時には既に遅く、手足に痺れが渡り出した。
視界も朦朧としていて立つのがやっと。手足の震えはこの薬品が原因だろうか。体温にも、動悸にも異常が。
「残念だったな殺人鬼。此処から先は、お前の来るべきところでは無い」
一歩、彼女が足を踏み出した。
ゆっくりとこちらへと歩み寄る。乱雑に伸び、片目を覆い隠すほどの前髪、癖毛のように跳ねているのは獣耳か。
白衣の裏には無数の試験官。科学者と思しき女性は私の目の前で歩みを止めて、見下すように瞳を向ける。
手を伸ばせば届く距離。深く息を吐き捨てて、佇む彼女へ視線を返す。交錯する視線、互いの意思が垣間見えるようで
私は、腕を振るう。決死の一撃、届かぬとは分かっていても、その蔑むような瞳に一矢報いようと、一撃――――
「―――――っ」
瞬間、白に染まる視界。震えも鼓動も掻き消えて、刹那の間に訪れるのは浮遊感。
阿呆みたいに開かれた口から飛び散るのは鮮血、悲鳴。腹の底から吐き出される叫びが、無音の世界に雪崩れ込み
気がついた時、私の身体は宙を漂っていた。辺りを舞うのはガラス片。視界を少しズラせば砕け散った窓ガラス。
そして真上には逆むく月。ああ、あの緑色の薬品の正体は、液体爆弾だったか。今更導き出された答えは水泡に帰す。
「う、あ゛……っ!」
打ち付けられた衝撃で呻きが零れる。乾いた土の感触、遅れて全身に走る激しい痛み。
起き上がろうと身を捩っても、右腕は答えない。いや、答えないのではなく、私の右腕は、先ほど振るった腕は、もう。
止めど無く溢れ出る血が波紋を生む。口元から零れ落ちる血も、肩から流れ出す血も同じく一つの池に。
赤く滲む視界は空に漂う月へと、笑ってしまうほどに綺麗な月夜へと。月が、星が、雲が、私を嘲笑っているかのよう。
「……闇に魅入られた者の末路は、驚くほど哀れなものだ」
少し間を置いて投げかけられた声。気が付けば傍らに立ち尽くすのは白衣の女性。
彼女にもう敵意は無い。こちらを見下ろす瞳にはただ、哀れみと慈しみが。まるで家族へ向けるような、博愛の表情。
何時ぶりだろう、他人からこんな顔を向けられたのは。私が生まれ落ちた時か、師匠に拾われた時か。もう思い出すことも叶わない。
白衣の女性は銀に染まった試験管を握り締める。水銀、だろうか?不規則に揺れる水銀はまるで生き物のようにも思える。
試験管から放たれた水銀は音も無く溢れ、不気味なほどに丸い形へと変化して、女性の膝ほどまでの大きさとなって傍らに佇む。
月明かりを受けて不気味に輝く水銀はさながら首を刈り取らんとするギロチンのようで――――。
「“継ぎ接ぎジェーン”……最後に一つ聞いておこうか。お前の本名は?」
「私、の………名前は……」
――――――名前は、なんだっけ。
溶けていく記憶の中に潜ってみても答えは見つからない。ただ広がる赤黒い闇だけが私を包み込んでいる。
師匠は私を「サクヤ」と呼んでくれた。その後、中立国の人々は私を「継ぎ接ぎジェーン」と恐れ慄いた。けどどちらも本名じゃない。
自分の名前すらわからないなんて、ああ、もう私はとっくに、この世の定理から外れた身だったんだ。
もっと早く気がつけていたら――――――――後悔が訪れるよりも早く、私にやって来たのは
263
:
闇の名無しさん
:2015/11/15(日) 00:28:43 ID:kkUg1e6c
―――――――
―――――
――――
―――
―
名無しの堕天使は月の下、聳える十字架に、深き闇の狂科学者に見据えられて己が真名を告げる。
その時、その瞬間だけ。堕天使は天使へと戻る。天使であった頃の、自分が自分であった頃の記憶を、想いを、取り戻すように。
「――――――朔月白夜、か」
天使のまま死ねたのならきっと本望だろう。貫かれた胸からは、もう鮮血すら溢れて来ない。
と、気がつけばいつの間にやら朧雲が逆月を覆い、穢れ一つない白衣を翻して、科学者――ルキはその場を後に。
振り返ることは無い。振り返ったとして、そこに残されているのは単なる「死」だけなのだから。
同じく私も窓から顔を離して、革張りの椅子へと腰を降ろす。嗚呼、今宵は良い舞台だった。これもまた、もう一つの結末。
それにルキが動いてくれるのは僥倖だ。犠牲になったメイド達も、半数以上は彼女の処置で一命を取り留めるだろう。
……それでも、犠牲になったメイド達には祈りを、祝福を。彼女らの御霊に幸せがあらんことを、私は月に望む。
逆向いた月の宵。一人の哀れな殺戮者が、神の思惑に流されるがままに散って行った。
264
:
闇の名無しさん
:2015/11/15(日) 00:32:38 ID:kkUg1e6c
DEAD END 03 ―――――[黒髪白衣のイントロン]
265
:
闇の名無しさん
:2015/11/15(日) 02:00:29 ID:kkUg1e6c
神流「今後の資金運用のことだけど―――」
m2「そうだな、大きな戦争も無くなった今じゃ――――」
ルキ「いや、万が一のためにも軍部へ―――」
サクヤ(お腹すいたな……お昼は何作ろう……)
執事「軍部の士気も下がっている、ここは――――」
りん「僕もその意見に賛成だな。まず士気を――――」
サクヤ(肉料理……いやヘルシーな野菜料理もいいかも……)
m2「だが軍部に力を入れたのでは他の場所で―――――」
執事「闇の要は軍だ。そこに力を入れないで――――」
サクヤ(……あ、魚!そういえば新鮮な魚が入ったってメイド達が言ってたっけ)
m2「一辺倒では資金難に陥る!バランスを考えてだな―――」
サクヤ(バランス……そうか、あえて肉と魚と野菜を合わせるって手も……)
りん「ここは大胆に決めるべきだ!軍部にも費用を―――――」
サクヤ(大胆……豪快に塩焼き?たまには庭でバーベキューもいいかも……)
5人「「「「「サクヤ!!!お前はどう思う!!!」」」」」
サクヤ「へえぇっ!??!!え、えっと……」
サクヤ「……ピザとかどうでしょう?クォーターピザ」
5人「「「「「…………え?」」」」」
サクヤ「え………あっ」
K「prrrr……prrrrr……ピザ10人前!大至急な!」
おしまい
266
:
闇の名無しさん
:2015/11/19(木) 14:52:27 ID:nVpxcsjo
『あなたには自分が無い』と、誰もが言う。
光国で過ごした時も。中立国で彷徨っていた頃も。師匠と過ごしていた頃も。殺人鬼として暴れていた頃も。
他人からの評価は等しく同じだった。私は私だと自負しているのに、貴方は「自分」という感覚が希薄なのだと。
……でも、それだって別段珍しいことではないはずだ。誰しもが自分の全てを知っているわけじゃない。
というか、私には誇るものが無いんだ。継ぎ接ぎの心。黒と白と灰色のパッチワーク。大それた理想があるわけでもない。
ああ、昔は「正義」を胸に戦ってたっけ。けどその正義も所詮は受け売りだ。自分が見出した思想とは言えないな。
一つ。白い継ぎ接ぎの布を解く。次に灰色の布を解く。最後に残った黒色の布。それは小さな歯切れに過ぎなくて、私の心を埋めるほど大きくはなくて。
「私って、なんだっけ」
大きな姿見の前。目の前に映る裸の“少女”と掌を合わせて独り言ちてみた。
欠けた月の夜、静まり返る部屋で独り。ここに佇む自分が何者なのか、何度も何度も。戯言のように繰り返す。
目の前に映る“少女”は答えない。“少女”の目に映る私も答えない。夜風がカーテンを撫で、殺風景な部屋に涼風を呼ぶ。
ああ、明日は晴れそうだ。込み上げた思いを胸の引き出しにしまい込んで今日という日を終える。
明日、自分は自分で要られるだろうか。なんて、自分らしくない問いかけを抱きながら。
…………でも、自分らしさって、なんだろう。
267
:
闇の名無しさん
:2015/11/19(木) 14:52:58 ID:nVpxcsjo
『解離性シンドローム』
268
:
闇の名無しさん
:2015/11/19(木) 14:53:30 ID:nVpxcsjo
「サクヤ、ちょっといいか」
朝日が差し込む午前5時。黒と赤の基調が映える廊下の曲がり角で私を引き止める声が響く。
珍しい。私より先に起きている住人がいるなんて。それも、早起きとは程遠そうなm2が。朝の日差しに照らされ私へ歩み寄る。
朝とm2。不思議な組み合わせの光景が目の前に広がっている。例えるならば……広い海をライオンが泳いでいるような。
眩そうに目を細ませてm2はあくびを一つ。よく見てみると目元には深い隈。徹夜明けなのだろうか?なんて考察を巡らせていると
「昨日の事で話がある」
……ああ、昨日の。真剣な――眠気のせいか若干気が抜けているが――顔付きとその言葉だけで大体内容を察してしまう。
昨日。私は戦場へ赴いた。今は第三次白黒大戦のまっただ中だ。暗殺やメイド業が主とはいえ、前線に赴くことは珍しいことでもない。
斥候が主な任務、後は敵の陽動や錯乱を担当したり色々と。直接的な戦闘は避け、敵の戦力を削ることを目的とする。
そうして戦力が減った状態で闇の主力部隊と対峙させるというわけだ。当然闇側は万全の状態で挑む。どうなるかは火を見るよりも明らかだろう。
故に私が率いる斥候部隊はそれなりに戦闘の行方を左右する大事な役割を任されている。そして昨日も同じように斥候へと向かって。
269
:
闇の名無しさん
:2015/11/19(木) 14:54:09 ID:nVpxcsjo
一人の新人がヘマをした。自分の位置を知らせるビーコンを切り忘れていたようだ。これでは当然、新人の位置は敵に丸見え。
思わぬ襲撃を受けて隊員たちは四散――被害を減らすためにそう支持した――し、一人取り残された新人。
そうなった場合、見捨ててその場から撤退するのが正しい。大多数の光兵士を前に一人を助けるため突撃するなど無意味にも程がある。
だというのに、私は考えるよりも早く、身体が動いていた。一歩足を踏み出して、瞬きを一つすれば、四方八方には光の兵士。
怯え、震え、その場で屈み込んだ新人を一瞥すれば、二度目の瞬き。目の前には首を跳ね飛ばされた光兵士。どよめく周囲の兵士。
そうして瞬きを繰り返す度、光の兵士は音も無く命を終えていく。そうして何分か経った頃、私は一人、亡骸の山で立ち尽くす。
……多少危険な賭けではあったが、新人を救うことが出来たならそれでいいと、まだしゃがみ込む新人に手を―――――。
『あ……ありがとう、ござ―――――っ』
銃声。飛び散る血。崩れ落ちる新人。茂みから煌めくスコープの反射光。そこから先は、もう覚えていない。
我に返った頃、私は闇側の中継地で椅子に腰を掛けていて、テーブルを挟んで向こう側に座る姉さんに剣幕の表情を向けられていた。
怒鳴られているようだ。と、どこか客観的な視点で話に耳を傾ける。その目には僅かに涙が浮かんでいた。怒ると同時に「よかった」と、そう安堵しているように。
話の内容も右から左へ通り抜けてしまい、もうまともに覚えてない。けど、こんな質問をされたことだけはしっかりと覚えていて。
『…………彼女が……あの新人が、撃たれて死んだ時。最初に何を思った?』
私は答えた。即座に、それが当然であると示すように、はっきりと。『あの子を助けられなかった』と。
その答えを聞くと姉さんの顔は怒りから困惑、次第に苦い顔色へ。暫しの思案のあと、重苦しい声で姉さんは私を諭し始める。
普通、ああいった場面ではまずはじめに『自分が撃たれなくてよかった』『自分が無事でよかった』と思うものらしい。そう語っていた。
どんな聖人でも、どんな善人でも、防衛本能がそうさせるのだという。そして次に理性として、『助けられなかった』という罪悪感が訪れるのだということも。
しかし私は真逆――と言うよりも、『撃たれなくてよかった』という考え自体無かった。あの時に芽生えたのはただ、『助けられなかった』罪悪感だけ。
もし撃たれていたら?姉さんは質問を続けた。私は答える、『あの子が撃たれなくてよかった』と。そしてまた苦虫を噛み潰したような表情。
……重苦しい空気が二人を包む。遠くから聞こえる銃声、痛みを嘆く負傷者の怨嗟。何時間にも思えた思案の末、姉さんは立ち上がり、私の肩を掴んで。
『サクヤ……「自分」を、もっと大切にしろ』
命令じみた言葉に息を呑む。それでも私には理解出来なかった。彼女を助けられなかったことを嘆いて、何がいけないのだろうかと。
ワインレッドの瞳が私を射抜き、姉さんの言葉が深く心に刻み込まれる。…………いつも、どこかで聞いていた、同じ古傷を掘り返されるように。
270
:
闇の名無しさん
:2015/11/19(木) 14:54:53 ID:nVpxcsjo
と、そんな一件がありはしたが戦闘は勝利。斥候も結果的には光側の混乱に繋がって結果オーライ、そういうことで話は終わった。
命を落とした新人は私が手厚く弔ってあげた。今朝もあの子の元へ花束を渡したばかりだ。彼女が好きだった、真っ赤な色のユリの花を。
そして館へ戻って朝食の支度を……と思っていた頃、彼が現れた。ので言われる内容も大体把握は出来ているが、何故m2が直接?
「俺は回りくどい言い回しは嫌いだ、さっさと簡潔に言わせてもらうと」
「……お前の思考回路は天使と同じだ」
―――思わず、反論の言葉を告げようと身を乗り出した所で、m2の指先ひとつで静止されてしまう。
確かに私は大した思想もないし、薄っぺらい自己であるのは否定しない。しかし天使だ、と断言されるのには異論を唱えたい。
もう天輪は砕けたし翼だって消えてしまった。胸の聖痕も滅多に浮き上がることはない。そもそも天使は、こうして思案することすら出来ないのに。
自分が薄くてもこうして思考を巡らせている「自分」がいる時点で、私は天使などではないと、そう言葉を並べようとするも言葉が続かず。
271
:
闇の名無しさん
:2015/11/19(木) 14:55:24 ID:nVpxcsjo
「ああ、そういった話じゃなくてだな。傾向として天使と同じだと言ってるんだ。他人と自分の天秤があべこべ、端的には利他主義者だな」
……う。そこは否定出来ない。否定しようにも昨日の出来事で証明されてしまっている。自分の命よりも他人の命のほうが重い、と。
そういった価値観も天使と似ている。m2は間髪入れずに続け、欠伸混じりに言葉を並べ立てていくと、懐から札の束を取り出した。
アレは―――タロットカード。昔彼に師事を仰いでいた時、度々使用した馴染みのある魔術道具の一つ。それをこちらへ向けて差し出すと
「一枚引け。このタロットは特別製でな、引き手の魔力に反応して「種族」を当てるオリジナルのものだ」
つまり、このタロットで私の種族が明確になる、と。静まり返る廊下、差し出された札を前に、私は思わず躊躇してしまった。
もし天使だったら。私は闇であることを諦めなければならないのだろうか。それ以前に目の前の彼は、私の存在を許すだろうか。
動悸が高まる。冷や汗が頬を、腕を、脚を伝う。天使であるはずがない、そう断言したばかりなのに、自分の言葉に自信が持てない。
それも当然、自分ほど信頼出来ない者はいないのだから。裏返しの札を目にしたまま手が震え、たった一枚捲ることすら叶わない。もし、もし天使だったら。
日を雲が覆い、朝焼けの廊下に影が差す。込み上げる寒気と慟哭。闇であって欲しい。けど、闇であると断言はできないまま、その札に手を伸ばして。
272
:
闇の名無しさん
:2015/11/19(木) 14:56:14 ID:nVpxcsjo
「――――――っ」
札に描かれた、大きな翼と天輪を携えた天使が嗤う。例えるならば、これは言葉のない死刑宣告。
そんなはずは。と現実から目を背ける自分もいれば、ああ、そうか。と納得する自分もいる。そんな困惑の坩堝の中で。
m2は何も言わずにこちらをただ見つめていた。今、私はどんな顔をしているんだろう。驚いているのだろうか。泣いているのだろうか。困惑しているのだろうか。
もしくは、笑ってる?それすらもわからない。ただ私は札を片手にm2の顔を眺めていた。すると彼は、腕を伸ばして、私の頭に―――
「……館から離れろ。もうすぐ結界が更新される」
…………声も出ない。もう「天使」である私は、館にいることすら許されないのか。
立ち去るm2の背を振り返ることも出来ぬまま、曇天の空を仰ぐ。ぽつり、ぽつりと落ちる雨。予想、外れちゃったな。細やかな現実逃避。
いつものようにロビーにやって来て、古びた館の扉を開く。誰も起きていない午前5時半。鉛の空の下に聳える漆黒の館が、果てしなく遠くに思えて。
そのまま、訳もわからずに走り出した。行く宛もない。自分も何も失った私を慰める者もいない。もう私には、何もない。
走る、走る。茂る林の中を、鬱蒼とした森の中を。メイド服は破れ汚れ、それでも私は走り抜ける。ひたすらに、文字通りに闇雲の中を巡るように。
息が切れて肺が焼けるように痛くても、立ち止まること無く走る。立ち止まったらその時点でもう、自分が消えてしまいそうだったから。
気がつけば空からは土砂降りの雨。濡れネズミの私は泥濘んだ山道を走り続け、駆け抜け、やがて開けた場所へと辿り着く。
広がるのは湖だ。雨空の仄暗い闇の中で微かに光る穏やかな湖。この湖は確か、反映湖。特殊なDmを含んだ湖だと姉さんが言っていた。
走るのを止め、足を引きずるようにして歩く。湖を覗き込んでみれば、鮮やかな青の光。底は深い青に覆われていて、果てしなく続く奈落のようで。
まるでこの湖だけ青空の世界にいるような、そんな鮮やかな青色を前にふと思い出したのは幼い頃の記憶。第二次白黒大戦が終わった日、光国で見たあの青空。
……あの空と同じ色だ。深く深く、どこまでも広がる蒼穹の空。あの日を堺に、私の人生は大きく狂いだしていったんだ。
もしこの湖に飛び込めば、あの日に戻れるのかな。何も知らず、何も思わず、ただ言葉に従っていれば生きていられた無色の世界に。
―――――――湖に手を伸ばす。湖面に映る“少女”。また会ったね、と微笑んで。
豪雨に紛れて一際大きな水音が山に木霊。私は冷たくも暖かな、深い青に包まれながら、悠久の微睡みへと溺れていく。
273
:
闇の名無しさん
:2015/11/19(木) 14:57:36 ID:nVpxcsjo
『解離性シンドローム』 了
274
:
闇の名無しさん
:2015/11/19(木) 18:11:11 ID:/i8Ox0j6
『あなたには自分が無い』と、誰もが言う。
だって仕方がないじゃないか。生まれた時にはもう自分など無かった。あるのは統制された集団心理だけ。
みんなが同じものを好み、みんなが同じものを嫌い、みんなが同じものと戦い、そしてみんな死んでいく。そんな世界。
だったはずなのに、どうして私だけ。いきなり一人にされたって、どうすればいいのかわからないよ。誰も私に教えてくれない。
ああ、でも、あの青空は綺麗だな。最初で最後、たった一度だけ芽生えた感想は、果てしない更地の中で朽ちていく。
世界というメイルストロームに流される日々。自分という概念はとっくの昔に失った。
私は誰でもない、ただ人の言葉に従って動く人形。それはどこでも変わらなかった。光国でも、中立国でも、もちろん、闇国でも。
……冷たいな。漏らすぼやきは泡となって溶けて行く。いっそのこと、このまま泡になってしまえれば。どれだけ楽なことだろうか。
275
:
闇の名無しさん
:2015/11/19(木) 18:11:43 ID:/i8Ox0j6
「私って、誰だっけ」
――――――脳裏に響くこの声を、聞き間違えるはずもない。
突き放つような言葉が残響を残す。目を見開き、声の主を確かめようと意識を覚醒させた時。広がるのは無限の部屋。
広い。壁も、天井も、全て暗闇の中。唯一確認できる床は白と黒の市松模様。鮮やかな青とは打って変わって無機質な世界。
私はその場に佇んでいた。傷一つ無い綺麗なメイド服を身に纏って、手には一本のナイフ。真新しい、新品の食事用ナイフ。
明らかに異質な空間で不思議と私は落ち着いていた。何故だろうか、感覚的にこの場所は不変だと確信している。この空間は落ち着ける、と。
一歩歩み出すと足音が響き渡る。響く音に限度は無い。きっとこの場所は無限に広がる大部屋なのだろう、と理解した。
光源はないのに自分の姿だけは確認できるし足元も確認できる。都合の良い夢を見ている時のように、思ったことが現実になる世界。
ここでも私は行く宛もなく彷徨い続ける。目的も無く、生き甲斐という道標を失ったまま、色の無い世界を延々と。
渺茫の白黒世界。歩く度に自分の色が褪せていく。何分、何時間、何日、何年歩いただろう。行けども行けども壁は見えない。
疲労も成長も無い泡沫の世界に取り残された私は、ふと、目の前に光を見た。どこからとも無く差し込む光はスポットライトめいて。
照らされたモノクロの床。何となく、その光に向けて手を掲げてみる。何故だろうか。そうすれば、出会える気がした。
確信はないけど、出会えるはずだと。この世界へ落ちる前、脳裏に響くあの声の主に。私へと語りかけてきた、あの―――――
「また会ったね」
継ぎ接ぎだらけの“私(きみ)”に。
276
:
闇の名無しさん
:2015/11/19(木) 18:12:14 ID:/i8Ox0j6
『モノクロ・パッチワーク』
277
:
闇の名無しさん
:2015/11/19(木) 18:12:46 ID:/i8Ox0j6
……“私(きみ)”は佇む。一色の光に照らされて、白と黒の服を揺らし、私をまっすぐに見据えたまま。
そしてあちらも、片手を掲げている。まるで二人は鏡写し。目の前にあるのはただの鏡だと言われても納得できてしまうほど。
掲げられた手が触れ合って、互いの感触が肌に伝わる。温かくも冷たくもない、不思議な感触。きっと向こうも同じことを思っているはず。
もう一人の“私”、なんて大層な存在じゃない。二重人格で要られるほど私は器用な人間じゃない。なら、“私(きみ)”はきっと。
「「……違う道を歩んだ私」」
どこで道を間違えたんだろうね、と語りかけても、満足な答えは得られないと思う。
第二次白黒大戦で光が勝っていたら。中立国で別の人に拾われていたら。師匠が死なずに生きていたら。殺人鬼にならなかったら。
――――――闇に、拾われなかったら。どちらの自分が正しいのかなんて分からない。“私(きみ)”は傷一つない瞳で私を見つめる。
それでも行き着く場所は同じだった。自分が自分であると理解できないまま、この世界に辿り着く。全てが希薄な継ぎ接ぎの白黒世界に。
278
:
闇の名無しさん
:2015/11/19(木) 18:13:16 ID:/i8Ox0j6
互いに合わせた掌を弄んでは、恋人みたいに組んでみたり、悪戯するように捻ってみたり。言葉も無い戯れ事が続く。
このままこの世界で、私達は一緒に暮らすのかな。それは少し嫌だ。でも、ここから逃げ出すほど、現世に未練があるわけでもない。
暫く見つめ合ったあと、今度はお互い背を合わせて座り込む。伝わる肌の感触が、心なしか温かく感じてきて。
「ねえ」
「何?」
不意に言葉を投げかけてみた。返ってくるそっけない言葉。振り返ることはせず、言葉だけのやり取りが続く。
どんな顔をしているんだろう、と気になりはするけど、きっと私と同じ表情で、可愛げのない表情で膝に顔を埋めているんだろう。
歩んだ道は違うけど、結果は同じ地点に収束する。だから違うのは見た目だけ、中身は紛れも無い“私”なんだ。
279
:
闇の名無しさん
:2015/11/19(木) 18:13:54 ID:/i8Ox0j6
「帰りたい?」
「……別に」
そっか。こちらもそっけない言葉を返して会話が途絶える。二人を包む静寂は破られること無く、凪の海めいて穏やかに。
私には帰る場所が無い。“私(きみ)”には帰る意味が無い。だからずっとこのまま、この無機質な世界に囚われている。
ずっとこのまま何億年、何兆年過ごすことになっても構わない。何も考えず、自分が自分である必要など無いこの世界はとても心地よくて。
もう既に10億年の月日が過ぎていようと些細な事だ。けどたまに、名前も知らない誰かが恋しくなって、隣りにいる“私(きみ)”と触れ合う。
280
:
闇の名無しさん
:2015/11/19(木) 18:14:39 ID:/i8Ox0j6
――――――――
―――――
―――
手を取り合って散歩してみたり、腕を組んで並んで据わってみたり、抱き合って寝てみたり。憧れだった恋の真似事をやってみる。
会話も無く、ただ漠然とした共通意識で慣れ合う二人。お互いに思っていることが何となく伝わってくるのは、生まれ落ちてから今までを共に過ごした腐れ縁のせいか。
どちらも認識することはなかったけど、この場でようやく自覚し始める。お互いに、お互いが、紛れも無い“自分”なのだと言うことを。
好き、とはまた違う感情。恋愛感情とは別方向の、友情と言うにも違う、不思議な間柄。互いに無くてはならない存在。
……それが、自分という感覚。十二兆七億四千三百九十万五千百三十八年の堕落の末、微かに芽生えたその感覚が、お互いに突き刺さる。
いずれ受け入れなくてはならない事実。けど、受け入れたら終わってしまう。消えてしまう。この愛しくてくだらない、モノクロのパッチワークが。
自分を目の前にして何年経っただろう。疲労もなければ成長もしない、けど意識だけは明瞭で淀み無く。
モヤモヤとした、言葉にもカタチにも出来ない言い知れぬ感覚を抱きながら、ひたすらに時が過ぎていく。
「……帰ろっか?」
また、私達は背を合わせて座っていた。前とは違う、背を預け合うような座り方。そんな時にふと、いつか問いかけた言葉をもう一度。
答えはなかなか返ってこない。珍しいな、いつもはすぐに答えを返してくれるのに。寝ているのかな、死んでいるのかな、とちょっと不安になって。
“私(きみ)”の手をちょっと強く握ってしまう。暖かな肌の感覚。すると“私(きみ)”は握り返してくれて、そのまま一言。
281
:
闇の名無しさん
:2015/11/19(木) 18:15:30 ID:/i8Ox0j6
「……帰ろう」
それは、告白のようだった。この場所から抜け出すにはきっと、お互いがお互いを認め合わなくてはならない。受け入れなくてはならない。
つまり二人が一つに混ざり合う。そうしてようやく、蕾だった“自分”という花が咲くんだ。その花はきっととても綺麗で、愛おしく。
……自分を愛したって良いんだ。私が――――私達が見出した結論は同じ。立ち上がって、向かい合い、二つの光の中で見つめ合う。
私は笑う。“私(きみ)”も笑う。初めて見たキミの笑顔はとても素敵だった。ぎこちなく覚束ない、どこか恥ずかしさが見え隠れする微笑み。
勿論私も同じ笑顔を浮かべているんだろう。この場所で唯一抱いた感情の残り香を噛みしめて、一歩一歩、お互いに歩み寄る。
不可侵の領域。自分ですら立ち入れなかった/立ち入る意味のなかった心の領域に踏み込んでいく。そうしてゼロ距離、自分の中枢で私達は手を差し伸べ合って。
282
:
闇の名無しさん
:2015/11/19(木) 18:16:02 ID:/i8Ox0j6
抱きしめる。強く、強く。自分を深く知りたいと願うように、自分を受け入れたいと望むように、自分を愛してと乞うように。
“私(きみ)”の目に涙が。別れを惜しんでいるのかな。伝う涙を拭ってあげて、大丈夫だと言い聞かせてあげる。
これからもう出会うことはないけど、自分が自分であるかぎり、二人は一緒なんだと。だから泣かなくても大丈夫――――。
暗闇の世界に淡い光が差し込んで、ヒビ割れた床から差し込むのは蒼穹の光。この光は……ああ、あの日、まっ更な世界で“私”が見たあの光。
貴女も見たんだね、と言葉をかけて、私と“私(きみ)”の分岐点を知る。あの日から私たちは分かたれて、真逆の道を歩んでいった。
その道もやがて同じ道へとたどり着いて、そこから先は一本道。二人一緒に歩む道は、きっとこの世界よりも果てしないだろうけど。
…………それでも。私は貴女を好きでいたい。他でもない“自分”を愛していたい。私が“私”でいる為に。
二人なら進んでいけるよ。貴女は涙を堪えて笑ってくれた。だから私も笑って答えて、真っ青な光の下、離れないように手を取り合って。
「「また、会おうね」」
消え行く世界の中でおでこをくっつけ合って、少しの名残惜しさを感じながら、暫しの間の別れを告げた。
283
:
闇の名無しさん
:2015/11/19(木) 18:17:03 ID:/i8Ox0j6
■□■□■□■□■□■□■□■□
284
:
闇の名無しさん
:2015/11/19(木) 18:17:43 ID:/i8Ox0j6
『あなたには私がいるよ』と、名前も知らないキミは言ってくれた。
目が覚めた時、まず目に映ったのは雨上がりの澄んだ空。掛かる淡い一本の虹、そして……涙を零す、姉さんの顔。
何があったんだっけ。少し前の記憶を思い起こそうとしても、まるで滲んだ絵のように朧げで、思い出すことは叶わない。
しかし今はそれよりも、肌に伝わる冷たさと喪失感が勝っていた。寒い、寒い、寒い。けど腕を摩ろうにも身体が言うことを聞かない。
「目が覚めたか!…………ああ、よかった……良かった……!」
……姉さん?どうして泣いているの、と問いかけようとした時、私を取り囲むように立つ他の住人たちの存在に気が付く。
呆然と眺める私を彼らは心配そうな面持ちで眺めて、ある者は私が無事であったことに安堵し、ある者はやれやれと照れ隠しの溜息をつく。
最後に自分の体を眺めてみた。ボロボロのメイド服は水に濡れ、肌は病的なほどに白く、指先は異様なほどにふやけていて。
背後の湖の光を浴びてようやく事態を察する。ああ、そういえば私、逃げ出したんだっけ。そしてそのまま行く宛もなく走って、この湖に辿り着いた。
もう私は闇の住人じゃないのに、どうして私なんかを助けたんだろう…………ああ、でも。
「……生きてて、よかった」
心から、自然と込み上げた感情を口にしてみる。今まで一度も口にしてこなかった言葉を。生への執着を。名も知らぬ誰かの言葉を。
溢れだしたこの言葉は、もしかしたら“自分”への愛なのかも。自分らしくない言葉に気恥ずかしく照れながら、姉さんに肩を抱かれて立ち上がって。
ふと、身体に違和感を感じた。溺れていたことに依る外的な違和感ではなく、こう、言葉にしにくいが、体の構造の根底が変化しているような。
285
:
闇の名無しさん
:2015/11/19(木) 18:18:34 ID:/i8Ox0j6
――――――――翼が、生えてる。天使の象徴でありながら、生え揃った羽毛は綺麗に白黒。まるで市松模様めいていて。
何故だろうか、その模様を見て、懐かしいという感覚が脳裏を過ぎった。この模様に思い入れなど無いのに、何故だろう。
いやそれよりも、何故翼が?やはり天使に戻ってしまったのだろうか、と色々思いを巡らせていると、こちらへ歩み寄って来たのはm2。
しげしげと私を……私の翼を眺めると、驚いた、といった様子で大げさに反応を見せれば、一枚の札を取り出し語り始める。
「いや、驚いたな……実はお前が館を飛び出してから数時間後、このタロットの絵柄が変化したんだよ」
「こんな例は初めてだ……それも、絵柄に示された種族は天使、闇の住人、人間、妖精、獣人、竜人、機人、どれにも当てはまらない」
差し出されたタロットカードに描かれていたのは、向い合って手を取り合う二人の少女。片方は白い天使で、片方は黒い悪魔。
二人の掌の中には白と黒で形作られたハートが握られていて、二人は静かな微笑みを湛えながら、澄み渡る青空と白黒の大地を眺めている。
……その光景を、私は知っていた。しかしいつ、どこで、どのようなことが合ったかは思い出せない。ただ漠然とした「見た」という記憶だけが焼き付いており。
刻み込まれた記憶を探ろうとしても、やはり滲んでいて思い出せない。とても大事なことが合ったような気がするのに、思い出そうとする度に溶けていく。
モザイクが掛かった記憶が明らかになることはないだろう。途方も無い喪失感が胸に突き刺さるが、不思議と寂しさはなくて。
唯一、おでこに残ったこの感触だけが、それらの記憶が真実であったことを物語っている。だから悲しくはないし、寂しくもない。
「何が起こったのか全く見当もつかないが……まあ、その様子ならもう心配はなさそうだな」
「m2……もう思わせぶりな事を言うのはやめろ。サクヤが天使だろうが闇の住人だろうがお前ならどうにか出来るだろうに」
「はは、ちょっとお灸を据えてやるつもりだったんだが、まさかこんな大事になるとは思ってなかったんだ」
二人の会話を背に、背後の湖を振り返った。淡く光を放ち、深い青が広がる湖。底は深く深く、人の心よりも深く。
もう一度あの中に飛び込んでみれば、もう一度……名前も知らないキミに会えるのかな。なんて誰かに問いかけるよう心の中で呟いて。
―――――その必要はないよ、と脳裏に届くこの声は。いつか、知らない場所で共に過ごしたキミの声。
そっか、なら安心だ。言葉を胸にしまい込み湖から踵を返して歩き出す。朝日が山の稜線から顔を覗かせる晴れやかな日。
天気予報、やっぱり当たったね。誰も知らない占いを自慢気に誇るように呟いては、木漏れ日の中を歩んでいく。
名前も、顔も、声も知らない。けれど誰よりも長く時を共にした“キミ”と一緒に。
286
:
闇の名無しさん
:2015/11/19(木) 18:22:14 ID:/i8Ox0j6
人知れず滾々と湧き出る不思議な湖。綺麗な光を携えた湖面の畔、一輪だけ咲く花に名前は無い。
美しい白と黒の花びら。そこだけ切り取られたようなモノクロの花。か細くも立派に、己を誇るように咲く花は。
澄み渡る青空へ手を伸ばすように、一枚の―――白と黒が混ざり合った花びらが、朝の薫風に乗って舞い散って行く。
……誰も知らないもう一つの世界。湖の畔に佇む天使の少女が、曇天を舞い散る一枚の花びらを見送った。
『モノクロ・パッチワーク』 了
287
:
闇の名無しさん
:2015/12/24(木) 18:00:14 ID:hjOIvPHk
神流「サクヤー、戦況はどうなってる?」
サクヤ「今でもなく優勢ですね。どうします?出陣なされますか?」
神流「うむ」
サクヤ「承知しました、では今すぐに手配を」
神流「サクヤー、今週末空いてるー?」
サクヤ「ん?週末?ちょっと待ってて……ああ、おっけー、空いてる」
神流「やたっ じゃあ一緒に街の方に行かない?」
サクヤ「りょーかい。……先に言っとくけど、カレーパンは奢らないからね」
神流「ケチ!」
執事「神流から呼ばれるときっていつも「サクヤ」だけど混乱しないのか?オフの時とか」
サクヤ「そうでもないよ?トーンとか違うから」
執事「マジで」
サクヤ「王女として私を呼ぶときは若干シリアスなトーンだったりね」
執事「ほーん……流石メイド長だな」
サクヤ「まあ7割くらい勘だけど」
執事「オイ」
288
:
闇の名無しさん
:2015/12/31(木) 04:46:59 ID:6DJo1oZo
ある朝、君は突然姿を消した。
言い知れない何かが欠けた朝。食堂を囲む椅子が一つ、悲しげに空いている。
置かれたスープはいつしか冷めて、皆が席を立って食堂を後にしても、君はやって来なかった。
お昼になっても、日が沈んでも、君は帰ってこない。
隣りに座る執事はいつも通りで、向かいに座る王女もいつも通りで、欠けた一日が続いていく。
どうして誰も気にしないの、と問いかけたい。でも、話したこともない君を心配するなんて可笑しいと思って。
そのまま明日がやってくる。お天道様が昇っても、やっぱり君は帰ってこなかった。
……君のことを、私は知らない。
この館に来てから数年経った。あの事件を引き起こした私を、住人達は受け入れてくれた。
だから私も彼らの期待に応えるために、殺めてしまった彼女たちへの贖罪のために、精一杯働いた。
王女様。師匠。お姉様。執事さん。リンさん。姫様。いそのさん。甘楽さん。そして、女王様。
一つ屋根の下、家族も同然に暮らす彼らの輪にようやく入り込めたと思っていたけど。
K-chan。君はそう呼ばれていた。
私は君をよく知らない。不思議なモノを作っていて、不思議なモノで遊んでいて、不思議なモノを嘆いていた。
彼も私とは関わろうとはしなかった。だから私もいつしか、君とは縁がないのだろうと諦めていた。
でも。君がいない席で冷めていくスープを見ていると、何故だろう、悲しい気持ちで押し潰されそうで。
「……Kの好きな食べ物?」
食後、部屋へ戻るお姉様を引き止めて、そんなことを訪ねてみた。
面食らったような表情でお姉様は戸惑う。私が彼の名前を口にした事に驚いているのか、質問の内容に驚いているのか。
どちらにせよ、暫く考えこんだ後、お姉様は困った様子で「わからない」と答えた。
「アイツは底知れない部分があるからな、誰にもわからんのじゃないか」
「…………そうですか」
肩を落とし、溜息をつく。自分で不思議なくらいに私は落ち込んでいるようで、それはお姉様にも伝わったようで。
「ああ、もしかして、気にしてるのか?アイツのこと」
「そういえばお前は知らなかったか……なに、心配しなくてもいいさ、またひょっこり戻ってくるんだから」
と、私の心を見透かしたように笑っては、頭を撫でて立ち去った。
……いつものことだ、と皆が口をそろえて言う。王女様はにやにやと、どこへ行ったんだろうねと薄ら笑い。
師匠に居場所を探るようお願いしても、面倒くさいの一言で一掃されて。
今日もまた、日が沈む。
289
:
闇の名無しさん
:2015/12/31(木) 04:59:37 ID:6DJo1oZo
一ヶ月経っても君は帰ってこない。
君の席にはいつの間にか埃が積もって、主の帰りを寂しげに待っている。
今日の献立はニンジンのポタージュ。いつものようにスープは冷めて、それを黙々と厨房へ下げる・。
悲しいな、食べてもらえないって。流しに捨てたスープの残り香が、私の鼻孔にこびり付くようで。
ふぅ、と意味もなく溜息を零した。明日もまた、君は帰ってこないんだろうね。
「さっくやー!!」
ある日、王女様が声をかけてきた。どこか嬉しげな様子で、薄茶色の紙袋を片手に。
こんなに機嫌のいい王女様を見たのは久しぶりだな、なんて思いながら、彼女の言葉に耳を傾けると
「これ!けーちゃんの好きなモノ!ようやく取り寄せられたんだ!」
手渡された紙袋を覗くと……これは、馬鈴薯?
袋いっぱいに詰め込まれた馬鈴薯――ジャガイモ――は小ぶりだが、色艶もよく形も良好。
これが君の好物なのだと聞かされた時、言葉に出来ない嬉しさが込み上げてきて、王女様にひとしきり頭を下げて厨房へ。
ことことと、思いを込めたスープの出来上がり。
君がいなくなって数ヶ月、きっと帰ってきてくれるよね。心成しか浮足立って、湯立つスープを食卓へ。
ほのかなスパイスの香りが鼻孔をくすぐる。匂いにつられて帰ってくるなんて、そんなお伽噺を期待して。
……結局、君は帰ってこなかった。
290
:
闇の名無しさん
:2015/12/31(木) 05:10:13 ID:6DJo1oZo
君がいなくなって一年経った。
春が明け、風薫る初夏も過ぎ、日差し突き付ける夏も終わって秋が訪れ、紅葉が散れば冬の始まり。
闇世界の冬は厳しい。数年過ごした程度でも確信できるほど、この国の冬は長く厳しいものだ。
けど、君は帰ってこない。
どうして、という疑念と不安が募る。吹雪く窓を眺めては、曇天の空に懸念を抱いて。
「…………君は」
どこへ行ったんだろうね。知る由もないけれど、知る権利もないけれど。私は知りたい。
君がどこへ行ったのか。君はどうしていなくなったのか。君は、君は、君は―――――――。
だん、と扉を開け放って、冬の館を飛び出した。
吹き付ける雪に目を細ませて、荒ぶ寒風に手を悴ませて。一面の銀世界を駆け抜ける。
はっ、はっ、はっ。零れる息は荒く、仄暗い夜空に溶けていく。月の陰る午前3時、私は君を探して走る。
頬も赤く悴んで、手足は冷たく凍えるようで。それでも心の隙間に吹く風よりはマシだと言い聞かせて。
山を抜け、谷を渡り、やがて街へと辿り着く。
闇世界の中心街。初めての街に途方も無い孤独感を覚えながら、私はひたすら君を探す。
291
:
闇の名無しさん
:2015/12/31(木) 05:27:24 ID:6DJo1oZo
人混みをかき分けて、煙る排気に咳き込みながら、見知らぬ街をぐるぐると。
周りの怪訝な視線を振り払うように走り抜ける。路地裏を、高架橋を、交差点を、歩道橋を。
街はとても広く、一日じゃ回りきれないほどで、それでも頬に汗を伝わせながら街を行く。
お腹が空いたら近くの店でパンを一切れ。冷たくなったパンを齧りながら、雪の降る街で独り。
道行く人に訪ねてみても、君の姿は掴めない。
頼る人など誰も居ない街の中、不安が、恐怖が、衆目が、止めどなく私を押しつぶすようで。
「……どこにいったの」
震えた声で呟いて、夕焼けが差す街外れ、かんかんと響く踏切の側で君を想う。
伸びる影は一つ、まるで迷子のよう。ああ、この気持ち、昔どこかで感じたような。
……不意に涙が溢れ出る。自分でも計り知れない感情の波。情緒不安定な私の心。
空になった袋をくしゃりと握りしめて、必死に涙をこらえて歩く。過ぎ去る電車、差し込む夕日をかき分けて過ぎる影。
この踏切の向こうはまた別の街。また知らない街へ行く。帰れるのかな、と、一抹の不安が突き刺さって。
―――――遮断機が上がった線路の向こう。夕日を背に立つ君は。
つかつかと歩み寄る。驚いた様子で佇み君に、涙を見せないように近づけば。
ぱん、と乾いた音が響く。ダメだとわかっている。わかっているけど、我慢できなかった。
勝手にいなくなって、皆の――――私の――――気持ちも知らないで、こんな街でうつつを抜かしてるなんて。
「何す――――」
「心配したんだからね、バカ」
一滴の涙がこぼれ落ちた。それをきっかけに次々と、堰を切ったようにあふれる涙。
同時に口から漏れた言葉は感情の吐露。敬語も忘れて、手のひらの形に頬を赤く染める君を睨んで言い放つ。
でもきっと、今の私の顔は涙でぐしゃぐしゃで、説教なんて以ての外。説得力の欠片もないんだろうな。
……けど。ただひとつ言えることは。
「…………会えて良かった」
292
:
闇の名無しさん
:2015/12/31(木) 05:40:26 ID:6DJo1oZo
朝、揃い踏みの食卓に並べられたスープは、君の大好物の馬鈴薯のスープ。
欠けたピースは埋まり、今日からまた、いつもの日常が始まる。斜め迎えに座る君、眼鏡を曇らせてスープを啜る。
「僕を探しに来た奴なんて初めてだ」と、君は笑った。関わることのなかった二人、巡りあうキッカケは些細なもの。
―――――そんな遠い昔の話を不意に思い出した、欠けた日の朝。
君はまた突然姿を消した。これで何度目だろうか、もう数える気もしない日常の一角。
こうなるともう慣れたもので、彼の椅子は既に撤去済み、朝食も省いて、一年ほど経ったらまた元へ戻す。
こうも放浪が常態化すると「いつ帰ってくるか」も大体把握出来るようになってくる。嫌な性だな、と笑って見せて。
冬が明けた春のある日。君が居なくなってから数ヶ月、馬鈴薯の美味しい季節。
……散歩にでも出かけようか。行き先は―――そうだなあ、街へ行こうか。夕日の綺麗な、あの街に。
「心配なんて、してないけどね」
従者少女は街で独り、放浪少年を探し歩く。ほんの気まぐれが彼女を動かした、そんなよくある日のお話。
293
:
さくや
:2015/12/31(木) 05:41:36 ID:6DJo1oZo
書き納めはさくKだ!
294
:
けいちゃん
:2015/12/31(木) 12:01:13 ID:yWveHhJE
いいぞ〜これ
295
:
けいちゃん
:2016/01/03(日) 23:18:47 ID:yWveHhJE
サクヤ「遊戯王…?」
※ご都合オリカ展開アリ。
296
:
けいちゃん
:2016/01/03(日) 23:19:26 ID:yWveHhJE
サクヤ「なるほど、これが例のカードゲームですか」
k「そだよー」
サクヤ「で、遊ぶにはデッキが必要だって聞いたんだけど」
k「それは大丈夫だ。俺が用意してあるからこれ使え」
サクヤ「マジェスペクター…?」
k「相手を妨害するデッキだ。サクヤにぴったりじゃないかなって」
サクヤ「なるほどね。ありがとう!」
k「じゃあ軽くルールの説明をするよ」
サクヤ「ふむふむ…」
〜1時間後〜
k「黒庭ドレッドルート時のヴェルズコッペリアルの攻撃力」
サクヤ「307」
k「即答かよ…此処まで飲み込みが早いのは初めてだな」
※「黒庭ドレッド」で検索してみよう。頭おかしいぞ。
297
:
けいちゃん
:2016/01/03(日) 23:20:15 ID:yWveHhJE
k「じゃあ早速決闘してみるか!あと黒庭ルートの公式は実戦じゃ基本一切使わないからな!」
サクヤ「(覚えた意味って…)やりましょうか」
「デュエル!!」
k「先行はくれてやるよ!」
サクヤ「遠慮なく行かせてもらいます…私のターン!」
サクヤ 手札5
k 手札5
サクヤ(ここは…)
サクヤ「マジェスペクターラクーンを召喚!マジェスペクターラクーンの効果発動!」ATK1200
サクヤ「デッキからマジェスペクターモンスターを手札に加えます。私が加えるのはマジェスペクターフォックス。」手札5
サクヤ「そして私はスケール2のマジェスペクターフォックスとスケール5の竜剣士ラスターPをペンデュラムスケールにセッティング!」手札3
k「いきなり飛ばすねぇ〜」
サクヤ「竜剣士ラスターPのP効果発動!マジェスペクターフォックスを破壊し、マジェスペクターフォックスを手札に加え、そのままセッティング!」手札2
298
:
けいちゃん
:2016/01/03(日) 23:20:58 ID:yWveHhJE
サクヤ「揺れろ、魂のペンデュラム。天空に描け、光のアーク!ペンデュラム召喚!現れよ!私のモンスターたち!」
サクヤ「エクストラデッキから、マジェスペクターフォックス!」ATK1500
サクヤ「手札から、マジェスペクターキャット!」DEF1900
サクヤ「マジェスペクターフォックスの効果発動!マジェスペクター罠カードを一枚手札に加えます!」
k(あ、やばいやつだこれ)
サクヤ「マジェスペクターテンペストを手札に加えます!私はカードを2枚伏せてエンドフェイズ!マジェスペクターキャットの効果でマジェスペクターラクーンを手札に加えます!」
サクヤ 手札1
フィールド モンスターゾーン マジェスペクターラクーン マジェスペクターフォックス
Pゾーン ラスターP マジェスペクターフォックス
魔法罠ゾーン伏せ2枚
299
:
けいちゃん
:2016/01/03(日) 23:22:06 ID:yWveHhJE
※言い忘れてたけど遊戯王わかる前提で書いてるので、たぶんここのひとたちは大抵わからない。
k「俺のターン!ドロー!」
k(ここは…)
k「魔法カード発動!ハーピィの羽根箒!」
サクヤ「なっ!」
サクヤ「うぐぐぐ…」
k「いける!」
k「手札から、魔界発現世行きデスガイドを通常召喚!」
サクヤ「あのカードは!」
k「効果発動!デッキから魔サイの戦士を特殊召喚するぜ!」
k「2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!」
k「地獄の旅人よ、今ここに現れろ!」
k「彼岸の旅人 ダンテ!」ATK1000
サクヤ「エクシーズ召喚…だけど、攻撃力1000程度じゃ…!」
k「甘い!」
k「ダンテの効果発動!魔サイの戦士を取り除き、デッキの上からカードを3枚墓地へ送る!」
墓地へ送られたカード
DDD死偉王ヘル・アーマゲドン
DDスワラルスライム
DD魔道賢者ニュートン
300
:
けいちゃん
:2016/01/03(日) 23:22:44 ID:yWveHhJE
k「そしてダンテの攻撃力は、この効果で墓地へ送られたカード1枚につき、500ポイントアップ!」
サクヤ「攻撃力2500!」
k「さらに素材として墓地へ送られた魔サイの戦士の効果発動!」
k「DDネクロスライムを墓地へ!」
サクヤ(あれこれってやば…)
k「手札から、地獄門の契約書発動!効果によりDDD壊薙王アビス・ラグナロクを手札に!」
サクヤ「ちょっちょちょちょ、こちとら初心者ですよ!」
k「御構い無しなスタンスで」
サクヤ「おおおおい!」
k「手札から、DDスワラルスライムの効果発動!手札のDDラミアと融合!」
k「現れろ!DDD神託王ダルク!」ATK2800
k「墓地のDDラミアの効果発動!地獄門の契約書を墓地へ送り、特殊召喚する!」
k「俺はDDD神託王ダルクに、DDラミアをチューニング!」
k「現れろ!DDD呪血王サイフリート!」ATK2800
サクヤ(こ無ゾ)
k「まだまだァ!墓地のDDネクロスライムの効果発動!墓地のDDD神託王ダルクと一緒に除外して融合!」
k「DDD剋竜王ベオウルフ!」ATK3000
k「墓地のDDスワラルスライムの効果発動!このカードを除外し、手札からDDD壊薙王アビス・ラグナロクを特殊召喚!」ATK2200
k「アビスラグナロクの効果発動!墓地からDDD死威王ヘル・アーマゲドンを特殊召喚!」ATK3000
301
:
けいちゃん
:2016/01/03(日) 23:23:17 ID:yWveHhJE
k「バトルフェイズ!」
サクヤ「初心者相手にエグすぎでしょ」
k「DDD呪血王サイフリートでマジェスペクターフォックスに攻撃!」
サクヤ「うぐぐ…」
LP8000 → 6700
k「DDD死威王ヘル・アーマゲドンでマジェスペクター・キャットに攻撃!」
サクヤ「ぐう…!しかし守備表示モンスターだからダメージは…」
k「DDD剋竜王ベオウルフの効果により、DDモンスターが守備表示モンスターに攻撃するとき、その守備力を攻撃力が超えた分だけダメージを与える!」
サクヤ「なっ!」
LP 6700 → 5600
k「DDD剋竜王ベオウルフでダイレクトアタック!」
サクヤ「うぐあああ!!」
LP 5600 → 2600
k「彼岸の旅人 ダンテでダイレクトアタック!」
サクヤ「負け…る…!」
LP 2600 → 100
k「これで終わりだあああ!DDD壊薙王アビス・ラグナロクでダイレクトアタック!」
サクヤ「負けるわけには…!!」
302
:
けいちゃん
:2016/01/03(日) 23:23:58 ID:yWveHhJE
(ここから唐突なオリカ展開)
サクヤ「!!」
k「何が起こっているんだ…!」
サクヤ「カードが…光輝いて…」
サクヤ「このカードは…!」
サクヤ「手札からDN-サクヤの効果発動!」
k「ダークネス!?そんなテーマ聞いたことない!まさか…カードを創造したと言うのか!」
サクヤ「自分がダイレクトアタックでLPが0になる場合、このカードを守備表示で特殊召喚し、その戦闘で受けるはずだったダメージの分だけ自分はLPを回復する!」
LP 100 → 2300
DN-サクヤ def1600
k「新カードを作り上げるとは…!だが…攻撃は続行する!」
サクヤ「ぐぅ…!」
サクヤ LP 2300 → 1700
サクヤ「DN-サクヤの効果発動!このカードが破壊され墓地へ送られた場合、LPを半分払い、墓地のこのカードを除外して発動できる!」
サクヤ LP 1700 → 850
サクヤ「デッキから「DN-従者サクヤ」を特殊召喚!!」
DN-従者サクヤ ATK2400
k「DNカード…全くの未知数だ。一体どんな効果が…!」
k「バトルフェイズ終了時、攻撃を行った彼岸の旅人ダンテは守備表示になる。」
k「ターンエンド」
k 手札1
303
:
けいちゃん
:2016/01/03(日) 23:24:36 ID:yWveHhJE
サクヤ「私のターン、ドロー!」
サクヤ 手札1
サクヤ「DN-従者サクヤの効果発動!相手フィールドのカード一枚を選んで破壊する!」
サクヤ「私はDDD呪血王サイフリートを破壊する!」
k「くっ…」
サクヤ「私は手札から「DNM-闇軍の召集」を発動!
サクヤ「LPを100になるように払い、デッキから「DN」カードを2枚手札に加えます!」
サクヤ LP850 → 100
サクヤ「私は、DN-神流とDN-ルキを手札に加える!」
k「なんだそのチートカード」
サクヤ「私は手札から、DN-神流を召喚!」ATK1900
サクヤ「DN-神流の効果発動!手札、デッキから、レベル4以下のDNモンスターを特殊召喚する!」
サクヤ「デッキから、DN-kchanを特殊召喚!」
k「なるほど…闇軍を模したカード群か。しかも効果は強力。これ負けるんじゃねぇの?」
304
:
けいちゃん
:2016/01/03(日) 23:25:10 ID:yWveHhJE
サクヤ「手札から、DN-ルキの効果発動!DNモンスターが自分フィールド上に存在する場合、このカードを特殊召喚できる!このカードが特殊召喚に成功した場合、自分フィールド上の「DN」カード一枚を破壊する!私が破壊するのは、「DN-神流」!」
サクヤ「DN-神流が破壊され墓地へ送られた場合、LPを半分払い、このカードを除外して発動できる!デッキから「DN-覇王女神流」を特殊召喚!」
DN-覇王女神流 ATK3000
k「オリカこわ…」
サクヤ「DN-ルキの効果!DNカードが破壊された場合、デッキから「DN」魔法カード一枚を手札に加える!」
サクヤ「私が加えるのは、「DNM-闇世界融合」!」
k「まさか…!」
305
:
けいちゃん
:2016/01/03(日) 23:25:46 ID:yWveHhJE
サクヤ「DNM-闇世界融合を発動!自分フィールド上に「DN」モンスターが3体以上存在する場合、デッキからも融合素材にできる!」
サクヤ「私は、自分フィールドの「DN-従者サクヤ」「DN-覇王女神流」「DN-kchan」「DN-ルキ」とデッキから「DN-執事」「DN-甘楽」「DN-m2」「DN-レイ」を融合!!」
k「何が来るんだ…!」
サクヤ「闇世界の王よ、今この場にその姿を顕現せよ!!」
サクヤ「融合召喚!!現れろ!「DN-闇王ダークネス」!!」ATK 4000
サクヤ「闇王ダークネスの効果発動!相手フィールドのカードを全て除外し、除外した分×1000ポイントのダメージを与える!」
k「ぐあああ!!」
k LP 8000 → 4000
サクヤ「バトル!闇王ダークネスでダイレクトアタック!!」
k「ぐううううああああああ!!!!」
k LP4000 → 0
306
:
けいちゃん
:2016/01/03(日) 23:27:15 ID:yWveHhJE
サクヤ「勝った…!!」
k「全く主人公らしくないデッキやめろォ!」
k「しかし、「DN」カードか…強大な力、少し調査が必要だな。」
サクヤ「あの光なんだったんだろね」
k「うーん、わかんね」
そしてサクヤは、カードでの戦いに巻き込まれていくことになったのであった…
続かない
307
:
けいちゃん
:2016/01/03(日) 23:30:00 ID:yWveHhJE
※オリカ説明
DN-神流 星4 ATK1900 def0 闇属性 戦士族
①このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。手札・デッキからレベル4以下の「DN」モンスターを特殊召喚できる。
②このカードが破壊され墓地へ送られた場合、LPを半分払い、このカードを墓地から除外して発動できる。手札・デッキから「DN-覇王女 神流」を特殊召喚する。
DN-覇王女 神流 星8 ATK3000 def0 闇属性 戦士族
このカードは通常召喚できない。
「DN-神流」の効果でのみ特殊召喚できる。
①このカードが戦闘を行うダメージステップ時、手札から「DN」カード一枚を捨てて発動できる。このカードの攻撃力を倍にする。
②自分エンドフェイズに発動する。このカードをデッキに戻し、除外されている自分の「DN-神流」を特殊召喚する。
308
:
けいちゃん
:2016/01/03(日) 23:30:40 ID:yWveHhJE
DN-サクヤ 星4 ATK1200 def1600 闇属性 戦士族
①相手のダイレクトアタックによって自分のLPが0になる場合に発動できる。そのダメージを無効にし、このカードを守備表示で特殊召喚する。その後、その戦闘で発生するダメージ分だけ自分はLPを回復する。
②このカードが破壊され墓地へ送られた場合、LPを半分払い、このカードを除外して発動できる。手札・デッキから「DN-従者サクヤ」を特殊召喚する。
DN-従者サクヤ 星6 ATK2400 def2600 闇属性 戦士族
このカードは通常召喚できない。
「DN-サクヤ」の効果でのみ特殊召喚できる。
①このカードがフィールドに表側表示で存在する場合に発動できる。
相手フィールドのカード1枚を選んで破壊する。
この効果は1ターンに1度しか発動できない。
②このカードがフィールドに表側表示で存在する場合、相手はバトルフェイズ中にモンスターの効果を発動できない。
309
:
けいちゃん
:2016/01/03(日) 23:31:20 ID:yWveHhJE
DN-kchan 星4 ATK0 def2100 闇属性 戦士族
①このカードは相手の効果の対象にならず、効果も受けない。
②1ターンに1度、自分の墓地の「DN」モンスター1枚を対象として発動できる。そのモンスターを召喚条件を無視して特殊召喚する。
③このカードが破壊され墓地へ送られた場合、LPを半分払い、このカードを除外して発動できる。手札・デッキから「DN-電脳王kchan」を特殊召喚する。
DN-電脳王kchan 星7 ATK2800 def1000 闇属性 戦士族
このカードは通常召喚できない。
「DN-kchan」の効果でのみ特殊召喚できる。
①このカードは他のカードの効果を受けない。
②このカードがフィールド上に表側表示で存在する場合、相手は魔法・罠カードを発動できない。
③このカードが破壊された場合に発動できる。デッキから「DN」モンスター1体を召喚条件を無視して特殊召喚する。
310
:
けいちゃん
:2016/01/03(日) 23:31:56 ID:yWveHhJE
DN-ルキ 星4 ATK200 DEF1600 闇属性 魔法使い族
自分フィールド上に「DN」モンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。
①このカードが特殊召喚に成功した場合に発動する。自分フィールドの「DN」カードを一枚破壊する。
②自分フィールドの「DN」カードが破壊された場合に発動する。デッキから「DN」魔法カード一枚を手札に加える。
③このカードが破壊され墓地へ送られた場合、LPを半分払い、このカードを除外して発動できる。手札・デッキから「DN-科学妃ルキ」を特殊召喚する。
DN-科学妃ルキ 星5 ATK1600 DEF2900 闇属性 魔法使い族
このカードは通常召喚できない。
「DN-ルキ」の効果でのみ特殊召喚できる
①1ターンに1度、デッキから「DN」カード一枚を手札に加えることができる。
②自分エンドフェイズに発動する。このカードを除外する。その後、除外されている自分の「DN」カード一枚を手札に加えることができる。
311
:
けいちゃん
:2016/01/03(日) 23:33:37 ID:yWveHhJE
DNM-闇軍の召集
①LPを100になるように払って発動できる。デッキから「DN」モンスター2枚を手札に加える。
②墓地のこのカードを除外して発動できる。除外されている自分の「DN」モンスター1体を特殊召喚する。
312
:
けいちゃん
:2016/01/03(日) 23:34:33 ID:yWveHhJE
安易に強い設定ばかりつけすぎたクソオリカたちでした
闇世界融合とダークネスはめんどいんで省略
これにて了
313
:
さくや
:2016/01/03(日) 23:56:10 ID:G0aerYOQ
頭がばくはつしそうなほどの情報量すき
314
:
かんな
:2016/01/04(月) 11:12:30 ID:???
乙、感動した!
特にkが世界の崩壊を防ぐため単身で電子の海へ飛び込んでいった展開には涙が止まらなかった
315
:
さくや
:2016/01/18(月) 09:45:21 ID:4N1WnR1M
神流「さっむーーーーーーい!!!!」
執事「朝っぱらから大声出すんじゃねえ!」
K「わかっておったろうにのう神流ス……闇世界の冬は厳しいと」
神流「だって昨日まで紅葉が綺麗な秋日和だったのに一夜にして雪景色ってどういうこと!?」
執事「長い夜が開けるとそこは雪国だった?みたいな?」
K「ポエット!」
神流「やかましいわ!サクヤ、どうにかしろ」
サクヤ「そんなに寒い?私はそんなに気にならないけど」
執事「お前このクソ寒い中で半袖生足ってどんな身体してんだ」
神流「うわっ!?サクヤの肌暖か!?」ペタ
K「保温効果やばない?魔法瓶かよ」
サクヤ「私の血流魔術をもってすれば体温を操ることくらいは簡単だし」ポカポカ
神流「それじゃあ人間カイロとして役立ってもらおうか」ギュー
サクヤ「あだだだだだだ神流ちょっと締め付けすg」バキッ
リン「おはよう諸君、いい朝だね」
K「お前もまたすごいファッションだな、半裸て」
リン「ふふ、君らが真夏に水着で日光浴をするように、ボクも真冬には雪光浴をするのさ」
執事「雪光浴……だと……?その行為に何の意味があるというんだ?」
リン「意味?そりゃ勿論……気持ちが良いからだ」
K「ああ…」
神流「カイロ冷たくなっちゃった……あれリンちゃん起きてたの」
リン「今起きた。どうだい、今からジョギングと洒落込まないか」
神流「殺す気か」
ルキ「ふぅ……寒いな、今日も」
いその「む、寒いか?……すまない、徹夜続きで感覚が鈍っていてな」
m2「現在の気温は-10.3℃。ああ、寒いな。保温の魔術でもかけとくか?」
ルキ「魔術は当てにならん、薬でどうにかするさ」
m2「釣れないねえ……いそのはどうする?」
いその「遠慮しておこう」
m2「そいつは残念、それじゃあ俺は一足先に休憩させてもらうか」
ルキ「早めに戻ってこいよ?」
m2「了解、一時間後には戻ってくる」
いその「さて、残りの整備……今日中に仕上げられると良いのだが」
ルキ「何、この程度の量なら容易いさ……ほら、眠気覚ましのコーヒーでもどうだ」
いその「すまない、頂こう」
甘楽「……へっくしょんッ!うう、寒ィな……冷てェな…」
むぅ「わーい!雪!雪だよ甘楽!ほらもっと走って走って!」
甘楽「何でオレが走らなくちゃならねェんだよ!?」
むぅ「寒さとか気にしなさそうなんだもん!」
甘楽「気にするわ畜生め!戯れはもっと安全で暖かいのにしてくれよ!?」
むぅ「ええいお姫さまの命令に背くなんて!もう一周追加!」
甘楽「チクショオオオオオオオオオ!終わったら暖けェカップヌードルを食うしか無い!」
316
:
さくや
:2016/01/18(月) 09:45:51 ID:4N1WnR1M
レイ「…………」
m2「よ、邪魔するぞ」
レイ「m2……貴方でしたか」
m2「どうした、外なんか眺めて……雪なんぞもう見慣れてるだろう?」
レイ「ええ、まあ」
レイ「……ですが、今年は少し、思うところがありまして」
m2「ほう?」
レイ「この綺麗な雪を―――この冬を、この情景を」
レイ「私たちは後何度、見られるのでしょうか、と」
レイ「そう思いを馳せていると……また感慨深いものがあるのです」
m2「ふぅん、そんなもんかねえ」
m2「ロマンチックなのは結構だが、程々にしておけよ」
レイ「ええ、承知しておりますわ……それで、私に何用でしょうか」
m2「何、簡単な報告だ……そろそろ“始まる”って事を伝えに来たのさ」
レイ「……!」
レイ「そう……ですか」
m2「気に病むなよ、お前が気負ってちゃ他の奴らまでしょぼくれちまう」
レイ「……では、この唐突な雪景色も」
m2「だろうな、これも予兆の一つだろうさ……」
レイ「この平穏も、静寂も、一時の物なのですね……悲しいものです」
m2「報告は以上、また情報が入ったら報告しに来る」
レイ「ご苦労さまですわ、それでは……御機嫌よう」
m2「……闇の加護があらんことを」
レイ「あら、貴方が詩情を零すだなんて」
m2「はは、らしくないか?でもたまには、な……こんな雪の日だ、もう雨も霙も降りゃせんしな」
闇世界のとある冬の光景
317
:
しつじ
:2016/01/18(月) 14:47:51 ID:.XdBIl6U
本編はよ
318
:
さくや
:2016/01/22(金) 21:51:49 ID:b/K6lGRE
執事「………」
サクヤ「………」
神流「なにしてんのあの二人」
K「さあ」
m2「私が説明しよう」
K「m2院」
m2「先程喉が渇いたと執事から催促されたサクヤは飲み物を持ってきた」
m2「その飲み物を口にした瞬間執事はカップを床に叩きつけていきなりキレた」
m2「さあ、カップに入っていた飲み物は何でしょう!?」
神流「クイズ形式かよ」
K「ピンポーン」
m2「はいKさん!」
K「紅茶!」
m2「正解です」
m2「そしてサクヤもキレてああやってメンチ切り合ってる」
神流「納得」
K「全く、こんな剣呑な空気じゃ折角の食事も美味くないな!」
いその「ああ……しかしあの様子じゃ我々が口出ししても火に油を注ぐだけだ」
リン「でも執事はともかくサクヤがあそこまで感情を剥き出しにするなんて珍しいねえ」
神流「(面白いからもうちょっと見てよ)」
サクヤ「……へぇ、で?紅茶が何ですと?」
執事「紅茶は泥水だって言ってんだこのスカタン野郎がァ〜〜〜ッ!!」
執事「いいか、こんなもんを二度と食卓に出すんじゃぁないッ!!」
サクヤ「ダマラッシェーーッ!!紅茶こそ至高の飲み物!それを理解できないとは……!!」
K「まだ続くの?」
むぅ「どっちも美味しいのに……」
リン「お互い譲れないものがあるのさ、従者としてもね」
いその「あれ程までに没頭できる何かがあるというのは少し羨ましい気がしないでもないが……」
甘楽「うっす……うォ、朝っぱらから何してんだアイツら」
神流「かくかくしかじか」
甘楽「ほーん、アホみてえなことしてんなァ……どっちも変わりゃしねェだろうが」
サクヤ「」ピクッ
執事「」ピクッ
リン「あっ」
K「オイオイオイ」
神流「死んだわ甘楽」
319
:
さくや
:2016/01/22(金) 21:52:20 ID:b/K6lGRE
甘楽「はい……甘楽は珈琲も紅茶も大好きです……」
執事「よろしい」
m2「恐ろしい物を見た」
神流「もー、そろそろ仲直りしたら?」
サクヤ「こればかりは譲れないし……じゃあ、そういう皆の好きな飲み物は?」
神流「え?チャイ」
m2「ソーマ」
リン「ハーブティー」
K「コーラ」
いその「ほうじ茶……いや、緑茶も捨てがたい」
むぅ「ジャスミン茶ー!」
執事「バラバラすぎだろ!?」
サクヤ「むう……こうなったら……」
執事「……一発、実力で示すしか無えだろうな」
神流「ちょちょちょ、食堂で暴れないでよ!?」
サクヤ「心配ご無用、そういう意味の決闘じゃないから」
執事「ああ……俺達の戦場はアソコだ」
K「厨房……?」
リン「ああ、成る程。味で決着をつけようってわけだね」
いその「平和的な解決策だな……しかしジャッジはどうする」
m2「俺はパスだ、舌には自信がない」
神流「わたしもー。あくまで中立的立場ってことで!」
リン「ボクも遠慮しておこうかな」
K「……え、俺?いやいや、子供舌の俺に頼むのは間違ってるでしょ!」
いその「…………すまない。俺の意見では両天秤で参考にならないだろう」
むぅ「私にがいのきらーい!」
甘楽「はい…甘楽は珈琲も紅茶も飲み干します…」
執事「くっ、俺達じゃ当然判定にならんし……」
サクヤ「一体どうしたものか――――あっ」
320
:
さくや
:2016/01/22(金) 21:52:51 ID:b/K6lGRE
ルキ「……で、私に飲み比べて欲しいと」
執事「ああ、淹れたての珈琲だ。美味いぜ?何せ豆の国から仕入れた最高級品だからな!」
サクヤ「どうぞ、アッサムティーです。コクがあり濃厚で芳醇な香りが特徴の紅茶ですよ」
ルキ「ほう……どちらも美味しそうじゃないか」
ルキ「それじゃあ――――――」
執事「なっ」
サクヤ「えっ」
二人「「ま、ま、混ぜたああああああぁぁぁぁ!??!?」」
ルキ「ああ、紅茶と珈琲のブレンドだ」
サクヤ「何してんのお姉ちゃん!?何故こんな暴挙を!!」
執事「そうだぞルキ!こんなラーメンにはちみつぶっかけるような真似……」
ルキ「くく、これはれっきとした飲み物なんだぞ?東洋の国に伝わる飲み物でな」
ルキ「そこの言葉では「鴛鴦茶」と呼ばれている。オシドリとは、仲睦まじいつがいの鳥を意味する」
ルキ「そんなオシドリのように、一見合わないように見える紅茶とコーヒーも相性は抜群なのさ」
サクヤ「………で、でも」
ルキ「でも、は無し。文句を言うなら飲んでみてからにしろ」
執事「ふん!こんな物が美味いワケ―――――!」
サクヤ「………う、美味い」
ルキ「だろう?」
執事「な、成る程……コーヒーの苦味と紅茶の香りが奥深い相乗効果を生んでいる」
サクヤ「プレーンな味であるストレートティーにコーヒーというフレーバーが合わさることで新たな味わいが……!」
二人「「…………」」
ルキ「まあ、なんだ。お互い衝突しあったり意固地になるのもわかるが、たまには受け入れてみて認め合うっていうのもどうだ」
サクヤ「っ……こ、これはあくまでも紅茶が主役だし!コーヒーはあくまでもフレーバー!」
執事「は、はんっ!それをいうなら紅茶のほうがフレーバーだろうが!コーヒーに入れるミルクやシュガーと変わりねえよ!」
二人「「ぐぬぬ……!」」
ルキ「全く、素直じゃないな二人とも」
321
:
さくや
:2016/01/22(金) 21:53:23 ID:b/K6lGRE
後日
サクヤ「〜♪」
神流「やっほーサクヤ!一人で何してんの?」
サクヤ「うわあっ!?い、いや!?何も!?」
神流「んん?何か隠してるー?」
サクヤ「そそそそそそんなことは」
神流「この匂い……コーヒー?」
サクヤ「うっ」
神流「……ふうん」ニヤニヤ
サクヤ「ち、違……ただ鴛鴦茶のフレーバーづくりってだけだから!」
神流「アハハ!ルキに諭されてから落ち着きが無いと思ってたらそういうことかあ!」
神流「うん、黙っててあげるからさ!精々頑張りなよ!」
サクヤ「違うってば……!!」
神流「あーっと、なんか独り言呟きたくなったなー!」
神流「そう言えば執事はブラックなアイスコーヒーが好きだったっけなー!」
サクヤ「違うってーーーっ!!」
m2「よう、執事じゃないか。どうした?図書室に来るなんてお前らしくもない」
執事「まあ、その……なんだ、借りたい本があってさ」
m2「娯楽雑誌はA-2、漫画はB-7だ」
執事「そういう系統じゃねえよ!…………料理本とか、どこだよ」
m2「料理本……??」
m2「おい執事……言っとくが料理本を眺めたからって腹は膨れないぞ。絵に描いた餅って言葉知ってるか?」
執事「お前は俺をなんだと思ってんだよ!」
m2「いや、食い意地はってついに二次元にまで手を出すのかと」
執事「アホか俺は……いいから教えろ、出来ればお茶の入れ方とかが詳しく載ってる奴な」
m2「C-8だが……どうした、コーヒーの入れ方くらいマスターしてるんじゃないのか?」
執事「い、いやっ、その…………いいいいいそのだ!いそのに美味い茶でも淹れてやろうと思ってよ!」
m2「そういうことか。なら美味い日本茶の入れ方の本を―――」
執事「いや!出来ればお茶全部の淹れ方が載っている奴にしてくれ!!緑茶とかハーブティーとか……あと、紅茶とか」
m2「…………はは、わかってるさ。C-8-cの真ん中らへんにある、好きにもってけ」
執事「う……何を思ってるか知らねえがそのニヤニヤ止めろ!」
m2「汚すなよ……ああ、それと」
執事「ん?」
m2「サクヤは無糖のダージリンティーが好みだ」
執事「〜〜〜〜っ……!」
322
:
さくや
:2016/01/22(金) 21:53:58 ID:b/K6lGRE
サクヤ「……あっ」
執事「……お前か」
サクヤ「えっと……何その本」
執事「お前には関係ない本だよ!……それと、一ついいか」
サクヤ「いいけど」
執事「えっと、だな……今度、一緒にティータイムでも、どうだ」
サクヤ「……え」
執事「……は、ははは!冗談だ冗談!そうだよな!いいわけないよな!それじゃまた―――」
サクヤ「いいよ」
執事「えっ」
サクヤ「但し、ティータイムじゃなくて」
サクヤ「……『コーヒーブレイク』、でね」
執事「……ふはは……ああ、了解了解」
323
:
さくや
:2016/01/22(金) 21:57:34 ID:b/K6lGRE
自分で書いといてなんだけどすごい恥ずかしいからあまり深読みしないで…
324
:
しつじ
:2016/01/23(土) 20:27:13 ID:WYeYlJ2o
深読みもなにも
お前男だろうが。
325
:
さくや
:2016/01/24(日) 00:49:50 ID:b/K6lGRE
そういう意味じゃねえよ!!
326
:
さくや
:2016/02/14(日) 10:10:17 ID:ipcb7WK6
サクヤ「神流、神流ー」
神流「ん、何?」
サクヤ「これ、チョコ。バレンタインデーだから」
神流「くれるの?わぁい!……義理だよね?」
サクヤ「というよりも、友チョコかな」
神流「まあどっちでもいいけど!どれどれお味の方は……むっ」
神流「意外と甘くない?とはいえビターでもない感じ………ほのかにスパイスの香りが。これおいしい」
サクヤ「気に入ってもらえてなにより」
神流「何入ってんの?これ」
サクヤ「単純に甘さを控えめにして隠し味に香辛料をちょっとね。くどくならない程度だけど」
神流「成る程ねえ…ああ、これ以外にハマる味だ。あのチョコをまぶした柿の種とかと同じ風味」
サクヤ「執事、ハッピーバレンタイン。貴様にチョコをくれてやるから泣き喚きながら地べたに頭擦り付けて感謝しろ」
執事「喧嘩売ってんのかテメェ」
サクヤ「嫌がらせにカレールーでも渡そうかとも考えたけど、今年はちゃんとしたものをね……ほら」
執事「お前に貰わなくてももう他のメイドたちから貰ってるっつーの!……お、これは」
執事「……麦チョコ?いや違う、これはまさか……コーヒー豆にチョコをコーティングしてあるのか?」
サクヤ「そ。勿論コーヒー豆そのまんまじゃ苦味が強すぎるから色々工夫してあるけどね。チョコは甘めのミルクチョコだよ」
執事「ああ、昨日俺の部屋のコーヒー豆が若干減ってると思ったらそういうことかよ……あ、でも美味い」
サクヤ「美味くないわけがない。というか、不味いなんて言ったらその頭蹴り飛ばすところだった」
執事「荒っぽすぎんだろ……それと、一応聞いとくが、これ義理だよな?」
サクヤ「いや、人情チョコ。チョコを貰えない執事へ哀れみを込めて。」
執事「もう何個も貰ってるっつってんだろうがぶっ殺すぞコラアアアアアァァァ」
m2「バレンタイン。ああ、バレンタインか。すっかり忘れてた」
サクヤ「一応チョコ作ってきたんですけど、食べます?」
m2「うん?俺のために作ってきてくれたのか。それなら食わない訳にはいかないだろ」
サクヤ「それでは……どうぞ、師匠」
m2「お、っと……以外にデカイな。こりゃチョコケーキか」
サクヤ「ザッハトルテです。お口に合えばいいんですけど」
m2「……ふむ。見た目よりも甘い。濃厚な甘みだな。それにこれはジャム…イチゴジャムか?」
m2「成る程、この添えられた生クリームはこの甘さを中和するためのものか……ああ、まろやかになった」
サクヤ「チョコケーキの王様と呼ばれるだけあって調理には苦労しましたよ」
m2「美味しい。腕を上げたな、サクヤ……しかし義理チョコにこれほど気合を入れるというのもどうなんだ」
サクヤ「バレンタインですし?」
327
:
さくや
:2016/02/14(日) 10:28:23 ID:ipcb7WK6
サクヤ「リンさん、これを」
リン「やあ、バレンタインチョコか。別に気にしなくてもいいのに」
サクヤ「まあ一応メイド長ですから。この程度は苦にもなりませんよ」
リン「それは頼もしいことで……ふむ、ひんやりしているね」
リン「冷やしたトリュフチョコレートか。中のコレは……果実?意外と酸味がある」
リン「冷やすことで風味が増しているのか……良い味だ、ハーブティーと一緒に愉しみたいね」
サクヤ「お気に召していただけたようで何よりです」
リン「ところでこの果実は一体?あまり食べたことのない風味だけど」
サクヤ「近頃英の国で栽培され始めたコガラモモという桃の一種です。まあ、言ってしまえば小さい桃ですよ」
リン「ああ、まだ熟していないから酸味に青臭さも残っていたのか。勉強になったよ」
サクヤ「K、入るよ」
K「バレンタインは中止バレンタインは中止バレンタインは中止バレンタインは中止バレンタインは」
サクヤ「ウワッ負のオーラに満ちてる。ほら、そんな気を落とさないで」
K「サクヤ……お前も義理チョコか……」
サクヤ「本命チョコが欲しいの?ふうん。そっか。まあ義理だけどね」
K「絶望した!!」
K「まあ貰えるもんはもらっとくけどね!で、どんなチョコをくれんの?」
サクヤ「うまい棒チョコ味」
K「まさかの市販品ーーーーーーッ!!!!」
サクヤ「街の◯ーソンで安売りしてた」
K「束売り10本セットで300円ーーーーーーーーッッッ!!!!!」
K「ク、ソ……でも美味い……このサクサク感しゅき……」サクサクサクサクサクサク
サクヤ「ダース単位で買ってきたからずっと食べているがいいよ」
K「サクサクサクサクサクサクサクアクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクアクサクサクサクサクサクサクサクサクサクサクアクサクサクサク」
サクヤ「どうも、いそのさん。バレンタインデーですね」
いその「……すまない、バレンタインデーとは何だ?」
サクヤ「(そこからか)」
サクヤ「まあ、簡単に言うと女性が男性にチョコを渡すイベントですよ」
いその「チョコ、チョコか……西洋の菓子には馴染みがないな」
サクヤ「そうだと思って、いそのさんへのチョコは抹茶風味にしてみました」
いその「抹茶味……ふむ、中々趣きのある味だ。シンプルで飽きの来ない味だ」
いその「どちらかと言えば和菓子の風味に近いか。甘さの種類は餡に近い……うむ、美味い」
サクヤ「ああ、それともう一つ付け加えておくと、今日は女性が意中の男性にチョコを渡す日でもあります。これは義理ですけどね」
いその「成る程…………もしや、先程ルキから貰ったチョコは……?」
サクヤ「ご想像の通りかと。ちゃんと来月、お返しを作ってあげてくださいね」
328
:
さくや
:2016/02/14(日) 10:47:51 ID:ipcb7WK6
むぅ「さくやーーーー!チョコ!チョコ頂戴!!!ギブミーチョコレート!!!」
サクヤ「では、どうぞ姫。メイドからのささやかなプレゼントです」
むぅ「やったー!……わぁ、きらきらしてる!宝石みたい!」
サクヤ「ウィスキーボンボンです。とはいえ、姫はまだ子供ですから、食べ過ぎには注意――」
むぅ「子供じゃないよぉ!これくらい食べられるもん!……あはは、美味しい!」
むぅ「でも不思議な味……これが大人の味っていうものなのかなあ。もぐもぐ」
サクヤ「ウィスキーの風味を重視しましたから。どちらかと言えば大人向けですが、そこはまあ少々調整して。」
むぅ「ふうん。もっと食べたいな!もっとちょーだい!」
サクヤ「え、もう食べ終わったんですか!?……ふふ、その食い意地はお姉さん譲りですね……」
甘楽「バレンタインデーだが」
サクヤ「だね」
甘楽「チョコは?」
サクヤ「……欲しいの?」
甘楽「住人に配り歩いていると聞いた。なら俺の分もあるはずでは?」
サクヤ「甘楽、今日が何の日か知ってる?」
甘楽「さっきも言っただろ、2/14はバレンタイ―――――っ!」
甘楽「1926年、血のバレンタイン。1919年、ソビエト戦争開戦……!」
サクヤ「そう。そんな日だというのにチョコを要求するつもり?」
甘楽「……サクヤ、俺は間違っていたよ。そうだな、今日は喪に服すべきだった」
甘楽「おお、迷える御霊に救いあれ……ナムアミダブツ」
サクヤ「(なんとかごまかせた)」
サクヤ「姉さん、いる?」
ルキ「おや、サクヤか……すまんな、先程までチョコを作っていたから研究室内がチョコ臭いだろ」
サクヤ「ああ、私もずっとチョコ作ってたし大丈夫だよ。それと、これ。姉さんに」
ルキ「私宛か?……はは、まさか本命とは言わないだろうな」
サクヤ「うん、家族チョコだよ。だって姉さんには、もう」
サクヤ「……こほん。ともかく、もし良かったら食べてくれると嬉しいな。拙い出来だけどね」
ルキ「ありがたく貰っておくぞ、妹よ」
ルキ「それと私からも……ほら。お前の大好物だ」
サクヤ「これは……和の国の名物菓子「ポット」!ありがとう、姉さん!」
ルキ「最後までチョコたっぷりだ、存分に味わってくれ」
329
:
さくや
:2016/02/14(日) 10:53:04 ID:ipcb7WK6
神流「……そういえばさ、サクヤから本命貰った人、いる?」
執事「いや?俺のは義理だったが」
K「右に同じく」サクサクサクサクサクサクサクサクサクサク
リン「ボクのも義理だね。メッセージカードにそう添え書きされていたよ」
いその「俺のも、恐らくは……こういう習慣に疎いものでな、察するのは難しい」
m2「俺のはデカかったが義理だと言われた。それにしては手のこんだもんだったが」
ルキ「私へは家族宛てのチョコだと言っていたが……」
むぅ「じゃあきっと私が本命―――あ、義理って書いてあった」
執事「甘楽はそもそも貰ってない……というか、チョコ貰った?って聞いたらチョコを欲しがるとは何事だ!と怒られた」
神流「むむむ、謎だねえ……ルキへのチョコも本命じゃないとすると、本命は一体誰に……?」
330
:
さくや
:2016/02/14(日) 11:30:04 ID:ipcb7WK6
――――――屋上
サクヤ「本命チョコは自分に、ってね」
サクヤ「ううん、自分を愛するなんて、慣れないことするもんじゃないなあ」
サクヤ「……でも、あの時決めたから。これからは自分も愛していく、って」
サクヤ「そうだよね、“私”」
331
:
サクヤお誕生日でとうSSプレゼンテッドバイ執事
:2016/03/30(水) 02:40:46 ID:2KBpkoWU
3/30日。この日はサクヤの誕生日であった。
当の本人であるサクヤが忘れるはずもなく、この日は何の日よりもソワソワしていた。
トントン
ドアのノックされる音。一気に心臓が高ぶった。
サクヤ「はぁーい」
何の気なしに返事をしたつもりではあったが、その声は完全に浮かれていた。
ころね「私だけど。」
普段よりかしこまった声。もしかしたらそう聞こえただけかもしれないが、とにかく扉を開けた。
ころね「・・・」
うつむき加減のころね。
ころね「お、おじゃまするね」
サクヤ「ど、どうぞ・・・?」
ただでさえサクヤおり背の低いころねが下を向き、表情の全く伺えない様子を見ると、とても人を祝いに来たようには見えない・・・が、これもサプライズか何かだろう。黙って見てお
くのが受け側の務めである。
ころね「ドア・・・閉めて?」
部屋の奥のソファに腰かけたころね。
依然として俯いて表情は見えない。
そこからしばらくの沈黙。
仕方なく、当人から切り出した。
サクヤ「えと・・・どうしたの?」
ころねはその言葉にピクリと反応し、そしてその紅潮した顔を見せた。
ころね「きょ、今日さ・・・誕生日・・・だったよね?」
少しの間。
なんだかやけに一言一言が重い。
サクヤ「う、うん。そうだけど、覚えててくれたんだ。嬉しいな。ありがとう」
その言葉に一層頬を赤らめるころね。一体なんだと言うのか。
ころね「その・・・これ、誕生日プレゼント。」
その手には小さい四角の、綺麗に包装された物があった。
サクヤ「ありがとう!!中、見てもいい?」
ころね「うん・・・いいよ」
中身は、前々からサクヤが欲しいと思っていたピアス。相当値の張る物だ。
サクヤ「うわあ!!本当にこれ、貰っていいの?!」
ころね「うん。」
サクヤが早速ピアスを耳につけ、披露してあげようと鏡の前で格闘していると、ころねはまた俯いて、立ったまま動かなくなってしまった。
やっとこさ装着が終わり、振り向くと、初めてまたその異変に気付く。
流石のサクヤも困惑し、立ち尽くす以外なかった。
再び沈黙。
しかし、その沈黙を破ったのは、ころねの方だった。
ころね「あのね・・・サクヤ・・」
今にも泣きだしそうな震えた声。
一体何を言い出すのか不安でたまらないサクヤは、返事すら出来ない。
ころね「その・・・私・・・その・・・」
サクヤはひたすら話の結末を待つ。
ころね「私ね・・・その・・・」
全く話が進まないころねに、流石に自分が引き出してあげるべきだと思い、言葉を発しようとした時、それを遮る様にころねは言った。
ころね「私、サクヤの事が好きなの・・・」
サクヤ「え?」
332
:
サクヤお誕生日でとうSSプレゼンテッドバイ執事
:2016/03/30(水) 02:41:31 ID:2KBpkoWU
突然の出来事。
理解が追い付かないサクヤは必至に頭を回転させるが、それでも追い付かない。
ころね「サクヤはどうなの・・・?」
サクヤ「えと・・・その・・・」
滅多に無い体験が為に普段キレる頭は全く使い物にならない。
一方、全てを語りきったころねは落ち着いた面持ちでいる。
サクヤ「・・・」
気まずい沈黙。
素直にハイと言えばいいのだが、口が思う様に動かない。
無理矢理に動かせば、変な声にもならぬ音が出そうで、怖くて動かせない。
この気まずさに耐えかねたころねは、定石を踏む。
ころね「返事はまた・・・まとまったらでいいから・・・。」
そういうとサクヤ一人置いて彼女は出て行ってしまった。
しばらく立ち尽くすサクヤ。まだ頭がぼうっとする。
サクヤ「とにかく、飯を食おう。」
自分に言い聞かせ、食堂へ向かった。
執事「おう、サクヤ、こんな時間に飯か?珍しいな。」
サクヤ「!!!!!!??????」
道中突然話しかけられたサクヤは、異常に反応してしまった。
執事「うおっ、なんだよその反応。もしや・・・隠し事か?」
別に隠してるつもりはないが、図星と言えば図星だった。
サクヤ「なななな、ないないない!そんなの断じてない!」
そういってサクヤは食堂まで全力で走った。
執事「なんだあれ。あるって言ってるようなものじゃねえか。」
333
:
サクヤお誕生日でとうSSプレゼンテッドバイ執事
:2016/03/30(水) 02:42:11 ID:2KBpkoWU
食堂につくと、m2、リン、ルキが談笑していた。
m2「お、サクヤ。そういやお前、誕生日だよな。」
落ち着かなくては、落ち着かなくてはと必死に自分に暗示をかける。
サクヤ「お、おう。そうだよ」
その顔は十分に引きつっていた。
ルキ「な、なに!?そうなのか!?」
リンに耳元で話しているが、丸聞こえである。
リン「えー、知らなかったの?ひどい!」
ルキ「ば、ばか!お前も小声で話せ!」
いつもの日常を眺めることで、少し落ち着きを取り戻したサクヤ。m2はいつの間にかどこからか取り出した綺麗な石を持っている。
m2「ほら、誕生日プレゼント。お前、前に魔結晶欲しいって言ってただろ?こいつは近年でも稀に見る高純度の結晶だ。売ればそうとう高値がつくぞ・・・?」
サクヤ「あ、ああ。ありがとう。」
プレゼント、という言葉がころねと被る。
m2「なんだ。あんま嬉しそうじゃないな・・・これじゃあ不服か?」
サクヤ「いや、決してそんなんじゃない!とても嬉しいよ!」
m2「ふうん・・・ならいいが。売るなよ?」
サクヤ「当たり前だろ!!で、リンもなんかくれるのか?」
おこがましいとは思ったが、洞察力の鋭いm2とは早めに会話を切りたかった。
リン「もちろん!!ジャジャーーーン!スカーフ!!絶対に合うと思うんだよね!!」
取り出したのは緑色のスカーフ。素朴だがそこがいい。
サクヤ「おお!いいセンス流石リン!」
リン「へへへ〜」
ルキ「おいサクヤ。すまないが今ここにプレゼントはない。あとで、私の部屋に来てくれ。」
忘れてたんだろ、っと心の中で一喝。
するとそこへ執事が食堂へやってきた。
食堂内を見て一瞬絶句し一言。
執事「サクヤ、後で俺の部屋こいや。いいもんやるよ」
サクヤ「お前忘れてただろ。」
普通に一喝。
334
:
サクヤお誕生日でとうSSプレゼンテッドバイ執事
:2016/03/30(水) 02:42:54 ID:2KBpkoWU
それからしばらく食堂で過ごしたが、どうにも気持ちがフワフワする。
落ち着かない。
何か気分転換がしたかったが、特に出来ることも無いため、ルキの部屋へ向かってみることにした。
コンコン
「どうぞー」
いつもとかわらぬ白を基調とした殺風景な部屋。
科学者はみんなこうなのかと毎回思う。
ルキ「おう、よく来たな。お前への誕生日プレゼントは、これだ!」
そういって差し出したのは大量のカルメ焼き。
砂糖と重曹を混ぜ合わせれば小学生でも簡単にできるお菓子だ。
よく部屋の隅を見れば、アルコールランプや台が冷やされている。
そしてなによりカルメ焼きは、熱かった。
サクヤ「時間ないのはわかってたけど、科学者としてこれはどうなんだよ・・・」
サクヤにとってはほんの些細な小言だった。
大した悪意のない、小さな小言。
だが、彼女の心を壊すのには十分だったようだ。
ルキ「うっ・・・グスッ・・・」
サクヤ「ええ!?」
サクヤは心底驚いていた。
普段からこの程度の小言、さんざん言ってきたからだ。
違うところと言えば、今日が自分の誕生日と言うところだが、それでも泣くほどのことか。
ルキ「私はどうせ科学者の端くれにも置けませんよぉ・・・」グスッ・・・
サクヤ「ご、ごめん・・・でも、そんな、泣くこともないだろう?」
ただの本音だったが、ぶつけてはいけなかった。
ルキ「うるさい!!バカ!!!私はね!!あんたのことが、心から好きだったの!!愛してるの!!なのに・・・こんなのって・・・こんなのってないよ・・・!!」
サクヤ「は?」
335
:
サクヤお誕生日でとうSSプレゼンテッドバイ執事
:2016/03/30(水) 02:43:39 ID:2KBpkoWU
困惑するサクヤ。泣きじゃくるルキ。
この部屋はまさにカオスだった。
その時、おもむろにドアが開いた。
執事「んだよ騒がしいなぁ・・・て、お前何泣かせてんだ!?」
サクヤ「あいや、これはその、」
執事はまさに怒り心頭と言ったところだ。
執事「お前ちょっとこっちこい」
そのまま執事の部屋へと引きずり込まれた。
執事「はぁ・・・で、ルキの気持ちに気付かず、ひどいことを言ってしまったと。」
サクヤ「悪いと思ってる・・・」
執事はなにやら考え込む素振りを見せ、おもむろに立ち上がり棚から何かを出した。
手にはなにやら歴史の古そうなバタフライナイフが握られている。
執事「心配するな。こいつは過去の遺物。もう殺傷能力はない。観賞用だ。」
サクヤ「は、はあ・・・」
執事「これがお前へのプレゼントだ。」
サクヤ「あ、ありがとう・・・」
サクヤにそれを手渡すと、棚の戸を閉めに、また背中を向ける。
そして振り返ることなく、サクヤに語った。
執事「んでさ、答えは・・・どうなの?」
サクヤ「答え・・・?」
一瞬ころねの方かと思ってしまったが、状況的に考えてルキの事だと察する。
サクヤ「別にコクられたわけじゃないし・・・」
執事「いや、答えは必要だろ。イエスか、ノーか。今答えなくても、いづれ答えることになる。」
もっともだった。
ここで逃げてもただの延命措置。
それに、答えは決まっていた。
サクヤ「・・・ノーだ。」
執事の肩が下がるのが目で見てわかった。
執事「よかった。ならまだ俺にも、チャンスがあるってものだな。」
これは驚いた事を聞いたサクヤだが、ここは冷静にすますことにした。
サクヤ「ああ。そうだ。超強力な恋敵が自ら辞退するなんて、願っても無いことだよなあ。」
ハハハッと笑うサクヤだったが、想像と違う。
執事の笑い声が重ならない。
嫌な予感がし、執事の背中を凝視する。
執事「まっっっっったくわかってないよお前。一昔前のラノベの主人公かよ。」
それ以上言うな!言わないでくれ!!と心の中で叫ぶサクヤ。
執事「こんだけ頑張ってんのにお前はどこ向いてんの。なあ。」
サクヤ「お、おちつこ?」
執事「この際だハッキリ言うよ。俺はお前が」
身を返し、目を見る執事。
執事「俺はお前が、好きだ。サクヤ」
336
:
サクヤお誕生日でとうSSプレゼンテッドバイ執事
:2016/03/30(水) 02:44:12 ID:2KBpkoWU
サクヤ「はああああああああああああああああああ!?いやいやいや、お前、男だろ!?」
きょとんとする執事。
執事「いやお前、女だろ。」
きょとんとするサクヤ
サクヤ「あ、ああ。そういや、そうだ。何もおかしくない。でも、でも私はころねが好きなの!だから・・・執事とは・・・」
バタン!!!
勢いよくドアが開く。
そこに居たのはリン、m2、レイ、かんら、いそそ・・・
全員が何かを決心した表情をしている。
一瞬で何かを察知したサクヤは、必死に執事に懇願する。
サクヤ「頼む!!後生の願いだ!!助けてくれ!!何とかしてくれ!!!」
しかし執事は顔色一つ変えない。
執事「無理だ。もうわかってると思うが・・・皆お前のことが好きだ。愛しているんだ。」
そうだ、そうだと口々に皆が言う。
執事「お前には全員の愛を受け止める義務がある。」
サクヤ「そんなのない!!!」
執事「ある!!!!!!」
あまりの迫力に圧倒されるサクヤ。
こんな執事見たことない。
執事「もし受け止めきれないというのなら・・・。」
懐から取り出したのは、もちろん銃。
執事「皆一緒に死のう。」
これは光国の策略だと気づいたサクヤ。
必死に原因を探るが、思い当たる節が無い。
後ろの野次馬達も死のう死のうと言い始めめる。
まさにホラーだ。
だんだんと、目の前が真っ暗になっていくサクヤ。
もう、ダメだと思ったその時、ひときわ大きく聞こえる声に気付く。
ころねの声だ。
「思い出して!!これまでの事!」
サクヤ「これまでの・・・こと・・・」
まずころねに告白された・・・戸惑って・・・困惑して・・・緊張して・・・そのあとルキに告白されて・・・そのあと執事に・・・私は・・・俺は・・・
・・・。
私・・・俺・・・?
あれ、どっちだっけ・・・?
だが確かにころねに告白されたときは男だった。確かに・・・。しかし、今は女。・・・。まさか・・・
まさか・・・リアルとネットが混在している・・・。
ということはこれは・・・。
不意に起き上がるサクヤ
執事「どうだ?答えはきまったか?」
不敵な笑みを浮かべるサクヤ。
勝利はもう決まっていた。
サクヤ「答えは・・・こうだ!!!!!!!!」
思い切り自分の頬をつねる。
執事「まて!!やめろおおおおおおおおおおおおお!!!!」
目覚めた先は自分のベッド。時刻は3/30日の午前3時。
寝汗でびっしょりだったが、それ以上に眠かったため、そのまま寝た。
今日は楽しい一日になるんだろうなと思うと、胸が躍った・・・。
一同「サクヤ、誕生日おめでとうーーーー!!!!!!!!」パンパンッ!!!
ころね「おめでとうサクヤ!これからもよろしくね!!」ガヤガヤ
サクヤ「う、うん。よろしく・・・」ポッ
ころね「何赤くなってんの?」
337
:
サクヤお誕生日でとうSSプレゼンテッドバイ執事
:2016/03/30(水) 02:45:16 ID:2KBpkoWU
製作時間実に2時間
ん〜最高傑作
338
:
かんな
:2016/03/30(水) 11:15:52 ID:???
読む前のぼく「なんだこれ」
読んでるときのぼく「なんだこれ」
読み終わったぼく「なんだこれ」
339
:
さくや
:2016/03/30(水) 18:21:11 ID:t1OrrVP6
3回くらい読み返したぼく「なんだこれ」
340
:
しつじ
:2016/03/31(木) 09:51:30 ID:4MS6Lb3A
嬉しいか、そうかそうか!
341
:
さくや
:2016/07/06(水) 11:09:19 ID:kI5.mXzQ
サクヤ「けーちゃーん、プレ◯テやらせてー」ガチャッ
k「だからノックもせずに入ってくるなよ!?いいけどさ!」
サクヤ「ぬああまた負けた!壊れてるんじゃないのこれ!」
k「壊れてねえよ…しっかしサクヤ、なんだって一々俺の部屋でゲームするんだ?自分の部屋にもってけばいいだろ」
サクヤ「え?やだよ、そうしたらけーちゃんの部屋で二人で遊べなくな………っ」
k「え」
サクヤ「あっ」
サクヤ「ち、違っ、ほら私の部屋って家具とかあんまりないし!コンセントもないからさ!」
サクヤ「それに私の部屋は最上階だし!?そこに持ってくまで大変だし!あは、あはははは!!!」
k「そ、そうか……」
サクヤ「う、ん………」
k「………………………」
サクヤ「………………………」
k「サ、サクヤがいいなら……」
サクヤ「?」
k「サクヤがいいなら、俺はお前の部屋で遊んでやっても……いいけど……」
サクヤ「〜〜〜〜っ!?!?///」
サクヤ「で、でも私は………」
サクヤ「け、けーちゃんの部屋で……遊びたい、から……」
k「なっ……///」
サクヤ「……あ、レアアイテムゲット」
k「まじか、おめ」
342
:
しつじ
:2016/07/28(木) 18:25:57 ID:Wlf4LsZ6
ほう
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