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SSスレッ!!!!!!!!!!
269
:
闇の名無しさん
:2015/11/19(木) 14:54:09 ID:nVpxcsjo
一人の新人がヘマをした。自分の位置を知らせるビーコンを切り忘れていたようだ。これでは当然、新人の位置は敵に丸見え。
思わぬ襲撃を受けて隊員たちは四散――被害を減らすためにそう支持した――し、一人取り残された新人。
そうなった場合、見捨ててその場から撤退するのが正しい。大多数の光兵士を前に一人を助けるため突撃するなど無意味にも程がある。
だというのに、私は考えるよりも早く、身体が動いていた。一歩足を踏み出して、瞬きを一つすれば、四方八方には光の兵士。
怯え、震え、その場で屈み込んだ新人を一瞥すれば、二度目の瞬き。目の前には首を跳ね飛ばされた光兵士。どよめく周囲の兵士。
そうして瞬きを繰り返す度、光の兵士は音も無く命を終えていく。そうして何分か経った頃、私は一人、亡骸の山で立ち尽くす。
……多少危険な賭けではあったが、新人を救うことが出来たならそれでいいと、まだしゃがみ込む新人に手を―――――。
『あ……ありがとう、ござ―――――っ』
銃声。飛び散る血。崩れ落ちる新人。茂みから煌めくスコープの反射光。そこから先は、もう覚えていない。
我に返った頃、私は闇側の中継地で椅子に腰を掛けていて、テーブルを挟んで向こう側に座る姉さんに剣幕の表情を向けられていた。
怒鳴られているようだ。と、どこか客観的な視点で話に耳を傾ける。その目には僅かに涙が浮かんでいた。怒ると同時に「よかった」と、そう安堵しているように。
話の内容も右から左へ通り抜けてしまい、もうまともに覚えてない。けど、こんな質問をされたことだけはしっかりと覚えていて。
『…………彼女が……あの新人が、撃たれて死んだ時。最初に何を思った?』
私は答えた。即座に、それが当然であると示すように、はっきりと。『あの子を助けられなかった』と。
その答えを聞くと姉さんの顔は怒りから困惑、次第に苦い顔色へ。暫しの思案のあと、重苦しい声で姉さんは私を諭し始める。
普通、ああいった場面ではまずはじめに『自分が撃たれなくてよかった』『自分が無事でよかった』と思うものらしい。そう語っていた。
どんな聖人でも、どんな善人でも、防衛本能がそうさせるのだという。そして次に理性として、『助けられなかった』という罪悪感が訪れるのだということも。
しかし私は真逆――と言うよりも、『撃たれなくてよかった』という考え自体無かった。あの時に芽生えたのはただ、『助けられなかった』罪悪感だけ。
もし撃たれていたら?姉さんは質問を続けた。私は答える、『あの子が撃たれなくてよかった』と。そしてまた苦虫を噛み潰したような表情。
……重苦しい空気が二人を包む。遠くから聞こえる銃声、痛みを嘆く負傷者の怨嗟。何時間にも思えた思案の末、姉さんは立ち上がり、私の肩を掴んで。
『サクヤ……「自分」を、もっと大切にしろ』
命令じみた言葉に息を呑む。それでも私には理解出来なかった。彼女を助けられなかったことを嘆いて、何がいけないのだろうかと。
ワインレッドの瞳が私を射抜き、姉さんの言葉が深く心に刻み込まれる。…………いつも、どこかで聞いていた、同じ古傷を掘り返されるように。
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