[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
1-
101-
201-
301-
この機能を使うにはJavaScriptを有効にしてください
|
SSスレッ!!!!!!!!!!
291
:
闇の名無しさん
:2015/12/31(木) 05:27:24 ID:6DJo1oZo
人混みをかき分けて、煙る排気に咳き込みながら、見知らぬ街をぐるぐると。
周りの怪訝な視線を振り払うように走り抜ける。路地裏を、高架橋を、交差点を、歩道橋を。
街はとても広く、一日じゃ回りきれないほどで、それでも頬に汗を伝わせながら街を行く。
お腹が空いたら近くの店でパンを一切れ。冷たくなったパンを齧りながら、雪の降る街で独り。
道行く人に訪ねてみても、君の姿は掴めない。
頼る人など誰も居ない街の中、不安が、恐怖が、衆目が、止めどなく私を押しつぶすようで。
「……どこにいったの」
震えた声で呟いて、夕焼けが差す街外れ、かんかんと響く踏切の側で君を想う。
伸びる影は一つ、まるで迷子のよう。ああ、この気持ち、昔どこかで感じたような。
……不意に涙が溢れ出る。自分でも計り知れない感情の波。情緒不安定な私の心。
空になった袋をくしゃりと握りしめて、必死に涙をこらえて歩く。過ぎ去る電車、差し込む夕日をかき分けて過ぎる影。
この踏切の向こうはまた別の街。また知らない街へ行く。帰れるのかな、と、一抹の不安が突き刺さって。
―――――遮断機が上がった線路の向こう。夕日を背に立つ君は。
つかつかと歩み寄る。驚いた様子で佇み君に、涙を見せないように近づけば。
ぱん、と乾いた音が響く。ダメだとわかっている。わかっているけど、我慢できなかった。
勝手にいなくなって、皆の――――私の――――気持ちも知らないで、こんな街でうつつを抜かしてるなんて。
「何す――――」
「心配したんだからね、バカ」
一滴の涙がこぼれ落ちた。それをきっかけに次々と、堰を切ったようにあふれる涙。
同時に口から漏れた言葉は感情の吐露。敬語も忘れて、手のひらの形に頬を赤く染める君を睨んで言い放つ。
でもきっと、今の私の顔は涙でぐしゃぐしゃで、説教なんて以ての外。説得力の欠片もないんだろうな。
……けど。ただひとつ言えることは。
「…………会えて良かった」
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板