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SSスレッ!!!!!!!!!!

284闇の名無しさん:2015/11/19(木) 18:17:43 ID:/i8Ox0j6
『あなたには私がいるよ』と、名前も知らないキミは言ってくれた。

目が覚めた時、まず目に映ったのは雨上がりの澄んだ空。掛かる淡い一本の虹、そして……涙を零す、姉さんの顔。
何があったんだっけ。少し前の記憶を思い起こそうとしても、まるで滲んだ絵のように朧げで、思い出すことは叶わない。
しかし今はそれよりも、肌に伝わる冷たさと喪失感が勝っていた。寒い、寒い、寒い。けど腕を摩ろうにも身体が言うことを聞かない。

「目が覚めたか!…………ああ、よかった……良かった……!」

……姉さん?どうして泣いているの、と問いかけようとした時、私を取り囲むように立つ他の住人たちの存在に気が付く。
呆然と眺める私を彼らは心配そうな面持ちで眺めて、ある者は私が無事であったことに安堵し、ある者はやれやれと照れ隠しの溜息をつく。
最後に自分の体を眺めてみた。ボロボロのメイド服は水に濡れ、肌は病的なほどに白く、指先は異様なほどにふやけていて。
背後の湖の光を浴びてようやく事態を察する。ああ、そういえば私、逃げ出したんだっけ。そしてそのまま行く宛もなく走って、この湖に辿り着いた。
もう私は闇の住人じゃないのに、どうして私なんかを助けたんだろう…………ああ、でも。

「……生きてて、よかった」

心から、自然と込み上げた感情を口にしてみる。今まで一度も口にしてこなかった言葉を。生への執着を。名も知らぬ誰かの言葉を。
溢れだしたこの言葉は、もしかしたら“自分”への愛なのかも。自分らしくない言葉に気恥ずかしく照れながら、姉さんに肩を抱かれて立ち上がって。
ふと、身体に違和感を感じた。溺れていたことに依る外的な違和感ではなく、こう、言葉にしにくいが、体の構造の根底が変化しているような。


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