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●事情によりこちらでSSを投下するスレ 2●

66313/15:2010/02/06(土) 17:23:40 ID:5W7FNz5g
 もっともらしく答えつつ、僕は心の中で首を傾げる。一緒に帰ったりお茶したり、週
末は一緒に過ごすし、映画なんかも二人で見に行くのに、どうしてデートって単語を付
けるだけで、こんなに恥ずかしがるかなと。
『あたしが女を磨く事とデートに何の因果関係があるのよ。きっちり説明しない限り、
そんなの受けられる訳ないでしょ?』
 ようやく、ちょっと落ち着いた先輩を前に僕は説明を始めた。
「やっぱり、女の子が自分を磨こうとする最大の動機って、好きな人が出来る事だと思
うんですよ」
『は?』
 聞き返す先輩に頷いて、僕は続ける。
「そりゃ、まあ中には恋をしてなくてもそういう努力をするのが好きな人もいますけど、
やっぱり好きな男の人が出来たら、その人に可愛いって思って貰いたいから、一生懸命
努力するでしょ? 先輩だってそうじゃありませんか?」
 僕の質問に、先輩は曖昧な顔で頷く。
『えっ……と…… まあ、そりゃ、そうだけど…… でも、あたしはその……好きな人
なんて…………いないし』
 好きな人なんて、の後で、先輩がチラリと僕を見たような気がした。気がしたけど、
それは僕の願望込みなのかもしれないので、気にしない事にしておく。
「ですから、僕を好きな人に見立てて、デートの時におしゃれしたり、好きな人の前で
可愛く振舞う練習をしたりすれば、自然と女の子としての魅力もアップしていくんじゃ
ないですかと、僕はそう思うんですけど」
 僕の提案に、先輩は戸惑いがちに俯く。それから、ちょっと不服そうな感じで呟く。
『その……アンタの言ってる事は、分からなくもないけど……けど、何でその……アン
タ相手に、あたしが着飾ったりとか、しなきゃなんないのよ……』
「ですから、練習ですよ」
 僕はニッコリと微笑んで、先輩のおとがいに手を当て、軽く上に上げる。先輩の目が、
驚いたように大きく見開かれて、僕を見つめた。
「日頃、一緒にいる事が多いんですから、何かとやりやすいでしょ? 僕も、先輩の魅
力を引き出す為に、努力しますよ」
 あごから手を離すと、先輩の視線が、また伏目がちになる。




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