したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が1スレッドの最大レス数(1000件)を超えています。残念ながら投稿することができません。

●事情によりこちらでSSを投下するスレ 2●

693以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/14(日) 20:49:00 ID:.eYQllOk
また本スレ落ちてた……

お題作成機からもう一つ
【夜 嘆く 雪】
雪山で、
「寒い…から……もっとよって……」
「そんなこと言われても、毛布の大きさが……」
「ぼ、僕にも貸して欲しいお(^ω^;)」
「……だめ」
みたいなのも思いついたけど、バレンタインだ今日は
ハチャメチャはいいから切なくいこうぜw

今日は最低の日だ。
ほう、と息を吐くと白い。霧散していく色を見ているとやりきれない。
とつとつと降るものが白かろうが、今はただうっとうしい。
寒空も乾いた空気も、身を突き刺すようですごく……お似合いだ。今の私にぴったりはまる。
いつも隣にいる人は居ない。隣にいる人が居ないと落ち着かない。
がらがら音を立てて過ぎていく自転車が、孤独感を尚更思い浮かばせた。

私は……今、立ち尽くしている。いつもの待ち合わせ場所を離れて、民家の塀に背を預けている。
例えば、と自分に前置きする。
いつもそうだ。認めたら終わり、もう会えない。きっと泣いてしまう。
「……たかし…さん…」
早く言ってしまえば取られなかったのだろうか。いや、ものじゃないか。なんでもいい。
少しずつ多くなってきた白が肩と足を埋めていく。掃うことも億劫になって、後悔にだぶって映る。

かなみ姉さんは快活で感情表現豊かで、とても女の子らしい。そして、多分私と一緒……。
今日という日だからこそ、二人で作ったお菓子。
チョコが苦手だっていうことも調べていた。姉さんも知ってて作ったんだろう。
だから、放課後、たかしさんが先に帰っててくれ、と言った時、私は全部理解してしまった。
作っている時も今朝も、姉さんはずっと一所懸命だったから、きっと上手くいく。
でも、それは私の終わり。

何で姉さんなんだろう。ほかの人ならば奪い取ることも出来る。
姉さんには勝てない。そういうことしたくない。だって……同じくらい大切だから。
二人とも普段からずっと一緒にいるもの。私より長く、私より親しくて……
夜の帳が下りてきた。風がきつい。誰もいないのは当然だろう。
帰ろう。お風呂に入ってゆっくり寝て、明日からまた普通でいられるようにしよう。
でも。でも、今だけ。誰もいない夜なら顔も見られないから……

「……たか…さん…エッ……わ、私じゃ…スンッ…何で…駄…め……」
……ち…なみ……ちゃ…ん……?



今日は最高の日だった。
なんだか色々ありすぎて、熱っぽい。
私はひどい勘違いを犯していた。正直思い出したくないレベルの……
「ちなみちゃーん。ぶつぶつ言ってないで、こっちおいで?」
「……はい」
「このお菓子すごくウマイよ。ちょっと食べる?」
「いえ……いいです……。味見…しましたし……」
「あーん」
「……あー…ん」
「で、俺が逆チョコ用のチョコ買いにいったのを勘違いしたわけね?」
「はい……もう…いいでしょう……? たかしさんは……どS…です……」
「いやあ、何か面白い状況だもんで、つい……」
「……でも…姉さんは…誰に……?」
「ああ、山田だよ。かなみにも山田にも相談受けててさ。どうやったら付き合えるかなんてのを。セッティングもばっちりしといた」
「……姉さん…そういえば……山田さん…いつも……居た…」
「あいつは山田のついでに俺と遊んでたからな。昔から好きだったんだとよ。ホントは日曜日のうちに、山田が告るはずだったんだけどな」
「そう……ですか……よかった……」
「そんなことより、ちなみちゃん。俺なんかでいいの?」
「たかしさんが……いい……です…。泣いてる…ところ……見られたし……」
「ありがとう。好きだよ、ちなみちゃん」
「…私も……」

(了)




掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板