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●事情によりこちらでSSを投下するスレ 2●

6566/15:2010/02/06(土) 17:20:45 ID:5W7FNz5g
『ほんっとでしょうね? 適当な噂がばら撒かれてたら、間違いなくアンタを殺すわよ』
 先輩がうっかり言った言葉を、僕は聞き逃さなかった。
「本当です。約束します。何だったら、ゆびきりげんまんしますか?」
 僕の提案に、先輩はちょっと驚いたように目を丸くした。それから、襟から手を離す
と、クルリと反転して言った。
『ば……ばっかばかしい。そんな事しないわよ。子供じゃないんだし……』
 先輩の態度に、僕は思わずおかしみを覚えてしまう。もっと恥ずかしい事だっていろ
いろしてる割には、些細な事に照れたりする先輩が可愛らしかった。
「それじゃあ、とにかく取引は成立という事で。僕から言った方がいいんでしょうね?」
『当たり前じゃない。そんな事――って、何よ。取引成立って?』
 やはり、先輩は自分の言葉に気付いていなかったようだ。僕は親切に教えてあげる事にする。
「さっき言ったじゃないですか。先輩が教えてくれれば……っていう条件に、先輩がほ
んっとでしょうねって。わざわざ確認するって事は、条件に乗ったって事でいいんでしょ
う? 少なくとも僕はそう取りましたが」
 キョトンとした顔で、先輩は、僕の言葉を頭の中で考えた。それから、ハッとした顔
をした後、慌てて否定し始める。
『ち、違うわよ!! 別にアンタの条件飲んだとかそんな事じゃなくて、って言うか、
大体あたしはまだうんって言ってないじゃない。あくまで確認しただけでしょ? 勝手
に話を進めないでよね!!』
「でも、不成立だと、僕の方の約束も、無論、無しになりますが?」
 ぐぬぬぬぬ、と唸り出しそうな顔で先輩は僕を睨み付ける。僕がやると言ったらやる
人間である事は、先輩も十分承知の上だ。もっとも、そうでなければあんな脅しが効く
わけもない。
『とっ……とにかく、アンタから言いなさいよ!! 話はそれからだわ』
 どうやら、聞く権利だけから考えてあげるまではステップアップしたようだ。無論、
本来ならこの程度で満足するわけには行かないのだが、先輩は一度妥協すると、その後
はなし崩しに条件を飲んでくれる事が多いので、後は僕が先に抱負を語ってから、押し
の一手で攻めまくればいいだけだ。




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