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化学・薬品産業総合スレッド

1荷主研究者:2003/12/07(日) 23:23
これまで「石油・LNGなど=エネルギー総合スレ=」で扱ってきた化学系のネタを独立させます。

社団法人日本化学工業協会
http://www.nikkakyo.org/

石油化学工業協会
http://www.jpca.or.jp/

化学工業日報
http://www.chemicaldaily.co.jp/

石油化学データベース
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/new.htm

1545荷主研究者:2015/10/12(月) 11:22:38

http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0820150921cbad.html
2015年09月21日 日刊工業新聞
日本曹達など7社、ブラジル・イハラブラス社に120億円を追加出資-農薬の販売拡大

 日本曹達とクミアイ化学工業、住友商事など7社はブラジルの農薬販売会社イハラブラス(サンパウロ州)に約1億ドル(約120億円)を追加出資する。7社は現在の出資比率に応じて、イハラブラスが実施する株主割当増資を引き受ける。世界最大の農薬市場であるブラジルで事業基盤を強固にし、品ぞろえを充実させて販路拡大につなげる。

 追加出資するのはこのほか三井化学アグロ(東京都中央区)、住友化学、三菱商事、日産化学工業。イハラブラスは1965年、日系農薬メーカーの販売拠点として設立された。独自の販路を確立し、市場規模が大きい大豆やトウモロコシ向けの農薬販売に強い。財務基盤の増強を受け、高付加価値な農薬の開発・投入も加速する。

 ブラジルの農薬市場は、14年に世界市場の約21%に当たる119億ドルに拡大。広大な農地面積や豊富な水資源、安定した気候などを好材料に今後も安定成長が期待されている。

1546荷主研究者:2015/10/12(月) 11:22:59

http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0820150924cbal.html
2015年09月24日 日刊工業新聞
総合化学大手4社、経営資源を高機能品へ集中投資-中国メーカー台頭で生産再編鮮明に

工業用地186万平方メートルを誇る三菱化学黒崎事業所(中央)「デュラビオ」の生産設備が12年に稼働した

 中国メーカーの台頭を背景に、国内化学業界が汎用品から高機能品へ経営資源を移す動きが加速している。国内化学大手の創業地も例外ではなく、高機能化学品への生産再編が鮮明となっている。(水嶋真人)

 「80年の誇りを持って、高機能商品事業を拡大させていく」。染料工場として稼働してから80年という節目の年を迎えた三菱化学黒崎事業所(北九州市八幡西区)所長の小林英信執行役員は抱負をこう語る。

 黒崎事業所は1960年代、高度成長の波に乗り生産を始めたポリエステル繊維原料の高純度テレフタル酸(PTA)、ナイロン原料のカプロラクタム(CPL)など化学品生産設備を99年以降、相次ぎ停止した。一方で、40年の生産実績を持つポリカーボネート(PC)樹脂の技術を生かした植物由来のPC樹脂「デュラビオ」の生産設備(年産能力5000トン)が12年に稼働した。デュラビオは、スズキの軽乗用車「ハスラー」や「アルト ラパン」の内装部品などに採用された。

 旭化成発祥の地で創業92年の延岡支社(宮崎県延岡市)。84年の歴史を持つ再生セルロース繊維「ベンベルグ」で約40年ぶりに増産投資が行われた。約30億円を投じた増産設備が14年6月に稼働。年産能力1万6500トンと従来比1割増えた。ベンベルグを増産投資できたのは世界で旭化成しか生産していない製品だったからだ。

 三井化学も創業103年を迎えた大牟田工場(福岡県大牟田市)で独自製品への投資を決めた。薄くて軽いメガネレンズ材料として需要増が続くメタキシリレンジイソシアネート(XDI、年産能力5000トン)の生産設備を建設中で、年内の稼働を見込む。

1548荷主研究者:2015/10/12(月) 11:54:39
>>1547
http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0820150929cbag.html
2015年09月29日 日刊工業新聞
旭化成、LIB用セパレーター生産を倍増へ-来春から年5億5000万平方mに

 旭化成は28日、2016年春に、リチウムイオン二次電池(LIB)用セパレーター(絶縁材)の年産能力を5億5000万平方メートルと従来比で倍増すると発表した。8月に買収した米ポリポアが持つ年産能力2億平方メートルが加わり、日向工場(宮崎県日向市)の生産能力も増やす。

 旭化成は日向工場と守山工場(滋賀県守山市)でスマートフォンなどに使う小型LIB用の湿式セパレーター「ハイポア」を生産している。高級車向けの大容量LIBにも搭載されているため、日向工場に約50億円を投じて年産能力6000万平方メートルの生産ラインを新設。両工場の生産性向上などで、さらに年産能力3500万平方メートルを上乗せし、湿式セパレーターの合計年産能力を従来比約4割増の3億5000万平方メートルに増やす。

 これにポリポアの乾式セパレーター年産能力2億平方メートルが加わり計5億5000万平方メートルの年産能力を持つことになる。旭化成は乾式セパレーターに強いポリポアを約2600億円で買収した。今後はポリポアの技術と自社技術を融合し、湿式と乾式の長所を融合した新製品も開発する。

1550とはずがたり:2015/10/16(金) 07:52:54
2015年 10月 15日 18:59
エーザイの消化器疾患事業と味の素製薬、来年4月に統合
http://jp.reuters.com/article/2015/10/15/ajinomoto-idJPKCN0S90ZH20151015

[東京 15日 ロイター] - エーザイ(4523.T)と味の素(2802.T)は15日、エーザイの消化器疾患領域系製薬事業と味の素の100%子会社の味の素製薬を統合すると発表した。2016年4月1日に発足予定で、国内最大級の消化器スペシャリティファーマとなる。

統合新会社は「EAファーマ」とし、エーザイが60%、味の素が40%の株式を保有する。エーザイの連結子会社、味の素の持分保適用会社となる。

エーザイの15年3月期の連結売上収益5484億円のうち、新会社へ移管する事業は399億円。今後、パートナーの承認を得て移管する製品もある。一方、味の素製薬の15年3月期の売上高は432億円。

両社の販売製品を併せることで、上部・下部消化管、肝臓、膵臓を網羅的にカバーする品ぞろえが実現できるという。また、重複機能を見直すことで効率化を図り、収益性を高め、新薬開発に資源を振り向けていくことが可能となる。

エーザイの内藤晴夫社長は会見で「今回の統合のコンセプトは、領域の集中。効率化や生産性アップのためで、リストラという側面はない」と述べた。

エーザイのフィナンシャルアドバイザー(FA)は野村証券、味の素はJPモルガン証券。

味の素の西井孝明社長は、今後の同社の医薬事業について「ヘルスケア領域は、再生医療材料、バイオ医薬品の受託・開発製造、高機能バイオ新素材領域などで成長機会を積極的に追及する」とした。

(清水律子)

1551荷主研究者:2015/10/21(水) 23:02:43

http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0820151008cbab.html
2015年10月08日 日刊工業新聞
セントラル硝子、六フッ化タングステンの生産能力を40%引き上げ

 セントラル硝子は7日、半導体製造の成膜工程で使われる六フッ化タングステン(WF6)の生産能力を従来比30―40%引き上げると発表した。宇部工場(山口県宇部市)に年産150トンのプラントを新設し、2017年1月の稼働を目指す。国内外の半導体大手に供給する。投資額は非公表。

 半導体業界で加速する電子回路の微細化・集積化を背景に、WF6は足元で需給が逼迫(ひっぱく)する傾向にある。WF6の使用量はこの先も大きく伸びると見込まれることから、早期の生産増強が必要と判断した。

1552とはずがたり:2015/10/26(月) 16:13:58
2015年10月22日
資源不振を補えるか。大手商社が熱を上げるメタノール
ガス価格下落で生産コストを抑えられるメリットも
http://newswitch.jp/p/2418

 大手商社が海外でメタノール製造事業を拡大している。三井物産は中国に次ぐ世界2位の需要国の米国で商業生産を始めた。また、天然ガス産出国で新たな事業に乗り出す動きもある。メタノールは接着剤や農薬、塗料の原料など幅広い用途に使われ、特定の産業の景気に左右されにくい。需要増加も見込まれるため、各社は供給体制を強化している。

 シェール革命により競争力のある原料ガスを自前で調達できるようになった米国。2014年はメタノール需要680万トンの内510万トン程度を国外から輸入しているが、今後は”地産地消国“への移行が予想される。

 三井物産はこのほど、テキサス州で現地化学品大手セラニーズと組んでメタノールの生産を開始した。生産量は年間約130万トン。両社が半分ずつ引き取り、三井物産は主に米国向けに販売する。米国でのメタノール生産開始はシェール革命以降では初。他社に先駆けて始動し、顧客開拓につなげる。

 また同社は、ガス開発を起点とする事業基盤作りに注力している。”川下“にあたる化学品分野への展開により、現地で参画しているシェールガス開発と合わせ、ガスの価格変動に左右されにくい事業構造を目指す。

 米国以外のガス産出国でも、現地で原料調達から生産まで手がけるプロジェクトが相次いでいる。

 双日はパプアニューギニアで、国営石油会社とメタノール製造に向けた事業化調査を始める。合弁会社を通じて原料ガスの調達場所やプラント候補地の選定などを実施し、事業性を検証した上で、20年の製造開始を目指す。総事業費は約1000億円を見込む。

 三菱商事はカリブ海のトリニダード・トバゴでメタノール生産に乗り出す。三菱ガス化学や現地企業と共同でプラントを建設し、19年に生産を始める予定。総投資額は約1200億円で、メタノールを年間100万トンのほか、液化石油ガス(LPG)やディーゼルの代替燃料として注目されるジメチルエーテルも2万トン生産する。

 メタノールの世界需要は14年で約6400万トンあるとされ、今後も年間4―5%程度の割合で伸びる見通し。各社は生産量の拡大とともに従来のメタノール製造販売ノウハウを生かし、需要を取り込む。

 またガスを原料とするメタノールは、ガス価格下落により生産コストを抑えられる。エネルギー開発を手がける大手商社にとっては、資源価格下落の影響を補う収益源としても期待される。
(文=土井俊)

1553荷主研究者:2015/11/07(土) 22:26:26

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2015/10/13-22089.html
2015年10月13日 化学工業日報
【中間製品 動向を探る】 1,4ブタンジオール<上>

▲大連化学の中国・盤錦の1,4BD設備。同国の需要を取り込むため、この間、生産能力を引き上げてきた。

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 北米シェールガスや中東の天然ガス、中国の石炭化学などで化学産業の世界的な構図は大きく変わるとされ、その話題はエチレンをはじめ基礎化学製品に焦点があてられる。一方、中間製品はどのように市場が変化し、各社はいかに事業を展開するのか。各製品の方向性を探る。まず1,4ブタンジオール(1,4BD)を取り上げる。
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 1,4BDは、ポリウレタン弾性繊維(スパンデックス)やポリブチレンテレフタレート(PBT)をはじめ、テトラヒドロフランやガンマブチロラクトンなどの工業薬品の原料として使用される。天然ガス、ブタン、ブタジエン、プロピレン、アセチレンなどを原料に製造される。

 主用途のスパンデックス需要は、世界規模では10%程度の成長率で伸びている。とくに中国はスパンデックスの一大市場となっており、生産能力も拡大基調にある。それにともなう需要増に応じて1,4BDの生産設備も急増。生産能力が膨れ上がり需給バランスは大幅に軟化した。

 中国での生産設備の急増による供給過剰から市況も下落。昨年半ばからの原油価格急落によるプロピレンやアセチレンの価格低下も後押しし、過去12カ月の間で中国市場の1,4BD価格は約50%下がった。

 さらに、今後も新増設が予定されており、計画では中国国内だけで50万トン以上の新規プラント建設が控えている。市場関係者らは中国メーカーが淘汰される可能性は低く、生産能力は増え続ける。

 厳しい事業環境のなか、主要各社は誘導品を含めたチェーン展開を強める。

 世界ナンバーワンサプライヤーのBASFは、1,4BDチェーンを最重要事業の一つと位置付け、PolyTHFなどの誘導品を含めた展開を強化する。同社は独ルートヴィッヒスハーフェン、米ルイジアナ州ガイスマー、千葉、マレーシア・クアンタン、中国・上海で1,4BDと誘導品を生産している。生産能力は15年末までに年65万トンとなる。誘導品関連のアジア展開では韓国、中国のPolyTHF、マレーシアの東レとの合弁のPBTは高稼働で推移している。

 中国供給過剰の問題はあるが、市場でのプレゼンスを一層高めることを目的に新規の事業化の議論も進んでおり、原料、需要面を含め競争力ある立地を見極めている。

 三菱化学は四日市事業所にブタジエンを原料とする製造プロセスの1,4BD/THF併産プラント(年産6万トン)を保有している。従来9万トンの能力を有していたが、2011年に原料ブタジエンの高騰によるコスト上昇と中国の供給能力拡大で輸出も厳しくなったことから、一部設備の停止を決定。13年春に現在の体制に集約した。

 6万トン体制の下では国内市場への供給で展開している。内需はスパンデックスの海外生産シフトなどで伸びは期待できないが、一定水準で推移している。国内顧客への安定供給とPTMEGなど誘導品へ振り向ける自消分でフル稼働の状態が続いている。

 台湾・長春グループの大連化学は、中国では盤錦と儀征に1,4BD―PTMEGのプラントを持つ。中国需要を取り込む狙いで、この数年間で儀征で4万トン、盤錦で15万トン能力を引き上げた。

 中国需要が減退したため、足元の稼働率は70―80%。グループのアリルアルコールから1,4BD、THF、PTMEG、PBT/PBTコンパウンドまで一貫で生産できる点を強みに事業を展開する方針。

(不定期掲載。<下>は14日付を予定)

1554荷主研究者:2015/11/07(土) 22:26:51

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2015/10/14-22127.html
2015年10月14日 化学工業日報
【中間製品 動向を探る】 1,4ブタンジオール<下>

 1,4BDは、中国での生産設備急増による供給過剰から市況も下落している。さらなる新増設計画もあり、当面厳しい事業環境が続く見込み。主要各社はTHF(テトラヒドロフラン)やPTMEG(ポリテトラメチレンエーテルグリコール)などの誘導品を含めたチェーン展開で事業基盤を強固にする。さらに将来を見据え、原料多様化にも力を入れており、植物由来をはじめ新製法の技術確立が長期的な競争力強化のカギとなりそうだ。

 1,4BD最大手のBASFは、アジア、欧州、北米にアセチレンを原料とするレッペ法による生産拠点を構える。ただ事業環境の変化が生じても対応できるバランスのとれた事業ポートフォリオを構築するため、原料の多様化を図る方針。

 その一環として、再生可能原料をベースにした商業化に注力。製法は米ジェノマティカ社が特許を持つブドウ糖を原料にした発酵プロセスを採用しサンプル出荷を推進している。今年9月24日にライセンス契約を拡張し、新たに東南アジア地域も対象に加わった。世界規模の設備を建設する計画で年7万5000トンの生産能力を想定する。

 三菱化学は、1,4BDとTHFを併産できる独自のブタジエン法で生産している。石油化学事業全体で、既存の化石原料のうち一定量を植物原料に置き換える目標も掲げ、研究開発を推進してきた。原油、ナフサ、ブタジエン価格に影響を受けない収益体質に強化するためにも、再生可能原料へのシフトを今後の方向性としている。

 その一環で1,4BDも米ジェノマティカと提携。ジェノマティカの保有する高いバクテリア技術と、三菱化学の精製技術を組み合わせ、植物原料の事業化を目指している。

 すでにサンプル出荷を進めているが、競争力ある製造コストを達成することが課題。中国メーカーとのさらなる競争激化に備え、来年度から始まる新中期経営計画中に成果につなげる計画だ。

 非可食であるセルロースへの原料転換に向けた取り組みにも力を入れており、商業生産に向けた研究開発を進めていく。THFではトウモロコシの芯など植物のバイオマスから生産するラボスケールの生産設備を設置し、量産工場を立ち上げるための実証試験を開始した。

 原料多様化に向けた動きに対し、長春グループの陳顯彰副総裁は「再生可能原料ベースの1,4BDが脅威」と警戒感を示す。「実際に再生可能原料由来品の安定生産が可能となり、品質、コストがともなったものが市場に出てくると、石油由来では対抗するのが難しい。ゲームチェンジャーに成り得る」と語る。

 BASF、三菱化学は、長期的に資源や原料の市況変動に左右されない事業展開を図りたい考え。生産能力余剰の問題は続きそうだが、バリューチェーンと原料多様化による差別化戦略が、1,4BD事業の持続的発展に向けた重要なポイントとみられる。

(不定期掲載)

1555荷主研究者:2015/11/07(土) 22:36:10

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2015/10/21-22243.html
2015年10月21日 化学工業日報
エア・ウォーター 川崎化成を軸に化学品強化 フタル酸やナフトキノン

 エア・ウォーターは、今年6月に連結子会社化した川崎化成工業を軸に化学品事業を育成する。川崎化成が得意とする可塑剤原料の無水フタル酸と世界で唯一量産技術を持つ機能化学品「ナフトキノン」の中核事業において、川下進出や海外での製造、販売機会の拡充に向けてM&Aを積極活用する。エア・ウォーターと川崎化成を合わせたフタル酸を含む機能化学品関連の売り上げ規模は現状約400億円。2020年までに、さらに100億―200億円の積み増しを目指す。

1556荷主研究者:2015/11/07(土) 22:36:28

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2015/10/22-22259.html
2015年10月22日 化学工業日報
三菱ガス化学 新潟工場を再構築 抗体医薬受託やMMA製品増強

 三菱ガス化学は、アンモニアの生産を停止した新潟工場で、事業再構築に向けて投資を積極化する。抗体医薬を受託生産する量産工場の設置や、メチルメタクリレート(MMA)系製品群の増強などを2017年度までに実施する計画。収益性の低い汎用品事業を縮小する一方、特徴ある高付加価値品に経営資源を集中し、スペシャリティケミカル工場への転換を目指す。

1557荷主研究者:2015/11/08(日) 00:04:40

http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0420151020afad.html
2015年10月20日 日刊工業新聞
国内化学各社、セパレーターの生産能力を相次ぎ拡大-2020年見据え先行投資進む

トヨタ自動車の新型プリウス向けLIB

 国内化学各社が、リチウムイオン二次電池(LIB)の主要4部材の一つであるセパレーター(絶縁材)の生産能力を相次ぎ増やしている。世界各国の環境規制強化で電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)などLIB搭載車の市場拡大が2020年ごろに進んだ際の需要増を取り込む狙いだ。(水嶋真人)

 セパレーター世界シェア首位の旭化成は16年春に年産能力を5億5000万平方メートルと従来比で倍増する。8月に買収が完了した米国のセパレーター大手ポリポア・インターナショナル(ノースカロライナ州)が持つ年産能力2億平方メートルが加わるほか、日向工場(宮崎県日向市)に約50億円を投じて年産能力6000万平方メートルの生産ラインを新設。同工場と守山工場(滋賀県守山市)の生産性向上などで、さらに年産能力3500万平方メートルを上乗せする。

 旭化成の小堀秀毅専務執行役員は「当社の次の成長エンジンの一つがセパレーターだ」と意気込みを示す。事実、ポリポアの買収は同社にとって最大となる約2600億円を費やした。これにより量産車用LIB向けに採用が進むとされる乾式セパレーターという武器を手に入れた。ポリポアは14年11月、パナソニックと次世代の車載用LIB向けセパレーターの共同開発で合意した。長期的な提携も視野に入れている。旭化成が米国のEVメーカー向けに需要増を十分取り込む体制を整えたと言えそうだ。

リチウムイオン二次電池の構造

 宇部興産もセパレーターの年産能力を17年に現状比4割増の2億平方メートルに増やす。16年7月に宇部ケミカル工場(山口県宇部市)の既存設備を再構築して生産能力を増やし、17年6月に堺工場(堺市西区)で新規設備を設置する。20年にも現状比倍増の3億平方メートルへ増やす計画だ。

1560荷主研究者:2015/11/15(日) 15:50:47

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2015/10/30-22366.html
2015年10月30日 化学工業日報
三井化学 岩国大竹で増産体制 粘度調整剤に加え機能樹脂

 三井化学は岩国大竹工場(山口県玖珂郡)の生産体制を強化する。自動車ギヤ油の粘度調整剤「ルーカント」を4割増強するほか、電子部品などに採用が好調な変性ポリアミド6T樹脂「アーレン」など複数の製品でも設備の手直しを通じて付加価値の高い銘柄を増産する。新製品の量産も目指す。同工場は基礎化学品のテレフタル酸(PTA)の売り上げ規模が大きいが、中国企業の増産で市況が低迷し、採算性は高くない。収益性に優れる高機能樹脂を軸とする国内主力拠点として生産を拡充していく。

1561とはずがたり:2015/11/18(水) 19:05:42

仏エア・リキードが米エアガスの買収で合意-1.3兆円
http://jp.wsj.com/articles/SB10589961604557044643904581362210418072424
MARIA ARMENTAL and INTI LANDAURO
2015 年 11 月 18 日 07:53 JST

 産業用ガス大手の仏エア・リキードは米同業エアガスを103億ドル(約1兆2700億円)で買収することで合意した。この買収でエア・リキードの北米での地位は強化される見通しだ。

 ブルームバーグが17日、関係筋の話として両社の交渉を報じていた。債務を含めると、買収総額は約134億ドルと見積もられる。

 契約条件によると、エア・リキードはエアガス株1株につき143ドルを支払う。17日の米株式市場でエアガス株は買われ、前日比31.17ドル(29.36%)高の137.35ドルで引けた。

 両社取締役会はそれぞれ全会一致で合意を承認した。今後、当局とエアガス株主の承認を受ける必要がある。

 パリを本拠とするエア・リキードは80カ国に拠点を構え、鉄鋼、製薬、自動車の水素スタンドなど幅広い業界にガスを提供している。米州本社はテキサス州ヒューストンにあり、米国では140余りの産業ガスプラントを構えている。

 エア・リキードの2014年の売上高は154億ユーロ(約2兆円)だった。

 ペンシルベニア州ラドナーに本社を置くエアガスは米国の産業・医療・特殊ガス業界で最大級の供給業者。酸素、窒素、アルゴンなど大気ガスの生産でも大手だ。15年3月期の売上高は53億ドルだった。

1564とはずがたり:2015/11/23(月) 17:26:30

2015年 11月 23日 15:15 JST
米ファイザー、18兆円超で同業アラガン買収へ=関係者
http://jp.reuters.com/article/2015/11/23/allergan-m-a-pfizer-idJPKBN0TC0CG20151123

[22日 ロイター] - アイルランドの製薬大手アラガン(AGN.N)が米ファイザー(PFE.N)による買収の受け入れで合意した。状況に詳しい複数の関係者が明らかにした。23日にも正式発表される見通し。

買収額はヘルスケア業界では過去最大の1500億ドル(約18兆4800億円)超で、世界最大の製薬会社が誕生する。ファイザーは本拠地を法人税率の低いアイルランドとする見込みで、米大統領選を控え政治的な議論を呼ぶ可能性がある。

関係者によると、ファイザーはアラガン株1株につき自社の11.3株を割り当てる。買収総額の10%未満を現金で支払う可能性もある。

新会社の最高経営責任者(CEO)にはファイザーのリードCEOが就任し、売上高は600億ドル超に達するとみられている。

2015年 10月 30日 13:24 JST
コラム:ファイザーのアラガン合併交渉、拙速がもたらす危険
http://jp.reuters.com/article/2015/10/30/allergan-m-a-breakingviews-idJPKCN0SO0BU20151030?rpc=188&sp=true

[ニューヨーク 29日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米製薬大手ファイザー(PFE.N)は、性急で複雑なディールにのめり込み過ぎているのかもしれない。現在は同業のアラガン(AGN.N)と合併交渉を進めており、統合後の新会社を分割する可能性が大きいように見受けられる。

迅速に動いているのは、株安と税負担面での有利さがある今の時期を逃さないようするためで、税金に関するメリットは米議会が来年の選挙後に刷新されれば消えてしまう可能性がある。だが拙速は、ことを誤らせかねない。それはファイザーも重々承知しているだろう。

両社の合併交渉は、ヘルスケア業界における企業合併・買収(M&A)の活発さを象徴している。アラガンは今年既に後発医薬品(ジェネリック)のアクタビスに660億ドルで買収された。アクタビスは新社名をアラガンとしたほか、大半の事業をテバ(TEVA.TA)に405億ドルで売却した。そしてファイザーも、同じような込み入った構造の取引を検討している。

1565とはずがたり:2015/11/23(月) 17:26:59
>>1564-1565
ファイザーにとってこの案件の一番の魅力は、海外の税率の低さだ。アラガンはアイルランドを拠点とするだけに、ファイザーは法人税負担軽減のための本社海外移転、いわゆるインバージョンができる。それによって年間の納税額は20億ドル前後も少なくなる。

アラガンとの統合で、ファイザーとしては新会社を2つの企業に分割することの妥当性も強まる。一方はブランド医薬品、もう一方はジェネリックと投入から時間が立った医薬品を販売する。アラガンはブランド医薬品の分野では規模が大きく、成長スピードはファイザーよりも速い。またファイザーが今年150億ドルで買収したホスピーラは、ジェネリック注射剤を専門に手掛けている。

ファイザーは既に分割準備のために3億ドル強を費やし、5年前にそのための資産の売却や分離を開始して以降で、株価は2倍に上がった。そこでアラガンを統合すれば、2つの強力な製薬会社を生み出せるしっかりした素地ができるだろう。

ただしファイザーは急がなければならない。イアン・リード最高経営責任者(CEO)が今週指摘したように、来年の選挙によってインバージョンの禁止に向かうような新たな議会が誕生しかねない。

それだけでなく、ヘルスケア企業の株価は夏場以降に下落し、アラガンの企業価値は今回の統合話が浮上した後でさえ、3カ月前に比べて10%も低い。ファイザーは、企業価値が低い状態が定着しているとアラガン側を説得したいと考えているのは間違いない。

もっとも動くスピードが速くなるほど、間違いを犯す機会は増えていく。ファイザーはM&Aにおいて実績から見れば優等生ではない。同社の企業価値は2000年当時が1400億ドル。それから2350億ドル強をつぎ込んで同業者を相次いで買収した挙句、今の価値は2130億ドルだ。

ファイザーがアラガンとの合併を進めることは、相応の理由がいくつかあるかもしれない。だが同社の過去の例を踏まえれば、慎重を期すべき理由の方が多くなる。

●背景となるニュース

*アラガンは29日、ファイザーからの打診を受けて同社との合併協議を行っていることを認めた。

*ファイザーにとって欧州企業買収の試みは今回のアラガン(29日の時価総額は1130億ドル)が2回目。2014年には英アストラゼネカ(AZN.L)買収を模索したが不成功に終わった。

*アストラゼネカは半年にわたる交渉の後、14年5月にファイザーからの最終提案を拒絶した。ファイザーのリードCEOが推進したこの案件は、本社を米国から英国に移転して納税負担を減らせる可能性があることが主な動機になっていた。

*ファイザーは29日の時価総額が約2190億ドルで、米国最大の製薬会社。27日発表した四半期売上高は122億ドルと前年同期比で2.2%減少した。事業は拡大したものの、為替変動の悪影響が上回った。

1566荷主研究者:2015/11/28(土) 22:03:59

http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0820151102afad.html
2015年11月02日 日刊工業新聞
10gで表面積1ヘクタール、国産の単層CNT量産開始-日本ゼオンが11日に稼働

国産単層カーボンナノチューブ

 国産単層カーボンナノチューブ(CNT)の実用化が大きな節目を迎える。日本ゼオンの量産工場が11日に動きだす。産業技術総合研究所が製造技術を開発し、日本ゼオンと量産プロセスに仕上げた。CNTの発見から約25年、製造技術の開発から10年を経て工業化には成功した。これから車載用電池や構造材など各用途での本格的な実用化開発が始まる。(小寺貴之)

TASCが開発した透明導電フィルム(TASC提供)

 CNTは炭素でできた極細のチューブだ。1991年に名城大学の飯島澄男教授(当時NEC主管研究員)が発見した。理想的な単層CNTは比重がアルミニウムの半分で強度は鉄鋼の20倍、電子移動度はシリコンの約10倍で、流せる電流量は銅の1000倍、熱伝導性も銅の5倍以上と画期的な性質を持つ。

 夢の材料が普及しない理由は既存の炭素材料とのコスト競争だ。NEDO技術戦略研究センターの調査によるとカーボンブラックが1キログラム当たり3000円以下で、製造しやすい多層CNTは同2万―3万円、単層CNTは同1000万円程度とされる。樹脂や電池電極に炭素材料を混ぜて導電率を高める場合、CNTで導電性が5倍になっても、カーボンブラックを5倍加えた方が安くなる。そこで産総研は単層CNTの生産コストを1000分の1に抑えるスーパーグロース法(SG法)を04年に開発。連続生産プロセスを確立するなど10年かけて量産技術に仕上げた。産総研の試験プラントでデータを積み上げ、日本ゼオンが量産工場を設計した。

 日本ゼオンの単層CNTは長さと表面積で差別化する。長さは数ミリメートルで表面積は1グラム当たり1000平方メートルに達する。つまり一握り10グラムのCNTが1ヘクタールの表面積を持つ。まずは電極面積がデバイス性能を決めるスーパーキャパシターに応用する。

1569とはずがたり:2015/12/10(木) 00:50:08
WSJ報道
米化学ダウ・ケミカルとデュポンが統合協議
http://mainichi.jp/articles/20151209/k00/00e/020/210000c
毎日新聞2015年12月9日 11時31分(最終更新 12月9日 12時38分)

 【ワシントン清水憲司】米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は8日、米化学大手ダウ・ケミカルと米同業大手デュポンが統合協議を進めていると報じた。関係筋の話として伝えた。近く発表する可能性があるという。

 同紙によると、統合が決まれば、デュポンのブリーン最高経営責任者(CEO)が統合会社のCEOに、ダウのリバリスCEOが会長に就任する見通しという。ただ、統合協議は最終決着しておらず、決裂する可能性もある。

 両社はともに化学業界の世界的な企業で、2014年の売上高はダウが580億ドル(約7.1兆円)、デュポンが350億ドル(約4.3兆円)。統合すれば、世界最大手の独BASFの740億ユーロ(約9.9兆円)を上回る計算。

 ただ、ドル高に伴って海外事業が不振に陥っており、株主から経営の効率化を求められていた。

 米国企業をめぐっては、製薬大手ファイザーが11月、アイルランド同業大手と合併で合意するなど大型統合が相次いでいる。

1571荷主研究者:2015/12/12(土) 22:59:24

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2015/11/12-22500.html
2015年11月12日 化学工業日報
【戦後70年 激動の化学】 リーダーの証言 / 三井化学 田中稔一相談役 《上》

▼緊急事態で社長就任

 田中稔一相談役(前社長)が三井化学の社長に就任したのは2009年6月だった。それまで副社長を4年務め、64歳になっていた。前任の藤吉建二社長との年齢差はわずか1歳。第2の人生を模索していた時期でもあり、辞退を考えた。しかし同社は「リーマンショックの影響をモロに受け、業績が悪化していた」。09年3月期は営業損益で455億円、最終損益で952億円の大幅な赤字を計上した。化学企業としては過去最大の赤字額だ。続く10年3月期も赤字決算が見込まれた。緊急事態のなかで再建を託されたのだ。「(会長の)中西(宏幸)さんと(社長の)藤吉さんから、次をやれと。難色を示したら、藤吉さんが『日頃、部下に対し、悩んだときや壁にぶち当たったときは自分にとって厳しい方の道を選べ、と言っているじゃないか。あれはなんだったのか』と」。それで受けることとした。

 「一発で日本全体がぶん殴られた」というリーマン・ショック。化学企業としてその激震の影響を最も受けたのは、石油化学事業の比率が高い三井化学だった。さらにリーマン・ショックによる経済低迷を回避するため、中国が石油化学、基礎化学品分野で未曽有の新増設ラッシュに入ったことが追い打ちをかけた。自分を奮い立たせ、社長を受けた田中氏は、三井化学の再建のために「石化、基礎化の再構築、付加価値分野へと経営資源をシフトする」ことを決断、成長分野での投資を断行していく。

▼化学のルーツは三池炭鉱の石炭

 田中氏は、サラリーマン人生で2度の大型合併を経験した。最初の合併は、入社したその年の1968年(昭和43年)10月だった。「4月に東洋高圧工業に入社し、辞令を受けたと思ったら、その10月に(三井化学工業と合併してできた)三井東圧化学として辞令を受けた。滅多にない経験だ」と振り返る。

 田中氏の地元・福岡は、三井グループにおける化学事業の発祥の地だ。「三井の化学事業のルーツは、福岡県大牟田市を中心とする三池炭鉱(三井鉱山)にある」。三池炭鉱は、明治政府の官営事業だったが、石炭の輸送・販売は1876年設立の三井物産が一手に引き受けていた。そして三池炭鉱は1889年(明治22年)に三井財閥に払い下げられた。

 三井鉱山は、三井財閥の成長の原動力だった。「団琢磨などが活躍していた当時、主要エネルギー源であり鉄の原料でもある石炭は、国家の重要産業だった。鉱山開発に賭ける先人達のエネルギーには並々ならぬものがあった」。石炭の輸送の要として閘門式(こうもんしき)の巨大三池港などに惜しみなく「今では考えられないくらい」巨額を投じた。

 やがて鉱山運営の高度化を図るため、化学事業へ進出することになる。「石炭からコークスを製造する際にタールが複製する。ここから、硫安などの肥料原料や染料のアリザリンなどを生産する、いわゆる石炭化学に進出した」。肥料系の事業は東洋高圧へ、染料系の事業は旧三井化学工業に引き継がれていく。

 石炭化学が生み出す肥料、染料などの化学品事業はその後、大きく発展した。「1910年代には第一次大戦を背景に染料需要が拡大した。また戦後の食糧難のなか、いわゆる三白景気で肥料需要が急増した」。衣食住のすべてが不足していた戦後から復興期にかけて、化学事業は重要な産業となっていた。このうち、田中氏の出身母体の東洋高圧は「世界に冠たる尿素(肥料原料)の大量生産技術を保有しており、時代の要請に応えた」。

1572荷主研究者:2015/12/12(土) 23:00:00
>>1571 続き

▼石油化学の台頭

 一方、田中氏が三井東圧化学(東洋高圧)に入社した頃、化学産業は新たな潮流の中にあった。1950年代に日本で勃興した石油化学の急成長だ。三井グループは、新たな産業である石油化学の育成のため、55年に三井石油化学工業を設立。同社は58年に岩国工場(現岩国大竹工場)で日本初のエチレン設備(ナフサクラッカー)を中核とする石化コンビナートの操業を開始した。続いて、旧三井化学工業、東洋高圧も石化コンビナートの建設を決断し、65年に大阪石油化学を設立、70年に泉北コンビナートの操業を開始した。「高度経済成長の3C(カラーテレビ、クーラー、カー)時代に、軽くて成形が容易で、デザイン性に優れた新素材である合成樹脂の需要が大きく拡大したことが背景だった」。

 東洋高圧と旧三井化学工業の合併も、石油化学の台頭が背景にあった。「高度経済成長期においても、肥料や染料事業はまだ元気だった。しかし、両社とも次の時代の柱となる事業を模索していた。それが樹脂だった」。樹脂、つまり大規模な投資が必要な石油化学事業への参入を図ることが、合併決断の大きな要因でもあった。

 「入社後の5年間はポリスチレン(PS)の営業を担当した」。PSは、東洋高圧が主導権を握っていた事業だ。ところがある日、ポリプリピレン(PP)の営業部隊へ移動を命じられた。PPは旧三井化学工業主導の事業だった。「当時は、出身母体を超えた人事交流は行われていなかった時代。生意気な社員だけが異動させられたのかも知れない」。人事交流の第1号だった。その後、PPの営業を10年間続けることになる。

▼共販会社へ出向

 70年代以降、石油化学は構造不況に見舞われた。「雨後の竹の子のごとく合成樹脂の企業が乱立し、利益なき繁忙と呼ばれた」。高度経済成長が終焉して需要の伸びが停滞すると、過当競争体質と設備過剰が業界にのしかかった。円高、オイルショックが追い打ちをかけ、事業収益は惨憺たる状況へ追い込まれていく。

 ついに85年、石油化学は産業構造改善臨時措置法により構造不況業種に指定され、共同設備廃棄と合成樹脂の共同販売会社(共販)の設立が実施された。田中氏は、新設された共販の三井日石ポリマーへ出向することとなった。「共販会社は、生産の統合という本質が欠落していたため、銘柄統一など合理化効果はあったものの、共販としての十分な成果は得られなかった」。

 その一方で「共販会社で他社の人材と知り合ったことは大きな財産になった」という。「このままではいけない、という想いを皆が共有できたことは大きかった。三井石油化学(現三井化学)の土田(忠良)さん、日石化学の安川さんなど当時の仲間とは今でも交流がある。同業も三菱、宇部、昭電ほか、当時の樹脂担当には各社のエースが集まり、鎬を削っていた。こうした有能な人たちが逆境の中で頑張り、各社それぞれが触媒技術やコンパウンド技術などの研究開発にも大きな資源を投入したからこそ、今がある」と振り返る。

(つづく)

1573荷主研究者:2015/12/12(土) 23:00:34

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2015/11/13-22501.html
2015年11月13日 化学工業日報
【戦後70年 激動の化学】 リーダーの証言 / 三井化学 田中稔一相談役 《下》

▼2度目の合併

 田中氏は1992年、工業薬品事業部営業一部長に就いた。国内トップのフェノール事業を擁する花形部門だ。フェノール事業の将来について「需要の伸びが見込めない国内だけでは限界がある」と考えた田中氏は、シンガポールでのビスフェノールA(BPA)進出計画の策定に走り回った。そうしたなかで96年、三井東圧と三井石油化学が合併に向けて合意した。

 合併に向けてのカギは、両社が手掛けるフェノール事業だった。「合併すると、フェノールは国内シェアが50%を超える。公正取引委員会(公取)が認めないだろう」との見通しが強かった。「そこで、三井石化からは中西専務(当時)と企画担当者、三井東圧からは坪井専務と私の合計4人で公取に交渉に行った」。交渉相手は企業結合課の鵜瀞(うのとろ)惠子課長。「国内で戦う時代ではない、国際競争だと訴えた」。通産省(現経済産業省)のバックアップもあり、「日本の化学産業が世界で伍して戦う意義を読み取ってくれた」。この時、まだ「中西さんが自分の上司になるとは夢にも思っていなかった」。

▼幸田会長の指導力

 フェノール事業の温存を勝ち取り、97年10月に三井化学が誕生した。大牟田の石炭開発から発した三井グループの化学系主要企業が、ここに再び大統合したのである。合併のキーワードは幸田重教会長が掲げた『合併効果の早期実現』だった。

 「三井東圧では十分な合併効果が上げられなかった。組合の問題などの社会情勢もあり融合が遅れた。三井石化、三井東圧の首脳陣も同じ思いだった。だから、今度は出身がどこかは関係ない。新しい会社のために効果を早期に出そうと」。

 合併後、「真剣にエネルギーをかけて、皆で取り組んだ。お互いの文化や仕事の進め方のうち、ポーターやコトラーなどの経営理論を取り入れての中計策定などより効率的な方を選ぶ合理性があった。また、相手に対する忖度があり、この結果、合併効果は外に向かって誇れるような効果が上がったと思っている。大型合併の成功例の一つではないか」。

▼海外展開

 BPAでスタートとしたシンガポール計画は、その後フェノール進出を果たし、ここに三井化学としてのフェノールツリーが完成した。「シンガポールは、制度がクリーン(公平)で、国を挙げて石油化学産業をバックアップする体制だった。交渉もスピーディで石化産業に賭ける情熱があった」。イランでの石油化学進出計画で挫折した経験のある三井化学にとって、シンガポール・ジュロン島への大型投資は、同社の新たなグルーバル化の契機となった。

 中国の2つの大型投資計画もキーマンとして携わった。中国石油化工(SINOPEC)と組んだフェノール、BPA計画と、高純度テレフタル酸(PTA)計画だ。「三井化学は海外投資を決める条件として、需要家を持っていること、コア製品であること、投資リスクがコントロールの範囲内であること―の3点を基準としていた。そのなかでフェノール/BPAは中国に行こうと」。

 一方でPTAは「中国に土地も押さえていたが、なかなか認可が下りないなかで事業環境が大きく悪化した」。三井化学は中国PTA計画の中止に傾くもその対応策について悩んでいるところ、中国サイドから、「やらないなら土地を返還せよと言われ」計画中止となった。「今から考えると幸運だった」。

1574荷主研究者:2015/12/12(土) 23:01:20
>>1573 続き

▼事業構造転換

 社長となり再建を託された田中氏にとって、短期の課題は「事業の黒字化に加え、落ち込んだ社内の雰囲気を活性化させることだった」。このため、初年度の09年度に社長で40%の減額を始めとして、役員以下の報酬減額、製造合理化などで合計300億円の緊急コスト削減対策をまとめる一方で、社内では「マーケティング強化」、「野武士たれ」と発破をかけ、モチベーションの向上を図った。

 中期の課題は、「市況変動に左右されやすい汎用石化事業から脱し、高付加価値で成長が見込める事業に経営資源をシフトすること」だった。緊急対策により、2010年度に業績のV字回復を果たすと、11年度から「事業ポートフォリオの変革と経営のグローバル化」を推進する3カ年の中計計画をスタートさせ「本格的に、新領域に経営資源をかけ始めた」。

 石化系では国内エチレンセンターのLLP(有限事業責任組合)設立など出光興産との連携を強化する一方、「海外ではPPコンパウンドで次々に投資した」。基礎化学では、3大赤字事業と呼ばれたフェノール系、ウレタン系、PTAの事業再構築を進め、PTAのインドネシアからの撤退、フェノールの内外でのダウンサイジング、ウレタンは鹿島工場の閉鎖などを決断した。

 高付加価値の領域として、ヘルスケア分野ではメガネレンズモノマーでアコモンの買収など世界トップの座を強化し、不織布事業ではタイ・中国等内外の新増設を実施した。そして13年には独ヘレウス社から歯科材料事業を600億で買収した。「事業構造転換は途上だが、全体の流れを変えていくんだという姿勢を、皆が理解したと思う」。

▼忘れられぬ経験

 14年3月、後任社長に淡輪敏専務を指名すると、会長に就かず相談役となった田中氏。社長時代を振り返り「辛かったのは、事故で社員を亡くしたこと」。12年4月22日に岩国大竹工場でレゾルシン設備が爆発火災事故を起こした。「亡くなった社員の両親に、人生で初めて土下座したが、それでも22歳の前途ある若者の命は戻らない」と唇を噛む。

 この頃、化学業界では大規模な爆発事故が連続して発生した。このため、石油化学工業協会を中心に、学識経験者も交えて徹底的に安全対策に取り組んだ。「大変な迷惑をかけたが、この対策は今後の教訓として活かしてもらえると思う」。

 「それと、もう一つ辛かったのは、鹿島工場の閉鎖だ」。ウレタン事業などの再構築のため実施したが、さまざまなステークホールダーから苦言を受けた。しかし「決断して良かったと思う」と振り返る。「その後扶桑化学さんが事業の一部を買いたいと名乗り出てくれた。コンビナート内で社員を採用したいと申し入れされる企業もでてきた。経営者として一番ダメなのは決断しないこと。自分のいる間は決めないというのが一番罪が重いと思う」。

 一方、「心残り」と語るのは、いわゆる石化の千葉連合が道半ばであることだ。「出光さんとLLPを設立した意図は、千葉地区の4社5プラントのエチレン設備を一緒にしようという思いから。そのため先ず2社でスタートした」。各社で世代交代が進むなか、大連合の実現を後進に託す。

(毎週、御一方ずつ掲載予定)

1575荷主研究者:2015/12/12(土) 23:16:50

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2015/11/18-22582.html
2015年11月18日 化学工業日報
【戦後70年 激動の化学】 リーダーの証言 / 昭和電工 大橋光夫最高顧問 《上》

 「とにかく苦難の歴史だった。本当に」。昭和電工の大橋光夫最高顧問(元会長・社長)は「危機感以外に何も財産が残っていなかった」という同社の歴史上で最も厳しい時代に社長に就任し、会社再建にまい進した。累積欠損金を一掃し、有利子負債を削減するため、人員削減、給与カット、事業売却といった苦渋の決断を積み重ねた。

 一方で大橋氏の昭和電工再建は「個性派化学」の名の下、競争優位事業に経営資源を集中させる事業スタイルを確立させ、総花的で横並び体質だった日本の化学業界に新たな企業形態を示した。汎用樹脂事業の再構築では、ポリスチレン事業からの撤退や主力製品であるポリエチレン事業の主導権を合弁相手に渡すなど、対等合併にこだわる業界の常識を打ち破る施策を断行。バブル崩壊以後に進む日本の化学業界再編の演出役ともなった。

 「苦難の歴史は、いまだに続いているともいえる」。そう語る大橋氏の視線の先には何があるのか。自らが実践した、あるいは実践せざるを得なかった「戦略的縮小」に終止符を打ち、大きく成長していく昭和電工の未来の姿であるに違いない。

▼本社の外で育った

 大橋氏が「ものづくりの方が性分に合う」と三井銀行から昭和電工に入社したのは1961年末だった。当時、アルミニウム業界では、昭和電工グループなど既存企業の新増設計画と、新規参入組による新設計画が入り乱れていた。こうしたなか大橋氏は、64年に設立されるスカイアルミニウム(昭和電工グループ、八幡製鉄<現新日鉄住金>グループ、米カイザー・アルミナムの合弁。現UACJ)の準備などのため、62年に米カイザー社に駐在することになった。「この駐在により、アメリカ企業の合理的な経営を学んだ」ことがその後の仕事で大いに役立ったという。

 帰国すると、今度はスカイアルミニウムへ転籍となった。「転籍は出向とは異なり、原則戻れないということだ。しかし覚悟を決めたことで、昭和電工の何が問題かを冷静に観察することができたのも事実だ」。外からみた昭和電工は「残念ながら、一人ひとりが自分の責任と判断で仕事をしていなかった。『上がこう言っているからやっているだけ』『潰れはしないだろう』という空気が広がっていた。事業戦略以前の問題があると感じた」。

▼昭和電工発展の歴史

 昭和電工の源流である森コンツェルンは、森矗昶(もりのぶてる)が創業した新興財閥で、千葉県におけるヨード事業を振り出しに水力発電、肥料、アルミニウムへと事業を拡大した。その間、1931年には昭和肥料が硫安を、34年には日本電気工業がアルミニウムを、いずれも初めて国産化したことが特筆される。基礎素材の国産化により国家へ貢献したいという森の情熱が成し遂げた偉業といえる。

 昭和電工は、その社名が示すようにこの昭和肥料と日本電気工業が合併し、39年に設立された森コンツェルンの中核企業だった。戦後の財閥解体後は、富士銀行(現みずほ銀行)を中心とする芙蓉グループに属し、同グループの中核化学企業として発展していく。その成長の歴史について大橋氏は「経営トップのバイタリティは凄かった。事業拡大のためには多額の資金が必要であり、大手財閥に対抗するためには、いかにして銀行から融資を引き出せるかが勝負だった」と振り返る。

 「森矗昶が『担保はこれだ』と言って(水力発電用の)川の水を指差したという逸話が、その当時の当社の体質を象徴している。アルミは戦前から行っていた事業だが、戦後になると千葉の第5次計画まで含めて猪突猛進して拡大した。石油化学は最後発で大分にエチレンセンターを建設した。しかしエチレンの1号機設備が動き出したのは1969年。先発企業に対しグラウンドを1周も2周も遅れていた」。バイタリティに任せた事業拡大の結果、財務体質は悪化し、後年には大きな課題となった。「D/Eレシオ(負債の資本倍率)は最大7まで拡大した」。

1576荷主研究者:2015/12/12(土) 23:17:27
>>1575 続き

▼危機のなかで社長就任

 1980年代の終わりから90年代にかけて、大橋氏の前任だった村田一社長時代に昭和電工を最大の危機が襲った。同社が製造した必須アミノ酸のLトリプトファンを含む健康食品による健康被害が米国で発覚したのだ。健康被害と昭和電工の製造したLトリプトファンとの因果関係は、現在も証明されていない。しかし製造物責任(PL)法への対応や訴訟費用などにより、結果的に昭和電工は90年代に2000億円を超える資金を費やさざるを得なかった。

 村田社長は、PL問題の処理に一応のめどを付けた97年、後任社長として大橋氏を指名した。最有力候補の順当な社長就任に見えたが「私自身、自分が社長になるかどうかを考える余裕すらなかった」という。その一方で「私がもし何時か昭和電工の社長になるとしたら、一番ふさわしい時期に村田さんが任せてくれた。業績が好調な時であったなら、私のやりたいことが社内で理解されなかったと思う」と述懐する。つまりピンチは最大のチャンスなのだ。

 PL問題の処理により、昭和電工の資産は大きく毀損していた。「危機感以外に財産が無くなったと言ったが、それは何も大げさに言ったのではない。先輩たちが築いた財産を、キャッシュだけでなく資産も含めて全て売却してしまった。本当のスッテンテンだった」。昭和電工は破たんするかも知れない、との噂が飛び交った。

▼チータ・プロジェクト

 社長に就任した当初、大橋氏は結果を出せずに苦しんだ。「最初の2年間くらいは成果が全く出なかった」。しかし会長の村田氏は静かに見守った。「(村田社長とは)随分違うこともやったし、結果が出なかった最初の2年は、雑音が社内外にあったはず。それでも一言も何も言わず、全てを任せてくれたことに今でも感謝している」。

 1998年から、大橋氏は昭和電工の再生計画となる中期経営計画の策定作業に入った。そして「総合化学から個性派化学へ」をスローガンとする中期経営計画「チータ・プロジェクト」を2000年にスタートさせた。関係会社の統合、事業売却、人員削減、エチレン設備の一部廃棄、有利子負債削減...。これらの改善策を動物のチータのような素早さを持って3年間で仕上げるという計画だった。

(つづく)

1577荷主研究者:2015/12/12(土) 23:18:23

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2015/11/19-22583.html
2015年11月19日 化学工業日報
【戦後70年 激動の化学】 リーダーの証言 / 昭和電工 大橋光夫最高顧問 《下》

▼スピード違反

 2000年にスタートしたチータ・プロジェクトは「飛躍のための戦略的縮小」と銘打った実質的なリストラ計画だ。危機から脱出するにはスピードが重要で、そのためには全社員が危機感を共有する必要があった。「危機の事実を私は隠さなかった。社長が本当の意味での危機感を出さずに、隠ぺいしているように見えたら『もたない』と思った。だから全部話した」。危機感だけが財産だと訴えた。「それで会社を去った人もいたが、社長がそこまで話すなら付いていこうという人達がいて、今がある」。

 当初、3年間で2500人としていた人員削減は、最終年の02年には5000人規模に達した。役員はもちろん、管理職から組合員に至るまでの給与カットも実施した。事業構造改革では、昭和アルミニウムの合併やエチレンの1号機設備の廃棄と2号機設備への統合のほか、事業ポートフォリオ管理により、コア事業から外れた関連会社や事業を次々と売却した。「アナリストには『ここまでやって大丈夫? これ以上やったらスピード違反で捕まっちゃうよ』と言われた。そのくらいのスピードで実行した」。

▼チータを予定通り完遂

 チータ・プロジェクトの3年計画の2年が終了した時点で、財務体質や収益改善の成果が見え始め、無機・アルミと有機化学の技術を併せ持つ「個性派化学」の事業構造も明確化してきた。最終年がスタートした02年1月、大橋社長は年頭の訓示で「私の改革への思いは、昭和電工グループの末端まで伝わっていると強く感じている。しかし改革に終わりはない。社員一人ひとりが変化を求めて自己改革していくことを強く求める」と述べた。

 周囲も驚くスピードで改革を実現させた大橋社長。歯を食いしばりながらの3年を経て、02年末に昭和電工はチータ・プロジェクトを完遂させた。「少なくとも、昭和電工が存亡の危機から脱出したと市場は理解してくれた」。改革が成功したのは、改革の先頭に立つリーダーの下、全社で危機感を共有したからだ。「苦難をともにし最後まで勤めてくれた人達に対する思いは強い。今でも皆の顔が浮かぶ」。

▼HD事業の転機

 チータ・プロジェクトを推進中の02年10月、昭和電工は「三菱化学グループからハードディスク(HD)事業を買収する」と発表した。HD事業は現在、昭和電工のコア中のコア事業だが、この事業買収が飛躍への転機となった。

 「三菱化学は、当時の当社との信頼関係のなかで、シンガポールのHD事業を昭和電工に任せようと決断してくれた。これが非常に大きな財産になった。人材も一緒に来てくれた。自分たちは会社の名前の下ではなく、HD事業で生きるんだと。そういうスピリットを持った人達だった」。

 HD事業は、アルミなどの基盤技術や、表面処理・成膜技術など、技術のバック・グラウンドこそあれ「従来の当社の企業文化とは全く異質な事業」だった。「昼夜を問わず、真夜中でも顧客の要求に対応するような事業だ。技術開発も、他社に1日でも遅れたらそれで終わり。HDは、そういう厳しい環境で働く覚悟があって初めて生き残れる事業だ」。かつて大橋氏が嘆いた昭和電工の文化。HDの事業文化がその改革に大きな役割を担った。

1578荷主研究者:2015/12/12(土) 23:18:53
>>1577 続き

▼汎用樹脂事業の再編

 大橋氏は、汎用樹脂事業においても、業界の常識を覆す大胆な構造改善を実施した。スカイアルミニウムから昭和電工へ異例の再採用をされた大橋氏は、アルミニウム製錬事業末期、本体から切り離された昭和軽金属の営業を経て、1981年に本社の石油化学部門に異動した。高度経済成長の終焉とオイルショックを背景に、石油化学は政府から構造不況業種に指定され、縮小均衡の嵐が起きた。しかし「私がアルミから石油化学に移ったときの人達は皆、過去の栄光から脱しきれないでいた。飲めや歌えを続けている感じだった」。最盛期に石油化学を担当していない大橋氏には、そうした業界の体質に大きな違和感があった。

 その石油化学は、90年のバブル崩壊を経て、再び再編期に突入した。中心事業であるポリオレフィンは、各社が事業を本体から切り離し、専業の合弁会社を設立するかたちで再編が進展した。先行したのは昭和電工だった。94年に旭化成とポリプロピレン(PP)の合弁会社日本ポリプロを設立する一方、ポリスチレン(PS)事業の営業権を旭化成に譲渡したのだ。この動きは事実上、昭和電工と旭化成によるPPとPSの事業交換であった。

 続く95年には昭和電工65%、日本石油化学(現JXエネルギー)35%出資のポリオレフィン合弁会社「日本ポリオレフィン」を設立した。「業界再編の先鞭をつけることができた」と語る大橋氏は93年まで取締役総合企画部長として、93年以降は石化事業担当の常務、その後は専務として一連の再編劇を指揮した。大橋氏の思い切った選択と集中の決断は業界に伝播。各社が汎用樹脂事業で合弁設立に動いた。社長に就任した大橋氏はさらに、2000年代に入りポリエチレンはHD事業を譲り受けた三菱化学に、PPは外資のモンテル(現ライオンデル・バセル)に主導権を渡す再編を決断する。

 「若い頃から折半出資の合弁会社を見てきた。そのなかでマジョリティを握る者のいない合弁事業ではダメだという信念を持った。事業を売るなら任せる。買うなら主導権を取る。合弁なら、どちらが最終的に経営責任を持つか決めることが重要だ」。

▼遠くを見て今を決める

 危機を脱した昭和電工は03年から、チータ・プロジェクトの後編として個性派化学の確立を進めつつ、成長路線への転換を目指す新たな中期経営計画「プロジェクト・スプラウト」をスタートさせた。そして次期社長に新たな経営計画の策定を任せるため、進行中の計画を1年残した04年11月に高橋恭平氏への社長交代を発表した。その後、大橋氏は05年1月に会長、10年に相談役、14年に最高顧問となった。経営の一線からは退いたが、日本の化学産業への思いは現役時代と変わらない。

 「経営者は、遠く未来をみつめること。遠くを見ながら、そのために今、すべきことを考え実行する。それが大事だ」と語る。しかし「最近は長くても四半期、極端にいえば毎月、パフォーマンスを市場から監視されている。このため経営者が萎縮して、短期思考でしかモノを考えられない傾向がある」と危惧する。

 そのうえで今の日本の化学企業には、さらなる大胆な合併や事業交換といった経営のダイナミズムが必要だと語る。「欧米勢に規模で劣る日本の化学メーカーは、研究開発に投入する経営資源に限界がある。これを乗り越えるのは大変な苦労だ。10年後を考えれば、さらなる統合再編が絶対に必要だ」。現役ではないから言えるけれど、と付け加えるが、その眼光は今も鋭い。

(毎週、御一方ずつ掲載予定)

1580とはずがたり:2015/12/13(日) 20:32:27
騙して売上伸ばしたノバルティスとVWは許せんがファイザーはまあいいじゃないか。

>以前は、日本市場に参入するために日本企業を買収するという意義があったが、今やほとんどの外資系は日本法人を持っている。解雇による合理化ができないことも、買収を阻む要因だ
解雇法制が必要かなぁ。。

>国内製薬業界の大型再編は、2005年のアステラス製薬(山之内製薬と藤沢薬品工業)、第一三共(三共と第一製薬)の発足以来、10年間途絶えたまま
そろそろ欲しいね。。

ファイザー、19兆円の巨額買収に透ける苦境 製薬首位の座を奪還も、冷めた見方広がる
http://www.msn.com/ja-jp/news/money/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%82%B6%E3%83%BC%EF%BD%A419%E5%85%86%E5%86%86%E3%81%AE%E5%B7%A8%E9%A1%8D%E8%B2%B7%E5%8F%8E%E3%81%AB%E9%80%8F%E3%81%91%E3%82%8B%E8%8B%A6%E5%A2%83-%E8%A3%BD%E8%96%AC%E9%A6%96%E4%BD%8D%E3%81%AE%E5%BA%A7%E3%82%92%E5%A5%AA%E9%82%84%E3%82%82%EF%BD%A4%E5%86%B7%E3%82%81%E3%81%9F%E8%A6%8B%E6%96%B9%E5%BA%83%E3%81%8C%E3%82%8B/ar-BBnumeX#page=2
東洋経済オンライン
長谷川 愛
7 時間前

 超巨額買収による世界最大の製薬企業誕生という一報に、冷めた見方が広がっている。自力成長が限界に達したメガファーマ(大手製薬企業)の厳しい状況が透けて見えるためだ。

 米製薬大手のファイザーは11月23日、アイルランドの同業アラガンとの合併に合意した。買収総額は何と1600億ドル(約19兆7000億円)に上り、製薬業界のM&A案件では最大規模である。

 ファイザーはピーク時に世界で年間100億ドル超を売り上げた、高脂血症薬「リピトール」が2011年に特許切れを迎えて以降、減収が続いていた。今回の買収により、シワ取り薬「ボトックス」などの製品群を獲得。2014年にスイスのノバルティスに奪われた業界首位の座を奪還する見通しだ。

 同社が現在のポジションを築いたのは、M&Aによるところが大きい。2000年には米ワーナー・ランバート、2003年には米ファルマシア、2009年には米ワイスを次々と買収。今年9月には後発医薬品大手の米ホスピーラを買ったばかり。破談に終わったものの、2014年は英アストラゼネカに統合提案を持ちかけた。

 製薬業界では1990年代後半から、国境を超えたM&Aが活発化。売上高数兆円規模のメガファーマは、大型再編の結果生まれている。

 当初は、規模拡大による研究開発費の確保という、前向きな狙いが重視されていた。創薬の成功確率は約3万分の1ともいわれ、一つの薬の完成までには、一般的に10年以上の歳月と1000億円前後の費用がかかる。研究開発費が多いほど、このわずかなチャンスをつかみやすくなる。ファイザーやノバルティスなどは年間1兆円を超える研究開発費を投じている。

 各社は巨額の研究開発費を回収するため、生活習慣病薬の開発に力を入れた。生活習慣病の患者は長年薬を飲み続けるため、開発に成功すれば大きなリターンを得ることができたからだ。しかし、生活習慣病薬はほぼ開発し尽くされ、2010年前後に相次いで特許切れを迎えた。

 現在、薬のニーズがあるのは、がんや認知症など開発の難易度が高い疾患や、患者数の少ない希少疾病ばかり。売上高ランキングで上位を占めるのは、化学合成の低分子薬に比べ、研究開発費も生産設備投資も一段とかさむバイオ医薬品が多い。

1581とはずがたり:2015/12/13(日) 20:33:01
>>1580-1581
 後発医薬品の台頭も逆風だ。世界的な医療費抑制の動きで、各国は後発薬の利用を推進。日本政府も、2020年までに後発薬の数量シェアを現時点の約50%から80%にする、という目標を掲げた。米国ではすでに、後発薬のシェアが90%程度に達しており、特許が切れた薬は売り上げがほぼ期待できなくなる。

 こうした環境の中、買収は有望な新薬候補を手に入れることに加え、別の大きな目的=“節税”が意識されるようになった。

 ファイザーがアラガンに目をつけたのも、その本社が法人税率の低いアイルランドにあることと、深くかかわっている。ファイザーは今回の買収を機に、本社を、米国からアイルランドに移転することを計画。実効税率を2014年度の25.5%から、合併初年度に17〜18%程度へと低下させることをもくろむ。

 これに米政府は、M&Aによる租税回避に対する規制強化を打ち出している。2016年の米大統領選挙に出馬するヒラリー・クリントン氏が、「この合併で米国の納税者が貧乏くじを引かされる」とファイザーを非難するなど、政界からの反発は強い。

 2016年後半に予定している買収手続きを完了させるには、欧米の規制当局の承認を得る必要がある。アラガンの株価は12月2日時点で317ドルと、買収価格の363.63ドルよりも低水準で停滞。株式市場は買収完了を完全に織り込んではおらず、今後は紆余曲折を経る可能性もある。

 ひるがえって、日本の製薬企業はM&A市場で蚊帳の外に置かれ、存在感に乏しい。国内最大手の武田薬品工業も、世界では17位(2014年)にとどまっている。

 バークレイズ証券の関篤史アナリストは、国内企業がメガファーマによる買収の標的になる可能性は低いと見る。「以前は、日本市場に参入するために日本企業を買収するという意義があったが、今やほとんどの外資系は日本法人を持っている。解雇による合理化ができないことも、買収を阻む要因だ」(関氏)。

 国も危機感を抱く。厚生労働省は9月4日に発表した「医薬品産業強化総合戦略」の中で、「医薬品の研究開発コストの増加やグローバルでの事業展開を考慮すると、日本の製薬メーカーもM&A等による事業規模の拡大も視野に入れるべきではないか」と、踏み込んだ記載をした。

 英調査会社のエバリュエートファーマによると、世界の医療用医薬品売上高は、新興国市場の拡大などで、2020年に2014年の約1.3倍となる1兆ドル程度に拡大する見通しだ。ただ、制度が未整備な新興国の開拓は一筋縄ではいかず、欧米のメガファーマとの厳しい競争も待ち構える。

 国内製薬業界の大型再編は、2005年のアステラス製薬(山之内製薬と藤沢薬品工業)、第一三共(三共と第一製薬)の発足以来、10年間途絶えたまま。生き残りを懸けた次の一手はありうるか。

1582とはずがたり:2015/12/13(日) 20:38:46

大村さんに続け…熱帯病治療、日本の製薬各社が支援強化
http://www.msn.com/ja-jp/news/money/%E5%A4%A7%E6%9D%91%E3%81%95%E3%82%93%E3%81%AB%E7%B6%9A%E3%81%91%E2%80%A6%E7%86%B1%E5%B8%AF%E7%97%85%E6%B2%BB%E7%99%82%E3%80%81%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E8%A3%BD%E8%96%AC%E5%90%84%E7%A4%BE%E3%81%8C%E6%94%AF%E6%8F%B4%E5%BC%B7%E5%8C%96/ar-BBns6u3
朝日新聞デジタル
1日前

 10日(日本時間11日)にノーベル医学生理学賞を受賞した大村智・北里大特別栄誉教授は、「顧みられない熱帯病」の患者への貢献で脚光を浴びた。ただ、まだ根本的な治療薬がない熱帯病もある。エーザイなど日本の製薬大手は近年、この分野で支援を強めている。

 こうした熱帯病は、アジアやアフリカをはじめ世界で10億人以上が感染しているとされる。貧しい人が多く、巨額を投じても買ってもらいにくいため、薬の開発が進みにくい病気だ。世界保健機関(WHO)はデング熱や狂犬病など17種類を指定している。

 大村氏が携わった薬「イベルメクチン」は、アフリカや中南米で流行し、患者の2割が失明する恐れがあるとされる「オンコセルカ症(河川盲目症)」の治療で年3億人に使う。

1583とはずがたり:2015/12/14(月) 10:46:12

新連載【毒薬の手帳】〜あなたの知らない毒のソコノトコロ〜
【毒薬の手帳】ググっても出てこない、青酸カリの本当の
http://tocana.jp/2015/12/post_8039_entry.html
2015.12.01
【ヘルドクター・クラレの毒薬の手帳 第1回、青酸カリ】 

 突然ですが、始まりました本連載。

 最近真面目な仕事をしすぎた反動で、「たまには毒々しい話をしたいよ!!」という筆者の勝手な話から決まったのですが、毒々しい話をしようと思ったら、毒の話をすることになっていた…というポルナレフもびっくりな展開でスタートすることになりましたっ。

 Anyway! 毒物に関しては生理学を一通りやった上で、アレな実験をだいたいやり、いろんな毒物も実際に味見をし、そして全国で有害図書指定を受けつつも、シリーズを通し15万部を越えた文部省不認可教科書こと、『アリエナイ理科ノ教科書』(三才ブックス)まで上梓した身としては、毒の話…といっても、ググってすぐに出てくるようなことをまとめるようなことはしませんので、多少ご期待してくれてもいいのよ…!

 というわけで、さっそくいってみましょう! 第1回目のお題は「青酸カリ」。ミステリーには定番のこの毒ですが、その実体はどんなものなのでしょう? ついでに味なんかについても触れてみようと思います。

■青酸カリの歴史

 まずは、青酸カリというのは俗称で、化学の世界では「シアン化カリウム」(KCN)と表記されます。

 青酸カリという字面から、ドラマなどでは青っぽい粉で表現されることがありますが、実際は面白みのない白い粉で、舐めるとメタリックな苦扁桃フレーバーが…といっても伝わりにくいでしょう。端的にいえばアルミホイルと甘味のない杏仁豆腐を口にいれたような味、とすれば想像しやすいでしょうか。

 この青酸という言葉は、もともと顔料として15世紀あたりから使われていたプルシアンブルー(のちにいくつかの青色顔料に分類される)が由来となります。

 ゆえに、印刷のCMYKの青はシアンと呼ばれるわけです。

 これは組成式を見ると FeK[Fe(CN)6] や Fe(NH4)[Fe(CN)6] といったモノです。一昔前は腐らせた牛の血を錆びた鉄鍋で灰と一緒に混ぜ、ときおり鍋を叩きながら煮詰めるという方法で作られていました。生成に必要な鉄分は錆びた鉄鍋を叩くことで、酸化鉄が中に入り込み反応していったという、こんな方法どうやって思いついたのかは時代のみが知るといったところでしょうか。そして、水酸化ナトリウムなどの強塩基とプルシアンブルーを混合すると、水酸化鉄(III)とシアン化合物イオンが得られ、そこから蒸留などを経て、シアン酸こと青酸が作られるのです。

 ちなみにプルシアンブルーは、セシウムイオンを吸着する不思議な性質を持っており、福島第一原子力発電所が爆発して、放射性セシウムが日本中にばらまかれた時に話題になりました。

 話は戻って、この化合物プルシアンブルーのCNという部分こそ、青酸カリのCN部分なわけです。青酸の状態では反応性が高すぎて不安定なため、カリウム塩やナトリウム塩にしたものが、青酸カリウム(シアン化カリウム)、青酸ソーダ(シアン化ナトリウム)となります。

■青酸カリは身近な毒だった?

 話は近代になり、シアン化合物は多くの化学工業の分野で活躍していくのですが、戦後は町中にメッキ工場などがあちこちにあり、今とは考え物にならないくらい薬品がズボラに管理されていました。そのため、くすねて持ち帰ることが可能だったので、「身近な毒」となったのです。故にミステリーにも採用されていたわけですネ。

 それが時代を経て、青酸カリの毒性だけが一人歩きして、ミステリー小説や漫画の中で、入手方法は不明だけど悪い奴が使う毒というよくわからない状況になってしまったといえます。もちろん現在、メッキ工場はなかなか町中にありませんし、あっても薬品の管理は厳重で、簡単に忍び込んで盗む…なんてことは非現実的です。

 そしてなにより青酸カリは毒殺に向いていないという最大の問題が立ちはだかります。

1584とはずがたり:2015/12/14(月) 10:46:34

■実は毒殺に向いてない青酸カリ

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画像は、アガサ・クリスティ「Wikipedia」より
 青酸カリは実は毒殺に向いていない。

 そんな馬鹿な、アガサ・クリスティのミステリー小説はもちろん、多くの推理サスペンスでも大活躍し、その上、実際にルイ14世の時代には青酸を使ったであろう毒殺事例が多数確認できます。それだけのバックボーンがありながら毒殺に向いていないとはどういうことなのでしょうか? 

 まず、青酸ガスは非常に致死性の高い猛毒ですが、反応性の高いガスでもあるので、しばらくすると空気中のアンモニアやその他有機物なんかと反応して毒性を失ってしまいます。

 アガサ・クリスティのミステリーの中では、ラジオの中に封印された青酸ガスが、音楽のハイライトで共振して割れ、青酸ガスが部屋に充満して死ぬというトリックが出てきます。

 まず人を殺すくらいの分量は小さなアンプルに1気圧で封印できる程度の少量では無理で、青酸ガスの致死濃度である300ppm(部屋の空気に0.03%混合しなくてはいけない)に達するためには、仮に6畳くらいの部屋を想定しても十数グラムの液化ガスを封入しなくてはいけないことになり、ラジオの中に搭載するのは、相当な技術というか金がかかります(笑)。

 しかもとんでもない圧力がかかったアンプルがラジオの音楽の共鳴で割れ、それ以外では割れないようにしなければいけないんで、これは現代のテクノロジーをもってしても厳しいと言わざるを得ず、まさにフィクションと言わざるを得ないわけです。

 いや、だからこそフィクションなんですが(笑)

■じゃあ飲ませる方向で

 いやいや、もっと古典的な青酸カリを毒として食べ物や飲み物に混ぜればいいじゃん……という声が聞こえてきますが、これもまた難儀です。

 前回お伝えしたように、青酸化合物は独特のフレーバーがあり、無味無臭なんてのはウソ、お世辞にも美味しいとはいえません。杏仁豆腐のような風味とメタリックな味は誤魔化しきれるには結構きついものがあります。

 またシアン化化合物は非常に分解しやすく、空気中の二酸化炭素を吸収して反応、無毒な炭酸カリウムへとどんどん変わっていきます。故に、実験用試薬でも結構な生もの扱いで、開封後は早めに使うことが推奨されています。

 毒殺犯が、紙に包んだ青酸カリを隠し持ってサラサラと入れているシーンなんかが、ミステリーに登場しますが、紙包みなんてして毒殺のチャンスを伺いずっと携帯してたら、気が付けば無害なんてこともあり得るわけです。

 加えて致死量も問題です。

 猛毒かと思われていますが、その致死量(LD50)はおよそ5mg/kgとされています。なんだたった5mgで死ぬじゃん……! とか早合点してはいけません。

 5mg/kgつまり体重が60Kgの成人男性なら5mg×60kgで300mgとなります。300mgといえば指先にこんもりあるくらいの分量です。

 しかもこの数字は、LD50(半数致死量)というもので、10人中5人は死ぬかも……という数値であり、つまり死亡率は50%。では確殺には倍量でいいのかというとさにあらず、しかもこのLD50の値はラットでの数値であり、人間に対して確実ともいえないわけです。

1585とはずがたり:2015/12/14(月) 10:46:58
>>1583-1585
 そうなってくると、

さらに10倍は盛らないと確殺とはいきません。

 その分量なんと3g(笑)

 1円玉3枚分です。小さじ一杯満載あります。しかも一切の分解されていない新鮮な状態であるという但し書き付きです。

 そんな分量をいれれば飲み物でも一口で怪しい味になりますし、それだけのものを飲ませることができるなら、そもそも別の猛毒がぜんぜん選択肢として出てくるわけです。

■未解決帝銀事件と青酸

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画像は、「毎日新聞/昭和毎日」より引用。帝銀事件を報じた記事
 さて、そんなダメだしばかりの青酸カリですが、もう少し別のシアンを持つ化合物だと、いっきに殺しに特化することができます。

 その最たる例が、帝銀事件で使われた毒。

 昭和23年に東京都豊島区の帝国銀行に、赤痢感染者が来店したので、予防薬を飲んでくれと、役所から来たと言う男の指示のもと、署員が薬を服用。薬として配られたのは非常に飲みにくい1液と、少し苦い2液。このふたつの液体が合わさると初めて毒性を持つという青酸バイナリーなわけです。

 数分後、飲んだ職員はすべて死亡し、犯人は悠々自適に金をもって逃げた……という、戦後の未解決事件の1つです。

 ここで使われたと言われているのが、シアノヒドリンの1つであるアセトンシアノヒドリンという物質。2液にはおそらく重曹のような弱塩基が含まれていたのではないかといわれています。

 粉末の青酸カリに比べて液体で保存性が高く、胃の中で即毒性を発揮する(胃酸と反応して青酸ガスが出る)青酸カリより安定性が高く、複数人に飲ませても、2液目を飲ませて初めて胃の中で青酸を発生させて殺すことができるというトリックが仕組めるというものです。

 この方法を用いれば、複数人に飲ませても最後の人にのませ終わるまでに最初に飲ませた人が倒れ出して怪しまれることが避けられる……というものです。

 ただこの物質も凄まじいマズさで、薬と偽って飲まされたからこそ、服用に至ったわけで、現代ではまったく通じないといえます。

 なにより青酸系毒物の所見は極めて分かりやすい状況証拠を残し、そこから毒物の鑑定が行われ、犯人の絞り込みがなされると、法医学と捜査科学が発達した現代では、やはり無理難題の産物であるといえます。

 まぁ、毒を使った犯罪というのは、非常に足の付きやすい犯罪であるといえます。

 というわけで、現実と虚構のミステリーの毒を紐解きながら、しばし、いろいろな毒物について言及していきたいと思います。
(文=くられ/シリーズまとめ読みはコチラ)

1586とはずがたり:2015/12/14(月) 10:48:05
4種混合ワクチン
化血研の出荷自粛要請を解除 厚労省
http://mainichi.jp/articles/20151127/k00/00m/040/081000c
毎日新聞2015年11月26日 20時30分(最終更新 11月26日 20時30分)

 厚生労働省は26日、国の承認と異なる方法で製造され出荷が止まっている化学及血清療法研究所(化血研、熊本市)の4種混合ワクチンの出荷自粛要請を解除した。製造法の違いが「品質や安全性に重大な影響を及ぼさない」とした。

 化血研は「できるだけ速やかに出荷の準備を進める」としている。化血研製ワクチンの出荷自粛要請解除は、10月のインフルエンザワクチンに続き2例目。

 厚労省は今月2日「当面、全国的な不足は生じない」とする見解を都道府県などに伝えていたが、実際には11月中にも不足する恐れがあった。一部の医療機関では接種の予約ができなくなっているという。

 厚労省は、製造工程の効率化のため「ヘパリン」という血液を固まりにくくする物質を添加していた点など、承認されていない2項目を精査。ヘパリンが国の基準を満たしていることなどを確認し、重大な影響がある可能性は低いと判断した。

 4種混合ワクチンは百日ぜき、ジフテリア、破傷風、ポリオ(小児まひ)を予防する。昨年、化血研と阪大微生物病研究会(大阪府)の2社で約370万本を出荷し、化血研製が約64%を占めていた。今年12月からは北里第一三共ワクチン(埼玉県)も発売する。(共同)

血液製剤など10製品出荷止まったまま 製薬会社不正
http://www.asahi.com/articles/ASHCM129BHCLULBJ01H.html
竹野内崇宏2015年11月27日20時30分

 血液製剤やワクチンの国内有力メーカー「化学及血清療法研究所」(化血研、熊本市)が、20年以上にわたって不正な方法で製品をつくっていたことが判明し、現在も10製品が出荷できないでいる。化血研は近く、第三者委員会による調査の結果を発表する。

血液製剤を不正製造、記録も偽装 化血研、20年以上
 厚生労働省は、流通中や出荷予定の化血研製の血液製剤12種類とワクチン10種類、その他7種類の計29種類について、9月までに出荷自粛を要請。安全性が確認された製品や緊急性の高い製品を順次解除しているが、まだ血液製剤7種類とワクチン3種類は出荷が止まっている。

 B型肝炎ワクチンは国内シェアが8割。宇都宮市内のある診療所は在庫がなくなり、予約の受け付けを中止した。インフルエンザワクチンと4種混合(百日ぜき、ポリオなど)ワクチンは解除されたものの、一部の医療機関では予約延期などの影響が出た。

 血友病患者に必要な血液製剤も条件付きで解除された。ただ荻窪病院(東京)の花房秀次医師によると、「本当に安全か」と不安を訴える患者もいるという。

 不正な製造は、承認内容と異なるつくり方をしていたこと。化血研によると、1989年ごろから、血液製剤の製造効率を高める目的で、添加剤を入れていた。発覚を免れようと記録を偽造し、国の定期検査で示していた。ワクチンでも同様の不正な製造や、書類の誤記が見つかった。

 化血研は9月、元裁判官らによる第三者委を設置、原因を調べ始めた。厚労省は第三者委の報告書をもとに行政処分を検討する。

 化血研は旧熊本医科大(熊本大医学部)の研究所が母体。薬害HIV訴訟の被告企業の一つで96年に和解した。大阪原告団の花井十伍代表は「訴訟のさなかにも不正行為を続けていたことになる。不正を見逃してきた国もこれまでの対応を検証すべきだ」と話す。(竹野内崇宏)

■出荷が止まっている主な製品
()内のパーセントは国内シェア

【ワクチン】
・日本脳炎(36%)
・A型肝炎(100%)
・B型肝炎(80%)

【血液製剤】
・重症の感染症などに使う「献血グロブリン」
・出血性ショックなどに使う「献血アルブミン」
※インフルエンザワクチン、4種混合(百日ぜき、ジフテリア、破傷風、ポリオ)ワクチンは出荷を再開

1587とはずがたり:2015/12/14(月) 10:49:00

未承認血液製剤
化血研が隠蔽工作か 国が立ち入り検査へ
http://mainichi.jp/articles/20151202/k00/00e/040/243000c
毎日新聞2015年12月2日 13時02分(最終更新 12月2日 13時02分)

 熊本市の化学及血清療法研究所(化血研)が、国が承認していない方法で血液製剤を製造していた問題で、化血研が国の調査を擦り抜けようと、偽の書類に紫外線を浴びせて変色させ、作成時期を古く見せかけていたことが2日、分かった。調査で求められた過去の書類がなかったため隠蔽(いんぺい)工作を図ったとみられる。

 化血研は先月下旬、不正調査で設置した第三者委員会から最終報告書を受け取り、厚生労働省に提出。歴代の理事長らが、不正に関与していた可能性があると指摘している。2日午後に開かれる厚労省の専門家委員会で内容が報告される。

 最終報告書を受け、厚労省は近く化血研に立ち入り検査をした上で、行政処分を下す方針。

化血研不正「常軌を逸した隠蔽体質」…第三者委
http://www.yomiuri.co.jp/national/20151202-OYT1T50166.html
2015年12月02日 22時59分
 国内のインフルエンザワクチンの3割を製造する一般財団法人・化学及血清療法研究所(化血研、熊本市)が、血液製剤やワクチンを国の未承認の方法で製造していた問題で、化血研が設置した第三者委員会(委員長=吉戒よしかい修一・元東京高裁長官)は2日、調査報告を公表した。化血研が40年前から未承認の製法で血液製剤の製造を始め、発覚を免れるために虚偽の製造記録などの作成を続けていたとし、「重大な違法行為で、常軌を逸した隠蔽体質」と指摘した。厚生労働省は、医薬品医療機器法(旧薬事法)違反で行政処分を科す方針で、業務改善命令などを検討している。


 調査結果は同日開かれた同省の専門家部会で報告された。化血研の宮本誠二理事長(65)は部会の場で、同日付で自身が辞任するほか、理事全員が辞任か降格処分になると明らかにした。

2015年12月02日 22時59分

1588とはずがたり:2015/12/14(月) 10:50:39
化血研
40年以上、不正製造…非承認方法で血液製剤
http://mainichi.jp/articles/20151203/k00/00m/040/054000c
毎日新聞2015年12月2日 20時22分(最終更新 12月3日 02時39分)

厚労省、処分へ

 血液製剤やワクチンの国内有数のメーカーである一般財団法人「化学及血清療法研究所」(化血研、熊本市)が、国が承認していない方法で血液製剤を製造した問題で、化血研は2日、製造記録を偽造するなど隠蔽(いんぺい)工作をしながら、40年以上にわたり国の承認書と異なる不正製造を続けていたとの調査結果を明らかにした。厚生労働省は化血研を行政処分する方針。【古関俊樹】

「常軌を逸した隠蔽体質」

 化血研は、宮本誠二理事長が2日付で辞任したと発表した。他の全理事も同日付で辞任や降格などの処分とした。

 化血研が2日にあった厚労省の専門家委員会に第三者委の調査結果を報告した。報告書によると、化血研は遅くとも1974年には一部の製剤について加温工程を変更し、国の承認書と異なる方法で製造していた。90年ごろには幹部の指示によって、血液製剤を作る際に血液を固まりにくくする添加物を使用する不正製造を始めた。製造効率を上げるためだったという。ワクチンでは同様の不正行為は確認されなかった。

 医薬品メーカーは法令に基づき、国の承認書に従って製造し、記録を残す義務がある。国は定期的に記録を確認しているが、化血研は95年ごろから承認書通りに製造したと虚偽の記録を作り、検査をクリアしていた。記録用紙に紫外線を浴びせて変色させ、古い書類だと見せかける工作もしていた。

 こうした不正行為はトップである理事長も認識しており、第三者委は「常軌を逸した隠蔽体質が根付いていた」「研究者としてのおごりが不整合(不正)や隠蔽の原因となった」と指摘した。

 厚労省は今年5月に化血研を立ち入り調査し、血液製剤の製造で不正を確認。6月に血液製剤の出荷を差し止め、他のワクチンなどについても調査。化血研も9月に第三者委員会を設置し、調査を進めていた。これまでに健康被害は確認されていないという。

 化血研は旧熊本医科大が前身で、45年の設立。薬害エイズ訴訟の被告企業の一つ。

「風土として対応できず」…理事長謝罪

 化血研の宮本誠二理事長は2日夜、厚生労働省で記者会見し、「深くおわびします」と謝罪した。自身も長年にわたり不正を認識していたことを明らかにし、「化血研の風土として積極的に対応できなかった。私もその一人だ」と苦渋の表情で語った。「理事長に就任した時になぜ改善しなかったのか」と記者から問われると、宮本理事長は「改革すると血液製剤の供給がストップしてしまうことを懸念した」と明かした。

 会見に先立ち、薬害エイズ訴訟原告団の代表らが「和解した私たちに対する裏切りだ」とする抗議書を宮本理事長に手渡した。【内橋寿明】

接種予約、中止の動き

 厚生労働省は化血研に対し、血液製剤の出荷差し止めに続き、ワクチンの出荷自粛を要請している。化血研のシェアが高く代替品の確保が難しい日本脳炎とA型肝炎、B型肝炎のワクチンが不足し、東京や千葉など各地で接種の予約を中止する病院が出始めている。ワクチンを販売しているアステラス製薬によると、出荷が再開されなければ、日本脳炎は来年1月下旬、B型肝炎は来年1月中旬〜下旬に市場の在庫がなくなる可能性がある(11月27日現在)という。

 厚労省によると、日本脳炎ワクチンは2013年度に延べ429万2409人が接種。A型肝炎、B型肝炎は任意接種のため接種人数の統計がないという。厚労省は「製剤ごとに優先順位を付けて調査しており、終了後に出荷自粛の要請を解除する」と説明するが、解除の時期は未定。

 化血研が未承認製法で血液製剤を出荷していたことで、厚労省は他の製剤についても製法の実態調査を化血研に指示した。化血研は報告したが、厚労省は報告に不備があるとして、9月までに29製品の出荷自粛を要請。安全性が確認できたり、緊急性が高かったりする製剤は出荷できるようになったが、現在もワクチン3種類、血液製剤7種類は出荷できない。【古関俊樹】

1589とはずがたり:2015/12/14(月) 10:51:55
>製造効率を高める目的で、承認書にはない添加剤を入れたり、添加剤の量や加熱方法を勝手に変更したりしていた。本来は製造方法の一部変更の承認を得る必要があったが、その手続きをとっていなかった。不正製造は、遅くとも1974年ごろから始まり、多くは80年代から90年代前半に実施するようになった。

血液製剤不正、40年以上前から 幹部ら見て見ぬふり
http://www.asahi.com/articles/ASHD251RLHD2ULBJ00K.html
2015年12月3日06時26分

 血液製剤やワクチンの国内有力メーカー「化学及(および)血清療法研究所」(化血研、熊本市)が国の承認と異なる方法で製品をつくっていた問題があり、化血研は2日、第三者委員会の報告書を公表した。報告書は、不正は40年以上前から始まり、血液製剤12製品すべてで行われ、虚偽の製造記録を作成するなどして組織的に発覚を免れていたと認定。「常軌を逸した隠蔽(いんぺい)体質」と批判した。

薬害HIV原告団「決定的裏切り」抗議書 血液製剤不正
 第三者委は、重大な副作用は報告されておらず、安全性には大きな問題はないとしている。

 厚生労働省は近く化血研を行政処分する方針。化血研は2日、宮本誠二理事長はじめ理事9人全員の辞任・辞職を発表した。

 化血研が設置した第三者委は、元東京高裁長官の吉戒(よしかい)修一氏を委員長に元検事や専門家ら計6人で構成。

 報告書によると、不正製造は、血液製剤12製品の31工程であった。製造効率を高める目的で、承認書にはない添加剤を入れたり、添加剤の量や加熱方法を勝手に変更したりしていた。本来は製造方法の一部変更の承認を得る必要があったが、その手続きをとっていなかった。不正製造は、遅くとも1974年ごろから始まり、多くは80年代から90年代前半に実施するようになった。

 不正が起きた背景として、薬害エイズ問題によって国内での加熱製剤の生産増強が要請され、早期の製品化や安定供給を最優先に開発・製造を急いでいたことを挙げた。さらに、「自分たちは専門家であり、当局よりもよく知っている」「製造方法を改善しているのだから、当局を少々ごまかしても、大きな問題はない」という研究者のおごりがあったと指摘した。

 前理事長や現理事長らは、不正な製造や隠蔽を認識していながら放置してきた。品質管理部門や品質保証部門の一部管理職は、不正な製造や隠蔽を認識しながら、故意にその事実を明らかにしなかったとした。

 報告書では、製薬会社としてはあってはならない重大な違法行為と認定。化血研の役員たちは「先人たちの違法行為に呪縛されて、自らも違法行為を行うという悪循環に陥っていた」と指摘した。

 また、薬害HIV訴訟の和解のころに経営陣が不正製造の報告を受けていたとし、「和解における誓約がうわべだけのものに過ぎなかったと非難されてもやむを得ない」と批判した。

 一方、ワクチンについては、重大な不正や隠蔽を認める証拠は存在しないとした。

 宮本理事長は2日夜、厚労省で会見し、「患者の皆さま、医療関係の皆さま、国民の皆さまにご迷惑をおかけしておりますことを、深くおわび申し上げます」と頭を下げた。隠蔽工作を続けたことについては「コンプライアンス意識が低かった。研究者意識で技術的な面が先行し、対応が遅れていった」と語った。

 薬害HIV訴訟の原告団らに対しても「大変申し訳ないことをした」と謝罪した。

■悪質な隠蔽工作

 国の調査・査察で不正製造が発覚しないように、化血研は計画的に隠蔽工作を繰り返していた。

 報告書によると、隠蔽工作が本格化したのは97年ごろ。ある製造チームでは、査察で見せるための偽の製造記録はゴシック体で、実際の製造記録は明朝体で書類を二重に作成し、区別できるようにしていた。別のチームでは、不正製造による記録のページ数には「2・5」などと小数を加え、査察の時にはそのページを抜き取っていた。当時の部長は「このままでは見せられん。査察対応のものをもう一つ作らざるを得ない」と指示していた。

1590とはずがたり:2015/12/14(月) 10:52:20
>>1589-1590
 偽の製造記録などは過去の分も書き直し、かつての上司の承認欄には筆跡が似ている社員にサインをさせたり、紙に紫外線をあてて変色させ古くみせかけたりもしていた。

 調査に備え、国の承認書に沿った想定問答集をつくり予行演習もしていたという。
     ◇
 〈化学及血清療法研究所(化血研)〉 旧熊本医科大(熊本大医学部)の研究所が母体で1945年12月に設立された。薬害HIV訴訟の被告の一つで96年に和解が成立した。ワクチンや血液製剤の老舗で、抗がん剤や動物用の薬も製造している。ワクチンではインフルエンザは国内の約3割、百日ぜきやポリオなどを予防する子ども向けの4種混合は約6割のシェアを持つ。A型肝炎や狂犬病などは100%のシェアを占める。

化血研、歴代理事長ら不正隠蔽 第三者委報告「常軌逸した体質」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201512/CK2015120302000124.html
2015年12月3日 朝刊

 熊本県の一般財団法人「化学及(および)血清療法研究所」(化血研)が国の承認と異なる方法で血液製剤やワクチンを製造していた問題で、化血研の第三者委員会は二日、歴代理事長ら幹部が不正な製造を認識し、隠蔽(いんぺい)にも関与してきたとする報告書を公表した。承認外の製造は一九七四年ごろから行われ、多くは八〇年代以降続けられていたとも指摘。二日の厚生労働省血液事業部会に提出した。
 国の査察で発覚を防ぐため幹部の指示や承認の下、虚偽の製造記録を作成するなどしており、医薬品医療機器法(旧薬事法)に違反する悪質な行為と認定。「組織の閉鎖性、独善性が最大の原因」「常軌を逸した隠蔽体質が根付いており、研究者のおごりも根幹にある」と分析した。厚労省は近く、同法に基づき立ち入り検査をした上で業務改善命令などの行政処分を出す。化血研は、宮本誠二理事長が二日付で辞任したと発表。他の全理事も同日付で辞任や降格などの処分とした。
 報告書によると、化血研は血液製剤の早期の製品化や安定供給を最優先する中で、血液が固まるのを防ぐヘパリンなどの物質を添加するなど、三十一の工程で承認書と異なる製造法をとっていた。
 国の定期査察の際には、承認通りの製法で作ったとする偽の記録を用意。国に求められた過去の書類がなかったため、紫外線を浴びせることで変色させて作成時期を古く見せかけたほか、虚偽の出納記録も作成していた。製造工程変更の際に必要な国への申請もしておらず、これらの方針は理事長を含む幹部が決定し引き継いでいたという。
 不正があった製品はいずれも出荷前の国の検定には合格しており、重大な副作用などは確認されていないという。一方、報告書は、ワクチンに関しては承認外製造の隠蔽を図ったとまでは認定できないとした。
 今年五月、匿名の情報提供が厚労省にあり不正が発覚。同省は六月に血友病患者らに使われる血液製剤十二製品の出荷差し止めを指導した。九月にはワクチンでも国の承認と製造法が異なることが判明し、ワクチン十製品などの出荷自粛を要請。一部出荷が認められたが、インフルエンザワクチンなどの供給不足が懸念される事態となった。
 化血研は血液製剤の売上高が国内二位で、インフルエンザワクチンも国内シェアの約三割を製造する医薬品メーカー。

◆薬害エイズ訴訟中も
 化血研は八九年、血友病患者らがエイズウイルスに汚染された輸入非加熱血液製剤を投与され、感染した事件で血友病患者らから提訴された。九六年に和解したが、今回の不正は訴訟の最中にも続けられていたことになる。
 第三者委はこうした経緯を踏まえ「患者を軽視し企業の利益を優先させる姿勢が強くうかがえる」と批判。大阪HIV薬害訴訟原告団の代表の花井十伍さん(53)は「薬害エイズ事件を反省していないと言われても仕方がない」とし、「長年、不正を見抜けなかった国にも責任がある」と語った。

 化血研などによると、製造の効率化で、国の承認書に書かれていない血液が固まるのを防ぐ物質を添加していた。製造方法を調べる国の調査には、承認された製法で作ったとする偽の記録や書類を用意し、見せていた。問題発覚後、化血研の第三者委が従業員らに聞き取り調査を行っていた。

 製造工程を変更する場合は、国に申請して承認書を変更する必要があるが、報告書は、理事長を含む幹部が変更しない方針を決め、その後も引き継いでいたと認定した。

 化血研はインフルエンザワクチンの製造で国内シェア約3割を握る。厚労省は今回の問題でインフルエンザワクチンについても出荷自粛を要請。その後、10月下旬に「品質や安全性に重大な影響を及ぼさない」として出荷を認めた。(共同)

1591とはずがたり:2015/12/14(月) 10:52:37
製薬工程を抜き打ち検査へ…化血研の隠蔽受け
http://www.yomiuri.co.jp/national/20151203-OYT1T50224.html?from=yrank_ycont
2015年12月04日 07時27分

 国内の血液製剤の約3割を製造する一般財団法人・化学及および血清療法研究所(化血研、熊本市)が40年前から国の未承認の方法で製造していた問題を受け、厚生労働省は、血液製剤とワクチンのメーカーに対し、製造工程の検査(査察)の一部を抜き打ちで行う方針を固めた。

 これまでの定期的な検査は、日時や内容などをメーカー側に事前に通告していた。今後、処方箋が必要な医薬品を製造する全企業(約280社)も、抜き打ちの対象とする方向で検討する。

 検査は医薬品医療機器法に基づき、国が医薬品医療機器総合機構(PMDA)に委託して実施している。各社は約2年に1回のペースで検査を受けてきたが、国側は数日間で効率的に検査を進めるために事前通告し、企業側に必要な書類を用意させてきた。

 しかし、2日公表された化血研の第三者委員会の調査報告によると、化血研は国の検査前に、実際の製造記録から不正に関するページを抜き取り、国の承認内容に沿って製造したように装ったほか、想定問答集を作成して予行演習を行うなどの隠蔽工作も行った。翌日の検査の連絡を受け、所内で対応を協議した事実も認定された。
2015年12月04日 07時27分

1592とはずがたり:2015/12/14(月) 10:52:49
>血液製剤やワクチンをめぐっては、これまでも製造企業による不正が繰り返され、厚労省の対策が遅れたために被害を広げてきた歴史がある。89年に阪大微生物病研究会が未承認の方法で製造したおたふくかぜワクチンでは1800人に副作用被害が生じ、5人が死亡した。厚労省が使用中止にしたのは在庫がなくなった93年のことだ。
>数少ない国内メーカーに厚労省OBが天下りするなどして安定供給できる生産体制を急いできたことが背景にある。

社説
化血研の不正 腐敗体質にメス入れよ
http://mainichi.jp/articles/20151204/k00/00m/070/118000c
毎日新聞2015年12月4日 02時35分(最終更新 12月4日 02時35分)

 まさに常軌を逸した隠蔽(いんぺい)体質である。40年以上前から未承認の製法で血液製剤を生産していた化学及血清療法研究所(化血研)の不正は厳しく断罪されねばならない。

 第三者委員会の報告書によると、化血研は不正の発覚を免れるため虚偽の製造記録を作成し、国の定期検査でも隠蔽工作を繰り返してきた。記録用紙に紫外線を浴びせて変色させ、古い書類に見せかけるなど悪質さは際立っている。

 化血研は薬害エイズ訴訟の被告だ。1996年の和解時には「悲惨な被害を再び発生させないよう最大の努力を重ねる」との確認書を原告団と交わした。その最中にも不正と隠蔽工作を繰り返し、経営陣に不正製造の報告をしていた。薬害の被害者ばかりでなく国民全体への裏切り行為だ。

 厚生労働省は化血研を行政処分する方針だが、通常の業務改善命令で隠蔽体質が改善されるとは思えない。この際、刑事責任の有無を含め徹底してメスを入れるべきだ。

 今のところ健康被害は報告されていないというが、血液を原料とする製剤には感染リスクがつきまとう。国が認めた承認書通りに製造することが厳格に定められているのはそのためだ。異なる方法で作られた製剤が本当に安全なのか、専門家も疑問を投げかける。

 血液製剤やワクチンをめぐっては、これまでも製造企業による不正が繰り返され、厚労省の対策が遅れたために被害を広げてきた歴史がある。89年に阪大微生物病研究会が未承認の方法で製造したおたふくかぜワクチンでは1800人に副作用被害が生じ、5人が死亡した。厚労省が使用中止にしたのは在庫がなくなった93年のことだ。

 数少ない国内メーカーに厚労省OBが天下りするなどして安定供給できる生産体制を急いできたことが背景にある。薬害エイズが問題になった80年代、厚労省は汚染された輸入製品から国内生産に切り替える方針を示した。これに乗った化血研が製品化を急ぐ中で、未承認の方法を使ったことから不正行為が広まったとされる。官民癒着と甘い検査・指導が不正を許してきたともいえる。

 インフルエンザワクチンでも化血研は未承認の製造方法を用いていたことが発覚し、一時出荷自粛に追い込まれた。化血研は国内のインフルエンザワクチンの3割を供給している。本格的な流行期を前にワクチン不足の懸念をもたらし、安全性を揺るがせた責任は重い。

 必要な医薬品の確保は厚労省の責務だ。それとともに長年不正を見抜けなかった自らの監督責任も含め、厳正な処分や再発防止策が必要だ。

1593とはずがたり:2015/12/14(月) 10:54:02

化血研の不正 見抜く仕組みを整えよ
http://www.shinmai.co.jp/news/20151207/KT151204ETI090006000.php
12月07日(月)
 命や健康に深く関わる仕事に携わっているとの意識はあったのだろうか。倫理観の欠如が目に余る。

 熊本県の一般財団法人「化学及血清療法研究所」(化血研)だ。

 約40年前から国の承認と異なる方法で血液製剤やワクチンを製造していた。しかも、国の査察で発覚を防ぐために虚偽の製造記録まで作成していたという。

 歴代理事長ら幹部も不正を認識し、隠蔽(いんぺい)に関わっていた。

 一連の問題を調査した第三者委員会は、報告書で医薬品医療機器法に違反する悪質な行為と認定。「常軌を逸した隠蔽体質が根付いている」と断じた。

 不正があった製品は国の検定に合格し、重大な副作用は確認されていないという。が、影響の大きさを考えると行政処分で幕引きとするわけにはいかない。刑事責任があるかどうかも含め、責任の所在と不正の背景をより明確にする必要がある。

 化血研は血液製剤の売上高が国内2位、インフルエンザワクチンも国内シェアの約3割を製造する医薬品メーカーだ。

 1989年、血友病患者らがエイズウイルスに汚染された輸入非加熱血液製剤によって感染した事件で提訴された。96年に和解したけれど、不正は訴訟の間も続けていたとみられる。

 手口は悪質だ。報告書によると血液製剤の早期製品化や供給を最優先とし、国の承認書に記載がない物質を加えたり、記載と異なる量を使用していた。

 国の査察に際しては承認通りの製法で作ったとする偽の記録を用意した。国に求められた過去の書類がなかったときには、紙を変色させて古いものに見せかけることまでやっている。

 医療事故につながる可能性も否定できない。営利優先で患者を二の次にしてきたといっていい。

 今回の不正の影響で、インフルエンザワクチンの供給不足が懸念される事態も招いている。第三者委が「常軌を逸した」と表現したのも納得がいく。

 国にも責任がある。定期査察は日時や内容をメーカー側に事前に通告してから行っている。こんな甘いやり方が、長年の不正を許した一因ではないのか。

 塩崎恭久厚生労働相は「不正を効果的にどう発見するかをしっかり検討していく」とした。化血研のような不正が二度と起きぬよう、現在の査察を見直し、再発防止につながる新たな対策を早急に講じなくてはならない。

化血研、動物ワクチンも不正製法…農水省調査
http://www.yomiuri.co.jp/national/20151208-OYT1T50225.html
2015年12月09日 03時00分

 一般財団法人・化学及および血清療法研究所(化血研、熊本市)が血液製剤などを国の未承認の方法で製造していた問題で、化血研が家畜などに使われる動物用のワクチンも未承認の方法で製造していたことが、農林水産省の調査でわかった。

 化血研はこれらの一部の出荷を自粛している。不正製造は継続的に行われていたとみられ、同省は今後、医薬品医療機器法違反の疑いで化血研を立ち入り検査する方針。

 虚偽の製造記録を作成するなどの隠蔽工作は現時点で確認されていないが、医薬品製造に対する国のチェックを軽視する姿勢が、化血研の各部門に広がっていた可能性が出てきた。

 同省によると、今年2月、化血研から、一部の製品を国から承認された手順と異なる方法で製造していたという報告があり、同省が調べたところ、化血研が製造する動物用のワクチンなど約50種類のうち、約30種類に上った。豚や牛などの家畜に下痢や流産などを引き起こす感染症を防ぐためのワクチンや診断薬などが含まれる。

2015年12月09日 03時00分

1594とはずがたり:2015/12/14(月) 10:56:11
>>1586-1594
化血研が熊本にあるのは旧6医専の一つである熊大発祥だかららしい。

競争が無い…厚労省の天下り確保の為に,競争を抑制の結果化血研のシェアは高く代えが効かない状況にある。競争的にすべきである。

もたれ合い…事前通告式の立ち入り調査で不正を事後的に抑止出来なかったもたれ合いの構図がある。今回も密告があって初めて明るみに出た。これは今後改善されるようである。

規制…ヘパリンの混入など緊急で検査するとOKが出るように厚労省が過剰に規制していた面もある。勿論,なにか有った場合に厚労省も矢面に立つので過剰に検査を厳しくするのだけど,最終的に厚生官僚は国民と企業の間では企業側に立っているし硬軟の付け所が間違ってゐる可能性も高いのではないか?

1596荷主研究者:2015/12/19(土) 20:29:13
>>1595
http://www.sankeibiz.jp/business/news/151202/bsc1512020500009-n1.htm
2015.12.2 05:00 Fuji Sankei Business i.
住友化学が愛媛の工場増強

 住友化学は1日、愛媛県新居浜市の工場の設備を増強し、家畜の飼料用添加物の生産能力を2016年末に現状から10%超増やす方針を明らかにした。牛や鶏などの家畜の生産量が、イスラム圏などの経済成長や人口増加を背景に世界全体で増えていることに対応する。

 設備増強で生産能力を約15万トンにする。投資額は明らかにしていない。生産する添加物はアミノ酸の一種で、家畜の成長を促すという。

1597荷主研究者:2015/12/19(土) 20:29:39

http://www.sankeibiz.jp/business/news/151125/bsc1511251806006-n1.htm
2015.11.25 18:06 Fuji Sankei Business i.
ダイキン、大阪に開発拠点 部門またぎ産学連携も

ダイキン工業が380億円を投じて設立したテクノロジー・イノベーションセンター=25日、大阪府摂津市(織田淳嗣撮影)【拡大】

 ダイキン工業は25日、最先端の空調技術などを開発する「テクノロジー・イノベーションセンター」を大阪府摂津市に開設した。国内の技術者の3分の1にあたる約700人を集め、事業部門をまたいだ研究に取り組む。大学や他社との連携も強化する。

 ダイキンの淀川製作所内に開設した。6階建てで、投資額は約380億円。機械(堺市)、電気(滋賀県草津市)、フッ素化学(摂津市)と部門ごとに分かれている技術者の一部をまとめた。将来的には国内の研究開発機能を全て集約することも検討する。

 京都大や新日鉄住金などとの共同研究も進める。ノーベル化学賞を受賞した根岸英一・米パデュー大特別教授ら著名な研究者に滞在してもらい技術指導を受けることも想定している。

 ダイキンの十河政則社長は記者会見で「垣根をできるだけ低くし、世界最先端と誇れる技術をここで磨き上げる」と意気込んだ。

1600チバQ:2015/12/23(水) 02:18:19
>>1569-1570
http://mainichi.jp/articles/20151212/k00/00m/020/165000c
ダウ・ケミカルとデュポン対等合併発表

毎日新聞2015年12月11日 23時06分(最終更新 12月12日 00時50分)
 【ワシントン清水憲司】米化学大手ダウ・ケミカルと米同業大手デュポンは11日、来年後半をめどに対等合併すると発表した。ドイツのBASFを抜き、世界最大手グループになる見通し。化学業界は世界経済の低迷に加え、中国など新興国勢の成長で競争が激化しており、両社は統合によるコスト削減で、競争力強化を狙う。

 発表によると、新社名は「ダウ・デュポン」で、取締役会には両社からそれぞれ8人を出す。デュポンのブリーン最高経営責任者(CEO)が合併会社のCEOに、ダウのリバリスCEOが会長に就任する。

 対等合併後、事業ごとの特性を生かした経営をするため、1年半から2年をかけ、両社の事業を「農業」「素材」「特殊化学品」の3社に再編する。両社によると、3社はそれぞれの業界で世界大手となる見通し。ブリーン氏は「補完関係が強い両社が統合し、(事業の)焦点を絞った3社を設立することで、長期にわたり持続的な株主価値を実現できる」との声明を出した。ただ、合併で市場シェアが高まるため、各国当局から独占禁止法に抵触しないか審査を受ける必要があるとみられる。

 2014年の売上高は、ダウが580億ドル(約7兆円)、デュポンが350億ドル(約4.2兆円)。統合すれば、世界最大手の独BASFの740億ユーロ(約9.8兆円)を上回り、世界最大の化学メーカーグループになるとみられる。

 農業事業では、ダウは除草剤、デュポンは遺伝子組み換えのトウモロコシ種子に強みがある。素材や化学品では、両社とも自動車向けプラスチック製品、太陽光パネル向け素材を製造している。両社によると、重複事業の統合や投資の効率化などを通じて、30億ドル(約3600億円)のコスト削減効果と、10億ドル(約1200億円)の成長効果を見込めるという。両社とも世界的な化学メーカーだが、ドル高や中国勢の台頭などで販売が伸び悩む中、「物言う株主」から、成長分野への集中など経営改革を迫られていた。

 ダウは1897年、デュポンは1802年創業で、ともに100年以上の歴史を持つ米国を代表する老舗企業。

 日本の化学業界最大手、三菱ケミカルホールディングスの売上高は約3兆6000億円(2015年3月期)。

1601荷主研究者:2015/12/26(土) 21:17:16

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2015/11/26-22654.html
2015年11月26日 化学工業日報
【戦後70年 激動の化学】 リーダーの証言 / 三菱化学 三浦昭特別顧問 《上》

★鹿島1号機の停止★

 2014年5月、三菱化学・鹿島事業所の1号機エチレン設備は稼働停止し、1970年から続いたその歴史に幕を下ろした。鹿島セントラルホテルで開催された「お別れの会合」に出席した三浦昭特別顧問は、立ち上げ当時の苦労を想い起こしていた。「建設中は緊張の日々。とくに原料投入後の試運転の時期は、交代で夜勤の工場長の役割も務めた」。あれから45年。「時代の流れだね」と語る三浦氏の口調に感傷の響きはない。石油化学の発展に貢献した過去。しかし、時は流れ世界は変わった。そして化学産業には新たな、そして大きな使命が待っているからだ。

★池田亀三郎の誘い★

 「君、今度こういう会社(三菱油化)を創る。同じ三菱グループだし、こっちに移らないか」。三菱石油(現JXホールディングス)に入社して程ない三浦氏に声をかけたのは、三菱油化の初代社長、池田亀三郎氏だった。「池田さんは山形県酒田市の出身。私はその近くの庄内町の出身。就職が決まったとき、東京原宿のご自宅に挨拶にいった」という。故郷の大先輩の誘いは断れない。だが、入社したばかりの会社にも迷惑はかけられない。思いが交錯した。

 三菱グループは1956年、石油化学への事業進出にあたり三菱化成工業、三菱レイヨン、旭硝子、三菱商事、三菱金属鉱業(現三菱マテリアル)、三菱銀行(現三菱東京UFJ)などが出資し、三菱油化を設立する。旧三菱化成工業の初代社長も歴任した池田氏は、終戦を機に一線から退き、日本化学工業協会の副会長の職にあった。その池田氏が、新生三菱油化の社長として現場復帰することになった。

 池田氏は悩む三浦氏を「僕が話しをつけてやる」と説得した。三浦氏は、学生時代から石油化学に興味があり、「大学では石油化学の分野で著名であった徳久教授の研究室で修士論文の指導を受けた」。三菱石油では川崎製油所に配属され、「現場が肌にあう。プラントを建設してみたい」とも考えていた。運命が動いた。

 「入社してみると、発足したばかりの三菱油化の本社には30人しかいなかった」。しかし三浦氏はこの後、石化産業の急成長を目の当たりにすることになる。

★国産化―四日市計画★

 日本の石化産業は、1958年4月の三井石油化学工業・岩国および住友化学工業・新居浜、59年5月の三菱油化・四日市および日本石油化学(現JXエネルギー)・川崎の先発4社(第1期計画)のエチレン操業開始が本格化の号砲だった。四日市計画は、年産2万2000トンのエチレンと、誘導品のポリエチレン、スチレンモノマーを中核とコンビナートだった。

 「この時期、何をしていたかといえば導入技術の選定だった」。日本は、製造プロセスを海外からの導入技術に頼っていた。エチレンの技術は、条件が有利な米ストーン&ウェブスター(S&W)社を選択した。「米ケロッグ社やルーマス社もあったが、他の先発3社もS&W社だった」。

 導入技術が決まると、イギリスのシェルに石油化学プラントの運転実習に派遣された。先行する2社を追いかける突貫工事も大変だったが、設備完成後も苦労した。「エチレンとダウンストリーム(川下誘導品)が順調に一斉に立ち上がらないと困る。エチレンは高圧容器に保管する必要があり、建設費がかかるのでストレージを多くは持てない。貴重な経験になった」。

 試運転にあたっては、三菱化成からベテラン運転員が応援に駆け付ける一方で「新卒や別業種の経験者もオペレーターに採用し、危険物や高圧ガスの扱いなどを訓練した」。エチレンの第1期設備は、59年5月に念願の商業運転入りを果たした。その直後に伊勢湾台風が四日市を襲う不幸に見舞われるが、工場は短期間で再開することができた。

 その後、四日市では増設に次ぐ増設が実施された。高度経済成長が始まり、石化製品は作れば売れる売り手市場だった。「62年完成の第2期でエチレン年産6万トン。65年完成の第3期でエチレン年産?万トンを建設した。さらに68年には年産20万トンの第4期エチレンが完成した。すごいスピードだった」。

1602荷主研究者:2015/12/26(土) 21:17:52
>>1601-1602 続き

★30万トン時代―鹿島計画★

 10年にわたる四日市での拡大投資を経験した三浦氏を待っていたのは、鹿島コンビナート計画だった。三菱油化は、四日市の敷地がいずれ限界を迎えることを見越し、60年代前半から第2立地での建設構想に入っていた。最終的に候補地に浮上したのが鹿島だった。

 当時の岩上茨城県知事の農工両全の開発方針に基づき、インフラの構築から関与する鹿島計画は、三菱油化が第2の創業期と位置付ける大プロジェクトとなった。当初、エチレン年産10万トンとしていた計画を同20万トンに上方修正したが、さらに通産省(現経済産業省)の指導により同30万トンに拡大修正された。「エチレン30万トン時代」の幕開けだった。三浦氏は東京本社に設置された鹿島開発本部に異動し「コンビナート全体のレイアウトやインフラの整備を立案した」。

 石油精製拠点も大型港もない地区に18社が進出する鹿島計画は、石油精製会社(鹿島石油)の設立や、世界最深の水深を持つ掘り込み式の人工港の建設などをともなう一大プロジェクトとなった。一方で、共同火力発電所などの共同ユーティリティーセンターの設立や、コンビナート全体の最適配置と計画的なパイプライン網の整備のほか、安全対策、公害対策などを含め、それまで日本では例をみない効率的なコンビナートを追求した。

 効率化の鍵を握るのが、初期のレイアウト作りだった。「原料のタンクヤードから川下誘導品に至るパイプライン網や、参加企業全体のレイアウトを決めていった。パイプライン設置では、参加企業全体が一定の比率で用地を出し合い、共通の配管用地を確保した」。

 正式決定から7年後となる71年、鹿島コンビナートは前年からの試運転を経て本格操業を開始した。しかしこの年、石油化学産業はそれまで経験したことのない困難に直面した。高度経済成長が終焉したのだ。

1603荷主研究者:2015/12/26(土) 21:18:32

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2015/11/27-22655.html
2015年11月27日 化学工業日報
【戦後70年 激動の化学】 リーダーの証言 / 三菱化学 三浦昭特別顧問 《下》

★原料立地へ―サウジ石化計画★

 鹿島コンビナートのエチレン設備が稼動した頃、水面下で新たな動きがあった。1971年8月、三菱商事がサウジアラビア政府に対し、石油化学プロジェクトの共同事業化調査(FS)を提案、85年に操業開始する日本とサウジ基礎産業公社(SABIC)との合弁石化プロジェクト(SHARQ)が胎動したのだ。

 三浦氏は、79年に設立された日本側の投資会社「SPDC」に出向し、「アル・ジュベールでプラントが稼働するまでの約5年間、同プロジェクトの企画、調整業務に携わった」。SHARQの石化計画は、1970年代のオイルショックを契機に国家プロジェクトと位置付けられ、SPDCには政府が45%出資したほか、三菱商事、三菱化成、三菱油化のほか化学企業、鉄鋼企業、自動車会社など約50社が参画した。「関係官庁はじめ、株主各社には本当によく協力していただいた」。

 中東地域ではこの時期、三井グループなどによるイラン計画も推進されていた。計画の進捗はイラン計画が先行していた。しかし、プラント完成直後にイラン革命が勃発する悲運から、日本企業が撤退する事態となった。こうした経緯から「サウジ計画についても半信半疑のところがあった」。

 しかし、エネルギー安全保障やサウジアラビアとの友好関係など、当時の政治経済情勢からSHARQ計画には大きな期待がかけられていた。こうしたなかで、「三菱商事の山田敬三郎さん(SPDC初代社長、三菱商事元副社長)、田子勉さん(SPDC第2代社長、三菱商事元常務)らの情熱があって成功した」。

★新規事業と鹿島2期計画★

 アル・ジュベールでSHARQの石化プラントが操業を開始した85年、日本の石油化学は不況のどん底にあり、ついに産業構造改善臨時措置法(産構法)のもと政府主導による不況カルテルの結成と共同設備廃棄、共同販売会社の設立が実施された。過当競争による大幅な設備過剰、オイルショック、円高などを背景に、自力での再建が困難という状況に立たされていた。

 創業以来の危機に直面した三菱油化は、石油化学以外の新事業を育成することで生き残りを図る方針を決めた。こうしたなかでサウジ計画から本社に復帰した三浦氏は、新規事業本部に配属された。「三菱油化薬品の製薬、三菱油化メディカルサイエンスの検査薬のほか、農薬、電子材料などの高付加価値事業を育成した」。

 その一方で、81年に社長に就任した吉田正樹氏は、鹿島における第2期エチレン計画の実現に意欲を持っていた。構造不況に喘いでいた石油化学が1980年代後半のバブル経済で一時的に息を吹き返すと、吉田社長は2期計画を実行に移した。「石油化学は産業構造改善の対象であり、国外でやるという機運が出ていた頃だった。それに反する鹿島2期計画は批判の対象となった。辛い時期だった」。

★最後と最初の社長★

 バブル崩壊後の不況が日本を覆う92年6月、鹿島では年産40万トンの第2期エチレン設備が稼働を開始した。各方面からの批判を押しのけ実現した鹿島2期は「吉田さんの執念。当時はみなそう言っていた」。吉田社長は鹿島2期の完成と前後して体調を崩した。「吉田さんはこのこの頃、順天堂大学の病院へ入退院を繰り返していた」。翌93年、吉田社長は想いを遂げたように逝去した。

 同年2月、三浦氏は吉田氏の後を受け、三菱油化の第5代にして最後の社長に就任した。三浦氏が直面したのは「とりわけ構造問題が深刻なポリオレフィン事業をいかに構造改善するかだった」。ポリオレフィン事業を立て直すには単独では難しい。93年になり、一つの決断を下した。ポリオレフィン事業統合に向け、三菱化成の古川昌彦社長との話し合いに入ったのだ。そしてこの話し合いが、最終的には両社合併の結論を引き出していく。

 三菱油化と三菱化成の合併は、化学業界では実現しそうで困難な話しとされ、永遠の話題とも言われていた。しかし、「三菱油化は、設立当初からたくさんの人材が三菱化成から来ている。そして、(当時の)鈴木精二社長と吉田さんとは交流があった。そうしたなかで、合併の話しもみんなにアクセプトされる雰囲気がだんだん出てきた」という。また、三菱銀行も「資金調達面から、グループのなかに化学企業が2つあるより、合併で1社になる方がリーゾナブルとの認識だった」。

 93年12月24日、年末年始の休日入りムードが高まるなかで、三菱油化の三浦社長と三菱化成の古川社長は記者会見に臨み、両社が94年10月に合併することで合意したことを電撃発表した。そして、合併会社である三菱化学の初代社長に三浦氏が、会長には古川氏が就任した。

1604荷主研究者:2015/12/26(土) 21:19:08
>>1603-1604 続き

★カンパニー制導入★

 三菱化学の社長として三浦氏が直面したのは「当座の業績回復もあったが、構造問題を抱えていた」。バブル崩壊から4年を経ても、日本経済は不況から立ち直っていなかった。コスト構造を見直し、収益を回復させる手立てが必要だった。「このため、カンパニー制を導入した。利益を上げるには、各カンパニーにセルフスタンドしなさいと」。

 事業別では高付加価値型事業、とくに医薬部門の拡大成長に注力した。そして合併を機に導入したカンパニー制度は、後の医薬部門の分社化と東京田辺製薬との合併につながるなど、三菱化学を新たな成長へと導いていった。

★化学の新たな使命★

 振り返れば、三浦氏の経歴は、石化産業が勃興して以来の化学産業の歴史そのものだ。石化事業では国産化、大型化、海外進出という節目の全てに関わった。そして情報電子材料、ライフサイエンスといった高付加価値事業の育成に取り組んだ。合併の当事者として、化学業界の再編も実施した。その三浦氏はこう語る。「今、本当に世の中は大きく変化している。企業としてもインダストリーとしても、化学は従来のカテゴリーからだんだん離れていくことになる。化学製品の提供から、化学のテクノロジーでいかに価値を生み出すか、という時代に入ってきた。新たな使命が、化学の新たな歴史となっていく」。

(毎週、御一方ずつ掲載予定)

1609荷主研究者:2015/12/29(火) 22:41:15

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2015/12/01-22725.html
2015年12月01日 化学工業日報
【中間製品 動向を探る】 無水フタル酸<上>

 ▲新日鉄住金化学・九州製造所はグループ企業であるのシーケム向けに生産している。

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 無水フタル酸の用途の7割以上を占める国内可塑剤業界は、再編が進んだものの稼働は低水準にとどまっている。これらを背景にフタル酸メーカーは可塑剤再編も視野に入れ、事業基盤の強化策に知恵を絞っている。
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 無水フタル酸は、可塑剤のほか塗料、不飽和ポリエステル(UPR)などの原料として用いられる。オルソキシレン(OX)を原料とする石油系と、鉄鋼生産プロセスで生じるタールを蒸留して使うナフタリン由来の石炭系に大別される。石油系は三菱ガス化学と川崎化成工業、石炭系は新日鉄住金化学グループのシーケムとJFEケミカルが事業化している。

*主力の可塑剤低迷*

 国内では、用途の7割強を占める可塑剤は低迷が続いている。フタル酸ジオクチル(DOP)やフタル酸ジイソノニル(DINP)などのフタル酸系可塑剤の国内生産量は2010年に23万3377トンあったのに対し、14年は20万958トンまで減少した。これを受け無水フタル酸の国内需要は10年の11万7819トンから14年に10万6450トンと漸減している。

 そうしたなかで、可塑剤メーカーをグループに持たない石炭系2社は、縮小する国内市場への供給から、輸出へと軸足を移す事業構造に転換を図っている。

 九州事業所で手掛けるシーケム(現在、製造は新日鉄住金化学九州製造所に委託)は、「00年頃から海外向けへ舵を切った」(同社)。事業環境が厳しくなれば国内可塑剤向けの供給を継続することが難しくなるとの危機感が背景にあった。

 東南アジア地域へのアクセスに有利な九州に拠点を構える立地的優位性を生かして輸出を強化し、現在、輸出比率は約7割にまで達しているという。また、国内出荷分の内訳でも可塑剤は割合が小さく、塗料や特殊樹脂用途が過半を占めている。

 東南アジア地域の無水フタル酸の伸びは年率3―5%とみている。実際に同地域の需要家から供給増量の要請は強く、今後も輸出を中心に事業展開する方針。

 JFEケミカルも、同様に輸出を強化しほぼフル稼働で推移している。ただ、同社は無水フタル酸事業で中国に進出していることもあり、国内拠点の千葉工場(年産能力4万トン)からの輸出比率は3割程度で、主にインドネシアをはじめ東南アジア地域へ出荷している。インドネシアではUPR向けが主力となっている。

*中国の動向が懸念*

 シーケムとJFEケミカルは、主に東南アジア向けの輸出で収益を確保する狙い。ただ、懸念されるのが中国の可塑剤市場の動きだ。環境規制の強化などから、中国では非フタル酸系可塑剤の生産を拡大する傾向がみられる。それにより中国内の無水フタル酸がはじき出されて、アジアなど周辺国に流出し脅威となる恐れがある。両社はタールから、ナフタリン、無水フタル酸に誘導するチェーン展開を強みに事業を展開していく構え。

(不定期掲載。<下>は2日付を予定)

1610荷主研究者:2015/12/29(火) 22:43:43

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2015/12/02-22743.html
2015年12月02日 化学工業日報
【中間製品 動向を探る】 無水フタル酸<下>

 無水フタル酸の主力用途である可塑剤の国内市場が減少するなかで、輸出に力を入れている石炭系のJFEケミカルと新日鉄住金化学グループのシーケム。一方で、石油系の三菱ガス化学と川崎化成工業は可塑剤メーカーとのつながりが強く、国内供給がメインとなっている。

 三菱ガス化学は、グループ会社の可塑剤メーカー、シージーエスター(JNCとの合弁)と水島でオルソキシレン(OX)―無水フタル酸―可塑剤までのチェーンを展開する。同社はかつて無水フタル酸の国内最大手で、水島に年産能力4万トンと同6万トン程度の2系列を有する設備を持っていた。可塑剤の低迷を受け2005年に1系列を停止し4万トン体制に縮小した。

 それ以降、グループ会社への自消用に特化、外販はほぼ行っていない。ただ、足元、可塑剤の稼働は低い状況にあり、無水フタル酸は西日本地区の可塑剤向けでシェアを取り込み稼働率向上を目指す。さらにスワップ拡大などの施策で物流費などコスト削減を狙う。

*コスト減で競争力*

 一方、川崎化成工業は可塑剤メーカー、ジェイプラスを固定顧客とする。三菱化学のグループ会社であった同社は、今年6月の株式公開買付(TOB)によって、エア・ウォーターの連結子会社となった。エア・ウォーターは持分法適用会社にシーケムを持つことから、川崎化成はエア・ウォーターグループで連携して事業を強化する。

 川崎化成とシーケムを合わせた生産能力は合計年9万トンとなる。中川淳一会長(エア・ウォーター専務取締役)は「両社あわせて生産規模で日本トップとなる。一体運営によってシナジーを最大限発揮して競争力を向上させ、業界内で存在感を一段と高めていく」と語る。

 川崎化成が川崎工場に構える年産能力4万5000トンの設備は、かつての三菱化学の子会社時代の流れから、現状、ジェイプラスに依存する部分が大きい。ただ将来的には、特定の顧客に頼らず事業構造の転換を図る方針。

*業界再編の可能性*

 無水フタル酸メーカーは、輸出の拡大や、グループ連携などで事業維持に尽力する。その一方で、供給先の国内可塑剤業界を注視し「再編が起こるだろう」との声が相次いで聞かれる。

 国内可塑剤メーカーはジェイプラス、シージーエスター、新日本理化の3社に絞られている。それでも可塑剤メーカーをグループに持つ企業の経営陣は「現在、直接的な動きはないが、稼働率が50%程度という厳しい状況のなかで再編は必要」との共通認識で一致している。

 無水フタル酸の用途の7割以上を可塑剤が占めるだけに、国内市場の先行きは可塑剤の動きと強く結びつく。いずれの業界も再編や生産最適化を繰り返してきたものの、内需が徐々に縮小し、輸出環境も不透明感をぬぐえないなか、設備の余剰は当面の課題。生き残りに向けて連鎖的に再編に発展する可能性もありそうだ。

(この項、おわり)

1611荷主研究者:2015/12/29(火) 23:00:21

http://www.nikkan.co.jp/articles/view/00368551?isReadConfirmed=true
2015年12月18日 日刊工業新聞
三井化学、紙おむつ原料を20年度までに3割増の12万4000トンに

 三井化学は高級紙おむつなどに使う高機能不織布の年産能力を2020年度までに現状比3割増の12万4000トンに高める検討を始めた。17年度下期に三重県四日市市にあるグループ会社の年産能力増強を内定したが、生活の質を求めるようになった中国や東南アジアでの高級紙おむつ需要の増加を背景に19年には生産が追いつかなくなる見通し。さらなる増強で紙おむつメーカーへの供給強化に備える。

 現状の年産能力は9万4000トン。四日市(年産能力4万9000トン)、タイ(同3万トン)、中国・天津(同1万5000トン)の3拠点で生産している。柔軟性や収縮性に優れた高級紙おむつ用高機能不織布でアジアシェア約5割を持つ。

 訪日外国人による乳児用高級紙おむつ需要増に対応するため、四日市の年産能力を18年3月までに現状比1万5000トン増の6万4000トンに高める方針を決めた。

 さらに20年度までに3拠点のいずれかで年産能力を1万5000トン高める検討に入った。双方の増強が実現すれば投資額は120億円程度となる見通し。

 日本衛生材料工業連合会によると、14年の乳幼児用紙おむつ生産は前年比12%増の約120億枚。

 15年は訪日外国人の大量購入が続き、同20%近い伸びが見込まれている。

 円安が続けばこの需要増が当面続くほか、中国でも紙おむつの輸入関税を7・5%から2%に引き下げたことで日本製の紙おむつ需要増が見込める。生活の質向上が続く中国や東南アジアをけん引役にアジアの紙おむつ需要は20年までに年率8%伸びる見通し。肌触りが良い高級紙おむつ市場も同10%弱伸びる見込みだ。

(2015年12月18日 素材・ヘルスケア・環境)

1612荷主研究者:2015/12/30(水) 13:01:03

http://www.sankeibiz.jp/business/news/151221/bsc1512211208009-n1.htm
2015.12.21 12:08 Fuji Sankei Business i.
三菱ケミカルHD、持ち合い株1000億円売却

 三菱ケミカルホールディングスが、時価1千億円相当の持ち合い株を2〜3年かけて売却することが21日、分かった。売却で得た資金を炭素繊維など成長事業への投資に充てる。大手銀行が持ち合い株の売却を本格化する中、事業会社も持ち合い株解消に動き始めた。

 三菱ケミカルは現在、約2400億円相当の持ち合い株を保有し、うち4割強を手放す方針。主力取引銀行の三菱UFJフィナンシャル・グループなど金融機関11銘柄や傘下の事業子会社の取引先を中心に保有している。

 銘柄ごとに株式の保有が事業に好影響を与える度合いを精査。取引実態に応じた水準まで保有株数を段階的に減らす方向だ。今後、保有先と合意できた銘柄から売る。

 三菱ケミカルは平成28年度から始まる5年間の中期経営計画で、M&A(企業の合併・買収)や設備投資、研究開発に1兆7千億円を充てる。

1613荷主研究者:2015/12/30(水) 13:24:24

http://www.sankeibiz.jp/business/news/151224/bsc1512240500003-n1.htm
2015.12.24 05:00 Fuji Sankei Business i.
ペットボトル、環境に優しく 化学ベンチャーと三井物産、普及狙う

アバンティウムの素材で作られたペットボトル(ブルームバーグ)

 現在はまだそれほど普及していないペットボトルの容器に入ったビール。2020年の東京五輪開催時には、片手に持ちながら観戦を楽しむのが一般的な光景になっているかもしれない。

 仕掛けるのは総合商社の三井物産。英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルから分社化した化学ベンチャー、アバンティウムと提携した。同社は、ペットボトルや包装材などの原材料となる化学品を糖から製造する独自技術を開発しており、石油化学原料を使わず植物由来のバイオマス原料だけで製造が可能。三井物産が今月、日本を含むアジア地域でアバンティウム製品を販売する覚書を結んだ。

 ◆バイオマス原料で

 石油製品を使わず、二酸化炭素(CO2)の排出抑制にもつながるなど環境に優しいバイオマス原料。日本バイオプラスチック協会(東京都中央区)によると、バイオマス原料を用いたペットボトルは一部で使用されているが、バイオマス原料の比率は質量ベースで最大約30%にとどまる。100%バイオマス原料の製品は世界でもまだない。

 アバンティウムが開発した製品は、現在のペットボトル素材として使われる高純度テレフタル酸(PTA)の代替となるもの。これまでの素材と比べ、気体遮断性を高めたのが特徴の一つで、酸素では10倍の遮断性を持つ。飲食物の容器に使用すれば、酸素透過率が低いため酸化しにくく、賞味期限を延ばすことが可能となる。ビールは酸化で風味が劣化しやすいことなどから、ペットボトルでの販売はこれまで普及してこなかった。

 アバンティウムのトム・ファン・アーケン最高経営責任者(CEO)は10日、都内で記者会見し、「幅広いネットワークを持つ三井物産との提携で、日本とアジア市場で新技術を使った新しい製品用途の開発につながる」と述べた。

 同社はペットボトルやアルミ缶、ガラス瓶などに置き換わる容器向けの需要などを想定している。現在は、小規模の実証プラントでの生産だが、16年3月までに商業生産に向けた新設工場の詳細を決定し、19年の生産開始を目指す。同社ディレクターのネイサン・ケメリング氏は「東京五輪で新たな素材で作られたボトルに入ったビールをスタジアムで皆さまに飲んでいただくことが目標」と語った。

 ◆3兆円の市場

 三井物産・バイオケミカル事業室の亘理実チームリーダーによると、気体遮断性が高いことや、100%バイオマス由来原料を使うことから、顧客の関心は「大変高い」。ボトル容器向けには消費量の多いビールやワインメーカーに販売していくほか、包装フィルムや医薬品向けなどにも販売する予定。現在のPTAの世界市場は約3兆円とみており、その代替需要を狙う。

 アバンティウムは00年設立。社員数は140人。ペットボトルを使用する清涼飲料最大手の米コカ・コーラや「エビアン」「ボルヴィック」などのミネラルウオーター事業を持つ仏ダノンなどが戦略的パートナーとして資本参加している。

 ビールでのペットボトル容器の使用は、キリンビールが家庭用の宅配向け商品で8月に開始した。酸素の遮断性を通常の10倍に高めた三菱樹脂製素材が選ばれた。軽くて廃棄しやすいなどの利便性や、ビールに使用する技術的問題が克服されたことなどからペットボトルを採用しており、3〜5年後をめどに約5万世帯への販売を目標としている。(ブルームバーグ Ichiro Suzuki、Stephen Stapczynski)

1614とはずがたり:2015/12/31(木) 20:49:37

2015年 11月 2日 13:43 JST
中国:ファイザーの大連工場に問題多数=米FDA/注目トピックス 経済総合
http://jp.reuters.com/article/idJP00093300_20151102_00620151102?rpc=223

米ファイザーの中国子会社に対し、先ごろ米食品医薬品局(FDA)が「使用期限切れ原材料の使用」などを指摘していたことが分かった。大連工場(大連経済技術開発区)で生産され米国に到着した薬品から品質問題が見つかっている。生産過程の記録資料が合わず、検査が通過していない。合格するまで、FDAは検査を続ける方針という。中国青年網が1日付で伝えた。
すでに米FDAは今年4月、同大連工場で立ち入り検査を実施。生産記録を捜したところ、工場関係者が書類の大部分を故意に隠したため、必要な情報を得ることができなかった。期限切れ、または期限間近の原材料が使われたとみている。工場のトイレが1カ所に限られていた点も懸念。手洗い設備がみられなかったことや、無菌室との距離が45メートルしかなかったことを問題視した。
このほかFDAは今年に入り、米企業向け出荷が多い浙江海翔薬業公司、浙江海正薬業公司をそれぞれ調査。複数の工場を検査した。生産過程に複数の問題が確認されている。うち浙江海翔薬業は、米ファイザー傘下の医薬メーカーに対し、20年契約で抗生物質を供給している。

【亜州IR】

1615荷主研究者:2016/01/16(土) 15:22:42

http://toyokeizai.net/articles/-/98411
2016年01月11日 東洋経済
化学にメガ再編の潮流、日本勢は戦えるか
米国の化学大手の統合が塗り変える業界地図

藤尾 明彦:東洋経済 記者

国内の化学コンビナート。再編で業界の効率化を進め、世界の大手と渡り合えるか(撮影:大澤誠)

 ビールや医薬品などで世界的に大型M&Aが相次いだ2015年。その最後を飾ったのは、総合化学の名門企業である米ダウ・ケミカルと米デュポンだった。

 2015年12月11日に、両社は折半出資で新会社「ダウ・デュポン」を設立して、2016年後半をメドに経営統合を完了させると発表した。

 単純合計で売上高は11兆円を超え、独BASFを上回り、業界トップに躍り出る。新会社は統合から2年以内に、「農業」「素材」「特殊製品」の事業別に3社に分割し、上場させる計画だ。

物言う株主の圧力が統合を後押しか

 今回の統合の背景には、近年の業績停滞がある。ダウの売上高は、直近ピークである2011年度を一度も上回っていない。デュポンも2014年度売上高は2013年度から減少した。

 そのため、両社とも、物言う株主(アクティビスト)から目をつけられていた。

 日本企業にも積極的に投資している米サード・ポイントは、ダウに対して、競争の厳しい汎用化学品の分離を要求。デュポンも2015年前半に、役員の選任をめぐって、別のアクティビストと委任状の争奪戦を展開した。

 外圧が強まる中で、両社は経営統合を選択。短期的には、重複事業の統合などで、約3600億円のコスト削減を見込んでいる。さらに、統合後の成長によって、約1200億円の利益創出を見込む。

 統合後に2.3兆円規模となる農業事業は、農薬や遺伝子組み換え種子といった分野で高い競争力を誇る。ただ、穀物価格はブラジルなどの供給過多で、足元は軟調に推移。大豆は2012年の1ブッシェル当たり17ドル台から、8ドル台まで下落しており、早期の市況回復は望めそうもない。

 苦境を打破すべく、農業業界では、再編の機運が高まっている。農業専業で種子最大手の米モンサントは2015年夏、農薬最大手のシンジェンタ(スイス)に買収を提案した。結局まとまらなかったものの、ダウとデュポンの統合をきっかけに、さらなる合従連衡が進む可能性がある。

日本勢は買収の対象外

://tohazugatali.web.fc2.com/industry/20160111toyo01.JPG

 一方で、今回のメガ再編劇が日本の総合化学メーカーへ与える影響は、軽微にとどまりそうだ。

 SMBC日興証券の竹内忍シニアアナリストは「日本メーカーは買収対象として魅力に乏しい」と分析する。

 日本の化学メーカーも大手2強に集約が進むとはいえ、規模では海外の競合に遠く及ばない。さらに総合化学メーカーは事業内容が多岐にわたるため、M&Aでは不要な事業の切り放しが必須となるが、日本企業のリストラは簡単ではない。

 国内勢が世界の巨人に対抗するには、「価格競争が厳しい汎用品を切り出して統合・再編し、自動車向け材料など高機能製品を独自で展開していく道が現実的」(竹内氏)。

 国内最大手の三菱ケミカルホールディングスは、原油安により採算が改善。円安にも助けられ、業績は2012年度を底に回復傾向にある。一息ついた今こそ、攻めの一手を打つ必要があるはずだ。

(「週刊東洋経済」2016年1月9日号<4日発売>「核心リポート07」を転載)

1616荷主研究者:2016/01/31(日) 13:24:03

http://www.kyoto-np.co.jp/shiga/article/20160121000174
2016年01月21日 20時47分 京都新聞
滋賀・守山工場に不織布設備 チッソ子会社

 チッソの事業を引き継いだ子会社のJNC(東京)は21日、グループ会社であるJNCファイバーズの守山工場(滋賀県守山市)に、紙おむつや生理用品などに使われる「スルーエア不織布」の生産設備を新設すると発表した。

 投資額は約18億円で、年間生産能力は約3600トン。今月着工し、2017年5月に稼働を始める予定だ。

 スルーエア不織布は柔らかく、接着剤を使わないため肌に優しいという。新興国の経済成長や先進国の高齢化に伴って需要が増大している。現在は中国とタイで生産しているが、訪日外国人観光客による「インバウンド消費」を取り込むため、国内でも生産する。

1617荷主研究者:2016/02/07(日) 11:01:59

http://www.nikkan.co.jp/articles/view/00371830?isReadConfirmed=true
2016年1月21日 日刊工業新聞
三菱ガス化学、東北大などと量産技術 LiBH4系固体電解質

 三菱ガス化学は20日、東北大学の原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)および金属材料研究所の折茂慎一教授らの研究グループと、柔軟で電極層と密着しやすい水素化ホウ素リチウム(LiBH4)系固体電解質の量産化技術を開発したと発表した。

 現在、主流であるリチウムイオン二次電池(LIB)に続く次世代電池として開発が進む全固体電池の材料として、車載用電池メーカーにサンプル提供していく。

 リチウムとホウ素の化合物であるLiBH4系の固体電解質は東北大が開発していたが、従来の製法は量産が困難だった。今回、有機溶媒を用いた溶媒法により量産を可能にした。

(2016年1月21日 素材・ヘルスケア・環境)

1618荷主研究者:2016/02/07(日) 11:02:45

http://www.nikkan.co.jp/articles/view/00372023?isReadConfirmed=true
2016年1月22日 日刊工業新聞
宇部興産、アノン生産設備を新設 ナイロン原料、製法転換で採算改善

 宇部興産は21日、採算が悪化したナイロン原料カプロラクタム(CPL)の収益改善策として中間原料であるアノンの製法をフェノール由来に変えると発表した。宇部ケミカル工場(山口県宇部市)にフェノール法を用いたアノン生産設備(年産能力8万トン)を建設、2017年11月に完成させる。投資額は60億円。

 シクロヘキサノンを使った従来製法に比べて工程や敷地面積を半減。アノンの収率も10%以上高まり、スチームと電力の使用量も10分の1以下になる。

 製法転換に伴い、宇部ケミカル工場の1,6ヘキサンジオール、1,5ペンタンジオール生産設備(合計年産能力6000トン)を停止するが、タイ子会社からの輸入販売で供給を継続する。

 CPLは中国メーカーの供給過剰で15年12月のアジア契約価格が6年11カ月ぶりの低水準に落ち込んだ。宇部興産は製法転換のほかCPL自社消費率を70%超に高めるなど採算改善策を打ち出していた。

(2016年1月22日 素材・ヘルスケア・環境)

1619荷主研究者:2016/02/07(日) 11:11:32
>>1618
http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2016/01/22-23302.html
2016年01月22日 化学工業日報
宇部興産 シクロヘキサノンの製法転換 宇部に年8万トン新工場

 宇部興産は21日、宇部ケミカル工場(山口県)で生産するカプロラクタム(CPL)中間原料、シクロヘキサノン(アノン)の製法転換を行うと発表した。シクロヘキサンを酸化する現製法に比べてコスト競争力の高いフェノール法に切り換えるもので、2017年11月の完成をめどに年産8万トンの新工場を建設する。新製法により工程数削減やエネルギー使用量の大幅低減が可能となる。フェノール法アノンへの製法転換により、ナイロン6原料としてのCPLのコスト競争力を強化し、ナイロン6事業の拡大を目指す。

1621荷主研究者:2016/02/11(木) 14:33:05

http://www.nikkan.co.jp/articles/view/00373309?isReadConfirmed=true
2016年2月3日 日刊工業新聞
旭化成、水島製造所で月内にエチレン設備を停止

 旭化成は水島製造所(岡山県倉敷市)のエチレン生産設備(年産能力44万3000トン)を月内に止める。4月に三菱化学と水島コンビナートのエチレン生産の統合を決めており、2月中旬からの定期修理に合わせて同設備を止めることにした。これにより国内のエチレン生産設備は12基と13年比3基減となる。

 エチレン生産設備はナフサ(粗製ガソリン)を熱分解してエチレンなどの石油化学品を生産する石化コンビナートの中核設備。水島コンビナートでは1972年に稼働した旭化成のほか、三菱化学も年産能力43万1000トンのエチレン生産設備を持つ。

 13年8月に両社のエチレン生産統合を決定。旭化成のエチレン生産設備を止めて三菱化学の同設備に集約し、4月に設立する両社の折半出資会社「三菱化学旭化成エチレン」(東京都千代田区)を通じて運営することで合意している。

 三菱化学のエチレン生産設備に旭化成の誘導品(エチレンから作る化学品)生産設備を配管でつなぐ作業は2月中旬の定期修理で完成させ、4月から原料供給を受けられるようにする。

 国内エチレン生産設備は14年に三菱化学鹿島事業所(茨城県神栖市)が2基から1基に減り、15年に住友化学千葉工場(千葉県市原市)で同設備を止めるなど再編が進んだ。17年以降、北米のシェールガス、中国の石炭由来の安い化学品生産が本格化する見通しで国内エチレン生産はさらに減少が見込まれ、エチレン生産設備を持つ企業間での次なる再編に注目が集まる。

(2016年2月3日 総合1)

1622とはずがたり:2016/02/13(土) 23:08:44
本社の伊丹移転はどうなったんかな??

東洋ゴム、大阪から伊丹に本社移転 2015年8月に
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/study/2246/1063434930/2014
2013.4.23 12:02

現在大阪市にある本社を2015年8月に兵庫県伊丹市に移すと発表した。

<東洋ゴム>新たに164億円の特別損失計上
>>1526
2015/8/10 11:35毎日新聞

東洋ゴムが赤字転落へ…本社ビル売却を検討
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20160212-OYT1T50186.html?from=y10
2016年02月13日 08時23分

 東洋ゴム工業が、免震ゴムの性能偽装問題で追加の損失処理をすることで、2015年12月期連結決算の税引き後利益が赤字となる見通しとなった。

 赤字転落は3月期決算だったリーマン・ショック直後の08年度以来となる。製品の交換や補償金の支払いなどに充てる資金を確保するため、自動車部品事業や本社ビル(大阪市西区)を売却する検討に入った。

 東洋ゴムは昨年3月に免震ゴムの不正が発覚して以降、交換や補償費用の支払いがかさんでいる。損失の増加により、昨年11月時点で50億円の黒字を見込んでいた税引き後利益は赤字になる見通しだ。自動車向け部品事業や本社ビルの土地・建物は今春以降、売却に向けた手続きに入る。

1623とはずがたり:2016/02/16(火) 09:13:21

石油化学=1月18〜22日:エチレンが続落、域外品流入で需給に緩み
https://www.rim-intelligence.co.jp/news/select/article/598678
2016/01/25 07:00

【アロマティクス】
 北東アジアの芳香族製品相場は総じて軟調。原料コスト指標となる原油やナフサの下げに引きずられた。ただ、域内で設備の不具合が発生しているとの噂が複数出ており、これら原料コストの下げと比べると、下げ幅は限られた。これら不具合のうち、中国の寧波中金石化(Ningbo Zhongjin PC)は年初から芳香族設備の停止が続いているが、これにより中国需要家はベンゼンの輸入品の買い付けに動いているようだ。

【オレフィン】
アジアのエチレン相場は需給の緩和に引きずられ、下落した。供給面では、域内品および欧州、アルゼンチンなど域外品が市場に見えている。売り物が漸増している一方、中国景気状況への不透明感、このところの原油とナフサ相場の軟化により、買い手の心理が弱まっている。このなか、エチレン相場は下げ圧力に晒されていた。東南アジアでは、ロッテ・ケミカル・タイタンが21日締めで実施した入札を通じて、2月後半着の3,000〜4,000トンを東南アジア着市況リンクで購入した。


アジアのプロピレン相場は,北東アジア着は弱含んだが、東南アジア着および韓国積みは強含んだ。北東アジア着では、中国需要家から買い気が後退しており、相場が押し下げられた。中国では、旧正月に近づき、ポリプロピレンメーカーなど多くの誘導品工場が旧正月連休入りムードが強い。また、為替市場でのドル高、人民元安が続いているなか、国内相場に割安感がある。さらに原油市況が依然として軟調に推移していることもあり、中国需要家から輸入品に対する買い気が強くない。韓国積みでは、東南アジア着相場が堅調に推移するなか、トレーダーからの買い気が強い。こうした状況下、現代オイルが入札を通し、2月後半積み1,500トンを570ドルFOBで販売した。東南アジア市場では、シェルシンガポールのナフサクラッカーが稼働停止していることを受け、同社からプロピレン供給を受けている誘導品メーカーが不足分をスポット市場で買い付けているもよう。ただし、東南アジア域内ではスポット玉が見当たらず、トレーダーが北東アジアメーカーから仕入れていると聞かれる。


北東アジアのブタジエン取引は静かな展開となった。原油、ナフサ安や誘導品市場の低迷から需要家は新たなカーゴの買付けには消極的。ただ、アジア域内では11月末から続くシンガポールのブタジエン設備停止や、今後は春季の定修が控えているため供給はタイトで、売り手は唱えを引き下げない。このなか、週前半には3月末から4月初め着の欧州品7,500トンのうち一部が、台湾向けに760ドル、残りが中国向けに790ドルで成約されたようだ。

1624とはずがたり:2016/02/16(火) 09:17:20
>>1125-1127>>1131>>1140-1142>>1232-1233
後は何処に削減余地有るのかなぁ・・
京葉の出光と三井,川崎の東燃とJXかなぁ。。それぞれ半減させて80万トン削減出来ると600→520万トンと結構実需に近づく。

水島製造所のエチレン設備停止 事業統合完了で旭化成ケミカルズ
http://www.sanyonews.jp/article/300259

 旭化成ケミカルズは15日、三菱化学と進める水島コンビナートでのエチレン事業統合に向け、水島製造所(倉敷市潮通)のエチレン製造設備を停止。40年以上にわたって操業してきたプラントの歴史に一区切りをつけ ...

[ 化学・金属・繊維 ]
旭化成、水島製造所で月内にエチレン設備を停止
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00373309
(2016年2月3日 総合1)

http://tohazugatali.we b.fc2.com/industryimg1_file56b0690343bf0.jpg

旭化成は水島製造所(岡山県倉敷市)のエチレン生産設備(年産能力44万3000トン)を月内に止める。4月に三菱化学と水島コンビナートのエチレン生産の統合を決めており、2月中旬からの定期修理に合わせて同設備を止めることにした。これにより国内のエチレン生産設備は12基と13年比3基減となる。

エチレン生産設備はナフサ(粗製ガソリン)を熱分解してエチレンなどの石油化学品を生産する石化コンビナートの中核設備。水島コンビナートでは1972年に稼働した旭化成のほか、三菱化学も年産能力43万1000トンのエチレン生産設備を持つ。

13年8月に両社のエチレン生産統合を決定。旭化成のエチレン生産設備を止めて三菱化学の同設備に集約し、4月に設立する両社の折半出資会社「三菱化学旭化成エチレン」(東京都千代田区)を通じて運営することで合意している。

三菱化学のエチレン生産設備に旭化成の誘導品(エチレンから作る...

(2016年2月3日 総合1

1625とはずがたり:2016/02/16(火) 09:22:23
>>1624
>京葉の出光と三井,川崎の東燃とJXかなぁ。。それぞれ半減させて80万トン削減出来ると600→520万トンと結構実需に近づく。
今朝の朝日新聞朝刊によると国内の生産能力は720万トンから600万トンに削減される一方,国内需要はピーク時の600万トンから500万トンとなっているとのこと。

また跡地利用が問題で,旭化成は石炭火力も検討したが採算性から実現せずとの事。

1626とはずがたり:2016/02/21(日) 19:18:05
「正露丸」の大幸薬品が”家電”に進出した理由
空間除菌「クレベリン」は信頼を取り戻せるか
http://toyokeizai.net/articles/-/100037?page=3
長谷川 愛 :東洋経済 記者 2016年01月11日

1627荷主研究者:2016/02/21(日) 21:03:24

http://www.nikkan.co.jp/articles/view/00373850?isReadConfirmed=true
2016年2月8日 日刊工業新聞
化学各社、相次ぎ生産調整 中国メーカー供給過剰で合繊原料、採算悪化長引く

 中国メーカーの供給過剰で合成繊維原料の採算悪化が長期化している。このため、三菱ケミカルホールディングス(HD)は海外のポリエステル繊維原料生産設備の減損損失を計上。宇部興産と住友化学はナイロン原料、旭化成はアクリル繊維原料の生産調整を行った。中国メーカーの生産増強は今後も続く。早期の採算改善が見込めず、傷が深くなる前の抜本的な構造改革が求められそうだ。

 三菱ケミカルHDは海外4カ所にあるポリエステル繊維原料の高純度テレフタル酸(PTA)生産設備のうち、インド(年産能力127万トン)、中国(同60万トン)で減損損失計628億円を計上した。韓国(同180万トン)も4系列ある生産設備の2系列を休止している。

 PTAは中国で需要を大幅に上回る生産増強が続き、15年の平均稼働率は64%に減った。採算を示す直近のスプレッド(原料との値差)は1トン=70ドルと11年の3分の1以下に落ち込んだ。

 今後も三菱ケミ全体のPTA年産能力(430万トン)を上回る年500万トン以上の生産能力増強が中国を中心に続く。当面、スプレッドが100ドル超になる可能性は低く「16年度中にPTA事業をどうするか決める」(小酒井健吉専務)。

 また、ナイロン原料のカプロラクタム(CPL)は、15年12月のアジア契約価格が6年11カ月ぶりの安値となった。このため、住友化学の10―12月期の平均稼働率は9割弱にとどまった。宇部興産も宇部ケミカル工場(山口県宇部市)とタイで若干の生産調整を行った。旭化成もアクリル繊維原料のアクリロニトリル(AN)生産設備の平均稼働率が85%となった。

 このほか、光学部材原料のフェノールも中国メーカーの生産増強を受け需給バランスが崩れたため、三井化学は1―3月期の生産設備の平均稼働率が約80%にとどまるとした。

 いずれも中国の生産増強は今後も続く見通し。各社とも国内生産再編などの採算改善策を打ったが、円安や原油安の恩恵で業績が好調なうちに、さらなる構造改革を行う必要がある。

(2016年2月8日 素材・ヘルスケア・環境)

1628荷主研究者:2016/02/21(日) 21:03:48

http://www.nikkan.co.jp/articles/view/00374056?isReadConfirmed=true
2016年2月9日 日刊工業新聞
昭和電工、高純度三塩化ホウ素を増産

 昭和電工は液晶パネルや半導体の製造工程で使われる高純度三塩化ホウ素の年産能力を、従来比50%増の250トンに引き上げる。川崎事業所(川崎市川崎区)の生産設備を改良し、3月から稼働する。投資額は非公表だが、1億円弱とみられる。足元で拡大している有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)パネルや低温ポリシリコン液晶パネル向けの需要を取り込む。

 高純度三塩化ホウ素はアルミ配線の微細加工に使う特殊ガス。昭和電工の世界シェアは宇部興産などに次ぎ約25%にとどまる。中小型パネルの需要増を受け、小幅な増強を継続。2020年までの5カ年中期経営計画でも、電子材料用高純度ガスや機能化学品、リチウムイオン二次電池(LIB)材料など高付加価値品を重点的に伸ばす方針を掲げる。

(2016年2月9日 素材・ヘルスケア・環境)

1629とはずがたり:2016/02/23(火) 15:42:56
旭化成・社長引責辞任で崩れた集団経営体制
http://www.msn.com/ja-jp/news/money/%E6%97%AD%E5%8C%96%E6%88%90%E3%83%BB%E7%A4%BE%E9%95%B7%E5%BC%95%E8%B2%AC%E8%BE%9E%E4%BB%BB%E3%81%A7%E5%B4%A9%E3%82%8C%E3%81%9F%E9%9B%86%E5%9B%A3%E7%B5%8C%E5%96%B6%E4%BD%93%E5%88%B6/ar-BBpQ01O#page=2
ダイヤモンド・オンライン
週刊ダイヤモンド編集部
7 時間前

「新生・旭化成」の旗振り役が、「杭問題」の幕引き役に転じた。

 旭化成は2月9日、ついに社長交代を発表した。子会社である旭化成建材の杭工事の施工データ改ざん問題を受けて、浅野敏雄社長が引責辞任し、4月1日付で小堀秀毅専務が新社長に就任する。

 旭化成にとって、4月1日はもともと、新しい中期経営計画をスタートさせる特別な日だった。同社は浅野氏が社長に就任した2014年、同氏や小堀専務を含む4人の代表取締役による集団経営体制に移行。この船出に向けて、着々と準備を進めてきた。

 重要なのは、この新体制には30年続いた会長による“院政経営”から卒業する意味が込められていたことだ。実権を握ってきた伊藤一郎会長は、新しい時代に対応するべく自分の代で院政に終止符を打つと宣言。新生・旭化成に向け浅野社長を抜てきした経緯がある。

 浅野社長は入社して以来、一貫してヘルスケア畑を歩んでおり、問題が起こった当時に建材事業の経営を執行していたわけではない。おまけに同社が次の成長の柱に据えるヘルスケア事業領域の担当役員としても社の要だ。

 小堀専務が「経営責任を取って退任する必要はない」と慰留したというのも無理からぬことだった。

 もっとも、問題発覚後、一部の首脳は代取4人総辞任の覚悟を漏らしていた。「でも、それをしちゃうと『やっぱり上が杭データの流用を指示したんじゃないか』って勘繰られかねない」と同社役員。結局、「旭化成の信頼回復に少しでも役立つなら」と、浅野社長が自らの首を差し出した。

集団経営体制が崩壊
 後任に就く小堀専務は、2600億円で買収した電池の主要部材大手、米ポリポア・インターナショナルといったエレクトロニクス事業領域を担当するとともに、経営戦略室や財務部を所管。全事業に精通している点が買われた。

 同じく代取で、中核の化学・繊維事業領域を担当する小林友二専務は強いリーダーシップで鳴らす。こちらの社長昇格もあり得たが、「会社を心配して社内やOBにいろいろ言ってくる人がいる今、話を聞いて事態を収拾できるバランス感覚の強い小堀さんが適任」(同社首脳)だとみられている。

 住宅・建材事業領域担当の平居正仁副社長の退任も決まり、新生・旭化成を担うはずだった4人衆は2人を残すのみ。集団経営体制はすっかり崩れてしまった。

 浅野社長がけじめをつけたとはいえ、杭問題は未解決。一方でポリポアの買収成果を挙げるなど、成長戦略を実行せねばならない。

 かつては大きな課題に直面すれば、カリスマ会長が解決に動いた。だからといって創業90余年の中で最大といえる危機を前に“脱院政”の看板を外すことになれば、「新生」の看板も同時に外れる。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 新井美江子)

1630とはずがたり:2016/03/06(日) 14:06:37

独BASF:米デュポンへの対抗買収案検討で銀行と協力-関係者 (1)
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O3JAIUSYF01Y01.html
2016/03/05 14:58 JST

    (ブルームバーグ):ドイツの化学メーカー、BASFは同業の米デュポンに買収案を提示した場合の利点を検討するため、助言会社や銀行と協力していると、事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。デュポンは昨年12月にダウ・ケミカルとの合併で合意している。
情報が非公開であることを理由に匿名で話した関係者によると、BASFはまだ買収案提示の決定には至っていない。デュポンへの正式な打診は行われていないという。
関係者によれば、BASFはデュポンがダウ・ケミカルと合併合意する前にデュポンと協議を重ねたが、一連の話し合いは前進しなかった。
ブルームバーグの集計データによると、BASFは除草剤や殺虫剤などの製造でシンジェンタとバイエルに次ぐ世界3位。デュポンを買収すれば、農薬部門を強化することができ、遺伝子組み換えトウモロコシなど作物種子で2位のメーカーを手に入れることになる。種子最大手は米モンサント。
BASFとデュポンの担当者はいずれもコメントを控えた。デュポンの株価は4日の引け後の時間外取引で5.3%上昇した。

1631荷主研究者:2016/03/07(月) 22:26:49

http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2016/02/15-23587.html
2016年02月15日 化学工業日報
広栄化学 生産体制の再編加速 大阪プラントを千葉に完全移管

 広栄化学工業は生産体制の再編を加速する。1年以内に大阪プラント(大阪市城東区)を閉鎖し、イオン液体の生産を千葉プラント(袖ヶ浦市)にすべて移す。これにともない約30億円を投じて千葉にマルチプラントを1基増設。さらに約20億円を投じてマルチプラント以外の製造施設にも手を加える。製造停止を決めたペンタエリスリトール類の設備は廃棄する。生産体制再構築を通じて、次期中核事業に位置付けるイオン液体と金属触媒関連製品の拡大に拍車をかける。

【写真】千葉プラントではイオン液体や触媒関連以外の設備についても効率向上などを実施する。

1637荷主研究者:2016/03/13(日) 12:08:41

http://www.sankeibiz.jp/business/news/160303/bsc1603030500006-n1.htm
2016.3.3 05:00 Fuji Sankei Business i.
サカタインクス、滋賀工場の能力増強

 サカタインクスは2日、書籍用インキの生産能力の多くが関東に偏在する現状を見直し、滋賀工場(滋賀県米原市)の能力を増強する方針を明らかにした。災害リスクに備え生産を分散させる。森田耕太郎社長は記者会見で「滋賀を最新設備に入れ替えながら競争力もつけたい」と話した。滋賀工場で15億円を投じて新設備を導入し、来年夏の稼働を目指す。

 サカタインクスは書籍用インキの国内シェアが約10%で、業界3位。滋賀工場のほか埼玉県羽生市、千葉県野田市と兵庫県伊丹市に工場を持ち、生産能力の約8割は埼玉と千葉に集中している。

1639とはずがたり:2016/04/08(金) 08:45:25
化血研、アステラスに事業譲渡で交渉 ワクチン製造など
http://news.goo.ne.jp/topstories/business/337/a81cdad0b8bdca9cb09521d979f612aa.html
(朝日新聞) 00:06

 血液製剤を不正製造していたとして、厚生労働省から110日間の業務停止処分を受けている化学及(および)血清療法研究所(化血研、熊本市)が、製薬大手のアステラス製薬(東京)にワクチンや血液製剤の製造部門を事業譲渡する方向で交渉に入っていることが関係者への取材で7日、分かった。

 現在、売却の条件などをめぐり調整が続いている。業務停止期間が終わる5月上旬ごろまでに合意を目指したいという。アステラスは現在、化血研が製造するワクチンと血液製剤の多くの販売を担当している。

 化血研は血液製剤やワクチンの国内有力メーカー。血液製剤の不正製造で1月から業務停止となっている。塩崎恭久厚労相は、化血研について「本来は医薬品製造販売業の許可の取り消し処分とすべき事案」とし、事業譲渡も含めた組織の見直しを求めていた。

1640とはずがたり:2016/04/09(土) 18:04:41

「サロンパス」が海外で好調 久光製薬、売上高また最高
http://news.goo.ne.jp/topstories/business/164/48ecf5a62027903834a3058c774deeca.html
(朝日新聞) 12:34

 久光製薬(佐賀県鳥栖市)が8日発表した2016年2月期決算は、売上高が前期比3・3%増の1618億円と、15年連続で過去最高を更新した。更年期障害の治療薬などと並ぶ立役者は、主力の一般用湿布薬「サロンパス」。北米など海外で人気で、日本でも外国人観光客の「爆買い」の対象になっている。

 昨年には、従来のサロンパスよりサイズが大きく、はがれにくい新商品を日米で売り出した。今期のサロンパスは、前期と比べると国内で17%、海外では11%も販売額が増えた。同様の湿布薬では、米国内でのシェア(市場占有率)首位を獲得している。

 営業利益は前期比35・1%増の277億円。ただ円高の影響で、純利益は同5・3%減の177億円だった。(湯地正裕)

1641荷主研究者:2016/04/09(土) 21:22:33
>>1637
http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2016/03/03-23823.html
2016年03月03日 化学工業日報
サカタインクス オフセットインキ 滋賀で生産能力5割増

 サカタインクスは出版・商業印刷に使うオフセット(平版)インキの国内生産体制を再編する。滋賀工場(滋賀県米原市)で生産能力を現状比5割増やし、千葉や埼玉の工場から西日本向けに供給する製品を移管する。東日本では両工場の拠点集約も視野に合理化策を講じる計画だ。東西に拠点を構え災害リスクを分散させると同時に、高効率設備の導入などで競争力を高めることで、国内需要が頭打ちにあるオフセットインキのシェア拡大を狙う。

1642荷主研究者:2016/04/09(土) 21:46:20

http://www.sankeibiz.jp/business/news/160318/bsc1603180500005-n1.htm
2016.3.18 07:20 Fuji Sankei Business i.
鉄鋼に続き…化学業界でも中国リスク 価格競争強いられ採算悪化

宇部興産はカプロラクタムの内部利用を加速させる方針だ=山口県宇部市の宇部ケミカル工場【拡大】

 原油安による原料価格の下落で利ざやが拡大し、好業績を謳歌(おうか)する化学メーカーが、一部製品では採算悪化に苦しんでいる。中国の景気悪化や、中国勢の相次ぐ生産増強で、需要が供給を大幅に下回っているためだ。

 中国を震源地とする価格競争に巻き込まれ、業績が悪化する鉄鋼業界と同じ構図が化学にも及んでいる。品質面で差別化しにくい製品ほど価格下落は著しく、こうした製品に生産品目を絞り込んできたメーカーは、生産集約などの抜本的な対応を余儀なくされつつある。

 市況悪化にさらされている化学品の代表が、ナイロン原料のカプロラクタムだ。

 国内最大手の宇部興産によると、ナイロンは衣料や食品パッケージなど幅広い分野で使われるのに対し、カプロラクタムは「製品にグレードが存在せず、差別化が難しい」という。

 そのアジア価格は2011年時点で1トン3150ドルと高水準だったが、中国勢が相次ぎ市場参入した翌年から低下。最近の景気悪化でさらに値下がりが進み、直近の今年2月には過去10年で最安となる1175ドルまで下落した。

差別化しにくく

 鉄と違ってまだ中国国外にはあふれ出ていないが、同社を含む海外メーカーの製品が押し出されているという。

 このため同社は、14年に堺工場(堺市西区)での生産を停止し、宇部ケミカル工場(山口県宇部市)に国内生産を集約したのに続き、今後は工程を簡素化できる製法への転換を図る方針。一方で、自社生産するナイロンへの内部利用も進め、足元で5割の「自消率」を20年以降に8割まで引き上げる考えだ。

 カプロラクタムは、住友化学も昨年9月に愛媛工場(愛媛県新居浜市)の生産設備の1ラインを止めた。十倉雅和社長は「(中国の供給は)明らかに過剰。日本への流入は円安もあってほぼないが、社内では安心するなと言っている」と危機感を募らせる。

 一方、ポリエステル繊維の原料であるテレフタル酸も採算悪化に歯止めがかかっていない。

 三菱ケミカルホールディングスは、16年3月期に中国とインドのテレフタル酸事業に関して628億円の減損損失を計上する。両国の工場については「現在の状況が続けば16年度中に抜本的な対策を断行する」としており、閉鎖に踏み切る可能性も捨てきれない。韓国の関連子会社、三南石油化学でも生産能力の6分の1に当たる設備を休止中で、追加の削減を視野に入れている。

設備休止や削減

 このほか、アクリル繊維やABS樹脂の原料で、旭化成などが生産するアクリロニトリルも市況が低迷。大手の旭化成は、14年8月に川崎製造所(川崎市川崎区)での生産を停止したにもかかわらず、「足元の採算は低下している」と話す。

 化学品の基礎原料であるエチレンの国内プラントは高稼働を続けており、石油化学工業協会が17日に発表した2月の稼働率は、94.3%と採算ラインとされる9割を上回っている。もっとも、中国の状況や為替動向次第では化学品全般に影響が及ぶ可能性もある。化学各社は以前から競争力のある高付加価値品へのシフトを進めてきたが、「中国リスク」はそうした動きをさらに後押しすることになりそうだ。(井田通人)

1644荷主研究者:2016/04/09(土) 22:10:36

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00379614?isReadConfirmed=true
2016年3月25日 日刊工業新聞
住友理工、産業用ホースを移管

 住友理工は24日、産業用ホース事業を100%出資子会社のTRI京都(京都府綾部市)に、10月1日付で移管すると発表した。経営資源を集約し、意思決定の迅速化や事業の効率化につなげる。事業移管に合わせてTRI京都は「住理工ホーステックス」に社名変更する予定。住友理工の産業用ホース事業は2015年3月期に売上高100億円。13年12月に設立したTRI京都は同3億円だった。

(2016年3月25日 総合3)


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