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【妄想爆発】チラシの裏【大上等】

1名無しさん:2012/07/23(月) 20:55:39 ID:FfmC0Dnw
勝手にスレを立てさせて頂きました。

薄汚い妄想だろうが職人のSSにも満たない話など、何でも良いから書きたい事は此処に書け!

Q、何か書きたいけど投下する勇気が持てない…
A、恐れるな! 勇気と誇りを持って書きこもう! 我々はアブノーマル! どんな話(餌)にも食いつくのだからぁッ!

803適当:2013/10/26(土) 18:57:45 ID:LzMEUb2w
とある森に、一匹のブラッキーが住んでいた。そのブラッキーの名は、ラック。性別は雄である。彼は、森で一番の腕を持つとうわさされる程の実力者である。うわさ…なので、真実かどうかは疑わしい部分もある。ひょっとすれば、ある程度実力を備えた彼自身が、「俺は森で一番強いんだぞ!!」と言いふらしているのかもしれない。あるいは…たまたま自分と力が拮抗する者に出会えてないだけか…。

私の彼への疑念はこれぐらいにしておこう。さて、そんな彼でも唯一勝てない者が、森に存在していた。森に住む数多くのポケモン達の相手をして来た彼自身も気がつかなかったのだろうか、森に住む者達が「ひょっとしたら、アイツが一番なのかも…」とウワサしているのを耳にした彼は、ウワサされる者の居場所を訪ね、すぐさまそこへ直行する。「俺よりも強いヤツがいるのか。」とぼそりとつぶやきつつも、ウワサの真相を確かめに行動を起こす彼であったが、「まぁ、どんなヤツであろうと、俺の敵じゃねぇけど。」と心の中では、余裕の態度を取り、確実に〜“勝利する”という未来を頭の中で描いていた。彼は、時間をかけウワサされる者の元へたどり着いた。

「あっはっは!!バッカじゃねぇの?」

彼はなぜ嘲笑したのでだろうか。答えは簡単である。相手は人間。彼が見たウワサされる者とは、青色の鎧、両手には双刀を持ち合わせている、ひげの生やした三十〜四十代の男であった。「ぷっ…くくくく。」相手が人間であるだけに彼は吹き出すように笑う。「まぁ、強ぇかどうかはおいといて、ヒマつぶしにはなるかもな。」彼は、頭の中で“本気で闘う”と考える事を止め、“遊び相手”と認識し、男へ挑む。

「人間がポケモンに勝てるワケねぇ。背は高けぇ、腕も太てぇ。けど、勝てねぇんだよ!!」

彼は、男へ挨拶代わりにと、一番威力の弱い“たいあたり”を放つ。だが、男は避ける。

「へぇ、やるじゃねぇか。」

避けられても彼は、余裕の態度を崩さない。彼の態度を見抜いたのか、男は言う。

「本気でかかってこい。私を倒したければな。」

と。「はぁ〜あ、これだから人間は…。随分とツケあがるなぁ。」彼は、心の中で呆れるも、現実(おもて)では、「んじゃ、ちょっとだけ…な?」と男の要求を中途半端に応じる。

「面倒臭ぇけど、近づいてあやしいひかりで混乱…腹に一発で終わるか。」

彼は、最初に“たいあたり”を放った時の1.5倍のスピードを出し男へ駆けす。

「さぁ〜て、終わりだ。あ〜あつまんねぇな。」

男への距離が後2〜3mという所で、彼は勢いよく飛び上がり、男へ一気に差を詰め、額の黄色の月輪を光らせ、“あやしいひかり”を放つ。が、ウワサされる程の猛者と言うこともあってか、後ろへ大きく飛び上がり、射程外距離へ。

「この程度しか、力が無かったか。お主は、私に勝てない。怪我をしたくなければ、ここから立ち去れ。」

男は回避後、彼を挑発する。彼が本気ではないと、あっさり見抜いたからである。強者であれば冷静さはかかせない。が、彼は本当の強者と語るにもまだ早かったようで

「カッチ〜ン、アタマきた。人間如きがら、俺様に勝てると思うなよ!!」

と、簡単に強者の条件を崩し、男の挑発へと乗り出してしまう。本気の速度で男へ向かい、ずつき。男がこれも避けるだろうと思いすぐにひっかく…を放つが、男は双刀で両方を防ぎ、彼を蹴り上げ刀の刃の裏で彼の腹部を突き、彼をはるか遠くまで飛ばし気絶させる。すなわち、彼は人間である男にいとも簡単に負かされてしまったのである。

油断した…

次は絶対ぇ…負かす

と自分の心に、そして真紅の瞳に決意を固めてその後も男へ挑み続ける。が、彼は男へ勝つことはなかった。彼は、未だに男へ挑み勝とうとする事を止めない。それもそのはず、挑発に簡単に乗ってしまう彼にとって、“ポケモンが人間に負ける事”など耐えられないのである。彼は、男へ勝つ事ができるのだろうか。それとも、何度も重ねる敗北を味わい、諦めてしまったか…。

彼のその後を追う事にしよう。私自身が語っても、それは彼の心中の推測でしかない。彼自身に語ってもらうことにしよう。

804適当:2013/10/26(土) 18:59:45 ID:LzMEUb2w
また、負けた。

今、俺は森のどこかの気にもたれ、尻餅をついている。俺の今姿は、だらしないみっともない雄…。といったところか。何せ、木を枕代わりにして、尻餅どころか背中までついているんだからな。「あっ!!大事な部分(トコ)が見えるじゃねぇか!!」って言ってる場合じゃねぇんだよ!!何で何回も人間に負けるんだよ!!これで、5回目だぞ?おかしいじゃねぇか!!
まぁ、これでわかるよな?俺は真剣に落ち込んでいるっていうトコだ。時々、「やっぱ俺弱いのかな?」なんて考える始末。そんな俺に、一匹のポニータが声をかける。

「どうしたんだい?そんなに背中までつけちゃって。見えるよ?大事な部分(トコ)が。」


んな事はわかってんだよ!!こっちはそれどころじゃねぇ!!さっさとどっかいけよ…。今、俺に話しかけて来たのは、マタイという俺の友達だ。コイツは、進化前だがそこそこ強ぇ。油断したら、あっという間に追い抜かれてしまう。本当は、何か言い返して追っ払いたいところだが、今の俺にはそんな気力すらも残っちゃいねぇ。マタイに続き、マタイの逆サイドから一匹のツタージャが話かける。

「くすくす、ワザと見せても興奮する女の子なんかいないよ。ってか、小っちゃ。」

コイツ…マジでなぐりたい…。けど、今の俺には出来ねぇ。今、話かけてきた…つーかからかってきたのは、ターニャという俺の友達。いや、気持ちが回復したら、コイツぶっ殺して、友達から除外するか。こんな下品な雌(おんな)いらねえ。ターニャは、俺の大事な部分…もう面倒くせぇからアソコでいいか。俺のアソコをじろじろと見、時々先端を触ったり、下にある玉袋を触ったりしてる。ああ…コイツは今日殺そう。もう、いいや。コイツ、本当にいらね。今すぐ、コイツをぶっ殺してやりてぇが、俺にはそんな気力もねぇ。気持ちが、さっさと回復してくんねぇかな…。あっ、ただぶっ殺すのはやめた。マタイと一緒に、コイツを街に売り飛ばしてしまおう。邪魔者が消えるわ、コイツ売った金で美味いモン確保できるわ、いいことだらけだな。うん、そうしよう。と、今後の完璧な予定をたてていると、俺のアソコから股に代えたターニャが俺の現状を指摘する。

「ラックが落ち込んでるって、すごい珍しいね。」

落ち込んだらダメなのかよ。俺も生き物だから、そんな事1つや2つあるっつーんだよ…。

「お股の毛はサラサラなんだぁ〜。一度、ラックのお股でお昼寝してみようかな?」

昼寝じゃねぇよ。寝んな。サラサラじゃねぇよ。触んな。俺は、ターニャに対し、弱々しく「うっせぇ…触んな。」といい、ターニャの手を払う。俺の普段とは違う強気な態度、強気なオーラが、あまりにも出てこない事に心配したのか、マタイが俺の現状のワケを訊ねる。

「こんなに落ち込んでるって事は、きっとなにかあったんだねえ。」
あったよ。あったに決まってんだろ。意味も無く、アソコ見せるまで落ち込んだりするかよ。

「何があったんだい?僕達に相談してごらんよ。」
言いたくねぇよ。言っても何のメリットもねぇし、バカにされるだけだ…。俺は黙る。マタイは、「言った方がいいと思うけどねえ?」と再び、俺の口を割ろうとする。“ああ…面倒くせぇ…”俺は、マタイに理由を話す。

「言わねぇ。」
「なんでだい?」
「バカにすっから、てめーら。」

“ら”をつけた事を気に入らないと、ターニャが言い返す。

「“ら”って、なんで私も?」
「俺のアソコを触ったり、股で寝ようとしてるヤツが例外なワケねぇだろ。バーカ。」
「バカはラックじゃん。一匹で落ち込んじゃ・って・さ。」

雄のチンコ触るお前にバカって言われたくねぇよ!!けど…言った方が楽になるかもな。俺は、マタイの言い分を受ける。

「わーったよ。絶対にバカにすんなよ?」
『うん。』

返事は同時にしたが、やっぱまだ信用出来ねぇ。けど、ウダウダして話さねぇねの気持ち悪りぃし…。俺は、二匹に悩みを打ち明ける。

805適当:2013/10/26(土) 19:04:17 ID:LzMEUb2w
二時間前…


俺は、今はもうヤツの所へ顔を出した。ヤツは森の小道にたちふさがるように、立っている。その先に、何があるかわかんねぇ。ただ、挑み続けていく内に「もしかして、行かせらんねぇ理由があるんじゃねぇか?こんなチンケな所、通せんぼしたって何のいい事もねぇし…。」と考え始め、俺は三回目は負けた所で、物知りでウワサ好き…ほとんどのウワサを広めている“ミィ”ていう名前のチラーミィへ「青色の鎧つけた、がてぇオッサン知ってっか?」と訊ねた。

「知っています。」

さすが、ウワサ好き。知ってて当然か。つーか、何でこんな丁寧に喋るヤツが、ウワサ隙なんだ?と疑問に思うが、んな事はどうでもいい。俺は、「あのオッサンは何がしたいんだ?」とヤツの目的をしっているかどうかを訊ねる。すると、ミィは『あくまでウワサです。』と最初に答え詳細を語り出す。

「あの人間の名前は元。我流柳生族の現代の子孫です。あの方は、莫大な財宝を守っています。」

ざ…財宝ぉ!?俺は、飛び上がり木の小さな隙間に作ったミィの家の天井へ頭をぶつけてしまう。「だ…大丈夫ですか?」と冷静に心配してくれるミィに対し、俺は頭を少しさすって、『サンキュー。』と一言返し、ヤツの元へ直行。まぁ、四回目も負けたヤツだから、五回目の勝負をしに来てんだけどな。ヤツの周辺には、ほとんど森のポケモン達はこねぇせいか、俺の足音に気がつくヤツは俺へ目を向ける。

806適当:2013/10/26(土) 19:08:21 ID:Nt9mEhLk
「むっ?来おったな?」

ジジィくせぇ喋りにも聞き飽きたぜ。今日で終わらせる…。俺は、「ああ…。」とだけ返し、ヤツをにらみつける。今のは技だ。勝ちてぇからな。けど、ヤツに効くかどうかはわかんねぇ。弱ぇヤツなら、俺に睨みつけられたところで小便をちびっちまうが、果たして…ヤツはどうか。

『威嚇をしても、私は動かない。お主の実力は、とうに見切っている。』

は、はぁ〜ん。言ってくれるじゃねぇか。俺が、全部技使ったと思ってんのかよ?一撃で終わらせてやるぜ!!俺は、何度もヤツへ挑んだ。だから出来る技がある。イカサマだ。お前の攻撃力をお前自身が受けるんだよ!!俺は、前足に力を込めヤツへ駆け出す。ヤツの元へたどり着くと飛び上がり、力を込めた前足でヤツの顔面へ。ヤツは、背中の刀を抜き俺の攻撃を防ぐ。

「ぬぅ!!これは、初めての感触だ…。」

これだけで、勝てねぇつーことか、まぁ、当然だよな。けど、この攻撃を当たったら確実にオダブツだけどな!!俺は、最初とは逆の前足でヤツの喉元を狙う。

「一発だけじゃ…ねぇぜ!!」
「ぬん!!」

ヤツは、俺の攻撃を予想してたかのように、素早くナナメ下に刀をスライドさせ俺の攻撃を防ぐ。ちっ、これも防がれちまったか。けど…こっからの速攻は避けらんねぇだろ!!俺は、普段よりも数倍のスピードで、“あやしいひかり”を放つ。

「あやしいひかりか!!」

ヤツは、俺の光を受けまいと左腕で目をおおう。今だ!!今しかねぇ!!全力の…ずつき!!俺は、着地した後すぐに、ヤツの腹に向けて飛び、全身全霊の頭突きを放つ。が、ヤツは二つの刀を交差し、この攻撃も防ぐ。

807適当:2013/10/26(土) 19:10:43 ID:Nt9mEhLk
「な!?」
「甘いわ!!」
「ぐわぁぁ!!」

ヤツの反撃を受けて、俺は少し遠くへ飛ばされる。ぐ…ぐふぅ!!ば…バッカじゃねぇ…の?俺、カウンターされて…んじゃねぇか。ヤツは人間だが、人間じゃない。ヤツの一撃は重い。例えるなら、サイドンの“つのドリル”か?いや、そんなわけねぇか。けど、何か食べた後だったら全部吐いてしまうぐらいの強ぇ一撃っつーことだ。俺は、立ち上がり呼吸を整える。『あれしかねぇ。』5回息を整えれば十分だ。俺は、前足に力を込め黒い光を纏わせた。

「む!?あれは何だ!!」

ヤツは、俺の前足にまとわりつく黒い光を見て驚く。ナイトバースト…やっぱり初めて見るんだな。この技をジジィが知っているわけねぇじゃねぇか!!今まで借り…倍…いや、十倍にして返すぜ!!力を十分に溜め終えた所で、俺はヤツに“ナイトバースト”を放つ。

「ぬぬぬ!?ぬぉぉぉ!?」

悪りぃな。シャドーボールより厄介だぜ?何せ、少し長さが長ぇシャドーボールみてぇなもんだからな!!ヤツは、両腕に力を込め、胸の前で刀を交差させる。

「これしき…何のこれしき!!」

はぁ〜あ、終わったな。まぁ、悪く思うな。俺を本気にさせたてめぇが悪い。ヤツの目の前で黒い光がはじける。俺は、それを見てガッツポーズを決める。「しゃあ!!勝ったぜ!!さぁ〜て、お宝、お宝っと。勝ちてぇとかじゃなくて途中から別の目的になってんな。ま、いいか。ヤツは、俺の目の前に仰向けになって倒れている。

808適当:2013/10/26(土) 19:13:05 ID:Nt9mEhLk
「はぁ…はぁ…。ざ…ざまぁみやがれ…ってんだ。」

俺は、マジで悪タイプだな。ジジィは死んだんだぜ?もっと優しい言葉を掛けてあげろよ。けど、ちと疲れたな。ナイトバーストはナイトバーストでも、ほとんど“フルパワーのナイトバースト”だからな。さすがに体に応えるぜ。俺は、両方の前足を後ろに伸ばし、尻餅を着いて休憩をとった。

「はぁ…、やっぱ疲れたぜ。ちっと、寝るか。」

宝は後からでもいい。俺にかなうヤツは森にいない。俺が昼寝してても邪魔したり、寝込みを襲うバカはいねぇだろ。俺は、仰向けになり目を閉じて眠り始める。が、その時予想もしなかったことが起こる。


ふっふっふ…


はぁ?何か聞いたことある声だな。俺は、目を閉じながら声へ耳を傾ける。

「お主、私はまだ倒れておらぬぞ?」

809適当:2013/10/26(土) 19:17:33 ID:H935kV02
は…?な…なにぃぃ!?俺は、聞き覚えのある声を聞いて飛び起きた。目の前で不敵に笑うヤツを見て目を見開く。

「は…う、ウソだろ?に…人間じゃねぇ…。」

俺の言葉にヤツがつけあがる。

「はっはっは!!お主の実力は、その程度のようだな。」
「何にぃ!!」
『ならば、立ち去れ。二度とここへは来るな。お主は私に勝てん。永遠に…な。』

俺は、ヤツの言葉に憤る。

「あんだと…?。もう一回言ってみろ。」

今の俺にはもう体力が無ぇ。そをヤツは見抜いていたんだろうな。俺の強いにらみつけるを受けても、ヤツは余裕の笑みをこぼす。

『何度でも言おう…』


お主は私に勝てない。永遠にな。

死にたくなければ…。私の刀のサビになりたくなければ…


“ここから、立ち去れぃ!!”

『そして、二度と私の目の前に姿を現わすでないわ。』


カッチーン…。ヤツの言葉に、俺の堪忍袋の緒が切れる。

810適当:2013/10/26(土) 19:22:37 ID:OT1oaroo
「てめぇぇ!!調子乗んなぁああ!!」

つけあがった事を後悔させてやる。俺の目の前には、ヤツ以外もう写らない。俺は、怒りくるい、ヤツ目掛けて、イカサマ状態の“捨て身タックル”を放とうと、全速力でヤツへ疾走する。ぶっ殺してやらぁ!!捨て身タックルの射程距離へ入ると、俺はヤツに向けて飛び上がる。ヤツは、俺の冷静さを笑った所へカウンターを狙っていた。

『それが、甘いと言っておるのだぁ!!』


ヤツは、初めて俺と闘った時の技を放つ構えを取る。ヤツが中腰になった時には、もう遅かった。

「しまったぁぁ!!」

ヤツは、刀の刃部分とは逆の柄を俺へむけ、体を捻る。

「くらうがよい!!螺旋狼影拳!!」
「ぐふぁぁぁぁ!!」

ヤツの大技…つーか、必殺技じゃね?ヤツの必殺技をくらった俺は、情けねぇ声を上げ、初回の時と同じく、はるか遠くへ吹き飛ばされ背中を強打した。い…いてぇ…。俺は、仰向けになりつつ、弱々しい自分の瞳にヤツを映す。ヤツ既に背中に刀を納めていた。ヤツは、俺を見下ろし言い放つ。

『お主は、真の強さが何であるか熟知しておらん。』

真の…強さ?

「強さわかりし時、又参られよ。お主の挑戦は、いつでも受けよう。」

ぐふぅ…意味がわかんねぇ…。俺は、宝を見てヤツの言葉の意味を考え始める。が、考えている途中にヤツの顔が目先に現れる。は?今まで、自分から近づく事はなかったのに…。俺は、弱々しい瞳でヤツが近づいて来たことに疑問を持ち始めようとした時、ヤツがとんでもない事を言い放つ。

「されど、主には世の厳しさを教えねばならん…。」

世の厳しさ?

「眠れ。」

眠れって、もう疲れて眠いんだけど。ヤツの言葉の意味がわからない俺は、ヤツへそういい返そうとした。が、ヤツは刀切れない部分を俺の腹に当て、上へ持ち上げる。俺は、突然の状況をつきつけられて驚き、ヤツへ抗議する。

「待てぇへぇ!!眠れってそうゆうい…」
「無論」
「ぐふぁぁぁぁぁ!!」


とんだけ情けねぇ声だっだろうな。よっぽど、あのジジィの行動にビックリしたんだろうな。ヤツは、俺の腹に刀の切れない部分を振り下ろして当てた。俺は、あまりのダメージに気を失いその場に倒れた。

811適当:2013/10/26(土) 19:27:12 ID:OT1oaroo
『…………。』
「ってなワケだ…。」


コイツら真剣に聞いてたのか?俺が、事の経緯(いきさつ)を話終えると。マタイとターニャは、黙り込む。俺は、二匹が取った想定外の態度に驚く反面。嬉しい気持ちでいっぱいだ。けど、正直に「嬉しい」と言うとコイツらつけあがるからな。俺は、目を落としたまま小さく言葉をこぼす。

「だから、俺の事なんてほっと…」
「ぷっ…」

は?

「くくく…」

なんだコイツら?気ぃ回してくれたんじゃねぇのか!?さっきの、俺の感動を返して欲しい位、二匹はこっそりと吹き出すように笑う。最初は、ターニャで次はマタイだ。こらえきれなかったんだろうな。二匹は、徐々に声を上げ笑い出す。

「ぷくく…はははは!!」
「あはははは!!」

ちぃ…。やっぱりコイツらからかってんじゃねぇか!!

「マタイ、今の聞いた?」
「うん。しっかりとほぉ…ね。」

とほぉ…。って答えるんじゃねぇ!!笑いこらえながら、喋ってんのが見え見えなんだよ!!

「にぃ…ぷっ…人間に負けたんだってぇぇぇぇ!!」
「あはははは!!森で一番強いラックが?そりゃあー、落ち込むよねえ〜。」

二匹の態度に堪忍袋の緒が切れた俺は、思わず言い返す。

「ちょ…ちょっと待てぇぇぇ!!」
「あはははは…え?」
「え?じゃねぇ!!結局バカにしてんじゃねぇかぁぁぁ!!」

俺は、木にもたれかかる姿勢からすぐさま立ち上がり、前足に黒い光を灯す。

812適当:2013/10/26(土) 19:30:30 ID:mSQNyt2g
『えぇ!?』
「死ねやごらぁぁぁぁ!!」

渾身の力を込めてシャドーボールを放ち、二匹に怒りをぶつけた。二匹は、俺のシャドーボールをとっさにかわし、代わりにシャドーボールを受けた場所へ振り返る。

『うわ…。』

二匹が振り返った目線の先には、円形にくっきりと穴が空いている。二匹の後ろには、木があった。数メートル離れていたが、俺の技に打ち抜かれた。ったりめぇだ。怒り心頭の俺のシャドーボールを受けて無事なヤツなんかいるかよ。二匹は、口をあんぐりと開け、唖然としている。よし、チャンスだ。今度こそ…死ねやごらぁぁぁぁ!!俺は、二回目のシャドーボールを作り始める。けど、ターニャが俺に気づき…

「ちょ、ちょっと待ってよ!!冗談だよ!!」

って言い訳してきた。冗談?ウソ臭ぇな…。

「ラック僕達が悪かった!!だから、許しておくれぇぇ!!」

ちっ…しゃあねぇ。マタイも謝ってることだし、勘弁してやるか。流石(すが)に、進化前のポニータとツタージャなんて殺すのもあんまりだからな。

「ラック、本当にごめん!!」

はぁ…、わーったよやめてやんよ。ターニャの一言で俺は溜めていた力を抑え、黒い光を消した。その後、俺はため息をつき、聞く前の二匹の態度を徐々に理解する。

813適当:2013/10/26(土) 19:36:14 ID:snoZnHgc
「はぁ〜あ。ま、わからなくもねぇよお前達(ら)の事。ポケモンが人間に負けるなんざ…なぁ?」
「うう…。」

二匹を許しはしたが、二匹を睨みつけた。俺に睨みつけられたターニャはひるんでいる。別に“おどろかす”を使ったわけじゃねぇんだけど…。そんなターニャを救うように、マタイが俺に人間と闘う理由を訊ねる。

「でもさ、なんで人間と闘っているんだい?」
「どうしよっかなぁ〜、お前(ら)俺の事バカにするんだもん…なぁ〜。」

完全に許したワケじゃねぇよ。勘違いすんな。

「もったいぶらないで教えておくれよぉ〜。」
「ふん…。」

マタイのダメ押しを俺は軽く払いのけた。言ったって、さっきの二の舞、三の舞だ。絶対ぇ、言わねぇ!!と思っていた所に、ターニャが普段とは違う甘えるような上目づかいをする。

「教えて?」
「しつけぇ。どっか行け。」
「私達友達でしょ?さっきの事はホント悪いと思ってるから…お願い!!」

ターニャは、俺が納得するような一言を言い終え、片目をつむって両手を合わせポーズをとる。人間や、俺以外のポケモンが、“おぉ!!可愛いぃ!!教える!!教える!!”ってなるかもしれねぇが…。気持ち悪りぃ。いつまでもこうされているとウゼェから、教えてやるか。俺は二匹に理由を話す。

「ウワサ好きのミィ、知ってんだろ?」
『うん。』

二匹してうなずく。俺は、話を続ける。

「アイツがな、あの人間のオッサンが守っているのは財宝なんだと。」
『財宝ぉ!?』
「ああ。って信じねぇよな。」

814適当:2013/10/26(土) 19:55:22 ID:LqaligAw
信じられるワケねぇよ。いきなりこの森のどこかに宝があるって言われた。もしかしたら、信じてる俺がバカなのかもしれねぇからな。二匹は、俺の質問な答えず黙り込む。俺は、二匹を追い払う。

「わかったら、さっさとどっかいけ。しばらく一匹に…」
「信じるよ。」 
「は?」

ターニャの一言に俺は耳を疑い、ターニャの顔を見た。ターニャの顔は、さっきとは違う真剣なものだった。でも、未だに信じられねぇ…。ふざけてんのか、真面目なのかは。俺は、首を傾げターニャに訊き返す。

「何でだよ?急に信じるって言ったって、俺は信じらんねぇ。また、からかってんのか?信じたフリか?」
「違うよ!!」
「あ〜あ。お前は、森で一番ウソをつくのがうま…」
「ラックが意味も無く闘わない事ぐらい知ってるよ。」

あ…まぁ、そりゃ…そうだが。ターニャの言い訳が意外と正論だったので、俺はほんの少し驚いた。……。あっ、マタイとなら、あのオッサンを倒せるか?新しい可能性を導き出した俺の意図を汲み取るようにマタイが、俺に提案する。

「あのさ、なら三匹でまとめてかかれば倒せるんじゃないかい?」

三匹…、ターニャは役に立つか?頭を使って倒せる相手じゃねぇと思うけどな。

「そうだよ!!マタイ、頭いいね!!」
「えっへん!!いつもより、冴えてるねぇ〜僕。」

815適当:2013/10/26(土) 19:59:11 ID:H935kV02
その程度で冴えてるとか言うんじゃねぇ!!バカ!!馬鹿!!うましか、ウマシカウマシカ!!けど、一理あるな。ターニャは要らねぇから、とりあえず…

「ターニャは来んな。」
「ええー!!なんで、なんでぇ!?」
「邪魔だから。」
「邪魔じゃないよ!!」
「邪魔。」
「邪魔じゃない〜!!」

うるせぇな…。マタイ、黙らせろ。これ以上口出したら、焼くとか、焼くとか、焼くとか…。ターニャは頬を膨らまし、怒った顔を作る。俺は、ターニャを無視して、マタイを見てうつろな目で“なんとかしろ”とサインを送った。けど、マタイは俺の指示を無視し、邪魔者の意見を受け入れる。

「う〜ん、いや勝てないよ。ターニャ抜きでは絶対にね。」
は?なんで?
「考えてごらんよお。バカ二匹が、ウワサなる程の強い人間に勝てると思うかい?」
「バカって…お前と一緒にすんなぁぁぁ!!お前だけが、バカだ!!バカ!!バカ!!うましかぁぁぁ!!」
「僕は馬だよ。う〜ま。」

腹立つ…マジでうぜぇ!!ターニャはマタイの意見をいいことに俺を説得する。

「まかせて!!大きい人間だったら、私がおとりになる。」
「そして、僕達がひたすら攻撃。完璧ぃ〜!!いやぁ〜これで勝てるねえ。」
「チャンスがあれば、私も攻撃ぃ〜♪」
勝てねぇよ!!それで勝てたら苦労しねぇよ!!
「じゃ、ラック。そうゆうわけで、案内してくれないかい?」
意見収拾!?ウゼェのも連れて!?
「ほら、ラック。Let'sゴ〜♪」

ターニャは、マタイに続き、右拳を握り、空高く挙げ、出発のサインを出す。ああ…ウゼェ…。もういいや、負けてもまたターニャ抜きで闘えばいいことだしな。俺は、ターニャの合図を、見て割り切り二匹を連れて財宝な番人の元へ走りだした。

816適当:2013/10/26(土) 20:02:32 ID:H935kV02
財宝の番人の前…

今、俺は二匹を連れて財宝の番人が目に入る所にいる。財宝の番人…あのジジィは、森の奥へと続く小道に立ちはだかるかように、あぐらをかき目を閉じている。神経を研ぎ澄ますってヤツか?誰が来ても余裕って事か?ふざけてやがる…ムカつくぜ。

「ラック、あれがもしかして財宝の番人かい…?」

俺はマタイの質問にうなずき答える。

「ああ。ったく、見ろよ。あのジジィは、俺達の存在にとっくに気づいているハズなのに、律儀に銅像のフリなんかしてやがる…。」
「銅像…ねえ。」

マタイは、一言つぶやき財宝の番人へ目を向ける。マタイの口元が緩み、何か悪だくみを企む顔へ変化させた。は、おい…、まさか、お前…

「奇襲のチャンスだよお!!」

やっぱりか!!アホか!!そんなので勝てたら、とっくに奇襲してんだよ!!…って、おい!!待てって!!俺は、マタイの前に急いで立ちはだかる。

「待て!!落ち着け!!それで勝てるなら、俺だって…」
「ラックは機を逃してる!!この時点で負けだよお!!」
「え?おっ…おい!!バカ!!」

マタイは、軽く飛び上がり俺の上を通り、財宝の番人へと突進していった。あ〜あ…、バカ…。知らねぇぞ?らせん…何だっけ?何とかかんとかっていう変ちくりんな技をモロにくらっても。

817適当:2013/10/26(土) 20:06:04 ID:3Ci7IPGo
「ラック、これで勝ったね。イエーイ♪お宝頂き〜♪」

マタイの猛突進に、財宝の番人が倒れると見てターニャが笑い俺にハイタッチを要求して来た。勝てるワケねぇじゃねえかぁぁぁぁ!!勝てねぇっつてんだろ!!俺、50(Lv)マタイ38 お前16!!一番上の俺が奇襲しかけないのに、何でわからないの?バカなの?うましかなのか!!うましかなのかぁぁぁぁ!!俺は、ハイタッチを求めるターニャに冷たい目を向け、ため息をつく。

「勝てねぇよ。あんなので勝てるか。」
「仲間を信じようよ!!マタイの奇襲で終わっ…」
「甘い!!」

ターニャの言葉をかき消すように財宝の番人の声が周辺へ響く。ターニャは、予想外の事態に驚く。

「え…!?」

え!?じゃねぇって…。だからいったろ。ジジィが起きたみたいだな。しかも、マタイの攻撃を二本の刀でしっかりと防いだってとこか。

「僕の奇襲で倒れない。なかなか強い人間だねえ。」

マタイは、突進を二本の刀で防がれたままの状態で、財宝の番人へ言った。財宝の番人は、笑わずマタイを睨みつけ、押し返す。

「奇襲をするなど、言語道断!!」
「うぐぁ!!」

マタイは、財宝の番人に軽く飛ばされ、後ろへ追いやられ。マタイが見事に着地した所で、俺はターニャの額に自分の額をつけ、睨みつけて忠告する。

「いいか?邪魔すんなよ?」
「私に、考えが…」
「来んな。」

ターニャの提案を受けず、俺は一言だけ返しマタイの元へ合流した。今のマタイは、いつもの余裕のある顔じゃねぇ…。本気で勝つ事を考えている顔だ。

818適当:2013/10/26(土) 20:15:06 ID:OT1oaroo
「ラック、倒せなかった。すまないねえ。」
「はぁ…。いいって事よ。わかりきってた結果だしな。」

俺は、小さく笑いマタイを励ました。財宝の番人は、二本の刀を構え質問する。

「今日は、三匹で私を倒すつもりか?」

は?三匹?俺は、首を傾げ後ろへ振り返った。すると、そこに息を切らしたターニャの姿がある。来んなつったのに…。ターニャは、息を整え俺の背中に立ち、財宝の番人へ言い放つ。

「はぁ…はぁ…、そうだよ!!今日でアンタは負けるからね?」

おい!!背中に乗んな!!しかも、口を慎めよ!!っていうか、お前も参加する気かぁ!?

「ラック、私は邪魔しないよ。自分の強さ(レベル)をわかっているし、ラックが勝てなかった相手に歯が立たないのはわかってる。だから、私はラックとマタイを援護する。」

援護ねぇ…。俺は、ため息をつき、ターニャの提案を受け入れる。

「わーったよ。まず、降りろ。」
「降りない。」
「はっ?結局闘う気ねぇじゃねぇか!!邪魔だ降りろよ!!」
「降りないってば!!考えがあるから。」

考え?一応聞いてやるか。期待出来ねぇけど。俺は、右耳を後ろへ倒した。俺が耳を倒すと、ターニャは俺に小さな声で伝えた。

819適当:2013/10/26(土) 20:18:04 ID:lFXD3dtc
「とにかく走って。」
「はぁ?」
「あのオジさんの周りをぐるぐる回るようにして。」

意味あるかぁぁ!!俺は、お前の遊び道具じゃねぇぞ!!馬代わりか!!本物ならそこにいるだろ!!こんな意味ねぇ事してぇなら、マタイの背中に乗れ!!馬シカぁぁぁ!!俺は、すぐにターニャの作戦を断る。

「いやだ。バカかお前は。やっぱり降りろ。」
「そうしないと勝てないの!!」
「お前が決めるな。」
「いいから!!騙されたと思って言うとおりにして!!」

チッ、面倒臭ぇ…。一回で気が済むなら仕方ねぇな。ガキを遊ばせてるという気持ちでやるか。俺は、ターニャへ“わーった。一回だけな?”と返した。ターニャは、“うん。”と返事を返し、マタイを手招きする。

「マタイ、ちょっといい?」
「なんだい?」

マタイは、ターニャへ耳を近づける。アツイ…アツイ!!てめぇら、早く話せよな。

「私とラックがオジサンの隙を作る。そしたら、“ひのこ”で攻撃して?」
「うん。わかったよ。ターニャは頭が冴えてるねえ。」
「ふふふっ、ほめたって何も出さないよ?」

イチャイチャすんなお前ら!!背中が熱っちぃんだよ!!俺は、二匹を援護する為に口を開く。

「もういいだろ。さっそくやるぜ?」
「うん。頼んだよ。ラックが失敗したら、終わりだからねえ。」
…。本当にターニャの作戦で勝てると思ってんだな…。
『もうよいか?』

財宝の番人は、俺達三匹に勝負開始の確認を取る。だな、喋りに来たんじゃねぇ。てめぇを倒し、宝を手に入れに来たんだよ。マタイは、財宝の番人へ頷いて返す。

820適当:2013/10/26(土) 20:21:36 ID:smW3b0u6
「いいよ。打ち合わせの時間を与えるなんて、案外いい人間なんだねえ。」
「ふっ、奇襲をかける卑怯者に誉められても…」

財宝の番人の両手に力がこもる。来るな…。

「嬉しくなんかないわ!!」

財宝の番人は、俺達めがけて突進して来た。ターニャは、財宝の番人が動いた所で俺の頭をたたき、合図を出す。

「今だよ!!走って!!」

ってぇ!!たたかなくたっていいだろ!!言われなくてもやってやんよ!!俺は、即座に駆け出し、財宝の番人の周りを走り始める。

「む?こしゃくな。私の目を惑わせてまたあの黒い玉か!!」

シャドーボールって言いたいワケか。ちと、違うんだよな。ただつき合わされてるだけ。ターニャが、何かするらしいが…、まだその時じゃねぇか?
「ラック!!もっと、もっとスピードを上げて!!」

チッ…、面倒臭ぇな…。俺は、ターニャの指示に従い更に速くかける。こ…こんだけ走らせて、意味のねぇ事すんなよな?ターニャの指示を受けた、十秒後程に、ターニャが、財宝の番人に目掛けて叫ぶ。

「目くらまし!!」

ターニャが叫んだ後、俺の後ろから、ものすごい数の草、葉が飛び出した。なる程ね、グラスミキサーか。けど、“ひのこ”つかったら、台無しにならねぇか?

「ターニャ!!ナイスグラスミキサー!!あとは、僕にまかせて!!」

マタイが、どのタイミングで火を吹くかだな。財宝の番人は、突然現れた複数の、葉の嵐に巻き込まれ、左手で目を覆っう。

「うぐ!!こしゃくな…。」
おっ?効いてる効いてる。足止め効果は抜群だな。ただ、命中率を下げられたかどうかはわかんねぇけど…。
「だが…」


私には効かぬ!!

財宝の番人は、草、葉の嵐に慣れマタイ目掛けて猛突進を放つ。マタイは、草、葉の嵐に向かって火を吹く。

「残念だねえ。これが狙いだよお!!」

マタイの口から出た火は、散り舞う草、葉を燃やし、草、葉の嵐を炎の渦へと変化させた。炎の渦へと切り替わった瞬間、財宝の番人は再び顔をおおった。

「うぉぉお!?火計であったか!!」

821適当:2013/10/26(土) 20:26:45 ID:smW3b0u6
勝負あったな。あれだけの火に焼かれて生きてる人間なんかいねぇよ。ターニャにしては、役にたったな。俺は、炎の渦から離れて足を止め、財宝の番人が苦しむ声へ耳を傾ける。ターニャは、興奮しながらも俺に不満をぶつける。

「やったぁー!!大成功♪って、なんで止まってるの?」
「うっせぇ。これで、終わりだろ?財宝の場所までは、自分で歩け。」
「やだ。降りな…」
「降りろぉ!!」
「うわぁ!!」

俺は、体を激しく揺らし、ターニャを無理矢理降ろす。ターニャは、地面に軽く体をぶつけ、うつぶせになった。地面に体をつけた後、“いたぁ!!”と声を上げ、立ち上がり、俺を睨みつける。

「もう少し、優しく降ろせないの?」
「てめぇがさっさと降りねぇからだ。」
「私のおかげで勝ったんだよ?」
「てめぇじゃねぇよ。マタイだ。」

ターニャが再び、俺へ意見を唱えようとした時、財宝の番人の声が周囲に響き渡る。

「竜巻返しぃぃぃ!!」

財宝の番人が叫ぶと、炎の渦があっさり消し飛んだ。は…?待てよ…。そんな技…アリかよ?

「はぁ…はぁ…。油断した。力を感じぬ者に苦しめられるとはな。」

くっ!!こうなりゃあ、三匹で闘るしかねぇ!!俺は、ターニャとマタイに指示を出す。

「てめぇら!!あのジジィを囲め!!三匹で叩くぞ!!」

二匹は、俺に意見せずすぐに俺の指示に従い、財宝の番人を囲む。三匹なら勝てンだろ…。財宝の番人を囲んだものの、俺の中では必ず勝つという確信は無い。俺は、再び二匹に指示を出す。

822適当:2013/10/26(土) 20:30:12 ID:smW3b0u6
「一番強い技を使え!!ここで叩かなきゃ勝ち目はねぇ!!」
『うん…。』

俺の興奮、必死さを二匹は飲み込むように、うなずく。俺はシャドーボール、ターニャは葉っぱカッター、マタイは電光石火。マタイは、炎タイプだが、炎系の技は最近完成したばかりだ。燃えるモンも無けりゃ、まともに威力なんて発揮できねぇ。俺達三匹は、技を発動する構えに入る。ターニャは、ほんの少し体をひねり、マタイは、後ろ足で地面を数回はじいている。俺は、両前足に力を込め、黒い光を出現させた。

これで…倒れンだろ…。

けど、ヤツは違った。俺達三匹の位置をそれぞれ確認した後、二つの刀を構え、静かに宣言する。

止めて見せよう…。

お主らの攻撃を。

すべて…

受け止める!!

受け止めるだと?やれるもならやってみろ!!俺は、二匹に合図を出し、財宝の番人に向かって、挑戦状をたたきつける。

「ほざけ、ジジィがぁぁぁ!!」

俺のシャドーボール、ターニャの葉っぱカッターが、財宝の番人を目掛けて勢い良く飛び出す。マタイは、先に攻撃を仕掛けた俺達より、2、3秒遅れて相手を惑わすようにジグザグに素速く動き出す。財宝の番人は、何も動じずじっとしている。

823適当:2013/10/26(土) 20:35:31 ID:smW3b0u6
結局強がっただけじゃねぇか。勝ったな。

俺が、勝利を確信し始め、ほくそ笑もうとした時、財宝の番人が静かにつぶやく。

「秘技 狼影流し。」
は…?
『ぬぉぉぉぉぉ!!』

財宝の番人は、俺が目を疑うような光景を作り出した。俺のシャドーボールの中心を両方の刀で刺すように突いて消し、ターニャの葉っぱカッターを刀で遠くにはじき飛ばした。

ウソだろ…?こ…こんなんじゃ…なかった。このジジィが、こんなに強いなんて思ってなかった…。

俺は、目の前で起きた事にあいた口がふさがらない。シャドーボールと葉っぱカッターの来る向き、タイミング、速さを瞬時に計算する。さらには、シャドーボールをかき消す程の力…。悪の力が弱くなる中心を突いたとはいえ、普通の人間が俺のシャドーボールを消す事なんて出来るハズがない。

ターニャの方を見ても、俺と同じ状況を体感している。開いた口は塞がらず、目の前の光景に、ただただ驚いてばかりだ。

…は!!ヤベェ…。何か、ヤベェ!!
ターニャの顔を見た数秒後、俺は重大な事に気づき、我に返ってマタイに大声で伝える。

『マタイダメだ!!てめぇが事足りる相手じゃねぇ!!』

けど、俺の声もむなしく、得意の電光石火を当てようと、ジグザグに動き、相手の目くらましをしつつ、財宝の番人へと近づく。

「ヘイ!!ヘイ!!僕のスピードについてこられるかな?」

マタイは、財宝の番人の目前まで来る。

824適当:2013/10/26(土) 20:39:27 ID:snoZnHgc
バカ!!やめろ…!!
「こっちだよお!!電光石火ぁぁぁ!!」

マタイは、財宝の番人の左ナナメから電光石火を当てた。けど、俺の悪い予感が的中した。財宝の番人は、二つの刀でマタイの体を受け止める。マタイは、自分が思っていた感触とは違う事に目を見開く。

「え…?」

マタイが口を開いた直後、右手の刀がマタイの腹部をとらえる。

「が…!?」
「おとなしく眠ってもらおう。いい勝負だった…。」

財宝の番人はそう告げ、残った左手の刀でマタイを狙い打つ。

「がっはぁぁ!!」

マタイは、財宝の番人の攻撃で、5m飛ばされ、そのまま起き上がる事は無かった。

『マタイ!!』

ターニャと俺は、同時に叫びマタイへ駆け寄る。マタイの首からは、血が出ている。つまり、刀の刃の部分を打ちつけられたって事だ。

「ひどい……。」

ターニャは、目の前の光景に衝撃を受け、こらえていた涙が溢れ出し、マタイにすがりついて泣き出した。

「う…うわぁーん!!あん!!あん!!ひどいよぉ!!殺すなんて…ひどいよぉぉ!!」
ああ、腐ってやがるな…。これが勝負なのかよ…。俺達は…このジジィを殺すつもりなんて無かった…。

俺は、泣き出すターニャに何も言葉をかける事が出来ず、心の中で目の前の光景を否定しようとしていた。けど、財宝の番人は謝りもせず、俺達に冷徹な一言を浴びせる。

「これが、“真剣”というものよ。」
………あ?
「主達が奪おうとしていた物と命(それ)は、同等。然るべき、受けるべき運命(さだめ)よ。」

俺は、静かに怒り財宝の番人に殺意に満ちた視線を送る。

「てめ…。今何って言った?」

財宝の番人は、怖じ気づに返す。

「これが“真剣”と言ったのだ。聞こえなかったか…」


愚か者よ。

財宝の番人が浴びせた一言に、ついに俺の堪忍袋の緒が切れる。

825適当:2013/10/26(土) 20:42:58 ID:snoZnHgc
『このジジィがああああ!!』

俺は、財宝の番人へ駆け出し、怒りまかせに、電光石火を放つ。

『あああああああ!!』
「ふん!!甘いわぁ!!」

財宝の番人は、二つの刀で俺の攻撃を受け止め、マタイを仕留めた攻撃を繰り出す。俺は、怒りを維持しつつ、大きく後ろに飛んで下がり両前足に力を溜める。

『くたばれジジィがああああ!!』

俺は、両前足を合わせてシャドーボールを放つ。財宝の番人は、普段の二倍の大きさのシャドーボールに驚かず、先程俺達が目を疑ったあの竜巻を起こす。

「効かぬわぁぁ!!」

財宝の番人によって、俺のシャドーボールはかき消された。

これで終わりじゃねぇよ…。

俺は、高く飛び上がり、財宝の番人目掛けて非道の技 “あやしいひかり”を放つ。

『はぁぁぁ!!これでもくらってろぉぉぉ!!』
「ふふふ…。」
「…!?」

財宝の番人は、俺の技を瞬時に見切って上に飛び上がり、俺の真上へと移動する。

「終わりだ…。」
『な!?』

財宝の番人が、二つの刃の部分を俺の頭へ振り下ろして来た。


や…やられる…。俺も…マタイみたいに…。

826適当:2013/10/26(土) 20:45:47 ID:O1tO0jhQ
自分の頭へ向かってくる一瞬に俺の頭には、走馬灯が浮かんでくるように思えた。けど、俺の頭の中には違うものが流れていた。

不思議…じゃねぇ。ジジィの攻撃を…返せる気がする…。

そう思いこんだ瞬間、俺は自分の意志とは違う別の意志に乗っ取られ、両前足を交差させ、刀が振り下ろされる方にかざす。普段の俺なら絶対にやらねぇ防御策。自分の前足を信用してしか出来ねぇ防御。俺の右前足には、財宝の番人の両方の刃が刺さる。

「愚かな…。腕を犠牲にする…」
「バカはてめぇだ。」
「何?」
「倍返ししてやるよ。」

俺は、後ろ足が地面についた直後、財宝の番人に自分では感じた事無い力の頭突きを腹部に放つ。

「ぐっ…はぁ…。」

俺は、高く飛び上がり財宝の番人の頭の高さに自分の体を持ち上げ、両前足を合わせ振りかぶる。

「…?」
「くたばれ…」
「な!?」




ジジィが。


俺は、財宝の番人の頭へ両前足を振り下ろし、“たたきつける”を放った。財宝の番人はあっけにとられて何も出来ず、俺の攻撃を受け悲痛の叫び声を上げる。

『ぐはぁぁぁぁ!!』

悲痛の声を上げた後、財宝の番人はよろめき出す。よろめく様子を、俺は怒りを維持したまま見ている。

「ぐふっ…。」

財宝の番人は、血を吐いた所でよろめく事を止め、眉間にシワを寄せ俺へ視線を送る。

「見事…。」
何か見事だ…。それで、俺の怒りが収まると思ってんのかよ。
「主の仲間を殺めた事。わびよう。」
てめぇが謝ったって…マタイは返って来ね…
「これを授けよう。」


財宝の番人は、俺へ謝った後、鎧の隙間から手を入れ赤く光る石を取り出した。俺は、感情を保ったまま財宝の番人へ質問をする。

「何だよこれは?」
「主の…仲間を救う…最後の…」

財宝の番人は、俺に答えを明かす前に力尽き、その場にうつぶせになって倒れた。

827適当:2013/10/26(土) 20:50:00 ID:XyikfVgo
財宝の番人の左手からは、赤く光る石が転げ落ち、俺の前足へ静かにぶつかった。

何だ?この石は?

俺は、その場にしゃがみこみ赤く光る石へ目を落とす。赤く光る石の中をよく見ると、炎が勢いよく燃えている事がわかった。その炎が俺の考えを決定する。

これなら…マタイを救えるかもしれない。

俺は、赤く光る石を口にくわえ、二匹の元へと駆け出す。俺が向かって来る事を知ったターニャは、涙目のまま俺の方へ目を向けた。やがて、二匹の元にたどり着き、俺はターニャの前に赤く光る石を落とし、告げる。

「ターニャ。」
「ぐっす…。え?」
「助かるかもしれない。」
「助…かる?」

俺は、うなずき言葉を続ける。

「ああ。この石、さっきのジジィが持っていた石だ。」
「どうして…助かるなんて言い切れるの?」
「よく見ろ。」

俺が、ターニャへ指示すると、ターニャは赤く光る石を拾い上げ観察する。赤く光る石がよほどすごかったのか、ターニャは泣く事も忘れ石に見入る。

「すごぉぉい。燃える石なんて初めて見た。」
「だろ?これなら…」
「マタイは助かるかもしれないね!!」
「ああ。」

俺は、ターニャがほんの少しだけ希望を抱けたと知り、小さく微笑む。その直後俺の中にある疑問が浮かび上がる。

……。けど、どうやって使うんだ?

赤く光る石の使い方についてはターニャも同じだった。ターニャは、俺に訊ねる。

「どうやって使うの?」

ターニャの質問に答えることは出来ない。俺は、即答する。

828適当:2013/10/26(土) 20:53:15 ID:XyikfVgo
「知るかぁぁぁ!!こっちが聞きてぇよ!!」
「えええええ!!」

ターニャは、目を見開いて驚く。どうやら、俺が使い方を、わかっている上で“マタイは助かる”と言ったと思ったらしい。ちっ、ジジィめ。肝心な“使い方”を言わずにくたばりやがって!!こんなワケのわからない石の使い方なんか知ってるわきゃねぇだろ!!俺は、ターニャには思っている事を伝えず、自分の予想を言う。

「体に…くっつければいいんじゃねぇか?」
「体にくっつけるの?」
「たぶんな…。」

さすがに石を口の中に入れるとかは無いだろうからな。俺は、赤く光る石をマタイの額に当てた。額に当てると、効果が出るような気がしたからだ。現に、宝石を額につけているヤツ(ポケモン)だっている。ま、極端な予想だけどな。俺がマタイの額に赤く光る石をつけている横で、ターニャは首を傾げている。傾げてはいるが、俺の行動を止めようとはしていない。ターニャの中でも“もしかしたら、こうゆう使い方なのかも…。”というのがあるんだろうな。お互い何も言わず、俺はマタイの額に赤く光る石を当て続け、ターニャはそれを見守っていた。そして、俺がマタイの額に10秒程赤く光る石を当て続けた瞬間…。赤く光る石の中の炎がマタイの額に吸い込まれていった。

「何だ…!?今のは…。」

俺は、目の前で起きた事に驚き、思わず声を出す。声を出して、間もない内に、マタイの体が突然光り始める。

829適当:2013/10/26(土) 20:56:38 ID:XyikfVgo
「うわっ!!」
「ま…まぶしい…!!」

俺とターニャは、眩しさのあまり目を覆った。さっきの炎が中に入った事と何か関係しているのか?そう思った矢先、ターニャがマタイへ指差し俺を呼びかける。

「見て、ラック!!」

ターニャの指差す方向を見ると、首にあった傷、腹にあった傷が徐々に塞がり始め、やがて完全に傷痕は塞がった。

「す…すげぇ…。」
「傷が…無くなってる。」

俺とターニャは、目の前の光景に驚かずにはいられなかった。マタイを見て二匹してつぶやいた後、マタイは目をほんの少し激しくつむり声を出す。

「うう…。」
「気がついたか?」
「う…うん?」

マタイは、ゆっくりと目を開き俺の顔へ目を向ける。“やった!!生き返ったぁぁぁ!!”と俺がはしゃぐより先に、ターニャ大声で泣きながらマタイの顔へ顔を埋める。

「ぐすっ…。う…うわぁーん!!あん!!あん!!よがっだぁ〜!!戻って来てくれたぁー!!」
「え?え?」

マタイは、突然ターニャに抱きつかれ、胸を涙で濡らされてきょとんとしている。そりゃそうだ。起き上がってすぐ抱きつかれ、しかも泣かれるんだからな。俺はターニャが泣いている理由をマタイに話す。

「マタイ、お前は一度死んだんだ。」
「ええ!?僕がかい!?」
「ああ。信じられねぇかもしれねぇが、あのジジィに殺されたんだよ。」
「うん…?じゃあ、ターニャが泣いているのは…。」

830適当:2013/10/26(土) 21:01:11 ID:Id6mW7tg
マタイは、俺から理由を聞くとすぐに理解し、ターニャへ“心配かけてすまないねえ。”といつもの口調で詫びた。マタイの言葉からは、陽気な態度は感じられず“本当にゴメン…。”と言っているように感じた。まぁ、仲間を泣かせたんだから当然だよな。ふざける場面でも無ぇし、ここは陽気は無しってとこだ。ターニャは、マタイの声を聞くと一度胸から離れ、ほんの少し笑っているマタイの表情を確認し、その表情に応えるかのように笑いもう一度マタイへ抱きつく。

何度も抱きつくのはわかるんだけど、相手は炎タイプだぜ!?時分の体が火傷するとか…そうゆう恐怖心は無ぇのかよ!!と、まぁ今はそんな空気の読めねぇ雄じゃねぇ。俺も、ターニャが笑ったのを機に、少し安心を覚えつられて笑ってしまう。今は、仕方無ぇが普段なら気持ち悪くて想像もしたくねぇな。俺の笑顔なんざ想像もしたくねぇ。だから、時々マタイの笑っている顔を見ると、ちょっとうらやましくなる。それ程、俺は笑顔が似合わねぇ雄だ。今もマタイがうらやましいって感じている。十秒位、マタイに抱きついたターニャはマタイから離れ、マタイへ質問する。

「ふふふ。マタイ、どうして戻って来れたと思う?」
「さ…さぁ?」

マタイは、当たり前のように首を傾げる。まず、死んだヤツが生き返る方法なんて思いつくわけねぇだろ。答えてやるか。

「ジジィをな、倒した時にある石を手に入れたんだ。」
「石?」
「ああ。今は、お前の足元の前に落ちてる石だ。」

俺の言葉を聞くと、マタイは自分の足元にあるそこらじゅうにあるような小さな石へ目を向ける。体勢を低くして、その石を眺めながらマタイは俺の発言を聞き入れる。

「へぇ…。この石が僕をねえ〜。」
「ああ。ったく感謝しろよ?ジジィを倒した俺達を…」
「あはは!!ラック、だっさ〜い。こうゆうのは、“敵討ち”って言うんだよ?」

ターニャの訂正にすぐに反発せず、俺はターニャの言葉を考える。敵討ちか…、いや、俺がやったのは敵討ちなのか?前々から、ジジィにはむかついていたし、単に腹いせで本気出してぶっ飛ばしただけのような…。

「めずらしく素直だねえ。」
「本当だぁ〜!!ラックが私に対して何も言ってこなぁ〜い!!」

マタイとターニャは、何も言わず考え込んでいる最中の俺に驚いた。素直なんじゃなくて、混乱してるだけだ。俺は、二匹に向かって“うるせぇ”と口を開こうとした。けど、その時マタイが突然苦しみ出す。

831適当:2013/10/26(土) 21:04:37 ID:XyikfVgo
「ううう…!!」

突然苦しみを訴えるマタイに俺とターニャは驚き、声をかける。

「お…おい!!お前!!」
「マタイどうしたの!?」
「胸が…胸が苦しい!!」
石のせいか!?やっぱり、ジジィにやられた傷がまだ癒えてねぇって事か!?けど、石のせいだったらどうする?どうしようも無ぇ!!何とか出来ねぇよ!!
「ラック!!ミィなら治せるかも!!」
「ミィ…。確かに、いろんな事を知ってはいるけど、アイツは別に…」
「治すのがメインじゃなくても、他に望みなんか無いよ!!」

くっ…。万事休すか。四の五の言ってる場合じゃねぇな。俺はターニャに賛同し、すぐにミィの元へ向かおうとした。けど、マタイは俺達が考えられねぇ事を言い出す。

「いい…。対した事…じゃないよ。」
「んなワケねぇだろ!!待ってろ!!すぐにミィを…」
「う…。うわぁぁぁぁぁぁ!!」

俺がマタイの制止を振り切ろうとした時、マタイが更に苦しみだした。苦しむと同時に、マタイの体をマタイを生き返した時と同じように光が包む。

「ラック!!また光ってる!!」
「あああああ!!」

マタイが、苦しそうに叫んでいるけど、まさかバケモノになったりしねぇよな?と俺が、苦しそうに大声をあげているマタイを、“何が起こるんだ?”とワクワクする傍ら、“バケモノになるなよ!!”と必死に願おうとしたその時、マタイを包む光の色が、辺り一面を燃やし尽くすような真っ赤へ変化する。

「あ…あ…。マタイ!!一体どうなっちゃうの!?」

ターニャは、恐ろしい未来(こと)を拒むように、マタイを見守る。ターニャも俺と同じ事を考えてるに違いねぇ。絶対バケモノになんかなるなよ!!

832適当:2013/10/26(土) 21:08:24 ID:XyikfVgo
「う…ああ!!力が…みなぎる…ようだ。」

は?今…コイツ何って言ったんだ?マタイが叫びの途中で放った言葉に俺は、耳を疑う。力がみなぎる?パワーアップって事か?と、マタイの言葉の意味を、驚きながら考えていると、マタイが俺とターニャに“離れて!!”と指示を出した。俺とターニャは、マタイに、操られているかのようにすぐさまマタイの指示に従い、駆け足で距離を取った。中距離攻撃なら当たるという所まで移動した所で、ターニャがあせって、俺に訊ねる。

「まままさか、バケモノになんかならないよね!?」
「俺もそう思いてぇ!!けど、たぶんバケモノだ!!構えろ!!」
「ええ!?意識まで失っちゃうの!?」
「知らねぇよ!!でも、姿が変わっても味方って過信すんな!!」

あのジジィ…。とんでも無ぇ石(モン)を渡しやがった!!俺とターニャは、赤い光に包まれるマタイの動きに、備え闘う姿勢を作る。バケモノになったら…、俺はターニャを守りきれるか…?ジジィを倒した時みたいな力がまた、出せるか!?と、突然現れた、自分では到底かなわない敵に対し、逃げる事も考えて始めた時、マタイの体は光と共にだんだんと大きくなり出す。

「ラック!!大きくなってるよ!!」
「仕方無ぇ!!ターニャ、乗れ!!ミィの所まで逃げんぞ!!」

マタイは、俺よりレベルは下だが、あのジジィが持ってたんだ。今のバケモノ化したマタイは到底倒せねぇ。俺の指示でターニャは、すばやく俺の背中へまたがった。またがった途端、俺は全速力でミィの隠れ家に向けて駆け出そうと後ろへ振り返る。いざ逃げ出そうと、前足に、力を込めた時、聞き覚えのある声が俺の耳へ入る。

833適当:2013/10/26(土) 21:13:17 ID:XyikfVgo
「ちょっと待ってよ。どこへ行くんだい?」

どどど…どんなバケモノになっているんだ…?俺は、恐怖のあまり後ろへ振り返らず、マタイへ返事する。

「ににに逃がさねぇってか?」
「う〜ん。逃げられるかねえ。」

くそっ…、闘うしか無ぇのかよ!!俺は、覚悟を決めてマタイへと振り返ったが、マタイが想像を覆す姿になっていた事に驚く。

「うわぁぁぁ!!」
「きゃあああ!!」

ターニャも、想像とは違っていた安心感のある驚きを見せた。俺達の目の前にいたのは、バケモノなんかじゃなくポニータの次の形態のギャロップへ姿を変えたマタイだった。マタイは、安心しつつも驚いている俺達に満足気に笑みを向ける。

「すごいねえ!!ラックが小さく見えるよお〜!!」
「す…すげぇ…。進化しやがった…。」

マタイが姿を変えた事に、俺は驚きを隠せない。俺は、口を開けたままぼそりとつぶやいたがターニャは俺とは正反対の素直に喜ぶ驚きを見せる。

「きゃ〜!!ギャロップだぁ〜!!大きい〜!!」
「はははあ〜!!もう、ターニャを背中に乗せる事は出来ないねえ〜。」
「むぅぅぅ!!乗ってやるもん!!」

ターニャは、マタイ目掛けて駆け出し、背中に向かって高く跳び上がる。マタイは、聞き違えたターニャを慌てて抑止する。

「あわわわ!!違うよお!!高さ的な意味じゃなくて!!」
「え〜い、ジャ〜ンプ♪」
「ええ!?ちょっと無茶過ぎ…」

マタイが止めても無駄だったようだな。それ程ターニャは、気分がノっているらしい。………。つーか、大丈夫か?マタイの背中に乗ったら確実に焼…

「とうちゃ〜く♪」

死する…っておい!!ああ…ついに乗っちまいやがって!!ターニャがマタイの背中へ乗ると同時に、俺は“もうダメだ!!遅かった!!”とターニャから顔を背けた。マタイも俺と同じく“どうなっても知らねぇ…!!”と言いたげそうに激しく目をつむる。きっとマタイは、同時に耳から入る音も無視しようとしているかもな。そりゃそうだぜ。自分の背中の炎でターニャの体が燃える音なんて聞きたくねぇだろうし、俺だって聞きたくねぇ!!俺は目をそらす事に必死で耳を塞ぐことを忘れちまっただけだ…。俺は、ターニャが背中に乗った瞬間、“止めない俺も悪かった。けど、自業自得だ。”と考えつつも、ターニャが炎でもだえ始めた瞬間、ターニャを助ける準備も整える。

834適当:2013/10/26(土) 21:18:14 ID:XyikfVgo
「あははは!!」
え?
「マタイの背中から見る景色は最高だね!!前より、ず〜っと高ぁ〜い♪」

は?どういうこった…。俺とマタイが想像していた事故(こと)は起きず、ターニャはマタイの背中に乗るとはしゃぎだした。何で燃えねぇんだよ?あの火って飾りなのか?マタイも激しく閉じていた目をゆっくりと開き始める。

「それに、マタイの背中…すっごくあったか〜い!!」

いや、あったか〜いとかじゃなくて熱いの間違いだろ!!燃えてんだぞ!!
………。いや、実はヤセ我慢?いやいや、そんなワケねぇよな…。俺は気になりターニャへ訊ねようと口を開くより先に、マタイが、ターニャへ疑問をぶつける。

「ターニャ、熱くないのかい?」
「うん。むしろ、気持ちいいし最高だよ♪」

ターニャは、マタイの背中に頬ずりをしながら返事した。マタイは続けてターニャへ訊く。

「本当かい!?火傷は?」 
「ないよ。だいじょおぶ。」

や…火傷も無ぇのかよ…。ターニャとマタイが会話している最中俺は、目を見開き驚いた。自分が今見ている光景は幻と疑いたくなるような気分になった。ターニャを見ると、相変わらずいつもの楽しそうな笑顔を作るばかりで、苦しいと訴える様子は無い。何で?何でなんだ?マタイは、ターニャの笑い声を聞いて心配そうな表情から、楽しそうな笑顔へ切り換える。けど、俺はずっとターニャが燃えない理由を考えていた。

………。


ラチが明かねぇ…。俺は、自分の思考能力が限界を達したと感じ取り、盛り上がっているターニャとマタイを呼びかけ、財宝の番人が守っていた森の小道へと続く道へ駆け出す。

835適当:2013/10/26(土) 21:22:38 ID:JDcqScy6
洞窟の奥 (森の深部)…


「よっしゃ!!着いたぜ。」

財宝の番人が守っていた小道を進むとたどり着いたのは、木々に囲まれた小さな洞窟だった。目的地へとたどり着き、最初に喋った俺は続き、マタイとターニャの二匹は、洞窟の入口を見上げつつ口を開く。

「うわぁぁ…。全く、対した所だねえ。」
「ホント…。こんな場所に洞窟があったなんて…。」

この二匹と同じように、実は俺も落ち着いたそぶりを見せるが、驚いていた。森に住んでいるからと言って、すべてがすべて知っているワケじゃねぇって事がこの時身に染みた。案外、森にある池とか川とか洞窟とか…。その全てを知ってる気になってたんだな。俺を含む、森の連中(一匹は除くけど)は、意外と知ったかぶって生きているかもな。

「早速入ろうよ!!」
「ターニャの言うとおり!!なんか、お宝の匂いがしてきたよお〜♪」
ウソつけ!!宝の匂いなんてわかんねぇだろ!!お前は、犬型ポケモンじゃねぇんだからわかるワケねぇだろ!!つーか、犬でもわかんねぇよ!!宝の匂い嗅ぎ分けられるヤツなんていねぇ〜よ!!“かぎわける”でも無理だろ!!

「よ〜し!!マタイ、レッツごぉ〜♪」
「お宝が僕達を待っている〜♪ほら、ラック置いてっちゃうよお?」
「は?ま、待てよ!!置いていくなって!!」

俺は夜行性だから、夜も見える。けど、一匹で暗い場所は歩きたくねぇ。何ていうか、昼活動するめずらしいブラッキーだからな。マタイの呼びかけを耳に入れ、俺は二匹に続き洞窟の中へと入る。

836適当:2013/10/26(土) 21:29:34 ID:Nt9mEhLk
洞窟の中…

さて、洞窟の中へと入ったワケだが…。中は、異常に寒いな。今、
俺達は洞窟の中を探索中だ。俺は、寒さのあまりほんの少し体を震わせる。別に、怖がっているワケじゃねぇぞ?そこは、勘違…

「あはは。ラック、もしかして怖いの?」

俺の震えを見ていたらしい。ターニャが、からかうように質問し出した。俺は、体を震わせつつもすぐに否定する。

「ななな…なわきゃあるか!!怖くなんかねぇよ。」

最後に落ち着きを見せたから大丈夫だろ。けど、俺の考えは全く当たらずターニャは、更に俺をからかう。

「まるわかりじゃん。大丈夫だよぉ。私とマタイがいるから。ねぇ〜、マタイ?」
「そうだねえ。むしろ、ラックはこうゆう時ぐらいは俺達を頼って欲しいねえ。」
「頼るって泣きつくって意味かよ?」

俺は、言葉と同時にマタイを睨みつける。マタイもターニャほどではないけど、笑っている。時々、俺の事をからかっているようにも思えた。マタイは、首を振って言葉を続ける。

「まさか。ただ、怖がりのラックも見てみたいねえ。見れるなら、見ときたいねえ。」
「うんうん。」

マタイの言い分を主張するようにターニャは楽しそうにうなずいた。“うんうん”じゃねぇ!!てめぇら、俺の事をどうゆう風に思ってんだ!!お前達(ら)の遊び道具じゃねぇよ!!

「あっ、ラック後ろに…。」

ターニャが楽しそうな表情から怖がる表情へと切り換えた。ターニャは、指で俺を差しつつ何かを恐がっている。

「はぁ!?う、ウソ!?」

俺も気になって、すぐに後ろを振り返った。けど、そこには当然誰もいない。ターニャのいたずらって事だ。ターニャは、自分のいたずらを楽しそうに白状する。

「ウソだよぉ〜♪ラックってやっぱり…」
「怖がってなんかいねぇっつってんだろ!!あれはな、ちょっと背中がかゆ…」
「ふ〜ん、さっきよりブルブルしているよ?」
「違ぇ!!これは、さっきの闘いで疲れたからだ!!筋肉痛なんだよ!!後ろ足が痛てぇの!!」
「疲労痙攣(けいれん)ってやつかい?」
「あっ…ああ〜!!そうだ、マタイ!!そうだよ!!それそれ!!」

837適当:2013/10/26(土) 21:36:24 ID:5ZlUGfAM
俺は、マタイに助け舟にしがみつき、勢いのある口を閉め、ため息をつく。………。ななな…なんだよ?読者達(てめぇら)まで疑ってんのか?は、はは…あるワケねぇだろ?お、俺は悪タイプだぜ?一日中悪い事ばかり考えている悪タイプの森の猛者ラック様だぜ?ゴーストなんか、怖…怖くねぇ。ゴーストが、俺を怖が…

「あれ?もしかしてあれじゃない?」
え?
「ああ!!あれっぽいねえ。宝箱って炎に強かったよねえ?ちょっと、火でも飛ばして明るくして見ようか。」

マタイは、ターニャに訊かれ口から小さな炎を前へ吐き出した。マタイは、宝箱を燃やすような事を言っていたけど、燃やす気は無かったようで宝箱の目の前に炎を落とした。炎の明かりで前が照らされ、ターニャの予想が的中しているのがわかった。何か、いろいろ考えてた間にいつの間にか着いたみてぇだな。

「わぁぁぁ!!宝箱だぁ〜!!よし、マタイ発進ぃ〜ん♪」
「夢のようだねえ!!すぐに行くよお〜!!」

マタイは、言い終えるとすぐに宝箱へ駆け出す。

ウワサはマジだったって事か!?え?けど、中身が空って事も…

マタイが宝箱の前までたどり着くと、ターニャはテレポートをするように、一瞬で地面に下りた。それをバトルで使ぇぇぇぇ!!ってぐらい速かった。よっぽど宝を楽しみにしてたんだな。俺も二匹の元へ急いで駆け寄る。宝箱につくと、何やら二匹が俺を見ている。何かして欲しそうな目で。

838適当:2013/10/26(土) 21:42:20 ID:Id6mW7tg
「はやくぅ開けて!!私は小っさいからムリ!!」
「僕は、座って前足だけを動かすなんて出来ないからねえ。高さは満たしているけどねえ。」


二匹に頼まれて俺は宝箱へ目を向ける。なる程な。ターニャよりは2倍位の高さで、閉められている感じはしねぇ宝箱か。うっしし…さっそく開けるぜ!!何か気持ち悪かったけど気にすんな!!俺は宝箱へ前足(て)をかける。

「お…おお!!ついに、開くよお!!」
「ワクワクするぅ〜!!あけて!!あけてぇ!!」

俺は、じらすようにゆっくりと宝箱を開ける。何かこうゆうのって一気に開けたくねぇ〜んだよな。開けるのもまた一つの楽しみってヤツだ!!

ターニャっマタイから“そんな開け方しないで早く開けろ”みたいな言葉を受け流しても気にせず、宝箱をゆっくりと開け続けついに宝箱を開いた。

「おお!!」
「わぁ〜!!すごぉ〜い!!」
「こんなにあるんだねえ!!」

最初は、俺次にターニャ、最後にマタイとそれぞれの反応を見せる。宝箱を開けた途端、中の金、銀が大量に入っていたからか、マタイが作り出した宝箱の後ろの炎の光を反射してまぶしい程に輝いている。俺達森のポケモン達も想像出来無ぇような宝の山だった。俺達は、しばらく宝の量と金や銀に反射した光に見とれつつも、ターニャが全員の目を覚まさせるような質問をする。

「すごぉ〜い…。けど、どうやって持って帰るの?」
『あ…。』

ターニャの一言に俺とマタイは顔を見合わせる。確かに考えてなかった。こんなにたくさんどうやって持ち帰るんだ?

「むぅぅ。持って帰りたいなぁ…。」

ターニャはいつの間にか宝箱の上に乗り、丸い金を2つ手に取る。一回、人間の住む街に行った時に見た、食いもんを手に入れる何かに似ているな。っと…俺も持って帰りてぇんだけど、全部は持てねぇよ。

839適当:2013/10/26(土) 21:46:44 ID:mSQNyt2g
「ターニャ、全部は持って帰れないねえ。」
「何か、包む袋がないから?」
「違うよ。仮に、持っていたとしても僕達で持って帰るのは無理。だって、重たすぎるからねえ。」

マタイは首を振り、ターニャに諦めを促す。けど、ターニャはあきらめれきねぇのか、マタイを見て提案を出す。

「マタイなら持てそうだけど?」
「僕の背中かい?そりゃあ乗せられると思うよ?だけど、背中に乗せたまま運べると思うかい?」
「うん。」

ターニャは、マタイに期待しているのか、マタイに向けて目を輝かせ、マタイの考えを否定した。乗せられるワケねぇだろ。背中で安定させるように誰が結ぶんだよ。

「ラックが持って、マタイの背中に置けば…」
「できるかぁぁぁぁ!!」

俺はつい洞窟全体に声を行き渡らせてしまった。誰でも言いたくなるだろ、そんなありえねぇ事頼まれたら。その後も、ターニャは“やってみなくちゃわからない。”と口走ってきた、けど俺は当然のように断る。宝箱を持ってたとしても、マタイの背中にのせる事ができねぇ。人間の手のように、自分の手足をそううまくは使えねぇんだよ。ターニャは、俺とマタイで本当に持ち帰れると思ってたようで、俺が“できねぇよ!!”と返すと、残念そうにうつむく。俺だってそうしたいけど、無理なモンは無理なんだよなぁ。

840適当:2013/10/26(土) 21:51:53 ID:mSQNyt2g
「あのさ、少しずつ持って帰るっていうのはどうだい?」
「え?」

うつむいていたターニャが、マタイの声を聞くとハッとした表情に切り替わった。隠していたが、実は俺もターニャと同じだ。そうか!!その手があったな!!俺とターニャは、すぐにマタイの名案を受け入れ、持てるだけ丸い金や色の付いた光る石をくわえたり、手に持ったりして洞窟の入口へと歩き出す。名案っていうか、よく考えたら普通の事なんだけどな。

「さすが、マタイ〜!!今日は冴えてるぅ♪」
「僕もど〜うしても持って帰りたかったからねえ。人間の街にいって、これでおいしい物が食べられるかもしれないって思うと、いても立ってもいられないからねえ。」
だな。きっと価値はある。俺達でもピカピカ光る金、銀に感動するんだから、人間が感動しないワケがねぇ。何より、食べ物を手に入れる時に使ってた、似た色の小っさい丸っこいヤツに似ているしな。

「ミィのウワサって掘り出し物もあるんだね!!」
「普通お宝って、滅多に手に入らないけど、僕達はミィのおかげで贅沢できるわけだねえ。」

そうだ…宝を手に入れたのはミィのおかげだったんだ…。浮かれながら会話をしているのを聞くと、俺は大切な事を思い出した。ミィがいなかったら、俺達は宝なんて手に入れてねぇ。ミィがいなかったら、マタイは進化してねぇ。ミィがいなかったら…



ジジィに負け続けていた俺は、こんなに笑ってねぇ…。

「大事な事を忘れてだぜ。」
『え?』

俺が遠くを見つめながらつぶやくと、二匹の弾んでいた会話が止まった。俺は、遠くを見つめたままターニャとマタイに告げる。

「わりぃ…。先に帰ってろ。」
『え?』
「行かなきゃならねぇトコがあんだ。」

俺は、ターニャとマタイにそれを告げると、恩を売られた雌(
ヤツ)の元へ駆け出す。

「行かなきゃいけないトコって…って、待ってよ!!ドコに行くのぉぉぉ!?」

ターニャの声を遠く耳にしても俺は足を止めなかった。売られた恩は…売られた笑顔(おん)は、ちゃんと返すのが筋ってもんだ!!

841適当:2013/10/26(土) 21:53:28 ID:mSQNyt2g
ミィの家の前

はぁ…はぁ…。ついたぜ。宝をくわえ、首に掛けられる光る石をいくつか首に引っさげて、全速力で向かった先は、恩を売ったミィの家だ。ミィの住処の前につき、俺は立ち止まり、宝をくわえたまま、呼吸を整える。呼吸が落ち着いた所で、俺はミィの住処の扉をたたく。

「はい。」

扉を2回叩いた所でミィが扉に手をかける音が聞こえた。ミィは、扉を開けて俺を見るとすぐに驚き、俺に質問する。

「これは!?もしかして、あの財宝の守護者が守っていた宝ですか!?」
「ああ。」

俺は、自信に満ちた表情でうなづいた。ミィは、俺があのジジィに本当に勝てると思わなかったんだろ。ミィは、俺に信じられないと言いたげそうな表情をずっと向けている。俺は、ミィの心の内を訊ねる。

「ふふ。勝てると思ってなかっただろ?」
「え?そ…そういうワケでは…。」

図星だな。ミィは下をうつむき俺から目をそらし始めた。耳は下にだらんと垂れ、“ゴメン”と言っているように見えた。俺は、今のミィの態度を見ても全く怒りなんて沸いてこねぇ。それ程機嫌がいいし、何より俺を笑顔にしてくれたのはミィだからな。

「いいって、気にすんな。」

俺は笑ってミィを許し、口にくわえている宝と、首にひっさげている光る石をミィの目の前に落とした。“え?”ミィは、目の前落ちた宝を一目見て、再び俺に視線を返した。俺は、それを見計らってミィへお礼を言う。

「サンキューな。これ、やるよ。俺の気持ちだ。」
「え?ええ!?う…受け取れないですよ!!こんなに…。」

ミィは手を振って遠慮していた。けど、俺は前足で地面に落ちている宝を拾い。ミィの手に握らせた。

「あの…やっぱり。」

ミィが断る隙を与えないように、俺はミィの言葉を聞き流し、ミィの首へ光る石をかける。

「受け取れ。お前の取り分だ。」

ミィは、その後何も言わず、笑って“ありがとう”と告げてきた。その時のミィは、今まで生きてきた中で一番可愛いと思える表情だった。つっても、まだ対して生きてねぇ〜んだけどな。ミィの笑顔を見届け、ミィに別れを告げ、俺はターニャとマタイがいるだろうと想う場所へ駆け出した。ターニャとマタイは、俺を確認すると“あれ?宝は?”と訊ねてきた。その質問に俺はこう答えた。


筋を通して来ただけだ。



マタイは、俺の表情が、晴れている事を感じ取り、何も言わずに笑顔を向け、ターニャは言葉の意味がわからず首を傾げた。格好をつけ終えた後、腹が空いていると感じ、俺は二匹を誘い人間の街へ駆け出す。二匹は、俺と一緒に駆け出しながらも、“宝はどうするの?”というターニャの質問を、俺は“そんなモン後でいい。腹が空いてんだメシにしようぜ。”と返した。宝なんか、俺達とミィしか場所は知らねぇし、盗られたって構わねぇ。だって、俺はあのジジィとの闘いで宝よりも、大事な仲間(たから)と笑顔(たから)に気づいたんだからな。

終わり


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