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◇月光裏街 =Moon Light Under the City= PartⅠ◇(

1スレ主様代理 ◆iCHkobYBCw:2010/03/13(土) 10:28:57
◇ City ◇
ここは月光裏街、一日中夜の街。
太陽は常にその姿を隠し、夜空には冴え冴えとした光を落とす、真っ白な月だけが浮かんでいる。
月光裏街にやって来るのは、皆、表の世界では生きられなかった者たちばかり。
今夜もここ月光裏街に、世にも不可思議な風が吹く−−

◇ Rure ◇
・基本何でもアリ(恋愛ALLジャンル、バトルも可)
・違反行為は禁止(過度のエロ、グロ等)
・登録はオリキャラのみで、キャラ設定は不要(ロール内で表現。自由度を上げるため)
・一期一会の精神
・次スレはコピペのできる方

(p:勢いに任せて建ててしまいましたが…大丈夫でしょうか?;
スレ主様に再建の許可をとっていませんので、一応"代理"という形で建てさせていただきました)

2エリス=ヴィオレッタ ◆7GIVPAr5O2:2010/03/27(土) 18:31:29
(PL:お久しぶりです。本体から失礼致します。
少々ネットが繋がらない状態…というか私情にて外国の田舎の方に行ってまいりました。
先日日本に帰ってきましたー、ただいまです。久しぶりに見てみたら親切にもスレッドを立てて下さった方がいたようで…
とても助かりました。本当にありがとうございます!まったりゆったりやっていきたいと思います。
というか…まだ参加者の方々はいらっしゃるのでしょうか?^^;  いらっしゃったらいるよーとでも
書き込んで頂ければ…また交流させて頂きたいです。では、本日はこれにて失礼いたします。)

3満月 ◆Agw9HWhObw:2010/03/28(日) 08:35:04
(pl:私も本体から失礼いたします。)

>>2 エリス様
(pl:えええ、エリスちゃんの本体様ー!良かった、まだいらしたのですね!
もしかしたら誰もいないのかな…なんて思ってしまっていたのです;
外国に行ってたのですか…お帰りなさい^^そして私は外国に旅立ちます←
あ、勝手に立てたのはこの満月の本体です;立てておいて何も書き込まずごめんなさいorz
私もまたエリスちゃんや他の皆様と交流していきたいと思っております。時間はかかると思いますが少しずつ復興していきましょう!
またエリスちゃんと絡めることを楽しみにしておりますーノシ)

4エリス=ヴィレオッタ ◆7GIVPAr5O2:2010/04/01(木) 18:37:34
(ぷらぷら、と暗闇の中に投げ出された青白い足が揺れる。エリスはベンチに座り、広さの割には少ないであろう電燈の光と月の光だけが、だだっ広い広場の割れた石畳を照らしているのを何をするでもなく眺めていた。ベンチの空いた左側には黒い猫が大人しく丸まっている。暗い人のいない広場のベンチに、以前とは違う、白いワンピースの少女と黒い猫という光景は「異常」とも取れるだろうが、それは外の世界の話で、この街では価値観も何もかもを放り出していいのだということを表しているようだった。ぷらぷらと足を揺らしながら、真っ暗に浮かぶ月を見上げて嬉しそうに笑ってはうふふだのくすくすだのと笑い声を零していた。少女の口の中では、イチゴ味の赤いキャンディが赤い舌で捏ね繰り回されて甘みを振りまきながら消えていく。がりっ、と小さくなってしまったそれにとどめを刺すように噛み砕くと、こくんと嚥下して)あまーいのは天国、じゃあにがーいのが地獄?……ぶっぶー、寂しい、のが地獄でしたー。……だぁれもいないねぇ、ねぇアリア。…二人っきりだねー。……もしかして知らない間に「深いところ」まで来ちゃったのかな?でもアリアがいるから「寒く」ないよ、ホントだよー(もう春だというのに、少女は長袖のワンピースを着ているというのに「寒い」というよく分からない表現を使いながら、常人には分からぬであろう言葉を口にしながら隣の黒猫を撫でる。青白い肌、シャンパンゴールドの長い髪に紫の瞳、黒い猫、真っ赤なストラップシューズは、御伽噺のようで。それが現実にあるのだというのだから、この街は精密に狂わされているのだった)

(PL:うぉぉ駄目だ久しぶりすぎて書き方をすっかり忘れてしまっていますね……!エリス本体です、こんにちは。これが今の私の精一杯です許してやって下さい……ホントに……orz
誰か参加者の方、もっかいエリスに構ってやってくれる方は是非絡んでやって下さい…!)


>>3 満月
(PL:よかった……人がいた……!スレを立てて下さってたんですね、本当にありがとうございます^^!
外国に行かれる、ということで……行かれる場所にもよりますが、気を付けて…!旅行などであれば是非楽しんできて下さい!)

5満月 ◆Agw9HWhObw:2010/04/17(土) 22:18:59
(p:遅くなりました;外国からは大分前に帰ってきていたのですが、体調を崩したりしてまして…orz というか、高校ってこんなに忙しかったんですね!暫く、ぽつぽつ来ることになると思います;)

>>4 エリス
(淡い月光に照らされた細い路地の壁に存在する影が揺れる度、カツン、という固体と固体がぶつかる音が響く。影の主である少女は灰色がかった柔らかな髪を靡かせ、白いワンピースから伸びるは細い足。確かな外観を持つ彼女の姿も、影となっては全てが一色、輪郭が曖昧で、壁と影の境界線がぼやけているという事実は現在の彼女の精神状態によく似ている。周囲を見回しても少女以外に「人」らしい人影はない。最も、少女にとっての「人」とは、少女が知る人物であり少女を知る人物であること。この街にとってそのような条件を満たす「人」は限られているために「人」が中々見つからないのは至極当たり前のことで、少女が「人」を求めて歩き回るのもまた当たり前のこと。最早歩く時はその動作をしていないと落ちつかないとでもいうかのように、白を纏う少女は両手を広げ、その身に風を受けながら歩いていた。「人」を探して、月が二度目の満月を迎えたこの日。路地からぬけでると、淡く朧だった光は、心なしか強まったように感じて、彼女は口元に小さく弧を描き、"何か良いことがありそうなのよ"とくつくつと喉を鳴らしながら内心で呟いた。そしてその呟きは的中。少女は「人」を見つけた。路地から出て374歩目のこと。変わらない、変わることのない、彼女にとっては自分という存在を証明してくれるというとても大切な「人」が、確かに目の前に存在していた。どこか弱々しくなっているという印象も受けたが今はそんなことがどうだってよいと感じる。今、ただ感じるのは"嬉しい"という単純にして大切なその感情。今すぐにでも走って飛びついて、彼女の温もりを感じたかったが、はやる気持ちを抑え、一歩一歩を踏みしめるように、彼女への道のりを大切にするかのようにゆっくりと歩いて、彼女の目の前に立つ。両手を広げたまま、はにかんだ笑いを零して小首を傾げると、たった一言、言葉を継げた)
――……見ーつけたっ。

6エリス=ヴィオレッタ ◆7GIVPAr5O2:2010/04/17(土) 23:47:54
>>5 満月

(ふわふわ、ゆらゆら、と意識が半液状の暗闇の中でたゆたうのを感じながら、ベンチに座り込んでいた。傍らにあるアリアの小さな体に左手を置いて、ゆるやかにただひたすら呼吸を繰り返していた。眠いのだろうか?それとも空腹か何かのあまり体が停止しようとしているのだろうか?いや、他人との接触がなさすぎて、きっと世界と私の境界がなくなりつつあるんだわとエリスは穏やかな気持ちで、そう思った。消滅するならそれでいい。それが愛おしい、敬愛してやまない『彼』の与えてくれた結末なら、何だって受け入れられる―…そう思っていた。しかし、聞こえる小さな足音にそんな暗い運命予想は消えていってしまった。しかし、一度ぬるま湯に浸かった意識はなかなか腰を上げてくれず、未だふらふらふわふわした意識を引きずりながら顔を上げる。明かりの少なすぎる中でも、その見慣れた顔ははっきりとわかった。徐々に意識が覚醒していく毎に、エリスの表情は嬉しそうに明るくなっていき)―――…満月、満月だぁ…。どうしてここに私がいるって分かったの?……ああ、でもそんなことどうだっていいわ。だって私、今凄く嬉しいんだもの!(彼女が許してくれたなら、至極嬉しそうに笑ったエリスは、目の前の満月にきゅうっと抱き着くだろう。好きよ、と全身で表すように)


(PL:満月ちゃん、お帰りなさい!体調を崩されていたということで…大丈夫でしょうか?(´・ω・)
衛星面がきっちりした外国の国ならいいですが、そうでない国に行かれていたなら、本当に気をつけて下さい…!
高校はかなり忙しいですよね…でも以前のようにゆっくりまったりやっていきましょう!^^)

7満月 ◆Agw9HWhObw:2010/04/18(日) 00:46:21
>>6 エリス
(翳っていた彼女の表情は時間の経過に比例して明るくなり、発せられた声音からは嬉々や喜々といった感情が滲み出ているように感じられた。温かみのある声で形成された"満月"という4文字の言葉を聞くと、元から微笑が浮かべられていた彼女の表情は更に明るくなる。目の前の人物、エリスに声をかけることに対して全くの不安がなかったわけではないのだ。もしも彼女が「人」でなかったら、もしもエリスが私を忘れていたら、もしもエリスの心に、一片の光さえもなかったとしたら――という、表に出さないものの内心の深層部にはそういった不安要素が蔓延っていたのだ。しかしそんな心配ももういらない。彼女は「人」で私を覚えていて、表情と声音をきく限りは四方八方暗闇という訳ではないようだ。それに加え、私も嬉しいし彼女も嬉しい。夜風に灰色の髪を靡かせた少女にとって求めていた情報はたったそれだけ、それだけの情報が入ればあとはもう十分。今日の天気も今の時刻も、いくつか向こうの通りを闊歩する人間の存在も何もいらない。今は目の前の彼女の笑顔と声音で頭がいっぱい。自分という存在がいることで喜んでくれているのが嬉しくて、"凄く嬉しい"と言う彼女の言葉にうんうんと何度も頷いて同意しながらにっこりと微笑む。誰かに求められたという事実に大きな幸福を感じ、それを笑みという形で全面的に押し出して。微笑みを讃えた表情に広げられたままの両腕は、彼女に対して、少なくとも拒否を感じさせるものではないだろう。降り注ぐ月光は、硬く冷たい石畳を柔らかく照らしていた)
今晩和、エリス。私だって、すっごく、すっ…ごく、嬉しいの…!お月様が、明るいから…良いことが起こりそうな予感がしてたの。きっと、あの予感はエリスと会えたことだったのね。


(p:ただいま帰りましたぁー!大丈夫です、数日ですっかりです^^
っへへ…旅行に行くと、必ずといっていい程、風邪を引いたりする私なので…環境の変化に弱いみたいです。衛生面は大丈夫でした(・ω・´)
ご心配かけてすみません;
はい、びっくりです…まさか8時間授業だなんて思ってませんでしたから…orz
でも、以前のように…いえ、以前以上にゆっくりかもしれませんが、宜しくお願いします^^)

8プラディジー ◆iM/eI.SIzs:2010/04/18(日) 15:33:21
(PL:さ、再建してくださってる…(;ω;)お久しぶりです!スレが消えてしまった悲しみで暫く引きk(ry)ってたプラディジー本体です!久しぶりに来てみたらあがっていたのでびっくりしました、満月様本当にありがとうございます^^/よければまたこのホームレスと絡んでやってください!)

>>3満月
(PL:初めましてになるんでしょうか…お久しぶりです!ホームレス駄目男の本体です+再建してくださって本当にありがとうございました、自分も一応キャッシュは探していたのですがぜんぜんで…役立たずですいませんoyz外国に行ってらっしゃったんですか!自分は怖くて一生国内から出れそうになry)おかえりなさい!体調は大丈夫ですか?;満月ちゃんと絡めるのを楽しみにしていますねノ)

>>4エリス
(PL:お久しぶりです!またエリスちゃんと絡めるて嬉しいです^^帰国されたということで、遅ばせながらおかえりなさい!無性にコンビニまでいって苺味の飴ちゃんを買いたくなりました←)よし、今から行ry)
(深く、堕ちる。暗闇は遠くて、埋もれることさえ許されないのかと思うと、この世界も案外狭いんだなと感じる。この街は限りなく自由で、誰もが描くような幻想郷なのに、隅っこはどうしてこんなに。吐き出すとまだ真っ白い息が上へ上へと昇れば、跡形もなく消えていく。首に巻いただけの襤褸切れのように見えるマフラーに口元を埋めれば、今夜はどこで寝ようかとそんなことを考えながら夜道を歩いていた。決まった宿のない自分にとって、屋根があって寝転がれる程度に綺麗なところであればそこは”家”だ。一度眠った場所に留まらず、ころころと居場所を変える理由は自分にもよくわからない。永遠につきっぱなしの街灯の下は、懐かしささえ薄れるほど遠い昔に浴びた太陽の温かさをほんの少し、ほんの少しだけ思い出せるようで、すぐにその場から離れた。すると歩を進めるごと次第にはっきりと見えてくる人間の輪郭に、ぐるんと頭のなかの記憶が全てひっくり返る。目の前の少女のことを思い出したということ、だった。流れるようなシャンパンゴールドの髪に、青白い肌。まわりが淡色すぎるからこそ映える、二つのアメジスト。少女なのに、少女は少女でない。以前と違う洋服を着ている、ということすらも思い出したのか、なぜか目の前の少女は以前とは違って見えた。襟足の長い金髪を掻きながら近づけば、声をかけようとして開いた唇が閉じる。ベンチの上に丸々猫を見て、少女が独りではないことを知った。)
お前、こんなところで一人で何してるん―――……なんだ、こいつも一緒だったのか

9 ◆YQUUXN652Q:2010/04/23(金) 20:44:23
(この異世界は四月を否定しているのだろうか。指先を赤く染める冷たい風、湿気の帯びた地に張り付く枯葉、呼吸という行為すら憚られるほどの、静寂。住民の視点からすれば何ら変わりの無い景色であるが、それでも今年は昨年以上に“春”とやらを感じない。ここ数日は雨続きの荒れた空を仰ぐばかりだ。黒の外套とマフラーを未だ身に纏っている辺り、冷気は冬並みであることに違いない。―ふと小説の一場面を思い出す。穏やかな春風、碧碧と茂る草木、小鳥の囀り、全ては書物の作者によって作られたフィクションに過ぎなかったのだろうか。丁寧な描写から頭に浮かんだ景色は、決して幻想的ではなく、とても優しいものであったのに。戯言と寒さを紛らわすように両手に息を吐き出して、暗闇に白を燻らせる。所々ぬかるんでいる地面に気を払い、しゃり、と枯葉の潰れる控えめな音を楽しみ、次に静寂を破る何かを期待しながら小さく足を踏み締めた。彼の佇む此処は街外れの雑木林であり、数百メートル離れた先に湖沼がある。わざわざ赴いた理由を強いて挙げるとすれば、そんな気分だったから、であった。街灯や建物といった人工的な妨げが存在しないこの場から見上げる夜空は、どこか新鮮に感じる。悪い気は全くしない。何気なく視線を地面へ向ければ、雑草に隠れてひっそりと淡黄色が咲いていた。本来安らぎを覚えるはずのイングリッシュ・プリムローズがやけに浮いて網膜に映る。春の陽気に満ちた場にこそ相応しい花であるのだが、如何せん場所が場所であるが為にそれは孤立して見えるのだ。けれど、柔らかな月光を浴びてその存在を知らしめている五弁花もまた綺麗だと思う。周囲と同化せず凛と咲くその姿は、自分とまるで正反対だ。不意にひんやりとした風が花弁を撫ぜ、彼の肌身を震わせる。止めば、何事も無かったかのように愛らしい淡黄色を此方に向けた。――視線から逃げるように見上げる空は相変わらず漆黒に満ちており、光源たる満月もまた、変わらず自分を見下げているのだ)
――…君は、自分を愚弄しているみたいだ


(pl:今晩は、お久しぶりです。再建感謝致します。今年は本体が受験生である為、返事等ものんびりペースになりそうですが、今後もどうぞ宜しくお願い致します。ええと、文章のgdgdさについてはノータッチで;返事し辛いよー、という場合は、絡み文を用意して下されば此方から喜んで参りますので^^)

10満月 ◆Agw9HWhObw:2010/04/23(金) 21:46:09
>>8 プラディジー
(p:いえいえ、お礼を言われる程のことではございませんとも…!此方こそ再びお会いできて光栄です。といっても絡んだことはほぼ皆無ですが;外国に行くと、祖国の温もりがよく分かります!はい、体調は大丈夫ですよー^^。ただ今絡み文をちょこちょこ作ってます。何れ投下しますから、その際、絡んでくださったら嬉しいです。もちろん貴方様が投下してくだされば此方から絡みにいきますよー!)

11満月 ◆Agw9HWhObw:2010/04/23(金) 21:46:27
>>9
(肺から汲み上げた二酸化炭素を多く含む吐息を出すと同時に空中を白く染め上げたそれは僅かに空中で待機した後、溶け込むように消えた。息を吐く度に目の前が白くなるのが面白くて、以前はそれで何かを形作れないものかと試行錯誤したものだが、今は消えてしまうのが何だかどうしようもなく寂しくて、何度も何度も絶え間なく息を吐いては、暗闇の中に白を残した。しかし回数を重ねる度に白は薄まり、やがてどれ程息を強く吐いても白など現れることはない。白に近い柔らかな灰色の髪と、白いワンピースを纏った少女は、心にぽっかりと穴が空いたような感覚に陥る。何かで埋めたいと無意識に強く願った少女は、跨っていた太い木の枝に体を押し付けて、ぎゅう、と固くてちくちくとした痛みを感じる太い枝を抱きしめる。少女の現在地は、街外れの雑木林、立ち並ぶ木の中でも一際しっかりとした根を張る木の枝の上だった。何故そのような場所にいるのか、大した理由はない。いつものように腕を広げ、時折くるりくるりとワンピースの裾を広げて回転をしていたら雑木林の中にいて。ふと見上げた大きな木、上へと登ってみれば輝く月に手が届くかも、何て思って、気がついたら木の突起に手をかけていたのだ。登り終えると少女は満足感で胸を満たされていて、月を見上げたり、木の枝をぺたぺた触ったり、吐息で遊んだりしていた。しかし吐息による白という遊び道具をなくし、体を枝上に寝かせた少女の視線は自然と下ろされる。平常心から好奇心、好奇心から達成感、達成感から落胆・寂寥へと模様を変えていた少女の次なる心は退屈で、手持ち無沙汰になった少女は小さく吐息をついた。それと同時に風が吹き抜け、少女の髪を後方へと靡かせる。何気なく髪先の行方を追った少女の視線は月明かりに導かれるようにしてある一点で止まる。少女がうつ伏せになっている枝は巨木の中腹であるために、枝葉が生い茂り、地上を見据えるには些か簡単ではないがそれでも少女はジッと見つめて耳を澄ます。すると夜の冷気よりもすーっと溶け込んでくるのは聞き覚えのある声と、独特の雰囲気を放つように感じる言葉。もしかして、私は知ってるのかしら?何て思って、知ってる人にはご挨拶、知らない人には初めまして、が定石だから挨拶をしようと思い立つが、能に染み込むのは、少女にとっては少し小難しく感じる言葉。それは少女にいくつかの疑問を浮かび上がらせる。彼は月を"君"と称し、"愚弄しているみたいだ"と月の感情を表す言葉を口にした。彼は月と口でも利けるのだろうか?何て疑問が生まれて、知らないことは知りたい、という思いが優先的であった今日の少女は、挨拶よりもまず先に疑問を彼に向かって放った。とはいっても、少女の現在地から彼までは離れているうえに木が枝葉というカーテンで少女の姿は隠されているに等しく、少女の声は、"満月"から発されているというより、森から発せられている、と感じさせてしまうかもしれないものだった。)
――ねぇねぇ、"君"って、お月様のこと?貴方は、お月様の言いたいこととか、言ってることとか、分かるの?
(p:わっ、お久しぶりです!再びお会いして絡むことが出来て嬉しいです。受験生さんでしたか…私も去年体験しました。辛く苦しいことではあると思いますが、無理せずに頑張ってくださいね^^)

12 ◆YQUUXN652Q:2010/04/25(日) 04:53:05
>>11満月
(慮外な展開だ。あくまで至当に雑木林を支配していた静寂を突如裂いたのは、動物の鳴き声でも雨音でもはたまた世界の崩壊する音でもなく、あどけなさの残る高音であった。上空の月を仰ぐ形でその場に立ち尽くしていたのだが、どういう訳かその得体の知れぬ“音”が聞こえたのも上方からであったのだ。当然の事ながら満月や樹木が自分の言葉の意味を汲み取って問いを返しただなんて現象が起こったのではない。異質を兼ね備えたこの街を対象とすれば、それが起こり得る可能性も無きにしも非ず、と言ったところだが。見解の差異とは面白いものだ。下らない思慮を巡らせるのを止め、至って単純に考えれば声の主がこの近辺に居ることは明確である。一度聞いた声とはなかなか忘れないもので、彼は一人の少女を頭に思い浮かべていた。第一印象は“人間らしい”人なだけあって、投げ掛けられた問いからも子供のような純粋さを感じ取れる。実際に月と意思疎通が図れたとしたら、この街での暮らしはどれほど不自由なものとなるだろう。朝から晩まで暗闇に孤立して浮かぶ“彼”の相手をしてやるだなんて真っ平だ。可笑しくて、思わず口元をぎこちなく綻ばせる。最も木の葉に埋もれている彼女の視点から、彼の表情まで伺うことは難しいだろうけれど。さて、以前よりかくれんぼの範囲が広い為―当人は“隠れている”気は満更ないだろうが―自分から見つけ出すのは面倒だ。場所が分かった所で仰視し続けるのは疲れるし、だからと言ってこの太い幹を登っていく自分も想像出来ない。彼女はよく登る気になったものだ。取り敢えず声のした方向へ視線を向けて、淡白な誘い文句を紡ぐ。次いで地面に降りることを促すように両手を差し伸べた。同時に、恐ろしいほどに綺麗な相貌から降り注ぐ青白い薄光が、彼の無機質な表情を浮き立たせる。ふと脳裏を過ぎったのは、今の“彼”の名も彼女の名も、満月であるという今更な共通点であった)
うん、正解。生憎だけど、そんなもの分からないよ。自分はあまり月が好きじゃないからね、暗闇は照らすし、綺麗すぎるし。さっきのはちょっとした愚痴だよ。
…それにしても、君はまた自分の見えない位置から話しかけるんだね。ちゃんと顔を見せて。もし退屈なら、自分と少し歩かない?

13のせ ゆ ◆w9zlmQlObk:2010/04/28(水) 00:22:09
(いつまでも途絶えることのない道。そう、それの存在は今の自分がそう信じてるだけで、消えぬものなどこの世に存在しないのだと何かは語りかけてくるが、それを拒絶するのが人間である。きっと、自分もそのうちの一人。でも、自分はもうすでに多くの物を失っている、─はずだ。でもそれも比べる物が無いからこそ言える言葉であって、それの比べる対象が出てきてしまえば自分などちっぽけなものなのだ。下らないと片づけられてしまえばそれで終わり。そう、大きなものを背負うほど立派な人間なんて地球上にいるとしたらひとつまみだとか贅沢なことはないし、そんなものがあるとしたら人間の驕りだろう。そう、自分も、そう、相手も、そう、そう、そう───…。)
───、……あ、いちご、なくなっちゃった。
(はっ、と一人の少年が目を覚ますと、そこはたまたま散歩でみつけた曰く付きのありそうな小屋の中にのせゆは居た。静かすぎる空気、古くとも趣のある小屋、美しすぎる月、──良い物ばかりがそろってもそれが良いとはかぎらないのだと、自分の分からぬ範囲で理解する。人間は、本当の美しさを目の前にすると出てくる答えは"綺麗"でも"すごい"でも"素敵"でもない。不思議なことに"恐怖"、なのだ。驚くほどの不安を駆り立てられて、何かを締め付けられるような苦しさが自らを襲う。でも、ひくことはできない。それらは人を魅くから身体は拒絶をするどころか拒絶するどころか求めてしまう。人間の全てである脳も。のせゆは思考回路の回らぬ頭で突き刺すように窓から顔を映す月光にゆっくり顔を傾けると、そこには邪魔なほど茂る林の間からひょっこり顔をだす月が。兎の姿は確認できない。…まだ休憩中のようだ。しばらくそのままぼうと一点を見つめ続けるが今のそこには何もない。気づけば恐怖がいるが、まだ気づく様子もなく、30分すぎたか。月が消えようとすることにやっと兎は腰を上げた。掌には何かぐしゃりとにぎり潰されていた物があり、それは匂いを残すだけで姿は無い。すん、と鼻を甘く、自分の大好きなものの匂い。ゆっくり掌を開くと、そこには花のようにピンク色の綺麗な包み紙が一つ。──ああ、そうだ。全て自分が食べてしまったのだ。煙草等の存在を知らないような少年が言うのも可笑しいが、口元が寂しかった気がした、…はずだ。そして気づいたら最近買ったばかりの飴は全てなくなっていて、自分がもっている以外の包み紙は車いすの周りにちらばっていた。/長くなってしまったので一度切ります)

14のせ ゆ ◆w9zlmQlObk:2010/04/28(水) 00:22:25
(床に目を移して、目を細めてみる。多少埃が沈む床と鮮やかなピンクの包み紙が散らばる様子は不愉快なはずなのに何故か目が離せなくて、ただ一点を見つめてみる。不思議な歪みがそこにあると言うのだろうか。嗚呼、定規で引き直さなければ。こんなに曲がった線じゃ駄目だ、駄目駄目駄目駄目駄目。円形にも四角形にもなれない可哀想。 でも、綺麗な真っ直ぐな線を描くために定規なんて無意味なのだと心のどこかで思っている自分が居た。先生に言われたことはないだろうか?真っ直ぐな線を引くためには定規をあててひくと良いよ、きちんと押さえてずれないようにね、と。当時はどうしていただろうか。素直にそんな渡された定規で線をひけていただろうか。歪んだ世界で生まれた生き物が作った歪んだ物で本物を歪み以外を描けるののが不思議でならない。どうして?何で?今ではそれらは疑問へと変わってしまう。人は今立っている場所と、この広い地球と何度の関係で立っているのかな、綺麗に立てているのかな。ですがごめんなさい、俺は揺らいでいるようです。ぐしゃぐしゃの頭を軽く掻くと、普段の姿と異なる雰囲気の溜息が漏れた。綺麗に、しなくちゃ。)

(PL:キャラどころかロルすら何か邪気を感じてしまいます…。どうもこんばんは、お久しぶりでございます。の せゆの本体です。スレが無くなってしまってから、初書き込みでしょうか?あまり顔出しできなくて申し訳ないです。最近掲示板でROMぐらいはしていたのですが、書き込む時間が無くて文章力の劣化が見えていて本当にこんなのでいいのかっていう感じです;改めて、これからもあまり顔を出すことが減ると思いますが、それでもよければお相手してやってくださいませ。よろしくお願いします!(・ω・´)

15エリス=ヴィオレッタ ◆7GIVPAr5O2:2010/05/08(土) 20:41:03
>>7 満月
(突然流れ込んできた幸福の暖かさに、頭と体がぐらぐらふらふらする。追いつかない、追いつかない。彼女の薄い体に縋りつくようにして腕をまわして、彼女の肩口に額を擦り寄せる。あたたかい、ひとが、そんざいしている。まるで猫がぐるぐると喉を鳴らしながら擦り寄るように、犬がパタパタと尻尾を振りながら体を寄せるように、エリスもひたすら満月に身体を寄せていた。「うふふ」と、幸せが微笑みになって毀れ落ちてきた。その微笑みは冷たい冷たい石畳の上をするすると滑って、誰もいない暗闇に消えていった。頭がぶるぶる震えて「幸せだよー!」って叫んでいるのが分かる。一旦体を離して満月の顔を真正面から見て、えへへーと嬉しそうに笑った。酷く邪気のない、屈託のない微笑みが青白いともいえる肌の上に広がっていた。まるで素敵なものを与えてもらった子供のように、逸る言葉を拾いながら――…)あの、ね、あのね……満月、私ね、ずっと寂しくて…。でも、もう寂しくないよ!だって満月が来てくれたもん!えへへ、嬉しい…嬉しいなぁ……もう誰もいないと、思ってたの。(最後につぶやいた言葉は、トーンの落ちた少し暗い声色だった。誰もいない深海に、知らぬうちに溺れてしまっていたのだと思っていた。でも違った。光が在った。「しあわせだよ」と何処か拙い口調で言うと、ふわっと微笑った)

>>8 プラディジー
(先程噛み砕き嚥下したあの苺味の飴玉の破片が、口の中のどこかの粘膜を傷つけたのか何だか口の中が鉄のような味がする。ことり、と首をベンチの縁に乗せて鈍色の空を眺めていた。月の真横の空は綺麗に照らされるけれど、光から離れた空は暗いまま。不幸ね、と口の端から憐れみでも何でもない、ただの感想のそれが零れおちてゆく。ふと前方に人の気配を感じて其方を見てみれば金色の髪の、彼。わぁ、と子供のように歓声を上げて笑う。まるで踊るようにベンチから立ち上がると、白いワンピースが暗闇でひらりと翻って、暗闇に残された白の残滓は滲んで消えていった。以前と変わらない真っ赤なストラップシューズが石畳とぶつかっているのにも厭わず、くるくると彼の周りを回るように色々な角度から彼をしげしげと眺める。)ほんとだ、本物のプラディジーだ!…すごぉい、本物だ。……でも、プラディジーがいるってことは、ここは「街の奥」?それともまだ世界とつながってる場所なの?(彼の真正面で足を止めると、上に位置する顔を真っ直ぐに見上げて本物だと繰り返しながら嬉しそうに笑ったのち、ぽつんと呟くようにして言葉にされた疑問に、彼にとってはよくわからないであろう質問を投げかけて)

>>9 >>13 黒・のせゆ
(PL:お久しぶりです!かなり遅れてしまって申し訳ありません…!orz/またお会いできて凄く嬉しいです、またお話しできるのがこんなに…こんなに幸せだなんて……!(*´д`)
駄文になりますが、一応絡み文が>>4にあります。よければ絡んでやって下さい!)

16のせ ゆ ◆w9zlmQlObk:2010/05/23(日) 23:00:36
>>4(エリス)
(どこからか虚しい音が聞こえる。壊れかけたメリーゴーランドなんて目じゃない、その中にいたら自分自身が壊れながらも拒絶故に目も耳を塞ぎ、断末魔がすり切れるまで叫んでしまいそうな…、そんな暗闇の中にいる感じがする。無意識のうちに気持ち悪くなった気分を落ち着けさせようと車いすの後から一本の瓶を取り出して、その液体を口にする。昔は違和感を感じて飲もうとしなかったが、今ではぐびぐびと喉に通してしゅわと広がる炭酸が心地よい。──…いつもなら美味しく感じる砂糖が大量に投入されてるこの飲み物ですら胸焼けを感じてしまいそう。なんなのだろうか、この妙な感情。それは自分のでは無いと感じるもので、逆にそれが恐ろしく感じる。まるで、他人に侵されている感じばかりが胸を満たして心臓が痛い。ふらつく頭をたたき起こして、何かを求めた。この街だからこそ見つけた大きな価値のあるものを、何処ぞ何処ぞと。きいきい音を鳴らしながら散った花を細いタイヤですりつぶし、空を見上げながら手は止まらない。止まってしまったら、私は歩む事を諦めることになるから。ごわごわした髪がどうも邪魔、探してる物がもうすぐ見えそうなのだ。それなのに前髪が邪魔をする。でも手を止めてはいけないから、見つけるまで、今、そこに。)
───…、エリス?
(見つけた、輝く白。ぽっかり開いた広場の中にだけにしか興味が無いように求めた物は広場にいる少女、エリスにふりかかっている。驚いたものだ。こんな感情の先に彼女がいるなんて。息も絶え絶えに必死に動かした手の痛みなども忘れて彼女に近づいて、声をかけた。──自分が求めていた物はそう、月。月だった。でも、今ここにくるとそれが違うと否定される、もう自分で自分がわからない。それでも何をすればいいのかだけは分かっているようで、また無意識のうちに月を見上げた。錯覚してしまわぬように。)

(PL:遅くなってしまい申し訳ないです;ロルがなかなか上手く書けないで試行錯誤したつもりなのですがダメダメですね…。なんだかよくわからないものでごめんなさい;改めましてお久しぶりでございます。の せゆの本体です。また仲良くしてやってくださいまし(´;ω;`)よろしくお願いします!)


(PL:後、絡み文を投下されている方から順に絡んでいきます。すぐには文をかけないかもしれませんが、気長に待ってくださればそのうち車いすがつっこんできますので…!少々お待ちを…!)

17満月 ◆Agw9HWhObw:2010/05/28(金) 17:55:39
(p:返信が遅すぎて申し訳ありません;
どんなに遅くなろうともレス蹴りだけはいたしませんので、おせんべいでも食べながら気長にお待ちいただけると幸いです。つ【お煎餅(海苔)】)

>>12 黒(p:すみません、入りきらないので2回に分けます;)
(幾枚もの葉や縦横無尽に伸びる枝に視界を阻まれながらも、僅かな一点へと差し込む月明かりが照らす先には人影がいることが分かる。自身が発した問いに対する彼からの解答を待ちながらも、ジッとその一点を凝視して、その人影の正体は誰なのかと思考を巡らせる。照らされているとはいえ、暗闇が支配権を持つこの街、この空間においては人影を突き止めることはできない。目で正体を捉えることは困難だと察した少女は、次いで声音と独特の雰囲気から辿ろうとしたが、その矢先に彼からの解答。辿る行為は後回しにされたようで、少女は解答を"うんうん"と小さな声を出しながら何度も頷きながら聴き、頭の中で反芻する。彼の言った言葉の意味を真剣な面持ちで考えて、やがて一つの結論が出されたことを告げる小さな呟きが出される。納得したように一度大きく頷くと、解答に対する返答を一語一語考えながら、ゆっくりと答える。彼は月をあまり好きではないと言ったが、少女は本心から月が好きだ。月の輝きも、神々しさも、切なさも、温かさも全て。そう、全て好きだ。だから少女は実感した、彼と自分は違う、人はそれぞれで、だから人なんだ、と。少女にはまだ難しいことや哲学的なことは分からないが、瓦礫と化した館から発掘した本の中に、人間性についてだとか、小難しいことが多々記されており、読んだ当初はただ文字の羅列を目で追っているような感覚だったが、今漸く、あの本に記されていたことがほんの少しだけ分かった気がする。理解をできたことが嬉しくて、元より高音な声を更に幾分高くして、少女は彼に返答する。くすくすと楽しげな笑いを含ませながら、月が好きだと、貴方を見つけられた、と。今現在の少女の表情を誰も見ることはできないが、誰か見られるものがいたならば、恐らく少女の表情は喜悦に満ちていることだろう。"

18満月 ◆Agw9HWhObw:2010/05/28(金) 17:56:29
"また"=再び=二度目・再来=経験。彼が何気なく発したであろう言葉を少女の耳は逃さなかったようだ。元より彼は自分を知っているのかもしれない、という期待を持っていた少女は特にそういった言葉に過敏に反応する。それにより、彼が自分を知っている、自分が彼を知っているという期待と予想は確信へと変わり、少女は正体を突き止めるために唸り声を上げながら記憶を辿る。当初は期待だったからだろうか、中々正体を突き止めることができなかったというのに、確信に変わったことによりより明確に記憶を辿り、忽ち答えを導き出す。声と、独特の雰囲気と、喋り方と、"また"。それらから導かれる彼の正体は闇と似て非なる"黒"。答えを手に入れた少女は嬉々とした様子で彼の名前を何度も呼びながら笑う。知ってることが嬉しくて、正体を突き止められたことが嬉しくて、歩かないかと誘われたことが嬉しくて。満面の笑みを表情に浮かべながら、彼に"すぐ降りる"と告げた少女は、幹から地面へと降りようとするものの、一分一秒でも早く彼に会いたかったためか、些か…否、かなり無謀な手段に出る。そっと枝から地面を覗き込んで、少女が脳裏に浮かべた言葉は"大丈夫"。そして次の瞬間には、あろうことか枝に華奢な腕だけでぶら下がり、掛け声とともに下の枝を求めて手を離す。少女の現在の装備は白いシルクのワンピース、赤いカチューシャ、タイツに、黒いTストラップシューズ。この装備で巨木の中腹にまで上り詰めた行動力もある意味では賞賛に値するかもしれないが、枝を伝っておりようとする少女の行動力や思い切りはとても褒められたものではないし、大丈夫なものではない。案の定、下の枝へと移ることは叶わず、枝葉を揺らす音と共に少女は落下していく。が、生い茂る枝葉が障害となったらしく、落下のスピードはさほど速くはない。顔を片腕で覆い庇いながらも、何とか地面に一番近い枝を掴んだ少女は間一髪で地面に叩きつけられるという現象は起こらなかったようだ。片腕で自身の体を支えることはキツイ。顔を庇うのをやめてもう片方の腕も枝を掴んでから下を見て地面が近いということを認識すると、両腕を離して地面へと降り立ち、"ふーっ"と安堵の溜息を大きくついて。)
……ふぅん…やっぱり、貴方は貴方で、私は私なのね。私は、お月様、大好きよ。明るいし綺麗だし、それに、お月様が照らしてくれたから、貴方を見つけられたんだもの。お月様に、感謝なのよー。
また?またってことは、会ったことがあるから…うーんと…えっと……あ――!黒!黒ね、黒でしょ?わぁ、何だかすっごくすっごく嬉しいの。うんうん、すぐそっちに行くから、ちょっと待っててほしいのよ。せーの――っ…わ、わわ…わ…っきゃー!

19満月 ◆Agw9HWhObw:2010/06/06(日) 22:30:13
(p:すみません、微妙に入りきらないので2回に分けますね;)

(満月という名の少女は普通の歩行ができないのだろうか。今宵も両手を広げて、数歩進んではくるりと回り、一歩跳んではくるりと回る。歩みと回転を繰り返しながら、石畳が敷かれた街の一角を徘徊する。紺碧の空に懸かるは純白といえる月、陽光が注がれることのない街に降り注がれるのは清明なる月光、月の恩恵をその身に受けるのは樹木か、建造物か、少女か、それとも世界か。何が、誰が、どれ程恩恵を受けるのか、どれ程"恩恵"としているのかは定かではないが、少女は純粋に自身を照らしてくれる月に感謝している。出来るならば月を抱き締めて、普段自分が貰っている温かさの何十分の一でもいいから返したかった。私はいつもこれの何十倍の温かさを貰っているのよ、ありがとうお月様。そう云いながらぎゅうっと抱き締めたくて、空に浮かぶ月を見ては、手を伸ばせば届くのではないかと、空に手を伸ばしてみる。でも届かないから、背伸びして、腕も限界まで伸ばすのに、全く届かない。だがそれでも少女はその行為をやめるという選択肢は思いつかず、今宵もまた葉が生い茂る木の横で立ち止まると、回れ右をして月の方向へと体を向けると手を伸ばす。届かない。それどころか、大好きなお月様が生い茂る葉が妨げとなってところどころ姿を隠されてしまっている。すぐに"移動する"という案を思いついた少女は、今度は前と後ろ、どちらに移動するかを考えた。少女がこれまでに読んだ書物と、"満月"として生まれてから今日までの人生経験、つまりはこの街に来てからの経験に基づき考えてみる。何か物を見る際、あまり近すぎては見づらく、全てを見ることはできない=遠い方が見やすい。イコールで繋がれた二つの文章は、繋ぐものではない。しかし少女の脳内でしっかりと、二本の直線で結ばれてしまった二つの文章から、導かれる行動は一つ。少女は腕を伸ばした状態のまま、緩慢な動作で後方へと一歩、二歩、と下がっていく。これにより月は葉という妨げがなくなり、その全貌を少女の瞳に映らせるかと思われたが、寧ろ余計見えづらくなった。

20満月 ◆Agw9HWhObw:2010/06/06(日) 22:30:47
どうして見えないの?伸ばしていた腕を下ろして首を捻る。何故なのかしら、と思案しながら右、左、右、左と首を定期的に捻る。上を見上げて下を見下ろして左を向いて右を向く。この行動に何ら意味はなく、ただ何となく、思案する際の付加行動。だがしかし、時として、意識して行った動作でなくとも、無自覚に行った動作で、何かが引き起こされたり、何らかのキッカケになることがある。そう、今みたいに。右を向いた少女の目に飛び込んできたのは古いがどこか情緒のある掘立小屋。一瞬にして目を奪われ、思案することなど忘れて食い入るように壁やドアを見つめる。ジッと、ただ、ただ静かに。少女が小屋を見つめて十数秒、ひゅう、と風が街を吹きぬけて少女の頬を撫で、曖昧な満月の意識を覚醒させる。小屋を見つめていたのはほんの十数秒、しかし満月にとっては永遠とも刹那とも感じられる時間、惹かれた小屋。この中に何があるのか分からないけれど、だけど魅せられてしまった。満月は恐る恐る小屋に近づいて、取っ手に手をかけようとするが、生じた気の迷いから手は宙で止まる。空けていいの?空けることは許されるの?常識から考えるならばあけるべきではない。だがこの街は精密に狂わされた街。常識と非常識はイコールで結ばれてもおかしくはない。何より、満月は小屋の中を見ずにはいられない、見ずにはいられないのだ。そっと取っ手に手をかけて、ぐっと強く握る。はやる鼓動をすぅっと深呼吸しておさえながらも、コンコン、と一度ノックをしてから、取っ手を引いた。ガチャン、と金属特有の音が小さく響くと同時にドアと壁が離れ、小屋の中には開いたドアから外の空気が流れ込む。空気に遅れてそっと小屋の中を覗き込むと、そこに存在していたのは歪んだ時間と車椅子と一人の、"知っている"少年。見知った人物を見つけたことが嬉しくて、そこに歪んだ時間が存在していることも気にせずに小屋の中に踏み込むと、名前を呼びながら彼の傍に寄ると嬉々とした様子で微笑んで。)
――…のせゆ…?のせゆ……!こんにちは、えへへ、会えてすっごくすっごく、嬉しいのよー!
(p:遅くなりまして申し訳ないです、お久しぶりです満月です!久々にのせゆと絡めてとても嬉しいです…へへ、のせゆ可愛い!本体は変態ですが満月は変態ではないので、どうぞ宜しくお願い致します!)

21名無しさん:2010/06/26(土) 14:53:57
支援age

22プラディジー ◆iM/eI.SIzs:2010/07/04(日) 01:13:11
>>9
(PL:ご無沙汰しております、ホームレスの本体です。遅くなって申し訳ありません;/また黒様とお話できるなんて夢みたいです、嬉しくて指が…!受験ということでお忙しいとは思いますが、自分も亀レスなのでゆっくりお話できたらなあと思います!)

(漆黒というより濃い紺色をした夜空にぽっかりと浮かんだ満月は、今夜も変わらない表情と角度で自分を見下げている。幾年幾日経っても一向に沈む様子を見せない満月は、その淡い輝きと聖母の様な微笑の裏に酷く傲慢で嫉妬深い一面を隠し持っているような気がして、其れを予感から確信に変えてみせようと無駄な足掻き、何度こうして夜空を仰いだだろうか。空を見上げる度、如何してか其処に浮かぶ満月も人の表情をしているような気がしてならないのだ。此処では、此の街では私が全てよ、と。自分にはないものを持つ太陽に静かに嫉妬の念を燃やして、自分の存在を肯定、嫌でも其処を動こうとしない。けれどきっと太陽も同じように、自分にはないものを持つ満月相手に焦れていることだろうに。擦れ違いばかりの彼らはお互いの事を恨み羨みながら、お互いの姿を見ることなく一生を終えるのだろう。そう思うと滑稽だと思う反面、酷く真面目な気持ちになった。此の気持ちは、一体何だろうか。――彼にとって、次に静寂を突き破る何かは此の男の足音になった。彼のように枯葉の音にさえ気を止めて進んで行く思慮深い歩き方とは違い、ずかずかと無遠慮に辺りを踏み散らすような歩き方をする自分だからこそ、彼の耳に届く音は彼の望む物とは違う唯の雑音と成り果ててしまったのかもしれないけれど。普段通りの歩き方に加え、少し急いて足早な歩調だったせいもあるかもしれない。男は今夜もまたモカコーヒー色をした薄っぺらいコートに身を包み、首にはくすんだ茶色のショールの様なものを巻きつけた格好で此の雑木林の中を歩いていた。所々解れたり煤けてしまっているコートやショールを今でも大事に愛用しているのは他でもなく、唯毎日着替えられるほどの着替えを所持していないという間の抜けた理由であった。其れでも中途半端な所で散発された金髪と首から提げた金色の懐中時計がまだ見れる程度に綺麗なのは、決まった宿すらない此の男にも多少なりとも稼ぎがあることの証拠なのだろう。男がこうして雑木林に訪れた理由は、なんとなく、唯それだけ。実は自分よりも先に此の雑木林の中に居た相手と似たり寄ったりな理由だという事なんて知る由もないことだが、彼の後姿を見つけて数十秒、空を見上げる以外に何も行動を起こさない所を見ると相手は何か用があって此処に来たわけではないということがよく分かった。空に、何かあるのだろうか。声を掛けるのも忘れ再度相手と同じように空を―否、満月を見上げてみれば、まるで空白のコマに小さな吹き出しが付け足されたかのような声で。――愚弄しているみたいだ――呟くような其の言葉に驚いて双眸を見開く。自分から相手まで十数メートルの距離はある、彼がそれほど大きな声で独り言を呟くとも思えない。なのにやけにすんなりと耳に届いた其の呟きに、自分よりも若いはずの彼の背中に哀愁染みたものを見た気がした。気づけば一歩踏み出していて、今にも闇に溶け込んでしまいそうな外套を身に纏った相手に声を掛けてしまっていた。こうして分かったような口を利いてしまうのは、自分の悪い癖だろうか)
―――…愚弄されてるように感じんのは、お前が自分を下に見てるからじゃないのか?

23エリス=ヴィオレッタ ◆7GIVPAr5O2:2010/07/17(土) 14:00:21
>>16 のせゆ
(吐き気がしそうなほど濃密な闇が、月の光も届かない路地裏の入り口から此方を見つめてくる、微笑みかけてくる。柄にもなくエリスは、恐怖を感じた。いやだ、見ないでと口の中で呟いてその闇を睨み付けたって、彼らは口角を上げてにたりと笑うだけ。いやいやいや、とまるで駄々を捏ねるように首を振って視線を下げて、逃げる。ひゅう、と細く開いた唇から毀れ落ちる吐息が青白い膝を伝って、消えていく。どうにかこうにか再度上げた視線の先には、不敵に笑う暗闇なんかいなくて、車いすの、子が一人。あ、と軽やかな声が思わず出て、ふらりと立ち上がる。隣にいた黒猫が不思議そうに見上げていた。金色のまつ毛が瞬いて、紫色の瞳を大きく見開いてその姿をしげしげと見つめる。ああ、のせゆだのせゆだ。嬉しそうに微笑んだ少女は、まるで踊るようなステップで相手に近付くと、屈託なくうふふと笑って)―…のせゆ、のせゆだぁー……うふふ、ねぇのせゆ、あのね、来てくれてうれしい。わたしね、ずーっと寂しいなって思ってたの。そしたらね、のせゆが来てくれたの。(まるで幼い子のような口調で、それでも酷く嬉しそうに語りかける。車いすに座った相手の視線に合わせるようにかがんで、「のせゆ、」と愛おしそうな声色で。)

(PL:お久しぶりです、ごめんなさい……orzもう多くは言いません、ごめんなさい!
受験に向けての準備は着々と進んでおります← AO入試に向けて頑張っております。リアルです^^←
まぁ相変わらずスローモーですが、まだまだ頑張りたいと思いますのでよろしくお願いいたします!)

24 ◆YQUUXN652Q:2010/07/19(月) 14:19:06
>>4エリス
(街灯の淡い橙色が、暗い街に点々と浮いていた。光の周囲に蛾の群れが纏わり、舞う姿が影となって地に伸びている。鱗粉を撒き散らしながら不恰好に飛び回るその様は、決して蝶のように美しく人の目に映ることはないだろう。自身が蛾で在ることに対してのプライドなど微塵も感じられない、その行為は、単なる生き物としての習性に過ぎないのだ。当然のことながら、闇を恐れて光を求めた訳ではない。それを知ってもなお、遺憾に思うのは自分の“黒”に対する執着故だろうか。ぼんやりと思慮に耽りながら歩く中、足音がやけに響いて聞こえるのが街の静寂を暗に仄めかしているようで―それが再び彼の思慮を深める材料となる。無意味な徘徊を嗜む内、ふと気がつけば、ただっ広い広場に出ていた。中央に聳え立つ象牙色の噴水は、月明かりを浴びながら水飛沫を上げている。静寂の中に響く水音からは、水面に波紋の広がる様が容易に想像できた。電灯もベンチも、まるで一つの作品のように規則的に配置されている。異質な街からこの広場だけが切り取られているような、そんな錯覚さえ覚えて。彼から数十メートル、歩数にして五十歩程であろうか―離れた位置に“   ”がいた。見間違うはずがなかった。白いワンピースの裾を風が撫ぜ、その先で真っ赤なストラップシューズがぷらぷらと揺れている。金色も、青白い肌も、二つのアメジストも、場を形成する雰囲気そのものが彼女だったのだ。あ、と零れるよう口を開けて、無意識に駆け出していく。例えるとすれば街灯の光に誘われた蛾の、それだ。多くの疑を問う前に、彼女の隣に佇む黒猫を褒める前に、謝る前に、少しでも早く近付きたかった。ベンチに座っている彼女を、壊れ物を扱うようにそっと抱き締める。単なるエゴだ、と自分を咎めた―が、ふわりと漂う甘い苺の香りにそれすらも忘れて、思い出した様に呟いた)
…ああ、エリスだ……

25 ◆YQUUXN652Q:2010/07/19(月) 14:33:57
(pl:申し訳ありません、本体より皆様宛のレスを書くのを忘れていましたorzこんにちは、お久しぶりです。漸く推薦入試用の評定が確定しましたので、取り敢えず一段落つきました。ロルがあまり得意でないので、長期休暇といえど相変わらずのんびりとした返信となってしまいますが、気長にお待ち頂けると有難いです^^)

26 ◆YQUUXN652Q:2010/08/01(日) 20:57:27
>>13のせゆ
(喧騒の「け」の字も感じられない、街外れの雑木林。彼が歩む度にくしゃりくしゃりと鳴る雑草も、どこか趣き深い数種の虫の音も、無許可の侵入に歓迎の意を示しているように聞こえる。虚空、と表現するには些か賑やかな夜空の下、彼は無意識に月を仰ぎ見た。月と彼との視線を結ぶ間には、背丈の高い木々の葉が視界をフレームのように覆っていた。生温い夜風に揺れてさわさわと静かな喋り声を上げる木々を咎める者は誰一人居らず、彼が網膜に欠けた月を焼き付ける際に、被写体を悠然と囲う役割を素直に担っていた。しかしながら一枚の写真として脳裏に刻まれた絵は、彼の理想図とは全く異なるものである。宝石など比較の対象とも成り得ない程、写真はただ美しかった。無数に輝く星も、闇を淡々と照らす月も、この上なく綺麗だ。それこそ、文句の一つも零れないほどに。彼がこの絶景を理想と結びつけることが出来なかったのは、当然ながら価値観の差異の問題である。この男―いや、青年といった方がいいだろうか―における夜空の主体は、背景の“黒”に他ならないのだ。本来、人間があまりの美しさを前に恐怖心を抱くなんてことはざらではない。手の届かぬ美と人間の間に、接点はない。自身と接点を生み出すことが出来ないと分かっているものに対して正気を保てる人間が居るとすれば、それは極稀だ。では彼が最高の美として崇める黒色は接点を生み出すことが出来ないか、と問えば「そうでもない」。身体的にも精神的にも黒と同化することは“いずれ”可能だ。これでは先程の定義に矛盾が生じるが、全く問題はない。答えは、異常だかrrrr――――長い長い思慮を意図的に区切る。いい加減、埒が明かないと判断したのだ。小さく溜息を吐き、次に目を向けた先は一軒の古びた小屋。不思議と木々に馴染んで佇むそれに、微塵の警戒心も持たず歩み寄る。無邪気さを孕んだ声を、時間にして数秒前、確かにこの耳で聞いたのだ。義務も役割もないこの月光裏街という一種の世界において、何かを得る為に要されるのはまず積極性だ。扉の前に立ち、木製の扉を軽くノックする。次いで入室許可をこの小屋の主に得ようと、控えめな声を静寂に響かせた。)
今晩は、そして失礼。散歩の足休め、小屋の主である君への好奇心、ただ何となく…―うん、全部当て嵌まるかな。君が好きな理由をとってくれればいいよ。取り敢えず中に入れてくれると嬉しいんだけど、入っていい?

27 ◆YQUUXN652Q:2010/08/01(日) 20:58:22
>>17満月
(彼女は笑った。木の葉の壁に阻まれてその表情を直接目にすることは出来なかったが、過去に脳裏に刻まれた彼女の顔が嬉しそうに歪む姿を想像して、不思議と悪い気はしなかった。孤独に浮かぶ真ん丸い月から溢れる蒼白い光を体中で受けて、思う、確かに彼女は“満月”だと。特別黒色を好み月を非とする彼ではあるが、決してその魅力を理解していないわけではない。他の人間同様、月に魔力のような美を感じ取った上で、彼は黒を選んだのだ。静謐に響く無邪気さの入り混じった少女の高い声は難なく彼の鼓膜を振動させ、彼女の異質さと温かさを印象として明確に伝えるのだ。彼女は与える側の人間だと、そういった意味合いであの弧月と重なるのだ。-――そう思った矢先、木の葉や枝の悲鳴と共に彼女が降ってきた。「すぐ降りる」と告げた彼女の言葉を理解する前の出来事である。自分は決して、悠然と降り注ぐ月明かりと彼女の姿を重ねたわけではない。感情と表情があまり噛み合わない彼であるが、流石にこれには驚きを露にした。人並みの感性は持ち合わせているようだ。あ、の音に口を開いている間に目前の枝に細い両腕でぶら下がっている彼女の姿があり、何事も無かったかのように地に足をついた。決して賢明な判断とは言えぬ行動を咎めようとしたが、彼自身にも非がある為に出掛かった言葉を直前で飲み込んだ。そもそもの原因は、自分が彼女を散歩に誘ったことにある。お陰で、彼女の身を包む白いワンピースに緑や茶の斑な模様が浮いていた。感謝と謝罪、双方の意を持ってその木屑や木の葉をぱっぱと払ってやり、そこで漸く一息つく。そもそも雑木林に足を運んだ理由はこの茂みのもう少し先にある湖にこそあり、郷愁との遭遇は予期せぬものだったのだ。気分転換にと傍観的に今の状況を眺めると、何とも奇妙なコントラストに薄い微笑さえ漏れた。彼の外装はというと、季節にそぐわない外套、長い丈のズボン、古びた革靴、襟足を掠める髪、瞳―そのどれもが黒に染まっており、露出した顔と手がやけに浮き出て見える。一方正面に佇む少女を印象付ける色は、白。相反的な色を持つ彼女を連れて歩み出そうとする彼の姿を、上空の月は滑稽だと思うだろうか。月の意志など知る由もない彼は、何食わぬ顔で「行くよ」と簡易な言葉を告げた)
それだけ君に好意的な言葉を向けられたら、あのお月様も大喜びだと思うよ。でも、月の真似事はよくないな。君は月光みたいに「降る」存在じゃないでしょ?
――…これでよし、と。これから月に会いに行くのに木の葉まみれじゃ面目立たないでしょ、満月。

28 ◆YQUUXN652Q:2010/08/01(日) 20:59:07
>>22プラディジー
(濃密な静寂を裂く、雑草の悲鳴。泰然とした空気を保っていた雑木林には少々そぐわない荒い足音を、背中越しに受ける。上空と背後、双方からの力強さから逃げるように視線を真正面に戻した。生い茂る草、地を這う根、幹に伝う蔦―森を形成する自然の姿は当然のことながら違和感を帯びておらず、そういった場所は人の手に汚染されて行く世界において人間に安らぎを与えてくれる。人の傲慢な態度故に自分の身が削られようと、自然は偽善に満ちた優しさを振り撒くのだ。彼は無意識にそれに縋り付いたのかもしれない。蒼白い月明かりを受け背の高い木の葉の屋根が地面に影を落とす。生温い夜風に揺られさわさわと音を鳴らしながら彼らを悠然と包み込むそれが、酷く心地良く思えた。「――じゃないのか」唐突に問いを突きつけた声には、覚えがあった。男の低い声は決して横暴ではなく、寧ろ優しさを含んだ、注意を促すような、そんな色を持っていた。足音との意外な喰い違いの発見にくすりと意図的な微笑を零して一度顔だけ振り向く。美しい金髪は、彼女と少し似ていた。全身に黒色を纏う自分ほどではないが、髪の色と首から掲げた懐中電灯を除いて比較的暗色の服装である為暗闇に馴染んで目に映る。表情は―如何せん彼との間に距離がある為、はっきりとは見えない。既知の人物、更に悪意のない声色から判断して、自ら彼の元へ歩を進める。積み重なった枯葉と雑草がしゃくしゃくと柔らかな音を立てた。今、沸々と湧き出る興味の対象は目前の彼の思考にある。思慮に思慮を重ね、自己判断のみが頼りの結論を出すのが彼の常である。それ故に、外部からの肯定・否定の意見は自分の嗜みのいい薬となるのだ。彼―プラディジーの前に立ち、彼を仰ぎ見る。自分より背の高い人間と会話する機会など久しく無かった為、現状に妙な新鮮さを感じる。先程のやけに確信付いた物言いに多少焦心を駆られたものの、然程気負いはしていなかった。自分が主体である話題への興味は蝋燭の火を吹き消すより早く、綺麗に失せたからだ。“黒”における会話とは、太陽と月のように恨み羨み合う関係性とは全く異色な、単なる一方的な利己心の押し付けにすぎない。彼は躊躇いなく口を開いて、エゴを孕んだ言葉の羅列を紡いだ)
…面白い見解だね。君がそう思うならそれでいい。ただ、自分は卑下も自尊もしちゃいないよ。いつだって興味の対象は、外にあるからね。
君の口の利き方も歩き方も雰囲気も、自分にはないものだ。羨ましいよ。…君みたいになりたいという訳ではないけど。

29名無しさん ◆/.cctdIyes:2010/08/07(土) 02:56:21
初めまして、今はまだ名無しのファンです。
以前からちまちまと見させて頂いていて、皆様のキャラの素晴らしさとレベルの高さにふおおってなったり色々な事をしていました。いや、すみません。
今更、というよりもスレの雰囲気を壊してしまいそうで怖いのですが…流れを切ってしまうのですが、俺のような奴が参加しても大丈夫でしょうか?
レベルはまだまだここの方々と釣り合わないとも思いますが、自分なりに全力を尽くして皆様に追いついていきたいと思います。
それでは、後程御返事を頂いてからということになりそうですが…今回は支援上げも兼ねて、失礼しました。

30   ◆Agw9HWhObw:2010/08/07(土) 20:33:19
(月光が差し込む美しい場所がありました。そこは森の奥深く、深く。大木が軒を連ねる筈の場所に、不自然な程綺麗な円形でくり貫かれたようなところでした。生い茂る木々に囲まれ、優しく柔らかすぎる風が吹き込むと、土から養分を吸い取る雑草が、草が揺れました。場所の中心には、これまた見事な円形の湖があります。暗闇で水中の様子までは克明には分かりませんが、清澄であることは明白でした。しかしこの場所は異常でした。元より異常な街の一角に位置しているのですから、異常であることに異常はありません。街は正常なまでに異常であり、異常なまでに正常であり。ですからこの限定された場所が異常だというのは、この街の外、といっても書物でしか私は認識したことがありませんし、書物に書かれていた街が正常なのか、異常なのか、それとも存在しないのか、別の世界でのものなのか。理解はできませんし理解する術もまた私にはありませんけれど、ですが数多ある書物の中、多くの共通点として、森の中は五月蝿いということでした。風の声、木々の声、草花の声、水の声、空気の声、虫の声、動物の声――。森というのはウルサく、サワガシイというのが、共通点の一つとしてありました。しかし、此処は静かでした。風は吹き、木々は揺れ、草花は擦れました。しかし風は優しすぎました。揺れているというのに音はしませんでした。余りにも優しすぎるその風は、冷淡にも感じます。木々も草花も、優しい風を感じながらも、冷たさを感じ取ったのでしょうか。とにかく此処は、静か過ぎる。あまりにも静かなので歌を歌ってみました。喉から虚空へと開放された私の声は明朗に静かなる土地に響きました。響いた、とはいっても、この場所が静かすぎるために、私の声が大きく聞こえただけに過ぎません。大きすぎる私の声は段々と小さくなっていき、やがては消えました。ぽつん、と世界に一人だけ取り残されたような感覚が私を襲います。此処はどんな世界でどんな場所で今は何時で季節はいつで浮かぶ星はいくつで象られる星座はいくつで木々は何本生えていて湖の直径はいくつで円周は何mで世界の中心はどこで中心から見たらこの場所はどの方角に位置しているのか私は誰なのか。声にこそ出しません。出したら私は一人だと実感してしまいます。嫌でも思い知らされてしまいます。ああ、もしもこの世界が、今私のいる場所が完全なる暗闇であったなら。完全なる暗闇でなくともいい、私が盲目で、ただの透明であったなら。私は私だと、此処にいるのは、地に足をつけて立っているのは私だと気づかずに済んでいたのに。上空に浮かぶ月を見上げました。今宵の月は、この場所と、湖と同じように美しい円の輪郭をしていました。美しい、と本心から思いました。けれど不思議と私はお月様が憎くなりました。月がそちらが君が貴方が貴女がお前があんたが貴殿が貴公が主がそちが貴君が御身が貴様が汝がお月様が。私を照らすから。私は孤独を感じるのではないか。私は私を認識してしまうのではないか。私は世界を認識してしまうのではないか。私は、私は愛を認識し、感じ、欲し、求めてしまうのではないですか。私は誰かを愛したかった。私は誰かに愛されたかった。私は誰かに求められたかった。私は誰かを求めた。それと同時に私は自分自身の欲求を、本能を、自覚したくなかったのです。ですが私には求めることはできませんでした。求めることはできました、けれど求めるものは私を求めることはないからです。だから私は風を求めて感じました。別のもので欲求を満たしていました。多くは風であったけれど、時に食欲や、書物や、空想などの、軽いものでからっぽに満たし続けて。

31   ◆Agw9HWhObw:2010/08/07(土) 20:34:32
私は全てを愛し、憎み、嫌い、恐れ、慈しみ、愛で、思いやり、微笑みました。月はそんな私も照らしてくれていました。だから私は月が大好きで、それ以上に嫌悪していました。今、その嫌悪はとても大きく、揺ぎ無いものでした。壊れてしまえばどんなにか。しかし壊すことは叶わなくて、私は手近にあった小石を拾い上げて。水面に写る月を掻き消すために、湖の中央目掛けて小石を投げ込みました。トポン、と小石が湖に沈み、引き込まれる音が耳朶を打ちます。ようやく私ははっきりとした音を聞けた気がしました。小石が落ちた水面は、波紋を広げて、月を揺るがしました。ですが月の姿は波紋に揺られて揺れるだけで、むしろその美しい円形を使って湖全体に広げているような。私は再び、小石を投げ入れました。石を投げ入れ、手のひらほどの石、顔面程の大きな石も――頑張って、投げ入れました。水飛沫が舞って堕ち、再び湖と同化して、大きな波紋は一時的に波となりましたがすぐに波紋となって散っていきます。私はどうしても月を消したかった。実物を消すことは叶わない。ならばせめて水面の月だけでも消したかったのです。私は湖に飛び込みました。胸の辺りまで沈みましたが、足元は藻や水草、どうやら小魚もいるようで、足を動かすのは気が引けました。私は小魚や水草や藻を消したいわけではないのです。私は泳いで湖の中央まで行きました。酷く不恰好であったでしょう。水に濡れた純白のワンピースは肌に纏わりつき、重い鎖のように体の自由を制限します。長く白髪とも銀髪とも灰色ともいえる髪を漂わせながら、私は何とか中央について、脚をつけようとしましたが中央は深いようです。足が届きません。ですが水面下で足をじたばたとさせていると、ほんのちょっと、水底に沈んでいる岩の尖った先端に、つま先をつけることができました。ふぅ、と一息をついて。水面を荒々しく波立たせます。体の動きを随分封じられていますものの、私が身を捻れば水面は波立ち、月を揺らすことができました。ああ、ああ――満月が消えています。それもそのはず、私は湖の中央、水面に移る月の中に位置しているのですから。わざわざ波立たせることもなかったのですね。ふふふ、と私は小さく喉を震わせて、笑ってみました。そして慎重に、ですが、両腕を広げて、いつも風を感じるためにやっていたように、くるりと回転してみます。最も、今大きく感じるのは水でしたが、頬に風を感じることができました。もう一度月を見上げます。私は今貴女を消しています。口元が歪むのが分かりました、恐らく私は笑っているのでしょう。ぽた、と私の輪郭から水が滴り堕ちました。先ほど波立たせたときにかかった湖の末端でしょう。私は頬を撫でました。雫は暖かかった。湖は暖かいのでしょうか?ですが私が今、全身に感じている湖は、冷たいです。私は不思議に思って、湖を見つめました。ですが私が見つめたのは、月に照らされ、水面に移る私。満月は、涙で頬を濡らしていました。ああ、なるほど。そうだったのね。と私は理解します。私が一番消したかったのは、満月という名の、私なのね。それに気づかず、変わりに似ても似つかない存在であるが同名の月を消そうとするなんて。何て愚か者なのでしょうか、私は。ぽろぽろと涙が溢れて湖に堕ちます。私の涙は湖と同化できるのでしょうか?同化できるのならば、どうか私も、満月も、同化してはいただけないでしょうか。

32   ◆Agw9HWhObw:2010/08/07(土) 20:39:14
愚かなことだとは理解しております。ですがどうか、その私の愚かさに免じて、私を同化していただけませんか。月のように写るのではありません。藻や水草のように生え、生きるのではありません。魚のように泳ぐのではありません。石のように、岩のように存在しているのではありません。私を湖の底へと沈めて、そしてゆっくりと、長い年月をかけて――そう、ゆっくりと緩慢に、静かに。同化させてはいけませんか。この世界から、私という存在を消して、湖の一部から、湖へと。私は岩から足を外しました。そして目を閉じて、ゆっくりと湖の底へと沈んでいきます。全てが湖に覆われるのを、包まれるのを感じました。静かに、ですが確実に私は水底へ。頭の中に、浮かんでくる色彩があります。目を閉じていれば見るのは瞼の裏なのに。何故か目前に浮かぶそれらはよく見知った顔であります。たくさん彼女らには、彼らには、言いたいことや、してあげたいこと、一緒にしたいこと、たくさんありました。そのへんに転がっている石についてお喋りしたり、笑いあったり、一緒に紅茶を飲んだり、お菓子を食べたり、何でもいいから時間を共有したかった。ですがそれも土台無理な話です。私は明確に、確実に、彼らを求めていたし、強く拒絶し、時間を共有することを、嫌悪していたのです。ジレンマでしたが、それももう終わり。三日月は隣でその手を握り、半月は運命の旅路を共に歩み、満月は月光を幻想の鏡に、闇の月は真実を写し取る。偽の白月は眠りの中で夢を見ることにさせていただきましょう。私の奥底に眠る、彼方の記憶を。それでは皆様、良い物語を。Raechel=F=P=Grantchester)

(p:諸事情により、もうこの街には来れなくなると思います。そのため、今回勝手ながら、満月が湖に沈む、という形で、存在を消させていただきたいと思い、ソロルを投下させていただきました。皆様とこの街で紡いでいく物語はとても楽しいものでした、幸せなものでした。本当に感謝しております。ありがとうございました。満月が再び湖から出てくることはなく、皆様とお会いすることは恐らくないでしょうが、皆様の幸せを、満月共々願っております。本当にありがとうございました)

33PulaDizzy Dimitri ◆iM/eI.SIzs:2010/08/08(日) 03:57:48

(歌が聴こえた様な気がしたのです。何処で、叫ぶような、囁くような、呟くような、普通にお喋りするような、そんな声で紡がれる歌が聴こえた気がしたのです。だからという訳ではないけれど、やけに頑なに静寂を守った森の中を男は急ぎ、何かに急かされ、自らを叱り付け、何処の誰かに指摘されたその足音を響かせていきました。一体誰がこんな場所を造ったのか、其れもまた潤んだ瞳から逃げてきた自分には語る資格もないのでしょうが、綺麗な円形にくり貫かれた草原の広場に、枯れた男は立っていました。けれど。何の根拠からか此処から歌声は産まれた、そんな不確かな確信を抱いていたにも関わらず、歌声の主は其処にはいません。此処にはいません。何処にも、彼方にも、此方にもいません。そうして泡の溶けた湖を見て、男は、何故如何してか理解するのです。察するなんて紳士なことを男は死んでもしませんが、ただ、静かに荒立った心を摑みながら理解したのです。一瞬ざわりと心が揺れたような気がしたけれども、周りの風が、草が、森が、空が、月が、野暮にざわめくようなことをしないので、自分の手もただ、そっと其処にあったはずの髪に触れるように宙を撫でるだけに留まりました。自分の胸元の位置を只管、そっと。そうして中央が波打っているように見える湖に近づき、近づき、水際までやってきても男の足は止まらずに、皮製のブーツが半分ほど浸ってしまいながらも進んでいくと、ちゃぷちゃぷと揺れる水面にそっと手を翳してみます。冷たいはずの表面は何故か熱を孕んだように感じられ、其の侭ずぷりと腕を沈めて。嗚呼、まるで誰かの熱を、体温を、涙を、声を感じるように熱い。その熱に直接触れられないのならせめてと水面に唇を寄せ、その感触に何時ものように笑ってみせれば、誰に薄情だと言われた気がしてならないのです。ほんの少し濡れた唇を手元で拭って、それ以上進むことはやめて水際に戻ろう。変わらず空に浮かび微笑み続ける満月と顔を合わせると、何を感じ取ることも出来ない自分に馬鹿らしい苦々しさを感じるから。歩き出すことが前向きと呼ばれるなら、自分はゆっくりと後退しようか。この温くて冷たい湖に、静かに沈んでいった此の街の象徴とも言える存在を其の名に持った少女のことを、じわりと胸に留めながら)
I kiss a coffin in my country at parting time.―――The name was a thing only for you till the last so that you disliked a full moon how long.

(PL:満月ちゃんも本体様もお疲れ様でした。どうしようかと迷ったのですが、僭越ながらお話足りなかった分をせめてと満月様のソロルに対してのソロルを描かせて頂きました。御迷惑でしたら申し訳ないのですが、どうか枯れた男の最後の言葉として受け取ってくだされば嬉しいです。本当にお疲れ様でした、二度目ですが本物の満月のようにきらきらしてくるくるしてる満月ちゃんが大好きでした。空に浮かんでる満月よりも、近くにいる満月ちゃんが宝物でした。)

34Rose witch ◆sMF.3Y8lA2:2010/08/08(日) 14:38:26
(彼は目が見えませんから、星を見ることなんて出来ません。それでも星を見る為の展望台はお気に入りの場所な様で、街から姿を消し掛けている現在でも此処で姿を見ます。腐り掛けた鉄柵に細長い手を乗せ、今宵も変わらない満月を見続けます。そうすれば彼は思い出します。一人の小さな───少女なら湖の底。彼は後ろを振り返りましたが、耳元に囁いた人は其処には居ませんでした。心悪い幻覚ではないかと彼は手を胸元に撫で下ろしましたが、一粒が睫毛から落涙しました。その涙は冷たい手に落ち、また硬いコンクリートに落ち、其処からまた手よりもコンクリートよりも冷たく硬く暗い場所へ堕ちて行きました。彼は自身でも状況に追い着けず驚いてしまう程、心に多大な衝撃を受け涙を流したのです。ですが少女が湖の底に居ると言う事を耳にし、それに涙を流すのならばそれは少女が湖の底に居ると言う事を認めてしまっている訳です。勿論認めたくない彼は涙を拭おうと手を当てますが、涙は拭えず止まることはありません。それどころか頬を伝い高い鼻を伝い落ち行き、水溜りを作るだけです。そんな彼は終に膝から崩れ落ちてしまい、片手を地面に付けやっとのことで自身を支えます。何が証拠となり彼をこんなにも悲しませるのか分かりませんが、彼は耳が良かったからきっと沈み行く少女の涙の音も聴こえてしまったのでしょう。泣きじゃくる事しか出来ない私を、貴方は許さないで下さい。とくんと熱い胸が鳴ったのは私が生きているからです。)

(p/私もお一言お添えしたいのでレスをお借りします。本当に本体様、満月ちゃん共々長い時間お疲れ様でした。私の方は本当に驚きと淋しさで胸が沢山になってしまい、その為、彼の方も物凄く泣き虫になってしまって…。気の利いた言葉のひとつも言えずに申し訳無いです。再度、本体様、長いお付き合いと素敵な満月ちゃんを有難う御座いました。満月ちゃん、おやすみなさい。)

35 ◆YQUUXN652Q:2010/08/08(日) 21:17:26
(街外れにある廃墟と化した館、その玄関の分厚い扉はヒトの侵入を拒むように硬く閉ざされていました。一昔前、黒猫と共に彼が初めて此処を訪れた時に一風変わった少女に出迎えてもらった、そんな朧げな記憶を頼りに足を運んだのです。ほんの数時間前、彼は森のとある湖を覗いていたのですが、そこには幾ら探しても探しても痕跡一つ見当たらないのです。それから彼は街を歩きました。広場を通り、路地裏を抜け、木箱を覗き、空を仰ぎ、街路を駆けました。しかし平生の街並みと何ら変わりはありませんでした。最後に訪れたこの館に淡い期待を抱いて、扉の片側を力任せに押す、押す、そして押したところでギギギと悲鳴を上げた扉から小さな隙間を作り出すことが出来たので、その間に自らの体を押し込めて館内に入りました。館内は電気も人気もありませんでした。しかし散らばっている多くの書物や薄汚れた絨毯が、此処にかつて人が居たことを示唆しています。それ以外は所々崩れている痛々しい壁や割れた窓ガラスから月明かりが差し込むばかりでした。そう、街は、自然は、世界は、何一つ変わっていませんでした。彼女の存在一つを欠いて。彼は、暗い館内の壁に背中を預けました。屋根が破れ、辛うじて残っている天井の骨組みの間から丸い月が姿を見せています。これ以上行く当てもない彼は、月を、満月を仰ぎました。―――どれほどの時間が経ったでしょうか。月が緩慢にずれていくに連れて彼の影も形を変えていくのですが、当の本人は床に足裏を縫い付けられたかのようにその場を離れません。視線も上空の月に注がれたままです。食い入るような視線の先、段々と輪郭のぼやけていった満月が、遂に、ぐにゃりと歪みました。そして彼は月が姿を変えたのが嬉しいのか、にんまりと笑うのです。もう既に、彼の頬には幾筋もの涙の跡が滲んでいました。新たに溢れた雫が渇いたその上に新たな筋を残していき、輪郭へ顎へと伝って、黒色の服にじんわりと染みを作るのです。そんな中涙を拭う動作が全く見られないのは、涙のお陰で視界が滲み、月が歪む姿を網膜に刻み付けたいからです。彼はあの湖を訪れた時から、気付いていました。彼女を彼女たらしめる身体はもう存在しないということを。どこを探しても過去を追っても無駄な足掻きに過ぎないということを。しかし錯乱した今の彼の脳内では、ただ一つの感情が渦巻くばかりでした。寂しい、寂しい、寂しい。そして彼は、飽くことなく泣いて、また笑うのです)

(pl:およそ三年半ですね。本体様満月様共々、長い間本当にお疲れ様でした。楽しく、有意義な時間を共に過ごせたことを幸せに思います。ソロルの方は黒が少し狂っていますが、それだけの悲しみを汲み取って頂けたら嬉しいです。最後の挨拶だというのに感情的になってしまいましたが、本体共々心から、悲しさ異常の感謝を申し上げます。長い間本当に有難う御座いました、大好きです。本体様の御健康と御多幸を心よりお祈り申し上げます)

36のせ ゆ  ◆w9zlmQlObk:2010/08/09(月) 02:23:33
(恐ろしいほど透く湖がそこには存在しました。あくまでそれは点在しているわけでもなく、ただそこに居るだけの物なのです。草が茂る、林が茂る、その中にぽつんと、ただあるだけの物に感情を持とうと言うものは愚かだとなんとなく感じていた自分はどこかに偏在していました。いつ読み進められたかも分からぬような本を守り抜いて投げ捨てた彼はどこにも居たりはしませんでした。ですが、それが過去の物だと言うことは確実にありました。しかし、それを月の下に晒す日など確実にありませんでした。そう、僕が決めたのです。いいえ、決めたというのはずるいでしょうか、決められていたのです。そして目の前にあるそれも決められていたのでしょう。ですが、そう思うのは不謹慎で、これまたずるい物だと悟りました。でももう届かないのです、手も声も涙も俺の息も。明るい色の布なんかは取り払い、私は足を捨てました。今はこんなものこそ不要なのだと悟ったのです。あれもこれも不要だと、ただ息をはいているだけで浮かび上がってくる頭を冷やそうという項目で自らの喉を絞めようとしました。ですが気づけば涙すら乾いていたのです。感情ですら不要だと、思われたのです。拒絶したのは湖からでした。そう今は想いたくて自己満足でそう思っています。すると、彼は不思議なことに彼が分からないことを湖に語り始めました。僕が決めたことを破ろうとゆっくりではありますが言葉をつなげるのです。その姿には子供の我が儘を越える高ぶりが"そこ"にはありました。もちろん僕は許しません。彼から言葉を奪い、決して戻らぬように呪いをかけてあったのですから。彼はがんばりますがそれは伝わらないのです。それでも彼はやめません。それで僕は嘲笑われた感覚に陥りました。僕がわからないと困ったような顔をしているのは彼のせいなのです。でも彼も目の前の事はどうしようもないのです、彼自身何もわかってはいないのです。きっと、それには理由がないからでしょう。でも目的だけはありました。)───おれの名前、は、のせ ゆ  だよ。こんばん、は。 こんば、ん  こんばんわ、こん、 は。(時間は無慈悲にも彼を置いていきます。ですがそれでいいのです。貴方と一緒に居られるのならば何も構ったりしないのです。やっぱり、あなたの、 は、きれいだね。思い出すためにおれも をがんばってきれいにしたんだよ。だからあれは、からまっちゃったけど、あなたにやってほしい、からあんなにいたくても がまんしたんだ。今ど はあなたのほしいものをもって むかえに行くからちょっとまってね。音に反応するのは何一つありません。ただ今も息苦しいだけなのです。助けてほしいだけなのです。でも、求めたりはしないのです。

37のせ ゆ  ◆w9zlmQlObk:2010/08/09(月) 02:24:00
( あるところに恐ろしいほどに透く湖が彼の目の前に存在しました。私は鏡のように綺麗なまんまるを写すそれをがむしゃらに愛しました。いえ、こういう言い方はずるいでしょうか、愛しているのです。見えない暗闇が中心にはありますが、恐れる理由なんて何一つありません。ただそこに居るから、私もここに居るんです。本音はもっと近くに居てあげたいけど、その必要はありません。だって私がここに居るのなら、貴方もここにいると、信じていたいからです。──…ほら、寒いでしょうから、この赤い毛布を使ってください。今日はゆっくり寝て、つかれを取ってください。そしてまた疲れたらあの赤い毛布で休みましょう。お休みなさい、お疲れさま。それくらいの言葉は不器用ですが捧げられますから、今は安心して目を閉じてください。)


(PL/満月ちゃんや満月ちゃん本体様お疲れ様でした。長い間、私にとってとても大きくて大切な物を共存させていただいたことをこの場で心よりお礼を申し上げたいと思います。とても楽しい日々を送らせて頂いた感謝も込めて手慣れてないですがソロルを投下させていただきました。ソロルで何かおかしな感情が多く見受けられたら邪気を失った子供の悲しみと思ってください。もう此処で会うことはない、という言葉を見るたびに胸が締め付けられるかのように痛くなりますが、のせゆ が満月ちゃんと過ごした日々を大切にできるように私もさようならという言葉を涙とともに拭いたいと思います。最後に改めてお疲れさまでした、とても素敵な満月ちゃんが今も眩しいほどに大好きです。言葉足らずな挨拶でしたが失礼しました。)

38エリス=ヴィオレッタ ◆7GIVPAr5O2:2010/08/11(水) 00:01:49
(今日も、美しい夜です。何の変わりもなく月は微笑んでくれています。少女は軽い足取りで森を歩き、その隣を黒猫は小さな歩幅ながらもきちんとついてゆきます。そう、何の変わりもない夜なのです。随分と長いことこの街にいる少女にとって、人が消えることなんて日常茶飯事でした。しかし、今回は少しばかり具合が違います。ぴんと透明感と静寂が張り詰めた泉の縁に、少女は立ちました。ああ、静かだ、と息を吸い込み湖面を見つめます。足元に座った黒猫が、小さく鳴きました。にゃあ、と何かを訴えるように。すると少女は、柔らかに微笑みながらしゃがみこみ、黒猫の頭を撫でて、言いました)…違うよ、あの子は不幸なんかじゃないの。私より少し早く「あの人」の所へ行っただけ。フシアワセだなんて、真逆だよアリア。―…きっと向こうは、ここよりもずぅっと綺麗で、シアワセな場所。だから泣かなくていいのよアリア。あんな暗い街にいるより、きっとシアワセだよ。(泣かなくていい、あの子はシアワセだ。そう繰り返しながら、少女はアメジストから一筋、また一筋と涙を流していました。しかし口元は慈悲の微笑みを湛え、「あの子」の幸せを信じてやまない、そんな様子でした。ぐるぐると黒猫が喉を慣らしながら少女に擦り寄ると、少女は愛しそうに黒猫を抱き上げ頬を寄せます)…アリアも、きっと同じ場所にいけるよ。…私は、分かんないなぁ。…たくさん、人を苦しめちゃったから。……ほら、アリア。ちゃんと「ばいばい」するのよ。(少女は腕の中の黒猫の右前足を取って、湖面に映る月に向かってゆらりと振りました)…ばいばい。…だいすきだよ、って。


(pl:本当にびっくりしてしまって、あまり何も言えません…。本当に長くお付き合いさせて頂いて、エリスも私も満月ちゃんが大好きでした。あんな脆弱なエリスを支えてくれたのは、満月ちゃんでした。本当に何も上手なことは言えません。ごめんなさい。でも、大好きでした、いや、大好きです。今までありがとうございました。満月ちゃんと本体さんのご多幸を心よりお祈り申し上げます)

39エリス=ヴィオレッタ ◆7GIVPAr5O2:2010/08/13(金) 19:02:17
PLより失礼致します。>>29様お返事遅れまして申しわけありません……!
いや、私が答えていいのかわからないのですが一応住人…幽霊になりかけですが住人なので答えさせていただきますね^^*
誰でも参加していただいていいんですよ、そんなレベルとかどうとかないですし、どんな住人でも受け入れてくれるのが月光裏街です。

ただ、私もあまり頻繁に来ることができないのでそれだけがちょっとあれですが……
是非是非お気軽に参加してくださいませ!

40オーギュスタン ◆ixF5p6RZs2:2010/08/15(日) 04:45:05
>>29のチキンです、今晩は。>>39のエリス様、御返事を有り難う御座います。そしてトリップを紛失するという大失態を犯した挙げ句に空気を読んでいないような飛び入り参加ですみません、種族として人間の枠を越えてしまっていますが大丈夫でしょうか? 一度絡み文を投下させて頂きますね)

(小さな丸眼鏡の向こう、灰を被ったようにくすんだ瞳は何を見るのか。眦を下げたその眼は心なしか物悲しげに見える。何の特徴もない、言うなれば型にはまった黒い燕尾服を纏った男――紳士は燕尾を揺らして石造りの塀の上を革靴で難なく歩いていく。首に嵌められた金属の輪がそこまで多くもない光を反射しても、風が吹いて己の眼と同じ灰色の短髪を揺らしても、彼はぴたりと足を止めるようなことはしなかった。時折もう片方の手に持った黒いステッキでこつこつと石の塀を叩きながら、ただただ小脇に抱えた大きな紙袋をがさがさと鳴らすだけ。中肉中背という言葉が似合う体付きの紳士。その様は人間と大差ないどころか人間と全く同じだというのに、彼は「自分は他の人とは違うんだよ」とでも言いたいのか背中にあるそれを揺らす。否、羽ばたかせた。翼ではないから語弊があるのかもしれないが、男の背――丁度肩胛骨辺りからだろうか――からは青白い膜のようにも見える正に蝶々の羽根と表すのが的確なそれが生えている。その姿は悪魔や天使とは当然違う、本や幻想の中に存在するような妖精そのもの。メルヘンチックな世界に浮く小さな媚ととは全く違うその姿で、妖精は日の光を浴びることもなくこの街を人知れず歩んでいく。当然こんな日中に堂々と歩いていれば誰かしら気付きそうな物なのだが、彼はそれすら気にしない。かといって何か目立った行動を起こすこともなく、気紛れな散歩を娯楽として楽しむだけ。相変わらず灰の瞳は何処か遠くを見るような眼差しで彼は不意に足を止めればふわりと宙に浮き、塀から飛び降りれば傍にあったプランターの縁へと着地する。ふぅ、と一度息を吐けば彼は片手でくしゃりとオールバックにされた髪の毛を掻き上げ、プランターの縁に座るようにして腰を下ろした。紙袋だけでなくステッキもまた腕に引っかける用にして持ち、片手で頬杖を着く。塀の上を歩いていた時の物悲しげな様子などどこへやら。今度は楽しげな微笑を湛えた彼は時折ふわふわと手持ち無沙汰のように羽根を揺らし、暗い街中に視線を彷徨わせた)

41のせ ゆ ◆w9zlmQlObk:2010/09/14(火) 23:36:31
>>23(エリス)
(暗闇の中浮かぶ月。それは本当に美しくて、皆を魅了する。人の目を奪うのだ。それはどこの世界でも同じなのだろう。だからこそ嫉妬深い私は心底兎に憎悪を抱いてしまう。でも兎は大好き、愛してる。同じさみしんぼですか 。愛憎というそりあう関係に、また嫉妬を感じてしまう。それも嫌いではない。それはとても、僕にとっては興味深いものだから。奪われた物を求めるのは当然であることで、イコール私にはとてもあの存在が──…)
──……本当?なんか、俺も、わかんないけどここにきてて、そしたらエリスいたんだあ。……エリスー、─…えりす、さみしかったの?
(どんな数式に当てはめても分からないことは此処にも五万とあるだろう。数の多い覚えきれない公式も、訳の分からない記号も、兆の桁を越える円周率も、全て覚えて我が物に出来たとしても真理は見つからないのだ。きいと動かしても居ないのに軋む私の足は緩やかに数センチを移動する。目の前の物が良く理解できないと、ただただ前へ進む。無い物を求めるように、私は自分のでるかぎりの力でそれをたぐり寄せた。けど、だからといって何があるわけでもないし、何が無いわけでもない。それをイエスと取るかノーととるかは色の違い。だけど何をどう割り切っても分からないのだ。どう考えたってその数式の答えとは違う答えが目の前にある。何度解き直し、検算をしても違う違う違う違う違う。どれも違う。数式との=関係は成り立っているのに違うのだ。でも何が違うのかわからない。どうしてそうなるの?どうしてそこにその答えがあるの?問いかけは空と溶けていく。いや、空へ羽ばたく前に灰となった。ただ目の前にあるのが、答え。──そう割り切るしかないのだ。私は兎が大好き、愛している。何故ならその鼻の高い月と共に居てもずっと綺麗で、わからなくて、不思議で、さみしんぼだからです。様々な思考回路を廻りに巡らせ、全てを忘れ去ったあと、また0からの状態で質問するのだ。わからない、と白い私が白い貴方へ素直な言葉を。)
(PL:同じくもう申し訳ないです…orzAO試験とな…!エリス本体さん頑張ってください!影ながらこそこそを応援させていただきます…!
同じくスローモーでこれまた隠しすぎて何がなんだかわからんようなことしかかけませんがのったりお願いします!^^)

(PL:個人的に心情ロルでもなく、行動ロルでもなく、空想ロルというんでしょうか。ちょっと雰囲気の違うロルで申し訳ないです。ですがきっと過去にヒントを投下したので、それと照らし合わせてくれればなんでこう難しいことをとにかく考えているのかが分かると思います。あまり顔を出せていないので、スランプ混じりのロルですがどうかこれからもおつきあいくださいませ…!ゆっくりとただいま二件返信ロルを作成中ですので、今暫くお待ち下さい。)

42 ◆YQUUXN652Q:2010/10/11(月) 07:56:46
(気怠げに響く雨音が辿々しく、緩徐に空間を満たす。常時漆黒を飾る星や月は鈍色の雲に覆われその姿を隠していた。雨音は静寂を掻き消し、暗雲はこの街の象徴を奪う。束の間の理想は返って現実を付けられる種しかならず、決して快いものではない。雨は無常を示唆し、時に人間に諦観を植え付けるのだ。雨避けには些か頼りない木の葉の屋根の下、太い幹に背中を預けていた彼は、無表情に雨脚を眺めていた。雨の匂いは難なく鼻腔を擽り、湿気を帯びた風はひんやりと心地よく肌を撫ぜる感触を残す。何気なく視線を地に落とせば、土に敷き詰められた枯葉が軽く雨を弾き、その甲斐もなく枯葉の層の合間から漏れ出した雫が土を濡らしていく様が目に見て取れた。腰を屈め、意味もなく一枚の枯葉を手に取る。茶色の表面に透明の粒が浮いていて、老いた葉にはそぐわない潤いを印象付けられた。軽く揺らすと呆気なく雫は散り、手で握ればくしゃりと音を立て砕け、細末となった。手の平を開き、崩れた枯葉を風に散らす。それは閑散とした地面に安易に溶け込んで、彼の目には追えなくなった。また、木の葉の屋根から雨漏れした雫が彼の髪や黒色の外套に落ち、流れ、後に染みとなって消える。軌跡を残し、絶える。その無常――言い様のない焦燥感に駆られ、彼は左胸に手を這わせた。奥でとくとくと波打つ鼓動が手の平から伝わり、それに安堵を覚え、小さく息を吐く。自身の鼓動と雨音が手を組んで、跳ね、沈み、けれど確かな音を奏でて鼓膜を振動させる。一貫性に欠ける忙しない音色は月光裏街を至当に支配しているが、雨脚が徐々に遠のいてきた今、平生の支配者である静寂が再び街を包容するのにそう時間はかからないだろう。心臓を圧迫するよう左手で強く押さえ付ければ、黒色の外套に深い皺が刻まれた。そして鼓動が一層大きく跳ねたような錯覚が、彼を満たす。決して枯葉や雨の行く末と己を重ねた訳ではなく、光陰を惜しんでいる訳でもなく、自分は無常の一部なのだと純粋に喜びを覚えたのだ。世の叡智を再確認し、静かに悦に浸る。彼は、夜霧に霞む視界の中、淀んだ漆黒を仰いだ。薄い雨雲の奥に潜む月光が作り出す造形美―朧げな黄色の丸い輪郭―を、雨宿りの暇潰しにと、飽く事無くぼんやり眺めているのであった。)
…今日は随分と大人しいんだね、いつもは自己主張が激しいくせに


(pl:お久しぶりです。受験の方は推薦を無事頂くことができ一段落つきましたので、その報告も兼ねソロルを投下させて頂きました。面接等全て終えたら再度顔を出させて頂きますので、レスのお返事はもう暫くお待ち下さい。季節の変わり目という事もあり気候も不安定ですので、皆様体調には十分お気をつけて^^)

43名無し:2010/10/18(月) 22:36:38
支援上げ!復活おめでとうございます!昔から好きなスレなので、また活気戻るよう応援しています><

44エリス=ヴィオレッタ ◆7GIVPAr5O2:2011/01/11(火) 21:20:42
>>40 オーギュスタン
(かつんこつんと何処か冷え切った靴の音を暗闇の中で蹴飛ばしながら、お散歩。アリアは塀の上をひらりひらりと歩くけれど流石に少女にはそれは無理だったらしいことを、少女の白い膝に出来た擦過傷が語っていた。一度登り、落ちたらしい。痛む膝は気にならないらしく鼻歌混じりに軽やかに歩いていく。暗闇に白いワンピースの裾がひらりひらりと舞って、どうにかその裾を掴もうとする暗闇の手をのらりくらりと逃れていた。塀の上を歩いていたアリアがにゃぁ、と小さな声で何かを訴えてくる。赤い靴の先っぽに注がれていた視線を上げると、不思議な男性がいた。闇から浮かび上がる灰色の瞳と髪、僅かな月光を跳ね返す首にはまる金色の輪っかに畏まった黒い燕尾服。そして薄い薄い――…羽のようなもの。不思議が溢れ出しているこの街でも見たことのないそれに、紫色の瞳をぱたぱたと瞬かせて、不躾にも相手をじぃっと見つめていたが、視界の端で塀の上に腰を落ち着けたアリアの尻尾がひよんと揺れてはっとすると、トコトコと無防備にその男性に近付くとふわっと微笑みかけて)こんばんは、……あ、それとも御機嫌ようの方がいいのかしら?……ねぇ、それなぁに?飛べるの?(礼儀正しく挨拶した後、どうしても興味を抑えきれなくなったらしくアメジストの瞳を興味の光でいっぱいにして)

>>24 黒
(ああ、暇、暇、暇。退屈って本当に苦い味がするわなんて童話のセリフのように心の中で呟いて爪先に乗って笑う暗闇を蹴り飛ばしてやった。一人だなんて、昔に戻っただけよと言い聞かせるのにどうしても寂しくて、色の悪い唇から細く息を吐き出して目を閉じていた。視界がシャットダウンされて研ぎ澄まされた聴覚に届いた、どこか焦ったような足音にゆるりと視線をそちらに向ける。先程まで少女を嗤っていた暗闇から、濡れたような黒を纏う人がこちらに走ってくる。あぁ、あ、あれは、あれは――……。その名前を口にしようとした瞬間に、ふわりとした温かさに包まれる。瞬間、何がどうなったのか分からなくてその腕に包まれたまま不思議そうに瞬きをするだけで、何も出来ず。漸く抱きしめられているのだと理解すると、久しぶりである抱擁に至極嬉しそうに微笑んで、相手の身体に頬を寄せた。先程まで心を満たしていた灰色の気持ちがどこかに飛んで行ってしまった。もう以前のような子供ではないのに、まるで甘えるような所作で相手の肩に額を寄せて)――……ふふ、黒、黒だぁ……。どうしたの、今日は甘えん坊なんだね、黒。(いい子いい子、と相手の頭を優しく撫でて柔らかな声色でそう囁いて)

(PL:お久しぶりです、エリスの中の人です。こちらにもレス返したとすっかり思い込んでいました……申し訳ありませんorz
大学受験ですが、非常に幸運なことにAO試験で通過することが出来ましたので、ゆっくりですが復活していきたいと思っております。
また温かく見守って頂けると幸いです。宜しくお願い致します。)

45エリス=ヴィオレッタ ◆7GIVPAr5O2:2011/01/12(水) 18:32:09
>>41 のせゆ
そっか、そっかぁ……ふふふ、のせゆ、私とお揃いだねぇ。――……うん、寂しかったの。誰もいなくて、寒くって……でものせゆが来てくれたからもう平気だよ。…のせゆは大丈夫?寒くない?(ちょこんと膝を揃えて相手の前にしゃがみこんだまま、ふわふわと嬉しそうに微笑んだ。機嫌良さげに頭を軽く左右に振ると、金糸もさらりさらりと揺れて月光をきらりと弾き返す。相手の名前を、まるで飴玉を舌先に乗せるような甘さを含んで呟く。アメジスト色をした瞳が細められて、本当に嬉しいのだということを表した。ベンチから飛び降りたアリアがトコトコ歩み寄ってきて、相手を見上げてにゃぁと一声鳴いた。「アリアも嬉しいんだよねぇ」と言いながら傍らに腰を下ろした黒猫の小さな頭を優しく撫でた。「寂しかったの?」と囁かれた質問にふるりと金色の睫毛を揺らして、こくんと一つ頷いた。以前はこんなに弱くなかったのにどうしたのだろう、一人だって慣れっこだったのに。寂しくて、少女を嗤う暗闇が怖くて、寒くて、震えていたように思う。でも、もう平気だって思えた。それなのに未だに足元から這い上がってくる冷たさに身体を震わせて、目の前の相手を心配するように覗き込んで)

(PL:連レス失礼いたしました。たぶんこれで一通りレス返させて頂いたと思うのですが……
もし抜けていればお教え頂けると嬉しいです^^*)

46 ◆YQUUXN652Q:2011/02/05(土) 02:46:54
(pl:今晩は、お久しぶりです。相変わらず拙い文章で申し訳ないです。今年も何卒宜しくお願い致します。)

>>40オーギュスタン
(重厚な煉瓦造りの家、廃墟と化した教会、狭い路地裏、規則的に配置された橙の街灯、街路樹、象牙色の石畳の地、展望台へ続く蔦の生えた階段、木造の小屋、溶けた銅像――世辞にも調和されたとは言い難い色調は、雑然たる街の景観をより際立たせていた。皮が剥げ擦り切れた味気ない黒色の革靴は、静謐な空気に不相応な硬い足音を鳴らす。徘徊はあくまでも無意味に、短調に繰り返された。白い月明かりを背中に受け、滑稽に地を這う影に伴って足取りを進める。緩慢な歩調で自分の後を追う。物々しい空気は、喧騒とは無縁な閑散とした街並みを絶えず包容していた。さながら暗澹たる世界を象徴しているかのようなそれは、本来ヒトに鬱々とした感情を彷彿とさせる―が、彼の場合は逆である。ただ、薄っぺらな悦を残すだけに留まるらしい。――角を曲がると、塀の影に彼は飲まれた。小路に続く石製の塀は、その冷たい薄墨色と身丈を優に越える高さ故に、圧迫感や閉塞感を人に与える。街路脇に規則的に並ぶプランターは、枯れた苗を植わっていた。一本の街灯は瞬くように点滅を繰り返した後、消えた。人気は全く無い。静寂は寒冷が増す、が、共に深い思索を引き連れてくれる。白い息を一つ、吐いた。枯淡な趣を味わい、無表情の中に小さな微笑を刻む。日常は、千篇一律な書物と酷似している。決して無味無臭ではない、抱くのは倦厭ではなく“慣れ”だ。それ自体には何ら痛痒を感じないが、欲を言えば一驚を喫する出来事でも起きればいいのに、と思う。溜息を一つ、吐いた。靴の音が止む。そこで何と無くプランターに視線を落として、枯れた苗に触れようと腰を屈めた。唯一の光源となる月明かりが、苗と、土と、白い手と、ナニカを照らし出した。主に書物と日常と閑話で得た知識に自身の思考の肉付けを経た脳内で、考える。眼前に悠然と佇む一つ…一人?一匹?一個体は何なのかを、考える。表情は依然として無であるが、脳内は酷く雑然としていた。苗に伸ばした手を凍結させたまま、黒い瞳一杯にそれを映した。数秒間が、やたら長い。やがて―とは言え十秒にも満たないが―率直な感想が、彼の唇から零れた。思慮に思慮を重ねたが、結局のところ、彼の理解に達するには些か難儀であったらしい。)
………何これ

47 ◆YQUUXN652Q:2011/02/05(土) 02:48:21
>>43名無し様
(pl:支援有難うございます。励みになります。)

>>44エリス
(黒髪に触れる按撫の手が心地良い。最期にそれを受けたのはいつ頃だったか―と暢気に懐旧の情に駆られた。緩慢に滑っていく手の平の感触は酷く丁寧で、柔らかい。抱き締めた体は肉付きが薄く、どこまでも細かった。病的なまでに青白い肌は一見低体温な印象を植え付けるが、服越しに伝わる温もりは無償に安堵を与えてくれている。彼女にも赤が通っているのだと思うと、喜びの半面、漠然とした不安が生じた。規則的なリズムを刻む鼓動の音に生を実感し、心底落ち着く。まるで揺り籠の中の赤子でもなった心境だ。彼女の背に回した手で冴やかに浮き出た肩甲骨に触れる。肩甲骨は天使の羽の名残と一般に形容されるが、ヒトには些か高貴な名称であるように思えた。こうした、神話や逸話を織り交ぜた話は遥か昔より枚挙に遑がない。何の興趣もない話だと脳裏から一蹴していたが、予期せぬ例外との遭遇に自分の過信を恥じた。最も、その存在自体は天使というより「 」に近いのだが。――そっと抱擁の腕を解く。温もりの余韻に浸る間も空けず、使い古された黒色の外套を脱いだ。この気温の割に、彼女は薄着だ。冬の寒気に体温を奪われないように、外套を広げて彼女の肩にかける。薄く微笑んで、着衣を促す。彼女曰く“甘えん坊”な彼は本音とほんの少しの揶揄を加えて、そこで漸く口を開いた。人情の機微を穿った言葉や、琴線に触れる言葉なんて更々声に乗せるつもりはない。身近な会話―例えば空や建物、木、食べ物の話が出来ればそれでいいと彼は思うのだ。ベンチに腰掛ける彼女の隣に座ろうと空いたスペースに視線を下ろした所で、ああ、と思い出したように頓狂な声を上げた。先客の目線に合わせようと、象牙色の石畳に膝を抱える形でしゃがみ込む。彼が人語で礼を述べたところで徒労に帰すことは明白だろうから―代わりに、彼女の隣に凛然と佇む黒猫の頭を緩慢な手つきで撫でた。)
…たまにはいいじゃない、自分は君の前でしか甘えないんだから。君と違って、ね?
それよりエリス…また痩せた?駄目でしょ、ちゃんと食べなきゃ――先に言っておくけど、「林檎を食べた」とか「一昨日食べた」だなんて言い訳は受け付けないからね

48エリス=ヴィオレオッタ ◆7GIVPAr5O2:2011/02/05(土) 18:16:09
>>47
(あったかい、しあわせ。その二つが心の中をぐるぐると心の中を満たしていた。硬化しかけていた心が柔らかくなっていくのが分かった。ゆっくりと背中に触れてくる手にも安心した。一人は怖かった。硝子の器に注がれた心がどんどん零れ落ちていくのが分かった。もっと、と体温を求めるように相手の黒い衣服に額を寄せていたが、ふわりとその腕が離れていくと不思議そうに相手の顔を見上げた。クルリとしたアメジストが月光に照らされ、相手の姿を綺麗に映していた。ふんわりと肩にかかる温もりに、酷くきょとんとして瞳をぱたぱた瞬かせた。使い込まれ、柔らかく温かくなったそれをぎゅうっと握りしめる。えへへーと思わず笑顔を浮かべてしまう。嬉しい、あったかい、黒の匂いがする。ありがとーとまだ幼さの残る顔を嬉しそうに緩ませてお礼を言う。んしょ、と自分にはほんの少し大きなその黒い外套に袖を通していたら、隣のアリアが黒の手に嬉しそうにすり寄っていた。アリアも嬉しいんだなぁなんてその様子を表情を緩めたまま眺めていたが、皮肉めいた言葉にむっと眉間に皺を寄せて唇を僅かに尖らせて、不満さを表面に出して)もう私も子供じゃないんだから、そんなに甘えませんーっ。……や、痩せてないよっ!………あ、ぅー……あの、…ごめんなさい、黒…怒ってる?(不満そうだった表情は鳴りをひそめ、慌てて繕おうとするも無駄だと悟るともごもごと言いながら俯いて。隣に座っていたアリアがどうしたのか、と言わんばかりに膝の上に乗ってきた。もぞもぞとした口調で謝りながら、そっと相手を見て)

49エリオット伯爵 ◆3tXODEpoW6:2011/02/09(水) 21:08:11
(みんなが知っているようなありふれた絵本のお話、くすんだ青い髪をした悪い伯爵様を勇気のある青年が倒して町の人を平和にしましたというお話。悪い伯爵様は青年の剣によって体を貫かれて、硝子の棺で眠るように息を引き取った――…ありふれた絵本のお話誰も本当にいるだなんて信じない。そう、伯爵様は本当にいるのさ。――街の一角にある古びたある屋敷、その主のものと思われる部屋に硝子の棺があった。周りに詰められた真っ白な花も既に朽ち果てる程時は過ぎているのだろうに男はゆっくりと目を覚ました。硝子の棺を開けて辺りを見回せば、彼はその髪の色と同じ顎髭を弄りながら棺から出た。中年と言った方が良い外見だろうか目も青髪も髭も青の男はすぐに古びた大きめの椅子へと座る。身長は高く筋肉もほどよくついているというのに、目つきはきつく顔もどちらかというと痩け不気味さが混じったような顔つきである。男は人形に飾られた部屋を見ながら顔を両手で覆い哀しげに溜息をつきそのまま何十年――否、何百年ぶりだろうか再び声を紡いだ。)
――また、またいけなかったようだ。いつになったらいけるのだろう……長い時を過ごすなどもう飽いた…
(男は遙か昔罪を犯した、その罰で長い時を生きねばならないという罰を下されたのだ。――何度刺され何度倒れてもまたいつか目覚める――その循環に最初こそは便利だと思っていたのに男はいつからかその無限の循環に飽いていた。いや違う、いつまで経っても昔一緒にいた友や愛したものの所に行けいないことに焦りを感じたのだ。顔から手を外し切なげに天井を見上げると体に刺さった剣を抜き、立ち上がった。服装は昔から変わらず今からしてはかなり時代錯誤な服装…黒の中世貴族のような服に袖付きのファーが付いた王様のマントのような赤いコート。そして外へ出た後青白い顔で月を見上げた。――嗚呼、今宵の月も変わらず美しい)

(Pl:初めまして、以前から覗いていたのですが飛び入り参加させて頂きましたっ!何やら不死に近い意味の分からないキャラですみません……よろしければ仲良くしてやってくれると有り難いです)

50エリス=ヴィオレッタ ◆7GIVPAr5O2:2011/02/10(木) 23:23:06
>>49 伯爵さま
(温かくなったと思ったら、また寒くなった。ちらつく雪と同じ色のワンピースの裾をひらりひらりとさせながら街を散策、いや、浮浪?とにかくルーティーンワークとなっているお散歩をしていた。雪のちらつく夜だというのに、長袖ではあるが厚手ではない真っ白のワンピースに白いサイハイ、真っ赤なストラップシューズ。本来ならば闇に浮き上がるような恰好であるのに、顔の色が酷く白いためにどこか暗闇に喰い尽くされそうな佇まいであった。雪と一緒に踊るように街を歩く。ふわふわと舞い降りてくるそれに手を伸ばしながら微笑う。小さな声で歌って、ふらふらと歩き続ける。この街はとても広く、長い間この街にいるこの少女でさえ行ったことのない、分からない場所がたくさんある。それと同じように、見たことのない会ったことのない人もたくさん居るのだ。――…だからこそ楽しいし、安心できる。「私」を知っている人間は何処にもいない。この街の懐の深さが、少女は好きだった。――…、ふと、前方に「何か」の気配があるのに気がついてそちらに視線を向ける。ふらりふらりとした歩調で歩み寄ると、遠い昔に見た絵本から飛び出してきたような恰好をした壮年かそれくらいの男性が立っていた。彼は何やら随分と疲れている様子だったが、凛としていて気品があった。少女はふわりと柔らかく微笑んで、彼に合ったような丁寧な夜の挨拶をして歩み寄っていく。近づいていく毎に見えてくる彼の顔色の悪さに、自分の顔色の悪さを棚に上げて心配するような言葉を口にして)――……御機嫌よう、今日はあまり月が見えなくて残念ね。でも代わりに雪が明るくて素敵な夜。…ねぇ、顔色が悪いけれど、寒いの?大丈夫?

(PL:こんばんは、ご参加ありがとうございます^^*あまり人のいないスレッドなので嬉しいです……!訳のわからないコですが仲良くしてやって下さいませ〜)

51エリオット伯爵 ◆3tXODEpoW6:2011/02/12(土) 18:26:06
>>50 お嬢さん
――……御機嫌よう、お嬢さん。そうだな…久々に見たというのにあれでは感動も半減するというもの…だがこんな夜だからこそお嬢さんの言う通り雪が美しいのかもしれないな。…顔色が…悪い?…寒くはないが……私にはお嬢さんの顔色も悪いように見えるのだが…大丈夫か?取り敢えずこれを着なさい
(男が眠った時は何百年か前の春だった、そして再び目覚めた時には既に冬だった。ちらつく雪のなか、男は哀しげに悲しげに月を見上げる。雲に隠れているのが悲しいんじゃない。愛しい人と見た月を今は一人で見なくてはいけないのが悲しいんだ。永遠を生きるだなんて他の人からしたら羨ましいのだけれど男にとっては酷く辛いものだった。ふと男は自分に話しかける声を聞いた声の聞こえる場所へ顔を向けると、顔の色が酷く白い人形のような少女が男を見上げている。人と会ったのはとても久しぶりだった、男へ憎しみや怒りを向けてこない人というのはもっと久しぶりだった。ふわりと目を細めると月を見上げて呟く、久々に見た月が厚い雲で隠れてしまっているのはそれでも美しいけれど確かに残念だ、その代わりといっては何だが空からは冬にしか降ってこない白いプレゼントが降っている。こういう月が隠れている日こそ雪は美しく明るく輝く――……少女の問いかけに男はその考えを手放した。男は鏡を見ていなかったせいか自分が今顔色が悪く頬が痩けているのを知らなかった、少女に逆に問いかけるようにそのことばを繰り返すと寒いのとも聞かれる。コートを着ているからか寒くはなかったが男からすれば目の前の少女が寒そうに見える。自分の着ていたコートを脱ぐと少女の肩に掛けた、裾が長く地面に付いてしまっているが薄着をしている少女を見ると自分の方が寒くなるから少しでも暖かく見れればいいだろうと男は思った)

(Pl:わわっ!こちらこそありがとうございます>< こちらもよく分からない伯爵ですが仲良くしてやってください…!)

52エリス=ヴィオレッタ ◆7GIVPAr5O2:2011/02/13(日) 19:34:33
>>51 伯爵さま
――……久々?おかしなこと言うのね、何だかずぅっと眠っていたみたいな…眠り姫、みたい。ずっと眠っていたなら、そんなに顔色が悪いのも仕方ないねぇ。まるで絵本の中みたい……。……ありがとう、優しいのねぇ。…えーっと、お名前、は?
(吐く息が黒の中で露になり、白くなってはまた黒に消えていく。夜の闇に翻る大きなマントやら不思議な言葉やらが彼の容姿と相俟って、なんだかどきどきした。自分よりもずっと背の高い彼を見上げて、しぱしぱと瞳を瞬かせていた。ずっとずっと昔、薄れた記憶の中の絵本に描かれていた綺麗な天蓋付きのベッドに眠るお姫様のようだと口にするとふわりと微笑んだ。恐らくは少女の父親にも値する年齢であろうが、迷いなくお姫様のようだと言ってのけたが、やはり顔色の悪さは隠せない。顔色が悪いだけでなくよく見れば頬がこけている。大丈夫なのか、と思わず眉根を寄せてしまいながら相手の顔を覗き込んでいた。しかし相手の切り返しに思わずうっ……と言葉に詰まってしまったが、次の瞬間にふわりと肩に触れた大きく温かなコートに少し驚いたようにアメジスト色の瞳を大きくしたが、嬉しそうにお礼を言って大きくて地面に擦ってしまっているそれを嬉しそうにふわふわさせた。まるで王様が羽織っているような大きくて豪奢なそれに年甲斐もなくはしゃいでしまっているらしい。えへへーと笑いながらそのコートをもふもふさせていたが、お礼を言おうと顔を上げたところで相手の名前が分からないことに気が付き、ことんと首を傾げながらお名前は?と妙に幼い口調で尋ねて)

53Lolotte Marmalade ◆.LlKAkH4Jk:2011/02/22(火) 18:32:06
夜の街っていうのも案外素敵ね!午後のティータイムが無いのは残念だけれど……彼は、追いかけて来てくれるかしら
(闇に溶け込んだ夜行列車が、金の煙を吐いて車輪を転がす。空に散らばったこんぺいとうを一つ摘んで口へ放り込むと、ころころと舌を転げながら溶けていく。黒いモーニングヴェールに包まれた視界を映すゴールドの瞳は、彼女の大好きなマーマレードのように輝いていた。誰も居ない車両の一番奥の席で、小さな窓を開けて春の風に身を寄せる。くるくるとカールした銀色の長髪が靡いて、ローズマリーの香水がふわりと漂った。黒い手袋で頬杖をついて窓の外を眺める彼女の表情はまさに悩める乙女のようで、真っ赤な口紅をつけたふっくらとした唇も微笑むことはない。パールピンクのシルクに漆黒のレースやリボンをあしらったドレスは、まるで舞踏会から抜け出してきたような雰囲気を纏う。艶やかな肩に羽織ったストールをかけ直すと、速度を緩める列車に気付き駅へと降りる準備を始めた。古めかしいアンティーク調のトランクを持って席から立ち上がる。こつこつと上品なピンヒールの足音を鳴らして駅へ降り立つと、駅員一人見当たらない静けさに思わず首を傾げた。見上げると満点の星空。夜の穏やかな香り。なかなか素敵かもしれない、とヴェール越しにアイシャドーで飾った瞳を細くして微笑む。身長はヒールのおかげで165cm辺りといった所だが、年齢は二十代前半に見える彼女。トランクと反対の手に持った可愛らしいブーケをしばらく見つめて、彼の顔を思い出す。本当なら今頃、教会の階段からこのブーケを青空へと投げていたはずだったのに…そう、彼女は式場から逃げ出してきた花嫁だったのある。走り去る列車を見送って駅の改札を抜けると、乙女は小さな夜の街に埋もれていった)

(p:つたない文章ですが、参加させていただきます。よろしくお願いします)

54 ◆YQUUXN652Q:2011/03/01(火) 05:16:38
>>48エリス
怒ってるよ、エリス。君が大切だからね。だから、謝っても許してあげない。自分の前で「ごめんなさい」はナシだ、いいね?
(彼女の笑顔や顰め面、少し困ったような表情を映す黒色の瞳にはじんわりと喜悦の色が浮かんでいた。一つの行動にまた一つ、反応を重ねてくれるのが嬉しい。黒猫の視線に合わせる為しゃがみ込んだ体勢から、緩徐に立ち上がる。彼女に投げ掛けた普段より幾分低めの声は、悪戯に及んだ子供を咎めるような、優柔な音をしていた。言葉とは理性と情念の統一の上に成立するものであるが、今一時、彼自身は些かパトス的性格に偏っているように思えた。す、と矢庭に彼女の眼前に手を伸ばす。指で眉間を弾くような素振りだけを見せて、ふふ、と幼く笑った。――広場は依然と静寂に支配されている。少し伸びた黒髪と、生糸のように滑らかなシャンパンゴールドを微風がそっと靡かせる。抱擁の余韻に浸る暇を乞う術もなく、冷気を帯びたそれに身を凍らせた。使い古された外套とはいえ、一応防寒具としての役割を担っていたらしい。自ずから外套を渡した手前、内心忸怩たるものがあったが―寒さ凌ぎにと体を抱えるように両腕を組み、黒色のマフラーに顔を埋めた。薄く伸びる影と共に地に足裏を縫い付けられたまま、ただ呆然と彼女を見ていた。けれど、見上げる側の彼女の首は疲れるだろう、と配慮に欠ける思考を漸く改め、林檎一個分程の間を取り空席のベンチに腰を下ろす。二人と一匹分の体重を乗せた木造のベンチは、キシ、と小さな悲鳴を上げた。彼女の膝に佇む黒猫の顎を人差し指で擽りながら、建前上の断りと嫉みを伴った言葉を紡ぐ。先程黒猫の人語を理解し難きを述懐したが、あくまで言葉の殆どは猫の主人へと向けたものである為然して問題はない。淡々と流れるような口調に平然とした微笑みを上乗せて、同意を求めるかのように彼女の顔を覗き込んだ。昔から変わらず鮮やかな二つの紫水晶を見る。長い睫が頬に影を落としているのに、飾り気のない艶やかな風を感じた。)
失礼。席を借りるよ、アリア。エリスの中で君がどれだけの存在か自分は知らないけれど、君だけがずっと一緒だなんて、ずるいじゃない

55 ◆YQUUXN652Q:2011/03/01(火) 05:17:22
>>49エリオット
(夜空を仰ぐ。黒色の瞳一杯に、果てしない漆黒が厳然たる事実として無常に広がる。その美しい布地に縫い付けられた三日月は、一面真っ白な地に青白い光を放っていた。雪景色を構成する細かい粒子が乱反射を起こし、ぼんやりと明るい街の姿が浮かび上がる。街路は勿論のこと、窓の淵、屋根、植木鉢―至る箇所に雪が積もっており、日常とはやや異なる外観に仕上がっていた。幾重にも重なる街灯の淡い光輪に、粉雪が煌々と輝いている。降り注ぐ雪と夜空のコントラストの妙は実に幻想的であるが、彼には後者だけで事足りるらしい。黒色の外套に絶えず白の斑模様を残す雪は、手で払おうにも限が無い。じんわりと布地を湿らせ、指先を凍らせるだけ。自己を等閑に付すだけに、終わるのだ。――雪景色は足跡を残さず嗜むものだ。これは古い書物の受け売りでこそあるが、彼はこの思考を気に入っていた。実際に雪上を歩くのに毫末の躊躇いもないが、唯、一面の白を嗜む作者の姿勢が彼自身の黒を嗜むそれと重なった為である。さく、と柔らかな音と心地良い感触を残して無遠慮に足跡を刻んでいく。雪を食む靴音を、静謐な空気に響かせる。立ち止まり振り返れば薄暗い街の中、一人分の足跡が彷徨っていた。雪片が睫に留まり、視界を柔らかく遮る。瞬きをすれば、体温に触れたそれは溶けて消えた。正面に向き直ると、視界の先に奇矯な男の姿を捉えた。青、黒、赤、そして病的な白い肌は彼に雑然とした印象を植え付ける。年齢と威厳とを重ねた顔付きや適度に華美な服装は、男の生まれの毛並みの良さを物語っていた。物思いに沈んでいるかのような、どこか憂いを帯びた表情が月明かりにぼんやりと浮かぶ。興が沸いた。肩や黒髪に薄く積もる雪を払いもせず、外套の襟を正しもせず、男の元へ軽い足取りで歩み寄る。揶揄を孕んだ言葉を吐けば、寒さで白い息が尾を引いた。彼の表情は依然として無ではあるが、声色はどことなく嬉々たるものであった。)
今晩は。君は…随分と人目を引く風貌をしているね。このまま雪に埋もれた方がこの街に上手く溶け込めそうだ。なんて、ね

(pl:すいません勝手に雪降らしちゃいました。宜しくお願いします)

56 ◆YQUUXN652Q:2011/03/01(火) 05:18:04
>>53ロロット
(細く軟らかな弧を描いた三日月は、宛ら嘲笑のように此方を見下げていた。青白い笑みは朧げな輪郭を作り上げ、己と漆黒との境界線を曖昧にしている。薄雲の広がる夜空に控えめに佇むそれを、街路樹の幹を背に茫然と仰いでいた。季節を遡れば青々とした若葉を茂らせていた樹木も、今は見る影もなく老いさらばえた裸木を街に晒している。淡い月明かりを受け従容として地に影を伸ばす枝木は、彩豊かな花や若木と比べても遜色のないように思えた。冷気を帯びた微風が、過ぎ去ったばかりの雨の匂いを乗せて緩やかに通り行く。それは優しく黒髪を撫ぜ、薄雲をも緩慢に引き連れていく。月は雲になまじ隠され、不服だとばかりに隙間から煌々とした月光を零していた。黒い彼は口元に三日月を浅く浮かべて、街の主体を中途半端に欠いた夜空を引き続き眺めた。外套も瞳も髪も黒色ではあるが、就中、広く吸い込まれそうな上空の漆黒は相も変わらず美しい。細くたなびきたる雲の侘びた風情を、彼の偏った感性で、ただ嗜んで。―――カツ、と靴音が鳴る。水辺に波紋が広がるように、静寂の横溢する街に音が沸いた。石畳を踏む音はどことなく軽やかだ。興味本位で音の主へ視線を向けると、目の端に華美なドレスを身に纏った女性を捉えた。「なにあれ」と自身の怪訝を口にして、街路樹の幹に預けていた背を徐に起こす。彼女の風采は頗る人目を引くものであるが彼は事情を斟酌する趣味など持ちえていない為、問いを投げる気にはならなかった。黒い手袋をはめた手に握られているブーケは、衣服のみに限らず彼女の雰囲気に良く似合っているように思える。味気ない黒色の革靴を鳴らして彼女の元へ歩み寄り、機嫌を伺うように小首を傾げて、平然とした声色に無茶な我侭を乗せた。そして無表情の中に薄い微笑を刻んで、彼女の反応を待った。突拍子もない発言は、どうやら単なる気紛れに過ぎないらしい。薄雲に覆われていた三日月はいつの間にか、その姿を再び露にしていた。)
ねえ、無理にとは言わないけれど…その花束の中で一番気に入らない花を、自分にちょうだい。一輪だけでいいから

57エリス=ヴィオレッタ ◆7GIVPAr5O2:2011/03/04(金) 17:00:09
>>53 ロロットさん
(シルクのような静寂の中を、列車の音が切り裂いていく。路地裏の階段に座り壁に寄り掛かって、閉じていた瞳をゆっくりと開いた。膝の上で丸くなっていたアリアも顔をあげて、ぴくぴくと耳を動かしていた。この街に列車が来るのは珍しい。望む者がいればこの駅に到着するくらいで、普段は月光裏街の駅はとても静かだ。にゃぁ、と鳴き声を上げるアリアの頭を優しく撫でて、コツコツと響くヒールの音の方に顔を向けるとこの街には似つかわしくないほどに、光を放つような衣装を着た彼女が目に入った。はて、見る限りは所謂「花嫁さん」というやつじゃないだろうか。この街には教会はあるものの、廃墟と化しているしこんな街で結婚する物好きさんもいないだろう。嗚呼、先程の列車で来たのは彼女なのかと合点がいくと、興味がわいたらしく膝の上からアリアを降ろすと、ひょいっと立ち上がる。少し下に見える彼女にも聞こえるように、少し大きな声で)――…御機嫌よう!ねぇ、貴女花嫁さんよね?こんな場所で何をしてるの?この街には花婿さんはいないわよ?(どこか楽しそうな声色でそう言って、まるで踊るように軽やかに階段を下りると彼女の前にちょこん、と立つ。綺麗にお化粧された顔は可愛らしい人形見たいで、思わず吐息を吐きだす。私もこんな風に可愛いお嫁さんになりたいな、と嘆息した)

(PL:可愛らしい花嫁さん、いらっしゃいませー!^^*/変な子ですが仲良くしてやって下さいませ〜)

>>54
もー、黒今日は何か意地悪だねぇ。……ほら、こうやったら二人で温かいよ!…いつ春になるんだろうねぇ、……この街に居たらお花もあんまり見ないし分かんないね
(目の前でひゅんっと揺れた指に思わず目をきゅっと閉じてしまい、ぷす、とむくれてみせるとベンチにそっと背中を預けた。二人と一匹の重みを受けたベンチが僅かにきしっと音を立てた。隣に座って、少し寒そうに身を震わせる相手を見ると、肩に掛けられていた黒い外套を脱いで、膝に掛ける。距離を少しだけ詰めて、相手の膝にもふわりと掛ける。座っても少し上にある相手の顔を覗き込んで、ふふっと笑う。きらきら光る月の光を睫で弾いて、ゆったりと瞬き。雪が解けて流石に少しずつ温かくなってきたものの、まだまだ寒い。きっとこの街の外では綺麗に花が咲き誇っているのが見えるのであろうが、この街はずぅっと夜だ。花はあまり咲かないし、季節の感覚もない。それが残念だと言わんばかりに溜息を吐くと、少し瞳を伏せる。外套の下の足を僅かに上下させていたが、相手の最後の言葉にアメジストの色をした瞳を大きくしてから、しばらく笑いを堪えるように肩を震わせていたが耐えきれなくなったのかくすくすと笑いだした。「私のせいにされても困ります」というようにアリアが鳴き声を上げていた。瞳を楽しそうに緩ませたまま、相手の瞳を覗き込んで)――……ッ、ふふふ。アリアは私にとってすっごく特別なコだもん。あ、勿論黒のことも大切だよ?だからあんまり拗ねないでー

58エリオット伯爵 ◆/brWJNdX4w:2011/03/04(金) 21:37:07
>>52お嬢さん
――……ハハハハッ、確かにずうっと眠っていたな…眠り姫ではないが私なら…眠り伯爵といったところか。そうだな…ずっと屋敷で眠っていたからな…日に当たっていないから顔色も悪くなる……絵本か、昔はそのような町並みだったな…昔も。……私の名前か?……エリオット、エリオット伯爵とでも読んでくれ
(寒さのせいか吐く息は雪と同じで白くそして闇に消えてゆく、そしてまた息を吐けば白い息がそれの繰り返し。昔の町並みは多少なりとも残っているが今では殆ど消え去って新しい町並みに変わっている。相手が口にした眠り姫のようという言葉に笑うと相手の頭を撫でたあと自分の顎髭に触れて考える、自分は男だし姫なんて可愛い役柄ではない。じゃあと考えた結果眠り伯爵というのが思いついて唇に人差し指を添えると思いついたことを言った。のぞき込む相手の表情を見ると心配させたくないと思ったが自分が屋敷から出ずにずっと再び目覚めるために眠っていたのは事実だ、屋外から出てないのだから仕方ないと。着せてあげたマントを羽織った相手は嬉しそうにマントをフワフワとさせている、自分のいた時代では対して貴族の間では珍しくない物だというのにこちらでは珍しいのだろうか。やはりそうとう自分が眠っている間に時は進んでいるらしい。ふと相手が自分の顔を見て名前を尋ねてきたので自分でも名乗っていないことに気づくと、ゆっくりと微笑んで名前を教えるのだった。)

>>55 黒き青年
こんばんは…。…そう…なのか?この時代にはこの服装は人目を引くのか…?……あの場所へ行けるのならいつでも雪に埋もれるさ………黒き青年、君の名は……?
(白い雪が夜の闇と良く合う、そう思うのは自分だけではないだろう。月明かりは雪に反射して青白く輝きこれまた幻想的な風景となっている。これは冬の季節だけの特権だろう、だから冬は寒いが好きなのだ。どこかこんな日は散歩に行こうかと思い足を一歩踏み出そうとした時後から声を掛けられる。誰かと思い後ろを振り返れば其処には夜の闇に溶け込みそうな程黒い服装をした青年、律儀に挨拶をしてきた相手にこちらも挨拶をすると相手の言葉に少し驚いたような表情をして首を傾げる。どうやらいま自分が目覚めている時代は今自分が着ている服装は人目を引くものらしい。そんなたった一世紀時代が変わっただけでこの服装が異質になるのかなんて思っていれば相手の提案に眼を細めて雪を見る。このまま雪に埋まって消えてしまうのも良いかもしれないと思ったけれどそれは叶わなくどうせ再び目覚めるのが落ちなのだ。ふと相手の名を呼ぼうとしたが相手の名前を聞いていないのか分からない、数分沈黙した後相手を見ると名前を問うた)

59エリオット伯爵 ◆/brWJNdX4w:2011/03/04(金) 22:46:19
>>53花嫁のお嬢さん
――…こんばんは、花嫁のお嬢さん。そんな格好でこの街に来るだなんて…結婚式の前に逃げ出してきたのか?
(夜の闇の静寂を騒々しい音が引き裂く、物珍しげに覗いていた建物は聞くところ駅という物で今通っていったのは列車という人や物を運んで走る乗り物らしい。列車が通った後の風に軽く煽られながらも良い物を見たなと駅の前のベンチに座る。自分が前目覚めていた時はこんな便利な物無かったのに、時代というのは怖い物だ、時もあっという間に過ぎていく。最近ようやくこの街にこの時代に慣れ始めたからか、色々な発見は楽しくて仕方ない。ふと誰か人の気配を感じて横見ると見る限り花嫁というやつだろうか、その純白のドレスはいかにもという感じがしたから間違いないだろう。相手に声を掛けると自分が思ったことを相手に尋ねた、相手が花嫁ならばもしかしたら結婚式を逃げ出してきた花嫁なのかもしれないと思ったから)

(p:可愛らしい花嫁さん!初めまして絡ませて貰いました!^^へんな伯爵さんですが仲良くしてやって下さいませ^^)

60Lolotte Marmalade ◆.LlKAkH4Jk:2011/03/10(木) 17:39:34
>>56
あら…お花が好きなの?いいのよ、遠慮しないで全部貰ってあげて。私にはもう必要無いものなの
(地面に付きそうになる裾を掴みながら、すっと背筋を伸ばし歩き続ける。ごつごつとした石畳も馴れたようにヒールを鳴らしつけ、振り向く観衆の視線も気にも止めないその様子は、とても不思議に堂々としていて。街中にはなんとも不釣り合いな格好からか、次第に周辺を歩く人も避けていくのが分かる。とにかく宿を探したいと意気込んだものの、颯爽と通り過ぎていく人々に声をかけることは出来ない。他人って思ったより冷たいものね。込み上げてきた台詞を喉に押し戻すと、薄暗い闇の奥へ足を運んだ。そこへ、ふわりと闇に紛れて視界に現れた一人の青年。驚いて立ち止まると瞬きを繰り返して、そっと銀色の髪を片方耳にかける。彼の突拍子もない発言を不思議にも思ったが、彼女は警戒する心を持ち合わせていないようだ。にっこりと柔らかく微笑みながらブーケを差し出す。花嫁の成り下がりとなった今の彼女には、花束など持っていても仕方ないもの。どうせ近くの川にでも流そうと思っていたのだから、これで花達も喜ぶだろう)

>>57エリスちゃん
少し理由があってね、花嫁さんも休暇を貰ったの。自分を見つめ直す時間をね。だから花婿さんは置いてきちゃった
(街の奥へと足を進めるうちに、少ない人通りがさらに減っていく。古めかしい洋風の建物や道路、街灯を眺めていると、いつの間にか白黒写真の昔へとタイムスリップした気分になる。ついつい「雨に唄えば」なんか口ずさんで、ステップを踏んでしまいそうだ。もちろん夜空はきれいに晴れているけれど。気づくとすっかり一人ぼっちになっていて、ちかちかと点滅する街灯が彼女を照らしていた。しんと静まり返った中、天から聞こえた可愛らしい声に振り向く。少し急な階段の上に、小さな少女がぽつりと佇んでいた。びっくりして荷物を持った手を胸に当てる。竦めた肩を落としているうちにあっという間に階段を駆け降りて、滑らかに目の前へ着地した少女は羽が生えた天使のようだった。興味津々な眼を向ける少女に、ふんわりと優しい笑顔を向ける。本当は結婚式を飛び出してきて、もう花嫁なんかじゃないけれど…そう言ってしまうと彼女をがっかりさせてしまうような気がして、曖昧に言葉を濁すことが精一杯だった。ブーケの中から一本の真っ白な花を抜き取ると、そっと少女の美しい髪に挿す。彼女には自分のような花嫁ではなく、幸せになって欲しいと想いを込めて。それにしてもこんな寂れた場所に、女の子が一人で住んでいるのだろうか。このまま歩き続けても迷子には変わりなさそうだ)
…ねえ、よかったら街を案内してくれないかしら?貴女のお家は近くなの?

(pエリスちゃん可愛いー!こちらこそよろしくお願いします^^)

61エリス=ヴィオレッタ ◆7GIVPAr5O2:2011/03/11(金) 23:08:12
(PL:皆様、地震の影響はどうなのでしょうか……とても心配です´;ω; 皆様のご無事を心の底からお祈りしています。もし無事でいらっしゃって、もし余裕がありましたらsageで「無事だよ」と一言頂けると嬉しいです。)

>>58 エリオット伯爵
眠り伯爵かぁ――……きっと凄く寝心地のいいベッドだったのね。私、ずぅっとこの街に居るけれど……貴方のことは知らなかったわ。不思議ね、とっても不思議……だけど全然怖くないわ。こんなにあったかくて素敵なものを貸してくれたんだもの。……私はね、エリスっていうの。エリス=ヴィオレッタ。女神様のお名前を頂いたのよ。宜しくね、伯爵様(少女の頭の中では、天蓋つきの大きな大きなベッドの真ん中に、彼が静かに横たわっている姿が広がっていた。その姿は静かで荘厳で、思わずきゅっと足が竦んでしまうような。きっと彼は何年も何百年も眠り続けていたのだろう……だから私も知らなかったのだろうか。何百年も眠っていて、顔色が悪くって、羽の生えた男の人。だけれど不思議なことに少女の心の中には、恐怖というものが全く生まれてこなかった。それは、彼が優しい人であるということを本能的に分かっていたからであろうが、ふんわりとアメジスト色の瞳を緩ませて、くるりと一回転して貸してもらった大きなマントをふわふわとさせる。絵本の中で見た、王様が羽織っているようなそれを肩に掛けるとずっしりと重い気がした。これが貴族的な重みというやつか!だなんて的外れな思案をしていると、頭上から降ってきた「伯爵」という響きに瞬間、ぽかんとしてしまう。だって本当に貴族だなんて!ぱぁ、と顔を輝かせて「素敵ね!」と素直に一言。そして自分も丁寧に自己紹介をすると、相手に負けず劣らず不健康な色をした腕を差し出して握手を求めてみたり。その表情には曇りはなく、数分前にあったばかりである彼のことを警戒している様子など微塵も見られなかった)

>>60 ロロットさん
ふぅん……そうなんだ。そうよね、花嫁さんも大変よね。ここはね、凄く自由な街よ。だからきっと花嫁さんが探すものも見つかるわ。(ふんわりと優しく微笑む彼女は、道を見失った花嫁さんのようだった。この暗い街の僅かな光を綺麗に跳ね返して輝く彼女は、やはりとても美しかった。こんな彼女でも道に迷い、この街に来るのかとなぜか感心してしまう。この街は暗いけれど、とても懐の広い街だ。彼女のこともきっと受け止めてくれるだろう。彼女が胸元に抱えていた綺麗な真っ白なお花のブーケから、彼女がするりと一本抜き取った。「?」と彼女の動向を見守っていると、その花が自分に飾られて。そっと手をやって確認すると、指先に花の感覚。何だか照れくさくて、でも嬉しくて、アメジストの瞳をそっと伏せてはにかむ。視線を下げると、彼女の纏っているドレスが目に入る。蕩けるような薄いピンクの生地に、黒いレースやリボンが品よく飾られている。本当にきれいだなぁ……と一人嘆息した。すると頭上から彼女の問いかけに反応して、ぱっと顔を上げる。この辺りに住んでいるかと言われれば迷う。普段寝たりしているのは街外れの教会だが、寝るのはどこだって良かった。うぅん、と小さく首を傾げて)――…そうね、この辺りに住んでいるといえばそうなのかもしれないけれど……普段はね、街外れの教会がお家なの。案内ね、任せて!私はずぅっとこの街に居るから、たくさんの場所を知ってるわ(月の光が届くところなら何処だってこの少女の庭だ。黒く長いウェディンググローブに包まれた彼女の手を取って、行きましょう!と楽しそうな笑顔を浮かべて)

62Lolotte Marmalade ◆.LlKAkH4Jk:2011/03/12(土) 02:20:00
>>61エリスちゃん
(p私は近畿に住んでますので運よく地震等の被害はあいませんでした。ご心配ありがとうございます^^引き続き私も皆様のご無事をお祈りします。)

63エリス=ヴィオレッタ ◆7GIVPAr5O2:2011/03/12(土) 12:39:48
>>62
(PL:ご無事でよかったです……安心いたしました。
余震が南下してきているという情報もあります。近畿地方に住んでいても油断は出来ません…。
お互い、気を付けて行動しましょう`・ω・)

64   ◆iCHkobYBCw:2011/03/13(日) 07:03:51
(p:お久しぶりです、湖に沈んだ身ではありますが、絡んで下さった皆様に安否を伝えたくこの場を借りさせて頂きます。
関東民の自分ですが、現在水道・ガス・電気全て復旧致しました。助けてくださった方々ありがとうございました!
まだまだ危ない状況ですから、皆様もお気をつけて…!無事を祈っております。それでは失礼致しました)

65エリス=ヴィオレッタ ◆7GIVPAr5O2:2011/03/13(日) 17:44:13
>>64
(PL:満月ちゃん……!満月ちゃんも関東に住んでいらしたのですね。とても怖かったですよね、ご無事でよかったです。
どうかご無理をなさらず、ゆっくりして下さいね* ご報告ありがとうございました!)

66オーギュスタン ◆0yOf30V/Oo:2011/03/14(月) 00:26:26
(p.トリップが違うと思われますが、お久しぶりです。絡み文を投下して以来顔出しできていなかった妖精ですが、生きています。電気、電話線共に復旧しています。青森ですが、どうやらこの地域はそこまで被害を受けなかったようです。人事被害も少なかったらしいです。エリス様、Lolotte様、そして満月様。皆さん無事で良かったです。自分が言っていいものかどうか迷いますが、伯爵様も無事なようです。後でしっかりと返レスさせて頂きますね。それでは、失礼します。)

67エリス=ヴィオレッタ ◆7GIVPAr5O2:2011/03/15(火) 09:10:19
>>66
(PL:オーギュスタンさん……!お久しぶりです、そしてご無事で本当によかった!
青森ですときっととても怖かったでしょうが、電気など復旧していると聞いてとても安心しております^^*
でも、まだまだお気を付けて。ご報告ありがとうございました!)

68ユウ・アストラル ◆tDPD0B1dfY:2011/03/29(火) 03:37:44
(PL:皆さん、こんばんは。こんな夜遅くに書き込みすいません。私は何年か前にこの「月光裏街」のスレッドにいたものです。
私生活が忙しくなり、全然来れなかったんですが久々に皆さんに会いたいと思って来ました。
私も元いた住民、そして1人のファンとしてこれからもこのスレッドを支援させて頂きます。
そしてこんな未熟者の私ですが、また新たなキャラで参加させて頂きます。
色々と忘れてしまっていたり、未熟ですが宜しくお願いしますoy2
また、東北・関東で起きた大地震で今日本も大変な時ですが、諦めずに皆で力を合わせて頑張りましょう…!
頑張れ、日本!!!それでは、これにて失礼致します。また後日、改めて一人のキャラクターとして来ます。
本体から失礼致しました。これから宜しくお願いします!)

69名無しなんですよね:2011/04/08(金) 00:44:58
新しい参加者様も含め皆様だいすき!応援しておりますので支援あげ!!

70オーギュスタン ◆0yOf30V/Oo:2011/04/09(土) 02:43:52
(p.またまたお久しぶりです。昨日でしょうか、もう一昨日ですね。参加者の皆様も、見て下さっている方々も、一昨日の地震は大丈夫でしたか?まだまだ余震には警戒が必要ですが、落ち着いて……と、突然の強い揺れにビビって腰を抜かした本体が通ります(^o^)三 それでは、今から順に返レス刺せて頂きます。その後、まだ絡んでいない方へ絡ませて頂きますね。ただ少し数日ほど日を跨いだりするかもしれませんが…orz)

>>44 可愛らしいお嬢さん(エリス=ヴィオレッタ

(プランターの縁に腰掛けて暗い街中を見ていれば不意に聞こえてきた声。小さな丸眼鏡を片手で押さえながらそちらに灰被りの視線を向ければ眼に飛び込んできた真っ白く揺れるそれに思わず目を瞠る。だがそれが白いワンピースだと気付けば何ら警戒することでもなく、彼は目の前にいる少女に視線を注いだ。先程から聞こえていた足音は彼女のものだったのか、と半ば安心のような感情を抱く。その双眸を緩めて笑えば、彼はステッキを手に持ったまま腰を上げ、プランターの縁に立った。それから仰々しく頭を下げれば、ふわりと青白い羽根が揺れた。顔を上げれば丸眼鏡の薄いガラス越しに彼女の姿を捉え、名前も知らない少女に話しかける。また誰かに網で捕まえられたりしたら大変だが、彼女ならばそんな事はしないだろう。……なんて根拠もない確信に従って、そのまま彼女の言葉に耳を傾ける。暗がりの中では少しばかり見えづらい紫水晶のような瞳を見てぱっと両手を広げた。そのままふわっ、と重力に逆らって浮遊し、まるで本物の蝶々のように羽根を羽ばたかせて少女の眼前、数十センチほどの間を開けて停止した。――そしてふと、思う。もしかして少女は、自分のような所謂“妖精”を見たことがなかったのだろうか?この反応からすればその予想は当たっているのだが、思わずそう尋ねてしまった。)
――やあ、今晩は。そしてご機嫌よう、お嬢さん。…………勿論飛べるとも。もしかして、私のような者を見るのは初めてかな?
(p/もう入学式も過ぎてしまったかもしれませんが、合格おめでとうございます。かなりの亀ですが、これからよろしくお願いします。)

71エリス=ヴィオレッタ ◆7GIVPAr5O2:2011/04/24(日) 20:42:43
(PL:大学生活の忙しさにてんてこ舞いのエリス本体ですお久しぶりですスミマセン……orz
少しばかり時間が空いたので返信とソロル投下に参りました^^* 東大寺に遊びにくるときはぜひお声をかけてくださいね!=(^o^)お迎えにまいります)

>>70 オーギュスタンさん
(小さな口をぽかんと開けて、頭上の彼を見上げていた。菫色の瞳はくるくると丸くなっていて、興味津々といった様子で彼を見つめていた。夜風にふわりふわりと僅かに揺れるその羽に合わせて、少女の小さな頭が左右にゆらゆらと揺れて、背中で金糸がさらりさらりと波を打つ。夜の闇を弾く青白い羽、まるで蝶のような、童話の中の妖精が持っているようなそれ。まるで子供のように表情をきらきらさせていた。なんて素敵なのかしら、まるで童話の主人公になった気分!と踊りだしたくなるような。それだけでも少女の好奇心を煽るのには十分だったというのに、目の前の男性はふんわりと、空中から羽毛を落としたかのように柔らかく浮いて見せた。男性の背中の羽が、ふわりふわりと暗闇を漂うように羽ばたいているのが見えた。ゆらり、ふわりと男性の体が宙で揺れる。少女は驚きに目を見開いていたが、すぐにその瞳を歓喜でいっぱいにして)―――……う、わぁ……っ!すごい、すごいすごい!本当に飛べるのねぇ……素敵ね、きっとふわふわで気持ちいいのね。私、ずぅっとこの街にいるけれど、あなたのような羽を持った人には初めて会うわ(警戒心のみじんもない笑顔でそういうと、羽を指さして「触ってもいい?」と聞いて)
(PL:現在進行形であうあうですががんばっております。ありがとうございます……!改めてよろしくお願いいたします^^*)

72エリス=ヴィオレッタ ◆7GIVPAr5O2:2011/04/24(日) 21:00:16


(遠い遠い昔のことだ。まだ私が少女で、まっさらだった頃に教えてもらった歌をふと思い出した。全部捨てたと思ったのになぁ、と呟いた声は、襤褸の教会の高い天井に吸い込まれて、消えた。赤い靴のつま先でつついた壊れかけのオルゴールは、悲しげにラの音を一つ立てて止まった。全部壊れかけなのに、どうして私だけが戻ろうとするの。もういや、あんなところになんか居たくなかったから、ここに来たのに。どうして思い出すんだろう。腹立たしくなって、マリアまで続く赤い絨毯の上で丸くなった。胎児のように。壊れちゃえばいいのに、全部忘れられればいいのに、つらいこともいやなこともわすれられないことも。そうすればきっと、ずっと幸せになれるのに。胎内に広がった金髪が、ステンドグラスから入り込む月光を跳ね返して僅かに光る。逆さになったマリアを、少女は薄紫の瞳で見つめていた)――……どうして、私は人なのかなぁ。なんで愛がほしいんだろう、愛なんかきっと、痛くて冷たいだけ。そうでしょ?……あったかくて、きらきらしてるなんて嘘よ。嘘よ。(慈悲に満ちたマリアの微笑みを与えてもらえる、「彼」が羨ましかった。手に入らなかった玩具に難癖を付けたがる子供のように呟いて、ゆっくりと目を細めて、思い出した歌の一節を口遊んで)――……Que de partager leur cercueil


(PL:とっても久しぶりのソロルだったので途中でよくわかんなくなってしまいました……´・ω・ 「古いの絡みづれぇよ」って方がいらっしゃったらよければこちらに……亀になるかもしれませんが、お返事はお返しさせていただきますので^^* 改めてよろしくです〜)

73ひじり ◆DnH0jkg8I2:2011/04/29(金) 23:05:49
(黒猫は嫌われる存在だから、何も期待してはいけない。ふわり温かい風が吹く、そこは真っ暗な路地裏。人々はそこに居る彼女の事をみては何か汚い物を見るかのように眼を細めて足を進めて行く。それほど少女の姿は酷く、儚い。まるで、世界から置いてけぼりをくらってしまった様に。薄汚れた真っ白とは言えない灰色のノースリーブのワンピースを着て裸足の少女はまるで猫の様に体を丸めて浅い眠りに付いている。悪夢の様な夢の中で思う事は何か分からず、そっと瞳を開けた。長い睫毛、開かれたぱっちりとした真っ黒な瞳は何も捉えず辺りを見渡すが、そこは何処か分からない場所。手を伸ばそうとしても30センチ程の鎖がついた手錠が自由を制限し、歩き出そうとしても足に付いた拘束具がそれを阻み勢いよく体ごと転倒。膝や手の平には砂ぼこりが付き所々からうっすらと赤く染まる。ぺろりとそれを舐め簡単に砂ぼこりを払うと一度それを見上げた。150センチ前半ぐらいの身長に、どこか幼く見える顔つきの彼女には姿に似合わず、不安の表情は無かった。ただ、罪人は罪を償わなければならない事を知っていたから。温かい風は長くのびた黒い髪靡かせる。ひょっこり顔を出すのは星の形をしたきらりと輝くピアス、どこから薫るのはいつか薫った暖かい香り。限られた自由の中、そっとそれに釣られて少女は足を進めて行く。うっすらと足からは一筋の雫が流れて行く。それでも少女という罪人は足を進める。首にかけられた十字架に掘られた彼女の名はひじり。口元に三日月を浮かべ、)
……さぁ……どんな苦痛が待ち構えてるのかな…。

(PL/初めまして…!いつも見ててもしよければ参加させていただきたいな…!っとおもい思わず飛び入り参加させていただきました><もしよければ、よろしくお願いします。)

74エリス=ヴィオレッタ ◆7GIVPAr5O2:2011/05/12(木) 17:19:23
>>73 ひじり
(生ぬるく、ひどく湿気た風が少女の金色の糸を舞い上げる。長い間この街に住んでいる少女にとって、入り組んだ路地裏なんてただの庭だった。何らかの讃美歌を口遊みながら、少女の足を包む赤い靴が踊る。異人さんに攫われてしまうのかしら、それも面白いかもしれない、と表情を歪に緩めると、ふわりと真っ白なワンピースの裾が暗がりに広がった。かつん、こつん、と靴が立てる硬質な音しか入ってきていなかった耳に、ふと何か金属が擦れるような音が届いた。ちゃり、というような、じゃり、というような。はて、こんな人気のない路地裏に人がいるなんて珍しい、と首を傾げる。その金属音はとても不定期で、何か不安にさせるようなものだった。その音のほうへと足を進めていくと、暗闇で何やら蠢く影を見つけた。小さな体躯。暗闇に紛れる服。心の隅で、「なんだか前の私みたい」と無意識に思っていた。ずるりずるりと引きずるようにして歩くその姿に、興味をそそられたのかなんなのか、白いワンピースの袖から伸びる青白い手を腰の後ろで組んで、機嫌良さげに声をかけて)――……御機嫌よう。ねぇ、こんなところで何をしているの?どこかへ行きたいの?うふふー、お姉さんが案内してあげよっか!(となぜか年上ぶったりしてみてはいるものの、口調は酷く幼くて拙い。丸いアメジストがゆっくりと細まって、暗闇の中でも相手の少女の姿を鮮明に捉えていた)

(PL:ふぉぉぉぅ、こんなお年寄りスレッドにようこそw よろしくです〜*^^ノ)

75Lolotte Marmalade ◆.LlKAkH4Jk:2011/05/16(月) 13:10:47
(p:新生活って大変ですね…課題が溜まって溜まって^^今は一個しか返せませんがまたレスが完成したら来ます)

>>59伯爵様
あら。こんな花嫁にお声をかけてくださるなんて光栄ですわ、ムッシュ。お隣りに座ってもよろしいかしら?
(空にきらきら翔けている星のこども達。あの金色に一段と輝くのは星の王子様の冠か、それとも人魚の涙だろうか。とにかくその光は暖かいあものとは少し違ったが、とても優しく彼女を見守っているようだった。そんな彼等の輝きに負けじと、花嫁衣装も一層美しく揺れる。走り去っていく汽車の汽笛が遠くへ響いていくのを耳に留めながら、肌を撫でる冷気に心地好く歩み寄った。ぽつりと仄めく橙の街灯の下に、古びたベンチが照らされているのを見つけて近づく。まるで気品ある男性の声に導かれるように。ヒールの足音も止み、男性の真正面に佇むと彼女は少し驚いた表情を作った。彼の服装が妙に古風だったからである。ドレスを着た女性と、貴族服を纏った男性。それはこの街灯が照らす小さなせかいだけ、中世にタイムスリップしてしまったようだった。礼儀正しい挨拶に気を良くすると、ドレスの裾を掴んで可愛らしく会釈してみせる。逃げてきたのかと聞かれて少々戸惑ったが、口許をきゅっと結んで微笑んだ。肯定の頷きはしないが、この微笑みはその代わりだと思ってもらって結構だろう。うやうやしく遠慮がちにベンチの空白部分を指差すと、黒いモーニングベールが落ちない程度に首を傾げた/p:わーいはくしゃくさま!設定がとっても素敵です///よろしくお願いします〜!)

76エリス=ヴィオレッタ ◆7GIVPAr5O2:2011/08/30(火) 01:37:27
(美しいものとは何ぞや。細やかなガラスの破片を手にいっぱいいっぱい溜めた少女は、それらの一つ一つが光を反射するのをただじっと見ていた。決して清潔とは言えない襤褸の教会の、ごわついた赤い絨毯の上にペタンと座り込んで、紅い其処に白いワンピースの裾と青白い脚が投げ出されていた。暗闇の遠く遠くから、街の喧騒が聞こえる。この街にしては賑やかな其処さえも、この少女にとっては眩しすぎる場所となってしまった。きっと、このまま暗闇に取り殺されるんだわ、と呟く。退廃がひっそりと背後で嗤うのがわかった。無数のガラスの破片を覗き込むと、それらの一つ一つに自分の姿が映っているのがわかった。気持ち悪い、と忌々しげに口捨てて直ぐに顔を離す。視線を上げれば、朽ちかけたマリア像が目に入る。自分も、彼女のように美しく清らかであったらよかった。それか、「彼」のように優しい心を持っていれば。こんなにもガラスは綺麗なのに、其処に映る自らの姿に嫌になる。このガラスを、体の中に取り込めば綺麗になれるだろうか。透明に、透明に、光を跳ね返すような輝きを持てるだろうか。白い手の中で、しゃり、と小さな音を立ててガラスの破片が混ざる。まるで水を飲むようにそっと、口を近付ける。唇がその冷たさを感じ取った瞬間、その裂くような冷たさと唇に走った僅かな熱さに唇を離して)
――…痛い。…そっかぁ、キレイになるには、痛みも必要なのね。大変なのね、みんな。私は怠け者だから、こんなに醜いのかしら。――……だからきっと、『彼』にはずっと近付けないのね。

(PL:久しぶりにソロルを投下です……感覚が鈍っていないといいのですが。またゆっくりですが、やっていければなーと思います^^* なるべく頻繁に足を運ぶように頑張ります(;`・ω・))

77Lolotte Marmalade ◆.LlKAkH4Jk:2011/09/02(金) 16:04:58
(p:ご無沙汰してしまいました。なんだか久しぶりで恥ずかしいやら何やら…とにかくレスを返しますね^^)

>>61エリスちゃん
そうね、この街に来て正解だったみたい。こんなに可愛い女の子にも出会えたんだもの
(街は光で満ち足りているのに、とても静かに思えた。見上げた夜空はとても遠くに感じられて、敷き詰められた星達もおもちゃのように動かなかった。朝が来る気配が全く無いのだ。でもそれがなんだかとても心地好くて、しがらみも解き放って自由になれた気がした。昔から、朝日が好きではなかったからだろうか。何にしろ街を気に入れたことに変わりは無い。それに目の前の可愛いお姫様はこんなにも自分に優しくしてくれる。美しい何の軽蔑もない目を向けてくれる。それだけで充分だった。自分のことを誰も知らない世界とは、こんなにも幸せなものなのか)
教会…素敵なお家ね。私も毎日お祈りに行かないと。…ふふ、楽しみだわ
(この街にも教会がある、それを聞いて少しほっとしたように目を閉じた。主はまだ私に許しを乞う機会を与えて下さったのね。手に持った花束をぎゅっと握りしめ、そしてまた彼女に視線を戻す。もしかしたら、彼女とこうして出会ったのも主の導きなのかもしれない。グローブの上からじんわりと伝わる人の体温。不意に思い出したのは、数時間前にも誰かに手を取られ、指輪をはめようとしている自分の光景だった。けれど今度は違う。今触れているこの手は振り払わなくてもいい。彼女の笑顔につられて自分も微笑むと、小さな手を握り返した)

>>73ひじりちゃん
(どれくらい歩いただろうか。モーテルを探して一人さ迷っているうちに、人通りの少ない路地裏まで来てしまった。ピンヒールも歩き疲れれば足が痛む。足取りも重くなる一方で、自然と深い溜め息が零れていた。一人でいると思い出す、小さい頃の自分は、無口で無愛想で可愛くない、誰にも必要とされていなかった私。あの頃の私とは違うのよ、そう自分に言い聞かせて前を向くと、また一歩暗がりへと足を踏み入れた。聞こえるのは自分の足音だけだったのが、いつの間にか金属を引きずるような音まで聞こえてくる。不気味に思いながらも息を呑んで進むと、それは月光に照らされた小さな女の子だった。こんばんは、なんて声をかけようとしたその時、目に映った少女痛々しい姿に口が歪む。言葉よりも先に、ただ涙が頬を伝っていた)

78エリス=ヴィオレッタ ◆7GIVPAr5O2:2011/10/16(日) 02:10:51
(PL:夏休みが終わって涙目なエリスの中の人です。やっぱりロルはコンスタントに書かないと感覚を失いますね´・ω・ お見苦しい点があるかとは思いますが、勘弁してやって下さい)

>>77 お姉さん(ロロットさん)
ふふふ、なんだかお姉さんに言われると照れちゃうなぁ。でもね、この街にはとってもとってもきれいなものがいっぱいあるの。――…だから、取り込まれちゃだめだよ?この街は、綺麗なものがスキだから(脳内に、ノイズが入る。まだこの街に来る前のことが壊れたテレビの映像みたいに流れていったが、すぐに分からなくなってしまった。紫の瞳を不思議そうにぱたぱたと瞬かせていたが、隣の仄かな体温にどうでもよくなってふんにゃりとふやけた笑顔を向ける。その笑顔を少し照れを含んだものに変えつつ、きゅうっとグローブに包まれた手を握り締める。この街は優しい。だからこそ、付け込まれる。外の世界の残酷さはないけれど、この街に取り殺されてきた人を何人も見てきた。――…このお姉さんには、そんな悲しいことになってほしくない。上にある彼女の顔をまっすぐに見上げて、忠告の言葉を一つ。比較的広くて、明るい石畳の路地を歩く。程なく、ぽっかりと開けた場所に出る。ぽつぽつとある街灯に、それに付随するように設置されたベンチ。静寂に寄り添うように水音を上げる噴水。所謂、「広場」というような場所だった)この場所はねー、たまにアリアとお散歩に来るの。すっごくね、素敵な場所よ。月もよく見えるの。お姉さんは、お月様、好き?(するりと彼女の手をほどくと、中心にある噴水にぱたぱたと駆け寄っていく。月の光を享受するように掌を空に向けていたが、くるりとスカートの裾を広げながら相手の方に体を向けると、ことりと首を傾けて問いかけた。)

79EviL ◆KsN/2oRaH.:2011/11/27(日) 06:41:00
(………いつかの時代に存在していた聖人様は、こう仰ったと言います。「自分は神など信じていない」と。聖人にあるまじき言葉ではありましたが、だからこそ、聖人様の言葉は強く人々の心に落ち入ったのでしょう。そうでしょう、そうでしょう。―――くるりと人影がまわる。夜の中に溶け込んでしまいそうな黒い神父服(キャソック)を着込んだ影はそのまま2、3回くるくると誰に見せるでもなく回ってみせた。広げた両手が空を掻く。常に手櫛で整えるだけという適当なお手入れのお陰でぼさぼさで、中途半端に伸びたローズグレイの髪が舞う。頭からかけるタイプのヘッドホンを付けているお陰か、ただでさえぼさぼさでどうしようもない髪が更に乱れるのだけはなんとか防げた。辛うじて細く長い布―ストラと呼ばれるものだけが申し訳程度に首にかかっていたが、それと同じように首に引っかけた細い鈍色の鎖には最早十字架なんて高尚なモノはない。とん、と靴底が石畳を蹴り飛ばして、暗い影はそこでようやく腕を下ろして佇んだ。細められたと言うより、据わっていると表した方が的確に思える形の瞳に光はなく、髪の毛の色と同じローズグレイの瞳はただ軽く上を向き、街並みの中から切り取られたように、とろりと零れ出すように見える夜空を眺めていた。男としては細すぎるし、女にしては無骨な両腕を再び前へと伸ばして影は一度嘗めて湿らせた唇を開いた)
―――ソウ、神の存在を認知するが故、男は神に祈ろうとしなかっタ!それは愚かな事だろウ、そうだろウ!しかしダ――…ワタシはそれを罪とは認めなイ!
(高らかに、誰かに聖書の内容でも読み上げるかのようにすらすらと台詞じみた言の葉を吐いて、最後はキャソックに包まれた自らの身体を両手で抱き締めるようにして絞り出した。だって、そうじゃない。信じるか信じないかはアナタ次第だと良く言うもの。神様を信じていない人間も、自分の身に危険が迫れば現金にも神に祈る。神様を信じている人間も、自分が救われなければ『この世に神など居ない』と慟哭の涙を堕とすのだから―――。悪の名を持った人影は自らの身体に回していた手をほどき、左胸―心臓のある位置をぎゅっと強く握り締めた。だってホラ、こんなにもワタシは痛イ)

(P/ はじめまして。以前からこの月光裏街というスレを見させて頂いていまして、今回我慢できずに書き込んでしまいました…!気付いたら絡み文を打ち込んでいてもう既にこの文章を打っていました(←) 作中で性別明かしてないし何かアレな奴だしでこの街や皆さまに馴染めるかどうか不安ですが頑張りますので、PLの私共々EviLをよろしくお願いします><;!)

80月光だいすきななし:2012/01/03(火) 06:42:15
月光大好きです!応援の気持ちを込めてあげさせていただきます!
多忙などで帰ってこない方もいらっしゃるかもですが、今いる参加者さん全員すごく魅力的で大好きです!
支援支援!がんばってください^^*

81エリス・ヴィオレッタ ◆7GIVPAr5O2:2012/01/29(日) 04:22:04
>>79 神父サマ
(いつも通り、散歩という名の徘徊に出かけた少女は、見慣れない人物に邂逅することになる。まるで歌うように、高らかに「誰か」に訴えかける相手に、ふらりふらりとした足取りで近付いていく。どうやら、少女の愛する「彼」に似た人の話をしているらしい。彼女にとって、「彼」は「彼」以外の何物でもなかった。少女の心の中に住まう、光であった。藁を捨てる者もいれば、勿論藁に縋る者もいる。言えば、彼女は「盲目」であった。ゆえに、それが「藁」だとは気が付かない。それを自らをたすくものであると信じてやまなかった。だからこそ、彼―…神父服を着ていたので、どうやら少女の脳は対象を「神に仕える男性」と認識したらしい―の言っていることがいまいち理解できないでいた。金糸に縁取られた瞳をぱたぱたと瞬かせて、まるでこどものように不思議そうな表情で相手を見つめて、可笑しそうに笑った。理解できていなかったからこその、純粋な笑顔だった。ひらりと夜にひらめく細い布が描く軌道に、きれい、と呟いた。ふらふら近づき続けていた少女は、その布を掴もうと手を伸ばしたところで、相手がまるで苦しむように心臓の上に手を置いたことに気付く。ふらふらした足取りで相手に無警戒に近付いて、そぅ、と暖かな色をした髪の間を覗こうとし)――ねぇ、大丈夫?胸、痛いの?そこはね、大事なものがいっぱい詰まってるところだから、病気になったら大変だよ。大丈夫?神父サマ

(PL:参加ありがとうございます!!まったりもったり進行スレですが、宜しくお願いいたしますm(_ _)m)

>>80さん
(PL:支援ありがとうございます!マイペースなスレッドですが、これからも見守って頂けると嬉しいです^^*)

82EviL ◆KsN/2oRaH.:2012/01/31(火) 04:11:05
>>81 小さなお嬢サン(エリス)

ン―――ァ、あァ…ハハ、大丈夫…大丈夫ダ。確かにキミの言う通リ…その通り、なんだろうネ。
(ずきん、と失くした胸が痛む。そこにぽっかりと開いた空洞は恐らく、ワタシが死ぬまでワタシを楽にしてくれないだろう。そうだ、それでいい。目を閉じれば瞼の裏に焼き付いたモノクロの景色、この街に流れ着く前の記憶を全てぽっかりと空いた〝何処か〟に押し込んだ。はぁ、と息を吐いて額に浮いた汗を拭おうとして、ふと聞こえてきた少女の声に顔を上げた。中途半端なローズグレイの髪が自分の顔にかかって邪魔だったが、それでも自分の目の前にいるのが少女であることは理解できた。この街では見ることができないだろう太陽のような色をした金糸を持つ少女が近付いてきたことにすら、この神父の身なりをした者は気付けなかった。だから彼女が間近に近付いてきて、自分に明らかな声を掛けてくれるまで反応できなかったのだ。一瞬息を詰めて、掠れた声で笑って、それから嬉しそうに眼を細めた。どうだ、こんな自分でも心配してくれる〝誰か〟が居たのだ。自分の顔を覗き込もうとする少女に大丈夫だと繰り返して、すう、と薄れていく胸の痛みにそっと手を離した。皺になってしまった神父服を軽く手で撫でて直し、少女の目線と合わせるように少しばかり屈んだ。それから噛み締めるように、その通りなんだろうと頷く。最早何も入っていない〝ここ〟ではあるが、それでも―そこにまた何か彼女の言う〝大事なもの〟を詰め込めるだろうか。かけていたヘッドホンを首に下げ、それから彼女に尋ねた。―そういえば、この街はずっと夜だからこんな時間も何もないのだろうか。)
………ところデ、お嬢サン。キミはこんな時間に何をしているのカナ?
(P/ わー!ありがとうございます!(><*)嬉しいですっ そしてやっぱりエリスちゃん可愛い…!)

83Nagi ◆rgT76.DRHw:2012/02/15(水) 15:47:26
>>ALL
(太陽の昇ることのない、いつでも夜であるこの街で唯一地上を照らす自然は空高くに孤独に浮かぶ白い月だけ。噴水から巻き上げられた水の一滴一滴がその光を受け、まるでひとつひとつが真珠のように美しく輝きながら舞い、そして水面で弾けていく。先ほどまで一つの個体として存在していた水滴も、一瞬で他の水滴に巻き込まれて底にたまってまた噴水に巻き上げられてまた一つ一つが宙で舞い、踊って散っていく。その様は輪廻。なんどもなんども繰り返し繰り返し。その連鎖が終わるのはいつか?噴水が取り壊し工事されるまでか、水が乾き枯れ果ててしまうまでか。いずれ目の前のこの輪廻はどういった方法かは分からないが解けてなくなるのだろうと俺は思った。なら生命の輪廻はどうなのだろう。人は生と死を繰り返して長い時代を紡いできたのだという。その糧となった亡くなった人間達の意思はそこでずっと止まったままなのだろうか。俺は以前人の魂は新しい肉体に宿りながら生を何度も輪廻するのだと聞いたことがある。つまり俺が俺としてここに生まれる前に別の俺として生きていたのだろう。その区切りが明確な絶命でなかったとしてもだ。"前の俺"はどんな人間だったのだろう、どんな性格の持ち主で、何をしていたのか。"今の俺"にそれを思い出す手立ては一つもない。今の俺は、迷子のようなものだった。日の上がらないこの街で日数というものは意味を持たないのだろうが、時間にすれば数日ほど前になるのだろう。俺はこの街の路地をを歩いていた。俺の記憶はそれからだった。歩いている最中にふと意識が目覚めたものの、それ以前のものは全く覚えておらずこの場所も自分のことさえ全く分からなかった。目の前に立っているのが噴水だということもそこから流れているのが水であるということも自分が座っているものがベンチだということも分かる。ただ自分に関する記憶が一切残っていなかった。水面を覗きこんで見た自分の顔がなんとなく怒っているように(怒ってなどいなかったが、)見えたのを覚えている。服装は白Yシャツに黒パンツにブーツといった地味なものだった。記憶が途切れてしまう前までの俺は地味な物が好きだったのか、その割には髪がくすんだ赤で目立ってしまっている。地毛なのか、よくわからないが…。ただ一つだけ自分自身のことでつかめたことがあった。自分が持っていた荷物に手がかりが隠されていた。懐に入っていた2本の短剣である。そのうちの1本の柄の部分に後から付け加えられたように文字が刻みつけられていたのを見つけた。その文字は、「Nagi」。これは一体なんなのか人名なのかそれとも剣を作ったところの商標のようなものなのか俺には分からなかったが、唯一手に入れたこの文字を俺は自分の名前とすることにした。俺はおもむろに立ち上がって月を仰いだ。白い。語りかけるように俺は呟いた。)
どうしてこの街はずっと暗いままなんだ。その割には意外と居心地がいい…。此処は一体…。

(pl:初めまして!以前からここの素敵ロルを閲覧させていてたんですが勇気を持って参加させていただきます!記憶を持たない生意気青年が街に迷い込んでまいりました。拙い文章ですが、よろしくお願いします^^)

84EviL ◆KsN/2oRaH.:2012/02/19(日) 04:07:20
>>83 赤髪の青年(Nagi)

―――ヒヒッ、そうダ、そうだロ!神は我々と共に云々トカぶっちゃけワタシ信じてなイからネ!分かるかイ、―うっ!?
(悪の名を冠する人影はふらふらと、それこそ夢遊病の人間のように覚束ない足取りで歩いていた。理由はまあ、その手に握られたほんの少しだけ量が少なくなっただけの赤ワインのボトルが告げている。コイツ酔ってるぞ、と。そのボトルの口から時折中の赤ワインがこぼれ落ちて歩いてきた道に転々と赤い切取線を描く。ひっく、としゃくり上げて、ぴたりと足を止めた。そのまま満面の笑みで、誰も居ない虚空に向けてうんうんと頷いては言葉を口にする。酒に滅法弱いらしい神父じみた人間のローズグレイの瞳には確かに、誰かを捉えていた。この街に来る前に自ら差し伸べられたその手を振り払って切り離した、その姿が。眼と同じローズグレイの髪を風に撫でられながら歩き出して数秒後、「分かるか」という言葉と共に誰かの名を紡ごうとして―ごんっ。という鈍い音。と、鈍い痛み。思わず声を上げてその場に蹲る。うう、と呻きながらぶつけた額をさすり、顔を上げればそこにあったのは広場へと繋がる通りに設けられたアーチ状のゲート。どうやら自分はその柱に額をぶつけてしまったらしい、と、今の衝撃で大分酔いが覚めたのか明瞭になってきた頭で思う。―さて、さっきまで自分は誰と話していたっけ。首を傾げながら立ち上がり、ある程度思考が明瞭になったとはいえ未だアルコールが抜けていない所為でふらつく足取りで広場へと足を踏み入れる。聞こえてくる噴水の音に眼を細め、それとはまた違う赤ワインが零れる音も気にせずに噴水へと歩を進めた。特に何か目的があったわけではなく、ただ〝何となく〟という考えの基なのだが―それでも、ここで噴水に近付くことがなければ〝彼〟の存在は見逃していた。かもしれない。聞こえてきた声に視線を彷徨わせ、ふと目に留まった色―くすんだような赤い髪に目を留める。そして、そのままゆっくりとではあるが近づき始めた。この街が一体どんな世界なのか、自分にもよく解らない。来る前の事は思い出せるのだが生憎と来た直後―つまり、どうやってこの街の石畳を踏んだか、思い出せない。だから彼の問いに明確な答えを返してやれなかったのが悔しかった。)
………どうしテ此処が暗いのカ…、まァ、この街がこの街で在るが故…なんだろうネ?コンバンハ、ドナタか分からなイ青年。
(P/ 初めまして!絡ませて頂きました…が、何だか初っ端からちょっと面倒な絡み方しちゃってますごめんなさい、酔ってますこの人…(ω`;)こんな奴でよろしければ、よろしくお願いします!)

85エリス=ヴィオレッタ ◆7GIVPAr5O2:2012/12/24(月) 03:42:22
(地面に近い故か、この教会の床は酷く冷える。主に続く、くすんだ丹の絨毯の上に転がった彼女は、緩慢に息を繰り返していた。この街に来たばかりのころであれば、彼女の手足は、この赤い絨毯の上からはみ出すことなどなかった。しかし、今はどうだ。成長してしまった手足は、小さく小さく縮めなければ絨毯の上からはみ出してしまう。それは、彼女にとって聖母の胎内から零れ落ちることと同じであった。何かに飽いたのか、彼女はゆらりと立ち上がった。細くはあるものの、すっと伸びた手足は、既に少女のそれとは全く違ったものになっていた。ひざ丈まであったはずのワンピースも、薄汚れた裾が太ももをさわりと撫でる。お腹が空いた。きっと街に出れば、汚い目をした男が食べ物位くれるかもしれない。長い間光を見ないでいた上に栄養失調で濁った瞳が、半壊している教会の扉を捉える。焦点を合わせようと、何度か瞬きをするもののぼんやりとした視界は治らなかった。仕方ない、と一歩踏み出すも、かくり、とその場に膝を折ってしまい)――……変なの、私の足なのに私の足じゃないみたい。私の足は、こんなのじゃなかったのに……(ずぅっと、こどものままでいたかった。それは無意識下での庇護への強い欲望だった。彼女は庇護を知ることなく、着実に、「大人」になっていってしまった。朽ちかけた木製の席に手をついて、か細い脚に叱咤を入れて立ち上がる。連なる席の背を頼りに扉へとゆっくりと歩み寄っていき)……どうして、これ以上、私でなくなりたくなんかないのに、どうして、お腹が空くの?どうして、食べるの?……誰かを、待っているの?

86名無し:2013/08/05(月) 15:23:57
復活期待(∩゚∀゚)∩age

87エリス=ヴィオレッタ ◆LZFWVlxGhU:2014/08/21(木) 23:58:44
お名前の鍵も忘れてしまったけれど……この場所がなくなるって聞いて、ご挨拶に来たの。
わたし、ずぅっと長い間、この街で生きてきたわ。それこそ、昔の記憶がなくなるくらいに……。
たくさんの人がいたような気がするし、ずぅっとわたしひとりきりだった気がする。もう思い出せないの、きっと、たくさんのことがあったのに。

この街が消えても、私はずっと、この街にいるのよ。
理由はわからないけど、きっとわたしは、この街の外では生きていけないもの。

あのね、わたしね、きっと、この街に来て幸せだったわ。
もうわたしのことを覚えている人は、きっといないと思う。でもね、私はここが好きよ。とっても、すき。
忘れたくないことも、忘れたくない人も、たくさんいるの。
でも、お別れはしなくちゃね。

ありがとう。どうかみんな、どこかで生きていてね。そうすればきっと、いつか会える気がするわ。

(PL:こんばんは、お久しゅうございます。エリスの中の人でございます。さすがにトリップがわからず、おそらくトリップが変わっているでしょうが、本物でございます。
この掲示板にとんとこない間に、どうやら移転のお話があったようで。ちょっとどうなるかはわかりませんが、ひとまずここでエリスの劇の幕を一度下ろさせて頂こうと思います。
たくさんの人に愛していただき、エリスは本当に幸せでした。今まで月光裏街を見ていただいた方、エリスを愛してくださった方、ありがとうございました。
どうか皆様、お元気で。またいつかお会いできることを心より楽しみにしております)

88ユリア:2014/08/22(金) 10:52:18
初めまして。ユリア・ブラディオルと言います。
最近は第二次天界戦争も幕を閉じ、忙しすぎる毎日を送っています。

・・・私は人に頼るということについて考えているんです。
人に頼るということは、その人を利用し、自分の為だけに危険をおかさせる
行為だと思っていました。
・・・だからこそ、利益は自分の力だけで取ろうと思ったのです。

これは、間違っていたのでしょうか?

きっと間違っているはずです。
でも、深く心に染み付いていてどうしてもこの概念から抜け出せない

私の悩みはここまでです。
さようなら皆さん。

私は朝をみなくちゃいけないので。


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