したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

◇月光裏街 =Moon Light Under the City= PartⅠ◇(

53Lolotte Marmalade ◆.LlKAkH4Jk:2011/02/22(火) 18:32:06
夜の街っていうのも案外素敵ね!午後のティータイムが無いのは残念だけれど……彼は、追いかけて来てくれるかしら
(闇に溶け込んだ夜行列車が、金の煙を吐いて車輪を転がす。空に散らばったこんぺいとうを一つ摘んで口へ放り込むと、ころころと舌を転げながら溶けていく。黒いモーニングヴェールに包まれた視界を映すゴールドの瞳は、彼女の大好きなマーマレードのように輝いていた。誰も居ない車両の一番奥の席で、小さな窓を開けて春の風に身を寄せる。くるくるとカールした銀色の長髪が靡いて、ローズマリーの香水がふわりと漂った。黒い手袋で頬杖をついて窓の外を眺める彼女の表情はまさに悩める乙女のようで、真っ赤な口紅をつけたふっくらとした唇も微笑むことはない。パールピンクのシルクに漆黒のレースやリボンをあしらったドレスは、まるで舞踏会から抜け出してきたような雰囲気を纏う。艶やかな肩に羽織ったストールをかけ直すと、速度を緩める列車に気付き駅へと降りる準備を始めた。古めかしいアンティーク調のトランクを持って席から立ち上がる。こつこつと上品なピンヒールの足音を鳴らして駅へ降り立つと、駅員一人見当たらない静けさに思わず首を傾げた。見上げると満点の星空。夜の穏やかな香り。なかなか素敵かもしれない、とヴェール越しにアイシャドーで飾った瞳を細くして微笑む。身長はヒールのおかげで165cm辺りといった所だが、年齢は二十代前半に見える彼女。トランクと反対の手に持った可愛らしいブーケをしばらく見つめて、彼の顔を思い出す。本当なら今頃、教会の階段からこのブーケを青空へと投げていたはずだったのに…そう、彼女は式場から逃げ出してきた花嫁だったのある。走り去る列車を見送って駅の改札を抜けると、乙女は小さな夜の街に埋もれていった)

(p:つたない文章ですが、参加させていただきます。よろしくお願いします)


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板