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◇月光裏街 =Moon Light Under the City= PartⅠ◇(

46 ◆YQUUXN652Q:2011/02/05(土) 02:46:54
(pl:今晩は、お久しぶりです。相変わらず拙い文章で申し訳ないです。今年も何卒宜しくお願い致します。)

>>40オーギュスタン
(重厚な煉瓦造りの家、廃墟と化した教会、狭い路地裏、規則的に配置された橙の街灯、街路樹、象牙色の石畳の地、展望台へ続く蔦の生えた階段、木造の小屋、溶けた銅像――世辞にも調和されたとは言い難い色調は、雑然たる街の景観をより際立たせていた。皮が剥げ擦り切れた味気ない黒色の革靴は、静謐な空気に不相応な硬い足音を鳴らす。徘徊はあくまでも無意味に、短調に繰り返された。白い月明かりを背中に受け、滑稽に地を這う影に伴って足取りを進める。緩慢な歩調で自分の後を追う。物々しい空気は、喧騒とは無縁な閑散とした街並みを絶えず包容していた。さながら暗澹たる世界を象徴しているかのようなそれは、本来ヒトに鬱々とした感情を彷彿とさせる―が、彼の場合は逆である。ただ、薄っぺらな悦を残すだけに留まるらしい。――角を曲がると、塀の影に彼は飲まれた。小路に続く石製の塀は、その冷たい薄墨色と身丈を優に越える高さ故に、圧迫感や閉塞感を人に与える。街路脇に規則的に並ぶプランターは、枯れた苗を植わっていた。一本の街灯は瞬くように点滅を繰り返した後、消えた。人気は全く無い。静寂は寒冷が増す、が、共に深い思索を引き連れてくれる。白い息を一つ、吐いた。枯淡な趣を味わい、無表情の中に小さな微笑を刻む。日常は、千篇一律な書物と酷似している。決して無味無臭ではない、抱くのは倦厭ではなく“慣れ”だ。それ自体には何ら痛痒を感じないが、欲を言えば一驚を喫する出来事でも起きればいいのに、と思う。溜息を一つ、吐いた。靴の音が止む。そこで何と無くプランターに視線を落として、枯れた苗に触れようと腰を屈めた。唯一の光源となる月明かりが、苗と、土と、白い手と、ナニカを照らし出した。主に書物と日常と閑話で得た知識に自身の思考の肉付けを経た脳内で、考える。眼前に悠然と佇む一つ…一人?一匹?一個体は何なのかを、考える。表情は依然として無であるが、脳内は酷く雑然としていた。苗に伸ばした手を凍結させたまま、黒い瞳一杯にそれを映した。数秒間が、やたら長い。やがて―とは言え十秒にも満たないが―率直な感想が、彼の唇から零れた。思慮に思慮を重ねたが、結局のところ、彼の理解に達するには些か難儀であったらしい。)
………何これ


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