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◇月光裏街 =Moon Light Under the City= PartⅠ◇(

55 ◆YQUUXN652Q:2011/03/01(火) 05:17:22
>>49エリオット
(夜空を仰ぐ。黒色の瞳一杯に、果てしない漆黒が厳然たる事実として無常に広がる。その美しい布地に縫い付けられた三日月は、一面真っ白な地に青白い光を放っていた。雪景色を構成する細かい粒子が乱反射を起こし、ぼんやりと明るい街の姿が浮かび上がる。街路は勿論のこと、窓の淵、屋根、植木鉢―至る箇所に雪が積もっており、日常とはやや異なる外観に仕上がっていた。幾重にも重なる街灯の淡い光輪に、粉雪が煌々と輝いている。降り注ぐ雪と夜空のコントラストの妙は実に幻想的であるが、彼には後者だけで事足りるらしい。黒色の外套に絶えず白の斑模様を残す雪は、手で払おうにも限が無い。じんわりと布地を湿らせ、指先を凍らせるだけ。自己を等閑に付すだけに、終わるのだ。――雪景色は足跡を残さず嗜むものだ。これは古い書物の受け売りでこそあるが、彼はこの思考を気に入っていた。実際に雪上を歩くのに毫末の躊躇いもないが、唯、一面の白を嗜む作者の姿勢が彼自身の黒を嗜むそれと重なった為である。さく、と柔らかな音と心地良い感触を残して無遠慮に足跡を刻んでいく。雪を食む靴音を、静謐な空気に響かせる。立ち止まり振り返れば薄暗い街の中、一人分の足跡が彷徨っていた。雪片が睫に留まり、視界を柔らかく遮る。瞬きをすれば、体温に触れたそれは溶けて消えた。正面に向き直ると、視界の先に奇矯な男の姿を捉えた。青、黒、赤、そして病的な白い肌は彼に雑然とした印象を植え付ける。年齢と威厳とを重ねた顔付きや適度に華美な服装は、男の生まれの毛並みの良さを物語っていた。物思いに沈んでいるかのような、どこか憂いを帯びた表情が月明かりにぼんやりと浮かぶ。興が沸いた。肩や黒髪に薄く積もる雪を払いもせず、外套の襟を正しもせず、男の元へ軽い足取りで歩み寄る。揶揄を孕んだ言葉を吐けば、寒さで白い息が尾を引いた。彼の表情は依然として無ではあるが、声色はどことなく嬉々たるものであった。)
今晩は。君は…随分と人目を引く風貌をしているね。このまま雪に埋もれた方がこの街に上手く溶け込めそうだ。なんて、ね

(pl:すいません勝手に雪降らしちゃいました。宜しくお願いします)


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