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◇月光裏街 =Moon Light Under the City= PartⅠ◇(

83Nagi ◆rgT76.DRHw:2012/02/15(水) 15:47:26
>>ALL
(太陽の昇ることのない、いつでも夜であるこの街で唯一地上を照らす自然は空高くに孤独に浮かぶ白い月だけ。噴水から巻き上げられた水の一滴一滴がその光を受け、まるでひとつひとつが真珠のように美しく輝きながら舞い、そして水面で弾けていく。先ほどまで一つの個体として存在していた水滴も、一瞬で他の水滴に巻き込まれて底にたまってまた噴水に巻き上げられてまた一つ一つが宙で舞い、踊って散っていく。その様は輪廻。なんどもなんども繰り返し繰り返し。その連鎖が終わるのはいつか?噴水が取り壊し工事されるまでか、水が乾き枯れ果ててしまうまでか。いずれ目の前のこの輪廻はどういった方法かは分からないが解けてなくなるのだろうと俺は思った。なら生命の輪廻はどうなのだろう。人は生と死を繰り返して長い時代を紡いできたのだという。その糧となった亡くなった人間達の意思はそこでずっと止まったままなのだろうか。俺は以前人の魂は新しい肉体に宿りながら生を何度も輪廻するのだと聞いたことがある。つまり俺が俺としてここに生まれる前に別の俺として生きていたのだろう。その区切りが明確な絶命でなかったとしてもだ。"前の俺"はどんな人間だったのだろう、どんな性格の持ち主で、何をしていたのか。"今の俺"にそれを思い出す手立ては一つもない。今の俺は、迷子のようなものだった。日の上がらないこの街で日数というものは意味を持たないのだろうが、時間にすれば数日ほど前になるのだろう。俺はこの街の路地をを歩いていた。俺の記憶はそれからだった。歩いている最中にふと意識が目覚めたものの、それ以前のものは全く覚えておらずこの場所も自分のことさえ全く分からなかった。目の前に立っているのが噴水だということもそこから流れているのが水であるということも自分が座っているものがベンチだということも分かる。ただ自分に関する記憶が一切残っていなかった。水面を覗きこんで見た自分の顔がなんとなく怒っているように(怒ってなどいなかったが、)見えたのを覚えている。服装は白Yシャツに黒パンツにブーツといった地味なものだった。記憶が途切れてしまう前までの俺は地味な物が好きだったのか、その割には髪がくすんだ赤で目立ってしまっている。地毛なのか、よくわからないが…。ただ一つだけ自分自身のことでつかめたことがあった。自分が持っていた荷物に手がかりが隠されていた。懐に入っていた2本の短剣である。そのうちの1本の柄の部分に後から付け加えられたように文字が刻みつけられていたのを見つけた。その文字は、「Nagi」。これは一体なんなのか人名なのかそれとも剣を作ったところの商標のようなものなのか俺には分からなかったが、唯一手に入れたこの文字を俺は自分の名前とすることにした。俺はおもむろに立ち上がって月を仰いだ。白い。語りかけるように俺は呟いた。)
どうしてこの街はずっと暗いままなんだ。その割には意外と居心地がいい…。此処は一体…。

(pl:初めまして!以前からここの素敵ロルを閲覧させていてたんですが勇気を持って参加させていただきます!記憶を持たない生意気青年が街に迷い込んでまいりました。拙い文章ですが、よろしくお願いします^^)


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