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◇月光裏街 =Moon Light Under the City= PartⅠ◇(

54 ◆YQUUXN652Q:2011/03/01(火) 05:16:38
>>48エリス
怒ってるよ、エリス。君が大切だからね。だから、謝っても許してあげない。自分の前で「ごめんなさい」はナシだ、いいね?
(彼女の笑顔や顰め面、少し困ったような表情を映す黒色の瞳にはじんわりと喜悦の色が浮かんでいた。一つの行動にまた一つ、反応を重ねてくれるのが嬉しい。黒猫の視線に合わせる為しゃがみ込んだ体勢から、緩徐に立ち上がる。彼女に投げ掛けた普段より幾分低めの声は、悪戯に及んだ子供を咎めるような、優柔な音をしていた。言葉とは理性と情念の統一の上に成立するものであるが、今一時、彼自身は些かパトス的性格に偏っているように思えた。す、と矢庭に彼女の眼前に手を伸ばす。指で眉間を弾くような素振りだけを見せて、ふふ、と幼く笑った。――広場は依然と静寂に支配されている。少し伸びた黒髪と、生糸のように滑らかなシャンパンゴールドを微風がそっと靡かせる。抱擁の余韻に浸る暇を乞う術もなく、冷気を帯びたそれに身を凍らせた。使い古された外套とはいえ、一応防寒具としての役割を担っていたらしい。自ずから外套を渡した手前、内心忸怩たるものがあったが―寒さ凌ぎにと体を抱えるように両腕を組み、黒色のマフラーに顔を埋めた。薄く伸びる影と共に地に足裏を縫い付けられたまま、ただ呆然と彼女を見ていた。けれど、見上げる側の彼女の首は疲れるだろう、と配慮に欠ける思考を漸く改め、林檎一個分程の間を取り空席のベンチに腰を下ろす。二人と一匹分の体重を乗せた木造のベンチは、キシ、と小さな悲鳴を上げた。彼女の膝に佇む黒猫の顎を人差し指で擽りながら、建前上の断りと嫉みを伴った言葉を紡ぐ。先程黒猫の人語を理解し難きを述懐したが、あくまで言葉の殆どは猫の主人へと向けたものである為然して問題はない。淡々と流れるような口調に平然とした微笑みを上乗せて、同意を求めるかのように彼女の顔を覗き込んだ。昔から変わらず鮮やかな二つの紫水晶を見る。長い睫が頬に影を落としているのに、飾り気のない艶やかな風を感じた。)
失礼。席を借りるよ、アリア。エリスの中で君がどれだけの存在か自分は知らないけれど、君だけがずっと一緒だなんて、ずるいじゃない


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