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【大正冒険奇譚TRPGその6】
1
:
名無しさん
:2013/09/02(月) 21:38:31
ジャンル:和風ファンタジー
コンセプト:時代、新旧、東西、科学と魔法の境目を冒険しよう
期間(目安):クエスト制
GM:あり
決定リール:原則なし。話の展開を早めたい時などは相談の上で
○日ルール:あり(4日)
版権・越境:なし
敵役参加:あり(事前に相談して下さったら嬉しいです)
避難所の有無:あり
備考:科学も魔法も、剣も銃も、東洋も西洋も、人も妖魔も、基本なんでもあり
でもあまりに近代的だったりするのは勘弁よ
2
:
◇u0B9N1GAnE :
:2013/09/02(月) 21:39:45
「おいお前、さっきの突きはなかなか鋭かったぞ。
だが俺には遠く及ばないな!いいか、手本を見せてやる――」
ダーが膝を曲げ、深く重心を落とす。
――君達は、決して油断をしてはならない。
彼は酷く自惚れの強い人間だが、それは卓越した才があるからこそだ。
ダーが地を蹴る。
強烈な風圧と共に、彼は瞬きの間に君達の眼前にまで肉薄した。
位置取りは己とマリーの間に鳥居を挟むように――理想的な多対一の位置取り。
「どうだ、見たか!いや!見えなかったろ!
そしてチビガキ!相手をぶっ飛ばしてえ時はな!こうやんだよぉ!!」
大地を慄かせる激甚な震脚、体重の全てを打点に乗せる精緻な体幹の捻転。
猛烈な勢いを秘めた靠撃が君達へと襲いかかる。
鳥居が足を浮かさせる事すら出来なかったほどの重量だ。
まともに受ければ骨は砕け、臓腑を著しく傷める事になるだろう。
【鳥居が投げ飛ばせないほど重くなったり、マリーの突きを躱せるほど身軽になったり
急速な接近からの体当たり攻撃です
威力は二人をまとめて吹っ飛ばして、戦闘不能にするくらい余裕なレベルです】
3
:
鳥居 呪音 ◇h3gKOJ1Y72
:2013/09/02(月) 21:40:34
鳥居は少しずつ少しずつだが成長している。と思う。
それはまるで、さざれ石のイワオとなりて、苔の生すほどの成長速度で。
それならば今回、目の前で直立するダーは一体鳥居に何を与えてくれるというのだろうか。
フェイとの戦いでは人それぞれに、大切な人の順番があると言うことを実感した。
それは今まで生きてきて考えてもみなかったことだ。でも、思い起こしてみたらそうなのだ。
鳥居の一番好きな人はあくまでも今はなき母親であって、それ以外の人は平たく同じ。
もとから順番なんてなく、命を大切にしたら人間らしいし、皆が喜ぶという幻を信じていただけ。
ジャンとの戦いで、鳥居は「愛しているものの代わりを奪ってくれば?」と言った。
それは鳥居の本性だったのかも知れない。
でもマリーは「それでは奪われた者の気持ちはどうなる?」と否定。
それが鳥居にはわからなかった。
本当に人間愛を持っている者なら、それを理解できたはずなのに。
やはりこの吸血鬼として生きた数百年は永すぎたのだろう。
10歳の子どもだったころの心を失うほどの年月。
夢という幻の霧のなかで独り、鳥居は彷徨っている。
だから、母になってくれるかも知れないものを探している。
初めて会ったアカネ。暗殺者マリー。出会った者に対して、常に希望を抱いている。
優しいアカネに、強い意志をもつマリー。鳥居は彼女たちに幻想を抱いている。
自分の母親に対して思う幻想を重ねている。だがそれは幻想であって真実ではない。
そう、鳥居は人間を美しく装飾してみているのだ。
4
:
鳥居 呪音 ◇h3gKOJ1Y72
:2013/09/02(月) 21:40:56
でも目の前のこの男は…。
びくともしなかった。鳥居は完全にダーを甘くみていた。
この男は、頼光とは違う。そんな後悔をしても遅かった。
相撲を挑んで組んでみたものの、ダーの身体は恐ろしいほどに重い。
それに鳥居の能力を分析する思考力。
(この男、強いです…。でも負けられないのです)
自分の心の中の幻を守るために鳥居は戦っている。
マリーたちとの絆は生まれつつある、そう信じているだけで孤独がほんの少しまぎれることも事実。
(もう仕方ありません。炎の神気で作った俵を更に炎上させて、
そのあと円の中心に収束させ、僕ごと彼を燃やします。
僕は彼に潰されてしまうかもですが、もしかしたら炎の神気の操作を上手くできるかもしれないし…)
そう思った瞬間だった。マリーの刺突。木の葉のように宙に舞う巨体。
目の前の光景に鳥居は目を疑った。なんとマリーの短剣のうえにダーが立っている。
改めて鳥居は驚愕する。鳥居を上回る力。マリーの突きをかわす速さ。無駄のない身のこなし。
しかし、鳥居は諦めない。彼はマリーたちを守ると言っている。そこに隙があると思考する。
>「どうだ、見たか!いや!見えなかったろ!
そしてチビガキ!相手をぶっ飛ばしてえ時はな!こうやんだよぉ!!」
「ぶっとばす?守るんじゃなかったんですか?でも僕は今、大切な絆のためにマリーさんの盾になります!
あーかっこいいです!貴方なんかよりも、ちっちゃいのにマリーさんを守る僕のほうがずーーーっとかっこいいです!」
ダーを見つめながら意識を集中する。そしてジト目でアカネに視線を移す。それは水の術の催促のしるし。
次の瞬間、周囲の炎の円が激しく燃え出し、ダー、マリー、鳥居の三人を土俵の中央とした炎の壁を作りあげる。
それは炎の神気の遠隔操作だった。作り出されたのは、まさに背炎の陣。
ダーがそのまま体当たりを慣行すれば、吹き飛ばされたマリーも鳥居も焼け死んでしまう。
でもそんなことできる?そんな一か八かの鳥居の挑発とハッタリだった。
【ダー君がどんな動きをみせようとも、鳥居はマリーの盾となってダー君を両手で受け止めようとします】
5
:
◇u0B9N1GAnE
:2013/09/02(月) 21:41:26
【行動判定】
>>4
>「ぶっとばす?守るんじゃなかったんですか?でも僕は今、大切な絆のためにマリーさんの盾になります!
あーかっこいいです!貴方なんかよりも、ちっちゃいのにマリーさんを守る僕のほうがずーーーっとかっこいいです!」
「――あぁ?」
短い言葉、冷酷な響き――深い怒りを宿した眼光が君を見下ろす。
同時にダーの挙動が変わった。
上体を激しく捻転、右脚を軸に左足で円を描く。
体当たりに乗せる筈だった勢いの全てを回転力に変換。僅か一瞬の体捌き。
そして腕を振り上げ――回転と遠心力、そして重力を乗せて振り下ろす。
上半身を一つの巨大な鎚のごとく扱う、劈掛掌の技巧。
その威力は、武の達人であるダーが術の補助と共に行えば、岩をも容易く砕くほどに絶大だ。
――たった一撃であったとしても、だ。
「ぬわぁあああああああああにが守るだ!せっこい真似しやがってよぉ!」
鉄槌をも凌ぐ重打撃が、豪雨もかくやに降り注ぐ。
劈掛掌の打撃は円の動き。
故に一撃一撃が、次の打撃への予備動作となる。
その結果生み出されるのは――絶え間なく続く重連撃。
「テメェさっきからいちいち生意気なんだよ糞ガキが!
だが安心しな!俺は心が広えからよぉ!それでもちゃーんと守ってやるよ!
――なにせテメェは!これから自分の身も守れねえくらいに、めったくそになるんだからなぁ!!」
ダーの連撃は恐ろしいほど重く、そして速かった。
だが――何故だろうか。
ほんの僅かにではあるが、彼の速さが鈍っていた。
勿論速いには速いのだが、最初に見せた目にも留まらぬ高速移動ほどではない。
その違いは本当に軽微だ。
しかし大事なのは『速さの落ち具合』ではない。
『一体何故、ダーの速さが落ちているのか』だ。
【挑発にマジギレ。体当たりに使う筈だった勢いを全て打撃に乗せて鳥居君を集中攻撃
なんか微妙にだけど速度が落ちているような?】
6
:
ブルー・マーリン ◇Iny/TRXDyU
:2013/09/02(月) 21:48:54
>「見事な手前……だが、無駄だよ。檻から逃れんとした者の行く先は――更に窮屈な檻の中だ」
「どんな窮屈な檻であっても、俺は絶対にそこを抜けだすさ!」
と、強気で言うが
(コイツはちとヤベぇな…体の動きを制限させてやろうと思ったが外れたか…チッ!)
>「それで……その銃。私はそういう物には疎いのだがね……さっき『何発』撃ったかな?
次に弾を込めるまでには『何秒』かかる?」
「応えるわけにゃあいかねぇな!」
ニヤリと笑いながら言う
>「他に、何か聞きたい事はないかね?答えられる限り、答えよう。話せる事はなんでも話そう」
「じゃあこれから死ぬかもしれない男に冥土の土産に教えてくれよ!」
内心、死ぬつもりはないがね、と思いながら言う
「アンタ…何歳だ?好みの女性のタイプは?童貞か?家族はいるのか?
親友は?心は?目的は?これから俺達を殺す時に慈悲はないのか?なんで俺達を殺そうとして迷ってやがんだ!!」
それは、くだらない、本当に下らないマシンガンのような質問ばかりであった
「アンタの目的は果たされたのか!!?」
だが、ブルーは本気でこれを知りたいと思っていた、特に最後のは…
>「本当に、そこにいて大丈夫かね?」
「ちぃいっ!」
そこから一気にジャンプしてその場を離れ、超人的な速さの駆け足で倉橋達の元へ向う
目的はただ一つ、なにかを恐れている男のやる気を出させるためだ
>「お、お、お前なんぞこれで十分よ!いけ!吸精蔓!」
「てめぇっ!」
と、武者小路の前まで来ると
「歯をくいしばれ!」
そのままの勢いで武者小路の頬を殴る
吹き飛ばされる武者小路、しかし吹き飛ばされる前にその武者小路を掴む
「なにを恐れているが知らない!俺はてめぇのように魔術やら妖術はつかえねぇ!
てめぇの身に何が起こっているかも知らん!だがよぉ!
今殴られた時、痛いか?苦しかったか?悔しかったか!?」
と、ゆさぶりながら聞く
7
:
ブルー・マーリン ◇Iny/TRXDyU
:2013/09/02(月) 21:49:24
「てめぇはなぁにを迷っている!
前みてぇな勢いはどうした!?怖いのか?
あのツァイが怖いのか?何が怖いんだ?その力か?
てめぇの腹の中や魂に巣くうその力が怖いのか!?」
「てめぇは!妖術師で男だろ!」
と、言うと同時に武者小路の『男の勲章』を服の上から鷲掴みにする
「痛いか?痛いよなぁ?痛いに決まってるよなぁ!?」
苦痛に歪む武者小路の顔
「だったらまだいい!痛いという事が感じられるのならばっ!
それは人である意外にない!」
ここまで一分以下の時間である!
そしてパッと手を放す
「ふん、女に頼られる男、でなく女に頼る男…か…
足は引っ張るなよ?…ん?なんだその目は?悔しいのか?
こんなにボロクソ言われてもなんも言い返さないのか?悔しくないのか?
そうかそうか、お前は結局、『男』ではないのだな?」
と、今度は挑発すると
「クソの役にも立たないならその辺に隠れてろ!この役立たず!」
彼は、ブルーは、武者小路に何が起こっているのかは大方わかっているのだ
だから彼は武者小路を怒らせる事をした。
力を使うたびに自分がなくなる?ならば力を使いながら自分を増やせばいい。
窮鼠猫をかむ、今の状態は窮鼠虎をかむ、追いつめてやれ、力に飲み込まれるなら逆に飲んでしまえ。
手に余る力などない、どんな力も、意思が、とてつもない意思があれば、握り込むことは可能なのだ
「さぁてツァイ?さっき何秒で弾込めが終わるのかと聞いたな?
やっぱ教えてやろう、それは『1秒以下』だ…」
言い終わらないうちに銃に目にもとまらぬスピードで弾を込めると同時に走り出す
(…魔力かぁ、いい思い出全っ然ないんだよなぁ…。
でも、使えるっちゃ使えるのかな…)
【武者小路さんに説得(物理他)】
【足の裏に微量な魔力を込め始める、でもよく見ると魔力の込め方が下手すぎて足の裏に塗られる前に拡散してたりする】
8
:
双篠マリー ◇Fg9X4/q2G.
:2013/09/02(月) 21:50:04
ダーの人間性は最低だ。
だが、決して軽んじていい相手ではない。
この地獄絵図の中、まともに動けない人間を平然と連れ回せ
尚且つ、まだ他者を守ろうとする余裕もある。
だからこそ、万全の手を打った。
まずは鳥居とダーの勝負、もしダーがジャンのような人間だったのなら
マリーは鳥居が勝負を仕掛けるのを止めたが、敢えて黙っていた。
ダーの性格から鑑みて、きっと鳥居のことを見かけだけで判断し油断すると読んだからだ。
予想通り、ダーは完全に油断しきっている。
ウェイトの差はあるだろうが、大人を投げ飛ばせるほどの腕力がある鳥居ならば
互角に組み合い、押し切れる可能性がある。
それを確実なものにするために、あかねの目潰しで視界を潰し動きを止める。
これで完全に押し切れるはずだった。
ダーは鳥居の突進を受けていても微動だにしていない。
加えて、その態勢のまま鳥居に講釈をするほどに余裕も見せている。
そして、そのままダーは鳥居の頭に手をのせる。
その瞬間、脳裏を過ぎったのは先ほど指一本で屍人の首を折った様だ。
おそらくは今、ダーはソレをやっているのだろう。
だが、手加減からなのか、それとも、鳥居が頑丈なのか、まだ鳥居は何かに耐えられているようだ
そうなるとダーも相手がただの人間では無いと分かったのか
更に力を加えようと構える。
その瞬間、マリーは動いた。
今、ダーの意識は完全に鳥居へ向けられている。
自信はあった、幾人もの悪人をこのタイミングで狩っていた経験が裏付けている。
「(このまま脳天にブッ刺してやる)」
マリーは思い切り、短剣を突き出した。
9
:
双篠マリー ◇Fg9X4/q2G.
:2013/09/02(月) 21:50:22
だが、しかし、確実な手応えをマリーは感じることが出来なかった。
マリーは自身の目を疑った。
いかにも鈍重そうな男が、刺突を交わすだけではなく、その短剣の上に立っているのだから
「煩い!自分が満足したいが為に他者を犠牲にするお前がその言葉を使うな!」
ダーを振り落とそうとしたが、その前にダーが飛び上がり、間合いから離れる。
ダーが着地した瞬間、先程までの身軽さが嘘に思えてくるほどの重い着地音と振動を感じる。
「(失念していた。そうだ、この男は結界ごと破ろうとしていた
つまるところ、この男もジャンと同じように術を使うことが出来るということ)」
ダーの一挙一動に気をつけながら、マリーは考える。
今までの奴の動きから察するに重力を増減させる能力と考えてみていいのか
屍人の首を折ったり、岩のようにビクともしなかったのは自身を重くしたから
逆に、自身を軽くしたからこそ、あんな真似が出来た訳か
だが、ダーの能力がどのようなものか、分かっても現状の打破は難しい
何故ならば…
「速い」
ジャンとは違い、ダンの能力は一度発動してしまえば後は、つまみを回すように
重力を調整すればいいだけの状態に加え、その調整も特別な動きを要さない為
それを読むことが出来ないからだ。
そして、現にマリーは為す術無く眼前への接近を許してしまった。
体重を軽くすることで急激な加速を可能にし、その勢いを殺すことなく
打撃の威力に加え、自身を重くすることで破壊力を増させる。
破壊力の方程式を最大限に利用した攻撃は正しく圧倒的な破壊力を有する。
それが確実に迫って来る中、鳥居が咄嗟に放った挑発がダーの怒りを買った。
マリーの身を容易く砕く一撃は、全て鳥居へ向けられる。
そして、次々と重たい一撃が鳥居へ降り注ぐ中、マリーは何もできず立ち尽くしていた。
確かに今ダーの意識は鳥居へ向けられ、隙を突くことが出来る
しかし、そうしても結果は先程と変わらないはずだ。
ならば、どうする?
ギリギリまでダーの動きを見る…とにかく、今はそれだけしかない。
見れば見るほどダーの動きはムダがない。
このまま接近戦を続けても勝ち目は薄いだろう。
と、ここでマリーが異変に気がつく
猛攻を続けるダーの動きが、なんとなくではあるが、見え始めていることに気がついた。
ダーの動きに目が追いついた訳ではない。
ダーの動きが少しずつではあるが落ちていくのが見える。
「(疲れか…それとも何か別の理由があるのだろうか
考えろ、今現在ここにあって、さっきまでなかったのは)」
【ダーが遅くなっている原因は今の環境にあると思って、原因を考える】
10
:
◇u0B9N1GAnE
:2013/09/02(月) 21:50:51
>「ふっざけんなくそじじい!!どうせ肝心な事は答えないくせによおおお!!」
ツァイは何も答えない。ただ目を細めるのみだ。
ただそれだけの所作が、何よりも雄弁に肯定の意を語っている。
>「アンタ…何歳だ?好みの女性のタイプは?童貞か?家族はいるのか?
親友は?心は?目的は?これから俺達を殺す時に慈悲はないのか?なんで俺達を殺そうとして迷ってやがんだ!!」
続くブルーの問い――ツァイの表情は変わらない。
>「アンタの目的は果たされたのか!!?」
だが最後の一声だけは違った。
彼の眼が見開かれ、眼光の色が変わる――絶対に君達を殺すのだという、苛烈な敵意の色。
即ち、彼の目的はまだ、果たされてはいない。
>「大体よお!こっちとら遥々海を越えてお前らの国を助けに来た救国英雄だぞ!
それが来てみたら訳の分からねえ死体にまみれているわ!会う奴会う奴襲ってくるわでよぉ!
な ん で 助けに来た俺たちを襲うんだこの野郎!
悪いのはこの呪災起こした奴だろうがよ!
それとも何か!?俺たちを殺したらなんかいい事あんのか?ああ!?
そしてそれは――君達を殺す事で、果たされるのだろう。
>「あんたたち!迂闊に動くんじゃないよ!
あの喰えない御仁、私達が詰所の家捜しをしてる間に、空き地のそこらじゅうに鉄杭を仕込んでる筈だ。
私達は罠だらけの檻の中に閉じ込められてるって事だよ!
移動する時は、地面によく注意するんだ!
結界の『線』を『面』に起こすまでには、数秒の誤差がある。気付けば避けられない間じゃない!」
冬宇子が叫ぶ。彼女はとても聡い。それに冷静だ。
忠告があったとは言え、既にツァイの術の性質と戦況を理解している。
だが――何の問題もない。
例え種が割れていようとも、避ける事は能わない。
彼は己の結界術に多大な自負を持っていた。
>「物騒なことしやがって!どうしてもこの頼光様の武勇伝を増やしてぇようだなぁ!」
>「このくそじじぃが!おめーの結界術は種を見せすぎだ!
どこにどれだけ仕込んでいるかは知らねえけどよぉお!虱潰しにして全部抜いてやっ……」
そう、例え彼が何をしようと、ツァイにはそれを上回る自信がある。
剣印を握り、頼光を睨む。
再度の銃撃に備えて結界の防壁は展開したままだ。
>「――――――いけない!!!」
>「あ、う……ぬ……」
しかし――何も来ない。
拍子を外す為の見せかけと言った風でもない。
>「お、お、お前なんぞこれで十分よ!いけ!吸精蔓!」
結局、放たれたのはお茶を濁すような木行の術。
何をするまでもなく、それは結界壁に裁断された。
被害はまるで無かった。が、いまいち釈然としない。
11
:
◇u0B9N1GAnE
:2013/09/02(月) 21:51:20
>「てめぇっ!」
そうして訝しんでいると――ブルーが叫び、地を蹴った。
隙を突くつもりだろうか。
だが、ツァイは動作一つ意志一つで結界を追加展開出来る。
そこに足運びを加えれば、彼に接近する事など――
>「歯をくいしばれ!」
――そう叫びながら、ブルーは頼光を殴りつけた。
予想外の出来事にツァイは僅かに目を剥き――しかし、これは好機だ。
問いに答えるとは確かに言ったが、仲間割れを始め、隙だらけの所を見過ごすまでの義理はない。
彼は剣印を二人へと突きつけて――
>「聞きたいことはないか――冥土の土産をくれるってのかい?
ふと、視界の外から声が聞こえた。倉橋冬宇子の声だ。
絶妙な間だった。この問いに答えを返すまでは、ブルー達を殺す訳にはいかない。
それは自分が立てた誓い――贖罪に反する事だ。
>冥土の土産ってなァ、殺される者に真実を伝えてやろうってぇ、せめてもの慈悲だろう?
>この期に及んで言えない事があるなんて、あんまりじゃないのかい?」
彼女の言う事は、至極もっともだ。
>「その男も言っていたように、何故私らが殺されなきゃならないのか?
それくらいは教えとくれよ!
訳も判らずに死んだんじゃあ、成仏なんかできゃしない。」
――前触れもなく、風が吹いた。
結界に包まれた詰所の敷地内に、風が。
>「ツァイ・ジン――!あんたは一流の術士だ。
生憎と私は、補助符が無けりゃ五行の術も満足に使えない三流以下でね。
敵いっこないってこたァ分かってる。
あんたが、どうあっても私を殺すってなら、きっと死ぬことになるんだろうさ。
それでも、私は知りたいんだよ!この国に何が起こっているのか。真実を。」
ツァイの口元が微かに動く。
風は、まだ止まない。
>「私らに呪災の淵源を探られちゃ、都合の悪いことでもあるってのかい?
ええ?亡国士団の旦那?
捨て駒だったあんたらが、何故中央に戻れたのかねえ?!それも呪災の直前に!」
>「ねえ!答えとくれよ!
あんたは『私らが誰なのか。何のためのここに呼ばれたのか』知っているのかい?」
「……いいや、知らないな。私には答えられんよ」
拒絶的な回答――だが、まるきり無意味でもない。
私には答えられない――それはつまり彼以外に、冬宇子の問いの答えを知る者がいる。
彼よりも立場が上の者が。そういう事だ。
無意識に零れた失言といった風でもない――彼なりの、せめてもの答えなのだろう。
12
:
◇u0B9N1GAnE
:2013/09/02(月) 21:51:40
>「さぁてツァイ?さっき何秒で弾込めが終わるのかと聞いたな?
やっぱ教えてやろう、それは『1秒以下』だ…」
仲間割れが終わったのだろう――ブルーが凄まじい速度の再装填を見せる。
彼は手も足も速い。機敏だ。
老いたツァイの眼では、その速度は見切れない。
だが、だからこその結界術だ。
彼らが結界を破る術を持たない以上、彼の優勢は揺るがない――
「――む」
不意にブルーの足から氣――魔力が漏れ始めた。
何をするつもりか、ツァイにはすぐに予想が立てられた。
戦闘時における予測とは、自分がされて困る事を想定すればいいのだから。
つまり――ブルーは結界に対する干渉力を得ようとしているのだ。
とは言え付け焼刃の技術なのだろう。
魔力は殆ど定着しないまま拡散している。
それでも、いや、だからこそ――今すぐに、仕留めねばならない。
右手で拳を固め、指の隙間に鉄杭を挟む。左手には剣印を。
そして――――突然、ツァイの足元が隆起した。
無数の亀裂が走り、そこから爆発的な勢いで吸静蔓が伸び出してくる。
「これは……!」
先の質問は時間稼ぎだった。
ツァイがその事に気付いた時には、もう遅い。
彼の体は蔓に絡め取られ、完全に自由を奪われていた。
冷汗が滲む。
不味い――このままでは、やられる。
『約定』が果たせない――『目的』が果たせない。
冷ややかな風が、彼の頬を責め立てるように叩いた。
「……さっきの問いは、時間稼ぎか」
そして――この発言もまた、時間稼ぎだ。
自分は決して負ける訳にはいかない――その一心で思考を巡らせる。
「やはり私には……こういう事は向いていなかったようだ。参ったよ。私の負けだ」
時間を稼がなくては。
ならば狙うべき相手は――あの若く勇猛な男、ブルーだ。
この状況で最も自分への殺傷力を持っているのは彼だ。
「……思えば、君の問いにまだ、答えていなかったな。
君達への冥土の土産のつもりが、私の置き土産になってしまったが……
約束は約束だ。答えておこう」
彼は戦闘中でも構わず、もう一人の男――頼光に食って掛かっていた。
なまじ強い力を持つからこそだろう、即決即断という事を知らない。
故に自分をすぐに仕留めようとはせず、話に乗ってくる筈だ。
13
:
◇u0B9N1GAnE
:2013/09/02(月) 21:51:58
「確か……私の歳だったか。それなら今年で五十四になる。
家族は国と共に死んだよ。友と呼べる者は……思えば一人もいなかったな。
……それについて、未練は無いがね。女性の好みは……」
一瞬の沈黙。
「……そうだな、強い女性がいい。私はどうも、意を決するという事が苦手でね。
お陰で君達にも負けてしまうし……女性と交わる機会も、逃し続けてしまったんだ。
だから……この手を掴んで、引いてくれるような人が、好きだったよ」
遠い過去を懐かしむように視線を細めながら、くつくつと、ツァイが笑った。
「……慈悲は、少し掛け過ぎてしまったようだ。
私も、君達を殺すのが、間違った事だとは分かっていたからね……。
後は、なんだったかな……あぁ、私の『目的』か。それなら――」
再び、風が吹いた。
これまでとは違う、激しく鋭い風――それがツァイを戒める蔓を千々切り裂いた。
ツァイの全身が自由を取り戻す。
右拳に二本の鉄杭を。左手は剣印を。
鉄杭の間に線が走る。そして彼は、その線から面を生み出せる。
長短自在の、裁断結界を。
「――これから果たされる」
ツァイが右手を突き出す。
その先にはブルー・マーリン。
――君へと目掛けて、剣状と化した結界が猛然と迫る。
もし君がそれを避ければ、結界はそのまま伸び続け――君の後方に居る冬宇子と頼光を貫くだろう。
もし避けなかったのなら――結界は君を貫いてから、そのまま君の仲間達を貫く事になる。
要するに君は――『やるしかない』。
付け焼刃だろうが、ろくに使いこなせない力だろうが、それでもだ。
やらなければ、死ぬ。少なくとも君の仲間達は、確実に。
また、これは君達が気付くかどうか分からない事だが。
先程のツァイの戒めを解いた風には、呪力――氣が含まれていた。
ツァイのものとは違う。だが君達にも覚えのあるだろう氣が。
【なんか風が吹いたらツァイを縛ってた蔓が切れちゃいました。
伸縮自在の結界を横に伸ばす事で、剣のようにして冒険者を貫くつもりです】
14
:
鳥居 呪音 ◇h3gKOJ1Y72
:2013/09/02(月) 21:52:36
土俵の円として作り上げられた炎の神気は、
鳥居の遠隔操作で激しく燃え出し周囲に炎の壁を生み出している。
そんな中、鳥居に向けて繰り出されるのはダーの重い連撃。
>「テメェさっきからいちいち生意気なんだよ糞ガキが!
だが安心しな!俺は心が広えからよぉ!それでもちゃーんと守ってやるよ!
――なにせテメェは!これから自分の身も守れねえくらいに、めったくそになるんだからなぁ!!」
「わあ!」
わあわあと悲鳴をあげながらも鳥居は何とか攻撃を避けていた。
ダーのそれは一発一発が岩をも砕く破壊力。しかし円の動きならばその軌道は読みやすい。
おまけに鳥居には吸血鬼の身体能力がある。
それにその動きは、先ほどマリーの刺突を避けた目にも止まらない動きではなかった。
今までのダーの行動、組んだときの重さ。マリーの刃物に乗るその身体の身軽さから
彼は自分の重さを操っているのだと鳥居は理解していた。
それならば何故、この連撃の速さは僅かながらに遅いのか。
(……遅い理由が理解できたら、もっと遅くする方法がわかるかも)
暗殺者のマリーとは違い、鳥居に対してはそんなに速さを必要としていないからだろうか。
それとも連撃技の特性からか。そのほかの理由か。
今の攻撃は回避や突撃の動きとは違い、高度な重心移動を必要としているからこそ遅いのだろうか。
そもそも遅いということはどういうことなのか。
(もしかして…、あの巨体で軽くなるってことには僕たちには分かりえない何かしらのデメリットがあるのかも。
もしかしたら空気抵抗がすごくなるとかです。でわ、少し試してみましょう)
「ふっふっふ。僕に致命傷を与えるためにはもっと速さが必要ですよダー。
それともそれ以上の速さは出せませんか?マリーさんの攻撃を避けたときみたく
恐ろしく軽くなってみてはいかがですか?」
そう言って両手を突き出し、練りだした炎の神気で火炎の竜巻を生み出す鳥居。
それは周囲の炎の壁と相成って、上昇気流とともに激しい気流の乱れを地上に生み出した。
「自作自演で人を守って喜こぼうとするなんてまるでオボコの人形遊びです。
立派な大人のすることじゃありません。精神的に未熟なもののすることです!」
【攻撃を避けながら、火炎の竜巻をダー君に放ちました】
15
:
ブルー・マーリン ◇Iny/TRXDyU
:2013/09/02(月) 21:53:05
>「確か……私の歳だったか。それなら今年で五十四になる。
家族は国と共に死んだよ。友と呼べる者は……思えば一人もいなかったな。
……それについて、未練は無いがね。女性の好みは……」
>「……そうだな、強い女性がいい。私はどうも、意を決するという事が苦手でね。
お陰で君達にも負けてしまうし……女性と交わる機会も、逃し続けてしまったんだ。
だから……この手を掴んで、引いてくれるような人が、好きだったよ」
「強い女性が好み…ね…あんたとは出会い方が違えば友達になれたかもな」
そういっている間に距離残り僅かにせまる
>「……慈悲は、少し掛け過ぎてしまったようだ。
私も、君達を殺すのが、間違った事だとは分かっていたからね……。
後は、なんだったかな……あぁ、私の『目的』か。それなら――」
「――これから果たされる」
眼前にせまる結界よければ味方にあたる…なれば!
「チィイイイイッ!!
やってやらぁ!!」
と、叫ぶと同時に結界の一本を『蹴り上げた』
「とりゃあっ!」
と、同時に空高く飛び上がる真上からその剣の形をした結界に『乗る』
「あちっ!あちあちあちちゃ〜!!」
わめきながらもその結界を上を『走る』、かなりバランスが危険ながらも『走る』
普通じゃあり得ない光景だ、まさか『剣の上に立つ』などという行動をだれが予想しただろうか…
彼の魔力、氣の特性は『無』
無、とは変化がもっとも起こしやすい特性だ
だからこそ彼はこれを扱うことをためらった
もしかしたら…今のような状況じゃないことになっていたかもしれないから…
「でぇいっ!」
と、そんな光景を見ている間にツァイの眼前には足の裏が見えた
見えた同時に頭部に強烈な衝撃が走る
蹴ったのだ、ツァイの顔を思いっきり、と同時に足場が足場なせいかその場から転び落ちる
ツァイもまた数メートル吹き飛ぶ
「あいででで…」
その場から転んで背中を軽く打ちつけて背中をさする
【結界の真上に乗ってそのまま走ってツァイの顔を思いっきり蹴る】
16
:
◇u0B9N1GAnE
:2013/09/02(月) 21:53:33
「ちっ……!このっ……!クソッ!ちょこまか動き回んじゃねえよ!
ぬわぁにがカッコイイだテメェ!超だっせえ真似しやがって!」
ダーは大柄だ。横幅も広ければ背も高い。
反して鳥居は、小さく背も低い。
そして『低い』という事は『遠い』という事だ。
故に、打撃が当て難い。
ダーは自分より弱い者が好きだ。
とは言え流石に、鳥居と同じ背丈の子供を甚振った経験は『そんなに』ない。
手馴れない相手にいまいち適応しかねているようだった。
>「ふっふっふ。僕に致命傷を与えるためにはもっと速さが必要ですよダー。
「あぁん!?見くびってんじゃねえぞ!テメェのチビさ加減にも、もう慣れて――!」
>それともそれ以上の速さは出せませんか?マリーさんの攻撃を避けたときみたく
>恐ろしく軽くなってみてはいかがですか?」
ダーの怒声が途切れた。
鳥居の中から強い陽の――炎の力を感じる。
瞬間、ダーの身に流れる『打』の血脈が持つ天性の才が、無意識化での思考を加速させた。
――もう気付かれたか。自分の術と、その欠点に。
認めたくない事だが、相性が良くなかった。始まり方も。
相手が自分自身や味方への被害――熱による体力の消耗も考えられないド素人だからこそ、こんな状況が生まれた。
炎に囲まれて、気流が著しく不安定な状況。体を極限まで軽く出来ない状況。
強烈な気流を伴って、炎の竜巻が放たれる。
体を軽くした状態では堪えられない。吹き飛ばされる。
だが――
>「自作自演で人を守って喜こぼうとするなんてまるでオボコの人形遊びです。
立派な大人のすることじゃありません。精神的に未熟なもののすることです!」
「――甘えんだよ、この糞ガキがッ!」
憤怒の咆哮――そしてダーは地を蹴った。
「俺が何年!この術を使ってきてると思ってやがるボケッ!力をろくに使いこなせてねえテメェとは違えんだ!
為されるがままに気流に吹き飛ばされるのではなく、自ら飛ぶ先を選んだのだ。
炎による熱波は彼を鳥居の頭上へと押し上げる。
「そして、この忌々しい結界!コイツを蹴る事で!!」
足に氣を巡らせ、寺院を守る結界を蹴る。
生じるのは強い反作用、強大な加速度。
「これならテメェがッ!どんだけチビだろうと関係ねえよなぁ〜!!
喰らいやがれ!ぶっ潰してや――」
と、勝利を確信した事で、ダーは少し冷静さを取り戻した。
そして思い出す。自分の目的はあくまで君達を守る事。
ここで鳥居を踏み潰してしまうのは、少し不味い。
故に彼は跳ぶ先を変更――君達からやや離れた地点に降り立った。
仕切り直しだ。
17
:
◇u0B9N1GAnE
:2013/09/02(月) 21:54:28
「――ちっ、思ったより面倒くせえなぁ」
ダーは顔を顰め、頭を掻きながら、そうぼやいた。
それから鳥居を見下ろし、人差し指を突きつける。
「オイ、チビガキ。今ので一つ『死に』だからな。
よーく分かったろ。俺の方がテメェなんぞよりずっと強えし、カッケーんだよ。
もう二度とナメたクチ利くんじゃねーぞ。んでもって大人しく守られとけって」
――とは言え、正直に言って君達の面倒だと、ダーは考えていた。
相手が生み出す強力な熱波は今のように逆利用出来る。
だが、そこから急降下攻撃に繋げれば、そのまま相手を死なせてしまう。それでは意味がない。
さりとて、周囲の炎の壁が生み出す気流の乱れ、それ自体を消し去る術は、自分にはない。
故に体を極限まで軽くする事は出来ない。最大速度を発揮出来ない。
有用な手札を一つ潰された。
「……ったく、本当に……『面倒くせえ』なぁ、畜生。あっちいし」
そう、あくまで『面倒』だ。
熱波で飛ばされない程度に軽くなる事は出来るし、鳥居の小ささにも慣れた。
炎のせいで汗は掻いているが、体力の消耗という程ではない。
「言っとくけどよぉ。俺の術の欠点を見つけて……それでいい気になってんじゃあねえぞ。
そりゃあ速く動けりゃ色々やり易いぜ。
俺のナリを見て油断したタコをさっさと仕留めたりよぉー」
ダーが構えを取る。
足幅を広めに取り、重心は深く落とす。
腕は肘を僅かに曲げて、胸の高さに。
「だがな、所詮はただの小細工……手品の類に過ぎやしねー。
テメェらは今から後悔する事になるぜ。この俺から小細工を奪っちまってよぉ。
これじゃあもう――『マジメ』にやるしかなくなっちまったじゃねえか」
瞬間、ダーの放つ雰囲気が変貌した。
威丈高な態度相応に迸っていた強者の気配が更に一段上へ、細く鋭く精錬されている。
18
:
◇u0B9N1GAnE
:2013/09/02(月) 21:54:56
彼が動く。
右手の平が下向きに半円を描き、地面を擦る。
汗に土や砂が付着して、遠心力によって君達めがけ飛ばされた。
彼の術は自分の重さを変えるもの――それは分泌物である汗にも適応可能。
一粒一粒が彼自身よりも重くなった砂弾が鳥居へと迫る。
流れるような動作でダーが地を蹴った。
女性ほどの自重に、巨漢の筋力――多少遅くなったとは言え、速度は未だ十分。
一瞬の内にマリーの眼前へ。
彼の上体が波を打つ。
波とは加速する力、無と全の相転移。
それを打突に適応すれば――高速かつ炸裂的な重連撃と成る。
「見せてやるぜ、テメェに見えるもんならな……八閃翔――ッ!!」
八閃翔――またの名を翻子拳。
「拳の密なるは雨の如し、脆快なること一掛鞭の如し」と評されるその拳は、
ダーの術を併用する事でまさしく神速の打拳と化す。
だが――双篠マリー、君はもう十分に彼の動きを見てきた。
その上、彼は周囲の炎によって最大速度を出せないでいる。
この期に及んで彼の打拳を見切れないのならば――最早、暗殺者の名を冠する資格はない。
命と共に、落としてしまうといいだろう。
ところで――確かに君達は彼の術の欠点を理解した。
しかし、その対策は完璧ではない。
彼はまだ、炎の上昇気流を利用した緊急回避を使える状況にある。
致命打を与える事は難しいだろう。
【鳥居→汗が染み込んだ事で馬鹿みたいに重くなった砂かけ攻撃
威力的には普通の人間が食らったら砂が体内にめり込んだ後で
肉やら内臓に穴を開けながら下に沈んでいく感じになる筈です。余裕で死にます
マリー→急接近からの連続突き
飛ばされない程度には軽くなっているので、最高速度ではないけど、それでも超速いです】
20
:
倉橋冬宇子 ◇FGI50rQnho
:2013/09/02(月) 21:59:41
>>10-13
>>15
頼光を叱責し張り飛ばしたアレク――ブルー・マーリンが、空になった拳銃に装弾。
視線は油断無くツァイの動作を伺い、足元に独特の――"氣"が漏れ始める。
彼は何かを仕掛けるつもりなのだ。
一方、冬宇子がツァイと言葉を交しながら、密かに地中に這わせていた蔦の根も、もはや成長に十分な時間を経た。
機は熟した。ツァイの動きを停めるのは今しかない。
「令!剛發芽促!!」
冬宇子が呪言を発する。
ツァイの佇む地面、その直下まで成長していた根が一斉に萌芽し、爆発的成長を以って彼の身体に絡み付く。
両脚から胴体に這い上がり、腕ごと拘束。
指の一本一本までもが、蔓に絡め取られ、結界を発動するための剣印を結ぶことさえ叶わない。
ツァイは立ったまま、緑色の蓑虫さながらに、首から下を葉をなす蔦に緊縛されてしまった。
>「……さっきの問いは、時間稼ぎか」
>「やはり私には……こういう事は向いていなかったようだ。参ったよ。私の負けだ」
老結界師が、苦笑交じりに言葉を漏らす。
彼の結界術発動には、『手』の動作が不可欠だ。それさえ禁じてしまえば、次の一手は打てない。
「相手が一流だからって、黙って殺されるわけにはいかないんでね。
言ったろ?"補助符を使わなければ――"って。三流術士にだって、これくらいの術は使えるのさ。
さァ、今度こそ、ちゃんとした『回答』を貰おうかねぇ?」
薄笑いを浮かべて冬宇子は言う。
好奇心を満たそうとする女の執念は凄まじい。それを知る為に、如何な危険があろうとも、
知った後に、どんな結末が待ち構えていようとも、女は走り出した欲望を収めることが出来ないのだ。
>「……思えば、君の問いにまだ、答えていなかったな。
冬宇子の狂気染みた追求を躱すように、ツァイはブルーへと視線を移し、語り始める。
大部分は、ブルーがツァイの気を逸らす為に投げ掛けた意味の無い質問への返答だったが、
何処かに核心に迫る手掛かりが含まれているやも知れず、冬宇子も耳を傾けぬわけにはいかなかった。
>「確か……私の歳だったか。それなら今年で五十四になる。
>家族は国と共に死んだよ。友と呼べる者は……思えば一人もいなかったな。
>……それについて、未練は無いがね。女性の好みは……」
>「……そうだな、強い女性がいい。私はどうも、意を決するという事が苦手でね。
>お陰で君達にも負けてしまうし……女性と交わる機会も、逃し続けてしまったんだ。
>だから……この手を掴んで、引いてくれるような人が、好きだったよ」
冗々と語られる身の上話。その他愛ない内容に、冬宇子が苛立ちを募らせる最中、
詰所の敷地内に『氣』の乱れが生じた。
>後は、なんだったかな……あぁ、私の『目的』か。それなら――」
敷地を覆う方形の結界の内部に、一陣の風が吹き抜ける。
風は竜巻となってツァイの全身を取り巻き、剃刀の如き烈風が、纏わりつく蔦を切り裂いた。
道術によって起こされた風だ。術才は低くとも、陰陽師として道術を嗜んだ経験が、冬宇子にそれを感知させた。
>「――これから果たされる」
細切れになった緑葉の渦から、初老の男が、傷一つない姿を現した。
ツァイが右手を突き出す。
拳に挟まれた二本の鉄杭の間に、青白い霊光が結ばれ、それを基点に起された平面が一直線に伸びる。
瞬きの間も与えず、ブルー・マーリンの鼻先へと。
並外れた反射神経を持つブルー。避けることは造作ない筈だが、彼が避ければ、霊力の剣が背後の冬宇子を貫く。
21
:
倉橋冬宇子 ◇FGI50rQnho
:2013/09/02(月) 22:00:39
>「チィイイイイッ!!やってやらぁ!!」
先刻から、ブルーの身体から微かに立ち昇っていた、不安定な『氣』―――
道術魔術などの術式の斎整を経ぬ、原始的な『生命のエネルギー』の如きそれを、彼は足元に集約し、靴のように纏う。
爪先を天に向けて跳躍―――!
氣を帯びた足が、霊光を弾き、伸延する剣の軌道を逸らした。
そして、着地は、剣状を成す結界の上へ。
支えるツァイは重みに耐えかねて、剣先が、片側だけに錘を載せたシーソー遊具のように傾いて地面を穿った。
>「あちっ!あちあちあちちゃ〜!!」
ブルーは、綱渡りさながらの不安定さで結界の刃を走り、術士の眼前へ。
膝頭を高く引き上げて足裏を突き出し――前蹴りがツァイの額を捉えた。
足場が悪かったせいか致命傷には及ばなかったが、ツァイは全ての結界を失い、大の字に地面に打ち伏していた。
また、風が吹き始めた。
詰所の前庭を冷風が渡る。呪力を帯びた道術の風が―――。
道術で風を起こすのは、中々に高度な技量を要する。
陽から陰に――流動する氣の道に、風は生じる。
陽の氣と陰の氣を、狙いの位置に瞬時に練り上げなければ、風を操作することは出来ない。
それも、頑丈な蔦を刻むほど強力な烈風を、複雑かつ繊細に、変幻自在に操る腕前。
卓越した技量を持つ、高位の道術使いでなければ不可能だ。
冬宇子が、かつて出会った道術使いの中で、その水準に達する者が二人いた。
王付きの呪医にして宮廷道士のフー・リュウ。そして、日本の寒村、日ノ神村で相見えた女道士、伊佐谷―――。
もっとも、道術発祥の国においては、その程度の力量を持つ道士は、珍しくないのかも知れぬが。
居場所は判らぬが、謎の道術使いが、この戦いを監視している。
何処かに隠伏し、ツァイを手助けしている。
まるで、彼に課せられた役割を果たせるか、裏切りはせぬかを、見届けるかのように。
その者こそ、求める問いの解を――冬宇子達がここに居る理由を、知る相手なのかも知れないのだ。
ともかく、ツァイ一人を相手に戦っていては、埒が明かないのは確かだった。
冬宇子は木行の呪言を唱えた。
ツァイを拘束した蔦は、烈風に切り裂かれはしたが、未だ呪力を失ってはいない。
蔦は再び生長し、初老の男の年の割りに剛健な身体を、地面に縫い付けた。
そうして冬宇子は、着地に失敗し背中をさすっているブルーへと目を向ける。
唇に微笑。けれど、視線に棘を潜め、
「いつも、いい仕事をおしだねえ……本当に頼りになる男だよ。
でも、あんたは子供……怖いもの知らずで、苦労知らずの、願えば何でも叶うと思っている、甘やかされた坊ちゃんだ。
ついさっきまでの、あの男と同じでね。」
ちら、と、頼光を視線を送り、にわかに表情を怒りに変じた。
「何を迷っている――怖いのか――だって?フザけるんじゃないよ!このガキが!!
ジンの言っていた通りだ……あんたは子供だ。自分を省みることも出来ず、何を怖れるべきかも知らぬ愚か者さ!
あの男をけしかけて……もしも、あの男の身に、取り返しのつかぬ事が起こったら、どうするのさ?!
責任取れんのかい?!
なァにが船長だよ!あんたは、人の上に立つ器じゃないね!
あんたの下らない根性論に振り回されて、命の危険に晒される船員どもが気の毒でならないよ!!」
朱を差した唇を歪め、憎々しげに言い捨てた。
万が一、頼光の身に『取り返しのつかぬ事』があったとしても、冬宇子にとって意味するところは『戦力の喪失』だけだ。
孤立無援の異国の地においては貴重な戦力であるが、もとより同じ力量の同業者であれば、誰でも置換可能な存在だ。
なのに何故、彼の危機を前にして、冷静さを失うほどに取り乱してしまうのか。
自分自身、整理のつかぬ感情が、一層冬宇子を苛立たせた。
22
:
倉橋冬宇子 ◇FGI50rQnho
:2013/09/02(月) 22:01:08
冬宇子は、ふい、と、ブルーから顔を逸らし、ツァイに歩み寄った。
擦れ違い際に、頼光に囁きかける。
「何処かに術士がいる……"風"を読んで。
お前には木行の才がある。体内に居るモノの力を借りずとも出来る筈だ。」
ツァイは意識を回復しているようだった。横たわる男の腹を跨いで、腰を下ろす。
この体勢ならば、蔦を切られても直ぐには動けまい。
「女をその気にさせて、『言えない――教えられない――』なんて、焦らしてばかり。随分卑怯じゃないのさ。」
上からツァイの顔を覗き込み、蔦まみれの右手に、かろうじて握られていた鉄杭を取り上げた。
蔦を操作して、剣印に近い形に結ばれていた左手を開かせ、渾身の力を込めて奪い取った鉄杭を振り下ろす。
金属の楔が肉厚の掌を貫き、地面に固定した。
「おイタは駄目よ!亡国士団の旦那!
私の望みは、あんたの命じゃない――情報さ。大人しくしててくれる限りはね。」
腰帯から抜いた懐剣を首筋に突きつけ、片手で道士服の合わせ襟を乱す。
「ツァイ・ジン―――!あんたって、本当に魅力的よ。
あんたが、昔、気の強い恋人に見捨てられたのはね、きっと、あんたが煮え切らなかったせいさ。
今だってそう。殺す気でいながら、私らが死ぬとは思ってない。あんたは迷ってる。
だから真実を話せないんだ。」
冬宇子は、懐剣で自らの指先に小さな傷を付け、露わになったツァイの胸に文字を描いていった。
「生憎と、私は、そんなに強い女じゃないが、あんたを導いて口を割らせるの事は出来るのさ。
傷ついて動けぬ相手に、營目の術を掛けるくらいの事はねえ!」
『營目(えいもく)』とは、自らの氣を他者と同調させ、意のままに操る呪法。
胸に記した血文字は、常ならば符に刻む筈の呪文字。
符を使わず肌に描いたのは、風の影響を回避する為だ。
「今度は私の質問にも答えてもらうよ!――――我が血に於いて命じる!令!走弃口!!」
身体の『筋』を表す薬指を曲げ、舌口を表す中指と薬指を真っ直ぐに伸ばして両手をつき合わせ、印を結んだ。
ツァイは熟達した結界師だが、ブルーの攻撃による意識喪失から十分に回復してはいない今ならば、
術の支配下に置ける可能性がある。
そして、この状況は、戦いを監視している道術使いにとっても、甚だ不都合な筈だ。
道術使いは、必ず仕掛けてくる。ツァイが戦闘不能となれば、姿を現すやもしれない。
隠れたツァイの協力者を炙りだすための戦術だった。
しかし、これは、単身では取れぬ戦術だ。
背後を任せられる戦力――洞察力に富み、機敏で、腕の立つ、味方が居なければ成り立たない。
冬宇子は、あれほど罵りながらも、ブルーや頼光を、戦力としては信頼していたのだ。
【倒れたツァイに、拷問紛いの意地悪をして、營目の術をかける】
【術にかかれば、あら不思議、いろいろ喋っちゃいます。身体拘束付きの自白剤みたいなものと思って下さい。
風使いを誘き出す戦術だったりも】
23
:
鳥居 呪音 ◇h3gKOJ1Y72
:2013/09/02(月) 22:02:07
吸血鬼の身体能力をもつ鳥居は小さくてすばしっこい。
あの動物の「猿」にもひけをとらないほどに。いやそれ以上の動きを持っている。
なので鳥居に致命傷を与えられないダーは痺れを切らして跳躍。
瞬時に己の体を軽くしたのだ。そう、彼は自ら跳躍し上昇気流を利用。
足の裏に練り上げた気を展開させてフーの結界と反発。
ド迫力の身のこなしをもって、鳥居に反撃を仕掛けんとする。
が、思いとどまるかのように遠くに着地。
>「オイ、チビガキ。今ので一つ『死に』だからな。
よーく分かったろ。俺の方がテメェなんぞよりずっと強えし、カッケーんだよ。
もう二度とナメたクチ利くんじゃねーぞ。んでもって大人しく守られとけって」
「……」
鳥居は目を皿のように見開き無言。
ダーは激情はしていたが、己の主義のために踏みとどまり手加減したのだ。
でなければ今の流れで鳥居は確実に踏み潰されていた。
そしてさらに瞠目すべきはその戦闘センス。結界と反発をすることにより方向転換し、
さらに加速度を増す攻撃など鳥居にはまったくの想像外の動き。
>「……ったく、本当に……『面倒くせえ』なぁ、畜生。あっちいし」
>「言っとくけどよぉ。俺の術の欠点を見つけて……それでいい気になってんじゃあねえぞ。
そりゃあ速く動けりゃ色々やり易いぜ。
俺のナリを見て油断したタコをさっさと仕留めたりよぉー」
>「だがな、所詮はただの小細工……手品の類に過ぎやしねー。
テメェらは今から後悔する事になるぜ。この俺から小細工を奪っちまってよぉ。
これじゃあもう――『マジメ』にやるしかなくなっちまったじゃねえか」
ダーは面倒と悪態をつきながら真面目にやるしかないと宣言。
その後、身構えると雰囲気が豹変。流れるような身のこなしで砂弾を放つ。
(目潰し!?)否、小細工はしないと彼は言った。
鳥居は理解できないまま、しかし砂弾の得体の知れないを攻撃を怪訝に思い、
炎の神気を右手に纏うと回避しながら砂弾を払う。これはダメもとの本能的な動き。
だが、それが功をそうした。 重さを孕んでいたダーの汗は一瞬で蒸発し、砂弾はただの砂と化す。
「いたたたぁ!」
ただ汗を蒸発しきれなかった砂弾が鳥居の爪先に落ちて彼を悶絶させる。
ダーの思わせぶりな態度は鳥居の恐怖心を煽り警戒心を強めた。
だがそれが逆に幸運だったのだ。ぼけっとしたまま砂を手で受け止めていたなら
今頃鳥居は血の海のなかにいたことだろう。
(砂を重くした?いえ、僕の燃やした砂はそのままサラサラになって飛んでゆきました。
ということはこの汗で湿った砂が重いということです。この砂の重さの正体は彼の汗です。
あくまでも重く出来るのは自分の体。もしくは体の一部だったものなのです)
24
:
鳥居 呪音 ◇h3gKOJ1Y72
:2013/09/02(月) 22:02:25
砂弾による負傷は右足の爪先だけ。すぐに再生する。
でもその間もダーはマリーへと迫り、恐るべし技「八閃翔」を繰り出していた。
あの大男の筋力でマリーよりも軽いのであれば、単純に考えてダーはマリーよりも速い。
かと言って重くなるのは技の衝突する刹那のみ。
仮にマリーが何らかの手段で対抗したとしてもダーはこの地上において
無重力下のような回避行動が可能。
炎の上昇気流はダーの攻撃時の精度を落とすものの回避行動にはまったくの効果が無い。
逆に炎の上昇気流がダーを上へ上へと加速させる。
だからといって炎を消してしまえば高速移動の攻撃が待っていることだろう。
「ん〜〜〜〜〜」
鳥居の想像ではマリーに勝ち目はなかった。
ダーの速さや破壊力に対抗する必殺技のようなものなどあるのだろうか。
だから自分が何とかしなければ。 眉根を寄せて思考する。
「あ!相手を叩く瞬間に攻撃を重くするのであれば、重力に逆らう上への攻撃ってどうなるのでしょうか?」
何かを閃いた鳥居は吸血鬼の身体能力で跳躍。それは屋根に一っ飛びできるほどの力。
そして最高到達点に達すると炎の翼を噴出させて更に上昇。
火誉山での巨大粘菌との戦いで見せた炎を纏った上空からの突撃。
それを慣行するつもりだった。
あの時と違い、吸血鬼の体であれば威力は倍増、というか捨て身で行ける。
ぎりぎりまで落下速度を落とさずに炎の翼で自身の軌道の修正も可だ。
「もしかしたら貴方に屈辱を味合せてあげることができるかもしれません。
敗北を味わってこそ、人は成長できるものなのです!」
【上から鳥居が落下攻撃(両手に拳固を作ってダー君に突撃。
その威力は大男でも軽く骨折するほど)衝突時には鳥居も骨折しますが暫くしたら回復します】
25
:
双篠マリー ◇Fg9X4/q2G
:2013/09/02(月) 22:03:00
鳥居が身を挺してダーの攻撃を捌いている中、マリーはダーの動きを観察していた。
鳥居が躱したダーの眼前に迫ろうともマリーは微動だにしないほど全神経を集中して見ている中
マリーはあることに気がついた。
「(拳の速度にムラが出始めている)」
一見、同じ速さで打ち出しているダーの拳だが、よく見てみるとその速度にムラが出ているのが分かった。
ただ真っ直ぐ打ち出した場合は、その変化は微妙であるが、上下に打ち出した場合、その変化は顕著に出ている。
上に打ち出した場合は、初速が早く、インパクト直前にガクンと遅くなる。
下の場合はその逆で、初速が遅く、インパクト直前に加速する。
ここでマリーの脳裏に閃が走る。
「(そうか、奴は自身を軽くしているから、あの体躯で動ける
だが、過剰に軽くしたことによって、気流の影響を諸に受ける
奴の動きが遅く感じたのは、この周りを囲む鳥居の炎によって発生した上昇気流によって
発生した浮力がやつの動きを阻害しているからか)」
どうやら、鳥居も同じことに気がついたらしく、ダーに向かって火を放った。
だが、それを読んでいたかのようにダーは鳥居の炎を利用し、カウンターを仕掛けようとするが
それをやめ、間合いをあけるだけに留めた。
「(感情のままに動くやつだと思ったが、多少自制することは出来るようだな)」
あくまでもダーの目的は、行動不能になった自分らの保護だ。
ろくに動けなくすることはあっても、殺してしまっては元も子もないからだ。
このような状況でもダーは未だに「手加減」を意識している。
そう思った矢先、その希望的考察も危うくなってきた。
手の内が明かされたのか、先程まであったダーの余裕が失われ、闘気を感じる。
危うい状況ではあるが、それだけダーが追い詰められているということでもある。
次の瞬間、ダーが動く、鳥居に向かって砂を投げつける。
目くらましの後、また接近しての連撃かと考えた刹那、眼前に巨体が迫る。
完全に先手を取られたが、先ほどとは状況が違う、ダーの手の内も弱点も知り得、存分に動きを見た。
全神経を集中してダーの打撃に対処する。
「舐めるなぁ!」
皮膚を切れ、衣服が契れながらもマリーは紙一重でそれを躱す。
何度か打撃を躱した後、身を屈め、拳を固める。
マリーはダーと打ち合いをするつもりだ。
勝算は十分にある。ダーの打撃は驚異的なものだが、その威力は当たる直前に自重を重くしたことによるものだ
つまり、体重が軽い状態で打ち出した拳の威力はそれよりも劣るはずだ。
そこに全力で拳を打ち込めば、ダーのプライドごと拳を破壊することも不可能ではないはずだ。
刹那、ダーを見上げるマリーの視界に鳥居の姿が見える。
鳥居による上からの攻撃、マリーは好機と捉える。
ダーの多少なりとも鳥居に向けば、自身の反撃が通る確率は増すし
気がつかなければ、そのまま、鳥居の攻撃が通る。
「もらったぁ!!!」
暗殺者として鍛え上げてきた肉体を全て使い、文字通り全身全霊の一撃をダーの拳めがけマリーは放った。
26
:
◇u0B9N1GAnE
:2013/09/02(月) 22:04:11
>>22
容赦なく手の甲に突き立てられる鉄杭に、ツァイは苦悶の声を漏らす。
>「ツァイ・ジン―――!あんたって、本当に魅力的よ。
あんたが、昔、気の強い恋人に見捨てられたのはね、きっと、あんたが煮え切らなかったせいさ。
今だってそう。殺す気でいながら、私らが死ぬとは思ってない。あんたは迷ってる。
だから真実を話せないんだ。」
「……見捨てられた……か……。もしそうだったら……どれだけ……良かった事だろうな……」
脳震盪と激痛によって白み、混濁する意識の中で、彼は小さく呟いた。
そして目を背けていたかった過去が、君の言葉を切欠に彼の心に蘇る。
――ツァイ・ジンはかつて、とある国で法務官を務めていた。
裁く対象は専ら軍法違反者と――叛逆罪や不敬罪を適用された国民だ。
彼が仕えた王はお世辞にも有能とは言えぬ男で、そのくせ矜持だけは一人前だった。
故にツァイの一族は――殆どの者は表立っては口に出来なかったが、国中の嫌われ者だった。
ツァイ自身も、その事には気付いていた。
暗愚な王に従い、国民を裁き続けるのは、決して正しい事ではない、とも。
なにより自分は人を裁くに相応しい人間ではない、と。
軍民、皆に嫌われながら生きていくのは、辛かった。
だが――だからと言って、どうすればいいのかまでは、分からなかった。
ツァイ一族はずっとそうやって生きてきたのだ。
他の生き方など、分かる筈がなかった。
『――アナタって、いっつも辛そうな顔をしてるわよね』
そしてそれが、彼が初めて彼女――王女から受けた言葉だった。
『……辛そう、ですか?』
『うん、仕事の後は特にね』
『……いえ、そんな事は』
『あーあー、別にお父さんにチクろうとか、そういう訳じゃないから。
ただ……『自分は本当はこう思ってるんだ』って事ってさ。
誰かに知ってもらえると、少し気が楽にならない?』
彼女はツァイの心中を見透かしていた。
その事は確かに彼女の言う通り、彼の心に僅かな穏やかさを齎してくれた。
それから彼は何度も彼女と会って、言葉を交わした。
そうしている間だけは、自分という存在が深く認められたようで、心地良かった。
――身分の違いと言うものをまるで考えてくれないせいで、
いつ王の目に留まって機嫌を損ねないかと、戦々恐々とはさせられたが。
27
:
◇u0B9N1GAnE
:2013/09/02(月) 22:04:52
『――私ね、この国を出て行きたいと思ってるの。窮屈で、退屈な、この国を』
ある時、彼女はツァイにそう言った。
『あ、勿論今すぐじゃないよ?大人になったら、いつかは……ね』
『――それが、君の……?』
『……そう、『本当はこう思ってるんだ』って事。
誰かにこれを話してしまいたくて、私、アナタに声をかけたの。
同じものを持ってるアナタになら話せるし、聞いてくれると思った。
……ズルいよね』
『……私は、あの時、君が話しかけてくれて良かったと思っている。
それに今も……話してくれて、嬉しいよ』
その時の彼女の明るんだ表情は、今でも鮮明に思い出せた。
そしてまた数年の歳月が流れ――大人になった彼女と、ツァイは歩いていた。
見せたいものがあるのだと、彼女は言っていた。
連れて行かれた先は、宮中で最も高い場所にある――彼女の部屋だった。
――無論、誰かに見られでもしたら間違いなく一族郎党総死刑は免れない為、
結界術を最大限に活用する羽目になったのも、今となっては貴重な思い出だ。
『……先祖が知ったら、さぞ嘆かれる事だろうな』
『まっさかぁ。王女様のお願いを果たす為に使ったんだから、むしろ名誉な事じゃない?』
『……それで、見せたいものと言うのは?』
『ん……ほら、アレ見て』
彼女が指を差す先には、大きな山があった。隣国との国境だ。
『私、ずっとあの山の向こうに行ってみたいと思ってたの。
ここからじゃ見えない世界……私の知らない世界に。
それが私の夢だった。知ってたよね?』
ツァイは無言で頷く。
彼女が次に何を言おうとしているのかを、何となくだが、悟りながら。
『その夢を、叶える事にしたよ。……もう、準備は出来てるの。今夜、この国を発つつもり』
『……寂しくなるよ』
真っ先に感じたのは、それだった。
この国の外で無事に生きていけるだろうかと、不安も感じた。
だが、それを理由に引き止めようとは思わなかった。
28
:
◇u0B9N1GAnE
:2013/09/02(月) 22:05:24
『うん、知ってる』
少し悪戯っぽく、そして嬉しそうに、彼女は笑って――
『――ねえ、アナタも一緒に来ない?』
それから、そう続けた。
ツァイは呆然として、彼女を見る事しか出来なかった。
『あの山の向こうは……私の知らない世界。
そして、誰もアナタを知らない世界だよ。ね……行こうよ、私と』
彼女は手を差し伸べた。
誰も自分を知らない世界――人を裁き、殺さなくても良い世界。
『……私は』
行きたかった。彼女と共に。
だが――ツァイは煮え切れなかった。
自分の職務は一体誰が引き継ぐのか。
一族が代々受け継いできた使命を自分が終わらせてしまっていいのか。
『……少し、考える時間をくれないか。三日後……三日後までには、答えを出そう』
彼はそう答え――けれども、その二日後の晩に、彼のいた国は滅んだ。
たった一晩の内に―― 一体どのようにしたのかは誰にも分からなかったが、
王都に侵入した敵国の軍勢が王宮を攻め落とし、王を暗殺したのだ。
そして――殺されたのは王だけではなかった。
王妃も王子も――王女も皆、殺されていた。
王族さえ生きていれば、国はまた蘇る事が出来る。
生かしておいて占領後の統治の道具とするよりも、国を完全に滅ぼす事を選ばれたのだろう。
その後――追って侵略してきた敵軍によって、王都は完全に占拠された。
ツァイは捕虜となり――その煮え切らぬ気質故に、王女を追って命を絶つ事も出来ず、
清へ――亡国士団に流れ着いた。
>「生憎と、私は、そんなに強い女じゃないが、あんたを導いて口を割らせるの事は出来るのさ。
傷ついて動けぬ相手に、營目の術を掛けるくらいの事はねえ!」
祖国を取り戻したい訳ではなかった。
あの国はもう、王族――彼女と共に死んでしまった。
土地を取り戻したところで、決して蘇りはしない。
ただ、あの山が欲しかった。
彼女が越えたがっていた山――その頂上に、墓を建てたい。
彼女がついぞ辿り着けなかった世界を、せめて見てもらいたい。
それがただの自己満足に過ぎないと分かっていても、堪えられないのだ。
自分のせいで彼女の望みが絶たれてしまったのだという、現実に。
だから――あの山を得る為なら、清王からの褒賞を得る為なら、ツァイは何だってする。
出来るか出来ないではない――しなくてはならないのだ。
君達を、殺さなくては――
29
:
◇u0B9N1GAnE
:2013/09/02(月) 22:06:09
>「今度は私の質問にも答えてもらうよ!――――我が血に於いて命じる!令!走弃口!!」
故に彼は――あえて君の術を深く受け入れた。
そして問いに答える。
「……何故、私達が……ここへ戻ってこれたのか……。
そうじゃないんだよ……こうも考えられる筈だ……。
私達はあの戦場から……遠ざけられたのだと……」
風が吹く。荒々しく、彼の声を妨げんとするかのように。
「私は……君達が何者で……何の為にここにいるのかは知らない……。
だが……それを知る者が誰なのか……それなら……知っているかもしれないな……」
しかしツァイの言葉は止まらない。
「彼は私に……君達を始末しろと命じた……。
国の機密を……国防情報を探っているのだから……殺されても文句は言えない……。
そうすれば王に……私の働きがが褒賞を与えるに足るものだったと献言してやってもいいと……」
代わりに――風が止んだ。
最早、制止は無駄だと理解したのだろう。
「そう、彼は……」
風が離れ、訪れた静寂の中で、ツァイは続ける。
「……フー・リュウは、私にそう言ったよ」
瞬間、彼は蔦にまみれた右手で冬宇子の腕を掴んだ。
流れにあえて身を任せる事で温存してきた余力で、一瞬だけ君の術に抗ったのだ。
「これでもう、後戻りは出来ない。腹を決めたよ。さぁ……やってくれ」
虚空の先を見上げ、今もこの言葉を聞いているだろう風の主に向けて、彼はそう言った。
30
:
◇u0B9N1GAnE
:2013/09/02(月) 22:06:30
――風は結界の外から吹き込んでいた。
その方角は――迷宮のような街路を歩いてきた君に正確な方角が分かるかは微妙なところだが、
フー・リュウの寺院がある方からだった。
その風には纏まりと言うものはなく、ただ漠然と吹いてきているだけだった。
けれども、それがある時を境に正確な形と軌道を得始めるのだ。
――人は姿なき風の形と流れを、草木が揺らぎ、踊る様を見て初めて理解する。
木行使いたる君が風の流れを読めるのも、その為だ。
それと同じように――結界の外から吹き込む風は、
倉橋の腰帯に挟まれたフーの符を揺らす事で、高度な制御を得ているようだった。
即ち彼女の持つ符は、連絡手段であると同時に術の中継地点――座標特定の用を成す物という事だ。
ツァイの周囲から離れた風は結界の上空に集まっていた。
渦を巻きながら纏め上げられ、一本の巨大な奔流と化しているのだ。
その強烈な風圧が、機は熟したと言わんばかりに急降下を始めた。
着弾予定点は言うまでもなく――ツァイによって腕を掴まれた、倉橋冬宇子だ。
束ねに束ねられた風は最早、不可視の圧倒的な破壊力だ。
直撃すれば女の細首くらい容易くへし折れてしまうだろう。
31
:
武者小路 頼光 ◇Z/Qr/03/Jw
:2013/09/02(月) 22:07:01
結界を展開したツァイへ吸精蔓をけしかける頼光の表情は攻勢に出た者のそれではない。
無駄な努力だとわかっていながらもせずにはいられない。
相手への攻撃が目的なのではなく、自分の中の何かを紛らわすためのもの。
畏れている。
自分の中の得体のしれない何かを。
そして失われていく自分自身を
虚勢を張り隠しているつもりでも、この場にはそんなものが通じる人間は一人もいない。
>「歯をくいしばれ!」
「はぁ?いきなりなにうぉ!?」
間抜けな反応が終わる前に頬に走る衝撃。だが倒れることは許されない
面食らった状態で掴まれ捲し立てられ、ようやく我に返り怒声を発しようと口を開いた瞬間
「きさ・・・!
>「てめぇはなぁにを迷っている!
その後語られるブルーの言葉に頼光の顔から血の気が引いた。
自分の知らぬ事をこの男は知っている。
自分自身の事なのに自分よりも昨日今日会ったばかりの男が。
「おまっ、なに……う、うぉおう……ぎゅええええ、も、?げる!」
驚愕と共に開いた口から吐き出される台詞はまたしても阻止される。
男の急所を握られては言葉も続けられない。
叫ぼうにも急所を握られ言葉を発することも動くこともできずに一分間。
痛いかと聞くブルーへの返答はかろうじてパクパクと口を動かすのみ。
ようやく解放された時には泡を吹いてその場に崩れ落ちる
蹲り泡を吹く頼光にブルーは更に辛辣な言葉を吐きかけた。
言葉の一つ一つが頼光の安いプライドに突き刺さり、怒りのボルテージが上がっていくが、それでも頼光は動けない。
「貴様ああ!覚えていろよおお!!ぜってーにぶちのめしてやるからなぁ!!!」
どれだけ虚勢を張ろうとも急所を押えて蹲った体勢から動けはしないのだ。
腰をトントンと叩き、一刻も早く回復する事を促すこと以外には
そんな状態の頼光は復讐を誓う。
一つはブルーを思い切り殴りつけて叩き伏せる事。
もう一つは自分自身がツァイを叩き潰して勲功を立てる事。
この二つをすることで肉体の恨みも、串刺しにされたプライドの恨みも晴らせる。
しかしそれを果たす前にツァイは絡め取られていた。
吸精蔓がツァイの足元からあふれ出し絡め取ってしまったのだ。
以前の頼光ならば自分がやったと疑わなかったであろうが、今の頼光にはそれがなぜかわかってしまう。
自分とブルーが競り合っていた内に冬宇子が自分の吸精蔓を利用して術を仕掛けていたのだ、と。
術への反応はよくなった頼光だったが、戦術や駆け引きに関しては町のチンピラと大差がないレベル。
ブルーの行動がツァイに与えた心理的影響などには気づけはしなかった。
それは幸運だと言えよう
ただでさえ復讐の片方をもってかれたというのに、それにブルーの行動が大きく貢献していたなどとわかってしまえば心理的なダメージがさらに大きくなるのだから。
戦闘終結のあとの尋問は頼光にとっては必要性を感じることができない退屈な時間。
未だに敵を倒す=武勲、それが全てなのだから。
故に完全に気が抜けていた。
ツァイの捕縛という形で戦いは終結し、つらつらと何やらを話始めている。
頼光にはどうでもいい事であり、気の抜けた表情で腰をトントンとするのみであった。
しかしそれは大きな間違いであった。
戦いは未だ終わってはおらず、ツァイを捕縛していた蔦が切れてしまったのだ。
そして即座にツァイの攻撃が迫る。
剣状態に伸びる結界。
同一線上にいるブルーは躱せようとも、冬宇子や自分がこれから反応して間に合うものなのか!?
いいや間に合いはしない。
その結果がどうなるかは容易に予想でき、死の迫った感覚は引き延ばされてまるでスローモーションのようにその一部始終を捉えていた。
32
:
武者小路 頼光 ◇Z/Qr/03/Jw
:2013/09/02(月) 22:07:23
なんと、ブルーが伸びる結界に『乗った』のだ。
触れれば裁断される結界の上に!
流石にこれはツァイも想定外だっただろう。
載られた重みで剣は傾き、冬宇子にも頼光にも届きはしない。
ブルーはただ乗るだけでは飽き足らず、剣の上を走りツァイにケリを食らわせたのだ。
「……す、すげえ……」
思わずこぼれた感嘆の言葉にハッとして口を閉じる頼光。
その動きはあまりにも凄まじく、一瞬ではあるが恨みを越えてしまったのだ。
蹴り飛ばされたツァイは瞬く間に蔦に絡め取られ、床に張り付けられる。
ということは、そう、またしても頼光の出番がなく戦いは終わってしまったのだ。
冬宇子がブルーに何やら喚き立てているがそんなことどうでもよかった。
二度もチャンスを棒に振るい何もできなかったことに比べれば。
そのショックが凄まじく、もうブルーへの恨みが何やらどうでもよくなってきた。
急所の痛みも引いて起き上がろうとしたところ、冬宇子が近寄ってきて囁いた。
>「何処かに術士がいる……"風"を読んで。
> お前には木行の才がある。体内に居るモノの力を借りずとも出来る筈だ。」
「え、お、おう!……いや、えっ!?……えぇ!?」
冬宇子の囁きはいくつものことが含まれていた。
ツァイ以外の術者がいる。
風を読んで察知しろ、と。
確かに敵が一人ずつという決まりはありはしない。
が、全く気付きも想定もしていなかったのだ。
風を読んで察知しろと言われ思わず請け負ってしまったが、頼光は【風を読む】と言われてもどうすればいいかなどわかりはしない。
才能があると言われても全く実感もないし知識もないのだから。
だがそれはあくまで人間頼光の話。
今の頼光は正確に言えばもはや人間ではない。
そう、人間ではないのだ。
それよりなにより頼光が二度見してしまった言葉。
>体内に居るモノの力を借りずとも出来る筈だ。」
最後に付け加えられた言葉を思い出し、頼光はハッと冬宇子を見やる。
既に冬宇子はツァイの尋問に取り掛かっており、口をはさめるような状況ではないが、頼光はまじまじと見ていた。
……知っていたんだ。
いや、詰所の中で既にそんな予感はしていた。
それを確認することはどうしても恐ろしくできなかった。
だがこれではっきりとした。
ブルーも、冬宇子も、知っているのだ。
自分だけが知らぬ自分自身の異変。
酒の臭いも味も感じられなかったことのその原因を。
そしてその行き着く先を。
我が身に降りかかる何かにカタカタと震えながらも、頼光はあたりを警戒しつつツァイの言葉に耳を傾けていた。
ここに至りて事の重大さが、危機的状況が、身をもってようやく自覚できたのだ。
>「……フー・リュウは、私にそう言ったよ」
「なんだとぉ!?フーってあのフーなのかよ!」
その名前に頼光の震えが止まり、大声を出した。
ツァイに自分たちを襲い殺すように命じた黒幕は自分たちにジンを連れてくるように依頼をしたフーなのだから。
思ってもみなかった裏切りに声を荒げる頼光。
その頭に着いた牡丹の花の蕾の葉が風を感じ揺れる。
「あっちか!だが、遠い!?」
それは頼光の感覚に直接繋がり、反射的にその方向を振り向いた。
振り向いた先に寺院がある事は頼光は知らぬことだが、確かに感じる。
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