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【大正冒険奇譚TRPGその6】

29 ◇u0B9N1GAnE:2013/09/02(月) 22:06:09
>「今度は私の質問にも答えてもらうよ!――――我が血に於いて命じる!令!走弃口!!」

故に彼は――あえて君の術を深く受け入れた。
そして問いに答える。

「……何故、私達が……ここへ戻ってこれたのか……。
 そうじゃないんだよ……こうも考えられる筈だ……。
 私達はあの戦場から……遠ざけられたのだと……」

風が吹く。荒々しく、彼の声を妨げんとするかのように。

「私は……君達が何者で……何の為にここにいるのかは知らない……。
 だが……それを知る者が誰なのか……それなら……知っているかもしれないな……」

しかしツァイの言葉は止まらない。

「彼は私に……君達を始末しろと命じた……。
 国の機密を……国防情報を探っているのだから……殺されても文句は言えない……。
 そうすれば王に……私の働きがが褒賞を与えるに足るものだったと献言してやってもいいと……」

代わりに――風が止んだ。
最早、制止は無駄だと理解したのだろう。

「そう、彼は……」

風が離れ、訪れた静寂の中で、ツァイは続ける。

「……フー・リュウは、私にそう言ったよ」

瞬間、彼は蔦にまみれた右手で冬宇子の腕を掴んだ。
流れにあえて身を任せる事で温存してきた余力で、一瞬だけ君の術に抗ったのだ。

「これでもう、後戻りは出来ない。腹を決めたよ。さぁ……やってくれ」

虚空の先を見上げ、今もこの言葉を聞いているだろう風の主に向けて、彼はそう言った。


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