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【大正冒険奇譚TRPGその6】
32
:
武者小路 頼光 ◇Z/Qr/03/Jw
:2013/09/02(月) 22:07:23
なんと、ブルーが伸びる結界に『乗った』のだ。
触れれば裁断される結界の上に!
流石にこれはツァイも想定外だっただろう。
載られた重みで剣は傾き、冬宇子にも頼光にも届きはしない。
ブルーはただ乗るだけでは飽き足らず、剣の上を走りツァイにケリを食らわせたのだ。
「……す、すげえ……」
思わずこぼれた感嘆の言葉にハッとして口を閉じる頼光。
その動きはあまりにも凄まじく、一瞬ではあるが恨みを越えてしまったのだ。
蹴り飛ばされたツァイは瞬く間に蔦に絡め取られ、床に張り付けられる。
ということは、そう、またしても頼光の出番がなく戦いは終わってしまったのだ。
冬宇子がブルーに何やら喚き立てているがそんなことどうでもよかった。
二度もチャンスを棒に振るい何もできなかったことに比べれば。
そのショックが凄まじく、もうブルーへの恨みが何やらどうでもよくなってきた。
急所の痛みも引いて起き上がろうとしたところ、冬宇子が近寄ってきて囁いた。
>「何処かに術士がいる……"風"を読んで。
> お前には木行の才がある。体内に居るモノの力を借りずとも出来る筈だ。」
「え、お、おう!……いや、えっ!?……えぇ!?」
冬宇子の囁きはいくつものことが含まれていた。
ツァイ以外の術者がいる。
風を読んで察知しろ、と。
確かに敵が一人ずつという決まりはありはしない。
が、全く気付きも想定もしていなかったのだ。
風を読んで察知しろと言われ思わず請け負ってしまったが、頼光は【風を読む】と言われてもどうすればいいかなどわかりはしない。
才能があると言われても全く実感もないし知識もないのだから。
だがそれはあくまで人間頼光の話。
今の頼光は正確に言えばもはや人間ではない。
そう、人間ではないのだ。
それよりなにより頼光が二度見してしまった言葉。
>体内に居るモノの力を借りずとも出来る筈だ。」
最後に付け加えられた言葉を思い出し、頼光はハッと冬宇子を見やる。
既に冬宇子はツァイの尋問に取り掛かっており、口をはさめるような状況ではないが、頼光はまじまじと見ていた。
……知っていたんだ。
いや、詰所の中で既にそんな予感はしていた。
それを確認することはどうしても恐ろしくできなかった。
だがこれではっきりとした。
ブルーも、冬宇子も、知っているのだ。
自分だけが知らぬ自分自身の異変。
酒の臭いも味も感じられなかったことのその原因を。
そしてその行き着く先を。
我が身に降りかかる何かにカタカタと震えながらも、頼光はあたりを警戒しつつツァイの言葉に耳を傾けていた。
ここに至りて事の重大さが、危機的状況が、身をもってようやく自覚できたのだ。
>「……フー・リュウは、私にそう言ったよ」
「なんだとぉ!?フーってあのフーなのかよ!」
その名前に頼光の震えが止まり、大声を出した。
ツァイに自分たちを襲い殺すように命じた黒幕は自分たちにジンを連れてくるように依頼をしたフーなのだから。
思ってもみなかった裏切りに声を荒げる頼光。
その頭に着いた牡丹の花の蕾の葉が風を感じ揺れる。
「あっちか!だが、遠い!?」
それは頼光の感覚に直接繋がり、反射的にその方向を振り向いた。
振り向いた先に寺院がある事は頼光は知らぬことだが、確かに感じる。
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