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【大正冒険奇譚TRPGその6】

1名無しさん:2013/09/02(月) 21:38:31
ジャンル:和風ファンタジー
コンセプト:時代、新旧、東西、科学と魔法の境目を冒険しよう
期間(目安):クエスト制

GM:あり
決定リール:原則なし。話の展開を早めたい時などは相談の上で
○日ルール:あり(4日)
版権・越境:なし
敵役参加:あり(事前に相談して下さったら嬉しいです)
避難所の有無:あり
備考:科学も魔法も、剣も銃も、東洋も西洋も、人も妖魔も、基本なんでもあり
   でもあまりに近代的だったりするのは勘弁よ

10◇u0B9N1GAnE:2013/09/02(月) 21:50:51
>「ふっざけんなくそじじい!!どうせ肝心な事は答えないくせによおおお!!」

ツァイは何も答えない。ただ目を細めるのみだ。
ただそれだけの所作が、何よりも雄弁に肯定の意を語っている。

>「アンタ…何歳だ?好みの女性のタイプは?童貞か?家族はいるのか?
  親友は?心は?目的は?これから俺達を殺す時に慈悲はないのか?なんで俺達を殺そうとして迷ってやがんだ!!」

続くブルーの問い――ツァイの表情は変わらない。

>「アンタの目的は果たされたのか!!?」

だが最後の一声だけは違った。
彼の眼が見開かれ、眼光の色が変わる――絶対に君達を殺すのだという、苛烈な敵意の色。
即ち、彼の目的はまだ、果たされてはいない。

>「大体よお!こっちとら遥々海を越えてお前らの国を助けに来た救国英雄だぞ!
 それが来てみたら訳の分からねえ死体にまみれているわ!会う奴会う奴襲ってくるわでよぉ!
 な ん で 助けに来た俺たちを襲うんだこの野郎!
 悪いのはこの呪災起こした奴だろうがよ!
 それとも何か!?俺たちを殺したらなんかいい事あんのか?ああ!?

そしてそれは――君達を殺す事で、果たされるのだろう。

>「あんたたち!迂闊に動くんじゃないよ! 
 あの喰えない御仁、私達が詰所の家捜しをしてる間に、空き地のそこらじゅうに鉄杭を仕込んでる筈だ。
 私達は罠だらけの檻の中に閉じ込められてるって事だよ!
 移動する時は、地面によく注意するんだ!
 結界の『線』を『面』に起こすまでには、数秒の誤差がある。気付けば避けられない間じゃない!」

冬宇子が叫ぶ。彼女はとても聡い。それに冷静だ。
忠告があったとは言え、既にツァイの術の性質と戦況を理解している。

だが――何の問題もない。
例え種が割れていようとも、避ける事は能わない。
彼は己の結界術に多大な自負を持っていた。

>「物騒なことしやがって!どうしてもこの頼光様の武勇伝を増やしてぇようだなぁ!」
>「このくそじじぃが!おめーの結界術は種を見せすぎだ!
  どこにどれだけ仕込んでいるかは知らねえけどよぉお!虱潰しにして全部抜いてやっ……」

そう、例え彼が何をしようと、ツァイにはそれを上回る自信がある。
剣印を握り、頼光を睨む。
再度の銃撃に備えて結界の防壁は展開したままだ。

>「――――――いけない!!!」
>「あ、う……ぬ……」

しかし――何も来ない。
拍子を外す為の見せかけと言った風でもない。

>「お、お、お前なんぞこれで十分よ!いけ!吸精蔓!」

結局、放たれたのはお茶を濁すような木行の術。
何をするまでもなく、それは結界壁に裁断された。
被害はまるで無かった。が、いまいち釈然としない。

11◇u0B9N1GAnE:2013/09/02(月) 21:51:20
>「てめぇっ!」

そうして訝しんでいると――ブルーが叫び、地を蹴った。
隙を突くつもりだろうか。
だが、ツァイは動作一つ意志一つで結界を追加展開出来る。
そこに足運びを加えれば、彼に接近する事など――

>「歯をくいしばれ!」

――そう叫びながら、ブルーは頼光を殴りつけた。
予想外の出来事にツァイは僅かに目を剥き――しかし、これは好機だ。
問いに答えるとは確かに言ったが、仲間割れを始め、隙だらけの所を見過ごすまでの義理はない。
彼は剣印を二人へと突きつけて――

>「聞きたいことはないか――冥土の土産をくれるってのかい?

ふと、視界の外から声が聞こえた。倉橋冬宇子の声だ。
絶妙な間だった。この問いに答えを返すまでは、ブルー達を殺す訳にはいかない。
それは自分が立てた誓い――贖罪に反する事だ。

>冥土の土産ってなァ、殺される者に真実を伝えてやろうってぇ、せめてもの慈悲だろう?
>この期に及んで言えない事があるなんて、あんまりじゃないのかい?」

彼女の言う事は、至極もっともだ。

>「その男も言っていたように、何故私らが殺されなきゃならないのか?
  それくらいは教えとくれよ!
  訳も判らずに死んだんじゃあ、成仏なんかできゃしない。」

――前触れもなく、風が吹いた。
結界に包まれた詰所の敷地内に、風が。

>「ツァイ・ジン――!あんたは一流の術士だ。
  生憎と私は、補助符が無けりゃ五行の術も満足に使えない三流以下でね。
  敵いっこないってこたァ分かってる。
  あんたが、どうあっても私を殺すってなら、きっと死ぬことになるんだろうさ。
  それでも、私は知りたいんだよ!この国に何が起こっているのか。真実を。」

ツァイの口元が微かに動く。
風は、まだ止まない。

>「私らに呪災の淵源を探られちゃ、都合の悪いことでもあるってのかい?
  ええ?亡国士団の旦那?
  捨て駒だったあんたらが、何故中央に戻れたのかねえ?!それも呪災の直前に!」

>「ねえ!答えとくれよ!
 あんたは『私らが誰なのか。何のためのここに呼ばれたのか』知っているのかい?」

「……いいや、知らないな。私には答えられんよ」

拒絶的な回答――だが、まるきり無意味でもない。
私には答えられない――それはつまり彼以外に、冬宇子の問いの答えを知る者がいる。
彼よりも立場が上の者が。そういう事だ。
無意識に零れた失言といった風でもない――彼なりの、せめてもの答えなのだろう。

12◇u0B9N1GAnE:2013/09/02(月) 21:51:40
>「さぁてツァイ?さっき何秒で弾込めが終わるのかと聞いたな?
  やっぱ教えてやろう、それは『1秒以下』だ…」

仲間割れが終わったのだろう――ブルーが凄まじい速度の再装填を見せる。
彼は手も足も速い。機敏だ。
老いたツァイの眼では、その速度は見切れない。
だが、だからこその結界術だ。
彼らが結界を破る術を持たない以上、彼の優勢は揺るがない――

「――む」

不意にブルーの足から氣――魔力が漏れ始めた。
何をするつもりか、ツァイにはすぐに予想が立てられた。
戦闘時における予測とは、自分がされて困る事を想定すればいいのだから。
つまり――ブルーは結界に対する干渉力を得ようとしているのだ。

とは言え付け焼刃の技術なのだろう。
魔力は殆ど定着しないまま拡散している。

それでも、いや、だからこそ――今すぐに、仕留めねばならない。
右手で拳を固め、指の隙間に鉄杭を挟む。左手には剣印を。

そして――――突然、ツァイの足元が隆起した。
無数の亀裂が走り、そこから爆発的な勢いで吸静蔓が伸び出してくる。

「これは……!」

先の質問は時間稼ぎだった。
ツァイがその事に気付いた時には、もう遅い。
彼の体は蔓に絡め取られ、完全に自由を奪われていた。

冷汗が滲む。
不味い――このままでは、やられる。
『約定』が果たせない――『目的』が果たせない。
冷ややかな風が、彼の頬を責め立てるように叩いた。

「……さっきの問いは、時間稼ぎか」

そして――この発言もまた、時間稼ぎだ。
自分は決して負ける訳にはいかない――その一心で思考を巡らせる。

「やはり私には……こういう事は向いていなかったようだ。参ったよ。私の負けだ」

時間を稼がなくては。
ならば狙うべき相手は――あの若く勇猛な男、ブルーだ。
この状況で最も自分への殺傷力を持っているのは彼だ。

「……思えば、君の問いにまだ、答えていなかったな。
 君達への冥土の土産のつもりが、私の置き土産になってしまったが……
 約束は約束だ。答えておこう」

彼は戦闘中でも構わず、もう一人の男――頼光に食って掛かっていた。
なまじ強い力を持つからこそだろう、即決即断という事を知らない。
故に自分をすぐに仕留めようとはせず、話に乗ってくる筈だ。

13◇u0B9N1GAnE:2013/09/02(月) 21:51:58
「確か……私の歳だったか。それなら今年で五十四になる。
 家族は国と共に死んだよ。友と呼べる者は……思えば一人もいなかったな。
 ……それについて、未練は無いがね。女性の好みは……」

一瞬の沈黙。

「……そうだな、強い女性がいい。私はどうも、意を決するという事が苦手でね。
 お陰で君達にも負けてしまうし……女性と交わる機会も、逃し続けてしまったんだ。
 だから……この手を掴んで、引いてくれるような人が、好きだったよ」

遠い過去を懐かしむように視線を細めながら、くつくつと、ツァイが笑った。

「……慈悲は、少し掛け過ぎてしまったようだ。
 私も、君達を殺すのが、間違った事だとは分かっていたからね……。
 後は、なんだったかな……あぁ、私の『目的』か。それなら――」

再び、風が吹いた。
これまでとは違う、激しく鋭い風――それがツァイを戒める蔓を千々切り裂いた。
ツァイの全身が自由を取り戻す。

右拳に二本の鉄杭を。左手は剣印を。
鉄杭の間に線が走る。そして彼は、その線から面を生み出せる。
長短自在の、裁断結界を。

「――これから果たされる」

ツァイが右手を突き出す。
その先にはブルー・マーリン。
――君へと目掛けて、剣状と化した結界が猛然と迫る。

もし君がそれを避ければ、結界はそのまま伸び続け――君の後方に居る冬宇子と頼光を貫くだろう。
もし避けなかったのなら――結界は君を貫いてから、そのまま君の仲間達を貫く事になる。

要するに君は――『やるしかない』。
付け焼刃だろうが、ろくに使いこなせない力だろうが、それでもだ。
やらなければ、死ぬ。少なくとも君の仲間達は、確実に。



また、これは君達が気付くかどうか分からない事だが。
先程のツァイの戒めを解いた風には、呪力――氣が含まれていた。
ツァイのものとは違う。だが君達にも覚えのあるだろう氣が。


【なんか風が吹いたらツァイを縛ってた蔓が切れちゃいました。
 伸縮自在の結界を横に伸ばす事で、剣のようにして冒険者を貫くつもりです】


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