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【大正冒険奇譚TRPGその6】

17◇u0B9N1GAnE:2013/09/02(月) 21:54:28
「――ちっ、思ったより面倒くせえなぁ」

ダーは顔を顰め、頭を掻きながら、そうぼやいた。
それから鳥居を見下ろし、人差し指を突きつける。

「オイ、チビガキ。今ので一つ『死に』だからな。
 よーく分かったろ。俺の方がテメェなんぞよりずっと強えし、カッケーんだよ。
 もう二度とナメたクチ利くんじゃねーぞ。んでもって大人しく守られとけって」

――とは言え、正直に言って君達の面倒だと、ダーは考えていた。

相手が生み出す強力な熱波は今のように逆利用出来る。
だが、そこから急降下攻撃に繋げれば、そのまま相手を死なせてしまう。それでは意味がない。
さりとて、周囲の炎の壁が生み出す気流の乱れ、それ自体を消し去る術は、自分にはない。
故に体を極限まで軽くする事は出来ない。最大速度を発揮出来ない。
有用な手札を一つ潰された。

「……ったく、本当に……『面倒くせえ』なぁ、畜生。あっちいし」

そう、あくまで『面倒』だ。
熱波で飛ばされない程度に軽くなる事は出来るし、鳥居の小ささにも慣れた。
炎のせいで汗は掻いているが、体力の消耗という程ではない。

「言っとくけどよぉ。俺の術の欠点を見つけて……それでいい気になってんじゃあねえぞ。
 そりゃあ速く動けりゃ色々やり易いぜ。
 俺のナリを見て油断したタコをさっさと仕留めたりよぉー」

ダーが構えを取る。
足幅を広めに取り、重心は深く落とす。
腕は肘を僅かに曲げて、胸の高さに。

「だがな、所詮はただの小細工……手品の類に過ぎやしねー。
 テメェらは今から後悔する事になるぜ。この俺から小細工を奪っちまってよぉ。
 これじゃあもう――『マジメ』にやるしかなくなっちまったじゃねえか」

瞬間、ダーの放つ雰囲気が変貌した。
威丈高な態度相応に迸っていた強者の気配が更に一段上へ、細く鋭く精錬されている。


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