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【大正冒険奇譚TRPGその6】

30 ◇u0B9N1GAnE:2013/09/02(月) 22:06:30
 


――風は結界の外から吹き込んでいた。
その方角は――迷宮のような街路を歩いてきた君に正確な方角が分かるかは微妙なところだが、
フー・リュウの寺院がある方からだった。

その風には纏まりと言うものはなく、ただ漠然と吹いてきているだけだった。
けれども、それがある時を境に正確な形と軌道を得始めるのだ。

――人は姿なき風の形と流れを、草木が揺らぎ、踊る様を見て初めて理解する。
木行使いたる君が風の流れを読めるのも、その為だ。

それと同じように――結界の外から吹き込む風は、
倉橋の腰帯に挟まれたフーの符を揺らす事で、高度な制御を得ているようだった。
即ち彼女の持つ符は、連絡手段であると同時に術の中継地点――座標特定の用を成す物という事だ。

ツァイの周囲から離れた風は結界の上空に集まっていた。
渦を巻きながら纏め上げられ、一本の巨大な奔流と化しているのだ。

その強烈な風圧が、機は熟したと言わんばかりに急降下を始めた。
着弾予定点は言うまでもなく――ツァイによって腕を掴まれた、倉橋冬宇子だ。
束ねに束ねられた風は最早、不可視の圧倒的な破壊力だ。
直撃すれば女の細首くらい容易くへし折れてしまうだろう。


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