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【大正冒険奇譚TRPGその6】

12◇u0B9N1GAnE:2013/09/02(月) 21:51:40
>「さぁてツァイ?さっき何秒で弾込めが終わるのかと聞いたな?
  やっぱ教えてやろう、それは『1秒以下』だ…」

仲間割れが終わったのだろう――ブルーが凄まじい速度の再装填を見せる。
彼は手も足も速い。機敏だ。
老いたツァイの眼では、その速度は見切れない。
だが、だからこその結界術だ。
彼らが結界を破る術を持たない以上、彼の優勢は揺るがない――

「――む」

不意にブルーの足から氣――魔力が漏れ始めた。
何をするつもりか、ツァイにはすぐに予想が立てられた。
戦闘時における予測とは、自分がされて困る事を想定すればいいのだから。
つまり――ブルーは結界に対する干渉力を得ようとしているのだ。

とは言え付け焼刃の技術なのだろう。
魔力は殆ど定着しないまま拡散している。

それでも、いや、だからこそ――今すぐに、仕留めねばならない。
右手で拳を固め、指の隙間に鉄杭を挟む。左手には剣印を。

そして――――突然、ツァイの足元が隆起した。
無数の亀裂が走り、そこから爆発的な勢いで吸静蔓が伸び出してくる。

「これは……!」

先の質問は時間稼ぎだった。
ツァイがその事に気付いた時には、もう遅い。
彼の体は蔓に絡め取られ、完全に自由を奪われていた。

冷汗が滲む。
不味い――このままでは、やられる。
『約定』が果たせない――『目的』が果たせない。
冷ややかな風が、彼の頬を責め立てるように叩いた。

「……さっきの問いは、時間稼ぎか」

そして――この発言もまた、時間稼ぎだ。
自分は決して負ける訳にはいかない――その一心で思考を巡らせる。

「やはり私には……こういう事は向いていなかったようだ。参ったよ。私の負けだ」

時間を稼がなくては。
ならば狙うべき相手は――あの若く勇猛な男、ブルーだ。
この状況で最も自分への殺傷力を持っているのは彼だ。

「……思えば、君の問いにまだ、答えていなかったな。
 君達への冥土の土産のつもりが、私の置き土産になってしまったが……
 約束は約束だ。答えておこう」

彼は戦闘中でも構わず、もう一人の男――頼光に食って掛かっていた。
なまじ強い力を持つからこそだろう、即決即断という事を知らない。
故に自分をすぐに仕留めようとはせず、話に乗ってくる筈だ。


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