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【大正冒険奇譚TRPGその6】
31
:
武者小路 頼光 ◇Z/Qr/03/Jw
:2013/09/02(月) 22:07:01
結界を展開したツァイへ吸精蔓をけしかける頼光の表情は攻勢に出た者のそれではない。
無駄な努力だとわかっていながらもせずにはいられない。
相手への攻撃が目的なのではなく、自分の中の何かを紛らわすためのもの。
畏れている。
自分の中の得体のしれない何かを。
そして失われていく自分自身を
虚勢を張り隠しているつもりでも、この場にはそんなものが通じる人間は一人もいない。
>「歯をくいしばれ!」
「はぁ?いきなりなにうぉ!?」
間抜けな反応が終わる前に頬に走る衝撃。だが倒れることは許されない
面食らった状態で掴まれ捲し立てられ、ようやく我に返り怒声を発しようと口を開いた瞬間
「きさ・・・!
>「てめぇはなぁにを迷っている!
その後語られるブルーの言葉に頼光の顔から血の気が引いた。
自分の知らぬ事をこの男は知っている。
自分自身の事なのに自分よりも昨日今日会ったばかりの男が。
「おまっ、なに……う、うぉおう……ぎゅええええ、も、?げる!」
驚愕と共に開いた口から吐き出される台詞はまたしても阻止される。
男の急所を握られては言葉も続けられない。
叫ぼうにも急所を握られ言葉を発することも動くこともできずに一分間。
痛いかと聞くブルーへの返答はかろうじてパクパクと口を動かすのみ。
ようやく解放された時には泡を吹いてその場に崩れ落ちる
蹲り泡を吹く頼光にブルーは更に辛辣な言葉を吐きかけた。
言葉の一つ一つが頼光の安いプライドに突き刺さり、怒りのボルテージが上がっていくが、それでも頼光は動けない。
「貴様ああ!覚えていろよおお!!ぜってーにぶちのめしてやるからなぁ!!!」
どれだけ虚勢を張ろうとも急所を押えて蹲った体勢から動けはしないのだ。
腰をトントンと叩き、一刻も早く回復する事を促すこと以外には
そんな状態の頼光は復讐を誓う。
一つはブルーを思い切り殴りつけて叩き伏せる事。
もう一つは自分自身がツァイを叩き潰して勲功を立てる事。
この二つをすることで肉体の恨みも、串刺しにされたプライドの恨みも晴らせる。
しかしそれを果たす前にツァイは絡め取られていた。
吸精蔓がツァイの足元からあふれ出し絡め取ってしまったのだ。
以前の頼光ならば自分がやったと疑わなかったであろうが、今の頼光にはそれがなぜかわかってしまう。
自分とブルーが競り合っていた内に冬宇子が自分の吸精蔓を利用して術を仕掛けていたのだ、と。
術への反応はよくなった頼光だったが、戦術や駆け引きに関しては町のチンピラと大差がないレベル。
ブルーの行動がツァイに与えた心理的影響などには気づけはしなかった。
それは幸運だと言えよう
ただでさえ復讐の片方をもってかれたというのに、それにブルーの行動が大きく貢献していたなどとわかってしまえば心理的なダメージがさらに大きくなるのだから。
戦闘終結のあとの尋問は頼光にとっては必要性を感じることができない退屈な時間。
未だに敵を倒す=武勲、それが全てなのだから。
故に完全に気が抜けていた。
ツァイの捕縛という形で戦いは終結し、つらつらと何やらを話始めている。
頼光にはどうでもいい事であり、気の抜けた表情で腰をトントンとするのみであった。
しかしそれは大きな間違いであった。
戦いは未だ終わってはおらず、ツァイを捕縛していた蔦が切れてしまったのだ。
そして即座にツァイの攻撃が迫る。
剣状態に伸びる結界。
同一線上にいるブルーは躱せようとも、冬宇子や自分がこれから反応して間に合うものなのか!?
いいや間に合いはしない。
その結果がどうなるかは容易に予想でき、死の迫った感覚は引き延ばされてまるでスローモーションのようにその一部始終を捉えていた。
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