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('A`)は異世界で戦うようです
1
:
名も無きAAのようです
:2014/05/25(日) 20:21:36 ID:gOpuSR2Q0
鬱田ドクオとは、一言で言えば弱い人間だ。
過去を振り替えれば後悔しなかった出来事はないし、ましてや努力なんて言葉とは無縁の存在である。
テストは赤点ギリギリ、運動能力は一般人より少し劣る程度、体つきは貧相なもので米俵一俵持つのが精一杯。かといってそれらを補うための努力をしたいなぁとは思っても、けして実行することはなかった。
そんなわけだからドクオは自分という存在が嫌いだった。変わりたいと願っても、変えようとすること自体がめんどくさくなってしまう。
大学を卒業し、なんとか内定をもらった会社も周囲の環境に溶け飲むことが出来ず、やめてしまったことも自己嫌悪の一つの原因である。
よって、ドクオにとっての自分とは、あってもなくても変わらない路傍の石のような存在で、そんな自分が世界に与える影響など皆無だと信じ込んでいた。
*鼹類燭辰榛*、この瞬間までは。
429
:
1
:2014/07/11(金) 22:40:33 ID:MuFWsT2w0
ドクオを狙っていたように見えた、とはしぃの証言だが、そこに間違いはないのだろう。何せ貞子による王都襲から一月しか経っていない。その際彼女はドクオになんと言っていたか。
ショボンは直接聞いたわけではないし、その場にいた者達からの話なので本当のところは分からないが、それでも間違いないという自信がある。
魔剣アポカリプス。伝承において人や魔物、悪魔のみならず神をも殺した最強にして最凶の剣。持つものの命を削り取り、代わりに強大な力を与えるというそれ。
黒の魔術団は魔剣を狙って一連の騒動を引き起こしている。ならば今回もその一部と考えるのが妥当だろう。
(´・ω・`)(敵の狙いがドクオだということは、僕達は間違いなく誘い込まれたということ)
ドクオはいつも騎士団と行動を共にし、あえて騎士だと名乗らせてはいるものの実際の身分は一般人に過ぎない。本来ならば王都からの要請も受ける必要はないし、またそれを聞く義務もない。いつだって彼の善意につけこんで事件に関わらせているだけなのだ。
つまり、初めからドクオはここに来る理由もなければ必要もないということ。これが意味することは━━
(´・ω・`)(疑いようがない。ロマネスクは黒だ。奴は王という地位にありながら黒の魔術団と関わりがある)
430
:
1
:2014/07/11(金) 22:41:29 ID:MuFWsT2w0
ドクオを戦地に向かわせたのは誰だ?
悪魔という狂言を用いてここに来るよう仕向けたのは誰だった?
王都ヴィップを治めるロマネスク本人だ。
仮に、これが魔物や盗賊などが出没しているだけだったならばショボンはドクオを王都に残してそれなりの対応をしていたはずだ。ドクオの持つ魔剣を使わなくとも騎士団の部隊を編成して原因を探らせればいいだけの話なのだから。
しかし、ここに悪魔という存在を匂わせればショボンがどう動くかなどあの男なら肝胆に予想がついただろう。
彼もまた悪魔がどういうものなのかよく知っている。実際に戦場で相見えたのだから、その恐ろしさも身に染みているのだ。
悪魔がもたらした悲劇は大切なものを奪うだけに飽きたらず、一人の男をも狂わせてしまったのだろう。
同情はする。守れなかったことを申し訳なく思う。自分にもっと力があればたくさんのものを背負うことも出来た。
だが、だからといって他人の運命をいたずらに弄ぼうなど愚かの極み。騎士団の理念を大きく逸脱している。
(´・ω・`)(そんなことさせるものか。僕は副団長だ。騎士団の在り方は、いや、僕の中の騎士は悪を挫き弱きを守ること。奴のやり方を認めるわけにはいかない)
431
:
1
:2014/07/11(金) 22:42:16 ID:MuFWsT2w0
ショボンは剣を握る。
胸の内に秘めたるは騎士としての志。
この手にあるは人を守るための力。
これ以上ドクオを戦わせてはならない。ましてやドクオは異世界の住人なのだから。
自分達のケツは自分達の手で拭く。
それがショボンの信ずる騎士なのだ。
魔力を追っていたショボンはようやく足を止めた。辺りはすでに暗くなっており、日はとっくに沈んでいた。屯所にいるはずのモララー達に何も言わずに来てしまったので、もしかしたら心配しているかもしれない。
(´・ω・`)(早めに終わらせて戻ろう。王都に帰ったらロマネスクに話を聞かなければならないしな)
魔力はどうやら街の外れにあるロープウェイを渡ったようで、ここからは辿ることができなさそうだ。
(´・ω・`)(ならば、探索魔法を使うまで)
ショボンが簡単に詠唱をすると小さな魔法陣が目の前に浮かぶ。いくつかの細い光が街の中を縦横無尽に走っており、その中の数本は街を離れてロープウェイの先へと向かっている。
やはり敵はこの先にいる。モ・トコ周辺の街や集落で見た魔法陣の痕跡は、おそらく何かしら大掛かりな術式の下準備だったのだろう。意識しなければ分からないほど小さな魔力とはっきりと視認できる大きな魔力が混在しているのは、各々の街に張った魔法陣が影響しているのだ。
432
:
1
:2014/07/11(金) 22:43:10 ID:MuFWsT2w0
向かった先は分かった。しかし、街の住人がほとんど避難している今、ロープウェイを動かすことはできない。歩いて行けないことはないだろうが、到着する頃にはへとへとになって戦闘どころではないだろう。
ショボンはしばし黙考し、ふぅと小さく息を吐いた。魔力は温存しておきたいが、一人でやると決めた以上やるしかない。
(´・ω・`)(空を飛ぶしかないな。どれだけの距離があるかは分からんが)
ショボンが魔力を操ると、体がふわりと宙に浮く。まるで呼吸をするかのように自然な流れで。
(´・ω・`)(どこのどいつかは分からんが、首を洗って待っていろ)
一瞬の静寂、ショボンは鉱山へと宙を切って駆ける。
433
:
1
:2014/07/11(金) 22:44:29 ID:MuFWsT2w0
どうやらこちらの動向に気付いた騎士の一人が向かっているようだ。張り巡らせた魔法陣が彼にそれを知らせてくれる。
彼が得意とする魔法は基本的に戦闘には向かないが、高度な情報をやり取りする状況においては大いに役立つ。
その気になれば遠く離れた人間の囁きでさえ容易く聞き取れるし、一挙手一投足まで完全に把握することもできる。今回の件についても様々な魔法を用いて騎士を攪乱させてもらった。
ショボンがこちらに向かっているということは、こちらの目論見はほとんど看破されたと見ていいだろう。
黒の魔術団である以上、あの魔剣に興味を抱くのは至極当然だし、ましてやあれがどんな役目をもっているかなど考えなくとも分かることだ。
本来であればもっと早くに計画の全てを終えて魔剣の主とゲームを開始するつもりだったのだが、王都にいる協力者の準備が間に合わなかった。この遅延がなければ騎士ごときに嗅ぎ付けられることもなかったのだが、過ぎたことは仕方ない。
それに、いくら騎士団のナンバーツーと言えど冷静さを欠いて単身敵の元へと乗り込むなど愚の骨頂。もう少し頭がいいのかと思っていたがどうやら見込み違いだったようだ。
434
:
1
:2014/07/11(金) 22:45:36 ID:MuFWsT2w0
( ゚"_ゞ゚)「とは言え、ここにある術式を解析されるのはまずいかな。彼にはさっさとご退場願うとしようか」
オサムは傍らの棺桶を開くために手を伸ばす。漆黒だったはずのそれは使い古され、所々傷や塗装が剥げており、大量の魔力と術式を無限に収納できるいわば魔法専用の収納ボックスである。
その中から数種類の魔法と魔力を選択すると、オサムの前に眩い輝きを放つ光の玉が四つほど並んだ。
( ゚"_ゞ゚)「さて、どうするかな。あまり弱いものを作っても彼ほどの実力者であれば簡単に壊されてしまうし、あまり強すぎても魔力の消費が激しい」
昨晩魔剣の主に襲わせたものは魔力で構成された擬似的な魔物である。生き物というものを突き詰めていけば最終的には魔力になるということを利用して、彼は独自の研究により魔力から生物を産み出すことに成功した。
術式を用いて命令を与えることができるし自我を持たないので、命令を遂行することにはうってつけなのだ。下手に人間や魔物を使って裏切られる心配もないし、他人の命を奪うことに躊躇いもない。彼にとって信じられるものは機械的に自分の目的のために動く駒だけである。
もちろんまだまだ問題点は山ほどあった。例えば命令を与えてそれを遂行したあとはオサムが術式を解除しなければいつまでも残り続けてしまう。しかも術式の解除にはオサムが近くにいなければならない上、さらに魔力を消費するので効率が悪いのだ。
おまけに魔力は周囲に浮かぶ自然界のものでは純度が低く、一度大量に集めて純度を高めなければならない。その作業も意外にめんどくさいので、できれば無駄に使いたくはないのである。
435
:
1
:2014/07/11(金) 22:46:44 ID:MuFWsT2w0
だが今回は相手が相手、素人である魔剣の主程度ならばそこそこのもので問題はないが騎士団のナンバーツーともなればそう甘くはない。
ここはやはり一番効率がよく、かつ最大限に敵を殲滅できるものを作った方がよさそうだ。
( ゚"_ゞ゚)「ここはあれを使うべきだろう。出し惜しみをしてはいられん」
オサムは詠唱し、魔法陣を呼び出す。棺桶ではないまた別の収納空間に繋がっているそこからは周辺の村や街から捕まえてきた人々が意識無く眠っていた。
( ゚"_ゞ゚)「本来であればこんなことに使いたくはないが、あの男の狼狽える姿を見るのもまた一興。存分に楽しませてくれ」
( ∀ )
虚ろな目をした男を喚び出して、魔力の光を注ぎ込む。胸の辺りからまるで溶け込むように体が光の玉を飲み込んでいき、少しずつ全体に広がっていくたびに何度も痙攣をするが、意識のない彼にとってどうということではない。すでに痛いと思う心などないのだから。
( ゚"_ゞ゚)「あとは、こいつとこいつもいい素材だ」
同じ作業を四度繰り返し、完全なるバーサーカーとなった人間が四人立ち並んだ。あとは命令の術式を組み込むだけで彼らの命が果てるまで戦い続けるだろう。
( ゚"_ゞ゚)「さぁ、魔剣の主よ。どこまで俺に近づけるかな?」
命令を与えた四人はふらふらと覚束ない足取りで鉱山の迷宮へと消えていった。
すでにゲームは始まっている。あとはいつそれに気付くかだ。
ぼーっとしていれば悪魔に身も心も喰われてしまうぞ。
436
:
1
:2014/07/11(金) 22:47:43 ID:MuFWsT2w0
◇◇◇◇
('A`;)「ったく、何でお偉いさんが独断専行なんてしてんだよ!」
モ・トコに派遣されていた騎士から話を聞いたドクオは夜の街を駆けていた。
理由は簡単だ。ショボンとモララーがいなくなったから。
実にシンプルな理由だが、王都から遠征してきた騎士の数はたった三人、内二人が何百何千といる騎士を取りまとめる役柄で、しぃのような下っぱを一人残して動くなど本来あってはならない。
ましてや肩書きを偽らされているドクオだっている以上、動くならせめて指示を置いていってもいいものだが、そんなものはどこを探しても見当たらなかった。
つまり、今ドクオ達は戦況を冷静に分析するはずの上司がいない中で何かをしなければならないのだが、ドクオは結局彼らを探すことを先決した。
しぃには待機していた方がいいと言われたのだが、あの二人が自分達に何も言わずに出ていったということはかなり切羽詰まった状況なのだと考えている。ましてやモララーもショボンも騎士団の中では頭が切れる方だ。指揮系統が混乱しては下の者はまともに動けないことも分かっているだろう。
('A`)(つまり、ショボンさんやモララーがいなくなったのは自分達で全てを終わらせなきゃならない事情があったか、もしくは敵に捕まったかのどっちか)
実力者であるあの二人を相手に捕まえるなんて芸当ができるとは思えないが、これだけ周到に手を回すような相手だ、こちらの動きを制限する何かをしていてもおかしくはない。
437
:
1
:2014/07/11(金) 22:48:29 ID:MuFWsT2w0
ドクオ以外の足音が聞こえない街は相変わらずどこもかしこも固く閉ざされており、灯りすら見当たらなかった。避難勧告が出されている以上これも仕方のないことではあるが、人気のない夜の街というのはかなり恐怖心を煽る。
('A`)(ま、好都合ではあるけどな)
不意に速度を落とし、ドクオは腰の剣を抜き放つ。
('A`)「はぁっ!」
掛け声と共に剣を逆袈裟に振り抜く。暗闇に紛れた鳥型の魔物が短い悲鳴をあげて消滅した。
続いて振り向き様に同じ魔物を横薙ぎに一閃。すぐに右へ飛び、頭上からの攻撃を避けて跳躍すると縦に両断して着地。
('A`)「どうやらとっくに戦場みたいだな」
さらに両側から魔物が襲う。ドクオが上半身を軽く後ろに反らすと魔物達は互いを攻撃して一瞬怯んだ。その隙に斬り伏せ、周辺を探る。
魔物はまだまだ湧いてくる。敵はこちらの動きを把握しているのか、それとも偶然なのか。
正面の魔物達をまとめて斬り倒しながらドクオは宿舎に残っているだろう三人を思い返した。
万が一のために待機しているよう頼んでは来たが、この様子ではあちらも魔物と戦っているのだろう。ツンや渡辺はここに直前にも一戦やらかしているのだから何とも運のない二人だ。
('A`)(しっかし、このタイミングで仕掛けてきたってのは妙だな。部隊を崩すには分断するのが一番だけど、宿舎には残留してる騎士もいるんだぞ?)
魔物を丁寧に倒しながらドクオは考える。
('A`)(ショボンさんやモララーがいない時を狙ったのか、それともあっちは元から戦力に数えられてないのか?)
総合的に見ればドクオが狙われているのは分かるのだが、何をしようとしているのかが今一掴めない。もう少し魔法や魔剣についての知識があればまともな考えが浮かぶのだろうが、生憎とドクオはそういったものと無縁なのだ。
438
:
1
:2014/07/11(金) 22:50:01 ID:MuFWsT2w0
('A`)(どうする? ショボンさんは諦めて一回戻るか? 敵が仕掛けてきた以上、俺だけじゃ敵の居場所すら割り出せないし)
魔物の出現場所は完全にランダムで術者の特定は出来そうもないし、ましてや近くにいるとも限らない。これだけ大規模な召喚系の魔法を行使しているということは相当な手練れであることは間違いないだろう。
それに、モ・トコは現在ほとんどの住民が出払っており戦場としてはうってつけだ。鉱山として発展してきた街は王都ほどではないがそれなりに広い。隠れる場所など無数にあるし、それこそドクオごときでは予想もつかない場所に潜んでいる可能性もある。
('A`)(敵の魔法の有効範囲も分からないし、参ったな)
勢いだけで飛び出してきたのはやはり無謀と言う他ないだろう。こんなことならしぃを連れてくるんだった。
今さらごちたところで状況が変わるわけではない。大切なのはこれからどうするかだ。
('A`)(……一度戻ろう。しぃちゃんのがこういったことには詳しいだろうし、どのみちこの分じゃ町中魔物だらけだろう。早期解決には俺じゃ役不足だ)
方針が固まった以上、魔物と遊んでいる暇はない。ドクオは地を蹴り魔物の脇をすり抜け様に両断するとそのまま走り出した。
しかし、ドクオはすぐに横に跳んだ。どうやら敵もそう簡単におもいどおりにさせてはくれないらしい。
前方より鋭く尖った岩の槍が大量に流れてきた。回避があと数瞬遅れていたらドクオは串刺しになっていただろう。
('A`;)(な、なんだよおい)
439
:
1
:2014/07/11(金) 22:51:08 ID:MuFWsT2w0
体勢を立て直しながら、槍が飛んできた方向を見る。そこには岩で作られた巨大な人形が仁王立ちしていた。
体躯はドクオの四倍ほど、無造作に組む合わさった岩は大小様々でなんとか人らしい形を成してはいるものの所々不自然な凹凸があるせいでおよそ芸術性の欠片もない。ただ命を奪うために作られた無作法な木偶人形のようだ。
こいつはどうやらドクオが宿舎に向かうのを邪魔したいらしい。道幅一杯の体は横を通る隙が一切見当たらない。
('A`;)(ゴーレム!?)
ドクオが一歩踏み出すと、ゴーレムもこちらを狙って自らの体に使われている岩を分離させて飛ばしてきた。
軽く避けてドクオはゴーレムの懐へ入ると左足の部分を斬りつける。魔剣によって岩が消失し、バランスを崩す。
と、ドクオは回避の体勢に入ろうとしてその目を疑った。
左足を失ったはずのゴーレムは、舗装された道のレンガをその足に吸収し始めたのだ。すぐに新しい足を取り戻すとゴーレムは腕を振り下ろす。
左へと回避、が、先ほど飛ばしたはすの岩が後方からドクオの体へと命中する。
( A )「ごっ」
軽く数メートルを転がり、立ち上がるがすぐに岩が飛来し、避けてはゴーレム本体から攻撃の繰り返しで、いつの間にかドクオは防戦一方になっていた。
('A`;)(動きは早くないのに、四方八方から攻撃されたらさすがに避けきれん)
しかもゴーレムのどこを破壊しても周囲に岩や土があれば瞬く間に腕や足を一回り大きく再生してしまうため、敵の攻撃範囲は徐々に広がっていってしまうのだった。
440
:
1
:2014/07/11(金) 22:52:26 ID:MuFWsT2w0
('A`;)(こういう敵はどこかに核があるのがセオリーなんだが)
元々意思のないものに命を吹き込んでいるのだから、当然そのための術式は間違いなくあるはずだ。見つかりさえすれば多少強引にでも斬りつければそれでこの戦いは終わる。
だが相手も魔剣の特性くらいは掴んでいるだろう。一目で分かるような部分に核となる術式を作るはずがない。
ドクオは剣を鞘に納めると、飛んでくる弾丸や本体の攻撃を避けることに意識を傾けた。どうせ効かない攻撃などする意味がない。
('A`;)(どこだ、どこにある。無くちゃいけないはずなんだ)
弾丸の軌道とタイミングは読みやすい。何せ必ず死角から来るうえ、見えるところから弾丸、本体の攻撃、弾丸というパターンになっている。これならばドクオといえど避けるのはそう難しくはなかった。
そう、難しくはない。何せ先に向かった方角から戻ってくるだけなのだから、冷静になれば簡単に避けられる。
しかし、問題はドクオの体力と集中力だ。休む間もなく襲い来る攻撃は当たれば致命傷になるまでに肥大化している。がむしゃらに攻撃をしたことで周囲の土や岩を吸収してしまった。
そのせいで舗装されていたはずの道は抉れて穴だらけ、移動する距離も弾丸の大きさに伴い長くなっているし、威力も最初に受けた一撃の数倍になっている。
('A`;)「はっ……はっ……」
集中を切ってしまえば終わり、さらには体力が尽きて動けなくなっても終わり。その限られた時間の中で敵を倒さなければならないというプレッシャーがドクオを蝕んでいく。
('A`;)(早く、早く見つけないと……)
441
:
1
:2014/07/11(金) 22:53:33 ID:MuFWsT2w0
从;'ー'从「あれれ〜、また増えてるよぉ〜」
ξ;゚⊿゚)ξ「口動かす前に手を動かしなさい! 死にたくないでしょ!?」
(;*゚ー゚)「とは言っても、これはさすがに……」
宿舎の前には鳥型の魔物が大量に押し寄せており、その圧倒的な数の前にしぃ達は苦戦を強いられていた。
どこから現れているのかも分からず、さらには見たことのない姿形をした魔物との終わりの見えない戦はしぃ達の心をじわじわと弱らせていく。
(;*゚ー゚)(戦闘を初めてすでに一時間は経過しています。なのに、減るどころか増える一方。魔物はどこから入り込んで……)
モ・トコには今ほとんど人がいない。が、この街に派遣されている騎士団の人間が何人かは滞在しているはずなので、魔物避けの結界は正常に作動しているはずなのだ。魔物が街に入り込むことなど微塵も有り得ない。
であれば理由は一つしか考えられないだろう。
敵はすでにこの街に入り込んでおり、かつこちらを狙っているということだ。
その意図までは分からないが、自分達がしなければならないことはこと単純。生き延びること。
(;*゚ー゚)「副団長やモララー隊長ドクオさんが戻ってくるまでは耐えましょう!」
从;'ー'从「了解だよぉ〜」
ξ;゚⊿゚)ξ「分かってるわよ! でもドクオ達が戻ってくる保証はあるの? 戻ってきたとして、この状況が収まるの?」
442
:
1
:2014/07/11(金) 22:54:20 ID:MuFWsT2w0
(;*゚ー゚)「それは……」
思いがけないツンの言葉に、しぃは答えに詰まってしまった。
ドクオやショボンは敵の動向や現在ある情報から目的や対抗策を見出だそうとしていたから、しぃは彼らならなんとかしてくれるのではないかと思ったのだ。
だから、しぃはあの二人が戻ってくるまでと言ったのである。
从'ー'从「ツンちゃん!」
渡辺がツンを呼んだ。
ξ;゚⊿゚)ξ「あ、ごめん。とにかく頑張りましょ」
ツンもはっとした様相でしぃをちらりと一瞥。
(* ー )「……すみません」
それきり、しぃもツンも渡辺も口を開くことはなかった。
ツンが言いたいことは分かっている。
今の今まで考えたことすらなかったが、しぃは今日に至るまで自発的に何かをしたことがなかった。それは子供の頃からそうだったし、騎士団に入団しても変わっていない。
しかも、ここにいるのは騎士ではない一学生が二人。本当ならしぃが魔物の大群を退ける策を考え二人に指示を出さなければならない立場なのである。
なのに、自分ができることは戦うだけ。あろうことか学生と同じ位置で。
(* ー )(でも、私の考えは正しいんでしょうか。もし、間違ってお二人に怪我をさせてしまったら、私は……)
443
:
1
:2014/07/11(金) 22:55:05 ID:MuFWsT2w0
いつもであれば、しぃの考えを述べた時、傍にいて大局を見渡すことができる誰かに判断を仰ぐことができていた。過去のように、何もしないよりはせめて意見ぐらいは言ったほうがいいと知っているから。
だから騎士団に入ってしぃは大なり小なり過去の罪から目を逸らすことができていた。
自分は変わったんだ。
昔の幼かった自分ではないんだと。
けれど、人の本質とはそう簡単に変わるものではない。
今、この場所、この状況において彼女は自分にできることなんて初めからないと信じこんでいた。自分は騎士団の中ではしたっぱで、作戦立案や状況把握をする上の人間からの指示に従っていればそれでいいのだと考えていたから。
彼女はそうやって騎士団という組織の中で立場を築き上げてきた人間だ。今までも、そしてこれからも同じように考え同じように動くだろう。
(* ー )(私は……私は…)
ξ#゚⊿゚)ξ「しぃ!」
(;*゚ー゚)そ
444
:
1
:2014/07/11(金) 22:55:56 ID:MuFWsT2w0
ツンの怒号で思考の海から戻ってくる。目の前には魔物が迫っていた。
(;*゚ー゚)(避けられない)
と、横から炎が躍り出る。魔物は炎に焼かれ、消し炭と化した。
从'ー'从「しぃちゃん、ボーッとしちゃ駄目だよぉ?」
ξ#゚⊿゚)ξ「戦闘中なの分かってんの? 迷惑かけんじゃないわよ!」
从'ー'从「ツンちゃんも落ち着いて。話は全部終わってから、ね?」
ξ゚⊿゚)ξ「……分かったわよ」
そのあと、何事もなかったのように三人は戦闘に戻ったが、終始しぃの心はざわついたままだった。
学生に助けられ、怒られ、迷惑をかけている。その事実がしぃの感情を掻き乱して、内に貯めたものを全て吐き出してしまいそうになった。
自分は、何故ここにいる?
何故戦っている?
何故、騎士になんかなったのだろう。
445
:
1
:2014/07/11(金) 22:56:41 ID:MuFWsT2w0
◇◇◇◇
鉱山の中はまるで迷路のように入り組んでおり、採掘場と呼ばれる場所以外の道幅はけして広くはない。ともすれば広い部屋の中で報告書を読むショボンには少しばかり息苦しさを覚えさせる。
唯一の救いは道がきちんと舗装されていることだろう。採掘した鉱石を安全に運ぶため、路面に飛び出したり尖った石や岩は丁寧に取り除かれており、ちょっとしたお屋敷の廊下と遜色ないほどだ。
両側の壁に取り付けられた魔法石の明かりが頼りなく床を照らしている中をショボンは早足で進んでいる。
魔力の糸はこの奥に続いており、鉱山の深くに足を進めるにつれてはっきりと色濃くなっていた。
(´・ω・`)「……随分と広い採掘場だな。この鉱山のメインか?」
開けた空間を見回してショボンは感嘆の声をあげた。
四角い箱のような形をした部屋は採掘場としては異例とも呼べるほど広く、王都ヴィップの玉座の間の三倍以上ある。周囲を見渡せばキラキラと輝く何かが岩の壁に混じって剥き出しになっており、その数足るやとてもではないが数えきれる量ではなかった。
ショボンが一瞬自分が夜の星空の中に迷い混んでしまったかと錯覚してしまうほどに美しい。所々部屋を支えるための柱が立っているのが少し残念ではあるが。
(´・ω・`)「魔導鉱石の原石、か。採掘するのは難しいと聞いたことはあったが、なるほど」
446
:
1
:2014/07/11(金) 22:57:27 ID:MuFWsT2w0
近くの壁を観察すると、この輝きを放つ剥き出しになった部分が一つ一つ独立したもののようだ。少しの刺激ですら暴発する原石がこんなにも大量に隣接しているのだから国が資格を交付するのは納得である。
(´・ω・`)「……魔力、ね」
魔導鉱石とは錬金術で使われる媒体の一つだ。当然ではあるが名のとおり魔力を多分に含んでいる。
(´・ω・`)「今は考えても仕方がない。先を━━」
急ごうとは言えず、代わりに彼は怪訝そうに眉を潜めてしまった。
何故彼がここにいるのだろうか。彼には何も言っていないし、この複雑に入り組んだ鉱山を先回りしてきたとでもいうのか。
(´・ω・`)「モララー」
( ∀ )「」
そこには、虚ろな瞳をしたモララーがニヤニヤとだらしない笑みを浮かべて立っていた。
(´・ω・`)「何故ここにいる。答えろ。これは命令だ」
幻影ではない。魔力の動きを視認できる今、魔法による幻影ならばこれが人の形をなしているはずがないのだ。
つまり、目の前にいるのは紛れもない本人だということになる。
ショボンの問いにモララーは答えない。不気味に笑ったままだ。
(´・ω・`)「答える気がない、もしくは━━」
447
:
1
:2014/07/11(金) 22:58:11 ID:MuFWsT2w0
操られている。そう考えるのが妥当か。
仮にも若くして騎士団の分隊長になった男が不覚を取るとも思えないが、それだけ敵の方が上手だったということだろう。
(´・ω・`)「通るぞ」
ショボンは警戒しながらモララーの脇を通りすぎていく。腰に差した剣はいつでも抜けるように柄に手をかけながら。
立ち尽くしたまま動かないモララーはこちらに視線を向けることなく、黙って違う方向を向いている。
結局、最後まで彼は何もしてこなかった。
採掘場を抜けて再び狭い通路に出ると、ショボンは足を止めて振り返る。
(´・ω・`)(一体何を目的にモララーを操り、配置したんだ?)
操られていたのか、はたまた自分の意思でここにいたのか見当がつかない。人の心を操作する魔法は高度なものだとマナに働きかけてしまうためショボンですら完璧に見抜くことはできない。
経験と勘から彼が操られているのは間違いないと思うのだが━━
その時だった。
448
:
1
:2014/07/11(金) 22:58:57 ID:MuFWsT2w0
視界一杯に目映い閃光が迸る。次いで爆発。慌ててその場を後にするが、他の場所にある魔導原石もこの衝撃で連鎖的に爆発しているようだ。
(;´・ω・`)「まさか、このために!」
逃げ場所を失ったショボンは急いで防御魔法を構築する。だがあまりにも短い時間だったために不完全な形で出来上がった防御結界はすぐにでも消えてしまいそうなほど頼りないものだった。
(;´・ω・`)(人の部下を捨て駒のように使うか)
改めて敵の恐ろしさがひしひしと伝わってきた。こんなにも簡単に人の命を扱うなんて正気の沙汰ではない。
(;´・ω・`)「とにかく、ここを出ないとますいな」
この様子では一帯の鉱山も巻き添えに崩落してしまっただろう。もちろん敵が巻き込まれて死んだなんて馬鹿な真似をするとは思えないが。
ショボンはさらに詠唱。範囲は半径数十メートルといったところか。
自分を中心に魔法を発動させると、周辺の岩が一気に消滅していく。けして岩という存在を消しているわけではない。あくまで岩を構築する魔力を分解して形を保てなくしているだけだ。
だがこのまま消していくだけではさらなる岩が降り注ぐが、ショボンはさらに魔法を重ねる。
分解した魔力を壁や柱にして出来うる限り部屋として機能するように再構築していくと、とりあえずショボンが自由に動けるくらいのスペースが完成した。周囲に魔導原石が大量にあるからこそできる荒業である。
しかしこれも単なる時間稼ぎにすぎない。一刻も早く脱出しなければ酸欠や二次崩落に巻き込まれるだろう。
(´・ω・`)「……モララー」
崩落した先を見つめながらショボンは少しだけ迷う。
449
:
1
:2014/07/11(金) 22:59:54 ID:MuFWsT2w0
自分の部下も岩の中に埋もれているはずだ。これぐらいで簡単に死んではいないだろうが、長くは持たない。
(´・ω・`)「少しだけ待っていてくれ。すぐに助けに来る」
部屋の向こう、壁を一枚挟んだ辺りから広めにスペースを作っておく。あまり距離は離れていなかったため、これで問題ないと思う。
ようやくショボンは一息つくと、再び魔力探索術式を展開させようとして━━
突如吹き飛んだ壁、そこから光線が伸びてきた。
(;´・ω・`)そ「なっ」
身を伏せてそれを避けると第二撃が向かってくる。今度は跳躍、さらに三、四と光線が雨霰と降り注ぐ。
飛んできた方を見れば、穴の空いた壁に傷一つないモララーが先程と同じ笑みを浮かべてこちらを見ていた。
( ∀ )
(;´・ω・`)「くっ、もはや逃げられないか」
モララーはすでに獲物を握っている。逃げ道のないこの空間では彼をやり過ごすことはできそうもない。
けれどもモララーは自分の部下だ。彼が入団してから何かと世話を焼いてきた。応用魔法を教えたし、戦闘技術を磨かせた。一緒に酒を飲んで愚痴を言い合って過去の話に涙して励まし合った。
そんなモララーに、自分は剣を向けねばならないのか?
(´ ω `)(僕は何のために騎士になった)
騎士とは弱きを守る盾、悪を挫く剣。
自分に立てた誓いはなんだ。
それは目の前にある全ての理不尽をこの手で救うこと。
自分の正義は何のためにある。
それは悪に虐げられる人達を救うために。
ショボンは剣を勢いよく抜き放つ。
(´・ω・`)「私は王都ヴィップ騎士団副団長、ショボン。いざ参る!」
450
:
1
:2014/07/11(金) 23:00:39 ID:MuFWsT2w0
( ゚"_ゞ゚)「どうやらうまくいっているようだな」
作業を終えたオサムは近くの壁に描かれた魔法陣から情報を探った。やはり今の振動は一部の採掘場が崩落したことによるものだ。
ならば、今頃騎士の二人は戦っているのだろう。これでショボンとモララーは死んだも同然である。
さらに街の宿舎で待機していた三人はオサムが作り出している魔物と交戦しており、身動きが取れない。あれはモ・トコという鉱山都市だからこそ使える錬成術式だ。魔導原石が大量にあって初めて成り立つが、その分半永久的に魔物を産み出すだろう。
そして、オサムが最も楽しみにしている魔剣の主は━━
( ゚"_ゞ゚)「ゴーレムにうまく囚われているか。やれやれ、これでは先が思いやられるな」
451
:
1
:2014/07/11(金) 23:02:02 ID:MuFWsT2w0
魔剣の力ならばあんなもの五分と経たず壊せるものを、何故こんなにも苦戦しているのかオサムには理解できない。
とはいえ、そう簡単に破壊できるほど柔な作りにした覚えもないので致し方あるまい。
( ゚"_ゞ゚)「だが、おかげで全ての準備は整った。ゲームは中盤に差し掛かったぞ」
棺桶を開き、溜めていた魔力を解放すると巨大な魔法陣が浮かび上がる。黒々とした一般的には使われない幾何学的でより複雑な魔法陣だ。
ばちばちと魔力が部屋の中を暴れまわり、大きすぎる力に世界も呼応するかのように地鳴りを響かせた。
手、足、胸と徐々に現れていく体。それらはのっぺりとしていておよそ人とは思えないほどの美しい白色だ。顔は目も鼻も口もあるがどれも人形のように開くことはなく、ただの装飾品にしか見えない。
ゆっくりと時間をかけて、ようやく人型の生物が召喚された。
長い黒髪を靡かせ、それはオサムを睨み付けるように顔を向けてくる。
( ゚"_ゞ゚)「いい仕上がりだ」
452
:
1
:2014/07/11(金) 23:02:50 ID:MuFWsT2w0
それを眺めて彼はふむふむと頷く。概ね想像通りだ。あとは最後の仕上げをすればこのゲームは終盤に向けて動き出すだろう。
誰も彼もが絶望の中で泣き叫びながら死んでいくのだ。そうなってようやく彼は絶望する。
人型の生物は声すらださずにただただ立ち尽くす。
( ゚"_ゞ゚)「さて、手始めにここら一帯の街々を焦土に変えようか、悪魔よ」
453
:
1
:2014/07/11(金) 23:03:35 ID:MuFWsT2w0
第十話 終
454
:
1
:2014/07/11(金) 23:08:34 ID:MuFWsT2w0
これにて第十話終了です
今回の一連の話は本来こんなに長期化させるはずではなかったのですが、今後長編をやることが増えると思うので試験的に実施しています
あと二話か三話でこの話を終わらせられるとは思うのでお付き合いいただければ幸いです
最近暑いせいか集中力が続かずお待たせして申し訳ありませんが、次回も来週中には投下という形でお願い致します
その際は必ずこちらに一報いれるので、お待ちくださいませ
それでは今回も読んでいただきありがとうございました
455
:
名も無きAAのようです
:2014/07/11(金) 23:45:46 ID:Mms7zxvc0
乙乙
楽しみにしてます
456
:
名も無きAAのようです
:2014/07/12(土) 10:16:12 ID:buy/pwBo0
乙
最近これだけが楽しみになってきてる
457
:
名も無きAAのようです
:2014/07/12(土) 12:15:32 ID:Ffb0xMZk0
モララーとショボンどうなる…
毎回楽しみに読んでるぜ
458
:
名も無きAAのようです
:2014/07/13(日) 19:40:29 ID:PUmtn9uA0
この話すげえおもしろいと思うんだが読んでる人少ないんだな
459
:
名も無きAAのようです
:2014/07/13(日) 20:36:22 ID:DH2DCfBY0
あまり書き込まないけど更新ペース早いから楽しみにしてるよ?
460
:
名も無きAAのようです
:2014/07/13(日) 21:14:06 ID:ZUBbjO1Y0
読み専の人も居るからね
俺も楽しませてもらってるよ
もうすぐ話が終わるってのは意外だけど完結してくれたらまた読む人も増えるさw
この作者には期待してる
461
:
名も無きAAのようです
:2014/07/13(日) 21:22:52 ID:uxidwceU0
え、もう終わるの?
伏線回収しきってなくね?
462
:
名も無きAAのようです
:2014/07/13(日) 21:28:11 ID:101RRbRwO
第二部という形もありうる
463
:
名も無きAAのようです
:2014/07/13(日) 21:48:35 ID:JwIulYEc0
この話って今の一連の話って言ってるだろ、終わらんよ
464
:
名も無きAAのようです
:2014/07/13(日) 22:54:34 ID:uxidwceU0
だよな
この話で終わるとかありえないだろ
さすがにビビった
465
:
名も無きAAのようです
:2014/07/13(日) 23:56:18 ID:jVIMrjYQ0
ああなるほど
そういう事かww
みんなも作者もごめん
466
:
名も無きAAのようです
:2014/07/14(月) 07:08:16 ID:DaV74fO20
うぇーい無理せずゆっくり書いてねー
楽しみにしてるぞ!
467
:
1
:2014/07/17(木) 00:58:44 ID:BUfRUMoM0
どうも1です
最近色々と環境が目まぐるしく変わっておりましてなかなか執筆が進んでおりません
とはいえ一応十一話は四分の三ほど書き上がっておりますので今週の金曜日か土曜日には投下できそうです
いつになくレスがついていて驚きましたが、こんなにもたくさんの方々が自分の作品を見てくださっていることに感激です
それとこの話は三部作の予定で現状ようやく三分の一ほどシナリオが進んできた感じです
第一部は今やっているモ・トコ編と幕間が二話ほどと中編一本で終わります
ですのでそこそこ長くなるとは思いますがお付き合い頂ければ幸いです
シナリオ自体はとっくに完成しておりますので自分が死なない限りは完結までしっかりやっていきますのでよろしくお願いいたします
468
:
名も無きAAのようです
:2014/07/17(木) 21:30:50 ID:RIqZChuI0
今夜の総合は静かですね
469
:
名も無きAAのようです
:2014/07/19(土) 03:45:14 ID:DRSXC5Xw0
( ^ω^)やっと追いついたお
( ^ω^)僕の出番まだかお??
470
:
名も無きAAのようです
:2014/07/19(土) 10:19:38 ID:tfi3a3E.0
今日辺りかな?
471
:
1
:2014/07/19(土) 13:27:28 ID:UtpfPXNc0
どうも1です
本日の投下ですが、予定が入ったので明日にずらします
こういう時に限って予定が入る会社が憎らしい
待っていてくれるかたには申し訳ありませんが明日お会いしましょう
472
:
1
:2014/07/19(土) 13:28:12 ID:UtpfPXNc0
>>469
君の出番は第二部からだよ
この話終わったら少し出てくるから待っているように
473
:
名も無きAAのようです
:2014/07/19(土) 16:36:16 ID:DRSXC5Xw0
( *^ω^)おっぉっぉ
474
:
名も無きAAのようです
:2014/07/19(土) 21:29:14 ID:Vi6IwJXw0
支援絵かきたいけど絵下手だし登場人物の服装把握できない
475
:
名も無きAAのようです
:2014/07/19(土) 22:07:25 ID:OXctHYVE0
>>474
その辺は想像力と勢いでカバーするんだ!
476
:
1
:2014/07/20(日) 10:24:23 ID:DKaxDB8Y0
>>474
基本的に服装というのはあえて決めていません
異世界という設定ですが、あまり我々の住む現代世界と明確な差はないんじゃないかと私が思っているからです
一応設定が確定しているのは魔法学校の指定が三角帽子とマントだけであとは自由な服装です
騎士団連中は男が甲冑着込んでて、女は魔法学校の三角帽子に帯みたいなのがついているイメージですかね
本日21時から23時の間に投下したいと思います
477
:
1
:2014/07/20(日) 21:11:55 ID:V03MPEb.0
第十一話「神対神、開戦」
.
478
:
1
:2014/07/20(日) 21:12:51 ID:V03MPEb.0
◇◇◇◇
繰り出された大振りな拳を左に跳んで避けると、すぐに後方から巨大な岩石が飛来する。体勢を立て直す間もなくドクオはそれに剣を当てた。
岩は元からなかったかのように消失。しかし、岩の弾丸はさらに左右同時から向かってきている。
('A`;)「くそっ!」
身を伏せて弾が相殺するのを確認し、ドクオはゴーレムとは逆方向に駆け出した。次々に浮かび上がる大小様々な岩や石が雨霰と降り注ぐ中を致命傷を食らわないよう細心の注意を払いながら。
距離を空けて攻撃が止んだ隙に振り返ると、ゴーレムはなおも拳を振るい周囲の石畳をところ構わず粉砕して弾丸を増やしていく。ドクオの視界に映るのは浮遊する岩でほとんど埋め尽くされており、その数たるや数百はくだらないだろう。
ドクオは動くかどうか一瞬だけ迷ってしまった。だが、その一瞬が命取りだった。
ドクオが動かないと見るや、ゴーレムは浮遊した石を一斉に射出し始める。
('A`;)そ「冗談じゃねえ!」
逃げられるほどのスペースもない今、ドクオは迎撃するしかない。一つ二つ三つと高速で動く岩の嵐を叩き落としていくが、ドクオを狙っているわけではなくただ真っ直ぐ飛ばしただけのそれらは後ろにある建物を破壊し、周囲に粉塵を撒き散らしていく。
479
:
1
:2014/07/20(日) 21:13:36 ID:V03MPEb.0
不明瞭になる視界、それでもドクオは自分でも驚くほどの反射神経でもって弾丸に対応していた。
いくつかの破片や致命傷にならないものは微々たる傷を残していくが、動けなくなるほど酷いものではない。痛みがないわけではないがドクオの心が折れるようなことはなかった。
しかし、じわじわと焦りは募っていく。熾烈さを増す攻撃を避け続けるのにも集中力や体力が削られ、攻撃をすればそれに比例し威力も範囲も上がっていくというジレンマ。敵を構築するはずの魔法陣を見つけさえすれば突破口は開くはずなのにその糸口さえ見つかっていないのだ。
('A`;)(どうすりゃいい、どうすりゃこいつを倒せる?)
不意に煙の中から巨大な手がぬうっと伸びてきた。ほとんど無意識の内にドクオは剣を振るってしまう。
('A`;)「やべっ!」
岩で作られた凹凸の無骨な手は一瞬で消滅するが、その途端に周囲で漂っていた岩が集まり再び手や腕を再構成する。
さらに集まった石や岩は全て腕になったわけではなく、いくつかがドクオに向かっていた。剣を振り抜いてしまい体勢を崩したままのドクオは避けることもできず岩の餌食となってしまう。
( A )「がぁっ」
石畳を跳ねて転がり、先にあった建物に激突。意識は切れなかったが立ち上がるのさえ厳しい。ようやく顔を上げた時には目の前にゴーレムが屹立し、腕を振りかぶっていた。
('A+;)「こ、のっ!」
間一髪剣で防ぎ、その間に身を低くしたままゴーレムの股下を通り抜ける。こちらを踏み潰そうと巨大な足が床を叩き、衝撃で地面が揺れる。
('A+;)「うおっ」
思わず膝を崩すも転ぶことはない。だが踏み砕かれた石畳の破片がまたも弾丸として襲いかかってきた。
480
:
1
:2014/07/20(日) 21:14:19 ID:V03MPEb.0
もはや避ける術もなく撃ち抜かれ、左腕と右足が歪な方向に曲がっていた。
( A+)「がぁぁぁぁっ!」
さらに追い打ち。ゴーレムの拳がしっかりとドクオを捉える。地面に伏していたドクオは衝撃を殺すこともできずダイレクトに攻撃を食らってしまった。
体中の骨が折れる感触、内蔵も潰れたのか口から血を吐き出してしまう。
掠れる視界の中でゴーレムがこちらを見下ろしていた。止めを刺そうとしているのだろう。
( A+)(……もう動けねえよくそったれ)
もはや体はピクリとも動かない。今の攻撃で剣もどこかにいってしまった。反撃などできるわけがない。
今の今までよく耐えたとドクオは自分を誉めたい気分だった。例えここで命を落とすとしても、ただの一般人である自分が魔法使いなんてチート集団と渡り合えたこと自体が奇跡とさえ言える。
この戦いだってドクオは敵の弱点である魔法術式がどこかにあると予想まではできたのだ。
それが見つからないということは、敵の術者がプロであり自分が素人であることの証明に他ならない。言い換えれば経験の差、短時間でいくつもの死線を越えてきたとしても長きに渡って積んできた経験は絶対に縮まらないのだ。
そんな相手とここまで戦うことができた。もうそれで十分じゃないか。誰もドクオを馬鹿にするやつなどいない。
( A+)(ここが俺の限界だよ。現実から逃げ続けた負け犬の限界)
ゴーレムの足裏が視界に入る。踏み潰されれば即死だろう。
( A+)(ごめん、みんな。先にリタイアさせてもらうよ)
481
:
1
:2014/07/20(日) 21:15:07 ID:V03MPEb.0
ドクオは今も戦っているだろう仲間達に心の中で謝罪をする。
ショボンやモララーは一人で敵と戦っているのだろう。
しぃや渡辺、ツンだって協力して街を守っているかもしれない。
誰も彼もが自分ではない誰かのために戦って傷ついて、その後ろ姿を見てきたからドクオは立ち上がれた。
でも今のドクオは一人ぼっちで、どこまでも無力だ。いつだって誰かがそばにいてくれたからドクオは戦えた。守るべきものを見失わなかったから剣を握れた。
ショボンはドクオを芯の通った男だと、期待通りの男だと言ってくれたのに、中身や想いはそう簡単に変わってくれやしない。
( A+)(ここが俺の着地点だ。だから、もう休ませてくれ)
なのに。
そう思って全てを諦めたはずなのに。
体が全く動かないはずなのに。
( A+)
ドクオは立ち上がっていた。
ゴーレムの足が迫っている。直撃は避けられない。
ドクオは両手を上にあげる。魔剣は手元にない。
それでも、ドクオは受け止めた。
自身の力のみで、何トンもあろうかというゴーレムの踏みつけを、受け止めたのだ。
傷口から鮮血が吹き出るのが分かった。あらぬ方へ曲がった腕や足から何かが砕けるような感触もある。内蔵も破裂しているのかもしれない、嘔吐感が一気に押し寄せていた。
( A+)「駄目なんだよ。みんな戦ってるんだ。俺一人だけ休んでるわけにはいかねえんだ」
482
:
1
:2014/07/20(日) 21:15:54 ID:V03MPEb.0
あいつらはみんな自分以外のために戦ってしまう馬鹿どもだから。
あいつらはみんな誰かのために傷つくのを恐れない阿呆だから。
ここで諦めて死んでしまったら、渡辺が、ショボンが、モララーがしぃがツンがしてきたことを教えてくれたことを全部否定することになる。それだけは何があってもやっちゃいけないこと。
(゚A+)「おおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
力を入れて押し返すと、ぶちぶちと筋肉が切れるような音が聞こえた。少しずつではあるがゴーレムの足が上がっていく。
(゚A+)「らぁぁぁぁぁぉぁぁぁぁぁぁ!!」
叫び声と共にドクオは地を蹴って飛び上がった。
するとずぅぅぅんと大きな音と共にゴーレムは背中からひっくり返る。じたばたと両手両足を動かしているが体積を増したゴーレムの体は簡単には起き上がれない。
ドクオは近くに転がっている魔剣を回収するともう一度飛び上がり、顔と思しき場所へと切っ先を差し込む。
これで終わりだとは思わない。そのままゴーレムの上半身から下半身へ疾走すると再生する間もなくゴーレムの体が消滅していく。
('A+)「はっ、はっ……」
全てが消滅した。が、周囲に飛び散っている石畳の破片が小刻みに揺れているということは間違いなく再生するのだろう。今回は運よく全身を消滅させられたが、単なる時間稼ぎにしかならない。
いや、収穫はそれだけではなかった。
これでドクオの考えは根底から覆されたのだ。
なんせ、このゴーレムには核となる術式が存在していないのである。
('A+)(全部消したのにまだ動くってことは、これは本体じゃないんだ)
483
:
1
:2014/07/20(日) 21:16:40 ID:V03MPEb.0
始めからおかしかったのだ。こんなに動きが遅く単調な攻撃しかしてこない岩石の人形が自らと周囲の岩を使った二段構えの戦法を取ること自体が。
これだけの大質量を操作するような魔法であればおかしくはないとドクオは無意識の中で判断してしまった。そもそも魔法を詳しく知らないドクオからすれば何もかもが魔法で納得できてしまうのは仕方のないことである。
だからこそ敵はそこを突いてきたのだろう。ドクオが魔法に不得手だということを知り、かつドクオの持つ魔剣の特性を知る故の戦法。
だがドクオはもう迷わない。諦めない。
この瞬間、ドクオは全てに気付くことができたのだ。
('A+)(思えば、ヒントは昨日の夜にあったじゃないか)
ドクオとしぃを別空間に閉じ込め、魔物と戦わせるような魔法。それは魔法を倒した瞬間に解除された、通常よりも異質なもの。
異質だからこそ、それだけではないのだろう。
('A+)(つまり、これは幻。魔法が仕掛けられてるのは━━)
ドクオは剣を握ると瞼を閉じる。暗闇の中で耳と肌が音や風の流れを鋭敏に感じ取っていた。
それに混じって一つだけ風でも音でもない、目を閉じていてもはっきりと映る光がある。けして見えているわけではなく、見えなくとも光だと分かってしまうほど違和感のある光の集合体。
(゚A+)「見えた!!」
目を開けると、周囲にあった全ての岩や石を集めたのか先程よりも数倍大きくなったゴーレムが拳を振るっているとのろだった。
構わずドクオは走りだす。背中越しに空を切る感触が伝わるが、もはやゴーレムに用はない。そこから足裏に力をこめて、ドクオは宙を舞う。
ゴーレムの胸の手前。そこに光の塊を見つけた。
('A+)「ここだぁっ!!」
484
:
1
:2014/07/20(日) 21:17:26 ID:V03MPEb.0
握りしめ、上段に構えた剣を思いきり降り下ろす。
何かを斬りつけた手応えを感じると同時、視界が一瞬だけホワイトアウトした。
高く舞い上がったドクオは痛みで受け身を取ることも出来ず、そのままべしゃりと石畳の上に落下したが思いの外体はピンピンしている。
('A`)「……」
いつのまにかあれだけ重傷だった怪我が一切合切無くなっていた。どころか踏み砕かれ穿たれた石畳も建物も何一つ破壊の爪痕を残してはいない。
('A`)「全部幻、ってことか」
あれだけ心折れそうになったことも、死ぬんじゃないかと思った怪我も、全ては敵が作り出したまやかしだった。
多少拍子抜けはするものの、強力な魔法であったことに変わりはない。死んでいたとしても不思議ではないのだ。
仮にあの術式の中で死んだとしたらどうなっていたのか。考えたくもないが一先ず危機は去ったと見ていいだろう。
('A`)「さてと」
ドクオは立ち上がると剣を構え直す。
随分と長い間閉じ込められていたようだ。辺りにはうじゃうじゃと鳥型の魔物が蔓延っている。
('A`)「こいつら片付けて宿舎に━━」
言いかけて、背筋に悪寒が走る。
何か得体の知れないものがこちらに近付いてきているのを感じた。
その瞬間、百で利かない数の魔物が一斉に消滅する。
('A`;)そ「なんだ!?」
485
:
1
:2014/07/20(日) 21:18:53 ID:V03MPEb.0
周辺を見回すと、いた。少し離れたところに二人組の人間がこちらを見つめて立っている。
( ゚"_ゞ゚)
( ∵)
その内の一人━━いや、人として数えていいのか分からない、まるで人形のようなものの前に淡い輝きを放つ球体が浮かんでいる。
それは口を大きく開けると━━
('A`;)「は?」
( <Θ>)〇
光の球を喰らった。
驚きのあまりドクオはその場から動くことが出来ず、ただただ異質な二人を見つめることしかできない。
やがて、二人はドクオから数メートル離れたところまでやってくると、男の方が恭しくお辞儀をした。
( -"_ゞ-)「お初にお目にかかる、魔剣の主。俺は棺桶死オサム、予想通り黒の魔術団の一人だ」
黒の魔術団。その言葉を聞いてドクオは戦闘体制に入る。
( ゚"_ゞ゚)「おっと、俺は君と戦いに来たわけじゃない。それに俺自身は魔法使いではあるが戦闘能力はほぼ皆無でね、君にはどうひっくり返っても勝てそうにないんだ」
('A`)「……今回の騒動はお前が黒幕か?」
( ゚"_ゞ゚)「その通りだ。ついでに言えば昨日君に魔物を宛がったのも俺さ」
('A`#)「お前たちの目的はこいつだろう。なんで関係のない人達まで巻きこんでんだよ!」
486
:
1
:2014/07/20(日) 21:19:40 ID:V03MPEb.0
( ゚"_ゞ゚)「俺は魔法使いであると同時に研究者でね、好奇心が騒ぎ出すんだ。例えば、その魔剣の仕組みや力の限界。何が出来て何が出来ないのか、非常に興味がある」
('A`)「……そんなことのために、巻き込んだってのか?」
( ゚"_ゞ゚)「そんなこと? 心外だな。分からないことがあれば知りたくなるのが人間だろう。例え何を犠牲にしても、やり遂げねばならないことはあるものだ」
('A`#)「てんめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
気付けばドクオは魔剣を振りかぶり駆け出していた。
オサムの言葉は同じ人間が発したものだと信じられない。貞子も人としての倫理や常識が欠けていたが、好奇心を満たすためだけに人を殺すなど、奴はそれ以上の狂気を感じる。
あと数センチで切っ先が触れるところまできて、ドクオは剣を止めた。
( ∵)
否、オサムの隣にいた不可解な生物に止められたのだ。触れれば喰らわれるはずの魔剣を手で受け止めたのである。
('A`;)そ「なっ」
ドクオがいくら力を込めようとも、押そうが引こうがびくともしない。
( ゚"_ゞ゚)「ふむ、やはり実験は成功のようだな。魔剣にも引けを取らない強度とは」
487
:
1
:2014/07/20(日) 21:20:32 ID:V03MPEb.0
('A`#)「てめえ、こいつは、何者だよ!? これを触って消滅しないなんて、普通じゃねえぞ……っ!!」
( ゚"_ゞ゚)「人は何で構成されているか、君は知っているか?」
('A`#)「何を言ってんだてめえ」
( ゚"_ゞ゚)「答えは色々とあるんだが、突き詰めて言えば人を構成するのは純粋に魔力なんだよ。ただの魔力の塊でありながら生き物はマナという純度の高い魔力を体内で作り上げるのだが、俺はこの事実に驚愕したよ」
('A`#)「だから何を」
( ゚"_ゞ゚)「人というのは生き物中でも特にマナの生成効率が良くてね、作る量も早さもこの世界に生きる生物の中では頂点に君臨する」
ドクオは動けない。目の前の敵に魔剣を握られているうえに、オサムの周囲に魔力が集まりだしているからだ。
下手な真似をすれば殺す、と彼の瞳が言っている。
( ゚"_ゞ゚)「濁りきった魔力で構成された人間が、何故こんなにも純度の高い魔力を生み出すのか。それは人の身体的機能や隠された秘密があるんではないかと、俺は興味を持ってね、調べてみたよ」
('A`#)「調べたって、まさか」
( ゚"_ゞ゚)「生きたまま腹をかっさばいたり、色んな魔法アイテムを埋め込んだり、頭の中に直接魔法陣を書き込んだりもしたかな? まぁ、それは所詮過程だ。つまらない話さ」
ありえない。生きたまま? 切り刻んだり道具を入れたり陣を描くだなんて、人がどれほどの苦痛や絶望を味わうかこいつは理解しているのか? 死ぬなんて生易しいものではないことはドクオにだって分かることだ。
ギリギリと歯を食い縛り、どうすればこいつを殺すことが出来るのかをドクオは考え始めてしまう。
488
:
1
:2014/07/20(日) 21:21:21 ID:V03MPEb.0
( ゚"_ゞ゚)「そんなことを繰り返しているうちにあることに気付いた。この機能は絶妙なバランスによって偶然生まれた素晴らしいシステムなのだと。人は生きているだけで一つの魔法陣なんだ、とね」
( ゚"_ゞ゚)「それに気付くと今度は違う興味が湧いてきたよ。もし、人が己の魔力によってマナを生み出すことが出来るのなら、体を構成する魔力の純度を高めたなら人としての存在はどこまで昇華するのか」
( ゚"_ゞ゚)「その結果、人を越える存在、いわば神とも呼べる圧倒的な力をもったこれが生まれた」
( ∵)
( ゚"_ゞ゚)「つまり、こいつは人でありながら人ではない」
489
:
1
:2014/07/20(日) 21:22:11 ID:V03MPEb.0
( ゚"_ゞ゚)「神」
.
490
:
1
:2014/07/20(日) 21:23:10 ID:V03MPEb.0
('A`;)「神……」
魔剣を掴んでいる手が不気味に煌めいている。無機質な肌も、感情を表さない顔も、この存在そのものが意図的に作られた力だというならこいつは━━
('A`)「まさかこいつは、人間なのか?」
( ゚"_ゞ゚)「何を言っているんだ。当たり前だろう。人間でありながらその価値を高めてやったんだ」
( A )「……」
もう言うことは何もない。こいつは冒してはならない領域を越えてしまった。
ドクオには他人の価値観や倫理観を否定する権利なんてない。自分の考えを押し付けることがどれだけ愚かなことなのかも分かっているつもりだ。
だからこそ、ドクオはオサムを許すことが出来ない。いや、許してはいけない。
こいつを認めてしまったら人という存在を否定するのと同じだ。
ドクオは知っている。自分以外の人間が生きているという普遍の事実を。
ドクオは見てきている。自分以外の人間が生活を営んでいることを。
ドクオは痛感している。自分以外の人間が他人のために流す涙がどれだけ温かいものかを。
こいつは、それを、踏み躙った。
( A )「許せねえよ。人の命を、生活を、人生をなんだと思ってやがる」
(゚A゚)「神? 価値を高める? 何様のつもりだ!? 悪戯に与えられた力がどれだけの悲劇を産むか知ってんのかよ!?」
力とは単体では意味などない。それを持つ人間の有り様によって形を変えるものだから。
渡辺のように思いやりが出来るから人を守るための力となり、ショボンのように自らの信念に基づくからこそ大切なものを守るための剣となる。
力があるから戦うのではない。力があるから守るのではない。
目的を達するために望んだもの、必要だったから選んだものが力だったに過ぎないのだ。
491
:
1
:2014/07/20(日) 21:24:05 ID:V03MPEb.0
('A`)「お前はここで倒す」
ドクオはさらに力を込める。人形の腕が徐々に押し込まれていき、ドクオは見計らって腕を弾いた。
('A`)「覚悟しろ。人の痛みを教えてやる。他人にやったこと、全部お前に返してやるよ」
( ゚"_ゞ゚)「できるものならやってみろ。その前に、君のお仲間が死んでいるかもしれないがな」
('A`;)「なに?」
( ゚"_ゞ゚)「騎士団の副隊長だったかな? 彼は仲間である男と生き埋めになっている。いつまで保つだろうな」
('A`;)「ショボンさんと……モララー、か?」
( ゚"_ゞ゚)「さらに騎士団の駐屯所では無限に魔物が湧いている。一体の力は弱いが、数の暴力の前にどれだけ抗えるだろうな」
('A`;)「ぐっ……」
( ゚"_ゞ゚)「俺をやったところで彼らの命は助かるかな? 君のいう命の重さとやら、教えてくれるのだろう?」
醜悪な笑みを浮かべるオサムは人形の背中をポンポンと叩いた。すると人形が目にも止まらぬ速さでどこかへと飛び去っていった。
( ゚"_ゞ゚)「あれには駐屯所を完膚なきまでに叩き潰すよう命令を与えている。君の選択肢は三つ。鉱山に行くか、駐屯所に行くか、ここに留まるか。どれを選んだところで死人は出るだろう」
さあ、どうする?
オサムは笑みを崩さない。他人など知ったことではないとでもいう風に、彼はドクオを煽っている。
('A`;)「く、そっ!」
時間はあまり残されていない。悩んでいる暇も惜しい。
ならば、今は信じるしかない。
ドクオはオサムに背を向けて駐屯所へと走り出す。オサムからの攻撃を警戒していたが、何かをする様子は見られなかった。
('A`;)(間に合ってくれ。誰も死なすわけにはいかないんだ!!)
492
:
1
:2014/07/20(日) 21:26:16 ID:V03MPEb.0
◇◇◇◇
もはや限界だった。倒しても倒しても増え続ける魔物の前にしぃ達の体力はとっくに底をついている。
魔法だって無限に使えるわけではない。鍛えているとはいえ、休む間もなく連戦に次ぐ連戦、彼女達の心が疲弊していくのに比例して体力の消費は倍々に増していった。
从; ー 从「はっ、はっ、二人とも、ごめんね。私、もう無理みたい」
やがて、渡辺が力なく膝をついた。きめ細かく白い肌には無数の傷がついており、服は破れて扇情的な姿を晒している。
ξ#゚⊿゚)ξ「諦めないで!! 少し休みなさい!! それまで私達が持ちこたえるから!!」
かくいうツンも限界を迎えているらしい。得意の魔法を使わずに、媒体として持っていた杖で魔物を殴り付けていく。
(;*゚ー゚)「その、通りですよ!!」
しぃはまだ魔法を使うことはできるものの、もってあと数十分というところだ。たった一人で二人を守り続けるのはまず不可能。しぃの魔法をもってしても体力まで回復させることはできないのだ。
三人が無惨に殺されるのは時間の問題だろう。抵抗は出来れど根本から解決する方法が見つからない。
493
:
1
:2014/07/20(日) 21:27:05 ID:V03MPEb.0
しぃの見立てでは召喚、もしくは生み出すための術式があるはずなのだが、ここの守りを手薄にすれば陥落するのは目に見えている。
仮に術式を発見したとしても、しぃにそれを解除できるかといえば確実ではない。何せこれだけ無尽蔵に魔物を繰り出すということは行使する魔力の量も、術式の規模も並大抵のものではないだろう。
つまり、始めから打つ手など皆無だったのだ。彼女達は舞台の上で踊らされる憐れなピエロでしかなかった。
(;*゚ー゚)(せめて、ドクオさんか副隊長がいれば……)
考えたところでもう遅い。おそらく、敵はそれすらも見越してこの状況を作り上げたのだ。でなければ騎士団がここまで追い詰められるなど有り得ないことだろう。
それに……。
从; ー 从
ξ;゚⊿゚)ξ
騎士団に所属していない一般人を完全に巻き込んでしまっている。元々ここら一帯が立ち入り禁止区域に指定されているものの、個人で訪れるには障害が一切ないのだ。
騎士団の半数以上が遠征から戻っているのであれば規制するにあたって人数を割くことができたのだろうが、現状そこまで手が回らないというのも抱えている問題の一つだった。
494
:
1
:2014/07/20(日) 21:27:53 ID:V03MPEb.0
だからといって彼女達を巻き込んでいいという理由にはならないが、あまりにも条件がこちらに不利な方向へと傾きすぎてしまっているのも事実なのである。
(;*゚ー゚)(このままでは、全滅してしまいます。それだけは、避けないと)
騎士として、そして彼女達を大切な友人として認めているからこそしぃは決断をしなければならない。
誰かに求められたわけでもなく、しぃが自ら判断して動かなければ過去の失敗を繰り返すことになる。
(;*゚ー゚)「お二人とも、頼みがあります」
手を休めることなくしぃは口を開く。迷っている時間はない。
(;*゚ー゚)「この場から離れてドクオさんを探してきてください。ここは私が引き受けます」
ξ;゚⊿゚)ξ「な、何言ってんの!? あんた状況分かってる!? 三人でさえ厳しいのに、一人でなんて」
(* ー )「分かってますよ!!」
しぃは感情に任せて大声をあげた。改めて言われなくたってそれくらいのことは理解している。
(* ー )「それでも、このまま三人で戦うよりは勝算があるんです。これだけ大きな術式です。見つけたとしても私達が解除するには時間がかかるんですよ。ならば、それを破壊できる人がいれば戦況は変わるんです。だから」
从;'ー'从「もし、間に合わなかったら?」
不安げに渡辺が尋ねてきた。声が震えている。言わなくとも分かっているのだ。
(* ー )「私は、騎士です。力のない誰かを守るのが役目、それが年上の方でも、本質は変わりません」
ξ;゚⊿゚)ξ「あんた、死ぬ気?」
(*゚ー゚)「死にません。お二人を信じます」
495
:
1
:2014/07/20(日) 21:28:43 ID:V03MPEb.0
しぃは何もできない。過去から現在まで幼稚な考えと価値観で全てを台無しにしてきた。自分にできることなど何もないのだと勝手に決めつけてきた。
本当は何かができたはずなのに。
見て見ぬふりをして、それが運命なんだと、仕方のないことなんだと諦めてきた。
だが、今のしぃにはできることがある。やらなきゃいけないことがある。
騎士としてではなく、同じ人間として、彼女達の友人として。
それだけで十分だろう。
今までも、それだけで十分だったはずなのだから。
(*゚ー゚)「私が隙を作ります。その間にお二人は市街地へ行ってください」
しぃは今までで最も大きな魔法陣の準備を進める。おそらくこれが最後の魔力になるだろう。それで構わない。
大切なものを守れるのなら、本望だ。
(*゚ー゚)「お願いします」
魔法陣が浮かび、発動。瞬間的に膨大な魔力が周囲を埋めつくし、大量の冷気が魔物を凍らせていく。
(*゚ー゚)「今です!」
一瞬だけ二人が息を飲んだが、すぐに走り出した。そう、それでいいのだ。今生き延びるにはこれしか方法はない。
ξ゚⊿゚)ξ「戻ってくるまで生きてなさいよ! すぐ戻るから!」
从'ー'从「私も頑張るからね! 約束だよぉ!」
496
:
1
:2014/07/20(日) 21:29:54 ID:V03MPEb.0
二人の背中が見えなくなるまで魔法を展開し続け、しぃは途端に脱力してしまう。
嬉しかった。少しでも躊躇してくれたことが、堪らなく救いとなった。
幼くて役に立たない自分なんかを心配してくれたという事実に、しぃは報われてしまったのだ。
(* ー )「簡単には、死にませんよ」
だって、しぃにはやることがある。ドクオと話した神父を探しにいくという約束。彼女達はついてきてくれるだろうか?
ステッキを構え直し、しぃは肉弾戦に移行する。あまり得意ではないが抗う術は残されていない。
(* ー )「私は、生きなければなりません」
前方の魔物の頭部をステッキで突き刺し、抜き様に後方へ。建物との距離を計りながら魔物の群れに突っ込まないよう注意を払い、撹乱しつつ丁寧に一体一体潰していく。
どれだけ時間が経ったかは分からないが、体に付いた傷の数はけして少なくない。
何度も何度も挫けそうになりながら、それでもしぃは膝を折らなかった。送り出した二人が必ずや戻ってきてくれると信じているから。あの二人は自分を裏切ることはしないと確信しているのだ。
だが、強く持っていたしぃの心も魔物の軍勢の前に少しずつではあるが弱くなっていった。
すでに千にも届こうかという数の魔物は容赦なくしぃに牙をむき、彼女の体を傷付け、強さを増していた。
そんな中でのことだった。しぃのステッキが魔物の攻撃を防いだ際に弾かれ、宙を舞った。
(;*゚ー゚)「ぐっ」
497
:
1
:2014/07/20(日) 21:30:48 ID:V03MPEb.0
もはや攻撃する手段は拳しかない。彼女の非力な拳ではろくにたダメージを与えられないだろう。
前方の魔物を殴り付ける。しかし人よりも固い筋肉で構成された魔物の体はびくともしない。
ニヤリと笑ったかどうかは分からないが、その隙に魔物が鋭く尖った爪をしぃに振るった。身をそらしギリギリでかわすも体勢が崩れる。
その時、しぃの背中に抉るような痛み襲った。ちらりと視線を向けると魔物が立っている。
(;*゚ー゚)「く、はっ!」
ぐらりと揺れる体、一気に力が抜けていく。その姿を見て我先にと押し寄せてくる魔物。しぃは死を意識する。
(* ー )(やはり、私では……)
冷たい石畳の床に転がり、視界一杯に映る魔物達は自分の体をどう見ているのだろう。
単なる捕食物か、はたまた意識あるサンドバッグか。もしかしたら何も考えていないかもしれない。
(* ー )(ごめんなさい、ドクオさん。約束、守れそうにありません)
動かない体、ぽっきりと折れた心。死を覚悟した彼女は瞳を閉じる。もはやどうすることも出来ないだろう。
過去の出来事が走馬灯のように流れていく。後悔ばかりの人生だった。せめて最後の最後くらい、これでよかったと思う人生でありたかったが、それも叶いそうもない。
けれど、渡辺とツンをここから遠ざけることができたのは誇ってもいいだろうか。騎士として、あるべき姿であったと胸を張ってもいいだろうか。
しぃは訪れる死を待つ。
(* ー )「さよなら。ドクオさん」
死の縁にたって思い浮かんだ彼の名を呟いた。何故彼が浮かんだのかは分からない。
きっと最後に約束をしたからだろう。神父を探しにいくという、小さな小さな口だけの約束だ。
そんなことでも彼は必死に守ろうとするんだろう。それくらい彼は優しい人間だ。自分とは違って、迷いがない。
498
:
1
:2014/07/20(日) 21:31:34 ID:V03MPEb.0
最後に考えることがこんなことなのか、と半ば呆れながら横たわっていたしぃだが、いくら待っても死はやってこなかった。
恐る恐る目を開けてみる。
(*;゚ー゚)「……えっ?」
魔物が消えていた。
あれほど大量にいたはずの魔物は姿形を消して、どこにもいない。あるのは戦闘の際に破壊された床や建物の破片だけ。
ゆっくりと時間をかけて立ち上がり、もう一度念入りに確認しても状況は同じだった。
(*;゚ー゚)「魔物は……まさか、ドクオさんが?」
可能性はある。二人のどちらかがドクオを探しだし、術式を破壊したのかもしれないが、いくらなんでも早すぎやしないだろうか。
しぃは案外近くにあったステッキを拾うと、建物に背を預けて座り込んだ。とにかく戦闘は終わったのだ。それだけで十分だろう。
(*゚ー゚)「助かったんですね、私」
いまいち実感がわかないが、急死に一生を得たのは幸いだった。
傷だらけの体はすでに少女といっていいか分からないほどに汚れており、女性としてはあるまじき姿かもしれない。
早く終わらせてシャワーを浴びたいな、なんて考えてしぃが息を吐いた時。
( ∵)
499
:
1
:2014/07/20(日) 21:32:22 ID:V03MPEb.0
(;*゚ー゚)「━━」
なんの前触れもなく、それは現れた。
人形のようなのっぺりとした顔、作り物のような肌。まるで人間らしいものがどこにもない。
それは周囲に光の球を引き連れており、ともすれば幻想的に見えなくもないがしぃはあまりのことに呆然としていた。
( ∵)
不意に、漂っていた光球がしぃの横を通過していく。次の瞬間、しぃの体は吹き飛ばされごろごろと地面を転がっていた。
何が起こったか分からない。しぃの目には球が近くに来たくらいの認識でしかなかったのだ。
(;*゚ー゚)「こいつ……」
はっきりとしているのはこいつは紛れもなく敵だということ。もしかしたら魔物が消えたのはこいつが何かしたのかもしれない。
( ∵)
立ち上がる間もなくしぃは胸ぐらを掴まれ持ち上げられる。先ほどにも増して倦怠感が襲ってきた。
(* ー )(まさか、マナを吸い取って━━)
自分の中の魔力が根こそぎ失われていく感覚、さらには意識さえ朦朧とする。抵抗も出来ず、しぃは考えることもままならない。
( ∵)
それが空いている腕をあげた。何をするつもりかは分からない。確認をする間もなく、しぃは意識を失った。
500
:
1
:2014/07/20(日) 21:34:08 ID:V03MPEb.0
◇◇◇◇
(;´・ω・`)「ふっ、はっ」
( ∀ )
逃げ場のない狭い空間の中でショボンはひたすらモララーの攻撃をいなしていた。
攻撃は全て急所狙いの単調なものだ。いなすのは難しくないが、そのスピードが尋常ではない。
筋力や反射神経強化の魔法を使っているのかもしれないが、人間が可能とする動きを大きく上回っている。これでは筋肉や内部器官に相当な負担をかけているのは間違いないだろう。
にも関わらず、モララーの表情は一切変わらない。うっすらと汗が浮かんでいるくらいで、痛みに顔を歪めることも疲労による身体能力低下もなく、ひたすらにショボンという敵を躊躇なく殺そうとしている。
カキン、キン、カキンと金属を弾く音が部屋の中に響いている。何も知らぬ人間が見れば剣舞をしているように見えるかもしれない。基本にどこまでも忠実だったモララーだからこそ一挙手一投足が芸術のように洗練されているのだ。
モララーの槍がショボンの右脇を通過する。伸びきった腕をショボンは真下から蹴りあげた。
モララーの腕が上がると同時にショボンは剣を横に振る。
浅く腹部を裂いただけだった。あの状況からモララーはバックステップで致命傷を避けたようだ。
一度ショボンは距離を取る。滝のような汗が全身を流れていくがそれに構っている暇はない。
(;´・ω・`)(獲物のリーチに差がありすぎる。かといって魔法を使えばこの部屋は崩落しかねない)
501
:
1
:2014/07/20(日) 21:35:00 ID:V03MPEb.0
崩れた鉱山の中、強引に作り出した部屋は少しの衝撃で簡単に崩れるだろう。さらにショボンは生命維持のために様々な魔法を使っているのだ、細かい調節は効きそうもない。
そんなことすら分からないのか、モララーの周囲に魔法陣が浮かぶ。彼が得意としている光系の攻撃魔法だろう。
(;´・ω・`)(まずい!)
ショボンは慌ててスペルキャンセラーを展開したが、陣が消失したとみるやモララーは一瞬でこちらとの距離を詰めてきた。
ショボンは右に飛ぶが、間に合わずに槍の切っ先が脇腹を掠める。着地と同時にモララーの死角に回り込んで袈裟斬りを見舞った。
だが、彼の槍は意思を持っているかのようにぐにゃりと曲がって攻撃を弾いた。多節棍ならではの操作魔法である。
大きく体勢を崩したショボンにモララーは槍を突き入れてきた。身を捻りなんとかかわすものの、さらに二つ三つと突きが襲いくる。
(;´ ω `)「がはっ」
捌ききれず、深々と突き刺さった槍は腹部を貫通している。激痛が全身を駆け巡るが、それを無視してショボンは剣を振った。
モララーが地を蹴り、ショボンを越えて後方へと回る。槍は自然とショボンの体から離れ、視界から消えた。
(;´ ω `)「おぉぉぉぉぉ!!」
振り向き様に横薙ぎの一閃。だがモララーはすでに距離をとっている。空を切る剣、傾いた体勢。次の瞬間には地面から槍の切っ先が近づいていた。
(;´・ω・`)「く、そぉっ!」
やむなくショボンは魔法を使用する。低レベルの防御魔法だったが、出力を間違えたのか槍に触れた途端に魔力の壁が消失した。
502
:
1
:2014/07/20(日) 21:35:45 ID:V03MPEb.0
だが、槍の動きは一瞬だけだが確かに止まった。ショボンは横に跳ぶとごろりと一回転、すぐさまモララーへと視線を向け━━
( ∀ )
(;´・ω・`)「なっ……」
目の前にモララーが立っていた。槍を構え、こちらに狙いを定めている。
(;´・ω・`)「くっ!」
再び横へと転がり、大振りの一撃をかわす。その間に立ち上がると、ショボンは魔法を発動した。
モララーの足元から光が溢れ、周囲を漂いながら彼の体に纏わりつく。
(; ∀ )
拘束を確認、さらに自身の姿を周囲の景色と同化させて見えなくさせた。これでしばらく時間を稼げそうだ。
モララーはすぐに拘束をほどいたが、こちらの居場所までは分からないらしく、キョロキョロと辺りに目を配っている。
(´・ω・`)(勝負はここからだ。勝利条件は三つ)
503
:
1
:2014/07/20(日) 21:36:31 ID:V03MPEb.0
一つ、モララーを殺さずに無力化すること。
自我を失い、普段以上の力を持っている彼を止めるというのはなかなかに骨が折れるだろうが、ショボンが騎士であり信念を持った一人の人間である以上これだけは確実に守らねばならない。
二つ、閉鎖されたこの空間から脱出すること。
現在魔法で強引に作られた部屋は少しの刺激で簡単に崩壊するという危うさを秘めている。ましてや周辺には魔導鉱石が大量に埋まっているのだ。下手を打てば二人揃って生き埋めになる可能性が極めて高い。
三つ、ショボンの魔力がなくなる前に決着をつけること。
この空間を支えているのはショボンの魔力だ。つまり、ショボンがここを維持できなくなった場合ショボンだけでなくモララーも即死亡となる。モララーが自我を取り戻していればまだ救いはあるだろうが、現状それも期待出来そうにない。
(´・ω・`)(三つ、この三つが全て揃わなければ僕たちは死ぬ。その前に終わらせるために、全力を注がなければ……)
ショボンが思考を終えた瞬間、モララーが拘束をほどいた。しかし、体のあちこちが不自然に歪曲している。
(´・ω・`)「痛みさえ感じないか。ならば、まだ手はある」
剣を握り直し、モララーに肉薄。ショボンの体も相当に消耗しているが、やってできないことはない。
(´・ω・`)「ふっ!」
504
:
1
:2014/07/20(日) 21:37:26 ID:V03MPEb.0
急所を避けて袈裟懸けに斬りつける。血飛沫が舞い、さらに逆袈裟。
モララーの横を抜けて背後へ。強烈な横蹴りを見舞うとモララーの体が吹き飛んでいく。
(´・ω・`)(骨が折れてもまだ動かされている。それなら、どうやったって動けないほど痛め付けるしかない)
生きていればまだ回復手段がある。王都に戻れば優秀な治癒術師達がいるのだ。彼を止めるのに遠慮をしていれば共倒れ、それだけは避けなければ。
モララーがよろよろと起き上がる。血も多く流れているし、肉体の損傷も激しい。勝負を決めるなら今しかない。
(´・ω・`)「悪く思うな」
ショボンの目の前に魔法陣が浮かび上がる。出力を間違えてはいけない。
モララーの前後左右に光の柱がそびえ立ち、その頂からいくつもの帯が降り注ぐ。
それは標的に触れると爆発、爆発、爆発。凄まじい閃光が視界を奪うがショボンは構わずモララーに接近した。
(´・ω・`)「一気に決めるぞ」
ショボンの剣に光が宿る。本来ショボンが得意とするのは魔法剣と呼ばれる術式だ。剣に魔法を宿し、斬りつけた部分に威力を収束させる魔法剣術の極み。
体の内部に直接魔法を叩き込むものや傷口から浸入させるものもあるが、今はモララーの動きを封じることに特化した魔法を付与している。
(´・ω・`)「はぁっ!」
505
:
1
:2014/07/20(日) 21:38:10 ID:V03MPEb.0
横薙ぎに腹部を斬りつける。一瞬置いて、傷口から冷気が拡がり、徐々にモララーの動きが鈍っていく。
剣を鞘に収め、ショボンが振り返ったとき、モララーは地に伏してピクリとも動かなかった。
(´・ω・`)「……あとは、ここから脱出━━」
言いかけた時、どこからともなく地鳴りのような音が聞こえてくる。今の戦闘の衝撃で鉱山全体の均衡が崩れてしまったようだ。
(;´・ω・`)「少しやりすぎたか」
あまり愚痴ってもいられない。一刻も早く脱出の手筈を整えなければ。
(´・ω・`)「ここの座標が分からないし、この状況じゃ転送術式はあまり期待できそうもないか。あとは、壁に穴を空けながら進む……現実的ではないな」
様々な方法を思案するが、どれも理論的には可能であってもショボンの残り魔力では到底不可能なものばかりである。
せめてモララーが動ける状態であればまだ救いはあったのだが、仮死状態の彼を起こしたところでまた戦闘になるのは目に見えている。
(´-ω-`)「確実ではないが、仕方ないか」
506
:
1
:2014/07/20(日) 21:39:13 ID:V03MPEb.0
ショボンは自分の胸に手をあて、集中する。自分を中心に巨大な魔法陣が浮かぶ上がった。
(´・ω・`)「こうなれば、この鉱山を纏めて消し飛ばすしかない」
当然それには魔力が足りないが、周囲にある魔導鉱石と自身の生命力、即ちマナを術式に転用すればそのくらいの出力は叩き出せるはずだ。
もちろん取り出すマナの量を間違えればショボンの命はない。
しかし、それでもショボンには部下を死なせて一人生き延びるなんて真似は出来そうもなかった。
自身を媒体に周囲の術式を展開。魔導鉱石も十分な量が確認できた。それらを結びつけて記憶にある座標へと範囲を拡げていく。
(´・ω・`)「……あとは、天に委ねるしか━━」
魔法が完成する直前、ショボンの胸を何かが貫いた。
( ∀ )
(;´ ω `)「なっ……」
首だけを後方に向けると、いつのまにか起き上がっていたモララーが槍を突きだしていた。
大量の血液が傷口から溢れ落ちていく。
(´ ω `)「詰めが……甘かったか……」
もはやショボンの生存は絶望的だった。自身のマナを限界まで抽出し、かつこれだけの失血。生き延びたとしても目を醒ます確率は限りなく低い。
だが、彼にはまだ信頼できる男がいる。
何も知らず、自身の信念のために剣を取れる男が。
(´ ω `)「頼んだ……ぞ……ドクオ……」
507
:
1
:2014/07/20(日) 21:40:05 ID:V03MPEb.0
◇◇◇◇
宿舎に向かう道中、運よく渡辺と合流したドクオはこれまでの経緯を簡単に説明されていた。
たった一人で戦う選択をしたしぃの安否が気にかかるが、隣を走る渡辺は息も絶え絶えで今にも崩れ落ちそうだ。
('A`)「渡辺、あとは俺が何とかする。お前は休んでろ」
从;'ー'从「で、でもぉ……」
('A`)「大丈夫。しぃちゃんは絶対生きてる。俺が死なせやしない」
从;'ー'从「……うん。なら、あとは任せるね」
('A`)「おう。ツンを見付けたあとゆっくり来い。その頃には全部終わらせとく」
渡辺が頷いたのを確認し、ドクオはスピードをあげた。もはや一刻の猶予もない。
オサムはあの人形を駐屯所の方へ行かせていた。ということは、間違いなくしぃはあれと対峙しているはずだ。ドクオの剣ですら軽々と受け止めたあれに、疲労困憊のしぃが敵うとは思えない。
('A`;)(間に合え、間に合ってくれ)
508
:
1
:2014/07/20(日) 21:41:08 ID:V03MPEb.0
速く、もっと速くと両足をひたすらに動かし、宿舎が近付いたところでふと違和感を感じた。
('A`)(魔物が、いない?)
そういえばあれは魔物を一瞬で消滅させたかと思えば魔力に変換し、それを喰らっていた気がする。渡辺の話ではここに大量の魔物が押し寄せていたとのことだったから……。
('A`;)「しぃちゃん!!」
一気に跳躍し、建物を越えて宿舎の前へと辿り着く。
そこには、いた。
しぃと、人形が。
( ∵)つ( ー *)
片手で胸ぐらを掴まれ、力なく気を失っているしぃ。満身創痍でずっと戦っていたことからくる脱力なのか、あれに何かされたのかは不明だがドクオがすべきことは分かっている。
(゚A゚#)「その汚え手を離しやがれぇぇぇぇ!!」
一瞬で距離を詰め、しぃを掴んでいる腕に刃を向ける。ガキン、と金属同士がぶつかるような音。同時にしぃの体がどさりと地面に落ちた。
( ∵)
(゚A゚#)「らぁっ!」
509
:
1
:2014/07/20(日) 21:42:20 ID:V03MPEb.0
反転し、勢いを利用して横薙ぎの一撃。人形はそれを片手で受け止めると、あんぐりと口を開ける。
( <Θ>)
そこから目映い光が放たれ、至近距離で爆発。ドクオは後方に跳んでしぃを片手で引き上げながらそれを避けた。
そのまま申し訳ないと心で謝りながら乱暴にしぃを遠くへと投げ、もう一度人形へ接近。おそらくこの剣でなければダメージは通らないだろう。しかし、人形の反応速度はこちらの攻撃速度を上回っている。
('A`)(なら、こいつでどうだ!)
もう一度横薙ぎ。受け止められる寸前にピタリと止めて、すぐに大きく開いた口目掛けて剣を突きいれる。
がちゃっ、と口が閉じて奥までは到達しない。引き抜こうとしても閉じる力が強すぎて身動きがとれなくなった。
('A`;)(マジかよ)
人形の腕が振り上げられた瞬間にドクオは正面を蹴りつけて、その反動で強引に剣を引き抜く。予想よりも強い力だったせいで、ドクオは後方に一回転。
体勢を立て直し、顔をあげると周囲には光球が浮かんでいる。ドクオが動き出すと同時にそれらがこちら目掛けて飛来した。
横に走り、着弾しては爆発し砂塵が吹き上げられる。視界が遮られるが、特徴的な人形の体はこの距離ならば目視できた。
身動きしない人形の背後に身を低くして近づく。気づかれてはいない。
510
:
1
:2014/07/20(日) 21:43:21 ID:V03MPEb.0
('A`)「こ、のっ!」
振り向く瞬間に跳躍、両足を脇に引っ掻けて一回転。思いの外重さのない人形を地面へと叩きつけ、着地と共に人形に剣を突きいれる。
その時人形が動いた。ごろりと床を転がり、攻撃を避けてこちらの足を掴んだ。
('A`;)「っ!!」
強烈な力で足を払われ、ドクオは転倒。その隙に人形が立ち上がると、先程着弾させた光球が再び向かってきた。
('A`;)「やばっ」
その速さに対応できず、直撃。体の至るところを襲う爆発にドクオは叫ぶことさえ出来なかった。
( A )「あ……がっ……」
なんという強さだ。ろくに動かなかったのは手を抜いていたということだろうか。まったく、なんてものを産み出してくれたのか。こんな状況でありながらドクオは思わず笑ってしまいそうだった。
だが、楽しい。楽しくて仕方がない。これほど壊しがいのあるものなんて初めてだ。
ドクオの中で何かが蠢いている。あぁ、いつものあれだ。身を任してしまえば引き返せないドクオの爆弾。
511
:
1
:2014/07/20(日) 21:44:06 ID:V03MPEb.0
けれど、今のままでは手も足もでないのは明白だ。あれに勝てるのはきっと自分だけ、負けるわけにはいかない。
時間がないのだ。ショボンとモララーのことも気になる。こいつを放っておけばみんな殺されてしまう。戦えるのは自分だけなのだ。
こいつはドクオに力を寄越そうとしている。誰にも負けない圧倒的な力、全てを壊し、他を寄せ付けない絶対的な恐怖。
今ドクオに必要なものをくれるというのだ。
ならば━━
( A )「━━っ」
ドクオの中で、何かが弾けた。
512
:
1
:2014/07/20(日) 21:44:58 ID:V03MPEb.0
( ゚"_ゞ゚)「おぉ、ようやくか。ようやく魔剣の本領発揮というところだな。実に興味深い」
オサムの作ったあれと、魔剣の力。神にも等しい力を持った存在と、神をも屠る最強の魔剣。
黒の魔術団の目的がなんであれ、オサムはこの時この瞬間のために全ての準備を整えてきたのだ。
自分の努力や成果が報われる、この至福は何者にも代えがたい普遍的な価値がある。
( ゚"_ゞ゚)「さあ全てを曝け出せ!! 俺にお前の全てを見せてみろ!! さあさあさあ!!」
爆発的に膨大な力が辺りを埋め尽くしていく。魔力とも違うオサムの知らない力。
神をも殺す絶対的な法則で成り立っているあれを自らの手で解明できたらどれほど楽しいだろう。
その力を自らが扱うことができたならどれほど面白いだろう。
きっと世界なんて小さなものなど玩具にすら劣る矮小なものへと成り下がる。
その瞬間に、オサムは神さえ使役するそれ以上の存在へと昇華するにちがいない。
( ゚"_ゞ゚)「はははははははっ、さあ始めようじゃないか!! 神対神の遊びを!!」
513
:
1
:2014/07/20(日) 21:45:41 ID:V03MPEb.0
第十一話 終
514
:
1
:2014/07/20(日) 21:52:28 ID:V03MPEb.0
これにて投下終了です
今回どこもかしこも戦闘戦闘戦闘で構成されております
そういえば今回の話で初めてショボンが戦闘するわけなんですが別に出し惜しみしていたわけじゃありません
単純に出す機会がなかっただけなんです
一応騎士団のナンバーツーなんで結構強いんですよ
モララーもそこそこ強いんですよ?
ドクオも強いっぽいですけど
しぃはまぁ、年の割りには強いですかね
ようやく今回の話の終わりが見えてきました
すでに十二話十三話の構成をまとめていますが、もしかしたら今までで一番の文量になるかもしれません
一応金曜か土曜に投下予定ですが、場合により来週は見送るかも……
随時こちらで告知はしていきますのでよろしくお願いいたします
では今回も読んでいただきありがとうございました
515
:
名も無きAAのようです
:2014/07/20(日) 22:41:42 ID:jVzG5Qlk0
( ^ω^)オオオオオオオオオオオ
( ^ω^)楽しかったお!!!!
( ^ω^)まさかビコーズさんがここで出るとわ
( ^ω^)まさに適役♪
516
:
名も無きAAのようです
:2014/07/20(日) 22:55:09 ID:eLtR1QJU0
乙乙
517
:
名も無きAAのようです
:2014/07/21(月) 12:37:18 ID:AjW1Be.E0
乙
どこもかしこもピンチでハラハラした
続きも楽しみにしてる
518
:
名も無きAAのようです
:2014/07/21(月) 21:40:29 ID:X7K0tEwI0
現行で一番すき
乙
519
:
1
:2014/07/22(火) 15:36:09 ID:/QGsadK20
>>515
ありがとうございます
ビコーズはこんな感じですよね
>>516
ありがとうございます
>>517
今回は色々と試験的な話なのでどこもかしこも戦闘ばかりですね
しばらくはみんなでピンチになってもらいます
>>518
ありがとうございます
そんなこと言われるとハッスルしてしまいます
出来るかぎり早めに次の話を投下できるよう尽力します
520
:
名も無きAAのようです
:2014/07/22(火) 19:06:47 ID:tSs9bl6o0
乙!
521
:
名も無きAAのようです
:2014/07/22(火) 22:28:02 ID:n5T5Y6H.O
読んでる
522
:
名も無きAAのようです
:2014/07/23(水) 21:06:39 ID:Ze/wv61.0
これまとめついてほしいなぁ
こんなワクワクする連載久しぶり
523
:
名も無きAAのようです
:2014/07/24(木) 16:12:57 ID:QiXnGvaY0
>>522
文が綺麗で上手いんだよな
一時は説明ぽかった時もあったがそれは作者も自覚してたし何よりそっからレベルが上がってるのがいい
俺もこれ好き
524
:
名も無きAAのようです
:2014/07/24(木) 21:21:14 ID:QvEA4Wgs0
段々読む人増えてるしな
525
:
1
:2014/07/25(金) 09:41:02 ID:4GacB82k0
どうも1です
現在鋭意書きため中でして、今週の投下は絶望的です
来週の水曜日までには投下したいと思っておりますので、それまでもうしばらくお待ちください
>>520
>>521
ありがとうございます
読者様がいるだけで感謝感激です
>>522
>>523
手放しに褒められると調子に乗ってしまいそうです
文章に関してはいまだ自信がないので何ともいえませんが、とりあえず勉強というか参考というかはある程度やっております
語彙力がないのでひたすらに読みやすい文章というのは徹頭徹尾励んでいきたいですね
>>524
そのようでうれしい限りです
526
:
名も無きAAのようです
:2014/07/25(金) 13:18:42 ID:0fTL4zfk0
( ^ω^)僕は今まで読んだなかでこの作品はアルファベットに匹敵するものになると思ってるお
527
:
名も無きAAのようです
:2014/07/25(金) 20:23:09 ID:G21XDRY.C
残り109話か、完結まではまだまだだな
528
:
1
:2014/07/27(日) 13:19:41 ID:tVeqCan60
>>526
いやぁそんなことはないと思いますよ
そこまで長くなるとは思いませんし、ましてや初心者なもので
ですがそう言っていただけてとても励みになります
>>527
そんなに続きませんよw
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