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('A`)は異世界で戦うようです

4971:2014/07/20(日) 21:30:48 ID:V03MPEb.0

もはや攻撃する手段は拳しかない。彼女の非力な拳ではろくにたダメージを与えられないだろう。

前方の魔物を殴り付ける。しかし人よりも固い筋肉で構成された魔物の体はびくともしない。

ニヤリと笑ったかどうかは分からないが、その隙に魔物が鋭く尖った爪をしぃに振るった。身をそらしギリギリでかわすも体勢が崩れる。

その時、しぃの背中に抉るような痛み襲った。ちらりと視線を向けると魔物が立っている。

(;*゚ー゚)「く、はっ!」

ぐらりと揺れる体、一気に力が抜けていく。その姿を見て我先にと押し寄せてくる魔物。しぃは死を意識する。

(* ー )(やはり、私では……)

冷たい石畳の床に転がり、視界一杯に映る魔物達は自分の体をどう見ているのだろう。

単なる捕食物か、はたまた意識あるサンドバッグか。もしかしたら何も考えていないかもしれない。

(* ー )(ごめんなさい、ドクオさん。約束、守れそうにありません)

動かない体、ぽっきりと折れた心。死を覚悟した彼女は瞳を閉じる。もはやどうすることも出来ないだろう。

過去の出来事が走馬灯のように流れていく。後悔ばかりの人生だった。せめて最後の最後くらい、これでよかったと思う人生でありたかったが、それも叶いそうもない。

けれど、渡辺とツンをここから遠ざけることができたのは誇ってもいいだろうか。騎士として、あるべき姿であったと胸を張ってもいいだろうか。

しぃは訪れる死を待つ。

(* ー )「さよなら。ドクオさん」

死の縁にたって思い浮かんだ彼の名を呟いた。何故彼が浮かんだのかは分からない。

きっと最後に約束をしたからだろう。神父を探しにいくという、小さな小さな口だけの約束だ。

そんなことでも彼は必死に守ろうとするんだろう。それくらい彼は優しい人間だ。自分とは違って、迷いがない。


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