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【添削】小説練習スレッド【キボンヌ】
1
:
名無しさん
:2004/11/25(木) 19:54
「自分も小説を書いてみたいけど、文章力や世界観を壊したらどうしよう・・・。」
「自分では面白いつもりだけど、うpにイマイチ自信がないから、
読み手さんや他の書き手さんに指摘や添削してもらいたいな。」
「新設定を考えたけど矛盾があったらどうしよう・・・」
など、うpに自身のない方、文章や設定を批評して頂きたい方が
練習する為のスレッドです。
・コテンパンに批評されても泣かない
・なるべく作者さんの世界観を大事に批評しましょう。
過度の批判(例えば文章を書くこと自体など)は避けましょう。
・設定等の相談は「能力を考えようスレ」「進行会議」で。
196
:
[タイトル未定−7]
◆yPCidWtUuM
:2005/11/18(金) 04:10:43
松田は黒く闇に溶ける道の上、片膝をついて腰を沈めた体勢のまま、くしゃりと笑って言う。
「井上くん久しぶり。元気にしてた?」
「…」
その口調は親しげなものだったが、井上はとても松田のその問いに軽く答える気にはなれない。
目の前の人物は自分を背後から襲い、拉致しようとしていたのだ。いくらそれがよく知る相手であったとしても、
恐怖と不信感は消えなかった。
一人離れたこの状況はまずい。そう判断した井上は、松田の様子をうかがいつつ河本の傍まで走った。
河本の横につくと、その後ろでは波田がいつの間にかギターをとりだして襲撃者の方を睨んでいる。
その様子を松田はつまらなそうな顔で一瞥し、ぐい、と体に力を入れて立ち上がり、服の埃を払った。
「おい、二郎…!こりゃ一体何のマネや!」
井上が自分の方に走ってくるのを見てハッと我にかえった河本は、前々からの友人である高野にむかって
悲痛な叫びをあげる。しかし高野は闇の中、いつもの笑みを崩さない。人好きのするそれが今に限っては
ひどく酷薄なものに感じられた。
197
:
[タイトル未定−7]
◆yPCidWtUuM
:2005/11/18(金) 04:11:32
「…井上くんの持ってる石に用がある。この間そっちのギターの彼を襲いに行った下っ端に誰かが
持たせちまったらしくてさ。使えねえ奴がいい石持ってもしょうがねえってのに…。
そいつらが失敗したとき回収されたもんだとばっか思ってたけど、今見たら井上くんが持ってんのな。
もしお前がレインボークォーツとかサードオニキス持ってんならそれも渡してもらうわ」
高野が普段通りの口調でそう言うのを聞いて、河本は理解したくないことをやっと理解した。
この2人は黒のユニットに属していて、自分たちの持つ石を回収しにきたのだ。
高野が『サードオニキス』と口にしたとき、自分の持つ石の名前がそれであることを河本はなぜか悟ってしまった。
レインボークォーツというのはおそらく、波田の拾った石の名前だろう。
198
:
[タイトル未定−7]
◆yPCidWtUuM
:2005/11/18(金) 04:12:02
高野たちと戦闘など、間違ってもしたくはない。だが、先ほどの松田の行為はあまりにも乱暴すぎる。
たとえ友人とはいえ、自分の相方を襲おうとした2人を許すわけにはいかない。素直に石を渡すなどもってのほかだ。
河本はスッと自分のサードオニキスを掲げてみせ、言った。
「これは渡されへんで。聡ラチろうとするような奴に簡単に渡してたまるかい!」
「まあそう言わないでさ…ほら、何なら黒に来たらいいじゃん、河本も」
「…こんな物騒な奴の仲間になる気なんざあらへんわ」
「そう、じゃあしょーがねえな」
ニコニコと笑ったまま、高野はオレンジ色をした自分の石を指先でもてあそんでいる。
そんな様子に焦れたのか、先ほどからずっと黙って立ったままでいた松田が口を開いた。
「二郎ちゃん、やっちゃっていい?」
「…まず井上くんのを盗ってこい、使われるとメンドクセーから」
「…あーい」
199
:
[タイトル未定−7]
◆yPCidWtUuM
:2005/11/18(金) 04:13:20
問われた高野は動じることなく答え、松田はまたも恐るべき速さで井上に飛びかかる。
井上は避けようとしたが松田のスピードの前にそれはかなわず、すぐさまマウントをとられて体の自由を奪われてしまった。
だが井上が手の中に握り込んでいた石を奪いとるのに手間どったせいでわずかに遅くなった松田の動きが
どうにか河本の目にうつった瞬間、河本は松田を指さし、頭の中に浮かんだ言葉を思いっきり叫んだ。
「そうは酢ブタの天津どーーーーん!」
とたんに松田の体はピタリと動かなくなり、井上の手から石を奪いとったまま、固まってしまった。
その上に空から酢ブタと天津丼が思いっきり降ってきて、松田の頭にドンブリと皿が直撃し、ガツーンといい音をたてる。
幸い割れなかったドンブリと皿から溢れ出した中身がびしゃびしゃとかかって、松田はあまりの熱さにパニックを起こした。
「痛っつーーーーだあぁうあっっちいぃいいい!!!!!!」
松田に馬乗りされた状態の井上まで酢ブタと天津丼のとばっちりを受け、松田の体を突き飛ばす。
「あっつーーーー!!!何すんの準一ぃい!!!」
「あ…すまん聡…」
200
:
[タイトル未定−7]
◆yPCidWtUuM
:2005/11/18(金) 04:14:10
天津丼のアンまみれで地面をごろごろ転がる男前の相方に小さく謝って河本は駆け寄る。
その様子にあっけにとられた高野を後目に、今度は波田が動いた。いつものギターの音が鳴り出す。
「拙者、ギター侍じゃ…」
「松田、ソイツのギターを奪え!」
そのフレーズに高野はハッとした叫び、まだヘルニアの後遺症がある体をひきずって井上たちに近づいた。
高野の声にどうにか立ち上がった松田が飛びかかろうとするそのとき、波田は次の台詞を叫ぶ。
「…残念!! 松田大輔ッ… 「真剣白刃どりーーーーっ!!!」 …ぃり…っ!」
ギターが日本刀に姿を変え、松田に向かってふり下ろされようとしたが、松田の両手がギリギリで刀を
白刃どりしたことに気を取られ、波田が台詞を言い切れなかっため、松田の動きを封じるには至らない。
そのまま石の力同士がぶつかりあった波田と松田は互いにはねとばされ、地面に叩き付けられた。
完全に力を発動できなかった分波田の方が分が悪かったか、松田は何とか受け身をとったが波田は
そのまま気絶したらしく、動かない。
201
:
[タイトル未定−7]
◆yPCidWtUuM
:2005/11/18(金) 04:14:59
その激しいぶつかり合いのさなか、地面に転がったまま戦いに気をとられていた井上と、その横にしゃがんでいた
河本のすぐ近くまで高野が迫っていた。
「…つかまえた」
静かに高野の声が河本の耳元に響く。肉厚の手のひらが河本の肩をがっちりと掴んでいた。
「河本、お前のサードオニキスちょうだい。あとレインボークォーツを多分波田が持ってるから、奪って俺に返して」
その言葉とともに高野の石が光を発する。河本はビクリ、と反応して握っていた石を高野に差し出し、立ち上がった。
その様子に慌てて井上も立ち上がり声をかけるが、河本は振り返りもせずにまっすぐ波田のもとへと走っていく。
「無駄だよ、今の河本には聞こえない」
高野は笑みを含んだ声で井上に言った。井上はバッと高野の方を向いてその笑い顔を睨む。
202
:
[タイトル未定−7]
◆yPCidWtUuM
:2005/11/18(金) 04:15:38
「俺の言うこと聞くってさ、河本は…しっかしアイツの石にはびっくりしたよ、サードオニキスは持ち主の個性で
能力が変わるって聞いてたけど、酢ブタと天津丼はねえよなぁ」
くっくっ、と愉快そうに笑い声を漏らした高野の襟首を、井上がグイ、と引っぱって言う。
「…二郎ちゃん、準一に何したん」
静かに、だが激しく怒る井上の吊り上がった目にも高野はちらりとも動揺を見せない。それどころか、自分の首元を
しめあげている井上の手首を、生まれついての握力をフルに使ってぎりぎりと握りつぶそうとした。
あまりの痛みに井上が顔を歪めて高野の首から手を離すと、高野も井上の手首を離す。
「…ちょっと言うこと聞かせただけだよ。ほら、もうすぐ終わる」
言いながら高野は顎で、波田の荷物をさぐっている河本を示した。井上は相方のその姿に愕然とし、駆け寄って
河本の背中に手をかけ、揺すぶる。
203
:
[タイトル未定−7]
◆yPCidWtUuM
:2005/11/18(金) 04:16:21
「準一、何してんねん、波田くんの石あいつらに渡したらあかんて!」
河本はうるさそうに井上の手を突っぱね、波田の持つレインボークォーツを探しつづけた。
それでも止めようと井上が河本をはがい締めにしようとすると、河本は井上を力一杯突き飛ばした。
体勢を崩して尻餅をついた井上は、呆然と自分の言葉の通じない河本の背中を見やる。
ひどく悲しい気持ちで井上はのろのろと立ち上がり、ふと、すぐそばの地面に光るものを見つけた。
…金だ。
おそらく松田が波田の刀を防いだとき、手から転がり落ちたのだろう。松田はまだ背中をおさえたまま倒れている。
高野はきっと、松田がこれを落としたことに気づいていない。だから河本に「金を返せ」とは言わなかったのだ。
井上は祈るような気持ちで金に手を伸ばした。この石の使い方は知らない、だがもしこれが自分のものだというなら、
きっとこの状況をなんとかしてくれる。そう思って井上は必死で小さな金の塊を握りしめた。
とたんに光り出す石に導かれたように、井上は伸ばした両手を頭上で固くあわせ、その中に石を包んだまま、
思いっきり地面にダイブする。井上の体は高野の目の前まで勢いよく滑っていき、その足下で止まった。
204
:
[タイトル未定−7]
◆yPCidWtUuM
:2005/11/18(金) 04:17:00
「しまったっ…!」
高野の声が響き、その手の中にあった石が光を失い、凍りつく。その瞬間、河本が正気を取り戻した。
その手にはちょうど波田のギターケースから見つけたところだったレインボークォーツが握られている。
一体自分が何をしていたのかわからず、河本は周囲を見回す。そこにはやっとのことで立ち上がろうとしている松田と、
目一杯体を伸ばしたままで高野の前に倒れている井上、そしてただ立ち尽くす高野の姿があった。
「聡っ?!」
動かない相方の姿に思わず河本は叫び声をあげる。見たところ怪我のないのに安心したものの、状況が
わからないのはそのままで、とっさに河本は自分の石のことを思った。ふと手の中を見ると、そこにあるのは
自分の石のサードオニキスではなく、波田の拾ったレインボークォーツだ。サードオニキスがどこにもないことに気づき、
やっと河本の記憶がよみがえってきた。そうだ、自分は高野にあの石を渡してしまった…!
205
:
[タイトル未定−7]
◆yPCidWtUuM
:2005/11/18(金) 04:17:40
「…それちょうだい」
河本がその小さな声に振り返ると、目の前には鬼の形相の松田が立っていた。まだふらふらしている体で
松田が河本に襲いかかる。もはや松田は石の力を使えてはいなかったが、死にものぐるいで河本の手から石を
奪おうとしていた。その執念とも言うべき力に河本は必死であらがう。体勢を崩して倒れ込んだ2人の後ろから、
それまで忘れ去っていた人物の声が聞こえた。
「河本、大丈夫か!」
先に行ってしまったものだとばかり思っていた有田だった。少し遅れて上田も走ってくる。その状況を見た高野は、
すぐに松田に声をかけた。
「松田、石はいい、逃げろ!」
その声に松田は河本からはなれ、高野のもとへと走ろうとしたが、もはや石の力の反動で体がまともに動かない。
地面を這うようにして自分のもとに向かってくる松田の手をとろうと高野は必死で走り寄るが、腰に爆弾を抱えた体では
限界があった。それでも何とか松田を助け起こし、その場を去ろうとする。
206
:
[タイトル未定−7]
◆yPCidWtUuM
:2005/11/18(金) 04:18:17
しかしそのとき河本が立ち上がり、レインボークォーツを握りしめたまま叫んだ。
「ふざけんなや、俺の石返していかんかい!!!」
…その叫びが闇に響き渡るとともに、河本の手の中で石が虹色の光を発する。その眩しさに全員が目をひそめた。
207
:
[タイトル未定−8]
◆yPCidWtUuM
:2005/11/18(金) 04:19:22
それからどのくらいの時間が経ったのかはわからない。
気づくと河本のもう一方の手の中には、サードオニキスが再び握られていた。
だが、河本にはなぜその石が再び自分のもとへやってきたのかさっぱりだ。
「うう…」
小さなうめき声に振り向くと、波田が起き上がろうとしていた。その横でなぜか正座した状態になっていた有田と
いつのまにか尻餅をついたままだった上田も気がついたのか、頭を振って目をぱちぱちさせている。
その様子を見ていて井上のことをすぐ思い出した河本が、彼の倒れていたはずの場所を見やると、そこには
体育座りで縮こまって震えている相方の姿があった。
208
:
[タイトル未定−8]
◆yPCidWtUuM
:2005/11/18(金) 04:21:14
「聡!大丈夫か!」
河本は井上に駆けより、異常な状態の相方に声をかける。すると井上は、紫色の唇でぽつりと呟いた。
「寒い…」
その手には金の粒が握られており、河本はこの井上の状態がおそらく石の力の反動であろうと察する。
確か波田を襲った刺客が『凍る』とか言ったと聞いた、これのことだろう。しっかりしろ、と井上の背中をさすり、立たせてやる。
「井上、コレ着とけ」
その様子を見ていたらしい上田が寄ってきて、侠気にあふれる発言とともに自分の上着を差し出した。
「…いやー上田さんオットコマエですねえ、ナーンにもしなかったくせに」
「…お前もだろ!大体お前が俺の首キメたまま歩ッてったからこいつらが襲われたの気づかなかったんじゃねーか!」
「いやいや上田さん、気づいてても貴方は戦闘の役には立たねえし同じですから〜!…残念!」
「有田さん、それ俺のネタです…」
「有田お前、大概にしとけよ…?」
209
:
[タイトル未定−8]
◆yPCidWtUuM
:2005/11/18(金) 04:22:25
有田の襟首をつかもうとして逃げられた上田はおちゃらけまくった相方を怒り心頭で追いかけ回す。
波田は松田との戦いでネックの折れてしまったらしいギターを拾いつつ、その様子をおろおろと見ている。
結局上田の上着を羽織ることにした井上と、その横に立つ河本は、何て緊張感のない人たちだろうと
この先輩たちに軽く尊敬すら覚えて覚えていた。
「…そういや、襲ってきた奴ら、どうしたんだ?」
有田を追いかけ回して疲れたらしい上田が、今度は逆に自分が相方の首をキメながら戻ってきて聞く。
有田は「ギブ!ギブ!」と叫んで上田の腕を叩いているが、解いてやる気はさらさらないらしい。
「あれ、そういやどしたんやろ…」
河本はぽつりと呟いて周りを見てみるが、松田と高野の姿はない。そして河本の脳裏からは、レインボークォーツが
光った後の記憶が全て消えていた。
210
:
[タイトル未定−8]
◆yPCidWtUuM
:2005/11/18(金) 04:23:30
「俺も松田さんとぶつかった後の記憶がないんです」
「ああ、気絶しとったからやろ」
「俺もこの石、拾った後の記憶がないわ…マグロになったのは確かやねん」
「は?マグロ?」
「うん、何かな、マグロやらなあかん気がして、滑ってったんよ、そしたら二郎ちゃんとこ着いて…そうや、二郎ちゃんの
石の力、多分俺の石ん中に凍ってる」
「二郎の力?」
「この石、きっとそういう力があんねん」
「…」
しんみりと井上の手の上の金の粒を皆が見つめる中、有田の弱々しい声が聞こえてくる。
「う…えだ…、し、し…ぬ…」
「…っ、すまん有田!」
…石に気を取られて力の調節を忘れていたらしい上田の腕に首をキメられまくっていた有田は、軽く絶命寸前だった。
211
:
[タイトル未定−9]
◆yPCidWtUuM
:2005/11/18(金) 04:24:05
「二郎ちゃん、腰大丈夫?」
「おー、何とか…お前足とかもう平気か?」
「んー、しばらく無理っぽい」
有田が相方の手で死にかけていた頃、東京ダイナマイトは少し離れた公園でぐったりしていた。
実はレインボークォーツが光り、高野の手からサードオニキスが失われた瞬間、彼らの前に赤いゲートが現れていたのだ。
そう、彼らを助けたのは黒の重鎮、土田だった。ゲートの中から土田が手を伸ばし、力一杯引っぱり込んで
この公園までつれてきたのだ。土田は一言「…疲れさせんなよ」と言い残し緑のゲートで去っていった。
「…今回は俺らの負けか」
「だねえ…悔しいけどさ」
松田と高野は顔を見合わせる。そしてつい吹き出した2人の笑い声が夜中の公園に響く。
どこぞのマンションの窓から「うるせえぞ!」と怒られ、また笑い、ひとしきり笑ってから公園を後にした。
…彼らの戦いもまた、終わらない。
212
:
◆yPCidWtUuM
:2005/11/18(金) 04:28:08
次長課長
井上聡
石:金(確実な助言と力)
能力:
その場にいる石を持っている人間の中で、もっとも自分にとって危険な存在を特定し、その能力を封じられる。
「築地のマグロ」になった井上が滑ってたどり着く先が最も危険な存在と特定され、その能力が井上の中に冷凍される。
例)1つの部屋の中に井上以外にAB2人の石の能力者がいたとする。
A:井上とその仲間への害意がある、石の力は弱い
B:井上とその仲間への害意がない、石の力が強い
この場合は、あくまで「自分にとって」危ない存在を特定するので、Bの力が冷凍される。
また、肉体的な害、精神的な害どちらにも反応する。
条件:
危険な人物に特攻していく形になってしまうというリスクがある。しかも井上自身は完全に冷凍マグロと化すので、
いっさいの攻撃/守備ができなくなり、その場にマグロの姿のまま放り出される。一回の戦闘につき一回の、捨て身の技。
能力を解除した後、冷凍の後遺症でしばらくの間寒くてたまらなくなる。また、その場の戦闘がすべて終わると
自然に井上は元に戻るが、井上の中に冷凍された能力は、次に井上が他の人間に能力を使うまで使えなくなる。
213
:
◆yPCidWtUuM
:2005/11/18(金) 04:32:00
河本準一
石:サードオニキス/別名:赤縞瑪瑙(人間愛、夫婦愛。個性を引きだす。内臓への活力。)
能力(1):例の顔マネと「お前に食わせるタンメンはねえ!」の台詞とともに中華料理屋の扉が出現、攻撃をはね返す。
能力(2):「そうは酢ブタの天津丼!」の台詞とともに指さした敵の行動を10秒止め、頭上に酢ブタと天津丼をおみまいする。
条件:
扉のサイズ以上の範囲はカバーできない。出現するのは横にひいて開ける2枚扉でのれん付き。街の中華料理屋や
ラーメン屋に多い磨りガラス製の扉。強度は銃弾を通さない強化ガラス程度。反射できるのは物理攻撃のみ。
また、台詞をかんだり顔マネが中途半端だったりすると扉の強度が下がる。1日に3〜4回くらいが限度。
酢ブタと天津丼は火傷するほど熱い。また、止められる行動は人間の運動行為のみで1人の敵につき1回が限度。
つまり「走り出そうとしている人」「人を殴ろうとしている人」「何か投げようとしている人」などを止めることはできるが、
「その場で動かずに何かおこなおうとする人」「頭の中で何か考えている人」「人が投げた物体」を止めたりはできない。
全能力を使いはたすと、河本は朝から晩まで休みなく厨房で働いたくらいの疲労感におそわれ、まともに動けなくなる。
*ちなみにサードオニキスは「個性を引き出す」とのことですので、持つ人によって違う力を持つという設定をつけてみました。
214
:
◆yPCidWtUuM
:2005/11/18(金) 04:32:52
波田が拾った石
石:レインボークォーツ(七つの光が願いを叶える)
能力:
持ち主の、他人に関する害意のない望みを叶える。ただしもとの状態以上に他人の能力を引き上げたり、
存在しないものを作り出して他人に与えるような力はなく、使用者自身に関する望みも叶わない。
つまり、「仲間の怪我を治したい」「遠くにいる仲間に自分の持っている傘を武器として与えたい」は叶うが、
「自分の怪我を治したい」「仲間の力を限界より強くしたい」「仲間にバズーカ砲を作り出して与えたい」は叶わない。
条件/代償:
他人に害を与えることを望む場合には、同等の害が使用者自身にももたらされるため注意を要する。
「敵に動けなくなるほどの怪我を負わせたい」という願いは叶うが、同時に自分も動けなくなるほどの怪我を負う。
叶えられる望みの大きさは「使う人間の実力」「石とどの程度波長が合うか」に左右される。
また、石を使用した際、その石に関することを中心に、使用者とその場にいたものの記憶が曖昧になる。
望みの害意のあるなしに関わらず、石が叶えた望みが大きければ大きいほど、記憶の損傷は激しい。
215
:
◆yPCidWtUuM
:2005/11/18(金) 04:39:46
おしまいです。河本の能力(1)を設定しておいて使えなかったのが心残りです。
あとレインボークォーツの行方をもうちょっとくらましとけば良かったと思いました。
この先も河本が持ちっぱなしってことはないと思います。
土田ももっと出したかったのですが、東京ダイナマイトとの接点が見つからず中途半端に…。
ちなみにこの話、ごく最近のことです。
次課長とくりぃむの共演番組は『くりぃむナントカ』あたりのつもりで書いてました。
やたら長い話になってしまいましたが、ご意見いただけると嬉しいです。
直すべきところや誤字脱字、設定の問題点などあったら教えてください。
216
:
◆yPCidWtUuM
:2005/11/18(金) 04:43:03
あと、江戸の者なので関西弁/岡山弁はおかしいところ多々あると思います。
その点も教えていただけたら嬉しいです。
217
:
名無しさん
:2005/11/18(金) 13:22:55
大作乙、超乙!
能力も単体だと何かとみんな面白いのに、戦闘の緊迫感が凄かったです。
そして戦闘とおちゃらけの使い分けがすげー!
自分はそんな風に書けないからめっちゃくちゃ尊敬します。
自分はこれをまんま投下でも大丈夫だと思いますよ。
218
:
名無しさん
:2005/11/19(土) 10:22:47
スピワとピースって何か共演したことありますかね?
ちょっとその二組で思いついたんで・・・
219
:
名無しさん
:2005/11/19(土) 14:16:26
心の底から乙!大作堪能しました。リアルに映像が浮かんできました。
しかしくりぃむしちゅーはどの方の作品でも緊張感ないなw
ところで、>200の5行目は
>そのフレーズに高野はハッとした叫び、
は、「ハッとして叫び」ですかね?細かくてすみません。
自分もこのまま投下で大丈夫かと思います。
220
:
◆yPCidWtUuM
:2005/11/19(土) 16:26:56
>>217
感想ありがとうございます。河本の能力はおちゃらけすぎかと不安だったので
そう言っていただいてホッとしました。ちょっと手直しして投下してきます。
>>219
感想&指摘ありがとうございます。ご指摘の部分、その通りです。
やはり夜中に書くと凡ミス出ますね。自分でも何カ所かおかしいところを
見つけたので、ちょこちょこミスを直したり細かい書き足ししたりして
投下することにします。多分今晩か明日あたり。
徹頭徹尾緊張感のあるくりぃむをそのうち書いてみたいw
おちゃらけゼロだけどそれらしいあの2人ってかなり難しそうですなw
>>218
たぶんしてないと思うけど、自分で調べてみたほうがいいかも。
221
:
名無しさん
:2005/11/20(日) 11:52:41
>>220
有難う御座います。調べてみます。
ところで名前欄の英語はどうやってだすんですかね…?
宜しければ教えてください。
222
:
◆bZF5eVqJ9w
:2005/11/20(日) 12:31:07
>>221
名前欄に半角#と
その後ろに好きな文字を八文字入れるだけですよ。
ちなみにトリップと呼ばれています。
223
:
◆/KySNfOGYA
:2005/11/20(日) 19:16:33
>>222
成程。トリップと言うんですね。ご親切に教えていただいて有難う御座います。
224
:
ジーク
◆Zw4Un748XA
:2005/12/14(水) 23:34:20
ちょっとばかし入院してました。
久しぶりに投下する前に、こちらに落とします。
225
:
ジーク
◆Zw4Un748XA
:2005/12/14(水) 23:46:29
中川の電話から約20分程前の事
「…で、アイツ理不尽な理由でキレるんすよ〜!」
「大変そうやな…」
雑談しながら歩くうちに、人通りの少ない路地に入る二人。
「人通りが少ないとこに来てもうたけど、飲み屋とかあるんか?」
幾分心配になってきた中川が後輩に尋ねる。
「……多分、道間違えたかも知れないっすね。」
「おいおい…頼むからしっかりしてくれや〜?」
自信なさげに答える藤原に、情けない声を出す中川。
引き返そうと後ろに振り返ると、今まで自分達以外は誰も居なかった筈なのに、いつの間にか二人の男が背後に立っていた。
「中川…奇遇やんなぁ。」
黒のシャツに黒のレザーパンツを履いた細身の男が、中川に話し掛ける。
「お前ら……いつの間に……」
全く気配を感じられなかった中川は、二人の姿を目にし驚愕の声を上げる。
「あれ?……浜本さんに白川さんやないですか!お久しぶりです!!」
藤原の前には、かつて大阪に居たとき世話になった、先輩の10$の浜本と白川がそこに居た。
「久しぶりやんなぁ〜藤原。元気しとったか?」
人の良さそうな笑顔で藤原達の方に歩き出す浜本。
「………来んといてや。」
今まで見せた事の無い険しい表情で、浜本に言い放つ中川。
「中川さん?」
明らかに先程とは違う中川の雰囲気に、子を困惑する藤原。
「……穏やかやないなぁ…中川。」
中川の態度にニヤリと笑う浜本。
その目にはどこか狂気の光が宿っている。
『な…何なん?何がどうなってんねんな?!』
今の状況に思考がついて行けず、混乱し始める藤原。
その時、混乱した藤原の思考を醒ます様に、藤原の持つ石『ユナカイト』が熱を帯びながら輝き始める。
「熱っ!!」
主の危機を知らせる石はますます強く光り輝く。
「藤原、何なんその光は?」
服越しでも分かるほど石は輝き、その光のあまりの強さに中川は驚きながら藤原に問い掛ける。
226
:
ジーク
◆Zw4Un748XA
:2005/12/14(水) 23:47:47
「……ましょう。」
「は?」
「逃げましょう!中川さん!!」
中川の手を引きつつ、浜本と白川に背を向け全速力で走り出す藤原。
「逃げれへんぞ藤原。俺らからはな………白川!」
「………」
虚ろな目で白川は手にはめたリングをかざして念じる。
すると、何かはっきりとは見えない力場が辺りを包み始め、藤原と中川の前にも見えない何かが立ちはだかる。
「なっ!!」
「しまった!閉じ込められたか!!」
先へ進もうとする藤原が、例えるなら見えない壁に邪魔されている。
そんな感じだった。
「逃げれへんぞ〜2人共〜」
クスクス愉しげに笑いながら2人の背後に迫る浜本。
「……闘り合う気ぃですか?」
恐る恐る尋ねる藤原。
その手にはユナカイトが握り締められ、臨戦態勢だ。
「別に、石を置いてこの場から居らんくなってくれるんなら、こっちも手ぇは出さへんで?」
笑みを貼り付けたまま返答する浜本。
227
:
ジーク
◆Zw4Un748XA
:2005/12/14(水) 23:53:39
「なら答えは……」藤原の意志に同調するかの様に光を放ち出し
「ドンマイ!俺!!」
力強く藤原が叫ぶとよりいっそう強く光を放ち、石の力が発動する。
「気をつけろ!藤原っっ!!」
中川もキーホルダーに付けた自分のエリスライトを握り締め戦闘態勢を取る。
「……やっぱりそう来なきゃな…?」
狂気の光を目に宿し浜本は胸元で黒く輝くブラックスターを握り締めた。
228
:
ジーク
◆Zw4Un748XA
:2005/12/16(金) 21:42:42
ここまでと書くの忘れてました。
とりあえずここまでを投下しようかと思います。
229
:
名無しさん
:2005/12/17(土) 11:56:55
ブラックスターはさまぁ〜ずの大竹さんとかぶってますよ。
230
:
ブレス
◆bZF5eVqJ9w
:2005/12/17(土) 12:05:25
はねる編七話ができましたが、久しぶりなので先にこちらに投下させてください。
<<Jamping?>>--07/願い人はかく語りき
「何してんの」
いきなり背中に声をかけられ、その女はびくりとした。
彼女はあわてて、声をかけてきた相手に振り返る。
「い、いやいや!別に!」
焦った声が聞こえてくる。
本当に?と念を入れて聞き返すと、「ほんとに!」と返ってきた。
あまりに一生懸命に言い訳しているが、まあいいかと聞いた主―――虻川は思った。
彼女に限って、そんな疑わしい動きをするわけがない。そう分かっていたからだ。
分かっていたのではなく、信じていただけなのかもしれないが。
まだ首をかしげている相方を見て、もう一人の女・伊藤はどきどきしていた。
―――今知られたら、まずい事になる・・・。
伊藤は苦そうな顔をして、それから虻川から顔を逸らした。
そして、手元の自分の携帯電話に集中した。画面に映るのはメール。
「・・・」
伊藤は唇の端をおもむろに噛んでいた。少しだけ、じんわりと赤く染まっていた。
231
:
ブレス
◆bZF5eVqJ9w
:2005/12/17(土) 12:05:45
「あの、さ」
その日の収録終わりに、急に伊藤は帰ろうとしていた西野に声をかけた。
「ん?どしたの伊藤ちゃん」
西野がやんわりした声とともに振り返る。人気のない廊下は、冷たい空気を吐いていた。
「この間の、話」
言い辛そうに伊藤がその言葉を口にした。西野が微かに反応する。
この間の話とは、2人で連絡を取り合った時の話だった。
『はなわは黒だった』と言う一連の話と、山本の異変。
特に山本に関して伊藤はかなり心配しているようだったが、インパルスの言葉からも何も分からない。
それで西野が調べたのだが、『白』とコンタクトが殆ど取れないキングコングの情報は少なかった。
そして今もまだ、十分に情報が無い。
インパルス経由で情報を集めるのが早いのだろうが、西野は何となくそれを躊躇っていた。
「・・・あぁ、何やったっけ?」
西野はその一連の流れを知らない振りをして、話をはぐらかした。
「そういう風にしないで、真剣なの」
「・・・ごめん」
伊藤はいつも以上の剣幕で、西野を責めた。それから、目を逸らす様にして下を向いた。
―――やるしかない。やらないといけない。私が。そう、誰でもなく私が。
西野に聞こえないように、伊藤が短く呟いた。
フラッシュバックするのはさっきまで見ていたメール。
見知った相手からの、メール。
伊藤は決意を固めた。ゆっくりと足元の石に力を注いでいく。
戻れないとしても、戻して見せよう。またみんなで笑おう。だから・・・。
「西野君・・・」
伊藤が小さく西野を呼んだ次の瞬間だった。
西野は、何やねんと返事する間も無く伊藤の石の光を受けていた。
その時の西野の表情を、伊藤ははっきりと見た。
何故仲間であるはずの自分に能力を行使したかが理解できないと言った顔。
ごめん、と謝った言葉は西野には届かなかった。
232
:
ブレス
◆bZF5eVqJ9w
:2005/12/17(土) 12:06:03
それからの記憶は、はっきり言って西野の中では曖昧だった。
何だか沢山の事を喋っていた様な感覚はあるが、内容を覚えていない。
ただ何となく、今知っている『白』の情報を引き出されていたような気がした。
伊藤も知るとおり、西野が知りうる事はごくわずかに過ぎなかったのに。
「・・・んん・・・?」
西野がきちんとした記憶を取り戻したのは、伊藤と話していた廊下だった。
気がついた時には、その場に棒になったように立ち尽くしていた。冷たい風が床をなめて行く。
それから、今までのことを思い出そうと西野は努力しながら頭を振った。
しかしどうしても、桃色の光を見たところまでしか思い出せない。
それから先が、何だか靄がかかったように曖昧になっている。
伊藤の石には、そんな力があったのだろうか?と西野はその場で首を捻った。
「西野!どこほっつき回ってんねん!」
そんな中廊下の向こう側から、愛すべき相方の、梶原の怒鳴り声が聞こえてきた。
その後ろに、ロバートやドランクドラゴンもいるようだ。
「ほっつき回るって言うても・・・」
西野は困惑した表情を浮かべて、走ってきた仲間達に向けた。
ずっとここにいた、と言う言葉は勢いで飲み込んでしまった。
「アホ!お前がそう悠長なことしてるから、また・・・!」
「・・・また?」
今度は梶原が苦しそうな表情を見せる番だった。
かなり険しい顔で、アンクレットを光らせ続けている。
「またインパルスが『黒』の下っ端に絡まれとんねん、今や今」
その言葉を聞いた西野の顔つきは、険しくなっていく。
233
:
ブレス
◆bZF5eVqJ9w
:2005/12/17(土) 12:06:25
ちょうど板倉と山本が対峙した公園で、インパルスの2人が『黒』の下っ端と争っていた。
帰り際の板倉を狙い仕掛けてきた連中と、追いかけっこでここまできたのだ。
それを見つけた堤下が板倉を助けにやってきていた。しかし形勢は一向に悪い。
「ちっ・・・」
板倉が舌打ちをする。見れば相手は大勢、こちらは2人。
暗くなり始めている公園の中に、街灯の蛍光灯はちかちかと点滅していた。
そして、点滅の光がまだいるであろうか、その他大勢の顔を照らしている。
「どいつもこいつも・・・、覇気がないんじゃないの?」
『黒』の人間に追われるのが面倒臭くなり始めた板倉が、苛立って呟いた。
そのすぐ隣で困り果てたような表情をしている堤下が、板倉の言葉に
「いや、そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!相手が多すぎるよ・・・」
と弱気に突っ込んでいた。
そんな覇気の無い顔が、2人の周りを包囲している。小さな息と迫る足音が砂を掻いた。ざっ、と靴底が擦る音がする。
街灯はいまだちかちかと弱々しい点滅を繰り返していたが、不意にそれが消えた。
一瞬その空間すべてが、黒く塗りつぶされたように感じた、その刹那。
―――ばちっ。何かが爆ぜた。
「俺ね、あんまり手荒なことしたくないんだ」
いつもと変わらない、冷静な声色が聞こえる。
堤下は、それが隣の板倉だと分かっていたが、何やら嫌な予感がしてそちらを向けなかった。
辺りが謎の音と共に瞬間的に明るくなる。その光の元は多分板倉の頭上だろう、と堤下は気づいていた。
電流が街灯から奪われて、それは生き物のように板倉の周りに集合していたのだった。
「でも、来るんならこっちもやるよ」
相変わらず、板倉から放たれる言葉には変化は無い。
周りの群れが、凝視するかのように板倉と彼のアンクレットを見た。
風が冷たく公園を貫いた。
「簡単に石はやらねーぞ」
最後に板倉が、吐き捨てるように言ったのを堤下は聞き逃さなかった。
その言葉が合図だったかのように、ついに男達が爆発して迫ってきた。
拳を振りかざし、唸るように、鋭い眼差しで板倉を目掛けて猛烈に突撃してくる。
しかし、彼らの拳が板倉を捉えるよりも前に、板倉と男達の間に巨大な電撃の束が落ちた。
―――ずどん!
234
:
ブレス
◆bZF5eVqJ9w
:2005/12/17(土) 12:06:51
おおそろしない音が空気を震わせ、衝撃的な電光が目を眩ませる。
驚いて後ずさりして行く下っ端を、板倉が負けず劣らずの冷たい瞳で睨み付けた。
その時一緒に少し唇の端が歪んでいた。
「俺怒ったら怖いよ?」
「・・・そうそう、板倉さんあんまり怒らせないほうがいいって」
黙っていた堤下がちょこっとだけ、しかもなぜか小声で喋った。
しかし、それに対する返答は
「知るかよ」
「さっさと石をよこしてくれませんか?」
「電気を扱うなんて、かなり強いみたいだからな」
と言う、一切話を聞いていない言葉ばかりだった。
「・・・・・・」
板倉は、それを聞いて一瞬だけ黙ったが、それは本当に一瞬で。
「じゃー、こいつで焼け死んでも知らない」
さらりと言ってのけ、次の瞬間にはまたしても電撃が公園中を駆けていた。
そこら中に光の柱が地面に目掛けて突き刺さっている。
電光が空を走り、体を捻り、時に二股に分かれ、男達の降り注いでいた。
「い・・・、板倉さん!あんまりやると周りに迷惑が・・・」
「関係ねーよ、今は」
「電気なんか当ててほんとに死んだりなんかしたら・・・」
「そんなわけ無いだろ、俺だって手抜くよその位は」
「それより!こいつ等俺達を襲う気あるのかな?」
「だっていきなり俺を襲ってきたんだよ、その気はあるだろ」
「そうだけど・・・おかしくない?」
「何が!」
電撃操作に精神を集中している板倉が、自分に話しかけてきた堤下に苛立ちを覚えた。
しかし堤下は、そのまま言葉を紡いだ。
「だってこいつ等、よく見たら減ってるよ?」
「逃げてんだろ?『黒』に洗脳された石の力を使えない下っ端だから、反撃できなく・・・」
言いかけて、板倉はようやく気がついた。
いつの間にか自分の周りにいた下っ端集団が公園の外へ走っていく。
しかしどうもおかしい。逃げるのとは違う、何か急いでいるように見える。
「板さん!」
その時2人は聞き覚えのある声が公園の外からしたのを聞いた。
目を向けると、公園の入り口に向け走るキングコング・ドランクドラゴン、そして秋山と馬場がいた。
板倉に、何となく嫌な予感がしたのはこの時だ。なぜかは分からない。
ただ、次の瞬間には先ほどまでの『黒』の下っ端が、標的を西野に変えていた。
235
:
ブレス
◆bZF5eVqJ9w
:2005/12/17(土) 12:09:40
とりあえずここまでです。
今回はキンコンの2人が『白』と特に接点がないと言うのが前提です。
(あるとすればインパルス経由か関西方面の『白』)
それから、伊藤ちゃんの謎の行動については次回以降に繋げようと思います。
236
:
◆1En86u0G2k
:2005/12/19(月) 00:53:18
エレキ今立さん周辺のちょっとした話を思い付きました。
重要な展開ではないので全体の流れを邪魔することは多分ないと思いますが、
保守がてら投下しようかと思ってるので、
何か問題がありましたらご指摘くだされば幸いです。
237
:
◆1En86u0G2k
:2005/12/19(月) 00:55:11
トゥインクルスター ★
その日、エレキコミック・今立進は朝から上機嫌だった。
左足の靴紐が何回となくほどけても、目の前で電車が行ってしまっても、レジ待ちで強引に自分の前に割り込まれても、その買い物の結果財布の中に1円玉がやたら増えようとも、怪訝な顔の相方に顔に締まりがないと指摘されても、とにかく、彼のテンションは高いままだった。
なんたって翌日には恒例の「ゲーム大会」が控えている。
それは、今立を筆頭としたゲーム好きの芸人同士が集まって、舞台上でひたすら古今のゲームに興じるというオールナイトのイベントのことだ。
はたしてそんなものに入場料を取っても大丈夫かと最初は思ったけれど、やってみた限りでは観客もなかなか楽しんでくれたようで、以来時間と余裕とメンバーの予定が合った時には開催されるそのイベントの日が訪れるのを、彼はずいぶん前から待ち望んでいたのだった。
238
:
◆1En86u0G2k
:2005/12/19(月) 00:56:41
それぞれの仕事を済ませた後参加メンバーが集合し、軽い打ち合わせと最終確認、ついでに飲み会。
あまりの嬉しさにやや飲み過ぎてしまった今立はメンバーの一人、東京03・豊本明長と談笑しながら夜道を歩いていた。
「もう帰ったらすぐ寝ようと思ってさ!明日のモチベーションを高めとかないと、」
「ダチくんもう十分だと思うけどなあ」
「こんなもんじゃないよ俺は!」
酒のせいでさらに上がったテンションを抱え、駅へ続く道を曲がる。そこからだと少し近道になるのだ。細い路地で街灯の数も少ないようだが大の男二人、特に怖がる理由もないだろうと。
だが彼は大事なことを忘れていた。彼らの日常が今はすっかり様相を変えていて、なんの落ち度がなくとも不意に襲われる可能性を十分に秘めていることを。
「………え、」
気が付けば前後の道をいかにも怪しげな男達に塞がれていた。
239
:
◆1En86u0G2k
:2005/12/19(月) 00:59:00
前に3人、後ろに5人。
その中に見知った顔はなかったし、一様にぼんやりと曇った目をしていたからおそらくは、黒側の末端を構成する超若手の面々が上の思惑で動かされているのだろう。よくある話だ。
自分の石に目立った変化は感じられないので相手方が石を使った攻撃をしてくることはなさそうだが、恵まれた体格と腕力のありそうな男が多いのが気にかかる。
高まってゆく緊迫感とは対照的に、道に沿って続く植え込みでは張り巡らされた大小のイルミネーションがチカチカと陽気に点滅を続けていた。家主の趣味なのだろうか、白に青に水色に色を変えて輝く様は光が行く先を先導してくれているようで、こんな状況でなければなかなかロマンチックな雰囲気だったのかもしれない。
(さて、どうしたもんかなあ)
豊本は眼鏡を中指でくい、と押し上げて小さくため息を吐いた。
この陣形と場所では少々のすったもんだは免れそうにない。しかも自分の石は少数へのかく乱が精々で、こういう状況では基本的に無力だ。となると今立に頼ることになるのだが、彼が能力を使ったあとの代償を考えるにそれはちょっと言い出しにくい希望である。
(みんなでまとまって帰るべきだったかー…闘えそうな人もいたし…)
不注意を悔いたものの後の祭りだった。他に選択肢が増える気配はない。
仕方なく隣の様子を伺うと、人工的な光に頬を照らされた今立が酔いの回り切った目で前方を睨み付けたまま(だから残念なことに威圧感には欠けていた)淡々と言葉を並べはじめた。
「…あのねぇ豊本くん、俺ものすごく楽しみにしてんだ、明日の」
「うん、知ってる」
「なんだったら最近のアンラッキーを全部笑って流せるぐらい」
「ああ…さっき居酒屋でダチくんの頼んだのだけ3連続で来なかったけど全然笑ってたもんね」
「…メイン主催者がゲームにひとっつも触れないってどう思う?」
「超不憫」
「………」
その時豊本は確かに今立の目が据わるのを、見た。
240
:
◆1En86u0G2k
:2005/12/19(月) 01:00:42
石が震える。
やはり自身の石とそれぞれの身体能力で突破するべきか、そう考えはじめた豊本の思考が思わず途切れた。
(…え、ダチくん?)
この共振の元は間違いなく今立だ。しかもかなり、攻撃的な。
冷静に考えたなら明日の為に少しでも使用は控えるべきなのだが、酔っているせいか本人曰くの『最近のアンラッキー』が相当溜まっていたのか、こんな不条理な形で自分の楽しみが妨害されることに対し彼は相当腹を立ててしまったらしい。
気の毒だとは思いつつ、この怒りが下手に拡散するとやっかいなので今立に全てを任せることに決めた。
−でも確か、彼の能力には制約があったはず…
「…イオナズン打ちてえ…」
「いや危ないから」
「じゃあメテオ…やっぱメラゾ−マ…いや団体だからべギラゴンの方が…」
「殺す気だねえ。全部却下。てか無理でしょ?そういうの」
そう、彼は怒りを発散する攻撃の能力は使えないのだった。どうするの?という豊本の視線を感じ取ったのかどうか、今立は不意に「上手く避けてね」と言い放つと、傍らできらめく星の形をしたイルミネーションを引きちぎり、真上に投げた。
電力を断たれたそれは当然瞬時に輝きを失い、ただの透明なプラスチックに戻る。
しかし、その星が重力に引かれはじめる前に、今立のシャツのポケットから眩く白い光が溢れた。
「………!!」
途端に前後の集団がざわめき、距離を詰めようと駆け寄ってくる。
何か効果的な能力を発揮される前に数で押し切り、石を奪ってしまおうという考えだったのだろう。
しかし彼らの手が今立に伸びる寸前、ウレクサイトの白光はひときわ強く瞬いたかと思うと、シュン、と真上に移動した。
打ち上げられた先には落下してくる星型のプラスチック。
−光が吸い込まれる。造りものの星が再び、輝きを取り戻す。
キラキラと光の粒をまき散らしながらゆっくり落ちてくるその星にはなぜか懐かしいような既視感があった。
そう、確か、それを取ればどんなピンチも切り抜けられる…
「…無敵のスターだ、」
豊本が呟くのと星の光を身に纏った今立が前方の集団に向かって体当たりを仕掛けたのは、ほぼ同時。
241
:
◆1En86u0G2k
:2005/12/19(月) 01:02:11
「……っ、はあ…多分この辺やと思うねんけど…」
今立の石が光ってまもなく、その場に駆け付けた男がいた。アメリカザリガニ・平井善之だ。
同じくゲーム大会の参加メンバーであり飲み会のあとコンビニに立ち寄っていた彼は、黒い欠片と憶えのある石の気配がどこか近くで弾けるのを感じ、何やらよからぬことが起きたのではないかとその気配を追いかけてきたのだ。
戦うことも考えて咄嗟に買った小さなミネラルウォーターのボトルを片手に弾んだ息を落ち着かせ、路地に踏み込む。
しかし平井は、「うわ、」と思わず声を漏らして足を止めてしまった。
視線の先で若い男が、勢いよく宙へ吹っ飛んでいく瞬間だったから。
「 へ ?」
事情を把握できずその場に立ち尽くす間に、その男は派手な音と共に道路に落下する。
気付けば似たような雰囲気の男達がすでに幾人も、その場に折り重なって倒れていた。
ただ一人立っているのはこちらに背を向け肩を上下させる人物−なぜか漫画の特殊効果のように身体の周囲にキラキラと星を散らせていた−で、その背格好からしてそれはつい数十分前まで一緒だった今立に違いなかった。
「−今立、くん?」
「…やっちゃったぁ………」
呼び掛けに振り返った今立はとろんとした目でどこか悲しげに呟くと、ゆっくりその場に崩れ落ちる。
−静寂。
「…何やったんやろ…」
「…………あ、終わった?」
後には展開に追い付けないままの平井と傍らの電柱の陰でなんとか嵐をやり過ごした豊本だけが残された。
242
:
◆1En86u0G2k
:2005/12/19(月) 01:03:39
「…うん、だからスターでもうちぎっては投げちぎっては投げ」
「うわぁ…無茶したなあ。止めた方よかったんと違う?やって明日、」
「だってダチくんキレてたし無敵だしさあ、吹っ飛ばされるのがオチじゃん」
「そらそうやけど。えーと…8人?これ全部やっつけたん?」
「うん。見事1up」
「1upて…」
全員仲良くノックアウトされていた男達を車に轢かれないように道路の端っこに並べる作業を終え、平井が「こいつ重いわー」とうんざりした顔で一番体格のいい男を小突いた。ついでにポケットに入っていた黒い欠片を浄化して消し、一応俺来た意味あったかなあ、とため息を吐いて苦笑する。
「平井くんこれからさらに役立つよ。俺一人じゃダチくん運べないし、」
最近この人丸っこいからね。豊本はそう言って座らせておいた今立を覗き込む。
「…どう?」
「大丈夫じゃないかな、エネルギー使い果たしただけだよきっと」
そらよかった、と平井は言いかけたが、この出来事のせいで明日彼がどれだけ不幸な目に合うのかを想像して、言葉にするのをやめた。
そう、明日はなんたって−日付が変わってすでに今日だが−“今立進杯争奪”ゲーム大会、なのだ。
豊本と平井に両肩を支えられ立ち上がった今立はむにゃむにゃと何か言っているようだった。そのうわ言はどうもレトロゲ−ムのタイトルのような気がしたが、あえて聞かなかったことにして2人は駅へと歩きはじめる。
「不憫な子やなあ」
「ほんとにねえ」
…今立がそのイベントでゲームを楽しめたかどうかは、彼の心情を考慮して割愛する。
243
:
◆1En86u0G2k
:2005/12/19(月) 01:09:20
以上になります。
「ゲーム大会」は他にバカリズム升野さんや火災報知器小林さん、18KIN大滝さんあたりをメインメンバーに、度々行われているイベントです(内容は本文通り)
以前、自分の名が冠に付いていたのに、ほぼ他の人のゲームを見ているだけで終わった回があったという話を耳にしたので、その辺を参考にしました。
「相手を攻撃する能力」は使えないのですが、スター効果で触れた人が勝手にやられていくのならいいかなあ、と思い。
それでは失礼致しました!
244
:
名無しさん
:2005/12/20(火) 01:14:28
マリオキタ━━━━━━(゜∀゜)━━━━━━ !!
以前から、エレキの能力かなり面白いのに、作品投下が無くて残念だったところなので、
最高に楽しめました!乙です!!
245
:
名無しさん
:2005/12/20(火) 15:59:47
今立さんがあまりに不憫すぎで申し訳ないけどテラワロタ。
乙です!
246
:
◆1En86u0G2k
:2005/12/21(水) 01:22:09
>>244-245
ありがとうございます!
投下してこようと思ったら本スレにめっちゃかっこいい話が…!
ちょっと尻込みしつつ行ってきまーす
247
:
ジーク
◆Zw4Un748XA
:2005/12/21(水) 07:21:37
>>229
本当ですか?!
ちょっと手直ししてから出直します…
248
:
◆8zwe.JH0k.
:2006/01/09(月) 18:08:38
長井秀和さんの話を書きました。
本スレに投下出来るか分からないので、見てやってください。
249
:
◆8zwe.JH0k.
:2006/01/09(月) 18:12:31
「いたいた。おい長井、」
今となっては聞き慣れた、鼻にかかったようなその声にピン芸人・長井秀和は口に入れようとした牛丼を寸前で止め、面倒くさそうに振り返った。
「今回も『ビジネス』持ってきたぞ」
「謹んでお断りさせて戴きます」
男が言い終わらないうちに、長井は態とらしいとも取れる態度で深々と頭を下げた。
「オイ待てよ。報酬払ってやってんだろうがよ、いっつも」
牛丼の器を持ち上げ楽屋から出ようとする長井を男は慌てて袖を掴んで制止した。
ドアの前へ回り込んで肩に手を置く。
「やりません。面倒くさいんで」
男が『仕事』を運んでくるのはこれで三回目だ。数日前、うっかり目の前で能力を使ってしまった所為だ。
長井の能力は男にとって利用しない手はないものだった。
いい加減にしてください、と長井は男の手を払い、すたすたと楽屋を出て行く。
男は一瞬困ったような顔つきになるが、廊下へ一歩飛び出し長井の背中に向かって叫んだ。
「じゃあ二倍ならどうだ!?」
長井の足が、接着剤を踏んだかのようにぴたりと止まった。
そして次の瞬間には既に男の目の前まで戻って来ていた。
「…好きだねえ、お金」
「ええ。そりゃあもう」
皮肉混じりの男の言葉を知ってか知らずか、長井は俯いたままあっさりと受け止めた。
金の入った封筒を受け取り、慣れた手つきで中身を確認する。
「…で、今回は?」
「最近黒い破片をあちこちにばらまいてる野郎がいんだよ。うっとーしいからそいつ懲らしめて欲しいんだけど」
「それこそお二人がやれば…、太田さん達だって石持ってるでしょう」
「何で俺が!トロい白の代わりに戦うなんてまっぴら御免だ。お前が石を全部スってくれれば早い話だろうがよ。あとはうちの相方が何とかするから」
理不尽な言葉を投げかけてくる男…爆笑問題の太田光に、長井は今回の仕事がどれだけ面倒くさいかを悟った。
「やっぱりやりません。お金は返しますから…」
「不可。返金は認められねえよ!」
してやったりな表情を浮かべそう言うと太田は廊下の角を曲がりあっという間に走り去ってしまった。
直ぐにでも追いかけようとしたが、長井は片手に持った冷め気味の牛丼にちらりと目をやり、しまった、と呟いた。
250
:
◆8zwe.JH0k.
:2006/01/09(月) 18:14:21
長井はとある建物の駐車場の屋上に立っていた。
太田の話によれば、この真下の場所によく現れるらしいのだが。
(ったく、俺もお人好しだな)
いっそ金だけ持って逃げてしまおうか、とも考えたが、さすがにそんな真似が出来る訳もなく。
長井は鼻水をずずっ、とすすり赤くなった鼻の頭を擦った。寒風が厳しく吹き付ける中、じっとターゲットが現れるのを待つのは、張り込み中の刑事を思わせる。
「よく言うよお前」
斜め下の方から少し高めの声がした。
小さな体をいつも以上に小さく丸めて、寒さでがたがたと体を震わせているのは、仕事を承諾するともれなく付いてくる、太田の相方でもある田中だった。
思っていることをうっかり声に出してしまったのだろうか。
長井はさっと口元を手で押さえ、ふふっと笑った。
「…おっ、ビンゴ!来ましたよ」
ふと、下を見ると。一人の若手芸人が複数に囲まれているのが見えた。
街中で見かけるような不良の喧嘩とはまるで違う、その場に居る者にしか分からないびしびしとした嫌な空気が伝わってきた。
「俺があいつらから黒い破片を盗って来るんで、田中さんはそれを破壊してくださいね」
「おう、がんばれよ」
「何言ってるんですか。一緒に降りるんですよ」
「は!?馬鹿お前、そんなもんギューンて行ってピューンて戻ってくりゃあ良いじゃねえかよ!」
ジェスチャー付きで叫ぶ田中。その腕を無理矢理掴み、丁度フェンスの途切れている所から片足を宙に出す。
「悪いですね、戻るには階段使うしかないんで」
田中は悲鳴を上げる間もなく、暗闇の中に投げ出された。勿論その手はしっかり長井が握ってくれているのだが。
命綱のないバンジージャンプに、思わず気絶しそうになるも、何とか意識を繋ぐ。対照的に長井は、全身に風を受け何とも気持ちよさそうな顔をしていた。
「今日は良い風吹いてますねえ!」
うるせえ馬鹿!と言いたかったが、風圧で口を開くことも出来なかった。
その間にも、もの凄い早さで地面が近づいてくる。
ぶつかる!
そう思った瞬間、長井の黒いコートが大きく広がった。それは瞬時にコウモリの様に、黒く尖った骨格に薄い皮が張り付いた大きな翼へと変化し、二人の体を浮き上げた。
浮き上げた、と言ってもそれほど高度は高くない。
ぶつかる直前に羽根を地面と水平に広げ、ブレーキを掛けることなく、直角に地面すれすれを猛スピードで飛んでいった。
251
:
◆8zwe.JH0k.
:2006/01/09(月) 18:16:25
男たちの中で、大きな黒い影が目にも留まらぬ早さで自分たちの目の前を通りすぎたのを確認出来た者は少なかった。
「あ、長井、通り過ぎた!止まれって!」
「やべっ、ブレーキ効かねえ…」
その直後、バキバキと木の枝が折れる音、バケツが吹っ飛ばされる派手な音が響いた。
二人が突っ込んだのは丁度木々が植えられ土の軟らかい場所であり、枯れ葉が衝撃で大量に舞い上がった。
つかの間の低空飛行体験は、少々の打撲と擦り傷と共に終わったのだった。
茂みの中から長井が、頭を押さえながら現れた。
上着やズボンの所々に枝が刺さり、至る所に鍵状のヌスビトハギの実…俗に言う「くっつき虫」がびっしりと張り付いている。
長井は慌ててコートを脱いでバサバサと力一杯はたくが、ウールにしっかりと絡まったさやはなかなか外れようとしない。
「くそっ、俺の一張羅が…」
自慢の服がすっかり雑草まみれになってしまい、長井はがっくりと項垂れた。
「着地はまた失敗か…いってえ…」
茂った草の中から田中がはい出してくる。
「つい調子に乗って…。でもほら、その代わりに」
長井が手をグーにした状態で、田中の目の前に突き出す。
ゆっくりと手を開くと、バラバラと黒ずんだ小さな石が、建物から漏れるライトの明かりを反射し、田中の手に落ちていった。
男たちは「まさか」と呟くと、慌ててポケットの中身を探る。
「あ、石が無い!?」
「俺もだ!」
全員の視線が長井に集まる。
長井は、うっひゃっひゃっ、と小馬鹿にしたように笑いながら、腕を組むと人差し指で頭をとんとんと突いた。
「何時の間にスッたんだ」
と、田中が手の中の石と長井を交互に見ながら尋ねた。
「さっき、こいつらの前を通り過ぎたときに盗ったんです」
翼による低空飛行とスリの能力を兼ね備えた長井の石は、黒琥珀。
黒玉とも呼ばれ、その場にあるどの石よりも深く、濃い黒色をしていた。
「にしても、きったねー石だな。いらね」
手の中に持って最後の濁った石は、空になった空き缶のように後ろに投げられた。慌てて田中がそれを追いかけてキャッチする。
252
:
◆8zwe.JH0k.
:2006/01/09(月) 18:17:47
パキン、と乾いた音が響くと、田中の手の石から炭が剥がれ落ちるように、黒い欠片が浮き上がった。
それは空気中にさらさらと流れ、ついには消えて無くなった。
それと同時に男たちは目が覚めたようにハッと顔を上げ、元の目の輝きをとり戻したのだ。
黒い欠片の呪縛から解かれ、石に関する記憶を失った男たちは自分が何をしていたのかも覚えていない。
丁度目に入った田中と長井にとりあえずお辞儀をすると、首を傾げながら街のイルミネーションの中へと消えていった。
「おーい、やったじゃねえの!儲け儲け!」
石を一気に大量に手に入れ、テンションの上がった田中は石を手の中でじゃらじゃら転がしながら長井に向き直った。
「…まだですよー」
くっつき虫を丁寧に一つ一つ外しながら、長井が言った。
田中を抱えて飛んだ為に、全員の石を盗む事が出来なかった。
残ったのは、二人。目を細めてその姿を凝視する。
「ん〜…誰、だ…?」
逆光と暗闇で顔が見えないが、明らかに動揺しているのが分かる。片方が隣の男(相方だろうか)にひそひそと耳打ちする。
「なあ、もう逃げようって、長井さんに勝てるわけないだろ」
(ん…?)
微かに聞こえたその声に長井はひどく聞き覚えがあった。
もしかして…。顔を確かめようと一歩踏み出す。
すると、二人の男はぎくっ、と肩をすくめ猛ダッシュで逃走し始めた。
「ちょ、待てこらぁー!」
田中が怒鳴るが、それで止まる人間が居るはずもない。むしろ逆にスピードを上げてしまう位だ。
長井のコートには未だくっつき虫が付いており、羽根を広げられる状態ではない。
「おいちょっと、逃げちゃうよ、逃げちゃう!」
「うーん、任務は失敗と言うことで…」
「そうは行くかっ!」
田中は長井からコートをもぎ取ると、ぷちぷちとくっつき虫を外し始めた。
乱暴に外すと上等な生地がほつれる、と長井が言ってきたが、そんなことは田中にとってどうでも良い事だった。むかついたのでわざと糸が飛び出すようにむしってやった。
あっというまにくっつき虫を全て取り除き、長井にコートを着せる。
「よっしゃ、行け長井―っ!」
「俺は的士じゃないんですよ…」
ブツブツと愚痴りながらも、長井は田中の両脇に腕を差し込み、背中から持ち上げる体勢になった。
253
:
◆8zwe.JH0k.
:2006/01/09(月) 18:19:25
真剣な顔つきになり、標準を合わせる為に意識を高める。無駄な動きは御免だ。真っ直ぐ、奴らの背中へ。
次の瞬間、二人の体がぶわっと浮いたと同時に、長井は羽根を大きく羽ばたかせ前進した。
地面との距離は、それほど離れていない約二メートル。
冷たい風を顔に受け、逃げる二人組めがけて一直線に向かっていく。
「今だ!」
「え?…ぎゃっ!」
長井は二人組にぶつかる直前に、頭の上を跨ぐようにぐん、と急上昇した。
「低空ミサイル!」
同時に田中を支えていた手をぱっと離す。
二人組は真上から降ってきた田中を避ける余裕もなく。
二人…いや、三人はもつれるように地面に叩きつけられた。
「…1…2…」
地面に降り立った長井が腕時計を見ながらカウントする。
「…3」
三まで数え終わると、ぱりんと黒い欠片がはじけ飛んだ音が小さく響き、田中の下敷きになったまま気絶した二人の手から、浄化された石が転がり落ちた。
石は長井の革靴に当たり、それ以上転がるのを止めた。
「あだだだっ…」
田中が頭を振りながら起きあがる。
「痛えよ…」
もう怒鳴り散らす元気も無いのだろうか。ぽつりと呟くと、ぶつけた頭をゆっくりと撫でた。
それを見て少し反省した長井はスミマセン、と浅く頭を下げたのだった。
「早くどいてあげた方が良いんじゃないすか?」
「え?ああ、そうそう。誰なんだよこいつら…」
哀れ、下敷きになって気絶した二人の顔を覗き込む。
田中は声を上げた。それは、良く見知った顔だった。
「…で、説明して貰おうか?猿橋、樋口」
額に絆創膏を貼り、花壇の縁に座っているのは田中や長井と同じ事務所「タイタン」に属するコンビ、5番6番の猿橋と樋口だった。
自分たちの利益の為だけに悪いことをするような人間では決してないことは、二人を可愛がっていた田中にも分かっていた。
「俺たち、石拾ったのはいいものの…直ぐに黒の奴らに捕まっちゃいまして…」
「操られたくなかったら、黒い欠片どんどん他の奴らに渡せって…」
254
:
◆8zwe.JH0k.
:2006/01/09(月) 18:20:45
「つーか、大体猿があそこでこけなかったら逃げ切れたんだぞ!」
「なんだとー!」
勝手に喧嘩を始める二人を諭し、やっと理由の分かった田中はふう、と息を吐いた。
「もう大丈夫だって。破片も破壊したし、今度何かあったら俺んとこ逃げてこい」
怒られると思っていたのか、今まで顔を強ばらせていた猿橋も、樋口も、その頼もしい言葉にほっと胸をなで下ろした。
「今度こそ、仕事お終いっと」
長井はコキコキと首を鳴らし、煙草を取り出そうとした。
その時。
〜♪
携帯の着信音が乾いた夜空にけたたましく鳴り響いた。
長井はうざったそうに携帯を開き、耳に当てる。
「はい、もしも…し…、…っ!」
目が開かれ、分かりやすいくらい顔が引きつって行くのが分かった。
長井のそのただごとでは無い様子に、田中たちの間に緊張が走る。
「どうした?」
「……女房です…」
「は?」
錆び付いたロボットのように固まったまま首だけ向け、長井が言った。
「連絡を入れるのをすっかり忘れてた…!」
「…ご愁傷様」
離れていても長井の妻の怒った声が聞こえる。
慌てながら必死に「ごめん」「違うって」「そうじゃない」と弁解する長井に相方の姿を重ねながら、爆笑したい気持ちを抑え、猿橋と樋口と共に祈るように手を合わせるのだった。
5番6番の二人からは石を取らず、浄化された石のみを小さな袋の中に入れる。
この石たちを誰に渡すかは実はまだ考えていない。
同じ事務所なら、そうだ。橋下弁護士にでもあげちまうか?
などと下らない冗談を考えながら、新しい主を求める色とりどりの石を見詰めた。
時刻は、既に午後10時。
長井が妻に怒られるのは、可哀想だがどうやら確実のようだ。
255
:
◆8zwe.JH0k.
:2006/01/09(月) 18:24:16
長井秀和
石…黒琥珀(黒玉)
能力…黒い服をコウモリのような翼に変え飛行する
また、相手とすれ違う瞬間に持ち物を一つだけ盗む事ができる。
飛行は、もの凄く速く飛べるがその分ブレーキや旋回が困難。
条件…黒い服を着ていないといけない。酷い汚れが付いていたりすると飛行できない。
256
:
名無しさん
:2006/01/10(火) 17:35:28
乙!おもしろかったです。
長井さんもバクモンもよくキャラが出てるなあと思いました。
本スレ投下OKだと思いますよ。
257
:
kzd34
:2006/01/20(金) 23:11:10
初めまして。私も、皆さんの小説を読んでて書きたくなりました・・。
『午後三時のハイテンション』の続き?っぽくしたいのですが・・(汗)
白ユニットも、本格的に『メンバー集め』をする?と言う感じです。
殆どアンガールズが目立つと思いますが、が・・頑張って書かせて頂きます。
258
:
kzd34
:2006/01/20(金) 23:37:30
『とにかく今は、こっちもメンバー集めて力を溜めるしかねえからな…』
数日前、『白ユニット集会』で言っていた上田の発言は正論だった。
こうしている間にも・・・『黒ユニット』は確実に仲間を増やしている。
今のままでは、お世辞にも『黒ユニット』に勝てるとは思えない。
そこで、田中と山根は…新しい『メンバー』を捜そうと外に出た・・のだが。
「ふぅ・・・山根ぇ、案外良い人って居ないもんだねぇ…。」
「うん。て言うより・・・周りが『黒』ばっかりなんじゃない?」
途中で『黒ユニット』と戦ったり、持っている『石』を狙われたり。
挙句の果てには、『黒に入って貰う』と脅されそうな所を逃げ回ったり。
かなり体力を消耗したので、今日は辞めようか。 そう思った、その時だった。
「?・・・アレ?ねぇ、田中さん。ちょっと・・・あれ見て。」
何か不審な事に気付いたのか、山根はしきりに田中の腕を引っ張る。
「・・ちょっと。俺疲れてんだからぁ!・・・ったく、一体何っ・・・!?」
文句を言っていた田中も、山根が指差す『不審な光景』に気付いた。
…『黒ユニット』の奴等だった。しかも、2人もよく知っている人物。
3人の『芸人』に囲まれている、白い服の『女性』が見えた。
259
:
kzd34
:2006/01/21(土) 00:05:50
芸人の方は、見覚えが有った。『エンタの神様』で何度も共演している。
・・・だが。もう1人の『女性』の方は、2人も初めて見る人物だった。
見つからない様に、用心して『4人』の方へ近付いて様子を見てみる。
『芸人』の方は…『POIZUN GIRL BAND』と『いつもここから』の菊池だった。
『女性』の方は…少なくとも『女芸人』の中には居ない。 誰だろう?
180cm以上はある身長。少なくとも、2人の身長と同じくらい有る。
かなり細身な身体を包む、真っ白なカーディガンとズボン。真っ黒な肌着。
白い肌によく生える、鮮やかな紅茶色の髪。白い帽子を深めに被っている。
『男性』か『女性』かの性別の判断が難しいが、おそらく『女性』だろう。
胸元には、華奢なチェーンに通した…淡い紫色の『宝石』。 …『宝石』?
2人は…否。その場に居た全ての『芸人』が、これを感じた筈だ。
その『宝石』は…明らかに、自分等『芸人』の持つ『石』と同じだった。
260
:
kzd34
:2006/01/21(土) 00:10:19
…(完全燃焼)こ、今回の投稿は、ここまでにさせて頂きます。
感想・苦情・批判!何でも良いので…この作品に対する言葉を下さい!!
皆さんが『読みたい』と言って下されば、続きを書かせて頂きます…。。
261
:
名無しさん
:2006/01/21(土) 02:03:11
乙。話が短い、からもう少し読みたい。
全体としてはいいと思うけどちょっと短いから分からない。
それと山根ちゃんってOFFでは田中さんの事『卓志』って呼んでるって聞いた事ある。
思い過ごしだったらごめん。
262
:
kzd34
:2006/01/21(土) 14:42:18
…あ、有難う御座います!参考になります…。(メモを取っている)
確かに、少し遠慮しすぎて話を短くしすぎましたね…スイマセン!!
山根さんはオフでは『卓志』って言うんですか…分かりました!!(再びメモ)
今は出来ませんが、・・・後でまた話を進めさせて頂きます!!
263
:
名無しさん
:2006/01/21(土) 14:48:02
ごめん、小説自体は好きだけどその話し方は直したほうがいいと思った。
時によっては叩かれそうだから・・・ここなら結構大丈夫そうだけど。
他の部分は好きだし今後も期待してる、頑張ってください。
264
:
名無しさん
:2006/01/21(土) 18:17:43
乙です。続きがもっと読みたいです!
あと正しくは
POISON GIRL BANDです。
POIZUNになってますよ
265
:
kzd34
:2006/01/21(土) 19:58:22
…(恥ずかしい) 修正感謝です!!! 有難う御座いました!!
自分の文章力の無さに自己嫌悪…orz
でも、読んでくれている皆さんに一番にお礼を言います!
後でまた書かせて頂きますので…。 (書き直したい…(涙))
266
:
kzd34
:2006/01/21(土) 21:01:28
「卓志。…あの石、何か変じゃない?」「…急に呼び方変えないでよ…。」
逸早く、石の違和感に気付いたのは山根。言われて、田中も気付いた様だ。
明らかに『普通の宝石』では無い。自分達が持っている石と『同類』だった。
…だが。あの『石』は、本来自分達『芸人』が持っている筈なのに。
と言う事は、あの女性も『芸人』なのか? …謎は深まるばかりだ。
「・・・失礼ですけど、その『石』は何処で拾ったんですか?」
先に沈黙を破ったのは…『POISON GIRL BAND』の一人、吉田だった。
声色に、少なからず動揺の色が見られる。…当然といえば当然だろう。
当の本人は、質問には答えない。しかし『拾った』訳ではないらしい。
自体は分からない筈なのに、石を手で包み込む。…守ろうとしているのか?
「…その『石』は、本来俺達『芸人』が持つ物なんです。」
質問に答えない相手に苛立ったのか、次第に『苛立ち』が混じる。
「…もし、貴方が『芸人』なら…『黒ユニット』に入って貰います。」
『黒ユニット』 この言葉を聞いた途端、彼女は『石』から手を離した。
「…逃げるのかな?」「…多分ね。あの3人…結構強いらしいから。」
2人は『石を渡して逃げる』と予想を立てたが、見事に外れてしまった。
彼女は逃げなかった。…それどころか、3人の方へ一歩近付いて行った。
267
:
名無しさん
:2006/01/21(土) 21:34:42
あんまり長々と反省文書かないほうがいいとオモ。
自己嫌悪もほどほどに。
268
:
◆TCAnOk2vJU
:2006/01/22(日) 01:45:10
「新しい石の能力を考えよう」スレで、チュートリアルの石の設定を投下した者です。
チュートリアルの二人の短編を書いてみました。他の芸人さんは名指しでは出てません。
二人が石を手にしてから、徳井さんの能力が目覚める時のお話です。
初めてで不安なので、こちらで添削していただけると嬉しいです。
269
:
◆TCAnOk2vJU
:2006/01/22(日) 01:46:24
徳井義実は今、まさに仕事を終えて帰路につくところだった。
今から飲みに行くからお前も来いよ、と言った相方の福田の誘いを断り、徳井は夜の街を一人で歩いていた。時折人にぶつかりそうになるが、上手くそれを避けながら歩く。
道沿いのとある店の前で、徳井はきらりと光る石の存在にふと気が付いた。店の中の明るさのせいで、その石は特に目立って輝いている。徳井はそれに興味が湧き、拾い上げて手の中で転がした。
「きれいな石やな」
ぽつんともらした、石に対する感想。石は透き通ったグリーンで、その色はマスカットを連想させる色であった。女性が身につけるアクセサリーとしてもよく見かけるような、少し大きめの石である。道端に転がっていたのだが、この石の運が良かったのか一つも傷がついていなかった。
「まあ、持っといても悪うないやろ」
徳井はそう呟いて、石についたほこりを息で飛ばした。その瞬間、微量についていた砂のようなものを吸い込んでしまったが、全く気にかけずそれをさっとジーンズのポケットに入れた。太股に石が入っている感覚があるなあ、と当たり前のことをぼんやりと思い、徳井は再び自宅に向かって歩き始めた。
270
:
◆TCAnOk2vJU
:2006/01/22(日) 01:47:41
「昨日な、きれいな石見つけてん」
徳井は次の日に早速、相方の福田に昨日拾った石を見せた。福田はふうん、と言い、それをしげしげと見つめていた。
「ほんまにきれいやなぁ。どっかで買うたん?」
「いや、道に落ちてたから拾っただけやねんけどな」
そう言うと、福田は苦笑した。
「なんや、ほんなら汚いやん。さっさと捨ててまえよ」
「え。昨日、家帰ってからちゃんと洗ろたんやけど」
「そういう問題やないやろ。たかが落ちてた石に執着心持つやなんて、変な奴やなぁ」
「うるさいわ」
いちいち突っ込んでくる福田をかわし、徳井はそれを再びポケットにしまった。しまう時、その石が不思議と熱を帯びているように感じられたが、特に気を留めることもなかった。
その後、楽屋で髪型を整えていると、そうや、と思い出したように福田が呟いた。
「石ゆうたら、昨日俺ももらったわ。ファンの子のプレゼントの中に、一つてごろな大きさの石があってん。まあ相手は小っちゃい子なんやろな、『きれいだったからあげます。がんばってください。』なんて手紙が一緒に入ってて」
福田はそう言うと、自分の持ってきたバッグの中を探し、徳井の目の前に出した。徳井はそれをしげしげと見つめ、ふうん、と言った。
「お前のも緑色やな。それにしてもグレーのふが入ってたりして、なかなかセンスええやん」
「そやろ? 俺あんまりアクセサリーとかつけへんけど、これはなんかお守りとかになりそうやから、袋に入れて持ち歩くことにしてん」
「ほう」
どういう風の吹き回しなのやら、と徳井が笑いながら呟くと、福田は拳を振り上げて叩くような仕草をしたが、彼も徳井同様笑いをこらえきれない様子だった。
そこで改めて福田の持っている石を見つめる徳井。福田の石はまろやかな緑色で、先程徳井も自分で言ったとおり、グレーのふが入っている。形も質感も違うが、同じ緑っぽい色の石ということで、徳井は不思議な親近感を持った。
徳井はしばらく眺めてから福田に石を返し、再び鏡の前に立って自分のみだしなみを整えることに集中した。
――自分の“石”がますます熱を帯びていることに、全く気づかぬまま。
271
:
◆TCAnOk2vJU
:2006/01/22(日) 01:48:53
「はいっ、どうもチュートリアルです」
「よろしくお願いしまーす」
いつもの挨拶で始まった漫才。二人の登場で観客が沸き、二人はいつもの調子でネタを始める。
そう、最後までいつもの調子でできていたはずだったのだ。
徳井がズボンのポケットの中に、何か熱いものを感じるまでは。
――ん?
一瞬顔をしかめる徳井。その後、そういえば拾った石を入れたままだったなあと思ったが、何故それが熱く感じるのかまでは説明できず、徳井は一瞬ネタを続けることを忘れた。
「なんや、どないしたん徳井くん?」
相方の福田にツッコまれ、徳井ははっと我に返る。福田は苦笑しながら、続けてツッコんできた。
「また変な妄想でもしてたんちゃうやろな?」
「いや、ちゃうねん。だからお前がな――」
相方のフォローに感謝しつつ、徳井はネタを続ける。観客はそれもネタの内なのだろうと思っているようで、気に留めることもなく二人のやりとりに笑っていた。
自分たちの出番中、徳井はずっと熱いのを感じたままだった。ネタが終わってから石がどうなっているのか確かめよう、と思いながらネタを終わらせ、舞台のすそに引っ込んだ。
出番が終わってから、徳井は案の定福田に先程のことを訊かれた。
「ほんまにどないしたん? 急に喋んのやめたから、びっくりしたで」
「いや……」
徳井はそう言いながら、ズボンのポケットに入れていた石を出した。手のひらに載ったその石はやはり熱を帯びていて、徳井は首を傾げた。ずっとポケットの中に入っていたから熱い、というような熱さではない。石自身が熱を発しているようである。
福田は不思議そうに石を見ている徳井を覗き込んだ。
「なんやお前、こんなもん入れてたん? さっきの石やないか」
「うん……なんかこれな、熱持ってるような気がすんねんけど」
「え、熱? お前のズボンの中で温められてたんちゃうん?」
「いや、そういう熱さやないねん」
そう言って徳井は石を福田の方に向けたが、福田はまだ信じられないといった様子だった。
「どれ、ちょっと貸してみ」
福田がそう言うので、徳井は福田に石を渡した。福田は石を受け取って手のひらで転がしていたが、すぐに首を傾げて徳井に石を返した。
「俺は別に、なんも感じひんねんけど……」
「えぇ? 俺の手の感覚がおかしいんかな」
徳井に返されたその石は、確かに今も熱を帯びている。徳井の手の中では熱く感じるのに、福田はそれを感じないとは。全く訳が分からない。
「まあ、その石のことは後にしよ。考えて分かるようなことちゃうみたいやし」
福田がそう言うので、まあそうやな、と徳井も同意し、二人は楽屋へ戻ることにした。
272
:
◆TCAnOk2vJU
:2006/01/22(日) 01:50:20
「なぁ。その石、まだ熱い?」
「ん、ああ、まだ熱持ってる。焼け石ほど熱くはないけど……まあ、カイロぐらいの熱さやな」
楽屋に帰るなり、福田はその石のことを話題に出した。徳井の手に握られた石は、まだ熱を保ったままだ。少しも冷たくなるような気配を見せない。
徳井の返事を聞いて、福田はふうん、と言いながら、どこか腑に落ちないといった顔を見せた。
「なんか変な石やなぁ。やっぱり捨てた方がええんちゃう?」
「そうかなぁ。でもな、なんか捨てたらあかんような気がすんねん……」
徳井がそう言うと、福田は再び苦笑した。
「変な奴やな。別にそんな石、持ってたって何の得にもならへんやん。お前の場合、誰かからプレゼントされたとか、自分で買ったとかでもないし」
「うーん……」
福田の説得は確かにそうだと納得させられたのだが、徳井はまだこの石を捨てる気にはなれなかった。勿体ないからとか、そういう理由ではない。何故か、これは自分の手元に置いておくべきものだという気がしたのである。
座ったまま考え込む徳井、その隣で徳井の反応を窺う福田。そうして二人の間に、沈黙が流れた時だった。
コツコツと、楽屋の扉がノックされ、二人は同時に扉の方を振り返った。
「どなたですか?」
福田がそう答えると、相手はくぐもった声でこう言ってきた。
「すいません、ちょっと中に入ってもいいですか?」
「はあ、別にいいですけど」
いきなり何やろう、と徳井にだけ聞こえるよう呟き、首を傾げながら、福田は立ち上がって扉を開けた。外には見たことのない男が立っていて、顔を隠すようにうつむいていた。
「僕らに何か用ですか?」
福田が訊くと、相手の男はうつむいたまま言った。
「石、貸してくれませんか?」
徳井と福田は一斉に顔を見合わせた。石と言われて思い当たるのは、徳井が今手にしている透き通ったグリーンの石である。二人は怪訝そうな顔をし、福田は男に再び問いかけた。
「石なんて、何に使うんですか?」
「いいから、早く貸してください。説明は後です」
男は苛立ちを隠せない口調だった。名も名乗らない人物からそんなふうに言われ、福田もさすがにカチンときたようだ。不機嫌そうな顔をしながら、同じく苛立ちのこもった口調で返した。
「もう何なんですか、いきなり石を貸してくれなんて。理由もないのに、そんなもん貸せませんよ」
273
:
◆TCAnOk2vJU
:2006/01/22(日) 01:51:32
そう言った瞬間、男がガバッと顔を上げた。あまりにも突然のことだったので、福田は「うわっ」と声を出して二、三歩後ずさった。
男は二十代後半といった感じの顔立ちで、表情を見れば明らかに怒っているようである。二人が知っている若手芸人にも、スタッフの中にもこんな人はいない。誰やねん、という疑問を口から発する前に、男の方が二人の方を向いて口を開いた。
「この二人はお人好しやから、すぐに石渡してくれるって聞いたのに……話が違うやないか」
「な、なんやねん、いきなり」
福田が多少驚きつつそう言うと、男はふんと鼻を鳴らした。
「まあええわ。こうなったら、力ずくでも石を渡してもらわな、な」
そう言うなり、男は一番近くにいた福田の方に飛びかかってきた。福田はなんとかそれを食い止めたが、徳井は慌てて立ち上がり、福田の方にかけよった。
「福田! ……お前、何すんねん!」
「ちっ、こいつ石持ってへんみたいやな……ほんならお前からや!」
男は福田に乗りかかりながら一人でそう吐き捨て、今度は徳井の方を睨んだ。
徳井は今、手にあの石を持っている。力一杯握りしめているせいか、石にこもっている熱がより一層増して感じられた。
「福田、お前も石、出しとけ」
横で倒れている相方にそう囁き、福田が頷いたのを確認して、徳井は立ち上がって男を睨み返した。男は徳井を睨んだまま動かない。
自分の隙を窺っているのかもしれないと、徳井は用心しながら後ずさりした。福田が自分の鞄から石を取り出す時間稼ぎをするつもりだった。
男の後ろにいる福田は、ゆっくりと自分の鞄に向かって動いていた。徳井はそれでいいと小さく頷き、男に視線を戻した。
「なんや。いきなり俺らの楽屋に入ってきて、挨拶もなしにこれか」
我ながら冷たい口調だ、と思いながら、徳井は改めてキッと男を睨む。男はそれでも動かない。視界の端で、福田が鞄からそろりそろりと石の入った袋を出すのが見え、徳井は再び声を発した。
「どこの誰か知らんけど、『人の楽屋に挨拶もなしに入ってくんな!』」
その瞬間だった。
274
:
◆TCAnOk2vJU
:2006/01/22(日) 01:53:00
バン、と何かが破裂したような音が響き、徳井を睨み付けていた男は楽屋の外に吹っ飛ばされた。徳井も一瞬、何が起こったのか分からずぽかんと口を開けていた。
男はくそっ、と言いながら立ち上がり、再び二人の楽屋の中に入ろうとしたが、何故か楽屋の中に一歩踏み出すだけで外に吹っ飛ばされていた。
徳井は慌てて自分の手の中にある石を見ると、石からは光がこぼれていた。相変わらずじんじんと熱さは伝わってくる。まさかと思いながら、徳井は石をじっと見つめていた。
相方の福田も自分の石を持ったまま立ち上がり、徳井の方を信じられないという目つきで見ていた。
「なんや……何が起こってん?」
「俺にも、さっぱり分からへんねんけど」
徳井は首を横に振った。その間にも男は何度も楽屋の中に入ろうとしていたが、その度に何かに吹っ飛ばされていた。まるで扉に、何かの結界が張ってあるかのようだった。
二人が首を傾げて男を見つめている間に、男はここに入るのは無駄だと悟ったのか立ち上がり、
「く、くそっ、覚えてろよ!」
お決まりの捨てぜりふを吐いて、その場を立ち去っていった。
「な、なんやったんや、一体……」
二人が同時にそう発した時、外から他の芸人の声がした。
「おっす! なんかあったんか?」
その芸人はきょとんとした顔で二人を見つめ、二人が驚きで固まっているのを見て、苦笑した。
「なんや二人とも固まって。お化けでも見たような顔してるぞ?」
そう言い、二人の楽屋に足を踏み入れる。
「あ、入ったら――」
あの男のように見えない結界のようなものにはじかれるのではないかと思い、徳井は咄嗟に声を出したが、その芸人は難なく二人の楽屋に入ってきた。
二人はきょとんとし、顔を見合わせる。さっきのは一体何だったのだろう、と。
とにかく、楽屋に入ってきたその芸人を何でもないと言って追い返し、二人は楽屋の扉を閉め、一気にため息をついた。
「な、なんか知らんけど、疲れたな」
「ほんまに何やったんや、あれ」
二人はそう言いながら、手の中にある石を見つめる。徳井の石は先程までの熱が失せ、すっかり冷たくなっていた。福田の石は以前と全く変わりがない様子である。
275
:
◆TCAnOk2vJU
:2006/01/22(日) 01:53:36
石の確認が終わったところで、徳井がぽつんと呟いた。
「俺が『挨拶もなしに人の楽屋に入ってくるな』って言うた途端、あいつ吹っ飛ばされたよな?」
そうやな、と福田は頷く。それを確認してから、徳井は続けた。
「でもさっきのあの人は難なくここに入ってこられた……なんでや?」
「うーん……ようわからんなぁ」
福田が首を横に振って分からないという顔をしたので、徳井もがくりとうなだれたが、その後すぐにがばっと顔を上げ、そうや、と叫んでいた。
「あいつ、挨拶したよな? 『おっす!』って、ちゃんと」
「あ、ああ、してたけど……まさか、挨拶したからここに入ってこられたって言うんとちゃうやろな?」
「まあ、とりあえず試してみたらすぐ分かるやろ」
そう言うなり、「おい!」と叫ぶ福田を無視して、徳井は楽屋を出て後輩の芸人を連れてきた。連れてこられた後輩芸人は怪訝そうな顔をして、徳井を見つめていた。
「とりあえず、何も言わんとここに入ってみ?」
徳井は後輩芸人にそう命じた。後輩芸人は何を言っているか分からないという顔をしながら、言われたとおりに楽屋に足を踏み入れた。
その途端、後輩芸人は後ろに吹っ飛び、ちょうどそこにいた徳井に受け止められた。
「な、なんなんですか、これ」
後輩芸人は驚いている。徳井はははっと笑うと、今度は挨拶をしてから楽屋に入るよう命じた。後輩芸人は頷き、「失礼します」、と言ってから、おそるおそる楽屋に足を踏み入れた。
「あ、あれ? 入れる……」
「ほんまや、入れるやん」
後輩芸人と福田が同時に言葉を発し、徳井はまたははっと笑った。
「やっぱりな。……あぁ、時間とって悪かったな、もうええで」
「は、はあ」
後輩芸人は何が何だか分からないという顔をしながら、徳井に言われたようにその場から立ち去った。徳井は楽屋に再び入り、福田に向かって得意そうな笑顔を見せた。
「やっぱりそうやったな。多分俺の言ったことに反応して、ここに挨拶せん奴は入ってこられへんよう、結界でも張られたんちゃうか?」
「まあ、そうみたいやけど、なんでや? この石がそうしたんか?」
福田の問いに、徳井は頷いた。
「多分そうやと思う。その後、この石光ってたし、後で熱も冷めてきたし……この石、なんか不思議な力があるみたいやな」
ふうん、と福田が納得したようなしてないような表情を見せ、頷いた。
徳井はその石をズボンのポケットに大事そうにしまうと、立ち上がって福田の方を向いた。
「まあ、とにかく一件落着や。後で飲みに行くか?」
「おっ、ええな。昨日みたいにつれないこと言うなよ?」
「もちろんや」
福田も鞄の中に石の入った袋を大事にしまい、二人はいそいそと帰る準備を始めた。
福田の石がじとりと熱を持ち始めていたのを、二人は知るよしもなかった。
276
:
◆TCAnOk2vJU
:2006/01/22(日) 01:56:53
これで終わりです。短編というには長すぎたかもしれません…
ご指摘等ありましたらよろしくお願いします。
277
:
名無しさん
:2006/01/22(日) 10:25:05
乙です。
徳井の石って、能力スレにあったやつ?
278
:
◆TCAnOk2vJU
:2006/01/22(日) 10:55:46
>>277
そうです。能力スレの290にあるのがそれですね。
279
:
kzd34
:2006/01/22(日) 15:10:06
予想外の行動を取った『彼女』は、吉田の目の前まで近付いた。
「…『黒』に入ってくれるんですか? それとも、『石』を…?」
言葉の変わりに、首を横に振った。…つまり『否定』した事になる。
この返事に苛立ちが頂点に達したらしく、感情を押し殺した様な声で言った。
「そうですか。それなら…力づく、と言う事で良いですよね?」
そう言うと、手首に巻かれていた『包帯』をゆっくりと解いた。
傷口から滴り落ちる『血液』は、地面には落ちず『空中』に集まった。
血液で鋭利な『ナイフ』を作り出す。それを、彼女の首筋に宛がった。
「…恐くないんですか?もしかしたら、死ぬかもしれないのに。」
首筋から少量の血が滴り落ちる。それは、白い服に『赤い染み』を作った。
ナイフを避ける事も逃げる事もせず、帽子に隠れた顔は相手を見続ける。
「…コレくらいで痛かったら、この『石』は守れませんよ。」
初めて彼女が発した『声』は高くも無いが低くも無い。
だが、表情が見えない分『声色』が…彼女の『感情』を表している。
『石』を守ろうとしている。 そんな『守護心』が、彼女から伝わる。
吉田は、血液を『液体』に戻す。そして、新たな『武器』に作り変えた。
「初めてですよ。俺がここまでしても、少しも恐がらないなんて…。」
「やっぱ『石』の持ち主だから?」「…それは関係無いと思うけど。」「そう?」
阿部との短い会話を終わらせ、また彼女の方へ『武器』の矛先を向けた。
「…後悔しても、知りませんから。」 彼女の『石』が、淡い光を放った。
280
:
kzd34
:2006/01/22(日) 15:54:15
紫色の『光』が、彼女の身体を取り囲む。暫く立つと…『光』は消えた。
否、消えた訳では無かった。彼女の『両足』に、淡い紫色の輪が見えた。
「この石は『アメジストドーム』。…意味は『気の浄化・強い洞察力』…」
「…見た所、対して強そうな石に見えませんけど?」「そして、もう1つは…」
言い終わる前に、吉田は彼女の身体に血で作った『ピアノ線』を放った。
捕まえた筈だった。数秒前までは、彼女は『吉田の目の前』に居たのだから。
それが何故、彼女は『吉田の後ろ』に立っているのだろうか?
「…『冷静な判断力』。貴方の攻撃を、全て『見させて』貰いました。」
冷静に言い放つ彼女に、隙を作らせないほどの速さで『攻撃』を仕掛ける。
だが、彼の『ピアノ線』は地に落ちた。すぐ隣には、彼女の姿が有った。
「…『見える』んです。相手の放った攻撃の『未来の動き』が、全て。」
そう言い放ち、彼女はゆっくりと振り向く。彼は軽い『怪我』をしていた。
「…捕まえようとしても無駄ですよ?相手の動きは、全て『お見通し』ですから。」
彼女が一呼吸整えると、紫の輪は消えた。どうやら『石の力』を解いたらしい。
「…自分は、芸人じゃ有りません。…でも、石の事は知り尽くしています。」
吉田の顔に『傷』が有る事に気付くと、彼女は『紫の光』で傷を癒した。
「…『黒』でも『白』でも無いけど、この戦いには『参加』させて頂いてます。」
そう残して去ろうとする彼女。 だが、その動きは菊地によって封じられた。
腕を捕まれていたのだ。その腕からは…僅かな量の『血』が流れていた。
281
:
名無しさん
:2006/01/22(日) 19:47:06
◆TCAnOk2vJU さん乙です!チュートキター!
本スレに投下してもいいんじゃないでしょうか。
282
:
◆TCAnOk2vJU
:2006/01/22(日) 20:52:45
>>281
ありがとうございます。
もう一度推敲してから、本スレに投下したいと思います。
283
:
名無しさん
:2006/01/24(火) 19:29:02
>>279
自分の杞憂だったら悪いが
まさかのオリキャラとやらではないよな?
284
:
◆mXWwZ7DNEI
:2006/01/24(火) 20:07:05
チュート徳井の能力みて一部の人にしかわからないような話書いたんだけど
投下よい?
285
:
名無しさん
:2006/01/24(火) 20:09:52
>283
自分もそれ思った。
自分が知らないだけかとも思ったんだけど、
「180cmを越える長身の女性芸人」が思い当たらないんだよね。
286
:
名無しさん
:2006/01/24(火) 20:57:56
>>279
それより何よりあんまり小出し小出しにしないで欲しい。
一気に読みたいんだが、出来たなら出来た時にやってくれよ。
で、その女性自分も分からないんだが…。
287
:
◆TCAnOk2vJU
:2006/01/24(火) 20:59:07
>>284
是非読ませて頂きたいです。投下お願いします。
288
:
名無しさん
:2006/01/24(火) 21:14:53
>>279
>自分は、芸人じゃ有りません
と言ってるな。この台詞がどうしても引っかかった。
女性の正体次第では『芸人じゃないと石を使えない』という全体の設定を
台無しにしてしまうぞ。
289
:
名無しさん
:2006/01/24(火) 22:24:07
>>285
,286
さっきふと気付いたんだが。
あの元女子バレー選手の人じゃないか?
あくまでも自分の予想だけど。
290
:
◆mXWwZ7DNEI
:2006/01/24(火) 22:25:07
>>284
です。
添削よろしくお願いします。
某有明のスタジオの楽屋にて
集合時間は11時。
大阪から毎度通う2人はいつも早めに到着し楽屋でおもいおもいの時間を過ごしていた。
「極上のエロスやぁ〜」
そう呟く徳井が見てるのはエロ本でも何でもなくTVのニュースでやっているどこかの祭りの風景。
「はぁ〜」
ちらっと横目で徳井を見てため息をつく福田。
「お前な?最近やたらとエロスエロスって真昼間から勘弁してや。」
「お前かて巨乳巨乳真昼間から言うとるやんけ!」
「アホ!巨乳好きは常識じゃ!」
ついていけへんとさっき東京駅で買ったおはぎを福田は口に押し込めた。
291
:
◆mXWwZ7DNEI
:2006/01/24(火) 22:26:07
>>290
続き
「ん?ええこと思いついた。」
「常識」「おはぎ」という言葉で何かひらめきニヤリとする徳井。
そしておもむろにポケットから石を出した。
瞬間嫌な予感がする福田。これから徳井がやろうとしていることは幼馴染の勘・・・
・・・否この流れからいってだいたい察しがつく。
「ちょっやめぇ!なに考えとんねん。」
時すでに遅く石は光を放ち始めた。
「よっしゃ!いくでぇ!『おはぎはエロスです!!!』」
チャチャーーーーーーン!!
少なくとも福田にはいつもの効果音が聞こえた。
おはぎ自体の見た目は全く変わっていない。
ただ何かが違う・・・
そう、おはぎを見てると何故かムラムラしてきた。
「うわっやってもうたぁ」
甘いものが苦手だかなんとなく気分でおはぎを買ってしまった自分を軽く恨んだ。
292
:
◆mXWwZ7DNEI
:2006/01/24(火) 22:26:42
>>291
続きラスト
「おはようございます!・・・てあれ?」
そろそろ11時。人が集まりだす頃だ。真っ先に楽屋にきたのは綾部。
「先生!今日も気合入ってますね!エロスの台頭『おはぎ』をわざわざもってきて
本番前に眺めるなんて!いやぁ〜さすがおはぎ!もうオーラが違いますよねぇ。」
おはぎを見て興奮する綾部。
徳井は満足そうに微笑み、福田はあきれ返った。
すると又吉も到着した。
あの又吉がどんな反応をするのか期待に満ちた目で徳井は見ている。
しかし又吉は挨拶して特におはぎのことは触れずに着替え始めた。
もう石の効果が終わってしまったのかと安心しかけた福田は見てしまった。
又吉の頬が赤く染まっていることに・・・
そんなこんなで打ち合わせも終わり本番が始まった。
ただエロスなものとなったおはぎは誰も手をつけずに楽屋でエロスオーラを放っていた・・・
そうして1日5回のリミットをすべてしょうもないものをエロスな物にかえることに
消費していく徳井だった。
293
:
◆mXWwZ7DNEI
:2006/01/24(火) 22:30:55
以上です。もう終わってしまった番組ですが思いついたので。
ただ気がかりなのが今他の書き手さんのところにピースがでているのに
こっちでも出してしまったことです。
たいした出番じゃないからよいかなぁと。
添削よろしくお願いします
294
:
名無しさん
:2006/01/24(火) 23:40:49
>>289
世界の大林はついに芸人になってしまったのか・・・
295
:
名無しさん
:2006/01/25(水) 00:07:32
>>290
-
>>293
乙です!ワイワイワイキター!もう終わった番組でも番外編てことで本スレ投下OKだと思いますよ。又吉の反応にワロタw
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