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【添削】小説練習スレッド【キボンヌ】
270
:
◆TCAnOk2vJU
:2006/01/22(日) 01:47:41
「昨日な、きれいな石見つけてん」
徳井は次の日に早速、相方の福田に昨日拾った石を見せた。福田はふうん、と言い、それをしげしげと見つめていた。
「ほんまにきれいやなぁ。どっかで買うたん?」
「いや、道に落ちてたから拾っただけやねんけどな」
そう言うと、福田は苦笑した。
「なんや、ほんなら汚いやん。さっさと捨ててまえよ」
「え。昨日、家帰ってからちゃんと洗ろたんやけど」
「そういう問題やないやろ。たかが落ちてた石に執着心持つやなんて、変な奴やなぁ」
「うるさいわ」
いちいち突っ込んでくる福田をかわし、徳井はそれを再びポケットにしまった。しまう時、その石が不思議と熱を帯びているように感じられたが、特に気を留めることもなかった。
その後、楽屋で髪型を整えていると、そうや、と思い出したように福田が呟いた。
「石ゆうたら、昨日俺ももらったわ。ファンの子のプレゼントの中に、一つてごろな大きさの石があってん。まあ相手は小っちゃい子なんやろな、『きれいだったからあげます。がんばってください。』なんて手紙が一緒に入ってて」
福田はそう言うと、自分の持ってきたバッグの中を探し、徳井の目の前に出した。徳井はそれをしげしげと見つめ、ふうん、と言った。
「お前のも緑色やな。それにしてもグレーのふが入ってたりして、なかなかセンスええやん」
「そやろ? 俺あんまりアクセサリーとかつけへんけど、これはなんかお守りとかになりそうやから、袋に入れて持ち歩くことにしてん」
「ほう」
どういう風の吹き回しなのやら、と徳井が笑いながら呟くと、福田は拳を振り上げて叩くような仕草をしたが、彼も徳井同様笑いをこらえきれない様子だった。
そこで改めて福田の持っている石を見つめる徳井。福田の石はまろやかな緑色で、先程徳井も自分で言ったとおり、グレーのふが入っている。形も質感も違うが、同じ緑っぽい色の石ということで、徳井は不思議な親近感を持った。
徳井はしばらく眺めてから福田に石を返し、再び鏡の前に立って自分のみだしなみを整えることに集中した。
――自分の“石”がますます熱を帯びていることに、全く気づかぬまま。
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