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【添削】小説練習スレッド【キボンヌ】

239 ◆1En86u0G2k:2005/12/19(月) 00:59:00
前に3人、後ろに5人。

その中に見知った顔はなかったし、一様にぼんやりと曇った目をしていたからおそらくは、黒側の末端を構成する超若手の面々が上の思惑で動かされているのだろう。よくある話だ。
自分の石に目立った変化は感じられないので相手方が石を使った攻撃をしてくることはなさそうだが、恵まれた体格と腕力のありそうな男が多いのが気にかかる。
高まってゆく緊迫感とは対照的に、道に沿って続く植え込みでは張り巡らされた大小のイルミネーションがチカチカと陽気に点滅を続けていた。家主の趣味なのだろうか、白に青に水色に色を変えて輝く様は光が行く先を先導してくれているようで、こんな状況でなければなかなかロマンチックな雰囲気だったのかもしれない。

(さて、どうしたもんかなあ)

豊本は眼鏡を中指でくい、と押し上げて小さくため息を吐いた。
この陣形と場所では少々のすったもんだは免れそうにない。しかも自分の石は少数へのかく乱が精々で、こういう状況では基本的に無力だ。となると今立に頼ることになるのだが、彼が能力を使ったあとの代償を考えるにそれはちょっと言い出しにくい希望である。

(みんなでまとまって帰るべきだったかー…闘えそうな人もいたし…)

不注意を悔いたものの後の祭りだった。他に選択肢が増える気配はない。
仕方なく隣の様子を伺うと、人工的な光に頬を照らされた今立が酔いの回り切った目で前方を睨み付けたまま(だから残念なことに威圧感には欠けていた)淡々と言葉を並べはじめた。

「…あのねぇ豊本くん、俺ものすごく楽しみにしてんだ、明日の」
「うん、知ってる」
「なんだったら最近のアンラッキーを全部笑って流せるぐらい」
「ああ…さっき居酒屋でダチくんの頼んだのだけ3連続で来なかったけど全然笑ってたもんね」
「…メイン主催者がゲームにひとっつも触れないってどう思う?」
「超不憫」
「………」

その時豊本は確かに今立の目が据わるのを、見た。


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