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【添削】小説練習スレッド【キボンヌ】

274 ◆TCAnOk2vJU:2006/01/22(日) 01:53:00
 バン、と何かが破裂したような音が響き、徳井を睨み付けていた男は楽屋の外に吹っ飛ばされた。徳井も一瞬、何が起こったのか分からずぽかんと口を開けていた。
 男はくそっ、と言いながら立ち上がり、再び二人の楽屋の中に入ろうとしたが、何故か楽屋の中に一歩踏み出すだけで外に吹っ飛ばされていた。
 徳井は慌てて自分の手の中にある石を見ると、石からは光がこぼれていた。相変わらずじんじんと熱さは伝わってくる。まさかと思いながら、徳井は石をじっと見つめていた。
 相方の福田も自分の石を持ったまま立ち上がり、徳井の方を信じられないという目つきで見ていた。
「なんや……何が起こってん?」
「俺にも、さっぱり分からへんねんけど」
 徳井は首を横に振った。その間にも男は何度も楽屋の中に入ろうとしていたが、その度に何かに吹っ飛ばされていた。まるで扉に、何かの結界が張ってあるかのようだった。
 二人が首を傾げて男を見つめている間に、男はここに入るのは無駄だと悟ったのか立ち上がり、
「く、くそっ、覚えてろよ!」
 お決まりの捨てぜりふを吐いて、その場を立ち去っていった。
「な、なんやったんや、一体……」
 二人が同時にそう発した時、外から他の芸人の声がした。
「おっす! なんかあったんか?」
 その芸人はきょとんとした顔で二人を見つめ、二人が驚きで固まっているのを見て、苦笑した。
「なんや二人とも固まって。お化けでも見たような顔してるぞ?」
 そう言い、二人の楽屋に足を踏み入れる。
「あ、入ったら――」
 あの男のように見えない結界のようなものにはじかれるのではないかと思い、徳井は咄嗟に声を出したが、その芸人は難なく二人の楽屋に入ってきた。
 二人はきょとんとし、顔を見合わせる。さっきのは一体何だったのだろう、と。
 とにかく、楽屋に入ってきたその芸人を何でもないと言って追い返し、二人は楽屋の扉を閉め、一気にため息をついた。
「な、なんか知らんけど、疲れたな」
「ほんまに何やったんや、あれ」
 二人はそう言いながら、手の中にある石を見つめる。徳井の石は先程までの熱が失せ、すっかり冷たくなっていた。福田の石は以前と全く変わりがない様子である。


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