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【添削】小説練習スレッド【キボンヌ】

254 ◆8zwe.JH0k.:2006/01/09(月) 18:20:45

「つーか、大体猿があそこでこけなかったら逃げ切れたんだぞ!」
「なんだとー!」
勝手に喧嘩を始める二人を諭し、やっと理由の分かった田中はふう、と息を吐いた。

「もう大丈夫だって。破片も破壊したし、今度何かあったら俺んとこ逃げてこい」
怒られると思っていたのか、今まで顔を強ばらせていた猿橋も、樋口も、その頼もしい言葉にほっと胸をなで下ろした。

「今度こそ、仕事お終いっと」
長井はコキコキと首を鳴らし、煙草を取り出そうとした。
その時。

〜♪
携帯の着信音が乾いた夜空にけたたましく鳴り響いた。
長井はうざったそうに携帯を開き、耳に当てる。
「はい、もしも…し…、…っ!」
目が開かれ、分かりやすいくらい顔が引きつって行くのが分かった。
長井のそのただごとでは無い様子に、田中たちの間に緊張が走る。

「どうした?」
「……女房です…」
「は?」
錆び付いたロボットのように固まったまま首だけ向け、長井が言った。
「連絡を入れるのをすっかり忘れてた…!」
「…ご愁傷様」

離れていても長井の妻の怒った声が聞こえる。
慌てながら必死に「ごめん」「違うって」「そうじゃない」と弁解する長井に相方の姿を重ねながら、爆笑したい気持ちを抑え、猿橋と樋口と共に祈るように手を合わせるのだった。

5番6番の二人からは石を取らず、浄化された石のみを小さな袋の中に入れる。
この石たちを誰に渡すかは実はまだ考えていない。
同じ事務所なら、そうだ。橋下弁護士にでもあげちまうか?
などと下らない冗談を考えながら、新しい主を求める色とりどりの石を見詰めた。


時刻は、既に午後10時。
長井が妻に怒られるのは、可哀想だがどうやら確実のようだ。


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