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【添削】小説練習スレッド【キボンヌ】

231ブレス ◆bZF5eVqJ9w:2005/12/17(土) 12:05:45
「あの、さ」
その日の収録終わりに、急に伊藤は帰ろうとしていた西野に声をかけた。
「ん?どしたの伊藤ちゃん」
西野がやんわりした声とともに振り返る。人気のない廊下は、冷たい空気を吐いていた。
「この間の、話」
言い辛そうに伊藤がその言葉を口にした。西野が微かに反応する。
この間の話とは、2人で連絡を取り合った時の話だった。
『はなわは黒だった』と言う一連の話と、山本の異変。
特に山本に関して伊藤はかなり心配しているようだったが、インパルスの言葉からも何も分からない。
それで西野が調べたのだが、『白』とコンタクトが殆ど取れないキングコングの情報は少なかった。
そして今もまだ、十分に情報が無い。
インパルス経由で情報を集めるのが早いのだろうが、西野は何となくそれを躊躇っていた。
「・・・あぁ、何やったっけ?」
西野はその一連の流れを知らない振りをして、話をはぐらかした。
「そういう風にしないで、真剣なの」
「・・・ごめん」
伊藤はいつも以上の剣幕で、西野を責めた。それから、目を逸らす様にして下を向いた。
―――やるしかない。やらないといけない。私が。そう、誰でもなく私が。
西野に聞こえないように、伊藤が短く呟いた。
フラッシュバックするのはさっきまで見ていたメール。
見知った相手からの、メール。
伊藤は決意を固めた。ゆっくりと足元の石に力を注いでいく。
戻れないとしても、戻して見せよう。またみんなで笑おう。だから・・・。
「西野君・・・」
伊藤が小さく西野を呼んだ次の瞬間だった。
西野は、何やねんと返事する間も無く伊藤の石の光を受けていた。
その時の西野の表情を、伊藤ははっきりと見た。
何故仲間であるはずの自分に能力を行使したかが理解できないと言った顔。
ごめん、と謝った言葉は西野には届かなかった。


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