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文章鍛練企画【三語即興文in鍛練場】3/15〜

1ごはん武者修行有志s:2004/04/07(水) 02:06
■執筆の狙い
だれでも書きこめます。感想レスを使った遣り取りです。
初めてのみなさんも歓迎します。
興味のあるひとは参加してください。

【形式】
 前の方の作品を簡単に批評しつつ(1〜数行)、
 出されたお題で文を作り(5〜15行程度)(題は順不同で使用可)、
 次の方のお題を出す(三語―名詞が基本、各語の関係が遠いほど望ましい)。
※繰り返し
【批評の規準】
 ・三語の、漢字(平仮名、片仮名)と音を変えず、そのまま使用する。
  ↑とりあえずこれだけはクリアしてください。
 ・お題の消化の仕方。意味の持たせ方。
 ・ストーリー性。
 ・独創性。面白さ。
【ルール】
 ・第一目的は文章の・発想の瞬発力・ショートショートの構成鍛練です。
 ・同じ方の書き込みは一日一回に制限です。言いかえれば毎日でもどうぞ。
 ・同じお題の投稿が重なった場合、最初の投稿のお題が次に継続されます。
 ・上記の場合、後の方の作品は残します。事故と見なしますので謝罪などは不要です(執筆の遅い初心者保護)。
 ・感想のみのレス(ひやかし)は原則的に禁止の方向で。
 ・批評の義務は自分の使うお題の作品のみですが、上記の「事故作品」全てに批評を付けても結構です。感謝されるでしょう。
 ・何事も故意の場合は釈明必須ですが、多少の遊び心は至極結構です。ただし、基礎の未熟な方の遊びはお断わりいたします。
 今回も、「お題の他に注文をひとつ」を導入したいです。
 お題を出す人が合わせて決めてください。強制ではありません。お互い無理のないようお願いします。
 例)「主人公の性別は○○で」「ハードボイルドっぽくお願いします」「恋愛ものにしないでください」
 
 ご意見はラウンジにてお願いします。
                     2004/03/15(月) 02:08 公開

※こちらは転載時にレス数を調整した為、15日付の作品は前スレ(http://jbbs.shitaraba.com/bbs/read.cgi/movie/4262/1081259317/-100)に含まれています。
 鍛錬場での日付で作品を覚えておられる方は、投稿者名の横ではなく、コメントの最後でご確認ください。

2蒼色:2004/04/07(水) 04:03
はじめて参加させてもらいます。

≫のりのり子さん
最後のオチ、笑わせてもらいました。
綺麗にまとまっていると思います。

≫風杜みことサン
見事にお題に合わせてハードボイルドですね。
うまいというかなんというか。

それではお題の消化を。

 巡り巡って地球の裏側まで来た。こんなところに行けと命じた上司が恨めしい。
道路脇から遠くを見る。果てない赤茶色の土漠が広がる。そのさらに遠くの地平線の手前には納豆の粒のような丸い岩が転がる。
まるで火星にでも来たようだ。こんなところに飛ばされるなんて。恨めしさがつのる。
だが、こんな場所でも仕事をこなさないといけない。今は地球の裏側にいる妻の為にも。
振り向いてこんな地球の裏側にもあるわが社の支店を見る。ただ四角いだけの煤けたビルは何の感慨もわかせてくれない。
そんな事に少しいらだちを感じる。いくら妻と会社の為とはいえ、こんな場所に行け、とは。それでも思い返す。
待っているだろう妻の為にもここで一年間、面白くもないだろう仕事をやりとげなくては。
一息ついて天を振り仰ぐ。雲ひとつない蒼穹の中に妻の姿が浮かんで、消えた。

おもしろくねぇ……。

次のお題は「タバコ」「ケーブル」「CD-ROM」追加ルールは「爽やかな話」で。
++2004/03/16(火) 16:28

3瀬山:2004/04/07(水) 04:05
お久しぶりです。というかこの企画では初めましてです。
恐れ多くも楽しそうな企画に参加せずにいられませんでした。

>のりのり子さん
おちは少しパンチにかけている気がしました。文章が楽しくてすらすらと読めました。見習いたいです。
>風杜みことさん
お題が多いです。かつ面白い。雰囲気が素敵です。脱帽しました。
>柿美さん
落ちが楽しかったです。というか笑いました。SSてやっぱり構成が大切なんだな、とか実感します。
で、それで自分の作はどうか、と言われると……こういうのはSSとは呼ばないのかも。

お題は「仕事の上司」「納豆」「地平線」、追加ルールは「天気の描写を入れる」


 地平線のその先に、まさに天を衝くといった風情で、荒野の中心、どかりと根を下ろすルオの大樹。東京が消えた――日本が滅び世界が震えたその爆心地に、小惑星に乗って飛来した宇宙樹はちゃっかりと根を下ろした。
「ナトウ? なんだそれ」先輩(彼女は僕の仕事の上司だ)は不思議そうに首をひねる。「おいしいのか?」
「納豆、です。ここ――と言っても今は何もありませんが――日本独特の――」生前はイギリス国籍だった先輩は納豆を知らないらしい。「とにかく、僕は昔を懐かしんでいる、と。そういうことです」
 見上げれば低く立ち込める暗雲。それこそ地獄とはかくありなんとばかり。小惑星はルオの大樹を僕ら人間に授け、太陽光を奪った。
「でもまさか先輩が本気で移住を決心するとは思いませんでしたよ。仕事、楽しかったんじゃないんですか?」生きている人間を僕らの側に引き込む仕事。「先輩の仕事熱心は僕らの間でも有名だったんですよ」
 先輩は思案げひとつ頷き、「なんというか、生きたい奴は生かしとけばいいかな、って、思い始めた」
「こんな絶望色一色の世界で、ですか?」
「ルオの大樹が魂を運ぶのは私ら死人ばかりとは限らんさ」先輩はくふふと笑う。「実際、向こう側にいくのは楽しみでもある。私らが殺した奴らとばったり鉢合わせたりして」
「恨まれても、それが幽霊の正しいあり方ですよ」
「私はそれが、疲れた」
 先輩は息をつき、それから、なんだか遠くをみるような目をする。
「ルオの大樹の死後の世界。生きた亡者のうごめく地球、顕現した地獄。どちらを選ぶべきかは、推して知るべし。ってな」そして、先輩はくふふと笑う。「死後の世界なんて行ったことない」
「まぁ、それはそうです」
 頷き、つられ僕も笑う。先輩と一緒なら、という一言はそれに消えた。

うわー長いです、ごめんなさい。
お題は「ぬいぐるみ」「休日」「殺人」追加は「主人公が男の子」でお願いします。
++2004/03/16(火) 16:40

4にゃんこ:2004/04/07(水) 04:07
それにしても、「文章鍛錬企画」は大ヒットですね。
私も、末席から参加させてもらいます。

今回は、お題が二つあるようなので、両方とも書いときます。
なお、前作の感想批評等は私の作品の下に書いてあります。
次のお題は最後に書いてあります。

お題は「タバコ」「ケーブル」「CD-ROM」追加ルールは「爽やかな話」。

―― 赤い糸 ――
恵子は、真人の誕生日に二人で撮った写真をCD-ROMに入れてプレゼントしょうと思った。
それで、パソコンに入っている写真を整理していると、真人がタバコを吸っている写真がやけに目に付いた。
「だめじゃん」と、恵子はつぶやいた。
三日後、恵子は、真人の誕生日に写真が入ったCD-ROMをプレゼントした。
真人は、パソコンにCD-ROMを入れて、驚いた。恵子がタバコを吸っている写真が入っていたからだ。それを見て、真人はタバコを吸うのを辞めた。
やがて、恵子の誕生日がきた。
真人は恵子にプロポーズした。
二人は赤い糸、いや、デジカメとパソコンのUSB接続ケーブルで結ばれていたようだった。

お題は「ぬいぐるみ」「休日」「殺人」追加は「主人公が男の子」。

―― 幼児 ――
「ころされた」と、警察にたどたどしい言葉で、電話が入った。
110番で応対した警察官は、子供のいたずらかもしれないと思ったが、逆探知して、パトカーを急行させた。
案の定、殺されていたのは、猫のぬいぐるみであった。
犯人は、ミニチュア・ダックスフントである。
電話をかけてきたのは、保育園に行っている三歳児の男の子であった。
休日で、両親が男の子を置いてどこかに出かけたのだろう。男の子は、さびしくなって、警察に電話をかけたに違いない。
警官は男の子から、近くに住む祖父母のことを聞き出し、連絡した。祖父母は、すぐに来て、男の子とミニチュア・ダックスフントを連れて帰った。
だれもいなくなった家の風呂場で、男の子の両親が死んでいることは、しばらくわからなかった。もちろん、だれが殺したのかも、わかっていない。

蒼色さん
うん、感慨深いですね。『納豆の粒のような丸い岩が転がる。』という、表現が良かったです。そういえば、冥王星の外側の軌道を公転周期1万500年で周回する太陽系で最も遠い惑星状の天体が発見されたのですね。

瀬山さん
発想力がすばらしいですね。文体は迫力があっていいです。

次のお題は、「天才」「塩」「株式」追加は「ミミズが主人公」で、お願いします。
++2004/03/16(火) 20:56

5霧湖:2004/04/07(水) 04:10
回転速すぎっすよ!

>のりのり子さま
作品はうまくまとまっているし、きちんとオチてると思いますよ。
>膝をそろえて腰を下ろし
あたり、女らしくしようと努めている主人公のけなげさがつたわりました。
お題の「仕事の上司」は頭痛が痛い、のたぐいだと思うのですがどうでしょう。

>蒼色さま
主人公は妻を思っているわけですが、一緒に来てくれなかったということで思うほど思われてないのかも? 亭主元気で留守がいいを決め込んでるのかなー、とか想像してしまって…かわいそうです。うう。

>瀬山さま
登場人物は死んでるんでしょうか?最後の
>「死後の世界なんて行ったことない」
>「まぁ、それはそうです」
で分からなくなりました。でも、雰囲気はよかったです。


【お題:「仕事の上司」「納豆」「地平線」】
【追加ルール:「天気の描写を入れる」】
 木漏れ日は宝玉の色に散って目を眇めさせる。梢の合い間からのぞく空は染みいる青さ。熱気を孕んだ風が時折頬を撫でていく。木立が途切れる先を見透かせば、どこまでも平らな草原の向こうに地平線が横たわっている。こんな景色は日本ではとうていお目にかかることは出来まい。国際的に展開されている部署に配属されて良かった。各国を点々とする生活もオツなものだ。たまに、日本、というより日本食が恋しくなることはあるけれど。ああ、白い雲がおにぎりの形だ。あつあつのごはんに塩辛、納豆、くさや……。うっとり空想に耽っていると、こつり、とこめかみをノックされた。我に返って首をすくめる。今度の仕事の上司は厳しい人だと聞いている。職務中にぼうっとしていては、ただでは済むまい。おっかなびっくり様子を伺うと、彼女は理知的な細い眉を片方だけ持ち上げた。感情の欠片も過ぎらない瞳は頭上の空より淡い色あいだ。
「説教は後でする。そろそろ来るぞ、油断するな」
 草原を貫く道路に砂埃が立つ。標的を乗せたジープがその姿を表す。私は気を引き締めて銃を構え、スコープを覗き込んだ。


【「タバコ」「ケーブル」「CD-ROM」追加ルールは「爽やかな話」】
【「ぬいぐるみ」「休日」「殺人」追加は「主人公が男の子」】
 山頂に向かうケーブルカーは、小雨がちの天気のせいだろうか、休日だというのに人気がなかった。由美は貸し切り状態にご満悦で、薄霧のかかる渓谷に向かってデジカメのシャッターをきっている。俺は手持ち無沙汰な時の癖で、ついタバコをくわえた。
「敬ちゃん、だめだよ、こんなとこで。っていうか、この前見つかって停学くらったばっかじゃない」
 たちまち由美に取り上げられた。肩をすくめて、そのふくれっつらを見やる。つぶらな瞳にへの字口、ちょっと大きめの鼻はよくあるクマのぬいぐるみに似ていて、愛嬌たっぷりだ。
「んもう。あ、でも今度の作品にタバコ吸う描写入れたいんだ。どんな味なのか、ちょっと聞かせてよ」
 彗星のごとくデビューした高校生作家はそう言って手帳を開く。熱心なことだ。今日だって、ケーブルカーのシーンを書くから乗ってみたい、という理由でデートコースが決定された。
「今度書くのは推理ものだっけ?」
「そうだよ、『湯の国殺人事件』。トリックはなかなか自信があるんだ、あのネ……」
 二時間ドラマのタイトルかよ、と突っ込みかけてやめる。うきうきと話す由美の顔を見ているのは楽しい。こっぱずかしいから言ってないけど、メールで送ってもらっていたデビュー前の作品も、ちゃんとCD-ROMにおとして保存してある。いつまで俺が一番の読者でいられるだろうか、
わからないけれど。叶うなら、ずっと――
 雲が切れた。由美の笑顔が淡い光に映えた。

あんまり爽やかじゃないかも…。

更新ボタン押して、力尽きました。
御題はにゃんこさんの
「天才」「塩」「株式」追加は「ミミズが主人公」で、お願いします。

++2004/03/16(火) 21:18

6上珠:2004/04/07(水) 04:13
一度ならず二度までも……。
と、いうことで二度目の参加です。

>風杜みことさん
前回はご批評いただきありがとうございました。
お、お題三つの同時消化……。
凄すぎて言葉になりません……。

>にゃんこさん
――赤い糸――
パソコンに疎い私は少々理解するのに手間取ってしまいました^^;
ですが、真人が恵子のメッセージに気付いてよかったですね。

――幼児――
ぬいぐるみが殺された、というのは私も考えました。
が、最後のオチまでは思いつかなかったですね……。

>霧湖さん
時事的な話でしたね^^
今、イラクにいらっしゃる自衛隊の方々もこんなことを考えているのでしょうか?


お題:「天才」「塩」「株式」 追加:「ミミズが主人公」

「どうしたんだ?」
 昨日まではツルツルで艶やかな肌色の頭をしていた俺の友人。だが、今は黒々とした頭をしている。
「イメチェンだよ、イメチェン。似合ってるだろ?」
 同じツルツル頭同士、これからも一緒にハゲを貫いて行こう――かつて交わした約束は何処へ行ったのだろうか?
 唖然としたまま、空いた口が塞がらない。
「よりいいものを求める――『株式』ってやつの基本だろ」
「待てよ! 昨日、何かあったんだろ? そうだろ?」
「うるさいなぁ……。俺はこの世で生き残る術を悟ったんだよ。こんなことを思いつく俺は天才だ。ははは、初めからこうすればよかったんだ」
 もう何がなんだか分からない。ただ、本能的に俺は悟っていた。ああ、こいつはもう変わってしまったんだ――と。
「お、そろそろ時間だな。迎えが来るんだ」
 そう言ってかつての親友は、すぐ近くの緑の茎を上っていった。遠ざかってく後姿を見ながら、俺は叫ぶ。
「ちくしょう! お前なんか意地悪な人間のガキにでも塩をかけられちまえ!」
「ははは! 『負け犬の遠吠え』ならぬ『負けミミズの遠吠え』だな! せいぜい俺を羨むがいいさ!」
 かつての親友の姿は大きな葉に隠れてしまって見えないが、太陽に照らされて奴の影がポツンと黒い点となっている。
「じゃあな! 我が永遠の親友よ! ははははは!」
 突然、遠くの空から何かが飛んできた。……鳥だ。
 鳥は急降下したかと思うと、奴が乗っていた葉を激しく揺らし、そして飛び去った、
 しばらくして葉の揺れは収まったが、そこには奴の影は無かった。


寄生虫(名前は忘れました^^;)に寄生されたカタツムリの話、ということで。
十五行を微妙にオーバーしているのが悔やまれます……。

お題:「マシュマロ」「線路」「カフェテリア」 追加注文:「恋愛ものにしないでください」
で、お願いします。

++2004/03/16(火) 21:59

7LARK(pq ):2004/04/07(水) 04:15
ちょっと恐れ多いのですが参加させていただきますです。
15行オーバーしまくり……(汗)。

>上珠さん
Leucochloridium paradoxumでしたっけ、カタツムリに寄生して次の宿主である鳥に食わせる寄生虫。それが黒々とした頭か、なるほどなぁと。読んだあとでわかりました。

お題:「マシュマロ」「線路」「カフェテリア」
追加ルール:「恋愛ものにしないでください」
 ――能力者――
 実はわたし、ヒーローなんです。超能力使えます。それで日本の未来を明るくするために頑張ってるんですよ。
 十四歳の頃にブランコから後ろに落ちて思い切り後頭部を打ったのですが、その時から未来が見えるようになったんです。でも不思議なことに、マシュマロを食わないとその能力は発揮されません。だから常にこのパーカの右ポケットに入ってるんですがね……。
 ええ、そうですよね、国の法律なんてめちゃくちゃですよ、ほんと。
 以前暇だったとき、家の近くのカフェテリアでコーヒー飲みながらいつものようにマシュマロ食ってたんですが、近くに綺麗な女がいることに気付いたんです。そしたら、やはりいつものように未来が見えましてね。彼女とわたしは結婚するんですよ、十二年後にね。彼女と結婚しなかった場合は彼女は貧乏の極み、した場合は大きな会社をおこしてわずか一年で世界中に支社が広がるわ、子供は総理大臣になるわ……、そりゃもうやるしかないでしょう? 彼女の未来を暗くするわけにはいきません。
 そして店の外に出て――わたしは彼女のあとをつけまして――人気がなくなったところで、ええ、そうです、やりました。今でも後でもやることは一緒でしょう? だからやったんですが、そうしたらほら、一発でブタ箱。
 今回の前にブチ込まれた時も、薬物中毒者が運転してる車が線路に入ってきて、死者が十八名にのぼる、というのが見えたときもそうです。運転手を駅のトイレに監禁して被害を逃れたのに、やっぱり放り込まれました。まったく、法律ってどうなってるんでしょうね?
 ここの人って結構超能力者が多いんですよ。前に未来予知と念力使える人と話したんですが、一時間後にビルの屋上から落ちてくるクレーンを念力でブチ壊したら、大爆発。まあ彼は別のいい行い――ヒーローにとっては常識的な、ね――をしてここに来たらしいんですがね。
 まったくもって、この国はとんでもない国ですなあ! 明日には滅びますよ。わたしが自由だったら助かったのになあ、はっはは!

 了

う〜ん、こういうSS書いたの久しぶりだ……。
いきなりこのネタはちぃとキツいか(汗)。
次のお題 :「フォーク」「猫」「スペースシャトル」
追加ルール:「SFにしないでください」(笑)
どうでしょうか。
++2004/03/17(水) 01:16

8からす:2004/04/07(水) 04:18
>LARK(pq )さん
 お題から遠そうに見えるストーリーがいいですね。
 ナンセンス系は結構好きです。15行を越えたのが少し残念です。

 三語即興文初挑戦です。
【お題:「フォーク」「猫」「スペースシャトル」】
【追加ルール:「SFにしないでください」】

 ――秘球――

 俺とアイツの間の空間を断ち切るかのように一陣の風がグラウンドを駆け抜ける。

 思えば、ヤツとは長い付き合い。子供の頃からアイツは猫のように敏捷で力も強かった。俺はと言えば、才能の無さを努力でカバーし、何とか一線にしがみついていた。高校に入ってからは早々に速球を諦め、七色の変化球を投げる技巧派投手として蘇った。
 しかし、昨年夏の甲子園出場を賭けた地区予選決勝、ヤツは俺の得意のフォークをセンターにはじき返し、俺はサヨナラで涙を飲んだ。そして今、再び……

 ――今年の地区予選決勝。九回の裏二死満塁。我が校が一点のリード。
 来たで、来たで、来たで、来たで! 俺は、この日を、この時を、この一分一秒を、この瞬間を待っていたんや。右手に握りしめた白球をアイツの方に向けて叫ぶ。
「松川剛児! 我が命を賭けてあみ出したこの秘球を受けてみよ! その名は、『秘球スペースシャトル』!」
 ちぇすとぉ! 俺は振りかぶり、渾身の力をこめて球を投げつける。



 カッキーン! 白球は、俺の頭を越えてバックスクリーンへ一直線に飛んでいった。

 スタンドの歓声を尻目に俺はボソッとつぶやく。
「秘球の名前を考えるのに精一杯で、どんな球にするのか考えてなかった……」

 以上

 空白行を除けば、何とか十五行に納まったはずですが。

 次のお題 :「デザート」「傘」「格闘技」
 追加ルール:外国を舞台に
 いかがでしょうか。

++2004/03/17(水) 06:01

9セドナ:2004/04/07(水) 04:20
>LARK(pq )さん
「マシュマロ食べる超能力者」っていう設定がかなりツボです。あのマシュマロのどこからそんなエネルギーが生まれるんでしょうね。(笑)

初挑戦です。「スペースシャトル」の処理にずいぶん苦労しました。
お題「フォーク」「猫」「スペースシャトル」
追加ルール「SFにしないでください」

「ただいま」
「おっ、洋平、いいところに帰ってきたな。ちょっと見てみろ」
「父さん、また平太に芸を仕込んでいるのかい?」
 平太というのは我が家で飼っている猫の名前である。元々、母が大事に飼っていたのだが、昨年末に母が死んでからというもの父がその面倒を見ている。
「今度はいったい何を教えたんだい?」
 台所にいくと、とってつけたようなナプキンを首に巻いた平太がいた。そして平太の足下にはプラスティックのナイフとフォークが置かれていた。
「いやあ、平太にもそろそろ紳士のたしなみを教えておこうと思ってな、テーブルマナーというやつを仕込んでたんだ」
 何がテーブルマナーだよ、と思い僕は心の中で朗笑した。――昔から父は、こんな調子だった。
「洋平、おまえは大きくなったらスペースシャトルにのって宇宙に行くんだ。そしてな……」
 父が若い頃、親の残した借金でずいぶん苦労した話は母から聞いていた。学校にもろくに行けず毎日ただ働いてばかりだったらしい。今、目の前で平太と遊んでいる姿からは、とてもそんな過去は想像できないけれど……。
「平太、じゃあさっきやったとおりにするんだぞ」「父さん、俺、決まったんだ」
「そうじゃない、ナイフはこう使うんだ」「俺、選ばれたんだ。来年、宇宙に行くんだ」
 それまで平太とじゃれていた父の動きがピタリと止まった。父の眼にうっすらと光るものが滲んできた。
(了)

先を超されてしまいました。
お題はからすさんの「デザート」「傘」「格闘技」 追加ルール「外国を舞台に」 でおねがいします。
++2004/03/17(水) 07:02

10コータ:2004/04/07(水) 04:22
どうも、初参戦です。

>からすさん
雰囲気がすごく伝わってきました。
「白球は名前の通り、スペースシャトルのように青空へ消えていった」というオチもありかな?なんて思いました。

>セドナさん
スペースシャトルですごく苦労したのが伝わってきました。
けど、読み終えてみるとじわっときました。

お題 :「デザート」「傘」「格闘技」
追加ルール:外国を舞台に

 
 強い奴に会いに行くという言葉の通り、俺は格闘技を極めるためにこの国に来ていた。
 情熱の国というだけあって、雨の日にも関わらず大通りには人が溢れている。
 ふいに「キャー」という悲鳴があがった。
 見れば一頭の大きな牛が暴れている。
 俺は上着を脱いで左手で持ち、傘をたたんで右手で持った。
 よしっ、こいつを食後のデザートに変えてやる。
 俺は闘牛士になったつもりで戦いを挑もうとした。
 その時、ダダダダダッという地響きに似た音が聞こえてきた。
「ペラペラペラ」(逃げろ! 牛がそっちに行ったぞ)
 というスペイン語も。
 次の瞬間、俺の視界に暴走する牛の群れが入ってきた。
 もしかして、これが噂の牛追い祭りというやつか?
 その数、およそ二百頭くらい。
 こんなの勝てるわけがないっす!
 俺は慌てて駆けだした。


ああっ! ヘタレ物書きでごめんなさい。

次のお題は「桃太郎」「電車」「計算機」で、追加ルールは「登場人物が二人以上」でお願いします。

++2004/03/17(水) 11:44

11蒼色:2004/04/07(水) 04:25
昨日に続いて二度目です。

>>コータさん
よくお題を消化されていますね。
見習いたいものです。

≫セドナさん
物語を感じました。

お題は「桃太郎」「電車」「計算機」で、追加ルールは「登場人物が二人以上」

ホームに電車が着いたのがわかる。私はホームの先頭に立って電車に乗り込む。
車内の人が奇異の目を私が連れる犬に注ぐのが気配で分かる。
私の犬、ハークは周囲から見ると顔がへちゃむくれて潰れていて三頭身で鳴きもしない可愛げのない犬だそうだ。
だけど、目の見えない私にとっては桃太郎が連れている犬なんかよりもよっぽど頼りになる可愛い可愛い盲導犬だ。
ハークによたよたと連れられて手すり寄りかかってからシルバーシートらしき場所に座る。
隣で計算機を叩くような音がする。なんだろう。最近流行っているというノートパソコンだろうか。私も使ってみたいと思う。
唐突にカシャカシャといった計算機の音が止む。隣で気配が動いて話しかけてくる。
「失礼ですが、盲導犬ですか?」
低い男の人の声。犬が嫌いな人なのだろうか。おずおずと答える。
「はい。目が見えないもので」
「やっぱりそうですか。私も耳が聞こえないんですよ。こうやってメールでコミュニケーションを取るしかない」
「そうなんですか。それでも、一般の方はどう思っているか知りませんが、お互い、とても大変だなんて言えませんね」
「本当に」
唐突な会話はそこでとぎれてしばらく無言になる。
ふと、相手の方が言ってきた。
「……可愛い犬ですね」
「はい、それはもう」

つまんねぇ。けど修行にはなります。

次のお題は
「スコップ」「マンゴー」「タバコ」追加ルールは「恋愛もの」で
++2004/03/17(水) 15:58

12うり:2004/04/07(水) 04:26
>蒼色さん
ちょっと読み辛い所があります。投稿される前に、要推敲ですね。
耳が聞こえない人は、どうやって隣に座った『私』の言葉を理解したのでしょうか?
細かい詰めを忘れずに。

お題:スコップ、タバコ、マンゴー
追加:恋愛もの

「何これ?」
彼女は寝起きの猫の様にベッドの上で伸びをすると、目を見開いて床を見詰めた。
八畳のフローリングを埋め尽くすほど、雑多な物が散らばっている。食べ物、雑貨、雑誌、等など。それぞれが何種類もあるならまだしも、同じ物が何個も転がっているのだ。
「覚えてないの?」 僕はそう言いながら彼女の白くてひんやりとした背中を抱き締め、耳元でささやいた。彼女は振り返って僕を見詰めると、悪戯っ子の様に鳶色の瞳を輝かせ、小さく首を傾げた。
彼女はアルコールに強い質ではないのだが、飲む事が大好きで、しかも毎回の様に記憶をなくすのだ。特に昨日は酷かった。
――「ナニ他のオンナ見てんのよお」
シャーベットブルーで彩られた二重の目をとろんと細めて、僕に向かってぐいと顎を突き出した。
青山のバーを出て、酔い覚ましに骨董通りを歩いている時だった。それは、全くの彼女の誤解で、僕は必死に誤解を解こうとしたが無駄だった。泣く子と地頭は何とやらで、駄々をこね出した彼女は、地上の支配者なのだ。
「マンゴー食べたい!」と、喚きながら僕の身体をぽかぽかと殴り出した。仕方なくタクシーを拾って、終夜営業のスーパーに向かったのだが、彼女の買い物はマンゴーだけでは済まなかった ――。
「……マンゴーは?」と、申し訳なさそうに僕を見上げる彼女に、視線でキッチンの汚れた食器を示す。彼女はタバコを咥え、裸のまま床にしゃがむと、昨晩の戦利品の一つを拾い上げた。
「昨日の事、記憶の底に埋めてくれる?」
銀色に輝くスコップを小さく左右に振りながら、彼女は恥ずかしそうに微笑んだ。

次の方へ
お題:蛍光燈、水族館、カンガルー
追加:さりげなくホラー
++2004/03/17(水) 20:42

13柿美:2004/04/07(水) 04:28
>うりさん
酔っ払ってマンゴーというのはいいですね。
ラストはちょっと恥ずかしい気分になりました(^^;

お題:蛍光燈、水族館、カンガルー
追加:さりげなくホラー

 僕の部屋の四角い照明を指差して、ゆみが言う。
「ほら、一部分黒くなってるでしょ? あれよ」
「蛍光灯が一つ切れてるだけじゃないか」
 僕はベットに座ってスプリングをぎしぎし言わせている。ゆみは真向かい、勉強机の椅子に腰掛け時折くるくると椅子と共に回転する。
「それとね、水族館の魚達、必ず右か左か一方の姿しか見せないでしょ? 見せてない方の姿がそうなのよ」
 僕はスプリングをぎしぎし言わせるだけ。自分の膝をじっと見ている。
「なに、汗かいてるの?」
 ゆみが問うが、僕は答えない。彼女の目を見ることすらできない。
「そうそう、こないだテレビでカンガルー見たのよ。カンガルーの袋もそうだったわよ。袋から小さくて可愛い肌色の手が出てたんだから」

3語の一つ一つに意味を持たせてしまいました(情けない…)
そのくせわかりにくいですね(^^;

次は「目・手・足」追加ルール「お題を身体描写に使わない」
++2004/03/17(水) 23:57

14RY:2004/04/07(水) 04:30
初めまして。風社さんに薦められてちょっとのぞきにきてみました。(その節はお世話になりました。笑)
ついでに、鍛錬にも参加させて頂こうかと……。

――と、その前に感想ですね。

>うりさん
ちょっとオチが分からなかったのは、きっと自分の読解力のなさのせいです。
シャベルと「埋める」がかけてあるのは分かったんですが……。
でも、恋人同士のいい感じな会話の雰囲気はとても伝わりました。

>柿美さん(先を越されてしまいました)
なんとなく怖い雰囲気は伝わりました。
でも、ちょっと頭の弱い自分には難しかった部分がちらほら。
魚の裏側とか、カンガルーの袋が何を意味してるのか分かりませんでした。

――なんか拙い感想でしたね、すいません。

以下、自作です。お題はうりさんからのものです。

お題:蛍光燈、水族館、カンガルー
追加:さりげなくホラー


 僕の彼女は水族館でサメの飼育を担当している。一日のうち何度か、巨大な水槽にダイバーの格好をして潜り込み、直接手から餌を与えるのだ。
 小さな頃から泳ぐことが大好きだったという彼女は、ぜったいに水に潜る仕事に就きたいと考えていたらしい。本当はイルカのショーをやりたかった、とよく僕に愚痴をこぼすのだが、今の仕事もそれなりに楽しくやっているのだろう、と僕は思う。
 なぜなら仕事の話をするとき、いつも彼女の顔は輝いているからだ。
 危なくサメに食いつかれそうになった時の話など、もう何回聞かされたか分からない。けれどそれを話すたびに、彼女はいつも、最後にこう付け加える。
「あたし、本当にサメが好きになっちゃった。愛してるといってもいいぐらい」
 いつもならここで照れくさそうな表情になって話が終わるのだが、今夜はそれからさらに続いた。彼女の勤める水族館からすぐ傍にあるバー。仕事帰りに、今夜はちょっとだけおしゃれな雰囲気を楽しもうと、僕のほうから誘ったのだった。
 もちろん下心はあるが、恋人同士なら当然のことだろう。
「あのワイルドさに比べたら、イルカなんかただ可愛いだけよ。コアラとかカンガルーといっしょね。一目見て好きにはなれるけど、心が苦しくなるぐらい愛せるわけじゃないわ」
「なんだか悔しいな。君は僕よりもサメの方が大事みたいだ」
「……あるいは、ね」
 小さく呟いた彼女の顔が微笑んでいたので、僕はそれを冗談だと受け取る。
「ねえ、これから水族館へ行かない? どうしても、あなたと一緒にやりたいことがあるの」
 従業員用の鍵なら私が持ってるわ、と彼女は艶やかに笑う。それがどうにも色っぽく見えて、僕の欲望が疼いてしまった。
「いいよ。愛しのサメくんに挨拶しに行こうか」

 深夜の水族館。窓のシャッターは閉め切られていて、暗い廊下を照らすのは淡い蛍光灯の明かりだけ。その一際大きな水槽の縁に、ダイビングウェアを着込んだ彼女は座っていた。小脇に抱えているバケツには、餌がぎっしり詰まっている。
「一度でいいから、こうしてあなたと一緒にこの水槽に潜ってみたかったのよ」
 彼女は言った。蛍光灯の青白い光に照らされた、静かな微笑みをたたえながら。
 彼女の気配を感じ取ったのか、まだそれほど大きくないホオジロザメが二匹、優雅な泳ぎで水面にあがってくる。
「ふふ、そんなに焦らないで。きちんと全員分あるから。きっとおいしいわよ。今まで食べたことのない味がするはずよ」
 愛しげにバケツを抱えたまま彼女が水槽に潜ると、鮮やかな赤い波紋が水面に広がっていった。


……以上。ちょっと長かったでしょうか。なにぶん初心者なもので難しくて。
オチは分かりやすくしたつもりなんですが、どうでしょう?
続いてのお題は柿美さんからの「目・手・足」追加ルール「お題を身体描写に使わない」でお願いします。

++2004/03/18(木) 00:26

15和音:2004/04/07(水) 04:32
初参加です

>柿美さん
やっぱり三つをもっとつなげて話を作った方がいいんじゃないんですかね?

お題:「目・手・足」追加ルール「お題を身体描写に使わない」

 僕は高校から自宅への道のりを一人歩いていた。
 今日はセンター試験の一斉自己採点の日だった。わざわざ集まって一斉に自己採点するのは、高校内での順位決定の資料にするためらしい。
 そして、自己採点の結果は……、ぼろぼろだった。手厳しい採点なんてまったくしていない。できるだけ甘くつけてもこの結果だ。これではどこの公立大学でも足切りにあってしまうのは目に見えている。
 そうしているうちに自宅に着いた。
「……はぁ」
 思わずため息が零れる。
 今回の結果を父に言えば、間違いなく目くじらを立てるだろう。
 それでも入学金を出してもらうには逐一結果を報告しないといけない。
「私立で行くしかないか……」
 ため息を吐きながら、僕は玄関のドアを開けた。

 これは身体表現じゃないと思うんですけど、どうでしょう?

次のお題:「みそ汁」「携帯」「机」、追加ルールは「犬を出すこと」
++2004/03/18(木) 00:36

16のりのり子:2004/04/07(水) 04:35
一日一度なら構わないとのことなので、三度目の参加です。

>和音さん
なるほど、そういう消化の仕方もあるんですね。
勉強になりました。

>RYさん
怖いですね、さりげなくどころかど真ん中ホラーですよ!(笑)
オチはわかりやすかったです。

>柿美さん
彼は彼女に監禁されているのでしょうか・・・?
雰囲気は怖かったです。後に引きずる怖さですね。


「目・手・足」追加ルール「お題を身体描写に使わない」

 宙を舞った鍋からカレーの塊が飛び出した。
 床の上に落ちたそれを、彼女はこれでもかとばかりに荒荒しく踏みにじる。大きめのじゃがいもが粉々に砕けていくのを、僕はただ部屋の隅に座って眺めていた。
 乱れた髪の毛を直して彼女は僕に言った。
「本当のことを言ってよ」
「だからそのカレーは自分で作ったんだよ」
 ちゃぶ台の上に置いてあった孫の手を掴み、しずしずとこちらへつめよって、彼女は僕の顔に孫の手の先をすべらせた。
「本当のことを言わないと鼻につっこむわよ」 
 こちらを威圧しているつもりなのだろうが、やられる方にとってはくすぐったいだけだ。笑いをこらえるのに僕は必死になった。
 それを見た彼女は腹を立てたらしく、孫の手を乱暴に放り投げた。
「もういいわ。全部わかった。目は口ほどにものを言うって本当ね」
 額に衝撃が走った。痛みをこらえながら側にあった部屋の立ち鏡に映してみると、そこにはカレーの色をした彼女の足の跡があった。
 玄関のドアが勢い良く閉まる音がした。じゃいものカスがぽろりと落ちて、呆然とする僕の鼻の上に乗っかった。鼻腔に入ってくるカレーのいい匂いに、恋人を失ったにも関わらず若い僕の腹は空腹をうったえるのだった。


少しオーバーしてしまいました。
お題は和音さんの出したもので続けてください。

++2004/03/18(木) 01:53

17LARK(pq ):2004/04/07(水) 04:37
またまた参加しちゃいます。
>和音さん
身体描写に使わないとなるとかなり突拍子も無いネタが思いつくんですが、和音さんはそういうやり方(=方向性)で取ったんですねぇ。なるへそ。
>RYさん
今まで食べたことのない味ってことは、バケツの餌じゃないですよね。じゃあやはり女が食われたってこと? ちなみに「僕」の役目はどうだろう……。
>柿美さん
すみません、オチがわかりませんでした。察するの得意じゃないので(^^;

お題   :「みそ汁」「携帯」「机」
追加ルール:「犬を出すこと」
――超常科学味噌汁――
 犬など大嫌いだ。可愛いのはわかるさ、でも相手は畜生、晩飯はご主人様、なんてことになりかねん。
 彼は光太。絵本で食っている。今日も独り言を言いながら犬の絵を描いているのだった。
 ある日の昼間、ひょんなことから体長二十センチほどの子犬を拾った。痩せており、ひどく衰弱している。毛は白い。右目の下の部分だけ、真っ黒なまんまるのブチがついていた。
(心無い飼主もいるもんだ。いくら俺でもさすがに可哀相だ。放っておけん。)
 家に連れ帰り、残っていた朝の味噌汁を温めて飲ませてあげると、少しばかり元気になったように思われた。
 翌日、ほおっぺたをヌルヌルしたものが触るので、はっとして飛び起きると、そこには大人の腰の高さほどもあろうかというほどの大型犬がいた。そいつが顔を舐めている! 彼は絶叫した。見ると、右目の下に真っ黒いブチがついている。昨日の犬だった。
 思い当たるものは味噌汁だった。ともすれば、この犬が化け物か、はたまた昨日の味噌汁がとんでもない成長剤だったか――それしか考えられない。味噌汁を飲ませたあとは何もしていないからだ。
 彼は携帯電話を使って、オカルト新聞社に連絡を入れた。すぐに彼らは飛んできた。
――思ったとおり、味噌汁をやらないと大きくならず、やると翌日にでかくなった。すでに身長百七十センチの光太を軽々と見下ろすまでに成長していた。顔の横幅は五十センチをこえた。
 だが、味噌汁を食った光太自身は何ともない。しかし、それも『人間には効かないんだ』で話しが進んだ。どういう理屈でこんなふうに作用するのかは、ここにいる誰もが想像すらできなかった。
「何にせよ、大スクープだ! この味噌汁と犬は研究機関に出したほうがいい!」
 そう新聞記者が言ったのもつかの間、そいつは食われた。口の中で悲鳴をあげると、他の記者もばかでかい声をあげた。光太の目に血が入ってしまい、彼は何度も目をこすった。やっと痛みがとれてき、ゆっくりと目を開けてみると、新聞記者は全員消えていた。あるのはむっとする厭な湿気。文字通りの血の海に肉片。
 そして光太のほうへくるりと振り向く犬。
「……犬など大嫌いだ……」
 彼は意識を喪った。

――現在町を震撼させている事件が、全て光太と犬によるものだとは誰も知らない。

 了

思い切り撃沈しました。十五行って辛いです。しかも何度も削ってたら淡々とした調子になってしまったうえ、どうにも無理があるような。簡単な説明さえ入れられれば。
くそう……。皆さん凄いですなぁ。もっと頑張らねば。

次のお題 :「大切な髭」「髭剃り機」「ピアニスト」
追加ルール:「甘く切ない恋愛物語にしてください」
どうでしょうか(笑)。
++2004/03/18(木) 03:13

18LARK(pq ):2004/04/07(水) 04:39
あ、しまった、「みそ汁」なのに「味噌汁」で変換したままだった(泣
すみませんでした。
++2004/03/18(木) 03:15

19にゃんこ:2004/04/07(水) 04:41
今回二度目の参加ですヽ(^。^)ノ

なお、「LARK(pq )さん」「のりのり子さん」「和音さん」「RYさん」「柿美さん」「うりさん」の感想批評等は私の作品の下に書いてあります。
◆次のお題は最後に書いてあります。

お題 :「大切な髭」「髭剃り機」「ピアニスト」
追加ルール:「甘く切ない恋愛物語にしてください」

―― ピアニスト ――
ピアニストは、ため息をついた。
いくら娘にピアノを教えてもうまくならない。
神の手を持つといわれる自分と天才といわれた妻との間に生まれた娘が十九にもなるのに、コンクールのひとつにも優勝しないのだ。
そんな男の枕元に妻の幽霊が立った。妻によると、あの子に好きなひとが出来ると、かならずピアノはうまくなるというものだった。
男は、それを聞いて思った。そういえば、妻を愛するあまり、家に閉じ込めてしまった。しかし妻は、文句ひとつ言わずに私に尽くして、死んでいった。あれは事故ということになっているが自殺だったかもしれない。
娘にも同じ過ちを繰り返すところだった。
それで、娘に自由を与えた。すると、瞬く間にピアノがうまくなっていった。
やがて男は、娘が好きな青年を紹介してきたときに、大切な髭をつい最近出来たばかりの髭剃り機こと、バリカン式・電気剃刀で剃った。
剃刀と比べると剃り残しはあったが、それは、妻や娘を独占したいと思う男の残心とどこか似ていた。

◆LARK(pq )さん
『超常科学味噌汁』この作品はかなり面白いですよ。
ただ、文章鍛錬企画が5行から15行ということなので、そういった意味では作品作りにかなり無理をしたようですね。おまけに行数がオーバーになってしまいました。
だけど、発想力の面白さ、それに内容にあった文体と、なかなか味わいがありました。オカルト新聞社とかが出てきて、雰囲気を盛り上げています。
この作品は作者さんが納得のいくように書き込んで、鍛錬場に改めて、投稿して多くの皆さんの批評を仰いだほうが良いのではないかと思います。

(本文が長いため分割掲載しました)

20にゃんこ:2004/04/07(水) 04:43
(上の続きです)

◆のりのり子さん
お、面白いです――。
この「短い作品」のなかで、三つのお題と追加ルールをこなし、その上に嫉妬と欲望までもが表現されています。この作品の味わい深いところは、彼女が怒って「孫の手」で主人公を攻撃する態度を表しているにもかかわらず、主人公が彼女と孫の手を小ばかにして、笑いを我慢しているところの描き方でしょうね。

◆和音さん
主人公のやりきれなさが伝わってきました。センター試験の自己採点でぼろぼろとは、悲しいですね。自宅での父親とのこれからのやりとりが、ラストで想像できました。

◆RYさん
この作品は「さりげなく読んでいると」面白いというか、ホラーの香りもするし、お題の蛍光燈、水族館、カンガルーと、追加の「さりげなくホラー」もばっちりこなしていて良かったです。
しかし、いつの間にか、「一人称」の主人公がバケツの中に入っていて、サメの餌になっています。ホラーなので、こういうのもありですか。
雰囲気はいいです。

◆柿美さん
これは解読できませんでした。ただ、主人公と彼女のやり取りから想像すれば、多少のことはわかります。たぶん主人公が浮気をしていて、彼女がねちねちと攻め立てているのでしょう。3語の一つ一つに意味を持たせるのは良いのですが、それらを関連付けなければ意味はありません。ラストは「(中略)可愛い肌色の手が出てたんだから」は、怖いですね。
「一部分黒く」「一方の姿」そして、カンガルーの袋から見える手と、ここいらが、浮気の証拠を見つけたと暗示しているように思いました。
こんどは、もっとわかりやすく書いてください。

◆うりさん
なかなかいいですねこの作品。
たしかにお酒が入ると記憶があやふやになる人がいますよね。
いろいろ買わされたのに、そういったことを記憶にとどめていないとは、男のほうは可愛そうです(笑)。しかし、マンゴーのことはしっかり覚えているようですね。マンゴーは世界三大美果(その他はマンゴスチン・チェリモヤ)で、おいしいから、彼女は覚えていたのかな。しかし、食べたことは覚えていなかったみたいですね。
「昨日の事、記憶の底に埋めてくれる?」この文章はたしかに「むふふ……」で、そのあとに続く文章もこの作品のフィナーレーを飾るにふさわしかったです。


次のお題は「セドナ」(つい最近発見された太陽の第十惑星です)「小唄」「陽炎」
追加ルールは「江戸時代または、それ以前の武家時代にすること」

以上

++2004/03/18(木) 18:14

21:2004/04/07(水) 04:46
>>にゃんこさん
妻や娘への想いを剃り残しで表現するとは……着想がすばらしいと思います
ただ、幽霊を出すというのは……でもピアニストには繊細なところがあるから逆に良いのかも知れません

>>LARK(pq )さん
なんだかドタバタしてましたが、続きが気になりました。(あの後町は!?)
夕食の味噌汁を飲むのが少しためらわれましたw

>>のりのり子さん
人間の本能的なものが垣間見えて、短いながら味わいがあるな、と思いました
なぜか孫の手で失笑してしまった僕はおかしいでしょうか?

感想を書いたので、稚拙ながら僕も初参加させていただきます。

お題:「セドナ」「小唄」「陽炎」
追加ルール:「江戸時代または、それ以前の武家時代にすること」

――遠い星から――
古都の朝、武士は緑溢れる広がる草原に寝そべり、晴れ渡った青空を幸福な面持ちで見ていた。
大政奉還は丁度一月前に行われ、国の形が自分の思ったようになりつつある。もうこの国は、鎖国の国でもなく、攘夷の国でもない。世界に開かれた明るい国なのである。これから日本が近代国家の道を歩んでいくと思うと、楽しくてたまらない
ふと物が落ちる音を聞いたような気がして、武士は上半身を起こした。辺り一面緑で埋め尽くされた草原に、一点の曇りが生じている。
武士が陽炎のゆらめきを抜けて駆け寄ってみると、そこには朝日を浴びて銀色に光る薄い紙切れが落ちていた。
手に取ると、ざらざらとしたさわり心地とともに、全身を抜けていくような冷たさが武士を襲った。
武士が目を凝らしてかすれた文字を見てみると、紙切れにはこう書かれていた。
「下等な星に調査の意味を込めて道しるべをしておく。 今太陽の影から顔を出している星より」
下等とはなんだ。武士は怒りを込めて空を見上げた。確かに太陽の影から霞んだ星が顔を出している。
昼間でも見えることに驚きながら、武士は二枚目を読む。行頭に、“氷の歌〜滅び〜”と書かれた紙は、小唄の師範が書いている楽譜によく似ていた。その上とても難しい旋律であることが武士にも分かった。
武士は口元に笑みを浮かべた。遠い星から小唄で挑発か。面白い。帰って演奏してみるか。武士は鼻歌を口ずさみながら宿屋へと戻っていった。

坂本竜馬が見廻り組の襲撃に遭ったのは、その二日後のことである。


にゃんこさんが行数制限がある旨をおっしゃっていたので、その点を意識した結果、随分と粗い作りになってしまいました。
それでも行数を少しオーバーしてしまったのはお許しください。

次のお題は「犬」「ウィンタースポーツ」「血」
追加ルールは「ホラー物はやめてください」
でお願い致しします。
++2004/03/18(木) 19:55

22:2004/04/07(水) 04:48
すみません
↑の投稿で一字下げを忘れてました
基本がなってなかったと反省しております
++2004/03/18(木) 19:57

23風杜みこと★:2004/04/07(水) 04:50
>謎サン
「三語の、漢字(平仮名、片仮名)と音を変えず、そのまま使用する」という原則をクリアしているかどうか、ちょっと疑問です。
 あ、大河ドラマの『新撰組』は私も好きですよ!

――お題:「セドナ」「小唄」「陽炎」
――追加ルール:「江戸時代または、それ以前の武家時代にすること」――

 ちんてんしゃん、と三味線を爪弾きながら掘をそぞろ歩いていた女は、ふと足を止めた。宿の方から小唄が流れてくる。女は弾く手をとめず、声に誘われるまま角を曲がり、上を見上げた。
 男が窓に腰かけ、低く艶のある声で歌っていた。片足を桟にあずけ、水辺を思わし気に眺めてる。
 女の手が止まったのは、柳の枝を揺らした風のせいでも、曲に飽いたわけでもなかった。男の水際だった容貌につい我を忘れてしまった為だった。抜けるように白い肌、切れ長の瞳に赤い唇。化粧をしているわけでもない。陰間にしては大柄で、そこはかとない気品がある。
「おや、止めちまうのかい?」
 女が見惚れていると、男が声をかけてきた。
「いいえ、旦那。言ってくだされば、お好きな曲をお弾き致しましょう」女は慌てて応えた。町人風ではあるが、声に威勢がありすぎる。何者だろうと女がいぶかっていると、男がいった。
「じゃあ、一つ頼むよ」
 男が口にした曲を弾き始めると、さきほどよりも朗々と男は唄いはじめた。三味線の音と男の声は夜気を震わせ、不思議な調和をみせ、しばし異界へと聴く者の心を誘った。
 唄が終わると男は満足気に笑った。
「姉さん、ありがとよ。あー、来たかいがあった。やっぱり休暇はここじゃなくちゃ。……さて、そろそろセドナに帰るか」
 男はそう言うと陽炎のように立ち消えた。
「あっ……!」
 後にはお代を貰い損ねた流しが一人、柳の下で風に吹かれるばかり。
 後日、台帳を踏み倒した男の似顔絵が作られ、配られたものの、男のその後を知る者は誰一人とていなかったという。

(チャンチャン☆)

――お題「犬」「ウィンタースポーツ」「血」、追加「ホラー物はやめてください」――

 三月ともなるとウィンタースポーツのメッカである雪山も、ところどころ地肌をさらして寂しくなる。
 僕は愛犬のマリを連れて、ペンションに泊まっているのだが、シーズンも終わりかけなのか客は少ない。
 実はこのペンションにはいわくがあった。なぜか鎌井という人が泊まると血が流されるというのである。
 僕の名前は一字違いの鎌居。だが、ネットでみつけた、この噂の真偽を確かめる為にわざわざ大学の友人をここに呼びだしていた。
 その友人の名は……。

「よっ、ご無沙汰。元気してたかー?」
「鎌井、よく来てくれたな」僕は立ち上がって彼を迎えた。さりげなくテーブルの向かい側の席をすすめる。
「去年以来だな。で、はるばる俺の地元まで来て、用ってなんだ?」
「いや、ちょっと立ち寄ったもんで。卒業したら別々だろ? こんな機会でもないとお前とは酒を飲む機会もないだろうし……今夜は泊まっていくだろ?」
「えっ……。じゃー、ウチに電話入れておくか」
 友人は目の前で携帯をかけはじめた。
 僕はマリの毛を左手で撫でながら、水割りを右手で掲げた。
「君の瞳に乾杯!」

 ――了――

 次のお題は「土俵」「間一髪」「児雷也」
 追加ルール「美味しそうにものを食べるシーンを入れてください」でお願いします。
++2004/03/18(木) 21:17

24からす:2004/04/07(水) 04:53
>にゃんこさん
 恋愛物語になるのかなとふと疑問に思いましたが、ストーリーは面白かったです。もう少し長くしても面白そうな題材ですね。
 お題にちょっと文句(笑)。小唄は明治以降ですよ。その上「セドナ」を使って江戸時代以前。お題が厳しすぎます。

>謎さん
 めちゃくちゃ早いですね。負けました(笑)。でも「セドナ」の文字が抜けていますよ。武士=坂本竜馬でしょうか? 江戸時代SF、いい発想ですね。なかなか面白かったです。


◆この「セドナ」の使い方は反則技でしょうか? 十五行以内というルールがいつも大変です。

 ―― 追っ手 ――

 時は永禄元年四月、桶狭間の戦いで織田信長が歴史に踊り出る少し前のこと。後に、『船頭小唄』の詩人野口雨情の生まれ故郷として有名になる常陸の国磯原の海岸沿いの小道をを一人の男が先を急いでいた。
 暑い。この時節にしては異常なほど暑い。速度を少し緩め、男は額の汗をぬぐう。まげは乱れてざんばら髪のようになり、鎧や具足も既に打ち捨てていた。何とか兄のいる本陣まで駆け戻り戦況を伝えなければ、ただそれだけの思いでここまで走ってきた。
 が、その時ゆらゆらと陽炎の立つ向こうから数人の男たちが現れた。
 追っ手か? 追っ手はすべて振り切ったはずなのに。男の顔が緊張で引きつる。

「おぬし、ハセドナンベエか?」男たちの一人が叫ぶ。

 男は、思わず腰の刀に手を掛けた。――しかし、すぐに身体の力が抜け、その場にへたへたと座りこむ。
「兄者!」
「南兵衛……!」
 緊張の解けた男の目からいつしか涙がこぼれ落ちていた。
(了)

 お題は、風杜みことさんの出したものでお願いします。

 出そうとしたら、風杜さんも! みんな早すぎです。
++2004/03/18(木) 21:27

25新堂渚:2004/04/07(水) 04:56
>にゃんこ様
いつもお世話になっております。
どこか哀愁の漂う父親の姿がありありと浮かんでよかったです。
最後の一文も上手いですねw

>謎様
まさか坂本竜馬が出てくるとは思いませんでしたw
内容もSFチックな味があってよかったです。

>風杜みこと様
前者のほうは台詞にとても好感がもてました。
独特の雰囲気もいい感じです。
後者は……心に残るものがなくて残念です;

>からす様
殺伐とした戦場の雰囲気がよく出ていたように思えます。
二人の呼び合いに感情がこもっててよかったです。

お題:「土俵」「間一髪」「児雷也」
追加ルール「美味しそうにものを食べるシーンを入れてください」

 人間達には知られていないことだが、猫の間では『ネコズモ』と呼ばれる競技が流行っている。満月の夜になれば申し合わせたように猫達が公園へと集い、公式戦と呼ばれるネコズモの大会が催されている。
 一見、人間達のやっている相撲と変わりないように見えるが、やはりそこは猫のやること。最初から前足が地面についているせいか、必然と勝利の方法は限られてくる。
 ようは威嚇したり引っ掻いたりして、戦意を喪失させることが重要になってくるのだ。
 
 児雷也はまだ幼い猫で、ネコズモの正式な大会に出場するのはこれが始めてのことだった。初戦こそ間一髪、紙一重のところで逆転できたものの、運悪く二回戦の相手は優勝経験のある『隻眼のミケ猫』だった。
 しかし、児雷也は臆さない。優勝賞品である煮干一年分のことで頭が一杯なのだ。頭から食べようか、尻尾から食べようか、それとも時間をかけてしゃぶろうか。そんなことを考えながら土俵の土を踏む。そして、勝負の行方は――

『勝負あり! 勝者児雷也! 決め手は猫だましだにゃ!」

*****

お粗末様です(^^;
頭の中で『土俵→相撲→猫だまし→猫相撲』という突拍子もないコンボが決まったので、思わず書いてみた次第です。

次のお題は「包帯」「ナイフ」「注射器」
追加お題は「コメディでお願いします」
++2004/03/19(金) 02:42

26せどな(お題とかぶってややこしいので今回は平仮名で):2004/04/07(水) 04:57
>からすさん
 そんな「セドナ」の使い方があったとは……。基準ぎりぎりでOKとしましょう。(笑)
 歯切れのいい文体で男の緊張感が伝わってきました。「ナンベイ」と「兄者」の関係をもう少し詳しく書いてもいいかな、と思いました。
 
>風社みことさん
 1作目、うまいですね。「いぶかしい」とか「そぞろ歩く」とか、時代の雰囲気がすごく伝わってきます。
 2作目は「かまいたちの夜」ですか? ホラーが始まりそうで始まらない、という独特な感じがおもしろいなと思いました。

 
[ディナー・バトル・タイム]

「こちらトマトのブルスケッタになります」簡単な説明のあとウェイターは皿をおいた。
 薄く切った4枚のガーリックトーストにオリーブオイルを和えたトマトがのせられている。まぶしてあるのはバジルだろうか。
「美味そうだな」「ねぇ、速く食べようよ」僕と彼女はお互いにひとつずつ手にとり、そして食べた。
 トーストの香ばしさにトマトの酸味が混ざり合って、絶妙な味わいが生まれる。僕と彼女はとても幸せな気持ちになる。
「おいしいね、もうひとつ食べていい?」「いいよ」本当にうまい。僕ももう一つ食べようか。
 ……ん? おかしい。皿の上に何もないではないか。――ブルスケッタはすべて消えていた。

「やるなカナメ、さすがくのいち組筆頭を務めるだけはある、ブルスケッタをどこへやった?」僕は神通力で目の前のカナメに話しかける。カナメも神通力で言い返す。「私の好物がトマトだって知ってるでしょ、児雷也。あなたに食べさせるなんて、そんなもったいないことできないわ」「今日はきっちり二等分しようっていったじゃないか」「話が変わったのよ、残念ね。……あぁやっぱりトマトは美味しいわ、モグモグ」「……そういうことか、なら次は渡さないぞ」「いいわよ、あなたには負けないもの」
 ウェイターが次の料理を運んでくる。「ムール貝のバター焼きになります」
 その直後から、テーブルの上をクモの糸や煙玉が飛び交う。ムール貝をめぐる、忍術の応酬戦が繰り広げられる。
「……ふぅ、間一髪だったわね。また私がいただくわ」「クソッ、それ以上食べると壁越えできなくなるぞ」「私はあなたみたいに修行をさぼったりしないから大丈夫よ」「言ったな、次こそは……」
 料理が運ばれてくるたびに、食事をかけた土俵際の争いがつづいていく。
(了)

またまた、先を越されてしまいました。
お題は新堂渚さんの「包帯」「ナイフ」「注射器」追加お題は「コメディでお願いします」 でお願いします。

++2004/03/19(金) 03:32

27砦海晴:2004/04/07(水) 05:00
武者修行!参加させて頂きます。

>せどな様
ブルスケッタって一体何なんですか?なんだか美味しそうですね。
忍者がオシャレな洋食屋で争っているのが面白いと思いました。

>新堂渚様
「児来也」をネコの名前として使うなんてナイスな思いつき。
ネコの相撲を「ネコズモ」と呼ぶのも、なんか可愛くて良かったです。

>からす様
冒頭のくだり、なんて博学なんだろうと感心してしまいました。歴史にお詳しいんですね。
「セドナ」、びっくりです。そうかそういう使い方もアリなのかなぁと笑わせていただきました。

>風杜みこと様
時代物のほう、すごく夢のあるお話ですね! セドナでは日本の小唄が流行しているのでしょうか。
雪山ペンションのほう、続きが気になります。どうなっちゃうんでしょう。


――「包帯」「ナイフ」「注射器」『コメディでお願いします』――

 「一郎さん!どうしたんですか、その包帯」
 サーカスの人気者、赤鼻のピエロがおどけた身振りで尋ねた。ナイフ投げの名手、一郎の腕が包帯でグルグル巻きになっている。
 「ああコレね、心配ない。いつも通り投げれるさ」
 「ちょっと待って!的のリンゴを外れたら、ボクの頭に刺さっちゃうよ!?」
 心配ない! と微笑むばかりの一郎に、おどけた調子から一転、ピエロの目が怪しく光った。
 「一郎さん。いつもあなたの思うとおりにはさせませんよ。道化だって命が惜しいんです。今日はあなたの腕をへし折って、舞台を中止にしてあげます」
 「なにを言っているんだピエロ君!はっ、この床に転がっている注射器は!?」
 「うふふ、一郎さんを倒すための注射です。ああ力が湧いてきた!さあ、覚悟っ!!」
 凶悪な形相で迫り来るピエロ。一郎はすかさず懐中のナイフに手を伸ばす。
 カツーン!カツーン!カツーン!
 派手な衣装の裾をナイフで釘付けにされたピエロは、元のおどけた調子に戻って叫んだ。
 「ひえぇ、やっぱり一郎さんすごいやぁ!!」
 客席からは盛大な拍手が起こった。


――「犬」「ウィンタースポーツ」「血」『ホラー物はやめてください』――

 どんなにこの日を夢見たことだろう。兄は生きていた!
 思えば数年前、薄汚い路地裏をハイエナのように流離った俺たち。毎日が死ぬか生きるかの世界。それでも兄さえいれば、どんな暮らしも恐ろしくはなかった。二人なら、どんな地獄だって生き抜いていける! そう思っていた。
 雑踏の中に兄の背が消え、その足取りが分からなくなってしまってからというもの、俺はどんなに孤独だっただろう。だが、それも今日までだ。兄は生きていたのだ!
 数年ぶりに見る兄は、顔つきも体躯も雄雄しく引き締まり、世間の荒波を掻い潜ってきたことを思わせた。兄は俺に様々な話を聞かせた。何がしの料理が旨かっただとか、何処そこの山は美しいのだと。冬になったら何とかというウィンタースポーツを一緒にやろうと、しきりに誘ってくれた。弟よ、今日からは血を分けた兄弟ふたり、また一緒に歩もう!

 「ねえパパぁ、あれなぁに?」
 「ああ、犬ぞりだね。レースをさせるんだ。6番の二匹、似ているなあ。兄弟かな。」
 「なんだかあの二匹、とっても幸せそう!」


次のお題は「花束」「毛皮」「カーテンレール」
追加お題は「舞台は病院でお願いします」
++2004/03/19(金) 03:53

28安藤ロイド:2004/04/07(水) 05:01
度々参加させて頂いております。
>砦海晴様
ピエロの話
ごめんなさい。私にはどこがコメディーになっていたのかわかりませんでした。
兄弟の話
犬の兄弟だったのですね。よかったですね。生き別れの二人・・・・・・いや二匹が出会えて。血の使い方にこんな使い方もあるのかと感心しました。

「花束」「毛皮」「カーテンレール」舞台は病院で行かせて頂きます。

 この病院に入院して今日で三週間目になる。入院当初の話じゃ二週間で退院じゃなかったのか? 窓際だったのが幸いだ。趣味だった人の観察を毎日この窓からできる。
 ある晩だった。カーテンレールがひっかかって締まらなかったからカーテンは開けっ放しでいた。ふと外を見ると毛皮のコートを着て、菊の花束をもって病院に入っていくのが見えた。面会時間はとおに過ぎているのに、しかも菊の花なんて非常識にも程がある。しかしなんか気になって、下の階まで見に行ってみた。しかし誰もいない。もちろん戸のカギもかかっている。その時だった。背中に冷たい感触でさわられてような気がした。おそるおそる見てみるとそこには、
「あなたこんな時間に何してるの? もうすぐ消灯時間ですから病室に戻って」
「えっ看護婦さん? なんで菊の花?」
担当の看護婦さんの私服姿だった。
「あっ、これ? ちょっと一人事故で亡くなられてね」
そうしてその時は終わったが、後々亡くなられたのはその看護婦さんだと言うこと知るのだった。

ホラーのつもりで書いてみたけど全然だめだな。
次のお題は「雷」「鉄下駄」「携帯」追加は『未来のお話』でお願いします。

++2004/03/19(金) 07:09

29戻り鰹:2004/04/07(水) 05:04
 今回はかなりのハイペースですねえ。
 ようやく参加できました。

>安藤ロイドさん
 少し怖いんですが。ちょっとこの長さでは厳しいネタだったかも。看護婦さんをもっと気味悪くしてみれば良いかも知れないです。

>砦海晴さん
 (ピエロの話)
 もうちょっと落ちにインパクトが欲しかったです。例えばピエロが裸になっちゃうとか。
 (兄弟の話)
 ああ、兄弟が巡り会うのですね。ウインタースポーツというのは犬ぞりのことなんでしょうか?なんか、好きでした。

>せどなさん
 楽しめました。ムキになってる二人が可愛らしいです。そして、美味そうでした!
 細かく忍術が設定されてればもっと良かったです。

>新堂渚さん
 猫好きなので猫ものに弱いんです。ネコズモという言葉にもうやられちゃいました。
 最後の決め手の所詳しくして欲しかったです。

>からすさん
 >この「セドナ」の使い方は反則技でしょうか?
 この言葉にどんな使い方か気になり、ハセドナンベエで大笑い。正に三語鍛錬でしかできないオチという感じでした。

>風杜みことさん
 (セドナの話)
 うまいです、話の進ませ方。なるほど、このお題どうやって消化するのか気になっていたんですが、こういう手があったんですね。

 (鎌井の話)
 正直良く分りませんでした。大学の友達をネットで見つける?とか。最後の終わり方とかが?でした。
 
「雷」「鉄下駄」「携帯」追加は『未来のお話』で

他人の脳を携帯できるというのはなんと心地よい感覚なのだろう。
 頭蓋骨という狭い空間の中にありながら世界を認識し、記憶し、計算し、更には人体行動全てを司ることのできる、恐るべき機能を持った臓器。
 もし他人のそれを自らの思い通りに操ることが出来たとしたなら、これほどゾクゾクと背筋を振るわす興奮など、他にあるはずはないではないか。
 そんな私の夢が、とうとう現実となったのだ。
十代の少年を犯人に仕立てた。
 私が携帯のスイッチを入れた瞬間。彼はスクランブル交差点のど真ん中で銃を乱射する。
次の雷を合図に、私の手によってそのショーは幕開けするのだ。
 バシャバシャと音を立てて、勢い良く雨が振っている。
 そんな中、鉄下駄を履き、銃を片手にパンツ一枚で歩く彼の姿は、酷く滑稽に見えた。
 首から【どっきりカメラ】と書かれた看板を提げている。
 道行く人々は彼に驚きながらも、何かのテレビ番組と決めつけカメラを探すためにキョロキョロと辺りを見回していた。
 まったくお気楽なことだ、これから殺されるのだとも知らずに。
 私が開発したこの装置は、きっとあの国が高くかってくれるだろう。
 2007年春。また新しい形のテロが、この世に誕生する瞬間がやってきた。
 【了】

 行数オーバーでした。(どっきりカメラは古いかなあ……)

 お題は【麻酔銃】【パンク】【風船】【〜〜から事件は起こった】という言葉から文章を始めて下さい。
++2004/03/19(金) 14:33

30RY:2004/04/07(水) 05:07
すいません。いきなり謝らせて下さい。(汗)
前回の投稿は、大幅に15行を超えていてすいませんでした。
よくルールを理解していなかったもので。もうしわけないです。

性懲りもなく、また参加させて頂きます。よろしくです。押忍。

まず感想から。

>砦海晴さん
ピエロの方について。
途中まで、稽古をしてるシーンかと思って読んでいたので、最後の観客の拍手がいきなり出てきたところでちょっと驚きました。
コメディかどうか微妙なところですが(笑えたわけではないので)全体的な雰囲気はコミカルな感じでいいと思います。いい意味で軽かったです。

犬ぞりの方について。
序盤の路地裏っぽい暗めの描写から、爽やかなラストにきれいに繋がったところがとても良かったです。
きれいに短くまとめるのって難しいと思うので、よく出来ていたと思います。

>安藤ロイドさん
オチは読めましたが、主人公を自分に置き換えるとたしかに怖い気持ちになりました。
個人的な好みでは、もっとあからさまなホラーが好きなんですが。(笑)
お題がうまく使われていたと思います。

>戻り鰹さん
話の語り手(主人公)のちょっと(かなり?)壊れた感覚が、短い中によく描写されていると思いました。
面白く読めたんですが、お題の「鉄下駄」と「雷」はちょっと強引だったかも?
あくまで、個人的な感覚ですが……。

前回同様、感想書くのが下手ですいませんです。
以下、自作です。(今度は行数のほう、大丈夫だと思うんですけど……。汗)

お題は戻り鰹さんからの
・【麻酔銃】【パンク】【風船】
・【〜〜から事件は起こった】という言葉から文章を始める
で行かせてもらいます。

***

 飛行中の風船《かぜふね》に一人の大盗賊が乗り合わせたことから事件は起こった。
「な、なんだね君たちは!」
 老船長は震えた声を上げた。操縦室を護るように、扉の前に立ちふさがりながら。
「なんだとはなんだ、この天下の大盗賊、パンク様に向かってよぉ!」
 大きな刀傷に片眼を覆われた隻眼凶相の男が、不機嫌そうに声を荒げて銃口を向けてくる。
「ひぃっ! な、なにが目的なんだ!」
「この船に積まれてるお宝を全部よこしな。そうしたら、大人しく次の発着場で降りてやるぜ。――と、そこの女ぁ! こっちへ来い!」
 パンクと名乗った男が、事の成り行きを遠巻きに見守っていた乗客のうちの一人、背の高い美女を呼び寄せた。おずおずと近づいてきた女の首を、荒々しく片腕で抱え込んで舌なめずりする。
「こいつが人質だ。妙な真似しやがったら、すぐにズドン、だぜ……いいな?」
 ズドン!……
「え?」
 誰もが耳を疑った。煙を噴いているのは、男の持った銃ではない。
「安心しな、ただの麻酔銃さ。本物のパンクはいっさい殺しはしない主義でね」
 そう言って、倒れていく男に微笑みかけたのは、片手に銃を持った背の高い女だった。

***

……以上。今回も、分かりやすいオチを目指してみました。
風船をかぜふねにしたのは、アリでしたでしょうか?

……て、数えなおしたら一行オーバーしてるし。すいません。

では、お次のお題を発表させてもらいます。(なんか緊張。笑)
『桜』『サナダムシ』『小宇宙』で、追加は『いっさい笑い要素無し』でお願いします。

……自分の感覚、正常でしょうか?(笑)
++2004/03/20(土) 02:59

31RY:2004/04/07(水) 05:09
ひょっとして、自分ストッパーになってますか?
……だとしたらすいません。
今、昨夜の自分の書き込みを読み返してみて、ちょっと後悔してます。
あのお題は痛かったですね。
……というわけで、微妙にお題を若干変えさせて頂きます。

>『桜』『サナダムシ』『小宇宙』で、追加は『いっさい笑い要素無し』
を、
『桜』『ムシ』『小宇宙』で、追加は『シリアスなもの』
になおします。

不快感を抱かれた方、もしいらっしゃいましたら謝ります。
もうしわけありませんでした……。m(_ _)m
++2004/03/21(日) 01:10

32おづね・れお:2004/04/07(水) 05:11
おづね・れおと申します。初めて参加します。
鍛錬させていただきます。

≫RYさん
なめらかな文章で、オチがすごく効いていて楽しかった。麻酔銃の使い方がいいですね〜。

≫戻り鰹さん
怖い話でした。このような装置があるなら、悪いことよりも別の価値を見いだしてほしいものですね。ちなみに私ならどっきりカメラでも逃げます(^^;

≫安藤ロイドさん
心霊現象らしいものに遭遇することはあるのですが、そのときには怖いと思わないですよね。
オチは想像できなかったので楽しめました。直接「後々知った」という形じゃないほうが好みだったかも?


お題はRYさんの『桜』『サナダムシ』『小宇宙』です。

「桜の声が聞こえるかい?」
 美術の曽根先生は、ふらふらした足取りで土手を下ってきた。つくしを踏みつけないように気をつけているのだそうだ。ほかの草は踏んでもいいんだろうか。
「声は聞こえても、写生できませんよ、先生」
 この先生には、私も軽口をたたくことができる。先生は眼鏡の奥をしぱしぱさせて、ぼさぼさの頭をかいた。
「あー、声ってのはなあ……。小宇宙にはむずかしいかもしれんが」
 小宇宙というのは私の名前だ。コスモと読む。平凡な苗字に釣り合わず目立つ名前なので、知り合った人は必ず私をこの名前で呼ぶようになる。
「桜は、そうそう、お前の名前と同じ『小宇宙』の中でなあ、桜は自分の声を聞いているもんだ」
「お話、ぜんぜんわかりませんけど……」
 冷たいふうを装いつつ、私はこの先生の話を聞くのが好き。声を聞くのも好きだった。
「いいか、地球という小宇宙の中で俺たち人間が自分たちなりにベストを尽くしているように、だ。桜だって同じ小宇宙の中でベストを尽くして生きている。あの姿こそ、桜にとって必然だ。つまり桜の声だな」
「あー、なんかわかってきたかもしれません、先生」
 もうちょっと話してくれないかな。
「ヒトの体の中に寄生するサナダムシも、あいつらの小宇宙では必然の姿を生きているんだぞ。小宇宙(コスモ)、サナダムシの声が聞こえるか?」
「すいません、私はサナダムシなんか飼っていません。先生と違って」
「おお、すまんすまん。ところで小宇宙、そこに落ちているイヌの落とし物を拾って食わないようになー。サナダムシの声が聞こえちまうぞー」
 先生が私のお尻のすぐわきを人差し指で示した。そこにはかなり大きなイヌの……置き土産!?
 春ののどかな川べりに、私の小さな悲鳴はヒバリの声に紛れて誰にも聞こえなかったかもしれない。
 でも急に立ち上がって転びそうになった私を抱えてくれた腕はとても力強くて――


 やっぱり長いですね。反省してきます……。

次のお題は【ドライバー】【ゾウガメ】【歳時記】でお願いします。
・人物に男女を登場させる
を追加ルールで。

(っと、ここまで書いてRYさんの追記を読みました。シリアス物……の範囲内になりますか?)
++2004/03/21(日) 01:12

33セドナ:2004/04/07(水) 05:12
>RYさん
 読みやすいです。風船を「かぜふね」と使うなんてなかなかシャレてますね。
 お題の「サナダムシ」も、私はべつに不快じゃありませんよ。

>おづね・れおさん
 ほのぼのとした雰囲気がいいですね。サナダムシの使い方がうまいと思いました。
 あと小宇宙(コスモ)ときいてセイント星矢を思い出しました。……あっ、世代がバレる。(笑)
 

 お題はおづね・れおさんの【ドライバー】【ゾウガメ】【歳時記】
 追加ルール「人物に男女を登場させる」で行きます。


「……これ、あなたが買ったの?」「いや、僕は洋書を一冊注文しただけなんだけど……」
 3日前、大手ネット通販サイト「アマゾンストア」で洋書を注文した。書店で買うよりも安くなるから、と友人から教えられ、はじめてこのサイトを利用したのだが、届いた箱を開けてみると、そこには洋書ではなく、生きたゾウガメが入っていた。
「で、あなた、これどうする気?」当惑した妻が僕に訊ねる。
 どうするったって……。僕は事態がうまく飲み込めないままにゾウガメを見つめた。ゾウガメはおなかがすいているのか、しきりに鳴き声をあげている。歳時記によるとカメが鳴くのは春だな、などと意味不明の考えまで浮かんでくる。
「あなた、こんなところにネジが付いているわ。……あ、ここにも」僕の答えをあきらめた妻がカメの甲羅に付いているネジを発見した。「これを開けろってことじゃないの?」「甲羅を開けるのか? なんかかわいそうだな」「ネジが刺さったままの方がかわいそうよ」妻は立ち上がり、工具入れからドライバーを持ってきて僕に差しだした。「わかった、やるよ」
 すべてのネジがはずれると、甲羅はふたを取るようにパカッと開いた。中には僕の注文した洋書と、一枚の紙が入っていた。
「さて、アマゾンストアの新サービス『タートル便』はいかがでしたでしょうか? 当サイトはこのほかにもご希望に応じて『アリゲーター便』や『ピラニア便』など様々なサービスを用意しています」
「あなた、……もうこのサイトで注文しないでね」「……わかった」
(了)

 なお話に出てくる「アマゾンストア」とネット通販サイトの「アマゾンドットコム」とは何の関係もないことをここに記します。
 
 次のお題は「回転寿司」「爪」「アミノ酸」
 追加ルール「魅力的な女性を登場させてください」でお願いします。

++2004/03/21(日) 15:39

34RY:2004/04/07(水) 05:14
連日になりますが、懲りずにまたやってきました。
(とてもおもしろい作品の後なのでちょっと気が引けてますが……)

>おづね・れおさん
爽やかな感じで、素直に胸に響きました。使いづらいお題を見事に消化して頂いて、どうもです。
先生の捕らえ所のなさそうな雰囲気が妙にツボでした。オチも自分好みです。

>セドナさん
お題が無理なく散りばめられていて、読んだ後に唸ってしまいました。それぞれにきちんと意味を持たせてありますし。
「アマゾン」ストアと動物便がかけられていると後で気づき、にやりとさせられました。とっても面白かったです。

以下、自作いきます。

お題はセドナさんからの
・「回転寿司」「爪」「アミノ酸」
・追加ルール「魅力的な女性を登場させる」
です。


***

 冴子は美人で帰国子女で、おまけに僕の彼女であった。
「私、ジャンクフードは苦手なんだけど、これだけは大好き」
 まっ赤なマニキュアをつけた爪で、金色の皿に乗ったうにの軍艦巻きを優雅に掴むと、醤油もつけずにぺろりと平らげる。
 おい、うに様をジャンクフードなんかと一緒にするなよ――というツッコミは心の中に押しとどめ、
「ハハハ、そうだね、おいしいよね。うに」僕はいつもの愛想笑いを浮かべて頭をかく。
「これ、うにっていうの? 知らなかった」
 自分から回転寿司に行きたいって言っておいて、そりゃないだろう!――僕は思わず口に出しそうになって、慌てて手元にあったカッパ巻きを突っ込んで塞ぐ。
「んぐぐ……!」「どうかしたの?」「い、いや。なんでもないよ、気にしないで」
 あがりで一気に流し込むと、再び愛想笑いで顔面を武装した。
 僕は冴子に逆らえない。なぜなら、少し表現は古いが、僕の方が彼女にぞっこんだからである。彼女のどこがそれほど魅力的かというと……例えば次のようなところだ。
「それにしても、ここのお茶おいしいよね」話のネタが尽きた僕が、むりやり話題を捻り出す。
「そう? だいたい、タンニン/アミノ酸比率が6.2ってところじゃないかしら」
 私は8.0ぐらいの少し渋めが好みなんだけれど――彼女はまた一つうに様を平らげて言った。

***

……うむむ。なんか、つまらないですね。オチも弱いし、主人公に共感できないかも知れない。
そしてまたしても一行オーバー。十五行って、微妙に厳しいラインです……。

次のお題は「恐竜」「コンピュータ」「糸」で、追加ルールは「幸せな結末にする」でお願いします。
++2004/03/22(月) 03:49

35MSR:2004/04/07(水) 05:16
数ヶ月のブランクですっかり頭が固くなってしまいました。
歳食うと固まるのが早い早い。というわけで、リハビリさせてください。

>セドナさん
とっても面白かったです。
お題の消化もスムーズでそれ自体気にならず話にのめりこめました。

>RYさん
「うに」に様をつけてしまう主人公が素敵です。わたしはイクラ様かな。
アミノ酸で落ちたのが、ちょっと勿体無い気もしました。(自分のことは棚上げ、お許しを)

RYさんからのお題:「恐竜」「コンピュータ」「糸」
       追加ルール:「幸せな結末にする」

 彼女は女子大に進み、僕はコンピューター専門学校に進んだ。
 進路は違ってしまったけれど、彼女に割と暇があるのと、僕が一人暮らしを始めたことも手伝って、僕たちの仲は以前よりも親密なものになっていた。
「ねえ、この糸結んでていい?」
 言うが早いか彼女は僕の右手の小指に赤い糸を結んだ。見るともう一方はきちんと彼女の左小指いに結ばれている。
 彼女は、にっと口角を上げた作り笑いといたずらっ子な上目遣いで僕を見つめる。
 自宅のPCで課題の恐竜のCGに取り組んでいる僕を待ちきれなくなったのだろう。
 僕は冗談ぽく甘えてくる彼女がとても愛しかった。
 後ろから僕の首に腕を回し、口を尖らせPC画面を覗き込んでくる。
「なんか、この恐竜面白みに欠けるよ〜」
「じゃ、どんな感じがいいと思う」
僕の問いかけに、彼女は小さく唸りながら形の良い小さ目の顎を、僕の肩に乗せた。
「こう、ぶわ〜って糸吐く恐竜いたじゃない。あれがいい」
「……それは怪獣だと思うけど……」
僕はこんな彼女が大好きだ。

幸せな結末というよりバカップルの戯言になってしまいまいた。
ひねりも無いし、投稿するには辛いレベルだ。

次のお題は「裏事情」「パパ」「ドンキホーテ」追加ルールは「動物を出してください」
++2004/03/22(月) 22:20

36こん:2004/04/07(水) 05:19
回転早いっすよ……。ついていこうとした残骸がこれらです……。T.T ←諦めははいっている。

>MSRさま
バカですね〜、何でも許しちゃう。にへっと笑いながら読みました。こう言った阿呆な会話を書くのも読むのも好きです。
ひねりがないのは……私のも似たようなもので……。なんとも言えないですね……。
落ちを付けたりするのって難しい……。
ごめんなさい。お題をこなそうとは思ったのですが……。これだしってやつですね……。はう……。

>RYさま
個人的な意見ですが、効果音的なものがセリフに入っているのは何となく違和感を持ちます。それが良いのか悪いのかはわかりません。←おいっ。
女性像は好きです。わがままで自分勝手そうな人。好みなんですよね……。笑。
あ、お題「風船〜」の方が好きです。^^

>MrNorthさま
私節ですか……ん〜なんだろうな……。←考え中。
わ、わからん……。T◇T
持病は……後から気付いて脱力しました……バカな私。く〜T.T
梅は知ってて無視した感が……←論外。
お水のお姉ちゃんの意気込み! 自分の道を信じて進む人は輝いていると思います。^^



お題「裏事情、パパ、ドンキホーテ」動物を出す。

 深紅の唇を妖しく動かし蝶子が「欲しいわ」っと一言呪文のように呟けば何でも手に入った。そう、面白いほどに何でもだ。驚くほど簡単に男どもは糸の付いた操り人形よろしく次々と貢いでゆく。まったく、呆れるしかない。
 蝶子が欲しがるものは本心から欲しいものと特にそうでもないものとがある。それを見分けるのは至難の業だ。さんざっぱら貢いだ後じゃないと気付かない。いや、最後まで気付かない者もいる。オスとは阿呆な生き物だと思うしかないのだが、ダマされてなお幸せなら、それはそれで良いのかも知れない。ダマされたことさえも気付かないのなら最後まで裏事情は知らないほうが幸福というものだ。
 蝶子がパパと呼ぶ男が帰ってすぐ僕は蝶子に呼ばれた。
「ドンちゃん。ドンキホーテ。ごはんよ」
 甘ったるく呼ばれる僕の名は蝶子が付けた。何でも空想癖のあるおっさんの名だそうだ。
 棚の上からしなやかに飛び降り、僕は他の男どもと同じように蝶子にコビをうる。
 細く形の良い蝶子の足にまとわりつき、喉を鳴らすと「にゃあ」とあまえるように一度だけ哭いた。


           END
_____________________________
あ、逃げだ……逃げている……。名前ってのは逃げですね。
ダメだあね……。
動物は主人公です。猫ちゃんね。笑。
_________________________
(本文が長すぎるため分割掲載しました)

37こん:2004/04/07(水) 05:22
(上の続きです)

お題は「回転寿司、爪、アミノ酸」魅力的な女性を登場させる。

 レールの上に乗せられた皿がカシャカシャと耳障りな音を立てて流れていく。
「回転寿司なんて、ヤだ。貧乏臭い。本当のお寿司屋さんが良いっ」
 回転寿司だとしても寿司屋には間違いないのに、女はわざわざ本当のっと言う。まったく寿司を握る人間に対して失礼な話だ。
「ただいま、金欠病につきこれ以上の出費は控えたく思います」
 感情を表に出さない平たんな声音でわざとらしく寛司は告げた。たちまち渋面になり女は「さよなら」っと一言残し、踵を返しすと回転寿司屋をさっさと出ていく。
 出ていく女を追う素振りも見せず寛司は大きく溜息を吐き出すして、うんざりだと言わんばかりに肩を落とした。
「今回も長くは続かなかったわね」
 呆れた声で現われたのは頼子だった。
「何で、いんだよっ」
「私だってたまにはお寿司を食べたいと思うんじゃない?」
 しれっとして頼子は店内に入り、空いているカウンターに当然のように座る。その後を追うように寛司も隣に腰掛けた。
「……おごらねえぞ。俺は金欠なんだ」
「知ってる。さっき、赤い爪のお姉ちゃんにふられた原因でしょ。そんなに金欠なら寿司屋なんってやめれば良いのに。わざわざ女の人を怒らせるようなことを言う寛司が悪いと思うわよ」
 一利ある話だ。わざわざ自分から怒らせるようなことをしなくても良いだろうと寛司は思っている。だが、どうしても自然にしていると女の方が怒ってしまうのだ。いつしか仕方がないと諦めるようになっているのも事実だった。
 半眼で頼子を見つめ、寛司はぽつりと呟く。
「俺は金欠でも卵が食べたかったんだ」
「ああ、良質のタンパク質補給ね。アメフリヒトイロバスがちゃんと入ってるから身体に良いわよね。卵はっ」
「あん?」
 顔をしかめて寛司は隣に腰掛ける頼子を覗き込む。
「必須アノミ酸よ。メチオニンとか、フェニルアラニンとか、ヒスチジンとかね。それらを、もっともバランス良く含んでいるのが卵なのよ。だから、昔は万能の食品みたいに言われてたのね。今はコレステロールの悪玉みたいにいわれてるけど、実際、コレステロールは肝臓でコントロールされるから、正常な人は多く摂取しても体外に出される仕組みなのよ。だけど、日常的に肉なんかを多く食べてたりするからコントロールできなくなるんじゃない。別に卵が悪いわけじゃないわ。食べる側の認識が問題なのよ」
 あんぐりと間抜けに口を開け、寛司は両手をあげると降参の意思表示をした。
「……ごめん。半分くらいわからない」
「でしょうね。いいのよ。自己満足の世界なんだから」
 にっこりと口唇をあげて頼子は微笑んでから、卵を口にほうり込んだ。
 いつも頼子は自分が真ん中にいる。自分の信じる道を真直ぐに進んでいるのだ。そして、そんな頼子と一緒にいる時、寛司は自分らしさを失わずいつも自然体でいられた。


           END
_______________________
魅力的かな……頼子ちゃん。我が道を行く女性に知らないうちに惹かれる人間を書こうかと……。無理か……。
……わ、悪い癖が……。長い……すみません。対象外ですね……。
いつものこととは言えダメだな……。悩。
__________________________
(下に続きます)

38こん:2004/04/07(水) 05:25
(上の続きです)

お題「パンプス、おにぎり、鍵」コンビニを舞台にする。

 ヒールの高いパンプスを彼女は毎日はいている。外反母趾になっても仕方のないほど先の細い靴だ。
 かつかつと小気味良い音を響かせて来店し、夕食と思われる買い出しをする。いつも弁当ではなく、おにぎりやヨーグルト、お茶といった小物をこまごまと揃えてレジカウンターに持ってくる。それと、忘れてはいけないのは、お菓子の新商品が出ると必ずそれも買い物リストに入るということだ。新しい物好きなのだろう。
 ぴしっと着たスーツが堅い仕事ではないかと思わせた。たいていの場合はパンツスーツを。極たまにスカートをはいている。気が強いような印象もあった。
 決まって午後7時に彼女はあらわれる。多分、仕事帰りなのだろう。定時に終わる仕事なのだろうか。
 いつものようにぐるりと店内を見てまわり、いつものようにおにぎりとヨーグルト、お茶を手に持ち、それに春先ようの「桜餅」をくわえてレジカウンターへ歩み寄ってくる。
 無言で置かれた商品を僕はレジ打し、
「ありがとうございました」
 いつものように挨拶した。
 軽く頭を下げ彼女は出入り口をくぐって出ていった。だが、その時、僕は気付いた。先ほどまでレジカウンターに置かれていなかった物に。
 それは甘い誘惑だった。
 このまま落とし物として預かることもできる。だが、僕は……それをポケットの中にこっそりとしまった。
 忘れられた彼女の部屋の鍵がおさまっただろうキーケースが重く感じられた。

           END
_______________________
ストーカー風の店員さん。思い込みが激しいとかね。笑。
偶然……ってかたちなのが消化不良ですね……。いかん。いかん。
_______________________

お題「暖簾(のれん)、物差し、そろばん」高校生を登場させる。

 映画館から出て、エレベーターをおりた鹿嶋の目に高校生の団体が飛び込んできた。夜もふけた時間帯、それも平日の夜に高校生の団体を見るのは珍しい。
「卒業式だったんじゃない?」
 隣から静恵が解答を出してくれた。それに鹿嶋は納得をすると同時に、自分の頃は卒業式のあとこれほどおそくまで一緒にいただろうかと不思議にも思う。
 居酒屋の暖簾を当然のようにくぐって行く高校生達を誰も止めはしない。店の者とて黙認しているに違いないだろう。そんな状況に鹿嶋は幾分顔をしかめた。鹿嶋の常識では考えられない行為だったのだ。
「こんな時間に居酒屋行って何するんでしょうね」
「騒ぐしかないんじゃない? 食事しながら話して最後の別れを惜しんでるんでしょう。大体、居酒屋行って他に何するのよ」
「なにってことないですけど。だって、この時間ですよ? 高校生がこの時間に居酒屋行ってても良いもんっすか?」
 年若い鹿嶋が少しだけ語気を荒げたのに、静恵は以外そうな顔をする。
「鹿嶋くんは堅いねえっ」
「そうっすかね……当たり前のことがだんだん当たり前じゃ無くなっていく世の中ってどうなんっすかね?」
「別に。どうってことないんじゃない?」
「俺の物差で物を言わせてもらえば、9時過ぎに高校生がたむろして居酒屋に行くってのがいけないんっすよ。親はどう言う教育してるのかって不思議になりますね」
「今どき、高校生が夜遅く歩ったくらいで周りは何も言わないわよ」
「そう言う世情が良くないんっすよ。みんな自分のことばかりで、そろばん勘定しては、不利なことには手を出さない。そういうことで良いんですか?」
「鹿嶋くん、いつの時代の人よっ」
 呆れたよう返してくる静恵が、鹿嶋には理解できなかった。
 大人がしっかりしないで子どもが育つものだろうか。この状況が長く続きすぎて、日本人は本来の信念をどこかへ置き去りにしてきているのではないだろうかと鹿嶋は溜息を吐き出す。
 国がゆっくりと蝕まれていく。
 高校生達は、まだ帰宅する気配をみせなかった。

             END
______________________
先日みたまんまの高校生を書いてみました。ん〜若者元気だあねっといった風でした。
誰も止めないってのもある意味すごいな〜っとその1人をし傍観していました。
こんなに田舎なのに。笑。
__________________________

今回も間に合いませんでした。急遽MSRさまのお題をっと思ったのですが、消化不良です……。諦めはいっています……。
ゆえに、引き続きMSRさまのお題でお願いします。↓
『お題「裏事情、パパ、ドンキホーテ」動物を出してください。 』
申訳ないです……。T.T

++2004/03/22(月) 23:52

39ヨナタン:2004/04/07(水) 05:26
>MSRさん
こういうのは読んでいる方が恥ずかしい物が良いですよね。少し恐竜に無理があったかなと思わないではないですが。
>おづね・れおさん
このお題は難しいと思います。まずそのチャレンジ精神に敬意を表したいです。ギャグに転びすぎず、良い感じの雰囲気に留まっていると思います。ただやはり、サナダムシって流れていく辺りはきついですよねえ。

私は一家の長であるパパだ。それも普通のパパではない。裏事情を抱えたパパだ。ウラパパ。
え?どんな裏事情かって?それはいえない。それを言ってしまえば“ウラ”で無くなってしまうではないか!
ただ私の家庭はシアワセそのものですよ。ええ。郊外に構えた一戸建て。美しいワイフ(ネイティブな発音)!聡明な娘!血統書つきの犬!いぬ!!
それに私は家族サービスも欠かさない。休日ともなるとドンキホーテで大ハッスル!「パパ買いすぎぃ」とワイフに怒られて、財布の紐も、顔も緩みっぱなし。なんちゃって、わっははは!
娘の授業参観でも私は実に幸せでしたよ。加奈の読んだ作文が先生にほめられて、ああ、加奈って言うのは娘の名前なんですけどね。しかも作文の内容が「私のパパ」。いやあもうなんか恥ずかしいなあ。
え、そんな事いいから何が裏事情か教えろって?
だから言えないんですよ。ウーン困ったなあ。じゃあヒントあげますね。
……あなたこんな家族本当に有り得ると思いますか?

***
自分でもよく分からない作品になってしまった。まあいいや。
このパパの声は広川太一郎さん風に読んで頂けると良い感じだと思います。(何が?)

と言うわけで、次のお題は「死ぬかと思った」「罠」「土下座」で、追加は「3つのお題のうち1つ以上をギャグとして使う」でよろしくお願いします。
++2004/03/23(火) 01:29

40からす:2004/04/07(水) 05:28
>ヨナタンさん
 オチが読めませんでした。不思議な感じの作品ですね。でも、ほのぼのとしてよかったかも。

>こんさん
 4つもご苦労さまでした。SSなのに、どれも描写がしっかりしていますね。3番目のコンビニ店員の話が一番よかったかな。ちょっと危ない話だけど。


【お題:「死ぬかと思った」「罠」「土下座」】
【追加ルール「3つのお題のうち1つ以上をギャグとして使う」】

 ―― 罠 ――

 ヤバイ! マジでヤバイ! ホテルの出口から女の子と出てきた時に感じたキツイ視線。あれは、やっぱり彼女だったような気がする。どっ、どうしよう?

「ただいまぁー。いやあ、先輩の坂崎さんに誘われて断れなくなっちゃってね。も〜死ぬかと思った」
「死ねばよかったのに」
 シャ、シャレにならない。チラリと覗くと、彼女の眼が液化窒素のように冷たい。
「ご、ごめんなさい。つい出来心で。もう絶対にしません!」
 俺は、思わず床に両手と頭をこすり付けて土下座した。その時、つーんと刺激臭が鼻を突き刺す。
「ゴキブリにみたいにコソコソと」
「だ、だから……」
「床に接着剤塗っといたわ。あんたなんて、そうやっていつまでも床にへばり付いていたらいいのよ。ゴキブリみたいに」
 彼女がドアを開けて出ていくと、床にくっついた俺の頭の上を風がぴゅーっと吹き抜けた。
「そりゃないワナ(罠)」
(おしまい)


 うーん、また反則スレスレというか、もしかして反則?
 ギャグというより駄洒落になってしまった。

 それでは、次のお題は、
【お題:「三日月」「トロイの木馬」「自衛隊」】
【追加ルール「主人公は女性」】
++2004/03/23(火) 04:44

41セドナ:2004/04/07(水) 05:31
 RYさん、MSRさん、前作を面白いと言っていただき、ありがとうございます。励みになります。
 ほめられたので調子に乗ってまた書いてしまいました。拙い文章ですが、お許しください。

>からすさん
 面白かったです。言い訳する男性の姿がありありと想像できました。
 オチの「そりゃないワナ」よりも「彼女の眼が液化窒素のように冷たい」という表現の方が私のツボにドンピシャでした。
 
>ヨナタンさん
 成金っぽいお父さんが浮かんできました。私もオチがよくわからなかったんですが、「自分でもよくわからない作品」とおっしゃられているので、たぶんわからないままでもいいんだろう、と勝手に結論づけてしまいました。

>こんさん
 4つもお疲れ様です。作品間にあるコメントにこんさんの苦悩が滲みでてておもしろかったです。
 どの作品も描写が丁寧で、見習うべき箇所がいくつもありました。粗削りですがどれもいい作品だと思います。
 
>MSRさん
「幸せな結末」というよりも、「幸せな日常」という感じですね。二人の間に一波乱欲しかったです。

>RYさん
「うに様」がいいですね。「アミノ酸」の部分がすこし唐突な感じがしますが、全体的には雰囲気が出てると思います。自分で出したお題ながら「回転寿司」に行きたくなりました。


 お題「三日月」「トロイの木馬」「自衛隊」
 追加ルール「主人公は女性」

 日が落ちて定刻になると、私は「装置」の黄色いレバーをおろす。機械の駆動音と鳥のさえずりのような電子音がしばらく「装置」から発せられ、やがて聴こえなくなる。窓をあける。空を見ると、鮮やかな三日月が浮かんでいる。私はそれを確認すると、布団にもぐり、静かに眼を閉じる。
 布団のなかで私は昨日の話を思い出す。

「君に大事な話があるんだ」
「あの『装置』のことだけど」
「どうやらあの『装置』にウイルスが感染したらしいんだ」
「『トロイの木馬』というウイルスだよ」
「それがあると、外部からあの『装置』をコントロールすることが可能なんだ」

 夜が明けないうちに私は目を覚ます。時計をみて時刻をみる。定刻までまだ余裕があることを確認して、コーヒーを入れる。やがて定刻になり、私は「装置」の黄色いレバーをあげる。外を眺め、月が沈んでいることを確認すると、朝食の準備をする。朝食のトーストと目玉焼きが食卓にならぶ頃、窓から朝日が差し込んでくる。
 身体に染みついた一連の流れのあと、私の頬を数滴のしずくがつたいおちる。

「もしそうなったら、地球は大変なことになる。だから、そうなる前にあの『装置』を引き取らせてほしい」
「もちろん、君の大事な『装置』だということはわかる。でもこうするしか手はないんだ」
「残念だが、もう地球に月は戻せない……わかってくれ」

 朝食を食べ終わる頃に、自衛隊の輸送車が当たり前のように我が家に乗りつけた。そして大人数で「装置」を運び出していった。「装置」を失った私はただ無を表す存在になった。
(了)

 実験的な作品です。雰囲気が伝わればありがたいです。

 次のお題は「弓矢」「振り袖」「いかりや長介」
 追加ルール「現代ものでお願いします」

++2004/03/24(水) 14:10

42管理人:2004/04/07(水) 05:48
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